NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【NAPOLEON : NEWBORN MIND】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH SAM OSBORN OF NAPOLEON !!

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UK Based Melodic Hardcore Four Piece, NAPOLEON Has Just Released The Genre-Breaking Debut Full-length, “Newborn Mind” !! “Melodiposipassiongroove” Is Here !!

DISC REVIEW “NEWBORN MIND”

ユーロモダンメタルコアシーンの皇帝 NAPOLEON が満を持して待望のデビューフルレングス “Newborn Mind” をリリースしました!!ハイセンスなシングルや EP で注目を集め、将来を期待されながらデビューフルレングスまで長い時間をかけたのは、NOVELISTS と同様の手法。そして36分のレコードは、長く待ち続けた Melodilc Hardcore ファンの期待に十分に応える内容となっています。
Tech-Metal シーンにおいて有数の実力を持つギタリスト、 Sam Osborn 擁する NAPOLEON は自らのサウンドを”melodiposipassiongroove” と称しています。実際、INTERVALS meets KILLSWITCH ENGAGE, POLYPHIA meets ARCHITECTS などと例えられる彼らの音楽性は見事にメロディー、ポジティブ、パッション、グルーヴを共存させていますね。
他の Tech-Metal バンドと比較して、NAPOLEON のサウンドを強く特徴付ているのはその大胆なクリーンギターの使用法でしょう。”Stargazer”,”Utopia” のイントロが効果的なのは勿論、”Maps” を聴けば、彼らがまさに “Newborn” な音楽を創造していることが分かります。メジャーキーで、クリーンギター&クリーンボーカルにより紡がれる2分間の小曲は、Math-Rock, Instru-Metal の影響下にありながら、同時にしっかりと Metalcore の土台も感じさせるのです。非常にカラフル、エモーショナルでフレッシュな “Maps” は NAPOLEON のバンドとしての可能性、多様性を証明していますね。
さらに、”Of Jams, Smokes & Promises” のイントロなどは、And So I Watch You From Afar を彷彿とさせるアイリッシュなメロディーが白眉。ユニークなタイムストラクチャーと相俟って Math-Rock からの影響を強く誇示しています。人生を変えたアルバムに、TTNG の作品をチョイスしているように、ここまで Math-Rock とメタル要素の融合を推し進めたアーティストは前代未聞なのではないでしょうか?
新ボーカル、ex-CLIMATES 、Wes Thompson の荒々しいスクリームからエモーショナルなクリーンまで見事にこなす幅広いレンジも実に魅力的です。時に流暢に、時にカオティックに駆け巡る Sam の多彩なフレットワークとの相性も抜群。タイトルトラック “Newborn Mind” では、スーパータイトなリズム隊、特に James Mendoza のスピーディーでメカニカルなドラミングはアルバムを通して素晴らしいですが、の協力もあり、メロディックでありながらテクニカルでヘヴィーという命題をいとも簡単に達成していますね。
“Dystopia” で歌われる “get awake and defeat this” というフレーズは “Utopia” でも再度現れます。「目を覚ませ、挫けるな」、NAPOLEON の音楽は、インタビューでも語ってくれた通り、リスナーに常にポジティブなグルーヴを届けてくれるのです。
今回弊誌では、Sam Osborn にインタビューを行うことが出来ました。日本ツアーも視野に入っていそうですね、どうぞ!!

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NAPOLEON “NEWBORN MIND” : 9.2/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【HIATUS KAIYOTE : CHOOSE YOUR WEAPON】SUMMER SONIC 2016 Special !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH NAI PALM OF HIATUS KAIYOTE !!

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Australia Based Super Eclectic Future Soul Outfit, Hiatus Kaiyote Set To Come Back To Japan in August! Don’t Miss Their Splendid Performance At Summer Sonic 2016 !!

DISC REVIEW “CHOOSE YOUR WEAPON”

オーストラリアを代表するアーティストへと躍進を遂げ、Summer Sonic 2016 への出演も決定している “Multi-Dimensional, Polyrhythmic Gangster Shit” こと HIATUS KAIYOTE。2度のグラミー賞へのノミネート、Q-Tip とのコラボレート、Robert Glasper の作品への参加、Chance the Rapper によるサンプルの使用など、何かと話題の多い彼らですが、注目を集めるのも当然。それは、”Neo Soul”, “Future Soul” と評されている事実からも分かるように、非常にエクレクティックで、スリリングで、斬新で、未来への扉を開ける音楽を創出しているからでしょう。
3年というインターバルを要した彼らの最新作 “Choose Your Weapon” は、さらにサウンドの領域を広げバリエーションに富んだ、完成度の高い傑作に仕上がりました。70分18曲に及ぶ大作は、Modern Jazz, 70’s Funk, Samba, Hip Hop, House, African Soul, Fusion, Prog Rock など実に多彩な要素を取り込みつつ、華やかなエレクトロニカサウンドで装飾された、カラフルで万華鏡のような作品です。デビュー作 “Tawk Tomahawk” が随所にその才能のキラメキを感じさせながらも、10曲30分といういかにも食い足りないランニングタイムであったことを考えれば、本格的に勝負に出たレコードとも言えるでしょう。
“Shaolin Monk Mothefunk” は “Choose Your Weapon” への招待状。ボーカル/ギター Nai Palm の Stevie Wonder, Amy Winehouse を想起させるソウルフルな歌唱、しなやかに配置されたメロディーとカウンターハーモニー、断続的に行われるキーチェンジは実に見事で、アルバムを通してバンドの推進力となっていますね。ウォーキングベースと4ビートでスウィングするヴィンテージジャズサウンドから一転、楽曲は目まぐるしくもアフロ・ポップのグルーヴを刻み始めます。シンセサイザー&フレットレスベースの高速アルペジオと Nai の鬼気迫る歌唱が一体となり、畳み掛ける終盤は圧巻の一言。リスナーはこの時点で、アルバムがいかにアイデアに溢れた作品であるか理解することでしょう。
楽器隊の群を抜いたパフォーマンスも勿論聴き所の1つです。特にシンセサイザーを操る Simon Marvin の音色の豊かさ、テクニックは白眉。宮崎アニメ、”天空の城ラピュタ”にインスパイアされたという “Laputa” ではシンセサイザーがパステルカラーの波を生み出し、”Jekyll” ではピアノでバンド全員のエキゾチックなルーツと並外れたテクニックを引き出します。”Breathing Underwater” での、サンバ・エレクトロニカなどと称したくなる試みも画期的ですね。
特筆すべきは、”Atari” で Dubstep 的ビートとチップチューンを大胆に使用し、キャッチーで未来色の音楽を提示しています。このレコードで何度も聴ける、Perrin Moss の異なる拍子を刻む多次元的なドラミングと Paul Bender の印象的なリフを刻むリードベースが、楽曲にロックらしいダイナミズムをもたらしていますね。同時に、彼らのプログ的側面も開花しており、YES のような”キメ”を使用し、70’s Rock のムードを盛り込んでいることは非常に興味深い対比ですね。
加えて、LAジャズシーンとの接近もアルバムの重要な要素です。”Jazz the New Chapter” シリーズで紹介されたように、HIATUS KAIYOTE は間違いなく、新たに拡散する Jazz サウンドの先端にも立っています。”Creations Pt.1″ には明らかに FLYING LOTUS からの影響が感じられますし、Nai が16.7歳の時に書いたという “Fingerprints” のサウンドは Robert Glasper の手法と通じます。
トレンドを意識しつつ、独自の音楽を開拓する HIATUS KAIYOTE。今回弊誌ではバンドの顔とも言える Nai Palm にインタビューを行うことが出来ました。5月の来日から3ヶ月での帰還となります。どうぞ!

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HIATUS KAIYOTE “CHOOSE YOUR WEAPON” 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【TTNG : DISAPPOINTMENT ISLAND】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH TIM COLLIS OF TTNG !!

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UK Based Math-Rock / Emo Trio, TTNG Has Just Released Their 3rd Record “Disappointment Island” !! Full of Emotion & Melancholy, No Disappointment Here!!

DISC REVIEW “DISAPPOINTMENT ISLAND”

UK オックスフォードが生んだ Math-Rock / Emo の奇才、TTNG が3rdアルバム “Disappointment Island” をリリースしました!!
ニュージーランド沿岸、実在する島の名前をタイトルに冠したアルバムは、完全に4ピースからトリオになって初の、バンド名を THIS TOWN NEEDS GUNS から改名して2枚目の作品。
インタビューで語ってくれた通り、”Disappointment Island”、”失望の島”とは彼らの母国UKがEU離脱に向けて進んでいる状況を皮肉ったタイトルでもあるのです。その背景を鑑みれば、アルバムが少し物悲しく、メランコリックなムードを帯びていることにも納得が行きますね。
静と動の対比、遂にダイナミズムを極めたように思える “Disappointment Island”。アルバムクローサー “Empty Palms” は現在の TTNG を象徴するような楽曲です。シルクのように繊細な Henry Termain の美声が紡ぐメロディーは静寂と喧騒を司り、キャッチーかつ非常に雄弁。加えて、見事なサウンドスケープを創出する楽曲のアトモスフィアは、彼らの興味が Post-Rock 方面に振れていることを顕にしています。
RUSSIAN CIRCLES, PELICAN でお馴染みの、Greg Norman によってレコーディングが行われた事実、さらに The World Is A Beautiful Place & I Am No Longer Afraid To Die とツアーを行ったことから鑑みて、TTNG がこういった手法を全面に押し出すことはもはや驚きではないでしょう。実際、バンドにとって最も長い部類に入る5分37秒の “Whatever, Whenever” は PELICAN を想起させるような轟音パートで幕を閉じます。
ギタリスト、Tim Collis のフレーズセンス、才能が爆発した “In Praise of Idleness” も同様に美しい景色が視界に広がるような音楽。Math-Rock バンドとしての矜持を証明するかのような優美なシンコペーションが白眉ですね。
とは言え、勿論、彼らのテクニカルで複雑な1面を強調した楽曲もアルバムの聴き所の1つ。”A Chase of Sort” で聴ける流れるようなタッピングフレーズや Chiris Collis による変拍子を逆手にとった印象的なドラミングはまさに TTNG のトレードマーク。”Destroy The Tabernacle!” のテクニカルでエスニックなムードもアルバムに良いアクセントを加えています。ただし、トリオとなったことが作用したのか、全てのトーンがよりオーガニックに仕上げられていることは記しておくべきでしょう。
今回弊誌では才気溢れるギタリスト Tim Collis にインタビューを行うことが出来ました。ドラムスの Chiris とは兄弟でバンドの核となっていますが、発するエモーションは Kinsella ファミリーにも迫っていますね。どうぞ!!

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TTNG “DISAPPOINTMENT ISLAND ” : 9.3/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【KAYO DOT : PLASTIC HOUSE ON BASE OF SKY】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH TOBY DRIVER OF KAYO DOT !!

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US Avant-Garde / Experimental Icon, KAYO DOT Has Just Released Neo-Futuristic landscape Record “Plastic House On Base Of Sky” !!

DISC REVIEW “PLASTIC HOUSE ON BASE OF SKY”

Realising Media による招聘で、先日初の日本ツアーを行った、US Avant-Garde / Experimental の旗手 KAYO DOT が新たな傑作 “Plastic House on Base of Sky” をリリースしました!!
バンドの頭脳、Toby Driver の溢れる才能故に、2度と同じ方向性のアルバムを作らないなどと称される KAYO DOT。 “Plastic House on Base of Sky” はしかしながら、前作 “Coffins on Io” の New Wave / Art Pop サウンドをある程度引き継ぎながら、様々な点でより深化を遂げた高いレベルの作品に仕上がりました。
アルバムオープナー、”Amalia’s Theme” は作品を象徴するような楽曲です。冒頭のレトロウェーヴなシンセサイザーサウンドは確かに80年代の New Wave を想起させます。David Bowie の世界観を感じる場面もあるでしょう。とは言え、複雑なリズムを伴って未来を奏でるそのコンポジションは、例えば DEPECHE MODE などと比較するよりも、現代のより先進的な ULVER のようなアーティストと比べる方がしっくり来るように思えます。
インタビューで Toby は、アルバムが日本が誇るテクノポップの巨匠、平沢進さんの強い影響下にあることを公言していますが、同様に日本出身のアーティスト 上田風子さんが手掛けた独創的なアートワークとも相俟って、ネオフューチャーなサイバーパンクワールドを確立しています。
ビートさえ消滅するような実験的混沌 “All The Pain In All The Wide World” を経てアルバムのクライマックスは “Magnetism” で訪れます。型破りで JAZZ の如くスウィングする変拍子の上を、キーボードサウンドとシンセパターンが幾重にもレイヤーされ近未来感を演出します。憂いを帯びた Toby のメロディーライン、歌唱は実に見事で、これはアルバムを通して言えますが、彼の少しひねくれたポップセンスが炸裂しているようにも思えますね。
ドリーミーでシルクのようにレイヤードされたキーボードサウンドは、勿論、アルバムの根幹を成していますが、それはアルバムに Toby 以外にも2人のキーボードプレイヤーが参加していることを考慮しても、現在彼の興味の中心であることは明らかでしょう。Toby はキーボード、ギター以外にもクラリネット、チェロ、ダブルベース など様々な楽器をこなします。そこに、Daniel Means, ギターもプレイする Ron Varod, という2人のキーボードプレイヤー と異次元のドラマー Keith Abrams が加わることで、KAYO DOT は少人数でシンフォニーを奏でる類稀な集団へと変貌しているのです。
勿論、”Hubardo” で見せたような傑出した Doom / Metal 要素と、彼のオリジナリティーの融合を懐かしむファンも多いでしょう。しかし、インタビューで “僕は本当に、メタルシーンだけに限定されたくないんだよ” と断言したように、彼の才能は1つのジャンルに留まることを許しません。そして今回の冒険も、行先は違えど素晴らしい旅となっているように感じましたよ。
今回弊誌では Toby にインタビューを行うことが出来ました。有難いことにこれで3度目の登場です。どうぞ!!

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KAYO DOT “PLASTIC HOUSE ON BASE OF SKY” : 9.5/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【NEGICCO : ティー・フォー・スリー】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH Negicco !!

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Organic Idol Group From Niigata, Japan, Negicco Has Just Released Ultimate-POP New Record “Tea For Three” !! Why Don’t You Try Kawaii Flesh Green Onions ?!

DISC REVIEW “ティー・フォー・スリー”

2003年から活動を続け、今年で結成13周年を迎える新潟が誇る”楽曲派”アイドル Negicco が、新作 “ティー・フォー・スリー” をリリースしました!!
昨年リリースされた2ndアルバム “Rice&Snow” は、様々な音楽誌、音楽サイトで2015年のベストアルバムにランクするモンスターアルバムでしたね。”ティー・フォー・スリー” は前作のポピュラーミュージックとしての完成度はそのままに、ソウル、ディスコサウンドを取り入れ大人の Negicco に進化したマイルストーン的作品に仕上がりました。プロデューサー connie さんは勿論、豪華なゲストプロデュース陣の仕事も実に印象的ですね。
レキシの池田貴史さんがプロデュースを手がけたアルバムオープナー “ねぇバーディア” は間違いなく今年最高のポップチューンとなるでしょう。「あなたに あなたに あなたに 恋したんです 好きになってもいいのかな もう止められないけど」松田聖子さんを想起させるエモすぎる王道アイドル曲は、しかし同時により深い広がりも備えています。
音楽ファンなら誰しも “ねぇバーディア” というタイトルから EARTH, WIND & FIRE の名曲 “September” を連想することでしょう。実際、「ねぇバーディア、覚えてる?」「あの9月の日の出来事」というセリフに加えて飛び出す”アノ”ギターフレーズは、見事な EW&F のオマージュとしてワクワク感を誘います。さらに勿論、「床の間置いてた愛の兜」は越前上杉家の直江兼続を隠喩しており、しっかりと新潟への愛情も示して見せているのです。大人も楽しめるアイドルソングとしての完成度は絶大ですね。
大人と言えば、Spangle call Lilli line が提供した “江南宵唄” は Negicco の新しい一面を披露した重要な楽曲です。セクシーで大人の色気を発する囁くような歌唱には、「本当の恋」を教えてくれるような淡い期待を感じてゾクゾクしてしまいますね。同じような感覚は、渋谷系とも言えるオシャレな “矛盾、はじめました” にも存在するように思います。
“土曜の夜は”を聴けば、Negicco こそが何十年にも渡って積み重ねてきた J-POP の担い手であることが分かるでしょう。80’sをモダンにアップデートしたかのような、山下達郎さんを想起させるビート、アーバンな曲調に Negicco の見事なコーラス、ハーモニーが溶け合います。アルバムを通して Negicco 3人の生み出すボーカルハーモニーは素晴らしく、歌唱面でも著しく成長を遂げていることが分かりますね。
OKAMOTO’S の手によるモータウン調の “SNSをぶっとばせ” では「あなたっていい人だけど まるでわたしの心は シェアできないの」などと見事に世相を反映していますが、総じて歌詞が心にスーッと入って来る作品でもありますね。ストリングスとピアノが絶妙な “おやすみ”~”私へ” の流れで幕を閉じるまで、”ティー・フォー・スリー” は常にリスナーにエモーショナルなメッセージを届け続けます。
決して、最近のアイドルシーンで持て囃されているような、奇を衒ったアルバムではありません。ただ粛々と、音楽の良さを追求した先に完成した、ハイセンスな2016年 J-POP の決定盤、代表作だと思います。今回弊誌では Negicco メンバー全員にインタビューを行うことが出来ました。7/30には NHK ホールでのコンサートも決定しています!ネギネギ!!

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Negicco “ティー・フォー・スリー” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ROLO TOMASSI : GRIEVANCES】JAPAN TOUR 2016 SPECIAL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JAMES SPENCE OF ROLO TOMASSI !!

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UK Experimental / Mathcore Titan, Rolo Tomassi Is Going To Come Back To Japan On September! Don’t Miss Their New Sounds From New Record “Grievances” !!

DISC REVIEW “GRIEVANCES”

9/27に Realising Media の招聘で1夜限りの来日公演が決定した、UK シェフィールドが生んだエクレクティックな5人組 ROLO TOMMASI。紅一点、ボーカル Eva Spence のエモーショナルなクリーンボイス、そしてその麗しい外見からは想像もつかないような迫力のあるグロウルを武器に、マスコアからエレクトロニカまで取り入れた実験的な音楽性が高く評価されているバンドです。そして彼らの最新作 “Grievances” は、さらにそのサウンドの領域を広げ、新しい境地に達したエポックメイキングなレコードとなりました。
“Raumdeuter” は彼らの新しいチャレンジを象徴するような楽曲です。Eva の美しいクリーンボーカルにトレモロリフまでフィーチャーしたこの曲は、Post-Black, さらには Shoegaze まで取り入れたアトモスフェリックなサウンドスケープが実に印象的。そこに彼ら特有のエレクトロニカ要素を融合させることで、より荘厳で優美な楽曲となっているその手法はまるで魔法のようにも思えますね。
“Prelude III: Phantoms” から “Opalescent” の流れはアルバムで最もメロディーにフォーカスした瞬間です 。幽玄なピアノの旋律をバックに、朗々と歌い紡ぐ Eva と James のデュエットのプレリュードは、美しく絡まり合い溶け合いながら プログレッシブな “Opalescent” を導きます。様々にアーティキュレーションを施した Jazz のようにスウィングする 6/8拍子を、ピアノとギターが時にダイナミックに、時に繊細に紡いでいく様はまさにカタルシス。Eva のアンニュイなボーカルも実にハマっていますね。
TOOL のようにインタルードを見事に活用したアルバムの中で、同様にペアとなる“Crystal Cascades” “Chandelier Shiver” では、アンビエントなピアノとストリングスが非常に効果的で、GODSPEED YOU! BLACK EMPEROR すら想起させる美麗なサウンドスケープ、世界観が創出されています。
とは言え、アルバムには勿論、オープナー “Estranged” や “The Emberes”, “Funereal” のように THE DILLINGER ESCAPE PLAN 由来のカオティックでアグレッシブな要素を反映した楽曲も収録されており、結果として新機軸、美麗なストリングスの導入は、バンド本来のブルータルな要素を対比により強く際立たせる効果ももたらしていますね。
クラシカルで壮大なエピック “All That Has Gone Before” で幕を閉じるまで、作品は生々しいエモーションを放ちながら、目まぐるしくも整合感を伴ってリスナーの耳を捉え続けます。ダークでエモーショナルな一本の名作映画を観終わった時のような感動を与える作品だと感じました。
今回弊誌では、ボーカルとシンセサイザーを担当するバンドの中心人物 James Spence にインタビューを行うことが出来ました。Eva ちゃんとは兄弟なのでご安心を。どうぞ!!

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ROLO TOMASSI “GRIEVANCES” : 9.8/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ANDERSON / STOLT : INVENTION OF KNOWLEDGE】 JON ANDERSON SPECIAL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JON ANDERSON OF ANDERSON / STOLT !!

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Legendary ex-YES Vocalist, Jon Anderson Talks About His New Project With Roine Stolt, Anderson Rabin and Wakeman, And His Thought About YES!!

DISC REVIEW “INVENTION OF KNOWLEDGE”

プログロックのドリームチーム、Anderson / Stolt が傑出したデビューアルバム “Invention of Knowledge” をリリースしました!!
長年 YES の”声”としてバンドを牽引した伝説的ボーカリスト Jon Anderson が、THE FLOWER KINGS, TRANSATLANTIC という2つの優れたプログロックバンドで才能を発揮する ギタリスト Roine Stolt とタッグを組んだ作品は、実に深く、カラフルで、メッセージ性に富んでおり、確実に1+1=2以上の化学反応が存在していますね。
2人を支えるバンドメンバーも YES や RENAISSANCE に関わってきた Tom Brislin (piano, organ, synthesizers), KARMAKANIC の Lalle Larsson (piano, synthesizer), 世界有数のベーシストで THE FLOWER KINGS では Roine の同僚でもある Jonas Reingold (bass), 同じく TFK の Felix Lehrmann (drums) という錚々たる顔ぶれ。
さらにアルバムには PAIN OF SALVATION の Daniel Gildenlöw や、Roine の別プロジェクト AGENTS OF MERCY から Nad Sylvan という豪華なゲストも参加しています。
アルバムは、インタビューで Jon が語ってくれたように、プログロックの過去と未来を繋ぐような作品に仕上がりました。具体的には、YES や GENESIS が紡いだシンフォニックなプログロック第一世代の優美さと、 北欧から端を発したプログ第3の波、THE FLOWER KINGS や ANEKDOTEN といったバンドによるスカンジナビアンプログロックの瑞々しさを華麗に融合させていると言えますね。勿論、 “Knowing”, “Everybody Heals”, “Invention of Knowledge”, “Know” という3つの組曲と1つの大曲の4部構成には、YES の大作 “Tales From Topographic Oceans” を想起するファンも多いでしょう。
アルバムオープナー、”Invention” はまさに”失われた”70年代 YES サウンドをイノベートする強いステイトメント。どこか牧歌的で Jon 特有のメロディーラインが登場すると、リスナーは彼こそが YES の声であることを再確認します。実際、アルバムを通して、ファルセットに近いボーイッシュな Jon の声は瑞々しく、微塵も衰えを感じさせません。特に、”Chase And Harmony” でピアノをバックに朗々と歌い上げる場面などは、心を揺さぶられずにはいられませんね。
同時に、Roine の素晴らしくメロディーとエモーションが調和したリードプレイ、プロデュース、彼のセンスや存在感は Anderson / Stolt がただ過去の焼き直しに終わらないことを強く主張しています。
それを象徴するのが、モダンなコンポジションを取り入れた “Everybody Heals” でしょう。THE FLOWER KINGS の方法論に近いこの楽曲は、現代的なストリングスや Jazz / Fusion のアプローチで飾られ磨き上げられており、リスナーに新鮮な感覚を植え付けます。
実際、アルバムのオーケストレーションは見事で、オリエンタルに終る “Invention” のカウンターパートとも言える “Knowledge” では LED ZEPPELIN の “Kashmir” を現代の技術で再現したかのような、壮大でエスニックなサウンドを提示しています。アルバムを締めくくる大曲 “Know…” における異国情緒溢れるギターソロも白眉。Roine が語っているように、「モダンでクラシカル、ロックでエスニック、トライバルでオーケストレートされ、グルーヴィーで浮遊感を持つ」という考え方を体現しているようにも思えますね。
さらに “Invention of Knowledge” は Jon Anderson というカリスマの哲学を色濃く反映した作品でもあります。彼の常に前向きで、楽観的で、自然を愛するピースフルなマインドスケープは、そのままアルバムのサウンドスケープとして表現され、多幸感溢れるスピリチュアルな作品に昇華しているのです。
今回弊誌では、その Jon Anderson 氏にインタビューを行うことが出来ました。ノスタルジーとコンテンポラリーが見事にミックスされた傑作。話題の Anderson, Rabin and Wakeman についても聞くことが出来ました。どうぞ!!

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ANDERSON / STOLT “INVENTION OF KNOWLEDGE” : 9.8/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【PASSCODE : VIRTUAL】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH PASSCODE !!

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Electronicore Meets Kawaii ?! Japanese Girls Outfit, “NINJA BOMBER” From Osaka, PassCode Has Just Released Splendid 2nd Album “VIRTUAL” !!

DISC REVIEW “VIRTUAL”

百花繚乱のアイドルシーンに、ピコリーモを引っさげ大阪から現れた4人組 PassCode が期待の新作 “VIRTUAL” をリリースしました!!新メンバー大上さんの加入、グループのリーダーだった黒原さん脱退という大きなメンバーチェンジを経て制作されたアルバムは、鮮烈なデビュー作 “ALL is VANITY” と”リンク”しつつも、より多彩で、よりキャッチーで、メンバーの確かな成長が感じられる優れた作品となりました。
アルバムオープナー “MOON PHASE” は PassCode の “Re-Birth” を高らかに宣言するキラーチューン。前作収録 “Toxic” のイメージを引き継ぎながら、よりスケールアップを果たした Electronicore サウンドを聴くことが出来ますね。キラキラとしかし複雑に突き進む楽曲の中、ふんだんに挿入される 今田さんのシャウト/スクリーム は男性ボーカルの凄みとはまた一味違ったテイストが白眉で、前作からの進化を伝えています。オートチューンの多用も実に効果的。
さらに、こちらも前作収録 “アスタリスク” とリンクする “NINJA BOMBER” はタイトルから想像出来る通り、和のテイストを取り入れた海外にも強くアピールする仕上がりとなっていますね。逆に言えば、こういったある種飛び道具的な楽曲が際立つのも、シリアスな “Now I Know”, “Nextage” のような彼女たちの”骨格”がしっかりと存在しているからだと思います。
勿論、そういった所謂ピコリーモは PassCode サウンドのベースでありアイデンティティーな訳ですが、インタビューで高嶋さんが”おもちゃ箱”と例えたように、カラフルでバラエティー豊かな本作では PassCode の新たな1面も重要な聴きどころとなっていますね。
例えば “ドリームメーカー” は Kawaii 要素を多分に含んだ電波チューン。でんぱ組.inc を想起するファンも多いでしょう。また、派手なシンセサウンドが注目されがちですが、”from here” などで聴けるピアノの音色も美しく作品に色を添えています。
さらに、アルバム終盤に配置された “Don’t Leave Me Alone”, “You Made My Day” のように切なく、ブルージーな味わいさえ存在する、聴かせる楽曲も素晴らしいアクセントになっていますね。特に “You Made My Day” は1分そこそこの短い中に、PassCode の熱い想いが込められた歌詞、パフォーマンスだと感じました。
今回は、サウンド・プロデュースを手がける平地孝次さんがメンバーの歌唱パートを決定したことで、より各メンバーの特徴が作品に昇華されていますし、SiM や BABYMETAL を手がける 原浩一さんがマスタリングを行うことでサウンド自体もアップグレードされており、実に聴き応えのある完成度の高い作品に仕上がっています。
今回弊誌では、PassCode のメンバー全員、高嶋 楓さん、今田 夢菜さん、大上 陽奈子さん、南 菜生さんにインタビューを行うことが出来ました。8/8の Zepp DiverCity ワンマンでは初のフルバンドセットも控えています。ぜひアイドルとバンドの垣根を壊していって欲しいですね。どうぞ!!

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PassCode “VIRTUAL” : 9.2/10

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