COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【OPETH : THE LAST WILL AND TESTAMENT】


COVER STORY : OPETH “THE LAST WILL AND TESTAMENT”

“Why Not Do The Screams?’ And Now It’s Like, ‘Why Do The Screams?’ You Can’t Win!”

THE LAST WILL AND TESTAMENT

OPETH のニュー・アルバム “The Last Will & Testament” から、”§1″ というタイトルの新曲が発表されると、この楽曲は2019年の “In Cauda Venenum” からの曲よりもずっと大きな話題となりました。それは、これまでよりもずっとヘヴィで、数年ぶりに Mikael Åkerfeldt のグロウルが戻ってきたからでした。しかし、なぜ今なのでしょう?
「そうだね。グロウルがいつも問題になる。以前は、”なぜグロウルを使わないんだ?” で、今は “なぜグロウルを使ったのか?”。勝ち目がないね!でも、なぜ今なのか?ニュー・アルバムはコンセプト・アルバムだから、あのようなボーカルが有効だと思ったんだよ。
ある意味、流行に流されないのが好きなんだ。だから、あのデス・メタルのボーカルを復活させるときは、人々がもう気にしなくなったときにしたかったんだ!
逆に言えば、外からのプレッシャーを感じたことはない。もちろん、私も “OPETH はかつて素晴らしかった”, “OPETH をもう一度素晴らしくしてくれ。また OPETH をうならせてくれ” という声は知っていたよ。でも過去4枚のアルバムでは、そういうボーカルの余地はなかった。自分のもうひとつの声ももう少し追求したかったし、音楽がそれを必要としていなかった。前の4枚のアルバムには、そういうボーカルを入れる意味がなかったんだ。
それに、自信を持てたんだ。古い曲をたくさん演奏するツアーを何度かやったけど、楽しかった。私にとってスクリーミングは、ある意味ラップに近い。ラップがうまいというわけではないけど、私のリズム全体が面白いと思う。
私はグロウルにはとてもこだわりがあるんだ。相当うまくなければならない。具体的でなければならない。そういうものに関しては特別なセンスがあるんだ。そしてもちろん、音楽全体のアイデアにプラスになるものでなければならない。今回はコンセプト・レコードだから、そうなっている。全体として、より良いレコードになったと思う」

16年ぶりにうなる最初のラインは?”死に包まれて…伝承の遠吠え…”。この冒頭のセリフはこれから起こることの舞台を整えていますが、同時にグループとしての OPETH の伝承、伝説、歴史を物語っています。結成当初から、OPETH と Mikael は、メタルの同胞たちとは一線を画してきました。初期には、フロントマンが見事なグロウルとクリーン・パッセージを聴かせるプログレッシブ・スタイルのデス・メタルとブラック・メタルを提示することで、同世代のバンドとは一線を画していました。
その後のリリースごとに、バンドはソングライティングに対してより簡潔で合理的なアプローチを示し、自分たちを繰り返すことなく、優れた作品を作り続けました。コンセプト・アルバムであろうと、ハーシュとメロウという異なるスタイルをフィーチャーしたツイン・レコードであろうと、デス・グロールを完全に捨て去ろうと、英語とスウェーデン語の両方でアルバムをリリースしようと、Mikael とその仲間たちは常に自分たちの音楽を最高水準に保ってきました。彼らはその完全性を徹底的に守りながら、次の進化に努めてきたのです。
古い曲をライヴで演奏するのと、再びスタジオで、新曲で叫ぶのは異なる体験なのでしょうか?
「みんなに変な感じ?って聞かれたよ。いや、そんなことはなかったよ。ボーカルは全部、自宅の地下室でひとりで座って録音したんだ。でも、なぜかうまくいった。他のシンガーの友人には、私が怠け者の年寄りのように座ってボーカルを録音したことを話したけど、とにかくなぜだかうまくいったんだ。ただ試してみて、最終的にカッコいいと思える曲ができた。それをみんなに送ったら、グロウルを聴いて、クールだって言ってくれたんだ」

グロウルを必要としたコンセプトはどんなストーリーなのでしょうか?
「時代は第一次世界大戦後の世界。3人の兄妹が実家の豪邸に到着するところから始まる。彼らの父親は厳格で年老いた保守的で偏執的で邪悪で高貴なクソ野郎だが、他界したんだ。3人の兄妹は、20代後半の男女2人の双子と、ポリオという骨格系の病気に冒された少女だ。そして、歌詞は遺言の朗読のようになっている。だから曲にはタイトルがなく、ただ1…2…7…と段落があるだけなんだ。
“遺言 “の朗読を通して、この子供たちは自分自身について、父親の秘密について、家族とのつながりについて、たくさんのことを知る。双子の兄妹はドナーによる子作りの結果生まれた。父とその妻は子供を作ろうとしたがうまくいかず、彼は妻が不妊であると責めた。しかしどうしても子供が必要だった彼は、妻に他の男をあてがうんだ。妻は双子を妊娠したが、その間、主人公は妻が他の男に犯されたことを後悔していた。だから、彼は基本的に2人の双子を後悔している。
“遺言 “の朗読を通して、双子は彼が本当の父親でないことを知り、最終的に遺産から取り残される。彼の唯一の血のつながった本当の子供は、病気の女の子だ。彼女はすべてを受け継ぐ。しかし彼女は、彼が屋敷のメイドと交わした恋の結果だった。彼は妻に、彼女のかわいそうな子供を身内のように面倒を見るべきだと嘘をついたんだ。
今、彼の妻も亡くなった。しかし、妻は夫が浮気をしていたことを知っていたようで、彼女は血のつながった相続人となった。彼女はすべてを相続する。そして遺言が終わり、最後の曲 “The Story Never Told” がはじまる。
彼女は今、屋敷に住んでいる。彼女はすべてを手に入れた。しかし、そこに一通の手紙が届く。それはメイドである母親からのもの。”私はあなたの父親に嘘をつきました。あなたは別の恋愛の結果です。彼はあなたの父親ではなかった” って。つまり、父は不妊症だったんだ」
かの KING DIAMOND が生み出しそうなストーリーです。
「否定できないね!(笑) だけど、彼はキャラクターとか名前とか、そういうことにもっと興味があるんだ。でも、私は家族全体に興味があったんだ。遺産相続をめぐって家族がどう衝突するかとか、血は水よりも濃いとか、そういうことにね。前作でもそうだった。そして、それをいい形で表現できるような音楽があれば、面白くてダークなトピックになると感じたんだ」

ストーリーと音楽。どちらからはじめたのでしょう?
「いつも音楽から始めるんだ。でも、アイデアはあったし、今回は並行してストーリーを考え始めて、メモを書き出した。同時に、曲の順番も考えなければならなかった。私は、音楽にとって良い方法で並べたかった。いわば、最初の10分で、すべてを台無しにするようなことはしたくない。私はレコードの流れるようなシークエンスが好きなので、まず音楽的にやりたかった。でも、いったん歌詞が決まったら、それを変えることはできなかったね。だから、いつもより少し大変だったかもしれないけど、より興味深かったし、楽しかったと思う。ガールフレンドにもたくさん助けてもらったしね。主人公に子供がいないという最後のひねりは、彼女のアイデアなんだ」
Mikael の作曲術は直感が命です。
「自分の直感を信じる。あまり深く考えない。ある種の知識はあると思うけど、それは理論から得たものではない。シンガーソングライターのレコードから持ってきたものもあるし、ポール・サイモンの曲かもしれない!デクスター・ゴードンの曲かもしれないし、MORBID ANGEL の曲かもしれない。必ずしもパクろうとするわけではないが、これらのパーツの総和が、私にとっての普通なんだ。
私にとってはいつもそうだった。例えば、MORBID ANGEL のサウンドにすぐに影響を受けたのは、ずいぶん昔の若い頃だった(笑)。どうやったらあんなことができるんだろう?彼らのサウンドって何だろう?そしてしばらくして、リフを書いてみて、”ああ、クソッ” って感じたんだ!”私が探していたのは、MORBID ANGEL のサウンドのようなものなんだ”ってね。ちょっと変わったミュージシャンに惹かれるんだ。
例えば、Trey Azagthoth とかね。私の知る限り、彼は唯一無二の存在だ。あんな音楽は誰も書けない。もし私が彼にインタビューするなら、こうを 聞くだろう。どうやったらこんなものが書けるんだ?何を聴いて今に至ったんだ?どんな血とDNAがあれば書けるんだ?とね。そうやって私の中にさまざまなジャンルがブレンドされているからこそ、OPETH はジャンルレスなサウンドなんだよ」

コンセプト・アルバム、プログ・メタル・オペラの制作は想像以上に労力を要します。
「直前になって、ある曲を2曲目ではなく7曲目に入れるなどということはできない。でもそれはある意味、解放的なことだった。
曲作りには常に多くの困難がつきまとうが、そのほとんどは個人的なものだ。自分自身を感動させたい。自分がいいと思うものを作りたい。いいものにしたい。鳥肌を立てたい。今自分がいる場所で、今自分がクールだと感じる音楽を書くのが好きなんだ。最終的に僕が求めているのは楽しむことなんだ。これを仕事だとは思っていないんだ」
Mikael はこのアルバムを、TikTok に例えます。
「これはとても落ち着きのないレコードだ。誰かが閉所恐怖症だと言った。あまりハッピーなレコードではない。つまり、どのメタル・バンドも “ダーク” という言葉を使うけど、このアルバムはそれよりも…落ち着きがないんだ。ぜんぜんダラダラしていない。アイデアが爆発しているような感じ…まるでTikTokのようだ。テレビシリーズの “サクセション” にも影響された。マードックのような父親の後を継いだ兄弟間の権力闘争を描いた素晴らしいテレビシリーズだったね。
安っぽく聞こえるかもしれないけど、ああいうストーリーが大好きなんだ。あのアイデア全体が私にとっては魅力的だ。父親を喜ばせて、王座を簒奪する、王座への道を拓く。金と権力は、人を自分がそうなるとは思ってもみなかったようなものに変えてしまう。兄と弟がお金を巡って争うように、家族が分裂するというアイデアに興味を持ったんだ。突然、血は水よりも濃くなくなった。私はそれが魅力的だと思う。このようなアイデアの断片を手に入れたら、あとは物語全体を通して自由な発想で進めていくだけだ」

地下室だけでなく、ウェールズのロックフィールドでもレコーディングを行いました。
「素晴らしかった!音楽の大部分はそこで録音したね。僕の家でメロトロンやボーカルを録り、その他のエフェクトなどはそこでやった。ソロのいくつかは、Fredrik Åkesson が自宅のスタジオでやったんだ。JETHRO TULL の Ian Anderson が参加しているが、彼はどこかのスタジオでスポークンワードのパートを担当した。EUROPE の Joey Tempest もこのアルバムに参加している。だから、いろんなスタジオを使ったけど、大部分はロックフィールドで作ったんだ。
超クールな場所だよ。あそこが大好きなんだ。ロックフィールドは落ち着きを与えてくれるし、孤立しているとは言わないけど、田舎の農場にいるような感じなんだ。だから、新しく入ってきたメンバー(ドラマーの Waltteri Väyrynen)との絆を深めるのに適していた。レコーディングの間、みんなでそこにいて、ぶらぶらしたり、ご飯を食べたり、ビールを飲んだり、くだらない話をしたり、とにかくレコードに集中したんだ」
そこはかつて、JUDAS PRIEST や OASIS がレコーディングした場所。
「クールだよ。たいていの場合、有名なスタジオに行くと、”ここがキッチンで、ここがコントロール・ルーム” みたいな感じなんだ。でも、そこには QUEEN がよく使っていたグランドピアノが普通に置いてある。”Killer Queen” はそのピアノでやったし、私たちのレコーディングでも使った。だから、本当にクールなんだ」
Ian Anderson と Joey Tempest。ふたりの異なる才能もアルバムに華を添えています。
「Ian は、何年か前に “Herigtage” のアルバムでフルートを吹いてくれないかと頼もうと思った。それで、正しいアドレスかどうかわからないけど、イアン宛にメールを送ったんだ。でも返事がなくてね。それで結局、今は亡きスウェーデン人をそのアルバムに起用したんだ。
しばらくして、レコードについて話すインタビューがあった。そのうちのひとつは JETHRO TULL のレコードで、Ian が返事をくれなかったことを話し、”あの野郎!” みたいなことを言ったと思う。そのあと、JETHRO TULL のマネージメントからメールが来て、”イアンは将来あなたと一緒に演奏したい。連絡してくれ” って言ってくれた。Ian のインタビューを見ていたら、彼の声、つまりしゃべりがすごくいいんだ。だから、彼にナレーションのようなものを頼んだんだ。その流れで、彼は “フルートも必要かい?” って。
Joey Tempest は私の家にランチを食べに来たんだ。それで “こんなパートがあるんだけど、私は本当にできないんだ。もし歌ってくれるなら、本当にクールだよ” って言った。すると彼は “マイクを向けてくれ” と言ってくれたんだ。まあ、私は歌詞をまだ書いていなかったので、結局、彼はロンドンで自分のパートをやった。たとえ彼らが私のヒーローであっても、有名人であっても、何であっても、2人のおかげですべてがとても良くなった。それが結局、彼らの名前ではなく、彼らがそこにいる理由なんだ」

アルバムには、ブラックモアやギルモアを想起させるギターヒーロー的な見せ場もふんだんに盛り込まれています。
「ああ、それはとてもいい指摘だ。Fredrik は ARCH ENEMY に在籍していたんだ。それに彼はスウェーデンの TALISMAN というバンドにいて、そのバンドには元Yngwie Malmsteenの2人、Marcel Jacob とJeff Scott Soto がいた。まさにギターヒーローだよ。彼はスウェーデンでトップ・ギタリストの一人として確立されていたけど、加えてミュージシャンとしての地位を確立したいという願いがあった。彼は私が難しいと感じることもこなせるし、私にはないギターヒーロー的な気概も持っている。私は彼のギターが大好きだ。彼は世界最高のギタリストだと思う。
私自身もギター・ヒーローが大好きだけど、私はソングライターでもあるから、シュレッドするときとソウルフルで長い音を出すときがはっきりしているんだ」
唯一曲名を持つ “A Story Never Told” のソロはそんなふたりのギターヒーローの協力の結果です。
「Fredrik には何も言う必要はなかった。彼はブレーキを踏むタイミングも知っているし、トップギアに入れるタイミングも知っている。彼はただ素晴らしいソロを披露してくれた。私は、ただ “ああ、最高だ” と言うだけだよ。
“A Story Never Told” のソロも上手くやるって言ってね。私はちょうど RAINBOW の “Bent Out Of Shape” を聴いていたんだけど、その中に “Snowman” という曲があって、すごくスローなんだ。だからこそ私はブラックモアが大好きなんだ。彼はいろんなトリックを持っていて、素晴らしいプレイヤーだったけど、いつも音楽的だった。Fredrik もそうさ!」
今回のレコーディングでは珍しく、テレキャスターも使用しました。人間らしさを得るために。
「私たちが目指しているのは完璧さではない。バーチャルの楽器を本物の楽器に置き換えるとき、欠点を探すのではなく、人間的な面を探している。不完全さの中にこそ人間性がある。それはデモにはないものだ。私のデモを聴けば、クソ完璧だ。私は、繰り返しになるが、人間的なサウンドの擁護者なのだ。完璧は私にとっては正しい音ではないんだ。完璧なテンプレートがあるのはいいことだけど、それをレコーディングするときにちょっと失敗して、最終的に人間的なサウンドのレコードになるんだ」

元 PARADISE LOST のスティックマンである Waltteri Väyrynen もバンドに新鮮な要素をもたらしています。彼がボスを感心させたことは間違いありません。
「Walt が素晴らしいドラマーだということは知っていた。このバンドはくだらないミュージシャンの集まりじゃない。演奏はできる。でも私たちはロックフィールド・スタジオに座っていて、彼は非常識でテクニカルな曲をワンテイクでやっていた。ほとんどリアルタイムでレコーディングしていた!彼はすごいよ!」
そう、これは OPETH 史上最高のギター・アルバムで、リズム・アルバムでもあるのです。バンドのもうひとりのキーパーソン、ギタリスト、Fredrik Åkesson も今回のアルバムの仕上がりには興奮を隠せません。
アルバムの複雑なテーマを踏まえて、Fredrik は Mikael とのコラボレーションが鍵だったと明かしました。
「このアルバムは、2008年の “Watershed” でバンドに加わったときと同じくらいエキサイティングだと今でも思っている。僕にとって特別なアルバムだからね。もちろん、どのアルバムも良いし、どれも満足しているけれど、このアルバムは、古い OPETH とプログの OPETH が新しい方向性と一歩前進のために組み合わされたような作品なんだ。
だからこそ、自分を本当にプッシュしたかったんだ。そして、すべてのソロに目的を持たせたかったんだ。Mikael と僕はヘヴィなリズム・リフを分担し、僕はアルバムの多くのメロディーを演奏した。Mikael はアコースティック・ソロを弾いているね。
“In Cauda Venenum” の時僕は、Mikael のスタジオで即興的にソロを弾いていた。でも今回は、音楽を送ってくれたんだ。だから、自分のスタジオでソロを考え、今までやったことのないことをやろうとより多くの時間を費やした。どのソロもそれぞれ違うものにしたかったんだ」
そうして Fredrik はこのアルバムで、より思慮深いアプローチへと突き進みました。この新しい創造的な空間において、彼は楽曲だけでなくレコードの大きな物語に合うように、それぞれのソロを綿密に作り上げていったのです。
「”目立ちたい “という考え方は好きじゃないんだ。テクニカルなものを盛り込むのは好きだけど、それは目的があってのこと。このアルバムでは、リードに多くの時間と余韻を費やした。
かつて Gary Moore が言ったように、”あなたが弾くすべての音色は、人生で最後に弾く音色のようであるべきだ”。そういうメンタリティなんだ。人生を当たり前だと思ってはいけない。常にベストを尽くしたいと思うだろう。それがいいモデルだと思うし、できればそれ以上になりたい。ちょっと野心的に聞こえるかもしれないけど、ある意味、少なくとも僕が目指していたのはそういうことなんだ。みんながどう思うかはこれからだけど、かなりいい出来だと思うよ」

ヘヴィでアグレッシヴなパッセージと、幽玄でメランコリックな瞬間がぶつかり合う OPETH の特徴的なサウンドは、このアルバムの中核をなしています。この両極端の間の複雑なバランスは、バンドが長年かけて習得してきたもので、彼らはアイデンティティを失うことなく、幅広いサウンドパレットを探求できるようになりました。そして彼らの14枚目のスタジオ・アルバムでは、そうした対照的な要素の相互作用が、慣れ親しんだものであると同時に、新たに活性化されたようにも感じられると Fredrik は言います。
「僕の見方では、OPETH の曲は陰と陽のようなものなんだ。とてもアグレッシブなパートと、よりメランコリックなパートが出会って、一方が他方のパートを糧にする。これはレコーディングの方法でどのように演奏し、どのようなサウンドを使うかによって、音楽にそうした極端な変化を生み出すことができるんだ。
ヘヴィなものから森のような夢のようなサウンドスケープまで。それは “Orchid” 以来、OPETH の一部になっているものだと思う。しかし、それは常に発展し、様々な方法で行われてきたんだよ」
“The Last Will and Testament” が形になるにつれ、この作品は Fredrik のようなベテラン・ミュージシャンにとっても新たな挑戦となることは明らかでした。レコーディング・プロセスでは、技術的な複雑さと新鮮な創造的要素がプロジェクトの重みを増し、バンドは予想外の方向にまで突き進みました。しかし、限界に挑戦し続けるというバンドの決意は揺るがず、革新と芸術的進化への深い情熱がその決意を支えたのです。実際 Fredrik は、音楽そのものの複雑さが障害となり、また成長の源となったことを明かしています。
「今回のドラムのパートはとても複雑だから、リフを入れるのに時間がかかった。ポリリズム的なものがとても多いんだ。だから、リフのいくつかを捉えるのに時間がかかった。でも僕は挑戦することが好きなんだ。Mikael は常に僕らにも挑戦したかったんだと思う。いい意味でちょっとサディスティックなんだ」

“The Last Will and Testament” は過去への回帰を意味するのか、それとも OPETH の進化の継続を意味するのでしょうか?
「継続だ。一歩前進だ。これは初期の OPETH とプログ時代の OPETH をひとつにまとめたものだ。他のアルバムとはいろいろな意味で違うが、OPETH サウンドは健在だ。ちょっと新しいサウンドなんだ。グロウルのヴォーカルもあるけど、Mikael は “Paragraph I” で聴けるような、もっと芝居がかったクリーン・ヴォイスを開発したんだ。これまでそういうことはしてこなかったからね」
バンドとして革新と進化を続ける原動力は、自己満足を避けたいからだと Fredrik は説明します。
「飽きられたくない。常にステップアップし、レベルを上げ、限界を上げなければならない。もちろん、それは難しいことだ。でも、新しいアルバムはリスナーに対してではなく、自分自身に対して何かを証明する機会なんだよね。
毎回また何かを証明する必要があると思うし、それは今でも OPETH のアルバムのモットーなんだ。ビジネスを維持するためだけにアルバムを作るのなんて意味がないからね」
最後に Mikael は自分とバンドの立ち位置を明確にします。
「私は自分をミュージシャンだと思いたい。ミュージシャン…つまり、私は自分が消費する音楽の産物だ。私はもう50歳だ。だから、長年にわたってたくさんの音楽を聴いてきた。そうして多くの音楽を盗み、参考にしてきたんだ。でも結局のところ、私は自分が何をやっているのかわからないんだよな!」

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参考文献: KERRANG! :“Screaming, for me, is almost like rapping”: Mikael Åkerfeldt talks Opeth’s new album, The Last Will & Testament

MUSIC RADER :“What we are after is not perfection. You’re looking for the flaws… the noise… earth hum. You’re looking for the arm-tight playing… the human aspect”: Opeth’s Mikael Åkerfeldt on inspirations, intuition, shred, and the problem with modern metal

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