EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH LARISSA STUPAR OF VENOM PRISON !!
“We’re Always Quick Enough To Point Fingers At Metal But Sexism And Misogyny Is a Global Issue That We Face In Every Aspect Of Our Lives, Not Just Within The Music Industry. It’s a General Problem Within Our Society. And When I Speak About Fighting Sexism, I Want To Fight It On Every Level, Not Only In My Micro Cosmos Called Metal.”
DISC REVIEW “SAMSARA”
残忍で暴力的、グロテスクなデスメタルの陰惨は、特定のリスナーにとっては快楽で気韻生動の源でありながら、一般的には嫌悪の対象であると言えるでしょう。
故に、それがファンタジーの絵巻物、アートの一環であるとの主張虚しく糾弾を受けることもしばしばで、レイプや殺人の夢想家 CANNIBAL CORPSE がオーストラリアで発禁処分を受けていたことは記憶に新しいところです。
もちろん、そういった過度な猟奇はホラー映画や絵画、小説にも散見される表現ですが、例えば CANNIBAL CORPSE のアートワークを見ればそこにミソジニー、女性蔑視や性差別の痕跡まで確かに存在するようにも思えます。
「セクシズムと言えば私たちはすぐにメタルを批難するけれど、性差別や女性嫌いは音楽業界だけでなく、私たちの生活のあらゆる面で直面する世界的な問題なの。だからセクシズムとの闘いについて話すとき、私はメタルという自分のミクロな宇宙の中だけでなく、あらゆるレベルで戦いたいと思うのよ。」
ファンタジーにかこつけたミソジニーを負の遺産と捉え始めたシーンの潮流において、VENOM PRISON のフロントウーマン Larissa Stupar は潮目を違える天変地異なのかも知れません。反逆はデビューフル “Animus” で始まりました。
イスラエルの芸術家 Eliran Kantor の手によるネオクラシカルスタイルのアートワークには、ストイックな女性のグループが男性の性器を強制的に切除している様子が描かれています。ただし状況に反して上品に仕上げられたアートに、傷や性器自体は見られません。そしてそのカバーはレイプ犯に対する詩的な復讐を実現する “Perpetrator Emasculation” “加害者の解放” と結び付いていたのです。
ジャンヌ・ダルクのようにエクストリームミュージック、ひいては世界の性差別に立ち向かう Larissa。「”Samsara” は私の目には現実的に、”Animus” のステップアップで進化形に映るのよ。 」 彼女の言葉通り最新作 “Samsara” はさらなる義憤のレコードです。
同じく Kantor の手によるアートワークには、拘束された蜘蛛女が卵を産む姿が描かれています。そしてその描写は、子孫に食される母の悲傷を唄うオープナー “Matriphagy” への直接的な言及。さらに “Uterine Industrialisation” “子宮工業化” に対する憤激へと繋がっていきます。
Larissa は昨年アメリカをツアーした際、インドにおける商業的な代理出産のニュースを耳にします。
インドの貧困の中で暮らす脆弱な女性から搾取し、自分の子供を持つことが困難な米国の若い家族からも搾取するという悪魔の二重構造は、長い間彼女の頭を離れませんでした。古代インドの言葉サンスクリットで “Samsara” とは即ち輪廻。彼らは負の輪廻を構築する現代社会に鋭い牙を向けるのです。
ただし、VENOM PRISON の牙は上顎にデスメタルを、下顎にハードコアの “毒” を宿した音楽の鋭き牙。
「私たちがバンドを始めた2015年はデスメタルは勢いを無くして、メロディックメタルコアのリバイバルが全盛だったのよ。だから私たちはハードコアシーンにも少しはみ出している訳なんだけど。」 と Larissa が語る通り、CODE ORANGE や VEIN がハードコアとメタルの禍々しき婚姻をハードコア側のプロポーズで成立させたのに対し、VENOM PRISON はデスメタルの血統で見事にクロスオーバーの美学を体現します。
Ash Gray と Ben Thomas が織り成す美麗でしかしブルータルなシュレッドのタペストリーは確かにメタルのロマンを伝承し、ブラストとD-beat をスイッチするリズム隊の圧倒的カオスで革新の波を起こす VENOM PRISON。その中枢には、デスメタルのグロウルとハードコアの咆哮を行き来する Larissa の “情け容赦ない” Take-No-Prisoners なパフォーマンスが原動力として存在するのは明らかでしょう。
今回弊誌では、Larissa Stupar にインタビューを行うことが出来ました。「私は “フィーメールフロンテット” って言葉が好きじゃないの。だってこの言葉はただフロントを務める人物のジェンダーのみによって、サブジャンルのようなものを形成してしまうから。その女性ボーカルを擁するバンドたちが生み出す音楽関係なしにね。その行為はとても限定的で、逆効果だと思うの。」どうぞ!!
VENOM PRISON “SAMSARA” : 9.9/10
INTERVIEW WITH LARISSA STUPAR
Q1: This is a first interview with you. So, at first, could you tell us about yourself? What kind of music were you listening to, when you were growing up? Who was your musical hero at that time?
【LARISSA】: We are a death metal band from the UK, we started in 2015, we broke away from previous bands and started Venom Prison, something new for all of us – and a challenge. We all grew up in a hardcore punk and metal background, I can’t really think who would of been my heroes growing up, I never really cared to idolise people I don’t know.
Q1: 本誌初登場です!まずはあなたの音楽的なバックグラウンドからお話ししていただけますか?
【LARISSA】: 私たちは UK のデスメタルバンド。2015年に以前所属していたバンドたちが解散したから VENOM PRISON を始めたのよ。全員にとって新たなチャレンジとしてね。
私たちは全員がハードコアパンクとメタルを聴いて育ったの。なぜかは分からないんだけど、誰かを偶像視したことがないから特別なヒーローはいないんだけどね。
Q2: It seems you were born in Russia and grew up in Germany, right? How have the backgrounds influenced to your musical and life style?
【LARISSA】: I didn’t live in Russia for that long in my childhood, so when I moved to Germany I started going to hardcore punk shows because my parents couldn’t afford to send me off to 50 euro shows to see someone like Korn. So quickly I got into the DIY scene and learnt a lot about music and ethics, I would say because of this it’s shaped who I am today and my style as an artist and musician.
Q2: あなたはロシアで生まれ、ドイツで育ち、現在は英国に住まわれているそうですね?
【LARISSA】: 子供時代もロシアにはあまり長くは住んでいなかったの。ドイツに移ってからハードコーアのライブに通い始めたのよ。だって私の両親には、50ユーロも払って KORN のような大物のライブに行かせるような余裕はなかったから。
だけどそのおかげで、私はすぐに DIY シーンへとハマって、音楽や規範について多くを学んだの。あの頃の経験があったから、今の私と、アーティスト、ミュージシャンとしてのスタイルを形成することが出来たと言えるわね。
Q3: Female fronted metal/hardcore band is increasing recently. But of course, there are still a few in the scene. What made you start to sing in the death metal/metallic hardcore band?
【LARISSA】: I only sang in heavy bands, like hardcore, crust-punk,etc. So it’s always been something I have done growing up and that’s why every band I do, I want to challenge myself and progress myself into a better musician. I enjoy the environment and the atmosphere this music creates and I don’t think I would want to do it any other way.
I don’t like the term “female fronted” though because it creates some sort of sub-genre that is solely based on the gender of the front person disregarding the kind of music is being produced by bands that have female vocalists. I find it quite limiting and counterproductive.
Q3: 近年、VENOM PRISON のように、フロントウーマンを擁するメタル/ハードコアバンドも増えて来ていますよね? もちろん、それでも全体からすればまだまだ少数ですが。
あなたがデスメタル/メタリックハードコアのバンドで歌い始めたきっかけを教えていただけますか?
【LARISSA】: 私はハードコアやクラストパンクみたいにヘヴィーなバンドでしか歌ったことがないの。それこそがいつも私の教科書で、だからこそ全てのバンドでそうして来たのよ。
私は挑戦が好きで、より良いミュージシャンになるため前進したいの。だからこういった音楽が育む環境や雰囲気を楽しんでいるし、他の方法でやって行きたいとは思わないわ。
私は “フィーメールフロンテット” って言葉が好きじゃないの。だってこの言葉はただフロントを務める人物のジェンダーのみによって、サブジャンルのようなものを形成してしまうから。その女性ボーカルを擁するバンドたちが生み出す音楽関係なしにね。その行為はとても限定的で、逆効果だと思うの。
Q4: When I had interview with Serena of Svalbard, she said “Personally, I have suffered so much sexism in the metal scene that I think the time is right to kick against it and make an outwardly feminist metal album. This album is my reply to anyone who makes negative comments to a girl onstage.”. Actually, “Perpetrator Emasculation” was about a woman exacting poetic revenge on a rapist. What’s your perspective about her opinion and sexism in the extreme music scene or daily life?
【LARISSA】: I mean everyone at some point in their lives have suffered from something that they will never truly recover from and yeah it does make me very angry but I’m lucky enough to have a platform such as Venom Prison so be able to express myself.
My perspective on metal and sexism? I mean I have experienced sexism in music generally, not only in metal and personally I have suffered more gender discrimination when I was active in hardcore. We’re always quick enough to point fingers at metal but sexism and misogyny is a global issue that we face in every aspect of our lives, not just within the music industry. It’s a general problem within our society. And when I speak about fighting sexism, I want to fight it on every level, not only in my micro cosmos called metal.
Q4: 以前、SVALBARD の Serena にインタビューを行った際、彼女は 「個人的に、私はメタルシーンで多くのセクシャルハラスメントに苦しんできたの。だから、それに立ち向かい表面上はフェミニストのメタルアルバムを作るべき時が来たと思ったのよ。このアルバムは、ステージに女の子が立つことにネガティブなコメントを寄せる人たちに対する私からの返答よ。」 と語っていました。
VENOM PRISON にも “Perpetrator Emasculation” のようなセクシズムに反抗する楽曲が存在します。
【LARISSA】: 私は、みんな人生のどこかで回復不可能な傷を負って苦しんでいると思っているの。そしてその事実は私をとても怒らせるのよ。私は幸運にも、VENOM PRISON のような自分を表現出来るプラットフォームがあるのだけれど。
メタルとセクシズムについての私の考え?そうね、私もメタルに限らず音楽シーンでセクシズムを経験して来たわ。個人的には、ハードコアシーンで活動を続ける中で、特に女性差別に苦しんで来たわね。
セクシズムと言えば私たちはすぐにメタルを批難するけれど、性差別や女性嫌いは音楽業界だけでなく、私たちの生活のあらゆる面で直面する世界的な問題なの。それは私たちの社会の中で一般的な問題なのよ。
だからセクシズムとの闘いについて話すとき、私はメタルという自分のミクロな宇宙の中だけでなく、あらゆるレベルで戦いたいと思うのよ。
Q5: Generally, Metal and Hardcore has violent images about woman. It seems you want to change the situation somehow, right? When you were writing lyrics of “Samsara”, did you think “Turning the Tables” of Metal/Hardcore’s misogynist image?
【LARISSA】: It originally got brought up with Animus as that’s when I first approached the idea, I mean Samsara in reality is a step up and progression from Animus in my eyes. I think it’s interesting for musicians to have their own take and influence in their lyrics so that is exactly what I set out to do.
Q5: メタルやハードコアには、時に女性に対する暴力的なイメージも付き纏っていますよね?
最新作 “Samsara” であなたはそのイメージも、いくらかは振り払おうとしているように思えます。
【LARISSA】: ミソジニーに反抗する、そのアイデアに最初にアプローチしたのは、もともと前作 “Animus” の製作時だったの。つまり、”Samsara” は私の目には現実的に、”Animus” のステップアップで進化形に映るのよ。
私はミュージシャンが独自の影響を歌詞へと取り入れるのが面白いと思っているから、まさに私もそうしたのよ。
Q6: Actually, I’ve had interview with lots of UK based metal/hardcore bands. Most of their music includes political assertion and Brexit. “Asura’s Realm” seems to be that kind of song. You know, “Samsara’ is definitely angry record, right?
【LARISSA】: Samsara is a very angry record but we need to understand the good from bad and the bad will always take the light away from something good and Samsara highlights that. People are angry and like previously mentioned it’s the only way for people to blow some steam off these days.
Q6: 多くの英国出身メタル/ハードコアバンドにインタビューしましたが、ほとんどのバンドが政治的主張、ブレグジットについてをその歌詞に散りばめていました。
“Asura’s Realm” はまさにそういった楽曲で、”Samsara” は怒れるレコードですよね?
【LARISSA】: “Samsara” はとても怒れるレコードよ。だけど、我々は良し悪しを見分ける必要があるわ。そして悪は常に何か良いものから光を奪うものよ。”Samsara” はまさにそれを強調しているの。
人々は怒っていて、前述のように、そうした話題が人々が最近ではガス抜きをする唯一の方法なの。
Q7: Like Code Orange, Vein, Harms Way, in the last few years, ambitious metallic hardcore or Nu metal revival is kind of trend of extreme music scene. Do you think you are involved in that movement?
【LARISSA】: I’m not really sure what movement we are involved in but Venom Prison has always stuck to what we want to do, we didn’t start this band to suit any trends and in 2015 to be completely honest it wasn’t death metal bands on the rise, it was that whole melodic metalcore revival so we did stick out a little bit in the hardcore scene but we’ve always done what we want to do and we seem to be heading in the right direction, I would like to see Venom Prison creating our own movement and influence in the metal scene and introducing them to younger bands as that seems a lot harder to crack these days.
Q7: CODE ORANGE や VEIN, HARMS WAY のように野心的でメタリックなハードコアは近年のトレンドと言えそうですね?
VENOM PRISON はそのムーブメントに関連していると思いますか?
【LARISSA】: VENOM PRISON がどんなムーブメントに関連しているのか確かなことは分からないんだけど、私たちはいつもやりたいようにやってきたのよ。トレンドに迎合しようと始めたバンドではないの。
それに、私たちがバンドを始めた2015年はデスメタルは勢いを無くして、メロディックメタルコアのリバイバルが全盛だったのよ。だから私たちはハードコアシーンにも少しはみ出している訳なんだけど。だけど私たちはいつもやりたいことをやってきたし、正しい方向を目指してきたと思うの。
だから私としては、VENOM PRISON が独自のムーブメントを形成し、メタルシーンに影響を及ぼすことを期待するわ。
Q8: Also, Like Rolo Tomassi, Svalbard, Ithaca, Conjurer, and you, UK has been producing lot’s of amazing & diverse new bands recently. Do you feel the era of new wave of British extreme music are coming?
【LARISSA】: Britian seems to be producing a lot of great music at the moment and the funniest part is… this is probably the angriest people have been in Britain in a long while due to certain political issues right now. Kind of funny how that reflects on heavy music right!
Q8: それにしても、ROLO TOMASSI, SVALBARD, ITHACA, CONJURER など、近年英国のエクストリームバンドの伸長は著しいですね?
【LARISSA】: そうね、英国は現在、多くの偉大な音楽の産地となっているわね。
この現象の最も面白い点は、おそらくはその事象が最も怒れる人たちが長らく英国に住んでいるという現実によって引き起こされていることね。まさにそれは政治的な問題のためよ。だから、しっかり怒れるヘヴィーミュージックに反映されているなんて面白いわね!
FIVE ALBUMS THAT CHANGED LARISSA’S LIFE
To be honest with you, there is no album that has changed my life but here is some of the albums that got me into heavy music