EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ISAAC FAULK OF BLOOD INCANTATION !!
“I Believe That Questioning Mainstream Archaeology, Even If The End Goal Isn’t Proving The Existence Of Aliens, Is a Great First Step To Questioning Everything We Have Been Taught About Our Own Society.”
DISC REVIEW “HIDDEN HISTORY OF THE HUMAN RACE”
「僕たちの音楽、アートワーク、歌詞の主な目標は、人々に先入観を疑わせることなんだ。音楽的にだけじゃなく、概念的にも限界を押し広げることが重要なんだよ。そのため、エイリアンや次元を股にかける存在だけじゃなく、何かにインスパイアされて自分自身の内なる世界を拡大することもまた重要なテーマなんだ。」
宇宙、異次元、エイリアンをビッグテーマに “アストラルデスメタル” の称号を得る BLOOD INCANTATION は、しかし自らの存在や哲学を “サイエンスフィクション” の世界に留め置くことはありません。SF を隠喩や象徴として扱う “デス・スター” 真の目的は、現実世界のリスナーに森羅万象あらゆる “常識” に対して疑問を抱かせることでした。
「主流の考古学に疑問を呈することは、例え最終的にエイリアンの存在を証明出来なかったとしても、僕たち自身の社会について教えられてきた全てに疑問を投げかける素晴らしい第一歩だと思うんだよ。」
BLOOD INCANTATION の叡智を司るドラマー Isaac にとって、ギョペグリ・テペやギザのピラミッド、ナスカの地上絵が宇宙人の創造物であろうがなかろうが、究極的にはどちらでも構わないのかも知れませんね。なぜなら、彼の最終目標は宇宙よりも未知である人の心、暗く危険な内部空間の探索にあるからです。
Isaac は現在の人間社会、政治システムを完全なる実験の失敗だと捉えています。故に、この文明社会こそ人類の最高到達点で良好な進歩を遂げているという固有概念に疑問符をもたらすため、寓話的に SF を使用しているにすぎないのです。
「僕たちの新しいレコードは、人類という種が記憶を失っていて、その過去はまだ明らかにされていないという概念に焦点を当てているんだ。」
“Hidden History of the Human Race” で描くのは忘却の彼方に追いやられた人類の隠された歴史。大胆不敵な宇宙旅行者が作成する、失われた古代の歩みを取り戻すアストラルレコードの使命は、そうしてデスメタルとプログレッシブのロマンを取り戻す旅ともリンクしていきます。
「僕はね、”プログレッシブデスメタル” ってタグはあまり気に入っていないんだよ。だってそこに分類されるバンドの大半が、僕がプログレッシブロックがもともと志していたと考える音楽をプレイしていないんだからね。」
プログレッシブの名を冠しながら、モダンなテクニックの博覧会を志向する昨今のバンドとは一線を画す BLOOD INCANTATION のロマンチシズム。それは YES, PINK FLOYD, RUSH, KING CRIMSON といった神代の巨人への憧憬を根源としています。
“Echoes”, “Close to the Edge”, “The Gates of Delirium” といったプログエピックを指標した18分の異次元探索 “Awakening from the Dream of Existence to the Multidimensional Nature of our Reality (Mirror of the Soul)” を聴けば、そこに古の技術やイデアを元にした音のペイガニズムが存在することに気がつくはずです。
同時に、テクニカルデスメタル、ブルータルデスメタル、デスコア等の台頭により次元の狭間に埋もれた “OSDM” オールドスクールデスメタルの “レコンキスタ” を司る十字軍の役割も忘れるわけにはいきません。
HORRENDOUS, TOMB MOLD, GATECREEPER を従え津波となった OSDM リバイバルの中でも、BLOOD INCANTATION の映し出す混沌と荘厳のコントラスト、プログの知性やドゥームの神秘まで内包する多様性は傑出しています。その理由は、GORGUTS を筆頭に、DEATH, CYNIC, DEMILICH といったデスメタルに異世界を持ち込んだ異形の “血の呪文” を受け継いでいるからに相違ありません。
逆説的に言えば、ブラックメタルやドゥームメタルほど神秘や謎、アトモスフィアを宿していないデスメタルの領域でその世界の “DEAFHEAVEN” を演じる事は簡単ではないはずです。しかし、”Inner Paths (to Outer Space)” に内包された爆発的なエネルギー、リフノイズの海に鳴り響く美麗邪悪なアコースティックギター、複雑怪奇なフレットレスベースの胎動、アナログアンビエントな音の葉を浴びれば、彼らの野心が文字通りコズミックに拡大を続ける宇宙であることに気づくでしょう。
今回弊誌では、Isaac Faulk にインタビューを行うことが出来ました。「プログレッシブロックとは、様々なジャンルを過去のスタイルから生まれ出るテクニックと融合させ、異なる方向へと導くような音楽だよ。」 音楽にしても、時に “メインストリーム” に疑念を抱くことはきっと必要でしょう。どうぞ!!
BLOOD INCANTATION “HIDDEN HISTORY OF THE HUMAN RACE” : 10/10
“We’re Trying To Place Ourselves In The Minds Of People From 2,000 Years Ago, 3,000 Years Ago, 4,000 Years Ago. What Are The Sounds The People Heard? Of Course, It’s The Nature Sounds. There’s An Ever-changing Use Of Instruments And Sounds That We Collect In Nature.”
HOW HEILUNG DESCRIBES “THE DOWNFALL OF THE KNOWN WORLD” AND SURVIVAL WITH PAGANISM
「過去と繋がるためには、現在と断絶する必要がある。」とChristopher Juul は語ります。この言葉は発言主であるデンマークのプロデューサーがドイツの Kai Uwe Faust、ノルウェーの Maria Franz、2人の歌い手を誘うヒプノティックなプロジェクト HEILUNG のマニフェストとなっています。
アンプから歴史を紡ぐ HEILUNG。青銅器の芽生えからヴァイキングの荒波まで、北欧の野生と原始を呼び起こすグループの使命は、鹿と水牛の角、動物の皮、人骨、剣、世界最古の片面太鼓フレームドラム等の古代遺物とルーンストーンやアミュレットから再文脈化された陰鬱なリリックを融合させることとなりました。
Christopher が充すパーカッシブな海洋の中で、チベットの聲明を醸し出す Faust とノルウェーの伝統を紡ぐ Maria はせめぎ合い、闇と生命の複雑なバランスを構築します。
チベットの聲明を身につけたことも人生を大きく変えました。
「SLAYER や SEPULTURA も聴いていたけど、あれはメタルよりダークだよ。チベットの歌い手たちは、どんなメタルシンガーよりも深い。まさに探し求めていたサウンドだった。」
タトゥーへの情熱は遂に音楽への目覚めと交差します。戦士、古代のシンボル、鹿をフィーチャーした華やかなネオノルディックの印。Faust のアートは Christopher の目に留まり、2人はスタジオで一気に HEILUNG の原型を創造しました。ただし、あまりに狂気じみていたため、よりメロディックでエセリアルなイメージを求めて Christopher のガールフレンド、元バンドメイト Maria を呼び寄せることになったのです。そうして3人のミュージシャンは、奇しくもヴァイキングの文化によって集うこととなりました。
男性と女性が存在する自由も HEILUNG の強みでしょう。さらに、”Ofnir” が男性的に振れたアルバムだとすれば、振り子の針は”Futha” で女性側へと振れました。事実 ‘Svanrand”, “Norupo” といった不気味な聖歌、神々のため息において女声の存在感は確実に増していますし、歌詞にしても 1000年前の女性が暗唱したアイスランドのマジカルな呪文がもとになっているのですから。
「自然な流れだと思う。自然界ではバランスが重要なんだ。プラスとマイナス、昼と夜、黒と白。全ては両極の間を浮遊しているのだから。」
オープナー、”Galgaldr” はアルバムのテーマである “既知の世界の崩壊” とそこから生まれる “避け難き再生” を象徴する楽曲です。同時にそのテーマは、”Futha” のレコーディング中 Christopher と Maria が区画整理によって愛する家を手放さざるを得なくなった事象とリンクしています。
「Maria は庭で過ごし草花を育てることを愛していた。重機や業者は彼女の目の前でその庭を引き裂いたんだ。彼女は涙を流していたよ。だから彼女に大丈夫、今は恐ろしいけど全てを見ておくんだ。いつか全てが解決する日が来ると伝えたんだ。」
実は異教の司祭の息子で、幼い頃から儀式を幾度も取り扱ってきた Christopher が語るストーリーはおとぎ話ではなく現実ですが、それでも彼らはいつかより素敵な家を見つけ新たな幸せを噛みしめるはずです。それこそが再生の精神だと彼らは感じています。暗闇から現れる黄金の門。慣れ親しんだ価値観の破壊から生まれ来る真なる癒しと自由。人生という3人の旅路は、まさにアルバムの意思と見事にシンクロしているのです。
2020年代を前にして、メタル世界は自然崇拝や地霊信仰といったペイガニズムの波を全身に浴びています。Anna Von Hausswolff, Myrkur, Chelsea Wolfe など女性がムーブメントを後押ししているのは確かでしょう。そして HEILUNG はその最前線に位置しています。
「人間は自然と繋がることで、肉体的、精神的オーガニズムを感じるんだ。生命は全てが一つ。人間だけじゃなく、植物や海だって養ったり捕食したりしながら僕たちと関係しているんだから。」
しかしなぜ、エクストリームミュージックの住人は特段異教の世界に惹かれるのでしょうか? Christopher はその理由を理解しています。
「ルーン文字やペンタグラム、オカルトのシンボルは若者が大半を占めるエクストリームメタルの文化において重要な背徳感を備えているからね。」
“It Has Been a Great Time Since I Joined UFO In 2003. We Still Have Shows Coming Up In 2020. It Is Always Sad When Something Comes To An End, But Nothing Lasts Forever.”
DISC REVIEW “SOUL SHIFTER”
「SANTANA や THE ALLMAN BROTHERS BAND に関する君の指摘は全くもって正鵠を得ているね。なぜなら、僕がとても若い頃非常に入れ込んでいたのがその2つのバンドだったからなんだ。」
Tony MacAlpine, Jason Becker 等と共に、ネオクラシカルの申し子として虎の穴シュラプネルから登場した Vinnie Moore は、しかし大半のギターヒーローたちと同様に格調高きあの始まりの場所から大きく羽ばたいています。
1985年、”Mind’s Eye” で披露した正確無比なピッキング、知性と工夫を施したスケールの階段、そして身を焦がすクラシカルロマンティックなメロディーラインは、Vinnie を一躍ポストイングヴェイの筆頭へと押し上げました。インタビューで語ってくれたように、Al DiMeola, Paco Delucia のイマジナリーなスパニッシュギター、そしてクラッシック音楽そのものは確かに彼の断片として存在します。
ただし、Vinnie の名声を確立した “ネオクラシカル” は彼の音楽を形成するパズルのピースでしかありませんでした。実際、あのジャズマスター Pat Martino の弟子に師事し、ブルースロックやフュージョンを原点とする Vinnie のカラフルな音の葉は、”Out of Nowhere” で一つの完成形を高次元で提示したにも関わらず、むしろネオクラシカルの足枷が評価の焦点を曇らせているようにさえ感じます。
「このレコードには僕の初期の影響が色濃く反映されているんだ。LYNYRD SKYNYRD なんかも同様にね。」
実は “Meltdown” 以降、全てをリセットし自らの望む音旅を追求して来た Vinnie。UFO での古式ゆかしいロックドライブは旅の追い風となり、最新作 “Soul Shifter” は遂にその “移行” が身を結んだ魂の地平へと達しました。
初期の SANTANA や THE ALLMAN BROTHERS BAND のフィルモアを想起させるスリリングなリアルジャム “Funk Bone Jam” の迫力は圧倒的。Tommy Bolin をフィーチャーした Billy Cobham の “Spectrum” を思い浮かべるオールドファンも多いでしょう。
以前のように音数のギネス記録へ挑む訳ではありませんが、百戦錬磨の Rudy Sarzo を従え緩急自在、千変万化にグルーヴし、スタッカートとレガートの追憶をエモーションに見染める Vinnie の英姿は、まさに自らの過去と未来が交差したギタリズム。匂い立つトーンの官能美も群を抜いています。
クラッシックロックへの郷愁は追悼、称賛の名の下にさらなる深みを増していきます。Larry Carlton にも肉薄するセンチメンタルなスロウブルース”Mystified” で Chris Cornell への溢れる感情を認めた後、”Brother Carlos'” で SANTANA の偉業を称え、遂には LYNYRD SKYNYRD の Steve Gaines を追悼する “Gainesville Station” では Jordan Rudess の魔法を借りてサザンロックのライブ会場を音に宿してみせました。
もちろん、”Soul Rider” はかの Gregg Allman に捧げられた楽曲ですし、さらに言えば、”Heard You Were Gone” は自身の愛機 Dean Guitar の CEO Elliott Rubinson の逝去を聞いてしたためられたスピリチュアルピースでした。
そうして訪れる時をかけるギターの祝祭 “Across The Age”。ピッキングのニュアンス、ハーモニクスダイナミクス、ビブラートの魔法に煌めくトーンコントロール。永遠にも思えるソロワークは、しかし刹那に Steve Lukather の銀河を超え Hendrix のビッグバンまで到達するのです。
「僕は Phil の決断を完全に理解しているよ。彼は何年も何年もツアーを続け、歳を重ねていったんだ。何かが終わる時はいつも悲しいものさ。だけど何事も永遠に続けることは出来ないよ。」
もしかすると、我々が愛する古き良きロックの鼓動もいつかは終焉を迎えてしまうのかもしれません。とは言え、今この時、少なくとも幾ばくかのセンチメントと共にその醍醐味を伝えてくれる英雄はまだここにいます。引き継がれる魂と遺産。”Soul Shifter”。そう、数多のソウルを受け継ぎし者、Vinnie Moore です。どうぞ!!
EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MARK OWEN OF WE LOST THE SEA !!
“People In Music And In All Walks Of Life Have Always Faced Depression And Anxiety And Maybe We Are Just Better At Recognising It Out Now.”
DISC REVIEW “TRIUMPH & DISASTER”
「僕は、ミュージシャンだから苦痛に苛まれているとか、芸術には苦痛が必要だといった決まり文句のようなものでこの問題を茶化したり、単純化しすぎたりするのは嫌いなんだ。音楽に関わる人だけじゃなく、あらゆる分野の人々は常に鬱や不安に直面していると考えているから。」
シドニーが誇るポストロック/メタルの俊英 WE LOST THE SEA は、最新作 “Triumph & Disaster” で気候変動と天然資源の枯渇により崩壊の刹那でゆらめくディストピアな世界を描いています。
バンドにとって、荒廃したこの惑星の未来を語ることは定められた運命だったのかも知れませんね。なぜなら彼ら自身も破滅の瀬戸際にその身を置いていたのですから。
ジャムロックの海風を浴びながらその音景の壮観を存分に拡大していたバンドは2013年、ボーカリスト Chris Torpy を自死により失います。心揺さぶるリリック、熱気に満ちたパフォーマンス、何より長年の友人だった核を失い、残されたメンバーは無限海溝の淵へと沈んでいきました。
CULT OF LUNA スタイルのポストメタルを追及した “Crimea”, “The Quietest Place ‘n Earth” において、Chris の正直で生々しいスクリームは不可欠な要素でした。バンドの肝であるダイナミクスから Chris の声、性格、文章がそっくりそのまま欠落してしまう。未来は不安に、過去は苦痛へと変わり、虚無からの再出発に彼らは2つの約束を定めます。
「彼はバンドにとって不可欠なメンバーだった。音楽的にも、人間的にもね。だから誰も彼の穴を埋めることは出来ないんだよ。 」
Chris のためにもバンドを続けること。Chris の後任を求めないこと。ギタリスト Mark は当時、深い闇の奥にありながら “音楽が負のエネルギーを集中するための素晴らしい方法” だと認識していました。
WE LOST THE SEA を蘇らせたのは、皮肉にも離陸後73秒で爆発し7人の乗組員が亡くなったスペースシャトル”チャレンジャー”の事故でした。宇宙探査をまた一歩前に進めた死に至る勇敢な航海。彼らは乗組員たちと Chris の姿を重ね “Departure Songs” を完成へと導きます。
チェルノブイリの災害やロバート・スコットの南極遠征さえインスピレーションの一翼を担ったアルバムは、完全にインストゥルメンタルで、Chris の居場所はトレモロのメロディーや荘厳なコードワークへと静かに移行していたのです。
音の風景を楽器のみでよりアトモスフェリックに、よりディプレッシブに投影する術を学んだ WE LOST THE SEA。皮肉なことに、”Departure Songs” の美しい嘆きの音の葉は、世界を共鳴させバンド史上最大の成功をもたらすことになりました。
ライブ会場は、鬱や不安に苛まれる人々のセラピーの場所となり、バンドの音楽は困難に立ち向かう彼らを抱擁し大きな助けとなったのです。実際、メンバーが “美しき鬱” と定める Chris の遺志は、こうしてチャレンジャー号と同様残された者の推進力となりました。
「意図的に荒涼としたレコードを書き始めたんだ。実際、アルバムに希望を持たせるべきかどうかを議論したんだよ。そして最終的に、希望なしで何かを示すことは出来ないだろうという結論に達したね。」
“Triumph & Disaster” は “Departure Songs” のナチュラルなフォローアップ。同様に絶望や鬱、不安をその音に宿していますが、治療やセラピーという内なる場所から誰もが憂慮する環境問題へ目を向けた成熟のアート作品だと言えるでしょう。そして、崩れゆく世界にも存在する親子の愛はアルバムにおける一握りの希望となりました。WE LOST THE SEA に再び歌声をもたらした母の賛美歌 “Mother’s Hymn” はまさにその象徴でしょう。
「もし正直で心を動かすパワフルな音楽を書くとしたら、心の底から本心であたらなければならないよ。 」
亡き Chris、そして自らの音楽を語るとき、バンドは “Honest” “Real” の言葉を必ず使用しています。全てにおいて正直である。それはきっと “喪失” の長いトンネルに苦しみ抜いた彼らにとって1つの光明であり、出口だったのかも知れませんね。
今回弊誌では Mark Owen にインタビューを行うことが出来ました。「僕はね、早い段階でほとんどの人が音楽に宿る “でたらめ” をすぐに見破ることができると学んだんだ。もっともらしく正直である風を装っても、すぐそれを見破ってしまう。歌詞がなく、それでも感動的なアイデアを書こうとしている “ポスト” の世界の人々はこの本質を理解していて、その使い方を知っているんだと思うな。」 どうぞ!!
EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH HUNTER HUNT-HENDRIX OF LITURGY !!
“I Sincerely Think Philosophy Is a Very Important Tool For Having a Thoughtful Political Stance. People Have Such Strong Opinions That Have No Real Grounding, And I Think Even a Little Bit Of Critique Or Effort To Understand The Nature Of Reality And Of History Is Important In Deciding What It Would Mean For The World To Be a Better Place.”
For Me, One Of The Most Difficult Things I Have To Live With Is That I Have Very Low Self-esteem. I Don’t Like Myself Very Much, And It’s Really Not Cool Because You Are Always Putting Yourself Down And This Is Not a Normal Way To Live. This Album Is Full Of Doubts, Full Of Questions. But I’m In a Better Place Now, I Think. The Album Was Part Of The Healing Process.
JOURNY TO “SPIRITUAL INSTINCT”: INTROSPECTION & SPIRITUALITY
無慈悲な不協和音と荘厳なオーケストレーションがシームレスに融解し続けるブラックメタルの新たな次元 “Spiritual Instinct”。そこには FAILURE や CAVE IN の独創的な空間活用術でさえ活かされています。とは言え、Neige はテクノロジーへの過度な依存には否定的。
「テクノロジーはあまり好きじゃないね。コンピューターにも疎いんだ。このアルバムはどの瞬間もとてもシンプルに生み出されている。創造とは永遠のエニグマだよ。何処からかアイデアが浮かび音楽の形を形成していく。自分でもどうやったのかさえ分からないからマジカルな瞬間なんだ。」
さらに TOOL や SYSTEM OF A DOWN にも通じる “Sapphire” のリフドライブは神秘のアトモスフィアと霧の中で溶け合い、”Le Miroir” はブラックゲイズの森の奥でゴスのレースを織り上げます。何よりタイトルトラック “Spiritual Instinct” が抱きしめた究極にアクセシブルでポップな本能的メロディーと JESU や SUNNO))) のスピリチュアルな実験は、ALCEST が向かい合う地中海の多島美を象徴しているのかもしれませんね。
EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH DAN MULLER OF WILDERUN !!
“Epic Is Probably The Most Encapsulating Word You Could Use But I Feel Like It Still Leaves Out Some Of The More Progressive And Experimental Sides Of Our Music.”
DISC REVIEW “VEIL OF IMAGINATION”
「”エピック” はおそらく最も僕たちの音楽を要約した言葉だけど、ただ僕たちの音楽にあるいくつかのより進歩的で実験的な側面をそれでもまだ除外しているように感じるね。」
虚空に七色の音華を咲かせるフォーク-デス-ブラック-アトモスフェリック-シンフォニック-プログレッシブ-エピックメタル WILDERUN は、ジャンルという色彩のリミットを完全に排除してリスナーに名作映画、もしくは高貴なオペラにも似て胸踊るスペクタクルとドラマティシズムをもたらします。
「OPETH の音楽には特に昔の音源でダークな傾向があるんだけど、WILDERUN には常に見過ごされがちな明るく豊かな側面があったと思うんだ。」
時にアートワークから傑作を確信させるレコードが存在しますが、WILDERUNの最新作 “Veil of Imagination” はまさにその類でしょう。アートワークに咲き誇る百花繚乱はそのまま万華鏡のレコードを象徴し、”陽の”OPETHとも表現されるブライトでシンフォニックに舞い上がる華のモダンメタルは、シーンにおける “壮大” の概念さえ変えてしまうほど鮮烈なオーパスに仕上がりました。
「僕たちが様々な種類の音楽をブレンドする際に使用した最も重要なテクニックとは、単にストレートなフォークセクションをプレイしてから、お決まりのブラックメタルパートを始めるって感じじゃないんだよ。その代わりに、メタルと非常に異なるスタイルの音楽にしか存在しないと思われる特定の作曲テクニックを分析し、それをどうメタルの文脈に適応させるのか探っていったんだ。」
ベーシスト/オーケストレーター Dan Muller が語る通り、WILDERUN の多様性は単純な足し算ではなく複雑な掛け算により無限の可能性を見出しています。様々なジャンルの本質を抜き取り、その膨大なコンポーネントを最適に繋ぎネットワークを構築する彼らのやり方は、さながら人間の神経系統のように神々しくも難解な神秘です。
中でも、シンフォニックなアレンジメントは作品を通じて情炎と感奮、そして陶酔をもたらす WILDERUN のシナプスと言えるのかも知れませんね。メタルをはじめとした豊かな音の細胞は、優美でドラマティックなオーケストレーションにより有機的に結合し、思慮深くシームレスに互いを行き来することが可能となるのです。
オープナー “The Unimaginable Zero Summer” はその進化を裏付ける確固たる道標に違いありませんね。語りに端を発する抽象的かつファンタジックな15分の規格外に、目的のない誘惑など1秒たりとも存在していません。
オーケストラの名の下に、無慈悲なデスメタルからメランコリックアコースティック、浮遊するエレクトロニカ、オリエンタルな重量感、絶佳なワルツの大円団、そしてエセリアルなピアノのコーダまで、秩序と無秩序の間で悠々と整列した音の綺羅星はいつしか夜空にプログレッシブな夏の星座を映し出しているのです。WILDERUN に宿る平穏と焦燥の対比を完膚なきまでに描き象徴する Evanのボーカルレンジも白眉。
クライマックスは中盤に。”Scentless Core (Budding)” に蒔かれたエピックの種は、”Far From Where Dreams Unfurl” の青葉としてエアリーかつメランコリックな大合唱で天高く舞い上がり、”Scentless Core (Fading)” で老獪な叙情の花を咲かせるのです。まるでアルバムのテーマである無邪気から退廃へ、人の歩みを代弁するかのように。
例えばプログレッシブデスメタルなら “Blackwater Park”、シンフォニックエピックメタルなら “Imaginations From The Other Side”、オリエンタルフォークメタルなら “Mabool”。ファンタジックで知的なメタルには各方面に絶対のマイルストーンが存在します。しかし “Veil of Imagination” はOPETH よりも華やかに、BLIND GUARDIAN よりも多様に、ORPHANED LAND よりもシンフォニックに、数ある傑作の交差点として空想力に創造性、好奇心、そして多様性のモダンメタル新時代を切り開くのです。
今回弊誌では Dan Muller にインタビューを行うことが出来ました。「少なくとも僕にとってこのレコードの歌詞のゴールは、世界を実際あるがままに見せることなんだ。みんなの心の目を再度トレーニングしてね。」2度目の登場。どうぞ!!
“I Was Too Young To Remember Life In Soviet Union, But The Spirit Of Soviet Union Is Still Here. I’m Living In An Apartment Built Maybe 40 Years Ago, And My Parents Live In Such An Apartment, As Well. All Our Shops And Supermarkets Are Situated In Buildings Built Then. So It Is Still Sike Soviet Union. And There Are a Lot Of People Who Still Have Soviet Union In Their Heads And Their Minds.”
HOW JINJER SINGER TATIANA CROSSES MUSICAL, LYRICAL, AND UKRANIAN BORDER