NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【HEADLESS : TRANSITIONAL OBJECTS】GÖRAN EDMAN IS COMING BACK TO JAPAN 26′


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH GÖRAN EDMAN OF HEADLESS !!

“It’s difficult to highlight anything in particular but Kharma “Wonderland “ is definitely a pearl worth mentioning.”

DISC REVIEW “TRANSITIONAL OBJECTS”

「北欧の声なんて思ってはいなかったよ。スカンジナビア・メタルが特に日本で人気があることは知っていたけどね。実際は、当時影響を受けていたイギリスやアメリカのバンドのサウンドを真似て、それを模倣しようとした結果、僕らの色が加わって副産物としてスカンジナビア・メタルのサウンドが生まれたんだよね」
北欧の声。本人がどう思おうとも、私たちにとってそれは、Joey Tempest であり、Tony Harnell (アメリカ人ですが) であり、そして Göran Edman でした。北欧の厳粛で荘厳で美麗な雰囲気をそのまま声に宿らせたかのような彼らの歌唱は、そして陰りのあるクラシカルな響きをギターに込めたシュレッダーの音の葉は、特に当時の日本人の心を打ち、北欧メタルというひとつの素晴らしきジャンルを作り上げました。
中でも、様々なバンドを渡り歩き、幾多の名作を生み出してきた Göran は、北欧メタルと同義であり、その創設者ともいえる存在でしょう。MADISON に始まった Göran の旅路は、John Norum, TALISMAN という偉大な場所に立ち寄りました。特に、John Norum の “Total Controll”、あのメランコリックな恍惚が北欧メタルの原点のひとつとなったことはたしかでしょう。
「Yngwie と共演したあの数年間は、色々な意味で波乱万丈だったけど、そこから多くのチャンスが生まれたことに感謝しているんだ。一番良い思い出は、おそらく “Eclipse” のプリ・プロダクション、レコーディング、そして最終プロモーションに関することだろうな。”Fire & Ice” の時代は、首に縄をかけられているような気分で、衝突も多かったからね。でも、どちらのアルバムにも、僕なりのハイライトがあるんだよ」
Göran のキャリア、そのハイライトはあの Yngwie Malmsteen との共闘でしょう。共闘と書きましたが、実際のところ、なぜかリード・シンガーを毛嫌いし敵視するマエストロとの仕事は簡単ではなく、むしろバンドにいること自体が恐闘と呼べるような状況だったようです。
ただし、Göran の声と Yngwie の音楽、その相性は素晴らしく、オール・スウェーデンで臨んだ “Eclipse”, “Fire & Ice” は北欧メタルの教科書として今や多くの人に溺愛されています。実際、”Eclipse” のダークでしかし煌めきに満ちた皆既日食の景色や、”Fire & Ice” のバラエティに富んだ一級品の旋律たちも、Göran の狂おしいまでの情歌によって北欧メタルのマイルストーンとなりました。
「これまで様々なプロジェクトやバンドに参加し、ゲスト出演なども行ってきたよね。そうしたボーカルのほとんどは、自宅スタジオで録音したものなんだ。ジャンルも多岐にわたるね。特に何かひとつを挙げるのは難しいけれど、KHARMA の “Wonderland” は間違いなく特筆すべき作品だと思うよ」
Yngwie と別れて以降、Göran はその才能をより幅広く開花させていきました。理想的な北欧メタルから GLORY が辿った変遷はそのまま、Göran の行く道を暗示していたのかもしれません(“Positive Bouyant” とか “Wintergreen” とか今聞くと素晴らしいですよ)。Göran の優しくソフトな歌声で人気を博した STREET TALK, プログレッシブ・サイドを探求した KARMAKANICK, そして何より Göran 自身が特別だと語る KHARMA の “Wonderland”。まるで QUEEN と STYX が北欧で出会ったかのような珠玉の一品は、アルバム1枚で終わってしまったのがあまりにも惜しいまごうことなき傑作。
そうして自然に歳を重ね、69歳となった今、Göran は HEADLESS というスーパー・バンドで本当に久々の来日を果たします。ELEGY や Neil Zaza のメンバー擁するバンドは、丁寧にプログレッシブなハード・ロックを作り上げ、Göran の今をしっかりと伝えてくれます。誰も年齢に逆らうことはできません。しかし、年齢に逆らわず、人生を抱きしめ、今の自分を抱きしめながら愛する音楽を続ける Göran の声に、私たちはロックの真髄を見るはずです。
今回弊誌では、Göran Edman にインタビューを行うことができました。「69歳という年齢になると、当然だけど音域も以前とは違ってくる。原曲からあまり大きく音程を変えてしまうと、僕の声の特徴が変わってしまい、ファンの人たちにも受け入れられないかもしれないし。以前、カバーのオファーをもらったこともあったけど、丁重に断ったんだよね。HEADLESS のセットリストに Yngwie のカバー曲が含まれている可能性はあるけど、それは例外的なケースなんだ」 どうぞ!!

HEADLESS “TRANSITIONAL OBJECTS” : 9.9/10

INTERVIEW WITH GÖRAN EDMAN

Q1: It has been a really long time since you last performed in Japan! Your fans in Japan have been waiting for your return for a long time! How do you feel now?

【GÖRAN】: I’m looking forward to be back . My first time was with Madison which seems like ages ago.
I can’t really relate to that person today. A lot of water has flown under the bridges. 40 years is a long time and of course …All we can be certain about is that with time comes change.
To the better or/ and to the worse depending on what you take into consideration. I might not be as cute 😅 or mobile but I’m certainly wiser if I may say it myself.

Q1: 日本での最後のライブから、本当に長い時間が経ちましたね! 日本のファンはあなたの帰還をずっと待っていましたよ! 今のお気持ちはいかがですか?

【GÖRAN】: 日本に戻るのが楽しみだよ。初めて日本に行ったのは MADISON で、本当にもうずいぶん昔のことのように感じるね…。
今の僕は、当時の自分にあまり共感できないんだよね。ずいぶん時間が経って、たくさんのことが通り過ぎていったからね。40年というのは実に長い年月だし、もちろん…人生で確かなのは、時が経てば変化が訪れるということだからね。
良い方向にも悪い方向にも、変化は訪れる。何を良しとするかによるんだろうけど。だから、以前ほど可愛く 😅 もなければ、機敏にも動けないかもしれないけど、自分で言うのもなんだけど、間違いなく賢くはなったよね。

Q2: I think your most famous work is still the Yngwie era, but did you know that “Eclipse” and “Fire & Ice” are now being greatly reevaluated in Japan, and many people are calling them Yngwie’s masterpieces? Which of the two albums do you like better?

【GÖRAN】: I didnt know that and of course I’m honoured but in the end of the day it’s all a matter of taste when it comes around. I’m grateful for the opportunities that came out of those years performing with Yngwie even though they were turbulent in many ways. My most positive memories are probably related to the pre-production, recordings and the final promo for Eclipse. During “ The fire and ice” era I felt more like I had a rope around my neck and there were more conflicts. Both albums have highlights in my opinion.

Q2: あなたの最も有名な作品はやはり Yngwie 時代のものだと思いますが、”Eclipse” と “Fire & Ice” が近年日本で再評価され、多くの人が Yngwie の最高傑作と呼んでいることをご存知ですか? あなたはどちらのアルバムが気に入っていますか?

【GÖRAN】: 知らなかったし、もちろん光栄だけど、結局のところ、そういう時は好みの問題だよね。Yngwie と共演したあの数年間は、色々な意味で波乱万丈だったけど、そこから多くのチャンスが生まれたことに感謝しているんだ。
一番良い思い出は、おそらく “Eclipse” のプリ・プロダクション、レコーディング、そして最終プロモーションに関することだろうな。”Fire & Ice” の時代は、首に縄をかけられているような気分で、衝突も多かったからね。でも、どちらのアルバムにも、僕なりのハイライトがあるんだよ。

Q3: Back then, when people thought of “Scandinavian voices”, they thought of you and Joey Tempest. Were you conscious of the clear transparency and Scandinavian-ness that resided in your voice?

【GÖRAN】: No, I can’t say I was aware of that . I knew or was aware of that Scandinavian metal was very popular in Japan especially.
Actually we all wanted to sound like and copy the English and American bands that we were influenced by at the time and the result became the Scandinavian metal sound as a side effect.

Q3: 当時、”北欧の声” といえば、あなたと Joey Tempest が思い浮かんだものです。あなた自身は声に宿る、澄み切った透明感と北欧らしさを意識されていたんですか?

【GÖRAN】: いや、意識していなかったよ。スカンジナビア・メタルが特に日本で人気があることは知っていたけどね。
実際は、当時影響を受けていたイギリスやアメリカのバンドのサウンドを真似て、それを模倣しようとした結果、僕らの色が加わって副産物としてスカンジナビア・メタルのサウンドが生まれたんだよね。

Q4: Incidentally, Yngwie has been singing by himself recently because he is fed up with the “lead singer disease”. What do you think about the “Yng-way? Do you listen to his music these days?

【GÖRAN】: No I haven’t followed his recent career that much … more than accidentally stumbling over some posts on social media platforms and fan club sights etc . I don’t know what he means with the lead singer disease but I can guess. He has always had a narrow perspective on reality centered around himself. I can only speak for myself . I have never claimed any publishing rights or credits for something I didn’t contribute with personally . Just the fact that he is the artist doesn’t mean that he’s above the law and owns others artistic creativity whenever it’s requested as long as it’s not specified in the employment contract . Besides I wrote a publishing agreement with Yngwie that we both signed and agreed upon regarding titles and percentual split. It’s all there in black and white.

Q4: ちなみに、Yngwie は最近 “リードシンガー病” にうんざりして、自ら歌っているそうです。この “イング-ウェイ” についてはどう思いますか? 彼の最近の音楽を聴いていますか?

【GÖRAN】: いや、彼の最近のキャリアをそれほど追ってはいないよ…SNS やファンクラブ・サイトなどで偶然いくつかの投稿を見かけたくらいでね。
リードシンガー病という言葉で彼が何を言いたいのかはわからないけど、まあ推測はできるよ。彼は常に自分を中心とした狭い価値観、現実観を持っていたからね。まあ僕は自分のことについてしか話せないけど。ただ、僕は個人的に貢献していないものについて出版権やクレジットを主張したことは一度もないんだよ。彼が “アーティスト” であるという事実だけでは、彼が法律を超越することはできないんだ。
雇用契約に明記されていない限り、いくらボスだからっていつでも他人の芸術的クリエイティビティを所有できるわけではないんだよね。それに、僕は Yngwie と出版契約書を作成し、タイトルとパーセンテージの分配について両者が署名して合意していたんだ。すべて白黒はっきりしているんだよ。

Q5: On the other hand, Yngwie has in recent years shown his dislike for lead singers whodo performances using Yngwie songs of the time. You don’t seem to have any live shows where you do Yngwie songs, why is that?

【GÖRAN】: It’s outdated and besides, I’m not very nostalgic about the past. I don’t think I could give them any justice today. The Malmsteen songs.
My range is naturally not the same at the age of 69 . Transposing them too much would change the characteristic of my voice and perhaps not be appreciated by the fans. I had offers to do it that I politely turned down .
Could be that there’s been some Malmsteen covers included in a set list with Headless but that’s an exception from the rule.

Q5: 一方で、Yngwie は近年、自分が歌っていた当時の彼の曲を使ってパフォーマンスをするリードシンガーを嫌っていることを明らかにしています。
あなたは Yngwie の曲を演奏するライブを全く行っていないようですが、それはなぜなんですか?

【GÖRAN】: 正直時代遅れだし、それに僕は過去にあまりノスタルジーを感じるタイプじゃないんだよね。まあ今の僕には、Yngwie の曲を正しく歌いこなす自信もないしね。
69歳という年齢になると、当然だけど音域も以前とは違ってくる。原曲からあまり大きく音程を変えてしまうと、僕の声の特徴が変わってしまい、ファンの人たちにも受け入れられないかもしれないし。以前、カバーのオファーをもらったこともあったけど、丁重に断ったんだよね。
HEADLESS のセットリストに Yngwie のカバー曲が含まれている可能性はあるけど、それは例外的なケースなんだ。

Q6: Besides Yngwie, your career began with Madison and you continue to produce great work with great bands such as John Norum, Talisman, Glory, Brazen Abott, Karmakanic, Crossfade, and many others. Can you talk about a few of those albums that you particularly like?

【GÖRAN】: Yes there have been various projects and bands , guest performances etc past the years mostly recorded in my homestudio. Various genres .
It’s difficult to highlight anything in particular but Kharma “Wonderland “ is definitely a pearl worth mentioning.

Q6: Yngwie 以外にも、あなたのキャリアは MADISON から始まり、John Norum, TALISMAN, GLORY, BRAZEN ABOTT, KARMAKANIC, CROSSFADE など、数々の素晴らしいバンドと素晴らしい作品を生み出し続けています。
特に気に入っているアルバムをいくつか教えていただけますか?

【GÖRAN】: そうだね、これまで様々なプロジェクトやバンドに参加し、ゲスト出演なども行ってきたよね。そうしたボーカルのほとんどは、自宅スタジオで録音したものなんだ。ジャンルも多岐にわたるね。
特に何かひとつを挙げるのは難しいけれど、KHARMA の “Wonderland” は間違いなく特筆すべき作品だと思うよ。

Q7: One of the things I particularly like about your career is Street Talk. AOR, such as the catchy and beautiful Journey, is actually more your natural field than metal?

【GÖRAN】: Yes I agree. My voice has a more gentle melodic timber than the raw energy requested in Hard Rock and Metal . More space for choir arrangements. More production 😅

Q7: あなたのキャリアの中で私が特に気に入っているバンドの一つは、STREET TALK です。あのキャッチーで美しい JOURNEY のようなAORは、実はメタルよりもあなたの得意分野なのでしょうか?

【GÖRAN】: うん、そう思うよ。僕の声は、ハード・ロックやメタルで求められるような荒々しいエネルギーよりも、もっと穏やかでメロディアスな音色を持っているからね。AOR ならコーラスのアレンジにも余裕があるし、プロダクションも良いからね。😅

Q8: You are coming to Japan with Headless, a super band consisting of members of Elegy and Neil Zaza, Can you introduce Headless to your Japanese fans?

【GÖRAN】: Walter Cianciusi (now playing guitar with David Ellefson, co-founder of Megadeth) put the band together in 1996 and has been the driving force keeping it alive all these years.
But according to his words in a recent interview, the pro era of the band started with my entering the picture. We recorded the first songs together in 2011.
Headless is basically our way of bringing together all the elements of music we’ve always loved. We come from a progressive metal background, but we’ve never really wanted to limit ourselves to just one style. Our sound mixes progressive metal with hard rock and classic heavy metal, trying to keep things both technical and melodic at the same time.
We really enjoy working on complex guitar parts, dynamic rhythms, and strong vocal melodies. A lot of our songs have shifting structures, different time signatures, and plenty of room for expressive solos, but we always try to make sure the songs still have hooks and memorable moments.
Our influences come from both classic progressive bands and more modern metal artists, and over time we’ve tried to shape those influences into something that feels like our own identity. With every release we’re always trying to evolve a bit more, push our sound further, and keep the music exciting both for us and for the people listening.

Q8: 今回あなたは、ELEGY やNeil Zaza のメンバーで構成されるスーパーバンド、HEADLESS と共に来日しますが、日本のファンにこのバンドを紹介していただけますか?

【GÖRAN】: Walter Cianciusi(現在は MEGADETH の共同創設者 David Ellefson のギタリスト)は1996年に HEADLESS を結成し、長年にわたり原動力としてバンドを支え続けてきた。
最近のインタビューで彼が語ったところによると、プロとしてのバンドは僕が加入したことから始まったそうだよ。僕たちは2011年に最初の楽曲をレコーディングしたんだ。
HEADLESS は基本的に、僕たちが常に愛してきた音楽のあらゆる要素を融合させたバンドなんだ。僕らはプログレッシブ・メタルをルーツとしているけど、決して一つのスタイルに限定したくはなくてね。そのサウンドはプログレッシブ・メタル、ハード・ロック、そしてクラシック・ヘヴィメタルを融合させ、テクニカルさとメロディックさを両立させようとしているんだ。
僕たちは複雑なギターパート、ダイナミックなリズム、そして力強いボーカルメロディーを追求することを心から楽しんでいるよ。楽曲の多くは、変化に富んだ構成、様々な拍子、そして表現力豊かなソロのための十分な余地を備えているけど、同時に、キャッチーなフックと印象的な瞬間を必ず盛り込むように心がけているんだ。
僕たちの音楽は、クラシックなプログレッシブ・メタル・バンドと、より現代的なメタル・アーティストの両方から影響を受けていて、時間をかけてそうした影響を独自のスタイルへと昇華させてきた。リリースごとに、僕たちは常に進化を続け、サウンドをさらに高め、自分たち自身にとっても、そしてリスナーにとっても刺激的な音楽を作り続けようと努力しているよ。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED GORAN’S LIFE!!

I don’t know if any album ever changed my life but certainly made a deep impact on me as a listener and opened up my senses and interest . Hard to pick 5 albums only but well examples .
As a boy on my first stereo Beatles first album -64 “ A hard day’s night “ started my Beatles fever Later on in the 70’s I discovered progressive rock and started to follow bands in that genre.
Yes “ Close to the Edge “ was my introduction to that band . That led further to more albums and other bands in the same genre such as Genesis where…
“Selling England by the pound” got me hooked immediately after some listening . For me Peter Gabriel has always been an icon from a singers point of view as well as Jon Andersson . And from these bands to a more psychedelic form as I became more “ experimental “.
Pink Floyd And “ Dark side of the moon “ opened new senses for me . I can not separate it from “ wish you was here “
And then finally I discovered the world of Frank Zappa “ when I heard “ Over night sensation “ followed up by many more albums out of his rich discography .

人生を変えたアルバムがあるかどうかは分からないけど、リスナーとして僕に深い影響を与え、感覚と興味を広げてくれたアルバムは間違いなくあるね。5枚だけを選ぶのは難しいけど、いくつか例を挙げるよ。
少年時代、初めてステレオで聴いた THE BEATLES のファーストアルバム “A Hard Day’s Night”(1964年)がきっかけで、ビートルズ熱に火がついた。その後、70年代に入り、プログレッシブ・ロックに出会い、そのジャンルのバンドを聴くようになっていったんだ。
そう、YES の “Close to the Edge” が、僕にとってのプログレッシブ・ロックとの出会いだった。それがきっかけで、GENESIS など、同じジャンルの他のバンドのアルバムも聴くようになり、特に “Selling England by the Pound” は、聴いた瞬間に虜になったよね。僕にとって、ピーター・ガブリエルとジョン・アンダーソンは、シンガーとして常に憧れの存在だった。そして、こうしたバンドから、よりサイケデリックな音楽へと傾倒し、実験的な音楽を求めるようになっていったね。
PINK FLOYD の “狂気” は、新たな感覚をもたらしてくれた。これを “Wish You Were Here” と切り離して考えることはできないよね。そしてついに、Frank Zappa の世界に足を踏み入れたのは、”Over Night Sensation” を聴いた時だったね。その後、彼の豊富なディスコグラフィーの中から、さらに多くのアルバムを聴いていったんだ。

MESSAGE FOR JAPAN

I hope to see you there on Evoken festival . If the conflict in Iran will end soon that is… with escalating prizes on oil and gas as a consequence.

Evoken Fet で会えるのを楽しみにしているよ。イラン紛争がすぐに終結してくれたらいいんだけど…石油とガスの価格が高騰しているからツアーも大変だよ…。

GÖRAN EDMAN

来日公演の詳細はこちら。Evoken de Valhall Production

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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【EXODUS : GOLIATH】


COVER STORY : EXODUS “GOLIATH”

“I’m Not Rich, But I Make A Living Playing Guitar, And That’s A Gift In Itself”

GOLIATH

EXODUS のスケジュールは恐ろしくタイトです。カナダでは MEGADETH, ANTHRAX と共演し、その後は KREATOR, CARCASS と合流してヨーロッパ・ツアーを行い、最後にアメリカに戻って SEPULTURA の最終ツアーに臨みます。しかし、Gary Holt はその多忙なメタル・ライフを誇りに思い、心から楽しんでいます。
「EXODUS にいることは俺の生き様なんだ。SLAYER と一緒にツアーをしていた時でさえ、EXODUSが恋しかった。とても恋しかったんだ。SLAYER が最後のライブをしたとき、俺はどデカい L.A. Forum で 2 夜連続ソールドアウト公演をしていたが、その2 か月後には、ドイツの怪しげな会場でクソみたいなシャワーを浴びていた。 でも、それが気に入っているんだ。最高だった。
俺はこの仕事が大好きなんだ。EXODUSは17歳の時に加入したバンドなんだ。5月で62歳になるけど、まだここにいる。このバンドに愛がないはずがない。たまに”モダン・メタルに影響を受けた”なんて古いバンドもいるけど、俺はモダン・メタルなんて聴かないし、今でも高校時代と同じようにNAZARETHとかAC/DCとかTHIN LIZZYとかSCORPIONSを聴いている。流行に興味がないからぜんぜん金持ちじゃないけど、ギターを弾いて生計を立てている。それ自体がどんな贅沢よりも幸せな贈り物だよ。金がないから引退なんてできない。働き続けなきゃいけない。でも、この仕事が大好きだから、働くことは苦にならないんだ」
愛する仕事を続けるために、体調管理は欠かせません。
「61歳にしてはかなりいい体型を維持してるよ。だからステージに上がるのは楽勝さ。2,3 回ライブをやれば、すぐに調子を取り戻せる。それに田舎暮らしだからね。薪を運んだり、木を伐採したり、そういうことをしょっちゅうやってるんだ。だから、そういう仕事が多いから、自然と体型が維持できるんだよ。
でも一番大事なのは演奏技術を維持すること。家でも練習してるけど、ステージでは話が別だ。もっと激しく、もっとアグレッシブに演奏しないといけない。だから、調子を取り戻すには何回かライブをこなす必要がある。今回のツアーは30分しか演奏しないから、なおさらだ。1時間15分のライブだったら、筋肉をフル稼働させるのに必要な公演数は半分で済むからね」
浴びるほど飲んでいたお酒ももうやめました。
「6月15日で5年になるけど、もうお酒は飲んでいないよ。ノン・アルコール・ビールは飲むけど、それも1本だけ。12本も飲むわけじゃない。いい夜、例えば外食に行った時なんかは2本くらい。酔うために飲むわけじゃないから、飲む量は大幅に減ったね。
今は本当に質の良いノン・アルコール・ビールがたくさんあるんだ。昔はビールをよく飲んでいた。それが俺にとって主なアルコール源だったから、今でもビールの味は好きだよ。でも、家ではもう必要ない。2ヶ月間飲まなくても平気だ」

2025年1月に Steve “Zetro” Sousa が脱退し、Rob Dukes がバンドに復帰しました。
「最高だよ。バンドの雰囲気とエネルギーは今、かつてないほど素晴らしい。みんな笑顔で、最高の時間を過ごしている。本当に素晴らしい。そして Rob はアルバムで素晴らしい仕事をしてくれた。これ以上望むことはないよ」
“Goliath” には、オールドスクールな EXODUS から、8分にも及ぶ壮大な “Summon Of The God Unknown” まで、幅広い楽曲が収録されています。そして、そのほとんどは Rob がバンドに復帰してから書かれたもの。
「ほとんど全部、Rob がバンドに帰ってきてから書いたんだ。俺にもリフがあったし。スマホにリフを録音してあるから、後でまた聴き返したくなるようなアイデアが浮かんだら、いつでもアンプの前にボイスレコーダーを置いて録音しておくんだ。
アルバム制作のためにスタジオに入った時には、俺は5曲完成させていて、結局18曲もレコーディングした。Lee はこのアルバムのほぼ半分を書いてくれた。”Changing Me” もその一つだよ。このアルバムの共同作業は、俺たちがこれまでやったこととは全く違うものだった。全員がこのレコードに関わっているんだ」
実際、あの HEATHEN の創設者でもある Lee Altus の貢献は今回、想像以上に大きいようです。
「俺は通常、アルバムを完成させるのに必要な曲数を8、9曲書く。Lee は自分が怠け者だと真っ先に認めるような人でね。HEATHENでの活動期間も含めてね。彼は伝説的なソングライターであり、特にメロディックなベイエリア・スラッシュの作曲家として群を抜いているけど、普段は1、2曲しか書かないだろう。でも今回は6曲書いてくれて、そのうち4曲がアルバムに収録されている。それがアルバムに新たな風味と深みを与えてくれたんだ」
復帰した Rob Dukes の多彩な表現力もプラスに働きました。
「スタジオで曲作りをしているうちに、Rob が想像以上に才能に溢れていることがすぐに分かった。俺たちは、激しいアグレッシブなスラッシュ・メタルなら誰にも負けない自信がある。でも、彼は “Promise You This” で信じられないほどの幅広さ、メロディー・センスを開花させたんだ。サザン・ロックの粋なスタイルも加わって、このアルバムは実に多様性に富んでいて、むしろこれがアルバム全体を代表するというような曲は一つもない。本当にすごいんだ。実に様々な雰囲気が詰まっていて、どの曲もそれぞれに個性があるからね」

アートワークは今回も Pär Olofsson が手掛けています。
「Pär と仕事をしていて一番好きなのは、タイトルと歌詞を伝えるだけで、ほぼ完成したスケッチをいつも送り返してくれるところ。今回も、歌詞と、何世紀にもわたる眠りから目覚めた地下世界の神を描いたファンタジー・コミック風の物語を送っただけで、彼はあのジャケを描いてくれたんだ。手の部分については、ヤツメウナギの写真を送った。口で他の魚にくっつく魚だよ。それを手に口として描いてくれたんだよな。後になって誰かが、これは VIO-LENCE のジャケットへのオマージュみたいだと言っていて、まさにその通り!と思ったよ。ベイエリアの仲間たちには脱帽だ。そう、歯が何列も並んだ魚、まるでヒルみたいな魚からインスピレーションを得たんだ」
アルバムのタイトルを “Goliath” に決めたのはなぜだったんでしょうか?
「いや、ただ…曲自体が巨大で暗くて怪物的だったので、巨大な怪物についての曲を書きたかったんだ。それで、このタイトルが思い浮かんだんだ。アルバムが完成して曲を選んだ時、とにかくとてつもなく巨大だった。だから、この言葉がアルバム全体にぴったりだと思ったね。それに、EXODUS のタイトルにはいつも一定のリズム感がある。”Bonded By Blood“, “Pleasures Of Flesh”, “Fabulous Disaster” など。これまで、アルバムタイトルを単語一つだけで作ったことは一度もなかったんだよ!今回が初めてだ。”Impact Is Imminent”, “Force Of Habit”…タイトルには常にそういうバランスがあった。だから俺たちは逆に単語ひとつが気に入ったんだ。とても力強い作品だと思ったからね」
これだけ良いアルバムを作ってしまうと、ファンが聴きたい往年の名曲に新曲をうまく組み込むという難題にも直面します。
「だんだんと、アルバムからの曲数を増やしていくつもりだよ。でも、”Bonded By Blood”, “Strike Of The Beast”, “Blacklist”, “Toxic Waltz” は必ず演奏しなければならないことは承知しているよ(笑)。
ただ、僕たちは新曲を演奏したいバンドで、アルバムを出して1時間半のライブで新曲1曲だけを演奏するようなレガシー・バンドではない。そんなクソみたいなバンドじゃないんだ。新曲を披露したいのは、俺たちが新曲にワクワクしているからだよ!」

メタル世界で、EXODUS は現在どの位置にいるのでしょう?80年代のスラッシュ・メタルを代表するバンドの中では、明らかにベテランの域に達していますが、昔ながらのファンが多いのでしょうか?それとも若い世代が増えているのでしょうか?
「いや、うちのファン層はここ数年ずっと若いよ。俺は61歳だけど、ライブにはあまり行かないんだ。だから、世の61歳の人たちは大抵俺と同じだと思う。”行くぞ” って言っても、結局何か言い訳をして、家にいてテレビでも見てるんだ。
でもライブにはたくさんの若い子たちが来てくれる。まさに新世代だよ。彼らがいなければ、俺たちはここまでやって来られなかっただろうね。だって、年寄りは年寄りらしく振る舞うものだし、俺もそうだ。若い子たちがライブに来てくれるのは本当に素晴らしいことだよ。
何年も前のことだけど、14歳くらいの子供が俺のところにやってきて、”Paul Baloff はパーティーで家を破壊していたって本当ですか?” って聞いてきたんだ。その子はまだ生まれてもいなかったのに、Paul のホーム・パーティーでの振る舞いについて聞いてくるなんて、本当に驚きだよ。まさかそんなことが起こるなんて、想像もしていなかったよ」
ソールド・アウトのライブが増え、メタルへの関心が再び高まっているように見えると Gary は目を細めます。
「うちの客層の平均年齢は若いけど、冗談抜きで、昔からのファンもちゃんと来てくれるよ (笑)。
でも、確かにメタルは復活している。というか、何年も前からこの勢いはずっと続いている。インスタグラムで9歳くらいの子供がギターを弾いているのをよく見るよね。ラップでもターンテーブルで遊んでいるわけでもなく、ただギターを弾いているだけで、しかもすごく上手い。本当に素晴らしい。ギターを主体とした音楽の未来にとって、間違いなく良いことだ」
SNS や AI に興味はなさそうですが、意外なことに Gary はインスタグラム・ユーザーで、フォロワー数が多いことを面白がっています。
「ああ、インスタグラムでは悪いインフルエンサーだと思うよ。うん。フォロワーが異常に多いんだけど、未だに理由がわからないんだ (笑)。普段はギターと猫の写真ばかり投稿してるんだけどね。でも、結局は良いキャプションを書くスキルが全てだと思うんだ。それが何よりも重要なんだよ」

80年代のスラッシュ・メタルは、社会的不正義への怒りに突き動かされていた部分が多くありました。テーマは時代とともに変化してきたものの、Gary は初期のアルバムで彼を怒らせた原動力は、今もなお彼の作詞に影響を与えているといいます。
「人間、一度怒ったら、ずっと怒っているって言うじゃないか。でも不思議なことに、俺はすごく幸せな人間なんだ。いつも頭上に雨雲が浮かんでいるような人間じゃない。音楽はすごくセラピー効果があるし、たくさんのことを吐き出す手段にもなるんだ。
EXODUS がアルバムを作る時は、みんなで家にこもって一緒に暮らしながら曲作りをする。だから、その瞬間に起こっていることを無意識のうちに曲に吸収できるんだ。時事問題に非常に敏感に反応していることが多いんだよね」
では、スラッシュ・メタルも時代にあわせて進化するべきなのでしょうか?
「進化するべきだ。世の中には、EXODUS が “Bonded by Blood” の続編を作るべきだと思っている人が必ずいる。でも、もし俺が今、21歳の Gary Holt に戻ろうとしたら、それは音楽的に究極の不誠実だろう。当時の俺を真似するただの偽物だ。でも、俺の制作プロセスは変わっていないよ。今でも座ってリフを書くけど、古いラジカセで録音する代わりに、スマホに録音するようになったくらいかな」
Gary は、歳をとった今だからこそ、創作活動は続けなければならないと語ります。
「歳をとってきた今だからこそ、書くことをやめてはいけないんだ。まず第一に、ものすごくクリエイティブな気分だ。第二に、プリンスが亡くなったけど、膨大な量の作品を残したじゃないか。もし俺がたくさんの作品を残せたら、亡くなったとしても、少なくとも世界に共有できるもの、子供たちに残せるもの、家族に残せるものがある。Gary Holt の最後の作品、ってね。
そろそろ、死とかそういうことを考え始める年齢なんだ。人生の大半を、自分は不死身だと思って過ごし、同時に必死に自分を滅ぼそうとしてきたことを考えると、奇妙な話だけどね。まあ、18歳のような気持ちは変わらないものだけど」
彼は自分が今の地位にどうやってたどり着いたのか疑問に思うことはあるのでしょうか?
「いや、素晴らしい人生だったよ。辛い時期もあった。薬物乱用をしていた年月も。それらすべてが今の自分を築き上げる一部なんだ。もしそんなことがなかったら、今の自分はこんなにクリエイティブではなかったかもしれない。今でも世界と戦っているような感覚があるし、大きな反骨精神を抱えているからね。
多くの年月を無駄にしてきた。でも、もし何もしないでただ流れに身を任せていたら、今の自分はなかったかもしれない。どん底を経験しなければならなかったんだ。何とも言えないけど、もしもこうだったら、なんてことは考えない。そんなことは、自分の人生に満足していない、もっとありきたりな人たちに任せておくよ」

スラッシュの “BIG 4” に EXODUS が入っていないことを不満に思うファンも少なくありません。
「でも、俺は自分のありのままの姿にすごく満足してるから、どうでもいいんだよ。みんな “ビッグ4についてどう思う?” って聞いてくるけど、俺は気にしない。どうでもいい。他の人たちは “君たちもその一員になるべきだ” って言うだろうけど、違う。彼らは売れっ子4組なんだ。だからそこにいるんだよ。
たぶん、俺たちがこのジャンルの創始者の一人だって自覚しているから気にならないのかもな。俺たちと METALLICA、そして Dave Mustaine の役割を考えれば、言うまでもなく、このジャンルを創り出したのは俺たちだ。他に誰も存在していなかった。他には誰も、そこにいなかったんだから」
そもそも、スラッシュ・メタルとは誰が言い始めたのでしょうか?
「スラッシュ・メタルという呼び方が初めて使われたのがいつだったか、思い出せないんだ。おそら METALLICA の “Whiplash” から来ているんじゃないかな。”Thrashing all around” っていう歌詞からね。まあ、あくまで推測だけど。俺たちが活動を始めた頃は、スピード・メタルと呼ばれていたんだ。でも、すごく速いわけではなく、今ならミッドテンポみたいな感じ。猛烈なスピードではなかったんだ」
初期のベイエリアのシーンは、信じられないほど実り豊かでした。しかも、あっという間にまとまったように見えました。
「EXODUS は79年に結成されたから、厳密に言えば70年代のバンドだけど、イーストベイの都心部出身のガキどもがカバー曲を演奏していただけだった。IRON MAIDEN を発見して、彼らのデビューアルバムの半分くらいをパーティーで演奏していたんだ。まだ誰も彼らを知らなかったから、みんなオリジナル曲だと思っていたみたいだけどね。でも、俺たちが演奏していたのは DEF LEPPARD のファースト・アルバムや SCORPIONS の曲とか、そういうのをカバーしていたんだ。もちろんオリジナル曲もあったけどね。でも、イーストベイの他のバンドよりずっとメタル色が強かったから、裏庭パーティーシーンでは異端児扱いされていたよ」
Kirk Hammet が実はバンドの創設者だったことはあまり知られていません。
「Kirk と Tom は、カリフォルニア州リッチモンドのデ・アンザ高校の音楽室で出会ったんだ。そこはプライマスの Les も通っていた学校だよ。俺が初めて Kirk を見たのは、彼らがリッチモンド高校の音楽室で演奏した時だった。当時、ギタリストの Tim Agnello と友達だったんだけど、結局俺が彼の後任になったんだ。めちゃくちゃすごかったよ。もしかしたら、俺にもできるかもしれないって思ったんだ。
でも、Kirk と初めて一緒に遊んだのは、Ted Nugent と SCORPIONS のコンサートを一緒に観に行った時(カウ・パレスで)、すぐに意気投合した。コンサートに出かける前に、彼の家で、Uli Jon Roth 時代の SCORPIONS の曲を彼が初めて聴かせてくれたんだ。俺がこれまで演奏してきたほぼすべての曲でワーミーバーを使うようになったのは、(1976年のアルバム) “Virgin Killer” のおかげ。俺たちはすぐに親友になったね。彼が俺にギターを習いたいかと尋ねてくれて、いくつかのコードとリフを教えてくれたんだ。6か月後、俺はバンドに加入していた」

デビュー・アルバム “Bonded By Blood” は、スラッシュ・メタルの名盤として今もなお語り継がれています。
「でも、簡単じゃなかったよ。アルバムが完成してからリリースが1年遅れて、それが俺たちにとって痛手だった。レコーディングはまさに狂気の沙汰でね。カリフォルニア州コタティにあるプレーリー・サン・スタジオにこもり、キャビンに住み込みでひたすら暴れまわったんだ。昼間は楽器を叩きまくり、夜はパーティー三昧。まるで野獣だった。面白い話があって、2003年のアルバム “Tempo Of The Damned” をレコーディングした時、オーナーは俺たちが戻ってくるのを心配していたんだ。俺たちが残した破壊の跡は、ある意味賞賛に値すると言っていたよ。ところが2度目にスタジオに戻った時は、”来た時よりも綺麗にして出て行ったな” と言われたよ」
故 Paul Baloff は、セカンドアルバム “Pleasures Of The Flesh” のリリース前にバンドを脱退しました。彼はあまりにも感情の起伏が激しく、フルタイムで一緒にいるには難しかったようですね?
「彼は本当に感情の起伏が激しかった。今振り返ってみると、やり方が違っていたかもしれない。”Paul をクビにするべきじゃなかった” と思う。でも、俺たちが混乱していた頃、彼はもっとひどい状態だった。俺たちが書いていた曲に苦労していたし、彼の生活はめちゃくちゃだった。Paul と出会った時、彼は両親が亡くなった時に信託基金を受け取っていたんだけど、それを使い果たしてしまって、結局俺たちのリハーサル室に居候するようになったんだ。俺は “もしも” なんて考えないようにしている。だって、人は今歩んでいる道を進むしかないからね。でも、彼はものすごく感情の起伏が激しくて、ものすごく不安定だったし、生活もめちゃくちゃだった。家さえなかったんだ。だから、彼が去ったことを後悔しているかって?もちろん、後悔しているよ…でも、彼は俺の親友の一人として人生を終えた。俺はそれを誇りに思っているよ」
胃の扁平上皮癌を患い胃を摘出した、その創立メンバー Tom Hunting も今は絶好調のようです。
「Tom は元気だよ。そもそも胃がなくても生きていけるなんて、科学の奇跡だよ。彼は昔から大柄で、身長は6フィート2インチ(約188センチ)くらいあるんだけど、今の体重は昔より40ポンド(約18キロ)くらい減ったんじゃないかな。でもそれは、体がカロリー摂取量を代謝する方法が変わっただけさ。でも彼は素晴らしいよ。毎年がん検診を受けていて、数年間 “異常なし” と言われ続けた後、ついに寛解したと診断されたんだ。5年間全く症状がなかったから、お墨付きをもらったんだよ。
Tom は “毎日が贈り物だ” ってモットーを真っ先に言うんだ。だから俺たちも何も当たり前だとは思わない。彼は俺の親友で、今もこうして一緒にドラムを叩いてくれている。俺が17歳で彼が16歳だった頃と全く同じだよ」
健康といえば、Gary はヴィーガン生活を試した後、再び肉食に戻ったそうです。
「もう完全に肉食に戻ったよ (笑) 。でも、ヴィーガン生活のおかげで食生活が良くなった。それまで全然食べなかったからね。ヴィーガンになるまでブロッコリーなんて食べたことなかった。今はしょっちゅう食べてるよ。だから、より健康的でバランスの取れた食事を摂るようになった。ヴィーガン料理も時々食べるよ。好きだからね。でも、今日のランチはハンバーガーだった。KREATOR のツアーは楽だっただろうね。Mille がヴィーガンだから、ヴィーガン向けの素晴らしい選択肢が常にあるからね。彼とヴィーガン料理を食べるのは間違いないだろうね。実は、肉を食べない日も結構あるんだ」

ワーカホリックという言葉は、もしかすると Gary のためにあるのかもしれません。
「実は SLAYER で忙しかったから、近年は EXODUS のリリースが減っていたんだ(笑)。正直に言うと、それが少しペースを落とした原因だね。でも、次のアルバムはもう80%完成しているんだ!実はこのアルバムのために18曲レコーディングしたんだけど、どれも素晴らしい曲ばかり。俺のお気に入りのソロの半分は次のアルバムに収録されている。うわー、あれはすごくいい曲なんだけど…みんなには待ってもらうしかない…みたいな感じ。Lee と俺には最初から目標があったんだ。アルバムを完成させて、ツアーが終わったらすぐに次のアルバムをリリースすること。素晴らしい曲が多すぎるのは嬉しい悩みだよね!」
実際、21世紀に入ってからは、今は亡き Jeff Hanneman の代役を務めるという重責も担ってきました。
「もし俺が何かのために生まれてきたとしたら、それは Jeff が戻ってくるまで彼の席を温めておくことだった。残念ながらそれは実現しなかったが…(Jeffは2013年に亡くなった)。SLAYER での時間は最高だった。もちろん、他のメンバーがどんな生活を送っているのか少し知ることができたし、彼らは最初から俺を家族のように扱ってくれて、それは今も変わらない。あのバンドでの俺の仕事はただひたすらギターを弾きまくることだった。SLAYER にはソロがたくさんあるから、特に Jeff のソロはたくさんあって、俺は “ギター・ヒーロー” の役割を担うことができた。最初は数回のツアーで終わると思っていたが、ほぼ10年間も続き、今ではたまにライブをする程度。実際、今年は2回ライブを予定している。今後どうなるかは様子を見よう。年ごとに考えていくことになると思う。SLAYER の復帰にあたって、俺にとって最も重要なことは2つだったと思う。A)俺たちは良い演奏ができるだろうか?B)俺たちはそれを楽しめるだろうか?結果、俺たちは最高だった。楽しかったしね。みんな正しい目的でそこにいたんだ」
20世紀にはなかった、現代のプロのミュージシャンが直面する課題とは何でしょうか?
「副業が必要だ。俺もカーダシアン一家のグッズを売ってるんだよ(Gary はステージ上で “カーダシアンを殺せ” と書かれたTシャツを着ている)。家にいる時は、Tシャツを全部梱包するのは俺だ。だって、それが副収入になるからね。俺たちは、ほとんどのバンドと同じように、旅するTシャツのセールスマンみたいなもんだ。別に “かわいそうな俺” ってわけじゃないけど、ツアーの保証金で全部賄えて、グッズの売り上げも自分のものになるなら、本当にラッキーだよ。俺たちはそうなんだけど、多くのバンドはTシャツでなんとかやりくりしている状況だ。それに、ツアーバスなどの費用も高い。俺は61歳だし、バンなんて乗りたくない。横になって昼寝したいんだ。それに、クルーの人件費とか、飛行機代とか、そういう諸々もかかる。全部積み重なるんだ。でも、俺は本当にラッキーだよ。生計を立てられるミュージシャンなんだから。俺も、他のミュージシャンも、この仕事をずっと続けたいからそうしているんだよ」

参考文献: METAL TALK :EXODUS / GARY HOLT ON SURVIVING THE COLD, STAYING SOBER AND NEW ALBUM GOLIATH

METAL1. INFO:Interview mit Gary Holt von Exodus

KERRANG!:“I’d be trying to play a solo while there was a fistfight going on around me”: Gary Holt on a life living fast

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【TAILGUNNER : MIDNIGHT BLITZ】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH TOM HEWSON OF TAILGUNNER !!

“We aren’t worshipping at the altar like many of those bands, we’re being bolder, pushing harder, and we want to stand up on that altar and be the heroes for a whole new generation. I think that attitude is why we’ve exploded into many places other bands haven’t yet reached. I hope our success can lift other old school style Metal bands.”

DISC REVIEW “MIDNIGHT BLITZ”

「たしかに、NWOTHM のバンドたちとインスピレーションの源は共通しているけれど、価値観が違う。僕らは多くのバンドのように誰かを崇拝するのではなく、もっと大胆に、もっと積極的に、そして偉人たちと同じメタルの祭壇に立ち、全く新しい世代のヒーローになりたいと思っているからね。そういう姿勢こそが、僕たちが他のバンドがまだ到達していない領域にまで到達できた理由だと思う。僕たちの成功が、他のオールドスクール・スタイルのメタル・バンドを鼓舞できればいいなと思っているよ」
憧れるのをやめましょう。そんなマインドこそ、今のメタル世界には必要とされているのかも知れませんね。NWOTHM。ニュー・ウェイヴ・オブ・トラディショナル・ヘヴィメタル。おそらかには、ENFORCER の “Into the Night” に端を発するこのムーブメントは、今やメタル世界の一大勢力となりました。HAUNT, VISIGOTH, ETERNAL CHAMPION, SUMERLANDS, RIOT CITY。某Pitchforkの後押しもあって、彼らは新たなトレンドのひとつとなり、メタルの再評価に大きく貢献しています。
もちろん、そうしたバンドには数多くの興味深く、メタル再興を牽引する作品がある一方で、過去の英霊に囚われすぎ、あの時代の空気感、音質、テクニック、楽曲をなぞりすぎているきらいはありました。NWOTHM の多くが米国のバンドですが、TAILGUNNER は英国の新鋭。NWOBHM の母国だからこそ、彼らは過去に囚われ、過度に憧れることをやめました。
そもそも、あの時代、あの空気を吸ったバンドの多くは実に革新的で個性的だったのですから。そうして TAILGUNNER は NWOBHW を基盤として、それ以降の長いメタルの歴史を積み上げた会心の一撃 “Midnight Blitz” をお見舞いしたのです。
「かつて僕たちは IRON MAIDEN と JUDAS PRIEST の落とし子と評されたことがあるから、それも納得できると思うよ。僕にとって K.K. は、メタルという信仰の真の守護者だ。あの時代のミュージシャン、特に彼のような偉大な功績を残したミュージシャンのほとんどは、新しいバンドと積極的に活動してはいないから、彼の手助けは本当に光栄なことだよ」
本来メタルはこうあるべきもの。そう語る Tom Hewson の言葉には確かな真実味と重さがあります。細分化を極めたメタル世界で、中心に立って牽引すべき “ヘヴィ・メタルらしいヘヴィ・メタル”、メタルの王道を進むバンドはほとんどいなくなってしまいました。だからこそ、TAILGUNNER の登場は福音なのです。
近年、グロウルこそがメタルの声といったイメージが定着していましたが、そもそもメタルには豊潤な歌がありました。そして、オジーが命を賭して絞り出したあの “Mama, I’m Coming Home” を起点として歌が帰って来つつある2026年、TAILGUNNER の魅せるヘヴィ・メタルの歌心はあまりにも説得力があるのです。
アルバムの幕開けを飾る “Midnight Blitz” の大仰なイントロが流れた瞬間、私たちは真の意味でのバトンパス、メタルの灯火が受け継がれたことに気がつくでしょう。ここには、IRON MAIDEN や JUDAS PRIEST が築いて来たオープニングの美学があり、山のようなアンセムがあり、本格的なシュレッドがあり、ツインギターのハーモニーがあり、現代的なプロダクションがあり、なによりも歌があります。”War in Heaven” のような心を揺さぶるバラードも、メタルの伝統。そう、多くのバンドが過去に囚われる中で、TAILGUNNER はソリッドかつタイトな現代の力強さを取り入れて未来へと走り出しているのです。
今回弊誌では、バンドの創設者でベーシスト Tom Hewson にインタビューを行うことができました。「子供の頃に IRON MAIDEN を聴いて、もっと彼らのような、色々な音楽を聴きたくなった。そうして SAXON, ANGEL WITCH, DEMON, GRIM REAPER と、年を追うごとにどんどんマニアックなバンドにハマっていったんだ。今でもまだ聴いたことのない素晴らしい NWOBHM の作品を発見することがある。たった5、6年という短い期間に、これほど多くの良質なシングルが生まれたのは本当に驚きだ。まるでどのバンドも素晴らしい作品を何かひとつは生み出したかのようだ」 K.K. Downing の肝入りにも納得。どうぞ!!

TAILGUNNER “MIDNIGHT BLITZ” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【JACK GARDINER : KINTSUGI】 JAPAN TOUR 26′


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JACK GARDINER !!

“First come the years of hard work, and then comes the ‘following’. It’s why we are seeing tons of ‘scandals’ – players heavily editing and miming their videos/music in order to present themselves as a ‘higher-level’ player. I liken it to models using Photoshop or bodybuilders using steroids – it’s simply not real.”

DISC REVIEW “KINTSUGI”

「最近、マスタークラスを教えていると、若いプレイヤーからよくこんな質問が寄せられる。”ギターや音楽の概念をきちんと理解し、習得するには、毎日何時間も何年も練習する必要があると言うけれど、ソーシャルメディアでフォロワーを増やす必要があるのに、どうやって時間をかけて学べばいいの?”
優先順位が完全に間違っていると思う。まずは何年もの努力があって、それから “フォロワー” が増えるんだ。その順番を間違えてしまうから、多くの “スキャンダル” が生まれてしまう。演奏家が、自分を “よりレベルの高い” プレイヤーとして見せるために、動画や音楽を過度に編集したり、当て振りしたりするんだよね。
僕はこれを、モデルがフォトショップを使ったり、ボディビルダーがステロイドを使ったりするのと同じようなものだと考えていてね。それって、単純に本物じゃないんだ。だけど、そうした動画が氾濫することで、若い演奏家たちに非現実的な期待とレベルを課してしまうことになる。
若い演奏家たちが、こうした偽物に惑わされず、自分の演奏に真剣に取り組むだけの忍耐力と規律を持ってくれることを願っているよ」
SNS は諸刃の剣です。何も持たないベッドルームの DIY プレイヤーが一夜にしてシンデレラのように大スターとなることもあれば、そうした名声や自己顕示欲を得るためにギター本来の目的を狂わせてしまうこともある。テクノロジーや AI の進化によって、偽ることも、偽られることも、あまりに多い世界となりました。むしろ、技術が進化したにもかかわらず、真実や本物を見分けることは、以前に比べて飛躍的に難しくなったと言えるのかもしれません。
そんな世界で、物事の “順序” を間違えることは、ギター・ミュージックというジャンルそのものの危機だと Jack Gardiner は訴えます。まずは鍛錬に時間を費やし、技術を養い、個性を磨き、自らのスタイルを作り上げる。そうすれば、自ずと “数字” や名声はついてくると Jack は語ってくれました。その順序を間違え、時間と労力を要する鍛錬を過度な “編集” で偽ったギター世界に未来はないだろう。Jack のその言葉に真実と重みがあるのは、彼が誰よりも鍛錬に労力と時間を費やしてきたから。そしてその “順序” の正しさを実証してきたから。
「CASIOPEA はもうずっと前から大好きなバンドの一つなんだよ。メンバー全員が素晴らしいミュージシャンで、作曲もとても美しいからね!日本文化ももちろん大好きだよ!実は歴史がきっかけなんだ。”戦国無双” というビデオ・ゲームをプレイして、戦国時代に夢中になったんだ。今でも実家には、その時代に関する本がぎっしり詰まった大きな本棚があるくらいでね」
そんな Jack の技巧とセンスを養うきっかけとなったのが、日本でした。Jack の最新作 “Kintsugi” には、そのタイトルはもちろん、楽曲名、そして偉大なる CASIOPEA のカバー “Asayake” が象徴するように日本の音楽からの影響まで、Jack の日本に対する愛情と敬意が詰まっています。そう、きっと Jack の驚異的なレガート・テクニックやアウト・フレーズのセンス、繊細なトーン・コントロールに豊かなグルーヴは日本のフュージョンから養われたもの。しかし、それ以上に、音楽の単純化や簡略化に流されず、様々な装飾とジャンルを重ねる日本音楽の哲学や多様性、そして豊かなメロディとハーモニーに Jack は心を打たれたのです。
「多くのミュージシャンと同じように、僕はインポスター症候群や自己不信に悩まされている。”Kintsugi” とは、そうした心の傷を乗り越え、つまり疑念、変化、そして修復の瞬間を尊重し、それを力として持ち続けることを学ぶものなんだ。
ダメージを隠すのではなく、ひび割れを露わにし、その物の物語の一部となる。壊れたものは消されるのではなく、変容していくんだ。漆と金粉が、壊れた陶器(僕)を繋ぎ止め、唯一無二の何かへと変える協力者となるという考えが好きなんだ。傷やひび割れも皆、僕の音楽のDNAと旅の一部であり、そのことに僕は永遠に感謝しているんだよ」
偽らず、正直に生きることがギター世界の道となる。そう信じる Jack だからこそ、金継ぎの文化に惹かれたのでしょう。誰にだって傷はある。痛みも抱えている。喪失感に苛まれている人もいるだろう。傷を隠したまま無理に修復するのではなく、Jack はそうした痛みや悲しみも自らの糧として、抱きしめながら前へ進もうと決めました。だからこそ、Cory Wong, Matteo Mancuso, Owane, Andy Timmons といったそうそうたるゲスト陣の中でも、Jack のギターは漆の乗った逞しい金色に輝いているのです。
今回弊誌では、Jack Gardiner にインタビューを行うことができました。「日本のあらゆるメディアで衝撃を受けたのは音楽だったね。ロックやフュージョン風の音楽の中で、エレキ・ギター、力強いソロ、そして高度なジャズ・ハーモニーが使われているなんて信じられなかったよ。欧米のビデオ・ゲーム、映画、テレビ番組ではこんな音楽は聞いたことがなかったから、これも日本を好きになったきっかけだと思うな」 亡き Shawn Lane を想起させるような、雷撃のスピードとセンス。何より、フック満載の楽曲が素晴らしいですね。来日も決定!どうぞ!!

JACK GARDINER “KINTSUGI” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SOEN : RELIANCE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MARTIN LOPEZ OF SOEN !!

“Progressive music should evolve, not just technically, but emotionally otherwise it stops being progressive and very often complexity can be “in the way” of emotion.”

DISC REVIEW “RELIANCE”

「誰かとの比較は避けられないし、僕たちはそれをネガティブなものとして捉えてはいないよ。”Reliance“ はより直接的で拡大した音楽なので、アリーナ・ロックやメタルとの関連性が自然と強く出てくるよね。だけど、僕たちの意図は特定のバンドに似せようとしたのではなく、明確かつ誠実に音楽を伝えたいというものだった。もし楽曲が人々の心に深く響くなら、それは僕たちにとって大きな喜びだ。だけど、それが目的で曲作りをしているわけではないんだよ」
2010年、かつて OPETH と AMON AMARTH というビッグ・バンドに所属していた名ドラマー Martin Lopez は、自身の新しいバンドを立ち上げました。SOEN と名付けられたこのバンドは、非常に優れたミュージシャン集団 (あの Steve DiGiorgio も在籍) で、Lopez はそのサウンドを “メロディアスでヘヴィ、複雑で、他のどのサウンドとも全く異なる” と表現していました。しかし、そんな彼の意図とは裏腹に、SOEN のサウンドは常に誰かと比較される運命にありました。
初期のアルバム “Cognitive” や “Tellurian” では TOOL と比較されることが多かったものの、SOEN は明らかにクローン以上の存在であり、Lopez の出自である OPETH や KATATONIA のプログ・メタル的な血肉にナイーブで心に迫るメロディを加えて見事な化学反応を起こしていました。近年は初期のアルバムのようなオルタナティブな複雑さ、プログレッシブな紆余曲折は減退しましたが、一方でメタリック & グルーヴィーでありながらアトモスフェリックという SOEN 独自の世界観は伸張。重要なのは、そこにいつも、心を震わせるメロディの泉が存在すること。
そうして、歌の力が戻りつつあるメタル世界で、SOEN は堂々たるプログレッシブ・アリーナ・メタルの実現へと舵を切りました。DISTURBED や NICKELBACK のグルーヴィーでシンガロングを誘うコーラスと、プログレッシブでナイーブな感情の共存。Joel Ekelof の歌声は、脂が乗り切ってまさに今が旬。
「依存は心地よいものだけど、同時に危険なものでもある。このアルバムは、答えを与えることではなく、僕たちが何に、そしてなぜ依存するのかを振り返ることを促しているよ。幸せを探し求めるとき、僕らは依存を恐れながらも受け入れなければならないだろう。ただ、何に頼るのかについては、非常に慎重にならなければならないと思う」
そんな両極を抱きしめたアルバムで SOEN がテーマとしたのは “Reliance” “依存”。SNS の発達により、私たちは見知らぬ誰かと共感しながら、何かの “推し” にかつてより深く依存するようになりました。もちろん、辛い現実を生きていく中で、幸福感や満たされた感覚を得るため好きなものに依存することは、ある意味でライフハックなのかもしれません。しかし、盲目的に “推し” に依存し、”推し” を全肯定することで、自己という最も重要な存在が消えてしまってはいないだろうか? SOEN は盲信的な依存が当たり前となった世界で、依存を恐れ、自分の頭で慎重に考慮することを促しています。
“Primal” では “無意識にスマホをスクロールしている” とか “SNSは暴力的なポルノ” といった表現が使われ、”Drifter” では “アルゴリズムを操る奴らに振り回されるな” といった辛辣な言葉が飛び出します。そもそも、あなたが依存しているのは “推し” なのでしょうか?ひょっとすると、あなたが依存しているのは “推し” ではなく、SNS そのものなのかもしれません。もしそうだとしたら、あなたが孤独を感じ、誰かと少しでも共感したいだけなのだとしたら、SOEN のアリーナ・メタルで共に歌えばいい。もちろん、進化した感情でプログレッシブに思考を巡らせながら。
今回弊誌では、Martin Lopez にインタビューを行うことができました。「音楽のトレンドは移り変わるけど、感情は残り続ける。僕たちが始めた頃は、たしかにテクニックと複雑さが非常に際立っていて、それは刺激的なことだったよね。でも今は、アトモスフィア、ダイナミクス、そして傷つきやすさにもっと居場所があって、僕たちはそれを歓迎しているんだよ。プログレッシブ・ミュージックは、テクニックだけでなく、感情面でも進化するべきなんだ。そうでなければ、複雑さが感情の “邪魔” になってしまう。よくあることだけど、それはもうプログレッシブな音楽とは呼べないからね」 3度目の登場。どうぞ!!

SOEN “RELIANCE” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SUBWAY : TURN BACK THE TIME】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH SUBWAY !!

“Many people appreciate strong melodies, great songs, and real hand-made music again. Only the blow-dried hairstyles may not be quite as fashionable anymore.”

DISC REVIEW “TURN BACK THE TIME”

「AORやメロディック・ハードロックが静まり返り、グランジやヒップホップといった他のジャンルが前面に押し出されていた時代が長くあったのはたしかだよね。だけど、メロハーに忠実なコアなファンは常に存在していたんだよ。そしてここ数年で、AORは再び真に受け入れられ、人気が回復していると感じる。力強いメロディ、素晴らしい楽曲、そして本物の、手作りの音楽が、多くの人々に再び受け入れられるようになってきたんだ。ただ、ブローしたヘアスタイルは以前ほど流行らなくなったかもしれないけどね」
音楽は瞬間的に消費するものではなく、何度も消化するもの。指先一本でストリーミングもスクロールもアートの生成も自由自在な今だからこそ、そんな想いは強くなります。そして、メタルやメロディック・ハードのリスナーほど、音楽の消化に長けた人たちはいないでしょう。この世界のリスナーは、愛する音楽に忠実です。流行りの音楽に鞍替えすることはなく、AI の手軽さに踊らされることもなく、本物の音楽を何度も何度も反芻して、消化します。だからこそ、SUBWAY のようなニッチで、しかし本物の音楽を届けてくれるバンドをいつまでも待てるのです。
「僕たちが活動を休止した主な理由は、グランジ・ブームだった。 ほとんど一夜にして、AORやメロディック・ハードに興味を持つ人はほとんどいなくなってしまったからね。当時、多くのビッグ・バンドだってそうなってしまった。 僕たちはあの時新しいアルバム(”Taste The Difference”)を携えてアメリカから戻ってきたけど、市場は突然、まったく違うものを求め始めたんだ」
1986年にドイツで結成された SUBWAY は、スイスのレーベルに見出されて1990年に “Dangerous Games” でデビューを果たしました。彼らが他のメロハー・バンドと一線を画していたのは、サックスをフィーチャーしていたこと。SUBWAY のアーバンで哀愁を帯びた音楽は、サックスの音色によってより際立つことになったのです。
92年の名盤 “Hold on to Your Dreams” で日本でも (プチ) ブレイクを果たした彼らは、94年の “Taste the Difference” で飛翔を果たすはずでした。しかし、グランジの席巻によって一変したマーケットに、彼らの居場所はもうなかったのです。
「今、僕たちが戻ってきた理由だけど、音楽と情熱が完全になくなったわけではなかったからなんだ。 このカムバックは単なるノスタルジーではなく、経験、新たなエネルギー、そして真の喜びを持って、再び強力なメロディック・ロック・ミュージックを作ることなんだからね」
それでも、SUBWAY が情熱を完全に失うことはありませんでした。だからこそ、黄金期のラインナップで復活を果たした “Turn Back the Time” には “本物の” メロハーの魅力と凄みが存分に注入されています。まさに “時を巻き戻した” ような、量産型ではなく手作り手仕込みなオーダーメイドのオートクチュール。サックスこそなくなりましたが、ギターとハモンドのインタープレイや雰囲気作りは十分にスリリングで都会的。
実際、このアルバムこそが SUBWAY の最高傑作に違いありません。ここにあるメロディは、フックは人工知能には決して作り得ない、人の温かみとそこはかとない人生の哀愁を同時に宿しています。私たちはスクロールの指を度々止めながら情報やアートを享受した気になっていますが、この素晴らしき37分間の中では決して立ち止まることはないでしょう。そう、”Turn Back the Time” は、アルバムという宝物をしっかりと消化していた、SNS やストリーミングのないあのころに戻れるタイムマシンなのかもしれませんね。
今回弊誌では、SUBWAY にインタビューを行うことができました。「ドイツにはHELLOWEEN や GAMMA RAY など、他にも素晴らしい重要なバンドはたくさんいたけど、SUBWAY は常にメロディアスでファストなハード・ロック、そしてクールなフックを駆使してきた。たとえパワー・メタルがやりたいと思っても、それが僕たちのDNAだから仕方がないんだ。だから最新作 “Turn Back The Back” のメロハーは、紛れもなく SUBWAY そのものなんだ」 久しぶりに深々と心に刺さったメロハーでした。どうぞ!!

SUBWAY “TURN BACK THE TIME” : 10/10

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