タグ別アーカイブ: World music

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【STEVE HACKETT : AT THE EDGE OF LIGHT】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH STEVE HACKETT !!

2018 © Tina Korhonen/ www.tina-k.com

“Chris Wanted Yes To Continue Without Him. We All Want To Continue Our Legacies. The Music Which Is Classic And Special Keeps Going, And We’re Proud To Hold The Torch For It.”

DISC REVIEW “AT THE EDGE OF LIGHT”

夕暮れを迎え創作活動のペースを落とす巨星の中で、一際輝きを増すプログレッシブロックの明星が一つ。
ソロアルバム、ライブアルバム、GENESIS の再訪、Chris Squire や Djabe とのコラボレート。とりわけ、2010年にロックの殿堂入りを果たして以来、Steve Hackett の創作意欲は圧倒的です。
「僕は世界中の文化や音楽のスタイル、そして楽器についてどんどん探求していくのが好きなんだよ。この世界はいつも発見の連続だよ。」溢れる創造性の源について Steve は、2011年に結ばれた妻 Jo の存在と共に、地球上様々な場所に根付いた文化、音楽、楽器への好奇心を挙げています。
そうして、ロックとクラッシック、ジャズ、ブルース、フォークを融合させるプログレッシブロックの伝統にエスニックな深みを重ねる Steve の立体的な音楽、多様性はアートとしての瑞々しさを纏い続けているのです。
実際、26枚目のソロアルバムとなった最新作 “At the Edge of Light” で Steve は、ロック世界の “ワールドミュージックアンバサダー” として1つの完成形を提示して見せました。変幻自在なギタートーンが白眉のオープナー “Fallen Walls and Pedestals” は、すぐさま中東のオリエンタルな情景へとリスナーを連れ去ります。
Steve にとってアルバムとは、多種多様な地域、風景を旅歩き受けたインスピレーションを描くキャンバスです。もしくは映画なのかも知れません。Roger King, Jonas Reingold, Rob Townsend, Nick D’Virgilio, Simon Phillips といった名手たち。さらに、シタール、ヴァイオリン、フルート、サックス、タール、ドゥドゥク、ディジュリドゥなどカラフルな楽器群。自身のビジョン、そして人生観を投影するため、Steve は無垢なる画布に様々な楽器やキャストを配置していきます。
同時に、近年 Steve は自身のボーカルを以前よりフィーチャーしています。その趣向も同様に彼の内なるテーマと情熱をより濃密に伝えるため。1938年チェンバレンのスピーチ “Peace in our time” を文字った “Beasts In Our Time” で彼は、自らの声で当時アメリカが打ち出した孤立主義と現在の状況とを比較し、世界の光と闇に焦点を当てます。
そうしてオーケストレーションと KING CRIMSON の滑らかな融合で示唆された”世界は光と闇の境界線にある”。それはアルバムの重要なテーマとなったのです。
「Chris は彼抜きでも YES を続けて欲しいと願っていたよ。僕たちプログレッシブロックの住人は、全員が自分たちの遺産、レガシーを引き継いでいって欲しいと願っているんだよ。」
亡き Chris Squire に捧げられたようにも思える YES のスピリット、レイヤードセオリーを宿した “Under the Eye of the Sun”、McBroom 姉妹の参加とゴスペルの風情が PINK FLOYD を想起させる “Underground Railroad”。”新たなサウンド” を生み出すレコードは一方で、プログロックのレガシーを継承し祝祭します。
何より11分のエピック “Those Golden Wings” では繊細かつ清廉、そして “ポジティブ” な音像で、自らの出自である GENESIS の偉業を讃えプログレッシブの灯火を高々と掲げているのですから。それは革新の海に漂う矜持の燐光。
“ポジティブ” であることが世界の安寧への枢要なファクターだと語るギタリスト、ソングライター、そしてプロデューサーは静穏を望む旅の締めくくりに美しきトリロジーで自らの存慮を仄めかしています。
“Descent” でカオスの階段を下降し、”Conflict” で混迷と闇に縺れる現代社会。しかしその先にエセリアルで心洗われる “Peace” を用意することで、Steve は人の良心、徳性を信じてみせるのです。
今回弊誌では、Steve Hackett にインタビューを行うことが出来ました。「クラッシックで特別な音楽は引き継がれていくよ。そして僕たちは、その特別な音楽の火を絶やさず掲げ続けることを誇りに思っているんだ。」2度目の登場に感謝。もちろん、Chris Squire の偉業にも。どうぞ!!

STEVE HACKETT “AT THE EDGE OF LIGHT” : 10/10

続きを読む NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【STEVE HACKETT : AT THE EDGE OF LIGHT】

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SNARKY PUPPY : FAMILY DINNER VOL.2】JAPAN TOUR 2016 SPECIAL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MICHAEL LEAGUE OF SNARKY PUPPY !!

54449

TWO TIMES GRAMMY WINNER, JAZZ ORIENTED REVOLUTIONALY GROUP, SNARKY PUPPY ARE GOING TO COME TO JAPAN ON JUNE WITH THEIR AMAZING NEW RECORD “FAMILY DINNER VOL.2”!!

2014年には “Something” で Best R&B Performanceを、今年はアルバム “Sylva” が Best Contemporary Instrumental Album を、2度もあの栄誉ある Grammy Award を獲得。世界中のアーティストや音楽ファンから尊敬を集めるコンテンポラリーJAZZ集団 SNARKY PUPPYが新作 “Family Dinner Vol.2” をリリースしました!!同時に cero, origami PLAYERS, Michelle Willis といった新世代の注目アーティストをサポート/オープニングアクトに起用した6月の単独公演も決定しています。
SNARKY PUPPY は北テキサス大学でベーシストの Michael League を中心に結成された、総勢30~40名が所属する大所帯のコンテンポラリーJAZZグループ。Robert Glasper 以降の所謂 “Jazz the New Chapter” 文脈で語られることも多く、その唯一無二な音楽性は新しく拡散するJAZZやアートの形を提唱しているように思えます。
流動的なメンバーですが、主要人物は12名ほど。彼らの多くが JAZZ はもとよりメインストリームのアーティストたちにも引く手あまたで、Kendrick Lamar, John Mayer, Marcus Miller, Snoop Dog, Justin Timberlake, といった才能たちと共演を果たしています。中には日本人パーカッショニスト小川慶太さんや、ソロ作も非常に充実している鍵盤奏者 Bill Laurance といった顔もありますね。
最新アルバム “Family Dinner Vol.2” は2013年にリリースされた “Family Dinner” の続編として制作されました。ゲストボーカリストたちを迎え、彼らの楽曲をリアレンジして収録するという試みは今回も同じですが、前作が R&B 色の濃い作品だったのに対して、今作では世界中からゲストを招き、より多彩でキャッチーな、ワールドミュージックの影響も強く感じさせる作品に仕上がりました。
中でも、アフリカはマリ出身、アルビノの奇才 Sarif Keita をボーカリストに迎え、ブラジルのパンデイロやフルート奏者を合流させた “Soro(Afriki)” の素晴らしさは筆舌に尽くし難いですね。アフリカのオリエンタルな伝統音楽にサンバのリズムが加わり、それを現代的なサウンドで立体的に表現した楽曲は全音楽ファン必聴と断言したいほど。また御年71歳を迎えたペルーの伝説、Afro-Peruvian リバイバルの重要人物 Susana Beca と Joe Satriani に師事し D’Angelo や John Mayer にも認められた8弦ギター使い Charlie Hunter の共演 “Molino Molero” では、ブルースとAfro-Peruvianに共通するルーツ”アフリカ”を強く感じることが出来ます。この2曲は、白人音楽と黒人音楽の歴史的背景にまで想いを馳せるよう意図されているのかも知れませんね。
新進気鋭のボーカル多重録音アーティスト Jacob Collier の “Don’t You Know” も衝撃的。自らのボーカルを多重録音し、アカペラと卓越した楽器の演奏で音楽シーンに登場した彼のパフォーマンスは、この楽曲に置いても輝きを放っていますね。対照的に、アルバムを締めくくる David Crosby 御大の飾り気のない “Somebody Home” での歌唱も見事の一言でした。
“We Like It Here”, “Sylva”, そして今作と、スタジオライブレコーディングを続けている SNARKY PUPPY。彼らの様々な新しい試みからは、音楽シーンを本当に変えてやろうという気概が強く伝わって来ます。そしてそれが遂に受け入れられつつあることはシーンの希望だと心から思います。
今回弊誌では、グループの首謀者 Michael League に独占インタビューを行うことが出来ました。少し難しく綴ってしまったかもしれませんが、彼らの本質は JAZZ, HIP HOP, ROCK, R&B, DANCEといった音楽のハイブリッド良いとこ取り。万人が楽しめる音楽だと信じます。どうぞ!!

12642568_10153833574212787_1313310921673526787_n

SNARKY PUPPY “FAMILY DINNER VOL.2” : 10/10

続きを読む NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SNARKY PUPPY : FAMILY DINNER VOL.2】JAPAN TOUR 2016 SPECIAL !!