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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【KREATOR : GODS OF VIOLENCE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH SAMI YLI-SIRNIO OF KREATOR !!

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Flag Of Hate, German Thrash Metal Titan, Kreator Has Just Released One Of The Best Thrash Metal Album All Time, “Gods Of Violence” !!

DISC REVIEW “GODS OF VIOLENCE”

ジャーマンスラッシュの帝王、”憎悪の象徴” KREATOR が結成35周年、14枚目の作品にしてバンドの最高峰を更新したかにも思えるマスターピース “Gods of Violence” をリリースしました!!信念と革新を併せ持った作品は2017年を代表するメタルレコードとなるでしょう。
2016年は Thrash Metal リバイバルの機運が高まった年でした。METALLICA の新作を筆頭に、TESTAMENT, DEATH ANGEL, DESTRUCTION, SODOM などベテラン勢の奮起は頼もしく、同時にジャンルの限界を取り去った新鋭 VEKTOR の “Terminal Redux” がシーンに与えた衝撃も計り知れません。そしてその潮流を決定的なものたらしめるのが “Gods of Violence” かも知れませんね。
2012年の “Phantom Antichrist” 以来5年振りに届けられた KREATOR の新作は、究極にブルータルでアグレッシブ。しかし同時に、彼らが10年にも及ぶ音楽的実験の旅を終え本流へと回帰した2001年の “Violent Revolution” 以来最もメロディックな作品に仕上がりました。
KREATOR の作品は必ずバンドのマスターマインド Mille Petrozza の優れたアイデアから始まります。2015年に起こったパリでのテロは、Mille そしてこの作品の方向性に強く影響を与えました。事件に衝撃を受け、古代から現代まで連なる人類の悪の連鎖、宗教間の対立がもたらす危険な憎悪を改めて認識した Mille は、ギリシャ神話で語られる神々の争いと現代の不毛な宗教戦争をリンクさせ、思考の先で自らの内に生じた憎しみを解放することを決意します。
勇壮な War March に導かれ繰り出されるアルバムオープナー “World War Now” は、まさに Mille の憎しみを叩きつけたスラッシュアンセムだと言えます。リスナーが期待する狂気の KREATOR 像を忠実に再現したファストで強烈な世界大戦のサウンドトラックは、正しくスラッシュが成されながら並行してファンの想像を超えるキャッチーで幻想的なサウンドをも内包しています。インタビューで Sami が語ってくれた通り、ここには過去を引き継ぎながらも進化を遂げたバンドの姿が凛々しく投影されているのです。
“Apocalypticon” という勇ましくも美しい前奏曲が楽曲のドラマ性を飛躍的に高めていることも確かでしょう。今回、イタリアの巨人 FLESHGOD APOCALYPSE がオーケストレーションに協力したというこの種のインタルードの数々は、KREATOR がよりエピカルな領域へと進出する重要な鍵になっていますね。
実際、タイトルトラック “Gods of Violence” のイントロは、アコースティックギター、Sami お得意のシタール、そしてハープまでも使用し、リスナーを古代ギリシャのエピックへ誘うとともに、作品に多様性を持たせることにも成功しています。
“Satan is Real” はアルバムのメロディックな一面を象徴する楽曲だと言えるでしょう。ゴーセンバーグスタイルに接近したシャープでモダンなメインリフはスラッシュとメロデスの親和性を物語り、メロディーを意識し歌うことに強くフォーカスした Mille の絶唱は IRON MAIDEN にも負けないほどにシンガロングを誘います。
確かに KREATOR は以前からゴーセンバークスタイルやトレモロリフを貪欲に効果的に自らのスラッシュメタルへと取り入れて来ましたが、今回はその頻度が格段に上がっており、加えてトラディショナルメタルへの接近も強く感じられます。”Satan is Real” というメタルらしい最高のパンチラインは、今後 KREATOR のライブにおいて絶大な威力を発揮するはずです。
さらにアルバムを通して言えることですが、 KREATOR が抱えるシーンきってのシュレッダー Sami Yli-Sirnio のギター捌きは今回一段と格別で、オリエンタルな雰囲気を醸し出す優れたギターテーマの数々に加え、起承転結を熟知したマエストロが魅せる時にトリッキー、時にメロディアスなソロパートはリードギタリストを志す全てのメタルキッズにとって最高の教科書となるに違いありませんね。
SLAYER にも肉迫するような激烈さを誇るアルバムで、同時にメロディーを多用したのは祈りだと Mille は語ります。アルバムを締めくくる “Death Becomes My Light” はまさに希望の灯火。再びタッグを組んだ Jens Bogren の最も得意とする、METALLICA の “One”、もしくは IRON MAIDEN の “Phantom of the Opera” を想起させる起伏に富んだエモーショナルな一曲は、心の平穏を保つべき宗教が暴力のきっかけとなり、憎悪、悲劇、嫉妬、肉欲の渦巻く地獄のようなこの現実世界で、それでも「恐れないで。君は一人じゃないよ。」とわずかな光を灯しながら作品の幕を閉じるのです。
2017年のスタートは、素晴らしいグルーヴ、メロディー、エモーション、そして”究極のアグレッション”が備わった極上のレコードから始まります。今回弊誌ではバンドで唯一のフィンランド人 Sami にインタビューを行うことが出来ました。彼の別バンド WALTARI や BARREN EARTH にも注目ですね。どうぞ!!

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KREATOR “GODS OF VIOLENCE” : 10/10

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