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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ETERNITY FOREVER : FANTASY】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH BEN ROSETT OF ETERNITY FOREVER !!

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Dance Gavin Dance, Chon And Strawberry Girls Get Together !! The Super Group, Eternity Forever Mixed Prog Rock And R&B With Their Amazing Debut EP “Fantasy” !!

DISC REVIEW “FANTASY”

ex-DANCE GAVIN DANCE, A LOT LIKE BIRDS の Kurt Travis、ex-CHON の Brandon Ewing、そして STRAWBERRY GIRLS で活躍する Ben Rosett という類い稀なる駿才が集結した新たなファンタジー、ETERNITY FOREVER が鮮烈なデビューEP “Fantasy” をリリースしました!!メンバーが誇る芳醇なキャリアを引き継ぎながらも、新たな冒険へと誘う作品は、近年稀に見る衝撃を伴って永遠に愛される不朽のエバーグリーンとなるはずです。
インタビューにもあるように、ETERNITY FOREVER の物語は昨年行われた CHON と STRAWBERRY GIRLS、そして POLYPHIA が一堂に会した “Super Chon Bros” ツアーから始まりました。
全世界で30万枚のセールスを上げる US インディーの雄 LOCAL NATIVES のベースプレイヤー Nick Ewing を兄に持つ Brandon は当時、CHON の一員としてツアーに帯同していました。Sumerian と契約し今や飛ぶ鳥を落とす勢いで邁進する、カリフォルニアの日差しを全身に浴びたマスマティカルでポジティブなプログレッシブ集団は、Camarena 3兄弟の次男が脱退したためベーシストを必要としていたのです。
一方、Ben Rosett が所属する STRAWBERRY GIRLS は、日本ではまだあまり馴染みのないバンドかも知れませんね。彼らもインストゥルメンタルを主戦場とする実験的なトリオ。ex-DANCE GAVIN DANCE のギタリスト Zachary Garren 率いる異能の集団は、可能性を発掘することにかけては定評のある Tragic Hero Records からダーク&セクシーな名作群をリリースしています。
ポストハードコア、マスロック、プログレッシブが魅力的に交差したツアーで Brandon と Ben は意気投合。Blue Swan, Equal Vision をセンターとしたシーンの中でもずば抜けた歌唱力を有する Kurt Travis との邂逅により、バンドはまさにスーパータレントブラザーズとしての生を受けたのです。
デビューEP “Fantasy” は4曲という僅かなボリュームにもかかわらず、圧倒的な躍動感と無限の可能性を感じさせる作品に仕上がりました。
アルバムオープナーでタイトルトラック、”Fantasy” の幕が上がるとリスナーは、Brandon が奏でる透明で繊細なギターの音色に酔いしれるでしょう。
ビビッドでリリシズムを湛えたその思索的な響きは、アイデアの潮流に乗り、宵闇の風に帆をはらませ無上のサウンドスケープを運びます。確かにここには CHON や DANCE GAVIN DANCE が持つ複雑にして軽快、難解にして耳馴染みの良い、モダンでイマジネーティブなセンスが開花しています。Brandon がベースのみならず、ギターのマイスターでもあることがここに証明されたと言えますね。
Kurt Travis の鮮烈で “黒い” ファルセットが切り込むと、楽曲は新たな顔を啓示しバンドの個性を主張し始めます。Prince を想わせるシルクのように滑らかで心地よいそのファルセットは、彼らの “Fantasy” に濃厚なブラックミュージックの風を誘います。Kurt が過去にどのバンドでも見せることのなかったその切り札は、プログレッシブでマスマティカルなロックとエモーショナルでトライバルな R&B やソウルが遂に溶け合うための重要な魔法の触媒となっているのです。
“Movies” の郷愁と慕情が入り混じった美しきポストロックのキャンパスが、Kurt のソウルフルな黒い歌唱で染めあげられ、未だ見ぬ奇跡の景色を宿す様はまさに ETERNITY FOREVER の真骨頂だと言えるでしょう。
4曲15分のEPを通して流れるのは、作品のプロデュース、ミキシング、マスタリング全てを手がけた Ben Rosett のイデオロギーかも知れませんね。STRAWBERRY GIRLS ではあの Kendrick Lamar のカバーも披露しているように、オープンで瑞々しい感性を持つ彼のアンテナは “Jazz The New Chapter” のマインドと通じます。
Hip Hop やネオソウルに接近し、ジャズの領域をブラックミュージックへと浸透、拡大。インプロビゼーションよりも、明確でソフィスティケートされたプロデュースを主張する Robert Glasper や HIATUS KAIYOTE の方法論を、Ben はプログレッシブロックの分野でチャレンジしたように感じられます。そして彼らの “New Chaper”は、コンパクトでキャッチー、エキサイティングで新鮮な、プログレッシブワールドの稀有なる地殻変動として”永遠永久に”歴史に刻まれることでしょう。
今回弊誌では Ben Rosett にインタビューを行うことが出来ました。今年一番のサプライズ。どうぞ!!

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ETERNITY FOREVER “FANTASY” : 10/10

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