THE 100 BEST MODERN GUITAR ALBUMS OF THE DECADE: 2010 – 2019


THE 100 BEST MODERN GUITAR ALBUMS OF THE DECADE: 2010 – 2019

1: ANIMALS AS LEADERS “THE JOY OF MOTION” (2014)

「優れたブルースギタリストになるための基礎はもちろん美しいよ。だけど別の僕がギターにはもっとユニークなことが出来ると語りかけるんだ…」
10年前に ANIMALS AS LEADERS のリーダーとしてデビューして以来、8弦のDjen衛建築家 Tosin Abasi はタッピング、スイープ、スラップ、フィンガーピッキングなど百花繚乱なテクニックを駆使してクラシカル、エレクトロニカ、ファンク、フュージョン、プログメタルを魔法のように調合し続けています。その鮮やかな多様性とテクニックの再創造まさに10年代モダンギターのベンチマークとなりました。
「シンセやエレクトロニックベースがあるから必要ない。」と言い放ち、もう1人の天才 Javier Reyes を従えた2ギター1ドラムの編成も革新的。
Generation Axe ツアーで Steve Vai や Yngwie Malmsteen でさえ文字通り引き裂いた Tosin の実力は、しかし決して才能だけに依るところではなく日々の鍛錬から生まれているのです。
1日に15時間練習しているのか?との質問に Tosin はこう答えました。
「出来ないことにひたすら取り組み出来るようになる。それは中毒のようなものでね。再びその現象が起こることを望み、再度成功すると徐々に自分の可能性を追い求めるようになる。そうして最終的には自分の理想に極めて近づくんだ。部屋に閉じ込められ義務感で練習している訳じゃない。自分の中に溢れる可能性を解き明かしているだけなんだよ。」

2: ERIC GALES “MIDDLE OF THE ROAD” (2017)

Jimi Hendrix に憧れ、右利き用のギターを逆さまに使用した左利きの Eric Gales は、90年代初頭、Guitar World 誌のベストニュータレントを名刺がわりに華々しく登場しました。しかし以降およそ20年の間、Eric の名前が表舞台で取り上げられることはほとんどありませんでした。
2010年代に入り、転機はあの Shrapnel との契約でした。長年の艱難辛苦は、孤高のギタリストに愛と泪、汗と真実を染み込ませたのです。それは Jimi Hendrix と Miles Daves のレガシーを等しく受け継いだ王の帰還でした。
Dave Navarro, Joe Bonamassa, Mark Tremonti Carlos Santana といったエモーションの達人たちでさえ、Eric を “ブルースロック最高のギタリスト” “地球で最高のギタリスト” “ただただ驚異的” と Eric の才能を絶賛します。
中でもあの Gary Clark Jr.、Lauryn Hill がゲスト参加を果たした “Middle Of The Road” は、Eric に宿るロック、ファンク、ソウル、R&B、ヒップホップの灯火が、信じがたいほどオーガニックに溶け合った傑作となったのです。それは2010年代に開かれらたブルースやジャズのニューチャプターを探る旅とも密接にリンクしていました。
「俺がプレイしているのは全て、自身が経験した広大な感情だ。これまで克服し、貫いてきた下らないことのね。」

3: ICHIKA “FORN” (2017)

ゲスの極み乙女や indigo La End の頭領、百戦錬磨の川谷絵音との邂逅、遠き日本に住まいながら世界の名だたる音楽家から放たれる熱き視線、東京コレクションからNAMMを股にかけるしなやかさ、そして SNS を基盤とする莫大な拡散力。光耀を増した夢幻のクリスタル、琴線の造形師 ichika の有り様は2010年代を象徴し、現代に生きるアーティストの理想像といえるのかも知れませんね。
ただし、ichika は他の “インスタギタリスト” と異なりしっかりと作品というストーリーを残しています。
「僕は普段曲を作る前にまず物語を作り、それを音楽で書き換えようとしています。聴き手に音楽をストーリーとして追体験させることで、より複雑な感情に誘導することが出来るのではないかなと思っているからです。」という ichika の言葉は彼の作品やセンスを理解する上で重要なヒント。
つまり、映画や小説が基本的には同じ場面を描かず展開を積み重ねてイマジネーションを掻き立てるのと同様に、ichika の楽曲も次々と新たな展開を繰り広げるストーリーテリングの要素を多分に備えているのです。小説のページを捲るのにも似て、リスナーは当然その目眩く世界へと惹き込まれて行くはずです。それはきっと、30秒の魔法しか奏でられないSNSの音楽家にとって、左手と同様進化した右手の奇跡よりも羨ましい光景に違いありません。

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4: DAVID MAXIM MICIC “BILO 3.0” (2013)

「セルビアは言うならば西洋と東洋の文化がぶつかる場所なんだ。僕はそこで育ったから両方の世界から多大な影響を受けているね。だから確実に僕の音楽からその要素が聴こえるはずだよ。」
セルビアというギターにとって未知の場所、第三世界から颯爽と登場した DMM の躍進は、2010年代に撤去された境界の証でした。もちろん、テクノロジーの進化によって、DIY の音楽家が陽の目を見るようになったことも併せて時代は進んでいます。
「僕はまずコンポーザーなんだよね。だから違うサウンドを探索したりや違う楽器で実験するのが好きなんだ。」
Per Nilsson, Jakub Zytecki, Jeff Loomis といったマエストロが参加した “Bilo 3.0” において彼らは自分よりもギターにのめり込んでいると断言した David。もちろん、Jeff Beck と Steve Lukather を敬愛する David のソロワークは充分にフラッシーで魅力的ですが、しかしテクニック以上に彼の創造するギターミュージックは、繊細で想像力を喚起するカラフルな絵巻物です。何よりそこには純粋な音楽との対峙が存在します。
「”Bilo”では音楽が音楽を書いているんだ。一切のエゴに邪魔される事なく純粋に音楽自体を楽しむ機会を得ているんだよね。決して誰かを感動させようなんて思わないし、何でもいいけどこれは世界に発信しなきゃって感じたことを発信する僕流の方法なんだ。世界は聴いてくれている。幸せだよ。」

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5: ALTER BRIDGE “FORTRESS” (2013)

Mark Tremonti のソングライターとしての売り上げは、現代ヘヴィーミュージックにおいて比類のないものです。キャプテン “Riff” と称される偉大なギタリストは、ALTER BRIDGE と CREED の足し算で実に5,000万枚以上のレコードを売り上げているのですから。
ただし、Paul Read Smith SE シグネチャーモデルと MT 15アンプでアンセムを生み出し続けるロックスターのシュレッダーとしての一面は過小評価されているのかも知れませんね。
実際、Mark の奏でる起承転結、過去の巨人たちを赤き血肉としたソロワークの鮮烈は、Slash や Zakk Wylde にも引けを取らないスペクタクルを提供してくれます。メロディーの煌めきとシュレッドの焔がエピックの中で溶け合う “Cry of Achilles” は、アコースティックからボトルネックまで駆使した10年代最高のギターマジックでしょう。
大盛況のギタークリニックを開催する身でありながら、何より Mark は今でも学ぶことを恐れていません。弊誌のインタビューにおいても、チキンピッキングの習得に関し、「僕はただ、ギターソロ1つ1つを異なるものにしたいだけなんだ。独自のストーリーを語らせたいね。もし、前作から最新作までの間に新しいトリック(技)を習得したとしたら、僕はいつもそれらを出来るだけ多く新しいアルバムに投影しようとしているんだよ。」と語ってくれていました。
「僕はいつもギターを弾く前に作詞や作曲をしている。だけどギターを弾くことが大好きなんだ。新たな技術やスタイルに取り組む喜びは決して色褪せないよ。だってそれを自分のものにした時は、まるで魔法のような気分になるんだから。」
誰よりもギターを愛するロックスターは、世界からギターヒーローが失われる悲劇を防ごうとしています。何よりギターに出会って、サッカーに熱中していた Mark 少年自身人生が変わったのですから。
「大学に入って本当にギターにのめり込んだんだ。料理をしていたって、洗濯をしていたって、ロクな1日じゃなくても、いつもリビングでギターが弾きたいって考えていたんだから。」

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6: PLINI “HANDMADE CITIES” (2016)

「君たちの大半は Plini を知っていると思うけど、彼の新作 “Handmade Cities” は最高の、先進的な、メロディー、リズム、ハーモニーを深く進化させたインストゥルメンタルレコードなんだ。僕はこんな作品を待っていたし、驚異的な音楽体験を君たちにもぜひオススメするよ。」
ギターゴッド Steve Vai からギターミュージックの未来とまで言わしめた Plini は、プログレッシブの新たな桃源郷オーストラリアから世界に飛び出した逸材です。
ヘッドレスのストランドバーグを代名詞に複雑と爽快、ポリリズムとハーモニーを股にかける新進気鋭のテクニコアラは、意外なことにシンプルなソングライティングを心がけていると語ります。
「作曲は、まず可能な限りシンプルなやり方から始めるんだ。複雑さを取り払い、メロディーの基礎に立ち返ってね。だから最初は、子守唄みたいな感じなんだよ。」
その場所からシンコペーションやハーモニゼーションの塩胡椒で立体感を醸し出すのが Plini 流。
「モダンプログレッシブミュージックにおいて僕が最も不可欠だと思っているのは、リズムの中で起こっていることなんだ。」
モダンプログレッシブの世界は決して難解すぎるコードワークやリズムから成り立っているわけではないと Plini は証言します。ほんの一握りのテンションノートとシンコペーションが驚くほどに世界をコンテンポラリーに変化させのだと。
「ギタリストの多くは複雑な音楽をプレイするには、新しい魔法のコード進行が必要だと考える。基本の外にあるものを学ばなきゃってね。だけど、僕にモダンプログレッシブな音楽を興味深く感じさせるのは、感情的な豊かさなんだ。それはつまり、そのミュージシャンのバックグラウンドを音を通して読み解けるってことなんだと思う。」
カンポジアまでボランティアに赴き、恵まれない子供達のために楽曲を書き、売上を全て寄付する心優しいギターヒーローでもあります。

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7: VULFPECK “MR. FINISH LINE” (2017)

ブラックミュージックのリノベーションが進行した2010年代において、マルチプレイヤー Jack Strutton とベーシスト Joe Dart を中心とした VULFPECK の冒険はあまりにスリリングでした。
Spotify の薄利を逆手にとって、無音のアルバム “Sleepify” をファンにエンドレスで再生してもらい、ツアーの資金200万円を捻出してしまった破天荒なバンドは、世界にミニマルファンクの言の葉を浸透させた張本人。グルーヴを追求したインストから、PRINCE, Stevie Wonder の捻くれたポップファンクに純粋な R&B とその黒はグラデーションを拡げています。
中でも、Flea や TOWER OF POWER の Rocco、EARTH WIND & FIRE の Verdine をフェイバリットに挙げる Joe は今世界で最も注目を集めるファンカデリックベースヒーローです。Joe が語るように、そろそろ音楽はジャムセッションの時代に回帰するべきなのかも知れません。
「僕らは集まって5分か10分アイデアを交わすと、すぐレコーディングボタンを押すんだ。意図的にギリギリの状態で、瞬間を切り取るようにしている。デモを送りあったり、作曲に何ヶ月もかけたりはしないんだ。インプロビゼーションこそ VULFPECK の全てなんだから。」

8: GREG HOWE “WHEELHOUSE” (2017)

ファンクロックとジャズフュージョンを前人未到のテクニックで調合し、インテンスに満ちたギターインストの雛形を作り上げた巨人は、Richie Kotzen との共演が再度実現した “Wheelhouse” でダイナミックなルーツへと回帰します。
Richie との双頭レコード “Tilt” で世界中のギターマニアの心と左手をボロボロに折り、Vitalij Kuprij とのクラシカルな旅路 “High Definition”、Victor Wooten, Dennis Chambers との奇跡 “Extraction” で異世界を堪能したレガートの王様は、長い道のりを経て “正直さ” を求めるようになったと語ります。
「”Introspection” のトーンを高めたようなサウンドだね。だけどあの当時は、シングルコイルの “Start” みたいなトーンにハマっていたから表現法は異なるね。より正直な方向でやりたかったんだ。とても自然で正直なレコードだよ。ワンテイクのものだって沢山ある。”Tilt” みたいなレコードは消化すべきギターがありすぎたんだ。だって変だろ?僕はギタープレイヤーである前にアーティストだ。ミュージシャンであることが先なんだよ。ギターよりも音楽が僕のモチベーションなんだ。」
今回のコラボレーションで Richie は歌で Greg とより深く重なりました。今 Greg Howe が奏でるフューチャーファンクはリアルです。

9: CHON “HOMEY” (2017)

メタル、フュージョン、マスロック、チルウェーブと全方位から熱い視線を注がれる CHON の多様な創造性はまさに越境拡散する10年代のイメージと重なります。実際、バンドの “ホーミー” である南カリフォルニアの太陽、空気、夏の匂いを一身に浴び、望外なまでにチルアウトした “Homey” は、ジャンルに海風という新風を吹き込んでいます。
ソフトでカラフルなコードワーク、デリケートでピクチャレスクなリードプレイ、ダイナミックに研ぎ澄まされたバンドサウンド。高度な知性と屈託のない無邪気さが同居する、オーガニックかつテクニカルなその世界観はまさしく唯一無二。その鋭敏な感性が掴まえたエレクトロニカ、アンビエント、ハウスなど所謂チル系のトレンドを大胆に咀嚼し、トロピカルで新鮮なムードとテクニカルなマスロックを共存させることに成功していますね。
「ジャズピアニストからとても影響されている。CHON には2人のギタリストが存在するけど、1人は左手、1人は右手としてピアノを再現するイメージもあるんだよ。」
勿論、Thundercat や、FLYING LOTUS がフェイバリットに挙がっている事実を知るまでもなく、ここで彼らが、Jazz の領域を拡大する Robert Glasper と “Jazz The New Chapter” のフロンティア精神を意識したことは明らかです。
「自分たちが気に入るサウンドの楽曲を書き続けて、叶うならファンも僕たちの音楽を好きになり続けてくれることだね。その過程で、さらに新たなファンも開拓出来たら良いな。」

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10: YVETTE YOUNG “ACOUSTIC EP” (2014)

新たにギターを始める人の半分が女性。そんな変化の時代に、多くの女性アーティストに勇気を与えたマスロッククイーンこそ Yvette Young。精神面と技術面、両方において彼女がモダンギター世界に与えた影響の大きさは計り知れないものがあります。
「私には一つのスタイルに拘らず、フレキシブルでいることが重要なんだもの。そうすることで、沢山のことや解釈を他人から学べるし、スキルや多様性、そして自信を構築する大きなチャレンジだと見なしているのよ!」
4歳からピアノを始め、7歳でヴァイオリンを学んだという彼女の深遠なる七色のギフトは、決してただ一所に留まってはいません。マスロックに端を発し、ポストロックやプログレッシブまで豊かに吸収した彼女の音の葉は、流麗なテクニックと相乗効果で大空へと舞い上がります。
「私はギターのレイアウト、フレットや弦をピアノの鍵盤に見立てているのよ。低音弦はピアノの”左手”。高音弦は “右手”。その二つをブレンドすることで、ポリフォニー(複数の独立した旋律から成る音楽)を完璧なサウンドで奏でることが出来るのよ。この考え方はとても楽しいと思うわ。
それにピアノは間違いなく指の強さも鍛えてくれたわね。だから”ストロングタッパー”になれたのよ。」

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11: PERIPHERY “PERYPHERY” (2010)

Misha Mansoor, Mark Holcomb, Jake Bowen。三者三様にして、時代を代表するギタープレイヤー3人が集結した PERIPHERY がシーンを牽引し、成功を手繰り寄せたのは間違いなく必然でした。
中でも、ギタリスト、ソングライター、プロデューサー、プログラマー、ギアヘッド全ての役割をこなす Misha Mansoor の存在は、モダンプログレッシブメタルの概念とサウンドを制定したと言っても過言ではないでしょう。
テクニカルでヘヴィー、ポリリズミックでプログレッシブ、しかし時にポップでアンビエント。多弦ギターとアンプシュミレーターの可能性を押し広げながら、PERIPHERY は 2010年代初頭、Djent の名の下に多数のフォロワーを生み出しました。
ストリーミング配信が主流となり、音源が充分な収入を生まなくなった10年代で先見性を発揮したのも Misha でした。
「他のメタルバンドとは考え方が違う。彼らはバンドがお金を産まなくなった事実に対し、前向きな変化が勝手に起こる事を期待している。僕はメンバーにこのバンドでは稼げないと断言している。そして機材の知識やプロデュース業で収入を確保したんだ。」
Mishaが提唱した “収入源の多様化” を見事に実現するのが YouTuber としての地位も築き上げた THE HAUNTED の Ola Englund です。弊誌のインタビューに 「生き残りたいならスマートになるべきさ。ただし、成功に簡単な方法があると考えるのは間違いだよ。そんなものはない。」 と語ってくれました。なるほど、生存術は必死で模索するべきでしょう。

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12: TEDESCHI TRUCKS BAND “MADE UP MIND” (2013)

Trey Anastasio は Derek Trucks を「現在、地球上で最高のギタープレーヤー」と賞賛します。実際、Derek は比類なきパフォーマーで、奔放なインプロバイザーで、スライドギターを声のように扱うエモーションの権現です。ブルースはもちろん Derek の心臓ですが、ジャズ、ソウル、ファンク、ラテン、インドの伝統音楽まで、そのオーガニックな音彩のスタイルは広範囲に及びます。
「リスナーは、ただ我が道を行き、人生を芸術に捧げ、ひたすら偉大な音楽を追求するギタリストを聴きたいと思っている。」
1999年から2014年まで在籍した伝説 THE ALLMAN BROTHERS BAND は確かに Derek の名声とジャムセッションの本能を世界に広めましたが、妻 Susan Tedeschi と立ち上げた TEDESCHI TRUCKS BAND こそが Derek の言葉を裏付けるライフワークでしょう。
「いいかい? Elvin Jones は演奏やソロを行う時、必ずストーリーを伝えろと言ったんだ。つまり偉大なミュージシャンからは息遣いが聞こえるんだ。なぜなら彼らには伝えたいことがあるからなんだよ。それこそがエモーションさ。練習でクールだと思ったリックを掻き集めれば良いって訳じゃない。何かを表現しなきゃならないんだよ。」
“Signs” で伝えたかった感情は深い悲しみでした。2017年の最初の数ヶ月で、Derek は叔父であり THE ALLMAN BROTHERS BAND 創始者の1人 Butch Trucks、さらには Bruce Hampton、そして Gregg Allman まで失ってしまったのですから。
「だけど Gregg や Butch なんて20代で Duane や Berry を失ったんだから。そして不可能な状況でも前に進んだんだ。だから僕たちもそうするさ。穴を埋めるのは無理でも、自分のやり方で彼らから学んだことを活かすことなら出来るからね。」

13: DREAM THEATER “DREAM THEATER” (2013)

“Images & Words” のリリースから20年間、John Petrucci は最も有名かつ人気のあるプログメタルギタリストでした。そしてこの10年、マエストロは衰えを見せるどころか自らをさらに更新してその立ち位置を揺るぎのないものとしています。
依然として、John はギター世界において最も多才で熟練したトッププレーヤーの1人。主催する”Guitar Universe” のキャンプに Jason Richardson, Tosin Abasi, Guthrie Govan といった偉大な “門下生” たちが集結する事実こそその証明でしょう。左手に住まう研ぎ澄まされたメロディー感覚に加えて、比類なきスピードと精度を誇るオルタネイトアスリートを右手に宿した感情のギターサイボーグこそ彼の正体。
同時にギアの先駆者でもあり続け、アンプ、ピックアップ、ペダル、アクセサリーを進化させ、ミュージックマンの代名詞として君臨しています。
「僕は未だにギターの学生なんだ。まだまだ学びたいことは山ほどあるし、だから新鮮さを保てるとも言えるだろうな。」
謙虚に学び続ける姿勢こそが John を “ギターゴッド” の高みへ誘いました。ただし本人はその呼び名を好んではいません。
「ギターゴッドなんて全然しっくりこないし、尊大に聞こえるじゃないか。まあ僕も子供の頃は Alex Lifeson をそう呼んでいたから分かるんだけどね。だけど自分をそうだとは思わないよ。」
それにしても、30年前とは随分と容姿が変わりました。
「フィットネスはとても重要だし、ウエイトトレイニングは僕の人生の大部分を占めているよ。週に5,6回は必ずジムに足を運ぶようにしているんだ。ツアー中でも可能な限りね。」

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14: ARCH ECHO “ARCH ECHO” (2017)

あの Steve Vai をして最も先進的なギタープレイヤーの一人と言わしめた Plini の出現を境として、”Fu-djent” の華麗な波が存在感を増しています。Djent のグルーヴを受け継ぎながら、より明確なメロディーとハーモニーを軸に据え、フュージョンの複雑性とキラキラ感をコーティングしたカラフルなイヤーキャンディーとでも言語化すべきでしょうか。隠し味は、音の隅から隅へと込められた類まれなるメジャー感なのかも知れませんね。
INTERVALS, OWANE, Jakub Zytecki, Sithu Aye, Stephen Taranto といったアーティストが “Fu-djent” の魅力を追求する中でも、あのバークリー音楽院から登場した ARCH ECHO の風格とオーラはデビュー作から群を抜いていたようにも思えます。
違いを生んだのは、彼らがより “バンド” だった点でしょうか。名だたるプレイヤーを起用しながら確固とした主役が存在する他のアーティストと比較して、ARCH ECHO はダブルギター、キーボード、ベース、ドラムス全員が主役でした。故に、プログからの DIRTY LOOPS への返答とも称されたコレクティブでファンキー、ウルトラキャッチーな “Hip Dipper” が誕生し得たのでしょう。
「僕たちはバンドを楽しんでやっているし、シリアスに物事を捉え過ぎてはいないんだよ。」

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15: JASON RICHARDSON “I” (2016)

若干20代にして、Jason の履歴書はすでに驚くほど充実しています。バークリー入学を蹴って ALL SHALL PERISH でツアーを経験し、BORN OF OSIRIS, CHELSEA GRIN では名作のキーパーソンとなり、さらには亡き Oli の後任として ALL THAT REMAINS に加入。最先端の10指が紡ぐ印象的でコズミックなフレーズの数々は、まさに Djent/デスコアミュニティーの発展に欠かすことの出来ないフラッグシップであると言えますね。
粒立ち群を抜いているピッキングの驚異的な正確性、選択する音や音符の意外性、タッピングとオルタネイト、スイープを巧みに使い分けるアルペジオの豊かなバリエーション、そしてストーリーを持った構成美。ソロワークに目を移せば、すでに Jason が世界のトップであると誰もが確信するはずです。メカニカルなシュレッダーのイメージが強いかも知れませんが、”Omni” 中間部の静謐なパートで炸裂するベンド、ビブラートのエモーションは実に扇情的で崇高とさえ表現したくなりますね。
「7弦ギターを使っているのは DREAM THEATER が大好きからだ。彼らは偉大だ。全く素晴らしいよ!僕は彼らの音楽の全ての瞬間を覚えているくらいなんだ。」

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16: GILAD HEKSELMAN “HOMES” (2015)

新たな章を開けたニューヨークジャズシーンにおいて、イスラエル出身アーティストの活躍は10年代ビッグトピックの一つでしょう。Avishai Cohen, Oz Noy, Omer Avitar。中でも、ギタリスト Gilad Hekselman の台頭は台風の目となりました。
中東音楽をその身に宿し、ロックやポップ、南米音楽を好んで聴いていたイスラエルの少年が、拡散するジャズ世界の象徴となったのはある種の必然でした。オリエンタルロマンチックなその音の葉は、確かに自らの出自が関係しているようです。
「イスラエルの人間は、伝統をとても重んじ真摯に捉えているんだ。だからこの国のミュージシャンは、子供のころに聴いた音楽や自らのルーツを表現しようとするのさ。」
そうして、魅惑的なジャズの新章を “グローバルビレッジ” と呼称するのです。
「テクノロジーのおかげで、誰でも、どこにいても、すぐにレコーディングが行えるようになったからね。そして YouTube を介して音源を無料でチェックすることも出来る。だから、住む地域によって音楽が限定なんてされない時代になったんだよ。美しい事だと思う。」

17: JOE BONAMASSA “REDEMPTION” (2018)

21世紀において、Joe Bonamassa がブルースという伝統芸能の存続に最も責任を有するギタリストであることは、議論の余地もないでしょう。しかし、同時にブルースの伝統に、無尽蔵の速さやインテンスを織り込む境界の破壊者という一面も Joe が数多のギタリストから尊敬を受ける理由でもあるのです。もちろん、Eric Clapton, Peter Green, Jeff Beck, Jimmy Page, Paul Kossoff, Gary Moore, Rory Gallagher といったブリティッシュロックの熱き血潮も脈々と受け継ぎながら。
「ああしろ、こうしろ、なんて言われるのは好きじゃない。信じるのは自分の弦だけさ。作品を作るのだって、自分のアーティスティックなレベルを押し拡げるためさ。もっと自分とリスナーのために、チャレンジ出来るんしゃないかといつも自問自答しているよ。」
コンテンポラリーなブルースロックからジャズフュージョン、カントリー、ファンクにハードロックを股にかけ挑戦を続けるキングビー。では全てのベースであるブルースについてはどう思っているのでしょうか?
「それなりに良いブルースを弾くのは簡単なんだ。だけど偉大なブルースを弾くのはとても難しいよ。とてもね。」

18: KURT ROSENWINKEL “CAIPI” (2017)

「僕が一番大切にしているのは、やはりジャズであり、自分の音楽だ。でも僕の内側から聴こえてくるものがロック・ソングやソウル・ナンバーであれば、僕はそれに従わなければないけない。創造の源はコントロールできないからね。」
コンテンポラリージャズギターの唱導者、プロフェッサー。Kurt Rosenwinkel は偉大なジャズマスターでありながら、その領域のみに留まらず自らのインスピレーションに従い、豊潤な音楽の旅を続けています。
「Robert Glasper がやっていることは気に入っているよ。彼のバンドはクールだし、僕は hip-hop や Rap も大好きだからね。Q-tip と仕事をしている時に彼のバンド全員とプレイしたよ。だから強いリスペクトと共感が存在するね。
僕の音楽もやはり Jazz を根幹としていて、他の要素との距離の取り方が Robert のそれと似ているように思えるね。僕の場合は Rock, hip-hop, Electronica, そしてブラジル音楽からの影響だけどね。」
”アルゼンチン音響派” に次ぐ新たなムーブメント”ミナス新世代”の奔放で多元的、モダンでカラフルなエナジーへの接近も “Caipa” の重要なトピックでした。

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19: INTERVALS “THE SHAPE OF COLOUR” (2015)

「僕は芸術ならば同じことの繰り返しではなく、新しいことに挑戦していかなければならないと心から信じているんだ。だからどの作品でも常に新しいことをやるようにしているんだよ。結局、要するに、これこそが”プログレッシブ”な音楽ってことじゃない?」
プレイスルー動画からシーンに登壇し、PERIPHERY, MONUMENTS, DESTINY POTATO などと人脈を共有しながらモダンギターを牽引する存在へと上り詰めたカナダのライジングスター Aaron Marshall。
「INTERVALS は何を置いてもまず、インストゥルメンタルミュージックで形成されているんだ。」
“A Voice Within” という傑出したボーカルアルバムをリリースした後、それでも Aaron のプロジェクトはインストゥルメンタルへと回帰しました。ただし、以前と比べて Djent の要素は薄れ、”Mathy&Catchy” なリフがアルバムを支配しています。比較するなら CHON, POLYPHIA, PLINI といったバンドに近づいたと言えるかも知れませんね。サックスまで乱舞するその音の葉は、タイトル “The Shape of Colour” のイメージを鮮やかに体現しています。

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20: JYOCHO “祈りでは届かない距離” (2016)

「鮮度ってとっても大事だと感じています。それが自分が完成形の楽曲ストックを基本的にしない理由の一つです。“瞬間” という言葉が出ましたが、まさしくそれは大事にしているテーマです。JYOCHOでは、その “瞬間” を落とし込んだり、”瞬間の積みかさね” を表現する挑戦をしています。」
Math-Rock という東洋が主たる発信地の魅力的で、しかし曖昧なジャンルにおいて、宇宙コンビニが果たした役割は非常に大きなものでした。短いキャリアで閃光のように強い輝きを放ったバンドは、時に幾何学的、時に有機的な美しきサウンドスケープに、日本らしいポピュラーミュージックの色合いを添え、ジャンルの曖昧さを逆手に取って Math-Rock の可能性を証明し、世界中から大きな賞賛を浴びたのです。
バンドの解散から一年半。リーダーでギタリストのだいじろー氏が JYOCHO というプロジェクト名でリリースしたデビュー作 “祈りでは届かない距離” は、さらに研ぎ澄まされたそのポップセンス、多様でカラフルな音楽性、高いミュージシャンシップを滑らかに溶け合わせ、今度は自身の可能性を証明したレコードとなりました。
JYOCHO とはすなはち”情緒”。インタビューにもあるように、日本らしい四季のような感情の変化を世界に伝えたいという想いで名付けられた JYOCHO はまさにこのカラフルなレコードを体現しています。

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21: POLYPHIA “NEW LEVELS, NEW DEVILS” (2018)

「音楽そのものにもっと焦点を合わせ、ギターを音楽を作るためのツールとして使用するべきだと思うよ。ギターインストの大部分はそんなに良くないからね。緩やかな死を与えるべきなのかもしれない。」
10年代のギターインスト世界を牽引した POLYPHIA の Tim は、ただギターを生かし続けたいと願っています。
「僕は多くのヒップホッププロデューサーと仕事をしているし、ビッグなバンドのためにも楽曲を書いてきた。メインストリームの中でも、クールなギターパートをたくさん取り入れている人たちは存在するからね。だから最終的にラジオをつければ、ヒップホップの曲だろうが何であろうご、またギターを聴くことができるようになればと思っているんだよ。」
つまり、かつて栄光を極めたギターインストが、そのままの形で生き残ることは不可能だと Tim は感じているのです。
「80年代にスーパークールだったものを、今の時代にそのまま再現したってクールな訳ないよ。だって時代が違うから。異文化をまるごと移し替えるのは不可能で、必ず何かが失われてしまう。僕たちのやり方なら、ギターの未来は再びクールになるはずさ。」

22: TTNG “DISAPPOINTMENT ISLAND” (2016)

「確かに僕たちの音楽は、複雑とかテクニカルとか形容される、チャレンジングな音楽に分類されて来たね。だけど意識してそうしている訳ではないんだよ。」
マスロック/エモの奇才、英国が誇る TTNG。静と動の対比、遂にダイナミズムを極めたように思える “Disappointment Island”。“Empty Palms” は現在の TTNG を象徴するような楽曲です。シルクのように繊細な Henry Termain の美声が紡ぐメロディーは静寂と喧騒を司り、キャッチーかつ非常に雄弁。加えて、見事なサウンドスケープを創出する楽曲のアトモスフィアは、彼らの興味がポストロック方面に振れていることを顕にしています。
RUSSIAN CIRCLES, PELICAN でお馴染みの、Greg Norman によってレコーディングが行われた事実、さらに The World Is A Beautiful Place & I Am No Longer Afraid To Die とツアーを行ったことから鑑みて、TTNG がこういった手法を全面に押し出すことはもはや驚きではないでしょう。
「僕たちの国はEUを離れようとしていて、大きく強い(僕の考えだけど)コミュニティーから離れたいように思えるね。僕たちのバンドは全員が間違いなく、そういう理由で僕たちの島に失望しているんだ(Disappointment Island とは失望の島という意味)。」

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23: DISPERSE “FOREWORD” (2017)

「しばらく前から、メタルは僕にとって、ダイナミズムや表現力の面で少々平坦に思えていたんだ。」
ポーランドに舞い降りたモダンギターヒーロー Jakub Zytecki。”Foreword” は彼の変化の兆しを見せつけたレコードでした。この作品には獰猛なグロウルも、チャグチャグとした定常的なギターリフも存在しません。貫かれるのはプログレッシブポップとも描写可能なノスタルジックで情味のある、しかし同時に創造的なモダニズムが溢れる崇高な世界観。“Tether” は、「TYCHO にはいつも心酔している」 と語る Jakub の多極化する好奇心が浮き彫りとなった楽曲かも知れませんね。エゴとは無縁の緻密でミニマルな設計図に、穏やかなエレクトロニカサウンドを乗せたドリーミーな極上のポップチューンを聴けば、確かに TYCHO の持つ瑞々しいセンスが宿っていることに気づくでしょう。
「誤解しないで欲しいんだけど、僕は今でも野心的なギタープレイを愛しているよ。練習も好きだし。ただ、このアルバムは何か他のものなんだと思う。前述のムードを創造することにフォーカスしたんだよ。」

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24: TONY MACALPINE “CONCRETE GARDENS” (2015)

「インストゥルメンタルミュージックは人間の精神世界への道であり、僕たち全員を結びつけるものなんだよ。」
Tony が癌を患っている事実を公表したのは、2015年8月のことでした。ショッキングなニュースは即座にギター、メタルコミュニティーを駆け巡り、世界中のファンが彼の身を案じたのです。
祈りと支援の輪は当然ミュージシャンにも広がりました。2015年の12月に開かれた Tony のベネフィットコンサートには、Steve Vai, Zakk Wylde, John 5, Mike Portnoy, Billy Sheehan, Derek Sherinian といったレジェンドが集結。さらに Steve Stevens, Paul Gilbert, Steve Lukather, Joe Satriani 等のビッグネームも Tony のために自身のギターをドネートしたのです。挑戦を続け難病を克服したピアノとギターのマエストロは、音楽的にも、人間的にも、それほどまで音楽世界から愛されていたのです。
「PLANET X の早い段階から私は多弦ギターを導入していたし、私の音楽にどのように使用するかとてもワクワクしたんだ。スタジオで異なった弦数のギターを重ねる事は、様々なアンプを使う事と同じぐらい重要だ。
サウンドとテクスチャーは常に私自身の音楽や創造性に基づいているよ。何年もピアノを学んで、リスト、ショパン、シューベルトといった偉大な作品を演奏してきた成果だという事は言っておきたいね。それらは私の音楽の旅において本物のインスピレーションを与えてくれたし、そういったモダンな楽器は単に私のクリエイティブさを広げるために使用しているにすぎないんだ。」

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25: THE ARISTOCRATS “TRES CABALLEROS” (2015)

「THE ARISTOCRATS のようなバンドは、全てのマテリアルをライブで再現出来るということが重要なんだ。豪華なオーバーダブなしでね。ライブでレコーディングされたマテリアルを流して加えるなんてことに興味はないんだよ。ピュアなトリオという形で演奏してしっくりくるようなサウンドを求めているんだ。そうすればツアーで、フレキシブルに毎晩違った風に演奏することができるからね。」
Guthrie Govan, Bryan Beller, Marco Minnemann。まさに三者三様の経歴を持つインスト三銃士が集結した THE ARISTOCRATS は、ミュージシャンシップの民主主義でカントリーやメキシカン、オールドロックンロールからサーフ、ジャズや変拍子にフランク・ザッパとカラフルな音の葉全てをカルチャークラッシュさせていきました。
21世紀で最高のギタープレイヤーの一人、Guthrie Govan はこのインストライアングルから生まれる偶然性の美学を愛しています。
「これは3人が全員思っているに違いないんだけど、僕たちは以前やったことを単純に繰り返すよりも進化し続けたいんだよ。つまり全てのアルバムが真っ白なキャンバスから始まっているんだ。レコーディングを終えるまでどんなアルバムになるか全く分からないんだよ!」

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26: SITHU AYE “SENPAI EP” (2015)

スコットランドから彗星の如く現れた才能溢れるモダンプログギタリスト SITHU AYE。インターネットの普及により誰もが音楽を発信出来るようになった現代の音楽シーン。彼はまさにそういったDIYミュージシャンの代表格的な存在でしょう。
BULB (MISHA MANSOOR) や Ben Sharp は勿論その分野のパイオニアです。ただ、兄貴感の強い彼にインスパイアされて音楽を発信し始めたアーティストも多いのではないでしょうか?
「作曲もギターもレコーディングもプログラミングもプロデュースもやろうと思えば一人で出来るんだ。」彼がモダンプログ/ギタリスト界隈に与えた影響は決して少なくありません。
そんな偉大な男 SITHU AYE の”SENPAI EP”。アートワークからコンセプトまでどう見ても”OTAKU”!!そう、彼は偉大な”オタク”だったのです。
「EP全体の目的がアニメのテーマソングの感覚やヴァイブを捉えることだったんだからね。みんなには “OH SHIT, I’M LATE FOR SCHOOL!” を聴きながら MEGUMI がパンを一切れ咥えて学校へ走る場面を想像して欲しいな。勿論、アニメ中に使われる音楽も楽しくてキャッチーだから、そういった雰囲気も取り入れたかったんだよ!」
初期の SITHU の作品はより “DJENTY” な音作りやプログメタルの複雑さを強く内包していましたが、作品を重ねるに連れてどんどんメロディー重視の方向性にシフトしています。PLINI と波長が合い2人でEP”I”をリリースしたのも納得ですが、彼の中でそういったアニメのテーマソングのような強烈なキャッチーさに憧れる気持ちが膨らんで、遂に爆発したのかも知れませんね。

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27: BETWEEN THE BURIED AND ME “THE PARALLAX Ⅱ: FUTURE SEQUENCE” (2012)

2002年に BETWEEN THE BURIED AND ME がデビュー作を放って以来、リスナーは彼らのウルトラテクニカルな側面を一際待ち望んで来ました。”Colours” はリフワークとソロイズムの境を取り払った金字塔。
“Goodbye to Everything”。宇宙で全てに別れを告げる、バンド史上最も結束のとれたエピックで、バンドはファンの期待や重圧にも別れを告げたのかも知れませんね。この場所で培われたオーガニックでエモーショナルなプログ絵巻は、後に Tommy が 「新しいサウンドだなんて言いたくはないんだけど、新作はあまりヘヴィーじゃないし時に奇妙な感じだ。成長したというのかな。ALASKA から COLORS の時くらい大きくスタイリスティックな変化だよ。」と語る “Coma Ecliptic” へと引き継がれていくのです。

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28: STEVE VAI “THE STORY OF LIGHT” (2012)

「混沌とした宇宙でアートを創造するのはエゴでオナニーだと思っていたんですが、最近は人という種にとってアートは真の価値だと思い始めたんです。」
愛弟子 Devin Townsend の言葉に Steve Vai は答えます。
「皆がその素晴らしさを知っているアーティストがエゴイスティックにアートを作れば、不誠実に聴こえてしまうかも知れないね。だけど真のアーティストならそうするしかないんだよ。Devin、君もそうだし、Frank Zappa もそうだった。」
もちろん、Steve Vai その人も当然真のアーティストでしょう。オーケストラや Jacob Collier との共演、Generation Axe と依然挑戦を恐れないフロントランナー。ではギター世界に革命をもたらした偉人は、ギターの未来をどう捉えているのでしょう。
「ギターは明らかにクールな楽器だよ。ギターは死んだなんて言われているけど、物事には満ち引きがあるからね。テクノロジーの進化で、若いプレイヤーは様々なことに気を配らなければならなくなった。それでも必ずまた、ギターを別のレベルに引き上げる偶発者が現れる。現在、アンダーグラウンドなシュレッドカルチャー全体が途方もない方法で演奏しているんだ。そしてその希少な個人が、新鮮な視点、音、構造、外観の完璧な融合を手に入れる時、きっとまた革命が起こるよ。」

29: ERIC JOHNSON “COLLAGE” (2017)

「最近はよりダイレクトに音楽を創造するようになってきたね。」
7色の音を紡ぎ出すギター完璧主義者は、それでも時を経て少し肩の力を抜いてギターと向き合うようになったのかも知れませんね。ギターインストの金字塔、”Cliffs of Dover” を収録したマイルストーン “Ah Via Musicom” から30年。アニバーサリーツアーも行ったあの名盤で Eric は死ぬほど自分を追い詰めたと語ります。
「あの作品がたぶん、僕のアルバムの中ではみんなのフェイバリットレコードだろう。だけど、制作中は自分を殺しかけたんだ。一音一音、全てをパンチインして、全てのリフがチューニングやタイミングが完璧になるまで些細な部分も見逃さなかったからね。不思議なことにそんな風には聴こえないんだけど、あれは最高にツギハギだらけのレコードなんだから。」

30: FREAK KITCHEN “COOKING WITH PAGANS” (2014)

「エフェクトを多用する事は君の本当のサウンド、本当の君らしさから君を遠ざけてしまうと思う(自分でエフェクトを構築してないなら尚更ね)。ギター自体の良さを消してしまうから君と楽器とアンプの間に豪華なペダルボードは必要ないと思うよ。あくまで僕の考えだけどね。」
急速に拡大を続ける “ギターナード” の世界。真のギターフリークの間で、最もイノベーティブかつ画期的なプレイヤーとして崇拝を浴び続ける “Freak of the Freak” Mattias IA Eklundh。
水道のホースクリップ、テレビのリモコン、櫛、大人のディルドーにラジカセアンプ。目につくもの全てを “ギミック” としてギタープレイに活用し、レフトハンドのハーモニクスから両手タッピング、ミステリアスなスケールにポリリズムの迷宮まで自在に操るマエストロのアイデアは決して尽きることがありません。
同時に、弦は錆び付いても切れるまで交換せず、スウェーデンの自然とジャーマンシェパードを溺愛し、音楽産業の利益追求主義を嫌悪する独特の思想と哲学は Mattias の孤高を一層後押ししているのです。
「僕は今でも今日のシュレッダー達に欠けている何か・・・正しい態度とでも呼べる何かを聴くためにしばしば古い Django Reinhrdt のレコードをかけるんだ。ただギターの世界をひっくり返すような誰かが現れると信じてもいるんだ。ギターというとてもグルーヴィーで力強い楽器の未来のためにもそう望んでいるよ。」

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31: MESHUGGAH “THE VIOLENT SLEEP OF REASON” (2017)

MESHUGGAH はモダンメタル、エクストリームミュージックの帝王でありパイオニアです。Djent は勿論、Jazz/Fusion を取り入れた Instru-metal, より数学的な要素にフォーカスした Mathcore などそのポリリズミックでローチューンドなヘヴィーサウンドとギタリスムが後続に与えた影響は計り知れません。
“The Violent Sleep of Reason” において、メカニカルで精密に計算されたグルーヴを、率直で生々しいプロダクションで包み込んだ理由。それはアルバムのコンセプトに通じます。”危険な睡眠状態” とは、世界中で起きている無慈悲なテロリズムに対して、何ら行動を起こさない一般の人々を指しています。MESHUGGAH が作品に有機的な感覚、エモーションを強く取り入れたのは、世界の人たちにに手を挙げて欲しい、テロリズムと戦わなければならないというメッセージでもあるのです。
ダイナミックで、インテンスに溢れ、エナジーに満ちたレコードで MESHUGGAH はその価値を再度証明しました。この作品を受け止める私たちには何が出来るでしょうか?

32: SCALE THE SUMMIT “THE MIGRATION” (2013)

「僕たちがツアーを始めた頃は、ツアーを行っているテクニカルなインストゥルメンタルバンドなんて全くいなかったし、存在すらしていなかったんじゃないかな。ANIMALS AS LEADERS が現れて、こういった音楽のファンを開拓しているのは良いことだね。」
結成は2004年ですからもう15年選手。2009年には Mike Portnoy に認められ DREAM THEATER の PROG NATION ツアーに招かれるなど着実にそのキャリアを積み重ねるモダンプログレッシブ界の重要バンドです。AAL ほど Djenty ではなく、CYNIC, DREAM THEATER のようなプログメタルらしい雰囲気も多分に残しているのがポイント。ギタリスト Chris Letchford はジャズフュージョンの領域を掘り下げたソロレコードでも注目を集めます。
「ボーカルなしで完璧な曲に仕上げてさらにそこからエモーションを生み出すには、間違いなく作曲にとても時間がかかるんだよ。」

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33: KXM “SCATTERBRAIN” (2017)

「僕は53年もギターを弾いているんだ!それを考えると自分でも驚いてしまうよ。」
DOKKEN, LYNCH MOB, SWEET/LYNCH, ULTRAPHONIX, DIRTY SHIRLEY。80年代のギターヒーローで10年代最も精力的に活動を続けたのはおそらく George Lynch でした。
そのカミソリのようなギターの鋭き切っ尖はいささかも衰えることなく、ハードロックからオルタナティブ、ブルースやファンクまで幅広く自らのユニークスキルを振りかざす George のマッチョな背中には足を向けて眠ることは出来ませんね。
DOKKEN の “Shadowlife” を聴けば伝わるように、George は新たな音楽の冒険を拒むようなアーティストではありません。特に、Dug Pinnick, Lay Luzier と三雄の魂が通い合い、個性が溶け合った KXM は、ロックの持つオーガニックな衝動と、知性を擽るエキサイトメントを織り込んだ挑戦の集団で、George は水を得た魚のように躍動しています。
「僕は “Chaosphere” からずっと MESHUGGAH を聴いているんだ。他にも、たくさんの若くてヘヴィーなバンドを聴いているよ。近年、ギタリストのスキルレベルはクレイジーなほどに急上昇しているね。僕の考えでは、MESHUGGAH の Fredrik Thordendal はコンテンポラリーな Allan Holdsworth だと言えるね。」

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34: MESTIS “POLYSEMY” (2015)

「僕は注目の的でありたいとは思わないんだ。」ANIMALS AS LEADERS もう一人の天才 Javier Reyes は笑います。
「本当に注目されることは僕の目標じゃないんだよ。MESTIS のライブのために INTRONAUT のJoe Lester, Dave Timnick とチームを組んだのもそれが理由さ。このバンドのポイントは注目を集めることじゃない。シックな音楽をシックなミュージシャンと一緒に仲良くやりたかっただけなんだ。」
2013年に自宅のスタジオでベッドルームプロジェクトとして始まった MESTIS は、しかしそのプログレッシブかつ雄弁なテクニックの宇宙で “Tosin Abasi の相棒” の影から徐々に Javier を陽の光の下へと連れ出すことになりました。
「ANIMALS AS LEADERS で僕は大抵、支援的な役割を果たす。だけど、僕は雇われているし、バイプレイヤーも得意だからね。MESTIS では、もっと難しいことをしているようには思わないけど、素材のコンテキストが僕自身のユニークなスタイルを表現可能にしているね。 もっと存在感が出せているかな。」

35: UNPROCESSED “ARTIFICIAL VOID” (2019)

「僕たちの楽曲には沢山のギターパートが存在する。ディストーションリフの上にクリーンパートを重ねたりね。だから実際のリフをユニゾンでプレイしてパワーを保ったり、メインのリフに第2のボイシングを与えたりしてね。それに6弦の曲でも2つのストラトキャスターに1つの8弦ギターをオクターブで重ねたりもするしね。」
ドイツの Tech-metal 新勢力 UNPROCESSED は、圧倒的なトリプルギターマジックでテクニカルの教科書を書き換えていきます。特筆すべきは、MESHUGGAH の美学と PERIPHERY の流儀、ANIMALS AS LEADERS のパーカッシブファンカデリック、さらにメロディーの秀逸さを兼ね備えたユニークなリフの洪水でしょう。そして新世代の代表 Manuel Gardner Fernandes は、したたかに先輩のやり方を見習っていきます。
「PERIPHERY は起業家精神を持ったバンドの良い例で、ブランドを成長させるさまざまな機会を持つ事が出来ると証明している。ギターのタブ譜、プリセット、または独自のプラグインやシグネチャーハードウェアのようなものの売り上げのおかげで、彼らは情熱を傾ける音楽に集中することが出来るんだから。」

36: NICK JOHNSTON “REMARKABLY HUMAN” (2016)

「勿論、Tosin, Plini, POLYPHIA はブルージーな楽曲をプレイしないよね。だけど、それはただ彼らのスタイルやジャンルの範囲でないだけなんだ。彼らは全体的にはクールじゃないか!今でもブルージーなプレイヤーは存在するし、インターネットのおかげで見つけるのも簡単だよ。君がモダンインストゥルメンタルシーンだけに注目しているとしたら、彼らを見つけるのは難しいけどね。それこそが本当に残念なことなんだよ。内容と気づきが全てだと思う。だから僕は出来るだけ多くの音楽を聴いて、偉大なプレイヤーを見るんだよ。」
Paul Gilbert, Plini, Tosin Abasi, PERIPHERY, THE ARISTOCRATS, POLYPHIA, など新旧問わず才能豊かなアーティストとコラボレートしてきたことからも、この Schecter のストラトシェイプを獲物としたアックスマンが、”傑出している”ことは明らかでしょう。
そして、彼がこれほどまでにミュージシャンから注目を集めているのは、その”マイナスの美学”によるところが大きいのではないでしょうか。
モダンギターシーンは足し算の世界です。音を足し、ギターの弦を足し、リズムを複雑化し、フラッシーなプレイを追求するプレイヤーが多いと感じます。勿論、それらは非常に魅力的で、重要な冒険ですが、同時に Nick の引き算を際立たせることにも繋がりました。
「“Remarkably Human” とはギター自身と、29歳の人間、僕のことだよ。ギターはいくつかの点で、人間並のクオリティがあると思うんだ!信じられないくらい表現力豊かだし、反撃することもあるし、適切なタッチによって、あらゆる感情を引き出すことも出来るね。」

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37: INVALIDS “EUNOIA” (2013)

「僕にとって、音楽の NO.1 プライオリティーはメロディーとエモーションなんだ。僕は音楽の理論とか複雑さを愛しているし、どんどん複雑にしようとしている。だけど突き詰めるとそうする事でその複雑さにさえ気づかなくても、興味のあるなしにかかわらず、誰かの感情を揺さぶって何かを味わって欲しいんだ。INVALIDS はいつも難解さと聴きやすさのバランスをとりながらやっているんだ。
ユニークな “.マスポップ” で絶佳の景色を紡ぎ出すギタリスト Pete Davis はマスロックの未来を信じています。
「シーンには成長する可能性を感じているよ。音楽理論の知識もユビキタス化が進んでいるからね。多くの音楽を志す若者は機材を手に入れやすくなったし、音楽の理論や複雑さについても学びやすくなった。彼らは本当に作曲に対する熱意が凄いんだ。それだけじゃなくて、MATH-ROCK のファンが増えれば増えるほど、自分で演奏したいって思う人も増えるからね。こういった音楽はミュージシャンの要求に合わせて作られるんだ。プログロックや TECH METAL と同様にミュージシャンシップが賞賛されるからね。」

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38: GALNERYUS “UNDER THE FORCE OF COURAGE” (2015)

「僕はこれからもずっと音楽、そしてギターを愛して生きていきます!僕達の音楽を聴いて下さり、そして感動してくれる人がいる限り、頑張ります。それと今一生懸命音楽を努力している人は沢山居ると思いますが、良い音楽を創ると同時に、やはりある程度は注目を得ないと続けて行く事が難しいのも現実です。ですから、自分達の音楽を沢山の人に届けれる様、メディアに露出する事なども考えて、とにかく抜きん出るために、頑張りましょう!」
日本を代表するシュレッダー Syu の言葉はあまりに正直で、あまりに真実です。実際、プログレッシブで大仰を突き詰めたシネマティックな GALNERYUS のメタルハートは世界を溶かし始めています。
「僕は元々映画が大好きで数多く観てきてるんですが、画があり、そしてそれを引き立てる音楽がある、そんな映画の手法に感銘を受けてたんですね。だから本作では、そんな感動を表現したいという思いがありました。今回のテーマとしては、今の僕たちに出来る最高のシネマティックなアルバムにしたい、という気持ちですね。そういった手法において影響を受けてるのはDREAM THEATER、QUEENSRYCHEです。」

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39: MICHAEL ROMEO “WAR OF THE WORLDS PT.1” (2018)

「僕にとっては、異なることに挑戦したり、新しく興味深い何かを創造したりといったことの方が大きな意味があるんだよ。テクニックとか、ギターに纏わる様々な事柄も良いけど、それを絶妙に、音楽的な方法で使用することこそ重要なんだ。」
Michael Romeo は自己超克を命題に刻む、ストイックなギターウィザードです。一定のスタイルを確立した後、そのクオリティーを安住の地とするプレイヤーが多い中、SYMPHONY X のマスターマインドはイノベーションを続けます。
「僕はこのアルバムでメタルに映画音楽の要素をミックスしたかったんだ。」 と語ったように、実際 “War of the Worlds/Pt.1” こそが、チャレンジングかつ前人未到のオーケストラルなシネマティックメタルであることは明らかです。
もちろん、RHAPSODY のようにクラッシックや民族音楽を、オーケストラルにメタルファンタジーへと落とし込む手法はこれまでもありました。しかし、Bernard Hermann や John Williams, Hans Zimmer といった、コンテンポラリーなシネマミュージックの息吹を濃厚に抱きしめる Michael の手法と慧眼は、近年の多様でカラフルなモダンメタルレボリューションの中でも際立っていますね。

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40: RICHARD HENSHALL “THE COCOON” (2019)

「作曲やレコーディングにおいて、音楽の境界を少しでも広げるなら、僕はモダンなテクノロジーも楽しんで使用しているんだ。」
今年の Progressive Music Awards で “UK Band of the Year” を獲得したもはやプログレッシブ世界を代表するバンド HAKEN。精密と重猛の並行世界を実現するプログ最後の希望を牽引するギターヴァーチュオーゾ Richard Henshall は、ソロプロジェクトの船出に “The Cocoon” 実験の “繭” の名を与えました。
Richard が RADIOHEAD を引き合いに出した様に、プログレッシブの言霊が例えばブラックメタル、スラッジ、オルタナティブ、ジャズといった異世界によりフィットするようにも思える現代において、クラッシックなプログの鼓動を21世紀にアップデートする HAKEN のレトロフューチャーな音楽観は実に貴重で尊い孤高です。プログサウンドの海に漂うアンビエント、djent, ソウル、ジャズ、ミニマリズム、シンセポップの漂流物は、音の航海を退屈から程遠い冒険へと導いています。
「作曲に関して僕たちは、これがプログなのかメタルなのか考えすぎて特定の方向性へ舵を切ったりはしないようにしているよ。特定の影響に重きを置かないことが重要なんだ。ただ自分たちが聴きたい音楽を書いて、ただ望むのはファンが楽しんでくれることだけなのさ。」

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41: BUCKETHEAD “IT’S ALIVE” (2011)

379枚の関連スタジオアルバム、97枚のゲスト参加作品、19枚のビデオグラフィー。Wiki によると476枚のレコードに携わっているバケツの怪人 Buckethead。あの GUNS’N ROSES でもプレイした奇妙なフルピックと奇天烈タッピングの奇想天外鶏魔人は、しかし2017年に心臓の病に侵されたのです。
「もともと不整脈を持っていたんだけど、どんどん酷くなってね。なんとかおさまったけど、医者で薬をもらわなければ部屋を横切るのさえ大変なくらいだったんだ。でもその翌日には友人とレコーディングをしていたね。ベッドに横になりながら。俺はここにいる!って主張したかったんだ。」
鶏小屋で鶏と育ったため、言葉を発することはできない Buckethead。故に全てのインタビューは通訳のハービーを通しています。マスクも狼に襲われた傷を隠すため。さまざまな苦境を経験し、それでも彼の創作意欲が衰えることはありません。
「俺は明日死ぬかもしれない。誰だって明日死ぬかもしれないんだ。だけどそんな状況を経験するのはとてもヘヴィーなことなんだ。だから俺は今プレイしたい。死を意識したあの体験を表現したいんだ。」

42: MONUMENTS “PHRONESIS” (2018)

「僕がプレイしているタイプの音楽は常に MESHUGGAH と関連づけられてしまうし、実際そういった面もあるからね。彼らが全てのシンコペーションのリズムをメタルに持ち込んだんだから。例えばスラッシュメタルにとっての METALLICA、ジャズにとっての MILES DAVIS、ビッグバンドにとっての DUKE ELLINGTON、クラッシックにとってのベートーヴェン、バロック音楽にとってのバッハ。MESHUGGAH はモダンメタル界でそういった位置にいるんだ。彼らがメタルに持ち込んだものは新しいサブジャンルを作ったんだよ。」
FELLSILENT と MONUMENTS。Tech-metal の歴史に欠かせないバンドを2つも始動させた John Browne はたけし城から上原ひろみまで日本の文化を愛するアーティストです。
「FELLSILENT の再結成?うーん、そうなるとは思えないなあ。元メンバーのうち3人はフルタイムでツアーしているバンドに所属しているからねえ。実は去年£10,000のオファーを受けたんだよ。それでも集まってショーをやろうとはならなかったんだ。まあ将来何が起こるかは分からないけどね!」

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43: NITA STRAUSS “CONTROLLED CHAOS” (2018)

男性が支配するロック/メタルのコミュニティーにおいて、数少ない女性パフォーマーの存在は、拒絶や差別との戦いを強いられた嵐の航海だったと言えるでしょう。
そして、フロントウーマンはもちろん、Orianthi, Yvette Young, Sarah Longfield などギターヒロインまで台頭し浸透した2010年代になっても、性的なコメントや挑発に対処する必要は未だなくなってはいないのです。
オーストリアのクラッシック音楽家ヨハン・シュトラウス2世の血を引くシュレッダー Nita Strauss は、その高い知性と敏腕で轟天と荒波を潜り抜け、シーンにおける女性の地位確立に大きな貢献を果たして来ました。
「”間違いなく” 遂に女性の時代が来たと感じているのよ!!メタルシーンにとって素晴らしい時代になったのよ。」AS BLOOD RUNS BLACK, THE IRON MAIDENS, FEMME FATAL そして Alice Cooper。女性の存在がまだ極少だった時代から、華麗にキャリアを紡いで来た開拓者の精神はそして実にポジティブです。

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44: THE WINERY DOGS “HOT STREAK” (2015)

「ALICE IN CHAINS が登場した時は衝撃だった。チープな機材でも偉大な音楽が作れると気付かされたからね。みんな高価な機材を追いかけるけど、結局ギアなんて関係ないんだよ。重要なのはパフォーマンスと楽曲なんだ。それが全てさ。」
ブルースにファンク、フュージョンまで涼しい顔で弾き倒す、リズムとレガートの達人は Mike Portnoy, Billy Sheehan とのトライアングルがお気に召しているようです。そこに存在するのはオールドスクールなスピリット。少々飽き性にも思える天才は、オーガニックでスポンティニュアスな感覚、そしてギターとシンクロするスキャットは象徴的ですが、歌心を愛しているだけなのです。
「17か18の時に最初のレコードを録音したんだけど、僕はインスト向きじゃないと実感したんだ。Rod Stewart と Paul Rodgers を愛しているからね。特に最初のころは Paul の歌唱から全てを学んで彼の真似事をしていたのさ。」

45: SONS OF APOLLO “PSYCHOTIC SYMPHONY” (2017)

「ガンズ時代、最高の思い出は2012年に “Bridge School Benefit” でアコースティックコンサートを行ったことだね。毎年カリフォルニアで開催される、非営利のチャリティーイベントなんだけど、全ての収入は Bridge School に渡るんだ。彼らはテクノロジーや教育を通して言語や身体に障害を持つ人たちを助ける学校なんだよ。ステージには子供たちとその両親のためにプラットフォームが用意されていてね。僕たちは彼らの目の前でプレイしたんだよ。
僕は子供のころを思い返し、彼らの手を取って、ガンズがプレイしている時に僕のギターをかき鳴らさせてあげたんだ。本当に大好きなショウの一つだね。大義のためだったからかな(笑)」
ASIA, ART OF ANARCHY, ソロでも活躍する Bamblefoot は、Mike Portnoy, Derek Sherinian, Billy Sheehan と楽器の巨聖が集結した SONS OF APOLLO においても、その独創的かつ奇抜なシュレッドと美しい人柄でバンドのアイデンティティーとなっています。”1日に8時間練習するなんてバカらしい。2時間練習して残りの時間人生を楽しむ” のがギタリストとしての彼のモットーです。
「今でもその言葉を信じているよ。身体的なテクニックが1日に進歩する幅には限りがあるんだよ。だけど君が経験出来ること、音楽を通してシェア出来るストーリーやエモーションにリミットはないんだからね。興味深い音楽を作る最善の道は、興味深い人生を送ること。精一杯生きようね( 笑 )」

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46: SARAH LONGFIELD “DISPARITY” (2018)

2016年、Guitar World 誌による “世界最高の7弦、8弦ギタープレイヤー15人” の中に選された革新のハイテクニックビューティーは、驚くべきことにチャンネル登録者数20万を超える人気 YouTuber でもあるのです。(Rob Scallon とのコラボレートの数々は秀逸)
「マルチなプラットフォームを築き、ミュージックコミュニティーの様々な側面で名前が売れることは、素晴らしいプロモーションにもなって来たのよ。」と Sarah が語るように、ソロ活動、バンド THE FINE CONSTANT、そして YouTube と新世代らしく現代的なプラットフォームを意欲的に活用することで、彼女は Season of Mist との契約を手にすることになりました。
インタビューで、「私はまずピアノを8歳の時に始めて、それからヴァイオリンを10歳の時に始めたの。遂にギターを手にしたのは12歳の時だったわね。」と語るようにその音楽的素養は実に深くそして多様。弊誌に何度か登場している Yvette Young が似たようなバックグラウンドを持つことも興味深いシンクロニシティーではないでしょうか。

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47: ANDY JAMES “ARRIVAL” (2018)

ネット上で最も人気のあるギター講師、SACRED MOTHER TONGUE, WEARING SCARES といったフィジカルなバンドでの活動、そして6弦ファンタジーを生み出すソロアルバム。Andy James はいくつもの顔を持つフレキシブルなギタープレイヤーです。ではどの顔が本当の Andy なのでしょう?
「僕はいつだってバンドでのプレイを望んでいる。Satriani や Vai みたいになりたい訳じゃないし、ソロでツアーもしたくない。」
機材についての拘りも相当です。「Kemper が他のアンプシュミレーターと異なるのは、アンプサウンドを真似しようとしていないところなんだ。アルゴリズムを使用して実際のアンプを再創造しているからね。」

48: MATEUS ASATO “NO ALBUMS”

SNSの世界から飛び出したブラジリアンは、アルバムを1枚もリリースしていないにもかかわらず、今最もギター世界で注目を集めている存在かもしれませんね。
クリーンで温かみのあるギターサウンドとカラフルなコードボキャブラリーでネオソウルムーブメントの一翼を担う奇才は、Stevie Wonder を崇めながら Bill Evans, Joe Pass といったジャズジャイアントの影響下にもあるのです。シングルコイルの Shur からフィンガーピックで紡がれるギターロマン。
「SNSの全てのソースは名前を売るのに有効だと僕は信じている。賢く、クリエイティブに使用出来ればだけどね。最近の世界の動きを鑑みれば、出来るだけ迅速に人々の反応を集める方が良いんだよ。もちろん、僕の中にも音楽とインターネットの組み合わせには葛藤があるんだけど、それでも SNS は力を持っていると信じているんだ。」

49: LARI BASILIO “FAR MORE” (2019)

「Joe のミュージシャンとしてのクオリティーを置いておいても、彼のメロディックなセンスが大好きなの。彼のメロディーに対するアプローチは実にユニークで、アルバムに参加してくれたことは実に光栄だわ。」
Mateus と同様、ブラジルからフィンガーピッキングで音彩を紡ぐ Shur 使い Lari Basilio は、あの Joe Satriani から大いに認められた才媛です。Joe や Andy Timmons, Paul Gilbert に憧れる傍で、ブラジルの鬼才 Juninho Afram を敬愛し、ジャズギタリスト Djalma Lima に師事した経歴が彼女を流動体のようにしなやかなギタリストへと成長させました。
「MPBは大好きよ。ポルトガル語で Musica Popular Brasileira って意味ね。ANGRA のベーシスト Felipe Andreoli は最初の EP に参加してくれた。光栄だったわ。最高のベーシストの1人ね。」

50: TRICOT “3” 

「一番チャレンジだった曲は全員一致で “18,19” です。この曲は合宿で作ったんですが、イントロとサビのリズムが違うのでその変換がなかなかできずみんなで格闘してました。できるようになった時はやったー!とみんなで喜びました。(笑)この曲はやりたいこと詰め込んで全部やってやろう、という感じで楽しみながら作りました。
マスロックという括りに関しては、確かに変拍子も多いし(海外からは特に)マスロックと言われるのでそうなんかなぁと思うぐらいで、本人的にはあんまり意識してないです。tricotのジャンルを聞かれると自分たちではわからないという感じです。(笑)」
京都から世界へと進出し快進撃を続けるガールズトリオ tricot。ポップ、パンク、そしてプログまで取り込んだ前人未到の方程式は世界を驚かせるに充分なインパクトを纏っています。
勿論、変幻自在なリズム、マスマティカル(数学的)な変拍子の洪水がシンボルとなり、特に海外では “マスロック” “Math-rock” と称される tricot の音楽ですが、多彩を極めるのはリズムだけではありません。”3″ で確かに実現したカラフルで鮮やかな楽曲群、世界観はしなやかにバンドの成熟、進化を伝えています。

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51: THE HAARP MACHINE “DISCLOSURE” (2012)

52: OWANE “YEAH WHATEVER” (2018)

53: GARY CLARK JR. “BLAK AND BLU” (2012)

54: RUSH “CLOCKWORK ANGELS” (2012)

55: PAT METHENY “THE ORCHESTRION PROJECT” (2013)

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56: RABEA MASSAAD “GRINDING GEARS” (2018)

57: OZ NOY “WHO GIVES A FUNK” (2016)

58: ANDY MCKEE “JOYLAND” (2010)

59: WIDEK “HIDDEN DIMENSIONS” (2017)

60: TESSERACT “ONE” (2011)

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61: TOM MISCH “GEOGRAPHY” (2018)

62: BORN OF OSIRIS “THE DISCOVERY” (2011)

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63: VOLUMES “VIA” (2011)

64: CHANTEL MCGREGOR “BURY’D ALIVE” (2019)

65: THE CONTORTIONIST “EXOPLANET” (2011)

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66: SIKTH “THE FUTURE IN WHOSE EYES?” (2017)

67: THE HELIX NEBULA “MELIDIAN” (2014)

68: JOE SATRIANI “SHOCKWAVE SUPERNOVA” (2015)

69: SCOTT HENDERSON “PEOPLE MOVER” (2019)

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70: NEAL MORSE BAND “THE SIMILITUDE OF A DREAM” (2016)

71: FLYING COLOURS “THIRD DEGREE” (2019)

72: AND SO I WATCH YOU FROM AFAR “ALL HAIL BRIGHT FUTURES” (2013)

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73: FELIX MARTIN “MECHANICAL NATIONS” (2017)

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74: WATCHTOWER “CONCEPT OF MATH: BOOK ONE” (2016)

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75: THE FALL OF TROY “OK” (2016)

76: PROTEST THE HERO “SCURRILOUS” (2011)

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78: VEIL OF MAYA “ID” (2010)

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79: TOMMY EMMANUEL “ACCOMPLICE ONE” (2018)

80: VOIVOD “THE WAKE” (2018)

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81: TOM QUAYLE “NO ALBUMS”

82: SURREALISTS “ORIGAMI” (2017)

83: NEWTON FAULKNER “HUMAN LOVE” (2015)

84: JASON BECKER “TRIUMPHANT HEARTS” (2018)

85: ARIEL POSEN “HOW LONG” (2019)

86: SERGEY GOLOVIN “SCULPTURE” (2018)

87: HAUNTED SHORES “VISCERA” (2015)

88: REVOCATION “THE OUTER ONES” (2018)

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89: DYLAN REAVEY “NO ALBUMS”

90: NOVELLER “A PINK SUNSET FOR NO ONE” (2017)

91: MELANIE FAYE “SUPER SAD ALWAYS” (2019)

92: MARCUS KING BAND “CALOLINA CONFESSIONS” (2018)

93: OLA ENGLUND “MASTER OF THE UNIVERSE” (2019)

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94: ARCHSPIRE “RELENTRESS MUTATION” (2017)

95: ONI “IRONSHORE” (2016)

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96: I BUILT THE SKY “THE ZENITH RISE” (2019)

97: STEPHEN TARANT “PERMANENCE” (2019)

98: THRAILKILL “EVERYTHING THAT IS YOU” (2019)

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99: THE MARS VOLTA “NOCTOURNIQUIT” (2012)

100: TOOL “FEAR INOCULUM” (2019)

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