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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【JOEL HOEKSTRA’S 13 : FROM THE FADE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JOEL HOEKSTRA !!

“It does’t really matter WHAT you’re working hard at. There are so many ways to become talented with guitar. The one thing all great guitar players have in common is that they have spent a lot of time with the instrument.”

DISC REVIEW “FROM THE FADE”

「僕は音楽に関しては非常に柔軟な考え方を持っていて、何事にも一生懸命取り組んでいるんだ。プロ意識を持ち、親しみやすく、感じの良い人間であろうと心がけていて、だから周りの人たちも僕が彼らのために最善を尽くそうと真剣に考えていることを感じ取ってくれているからだと思うんだ」
Joel Hoekstra は今、メタルやハード・ロックの世界で最も引っ張りだこなギタリストのひとりでしょう。NIGHT RANGER で颯爽とギター・シーンに登場した Joel は、その技巧と創造性、そして旋律の妙で瞬く間に注目を集め、David Coverdale から WHITESNAKE のギタリストに任命されます。あまりにも華麗なロックのシンデレラ・ストーリー。しかし、Joel を必要としているのはこの二大バンドだけではありません。
TSO, FOREIGNER, ICONIC, REVOLUTION SAINTS, Jeff Scott Soto, Amy Lee, Michael Sweet, Sebastian Bach, Nico Mcbrain, そして意外にも ACCEPT。少し挙げただけでも、共演者には錚々たる顔ぶれが並んでいます。興味深いのは、多種多様なアーティストが Joel との共演を望んでいること。つまり、Joel の才能はどんな音楽にも対応できるほどに柔軟ですが、しかしそれだけが求められる理由ではありません。いや、それ以上に彼は、人間的に柔軟で優しく、勤勉であることこそが求められる理由だと信じています。
「僕はいつも、誰よりも努力するようにとアドバイスしているんだ。なぜなら、努力は必ず報われると信じているから。実は、ギターを極めるために何に努力するかはそれほど重要ではないんだよ。ギターの才能を開花させる方法はたくさんあるからね。偉大なギタリストに共通しているのは、楽器に多くの時間を費やしてきたという事実だけなんだ」
そう、Joel Hoekstra はギターに対して、音楽に対して、そして音楽にかかわるすべての人に対して誰よりも謙虚で、柔軟で、真剣です。練習よりも、努力よりも、戦略やイメージ、動画の編集能力が重要になる現代において、だからこそ Joel は声高にこう語ります。ギターに触り続けろと。
運指や音の正答が瞬時にでる、YouTube や Guitar Pro 全盛の時代。しかしもしかすると、その便利さがギタリストの多様性を奪っているのかもしれません。ギターを極めるための道は何通りもあるべきで、だからこそ道が定まらない不便な時代には個性的なギタリストが多く生まれたのかもしれません。ただひとつ、裏切らないのはギターに触れた時間だけ。
「まず第一に、僕はロック・ミュージシャンだ。でも、他のジャンルの要素を取り入れてロックに融合させるのが大好きなんだよね。音楽理論が大好きだから、音楽の構造を理解できて、他の人がやっていないようなことを考えるのにとても役立っているよ。普段は親しみやすく馴染みやすいスタイルで演奏しているけど、時折、人を驚かせるような要素を盛り込むのが好きなんだよね」
そんなギターのキャプテン翼、Joel Hoekstra だからこそ、彼が作り上げる “メロハー” の世界 “From the Fade” は独特で芳醇です。”Lifeline” のように誰もが親しみを抱くメロディを根幹に置きながら、Joel は楽曲の中にギターの美技、そして好奇心を誘うギミックやフックを存分に盛り込みます。Vinnie Appice, Derek Sherinian, Tony Franklin という歴戦の猛者たちの色彩も巧みに織り入れながら、シーンのニュー・ヒーロー Girish Pradhan の情熱的な歌唱がアルバムのステージをひとつ上へと高め、Joel の絶技がトドメを指すイメージでしょうか。ただのノスタルジーではなく、衰退とは真逆の未来を見据えたフォレスタルジー。そう、Joel が作り上げた、DIO から JOURNEY、WHITESNAKE から FOREIGNER まで駆け巡るメタルの歌心と妙技の旅路は、21世紀に入っても色褪せることは決してないのです。
今回弊誌では、Joel Hoekstra にインタビューを行うことができました。「僕自身は8フィンガー・テクニックを Jeff Watson から教わったわけではなくてね。僕の初期の指導者の一人である TJ Hermerich が、僕がまだ若かった頃、たぶん14歳くらいの時に教えてくれたものなんだ。彼は Brett Garsed とフュージョン・アルバムをいくつか出しているから、ぜひ聴いてみてほしい!TJ は8フィンガー奏法において非常に高度な技術を持っていたからね」 そうなんだよね…この人 TJ Hermerich の弟子でもあるんだよね… Brett Garsed 共々、タップでもハイブリッドでもある指は全部使う努力家ギタリストの系譜。どうぞ!!

JOEL HOEKSTRA’S 13 “FROM THE FADE” : 10/10

INTERVIEW WITH JOEL HOEKSTRA

Q1: Your family is a classical music family, and you studied cello and piano from an early age. Have those experiences helped you become the guitar virtuoso you are today? Do you feel that electric guitar students should also study classical music?

【JOEL】: They helped me to develop a sense of pitch and rhythm at a young age and jump start my ability to learn songs by ear. I don’t necessarily think that EVERYONE should do anything in particular. Everybody should find their own path. In the end, there are many ways to be “good” at guitar.

Q1: あなたの家族はクラシック音楽一家で、あなた自身も幼い頃からチェロとピアノを習っていたそうですね。
そうした経験は、あなたが今日のようなギターの名手になる上で役立ちましたか?また、エレキギターを学ぶ生徒もクラシック音楽を学ぶべきだとお考えですか?

【JOEL】: クラシックのおかげで、幼い頃から音感とリズム感を養い、耳で曲を覚える能力を磨くことができたのはたしかだよ。でもね、ギターの上達のために、誰もが通らなければならない道なんてないと思っている。というより、誰もが自分自身の道を見つけるべきなんだ。結局のところ、ギターが “上手くなる” 方法はたくさんあるんだからね。

Q2: I have the impression that you came on the scene out of nowhere, and in fact, Kelly Keagy saw your 8-fingers technique and invited you to join Night Ranger, right? That technique is very interesting, but very few people use it anymore, but did the technique developed by Jeff Watson change your life in some way?

【JOEL】: That really isn’t the way my career developed. There were many steps that led up to joining Night Ranger. I had released my own albums, played in theatrical productions like Love, Janis and toured with older acts like The Turtles and Big Brother & The Holding Company. I also played with Kelly in Scrap Metal and Jim Peterik’s World Stage. So, joining Night Ranger was probably the first time people in Japan heard of me, but I had been a professional guitarist for 17 years before even joining. Also, I didn’t really learn the 8-finger technique from Jeff Watson. One of my early instructors, TJ Helmerich was teaching it to me at a young age. Maybe 14? He has some fusion albums out with Brett Garsed that people really should check out. TJ was incredibly advanced at the technique. I think the ability to play the part in Rock in America helped me in eventually joining Night Ranger full-time, but initially it had more to do with my ability to learn a lot of songs and perform them without rehearsal for Jim Peterik’s World Stage Band. As I said, Kelly was a part of those and Night Ranger just needed someone to “fill in” for Reb Beach for one show. In fact, they didn’t even realize that I was going to be able to play that solo until we were at the show.

Q2: 日本では、あなたはまるで彗星のごとく現れたような印象があります。実際、Kelly Keagy があなたの8フィンガー・テクニックを見て感銘を受け、NIGHT RANGER に誘ったんですよね?そのテクニックは非常に興味深いものですが、残念ながら今ではほとんど使われていません。ただある意味、Jeff Watson が開発したあのテクニックが、あなたの人生を切り開いたといえるのでしょうか?

【JOEL】: 僕のキャリアはそんな突然に発展したわけではないんだよ。NIGHT RANGER に加入するまでには、多くの段階があったからね。自分のアルバムをリリースしたり、”Love, Janis” のような舞台作品に出演したり、THE TURTLES や Big Brother & The Holding Company といったベテラン・バンドとツアーをしたりしていたからね。また、Scrap Metal や Jim Petrick & World Stage で Kelly と共演していたんだよね。だこら、おそらく NIGHT RANGER に加入したことが、日本で僕の名前が知られるようになった最初のきっかけだったのだろうけど、加入する前から17年間プロのギタリストとして活動していたんだよね。
それに、僕自身は8フィンガー・テクニックを Jeff Watson から教わったわけではなくてね。僕の初期の指導者の一人である TJ・Hermerich が、僕がまだ若かった頃、たぶん14歳くらいの時に教えてくれたものなんだ。彼は Brett Garsed とフュージョン・アルバムをいくつか出しているから、ぜひ聴いてみてほしい!TJ は8フィンガー奏法において非常に高度な技術を持っていたからね。
“Rock in America” で Jeff を演じた経験が、最終的に NIGHT RANGER に正式加入する上で役立ったと思うよ。でも当時は、Jim Petrick & World Stage で多くの曲を覚え、リハーサルなしで演奏できたことが選ばれた大きな理由だったと思う。さっきも言ったように、Kelly はそのバンドの一員で、その時 NIGHT RANGER は Reb Beach の代役を1公演だけ必要としていただけだからね。実際、彼らは僕がソロを演奏できるとは、公演当日まで気づいていなかったんだよ。

Q3: Then you joined WHITESNAKE. It was a great Cinderella story! You teamed up with legendary players such as Brad Gillis in Night Ranger and Reb Beach in Whitesnake, what did they teach you?

【JOEL】: I learned a lot from Brad in terms of attitude. Brad was a great mentor for me. We were like big brother, little brother. Reb was great to play rhythm guitar with. Everyone knows he’s a great lead player, but his rhythms are very tight and accurate. I tried to stay away from what they did as guitarists, because good guitar teams should have recognizable identities.

Q3: それからあなたは WHITESNAKE に加入しました。まさにシンデレラ・ストーリーですね!NIGHT RANGER の Brad Gillis や WHITESNAKE の Reb Beach といった伝説的なミュージシャンたちと共演しましたが、彼らからはどんなことを学びましたか?

【JOEL】: Brad からは、アティテュードの面で多くのことを学んだよね。Brad は僕にとって素晴らしいメンター、師匠だった。まるで兄と弟のような関係だったんだよ。
Reb はリズム・ギターを一緒に演奏するのに最高の相手だったね。誰もが彼が素晴らしいリード・ギタリストであることを知っているけど、彼のリズムも非常にタイトで正確なんだよ。でも僕は、ギタリストとして彼らの演奏スタイルに倣わないように努めていたんだ。なぜなら、優れたギター・チームにはそれぞれ明確な個性があるべきだからね 。

Q4: You have been needed by a variety of great artists from TSO, Foreigner, Michael Sweet, and surprisingly, Accept (!), and now you are even working with Nicko Mcbrain! What do you think it is about you that makes such a wide range of people like you so much?

【JOEL】: Musically I am very open minded and work hard on whatever it is I’m doing. I try to be professional, friendly, nice and I think that people sense that I really care about doing my best for them.

Q4: TSO, FOREIGNER, Michael Sweet, そして意外にも ACCEPT(!)といった数々の素晴らしいアーティストから求められてきたあなたは、今では Nicko Mcbrain とも仕事をしていますね!これほど幅広い層の人々に愛され、必要とされる理由は何だと思いますか?

【JOEL】: 僕は音楽に関しては非常に柔軟な考え方を持っていて、何事にも一生懸命取り組んでいるんだ。プロ意識を持ち、親しみやすく、感じの良い人間であろうと心がけていて、だから周りの人たちも僕が彼らのために最善を尽くそうと真剣に考えていることを感じ取ってくれているからだと思うんだ。

Q5: Still, “From the Fade” is a great album! There are very few hard rock albums that mesh so well with melody and technique! You used to release jazz and acoustic- infused instrumentals (That’s great too), why do you stick to melodic hard rock now?

【JOEL】: Well, I became more well-known in the melodic hard rock scene and the fans who listened to my fusion albums wanted something more rock from me. It was something that I had always intended to do anyway. So the timing was right to start Joel Hoekstra’s 13. Someday I may release some instrumental albums again, but I’m having a good time writing and recording the style that I’m best known for, so it makes sense for now.

Q5: それにしても、”From the Fade” は素晴らしいアルバムですね!これほどメロディーとテクニックがこれほど見事に融合したハード・ロック作品は滅多にありませんよ!
以前はジャズやアコースティックを取り入れたインストゥルメンタルもリリースしていましたが(それも素晴らしい)、なぜ今はメロディックなハード・ロックに集中しているのですか?

【JOEL】: メロディック・ハードロックのシーンで知名度が上がったことで、フュージョン・アルバムを聴いてくれたファンまでも、もっとロック色の強い音楽を求めていたんだ。
そもそも、僕自身もいつかはロックをやりたいと思っていたので、Joel Hoekstra’s 13 を始めるにはちょうど良いタイミングだったね。いつかまたインストゥルメンタル・アルバムをリリースするかもしれないけど、今は自分が最も得意とするスタイルの曲作りやレコーディングを楽しんでいるし、今はこれでいいと思っているよ。

Q6: What is great about you is that even in such a hard rock context, you are unafraid to use out-note and progressive apporoach. That is why you are called a virtuoso. What do you keep in mind when using such jazz and classical sounds in a hard rock context?

【JOEL】: First and foremost, I’m a rock player. But, I LOVE to take elements from other styles and pull them into rock. I love music theory and when you understand the construction of music, it helps to think of things that others aren’t doing. I guess I play with a relatable, familiar style MOST of the time and like to throw things in that surprise people.

Q6: あなたの素晴らしいところは、ハード・ロックというジャンルの中でも、アウト・ノートやプログレッシブなアプローチを恐れずに取り入れている点です。だからこそ、あなたはヴァーチュオーゾと呼ばれるのでしょう。

【JOEL】: まず第一に、僕はロック・ミュージシャンだ。でも、他のジャンルの要素を取り入れてロックに融合させるのが大好きなんだよね。音楽理論が大好きだから、音楽の構造を理解できて、他の人がやっていないようなことを考えるのにとても役立っているよ。
普段は親しみやすく馴染みやすいスタイルで演奏しているけど、時折、人を驚かせるような要素を盛り込むのが好きなんだよね。

Q7: Of course, Vinnie, Tony, and Derek are great as always, but it is Girish Pradhan’s voice that stands out as much as yours on this album. I first became convinced of his talent when I heard Girish’s “Rock the Highway,” and now he is one of the most sought-after singers in the world. I think he is from the same group of singers you have worked with, in the vein of David Coverdale, Russell Allen, and Jeff Scott Soto, but What makes him outstanding?

【JOEL】: Girish has a great range, a great rock feel and also is capable of adapting very well. He’s also very open minded and has a good attitude. He was very good with me on Crash of Life, in particular, because those melodies were written not knowing who was going to sing on the album. I KNEW he was going to sing on From the Fade, so I took advantage of his range and screaming abilities a bit more.

Q7: もちろん、Vinnie, Tony, Derek は相変わらず素晴らしいですが、このアルバムでは Girish Pradhan の歌声があなたのギターと同じくらい際立っています。
私が彼の才能を確信したのは、Girish の “Rock the Highway” を聴いた時で、今では彼はメタル世界で最も人気のある歌手の一人となりました。
彼は、あなたがこれまで一緒に仕事をしてきた David Coverdale, Russell Allen, Jeff Scott Soto といった歌手と同じ系統だと思いますが、その中でも彼を際立たせているのは何でしょうか?

【JOEL】: Girish は音域が広く、ロック・センスも抜群で、順応性も非常に高い。それに、とてもオープン・マインドで、人柄も良いんだよね。
特に “Crash of Life” では、誰がアルバムで歌うのか分からないままメロディーを作ったので、彼には本当に助けられたんだよ。一方で、”From the Fade” では彼が歌うことが分かっていたので、彼の音域の広さとスクリーム能力をより活かすことができたと思うよ。

Q8: what advice would you give to young guitarists?

【JOEL】: I always tell people to try to outwork everyone else, I think that in the end, you are rewarded for hard work. It does’t really matter WHAT you’re working hard at. There are so many ways to become talented with guitar. The one thing all great guitar players have in common is that they have spent a lot of time with the instrument.

Q8: 最後に、若いギタリストに贈るアドバイスをお願いします!

【JOEL】: 僕はいつも、誰よりも努力するようにとアドバイスしているんだ。なぜなら、努力は必ず報われると信じているから。実は、ギターを極めるために何に努力するかはそれほど重要ではないんだよ。ギターの才能を開花させる方法はたくさんあるからね。偉大なギタリストに共通しているのは、楽器に多くの時間を費やしてきたという事実だけなんだ。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED JOEL’S LIFE!!

AC/DC “Back in Black”

Yngwie Malmsteen “Rising Force”

Joe Satriani “Not of This Earth”

Garsed/Helmerich “Quid Pro Quo”

Steve Vai “Passion and Warfare”

MESSAGE FOR JAPAN

My daughter (who is 10) is obsessed with Japanese culture. She loves anime! I adore the Japanese music scene and miss it very much right now. I really, really want to get back to Japan. The fans are so knowledgeable, dedicated and respectful. I hope to be back there very soon! I miss all of you so much!

僕の娘(10歳)は日本の文化に夢中なんだ。アニメが大好きなんだよ!僕自身は日本の音楽シーンが大好きで、今とても恋しいよ。本当に、本当に日本に早く戻りたいね。ファンの人たちは知識が豊富で、熱心で、礼儀正しいからね。できるだけ早く日本に戻れることを願っているよ!みんなにとても会いたいよ!

JOEL HOEKSTRA

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【HEADLESS : TRANSITIONAL OBJECTS】GÖRAN EDMAN IS COMING BACK TO JAPAN 26′


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH GÖRAN EDMAN OF HEADLESS !!

“It’s difficult to highlight anything in particular but Kharma “Wonderland “ is definitely a pearl worth mentioning.”

DISC REVIEW “TRANSITIONAL OBJECTS”

「北欧の声なんて思ってはいなかったよ。スカンジナビア・メタルが特に日本で人気があることは知っていたけどね。実際は、当時影響を受けていたイギリスやアメリカのバンドのサウンドを真似て、それを模倣しようとした結果、僕らの色が加わって副産物としてスカンジナビア・メタルのサウンドが生まれたんだよね」
北欧の声。本人がどう思おうとも、私たちにとってそれは、Joey Tempest であり、Tony Harnell (アメリカ人ですが) であり、そして Göran Edman でした。北欧の厳粛で荘厳で美麗な雰囲気をそのまま声に宿らせたかのような彼らの歌唱は、そして陰りのあるクラシカルな響きをギターに込めたシュレッダーの音の葉は、特に当時の日本人の心を打ち、北欧メタルというひとつの素晴らしきジャンルを作り上げました。
中でも、様々なバンドを渡り歩き、幾多の名作を生み出してきた Göran は、北欧メタルと同義であり、その創設者ともいえる存在でしょう。MADISON に始まった Göran の旅路は、John Norum, TALISMAN という偉大な場所に立ち寄りました。特に、John Norum の “Total Controll”、あのメランコリックな恍惚が北欧メタルの原点のひとつとなったことはたしかでしょう。
「Yngwie と共演したあの数年間は、色々な意味で波乱万丈だったけど、そこから多くのチャンスが生まれたことに感謝しているんだ。一番良い思い出は、おそらく “Eclipse” のプリ・プロダクション、レコーディング、そして最終プロモーションに関することだろうな。”Fire & Ice” の時代は、首に縄をかけられているような気分で、衝突も多かったからね。でも、どちらのアルバムにも、僕なりのハイライトがあるんだよ」
Göran のキャリア、そのハイライトはあの Yngwie Malmsteen との共闘でしょう。共闘と書きましたが、実際のところ、なぜかリード・シンガーを毛嫌いし敵視するマエストロとの仕事は簡単ではなく、むしろバンドにいること自体が恐闘と呼べるような状況だったようです。
ただし、Göran の声と Yngwie の音楽、その相性は素晴らしく、オール・スウェーデンで臨んだ “Eclipse”, “Fire & Ice” は北欧メタルの教科書として今や多くの人に溺愛されています。実際、”Eclipse” のダークでしかし煌めきに満ちた皆既日食の景色や、”Fire & Ice” のバラエティに富んだ一級品の旋律たちも、Göran の狂おしいまでの情歌によって北欧メタルのマイルストーンとなりました。
「これまで様々なプロジェクトやバンドに参加し、ゲスト出演なども行ってきたよね。そうしたボーカルのほとんどは、自宅スタジオで録音したものなんだ。ジャンルも多岐にわたるね。特に何かひとつを挙げるのは難しいけれど、KHARMA の “Wonderland” は間違いなく特筆すべき作品だと思うよ」
Yngwie と別れて以降、Göran はその才能をより幅広く開花させていきました。理想的な北欧メタルから GLORY が辿った変遷はそのまま、Göran の行く道を暗示していたのかもしれません(“Positive Bouyant” とか “Wintergreen” とか今聞くと素晴らしいですよ)。Göran の優しくソフトな歌声で人気を博した STREET TALK, プログレッシブ・サイドを探求した KARMAKANICK, そして何より Göran 自身が特別だと語る KHARMA の “Wonderland”。まるで QUEEN と STYX が北欧で出会ったかのような珠玉の一品は、アルバム1枚で終わってしまったのがあまりにも惜しいまごうことなき傑作。
そうして自然に歳を重ね、69歳となった今、Göran は HEADLESS というスーパー・バンドで本当に久々の来日を果たします。ELEGY や Neil Zaza のメンバー擁するバンドは、丁寧にプログレッシブなハード・ロックを作り上げ、Göran の今をしっかりと伝えてくれます。誰も年齢に逆らうことはできません。しかし、年齢に逆らわず、人生を抱きしめ、今の自分を抱きしめながら愛する音楽を続ける Göran の声に、私たちはロックの真髄を見るはずです。
今回弊誌では、Göran Edman にインタビューを行うことができました。「69歳という年齢になると、当然だけど音域も以前とは違ってくる。原曲からあまり大きく音程を変えてしまうと、僕の声の特徴が変わってしまい、ファンの人たちにも受け入れられないかもしれないし。以前、カバーのオファーをもらったこともあったけど、丁重に断ったんだよね。HEADLESS のセットリストに Yngwie のカバー曲が含まれている可能性はあるけど、それは例外的なケースなんだ」 どうぞ!!

HEADLESS “TRANSITIONAL OBJECTS” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【FIRSTBORNE : LUCKY】CHRIS ADLER’S TRIUMPHANT RETURN !


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH CHRIS ADLER OF FIRSTBORNE !!

“I had lost the joy of playing as I found it disappointing. This changed when I realized I had only been focusing on the things that dystonia had taken away – trying to find ways around it or force it to work. Once I turned my focus away from those very few things, I began to enjoy playing again and have found a new appreciation and love of the instrument and how creative I can be with it.”

DISC REVIEW “LUCKY”

「ミュージシャンズ・ジストニアやジストニア全般は、治ったり良くなったりするものではないんだ。僕はまだ、この病気に適応する方法を学んでいるところなんだよ。もう二度と自信を持ってできない動きもあるし、長い間とても憂鬱だった。またプレーしたいと思うようになるまでには時間がかかった。プレーする喜びを失い、失望していたからだ。
それが変わったのは、ジストニアによって奪われたものにばかり目を向けていたことに気づいたときだね。それを回避する方法を探したり、無理やり何とかすることばかり考えていたことにきづいたんだ。でも、そんなごくわずかな、ネガティブなことから目をそらすと、僕は再び演奏を楽しめるようになり、楽器への新たな感謝と愛情、そして楽器を使っていかに創造的になれるかを発見したんだよ」
病は誰にでも降りかかります…才能にあふれるミュージシャンにも分け隔てなく。あの Jason Becker が全身の筋肉が徐々に萎縮してしまう難病 ALS に冒された時、多くのファンは若きギターヒーローの過酷な運命を嘆き、彼の音楽人生は早晩、終わってしまうだろうと考えました。しかし、Jason は病と向き合いながら、多くの人の助けを借りながら、今もその美しい旋律を私たちに届け続けています。音楽に対する情熱、きっとそれが今も Jason を突き動かしているのです。
LAMB OF GOD で伝説となったドラム・ヒーロー、Chris Adler もまた、病に冒され、立ち向かい、共存しながら創造の翼を広げています。そう、音楽に対する情熱の炎は、過酷な病にも屈することはありません。何より、ヘヴィ・メタルには素晴らしきレジリエンス、回復力、反発力が宿っているのですから。Chris は楽器への愛情と感謝で憂鬱から立ち直り、FIRSTBORNE という新たなスタートを切ったのです。
「これまで僕がやってきたことと競争したくなかったんだ。好きな人たち、一緒にいたい人たちと一緒に新しいスタートを切りたかったし、単純に友人関係の調子やその場の雰囲気に音楽の方向性を委ねたかった。メンバーには、僕が以前やったことのコピーだけは禁止だと伝えた。この方向性がとても気に入っているよ。聴いていてとても楽しいし、子供の頃に聴いていて、音楽に関わりたいと思うようになった音楽をいろいろな意味で思い出させてくれるよね」
FIRSTBORNE の音楽は、LAMB OF GOD, TESTAMENT, PROTEST THE HERO, MEGADETH といった過去に彼が携わってきたエクストリームな音楽とは少し異なっています。”First-born” 、初めての子供というバンド名が表す通り、Chris は健康だった過去の自分と競うのではなく、病気と共に生まれ変わることを選びました。そうして、子供の頃に夢中になっていたハードロックを基盤に、スラッシュ、パンク、プログ、ブルースといった自らのルーツを配合し、新たな道を切り開くことに決めたのです。
相棒は、Ronnie Romeo と並んで今最もハードロックの真髄を体現できるシンガー Girish Pradhan、”ソフト・シュレッド” という新たなジャンルを確立したギタリスト Myrone、そして歴戦の強者 James Lomenzo。このメンバーから生み出される音楽に、情熱の炎が宿らないはずはありません。エナジーも、パワーも、フックも、テクニックも、メロディも、メタルを愛するものなら琴線に触れるものばかり。何より、Chris のタイトで正確無比なあの轟音が再び帰ってきた…その事実に私たちはただ、敬意と感謝を持ってこの “幸運” を噛み締めるだけなのです。
今回弊誌では、Chris Adler にインタビューを行うことができました。「LAMB OF GOD は僕のライフワークだったからね。僕はあのバンドにすべてを注ぎ込み、自分も含めてバンドのみんなのために懸命に働いた。 バンドの歴史を知っている人なら誰でも、僕がどれだけあのバンドに関わり、どれだけ献身的だったかを知っている。
あんなことが起こって、一緒に育った仲間と始めたバンドにもういないなんて、今でもショックを受けているよ。正直、奇妙なことだ。僕はバンドの誰とも連絡を取っていない…というか、このようなことが起きてからずっと連絡を取っていないんだ。こんなことになったから、連絡を取る必要性を特に感じているわけでもないしね」 Chris Adler…その情熱の炎、不死鳥の翼は決して燃え尽きない。どうぞ!!

FIRSTBOURNE “LUCKY” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【BLACKRAIN : CRACK THE SKY】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH SWAN HELLION OF BLACKRAIN !!

“Van Halen Debut Album Became a Big Thing In My World, The Sound Of The Guitar On This Album Is So Unique, There’s a Very Special Feeling Coming Out Of It, It Is Wild.”

DISC REVIEW “CRACK THE SKY”

「Jerem はまだ若いけど EVH の大ファンで、彼にとって大きな影響の源だよ。実は、この動画で僕らの音楽がより広い層に届くと期待していたんだ。素晴らしいギターソロは、ロックやグラムのコミュニティだけでなく、多くの人々の心を動かすことができるからね」
Eddie Van Halen が旅立って5年。そのユニークな音楽、哲学、サウンド、テクニックは、大いなる遺産、ロックの “導火線” となって今も人々の心を動かし、リアルタイムを知らない若い世代をもギターやメタルの沼へと引きずり込んでいます。ギター・ヒーローの類稀なる情熱と魔法は、先日インタビューを行った DERAPS の例を挙げるまでもなく、確実に多くの後続へと “継承” されているのです。
「VAN HALEN のファースト・アルバムは、若い頃にオリジナルのLP版を贈られてから、僕の世界で大きな意味を持つようになったんだ。このアルバムのギターの音は本当に独特で、特別な感覚があるよね。実に野性的だよ」
20年前、ここ日本のツアーからキャリアのスタートをきったフランスの BLACKRAIN。80年代のサンセット・ストリップを現代へと蘇らせる彼らは、紆余曲折を経て昨年再スタートを切りました。Jerem G という若き才能を得た彼らは、一度 VAN HALEN のファースト・アルバムという原点に戻り、再起を図ります。”Resurrection”。Jerem G がこの楽曲、このMVで魅せた姿には明らかに “Eruption” の情熱、野生、衝撃が宿っていました。今、この動画は様々なプラットフォームで拡散され、”バズって” います。そう、ギターの衝動は時にメタルのコミュニティを超越して “噴火” します。かつての VAN HALEN のように。
「現代の社会では、人々は何かに対して30秒以上の注意を払わないため、”メディオクリティ” “奇をてらわない良さ” “普遍的な素晴らしさ” が “大きな問題” となる。これが、今日あらゆる問題が蔓延する理由かもしれないよね。だからこそ、努力を重ねて一定のレベルに達し、夢を叶えた人々を見聞きすることは、確かに大切なことなんだ…」
長年こうしたサイトを運営していると、いかに現代が、もしくは SNS が “普遍” と相性が悪いかを思い知らされます。結局、”バズる” 記事は今や30秒、いや5秒で伝わる奇抜な “出オチ” のアーティストが大多数。もちろん、そうした前代未聞のアイデア自体は素晴らしいのですが、果たして “バズ” に “加担した” リスナーは彼らを末長く愛しているのでしょうか?まるでスタバの新作のように、ただ一度 “消費” してそれで終わりのような気がしてなりません。
スクロールで膨大な情報が現れては消える時代に、私たちのアテンション・スパンはどんどん短くなっていきます。そうした流れで、”メディオクリティ”、普遍的に長く愛せる音楽を私たちは見失いがちなのかもしれませんね。だからこそ、もし “当たり前にカッコいい” Jerem G の勇姿に感銘を受けたとしたら、彼らのアルバムにも目を向けて欲しいのです。そこには、80年代の巨人たちとも対等に渡り合える、情熱的な目眩くメタルの “普遍” が存在しているのですから。
今回弊誌では、フロントマン Swan Hellion にインタビューを行うことができました。「多くのギター・ヒーローや素晴らしい達人が存在したと感じてきたけど、僕の注意を引くのはごくわずかだった。多くの人が超高速でスケールを上下に弾くことができる中、僕は別の何かが必要だと思ったんだ。曲のために演奏し、音楽に本物をもたらすギタリスト、タッチやサウンドを持つギタリストこそが必要だとね。Jerem はその資質を持っている」 どうぞ!!

BLACKRAIN “CRACK THE SKY” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【DERAPS : VIVA ROCK N’ ROLL】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JACOB DERAPS OF DERAPS !!

“Van Halen Is a Huge Part Of My Life, What I’ve Become And What I’m Doing Today. I’m Glad I Got To See Them Live In 2012 For My 16th Birthday With My Dad.”

DISC REVIEW “VIVA ROCK N’ ROLL”

「VAN HALEN 78-84年は、史上最高のロックンロール・バンドだと思う。それがすべてだよ。彼らは他のどのバンドよりもロックの本質を体現し、表現していた。 そして、ロックにとって何一つ欠けるところのないトータル・パッケージだったね。曲作りであれ、技術力であれ、サウンドであれ、カリスマ性であれ、彼らはすべてを持っていたんだ」
Eddie Van Halen の死は、あまりにも衝撃的で、悲しく、そしてロックやメタル、ギターにとって致命傷にも思える大打撃でした。なぜなら、VAN HALEN と Eddie はすべての始まりであり、そして理想型だったから。誰もが口ずさめるメロディ、ひねりの効いたフックのある楽曲、ゴージャスなアピアランスとステージング、そして革命的なテクニック。そんな奇跡と魔法のトータル・パッケージが、Eddie の笑顔と共に失われてしまった…多くの人がそう感じて、巨大な喪失感に襲われたのです。
しかし、Eddie は “情熱” という素晴らしい遺産を残してくれていました。例えば、Nuno Bettencourt は、Eddie の死で次のギターヒーローの盟主へと着任する腹をくくり、実際 Eddie のギターや音楽への情熱を受け継ぐ傑作でロックの灯火をつなぎました。息子である Wolfgang Van Halen や Eddie を崇拝する Jeff Waters (AMERIKAN KAOS が素晴らしい!) もその灯火を明々と燃やします。そして今、Eddie の情熱を胸いっぱいに吸い込んだ若武者が、世界にロックの復権を叫びます。DERAPS の登場はギターとロックの世界にとって、まさに事件です。
「70年代や80年代のようなギターがベースとなったロックを作るバンドがもっと増えてくれると嬉しい。 最近のほとんどのロックバンドのように、パワーコードとドラムのサンプリングだけでなく、興味深いリックやソロ、ユニークな生のトーンのあるリフ重視の音楽がね」
ロックとメタル、そしてギター世界は多様化の道を歩み、プログレッシブだったり、革新的だったり、エクレクティックだったり、電子音を基盤としたり、伝統音楽に根差したり…枝葉のように別れた家系図のその先で様々に情熱を傾ける人たちがいます。
しかし、原点であるフラッシーなソロや脳髄を叩き割るようなリフ、そしてアリーナを釘付けにするような華麗なパフォーマンスに耳馴染みの良いメロディ。そんな、Eddie が情熱を注いだハードロックの王道を追求する若者は決して多くはありませんでした。だからこそ、まだ20代にして “本物” の風格を備えた DERAPS と今回のインタビューイ、新たなるギターヒーロー Jacob Deraps の登場はあまりにも尊いのです。
「100%、David Lee Roth だ! 彼は歌えないなんてよく言われているけど、それは単純に真実じゃない。78年から81年にかけてのツアーで彼は、ライヴで狂気の叫びを上げ、ステージと観客を圧倒していた。 彼が優れていたのは声域の広さではなく、さまざまなトーン、色彩、ユニークな音を出していたことだ。 彼自体がキャラクターであり、完全に際立っていて、Eddie のギター・サウンドと同じくらい認知されていたよね」
VAN HALEN の申し子と謳われる DERAPS の実力は圧倒的です。”Last Fall” を聴けば、いかに彼らが あの “伝説の爆撃機” に薫陶を受けているのか伝わるはずです。重要なのは、彼らが David Lee Roth 時代の “生の” エネルギー、アクロバティックな咆哮、ハイエナジーなロックの源衝動を大切にしていること。まるでここから再び “炎の導火線” に火がつくような情熱の再発明はあまりにも肉感的。Jacob のギターには Eddie の魂が乗り移り、あの独特のタイム感と魔法が時代の “戒厳令” を突破して蘇ります。
とはいえ、DERAPS は決してコピーキャットではありません。Jacob のギターからはあの Yngwie Malmsteen や Slash, Randy Rhoads の足跡も感じさせますし、何より同じカナダのトリオ (DERAPS は今はベーシストが脱退して二人組ではありますが)、TRIUMPH のさりげない小曲や清爽なるメロディ、さらには RUSH のプログレッシブさえ彼らは飲み込んで、”Viva Rock N’ Roll” という決定的なロック讃歌を2025年に叩きつけたのです。
今回弊誌では Jacob Deraps にインタビューを行うことができました。「Eddie の死を聞いたとき、僕は完全に打ちのめされたよ。突然、大好きなバンドと音楽が正式に過去のものになってしまったような、不思議で悲しい気分だった。VAN HALEN は僕の人生、今の僕、そして今やっている音楽の大部分を占めている。僕は2012年、16歳の誕生日に父と一緒に彼らのライブを見ることができて本当によかったと思っているよ」 もしかすると、一周回ってこれが “新しい” となるやもしれませんね。どうぞ!!

DERAPS “VIVA ROCK N’ ROLL” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SIGN OF THE WOLF : SIGN OF THE WOLF】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH TONY CAREY OF SIGN OF THE WOLF !!

“In The Original Era, 60s, 70s, and 80s, The Music Was New And The Style Was Being Invented. It’s Now 50 Years Later For Me – I Joined Rainbow In 1975 – And The Bands I Hear Today Aren’t Inventing Anything. That’s The Difference.”

DISC REVIEW “SIGN OF THE WOLF”

「Ronnie の声?まさに最高の一人だよ。人として?彼は僕より14歳年上で、叔父さんのような存在だった。Ronnie も Wendy Dio も素晴らしい人たちだったし、彼は僕と同じアメリカ人だったからね。僕はイギリス人ミュージシャンと仕事をしたことがなかったから、バンドにもう一人アメリカ人がいたことは大きな助けになったんだよ」
70年代/80年代を象徴するハードロックについて語るとき、RAINBOW の “Rising”、BLACK SABBATH の “Heaven And Hell”、DIO の “Holy Diver” が挙がることは間違いないでしょう。共通項はもちろん、伝説のボーカリスト Ronnie James Dio の存在。彼の歌声、彼の魔法、彼のファンタジーが失われて久しい2025年の暗闇に虹をかけるような傑作が、Ronnie を愛する人々の手によって生まれました。SIGN OF THE WOLF。彼の掲げるメロイック・サインに集いし者たち。
「オリジナルの時代…60年代、70年代、80年代は、音楽が新しく、スタイルが発明がどんどん発明されていった。僕は1975年に RAINBOW に加入したんだ。それから50年が経って…今僕が耳にする新しいバンドは何も発明していない。それが違いだと思うよ」
この美しいプロジェクトは、Firework Mag の Bruce Mee の発案で始まりました。”Tarot Woman” のイントロ、Tony Carey の幽玄神秘なキーボードが彼をハードロックに引き込み、Ronnie の圧倒的な歌声に忠誠を誓いました。そうして長年音楽業界に身を置く中で、今回のインタビューイ Tony Carey と同く、現代のハードロックにどこか物足りなさを感じるようになったのです。かつての、個性的で、音楽の発明が各所に散りばめられた壮大なるメロディの園を甦らせたい。そうして彼は Tony Carey をはじめ、温故知新で才能豊かなアーティストを集めることに決めたのです。
「このプロジェクトにはたくさんの才能があるし、僕はとにかく、Doug Aldrich と Vinnie Appice と一緒にやってみたかったんだ」
ドラム・キットの後ろには、”Mob Rules” や “Holy Diver” など数多のマイルストーンでエンジンとなった Vinnie Appice が鎮座し、Chuck Wright や Mark Boals といった名手とタッグを組みます。リード・ギターは Doug Aldrich。ご承知の通り、WHITESNAKE に再び魂を込め、DIO を復活に導いたカリスマにして、真のギターヒーロー。
もちろん、Ronnie James Dio の歌声は誰にも代えられませんが、ここでは全曲に Andrew Freeman が参加。Vivian Campbell が DIO を受け継ぐ LAST IN LINE (“Ⅱ” の素晴らしさは筆舌に尽くしがたい) でボーカルを務める Andrew の実力は本物。良い意味で “ジェネリック・ディオ” ともいえる彼のキャッチーな力強さは、SIGN OF THE WOLF の音楽に真のフックと重厚さを与えています。そこに、Doug や Vinnie と演奏をしてみたかったと語る RAINBOW のレジェンド Tony Carey が合流。絶対的なハードロックの金字塔がここに誕生しました。
「”Rising” がこんなに長く愛されていることに驚いているよ。たいていのレコードは2~3年で忘れ去られてしまうものだからね。”Rising” はほとんど50年も人々の記憶に残っているんだから」
実際、Tony の参加した “The Last Unicorn” や “Rage of Angels” では、まさに “Tarot Woman” や “Stargazer” が放っていた神秘的で荘厳なロックの魔法が降臨しています。まだ鍵盤がロックの中心にいた虹色の時代。ただし、アルバムは RAINBOW のみならず、”Arbeit Machat Frei” では THIN LIZZY を (まるで Doug の BAD MOON RISING の3rd のようでもある)、”Silent Killer” では DIO を、そして壮大なタイトル・トラックではあの名曲 “Heaven and Hell” をも探訪して、ロックやメタル、その革命の炎を今でもあかあかと燃やせることを証明するのです。Steve Mann や Steve Morris, Mark Mangold の美学が炸裂するメロディックな楽曲もまた素晴らしい。
今回弊誌では、Tony Carey にインタビューを行うことができました。「実は、RAINBOW のライブは、スタジオでの RAINBOW とはまったく違っていたんだ。コンサートではハモンドをたくさん弾いたけど、レコードではほとんど弾かなかった。”Rising” と “Long Live Rock and Roll” のレコードは、ハモンドの代わりにギターのオーバーダブがほとんどだったんだ。だから僕たちのライブ・サウンドはスタジオとはとても違っていて、そのライブ・サウンドこそが僕にとっての RAINBOW だったんだ」本物にしか作りえない本物のハードロック・アルバム…Dio といえば “Dehumanizer” の再評価も進んで欲しいと祈りながら…どうぞ!!

SIGN OF THE WOLF “S.T.” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【MIKAEL ERLANDSSON : THE SECOND 1】 “THE 1” 30TH ANNIVERSARY


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MIKAEL ERLANDSSON !!

“Melodic Hard Is My ”Backyard” And My Home! I Will Continuing Doing This Til The Day I Die. Doesn’t Matter If It’s Popular Or Not – For Me It’s My Music Lifestyle – Love It !!!”

DISC REVIEW “THE SECOND 1”

「メロディック・ハードロックは私の “バックヤード” であり、私の家なんだ!だから、死ぬまでやり続けるつもりだよ。人気があろうがなかろうが関係ない!私にとって、この音楽はライフスタイルなんだ。ただ、愛しているんだよ!」
“ダサい” 音楽とは何でしょうか?流行や時代にそぐわない音楽のことなのでしょうか?だとしたら、たしかにメロディック・ハードロック、通称メロハーは “ダサい” 音楽なのかもしれません。ただし、もし、”ダサい” が情熱や信念もなくただ時流に乗るだけの、名声、金、モテを欲するポーザーを指すとしたらどうでしょう?明らかにメロハーは “ダサい” から最も遠い場所にいます。なぜなら、大きな名声や金銭は今の時代、メロハーでは得られないものだから。
それでも北欧の貴公子 Mikael Erlandsson がこの音楽をやり続けるのは、メロハーが、美しい旋律がただ好きだから。あの傑作 “The 1” から30年。ついにリリースされる続編 “The Second 1” には、長い月日を経ても枯れることのなかったメロハーに対する愛や情熱が溢れています。
「私は美しいメロディーがただただ大好きなんだ。そしてそれは、私の頭の中で常に鳴っている。メジャー・キーでもマイナー・キーでも、音楽のルールにとらわれず、自分なりのやり方でやるのが好きなんだよ」
1994年、ゼロ・コーポレーションからリリースされた “The 1” はメロハーを定義づけるレコードの一枚となりました。ハードな曲もソフトな曲も、メジャー・キーでもマイナー・キーでも貫かれる旋律の審美。
もちろん、アップテンポでハード、北欧の哀愁が浸透した “It’s Alright” は特にここ日本で爆発的な人気を得ましたが、それだけではありません。例えば “Show me”, “Reason” のようなおおらかなメロディの泉や、”Wish You Were Here”, “Life is a Hard Game to Play” のようなクリスタルで澄み切った北欧の景色に “We Don’t Talk Anymore” のタンゴまで、Mikael のハスキー…ボイスが紡ぎ出すメロディはすべてが珠玉で、ジャンルの醍醐味を心ゆくまで見せつけてくれたのです。
「私は自分をシンガーソングライターとして見ているんだ。そして自分のやっていることを愛している。そうした有名になることについて、ただ興味がないんだよ。だから、人気があろうとなかろうと、これからも音楽を続けていくつもりだよ。自分のため、そして私に興味を持ってくれる人のために」
世界が音楽だけに収束していくような “C’est la vie” を聴けば、メロディがゆっくりと密やかに孤独を癒してくれるような “Paper Moon” を聴けば、Mikael のメロハーに対する情熱が些かも衰えず、むしろ今もなお燃え盛っていることが伝わるはずです。
ここには、LAST AUTUMN’S DREAM, AUTUMN’S CHILD, SALUTE など紆余曲折を経ても守り続けた美旋律の牙城が堂々と鎮座しています。メロハーは今や万人受けでも、時代の万能薬でもありませんが、それでも “Put Some Love In the World”、ほんの一欠片の愛情を、優しさを世界にお裾分けすることならできるはず。暗い時代に Mikael はそう信じて、明日も歌い続けるのです。
今回弊誌では、Mikael Erlandsson にインタビューを行うことができました。「日本は私にとって…本当にすべてなんだ。私の音楽を最初にリリースしてくれた国だから。”The 1” がすべての扉を開けてくれた。このアルバムをとても誇りに思っている。最初からね。もともとはただのデモだったものなんだ。でも、なんとかリリースにこぎつけることができた。その日から、私はほぼ毎年アルバムをリリースしているんだ!」 どうぞ!!

MIKAEL ERLANDSSON “THE SECOND 1” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CHET THOMPSON : STRONG LIKE BULL】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH CHET THOMPSON !!

“On The Piano The Bass Lines Are Played With The Left Hand And Treble Lines Are Played With The Right Hand. I Had To Turn The Guitar Upside Down On Its Headstock So I Could Tap Out The Lines The Same Way a Pianist Would.”

DISC REVIEW “STRONG LIKE BULL”

「僕のサウンドは、人と違う音を出したいという欲求から生まれているんだ。僕のギターはアクションが高く設定されていて、とても弾きにくいんだ。アクションを低く設定すると、他の多くのプレイヤーと同じような演奏になってしまうからね。僕はスケールやアルペジオ、弦のスキッピングをとても速く弾けるから、もし弾きやすいギターを自由に弾かせたら、他の人と同じようなサウンドになってしまう。だからその代わりに、自分が欲しいトーンを得るためにギターと戦わなければならないようにしている。自分にとって弾きにくいギターを作るんだ。もしそれが、太いトーンのためにリードの流動性を犠牲にすることを意味するなら、そうすればいいとね」
SNSやストリーミングの普及によって、ギターの探求はより身近で、簡単なものへと変わりました。音や弾き方の正解がそこかしこにあふれる世界で、ギターの敷居はかつてないほどに下がり、誰もが最速で上達できる環境が整っています。しかし、正解だけが、効率だけが、ステレオタイプだけが求められるギター世界は、本当に魅力的なのでしょうか?
「1980年、兄がピアノでモーツァルトを弾いているのを聴いているときに、逆さ両手タッピング奏法を思いついたんだ。ピアノでは低音は左手、高音は右手で弾く。だから私は、ピアニストと同じようにラインをタッピングできるように、ギターのヘッドストックを逆さまにしなければならなかったんだよ」
Randy Rhoads の弟子として知られる Chet Thompson は、決して効率的なギタリストではありません。ギターは重くて速弾きに向かないレスポール。太い弦を張り、さらにその弦高をわざと高く設定して、流動性を犠牲にしながらファットなトーンを追求します。それはギターとの戦い。効率や正解などクソ食らえ。自分が思い描いた理想を具現化することこそがギタリズム。そこから生まれる個性こそがギターの楽しさであり、多様性。そうして、Chet の類まれなる個性、反効率の精神はついにギターを担ぐことに集約しました。
ギターをピアノに模して弾く。Stanley Jordan をはじめ、両手タップでギターを奏でるプレイヤーは何人かいます。しかし Chet はそれだけでは飽きたりません。ピアノと同様、右手で高音を、左手で低音を奏でるためにギターを肩へと担ぎ上げたのです。効率は最悪でしょう。誰もそんなことはやりません。しかし、誰もやらないからこそ意味がある。すぐに彼の音だとわかる。それは、今のギター世界から失われてしまった魔法なのかもしれません。
「Youtuber から音楽を学ぶことについてどう思うか、という質問に対する僕の答えは簡単。ただ楽しんで曲を覚えるだけならいいけど、自分のスタイルを作りたいなら、自分だけのサウンドとスタイルを作る長い旅に出なければならない。Randy Rhoads はいつも、彼から学んだことを自分のものにしなさいと言っていた。だから、Randy のそのアドバイスを受けとることを勧めるよ」
妻の死に衝撃を受け、セラピーのため久々にギターを手に取り生み出したソロアルバム “Strong Like Bull”。アルバムには、喪失に打ち勝つ牛のような強さと共に、教えを受けた Randy Rhoads, Eddie Van Halen の哲学が織り込まれています。Djent やギターの進化を認めながらも、記憶に残るソロや耳に最も心地よいノーマルチューニングでのグルーヴにこだわる Chet のギタリズムは、よりポップに、流麗に、その歌声と共に明らかな進化を遂げています。実際はそんなにギターを担がないけれど、それでも十二分に個性的かつ魅力的。あの時代にこれをやっていれば、また違う未来もあったのかもしれません。それでも Chet はまだギターを置いてはいません。もしかすると、それだけで十分なのかもしれませんね。
今回弊誌では、Chet Thompson にインタビューを行うことができました。「Randy に学んでいたとき、ジャムったときにとてもクリエイティブなリードを思いついたから、彼に最高の生徒だと言われたんだ。どうやってアイデアを思いつくのかと聞かれたから、クラシック・ギターも勉強していると答えたよ。すると彼は目を輝かせて、そのクラシック・ギターの先生を紹介してくれと言ったんだ。僕は Randy にクラシック・ギターの先生を紹介し、彼はその先生に師事することになった。だから Randy の Ozzy とのプレイや、HELLION の “Screams in the Night” のレコードに収録されている僕の曲のいくつかには、クラシックの影響が見て取れるわけさ」 どうぞ!!

CHET THOMPSON “STRONG LIKE BULL” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【FIFTH NOTE : HERE WE ARE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH FIFTH NOTE !!

“We Don’t Know If We Can, But We Try To At Least Make Rock Scene Enjoyable Without The Use Of Alcohol Or Drugs, Or Even Sex.”

DISC REVIEW “HERE WE ARE”

「僕たちは、州内だけでなく、世界的に知られるバンドになりたいんだ。僕たちは西洋のスタイルにとても影響を受けているけれど、自分たち独自のプレイも創り出そうとしている。アルバム・タイトルの “Here We Are” “僕らはここにいる” は、そうした僕たちのモチベーションを端的に表しているんだよ。僕たちは、魂に平和や癒しをもたらすような良い音楽を作りたいと思っているんだ。そして、僕たちの音楽で世界にインパクトを与えたいと願っているんだよ」
インターネットや SNS の登場、進化によって、音楽は世界中のものとなりました。これまで、決してスポットライトが当たらなかったような僻地からも発信が可能となり、人種、文化、宗教の壁を超えて多くの人の耳に届けることが叶う世の中になったのです。特に、メタルの生命力、感染力、包容力は桁外れで、思わぬ場所から思わぬ傑作が登場するようになりました。
「FIFTH NOTE と ABOUT US は、お互い西洋音楽の影響を多く受けているのは同じだね。その上で、僕たちナガ族は美しいメロディーを作るのが好きなんだ。また、トニック・ソルファ (相対音感) のような独自の音楽アレンジもあるからね。そうした美しいメロディやアレンジは、きっと深く僕らのルーツに刻まれているんだろうな」
近年、そうしたメタルの “第三世界” で特に注目を浴びているのがインドです。いや、もはや国力的にも、人口的にも、文化的にも第三世界と呼ぶのも憚られる国ですが、ここ最近、メタルの伸張は並々ならぬものがあります。ボリウッドを抱きしめた BLOODYWOOD の大成功は記憶に新しいところですが、それ以外にも様々なジャンル、様々な地域でまさに百花繚乱の輝きを放っているのです。中でも注目したいのが、インド北東部のナガランド。かつては首狩りの慣習もあったというナガ族が住むこの地域は、文化的にも民族的にも音楽的にも、インドのメジャーな地域とは異なっていて、だからこそ、この場所のメタルは独自の進化を遂げることができたのかもしれませんね。
昨年紹介した ABOUT US にも言えますが、ナガ族のメタルはメロディが飛び抜けて強力。さらに、かつて天空の村に住む天空族と謳われたその二つ名を字でいくように、彼らは舞い降りたメロディをその際限なきハイトーンの翼で天へと送り返していきます。
「一般的にロックというと、ハードコアでワイルドで暴力的な人たちや、道に迷っているような人たちが、エクストリームな音を通して怒りを表現し、怒りで痛みを解消しようとするものだ。そのような中で、僕たちは、道に迷ったり、君が挙げたような問題を抱えた人々に、自分たちは孤独ではないということを伝えたいんだよ。僕たちの前向きな音楽が彼らの痛みや問題を和らげてくれることを願っているんだ」
そこには、ナガ族の90%が敬虔なクリスチャンであるという事実も関係しているのかもしれませんね。インドの多くの新鋭がエクストリームなサウンドで人気を博す中で、FIFTH NOTE はプログレッシブ・ハードという半ば死に絶えたジャンルで世界に挑んでいます。ただし、このジャンルでは、暴力も、ドラッグも、セックスも、決して幅を利かせてはいません。必要なのは、ポジティブな光と知性、そして複数のジャンルを抱きしめる寛容さ。つまり、洗礼を浴びた FIFTH NOTE にとっては追求すべくして追求したジャンルでした。
「僕らがクリスチャンであるという事実、クリスチャンとしての倫理観は、僕らにもっと良いことをしようというモチベーションを与えてくれるんだ。できるかどうかはわからないけど、少なくともロックシーンをアルコールやドラッグ、あるいはセックスを使わずに楽しめるものにしようと努力しているよ」
理想は追求しなければ実現しない。インドに、そして世界に不公平や抑圧、犯罪に暴力が蔓延っていることは、当然彼らも知っています。しかし、暴力は暴力では解決せず、怒りに怒りをぶつけることがいかに愚かであるかも彼らは知っています。だからこそ、FIFTH NOTE はセックス、ドラッグ、ロックンロールという乱暴なステレオ・タイプを破壊して、メタルは “ストレート・エッジ” でも存分に楽しいことを伝えようとしています。それが世界を前向きに変える第一歩だと信じながら。
そしてその野心は、TNT, CIRCUS MAXIMUS, STRYPER, TOTO といった一癖も二癖もあるような英雄を、旋律や知性、そして耳を惹くキャッチーなサウンドで今にも凌駕しそうな彼らの音楽なら、 実現可能なのかもしれませんね。
今回弊誌では、FIFTH NOTE にインタビューを行うことができました。「ナガランドは丘陵地帯が多く、部族が多く住んでいる。そのため、音楽はほとんどが民族音楽なんだ。しかし、西洋の侵略が進むにつれて、そうした音楽はかなりポピュラーになっていった。だから伝統音楽と同様に、ロックやメタルも僕たちに大きな影響を与えることになったんだ」 どうぞ!!

FIFTH NOTE “HERE WE ARE” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ROBBY VALENTINE : EMBRACE THE UNKNOWN】 “MAGIC INFINITY” 30TH ANNIVERSARY


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ROBBY VALENTINE !!

“What Will It Take To Make The Younger Generation Understand That Life Is Not About Views And Likes. That The Only Way For Fulfilment, Love And Reality Is That You Follow Your Own Path, And Do The Things Your Deepest-self Wants You To Do And Go For.”

DISC REVIEW “EMBRACE THE UNKNOWN”

「僕にとっての成功とは、商業的な成功や売り上げで測られるものではなく、もっと芸術的なもの。若い世代に、人生は再生回数や “いいね!” の数ではないことを理解させるには何が必要だろうか。充実感、愛、そして現実を手に入れる唯一の方法は、自分自身の道を歩み、心の奥底にある自分の望みを実現することなんだ。つまり、自己実現だね。だけど今は、携帯電話やソーシャルメディア、スマートデバイスが普及し、自分の内なる声を聞くことはほとんど不可能になってしまっているんだ」
Robby Valentine。オランダの貴公子、旋律の魔術師の二つ名を持つ眉目秀麗の美男子は、しかしその端麗なルックスからは想像もつかないほどの芯の強さと回復力を兼ね備えています。思えば、今年30周年を迎えたプログ・ハードの傑作 “The Magic Infinity” は、あと数年早ければ彼をロックスターの座に押し上げたはずですし、そのゴージャスな出立ちも時代が時代ならば世界中に信者を増やしたに違いありません。しかし、世はスマホもネットもないグランジが席巻した90年代初頭。Robby の音楽や容姿、言葉は、世界中からダサい、クサい、時代遅れだと切って捨てられてしまったのです。真の音楽とは、タイムレスで、内なる自己実現の賜物であるにもかかわらず。
「日本は僕にとってオアシスだった。長髪、化粧、その他もろもろのせいで、オランダでは信じられないほど苦労した。でも、日本のバンドと比べると、まったく着飾っていないほうだったよ。X Japan のようなバンドのルックスは大好きだった」
そんな苦境にあって、日本だけは Robby Valentine を抱きしめました。”No Turning Back” のドラマに熱狂し、”The Magic Infinity” の幻想美に唸り、”Over and Over Again” の旋律に涙する。ただ、天才的なメロディ・メイカーであるだけでなく、彼は卓越したマルチ・プレイヤーで、挑戦的な作曲者で、日本が発掘した QUEEN の崇拝者でもありました。そして幸運なことに、世界のトレンドや他人の趣向にそれほど左右されなかった当時の日本には、Robby を受け止める土壌がありました。
まだ、日本が “いいね!” に支配されていなかった時代。そうして、もしかすると消えていたかもしれない才能は、遠く離れた島国との蜜月によって力強く生き残りました。Robby は持ち前の諦めない芯の強さと、メタルの回復力、反発力によって自らの “成功” を勝ち取ったのです。
「僕の視覚は今はもう2%くらいしかないんだ。片目でぼんやりと見える程度だね。この視覚的なハンディキャップによって、僕はより内面的な世界に入ることを余儀なくされている。技術的には多くのものを失ったよ。でもね、そのおかげで演奏に深みが出てきたんだ」
数奇な運命によって多くの苦境や壁にぶち当たる天才が、近年襲われたのが目の病です。コロナ禍で診察ができず、ほとんど失明に近い状態に陥ったプリンスは、しかし今回も諦めてはいません。神がかったテクニックを失い、レコーディングに以前の5倍の時間を要するようになった今でも、Robby は音楽を愛していて、ライブにワクワクして、演奏に深みが出たとまで言い切ります。”Embrace The Unknown” “未知を抱きしめよう”。新作のタイトルは、Robby とメタルのそうしたレジリエンスを如実に反映しています。そして、苦境を力に変える Robby の “魔法” は、かつて日本が彼を “抱きしめた” のと同じように、未知の “暗闇” をも抱きしめ、光と色彩に変えたのです。
「音楽と芸術一般は常に逃避場所で救いであるべきだよ。ただ、僕がやっているのは、音楽において自分の最も内側にある感情に従うことだけだ。聴く価値のある音楽は、精神ではなく心から来るものだけだと、僕は感じているからね」
そうして Robby は、この寛容で、優しく、多彩で、色彩豊かなアルバムにおいて、未知なる他者、未知なる文化をも抱きしめようと呼びかけます。もちろんここには、QUEEN, BEATLES, ELO, THE BABYS, スウィング、クラシックにブロードウェイ、そして渦を巻く鍵盤と壮大なコーラスが認められています。ただし、それはあくまで旅の道標。貴公子が触れればそれらはすべて、Robby の色に染まります。私たちは、このシアトリカルでドラマティックなヴァレンタイン劇場を待っていました。同時に、視力を失ってもよい夫でいられるだろうか、よい父でいられるだろうか、よい音楽家でいられるだろうか…そうした不安をすべて曝け出した “伝記的” アルバムで、彼は真の感情を見つけ、苦悩し、表現し、それでも寛容な未来に光を見出すのです。
今回弊誌では、Robby Valentine にインタビューを行うことができました。「この25年間、ラジオから流れてくるレコードの中で、音声補正やオートチューンによって台無しにされていないものはほとんどない。僕らはみんな、クソロボットたちの音楽を聴いているだけなんだよ。だから、僕はそこから手を引いて、自分のやるべきことをやっているんだ」 ヘヴィ・ロックとプログ、そしてポップスの境界線を破壊した天才の新たなる傑作。どうぞ!!

ROBBY VALENTINE “EMBRACE THE UNKNOWN” : 10/10

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