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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【GATECREEPER : DESERTED】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH CHASE MASON OF GATECREEPER !!

PHOTO BY PABLO VIGUERAS

“Gatecreeper Started When I Met Our Drummer, Matt, And Discussed Our Shared Love For Old School Death Metal. We Both Talked About Dismember And Decided To Start a Band. Our Formula Has Always Been The Same Since The Beginning.”

DISC REVIEW “DESERTED”

「GATECREEPER は僕がドラマーの Matt と出会って始まったんだ。僕たちのオールドスクールデスメタルに対する愛をシェアしようぜってね。あの時僕たちは DISMEMBER について熱く語って、それでバンドを始めようって決めたんだよ。」
アリゾナに生を受けたメタリックハードコアの牽引者 GATECREEPER は、その溢れるデスメタル愛でエクストリームミュージックを遂に巨大なスタジアムへと導きます。
「僕たちは “スタジアムデスメタル” という言葉を世界へもたらし、それが取り上げられるようになった。要は、しっかりとエクストリームでありながらキャッチーなデスメタルを作ることが出来るということなんだ。狂気のサウンドでありながら、記憶に残るデスメタルは存在し得るんだ。DEICIDE の “Once Upon A Cross” のようにね。」
今回インタビューに答えてくれた ボーカリスト Chase Mason は Revolver のインタビューでそう怪気炎を上げ、スタジアムでプレイする自らの姿を夢想します。
実際、Chase の前人未到なその野心は決して夢物語ではないのかも知れませんね。
「フロリダデスメタルとスウェディッシュデスメタル。間違いなくその2つは僕たちのサウンドにおいて欠かせない重要な要素だよね。ただ、僕たちはそういったバンドたちの大好きな要素を抽出して、ユニークな僕等のサウンドとなるよう形成していくだけなんだ。」
HORRENDOUS, TOMB MOLD, BLOOD INCANTATION 等と共に OSDM 復興の波を牽引する GATECREEPER。中でも彼らは米国の凶凶と欧州の叙情を繋ぐ大胆な架け橋となり、初期の DEATH や OBITUARY と ENTOMBED, DISMEMBER が完璧なバランスで交わる “スイートスポット” の発見を誰よりも得意としています。
もちろんそこには、BOLT THROWER を頂点とする UK デスメタルの鼓動、さらには Kurt Ballou のサウンドメイクが象徴するように VEIN や CODE ORANGE のメタリックなハードコアとも共鳴する先鋭性も存分に垣間見ることが出来るでしょう。
ただし、”ポストヒューマン” な人類滅亡の世界を描いたアリゾナの “Deserted” で最も目を惹くエイリアンは、ポップである種単純化とまで言えそうなストラクチャーに宿された究極のキャッチーさでしょう。サバスの時代に巻き戻ったかのような凶悪でしかしシンプルなリフワークは、複雑化を極めた現代メタルに対するアンチテーゼの如く鮮烈に脳裏へと刻まれます。
その真の意味での “オールドスクール” の利点は、GATECREEPER ではベースを担当する Nate Garrett がマイクに持ち替え、Chase がベースをプレイ、さらに Eric Wagner もギターを兼任する SPIRIT ADRIFT にもシェアされています。GATECREEPER と SPIRIT ADRIFT、メンバー3名が重複し古を敬う2つのバンドの作品が、海外主要紙2019年のベストに多く選されている事実は複雑化の終焉と単純化への兆しを意味しているのかも知れませんね。
ただし、残念ながら GATECREEPER & SPIRIT ADRIFT の古式ゆかしくしかし斬新な共闘は終わりを迎えるようです。
「僕はもう SPIRIT ADRIFT ではプレイしないし、Nate も GATECREEPER でプレイすることはもうないよ。そうすることで、(同じマネージメントの) 2つのバンドが円滑に、互いに争わずやっていくことができるんだよ。」
Post Malone がアリゾナのショウで GATECREEPER のTシャツを着用したシーンは、今のところ彼らが最もメインストリームへと接近した瞬間だったのかも知れません。ただし、あのメタルを愛するポップアイコンに見初められた音の葉は、いつかスタジアムへと到達するに違いありません。
今回弊誌では、Chase Mason にインタビューを行うことが出来ました。「僕は COFFINS が大好きだし、他にも FRAMTID, DISCLOSE, GAUZE, BASTARD といった日本のハードコアやパンクバンドも気に入っているんだ。」日本盤は DAYMARE RECORDINGS から。どうぞ!!

GATECREEPER “DESERTED” : 10/10

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