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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【MAWIZA : ÜL】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH AWKA OF MAWIZA !!

“Our Song Wingkawnoamestá Is Based On The Dance Of The Wemul (Deer). It Has a Syncopated Rhythm Because This Animal Has The Wisdom To Confuse Its Predators, It Even Makes a False Step.”

DISC REVIEW “ÜL”

「僕たちはヘヴィ・メタルやロックの自由の叫びから、大きな力とエネルギーを見出したんだ。これは偶然ではないと感じているよ。自然とその精霊はメタルの力に気づいている。マプチェの知識では、マプ(土地)は最も身近なエネルギーを使うと言われている。MAWIZA は土地に仕える者だからね」
チリ・アルゼンチンに暮らす先住民、マプチェ族。マプは土地、チェは人を意味し、文字通り自らの生まれ育った土地を守りながら生きる人々。インカ帝国にも、スペインにも屈することなく独立を貫き続けた誇り高きマプチェの民は、その土地の自然とスピリチュアリティを何よりも大切にしています。そしてその自然や精霊から得られる大きな力、エンパワーメントがメタルとシンクロすることに MAWIZA は気づいたのです。自由の叫びと共に。
「僕たちの言語、マプズグン(土地の言語)は、19世紀末に抑圧されたため、現在復活の過程にあるんだ。マプズグンでフルアルバムをリリースすることは、それ自体がマプチェ復興のための活動であり、僕たちから奪われた場所を取り戻す行為でもある。
僕たちは、先住民の視点から現代の楽器を使用し、メタルを通じてこの活動を実践することで、エンパワーメント、力を得ている。それが、このアルバムで表現しようとしたものなんだ。
僕たちはマプチェの論理に基づいて音楽を構成しているから、自然、鳥、動物のリズム、海洋のパターンを模倣した音が聴こえるだろうね」
19世紀末、”アラウカニア制圧作戦” でスペインから独立したチリ政府に併合されたマプチェ族。以降彼らは、ピノチェトや国軍、大企業、もしくはヨーロッパから移住したチリのエリートから差別や迫害を受け、抑圧され、共に生き育てた自然を奪われていきました。マプズグンという彼らの言葉さえも奪われてしまいました。
いつの世も、植民者、征服者にとって先住民とは “なかったこと” にしたい存在です。それでも、マプチェとメタルには並外れた回復力、反発力、レジリエンスが宿っていました。MAWIZA はマプチェの言葉で歌い、マプチェのメタルを奏でることで、民族の復興を願っているのです。
「マプチェのリズムは先祖から受け継がれたもの。僕たちは、こうしたダンスを動物、風、海から学んだんだ。それはマプチェの民のコミュニティによって異なるんだよ。例えば、僕たちの曲 “Wingkawnoamestá” は、ウェムル(鹿)のダンスを基にしている。鹿は捕食者を混乱させる知恵を持ち、偽のステップを踏むため、シンコペーションのリズムが特徴となっているよ。実際、自然はメタルだよ」
そう自然はメタル。マプチェ復興の強い意志が込められた MAWIZA の最新作 “ÜL” には、雷のような轟音、風や海と地を揺るがすグルーヴ、情熱の炎と先祖から受け継いだ知恵とスピリチュアリティが織り込まれています。”ÜL” の詠唱はまさに土地の声。”Wingkawnoam” はインダストリアルで現代的なビートで進行しますが、その音はマプチェの儀式用ドラム “Kultxung” で叩き出されています。 Kultxung は神聖な楽器。シャーマンがこのドラムを叩くとき、彼らは空のエネルギーを受け取り、それを大地に伝えると言われています。
そうして彼らはシャーマンの言葉、先祖の夢託により、鹿のステップをプログレッシブなリズムに落とし込みました。自然の力である鹿を自らに見立て、植民者たちの目を撹乱するために。そう、マプチェの土地は今でも自然との共存とは程遠い開発業者の侵食に脅かされています。それでも、MAWIZA は先祖や長老から受け継いだ知恵、そして自然とメタルのエンパワーメントで力強い抵抗を続けていきます。彼らが紡ぐのは、血に飢えた征服者の目ではなく、土地と生きる先住民の目から見た歴史。
今回弊誌では、ボーカリスト Awka にインタビューを行うことができました。「MAWIZA とは “山” を意味する。現在僕たちが住むピクン・マプ(北部の土地)では、アンデス山脈が圧倒的な規模で広がっていてね。毎日、太陽がアンデスの背後から昇る光景は息をのむほど美しいものだ。冬には雪に覆われ、時にはピューマが山から下りてくる。森と山は多くの命が交わる場所。そこでは水、滝、多様な樹種、薬草、動物が共存しているんだよ」GOJIRA の Joe Duplantier もゲスト参加。どうぞ!!

MAWIZA “ÜL” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【VICTORIANO : LIVING AN ODYSSEY】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH SERGIO VICTORIANO FROM VICTORIANO !!

“I Fell My Selfattracted By The Originality Of Japanese Music, The Way They Mix Many Styles Into One Piece, That’s Absolutely Outstanding, For Example I Really Like Acid Black Cherry, Cause They Have Songs In Different Styles, From Rock, Jazz, Ballad, Pop. etc…”

DISC REVIEW “LIVING AN ODYSSEY”

「日本の音楽のオリジナリティに惹かれたんだ。いろんなスタイルを1つの作品にミックスするやり方は、本当に素晴らしい。例えば、僕は Acid Black Cherry が大好きなんだけど、彼らはロック、ジャズ、バラード、ポップスなど様々なスタイルの曲を持っている。日本のバンドから受けた影響によって、僕らの心は新しい音楽の地平へと開かれ、日本の音楽によって VICTORIANO は様々な音楽スタイルに挑戦し、自分たちの道を見つけることができた」
かつて、日本の音楽は西欧よりも “遅れている”、テクニックが足りていない、外国では売れない、日本語が壁になるなどと言われていた時代がありましたが、インターネットの進歩によってそうした言説が誤ちであることが証明されつつあります。もちろん、他文化を受け入れる風潮が高まったという時流の変化もあるでしょうが、むしろ日本の音楽は “発見” されていなかっただけで、今ではその独特のコード感やメロディ、日本語の響きを含めて “クール” だと感じる外国人が明らかに増えています。
地球の反対側、チリから現れた VICTORIANO もそんなバンドのひとつ。ただし、彼らの日本に対する愛情はアメリカ大陸においても群を抜いています。
「数年間日本語を勉強していて、日本語はとても美しい言語だと気づいたし、その響きが好きになったから。その頃僕は、何か本当にオリジナルなことをしたいと思い、アメリカ大陸で日本語でフルアルバムをリリースする初めてのバンドになるという挑戦を自分に課したんだ。僕らの音楽を日本のリスナーの心に届けることは、僕にとってとても重要なこと。だからすべての愛を込めて、特に日本の人たちのためにアルバムを作ったんだ」
日本の音楽、その美しいメロディと多様なスタイル、そしてリリックの侘び寂びに魅せられた VICTORIANO。だからこそ、彼らは “日本語で” 歌うことにこだわりました。当然、ラテン系の言語と日本語の間には大きな隔たりがあります。その習得だけでも容易ではありません。ましてや、心を込めて歌うことには相当の鍛錬が必要でしょう。そうして彼らはやりきりました。
「最近日本の音楽でよく聴いているのは、Iron Attack, Imari Tones, 陰陽座, Siam Shade, Acid Black Cherry, Xie, Saluki, Galneryus だね。VICTORIANO のスタイルはかなり実験的で、ロック、ダブステップ、インダストリアル・メタル、プログレッシブ・ロック、ポップ、ジャズの間のミクスチャーだ。僕たちにとって最も重要なことは、他のバンドのスタイルを真似たり、守ったりするのではなく、オリジナルのスタイルを確立することだ」
“Living an Odyssey” を聴けば、その音楽のそこかしこに、古き良き往年のパワー・メタルと共生する日本の息吹を感じるはずです。バンドとして敬愛する Acid Black Cherry を筆頭に、Siam Shade, L’Arc~en~Ciel といったVとメタルの架け橋となったバンドの刹那のメロディ。さらにはボーカルの Sergio が幼少期から愛するアニソンとメタルの架け橋、Make Up や影山ヒロノブの遺伝子。そして Yama-B のゲスト参加が物語るように、日本を代表するパワー・メタルの伝説 GALNERYUS の純真。聖飢魔IIや Daita のシュレッドを思わせる場面も。
チリは敬虔なカトリックの国ですが彼らはプロテスタントで、興味深いことに彼らはそうした日本に対する愛情をキリスト教文化の中に落とし込みました。ルカの福音書にインスピレーションを得た “神の許しがない” を筆頭に、STRYPER も顔負けの穢れなきまっすぐなリリックは、不思議と日本語の響き、日本の音楽に自然に融合し、新たなアマルガムを創造していきます。広がるメタルの世界。その情報過多とも思える彼らの創造こそ、まさに今のメタルが翼を広げて飛翔する姿の象徴でしょう。
今回弊誌では、Sergio Victoriano にインタビューを行うことができました。「間違いなく僕は子供の頃からパワー・メタルが大好きだった。そして、これからもパワー・メタルを、新しい曲を作り続けていきたい。今の時代、パワー・メタルがそれほど人気がなくても構わないんだ。大事なのは、心の中にある音楽を作れるかどうかだから」 二度目の来日にも期待。どうぞ!!

VICTORIANO “LIVING AN ODYSSEY” : 9.9/10

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