NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【GGGOLDDD : THIS SHAME SHOULD NOT BE MINE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH GGGOLDDD !!

“It’s Something I Need To Remind Myself Of Daily. That It Wasn’t My Fault And That All The Shame And Guilt That I Felt Shouldn’t Be Mine. But Should Be Felt By The Perpetrator.”

DISC REVIEW “THIS SHAME SHOULD NOT BE MINE”

「私たちの歌詞は、いつも現実をテーマにしているの。実際の現実のことを書けるのに、ファンタジー的な暗さや悪のような題材を探す衝動に駆られないんだ。それが、私たちの音楽の、辛辣で時に直接的なサウンドにぴったりだと思うのよ」
辛く抑圧的な現実からの逃避場所。目の前の痛みを忘れられるファンタジー。ヘヴィ・メタルがそうして、多くの人の心を癒し救っているのはまちがいありません。バンドの義務は演奏と作曲で、政治的発言や不快な真実を突きつける必要はないと考える人も多いでしょう。それでも、メッセージのあるバンドは、現実と向き合うアーティストは時に、人の心を激しく揺さぶり、音と言論の組み合わせが超常現象を引き起こすことを証明します。オランダの GGGOLDDD がヘヴィ・メタルに込めたメッセージはただ一つ、”合意のない性交をするな!”
「”この罪悪感は私のものじゃない”。それは私が毎日自分に言い聞かせるべきことでもあるの。レイプの被害を受けたのは私のせいではない。私が感じたすべての恥や罪悪感は、私のものであってはならないということをね。それは加害者が感じるべきものなのよ」
GGGOLDDD のメッセージは、痛々しい実体験に基づいています。バンドのフロントを務める Milena Eva は19歳のときにレイプされ、17年間も羞恥心と罪悪感を持ち続けてきました。
それは、彼女がバンドで作る音楽にも時折反映され、波状的に表面化しながらも、決して沸騰することはありませんでした。しかし、パンデミックの停滞期に時間を持て余し、思考が巡る中で彼女のトラウマは完全に噴出し、それが “This Shame Should Not Be Mine” 制作の原動力となったのです。このアルバムは、ただ被害者意識に浸るのではなく、むしろ背筋を伸ばし、身をもって罪の意識を感じさせるほど激しい怒りと非難を秘めることになりました。
「アルバムを書くことが必ずしもセラピーとは言えないと思うけど、そうすることでカタルシスを感じ、あの出来事と真剣に向かい合うことはできた。どちらもセラピーの説明として使える言葉だとは思うのよ。自分があの出来事をどう感じ、何を経験してきたかを言葉にする助けにはなったのよね」
メタルにおいて歌詞はしばしば後回しにされがちですが、”This Shame Should Not Be Mine” では歌詞を素通りすることはできません。性的暴行。そのトラウマを背負った羞恥と罪の意識の人生にスポットライトを当て、婉曲や比喩で和らげることはありません。”Spring”では、死んだようなモノトーンの目で “臭いを消してほしい/皮膚が剥がれるまでシャワーを浴びたい” とつぶやき、”Strawberry Supper” では “オマエは私を太陽と呼び、私を引き裂いた” とレイプ犯に直接語りかけます。そして、”Notes on How to Trust “では、同じ苦痛を再び経験するリスクを冒さず、どうすれば他人にに心を開くことができるかを考えていきます。
音楽を通してトラウマに対処し、トラウマを曲作りに反映させる。LINGUA IGNOTA は、この点で GGGOLDDD の良き理解者でしょう。しかし、これほどまでに荒々しく、直接的な方法でトラウマを扱っているバンドはほとんどなく、Milena の歌詞は詩というよりも、棘の鞭や鋭いナイフのような物理攻撃に特化した武器にも思えます。
この容赦のない怒りの津波は、オルタナティブ、インダストリアル、ブラック・メタルの境界で嘶くその音楽にも反映されています。そしてこの荒涼としたテーマの完璧な背景となりながら、メロディックなフックと反復の魔法によって、このアルバムは頭にこびりつくような麻薬にも似た中毒性を帯びていきます。
もちろん、”This Shame Should Not Be Mine” は、楽しいアルバムではありません。万人受けするようなアルバムでもないでしょう。ただ GGGOLDDD は、近年のメタルらしい不協和音や異質な曲の構成によってではなく、楽曲を難解にしないことによって、アクセスを容易にすることによって、むしろ意図的に不快感を与えているのです。恥や罪、痛みや長い苦しみを加害者の胸の奥に深く、永遠に刻み込むかのように。
今回弊誌では、GGGOLDDD にインタビューを行うことができました。「鎧のコンセプトは、”This Shame Should Not Be Mine” の内容を可視化することだった。この鎧は、私たちがいつも持ち歩いているもの。そして、自分と他者との間に残る、盾のような境界線」 日本の至宝、MONO とのツアーも決定!どうぞ!!

GGGOLDDD “THIS SHAME SHOULD NOT BE MINE” : 10/10

INTERVIEW WITH GGGOLDDD

Q1: First of all, what kind of music were you listening to, when you were growing up?

【MILENA】: oh my, all kinds of stuff really. I grew up with a lot of pop music and when I started developing my taste it became louder, heavier and darker. One of my absolute favorite albums from my teenage years is Dummy by Portishead.

【THOMAS】: Growing up it was all about heavy and extreme guitar music for me. I grew up in the early nineties and I still like to think extreme metal peaked around that period. I moved very quickly from Metallica and Megadeth to Death and Dismember and then again to Darkthrone and Dissection. My favorite album of that period is probably Sentenced’s “North From Here”. Around 1996 I moved more towards hardcore punk, with bands like Unbroken, Integrity and Earth Crisis, and later on bands like His Hero Is Gone, Swing Kids and Reversal Of Man. All extreme and heavy stuff, but in a very different way.

Q1: 本誌初登場です!まずは音楽的なバックグラウンドからお話ししていただけますか?

【MILENA】: 本当にいろいろな音楽を聴いてきたの。私は多くのポップミュージックとともに育ったんだけど、自分の好みがわかってくると、よりラウドでヘヴィでダークな趣味に変わっていったのよね。10代の頃、絶対的に好きだったアルバムは、PORTISHEAD の “Dummy” ね。

【THOMAS】: 子供の頃はヘヴィーでエクストリームなギター・ミュージックばかり聴いていたね。90年代前半に育ったんだけど、エクストリーム・メタルはその頃がピークだったと思う。
METALLICA や MEGADETH から、DEATH や DISMEMBER へ、そして DARKTHRONE や DISSECTION へとあっという間に移行していったよ。この時期、特にお気に入りのアルバムは、SENTENCED の “North From Here” かな。
1996年頃には、UNBROKEN, INTEGRITY, EARTH CRISIS といったハードコア・パンクバンドに傾倒し、その後、HIS HERO IS GONE, SWING KIDS, REVERSAL OF MAN などのバンドを聴くようになっていった。どれも過激でヘヴィーなものばかりだけど、やり方は全く違っていたよね。

Q2: When I think of the Netherlands, I have an image of many symphonic, gothic, and progressive bands fronted by women. Are you influenced by such bands from your home country?

【MILENA】: No, not really. It’s nice that there are so many women in louder music here. But my vision is towards the worldwide scene.

【THOMAS】: And luckily we have a much more diverse scene here with many artists that deserve to be heard all over the world.

Q2: オランダといえば、女声を中心としたシンフォニックやゴシック、プログレッシブなバンドが多い印象ですが、そういった先達に影響は受けているんですか?

【MILENA】: いや、そうでもないと思う。たしかに、オランダはよりラウドな音楽をプレイする女性が多くて、それはいいことだと思うわ。でも、私のビジョンは、もっとワールドワイドなシーンに向いているのよね。

【THOMAS】: そして幸運なことに、ここにはもっと多様なシーンがあり、世界中で聴かれるに値するアーティストがたくさんいるんだよね。

Q3: The project name GGGOLDDD is very distinctive, it was simply Gold until ’21, why did you change it to this name?

【MILENA】: we changed the name for a very pragmatic reason. Nobody could find us online or in streaming services, because the word gold is such a commonly used word. Spelling it this way makes it unique. And it works perfectly, haha!

Q3: もともと、GGGOLDDD は単に GOLD と名乗っていましたよね?

【MILENA】: 名前を変えたのは、とても現実的な理由からなの。”ゴールド” という言葉はあまりに一般的に使われている言葉なので、オンラインやストリーミング・サービスでは誰も私たちを見つけることができなかったのよね。
こうしたスペルにすることで、ユニークな存在になるし、そして、今は完璧に機能しているわ (笑)。

Q4: “This Shame Should Not Be Mine” is a very raw, painful, direct album, right? The album is about the rape Milena suffered when she was 19, why did you decide to release that trauma and anger in music so many years later?

【MILENA】: I didn’t talk about my trauma for a very long time. Not with friends, not with family or therapists. When the world had to go into lockdown I had so much time on my hands that I couldn’t ignore the trauma and the after effects of it any longer. I decided to write a song about it, so I could forget about it. One song was not enough and eventually it turned into a full album.

Q4: “This Shame Should Not Be Mine” は非常に生々しく、痛々しく、そして直接的なアルバムですね。Milena が19歳の時に受けたレイプ被害の傷を綴ったアルバムだそうですが、なぜ何年も経ってからそのトラウマや怒りをアルバムにしようと決めたのですか?

【MILENA】: 私は長い間、自分のトラウマについて話すことはまったくなかったの。友人とも、家族とも、セラピストとも。でも、世界がロックダウンしなければならなくなったとき、私にはあまりに考える時間ができてしまったから、トラウマとその後遺症や影響をこれ以上無視することができなくなってしまったのよ。
それで、あのトラウマを忘れられるように、歌を書くことにしたのね。結局1曲では足りず、最終的にはフル・アルバムになったのよ。

Q5: I hear that not a small number of women who have been victims of rape end up thinking they were responsible for it. And it seems that sometimes people around them think so. Even though, in fact, the victim is not at fault at all. Does the title of this album also reflect your wish to change such a situation?

【MILENA】: Definitely, it’s something I need to remind myself of daily. That it wasn’t my fault and that all the shame and guilt that I felt shouldn’t be mine. But should be felt by the perpetrator.

Q5: 少なくない数のレイプ被害者が、最終的に自分にも責任があったと考え、罪悪感を持ってしまうという話を聞いたことがあります。周りの人間にもそう思う人がいるかもしれませんね。実際のところ、被害者にはまったく落ち度はないわけですが。
“この罪悪感は私のものじゃない” というアルバム・タイトルからは、そういった状況を変えたいという気持ちが読み取れますね?

【MILENA】: 間違いなくそうね。そしてそれは私が毎日自分に言い聞かせるべきことでもあるの。レイプの被害を受けたのは私のせいではない。私が感じたすべての恥や罪悪感は、私のものであってはならないということをね。それは加害者が感じるべきものなのよ。

Q6: “I want the smell to leave me / I want to shower” is a really strong lyric. Rape is such a heartbreaking crime, life changing and it torments the victim for a long time… Was it a kind of therapy for you to put this kind of pain, suffering, and anger into heavy metal?

【MILENA】: I wouldn’t necessarily say it was therapy, but it was cathartic and very confrontational. Terms that could both be used as descriptions for therapy I guess. It helped me put into words how I felt and what I’d been through. But it did not solve any of my heartache and PTSD. I would surely not advise anyone to write an album about their trauma, but I would recommend anybody to go into therapy.

Q6: “匂いを取り去りたい…洗い流してしまいたい” という歌詞には言葉がありませんでした…レイプとは心の殺人で、被害者の人生を変え、長く苦しめてしまう犯罪なんですよね…
そうしたトラウマや痛みをヘヴィ・メタルで洗い流すことは、ある種のセラピーだったのでしょうか?

【MILENA】: 必ずしもセラピーとは言えないと思うけど、そうすることでカタルシスを感じ、あの出来事と真剣に向かい合うことはできた。どちらもセラピーの説明として使える言葉だとは思うのよ。自分があの出来事をどう感じ、何を経験してきたかを言葉にする助けにはなったのよね。
だけど、それは私の心の痛みや PTSD を解決するものではなかったの。だから、自分のトラウマについてアルバムを書くことは誰にも勧められないんだけど、セラピーを受けることは誰にでも勧められると思うのよ。

Q7: Why did you decide to wear armor in your artwork?

【MILENA】: The concept of the armor is to visualize what This Shame Should Not Be Mine is about. It’s something you carry around with you. And the boundary that remains between you and other people, like a shield. It looks badass, but it’s actually a device that wards off physical contact, to help protect yourself. And on top of that, it impairs your movement. It’s hard to live and breathe in it. Which is exactly how I feel.

Q7: アートワークで鎧に身を包んだのはなぜだったんですか?

【MILENA】: この鎧のコンセプトは、”This Shame Should Not Be Mine” の内容を可視化することだった。この鎧は、私たちがいつも持ち歩いているもの。そして、自分と他者との間に残る、盾のような境界線。
見た目は悪趣味だけど、実は物理的な接触を遮断する装置で、自分を守るのには役立つのよね。その上、動きが損なわれる。この鎧の中で生活し、呼吸するのは大変なこと。でも私はいつも、まさにそうやって生きているのよ。

Q8: It is often said that heavy metal is an escape from reality, a fantasy world, but lately, artists like you and Lingua Ignota are taking direct shots at pain and anger. What are your thoughts on singing about reality in metal?

【MILENA】: Our lyrics have always been about reality. I don’t feel the urge to search for subjects that are dark and evil in a fantasy kind of way, when I can write about actual real life things. I think it fits perfectly with the harsh and sometimes confrontational sound of our music.

Q8: よく、ヘヴィ・メタルはファンタジーで、現実からの逃避場所だと言われますが、あなたや LINGUA IGNOTA のように辛い現実と向き合うアーティストも増えてきました。

【MILENA】: 私たちの歌詞は、いつも現実をテーマにしているの。実際の現実のことを書けるのに、ファンタジー的な暗さや悪のような題材を探す衝動に駆られないんだ。
それが、私たちの音楽の、辛辣で時に直接的なサウンドにぴったりだと思うのよ。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED GGGOLDDD’S LIFE!!

Milena: Arca – Kick i, Kick ii, Kick iii, Kick iiii, Kick iiiii

Thomas: Nina Simone “Pastel Blues” because “Strange Fruit” is the most inspiring example of how beautiful and heartbreaking a political song can be, Darkthrone “Under A Funeral Moon” because it turned me towards extreme metal, Earth Crisis “All Out War” because it inspired me to stop eating meat at a young age, The Knife “Shaking The Habitual” because it inspired me to walk my own path musically, Björk “Vulnicura” because it inspired me to arrange songs in a different way than I used to.

Nina Simone “Pastel Blues”。”Strange Fruit “は、政治的な曲がいかに美しく、心を打つかを示す最も感動的な例だから。Darkthrone “Under A Funeral Moon”。Earth Crisis “All Out War” 。若くして肉食を止める気になったから。The Knife “Shaking The Habitual” 。音楽的に自分の道を歩く気になるから。Björk “Vulnicura” 。以前とは異なる方法で曲をアレンジする気になったから。

MESSAGE FOR JAPAN

Konnichiwa! I’ve visited your beautiful country twice and it is an absolute dream to come back one day. Arigatōgozaimasu, Thank you for reading the interview and we hope you will enjoy our music.

Konnichiwa! 私はみんなの美しい国を2度訪れているけど、いつかまた戻るのが大きな夢よ。アリガトウゴザイマス。インタビューを読んでくれてありがとう!

MILENA EVA

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