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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ALARUM : CIRCLE’S END】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MARK PALFREYMAN OF ALARUM !!

“Bands Like Atheist And Cynic Were Big Influences On Our Band And Helped Inspire Us To Explore What We Could Do With Music. They Both Covered a Lot Of Ground And Continue To Do So.”

DISC REVIEW “CIRCLE’S END”

「僕たちが楽しんで聴いている音楽には、これまであまりヘヴィな音楽には混ざっていなかったスタイルがたくさんあるんだよね。だから様々な音を混ぜ合わせた音楽を書くのは、今でも楽しくてやりがいがあるよ。これからさらにドラスティックになるんじゃないかな…」
タイトで正確で、ブラストビートからメロディックな遊覧飛行、さらにフュージョンの小宇宙まで、すべてを備えたメルボルンのベテランプログデス ALARUM の帰還はあまりに鮮烈でした。
「ATHEIST や CYNIC のようなバンドは、僕らに大きな影響を与えてくれたし、音楽で何ができるかを探求するためのインスピレーションを与えてくれたんだ。彼らは共に多くの分野をカバーしてきたし、今もそうしている。」
近年、モダンプログ/メタルの聖地として活況を呈するオーストラリア。ただし、90年代から活動を続けるメタルアクトは決して多くはありません。ALARUM はそんな稀有な存在の一つです。
さらに驚くべきは、彼らが当時からモダンメタルの多様な精神を宿していたことでしょう。CYNIC, ATHEIST, PESTILENCE, DEATH といった勇敢な登山家たちを崇拝し、オンタイムでその挑戦心を抱きしめていたわけですから不思議ではありませんね。そうして特筆すべきは、ALARUM がオーストラリアの燦々とした陽光を全身で浴びている点でしょう。
「”Crystals” は何か違うものだよね。僕たちの歌詞の多くはより高揚感のあるものだから、それを反映した音楽を取り入れるのは自然なことなんだ。」
自己実現や宇宙、科学をテーマとした “Circle’s End” において、やはり際立つのはそのアップリフティングな音の葉でした。アルバムの中盤に現れる “Crystal” は、女性ボーカルを配し、軽快で知的、80年代のジャパニーズフュージョンのようなパステルカラーを纏うインタルード。そこから異能の冒険 “Sand” を導きます。
Devin Townsend が放つ壮大なサウンドスケープを彷彿とさせながら、メタルの壁とフュージョン壁をいとも容易く溶解し時に対比させ、13thコードを STRAPPING YOUNG LAD へも突きつけます。ヘヴィーなセクションから舞い上がるコーラスパートはキーボードの陽光が降り注ぎ、CACOPHONY の重なるギターラインまで追体験させる多様な砂嵐。
フュージョンといえば、Pat Metheny を見るまでもなく、ワールドミュージックへの憧憬が重要なインスピレーションとなっていますが、ALARUM のメタルも世界を巡る旅行記の様相を呈します。
“War of Nerves” では大胆なサンバのリズムとパーカッションでリオのカーニバルを訪れ、”In Spiral” ではカリブ海でラテンのダンスに興じ、さらには “Thoughts to Measure” で東欧チェコの山々まで訪れポルカのワルツで邪悪を踊るのです。ただし、冒険の中においても、デスメタルの獰猛や暗闇、ハイテクニックを一握りも失わず、斬新な世界観やエセリアルな情景とコントラストを描くのが彼らのやり方です。
そうしてアルバムは、CYNIC の宇宙的アトモスフィアを再創造する “Sojourn” でその幕を閉じるのです。
今回弊誌では、ボーカル/ベースのフロントマン Mark Palfreyman にインタビューすることができました。「MESHUGGAH が自分たちのスタイルを形成してきた方法が本当に好きだし、他の多くの人に影響を与えて、よりテクニカルなリズム/パルスやフォームを音楽に取り入れてきたのは素晴らしいことだよ。彼らはそのメソッドやテクニックの王様だよ。」 どうぞ!!

ALARUM “CIRCLE’S END” : 10/10

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