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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【IGORRR : SAVAGE SINUSOID】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH GAUTIER SERRE A.K.A. Igorrr !!

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Mastermind Of Modern Metal Revolution, Igorrr Sets A New Standard Across Styles Of Music, With His New Masterpiece “Savage Sinusoid” !!

DISC REVIEW “SAVAGE SINUSOID”

多様性をランドマークとするモダンメタルシーンの最前線に立ち続ける、フランスの鬼才 Igorrr が待望の最新作 “Savage Sinusoid” をリリースします!!メガレーベル Metal Blade Records と契約を果たし、自身の最高峰を更新する傑作を完成させた Igorrr の世界制覇は目前です。
Igorrr とは誇り高きフランスのコンポーザー/マルチプレイヤー Gautier Serre のソロプロジェクト。ブレイクコア、グリッチホップ、トリップホップ、バロック、クラシカル、ワールドミュージック、サイバーグラインド、デスメタル、ブラックメタルなど百花斉放、極彩色のインスピレーションを濃縮し、時代もジャンルも超越したそのサウンドスケープは即ち規格外のモンスターだと言えるかもしれませんね。そして、インタビューにもあるように Gautier は、その至高の怪物を各ジャンルのスペシャリストを招集することで制御し、自らの意のままに操っているのです。”Savage Sinusoid” のアートワークに描かれた結合のスフィアは、まさにそのシンボルだった訳ですね。
アルバムオープナー、”Viande” は Igorrr の野蛮な “Savage” サイドを象徴する楽曲です。エクストリームメタルの新たなエイリアン、奇妙な咆哮を宿した2分弱のエレクトロブラッケンドデスメタルは、息を呑むほどに野蛮で斬新。邪悪で過重な質量を纏うギターリフと、鋭利なグリッチサウンドが交差し、リズムの主導権を奪い合う様はまさしく圧巻の一言で、同時に呪詛のごときシアトリカルなスクリームは地球上で最も多様な Igorrr 劇場の開幕を告げています。
Igorrr の多様性、 “Sinusoid” サイドを体現する “ieuD”, “Houmous” の流れがシーンに与えるインパクトは絶大でしょう。ハープシコードとエレクトロビート、バロック音楽とエレクトロニカ。400年の時を超えて邂逅した、17世紀と21世紀を象徴するサウンドとジャンルは、4世紀のギャップなど存在しないかのように “ieuD” で魅惑の融合を果たしています。
中盤、荘厳なる美の結晶、狂気すら入り交じる Laure Le Prunenec のオペラティックな歌唱をコアとして、ブラストビートとブレイクビーツが入り乱れる魔展開は確かにカオティックですが、テクニカルで深層まで注意深くデザインされたそのコントラスト、タペストリーサウンドは、奔放、野性味というよりはコントロールされたカオスといった印象を与えていますね。つまり、彼のエクレクティックなチャレンジは、決して客寄せのサーカスではなく、自身の創造性、シネマティックな絵画を完成させるための絵の具や技法であるとも言えるでしょう。
“Houmous” で Igorrr のサウンドはさらにその世界を広げて行きます。”ieuD” で時空を超えた彼の音楽は軽々と地平をも飛び越えて進化を続けます。バルカン半島へとたどり着いた彼のイマジネーションは、バルカン音楽とエレクトロニカ、そしてブラストビートを結びつけ異形のエモーションを創出します。
音楽も多様なら舞台に上がる楽器の種類も実に多様。アコーディオンにサックス、フルート、そして楽曲の後半にはニンテンドーの実機を使用したチップチューン8bitサウンドまで登場するのですから、インタビューで “No Limits, No Boundaries” と断言するのも頷けますね。何より、今回の作品では全ての楽器が、サンプルではなく実際にプレイされており、その繊細かつオーガニックなサウンドはアルバムのリアリティーを飛躍的に高めていると同時に、作品のディレクションさえ以前よりソリッドにフォーカス成し得ていると感じました。アコースティック楽器とエレクトロニカサウンドのシュールなコントラストはアルバムの特筆すべき場面の一つでしょうね。
ムーブメントとしての djent が終焉を迎えシーンに定着した中で、Igorrr の”Savage” と “Sinusoid” を融合させる時代も空間も超越したユーフォリアは EDM や hip-hop が席巻する現在の音楽シーンだからこそ、新たなトレンドとしてモダンメタルをさらに前進させる可能性を多分に孕んでいます。インタビューでも語ってくれた通り、少なくともこのジャンルは未だに進化を続けているのですから。最後に、CATTLE DECAPITATION の Travis Ryan が3曲で無慈悲なグロウルを披露し、作品の “Savage” をより際立たせていることを付け加えておきましょう。
今回弊誌では、Gautier Serre にインタビューを行うことが出来ました。ほとんど多様性とコントラストについてしか言及しない Marunouchi Muzik Magazine ですから当然この作品こそ2017年上半期の最重要アルバムだと断言いたします。どうぞ!!

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Igorrr “SAVAGE SINUSOID” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【GHOST BATH : STARMOURNER】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH DENNIS MIKULA OF GHOST BATH !!

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The Most Mysterious Black Metal 2nd Generation, Ghost Bath Mixed DSBM And Japanese Video Game Music With Their Newest Album “Starmourner” !!

DISC REVIEW “STARMOURNER”

インパクトと芸術性、そして崇高さを内包する多種多彩なブラックメタル第二世代の中でも、一際ミステリアスな存在として異彩を放つ GHOST BATH。彼らがリリースした最新作 “Starmourner” は、DEAFHEAVEN や ALCEST, LITURGY が押し広げたジャンルの壁をさらに拡張する、遠大な可能性に満ちた作品に仕上がりました。
GHOST BATH は当初、中国出身のバンドだと考えられていました。メンバーの顔を伏せた上で “鬼浴” と名乗り、アルバムをリリースしたレーベル、そしてバンドのロケーションも中国としていたのですからそれも当然です。しかしインタビューにもあるように、実際はノースダコタに拠点を置くアメリカのバンドだったのです。
Bandcamp にロケーションを要求された時、”No Location” が受け入れられなかったため、地球の反対側にある中国を何となく選んだら中国のレーベルからコンタクトが来たというのがどうやら真相のようですね。Dennis はそういった一連の流れについて「人間よりも音楽それ自体により直接コネクトして欲しかった」からと説明してくれました。
しかし、2ndアルバム “Moonlover” のヒットとそれに伴うメガレーベル Nuclear Blast との契約により全てを秘匿することが困難になったバンドは、メンバーの顔写真とロケーション、そして首謀者 Dennis Mikula の名前だけは明らかにすることとなったのです。(とは言え現在でも公式にはその名前は “Nameless” とされていますが。)
そういった経緯を経てリリースされた3rdアルバム “Starmourner” は、インタビューで Dennis が語ってくれた通り、”Moonlover” を序章とするトリロジーの第2章。バンド名が象徴するように、DSBM (デプレッシブスイサイダルブラックメタル) を自称する GHOST BATH ですが、天国や天使にフォーカスしたというアルバムはポジティブでハッピーとさえ言えるサウンドを前面に押し出し、デプレッシブなムードと夢幻に対比させた異例のブラックメタル作品となりました。
作品は天駆けるピアノが流麗な旋律を紡ぐ “Astral” でその幕を開けます。他のブラックメタル第二世代と比較して GHOST BATH をさらに特異な存在としているのは、明瞭でキャッチーなメロディーがアルバムの主役となっている点でしょう。”Seraphic” のパワーメタル的とさえ言える優美で凛々しいメロディーの洪水と、そのカウンターパートとして示されるダークでヒステリックなブラストの海原が手を取り合い創造する類希なるカタルシスは決定的にユニークで、バンドの新たなチャプターの始まりを告げています。
勿論、アルバムには DEAFHEAVEN に通じるようなインディー、シューゲイズからの影響も存在します。”Luminescence” を聴けば GHOST BATH がパワーメタルの手法を周到にその光の世界へと取り入れていることが伝わるでしょう。同様のチャレンジを試みる ASTRONOID と現在ツアーを行っていることは、決して偶然ではありません。
アルバムを語る時、Dennis の日本に対する愛情を欠かすことは出来ませんね。実は以前弊誌に登場いただいた時点で、日本に新婚旅行で訪れることを誇らしげに伝えてくれていた Dennis。すでに簡単な日常会話はマスターしており、本気でこの国に移住を考えていると言うのですから、日本のメタルファンにとってそれは大きな、そして喜ばしいサプライズに違いありません。
Dennis の日本とその文化に対する真情は “Celestial” に結実しています。彼が愛してやまない、日本のロールプレイングゲームに起因する勇壮なファンファーレがブラックメタルのタッチで描かれた時、リスナーはノスタルジーと共に生じる多幸感、恍惚感が新鮮な情動であることに気づくでしょう。その場所からさらに楽曲は、ULVER が “Perdition City” で見せたシンセワークとアトモスフィアを伴って静謐でプラトニックな “Angelic” へと歩みを進めて行くのです。その神聖なまでに巧みな構成力はまさに別世界の高みにあると言えるでしょう。
「ブラックメタルとゲーム音楽を融合させる。」  “Thrones”, “Elysian” と聴き進める内に、リスナーはその野望が完遂されたことを知るでしょう。そこには “Final Fantasy”、”ゼルダの伝説” といった私たちのクラッシックが見事に GHOST BATH のブラックメタルとして新たな生を与えられているのですから。今回も Dennis がほぼ1人で制作したアルバムは、狂気とアトモスフィア、耽美と悲愴を携えた、新鮮で文字通りプログレッシブな音楽として世界に衝撃を与えることでしょう。
70分を超える壮大な神曲は、ジブリの世界観を宿し、不思議に悲哀を称えた鍵盤とドラムスのピース “Ode” で静かに幕を閉じます。
今回弊誌では、Dennis Mikula にインタビューを行うことが出来ました。6月には Ward Records から日本盤の発売も決まっています。どうぞ!!

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GHOST BATH “STARMOURNER” : 9.7/10

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EXCLUSIVE INTERVIEW 【COLIN MARSTON : KRALLICE, GORGUTS, BEHOLD…THE ARCTOPUS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH COLIN MARSTON OF KRALLICE, GORGUTS, BEHOLD…THE ARCTOPUS, AND MORE !!

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New York’s Own All Around Dynamic Cult Metal Super-Hero, Colin Marston Talks About Krallice, Gorguts, Behold…The Arctopus, And More!!

ABOUT “COLIN MARSTON”

Colin Marston は34歳にして既にメタル、アヴァンギャルドシーンのカルトヒーローだと言えます。変質的でありながら高い賞賛を浴び続ける、4つの価値あるバンドを牽引する人物であることがその第一の要因でしょう。
盟友 Micc Barr と立ち上げた KRALLICE は NYC の個性的なブラックメタルシーンを代表するバンドです。2011年にリリースした “Diotima” はアトモスフェリックブラックの金字塔として今も語り継がれる名盤ですし、2015年には複雑なリズムやテクニックにフォーカスしたテクニカルデスメタルへと接近し、界隈のトレンドをお膳立てするフラッグシップ的役割、影響力を見せつけましたね。昨年は VAMPILLIA 他日本のバンドたちと共演するジャパンツアーも行い、その高いミュージシャンシップと鬼気迫るパフォーマンスが話題となりました。
BEHOLD…THE ARCTOPUS は実験性を極めた真のカルトインストスリーピース。奇想天外、一見無機質でツギハギのようなカオスの中に、メロディーや叙情味を織り込んで行くそのスタイルはまさしく唯一無二でしょう。”地獄の12弦ハープ”などと称される特異な楽器 Warr Guitar のベースとギターの領域をカバーする広いレンジを駆使し、嵐のようにフレットをタップする Colin の姿はアックスマンの称号に相応しい壮絶なオーラを纏っています。
Colin はカナダの暗黒神、アヴァンデスメタルレジェンド GORGUTS にも参加しています。インタビューにもある通り、ここではベースプレイヤーとして影となり日向となり、奇才 Luc Lemay を支えているようですね。彼らもまた KRALLICE と同様に ULCERATE や PYRRHON といったモダンで深みのある新鋭デスメタルアクトたちに多大な影響を与えたオリジネーターだと言えますね。
DYSRHYTHMIA はその GORGUTS のギタリスト Kevin Hufnagel とタッグを組んだこちらもインストスリーピース。BEHOLD…THE ARCTOPUS とは異なり、リフの迷宮、カオスの魔窟といった風体のよりダークで引き摺るような重さを纏ったバンドです。Kevin がプログレッシブドゥームの英雄 WHILE HEAVEN WEPT に所属していたこともあり、”Thrak” 期の KING CRIMSON をさらに陰鬱で重厚なサウンドに仕上げたような魅力が存在します。
インタビューにもあるように、Colin は昨年この4バンド全てで新作をリリースしただけでなく、他にも4、5プロジェクトに参加し作品を世に送り出しているのです。驚くべきハイペース、創作の鬼、羅刹。
特に近年 Colin の仕事からは音楽は勿論、何者も恐れない崇高な実験精神 まで KING CRIMSON の影を強く感じます。”知恵の館”をテーマとし、イスラムアッバース朝の繁栄から衰退までを描いた33分の大曲のみを収録し、プログレッシブデスメタルの新たな領域を開拓したと各所で絶賛された GORGUTS の “Pleiades’ Dust” をはじめとして、昨年リリースされたレコードは全てが音楽的冒険の末辿り着いた比類なきクオリティーを誇るのですから、そのストイックに研ぎ澄まされた感性や人となりからももはや”現代の Robert Fripp” の称号を得ても何ら不思議ではないですね。
Colin の”ワーカホリック”はとどまる事を知りません。彼がカルトヒーローである第二の理由。それは自身が所持する Menegroth: The Thousand Caves in Queens スタジオで辣腕を振るう優れたプロデューサー/エンジニアであるからに他ならないのです。ARTIFICIAL BRAIN, LITRUGY, KAYO DOT, EAST OF THE WALL, WOE, DEFEATIST, CASTEVET など多様性をアイデンティティーとした NYC の革新的なメタルの波はこのスタジオを起点として生まれたと言っても過言ではないでしょう。
インタビューでも自身がベジタリアンであることを認めていますが、シーンきってのナチュラリストとして知られる Colin のサウンドから生命、人間、感性を捉える能力が界隈のミュージシャンたちに強く信頼されリスペクトを受けていることは間違いないでしょうね。
今回弊誌では、二つの顔を持ち、アンダーグラウンドメタルシーンで今最も多忙かつ尊敬を集める Colin にインタビューを行うことが出来ました。あの Skrillex より先にサイドカットに手を染めた冒険者 Colin Marston 解体新書のようなインタビュー。どうぞ!!

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ALCEST : KODAMA】JAPAN TOUR 2017 SPECIAL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH NEIGE OF ALCEST !!

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The Pioneer Of Post-Black Metal From France, ALCEST Returns To Roots And Opens Up The New Chapter With Their Newest Album “Kodama” Influenced By Japanese Folklore !!

DISC REVIEW “KODAMA”

今や世界規模で注目を集める、儚くも美しいフランスの Post-Black Metal デュオ ALCEST が Neige の幼少期、そして宮崎駿さんの名作”もののけ姫”にインスピレーションを得たという新作 “Kodama” をリリースしました!!これまでも、寺院でプレイしたり、”Souvenirs d’un Autre Monde” 収録 “Tir Nan Og” でゲーム”クロノトリガー”に対するオマージュを行うことにより日本に対するリスペクトを表していた ALCEST ですが、彼らのその想いが本格的に詰まった作品は、さらにこの地でのファンを増やすことでしょう。
ALCEST は所謂 “Blackgaze”、Black Metal と Shoegaze を融合させたパイオニア的存在です。幻想的で内省的。メランコリックな繊細さと悲痛な激しさが生み出す圧倒的なダイナミズム、神々しいまでの美しさはシーンに衝撃を与え、DEAFHEAVEN などに続く Post-Black のうねりを創出したのです。
一つの潮流を生み出した ALCEST が発表した前作 “Shelter” は “Sun-Kissed” などとも表現される、言わば”光”のアルバムでした。メタルらしさを極力排し、多幸感溢れる Shoegaze / Indie サウンドを前面に押し出した作品は、確かに彼らの特徴であるダイナミズムが失われたという点では物議を醸しましたが、それ以上に極上の Post-Rock へと進化し、溢れ出る目も眩むような光の渦、SIGUR ROS にも似たアトモスフィアが 「やはり ALCEST は凄い!」 と世の中を納得させたように思います。
“Kodama” は “Shelter” と対になるカウンターパーツ的な作品と言えるかもしれません。インタビューにあるように、もののけ姫と通じる自然を食い物にする現代社会、そしてその闇の部分でもあるテロリズムが ALCEST を動かしました。ある意味メタルのルーツに戻り、よりダークな1面にフォーカスした”最も怒れる”作品は、それでもやはり徹頭徹尾 ALCEST です。そして同時に、彼らの新しいチャレンジである POP センスが花開いたアルバムであるとも言えるでしょう。
アルバムオープナー、タイトルトラックの “Kodama” はレコードを象徴するような楽曲です。確かにここには ALCEST のシグニチャーサウンドである、 Black Metal の冷たいギターや、Shoegaze のドリーミーなメロディーがレイヤーされていますが、同時にアリーナポップに由来する要素も存在します。COCTEAU TWINS や DEAD CAN DANCE に触発されたというボーカルは何と全てがインプロヴァイズされたもの。非常にキャッチーかつ神秘的なそのメロディーラインはリスナーをもののけの森へと誘い、楽曲をよりスピリチュアルな高みへと押し上げています。この手法は、”Je suis d’ailleurs” の冒頭などでも聴くことが出来ますね。
加えて、インタビューで語ってくれた通り、グランジやインディーロックからの影響も新たな可能性を提示します。楽曲後半に見せる Neige のギターワークは群を抜いていて、シンプルかつ少ない音数で空間を意識した印象的なフレーズを奏で、故意にラフなプロダクション、サウンドで NIRVANA のようにコードをのみ激しくストロークすることで、楽曲の幅を広げることに成功していますね。Neige のコンポジションスタイルである、光と影のバランスを完璧なまでに復活させながら、さらに進化を遂げた凄みがここにはあります。
ファーストシングル、”Oiseaux de Proire” は王者がメタルへの帰還を高々と告げるアルバムのハイライトでしょう。TOOL や SMASHING PUNPKINS さえ想起させるオルタナティブな感覚を備えたギターリフと、ノスタルジックで郷愁を誘う珠玉のボーカルメロディーで幕を開ける楽曲は、Neige の咆哮を合図に突如としてその怒りの牙を剥きます。Winterhalter の鬼気迫るブラストビートに乗って疾走する、メランコリックなトレモロリフはまさしく ALCEST のアイデンティティー。挿入されるキャッチーなアコースティックパートは進化の証。溢れるようなそのエナジーは、もののけ姫終盤にししがみが首を落とす場面をイメージさせますね。インタビューで言及している通り、”二面性” “対比” “進化” に拘るアートの開拓者らしい完璧な展開美を持ったシネマティックな楽曲だと思います。
タイトル、山本タカトさんをオマージュしたアートワークからコンセプト、”対比”の妙まで強く日本を意識した “Kodama”。今回弊誌では、Neige にインタビューを行うことが出来ました。音楽、歌詞、コンセプト、演奏、全てを司るまさに ALCEST の心臓が非常に深く丁寧に語ってくれました。日本の雑誌だからこそ行えた価値あるインタビュー。どうぞ!!

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ALCEST “KODAMA” : 9.7/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ENSLAVED : IN TIMES】LOUD PARK 2016 SPECIAL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH Ivar Bjørnson OF ENSLAVED !!

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Finally, Enslaved Are Going To Play For Japan For The First Time! Don’t Miss Their Amazing Performance At Loud Park 16 !!

DISC REVIEW “IN TIMES”

ノルウェーを代表する Viking / Progressive Black Metal バンド, ENSLAVED が Loud Park 16 で遂に日本初上陸を果たします!!ライブバンドとしても名高い彼らのパフォーマンスは、日本のメタルファンを確実にノックアウトすることでしょう。
初期にはプリミティブな Black Metal 色の濃い Extreme Metal を追求していたENSLAVED ですが、近年はプログレッシブな要素を多分に取り入れた、荘厳で唯一無二の Progressive-Black サウンドを指標しています。
最も頻繁に比較されるのは OPETH でしょうが、PINK FLOYD を思わせるサイケデリックな瞬間も存在し、Herbrand Larsen の美麗なクリーンボイスは KATATONIA をも想起させる、実にフレキシブルで才能豊かななバンドです。同時に Herbrand のオルガンからメロトロン、シンセサイザーまで自在に操るエピカルなキーボードサウンドが、他の Extreme Metal との大きな差異を生んでいるとも言えますね。
特に、”Axioma Ethica Odini” でシーンの売れっ子プロデューサー Jens Bogren を起用してからは神がかっており、前作 “Riitiir” ではもはや Extreme Metal の枠にさえ収まり切らない、完璧な構成美を誇る神々しいまでに進化したエピックサウンドを完成させていました。
昨年リリースした “In Times” は、”Riitiir” という一つの完成形を経て、現在の成熟したバンドが新たに勇壮でプリミティブな原点に立ち返ったレコードと言えるでしょう。
アルバムオープナー、”Thurisaz Dreaming” はバンドの過去と現在が溶け合った “In Times” を象徴するような楽曲です。ノルウェーが誇る強烈なブラストビートを元にした、怒りに満ちた Blackend のブリザードで幕を開ける巨人の夢は、確かに初期の ENSLAVED を彷彿とさせます。Grutle Kjellson の邪悪で無慈悲な叫びは、彼らが今でも”古い価値観”を守り続けていることの証です。しかし、楽曲はスムーズに、違和感もなく、バンドのメロディック、プログサイドへと移行し、彼らの武器であるクリーンボーカルを伴った優雅でアンビエントなサウンドを響かせるのです。
ブリットロック的な感覚さえ存在する、キャッチーで美しく、オーガニックな “Building With Fire” にしても、残虐なオーラを纏ったスクリームと共に、ダークなパッセージが用意されていますし、”One Thousand Years of Rain” ではメロディックに疾走するエクストリームパートに呼応する、彼ら独特の浮遊感溢れるコーラスが白眉です。この振れ幅の大きさを自然に感じさせる、見事なバランス感覚こそが、アルバムの肝だと言えるのではないでしょうか。
同時に、前作に比べて、良い意味でラフで空間が目立つ “In Times” は、ドラマー Cato Bekkevold の強靭なタイム感、バラエティー豊かで個性的なフィルインの数々がリスナーを惹き付ける重要なランドマークとなっていることは記して置くべきでしょう。
特筆すべきは、タイトルトラック “In Times”。ENSLAVED の先進的で型にはまらないドラマ性を集約したかのような楽曲は、虚無なる宇宙を漂うかのようなサイケデリックなイントロから、バンドの光と影を反映するかのように、幻想的な神秘性と無慈悲な残忍さが交差します。ブラック、サイケ、プログ、アグレッション、アトモスフィア、ハーモニー、そして至高の構成美。ENSLAVED を形作る全ての要素が内包されたかのような10分間の大曲は、間違いなく彼らの新たなシンボルとなるはずです。
今回弊誌では、バンドの創立メンバーでギタリスト、Ivar Bjørnson にインタビューを行うことが出来ました。90年代からシーンを牽引し続けてきた人間の言葉はやはり重いです。どうぞ!!

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ENSLAVED “IN TIMES” : 9.5/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【COLDWORLD : AUTUMN】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH G.B. OF COLDWORLD !!

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One Man Atmospheric Black Metal From Germany, COLDWORLD Has Just Released Gorgeous New Album “Autumn” For The First Time In 8 Years !!

DISC REVIEW “AUTUMN”

8年の沈黙を経て、German Atmospheric Black の雄、COLDWORLD が復活作 “Autumn” をリリースしました!!洗練され、スケール感、アンビエンス、メロディーの質共々格段に進化した作品は、シーンに衝撃を与えています。
COLDWORLD は G.B. のワンマンプロジェクト。すべての楽器、そしてグロウルからクリーンボーカルまで見事にこなす彼の才能は “Autumn” において素晴らしく開花していますね。前作 “Melancholie²” のメロディックなスタイルは引き継ぎながら、よりウォームでナチュラルなサウンドを具現化したアルバムは、最早ストレートな Black Metal の領域には収まり切らないようにも思えます。
Depressive Black Metal の首領、SHINING の近作がプログレッシブな1面を提示している事実とリンクするかのように、同様にデプレッシブなサウンドを奏でる COLDWORLD も Post-Progressive への接近を隠そうとはしません。
9分の大曲、”Womb of Emptiness” を聴けば、彼らの新しいチャレンジを感じることが出来るでしょう。ピアノとキーボードの荘厳でクラシカルなコードプログレッションに導かれ紡がれる G.B. のクリーンボーカルは、深い悲しみを湛えつつ、ダークでディープなアトモスフィアを創出します。KATATONIA の Jonas Renkse を想起するファンも多いでしょう。
実際、楽曲の前半は KATATONIA のモダンなプログレッション、リリシズム、耽美性と共通する部分も多く感じられます。
一転、壮絶なトレモロリフとグロウル、ダブルベースドラムが切れ込むと、楽曲は激しい絶望を宿した美しさにその色を変えていきます。冷ややかな空気の中、創出される対比の妙は、アルバムの重要なポイントとなっていますね。さらに、プログレッシブという観点から見れば、”Climax of Sorrow” においても OPETH のようなヘヴィープログレッシブに知性を湛えた極上のリフを聴くことが出来ます。
一方で、”Autumn” には、ALCEST, DEAFHEAVEN といった人気と飽和の渦中にある Post-Black / Blackgaze 勢に通じるような、多幸感すら感じさせるサウンドも存在します。アルバムオープナー、”Scars” での大胆なストリングスの使用や、”Void” における美麗な女性コーラスの導入も、絶望の先に暖かい光が射すような楽曲のムードを見事に強調しており、作品に多彩で豊かな表情を植え付けています。
インタビューで語ってくれた通り、幼少時からヴァイオリンを習得している G.B. の音楽は非常に緻密かつ知的で、エピカル。完成まで8年もの長い月日を要したことにも頷けます。今回弊誌では、G.B. にインタビューを行うことが出来ました。どうぞ!!

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COLDWORLD “AUTUMN” : 9.7/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【KVELERTAK : NATTESFERD】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ERLEND HJELVIK OF KVELERTAK !!

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Norwegian “Black n’ Roll” Sextet, Kvelertak Has Just Released Genre-Breaking, Acceptable New Record “Nattesferd” !!

DISC REVIEW “NATTESFERD”

Black Metal と Rock’n Roll, Classic Rock, Punk, Hardcore を見事に融合し、シーンから熱い注目を浴び続ける、ノルウェーの”Black n’ Roll” 6人組 KVELERTAK が新作 “Nattesferd” をリリースしました!!
前作までタッグを組んでいたプロデューサー、CONVERGE の Kurt Ballou、そしてアートワークを手がけて来た BARONESS の John Baizley と袂を分かち、地元ノルウェーでレコーディングを行った今作は、最もキャッチーで、具体的には80年代のメタルやロックを強く意識した作品に仕上がりました。HAKEN のインタビューでも触れましたが、80’s 回帰という音楽シーンの流れは確実にメタル/プログシーンにも影響を与えています。
アルバムオープナー、”Dendrofil for Yggdrasil” はまさに “Black n’ Roll”、KVELERTAK のスタイルを見事に表現しています。イントロの畳み掛けるようなブラストビート、トレモロリフは Black Metal 的で実にアグレッシブですが、同時に BOSTON のようなキャッチーなロック/アルペジオパートも存在し、その対比が強烈なフックを生んでいますね。
新作における彼らの主張を象徴するのが、文字通りあの時代の空気を強く内包した “1985” でしょう。スローテンポ、メジャーキーで執拗なまでに繰り返されるキャッチーなリフは VAN HALEN の “1984” に収録されていても不思議でないほど80年代しています。Simple But Effective。KVELERTAK の目指す先がこの楽曲、言葉に集約されることは明らかです。
勿論、US だけではなく、ヨーロッパからの影響も存在しますね。自慢のトリプルギターを活かしたタイトルトラック “Nattesferd” は Punk meets Metal の先駆者、IRON MAIDEN の初期2作を想起させます。大曲 “Heksebrann” のイントロでも聴けますが、Steve Harris、時に MOTORHEAD の Lemmy のような Marvin の縦横無尽なベースプレイに、アイデア豊富なトリプルギターが対峙するパートは鳥肌が立つほどエキサイティングです。さらに、メロディーもスクリームも自在に操るエネルギッシュな Erlend の歌唱は Paul Di’Anno を凌ぐほど。
一方、”Berserkr” では JUDAS PRIEST の “Exciter” を思わせるハードドライビングでストレートなリフが素晴らしく印象的ですね。メタルのアンセミックな1面に殊更フォーカスしている点も作品の重要なポイントとなっています。
80年代、ストレート&シンプル。今回 KVELERTAK は、シンプルかつキャッチーなリフを、リスナーの予想以上に何度も何度も繰り返し印象付ける手法を多く使用しています。それは本当に、ギターを始めて2ヶ月でコピー出来るようなフレーズばかりですが、最高に楽しく、繰り返しリピートを誘うものばかり。勿論、ただ単純な訳ではなく、考え抜かれた展開、エクレクティックな音楽性があるからこそ映えるのでしょう。遂に彼ら自らが公言する “Scandi-Rock” のガイドラインが固まったようにも思えますね。
サブジャンルの拡大や、新しい人気ジャンル Djent の勃興でテクニカルなものが持て囃される傾向が強い現代のメタルシーンですが、彼らがこのレコードでトライしたことはそれに対する強力なカウンターであり、見事に成功を収めていると感じました。
今回弊誌では、バンドのボーカル Elrend Hjelvik にインタビューを行うことが出来ました。神戸で生まれた彼が世界的に成功を収めていることは非常に誇らしいですね。どうぞ!

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KVELERTAK “NATTESFERD” : 9.8/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【COBALT : SLOW FOREVER】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ERIK WUNDER OF COBALT !!

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“American Black Metal” has evolved ! Cobalt Return With Full-of-intensity Discs and a New Screamer on “Slow Forever”!!

DISC REVIEW “SLOW FOREVER”

“American Black Metal” という唯一無二のジャンルを確立した COBALT が衝撃的な2枚のレコードと新たなスクリーマーを得てシーンに戻って来ました!!
Black Metal の出自は勿論欧州です。しかし、当然ながら、シーンが人気を博し拡散するに連れて世界中から Black Metal バンドが現れるようになりました。US から現れる Black Metal は興味深いバンドが多いようにも感じますね。
WOLVES IN THE THRONE ROOM, PANOPTICON に代表される自然崇拝を掲げたアトモスフェリックなカスカディアンブラック、KRALLICE, LITRUGY といったエクスペリメンタルなブラックメタルなど多種多様で実に個性的。中でも COBALT は前作 “Gin” においてヨーロッパの Black Metal にUSロック/メタルからの影響を多大に持ち込み、シーンを驚かせました。
残念ながら、それから7年という長いインターバルの間に、強い絆で結ばれていた不世出のボーカル Phil と 全ての楽器をこなす Erik は袂を分かちます。事の詳細はインタビューを参照していただくとして、残った Erik は新たに LORD MANTIS などで知られる Charlie Fell とタッグを組むこととなりました。そうして、難産の末生まれた新作 “Slow Forever” は、キャッチーかつアグレッシブ、非常に濃厚で革命的なダブルアルバムとして遂にリリースされたのです。あの Pitchfork誌で8.4という高得点をマークしたことも記憶に新しいですね。
まず記して置くべきは、Erik もインタビューで認めている通り、もはや Black Metal の要素はほとんど残っていないという点でしょう。音楽だけにフォーカスすれば、”Slow Forever” は強烈なインテンシティーと高度なインテリジェンスを纏った純粋な “American Metal” と言えるのではないでしょうか。
アルバムを通して、作品は Erik の TOOL に対する憧れが見事に開花していますが、大曲 “King Rust” は特に象徴的です。ブラストビートの代わりに使用される、プリミティブでトライバルな本能的ビートはまさに Danny Carey のそれで、リスナーの思考に直接訴えかけるような力強さを持っています。
有機物質のように形を変えながら、次々と繰り出される印象的なリフワークとミニマルでマスマティカルなアプローチも実に効果的。同時に、新加入 Charlie の野性的で獰猛なスクリームにより、TOOL 以上に NEUROSIS を感じるリスナーも多いでしょう。
しかし勿論、アメリカンミュージックからの影響は TOOL のみにはとどまりません。アルバムオープナー “Hunt the Buffalo” に代表されるように、クリーンギターを使用したブルース/カントリー/フォークミュージックに通じるリックの数々も彼らの重要なアイデンティティーとなっていますし、それは、突き詰めれば Mark Tremonti が CREED, ALTER BRIDGE といった Post-Grunge の重要バンドたちの中で行ってきた挑戦にも通じます。
さらに、彼らを語る時、ニューオリンズのスラッジモンスター EYEHATEGOD と USアンダーグラウンドの雄 SWANS をイメージすればより理解が深まるでしょう。メタルとハードコア、パンク、オルタナティブロックとフォーク、ノイズなど、彼らのダークでクロスオーバーな精神性はまさに COBALT と深く通じているからです。特に、”Elephant Graveyard” はここ数年でも傑出した地下音楽のクロスオーバーチューンだと感じました。
今回弊誌ではバンドの頭脳、Erik Wunder にインタビューを行うことが出来ました。以前から敬愛する、ヘミングウェイの有名なノーベル賞受賞スピーチ “at best, writing is a lonely life” の一節を “Iconoclast” で使用していますが、同様の気持ちだったのかも知れませんね。どうぞ!!

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COBALT “SLOW FOREVER” : 9.9/10

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WORLD PREMIERE : “WINTER BANE” 【ABBATH : ABBATH】


WORLD PREMIERE:NEW SONG !! “WINTER BANE” OF ABBATH !!

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ABBATH WILL RETURN WITH BLACK METAL SUPER GROUP ABBATH !! THEY SET TO RELEASE KILLER SELF-TITLED ALBUM “ABBATH” ON 1/22 !!

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先日の LOUD PARK 2015 において鮮烈なパフォーマンスを披露した ABBATH が遂にデビューアルバムをリリースします!!セルフタイトル “ABBATH” と名付けられた作品は来年の 1/22 にベールを脱ぐこととなりました。今回公開するのは、そのアルバムからキラーチューンとしか表現しようのない素晴らしいファーストトラック “WINTER BANE” です。

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ABBATH が IMMORTAL を離れるというアナウンスはメタルシーンを揺るがせました。なぜなら彼と彼のイメージ、スタイルは長らくノルウェーブラックメタルシーンの”顔”だったからです。しかし彼は帰ってきました!ABBATH という自身の名を冠したバンドと共に!!

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アルバムには今回公開した “WINTER BANE” が示すように、北欧のブリザードのような凄みを持った楽曲から”OCEAN OF WOUND” のようなミッドテンポのアンセムまで収録されています。ABBATH のヘヴィーで強烈ながらキャッチーさも伴うリフワークは BATHORY, MOTORHEAD さらには KISS までも想起させます。再び ABBATH と手を組むこととなった KING のソングライティング、ドラマー CREATURE の驚異的なドラミングも加わって、アルバムは最初から最後までブラックメタルファンが望むものを100%提供しています。

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NOW the Norwegian giant returns with his new band ABBATH and a crushing debut album of the same name. The opening triplet “To War”, “Winter Bane”, and “Ashes of the Damned” unleashes all the fury of a Nordic blizzard at full force. Yet the following “Ocean of Wounds” proves that his new band is equally at home in writing anthemic mid-tempo hymns. Abbath’s characteristic riffing shines clearly through it all: heavy, harsh, and yet catchy and melodic with a touch of epic BATHORY, MOTÖRHEAD, and even KISS. At the same time there is no danger of repeating the formula of IMMORTAL or the mastermind’s other project under the moniker I, which was shared with King. The bass player from Bergen has again joined Abbath and brought his impressive song-writing skills to the battlefield. GORGOROTH, GOD SEED, and OV HELL bear witness to King’s exceptional talent as a composer, while contributions to AUDREY HORNE and SAHG demonstrate his wide stylistic range. The final keystone to ABBATH lies in the outstanding drumming delivered by the mysterious Creature. The trio has already proved its worth as a live entity at several headlining festival shows as well, where ABBATH were joined by an additional guitarist. ‘Abbath’ impresses from start to finish. This is exactly the album that all fans of this particular Bergen brand of black metal have been hoping for. Hold on tight or get blown away. ABBATH are here now and ready to conquer the world!

Tracklisting
01. To War
02. Winter Bane
03. Ashes of the Damned
04. Ocean of Wounds
05. Count the Dead
06. Fenrir Hunts
07. Root of the Mountain
08. Eternal
09. Nebular Ravens Winter [bonus]

www.facebook.com/abbathband
www.abbath.net

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【KRALLICE : YGG HUUR】JAPAN TOUR 2016 SPECIAL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MICK BARR OF KRALLICE!!

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MODERN BLACK METAL QUARTET FROM NYC, KRALLICE HAS JUST RELEASED HYPER-TECHNICAL, BRUTAL, BEAUTIFUL, AVANT-GARDE NEW ALBUM “YGG HUUR”!!

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新世代ブラックメタルのみならず、現代のメタルシーンに大きな影響力を持つ NYC のバンド KRALLICE。彼らの新作 “YGG HUUR” が遂にリリースされました。トレモロリフとグロウルというブラックメタルの看板をアトモスフェリックで高度な芸術にまで昇華した彼らの作品群は常に高い評価を受けて来ましたが、全く違った方向性を提示した今回の “YGG HUUR” は問題作と言えるかも知れません。
傑作 “DIOTIMA” に存在した神々しいまでの情景美、アトモスフィアやトレモロリフへの拘りは薄れ、複雑でカオティック、アヴァンギャルドな世界が構築されています。本作発表前、創立メンバーの COLIN MARSTON が GORGUTS に加入し “COLORED SANDS” を発表。そのアバンギャルドでテクニカルな音楽性が各方面から高い評価を得た事も無関係ではないでしょう。この作品をテクニカルなデスメタルと呼ぶことさえ出来そうです。
また MICK が影響を受けたアルバムに挙げている VOIVOD の奇妙なコードワークやプログレッシブな展開を想起させる場面もあるように思います。
NYC のメタルシーンは LITURGY, SANNHET, KAYO DOT, ABIGAIL WILLIAMS など芸術性を重視し、何か新しいことにチャレンジして行くバンドが多数存在します。そういったバンドたちがお互いに競い合って何か面白いものを生み出そうとしているのは事実でしょう。結果 LITURGY の “THE ARK WORK” のように批判を受けたとしても、「いいぞ、もっとやれ!!!」と注視してしまう何かがこのシーンにはありますね。
今回弊誌では KRALLICE の強力なツインギターの一人で、同時に実験的なソロプロジェクトを追求するリフの求道者 MICK BARR に話を聞くことが出来ました。

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