EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH TOM HEWSON OF TAILGUNNER !!
“We aren’t worshipping at the altar like many of those bands, we’re being bolder, pushing harder, and we want to stand up on that altar and be the heroes for a whole new generation. I think that attitude is why we’ve exploded into many places other bands haven’t yet reached. I hope our success can lift other old school style Metal bands.”
DISC REVIEW “MIDNIGHT BLITZ”
「たしかに、NWOTHM のバンドたちとインスピレーションの源は共通しているけれど、価値観が違う。僕らは多くのバンドのように誰かを崇拝するのではなく、もっと大胆に、もっと積極的に、そして偉人たちと同じメタルの祭壇に立ち、全く新しい世代のヒーローになりたいと思っているからね。そういう姿勢こそが、僕たちが他のバンドがまだ到達していない領域にまで到達できた理由だと思う。僕たちの成功が、他のオールドスクール・スタイルのメタル・バンドを鼓舞できればいいなと思っているよ」
憧れるのをやめましょう。そんなマインドこそ、今のメタル世界には必要とされているのかも知れませんね。NWOTHM。ニュー・ウェイヴ・オブ・トラディショナル・ヘヴィメタル。おそらかには、ENFORCER の “Into the Night” に端を発するこのムーブメントは、今やメタル世界の一大勢力となりました。HAUNT, VISIGOTH, ETERNAL CHAMPION, SUMERLANDS, RIOT CITY。某Pitchforkの後押しもあって、彼らは新たなトレンドのひとつとなり、メタルの再評価に大きく貢献しています。
もちろん、そうしたバンドには数多くの興味深く、メタル再興を牽引する作品がある一方で、過去の英霊に囚われすぎ、あの時代の空気感、音質、テクニック、楽曲をなぞりすぎているきらいはありました。NWOTHM の多くが米国のバンドですが、TAILGUNNER は英国の新鋭。NWOBHM の母国だからこそ、彼らは過去に囚われ、過度に憧れることをやめました。
そもそも、あの時代、あの空気を吸ったバンドの多くは実に革新的で個性的だったのですから。そうして TAILGUNNER は NWOBHW を基盤として、それ以降の長いメタルの歴史を積み上げた会心の一撃 “Midnight Blitz” をお見舞いしたのです。
「かつて僕たちは IRON MAIDEN と JUDAS PRIEST の落とし子と評されたことがあるから、それも納得できると思うよ。僕にとって K.K. は、メタルという信仰の真の守護者だ。あの時代のミュージシャン、特に彼のような偉大な功績を残したミュージシャンのほとんどは、新しいバンドと積極的に活動してはいないから、彼の手助けは本当に光栄なことだよ」
本来メタルはこうあるべきもの。そう語る Tom Hewson の言葉には確かな真実味と重さがあります。細分化を極めたメタル世界で、中心に立って牽引すべき “ヘヴィ・メタルらしいヘヴィ・メタル”、メタルの王道を進むバンドはほとんどいなくなってしまいました。だからこそ、TAILGUNNER の登場は福音なのです。
近年、グロウルこそがメタルの声といったイメージが定着していましたが、そもそもメタルには豊潤な歌がありました。そして、オジーが命を賭して絞り出したあの “Mama, I’m Coming Home” を起点として歌が帰って来つつある2026年、TAILGUNNER の魅せるヘヴィ・メタルの歌心はあまりにも説得力があるのです。
アルバムの幕開けを飾る “Midnight Blitz” の大仰なイントロが流れた瞬間、私たちは真の意味でのバトンパス、メタルの灯火が受け継がれたことに気がつくでしょう。ここには、IRON MAIDEN や JUDAS PRIEST が築いて来たオープニングの美学があり、山のようなアンセムがあり、本格的なシュレッドがあり、ツインギターのハーモニーがあり、現代的なプロダクションがあり、なによりも歌があります。”War in Heaven” のような心を揺さぶるバラードも、メタルの伝統。そう、多くのバンドが過去に囚われる中で、TAILGUNNER はソリッドかつタイトな現代の力強さを取り入れて未来へと走り出しているのです。
今回弊誌では、バンドの創設者でベーシスト Tom Hewson にインタビューを行うことができました。「子供の頃に IRON MAIDEN を聴いて、もっと彼らのような、色々な音楽を聴きたくなった。そうして SAXON, ANGEL WITCH, DEMON, GRIM REAPER と、年を追うごとにどんどんマニアックなバンドにハマっていったんだ。今でもまだ聴いたことのない素晴らしい NWOBHM の作品を発見することがある。たった5、6年という短い期間に、これほど多くの良質なシングルが生まれたのは本当に驚きだ。まるでどのバンドも素晴らしい作品を何かひとつは生み出したかのようだ」 K.K. Downing の肝入りにも納得。どうぞ!!
“First come the years of hard work, and then comes the ‘following’. It’s why we are seeing tons of ‘scandals’ – players heavily editing and miming their videos/music in order to present themselves as a ‘higher-level’ player. I liken it to models using Photoshop or bodybuilders using steroids – it’s simply not real.”
DISC REVIEW “KINTSUGI”
「最近、マスタークラスを教えていると、若いプレイヤーからよくこんな質問が寄せられる。”ギターや音楽の概念をきちんと理解し、習得するには、毎日何時間も何年も練習する必要があると言うけれど、ソーシャルメディアでフォロワーを増やす必要があるのに、どうやって時間をかけて学べばいいの?”
優先順位が完全に間違っていると思う。まずは何年もの努力があって、それから “フォロワー” が増えるんだ。その順番を間違えてしまうから、多くの “スキャンダル” が生まれてしまう。演奏家が、自分を “よりレベルの高い” プレイヤーとして見せるために、動画や音楽を過度に編集したり、当て振りしたりするんだよね。
僕はこれを、モデルがフォトショップを使ったり、ボディビルダーがステロイドを使ったりするのと同じようなものだと考えていてね。それって、単純に本物じゃないんだ。だけど、そうした動画が氾濫することで、若い演奏家たちに非現実的な期待とレベルを課してしまうことになる。
若い演奏家たちが、こうした偽物に惑わされず、自分の演奏に真剣に取り組むだけの忍耐力と規律を持ってくれることを願っているよ」
SNS は諸刃の剣です。何も持たないベッドルームの DIY プレイヤーが一夜にしてシンデレラのように大スターとなることもあれば、そうした名声や自己顕示欲を得るためにギター本来の目的を狂わせてしまうこともある。テクノロジーや AI の進化によって、偽ることも、偽られることも、あまりに多い世界となりました。むしろ、技術が進化したにもかかわらず、真実や本物を見分けることは、以前に比べて飛躍的に難しくなったと言えるのかもしれません。
そんな世界で、物事の “順序” を間違えることは、ギター・ミュージックというジャンルそのものの危機だと Jack Gardiner は訴えます。まずは鍛錬に時間を費やし、技術を養い、個性を磨き、自らのスタイルを作り上げる。そうすれば、自ずと “数字” や名声はついてくると Jack は語ってくれました。その順序を間違え、時間と労力を要する鍛錬を過度な “編集” で偽ったギター世界に未来はないだろう。Jack のその言葉に真実と重みがあるのは、彼が誰よりも鍛錬に労力と時間を費やしてきたから。そしてその “順序” の正しさを実証してきたから。
「CASIOPEA はもうずっと前から大好きなバンドの一つなんだよ。メンバー全員が素晴らしいミュージシャンで、作曲もとても美しいからね!日本文化ももちろん大好きだよ!実は歴史がきっかけなんだ。”戦国無双” というビデオ・ゲームをプレイして、戦国時代に夢中になったんだ。今でも実家には、その時代に関する本がぎっしり詰まった大きな本棚があるくらいでね」
そんな Jack の技巧とセンスを養うきっかけとなったのが、日本でした。Jack の最新作 “Kintsugi” には、そのタイトルはもちろん、楽曲名、そして偉大なる CASIOPEA のカバー “Asayake” が象徴するように日本の音楽からの影響まで、Jack の日本に対する愛情と敬意が詰まっています。そう、きっと Jack の驚異的なレガート・テクニックやアウト・フレーズのセンス、繊細なトーン・コントロールに豊かなグルーヴは日本のフュージョンから養われたもの。しかし、それ以上に、音楽の単純化や簡略化に流されず、様々な装飾とジャンルを重ねる日本音楽の哲学や多様性、そして豊かなメロディとハーモニーに Jack は心を打たれたのです。
「多くのミュージシャンと同じように、僕はインポスター症候群や自己不信に悩まされている。”Kintsugi” とは、そうした心の傷を乗り越え、つまり疑念、変化、そして修復の瞬間を尊重し、それを力として持ち続けることを学ぶものなんだ。
ダメージを隠すのではなく、ひび割れを露わにし、その物の物語の一部となる。壊れたものは消されるのではなく、変容していくんだ。漆と金粉が、壊れた陶器(僕)を繋ぎ止め、唯一無二の何かへと変える協力者となるという考えが好きなんだ。傷やひび割れも皆、僕の音楽のDNAと旅の一部であり、そのことに僕は永遠に感謝しているんだよ」
偽らず、正直に生きることがギター世界の道となる。そう信じる Jack だからこそ、金継ぎの文化に惹かれたのでしょう。誰にだって傷はある。痛みも抱えている。喪失感に苛まれている人もいるだろう。傷を隠したまま無理に修復するのではなく、Jack はそうした痛みや悲しみも自らの糧として、抱きしめながら前へ進もうと決めました。だからこそ、Cory Wong, Matteo Mancuso, Owane, Andy Timmons といったそうそうたるゲスト陣の中でも、Jack のギターは漆の乗った逞しい金色に輝いているのです。
今回弊誌では、Jack Gardiner にインタビューを行うことができました。「日本のあらゆるメディアで衝撃を受けたのは音楽だったね。ロックやフュージョン風の音楽の中で、エレキ・ギター、力強いソロ、そして高度なジャズ・ハーモニーが使われているなんて信じられなかったよ。欧米のビデオ・ゲーム、映画、テレビ番組ではこんな音楽は聞いたことがなかったから、これも日本を好きになったきっかけだと思うな」 亡き Shawn Lane を想起させるような、雷撃のスピードとセンス。何より、フック満載の楽曲が素晴らしいですね。来日も決定!どうぞ!!
“Progressive music should evolve, not just technically, but emotionally otherwise it stops being progressive and very often complexity can be “in the way” of emotion.”
“Many people appreciate strong melodies, great songs, and real hand-made music again. Only the blow-dried hairstyles may not be quite as fashionable anymore.”
DISC REVIEW “TURN BACK THE TIME”
「AORやメロディック・ハードロックが静まり返り、グランジやヒップホップといった他のジャンルが前面に押し出されていた時代が長くあったのはたしかだよね。だけど、メロハーに忠実なコアなファンは常に存在していたんだよ。そしてここ数年で、AORは再び真に受け入れられ、人気が回復していると感じる。力強いメロディ、素晴らしい楽曲、そして本物の、手作りの音楽が、多くの人々に再び受け入れられるようになってきたんだ。ただ、ブローしたヘアスタイルは以前ほど流行らなくなったかもしれないけどね」
音楽は瞬間的に消費するものではなく、何度も消化するもの。指先一本でストリーミングもスクロールもアートの生成も自由自在な今だからこそ、そんな想いは強くなります。そして、メタルやメロディック・ハードのリスナーほど、音楽の消化に長けた人たちはいないでしょう。この世界のリスナーは、愛する音楽に忠実です。流行りの音楽に鞍替えすることはなく、AI の手軽さに踊らされることもなく、本物の音楽を何度も何度も反芻して、消化します。だからこそ、SUBWAY のようなニッチで、しかし本物の音楽を届けてくれるバンドをいつまでも待てるのです。
「僕たちが活動を休止した主な理由は、グランジ・ブームだった。 ほとんど一夜にして、AORやメロディック・ハードに興味を持つ人はほとんどいなくなってしまったからね。当時、多くのビッグ・バンドだってそうなってしまった。 僕たちはあの時新しいアルバム(”Taste The Difference”)を携えてアメリカから戻ってきたけど、市場は突然、まったく違うものを求め始めたんだ」
1986年にドイツで結成された SUBWAY は、スイスのレーベルに見出されて1990年に “Dangerous Games” でデビューを果たしました。彼らが他のメロハー・バンドと一線を画していたのは、サックスをフィーチャーしていたこと。SUBWAY のアーバンで哀愁を帯びた音楽は、サックスの音色によってより際立つことになったのです。
92年の名盤 “Hold on to Your Dreams” で日本でも (プチ) ブレイクを果たした彼らは、94年の “Taste the Difference” で飛翔を果たすはずでした。しかし、グランジの席巻によって一変したマーケットに、彼らの居場所はもうなかったのです。
「今、僕たちが戻ってきた理由だけど、音楽と情熱が完全になくなったわけではなかったからなんだ。 このカムバックは単なるノスタルジーではなく、経験、新たなエネルギー、そして真の喜びを持って、再び強力なメロディック・ロック・ミュージックを作ることなんだからね」
それでも、SUBWAY が情熱を完全に失うことはありませんでした。だからこそ、黄金期のラインナップで復活を果たした “Turn Back the Time” には “本物の” メロハーの魅力と凄みが存分に注入されています。まさに “時を巻き戻した” ような、量産型ではなく手作り手仕込みなオーダーメイドのオートクチュール。サックスこそなくなりましたが、ギターとハモンドのインタープレイや雰囲気作りは十分にスリリングで都会的。
実際、このアルバムこそが SUBWAY の最高傑作に違いありません。ここにあるメロディは、フックは人工知能には決して作り得ない、人の温かみとそこはかとない人生の哀愁を同時に宿しています。私たちはスクロールの指を度々止めながら情報やアートを享受した気になっていますが、この素晴らしき37分間の中では決して立ち止まることはないでしょう。そう、”Turn Back the Time” は、アルバムという宝物をしっかりと消化していた、SNS やストリーミングのないあのころに戻れるタイムマシンなのかもしれませんね。
今回弊誌では、SUBWAY にインタビューを行うことができました。「ドイツにはHELLOWEEN や GAMMA RAY など、他にも素晴らしい重要なバンドはたくさんいたけど、SUBWAY は常にメロディアスでファストなハード・ロック、そしてクールなフックを駆使してきた。たとえパワー・メタルがやりたいと思っても、それが僕たちのDNAだから仕方がないんだ。だから最新作 “Turn Back The Back” のメロハーは、紛れもなく SUBWAY そのものなんだ」 久しぶりに深々と心に刺さったメロハーでした。どうぞ!!