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MASTERPIECE REVIEW + INTERVIEW 【BOTANIST : Ⅵ: FLORA】JAPAN TOUR 2019 SPECIAL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH OTREBOR OF BOTANIST !!

“I Wanted To Push The Genre Further While Also Honoring Its Tradition. Making Botanist a Concept Project About Plants Felt Like The Way To Do That: 100s Of Bands Were Talking About Forests, But None Mere Taking It To a Specific, Scientific Level. “

DISC REVIEW “Ⅵ: FLORA”

邪悪や猟奇、そしてファンタジーがテーマとして掲げられるメタルワールドにとって、BLACK SABBATH, EMPEROR, DRAGONFORCE といったバンドの名こそ至当で理想的にも思えます。そんな倒錯した世界において、”植物学者” を名乗る BOTANIST はその原郷からすでに異端です。
「僕はブラックメタルというジャンルをその伝統に敬意を払いつつ、さらに先へと進めたいんだ。植物をコンセプトとした BOTANIST を立ち上げたのもまさにその想いから。これまで幾つものバンドが森については語ってきたけど、誰ももっと専門的なレベルで個別の植物については語ってこなかったよね。」2011年にサンフランシスコで Otrebor が創世したワンマンプロジェクトは、植物を科学し環境問題を追求する唯一無二の “グリーンメタル” へと開花して行きました。
これまでにも、WOLVES IN THE THRONE ROOM, AGALLOCH, ALCEST など自然崇拝をテーマとして、仄暗き森や鬱蒼と生い茂る木々を礼賛するブラックメタルの一派は確かに存在していました。しかし彼らはそのアトモスフィアに惹かれ、自然のよりスピリチュアルな領域へとフォーカスしていたはずです。
一方で、BOTANIST はよりミクロで科学的に植物への愛を貫きます。「多くのデスメタルバンドが死について書いていたけど、CARCASS は臨床的見地から死について最初に歌い、デスメタルをネクストレベルへ進めたんだ。」 CARCASS の死に対するある種ドライな向き合い方は、Otrebor が BOTANIST でより学術的に植物の姿を描き出す核心的なインスピレーションとなりました。ハナスイ、シーソラス、ヤエヤマヒルギといった耳馴染みのない植物を楽曲名に列挙する方法論はまさに CARCASS 譲り。
さらに BOTANIST はその “グリーンメタル” のコンセプトだけでなく、ハンマードダルシマーという特殊な楽器をメインに使用することでブラックメタルを未踏の領域へと導きます。
ドラマーを本職とする Otrebor にとって、スティックで弦を叩いて音を出すダルシマーは完璧なメロディー楽器でした。かつて住んでいたこの日本で運命的な出会いを果たした古のピアノは、風と共にロマンチックでエレガントな響きを運び、ギターレスのブラックメタルという倒錯と神秘的のアートを創造して行くのです。
貪欲な研究者 Otrebor は、緑の音楽を絶え間なく精製し続けます。リスナーの思考を絶え間なく促しながら、夢見心地に浮遊する陶酔と恍惚の極致 “Ⅵ: Flora” は、ソロプロジェクトとしての BOTANIST にとって一つの完成形だったのかも知れません。
一筋の新緑だったグリーンメタルの種子はそうして徐々に森を形成していきます。ローマ数字のナンバリングから “Collective” 表記へと移行し、初めてバンド形態で制作された “The Shape Of He To Come” のダイナミズム、グルーヴ、躍動感はまさしく “集団” としての生命力に満ちています。メンバーという養分を得て緑を増した聖森のざわめきは、より荘厳に、より実験的にリスナーの五感へと訴えかけるのです。
深刻な環境破壊により未曾有の危機に直面する人類と地球において、Otrebor は BOTANIST の発芽は必然だと語ります。「BOTANIST のようなプロジェクトは、地球の自己防衛メカニズムの結果であると心底信じているんだ。自然の重要性とその保存について情熱的な方法で人々に発言することを要求するようなね。」もしかすると彼らはは自然が意思を持って遣わした有機的なメッセンジャーなのかも知れませんね。
今回弊誌では、Otrebor にインタビューを行うことが出来ました。奇跡の来日が決定!「僕たちは、日本のファンがお気に入りの植物を携えて現れ、ライブで掲げてくれるのを熱望するよ!」どうぞ!!

BOTANIST “Ⅵ: FLORA” : 9.9/10

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