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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【OK GOODNIGHT : LIMBO】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH OK GOODNIGHT !!

“We Agree That There Are Not Many Women Seen In This Particular Genre Of Music, But There Is, Without a Doubt, a Vastly Overlooked List Of Women Pioneering The Genre With Amazing Talent, And Doing a Lot For Metal And Rock Music As a Whole.”

DISC REVIEW “LIMBO”

「このメタルという特定の音楽ジャンルに女性があまりいないことには同意するけど、このジャンルを開拓し、素晴らしい才能を持ち、メタルやロック音楽全体のために多くのことを成してきた女性は、間違いなく大きく見落とされているわね。Hayley Williams (PARAMORE) みたいなボーカリストや、素晴らしい友人 Adrienne Cowan (SEVEN SPIRES) , Elizabeth Hull がいなければ、今のような自信を得ることはできなかったと思う。そしてもちろん、母である Sandy Casey の指導と助言がなければ、私はどこにも居場所がなかったでしょうね。彼女は私の人生に影響を与えてくれた、最も刺激的なシンガーよ。」
ロックやメタルの世界における女性の躍動は、間違いなく21世紀におけるメジャーなトピックの一つです。ただし、その開拓には古くはジャニスにスージー・クワトロ、アニー・ハズラムから、アンネケ、ターヤ、エイミー・リーまで、ゼロから土壌を培った幾人もの献身が捧げられています。Casey Lee Williams の母 Sandy Casey もその一人。そうして今、引き継がれた遺産はプログメタルの世界を変革へと導きます。
実は、Casey はすでに有名人です。あの全世界で1億再生以上を記録し第8シーズンまで継続されているモンスターコンテンツ、大ヒット3DCGアニメ “RWBY” のサウンドトラックでメインシンガーを務めているのですから。それだけではありません。彼女の父は Jeff Williams。”RWBY” シリーズのコンポーザーで音楽監督。母との共演もそのサウンドトラックで実現。サラブレッドの血と才能は、そうしてさらなるアーティスティックな飛躍を求めました。
「最初のリハーサルの時から、彼女はこのプロジェクトに参加したいと思っていたし、非常に複雑だけど美しい音楽の上に歌を乗せるという挑戦を受け入れたいと思っていたんだ。」
バークリーの知的な複雑怪奇と、アニメの甘やかな表現力。昼と夜、二つの異世界が出会う逢魔時にはきっとこの魔法の言葉が似合います。OK, GOODNIGHT。
「アルバムのコンセプトは、奇妙な扉が開かれ、地球を荒廃させ、誰でも何でも破壊する異世界の巨人がやってきたような巨大な黙示録の中で生き残ろうとしている若い女の子を中心に展開しているよ。」
デビューフル “Limbo” でバンドが語るのは異世界からもたらされた辺獄のストーリー。幼い頃から日本の文化やアートを愛しアニメを見続けた異能のギタリスト Martin と、映画のサウンドトラックを養分とする鍵盤奏者 De Lima、そして “RWBY” で近未来の理不尽な御伽草子を紡ぐ Casey が交わるにはあまりに完璧な舞台です。
「アトモスフェリックなサウンドとピアノを、大きな作品の一部として使用することで、リスナーの心を掴み、より集中して聴くことができるようになると思う。ヘヴィーなギターリフと優雅なテクスチャーの並置は、このバンドのサウンドの大きな部分を占めているよ。」
ストーリーへの没入感を加速する対比のダイナミズムと、メタルとサントラのマリアージュが投影を加速する音映像。もちろん、その難題はバークリーのカラフルなテクニックと、Casey の伸びやかでムード満載な歌声によって実現されていくのです。
クラッシックやジャズ、ポストロックのキメラさえ基本。ここには PROTEST THE HERO も、DREAM THEATER も、PLINI も、RADIOHEAD も、ほんの少しの Djent も、CASIOPEA のようなジャパニーズフュージョンだって、それにアニメのイントロやアウトロのドラマティシズムまでもが繊細に大胆に織り込まれているのですから。最新 EP “Under the Veil” の幕引きに流れる Casey の気高きソプラノは、20年代プログメタルの辿る道をほんのりと照らしているのかも知れませんね。
今回弊誌では、OK GOODNIGHT にインタビューを行うことが出来ました。「僕たちは皆、好きな音楽や音楽を演奏するようになった経緯が全く違っていて、それがアーティスティックな選択にも表れていると思うよ。それに、長所と短所もそれぞれ違っているよね。」どうぞ!!

OK GOODNIGHT “LIMBO” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【TERAMAZE : I WONDER】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH DEAN WELLS OF TERAMAZE !!

ALL PHOTO BY KARINA WELLS

“I Like To Push My Self As a Musician So That Style Lets Me Do All The Styles That I Like To Write, We Fall In And Out Of Progressive Metal Its Anything Goes Really In Teramaze, Thats What Makes It Fun.”

DISC REVIEW “I WONDER”

「僕はミュージシャンとして自分をプッシュするのが好きだから、好きなスタイル全部を込めて作曲が出来るんだよ。プログレッシブメタルの中に出たり入ったり……TERAMAZE では何でもありで、それが楽しいんだ。」
PLINI, HIATUS KAIYOTE, KARNIVOOL, KING GIZZ, CALIGULA’S HORSE, VOYAGER, NE OBLIVISCARIS。オーストラリアが今、多様で真にプログレッシブなアーティストの桃源郷であることは疑う余地もありません。TERAMAZE の Dean Wells はインタビューてその理由を意味不明だと笑いましたが、実は彼自身が意識する “プログメタルに出たり入ったり”、自由自在何でもありのスピリットが彼の地には浸透しているのかも知れませんね。
「Tera とは何兆億もの道を指し、Maze は迷宮。だから、基本的に TERAMAZE とは平和への一つの道を通って自分の進む場所を見つけることなんだ。」
実際、 プログメタルというエニグマティックな迷宮においても、TERAMAZE が辿り到達した道の先は稀有なる特異点だと言えるでしょう。結成は1993年、デビュー作のリリースが95年ですから実はかなりのベテラン。当初はスラッシュメタルや PANTERA の影響色濃いアグレッシブなメタルをプレイしていましたが、2002年の解散、そしてリユニオンを経て、旋律の色彩を解き放つプログレッシブの昴として瞬き躍動しているのですから。
Dean が人生を変えたアルバムの一枚に SAVAGE GARDEN の “Affirmation” を挙げていることは、彼らを紐解く重要なヒントなのかも知れません。90年代を席巻した同郷オーストラリアのポップレジェンドは、たしかに TERAMAZE の遺伝子を改変しました。
メランコリーを帯びた官能的な歌声と旋律。洗練と無機の狭間で揺らぐ未来型シンセとドラムパターン。そんな二極を混淆して新世界への扉を開けた SAVAGE GARDEN の哲学は、そのまま TERAMAZE のエモーション極まるポップログメタルへと通じています。
「”Lake 401″ はたしかにサクスフォンととてもよく似ているよね。面白い話だけど、サックスは僕が初めて習った楽器で、正直嫌いだったんだ。(笑) でも今はそのサウンドが大好きだよ。実に歌っているようだからね。」
Dean の別プロジェクト、エクストリームな MESHIAAK のアルバムを聴けば、彼のテクニックが今まさに臨界へと達していることは明らかです。それでも、Dean が TERAMAZE でギターを捌くのではなく語らせるのは、ポリリズムやプログレッシブに潜む歌心を何よりも重視しているからでしょう。
そうして遂に Dean は最新作 “I Wonder” で自らが歌うことを選びました。バンドにとっては3作連続で異なるシンガーがフロントを務めることになりましたが、どうやら Dean の感傷的なソフトボイスは TERAMAZE の進化へと完璧に寄り添っているようですね。
アルバムには10分に迫る大曲が多数配置され、構成の妙やリズムの魔法で目眩く闇と祈りの絵巻物を象っていきます。それでも作品で最も印象に残るのは、”Lake 401″, “A Deep State of Awake”, “I Wonder” のような甘く切ないメロディーの輝き。逆に言えば、きっとポップソングは5分以内という常識を打ち破るのが何でもありの TERAMAZE なポップログ。
今回弊誌では、Dean Wells にインタビューを行うことができました。「僕たちは自分たちを、信念に従い音楽を書こうとしている人間以外の何者でもないと思っているんだ…僕は自分の信念を持っているし、それが音楽に浸透していくこともあるんだけど…でも、俺たちはただの TERAMAZE なんだよ。どんなラベルも関係なくね。」 どうぞ!!

TERAMAZE “I WONDER” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【COUNTLESS SKIES : GLOW】2020’s OPETH FROM UK


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JAMES PRATT OF COUNTLESS SKIES !!

“Maybe, Some Of The People Who Miss The Death Metal Elements Will Enjoy Glow. I Think If Nothing Else, It Has The Diversity That Was Found In Early Opeth.”

DISC REVIEW “GLOW”

「”Glow” では、プログの要素をより多く取り入れて、他の音楽からの影響も取り入れた。僕は今も自分たちのサウンドを保ちたいと願っているんだ。ただし、新たなダイナミックな方法でね。今は自分たちのサウンドを見つけ始めていると思う。」
メロディックデスメタルは多くのファンに愛されるジャンルですが、あまりにそのサウンドが明確なため、90年代初頭の予定調和が繰り返されるだけという側面も否めません。実際、21世紀以降、この場所に新鮮な空気を持ち込んだ異能は数少なく、DARK TRANQUILLITY, INSOMNIUM, OMNIUM GATHERUM といった創始者に近い英傑たちに進化を委ねるしかありませんでした。
「僕たちは BE’LAKOR の大ファンなんだ。彼らは、自分たちの良さの基本を守りながら、常に変化し、新しいサウンドを探求しているバンドだからね。彼らの最新アルバム “Vessels” は、音楽的にも非常に異なるものになっている。」
僅かな例外の一つが BE’LAKOR で、彼らのプログレッシブな旅路が多くの後続を勇気づけたことは間違いありません。北欧のメランコリーからかけ離れた高級住宅街、イングランドのハートフォードシャーに現れた COUNTLESS SKIES もそんなバンド一つです。BE’LAKOR の名作 “Stone’s Reach” のファイナルトラックをバンド名に戴き、彼らの最新作 “Vessels” と自らのデビューフル “New Dawn” のリリースデートを合わせこむ COUNTLESS SKIES の BE’LAKOR 愛は本物。ただし、受け継いだのは音楽性そのものではなく、挑戦者の哲学とスピリットでした。
「有能なバンドを際立たせているのは、メタルをはるかに超えたところから影響を受け取り入れる能力だと思うからね。プログメタルは、他のジャンルのように特定のサウンドに限定されていないから好きなんだ。僕たちはメロディックデスメタルの観点からプログレッシブメタルに取り組んでいるんだ。」
BE’LAKOR や INSOMNIUM に薫陶を受けたデビュー作はあくまでプロローグに過ぎませんでした。オペラティックな歌声、プログレッシブな楽曲構成、メタリックな感性を刺激するテクニカルな嘶き、そしてストリングスやクワイア、メロトロンの優雅で重厚なノンメタルな響き。その全てがタペストリーの如く、メロディックデスメタルの下地へと幾重にも重ねられていきます。
「今回はオーケストラの要素がとても楽しかったね。使用した楽器は、それぞれの曲のアイデンティティーの大きな部分を占めていると思う。」
英語には Glow と Grow Up を掛け合わせて「大きく変貌を遂げる」という意のスラング Glow Up が存在しますが、COUNTLESS SKIES の最新作 “Glow” はまさに Glow Up な傑作です。
ブラストビートに重なる ANATHEMA、メロデスの DEAFHEAVEN とでも形容したくなる鮮烈なオープナー “Tempest” は、”We’re Here Because We’re Here” と同種の希望やエナジーをもたらすオレンジの嵐。BLIND GUARDIAN のゴージャスさえ纏った “Summit” の一方で、INSOMNIUM 直系の獰猛とメランコリーを伝える “Moon” はエセリアルなピアノの響きと共にバンドの出自を示し、夕映えに佇む月の哀愁を物語るのです。
「デスメタルの要素を恋しく思っている人たちの中には、”Glow” が楽しめる人もいるかもしれないね。何より、初期の OPETH に存在した多様性を持っていると思うから。」
極め付けは、3楽章20分から成るタイトルトラックでしょう。メロトロンにストリングス、フォーキーなダンスに現代的アトモスフィア、エアリーなハーモニー、そのすべてを抱きしめ OPETH の哲学で裁縫した空の織物は間違いなく20年代を代表するプログエピックでしょう。プログメタルとメロデスが鬩ぎ合いながら幕を引くエンディングは鳥肌もの。もちろん現存するバンドですが、それでも2020年の OPETH と信じたいほどに遺産を気高くアップデートしているのです。
今回弊誌では、リードギタリストにしてコンポーザー James Pratt にインタビューを行うことができました。「BLMを公に支持している人々に対する反発が大きかったことを覚えているよ。ああいった混乱の時には、人々と関わることが大切だと思うね。偏屈な人は常に存在するけれど、中には誤った情報を持っている人もいて、なぜそれが重要なことなのか、きちんとした説明を必要としている人もいるんだから。」FORWARD. THINKING. METAL.は空に映える。どうぞ!!

COUNTLESS SKIES “GLOW” : 10/10

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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【OCEANS OF SLUMBER : OCEANS OF SLUMBER】


COVER STORY : OCEANS OF SLUMBER

“I FEEL LIKE MY HISTORY IS BROKEN, I FEEL LIKE AMERICA IS BROKEN”

OCEANS OF SLUMBER

女性であること。黒人であること。ヘヴィーメタルには直結しない2つの特徴を持つ Cammie Gilbert は、OCEANS OF SLUMBER へと加入した2015年、自らに一握りの不安を抱えていました。
「メタルの世界に入った時、黒人女性であることや、必ずしもメタルのバックグラウンドばかりを抱えているわけではないことにかなり負い目を感じていたのはたしかね。」
バプテスト派の家庭で育ち、IRON MAIDEN や METALLICA より R&B やヒップホップが鳴り響く街並み。両親は教会の聖歌隊で出会い、プロのミュージシャンである父親が聖歌隊のリーダーを務めていました。”南部出身の黒人女性” としての経験をいかにメタルへと反映させるのか。しかし Cammie は自身のバックグラウンドが、思っていた以上にメタルと調和していることに気づきました。
「私はメタルから歌を教わったわけじゃない。だけど、私が歌を教わったゴスペル、ジャズ、ブルースのヴァイブやエッセンスはプログメタルが存在し成立するまさにその理由の一つなのよ。だから私はメタルが大好きなの。美学やアトモスフィアもそうだけど、エモーションや細部への拘りもね。」

興味深いことに、Cammie の人生に最も早く寄り添ったメタルは、Layne 逝去のあと、黒人ボーカリスト William DuVall と共に前へと進む ALICE IN CHAINS でした。
「初めてロックやオルタナティブを聴き始めた時、ALICE IN CHAINS の “Dirt” が私を揺さぶったの。KORN や SLIPKNOT は激しすぎて家では聴かせてもらえなかったんだけどね。感情が込められているのよ。悲しみや痛み、ヘヴィーな感情を理解するのはあの頃の私にとって未知のことだったのよ。」
Layne Staley や Chris Cornell のソウルフルが彼女のルーツと共鳴したのです。
「当時、私の周りにはロックやメタルにハマっている黒人の子供はあまりいなかった。だから少し孤立していたの。でも、それが私が感じていた音楽だったから。大学まではちょっとした一匹狼だったわ。大人になってライブに行けるようになるまでは、メタルやロックシーンのコミュニティの感覚を得られなかったわね。」

数年後、Cammie は自らロックバンドで歌っていました。彼女が所属していたバンドは、ある日ヒューストンで開催された OCEANS OF SLUMBER のショーのオープニングを務めました。
「私はルーサー・ヴァンドロスを聴いて育ったから、ウォームアップとしてメロディックでビッグな曲を演奏していたの。駐車場で叫んでいたら、Dobber の友達が私を見ていたわ。私はこのショーで唯一の黒人の女の子で、鮮やかなエレクトリックブルーのドレスを着ていたから、かなり目立っていたのよ。私たちがパフォーマンスをしたとき、Dobber たちが真顔で私たちの前に立っていたのを覚えているわ。私は『彼らは私たちを嫌っている』と思ったわ。(笑) でも、そんなことはなかったわね。後日、彼らは私に連絡してきたの。」
バンドは Cammie に何曲か歌ってほしいと頼み、2014年にオリジナル・シンガーの Ronnie が脱退した際、彼女が後任となりました。今では CammieとDobber が OCEANS の舵取りを行い、Dobber が楽曲の「85~90パーセント」を書き、Cammie が作詞を担当しています。そして彼女が加入した後、二人の関係は音楽を超えてロマンチックなものへと発展していきました。


2人を繋ぎ合わせた TYPE O NEGATIVE の “October Rust” も彼女、そしてバンド全体にとって重要なレコードです。
「Peter Steele が大好きなの。私たちは TYPE O NEGATIVE が大好きで、彼らのアルバムは何枚も持っているけど、私にとってはこの作品がメインよ。”Cinnamon Girl”、”Be My Druidess”、そして “Wolf Moon”。Dobber は一度彼らのライブを見たことがあるのよ。うらやましいわ。私は Peter の自伝を読むことで埋め合わせなければならなかったの。バンドに関するメディアならは何でも買っているわ。彼らの曲を聴くのは経験になるのよ。Peter はとても賢い作詞家だから。聴いている音楽の中で一番面白い音楽だと思う。エネルギーを高めてくれるし、幸せな気分にさせてくれるわ。」
ANATHEMA, KATATONIA, SWALLOW THE SUN といった Peaceville 由来のゴシックドゥームな音モスフィアも当然 Cammie の養分です。
「ラブシックな音楽よね。クルーナー的な意味ではなく、切ない憧れとストーリー性を持った、かなりロマンティック。甘くて切なくて、夜にピッタリな音楽だわ。」
EVERGREY のプログレッシブな音の葉は OCEANS OF SLUMBER のスピリットと切っても切り離すことはできません。
「全員 EVERGREY の大ファンなの。”The Storm Within” は私の心を掻き毟り、彼らのエネルギーとボーカル Tom S. Englund が語る経験に引き込まれるわ。彼は信じられないほどソウルフルなのよ。OCEANS は彼らに比較的似ていると感じているの。素晴らしくとてもヘヴィなアルバムよ。」

つまり、メタルは他の何ものにも出来ない方法で人と人を絡み合わせると彼女は信じているのです。
「目を閉じていると、彼らの現実が、経験が伝わるのよ。私はいつも身体の外に出るような体験を探しているから。一瞬、私たちは完全に歌と一体となり、楽曲の書き手と一体となる。」
音楽的にも、プログ、ジャズ、R&B、ドゥームにゴシック、デス、ブラックといくつもの垣根を取り払ったセルフタイトル “Oceans Of Slumber” において、Cammie はそうやって文化や人種の壁も取り払いたいと切に願っています。Dan Swano のミキシングとテキサスヒューストンの組み合わせもその主張を実践していますね。
「ドラマーで私のパートナーでもある Dobber がこのレコードで君のことを語ろうと言ってくれたの。南部に住む黒人女性としての私の気持ちをもっと大きなスケールで OCEANS の音楽に反映させようってね。それってメタルコミュニティにはまだあまり浸透していない視点なの。だから、彼の言葉は、自分の人生の中で感じている怒りやズレ、混乱、葛藤などを、本当に深く掘り下げていくための青信号になったわね。私たちは、明らかにいつも存在し、常に問題となっているものを探求し始めたの。長い間、ある種のカーペットの下に押し込められていた問題をね。」
ジョージフロイド氏が殺害され、Black Lives Matter が世界を揺るがした時、Cammie の発したステイトメントは胸を打ちました。

「私はアメリカの黒人女性で、奴隷の曾孫娘。それは写真の中だけの記憶。幼い頃、私は奴隷の生活を想像しようとしたわ。だけど今起こっている現実は、私の子供じみた想像力の裏にある謎を解き明かしてくれたの。南北戦争ドキュメンタリーの古い写真を見ると、彼らの顔が見えるわ。マーティン・ルーサー・キング・ジュニアに触発された行進の映像を見ると、彼らの顔が見える。そして今、ソーシャルメディアにサインインして、催涙ガスをかけられているデモ参加者を見ると、彼らの顔を見ることができる。そして今は私の顔も見えるのよ。
黒人の上院議員、市長、有名人、勇敢な人々がネット上でこの国の欠点に対する不満を共有しているとき、私はもう怒りの涙を抑えられないの。全国放送のテレビで、これまで以上に多くの黒人が泣いているのを見てきたわ。自分の歴史が壊れたような気がするし、この国が壊れたような気がする。ジョージ・フロイドは転機となった。新世代が「もういい加減にしろ」と言うきっかけになった。彼の人生を奪った紛れもない冷酷さを無視することはできなかったの。彼の死がビデオに撮られたことは、感情的にはぐちゃぐちゃになっていて居心地が悪いけれど、それでも幸運だと思っているわ。それはついに世界に、何十年もの間、ネイティブアフリカンのアメリカ人が注意を喚起しようとしてきたことを、自らの目で見る機会を与えてくれたから。物事はまだ壊れている。とても、とても、壊れている。
アメリカの歴史を考えてみると、白人でない者に良いことはほとんどないの。それが真実よ。色々な情報を鵜呑みにすると胸に空洞感が残るのよ。この国は何かを直しているのではなく、何かを手放しているのだと気づくわ。壊れ始めたのは、間違った方法で、間違った土台と間違った考え方で始まったから。始める前に対処することを選んだ。他者への抑圧を維持することで強さを維持することを選んだ。楽な道を選んだその同じ道が常に足かせになることに気づかずに。もはや息を止めたり、憎しみや抑圧のためのスペースを確保したり、安易な道を選んだりすることはできないわ。国家として、私たちは最も脆弱で最も問題を抱えた人々や地域社会に思いやりとケアを示さなければならないの。彼らを奮い立たせれば、私たち全員が奮い立つでしょう。彼らを貶めるものが我々を貶めるのと同じように。コミュニティに属することは意味があることに気づくのが早ければ早いほど、私たちは前に進み、すべての人のために真の変化を起こすための連帯感を見つけることができるのだから。
抗議活動の勢いを持続させ、前進させるためにはどうすればいいのだろうか。これは、すべての人が反省するための時間。自分の信念が自分の人生をより良いものにしてきたのだろうか?私の信念は、私の周りの人々の生活をより良いものにしただろうか?正直に答えて、よく考えて欲しい。私たちの未来は、それにかかっているから。」

音楽的に、アルバムは以前よりもその壮大さを増しています。Cammie の言葉を借りれば「Dobber は存在しない映画のサウンドトラックのように作曲している」。そうしてこれまで OCEANS の旅は、より内省的なものでしたが今回のセルフタイトルでは、より広い社会的なトピックや過去からインスピレーションを受けていることに気がついたのです。さながら、壊れた世界のサウンドトラックの如く。
「1年ほど前に第二次世界大戦の映像をカラー化した『第二次世界大戦 HDカラー』が公開されたんだけど、Dobber は大の歴史好きだから見に行ったんの。カラーで見ると物凄いわ。とても現代的に見えるから、頭の中では違った感覚になるのよね。戦争の原因となったもの、文化の分派、社会学、心理学を学んだわ。ヒトラーの台頭や、彼がいかに上手くやったのかを。パターンが見えてきて、それが今の時事問題とどのように関係しているのかが分かるようになる。新しいことは何もないことに気づくの。私たちは第一次世界大戦からベトナムまで、戦争と国際関係の深い穴に入っていったのよ。
そのあと『どうやってみんなに歴史を伝えればいいのだろう?みんなこの歴史を知っているのだろうか?!』と思ったわ。人々は歴史を知らないし、それが今の状況にどれだけ影響を与えているかも知らないような気がしたのよ。もしあなたが精神疾患を持っていたら、心理学者はあなたがどのように育ったのか、どこから来たのかを尋ねるでしょう?社会として、文化として、自分の歴史を見なければならないのよ。」

例えばブラックメタルがナチスの問題を抱えるように、メタル世界にも取り払うべき差別の壁は存在します。
「メタルコミュニティの中から、私の視点にこんなにも多くの支持が寄せられていることに驚いたわ。身近な友人の輪の中から、波紋が広がって、まさか共有するとは思ってもいなかった人たち(メタル界の白人男性)が、『俺たちはこれを乗り越えたいんだ。俺たちは解決すべき問題を抱えているし、変化が起こるべき正しい側にいたいんだ。』なんて言葉が寄せられるなんてね。明らかに、ここには多様性があるべきなの。すべてのミュージシャンはその生い立ちや文化ではなく、音楽性に基づいてチャンスが与えられるべきなのよ。その外見ではなく、音楽性でチャンスを与えるべき。そうすれば、音楽だけでなく、バンドのメンバーも多様化して、様々な人たちが集まることになるはずなのよ。」
パンデミックからBLM運動まで、これまでの2020年の出来事を考えると、Cammie の歌詞は今の時代にあまりに符合しています。
「今振り返ってみて、何が私たちをこれほどまで時代と関連性のあるアルバムを作らせたのか、その軌跡を見ようとしているの。私は偶然を信じない。実際、他の人たちも同じような軌跡をたどっていたと思う。人々は今、その歴史や、認識や制度がどのように彼らの周りの世界を形成してきたかに注目しているわ。一度真実とすべての情報を知ると、それを見逃すことはできないの。」

Cammie の作詞へのアプローチは思慮深く、創造的です。”Pray For Fire” では、再生と破壊両方のための火の対照的な機能を探求しています。つまり人々と土地を守るため、国有林での制御された燃焼と、戦闘での火炎放射器の使用。
ファーストシングル “A Return To The Earth Below” では、自身の鬱病との闘いを、より幅広い社会のパターンとともに考察しています。「私は自分自身を助けるために、集中して前を向いて努力し続けなければならないと感じているの。誰にでも対処することや克服しなければならないことがあるわ。それをもう一度紐解いてみると、社会がいかに悪いパターンに陥っているかがわかるのよ。物事がうまくいっているように見えても、ヒトラー・ユーゲントのように、ゆっくりと、誰も気づかないうちに追い越されてしまうこともあるんだから。」
Cammie の文章には遊び心もあります。クローザー “The Red Flower” は女性としての葛藤と矛盾についての曲で、TYPE O NEGATIVE の “Wolf Moon” カヴァーが続きます。
「”The Red Flower” は女性らしさを歌った曲で、Peter Steele の超ロマンティックなラブソングが続くのよ。(笑) 彼は愛に溢れた男で、彼女のストレスを少しでも和らげたいと思っているのよ!あの曲を女性としてカバーするのはちょっと生意気だと思ったけどね。」

Cammie は将来、特に次世代に希望を持っています。
「子供たちは私たちが生きてきた頃よりも多くの情報を目にするようになってきていて、それが良い意味で彼らを形作っていくのは間違いないと思う。これからの世代は、情報に精通し、賢く、感情的に賢い世代。私は彼らが行動を起こして、過ちのいくつかを元に戻すと信じているわ。私は長い目で見て希望を持っているの。」
アメリカの会場が安全に再オープンし、OCEANS OF SLUMBER のツアーが許可されれば、Cammie は、旅を通して経験するすべての景色、匂い、味の感覚をまた満喫したいと語ります。
「会場に到着して、荷物を降ろして、街に繰り出す瞬間が恋しいわ。まだ開場していないし、皆が荷物を積み込んで、サウンドチェックをして、そして会場のドアから飛び出して外に出て、日の光に目を慣らしながら外に立ち、どこの街でも、どこの国でも、賑やかな通りを見て、すべてを受け入れるの。そして、オープン前の小さな探検の時間を過ごすのよ。地元のおやつ屋さんを見つけたり、コーヒーや食べ物を買いに行ったり。それが一番懐かしいわ。戻ってくるかどうかもわからない何かを待っている気分よ。例えば、飼い猫が逃げてしまった時のように。内向的な自分が思っていた以上にステージが必要なの。人が必要なの …ほとんど誰にも会わなかったこの期間で、思っていた以上に人や観客、ビジネスを失ったことは間違いない。ステージに立って、自分の歌を熱心に聴いてくれている人たちが受け止めてくれていることほど素晴らしいことはないの。それこそが繋がりよ。もう二度とそれを経験できないという考えは、心の中の何かを破壊してしまうのよ。」

参考文献: KERRANG!:OCEANS OF SLUMBER’S CAMMIE GILBERT: “I FEEL LIKE MY HISTORY IS BROKEN, I FEEL LIKE AMERICA IS BROKEN”

KERRANG!: OCEANS OF SLUMBER ARE THE SOUNDTRACK TO A BROKEN WORLD

HOLLYWOOD LIFE: OCEANS OF SLUMBER’S CAMMIE GILBERT

LOUDERSOUND : 10 ALBUMS THAT CHANGED CAMMIE’S LIFE

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COVER STORY + INTERVIEW 【CEMICAN : IN OHTLI TEOYOHTICA IN MIQUIZTLI】AZTEC METAL SHAMAN FROM MEXICO


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH OF XAMAN-EK & TLIPOCA OF CEMICAN !!

“We Believe That Ritual Sacrifices Represent a Mystical Part Of Pre-Hispanic Mexico, Which Could Not Be Left Out Of The Show.”

AZTEC ROOTS, PRIDE AND RITUAL

「ここ数年、ラテンアメリカでメタルは本当に強力なんだ。まあ世界中でそうなんだが。メキシコ人はアグレッシブなサウンドを愛しているから、メタルは我々の文化を拡散するのに最適な方法なんだよ。」
ヘヴィーメタルとフォークミュージック、伝統音楽の絆はあまりに深く強靭です。スカンジナヴィア、欧州、アジア、北米。もちろん、1996年、SEPULTURA がマトグロッソの先住民族シャヴァンチと共存した “Roots” を見れば、古のラテンアメリカとヘヴィーメタルにも時を超えた親和性があることに気づくでしょう。
「CEMICAN とは同じ意味の中で生と死全体を表す言葉であり、それはこれまですべての時の間に学んだすべての知識と知恵を統合しているんだよ。」
2006年、メキシコに示現した生と死の二元性を司るアステカのメタル司祭にとって、Xaman-Ek の加入は大きな出来事でした。アステカの文化や言語ナワトルに精通するステージのシャーマンによって、CEMICAN はプレヒスパニック文化やアステカの神話をメタルのアグレッションや知性へと昇華させる唯一無二へと変貌したのです。
伝統的な管楽器や打楽器を、装飾としてでなく、勇気を持って楽曲の中心に据える戦士の魂こそ CEMICAN の原点。そうして彼らはアステカの伝統に敬意を表しながら、ボディーペイント、羽毛や骨の頭飾り、甲冑を身につけてステージに立つのです。
「ナワトル語は我々の祖先が使用していた言葉だからな。彼らは自然の力とコミュニケーションを取るためにも使用していたんだ。ナワトル語は、今でもいくつかの地域では話されているんだよ。」
ステージ名やアルバムのタイトル、時には楽曲やその歌詞にもアステカやインディオの先住民の言語を使用する CEMICAN。ただし、唸りをあげる歌詞の大半はスペイン語で書かれています。今でもメキシコ公用語の一つで、170万人の話者を持つと推定されるナワトル語ですが、それでも理解が出来るのはごく一部の人たちだけ。CEMICAN はアステカの文化を世界に運ぶため、より柔軟でグローバルな視点も有したバンドなのです。
「我々は全員が伝統音楽からメタルまで、様々に異なる影響を受けてきた。しかし常に我々の文化とフォルクローレは必ず心に留めているのだよ。」
Xaman-Ek はスラッシュとパンク、Tecuhtli はデスメタルやシンフォ、ブラックメタル、Tlipoca はクラッシックなメタルとスラッシュ、Ocelotl は Nu-metal。多様な影響を咀嚼したメタルの万華鏡も CEMICAN の魅力です。何より、シンセサイザーとプレヒスパニックの楽器を融合させたエレクトロニカの先鋭 Jorge Reyes が、メキシコに点在する様々な遺跡で行ったコンサートは CEMICAN の心臓部に深く刻まれる刻印となりました。
ナワトル語で “死者の神秘的な道” を意味する最新作 “In Ohtli Teoyohtica In Miquiztli” はバンドのディスコグラフィーにおいて最も洗練を極める、世界を見据えたモジョの道。古代のドラム、笛、フルート、クレイオカリナ、貝殻、女性ボーカルの巧みな配列は、異様な高揚感を伴いながらアステカに育まれる第五の太陽を導きます。一方で、時に DEATH や CYNIC, ATHEIST, MEGADETH にも通じる神秘的な攻撃性は、その太陽へ捧げられる生贄の残酷でしょうか。もちろん、生と死の二元性という CEMICAN の名が物語るように、彼らのステージにも不可欠な、太陽の力を得るため心臓を捧げ人肉を啜る神聖な生贄の儀式は残酷の一言で片付けられるほど単純なものではありませんでしたが。難問は現代の音階とズレが生じる不安定な伝統楽器の揺らぎでした。
「最初は正しい調性、音階を見つけるのに苦労したものさ。だけど遠く離れた古の職人の楽器でも、馴染みのある現代の音階に近い音色を持たせることに成功したのさ。」
CEMICAN はドイツの Wacken Open Air やフランスの Hellfest といった大規模なイベントにも出演し、メキシコ国外でのオーディエンスを増やすために努力を重ねています。メキシコ第三の都市モンテレイより、フランスでの演奏回数の方が多いという実績は、まさに彼らがケッアルコアトルのドラゴンである証明でしょう。
「ヨーロッパはバイキングやケルトといった古代文化に根ざし、もちろんバイキングメタルも有名だけど、メキシコの古代文化には馴染みがないんだよ。 すべてがボディペイントで、頭には火と羽がついているから目と口を大きく開けて怖がったり、驚いたりする。だけど3~4曲目には、ステージ上で起こっていることを理解し、愛してくれるようになるんだ。」
今回弊誌ではアズテックメタルで儀式を担当するパフォーマー Xaman-EK と、創始者でドラマー Tlipoca にインタビューを行うことが出来ました。日本の祭囃子にも通じる不思議。今や世界のどこにでもメタルは存在します。それこそがメタルに備わる包容力の証明。第三世界の逆襲。どうぞ!!

参考文献: Daily Bandcamp

CEMICAN “IN OHTIL TEOYOHTICA IN MIQUIZTLI” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【PALLBEARER : FORGOTTEN DAYS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JOSEPH D. ROWLAND OF PALLBEARER !!

“I Do Have a Great Love For The Bands Who Shifted Into Something Not Quite Prog, Not Quite AOR. Asia, And 80s Rush Are a Great Example Of That.”

DISC REVIEW “FORGOTTEN DAYS”

「KING CRIMSON や URIAH HEEP, MAGMA といったバンドは、たしかに現在のドゥームに通じている部分があると思う。そして重要なのは、個人的に僕は今日のどんなバンドより遥かに大きなインスピレーションを、そういったバンドから継続的に得ていることなんだ。」
多様化、細分化が進行するモダンメタルの時代において、フューネラルドゥーム、エピックドゥーム、ドゥーム/ストーナー、ゴシックドゥームとその陰鬱な墓標を拡散するドゥームメタルの新たな埋葬は大きなトピックの一つです。
中でも、PALLBEARER 以前、PALLBEARER 以降とまで区分けされるモダンドゥームの棺付き添い人は、愛する70~80年代のプログロックから受け継いだ仄暗き哀愁や知性を伴いながら、プログレッシブドゥームの扉を開けました。
「僕たちは常に変化と進化を第一の目標の一つとして進んできたよ。だから、純粋な続編となるような、似たようなレコードは一つもないはずなんだ。」
PALLBEARER が2017年にリリースした “Heartless” はプログレッシブドゥームのまさに金字塔でした。さながら幾重にも織り込まれた闇のタペストリーが寄り集まるように、繊細で複雑で装飾豊かに設計されたドゥームの聖堂では、その荘厳故に幾度も訪れることを義務付けられたプログとドゥーム、オルタナティブ、そしてクラシカルの宗派を超えた礼拝を司っていたようにも思えます。ただし、真のプログレッシブとは一箇所に留まらず、変化と進化を重ねること。
「僕たちは複雑さや装飾性を自分たちが納得するまで追求してきたんだけど、その領域を離れてもっと広い意味でのエモーショナルなもの、自分たちにとっては違うインパクトのあるものを作りたかったんだ。」
バンドの中心 Joseph D. Rowland は、デビュー作 “Sorrow & Extinction” 製作時に愛する母を失いました。その感情の解放は、10年という時を経て家族をテーマとした “Forgotten Days” に降り注ぐこととなりました。
母の死という喪失が自らをどう変化させ、形成したのか。山ほどの後悔と内省、そして人生における選択の重さをドゥームに認めた作品は、明らかに以前よりダイレクトで、生々しく、そして重苦しく、エモーショナルです。
「僕はね、完全にプログレではなく、完全にAORでもないものにシフトしていったバンドをとても愛しているんだよ。ASIA や80年代の RUSH はまさにその良い例だと思う。」
壮大な組曲の後に素知らぬ顔でポップソングを収録する。クラッシックロックにシンセサイザーや電子の実験を持ち込んでみる。Joseph の言葉を借りれば、プログレッシブから芸術的なやり方で王道に回帰する。過渡期のロック世界に花開いた得体の知れない徒花は、エリック・サティーやグレゴリオ・アレグリといったクラッシックの音楽家と同様に Joseph の内側へと浸透しています。典型からの脱出。そもそもロックとは得体の知れない何かを追い求めることなのかもしれませんね。
実際、これまで交錯した音の樹海を旅してきた PALLBEARER にとって、このレコードは “Asia” であり、”Big Generator” であり、”Moving Pictures” なのかも知れません。オープニングを司る “Forgotten Days” は王道のドゥーム世界へと回帰しながら、即効性と中毒性の高いキャッチーな旋律でリスナーを憂鬱のノスタルジアへと誘います。一方で、KING CRIMSON の “Fallen Angel”, “Starless”, そして “Epitaph” の叙情をドゥームへ繋げた “Silver Wings” はバンドのプログレッシブな哲学を伝えますが、それでも以前より実にオーガニックかつ濃密です。
SUNN O))) や EARTH を手がけた Randall Dunn のアナログでライブ感重視のセンスが、PALLBEARER の新たな旅路のコンパスとなったことは確かでしょう。ハイライトは閉幕の2曲。凍てつくような厳寒に美麗を織り交ぜた “Rite of Passage” では、Brett Campbell が Geddy Lee と Alex Lifeson の一人二役をこなしながらエピックドゥームの進化を提示し、DEPECHE MODE のポストパンクを咀嚼した “Caledonia” を自らの進化の証とするのです。
今回弊誌では、Joseph D. Rowland にインタビューを行うことができました。「YES の楽曲 “Big Generator” には信じられないほどヘヴィーなギターリフが入っているんだ!もちろん、プロダクションの選択やサウンドの中には、今では少し時代遅れと思われるものもあるかもしれないけれど、僕は PALLBEARER とこの曲の間にとても親近感を覚えているんだよ。」 どうぞ!!

PALLBEARER “FORGOTTEN DAYS” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SCARDUST : STRANGERS】SONIC STARDUST FROM ISRAEL


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH SCARDUST !!

“The Name Holds Two Opposites. The Scar Dust Is The Trauma, It Is Ugly And It Hurts. But When You Join Both Words Together It Sounds Like Stardust, Which Is Something Ethereal And Beautiful.”

DISC REVIEW “STRANGERS”

「イスラエルには小さいながらもとてもパワフルで、最高のメタルバンドが集まっているのよ。ORPHANED LAND, WALKWAYS, SUBTERRANEAN MASQUERADE といった有名なバンドは氷山の一角に過ぎないの。」
米国と欧州、そして中東の交差点イスラエル。時に火薬庫にもなり得る複雑なその地で、音を宗教とするアーティストたちは、現実社会よりも容易に文化間の距離を縮めています。
デビューフル “Sands of Time” があの Prog 誌から “Extraordinary” という絶賛を浴びた SCARDUST も、イスラエルが生んだ極上の架け橋の一つ。世界に散らばるインスピレーションの結晶を集めながら、プログメタル無限の可能性を追求していくのです。
「僕はシンフォニックメタルというのは、プログロックの歴史を紐解けばその延長だと考えることが出来ると思っているんだ。」
バンドの専任コンポーザー、アレンジャー Orr Didi は、クラッシックとロックの甘やかな婚姻から始まったプログロックの起源が、現在のシンフォニックメタルへと続いている、そう主張します。実際、SCARDUST の音楽は荘厳なクワイアやストリングスのクラシカルな響きを抱きしめながら、メタルに宿るアグレッション、複雑な不合理、そしてテクニックの洪水をもしっかりとその身に受け止めているのです。
「優れたテクニックを持つことは、このジャンルには不可欠な要素だと思っているの。」
中でも、驚異的なハイトーンからグロウル、ラップにスキャットまで、ありったけの情趣を注ぎながら自由を謳歌する Noa Gruman の千変万化な詩情はあまりに独特に、楽曲の表情をコントロールしていきます。
実際、Russell Allen と Floor Jansen, そして Whitney Huston がディズニーの魔法で溶け合ったその歌の万華鏡は、JINJER の Tatiana Shmaylyuk に匹敵するほどユニークを極め、”テクニックとは肉体的なプロセスでありながら、心、身体、魂、表現を一つに結びつけ、感情的な側面を最終的な形に持っていくことを目的としているんだ” のギタリスト Yadin の言葉を実践しています。
「イスラエルに最高のオーディエンスがいることは確かなんだけど、その人数は決して多くないから母国よりも遠く遠く離れた世界を対象に音楽を演奏し、作らねばならないと理解しなきゃいけないんだよ。それがある意味もどかしい部分ではあるんだけどね。」
アートとエモーションの粋を極めた絶佳のメタルオペラを創造していながら、母国以外での活動に力を入れなければバンドを維持できないもどかしさ。その中で感じた疎外感や孤独は乗り越える野心を伴って最新作 “Strangers” へと投影されました。
散りばめられた楽曲の断片を組み込みながら驚異のテクニックでレコードへと導く “Overture For The Estranged”。そこから描かれる10曲のプログメタルドラマは、DREAM THEATER や SYMPHONY X の迷宮組曲に EPICA や NIGHTWISH のシンフォニーを集成した新世界。興味深いことに、その10曲はそれぞれが対になるパートナー曲を有して、5つの魅惑のストーリーを裏と表から語り尽くしていくのです。
ORPHANED LAND を手がけた Yonatan Kossov と Jens Bogren のプロダクションチームも、ドイツのハーディーガーディー奏者 Patty Gurdy も、40人の学生コーラス隊も、ダンスを誘う煌びやかなアンサンブルも、すべてはこの耽美でしかしゴージャスなメタル交響曲を嫋やかに彩ります。特に、SYMPHONY X から LANA LANE へとバトンが渡る “Tantibus Ⅱ” の扇情力は筆舌に尽くしがたい秘宝。
今回弊誌では、Noa, Yadin, Orr の3人にインタビューを行うことが出来ました。「SCARDUST には2つの相反するものが込められているの。スカーとダスト (傷の結晶) はトラウマで、醜くて痛いわよね。だけどこの2つの言葉を一緒にすると、スターダストのように聞こえて、それはエセリアルで美しい何かへと変化するのよ。」 どうぞ!!

SCARDUST “STRANGERS” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【WHITE WALLS : GRANDEUR】RISE OF THE ROMANIAN METAL


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ȘERBAN-LONUT GEORGESCU OF WHITE WALLS !!

“I Think That If Progressive Metal Wants To Keep The Name, It Has To Stay Curious And It Has To Keep Exploring Other Genres. That’s Why I Really Appreciate Bands Like Polyphia – That Kinda Stuff Sounds Very Modern And “State Of The Art”, Precisely Because The Guys Writing It Are Super Open To Genres That You Wouldn’t Expect To Be Associated With More Traditional “Prog”

DISC REVIEW “GRANDEUR”

「ルーマニアのライブツアーに同行していたノルウェーやルクセンブルクの友人たちは、母国の文化省からお金をもらってやっていると言っていたのを覚えているよ。文化を輸出しているのだからね。もしこんな提案をルーマニアの政府にしたら、無視されるか、笑われて銀行に失業手当を取りに行くことになるね (笑)。」
ドラキュラと魔女伝説の神秘を湛える東欧の孤高、ルーマニア。そのメタルじみた伝承にもかかわらず、鋼鉄の炎が決して赤々と燃え上がってはいなかった彼の地において、WHITE WALLS が放つ斬新なプログメタルの魔法はさながらドラキュラのようにリスナーを虜にしていきます。
「WHITE WALLS のメンバー全員がニッチなプログにハマっていったのは、ルーマニアが過去30年間、インターネットアクセスやスピードに関して常に世界のトップ国にランクインしているからなんだろう。若くて、好奇心旺盛で、インターネット接続がスムーズなら、幅広い音楽教育を享受するのはそれほど難しくはないんだよ。」
Șerban-Ionuț Georgescu が語るように、インターネットの普及によって、もはや世界のどこにいてもメタルやプログレッシブの奥深い世界を探求することが可能です。実際、隠れたインターネット大国ルーマニアには、アンダーグラウンドな人気を集める E-AN-NA, BUCOVINA, DIRTY SHIRTS, MAGICA, SCARLET AURA といった優れたバンドが実は乱立しています。それでも WHITE WALLS の最新作 “Grandeur” は、その洗練、完成度、独自性において新たなルーマニアンメタルの道標を刻むようなインパクトを備えているのです。
彼らの洗練を支えた一つの要因が、KARNIVOOL, ANIMALS AS LEADERS, SKYHARBOR を手がけたモダンメタルの仕掛け人、プロデューサー Forrester Savell の起用でしょう。立体感のある音作りを得て、WHITE WALLS の物憂げかつアトモスフェリックな影、攻撃的でダイナミックな光、そして変動を続けるリズミックてグルーヴィーな大地の三原素はより躍動感をもってリスナーの元へと届けられるのです。仄かに感じられるは東欧の風。
「プログレッシブメタルという名前を維持したいのであれば、好奇心を持ち続け、他のジャンルを探求し続けなければならないと思うんだ。それが POLYPHIA のようなバンドを高く評価している理由なんだけどね。とてもモダンでまさに芸術だ。彼らは伝統的な “プログレ” に関連しているとは思えないようなジャンルにも非常にオープンに取り組んでいるからね。」
何より WHITE WALLS が真の “プログレッシブ” を体現しているのは、ノンメタル、ノンプログなテリトリーまで貪欲に咀嚼している点でしょう。ターンテーブルも電子の海も、ミニマリズムの方法論さえ、彼らにとっては捕食の対象でしかありません。RUN THE JEWELS から音節やアクセントの魔法を学んだという Șerban の言葉は、繊細にアーティキュレートされた表情豊かなレコードがしっかりと証明しています。
中でも、日本のアニメーション、Akira や 今敏に影響を受けた MV が秀逸なオープナー “False Beliefs” から “Eye For an I” の流れはモダンプログメタルの到達した一つの金字塔かもしれませんね。LEPROUS や CALIGULA’S HORSE が認める胸を抉るような恍惚のメロディーは、祈りのようなギターの荘厳と交わりながら暗闇と重力へのドアを開けます。Eugen Brudaru の時に縋るような、時に神々しく、時に悪魔にもなる歌声は WHITE WALLS、無垢な白壁を千変万化、カラフルに描き導くのです。
常にシンコペーションとグルーヴの妙を提示しながら、シャープな演奏で裏方に徹するリズム隊の働きも見事。そうしてメロウな高揚感、浮遊するヘヴィネスといった両極が不思議に交わるアルバムは、ブカレストのゲオルゲ・ザンフィルが奏でるパンフルートのように表情豊かなクローザー “The Slaughter (Marche Funèbre)” で絶頂に達するのです。
今回弊誌では、バンドのスポークスマン、ベーシスト Șerban-Ionuț Georgescu にインタビューを行うことが出来ました。「バンド名の由来は、BTBAMのアルバム “Colors” の素晴らしきクローザーから来ているんだ。言葉自体は意味の範囲が広いんだけど、僕らが特に惹かれたのは、生まれた時には世界は白い壁のある部屋のようなもので、人生で残すものがその壁に描かれていくという解釈だったんだ。」 どうぞ!!

WHITE WALLS “GRANDEUR” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【GARGOYL : GARGOYL】WHEN GRUNGE AND PROG COLLIDE


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH DAVE DAVIDSON OF GARGOYL !!

‘For Me a Band Like Alice In Chains Does Have Progressive Edge To Them Even Though They’re Considered Grunge. They Definitely Weren’t Just Taking a Radio Rock Approach, They Always Had Something New To Say With Every Album.”

DISC REVIEW “GARGOYL”

「僕はこのプロジェクトを自分の中にある別の影響を吐き出す場所にしたかったんだ。普段、僕がかかわっている音楽から離れてね。そうすることで、アーティストとしての別の一面を表現することができるから。」
前身バンドも含め、ボストンの名状しがたきデスメタル REVOCATION で2000年から活動を続ける Dave Davidson は、究極に複雑なリフ、慄くようなスクリーム、そしてブラストの嵐の中で20年を過ごしてきました。つまり、自らの全てをエクストリームメタルへと捧げることで、シーン随一のギタープレイヤーという威名を得ることとなったのです。DEATH や CYNIC の正当後継者、魂の継承は彼にこそ相応しい。ただし、それは Dave という多面体の音楽家にとってほんの一面にしか過ぎませんでした。
「自分たちが影響を受けたものにオマージュを捧げたいという気持ちはあったと思うけど、それは自分たちのやり方でやる必要があったんだ。 俺たちは過去を振り返るバンドになろうとしているのではなく、影響を受けてそれを発展させることができるバンドになろうとしているからね。」
AYAHUASCA のギター/ボーカル Luke Roberts を巻き込み立ち上げた新たなプロジェクト GARGOYL で、Dave は自らが多感なスポンジだった90年代の音景を、培った20年の発展を注ぎながら再投影してみせました。グランジ、ゴス、オルタナティブ。具体的には、ALICE IN CHAINS や FAITH NO MORE の面影を、Dave らしいプログレッシブやジャズの設計図で匠のリフォームの施したとでも言えるでしょうか。ALICE IN CHAINS + OPETH, もしくは MARTYR という評価は的を得ているように思えますし、プログレッシブ・グランジという Dave が失笑したラベルにしても、少なくとも作成者の苦悩と意図は十分に伝わるはずです。
「間違いなく、僕たちは全員が ALICE IN CHAINS から大きな影響を受けていると言えるね。そうは言っても、Luke は間違いなく非常にユニークなアプローチを行なっているし、彼は本当に個性的になろうと努力しているんだよ。」
Luke を乗船させたのは明らかに大正解でした。ALICE IN CHAINS の神々しき暗闇が、Layne Staley の絶望を認めた絶唱とギタリスト Jerry Cantrell の朴訥な背声が織りなす、音楽理論を超越した不気味で不思議なハーモニーにより完成を見ていたことは間違いありません。そしてアルバム “Gargoyl” が荘厳極まる “Truth of a Tyrant” のアカペラハーモニーで幕を開けるように、Luke の声によって GARGOYL は、ALICE IN CHAINS の実験をさらに色濃く推し進めているのです。
「僕にとってクラシック音楽やジャズは超ヘヴィーなものなんだよ。不安や実存的な恐怖を呼び起こす緊張感、クライマックスでその緊張感を解消した時のカタルシスや爆発的な解放感など、曲の中にテンションを生み出すことで得られる攻撃性やアティテュードがね。」
実際、”Gargoyl” はブラストやグロウルに頼らなくとも重さの壁を超えられることの証明でもあります。不協和なドゥーム、不規則なアシッドトリップに潜みそそり立つ美麗なる聖堂。LEPROUS にも通じるそのコントラストこそ、真なるヘヴィー、真なるプログレッシブを導く鍵であり、メタルがグランジを捕食した気高き勲章なのかも知れませんね。
今回弊誌では、Dave Davidson にインタビューを行うことが出来ました。「僕にとって ALICE IN CHAINS のようなバンドは、グランジと言われていてもプログレッシブなエッジを持っているんだよ。Jerry Cantrell のソロは特に派手ではないし、夥しいわけではないんだけど、僕ははずっと愛してきた。彼はまた、ユニークなリフを生み出す優れた耳を持っていたしね。とにかく、彼らはただラジオ・ロック的なアプローチを取っていたわけでは全くない。どのアルバムでも常に新たな挑戦に挑んでいたんだ。」  二度目の登場。どうぞ!!

GARGOYL “GARGOYL” : 10/10

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A LISTENER’S GUIDE TO KRALLICE’S COLIN MARSTON & NYC AVANT-METAL SCENE


A LISTENER’S GUIDE TO KRALLICE’S COLIN MARSTON & NYC AVANT-METAL SCENE

“Undoubtedly NYC Avant-metal Scene Is One Of The Best, But That’s Almost a Technicality Because New York City Is The Densest, Most Diverse Blob Of Humans Probably On The Planet. So Everything That Benefits From a Lot Of People And a Lot Of Variety Is Going To Benefit.”

WARR GUITAR, MENEGROTH, AND NYC

ニューヨークの怪人という呼称は、Colin Marston にこそ相応しいでしょう。14弦まで豊富なバリエーションを持ち、ベースとギターの両義性を有する愛機 “Warr Guitar” は、Colin が語る NYC の個性と多様性を体現した楽器にも思えます。さらに、鍵盤からドラムス、ノーマルなギター、ベースを操るマルチな才能にまで恵まれた Colin の活躍はまさに八面六臂。
「僕が Warr Guitar を手に取ろうと思ったのは、1996年に Trey Gunn と Tony Levin が KING CRIMSON でプレイするのを見たからなんだ。」
前回のインタビュー で Colin はそう語ってくれました。高校のころ、バンドメイトの父親から KING CRIMSON を教わった Colin は、再結成した彼らのライブに赴き衝撃を受けました。当然、Colin は Trey と Tony がチャップマンスティックという10, 12弦の異質をタッチしベースとギターの狭間を演出することは知っていましたが、Trey はすでに Warr Guitar という怪物に乗り換えていたからです。
「この楽器の両義性も重要なポイントだよ。ベースであり、ギターであり、その両方かもしれないんだから。いつだってこのギターのような、しかし幅広いレンジを持つ楽器を楽しんでいるよ。ギターの領域では低音弦だけチューンダウンしているんだ。そしてベースは究極に低音とハイストリングスをプレイしているよ。Warr Guitar の魅力は何と言ってもこのレンジの広さなんだ。同じ音域だけで楽曲やアルバムを構成するのは本当に退屈だからね。」
チャップマンスティックが文字通りスティックであるのに対して、Warr Guitar はギターとベースをその体躯に宿すキメラ。幅広いオクターブレンジでギターとベース、リズムとリードを同時にフォロー可能、特徴的なボイシング。新進気鋭の若き Colin Marston にとって、この楽器は壮大な音楽的空想を実現する鍵でした。
実は、メタル、プログはもちろん、フォーク、スムースジャズ、アヴァンギャルドと Warr Guitar が織りなす世界は驚くほど広く多様です。ただし、完全にカスタマイズ可能な新品は50万円以上、さらに製作者は癌を患い現在新規のオーダーを受け付けていません。門戸は狭いながら、こういった奇妙な楽器によって既存の音楽が再構築されることは必要不可欠な新陳代謝でしょう。
カナダが産んだプログレッシブデスメタルの魔境 GORGUTS に所属しながら、盟友 Mick Barr と立ち上げた超個性的ブラックメタル集団 KRALLICE をはじめ、GORGUTS の Kevin Hufnagel と探索するリフ迷宮 DYSRHYTHMIA、インストカルト BEHOLD…THE ARCTOPUS, 実験的ソロプロジェクト INDRICOTHERE と数多の奇々怪界でニューヨークのアヴァンメタルを牽引する主役の顔もまた一つ。
「NEUROSIS のアルバムを1枚選ぶのはとても難しかったね。所謂プログレバンドではなく、真の意味でのプログレッシブなロックバンドだよ。重要な違いだね。僕の中で、”The Word as Law” は最も成功したハードコアとメタルの融合だと言えるね。ただ何よりも最高にユニークな音楽だよ。ベースはA+の仕事をしているし、シンプルなパンクと複雑でエピカルなメタルがこのレコードで最高の”和解”をしたと言えるかもしれないね。」
特に、前回のインタビューでこう言って崇拝を露わにしていた NEUROSIS の Dave Ed をアルバムに招待し、ブラックメタルだろうがなかろうが全員のクリエイティブな精神を集結しながらメタルを未知の領域へと導く KRALLICE の重要性はこれまで以上に語られるべきでしょう。
一方で、ARTIFICIAL BRAIN, LITRUGY, KAYO DOT, EAST OF THE WALL, WOE, DEFEATIST, CASTEVET, PYRRHON, IMPERIAL TRIUMPHANT といったメタルの先鋭を象徴する NYC の百鬼夜行も、Colin が所有する Menegroth スタジオから彼の手によって発進しているのです。
「疑いようもなく最高のシーンの一つ。それは当然なんだ。なぜならニューヨーク市はおそらく地球上で最も高密度で最も多様な人間の塊だから。だから、誰もが多くの人々と多くの多様性から受けるべくして恩恵を受けていると言えるね。大都市なら同じ状況になるだろうけど、NYC は特別多様で国際的だからね。」
様々な文化や発言に触れることこそ人類の強み。それは世界に蔓延る分断の嵐とはすっかり真逆の考え方で、音楽やストーリーに多様性を認めるモダンメタルのスピリットそのもの。だからこそ、Colin の元には仕事のオファーが舞い込み続けるのでしょう。
このコロナ禍の中でも Colin は粛々とリリース&プロデュースを続けています。その膨大なアーカイブから、近年の重要作10枚について自身の言葉で語ってくれました。
「ワーカホリックという言葉は完全に間違いというわけではないんだけど、僕は作曲やレコーディングを本当に楽しんでいるからね。ワーカホリックってネガティブな響きがあるんだけど、僕は音楽制作に全くそういった感情は抱いていないんだ。
時々はもっと音楽以外にも興味の対象が広がればいいのにとも思うんだけどね…だけど僕にとって音楽は未だに広大で無限の奥行を備えているんだ。だから今でも惹き込まれ続けているのさ。」

COLIN TALKS ABOUT HIS RECENT WORKS

1. KRALLICE “MASS CATHEXIS”

this is the album we worked on mostly between 2018 and spring 2020. it was originally supposed to include 4 other songs, but in the interest of the album not taking forever to finish and then being too long to digest, we cut 2 songs, and then 2 more (although those 4 songs will now just form the core of our next album). i think this album features the most variety of any Krallice release, and although it features only one song “written” by me (the title track), i had more of a hand in the arrangement and drum writing than ever before. McMaster also contributed the most material to this out of any Krallice record. it was awesome to have Dave Ed back (since he wasn’t on GBF or Wolf).

このアルバムは俺たちがほぼ、2018年から2020年の春までに製作した作品だ。もともとは、別の4曲を収録するはずだったんだけど、アルバムの完成に時間がかかりすぎたり、収録時間が長くなりすぎるといった理由で2曲をまずカットし、それからさらに2曲を削ったんだ。だけどその4曲は次のアルバムの核となるものだよ。
俺は “Mass Cathexis” は KRALLICE のアルバムでも最もバラエティーに富んでいると思っている。ただ、俺はこの作品ではタイトルトラック一曲しか書いていないんだけどね。今回はそれよりも、アレンジメントやドラムのパートを書くことに注力したんだよ。Nicholas McMaster がどの作品よりも多くのマテリアルで貢献してくれたね。”Go Be Forgotten”, “Wolf” にはいなかった Dave Edwardson (NEUROSIS) が帰ってきたのも良かったよね。

2. KRALLICE WITH DAVE EDWARDSON “LOUM”

Dave Ed is one of my favorite musicians, both as a bassist, and vocalist. i became obsessed with Neurosis in high school and they informed me as a creative person in so many ways over the years. a truly progressive band that does what they want in the way they want and fuck everyone else. so this record was really a dream come true for me (and mick who also has a long history with Neurosis) to work with Dave and to get him to be the lead singer on a full album! pretty sure it’s the only album where that’s the case in existence–so i also feel like we did the world a public service here, haha!
this is also the Krallice album that i contributed the most writing (20 minutes out of 32 i spearheaded), so it has more of that knotty, dissonant, fractured and uncomfortable feeling than our other work, which i thought would be a perfect bedrock for dave’s vocals.

Dave Ed はベーシストとしてもヴォーカリストとしても、俺の大好きなミュージシャンの一人だ。高校生の時に NEUROSIS に夢中になったんだけど、彼らは何年にもわたってクリエイティブな人間として多くのことを教えてくれたんだ。だから、このアルバムは俺にとって(そしてNeurosisとの長い付き合いがある Mick Barr にとっても)本当に夢のようなことだったんだ!Dave と仕事をして、フルアルバムのリードシンガーになってもらえたんだからね。
これは、アルバム全編で Dave が歌う唯一の作品だと思うんだ。だから俺たちは世界に公共のサービスをもたらしてあげたような気さえするんだ。(笑)
俺が最も多くの曲を書いた KRALLICE のレコードでもあるから(32分のうち20分は俺が率先して作った)、他の作品よりも複雑で、不協和音があって、分断されていて、居心地が悪い感じがして、Dave Edのヴォーカルに対する完璧な基盤になると思ったんだ。

3. BEHOLD…THE ARCTOPUS “HAPELEPTIC OVERTROVE”

so proud of this album! i had been wanting to have a record with a very different approach to the drumming for a long time, and i finally did it! having jason bauers join the band was a perfect fit since he had experience playing 20th century chamber music, and i wanted that to basically be the vibe of the new behold album. also as a recording engineer working on a lot of extreme metal, i was so tired of the “cshhhhhhhhhhhhhhh cshhhhhh shshhshhhhshsh” of washy crashy cymbals smashing around constantly. tech metal benefits from a more articulated sound, so why not built that into the instrumentation itself, rather than writing yourself into a corner with blast beats and double kick that aren;t even audible without triggering or extreme processing in the mix? i also gravitated to a more brutal death metal style of writing for the normal guitar on this album. i like the combination of bdm guitar and 20th century classical percussion! for me it’s a perfect match. for most people, i’m sure it’s going to sound like a big pile of shit! it would be Arctopus without that tension though!

このアルバムをとても誇りに思っているよ!俺は長い間、ドラミングに対して非常に異なるアプローチのレコードを作りたいと思っていたんだけど、ついにそれを実現したんだ!Jason Bauers をバンドに参加させたのは、彼が20世紀のチェンバーミュージックを演奏した経験があったからで、完璧にフィットしていたね。俺は基本的にそれを新しい Behold の作品の雰囲気にしたかったんだ。
また、多くのエクストリームメタルに携わっているレコーディングエンジニアとして、俺はクシャーーーーーンクシャーーーーーンシャシャシャシャシヮみたいな、薄っぺらでガチャガチャしたシンバルがずっと鳴っているサウンドに飽き飽きしていたんだ。Tech-metal は、より明瞭なサウンドから恩恵を受けている。では、トリガーや極端な処理をしないと聴こえないようなブラストビートやダブルキックで自分を追い込むのではなく、インストゥルメント自体に明瞭さを組み込んでみたらどうだろう?このアルバムでは通常のギターにかんして、より残忍なデスメタルのスタイルに惹かれたんだ。 BDM (ブルータルデスメタル) ギターと20世紀のクラシックパーカッションの組み合わせが好きなんだよ!僕にとっては完璧にマッチしている。たしかに多くの人にとってはクソの塊でしかないだろうけど、こんなテンションじゃなきゃ ARCTOPUS はやってられないよ。

4. DYSRHYTHMIA “TERMINAL THRESHOLD”

our “thrash” album! it was really fun to change the dys lineup to 2-guitars and drums for 3 of the songs. having no bass at all on 3 songs, but lots of dual guitar seemed to fit the thrash vibe. i even got to do 2 guitar solos! the one in “Power Symmetry” is a written solo, and the one in “Twin Stalkers” is purely improvised. i’m also very proud of the song “Progressive Entrapment,” which i wrote on bass. i have a feeling that song is not going to resonate with many people, but it’s my favorite for many reasons which i think are impossible to explain. kevin and jeff’s playing and writing on this album are world-class. what a pleasure it is to record those guys!

俺たちの “スラッシュ” アルバムだ!DYSRHYTHMIA のラインナップを3曲でツインギターとツインドラムスに変えるのはとても楽しかったね。その3曲には全くベースが入っていないんだけど、沢山のツインギターがむしろこのスラッシュのヴァイブにフィットしたんだ。俺はギターソロまで弾いたんだよ!一つは構築されたソロの “Power Symmetry” で、もう一つは純粋なインプロヴァイズの “Twin Stalkers” だよ。
それに、”Progressive Entrapment” はとても誇りに思っているんだ。この曲で俺はベースを書いたんだけどね。多くの人にアピールする楽曲じゃないと感じていたんだけど、多くの理由から俺のフェイバリットなんだ。説明するのは難しいんだけど。アルバムにおける Kevin と Jeff の演奏はまさにワールドクラスだ。彼らとレコーディングが出来るのは本当に喜びだね。

5. PHONON “ALLOY”

so excited with how this album came out! it’s just one long improvisation which we cut into chunks and re-ordered. it came out so great! i really like listening to this. i have had other bands with Weasel, but never had improvised with him where i was playing bass. i found it really comfortable and exciting at the same time. i love weasel’s style and i found it easy to work with in this context. elliott and álvaro’s guitar work is the perfect textural companion to the rhythm section weasel and i created. elliott is a total legend and it was an absolute honor to make an album with him. Álvaro and i are newer friends, but just in the last couple years we’ve already collaborated on 5 releases! i like how heavy and metered this album came out even though it’s completely free improv.

このアルバムがこうやってリリースされてとてもエキサイトしているよ!一つの長いインプロビゼーションを、切り貼りして再レコーディングしたものなんだ。素晴らしい結果になったよね!このアルバムを聴くのが本当に好きだよ。Weasel とは他のバンドもやってたんだけど、俺がベースを弾いてインプロヴァイズしたことはなかったからね。非常に快適だけど同時にエキサイトしていることに気づいたよ。Weasel のスタイルが大好きだし、このコンテクストは俺にとってやりやすかったんだ。
Eliott と Alvaro のギターワークも俺と Weasel のリズムセクションとピッタリ符号していたね。Eliott は完全にレジェンドで、彼とアルバムを作れてとても誇らしいよ。Alvaro は比較的新しい友達なんだけど、ここ2年で5枚も一緒にアルバムを出してるんだ!完全にフリーなインプロヴァイズだけど、ヘヴィーでコントロールされたこの作品が気に入っている。

6. INDRICOTHERE “ALTRRN”

i was hired to write all the guitar for an album of Pyramids. i was sent drum machine from Vindsval of Blut Aus Nord, who i’m a massive fan of. i wrote songs to the drum machine on guitar, added a bunch of keyboards, and then sent it to the Pyramids guys to add vocals and additional keys. so this is the version before i sent it to Pyramids, which just Vindsval’s drums and my guitar and keys. i got to really like the instrumental version, and it also included kind of a “lost ambient album” since i extended the end of every song into an ambient exploration. i never planned to release this, but when the pandemic hit, and i lost thousands and thousands of dollars in income from cancelled recording sessions, i released it as a small fundraiser for the studio.
it’s worth noting that i did actually make 2 new proper Indricothere albums during the lockdown: a 3.5-hour ambient record and a crushing sluggish brutal death metal record:
https://indricothere.bandcamp.com/album/xi-5
https://indricothere.bandcamp.com/album/tedium-torpor-stasis

俺は PYRAMIDS のアルバムのためにギターパートすべての作曲を依頼されたんだ。大ファンの BLUT AUS NORD の Vindsval からドラムマシンを送ってもらったんだ。そのドラムマシンに合わせてギターを書いて、たくさんキーボードを加えて彼らに送ったんだ。彼らはそれにボーカルやキーボードをさらに加えたんだよ。
これは PYRAMIDS に送る前のバージョンで、Vindsvalのドラムと僕のギターと鍵盤だけで作ったんだ。このインストバージョンが本当に気に入っていたし、全曲の終わりをアンビエントな探究に拡張した “失われたアンビエントアルバム” のようなものも含まれているんだ。
これをリリースするつもりはなかったんだけど、パンデミックが起きて、レコーディングのキャンセルで何千ドルもの収入を失った時に、スタジオのためささやかな資金集めのためにリリースしたんだ。特筆すべきは、ロックダウンの間に INDRICOTHERE で適切な2枚の新作を作ったことだよ。3.5時間のアンビエント・レコードと、破砕的で緩慢なブルータル・デスメタルのレコードだ。

7. COLIN MARSTON “SUBLIVE”

i was approached by Arun from Subcontinental Records to release a live album of my experimental/classical music.
tracks 1 and 2 are from a show at EMPAC in Troy NY from 2015. the first is in my Indricothere keyboard style. the 2nd is feedback controlled player piano. i later went back to EMPAC and recorded a full-album version of these type of pieces, with Eliane Gazzard collaborating on sustain pedal and piano called, “Parallels of Infinite Perspect” on Álvaro’s Illuso label.
the 3rd track is an improvised duet with Mario Diaz de Leon from Issue Project room in 2019. i hope to do a full album with him soon!

Subcontinental Records の Arun から、俺の実験的/クラシカル音楽のライブアルバムを出さないかってアプローチされてね。1曲目と2曲目は、2015年ニューヨーク EMPAC でのライブなんだ。1曲目はオレが INDRICOTHERE でやってるキーボードのスタイルだ。2曲目はフィードバックをコントロールしたピアノ。後から EMPAC に戻って、Eliane Gazzard とフルアルバムバージョンを録音したんだ。
3曲目は、Issue Project の Mario Diaz de Leon とインプロヴァイズのデュエット。彼とはすぐにフルアルバムを作りたいな!

PRODUCTION WORKS

8. IMPERIAL TRIUMPHANT “ALPHAVILLE”

i love working with Imperial. zach has taken the band on an awesome trajectory over the years and it’s a honor to be along for the ride and to get to collaborate and help him realize his vision. the band is so awesome now with kenny and steve–feels like a real BAND now, with everyone contributing. i love that they leave some looseness in the music and are much more interested in a compelling performance rather than things being 100% accurate. they recognize the value of leaving some dirt and some mystery in a mix too, rather than going for a squeaky clean procut with no rough edges. they are open to lots of experimentation but also value a more jazz-oriented mentality where the instruments sound like people playing together and kicking ass.

IMPERIAL TRIUMPHANT と仕事をするのは大好きだよ。Zack は何年にもわたってバンドを素晴らしい軌道に乗せてきたし、その道を一緒に歩むことができて、コラボレートして彼のビジョンを実現する手助けをすることができて光栄だよ。Kenny と Steve がいる今のバンドはとても素晴らしいよ。全員が貢献して、真の “バンド” になっているね。
彼らは音楽に多少の緩みを残していて、100%正確なものを作ることよりも、説得力のあるパフォーマンスに興味を持っているから好きなんだ。エッジのない、ラフさのないキレイなカットを目指すのではなく、多少の汚れやミステリーをミックスに残すことの価値を認識しているからね。彼らは多くの実験にオープンであると同時に、楽器が一緒に演奏しているように聞こえるようなジャズ指向のメンタリティも大切にしているんだ。

9. AFTERBIRTH “FOUR DIMENSIONAL FLESH”

yes! love this record and this band. i’m so happy they came to me for this recording. an honor. each musician has a totally unique voice on their instrument. i love the prog flair, but the tasteful tempering through quality songcraft. these guys really balance the traditional well with the experimental. it’s very accessible somehow, without being annoying in the way that “accessible” can be, at least for me. it’s also very exciting to me that these guys all value a good-quality more “straightforward” recording/mixing style, rather than wanting that sound-replaced/quantized/amp-simulated vibe that is so omnipresent in modern “professional” recordings.

きたね!このレコードとバンドが大好きなんだよ。彼らがこの作品のために、俺のところに来てくれたことをとても嬉しく思っているよ。 各ミュージシャンはそれぞれの楽器に全くユニークな “声” を持っている。 俺はこのプログな雰囲気が好きなんだけど、質の高い曲作りによる味のあるソフトな性質も気に入っているんだ。
彼らは伝統的なものと実験的なもののバランスをうまくとっている。それはとても親しみやすいもので、”親しみやすい” というのは、少なくとも俺にとってはイライラさせることがないってこと。
また、最近の “プロ” のレコーディングにありがちな、音の置き換え、量子化、アンプシミュレートされたような雰囲気を求めるのではなく、彼ら全員が質の高い、より “素直な” レコーディング/ミキシング・スタイルを大切にしていることも、俺にとってはとても刺激的なことだったな。

10. PYRRHON “ABSCESS TIME”

pyrrhon are the best bros. i love hanging out and joking around with these guys. they are hilarious. also so honored and happy to have gotten to finally record/mix them for this and the previous album. alex cohen is undoubtedly a technical master, but i think the band started to become truly amazing when steve schweggler stepped in behind the drum kit. his style and aggressive playing fit with Dylan, Erik and Doug just perfectly. it’s great how masterful pyrrhons “tech metal” writing is, but even greater how they also have a purely improvised free-form side to their spirit that’s just as effective. these guys are unstoppable musicians and i love that they also have Seputus, which feature all 4 of them AGAIN! as well as many other bands. these guys get it: make a ton of shit and have it all be awesome. haha

PYRRHON は最高のブラザーだよ。彼らとハングアウトしたり、冗談を言ったりするのが大好きなんだ。そして、このアルバムと前作で彼らをレコーディング/ミックスすることができたことをとても光栄に思っているし、幸せに思っているよ。Alex Cohen は間違いなくテクニカルなマスターだけど、Steve Schweggler がドラムキットに座ってから、このバンドは本当に素晴らしいものになっていったと思う。
彼のスタイルとアグレッシブなプレイは、Dylan, Erik, Doug に完璧にフィットしていた。PYRRHON の “テック・メタル” のライティングが群を抜いているのも素晴らしいけど、それ以上に、彼らの精神には純粋に即興的なフリーフォームの側面があり、それが効果的に作用しているんだよね。
彼らはアンストッパブルなミュージシャンだし、彼ら4人全員をフィーチャーした SEPUTUS も大好きだ。大量のゴミを生み出せば、全てが素晴らしい音楽になることを理解しているね。(笑)

ABOUT NYC AVANT-METAL SCENE

undoubtedly one of the best, but that’s almost a technicality because New York city is the densest, most diverse blob of humans probably on the planet. so everything that benefits from a lot of people and a lot of variety is going to benefit. so many big cities can make similar claims, but NYC is exceptionally diverse and international. being shoved together with a ton of other people, some with similar goals, but a range of approaches and influences is only going to create a richer scene with maximum life and vibrance: what a strength there is in being exposed to a wide variety of approaches and statements!
i’m sorry, but people who believe in the value of segregation based on background are the reason humanity will most likely destroy itself. if having a diverse community isn’t totally obvious as a strength, then we have no hope and deserve to die.

疑いようもなく最高のシーンの一つ。それは当然なんだ。なぜならニューヨーク市はおそらく地球上で最も高密度で最も多様な人間の塊だから。だから、誰もが多くの人々と多くの多様性から受けるべくして恩恵を受けていると言えるね。大都市なら同じ状況になるだろうけど、NYC は特別多様で国際的だからね。
多くの人たちと一緒にいれば、中には同じ目的を持った人もいて、様々なアプローチや影響を受けながらも、最大限の生命力とバイブレーションを持ったより豊かなシーンを創り出すことになるはずだから。様々なアプローチや発言に触れることができるのは、なんという強みだろう!
申し訳ないけど、人種や文化といったバックグラウンドに基づく隔離の価値を信じている人たちこそが、人類が自滅してしまう原因なんだよ。仮に多様なコミュニティを持つことが強みにならないならば、人類に希望はなく、滅びるに値するよ。

ABOUT CORONA CRISIS AND MUSIC INDUSTRY NOW

i have been very lucky to still have some remote studio work, but i haven’t had an attended recording session since march! my friends who rely on the live music world for their income are totally fucked. what’s really sad isn’t that Corona happened. that’s actually just normal and natural. what’s so disappointing is how selfishly many are treating an issue (including the American government!!!!) that’s solely and directly about our collective survival as a species. people can’t get it through their heads that all the activities that they want to return to will be MADE POSSIBLE BY quarantine/distancing/masks/closing non-essential things, rather than seeing those things as an impediment to freedom. once again, if you see this as an issue of personal freedom, rather than ENSURING YOUR OWN HEALTH AND FUTURE, then humanity is fucked and we’re all going to die a horrible slow death together as the modern world crumbles. if your goal is to destroy all humans including yourself and your loved ones and me, then you’re doing great! keep going! thanks!

俺は幸いまだリモートでのスタジオの仕事はあるんだけど、レコーディングセッションには3月から参加していないんだよ!ライブハウスに頼って収入を得ている友人たちは完全にダメになってしまった。
本当に悲しいのはコロナが発生した事じゃないんだ。それは普通で当たり前に起こり得ることなんだから。何がとても残念なのかというと、この問題をどれだけ利己的に扱っているかということなんだ。アメリカ政府も含めてね!!!!
これって、種としての我々が生存できるかに直接関係しているよね。コロナ対策を自由への障害として見るべきじゃないよ。かつての生活に戻るには、自己隔離/ソーシャルディスタンス/マスク/が唯一の道なんだから。
もう一度言うけど、もし君が自分の健康と未来を保証することよりも、コロナ対策を個人の自由として捉えているならば、人類は滅び、現代世界が崩壊していく中で、俺たちは皆一緒に恐ろしくゆるやかな死を迎えることになるだろう。もし君の目標が、自身と愛する人と私を含む全ての人間を破壊することならば、そうすればいい! 頑張れよ、ありがとう!

Here’s a list of my other releases since the lockdown started:
https://xazraug.bandcamp.com/album/unsympathetic-empyrean
https://groeth.bandcamp.com/album/unfathomable-existence
https://indricothere.bandcamp.com/album/tedium-torpor-stasis
https://indricothere.bandcamp.com/album/xi-5
https://hathenter.bandcamp.com/album/wr-w-r-wwr0wr-g-0w-er0gw-0wr-w
https://glyptoglossio.bandcamp.com/album/0-1
https://encenathrakh.bandcamp.com/album/live-album
https://encenathrakh.bandcamp.com/album/thraakethraaeate-thraithraake
https://arelseum.bandcamp.com/
https://edenicpast.bandcamp.com/
https://slam420.bandcamp.com/album/bloated-exploded-og-gluttony
https://youtu.be/2C7SrMS1rGI

Other things panned include:
– the debut full length from Edenic Past
– Arelseum II
– a collaborative album with Mike Pride, Jamie Saft, and Mick Barr
– a collobarion with Andrew Hawkins from Bearing Teeth
– a full classical symphony, presented as a solo album
– 2 new krallice albums
and there will be a lot more i’m sure.

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