EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MORGAN ÅGREN FROM DEVIN TOWNSEND !!
“It’s Funny Cause I Got An Email From Devin When He Asked Me ”Can You Play Quietly?” ”I Want Spooky Country Drums With Low Volume”
DISC REVIEW “EMPATH”
「”Empath” とはまさに Devin そのものだから、彼の心に従い、彼が本心から望むようにプレイしたんだ。彼はこのアルバムで遂に完全なる自由を手に入れたね。」
カナダのサウンドウィザード Devin Townsend が最も信頼を置くアーティストの一人、Morgan Ågren は確信を持ってそう答えました。
DEVIN TOWNSEND PROJECT の最終作となった “Transcendence” は、以前より大幅にメンバーのインプットを盛り込み、バーサタイルに探究を重ねたグループの長き旅路を集約する名品でした。
ただし、”集大成” とはすなわち “繰り返し” へと、”メンバーの固定化” とはすなわち “マンネリズム” へと繋がる危険をも孕みます。Devin Townsend の溢れる∞の創造性は、予測可能な全てを一度リセットし、演奏者も音像も自在に選択する絶対的に自由な翼を欲したのです。
「現在の Devin Townsend が持つ音楽的な興味全てが、一つの場所へ収まったとしたらどうなるだろうか?」
フォーク、シンフォニック、ポップ、プログ、ファンク、ブラックメタル、ジャズ、ニューウェーブ、アメリカーナ、ワールドミュージック、そして EDM。Devin の中に巣食うマルチディメンショナルな音楽世界を一切の制限なく投影したレコードこそ “Empath” です。そして “エンパス” “感情を読み取る者” のタイトルが意味する通り、Devin がアルバムに封じた万華鏡のエモーションを紐解くべきはリスナーでしょう。
オーディエンスがエンパスなら、もちろん、アルバムに集結したアーティストも Devin の百花繚乱な感情を読み取るエンパスです。
Mike Keneally をミュージックディレクターに、Morgan Ågren, Samus Paulicelli (DECREPIT BIRTH), Anup Sastry (ex-MONUMENTS) と三者三様の技巧派ドラマーを揃え、さらに Steve Vai, Anneke van Giersbergen (VUUR), Ché Aimee Dorval, Chad Kroeger (NICKELBACK) など錚々たる顔ぶれが翼となり、Devin が今回提唱する “ヘヴィーな音楽でも多様になり得る” の精神を実現していきます。
“Castaway” に広がる海の景色、ジャジーなギター、そして荘厳な女声コーラスは歴史的プログエピックへの完璧なエントランス。そうして幕を開ける “Genesis” はアルバムの全貌を伝える “Empath” の小宇宙でしょう。
神々しいほどにエセリアルで、毒々しいほどにアグレッシブ。シンフォニーとエレクトロ、オペラとスクリーム、ディスコビートとブラストビート、アンビエントとエクストリーム。一見相反するようにも思える何色もの絵の具は、幾重にも重なり奇跡のダイナミズムを描きながらプログメタルのキャンバスを彩り、時には逸脱していきます。その瑞々しきカオスは “創世記” の名に相応しい “Hevy Devy” 新時代の到来を確かに告げています。
レコードが進むに連れて、リスナーは「最初はどこに向かうのか、この作品が何なのかさえ分からなかった。」と語る Devin が見出した “意図” を感じるはずです。
“Spirits Will Collide” を聴けば “Z²-Sky Blue” よりもポップなアルバムを、”Sprite” を聴けば “Infinity” よりもスピリチュアルなアルバムを、”Hear Me” を聴けば SYL の “Alien” よりもヘヴィーなアルバムを、そして “Why?” を聴けば “Ghost” よりも優美なアルバムを巨匠が目指していたことを。DEVIN TOWNSEND PROJECT という枠組みから解放された鬼才は、そうして様々な領域で “限界突破” を実現して “プログレッシブ” の定義すら軽々と破壊していくのです。
「確かに Zappa コネクションがこの作品には生きているね。Keneally, Steve, Devin。ただし、Devin はそこまで Zappa の音楽に入れ込んだことはないんだけどね。」
11分の “Borderlands”、そして23分の “Singularity” で Devin は “現代の Frank Zappa” の地位を揺るぎのないものにしたのかも知れませんね。穏やかに、残酷に、しなやかに、カラフルに、哲学的に、何より冒険的に。ほとんど忘れ去られて苦境の最中にある “芸術” を救い、リスナーに “エンパシー” を喚起する Devin のやり方は、無限の想像力と比類無き多様性でした。
今回弊誌では、Frank Zappa、そして盲目の天才ピアニスト Mats Öberg とのデュオ Mats/Morgan でもお馴染み Morgan Ågren にインタビューを行うことが出来ました。「Fredrik は遂に新作へと着手しているよ。実は、僕は彼のその作品のためにすでに沢山のマテリアルをレコーディングしているんだ。」MESHUGGAH の心臓も遂に動き出したようです。どうぞ!!
DEVIN TOWNSEND “EMPATH” : ∞/10
THE STORY BEHIND “EMPATH”
ヘヴィーミュージックの世界では、アーティストが非常に狭い、限定された箱の中へと押し込められる傾向にあるね。音楽業界だって、カテゴライズや販売戦略のためにアーティストに特定のジャンルへ留まることを要求する。つまり、メタルの背景を持っているミュージシャンがジャンルの外に出て注目を集めるのは不可能に近いんだ。
じゃあ、広いパレットの中で”色”としてジャンルを使用しているアーティストはどうするの?ジャンルを遥かに超えた知識と経験を持つアーティストは?
それにメタルが恥ずべき音楽じゃなく、尊敬に値すると考えているアーティストは?
見世物ではなく、多様性によってあらゆる音楽的感情を表現したいなら、追求するべきでしょう。
“Empath” の真の意味はリスナーに様々な音楽的感情、体験を感じさせることにあるね。そうして、彼らに人生を美しく、挑戦的にする全てに恐れず参加して欲しいと伝えたいんだよ。
どのセクションもリスナーに”歓迎”されるよう心がけ、感情のジェットコースターとしてサウンドスケープをより効果的に繋げていったね。そうして、願わくば他のミュージシャンがこの方法にインスパイアされればと思うようになったんだ。
アルバムは、喜びと人々の助けになりたいという思いに根ざしている。楽曲に多様性を持たせたのは、”Empath” “共感”が弱さと捉えられてきた歴史の中で、人生を様々な観点から見る必要性を表現したかったから。僕にとっても長い間狭い場所に閉じ込められていた創造性を解き放ち、恐怖から脱却するためのやり方だったね。多様性が増す時代において、他人の気持ちになって物事を見ることは他者を理解する上で欠かせないプロセスさ。
そうして “Empath” という不可能を可能にしたんだよ。
INTERVIEW WITH MORGAN ÅGREN
Q1: Hi, Morgan! First of all, how is Mats’s ear-fix. Actually, I was really shocked when I heard his bad health condition…
【MORGAN】: Thanks for asking. Ears are so complex. It seems like it is easier to do a heart transplantation than fixing someones ears obviously. Our trip to the USA was very good though. We met some of the worlds most skilled ear experts and we are still waiting for some hearing aids that they will custom make for Mats.
He will get these in a few weeks. One in ear device to use when playing live, and then another one for daily use. We spend a couple of days in Florida in September 2018 with them where they tried to help Mats by doing lots of tests etc. Mats situation is little little bit better now. It was really a nightmare early 2017…
Q1: Mats が聴力を失いそうだというニュースには、日本のファンも心を痛めています。聴力を回復させるプログラムは上手くいっていますか?
【MORGAN】: 気にかけてくれてありがとう。聴力とはとても複雑なものなんだ。おそらく、心臓移植よりも聴力を完全に回復させるほうが難しいだろうね。だけど僕と Mats のアメリカへの治療旅行はとても良いものとなったね。僕たちは世界でも名だたる聴力の専門医たちに会って、今は Mats のために制作されているカスタムメイドのイヤーエイドが完成するのを待っているところなんだ。
あと数週間で届くだろうね。イヤーディバイスの一つはライブで使用するため、もう一つは日常で使用するためのものなんだ。昨年の9月に数日フロリダで過ごして、Mats のためにいろいろと耳のテストをしたんだよ。そうして徐々にではあるけれど、Mats の状態は改善していっているね。2017年の始め頃は本当に悪夢のようだったからね…。
Q2: So, Mats/Morgan’s latest record is “Schack Tati” in 2014. Is there any plan of making new record? If there was a plan, what kind of record it would be?
【MORGAN】: There is no plans for a new Mats/Morgan CD at the very moment. But we did a lot of things at end of 2016 which was also the year when we celebrated our 35th anniversary. We did a project with a symphony orchestra, which was released as a DVD+CD+CD titled Mats/Morgan Live with Norrlandsoperan Symphony Orchestra. We also did some 35th anniversary concert in 2016, some of those was recorded, even video filmed, so these needs to be released sometime! And we released a double best of CD that we called 35t Anniversary Collection.
But we have been taking a break since these projects that we did end of 2016 cause of Mats ear problems.
We WILL for sure come back with new music at some point. I have been doing a lot of other projects lately as well..
Q2: 現時点で Mats/Morgan の最新作は、2014年の “Schack Tati” です。新たな作品を期待しても良いのでしょうか?
【MORGAN】: 現時点では、Mats/Morgan の新作の予定はないんだ。だけど、結成35年を祝う年となった2016年の終わりにいろいろとやっていたんだよ。
シンフォーニーオーケストラとのプロジェクトは、”Mats/Morgan Live with Norrlandsoperan Symphony Orchestra” としてリリースされたね。それに35周年アニバーサリーライブもいくつか行ったんだ。その様子は録音、録画されているから、いつかリリースする必要があるね!後は、2枚組のベストアルバム “35th Anniversary Collection” もリリースしたよ。
だけど、2016年の終わりから Mats の耳の問題が深刻化したから、Mats/Morgan は休止を余儀なくされているんだ。ただ、絶対に新たな音楽を携えてカムバックするよ!最近、僕個人は沢山の別プロジェクトを抱えているんだ。
Q3: Last year, you were invited to play with Magma for their new record, right? What was the experience for you?
【MORGAN】: Yes, it was quite unreal. Nobody really gets a invitation to play with Magma, especially not a drummer.
But I got this invite yes, and it is a big honor off course. I have a lot of respect for Christian and Magma, a very unique band for sure.
I have spent time with Magma when we played the same festivals and such during the past. And in 2015 we opened up for Magma in Sweden and Norway, me and Mats just as a duo. And I got asked to record ZESS because Christian is singing on this piece called ZESS, and they wanted to record this live, all together, thats why I got the request. And in June I will in fact perform ZESS w. Magma live in Paris, in this Pierre Boulez concert hall. Looking forward to that.They are also very nice people.
Q3: 別プロジェクトと言えば、昨年あなたは MAGMA に招かれてプレイしましたよね?
【MORGAN】: うん。本当に非現実的だったよ。特に、ドラマーが MAGMA に招待されてプレイするなんてことは前代未聞だからね。
もちろん、謹んでお受けしたしとても光栄だったよ。Christian と Magma には大きな敬意を持っているからね。間違いなく実にユニークなバンドさ。
MAGMA とは過去に同じフェスティバルで過ごしたことがあったんだ。それに2015年にはスウェーデンとノルウェーで彼らのオープニングを務めたんだ。僕と Mats だけのデュオでね。
未完の大曲 “Zess” をレコーディングして欲しいと頼まれたんだ。6月には “Zess” を MAGMA とパリのコンサートホールで録音するよ。とても楽しみだね。ステキな人たちだから。
Q4: So, Devin Townsend’s new record “Empath” is really well accepted! I know you two have collaborated in “Morgan Ågren’s Conundrum” and “Causalities of Cool”. But what was the starting point of you two’s collaboration?
【MORGAN】: It’s funny cause I got an email from Devin when he asked me ”can you play quietly?” ”I want spooky country drums with low volume” – end quote.
So I said ”I can try” so I started to record songs for Casualties of Cool, and we did some live gigs with that project too. And we kept contact after that, did jams in my studio and such. Devin also plays on a track on my solo album Batterie Deluxe. And when it was time for Empath, same thing there, recorded a lot for him in my studio, but I also traveled to Wales outside London to record more tracks there for Empath. And maybe I will end up doing the Empath tour in November/December 2019, we will see! Devin is a great guy!!
Q4: あなたが参加している、Devin Townsend の新作 “Empath” は大好評ですね!
彼とは過去に CASUALITIES OF COOL などで共演を果たして来ましたが、コラボレーションの出発点についてお話ししていただけますか?
【MORGAN】: 面白い話があるんだ。僕は Devin から、「君は静かにドラムをプレイ出来る?」ってメールを受け取ったんだよ。彼は幽玄でボリュームを抑えたカントリードラムを求めていたんだ。
だからやってみるよと答えて、CASUALITIES OF COOL のレコーディングが始まったんだ。あのプロジェクトでは何度かライブもやったね。それからずっと、Devin とはコンタクトを取り続けていて、僕のスタジオでジャムったりもしていたんだ。それに Devin は僕のソロアルバム “Batterie Deluxe” でもプレイしてくれたね。
それで、”Empath” を作る段階になって、また同じように僕のスタジオで彼のために沢山プレイした訳さ。同時に英国のウェールズにも出向いて何曲か録音したね。そうして、おそらく今年の11/12月には “Empath” のツアーに帯同することになるだろうね!まあ、とにかく Devin Townsend は偉大な男だよ!
Q5: How did you grasp the world view of “Empath” and how did you draw it with your drum playing?
【MORGAN】: To me it is just Devin following his heart, doing something he really wants. He had total freedom doing this album.
And for me, I just played drums in a way that I thought were right for this music. It was a really nice experience.
Lot’s of nice and skilled people have been involved. I got to meet Mike Keneally again too on this session.
I haven’t seen him in 15 years. We did a lot of Zappa projects together in the US.
Q5: あなたは “Empath” というアルバムのムードをどの様に捉え、解釈しましたか?
【MORGAN】: 僕にとって、”Empath” とはまさに Devin そのものだから、彼の心に従い、彼が本心から望むようにプレイしたんだ。彼はこのアルバムで遂に完全なる自由を手に入れたね。
だから、僕はこの音楽にとって正しいと思えるようにドラムを叩いただけなんだ。素晴らしい経験だったね。それにこの作品には、素敵で技術を持った多くの人が関わっている。
このセッションで再び Mike Keneally に会うことが出来たのも収穫さ。彼とは実に15年も会っていなかった。昔彼とは Zappa Project をアメリカでよく一緒にやったからね。
Q6: Devin appeared as Steve Vai’s voice. And of course, Steve and you played with Frank Zappa. Also, I remember “Zappa’s Universe”. I mean, definitely there is a legacy or bloodline in “Empath”, do you agree that?
【MORGAN】: Yes, the Zappa connection is there through Keneally, and with Devin through Vai, although Devin was never into Zappa very much.
He has the respect off course, be he never entered the world of Zappa’s music very much.
Q6: Zappa と言えば、Devin を見出したのは Zappa が見出した Steve Vai でしたし、そしてあなたと Mike Keneally。”Empath” には Zeppa の系譜が紡がれているようにも思えます。
【MORGAN】: うん、確かに Zappa コネクションがこの作品には生きているね。Keneally, Steve, Devin。ただし、Devin はそこまで Zappa の音楽に入れ込んだことはないんだけどね。
もちろん、彼も敬意は持っているんだけど、ただ Zappa の音楽世界に入り込んだことはないみたいなんだ。
Q7: In “Empath”, Samus Paulicelli and Anup Sastry also played drums. It seems sometimes you three played in the same songs, but how did you share drum parts and songs?
【MORGAN】: Devin gave us the sections that he thought would be best for all of us, since we play different styles. Sometime those sections were inside one song, so you would hear me for 90 seconds, Samus for 80 seconds, and Anup for 75 seconds or something like that.
Q7: “Empath” では、あなたの他にも Samus Paulicelli と Anup Sastry がドラムをプレイしています。時には同じ楽曲の中で、3人が起用されていたりしますよね?
【MORGAN】: Devin は彼が僕たち全員にとってベストだと思ったパートを割り振ったんだ。というのも、3人はかなり異なるスタイルを持っているからね。
だから時には同じ楽曲の中でもセクション毎に違うドラマーがプレイしていたりするんだ。例えば、僕が90秒、Samus が80秒、Anup が75秒といった感じにね。
Q8: “Sol Niger Within”of Fredrik Thordendal’s Special Defects was released in 1997, but still has lot’s of frenetic fans. Looking back now, what’s the record to you? And Fredrik seems to making new solo record. Are you involved in his new journey?
【MORGAN】: Yes, this album reach crazy many people. Tosin Abasi of Animals As Leaders told me that this record almost started a musical genre..
This thing called ”Djent”. I wasn’t even aware of that. I knew that many people loved the CD but I didn’t know it started something. I know that people in TOOL, Metallica, Rush etc have mentioned this album as a favorite underground album of some kind. It’s great!
Fredrik is working on a new album finally, and I have recorded tons of stuff for him there too, mainly improvised parts.
Q8: あなたも参加し1997年にリリースされた Fredrik Thordendal’s Special Defects の “Sol Niger Within” は今でも熱心なファンを生んでいます。Fredrik は現在ソロアルバムを制作中の様ですが…?
【MORGAN】: うん、あのアルバムは驚くほど多くの人にリーチしているよね。Tosin Abasi は僕に、このレコードこそほとんどジャンルの始まりだったと言えるなんて話していたけどね。
そのジャンルは “Djent”。僕は Djent に気づいてすらいなかったんだ。多くの人があの CD を愛していることは知っていたんだけど、何かの出発点となっていたなんて知らなかったんだよ。それに、TOOL, METALLICA, RUSH といったビッグバンドのメンバーさえ、大好きなアンダーグラウンドアルバムだと言っているんだからね。素晴らしいよ!
そして、うん、Fredrik は遂に新作へと着手しているよ。実は、僕は彼のその作品のためにすでに沢山のマテリアルをレコーディングしているんだ。主にインプロビゼーションのパートだよ。
FIVE ALBUMS THAT CHANGED MORGAN’S LIFE
ALLAN HOLDSWORTH “ROAD GAMES”
Heard this album when I was around 15 years old, and this music changed my life. I just loved all of it, the chords, the melodies, the playing all of it.
RETURN TO FOREVER “ROMANTIC WARRIOR”
U.K. “U.K.”
BRUFORD “ONE OF A KIND”
FRANK ZAPPA “IN NEW YORK”
All these albums talked to me so hard. It was like a place where I wanted to be, spiritually speaking in a way. I am very grateful that I found all this music so early too..