THE 100 BEST MELODIC HARD ROCK ALBUMS OF THE DECADE: 2010 – 2019


THE 100 BEST MELODIC HARD ROCK ALBUMS OF THE DECADE: 2010 – 2019

1: W.E.T. “Earthrage” (2018)

WORK OF ART, ECLIPSE, TALISMAN。メロディックハードの幾星霜に足跡を刻んだ三雄を頭文字に戴くスーパーグループ W.E.T.。WORK OF ART と ECLIPSE。2000年代以降、TALISMAN の遺志を継ぐように現れたメロディックハード希望の星は明らかにこの両雄でした。片や洗練の極みを尽くす AOR、片や情熱と澄明のハードロック。
しかしインタビューで語ったように、スウェーデンの同じ学校から輩出された2つの綺羅星 “W” の象徴 Robert Säll と “E” の象徴 Erik Mårtensson は、至上のメロディーを宿すシンクロニティー、宿命の双子星だったのです。実際、2人の邂逅は、AOR とハードロックの清新なる渾融を導き、ジャンルのレジェンド Jeff Scott Soto の熱情を伴って唯一無二の W.E.T. カラーを抽出することとなりました。
FOREIGNER の哀愁、SURVIVOR の理想、JOURNEY の夢を、奇跡にも思える有機的な旋律の蒸留、ハーモニーの醸造、ダイナミズムの精錬を経て創造した “Earthrage” は、一部の隙も無駄もないメロディックハードの殿堂。
「メロディックハードロックがまたチャートの頂点に戻れるとは思えないね。そして僕はそれで構わないと思っているんだよ。」

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2: ROB MORATTI “Victory” (2011)

メロディックハードはメロディーだけが優れていれば良い。そんなリスナーは意外と少ないのではないでしょうか。90年代から00年代初頭にかけて活躍したカナダの VON GROOVE には、同郷の HAREM SCAREM にも似て、インストゥルメンタルパートからも鋭い自己主張とユニークなセンスが垣間見れたバンドでした。
そんな VON GROOVE のギタープレイヤー Mladen の協力を得て MORATTI を立ち上げ、後に彼と FINAL FRONTIER を結成した不世出のシンガーこそ Rob Moratti でした。
天上に突き抜けるメロディーの煌めき、芳しきハーモニーの躍動を全編に施したアルバムは、同時に Reb Beach, Tony Franklin, Fredrik Bergh (STREET TALK), Brian Doerner (SAGA) といった手練れたちの音芸を披露する美しき演武場にもなりました。テクニックの躍動は、MAROON 5を想起させるメインストリームへの接近をも、ドラマティックなロックの浪漫へと変化させるのです。
エレクトロの仄かな香りは隠し味。Rob がプログレッシブなサウンドを得意とする SAGA に一時期加入したことも、作品の創造性に寄与したでしょうか。そして全てを繋ぐのは Rob のカリスマティックな声そのもの。
「とにかく、出来るだけメロディックにしようとした。パワフルで卓越したソングライティングとミュージシャンシップを備えながらね。」

3: ZIGGY “2017” (2017)

人間椅子、筋肉少女帯、聖飢魔II。ジャパニーズハードロックの再評価が進んだ2010年代において、ZIGGY の苦闘を忸怩たる想いで眺めるファンは少なくないでしょう。
カルト的、サブカル的、アピアランス的に特化した、所謂 “イロモノ” と呼ばれたバンドを正当に評価することは当然素晴らしい傾向です。しかし、ただ素直に、正直に、自由にロックを追求し続ける ZIGGY の無垢なる魂を受け止められる場所は、日本にもはや存在しないのでしょうか?
セルフタイトルを冠した復活の狼煙 “2017” には、”Hot Lips” のバッドボーイロックも、”Yellow Pop” の優しいポップセンスも、”Zoo & Ruby” のマジカルで繊細な箱庭も、”Heaven and Hell” のメタリックな音像も、全てがスケールとゴージャス感を増して宝箱のように詰め込まれているのです。
メランコリックで劇的で、虹のようでもあり、時にノスタルジック。端的に言って、クリシェの王、森重樹一が奏でる森重節は日本の宝でしょう。最新 EP のタイトルは “I Stay Free Forever”。カッコいい!!!としか言いようがありませんね。

4: SMASH INTO PIECES “Rise And Shine” (2017)

「2004年、SONATA ARCTICA と WITHIN TEMPTATION のライブがメタルへの入り口だったね。まあ酔っていてほとんど覚えていないんだけど。PRETTY MAIDS のタトゥーも入っているよ。”Jump the Guns” のアートワークさ。」
EDMとヒップホップに奪われたアリーナの主役を奪い返すのはきっとスウェーデンに示現した5人の野心家でしょう。人気TV番組 “Sweden’s Got Talent” でセミファイナルまで進出したヤングガンズは、もはや世界中のメロディーを愛するロックファンにとって期待の的で希望の光です。
北欧の風を浴びた NICKELBACK。SIP の想像を絶するスケール感と旋律の魔法を表現するならこの言葉が相応しいでしょうか。ただし、彼らのメランコリーとエモーションはエレクトロニカに向けられた冒険心と溶け合い華麗なダンスを踊ります。
「俺たちと俺たちの夢を遮るものは何もない。SMASH INTO PIECES だ!」
SIP の “エレクトロック” は止まりません。

5: VOLBEAT “Rewind, Replay, Rebound” (2019)

「俺たちは一つのスタイルに固執したりはしない。VOLBEAT にはメタルも、ロックも、ロカビリーも、カントリーも、ブルースも、ゴスペルも、その全てが入っているんだからね。」
デンマークから西部劇を演ずるアンセムメイカー VOLBEAT は、円熟の “Rewind, Replay, Rebound” で70年代のポップスまで存分に咀嚼し、その多様でしかしキャッチーな音の葉のスケール感を何倍にも飛躍させました。
「巻き戻し、リプレイし、反発する。このアルバムタイトルは過去の音楽、楽曲をより強力にして2019年に叩きつけるって意味があるんだ。重要なのは、俺たちが早い時期から自らのシグネチャーサウンドを見つけられたことなんだ。いつだって斬新な音楽には興味を惹かれるけど、それでも俺らの基本は変わっちゃいない。」

6: GODSMACK “When Legends Rise” (2018)

「僕たちは最初からメタルバンドだと思ったことはないんだ。ちょうど Nu-metal が勃興し、KORN や LIMP BIZKIT と同時代にデビューしたからそのカテゴリーに入れられただけでね。Nu-metal に入れられるのはまっぴらゴメンなんだ。」
今や DISTURBED と並びアリーナロックの代表格。ALICE IN CHAINS の曲名をその名に掲げるマサチューセッツのレジェンドは、Nu-metal へのアレルギーを隠すことはありません。
「僕たちの音楽を聴いて、Nu-metal みたいなユニークサウンドを感じることはないだろう。僕たちはただハードロックバンドなんだ。もちろん、初期の頃は当時聴いていたバンドの様々な影響がサラダのように現れていただろう。それでもピュアなメタルバンドだとは思わないよ。」
実際、”When Legends Rise” でビッグヒットとなった “Bulletproof” はその確固たる証明でしょう。ビッグなシンセとアクセシブルなヴァイブ、そして漢の哀愁を封入した楽曲は、それでも完璧なまでにハードドライブを続ける新たなロックアンセム。
「毎年毎年、メタルヘッズが気にいるかなんて気にかけながら作品は作れないよ。再生と実験こそ今の我々に相応しい言葉だよ。」

7: CHRIS BAY “Chasing the Sun” (2017)

「僕は異なるスタイルのマテリアルを常に作り続けているんだ。ただメタルを書いて生み出し続ける “メタルマシーン” みたいにはなりたくないからね。僕は異なる顔を持ったアーティストなんだ。アーティストになった理由も、全ての束縛から自由になりたかったからだからね。」
ハッピーメタル十字軍 FREEDOM CALL のフロントマンは、今ではメタル世界随一のメロディーメーカーです。それを証明したのが太陽のソロレコード “Chasing the Sun” でした。
「おそらく、両方の感覚があるんだろうな。僕は間違いなくオールドスクールなソングライターなんだけど、同時にモダンな音楽にも合わせていこうとしているからね。」
Chris のポップセンスはモダンにアップデートされていて、典型的なロックのイヤーキャンディーにメインストリームの計算された洗練を巧みに練り込んでいます。ディスコやトラッド、クラッシックなセンスにコンテンポラリーなチル、EDMのイメージをさらりと取り込む柔軟さは Chris ならでは。
「チャートに入ることはレコードレーベルの働きと、バンドのステータスに対する評価にはなるね。だけど、間違いなく音楽のクオリティーを評価する基準にはならないんだよ。それよりも、僕はファンのリアクションやツアーの結果の方が気になるね。」

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8: MIDNITE CITY “There Goes The Neighbourhood” (2018)

「POISON のダイハードなファンしかわからないだろ?」
POISON の “Nothin’ But A Good Time” のビデオクリップをイントロダクションに幕を開ける “There Goes The Neighbourhood” は大都市を彩る危険な夜のゴージャスなサウンドトラック。完璧なまでにスリージーな “New Wave of Hair Metal” の象徴です。
TIGERTAILZ のフロントマン Rob Wylde を中心に結成された UK の希望が贈る快作には、ハーモニー、シンセ、ギターシュレッド、そして耳を捉える絶妙なフック全てが十二分に詰め込まれ、夜の街をオープンカーで疾走することを目的にのみ設計されたかのような高揚感を全編に配しています。
BON JOVI の “7800° Fahrenheit” や DANGER DANGER のデビュー作に、清涼感を加えて現代にアップデートしたようなイメージでしょうか。
「DANGER DANGER には大きな影響を受けている。それに DEF LEPPARD, WARRANT の Jani Lane は大好きさ。」

9: CRAZY LIXX “Forever Wild” (2019)

スウェーデンのマルメから虎視眈々と世界を狙う New Wave of Hair Metal の旗手 CRAZY LIXX。”Forever Wild” のタイトルが示すように、SKID ROW のデビュー作をイメージさせるバッドボーイの青く危険なハードロックは、同時に DEF LEPPARD の分厚いコーラス、TREAT の冷気を纏いながら名作へと進化を遂げました。
「”Eagle” は典型的な CRAZY LIXX の曲じゃない異なるタイプだよね。キーボードが牽引して、ギターリフも変わっている。僕が普段聴いているような “ポップドライブ” な楽曲だけど、以前は試してこなかったんだ。メンバーが気に入ってくれて、この方向に進むことが出来てとても嬉しいね。」

10: ONE DESIRE “One Desire” (2017)

「俺たちはメロディックハードロックバンドだ。最高にコマーシャルでキャッチーな枠組みにハードロックを落とし込もうとしているんだよ。」
STURM UND DRANG と CAIN’S OFFERING の混成チームで出航した ONE DESIRE は、ECLIPSE の才能 Erik Martensson の助力までも貪欲に取り込んだメロディックハードの罪深き野望です。
パワフルでエモーショナル、ワイドなレンジを伸びやかに制覇する Andre Linnman の成長を遂げた歌声は、現代的なプロダクションと卓越した作曲術の海原で自由を謳歌します。疾走と悠久を行き来する煌びやかなアルバムにおいて、一層ラジオフレンドリーでメインストリームに接近した “Falling Apart” は AOR の未来を鮮やかに照らし出していますね。

11: THE NIGHT FLIGHT ORCHESTRA “Sometimes The World Ain’t Enough” (2018)

SOILWORK と ARCH ENEMY のメンバーで構成されたある種のスーパーグループは、しかしリスナーの想像に反してクラッシックロックのロマンを追求しています。
REO SPEEDWAGON, SUPERTRAMP, FOREIGNER , それに当時のディスコヒットがターンテーブルでシャッフルされる感覚。まるで70年代に埋められたタイムカプセルを4, 50年後に開封するような音旅は、しかし同時に現代のテクニックとプロダクションで強烈なドーピングも加えられているのです。
歌い手としての Bjorn Strids の進化と成長が TNFO の存在をノスタルジアからより意味のある芸術へと押し上げているのかも知れませんね。
「ベストなバンド?ドラマーは Cozy Powell, ギターは Mick Ronson, Jaco Pastorius がベーシストで、ボーカルは Jimi Jamison だね。」

12: MORON POLICE “A Boat on the Sea” (2019)

「様々なジャンルを股にかけることも大好きだね。メタルの要素が減退したから、これまでより多様になれた部分はあるだろうね。ポップミュージックは完膚なきまで崇高になり得るし、ポップミュージックがテクニックと重ね合った時、僕にとって最高に魅力的なものとなるんだ!」
ノルウェーの異形 MAJOR PARKINSON にも籍を置くユーティリティープレイヤー Sondre Skollevoll は、これまで充分に探索が行われて来なかったポップと崇高、ポップとテクニックの融合領域へと MORON POLICE で海図なき船出を果たしました。ノアの箱船で GENESIS の息吹、プログレッシブの遺伝子を守りながら。
「僕はゲーム音楽の大ファンなんだよ。特に任天堂のね。近藤浩治、植松伸夫、菊田裕樹、David Wise のような音楽家を聴いて育ったんだよ。僕はそういったゲーム音楽にとても影響を受けていると思うし、そのやり方を音楽に取り込んでいるんだ。」

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13: LOVEX “Watch Out!” (2011)

あの Miyavi をゲストに招いたように、日本のV系とも繋がりの深い LOVEX は、エレクトロやメインストリーム、オーケストレーションを恐れずハードロックへと内包して、近年のV系同様奔放なコンポジションでメロディック世界を何歩も進めたバンドでした。
「フィンランドの ENTWINE ってバンドを聴いて何かがスパークしたんだ。バンドを始めたいってね。俺たちはモダンなロックと80年代のメタロック、それにシンフォニックな要素をミックスしたバンドだよ。Nu-metal だって取り入れているしね。」

14: SHINEDOWN “Attention Attention” (2018)

「女性とその母親が僕たちに感謝を伝えに来たんだ。20代の彼女は、個人的な問題に苦しみ5年間家から出ることが出来なかった。だけど僕たちのショウを見るために遂に外出することが出来たんだって。嬉しいよね。」
NICKELBACK より連なるヤンキー漢の乾いた哀愁は SHINEDOWN にも宿ります。ただしダイナミックでエレクトロニックでオーケストリックでオーガニック。全米で1.000万枚の売り上げを誇るジャクソンビルの英雄は、そうして世界のロックファンに希望を運び続けているのです。”Attention Attention” は SNS や携帯電話が人生を侵食する現代社会へのハードヒッティングな注意喚起。
「どんなに音楽産業が変化しても、僕たちのアプローチは変わらない。ただストーリーを語り、メッセージを伝えるだけさ。」

15: TOM KEIFER “The Way Life Goes” (2013)

声を失い、母を失い、失意の底でそれでも這い上がる決意表明、CINDELLERA の “Still Climbing” は Tom の絶唱が収められた90年代ハードロックを代表する名盤でした。
ツアーは継続したものの、そこから復活の狼煙 “The Way Life Goes” まで実に20年。不屈の魂は、絶妙なポップセンスとブルース/ブラックミュージックの要素を完璧なまでにハードロックへと還元してみせました。
「俺にとってソングライティングとは人生そのものだ。生きて感情を得る。そこから全てが始まるのさ。人生は旅のようなもので、それを切り取るのに10年かかった。俺が経験してきたことだって特別じゃない。全ての人生がチャレンジだからね。朝起きて、仕事であれ何であれ、何かを乗り越え、成し遂げていくのが人生だよ。良きにつけ悪しきにつけ、人間はそうやって生きていく。俺はいつも希望の光を探しているし、前に進もうと努力している。」

16: WIGELIUS “Tabula Rasa” (2016)

SEXY ZONE にも楽曲を提供した Anders と Erik の WIGELIUS 兄弟を中心に結成されたスウェーデンの WIGELIUS は、敬愛する JOURNEY や BON JOVI のサウンドを一端分解して、コンテンポラリーなプラモキットのように組み立て現代に再構築しています。実に多様で、現代のメインストリームを研究した彼らのやり方は、他のハードロックバンドとは根本的に異なります。

17: TESLA “Shock” (2019)

「DEF LEPPARD の Phil Collen はずっと良い友人だったんだけど、今回はプロデューサーとして素晴らしい仕事をしてくれたね!」
L.A.メタルが輩出した綺羅星の中で、最も今を生きるバンドこそ TESLA なのかもしれません。バンドの持ち味である乾いた砂のブルースを保ちつつ、Phil Collen の助力もありバンド史上最もメロディック、アリーナロックの最高峰を実現した “Shock” の魅力は、否応無くシンガロングを誘う “We Can Rule The World” に集約されています。
「35年も続けられるなんていかに幸運か分かったよ。苦しい時は、きっと後に訪れる良い時を楽しむためにあったんだってね。」

18: KEE MARCELLO “Scaling up” (2016)

EUROPE にとって John Norum はもちろん不可欠なギタリストですが、Kee Marcello の存在も忘れるわけにはいかないでしょう。ペンタトニックを基盤にストームウインドを巻き起こす John に対して、Kee は色とりどりのスケールを縦横無尽に駆け抜け、緩急ソフィスティケートされた旋律とクリスタルトーンをその持ち味としています。
“Scaling Up” に収録されたグルーヴィーなブルースロック、キャッチーなハードロック、琴線に触れるバラードを聴けば、名作 “Out of This World” “Prisoners of Paradise” の多様な音の葉に Kee の才能が強く反映されていたことに気づくでしょう。
「”Scaling Up” は僕の今のサウンドを反映している。実際、今の僕は80年代初頭にキャリアを始めたころと同じくらいハングリーだと気づいたね。EUROPE で John Norum が僕のソロを演奏しているのを聴いたよ。悪く言いたくはないんだけど、弾けてないよ。まあ2人は全然異なる背景を持つからね。特に僕のタイミング、ルバートスタイル (感情の起伏にあわせて音符のスピードを変化させる) は独特だからね。」

19: ECLIPSE “Bleed & Scream” (2012)

W.E.T. の “E” として、NORDIC UNION の参謀としてもはやメロディックハード世界にとって不可欠な存在となった Erik Mårtensson の本業はこの ECLIPSE です。
スウェーデンの皆既日食が鮮明に見せるのは、WHITESNAKE が “1987” で提示したハードロックの雄々しき教科書を北欧の澄んだ風で染め上げた魔法の景色。”Bad Boys” “Children of the Night” に搭載された圧倒的な排気量のエンジンで、現代的かつ繊細な足回りを実現しているのは彼らだけなのかも知れませんね。
「アルバムに “そこそこ” な楽曲なんて俺たちは収録しない。とりあえず OK な楽曲なんて何度か聴けば飽きてしまうからね。それに古い曲ばかりやるクラッシックロックバンドにもなりたくないんだ。アルバムを出すたび良くなって、毎回 “クラッシック” を生み出したいね。」

20: WORK OF ART “In Progress” (2011)

「僕は TOTO をはじめとした David Foster & Jay Graydon が手がけた偉大なレコードと L.Aのシーンを発見したんだ。そういった音楽こそ、僕が今日でも最も楽しめるものなんだよ。当時の僕たちは、平日にジャズを学んで、週末に AOR を作曲するって感じだったんだ。」
21世紀の AOR と言えば WORK OF ART。洗練されたメロディーのロマンは北欧のマエストロによって継承されているのです。
“雨が来るよ。汚れを洗い流してくれるさ。君の中の疑念全てを共に連れ去ってくれるよ。恐れることは何もないんだ。”

21: FREE SPIRIT “All The Shades of Darkened Light” (2014)

北欧はメロディックハードの桃源郷であり続けます。90年代後半、フィンランドから登場した自由な魂たちは10年の苦難を乗り越えて2010年代に大輪の花を咲かせました。
クラッシックロックや AOR を根幹に、プログやコンテンポラリーなメタル、さらにケルトやフォークロアの音景までその身に宿す彼らの冒険は、特に北欧で大きな人気を誇ります。STRANGEWAYS meets DEF LEPPARD といった例えも決して大袈裟ではないでしょう。
「俺たちは様々な時代、様々なバンドの音楽を聴いてきた。その影響が全て俺たちの音楽に反映されているのさ。とはいえ、アリーナロック黄金時代のバンドが最も近くて重要なのは確かだけど。」

22: PRETTY MAIDS “Undress Your Madness” (2019)

80年代からメロディックハードの灯火を掲げ続けたデンマークの英雄は、新たな傑作のリリースを前に大きな危機に瀕していました。唯一無二のボーカリスト Ronnie Atkins が癌を患ってしまったのです。
「癌は体から除去された。とは言え戦いはこれからだ。5年間経過を見ていく必要があるからね。それでも嬉しいニュースに変わりはない。」
Ronnie の回復は全ハードロックファンにとっての福音です。確かに “Undress Your Madness” には “Back to Back” のような疾走ドラマティックチューンは収録されていないかも知れません。
ただし、現在の PRETTY MAIDS はスピードの魔法に頼ることなく、ロックの浪漫を余すことなく伝えることが出来るのです。Jacob Hansen とのタッグも円熟の極み。”Will You Still Kiss Me (If I See You In Heaven)” が象徴するように、ミッドテンポ、バラードの分野で彼らに敵うバンドは存在しないでしょう。

23: MOON SAFARI “Lover’s End” (2010)

「MOON SAFARI には Simon と Petter という2人のメインボーカルがいるよ。個人的には BEATLES, PINK FLOYD のようなダイレクトなボーカルのバンドが好きなんだ。ボーカルが複数いればストーリーを違ったやり方で伝えられる。俳優がステージに何人かいるようにね。一人芝居じゃなくて実際に会話を行えるんだ。それが僕たちがバンドでいる理由だよ。」
スウェーデンの新世代プログバンド MOON SAFARI には停滞気味の所謂”プログレ”シーンに新風を吹き込み、活性化させる事が大いに期待されています。別段、何か新しい事をやっている訳ではありませんし、演奏技術が特別優れているわけでもありません。ただ彼らの生み出すメロディーは BILLY JOEL や ELTON JOHN といったポピュラー音楽稀代のメロディーメイカー達に勝るとも劣らないほどのクオリティーを誇っています。
瑞々しく爽やかで突き抜けるような美しいメロディーに強力なコーラスワーク。これをプログロックのフィールドで具現化出来ているバンドは他に A.C.T くらいではないでしょうか。

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24: OUTLOUD “Virtual Hero Society” (2018)

ギリシャが誇る FIREWIND のブレインの一人 Bob Katsionis は多才な男です。キーボードとギターを同時にこなし、正統派メタルからネオクラシカルまで何でもござれ。それでもシーンきっての名シンガー Chandler Mogel と手を組んだ OUTLOUD は、その極上のクオリティーと想像を超えた音楽性でハードロック世界を驚かせています。
70s, 80’s のクラッシックロックやディスコのノスタルジアを根幹に、コンテンポラリーなエレクトロニカの響きをパワフルに涼やかに織り込んだレトロフューチャーなタペストリーにはメロディックハードの未来が描かれているはずです。
「最初にカバーしようとしたのは、Rick Astley の “Never Gonna Give You Up” だったんだけど上手くグルーヴが掴めなかったね。だから POINT SISTER の “I’m so Excited” に決めたんだよ。」

25: EDGE OF FOREVER “Native Soul” (2019)

21世紀、Frontiers Music が存在しなければメロディックハードは消滅していたかも知れません。重量や技術に比重が置かれ加速していったメタル世界で、Frontiers はメロディーのオアシスであり続けています。中でも、Joe Lynn Turner から Tony Harnell, Geoff Tate まで稀代のシンガーを蘇らせ続けるマルチインスト奏者 Alessandro Del Vecchio のやはりマルチな才能はレーベルにとって不可欠な存在でした。
そんな多忙な Alessandro にとってホームとも言える自らのバンド EDGE OF FOREVER でのリリースは実に10年ぶり。しかしこれほどの作品を突きつけられれば、長い冬眠にも不満を漏らすことは出来ないでしょう。
原始の目覚めを封じたアカペラハーモニーから、洗練の LYNCH MOB とでも例えるべきタイトルトラックの流れは実に斬新でインパクト充分。さらに “Carry On” の突き抜ける爽快と仄かな哀愁はアルバムの骨子となり、ネイティブアメリカンをイメージさせる乾いたグルーヴと混ざり合いユニークな音景色を展開していきます。
「”Native Soul” はとても深く、スピリチュアルなレコードだよ。そして何より実にポジティブだ。君たちの夢を妨げることは誰にも出来ないって伝えたかったからね。」

26: THE DEFIANTS “The Defiants” (2016)

Ted Poley, Andy Timmons を表の DANGER DANGER だとするならば、Paul Laine と Rob Marcello の THE DEFIANTS は裏 DANGER DANGER とも言える存在です。ただし、”裏” は “表” を凌ぐほどにメロディックかつスリリング。
Paul の歌唱はただただ圧倒的で、美しく重なるボーカルハーモニー、ツボを得たコーラスワーク、そして理論と感情を素晴らしく融合させる Rob のフラッシーなリードギターと混ざり合い、アリーナロックヘブンを創造していきます。当然、Bruno Ravel、そして Steve Morse との仕事で知られる Van Romaine のリズム隊もタイトにダイナミズムを提供します。
「Ted は THE DEFIANTS を始めるって言ったら、なんて事だ、DANGER DANGER はもうお終いだ!って感じだった。だから、ただのプロジェクトだと言ったんだ。それでももうお終いだ!と言うから、落ち着けよ、お終いだったのは30年前だろ?ってなだめたよ (笑)」

27: GATHERING OF KINGS “First Mission” (2019)

スウェーデンのハードロックオールスターズを目指し Ron Dahlgren が立ち上げた “GoK” は、いつしか AVANTASIA を彷彿とさせる豪華でハイレベルな “王の集い” へと進化していたのです。
SPIRITUAL BEGGARS の遺伝子を引く SAFFIRE で活躍する Victor Olsson の、アートワーク通りのロックロマン、ノスタルジアを封じたコンポジションとフレーズセンス、エモーションは明らかに卓越しています。
そこに、Bjorn“Speed”Strid, Apollo Papathanasio, Erik Martensson といった百戦錬磨がその色を多彩に加えていきます。THE NIGHT FLIGHT ORCHESTRA を PHENOMENA 的なやり方で、よりゴージャスに再現したとも言えるかも知れませんね。

28: A.C.T “Circus Pandemonium” (2014)

「際立っていて、妥協せず、恐れないようなバンドが好きだね。 Freddie Mercury はヒーローだね。」
プログメタル世界では界隈では異質すぎる突き抜けたポップセンスはそのままに、ダークでハードなエッジが加味された人類未踏のエピック。QUEEN はもちろん、それ以外にも TOTO, POLICE, さらに80年代の所謂ネオプログ全てを抱きしめたメロディーのダンスは雄弁かつシアトリカルにリスナーへと語りかけます。
「日本の人たちは新しく、クリエイティブで革新的な音楽によりオープンな気がするよ。同時に大衆的なものより際立っているものが好きなんじゃないかなあ。 A.C.T は本当に際立っているバンドだからね。」

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29: TED POLEY “Modern Art” (2016)

DANGER DANGER の “声” が、エレクトロニカを巧みに取り入れた北欧メロディックの新鋭 DEGREED とタッグを組み創世したハードロックの “モダンアート” は新世界を切り開く奇跡の一枚となりました。DEGREED のコンテンポラリーなポップセンス、エレクトロの香りは Ted 渾身のパフォーマンスと滑らかに溶け合い、優美なハードロックの絵画を描きあげています。
「この作品を誇りに思うし、キャリアでも過去にないほど最高のパフォーマンスを残すことが出来たと思うね。」

30: CATS IN SPACE “Day Trip to Narnia” (2019)

THE SWEET、AIRRACE、MORTIZ などで活躍したベテランたちが結成したクラッシックロックの奇跡は、猫の目の場面転換でレコードという物語に劇的なドラマを宿します。
「僕たちが聴いて育った70年代のロックバンド、QUEEN や GENESIS といった偉人たちはしっかりと楽曲をチャートに送り込んでいた。だから僕たちも非常にチャートフレンドリーなんだ。全曲がラジオを意識して作られているよ。」
実際、”Day Trip to Narnia” には、QUEEN, ELO, 10cc, SUPERTRAMP の残り香とノスタルジア、そして叙情を胸いっぱいに吸い込みながらキャッチーをも突き詰めた極上のプログハード絵巻が広がっているのです。

31: H.E.A.T “Tearing Down the Walls” (2014)

北欧に新たなメロディックハードの波を誘ったのが H.E.A.T であるのは確かでしょう。ボーカルが繊細な前任者からパワフルで伸びやかな Erik Grönwall へと受け継がれたことで、よりアリーナを意識したビッグでゴージャスな広義のハードロックへと挑戦が可能になりました。アートワークの変遷も決意の表れ。
「メロディックロック/AOR に80年代初期のアメリカのサウンドを加えて H.E.A.T は始まったんだ。10年が経って、僕たちは自分のサウンドを見つけたと思う。ある種予測可能なね。だけどそれでも僕たちは実験と挑戦を続けている。そうして胸を張って2010年代のメロディックロックと言えるアルバムを完成させたんだ。」

32: VON HERTZEN BROTHERS “War is Over” (2017)

「“To The End Of The World” のリフは確かに日本や中国、インドで使用されるオリエンタルスケールを使っているね。KINGSTON WALL は90年代初頭、僕たちにとても大きな影響を与えたんだよ。それに、Kie は Perti Walli (KINGSTON WALL の創立者、故人) と別々の道を行くまで一緒にプレイもしていたからね。僕だって何度も彼らのギグでパーカッションをプレイしたんだよ。さらに勿論、僕たちのドラマー Sami Kuoppamäki はあの伝説のバンドのメンバーだったよね。彼は “War is Over” でもプレイしているし、そういった様々な縁があのバンドの感覚を想起させるんだと思うな。」
フィンランドミュージックシーンにおける至高のファミリービジネス、VON HERTZEN BROTHERS。母国、そして UK では押しも押されぬビッグバンドのロックモンスターがリリースした最新作 “War is Over” は、更なる大望を抱き変化を志した新たなチャプターの幕開けです。
Kie, Mikko, Jonne の三兄弟を中心とする VON HERTZEN BROTHERS の音楽は、多様で豊潤なカレイドスコープです。ピュアなクラッシックロックからプログ、ポップ、オルタナティブにワールドミュージックまでナチュラルに横断する神秘のコンポジションは、パワフルかつイマジネーティブなジャンルの交差点として異彩を放っていますね。

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33: NITRATE “Open Wide” (2019)

Nick Hogg が MIDNITE CITY の Rob Wylde とタッグを組み、VEGA の Marcus Thurston, ex-EDEN’S CURSE 現 MIDNITE CITY の Marcus Thurston を召喚。さらに Harry Hess のプロダクションとオールスターキャストで送るメロディックハードスーパーグループの2ndアルバム。
ZINATRA の “Great Escape” に感銘を受けて依頼したというボーカル Joss Mennen の湿った歌声を軸に、初期 TEN、もしくは Jimi Jamison のようなミッドテンポで緩やかに心を溶かす味わい深いハードロックを聴かせています。

34: VEGA “Kiss of Life” (2010)

KICK の Nick Workman が KHYMERA, SUNSTORM で知られる Martin 兄弟とタッグを組んだ英国の強力なハードロックコレクティブ。デビュー作にしてこのフック、充実のメロディー。伸びやかで爽快、しかし時に湿り気も帯びた感覚は北欧のバンドと見紛えるほど。同時にエレクトロの隠し味を巧みに配分していますね。
以降、よりアリーナロックに接近しながら、Frontiers の優等生としてコンスタントにリリースを重ねます。Harry Hess がお得意のハーモニーワークを振るった “Who We Are” も傑出したレコードでしょう。
「もちろん、VEGA はメロディックロックの世界に存在していると思う。だけど、世界にはピュアな AOR をプレイするバンドは5万と存在する。だから僕たちは他の要素もミックスしながら、リスナーをリフレッシュさせたいと望んでいるんだ。」

35: WHITE WIDDOW “Serenade” (2011)

ボーカル、キーボードの Millis 兄弟 がギタージーニアス Enzo Almanzi を誘って結成した、オーストラリアの白の奇跡は、SURVIVOR や DOKKEN の遺伝子を胸いっぱいに吸い込んで、エッジーかつキラキラな旋律の洪水を生み出します。
よりプロダクションが充実し、AOR の日差しを受け止めた Harry Hess の落とし胤 “Silhouette” も好盤ですし、最新作 “Victory” の哀愁も絶品ですが、”Serenade” の時代錯誤とも言える80年代真っ只中のインパクトは強烈なものがありました。
「NIGHT RANGER, SURVIVOR, WHITE SISTER, GIUFFRIA が4大バンドさ。80年代の煌めくキーボードオリエンテッドなアリーナロックを目指しているのさ。」

36: NIGHT RANGER “Somewhere in California” (2011)

2010年代の NIGHT RANGER は一言でいって神がかっていました。3枚のアルバム全てが傑作のクオリティーを誇り、80年代をも凌ぐようなエネルギーと創作意欲を見せていたのですから。
Jeff Watson が抜け、後任の Joel Hoekstra が WHITESNAKE に引っ張られ、Alan Fitzgerald までもいなくなっても微塵もそのポジティブなパワーが失われることはありませんでした。ドーピングを疑うほどにカリフォルニアな太陽のメロディー、期待通りのハッスルマッスルなギターデュエル、カラフル極まるハーモニーとコーラスワーク。ホロリと泣かすバラードの配置も絶妙です。
「NIGHT RANGER のショウは本当にインタラクティブなんだ。公演場所で起きたらセットを考えるから、毎晩異なるセットリストになるよ。だからとても長くやる日だってあるし、影響を受けたバンドの曲を加えたり、僕の DAMN YANKEES の曲だってやる時もあるんだからね。」

37: JONO “Silence” (2015)

北欧がメロディックハードの桃源郷であり続けていると言っても、EUROPE や FORTUNE, NATION といったクリスタルの煌めきを再現しているバンドは決して多くはありません。JONO は彼らの遺伝子をよりドラマティックに、シアトリカルに引き継いだスウェーデンの良心です。
とは言え、彼らが紡ぐ北欧の風は、先達ほどメタリックではなくむしろ QUEEN, ABBA, YES, SUPERTRAMP のポップフィールを基盤としています。それでも咽び泣くJohan Norrby の歌声は時に重量感を、時に白昼夢を提供するオペラティックな楽曲とシンクロし、絶佳のスカンジナビアエピックを創世するのです。

38: SEVENTH KEY “I Will Survive” (2013)

KANSAS のベースマン Billy Greer が CITY BOY の Mike Slamer と結成したプロジェクト10年ぶりの作品。KANSAS の盟友 David Ragsdale が奏でるヴァイオリンを組み入れて、プログレッシブでハードドリブン、それでいて豊潤なメロディーを存分に堪能できる好盤に仕上がっています。ハモンドのアクセントも抜群ですね。

39: BROTHER FIRETRIBE “Heart Full of Fire” (2013)

NIGHTWISH の Emppu が立ち上げたソロワークは、LEVERAGE の Pecca を誘いフィンランドの一大ハードロックプロジェクトとなりました。JOURNEY を想起させる雄弁で純粋なメロディックロックは、U2のリリカルなイメージさえ伴ってリスナーに祈りの炎の届けるのです。
「人生はマックスまで楽しまなくちゃ。生きていられるのはとても短い間だけ。あとは神のみぞ知るだからね。とにかくその短い期間を楽しむべきだよ。」

40: WINGER “Better Days Comin'” (2014)

「懐古と技巧の考え抜かれたブレンド」とは言いえて妙。再結成後リリースした “Ⅳ” と “Karma” のブレンドとも言えるアルバムは、ハードドライブとオルタナティブ、そしてプログレッシブを行き来する完璧な配合のアルバムとなりました。
もちろん、Kip Winger, Reb Beach, Rod Morgenstein のテクニカルメーターに異常が発生する訳もありません。それにしても “Pull” を今の耳で聴くとドーピングマシマシの KINGS X 的で異常に刺さりますね。
「”In The Heart Of The Young” に特別目標なんてなかったよ。自分でも何をやっているのかよく分かっていなかったくらいでね。誰も僕たちのデビュー作が200万枚も売り上げるなんて期待していなかったしね。セカンドアルバムも100万枚近く売れた。それでもっとプログレッシブなことをやろうと考えたのさ。」

41: WAKE THE NATIONS “Heartrock” (2019)

THERION や ONE DESIRE, ECLIPSE のメンバーが全面協力、さらに RECKLESS LOVE の Ilkka がプロダクションを担当したフィンランドの新鋭。TERRA NOVA と EUROPE の美味しいところをミックスしたような “Midnight Lover” を筆頭に、極上のメロディックロックが並ぶ新たなマスターピース。それにしても北欧のバンドが半数以上を占めていますね…

42: HAREM SCAREM “Thirteen” (2014)

HAREM SCAREM はメタリックなニュアンスの影で QUEEN になり損ねたバンドだと、近年強く思うようになりました。90年代初頭からメロディックハードを牽引し続けたバンドの復活作は、あまりにメロディックで、あまりにテクニカルで、あまりにプログレッシブです。
以前よりもオーガニックに、Harry Hess の感情豊かなボーカルを浮き出させるプロダクションは決して間違いとは思えません。Pete Lesperance は未だ Ronni Le Tekro と並んでギターを立体的に使用可能なハードロックの建築士であり続けています。ロックの範疇で限界まで挑戦を続けるカナダの雄は、それでも QUEEN の何千万分の一かの評価しか受け取ることが出来ていません。
「全てはタイミングのせいだ。3, 4年遅すぎたね。もしファーストアルバムが80年代中盤にリリースされていたら…ね。”Mood Swings” はさらに遅すぎたし、”Voice of Reason” はグランジを直撃してしまった。」
2020年代をきっと代表するハードロックチューン、最新シングル “The Death of Me” が全ての状況を変えるはずです。

43: FAIR WARNING “Sundancer” (2013)

MR. BIG と並び、FAIR WARNING を始まりの場所とする日本のロックファンは少なくないでしょう。彼らが掲げた愛と勇気と友情は、ほんの子供だった私たちにとって悪ガキ MOTLEY CRUE よりも、邪悪な SLAYER よりも眩しく見えたのは事実です。
白髪は増え、多少生え際が後退しても、糖尿の疑いがあったって、FAIR WARNING が今も愛のために戦い続けていることで、当時彼らを誇りと共に敬愛していたファンはどれほど勇気づけられるでしょう。きっと、”Aura” の “Fighting For Your Love” はオジさんを迫害する社会へと突きつける愛の讃歌であるはずです。今でも Tommy の喉は張り裂けんばかりに高みを目指し、Helge のスカイギターはその高みを超えて遥か彼方の宇宙まで到達するのです。
「”Fighting For Your Love” は “Go” の楽曲よりもメロディアスだよ。パワーとメロディーを融合し、祈りを込めてエネルギッシュにパフォーマンスを行う典型的な FAIR WARNING の楽曲さ。」 Zeno Roth を失っても私たちには FAIR WARNING が共にいます。

44: TEN “Illuminati” (2018)

Gary Hughes は決して広い声域やパワフルな喉を持ったシンガーという訳ではありません。そんな限られた素材で、これだけ魅力的なハードロックを創造し続ける才能には感服せざるを得ないでしょう。何より、Gary の深い中音域には心の奥底を擽るような安心感と魅力が混在しています。初期から時に織り込んできたケルトの響きも軽やかに TEN の楽曲へと溶け合い、Vinny Burns こそ不在ですが、彼ら特有の陰りを帯びた英国ドラマを再びリスナーへと届けるのです。Gary の興味は現在、ドラキュラやジキルとハイド、イルミナティーといった怪しい伝承に向いているようですね。
「実は数年前、Vinny と FireFest で共演する機会があったんだ。彼とまた会うことが出来てとても嬉しかったし、最後に話してからこれほど長い時間が経っていたなんて信じられなかったね。どんな風になるかは分からないけど、今は近い将来また彼と音楽を作るって確信しているよ。」

45: AUTUMN’S CHILD “Autumn’s Child” (2019)

Mikael Erlandsson が傑作 “The One” を放ってから約四半世紀。今でも彼のメロディーセンスには一分の翳りも見えません。Marcel Jacob が遺した LAST AUTUMN’S DREAM を守り続けた天才は、MOON SAFARI の Pontus Akesson、H.E.A.T の Jona Tee、ex-ECLIPSE の Robban Back という錚々たるメンバーを得てその翼を新たに羽ばたかせます。
長年応援を続ける日本のファンへのプレゼント “Sayonara Eyes” は優しい慟哭を湛えた絶佳のバラード。時折挟まれる日本語も違和感なくアートの一つとして完璧にフィットしていますね。
「AOR は非常に小さいマーケットだ。僕たちは結局そのカテゴリーに含まれるから、スウェーデンを始め世界ではほとんどリリースがなくて主に日本で活動を続けている。日本のファンはとても熱心に僕らの一挙手一投足をフォローしてくれる。そして大好きな大好きなフェイバリットソングを見つけてその曲をとても大事にするんだよ。」

46: THRESHOLD “Legends of the Shires” (2017)

結成は1988年。1993年にデビュー作をリリースした不朽のプログメタルアクト THRESHOLD。デビュー当初、”英国からの DREAM THEATER への回答” と謳われし希少なる生残の先駆者は、四半世紀の時を超え遂に至純なる “アンサー” を提示しています。
「メロディーやエモーションこそが最も僕を感動させ、インスパイアするんだよ。勿論、テクニックは重要だけど、僕はそれを楽曲の一部に組み込むのが好きなんだ。テクニックを追求するよりもね。」
Richard が影響を受けたアルバムに、KING CRIMSON や YES ではなく PINK FLOYD, GENESIS を挙げているのは象徴的かも知れません。このスーパーキャッチーで、聴く度に心が踊るポップな宇宙は、逆に DREAM THEATER が決して到達し得ないプログレッシブポップ領域のはずです。

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47: CREYE “Creye” (2018)

あの ALIEN の創立メンバー Jim Jidhed の息子 Robin Jidhed をボーカルに擁するスウェーデンのメロディック二世バンドは、その音の葉も確かに Jim の遺伝子を受け継いでいます。SURVIVOR や FOREIGNER に北欧の魔法を振りかけた ALIEN の唯一無二は、GRAND SLAM の Andreas、そして Frontiers Music の作曲工場で磨き上げられ、グレードアップを果たして2018年に届けられました。ART NATION の Alexander Strandell を初期メンバーに加えていたことも、その人気を加速させました。
「目標はシンプルだったよ。かつて栄光を得ていたメロディックロックに、80年代のレトロなシンセを備えたポップなフィーリングを加えることだったんだ。そうして新たなエキサイティングな何かを生み出せたらと望んだんだよ。」

48: TREAT “Coup de Grace” (2010)

「このアルバムで僕たちはロックの歴史に足跡を刻んだと思う。誇りを持って言わせてもらうが、孫の代にも聴かせてやりたいアルバムだよ。」
18年ぶりとなる北欧メタル復活の一撃は、鮮烈で透明な嵐を巻き起こしました。よりダークでしかしメロディーを際立たせた “Ghost of Graceland”, エネルギッシュな “Tunguska” と復活以降10年代を駆け抜けた TREAT はまさにメロディックロックの中心として活躍を続けています。
「ただ前に進むことだけを考えている。どうしたらバンドが、よりワイドな視点を持ってより良くなるのか相談しながらね。」

49: TNT “A Fairwell to Arms” (2010)

「“OVER MY DEAD BODY” ってフレーズの意味はね、誰かが特別な状況を変えたくない時に使われるんだけど、死ぬまで変化は起こらないって事なんだ。「ロックを諦めろって?俺の目の黒いうちは許さないぜ!!!」みたいに使うんだよ。一回死ぬって経験をした後、私はこの経験を記憶に留め、いつも自然に行っている事をやり、それについて書くべきだって判ったんだ。死んで生き返るくらいロックな事はないからね。だから紙とペンを用意して、曲と考えをマイクに吹き込み、それがどんな感じだったか伝えるのは義務のように感じていたよ。昔ながらのロックなやり方さ。」 Rest in Peace…Tony Mills.

50: PERFECT PLAN “All Rise” (2018)

51: JOURNEY “Eclipse” (2011)

52: SCOTT STAPP “The Space Between the Shadows” (2019)

53: THE MAGNIFICENT “The Magnificent” (2011)

54: BEAST IN BLACK “From Hell With Love” (2019)

55: LAST AUTUMN’S DREAM “A Touch of Heaven” (2010)

56: LOVEKILLERS “Lovekillers” (2019)

57: SHY “Shy” (2011)

58: TANGO DOWN “Identity Crisis” (2012)

59: HOUSTON “Ⅱ” (2013)

60: FORTUNE “Ⅱ” (2019)

61: CARE OF NIGHT “Connected” (2015)

62: NORDIC UNION “Nordic Union” (2016)

63: GIANT “Promise Land” (2010)

64: KEE OF HEARTS “Kee of Hearts” (2017)

65: SERPENTINE “A Touch of Heaven” (2010)

66: JIMI JAMISON “Never Too Late” (2012)

67: ART NATION “Revolution” (2015)

68: STEVE PERRY “Traces” (2018)

69: TOKYO MOTOR FIST “Tokyo Motor Fist” (2017)

70: STRYPER “No More Hell to Pay” (2013)

71: SWEET & LYNCH “Only to Rise” (2015)

72: BOSTON “Life, Love and Hope” (2013)

73: DANNY VAUGHN “Myths Legends and Lies” (2019)

74: GRAND SLAM “A New Down” (2015)

75: TWO FIRES “Burning Bright” (2010)

76: PLACE VENDOME “Close to the Sun” (2017)

77: ALLEN / LANDE “The Great Divide” (2014)

78: LIONVILLE “A World of Fools” (2017)

79: FIND ME “Angels in Blue” (2019)

80: ISSA “The Storm” (2011)

81: DEGREED “Lost Generation” (2019)

82: FIRST SIGNAL “First Signal” (2010)

83: TOTO “Toto XⅣ” (2015)

84: HARDLINE “Human Naure” (2016)

85: REVOLUTION SAINTS “Revolution Saints” (2015)

86: DOKKEN “Broken Bones” (2012)

87: TYKETTO “Reach” (2016)

88: GIOELI-CASTRONOVO “Set the World on Fire” (2018)

89: GROUNDBREAKER “Groundbreaker” (2018)

90: LAVALLE “Dear Sanity” (2013)

91: OZONE “Self Defence” (2015)

92: JEFF SCOTT SOTO “Damage Control” (2012)

93: SUNSTORM “Edge of Tomorrow” (2016)

94: ENBOUND “The Blackened Heart” (2016)

95: GRAND DESIGN “Thrill of the Night” (2014)

96: UNRULY CHILD “Worlds Collide” (2010)

97: SUNSTRIKE “Rock Your World” (2014)

98: THE STRUTS “Young & Dangerous” (2018)

99: ALIEN “Eternity” (2014)

100: ASIA “XXX” (2012)

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