COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【PARADISE LOST : ASCENSION】 JAPAN TOUR 26′


COVER STORY : PARADISE LOST “ASCENSION”

“Ironically, miserable music is always the most fun to listen to and the most fun to write.”

ASCENSION

「雨が好きなんだ」
Nick Holmesは、惨めな気分でいる方が楽な場合が多いそうです。そして、PARADISE LOST の長いキャリアを少しでも追ってきた人なら、これは自明の理だといえます。1988年にヨークシャーのハリファックスで結成され、デスメタルとスラッジ、ドゥームの暗黒が融合した1990年のデビューアルバム “Lost Paradise” 、そしてゴシック・メタルの名となり、定義付けとなった続編 “Gothic” で世界にその名を轟かせて以来、彼らはつねに暗い雲に覆われ続けています。
彼らの最新作 “Ascension” は、だからこそ当然のように、まさにそんな、いつも通りの暗雲メタルです。つまり、PARADISE LOST は長年にわたりデスメタル、シンセ、アリーナ・ロック、スラッジ、ドゥーム、エレクトロニカなど、さまざまなジャンルを巧みに操ってきましたが、彼らの中には常にダークな芯が宿っていたのです。
「ヨークシャーがなぜ悲惨なメタルの温床になっているのかはわからない。 暗い、悪魔のような工場や天候と関係があるのかもしれない。 スウェーデンも同じだ。 スウェーデンはとてもダークなバンドを何組か育てたが、あそこは天気もよく似ているんだ!
それに、狭い街だから、僕の母の寝室の窓から MY DYING BRIDE の Aaron Stainthorpe の家が見えたくらいでね」
言い換えれば、そうした暗い気候と地理が、彼らをメタル世界において特別な存在に押し上げたのです。ヨークシャーのアンダーグラウンド・レーベル、ピースヴィルが擁する “ドゥーム・ビッグスリー” の一つとして、MY DYING BRIDE、ANATHEMAと共に彼らは、悲しみに浸り、それを鍛鉄のような重厚さで表現する、実に英国的で異端で革新的なサウンドの構築に大きく貢献してきました。
晴れも嫌い。王道も嫌い。レジリエンス、反発力といえば聞こえはよいですが、Nick Holmes は天性の天邪鬼なのかもしれません。
「ヘヴィ・メタルが好きになったのは、メタルがみんなに嫌われていたからだ。 いつも嫌われていた。 反抗的な感じがした。町中でメタルが好きな奴は2人くらいしかいなかったかもしれない。それが好きだった。 自分の小さなチームを持っているような感じだった。僕らが考えていたのはそれだけだったんだ。目が覚めて、寝る瞬間まで。メタルとデスメタルのことしか考えてなかったんだ!」

その小さなチームは活動を続ける中で、Ville Valo のようなダークな音楽の実践者たちに多大な影響を与えるようになり、CRADLE OF FILTH, OPETH, GREEN LUNG, GATECREEPER など、様々に多くのバンドが PARADISE LOST の悲しみや暗がりにインスピレーションを見出してきたのです。
“Ascension” でその陰鬱さは、かつてよりも年老いた、今の Nick Holmes によって表現されています。
「人生、不幸、幸福、死、そしてそれらに伴うあらゆることを、50代半ばの男の視点から見ているんだ。僕が最後にアルバムを作ったのはいつだったか分からないが、それって40代後半の男の視点とは正反対なんだ。50歳になってから、時間がどこへ消えるのか分からなくなってしまった。本当に恐ろしい。学校の6週間の休暇は永遠に続くように感じたよね?でも今は6週間なんて一瞬だ!
ただ、人生観はあまり変わっていない。音楽も歌詞も相変わらず悲惨だ。物事に対してかなりシニカルなところがある。昔からずっとそうだ。死ぬのが特に怖くない。若い頃は怖かったけど、今は特に気にしない。だから、そこは変化だね(笑)。物事に対して…静かに楽観的になるのが好きなんだと思う。でも、歌詞でそれを表現することはあまりないけどね!」
ただし、皮肉たっぷりのユーモアのセンスも持ち合わせている Nick は、実は同世代の中ではかなりエネルギッシュで元気なほうだと自認しています。
「周りの人たちは、僕よりずっと暗くて嫌味な人が多いことに気づいた。仲の良い友達の多くが、本当にそういう風になって、すごく意地悪になった。実は僕はそこまでひどい人間じゃないと思うんだ」
暗い時代だからこそ、PARADISE LOST にファンは今も悲惨さを期待しているのかもしれません。
「人々は僕らがもっと惨めになることを期待しているはずだ (笑)。”Ascension” というアルバムのタイトルは、地上から天国までの道中で、より良い場所に昇っていくという信念と、死という報酬をテーマにしている。実生活では、人は多くの場合、人生唯一の報酬が死であるという事実にもかかわらず、生まれたときからより良い場所に到達しようと努力し、なぜかより良い人間になろうと努力するよね」

PARADISE LOST がどこへ行こうとも、たとえ曲自体は変わっても、あのほとんど喜劇的なまでの悲惨さはずっと付きまとってきました。圧倒的な初期を経て、彼らは1993年の “Icon” と大ヒットを記録した続編 “Draconian Times” でスタジアム・ゴスメタルに転向し、1998年の当時物議を醸した “One Second” とそれに続く “Host” では DEPECHE MODE 風のエレクトロニクスを披露。髪を切り、ギターを削ぎ落としました。そうして近年は、彼らのトレードマーク・サウンドに初期のエッジを融合させる才能を発揮しています。今や彼らは “完全に元に戻った” と Nick は言いますが、いずれにせよ、PARADISE LOST の個性は常にそこにあったのです。
「僕たちは今でもデスメタル・キッズなんだ。そのルーツは決して消えたことはない。髪型をちょっといじっていた頃でさえ、その頃は棚上げになっていただけで、今は確実に復活しているんだ。
僕はダークな映画が好きなんだ。僕はいつも同じ作品を勧めるんだけど、”The Hereditary 継承” だ。あの作品が公開されてから何年も経つけど、僕はまだあの映画を、現代ホラーの文脈において、本当にある意味不気味なものの一種のベンチマーク映画だと考えているからね。ヘヴィ・メタルにハマる前はホラーが好きで、だから VENOM のようなハードなバンドには自然とハマっていった。でも、あの頃のデスメタル・キッズは僕の中に今でもまだいるし、Greg の中にもいる。それは決して消えることはないんだ」

しかし、人々はそうした彼らのメタル魂を見抜けていませんでした。ある時期、彼らを終わった存在、つまりルーツから大きく離れすぎていると見なす者も多く存在したのです。文字通り、まさに “Believe In Nothing” の時代。
「奇妙な時代だった。インターネットもなかった。でも、もしネットがあったらネガティブなコメントが殺到して、サーバーがダウンしていただろう。
僕たちはかなり混乱していた。蜂がたくさん描かれたアルバム・カバーは覚えている。デザイン会社と仕事をしていたんだ。確か、OASIS の最初の数枚のアルバムをデザインした会社だったと思う。OASIS にとっては素晴らしい仕事だったけど、僕たちにとっては…とにかく奇妙な時代だった。あのカバーは、俺たちの脳内で何が起こっていたかを象徴しているような感じだったね。
今なら気楽にふらりと別の音楽に立ち寄って、普段の領域から少し外れたことをすることもできる。でも当時は、メタルを作るならメタルだけしか許されないような感じだった。それ以外のものを作ると、呪われてしまったんだ!
僕らのオリジナリティは演奏スタイルに現れることが非常に多い。 メタルは “創造性” に関してガラスの天井があり、ファンもあまり実験的なことを好まない傾向があったからね。でも僕にとっては、本当に曲がすべてなんだ。 力強い詩とコーラスがある良い曲を聴きたいんだ。 ギターの神様やヴォーカル・ジムナスティックスなどには興味がない。 最後はいい曲がいつも勝つんだから」
とはいえ、そうしたメタルにとっての異端な作品を残したことを、彼らは後悔してはいません。
「バンドを続けるのは散髪のようなもので、髪型を試行錯誤し続けても、最終的には若い頃と同じ髪型になる。つまり、失ったと思っていた興味が再び燃え上がり、また戻ってくるんだよな。
特に音楽の分野では、主にここ10年で、僕たちは戻ってきたような気がするね。古いサウンドや昔のデスメタルやドゥームメタルのバンドに対する新たな愛と懐かしさを本当に見つけたんだ。そして、この10年でそれを取り戻した。僕たちが “Host” を作ったとき、おそらくその頃、人生のより実験的な領域にいたんだよな。でも、そうだね、過ちではないよ。僕たちは常に直感に従い、自分の心に従い、その時に正しいと感じたことを書き、記録してきたんだよ」

“Icon” と “Draconian Times” のまさにアイコニックなゴシック・メタルこそが、PARADISE LOST の雛形だと考えている人は多いでしょう。
「”Icon” を(30周年を記念して)再レコーディングした時、実際にまた歌ったり演奏したりした。そうすることで、あのアルバムを作った頃、若い頃、どんなふうに曲を書いていたかを思い出したんだよな。ある意味、すごく刺激的だったし、このアルバムでは曲作りへのアプローチも変えたから。今、あのアルバムの何かをそのまま真似しようとしたわけではないんだけどアプローチが少し変わって、それがこのアルバムの多くの曲の形を作るのに役立ったんだ。もちろんあれからたくさんのことを経験して、たくさんのことを学んできたから同じじゃない。でも、あのアルバムのおかげで、”ちょっと待って。あの頃の雰囲気に近い曲を何曲か作ってみよう” って思えるようになったんだ。でも、このアルバムには “Shades Of God” の要素もあるんだよ。これは僕たちがずっと大好きだったアルバムだけど、あまり注目されていなかったからね」
PARADISE LOST がそうした時代の変化の中で、翻弄されながらも生き残ってこられたのは、”悲惨の達人” という評判を堅持しているからでしょう。その評判は決して揺らぐことはありません。
「VENOM が結成された頃は、彼らのことを何も知らなかった。”At War With Satan” を聴いて、すごく気に入ったんだ。”こいつらは一体誰だ?” って感じだったけど、頼りになるのは写真1枚だけだったからね。今は情報が豊富にあるから、謎は完全に消え失せている。どれだけミステリアスであろうとも、誰かがテスコで猫砂を買っているところを写真に撮るだろう」
35年経った今、Nick はバンドの揺るぎない成功の理由を “自分たちがやっていることを愛しているから”
であり、引退など考えたこともないと語ります。

「9時5時のちゃんとした仕事なんてしたことない。これがずっと僕たちの仕事で、僕たちの完全な中心なんだ。そして、この仕事がなくなったことは一度もない。だって、気を散らすものが何もなかったからね。 “ああ、こっちの方が稼げるんだ” って思えるような高給の仕事に就いて解散して、お酒とかが恋しくなって3年後にまた再結成するなんてこともないんだ」
こんなに長い間、陰鬱な音楽をやり続けられるのは、それが自分の知っている全てだからだと Nick は誇らしげに語ります。
「ある種、悲惨さが重なり合っているような感じだけど、その悲惨さの中に希望の光がある。映画を観て、すべてが暗くて悲惨なのに、誰かがその状況から抜け出す方法を見つけそうになるのを見るのが好きなんだ。でも、扉が閉まってしまい、もう逃げ場がない。そういうかすかな希望の光がほのめかされるのが好きなんだ。だから、曲全体を通して、実はすごく前向きな歌詞を入れることもある。そうすると、観客は “ちょっと待って、これ、前向きでいい感じ…いや、違う。いや、消えてしまった。また暗くなってしまった” って思うんだ」
“Ascension” もまさに暗さの中に救いがあり、しかしその救いが脆くも消えさって暗闇に戻る…そんなアルバムです。結局、PARADISE LOST はいつの時代も自然体の PARADISE LOST そのものなのです。
「僕たちにとっては自然なことさ。でも、光はちゃんとある。メランコリックに感じられるなら、それはある意味正しい道を進んでいるということ。必ずしも惨めな気分になりたいわけではないが、少しのメランコリーと少しの希望のきらめきがあっても構わない。名前は出さないけど、いくつかバンドを知っているけど、外見はすごく明るくて、自分たちも明るいバンドだとアピールしてる。でも、裏では今まで会った中で一番悲惨な奴らだよ!
僕らも明るくなったとは言わないけど、もう40歳も過ぎたしね。だから、もうあとは死ぬことしか考えられない!でも皮肉なことに、悲惨な音楽はいつだって聴いていて一番楽しいし、書いていて一番楽しいんだ」

来日公演の詳細はこちら。Evoken de Valhall Production

日本盤のご購入はこちら。Ward Records

参考文献 : KERRANG! :“We were laughing at one of the titles because it was so miserable”: Paradise Lost on three decades of turning woe into iconic metal

WIKI METAL :Paradise Lost Interview: Nick Holmes talks about the band’s 37-year career.

HEAVY MUSIC HQ: PARADISE LOST INTERVIEW

LOUDER SOUND:”I liked heavy metal because everyone hated it.” Paradise Lost’s Nick Holmes on dodging plant pots, nearly-severed fingers and why nu metal ruined metal

COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【MEGADETH : MEGADETH】


COVER STORY : MEGADETH “MEGADETH”

“The body will disappear, but the legend will remain. And the music will go on forever”

MEGADETH

「肉体は消えるが、伝説は残る。そして音楽は永遠に続いていく…」
スラッシュ・メタルの最前線で40年間戦い続け、MEGADETH は壮大な別れの挨拶の準備をしています。
64歳のメガデスのリーダーは、不屈の男。テコンドーと空手の黒帯を持つ男であり、人生のどん底の時期からスラッシュ帝国を築き上げた男であり、2020年に咽頭がんを克服した男。そんな男が、腕の負傷やガン診断ではなく、なぜ今 MEGADETH の終焉を決めたのでしょうか?
「咽頭がんや首の癒着、腕の麻痺みたいな病気に悩まされると、ほとんどの人は立ち止まると思う。ほとんどの人は恐怖を感じるだろう。でも俺は一歩下がって、態勢を立て直していった。なぜなら、これが俺のやりたいことだから。それでも、いつかは最後のショーの時が来ることは分かっている」
Dave が薬物とアルコールへの依存症を克服し、癌の回復が未だ “進行中” であることを考えると、60歳に到達したこと自体、驚くべきことなのかもしれません。
「俺は長寿とかには囚われていないし、80代になるまでプレイできるアーティストの一人でもある。それでも、人は生きていつか死ぬということを覚えておかなければならないんだ。だから俺は、これから自分自身の世話をする必要があるんだよ」
これが MEGADETH 最後のアルバムになるというきっかけやひらめきの瞬間はありませんでしたが、家庭、そして頂点のままやめるという引き際の美学がそこにはありました。
「俺は手に問題を抱えている。手の真ん中にデュピュイトラン拘縮と呼ばれるものがあってね。これから指が内側に曲がっていくんだ。だから、スタジオに戻って何かをしようとしてできないよりは、自分の最高の作品を作ってリリースし、トップに立ったままやめたいんだ。それに俺たちは皆、そばにいてほしい家族や家庭生活を持っている。成功を追い求めているとき、すでに恋愛関係にあることがよくあると思うが、名声を追うために幸せを道に捨ててしまうなんてあるべきではない。それは俺にとって悲劇でしかないんだ」
手の状態はあまり良くないようです。
「正直なところ、俺の手の状態はまだプレーできるが、これから病気が進行すればどうなるか分からない。でも、俺たちがプレーする意思がある限り、俺はできる限り長くプレーするつもりだよ。そしてそれが続くことを願っている。
クレイジーなことに、ツアーが予約されているのにもうプレーできなくなって、誰かにプレーを頼まなければならなくなったらどうしようかとずっと考えていたんだ。そして、俺はそのアイデアが気に入らなかった。それは俺ではない。だから俺は最後の瞬間までプレーするつもりだ。そして、プレーできなくなったら、そのときに止めるつもりだ」

このセルフ・タイトルのアルバムのレコーディングが進むにつれて、これが MEGADETH の総仕上げとなるという会話が本格的に始まり、だからこそ、これが “素晴らしいアルバム” に仕上げることがより最優先事項になったといいます。加えて、Teemu Mäntysaari という新たな血が入ることで、この作品は新鮮に保たれることとなりました。実際、この作品における MEGADETH は、一周回ってファースト・アルバムに戻ったかのようなアグレッション、野心、そしてギターにおける挑戦心が感じられます。
「俺は Teemu に、このアルバムではとにかくソロをたくさんやる必要があると何度も言ったんだよな」
これが最後のアルバムになると言ったとき、バンドはどう反応したのでしょう?
「James Lomenzo は…彼は俺よりも年上なので、問題ないよ。彼は家でビデオ編集をしながらとても楽しい生活を送っているからね。MEGADETH にいることは彼にとって喜びだけど、彼には他にやることがあるからね。
Dirk Verbeuren は非常に魅力的なドラマーだから、バンドがなくなっても絶対に大丈夫だ。Teemu も同様。 Teemu はこのレコードで名を馳せることになる。
でもそうだね、この発表をしてからは本当に素晴らしい期間だった、なぜなら俺は彼らにこう言ったからね。”スタジオ・アルバムをもう作らないと言っているからといって、二度と演奏しないという意味ではないよ。またプレイしよう” ってね。それに俺たちは単なるアメリカのバンドではない。国際的なバンドだから、ワールドツアーを終えるまでに、おそらく3、4年はプレイすることになるだろう。だから、それもとても励みになる」

同時に、最後の総決算として、自伝的なレンズを通して彼らを見ることがさらに重要になっているのは間違いありません。たとえば、オープニング・トラック “Tipping Point” には、「お前の心に侵入する/音で怖がらせる/そこには存在しない声で/周りには誰もいない」という歌詞があり、まるで怒りの代償として誰かにつきまとっているように聞こえます。
「誰かのことを念頭に置いていたわけじゃない。誰かについて曲を書くと、その人そのものというよりも、その行動や不当な行為が問題になることがある。誰かと友情を築いてそれを捨てるのは、俺にとってとても大変なことだった。とはいえ、ここ何年にもわたって、メンバーやマネージャー、あるいはレーベルなど、組織にいた人々と深く関係のある曲はたくさんあったけどね」
たとえば、MEGADETH の2000年のベスト・アルバム “Capitol Punishment” は文字通り、バンドが7枚のレコードをリリースしていた以前のレーベル、キャピトル・レコードに向けたものでした。Dave はもともと、80年代半ばに彼らと契約した時は夢の実現であり、音楽業界で望まれるすべてを備えているレーベルだと信じていましたが、その印象は長続きしませんでした。
「ゲイリー・ガーシュという名前の新しいCEOが就任してね。彼は全員を解雇し、次の NIRVANA と契約したいと考えていた。なぜなら、彼は NIRVANA と契約した人だったから。俺らは終わりに向かって虐待を受けていて、そこにいるのがあまりにも楽しくなくなった。だからレーベルを去ったんだ」
“I Don’t Care” は Dave が口を閉ざすことのできなかった多くのことを列挙した楽曲。「お前は俺の言うことが気に入らない/でも俺は気にしないし従わない」これは、彼が何年にもわたって投石や矢に直面し、払いのけてきた後の信条のようなものを表しているのかもしれません。そしてそれは、OVERKILL がかつて “!!!Fuck You!!!” で示したように、自身のパンクな側面を強調することにもつながりました。
MEGADETH のパンクの影響は有名で、それはバンドの美しさの一部となり、彼らのサウンドに長い間組み込まれてきたスタイルの豊かなタペストリーの一部となっています。
「俺たちは、さまざまな音楽のかなり広範なカタログを持っている。右へ、左へ。ジャズであり、クラシックであり、パンクであり、メタルだった。しかし、それは常に MEGADETH の音楽だった。俺の声、俺たちのリフを聞くと、いつも MEGADETH だとわかったんだよ」

確かに、Dave の比類なき声は、おそらく “憎まれることもあり、崇拝されることもあるが、決して無視されることはない” という言葉で説明がつくのかもしれませんね。Dave の唯一無二の声は、彼らのサウンドの重要な要素で、型破りで賛否両論ですが、焦燥と怒り、灼熱と皮肉を交互に繰り返す非常に特徴的な楽器。
「歌っているときは裸だ。歌は後天的に得たものなんだ。初めて自分の歌を聞いたとき、”うわ、まったく歌手っぽくない、誰かがアジテートして叫んでいるみたいだ” と思ったね。俺は寝室でヘアブラシに向かって歌うような人間ではなかったけど、それでも歌い続けた。ギターが先で歌は次の重要事項だったけどね」
歌が Dave にもたらしたものを考えると、彼は今、自分の声を受け入れることができるようになったのでしょうか?
「受け入れるのには時間がかかったけど。なぜなら、俺は自分の歌を評価するとき、スタジオでやった素晴らしい仕事ではなく、ライブ・パフォーマンスのことを考えることが多いからね。たとえば、”Countdown to Extinction” には、俺のキャリアの中で最も大人な歌唱が収録されていた。その時点から、俺は歌うことを学び始め、音楽を聴いている人にとって歌うことがどれほど重要かを学び始めたんだ。映画 “パープル・レイン” の中で、クラブのマネージャーがプリンスのところに行って、”あなたの音楽を理解しているのはあなただけだ” と言うシーンがある。まあ、俺はそんな奴にはなりたくないけど、俺たちの音楽は楽しいものでありたいよ!」
歌詞の制作にはとても時間がかかりました。
「とても難しいプロセスだった。時間がかかったね。すぐにできた曲は “Hey, God?!” と “I Don’t Care” だけ。他のすべてを作るのは永遠にも思えたね。
ただ、俺は孫子の兵法が好きだから、”I Am War” は楽しかった。あと “Let There Be Shred”は、クリント・イーストウッドの “フィストフル・オブ・ドルラーズ” のようなギター対決を思い出させるので、書くのが楽しかった」

過激な歌詞や言動が時に物議を醸すフロントマンですが、自身を “右翼” 的だとは思っていません。
「俺はクリスチャンで、天使からのメッセージに応えているんだ。俺は法律に従うけど、右翼ではないよ。そして宗教よりもスピリチュアリティを大切にしている。俺は、宗教は地獄に行くのを恐れている人々のためのものであり、スピリチュアリティは地獄に行ったことのある俺たちのような人々のためのものだといつも言っているんだ」
“Ride the Lightning”。METALLICA の名曲の MEGADETH バージョンで Dave は、深い意味で過去を振り返っていることが分かります。
Dave と METALLICA との関係、そして、彼の過去のインタビューを読んだり、2004年のドキュメンタリー “Some Kind of Monster” を観たりした人なら誰でも証言できるように、Dave の脱退の状況とその余波を再評価しようとする数十年にわたる試みは、強迫観念に近いものになっている可能性があります。
しかし、Dave にとって、自分が携わった曲に取り組むことは、単にすべてが始まった場所に戻ることであり、”輪を閉じる” ことであり、”すべてが始まったところへの敬意を示すこと” なのです。
「カバー曲をやるなら、それ以上ではないにしても、少なくとも同等にうまくやらなければならない。でも、この曲は俺も書いたんだよな。だから他の人もそう言うと思うけど、俺に言わせれば、これはカバー曲ではないんだよ。完成したとき、俺たちは何人かの人々の前でこの曲を演奏したけど、俺たちの知っている多くの人は METALLICA やあの曲のファンなので、彼らは自分たちが何を聴いているのか、すべてを理解していた。そしてコンセンサスはほぼ同じだった。つまり、俺たちがふさわしいオマージュをしたということだよ。少なくとも同じくらい良い演奏ができたと思う。少し速くなったけどね」
とはいえ、”Killing Is My Business” の最後の曲 “Mechanix” で Dave は、”The Four Horsemen” が自分のものだと明らかに主張していました。今回も作品を締めくくるのは METALLICA の楽曲です。
「それはただのランダムだよ (笑) そんなつもりはなかった。正直に。嘘じゃない。失礼なことをしようとしていたわけじゃないんだ。俺は James Hetfield のギターを本当に尊敬しているし、Lars Ulrich は素晴らしいソングライターだと思う。彼らとの時間は本当に楽しかった。だから終わったときはとても辛かったんだ。これは俺が敬意を表し、輪を閉じていくことを表現した形なんだ」

“Ride the Lightning” をカバーすることを、METALLICA のメンバーとは話したのでしょうか?
「いや、期待していないよ。だけど、いつか彼らの意見を聞くことになると確信している。皆も知っているように、俺は彼らが好きだった。友人関係が再開されたとしても、俺はそれを受け入れるよ。あのときのことをもう一度振り返ってみると良いと思う。でも、俺たちが一緒に過ごした時間には、たくさんの傷や誤解があったから、過去のことを持ち出さないのは難しいだろうとも思っている。
起こる必要があるのは、MEGADETH と METALLICA のツアーだと思う。それだけさ。そうすればきっとすべてがうまくいくだろう。ぶらぶらすることもできるし、一緒に時間を過ごせる。でも、彼らが俺らみたいに実際にツアーをするわけではないことは分かっている。つまり、ツアーに出ると、本当にたくさんのショーを行うからね」
あまりにも長い歴史を経てから、誰かとの関係を再構築するのは本当に難しいことです。
「そうだね。やり直しだ。時々思うのだけど、恨みがあるときは、それを乗り越えることは実に難しい。個人的に、俺は恨みを乗り越えるのがかなり得意だと思うけど…でも分からない…サンフランシスコのカウ・パレスで一緒に演奏したのを覚えているけど、James は俺に “My Last Words” を演奏して欲しいと言ったんだ。彼のお気に入りの曲だから。それは本当にすごいことだと思う。ありがとう、James。好きな曲があると言ってくれて、本当に嬉しかった」
“Killing Is My Business” を書いてレコーディングしていた過去の Dave は、今の Dave のことをどう思っているのでしょう?
「彼は俺がまだ生きていたことに驚くだろう。そして、孤独から抜け出し、素晴らしい人たちに囲まれている。周りに良い人がいると素晴らしいね。俺は鍵っ子で、母親は離婚経験があり、すべてのひどいことを経験してきた。今、家族がいるのは素晴らしいことだ。俺には本当に強い家族がいて、仕事でも非常に優れたチームがいる。だから、人々に俺のことはこう憶えていてほしい。愛し、笑い、生きた人間だったということを」

孤独でひどい人生を送っていた Dave には、幸運にも 音楽という “ギフト” “才能” が贈り物として与えられていました。
「音楽は贈り物だ。俺は練習をしない。だから、これは明らかに才能なんだ。そして、これだけ長く演奏できて、どこからともなく曲を思いつくことができることも、明らかに才能だ。だから…まあそれが俺の見方だよ」
数年後に MEGADETH 最後のショーが行われるとき、メタルの灯火は確実に受け継がれていくのでしょうか?
「”Nevermind”, “Appetite For Destruction”, “Rust In Peace”, “Master Of Puppets” といったアルバムを聴いてからどのくらい経つ?ああしたレコードはもうリリースされていない。今では、レコードには良い曲が 1 曲入っているだけで、人々はトラックをスキップすることに慣れすぎている。それが悲しいんだ。なぜなら、何度も聴くと、もっとたくさんの意味があるように聞こえる曲がたくさんあるからね。
ずっと前に POLICE がどこかで演奏していたとき見たんだけど、彼らは楽器を外して、U2 のメンバーに手渡した。それは本当に正当な聖火の受け渡しだった。俺がギターを外して他の人に渡す時が来たら、それが誰になるかは分からないけどね。でもね、新世代のスラッシュ・ビッグ4が誕生する時が来たと思うよ」
実際、アルバム “Megadeth” を聴くと、崇高な音楽性に多くの疑問を引き起こす鋭い歌詞など、じっくりと吟味して聴くべき層が緻密に存在しています。その中には、”The Last Note” という最後のアルバムにふさわしくタイトルが付けられた最後の曲も含まれていて、そこで Dave は自身のバンドが達成したことを振り返り、その終結の言葉でキャリアを要約しています。”彼らは俺に金を与え、俺に名前を与えた/しかし、すべての契約は血と炎の中で署名された/だから、これが俺の最後の遺言、最後の冷笑である/彼らが来て、俺が支配し、今俺は消える”
「まあ、俺たちは本当に厳しい取り組みをしてきたよ。そして MEGADETH は40年間にわたって成功を収めてきた。今俺たちは、メタルファンが同人誌を交換していた時代の、初期のオーガニックな時代に物事が戻ったように感じているんだ。いつか俺たちの肉体は消滅するだろう。しかし、伝説は残る。そして音楽は永遠に続いていく」

参考文献: KERRANG! :Megadeth: “The body will disappear, but the legend will remain. And the music will go on forever”

REVOLVER :DAVE MUSTAINE ON FINAL MEGADETH ALBUM, METALLICA COVER, CLINT EASTWOOD INSPIRATION

NEW YORK TIMES: As Megadeth Countdown To Extinction

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【TIBERIUS : SINGING FOR COMPANY】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JAHAN TABRIZI OF TIBERIUS !!

“I think as a band, we very much try to be as authentic as we possibly can be, in a world of bands trying to be scary, masculine and tough, we’re just not like that as people, we like to think we’re cutting through the noise by being different and being honest about who we are.”

DISC REVIEW “SINGING FOR COMPANY”

「バンドとして、僕たちは可能な限り本物で、信頼できる存在であろうと努めているんだ。怖くて男らしく、タフであろうとするバンドの世界の中で、僕たちはどう考えてもそういう人間じゃない。僕たちはメタルのステレオタイプとは違っていて、自分たちがどんな人間かについて正直であることで、雑音を跳ね除けられると思いたいんだ」
ヘヴィ・メタルは男のもの。タフで強いもの。悪魔と死体の音楽。そんなステレオタイプは、21世紀に入って変わろうとしています。今では、女性のアーティストは少なくありませんし、死体や悪魔、剣と鎧のファンタジーだけではなく、内省的でパーソナルなテーマを扱うバンドも増えてきました。
そんなメタル世界で、スコットランドの新鋭 TIBERIUS はありのままの自分を見せることこそ、今のヘヴィ・メタルのあるべき姿だと信じています。なぜなら、ヘヴィ・メタルは正直な音楽だから。弱さを抱きしめる音楽だから。許しの音楽だから。そして、強い人間など、実はこの世界には存在しない、それこそ非現実的なファンタジーだから。
「僕たちは明るい色が大好きでね! 2018年に “Dissipate” のビデオ撮影でこの色にバイブスして、それ以来、ライブの演出やアートワーク、あるいは僕のピンクとブルーのギターを通して、この色をバンドの一貫したテーマにしてきたんだ!」
そんな TIBERIUS の、いやヘヴィ・メタルの現在地が如実にあらわれたミュージック・ビデオこそ、”Mosaic” だといえるでしょう。これほど、メンバー全員が幸せそうに、自然な笑顔でメタルを奏でるMVがこれまであったでしょうか?これほど、ピンクやブルーのビビッドカラーが映えるバンドがこれまで存在したでしょうか?これほど、ポジティブで、優しく、高揚感あふれる楽曲がこれまで聴けたでしょうか?
そう、TIBERIUS はメタルのステレオタイプを、そして閉塞感あふれる現代の暗がりを、”ありのままの自分” を見せることで打ち破り、正直で寛容な “より良い世界” を目指そうとしているのです。だからこそ、彼らは “Singing for Company”、仲間のために声を上げて歌います。
「複雑なリズムや曲の構成、テクニックを、リスナーにとって親しみやすいものにしているというだけで、”プログレとしては物足りない” と考える批評家もいる。一方で、”パワー・メタルとしては重すぎる” “激しすぎる” と考える人もいる。僕はそれを誇りに思っているんだ。もし君が心を開いてくれさえすれば、僕たちは誰にとっても何かを与えることができるし、もし君が心を開かないのなら、それは君の損失となる!」
ゆえに、彼らの音楽自体もメタルのステレオタイプで推し量ることは不可能。欧州版 AVENGED SEVENFOLD、あるいは IRON MAIDEN と LEPROUS の婚姻などと評される彼らの音楽は、パワー・メタルというには複雑すぎる、激しすぎる。プログ・メタルと呼ぶには高揚感がありすぎる…そんな批評家の声を浴びることもありました。しかし、それは逆に言えば前代未聞、唯一無二なる彼らの個性。メタルに加わる新たな魅力。そうした “異端” をも、心を開けば好奇心の新たな翼となる…TIBERIUS は自身の特異な音楽を通して、音楽の力で、世界に寛容さと許しの本質、そして何より笑顔を届けるのです。
今回弊誌では、ギタリスト Jahan Tabrizi にインタビューを行うことができました。「日本文化は間違いなく僕に影響を与えている。僕は子供の頃から X Japan の大ファンで、最近では The Gazette、The Back Horn、MIYAVI、LOUDNESS といった J-ROCK もよく聴いているので、おそらくそれらのいくつかが長年にわたって僕のソングライティングに浸透しているのだろうね」笑顔のメタル。 どうぞ!!

TIBERIUS “SINGING FOR COMPANY” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【VALHALORE : BEYOND THE STARS】 JAPAN TOUR 26′


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH LACHLAN NEATE OF VALHALORE !!

“Our goal has always been to deliver what we refer to as “The Three E’s” – Escapism, Empowerment and Entertainment. We want our music, and our live shows, to give listeners the opportunity to escape their troubles for an hour or two. We want to leave the world a more positive place than when we found it.”

DISC REVIEW “BEYOND THE STARS”

「オーストラリアには “ヨーロッパ的” なサウンドのバンドが少なかったからね。オーストラリアにいても、僕が聴きたい、観たい音楽を作って演奏したかったんだ!」
VALHALORE。ヴァルハラの伝承という、まるで北欧神話から抜け出てきたような名前の彼らは、実はオーストラリアのバンドです。太陽の日差しが降りそそぐグレート・バリアリーフと、極寒の北欧神話はあまりにも正反対ですが、だからこそ VALHALORE は欧州的なサウンドを探求しました。そこにないなら、自分たちが作ればいい。ヘヴィ・メタルの寛容さは、ルール違反を罰することなどありません。
「僕たちは常に、自分たちの音楽を通してファンに高揚感や力を与えるエネルギーをもたらすことを目指してきた。 僕たちは皆、映画やゲームのサウンドトラックから大きな影響を受けているから、日本文化からの影響も間違いなくたくさんあるよね。WINTERSUN のような和楽器を積極的に取り入れているバンドが大好きだし、僕たちもそうなんだ。”Aether” という曲では琴だって弾いたんだよ! 」
ただし、その欧州的なサウンドは実にカラフルで、魅力的。なぜなら、彼らの根底には、白夜の太陽 WINTERSUN から流れる “混血の美学” を受け継いでいるから。WINTERSUN のセルフ・タイトルと “Time” が、21世紀を代表する北欧メタルの逸品であることに疑いの余地はありませんが、その傑作の誕生に寄与したのがまさにその “混血の美学” であり、モダン・メタルらしい多様性でした。
メロデス、パワー・メタル、フォーク・メタル、シンフォニック・メタル、プログ・メタル…どのジャンルにも収まりきらない面妖でしかし起伏と驚きに満ちたオーロラの楽曲は、凄まじいシュレッドと様々な民族楽器に彩られた理知的なごった煮。VALHALORE の探求する北欧神話の宇宙には、明らかにあの “Time” と同様の美しき “混血の美学” が宿っています。
「僕たちが進歩するにつれて、Sophie のホイッスルと木管楽器は僕たちのサウンドの象徴的な側面になったんだ。ただ、大変なのは主にライブのサウンド・エンジニアかな。メタル・バンドの獰猛さに対して、穏やかなアコースティック楽器をミックスしなければならないからね!」
マンドリン、チェロ、パイプ、ホイッスルに縦笛、横笛。さらに和楽器の琴まで使用する伝統民族楽器のるつぼもまた、VALHALORE の魅力のひとつ。Sophie の操る艶やかな管楽器は、硬質な彼らの音楽を徐々に溶かして、テンポの速いメタルの嘶きに濃密なアクセントを加えていきます。
ここにのチェロとマンドリンの欧州的で荘厳な響きが加わることで、力強いメタルとオーガニックで本格的なフォークの生命が見事に重なり合います。さらに、佳曲 “Heart on the Sea” には、あの Anna Murphy が参加。ELUVEITIE で培った先駆者の威厳を見せつけながら、このジャンルの弛まぬ進化に目を細めます。そう、歴史に彩られたフォーク・メタルもまた、歴史を重ね、その文化を広げているのです。
今回弊誌では、ボーカル、チェロ、マンドリンとひとり三役の Lachlan Neate にインタビューを行うことができました。「僕たちの目標は常に、僕たちが “3つのE” と呼ぶもの、すなわちエスケープ、エンパワーメント、エンターテインメントを提供することなんだ。 僕たちの音楽、そしてライブを通して、リスナーに1時間でも2時間でも悩みから逃避する機会を与えたい。僕たちは、自分たちが今いる世界よりもポジティブな世界を後世に残したいんだ」 来日も決定。どうぞ!!

VALHALORE “BEYOND THE STARS” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【WINGS OF STEEL : WINDS OF TIME】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH PARKER & LEO OF WINGS OF STEEL !!

“Power needs emotion, and technicality needs soul, and that balance is something we’ve always aimed to carry forward into Wings of Steel rather than focusing on technique for its own sake.”

DISC REVIEW “WINDS OF TIME”

「ヘヴィ・メタルは、常に単なる音楽以上の存在だった。人々が集い、仲間に理解され、自分よりも大きな一体感の中に強さを見出せる場所なんだよ。困難な時期には、解放、内省、そして繋がりのための空間となる。恐怖、怒り、希望、そして回復力といった感情を受け止め、人々を孤立させるのではなく、強い力へと変える方法を与えてくれる。ヘヴィ・メタルはコミュニティを創り出し、自分が孤独ではないことを思い出させてくれるんだ。国境、言語、そしてバックグラウンドを超えた一体感を与えてくれる」
SNS という人間のほんの一面だけを切り取って強調し、分断を加速させる悪魔のツールに汚染された現代社会において、ヘヴィ・メタルほど一体感や前向きな力を得られる場所は他に多くはないでしょう。ヘヴィ・メタルを聴いている間は、体感している間は、ライブを浴びている間は孤独から解放される。異なる意見、異なる国籍、異なる文化、異なる人種であっても、ヘヴィ・メタルにおいてはひとつになれる。ヘヴィ・メタルの回復力で困難を克服できる。
そんな素晴らしきヘヴィ・メタルの世界は、その寛容さ故に伝統や壁を破壊し、様々なジャンルや文化を養分として、細分化という枝葉を瑞々しく伸ばしています。だからこそ一方で、”バンディエラ”、旗頭の欠如という問題に直面しているのかもしれませんね。自由極まりないメタル世界だからこそ、メタルらしいメタルをやりづらい、焼き直しになりかねない。WINGS OF STEEL はそんなメタル世界で “時の風” を駆け抜け、”現代的な” 伝統的ヘヴィ・メタルを復活させ、メタルのバンディエラへ堂々たる名乗りをあげたのです。
「80年代について僕たちが最も共感するのは、特定のバンドやグループではなく、あの時代の全体的な精神…つまり強烈なソング・ライティング、真のミュージシャン・シップ、力強いメロディー、そして誠実で妥協のない個性なんだ」
メタルのメタルらしいバンディエラとなるためには、ソング・ライティング、ミュージシャン・シップ、メロディ、そして揺るぎない個性…そのすべてが必要とされますが、WINGS OF STEEL はまさにその “すべて” を兼ね備えています。彼らには、あの “Painkiller” で JUDAS PRIEST が提示した強烈なテクニックを超越した現代技巧の最高峰が備わっていますし、IRON MAIDEN が “Somewhere In Time” で刻み込んだ作曲術の極みも宿っています。そして憂を帯びた雄々しきメロディと11分の長尺曲で勝負する強い個性。つまりWINGS OF STEEL には、80年代にメタルを牽引した二大巨頭に備わる奇跡的な才能と似た可能性を確実に秘めているのです。
「80年代に生まれた素晴らしいヘヴィ・メタルには、本当に大きな敬意を抱いているんだ。 VICIOUS RUMORS や初期の QUEENSRYCHE, METAL CHURCH, CRIMSON GLORY, RIOT といったバンドは、このジャンルの歴史において重要な位置を占めている。あの時代はヘヴィ・メタル全体の形成に大きな役割を果たし、当然のことながら、当時のレコードの多くは、僕たちの音楽的ルーツの一部となっていったんだ」
加えて重要なのは、彼らがまだ20代という若さにして、私たちの愛する古き良きアメリカン・ヘヴィ・メタルの真髄を極めていることでしょう。当時パワー・メタルと呼ばれていたアメリカのメタル・ソルジャーたちは、メタルという狭い枠の中でいかに個性を、フックを、起伏を出せるかに心血を注いでいました。そうした伝統や格式の中に光るアイデンティティ、不自由の中の自由を、WINGS OF STEEL は誰よりも今、謳歌しているのです。
そう、21世紀最初のメタル四半世紀が過ぎ、メタルは原点への回帰を志向します。何よりも、耳馴染みがよく歌えて聴きやすい。流行りの NWOTHM、ETERNAL CHAMPION や HAUNT のいなたさも悪くはないですが、WINGS OF STEEL のトラディショナル・ヘヴィ・メタルはもっと明快でわかりやすく、より多くのリスナーにアピールし、鋼鉄の翼を広げてアリーナへと上り詰めるはずです。
今回弊誌では、ギタリストの Parker Halub と ボーカリスト Leo Unnermark にインタビューを行うことができました。「パワーには感情が必要であり、テクニックには魂が必要だ。僕たちは、このバランスを WINGS OF STEEL で継承することを目指してきたんだ」 ギターソロに見事なストーリーがあり、ボーカルの声質も相まって STRATOVARIUS を想起させる場面も。とにかく、DIO の “Lock Up the Wolves” が人生を変えたアルバムなのですから、間違いありませんね。どうぞ!!

WINGS OF STEEL “WINDS OF TIME” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【UUHAI : HUMAN HERDS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH UUHAI !!

“Heavy metal cannot stop wars, but it can inspire the people who will build peace. It cannot erase division, but it can create moments where division disappears. It cannot solve every problem, but it can open hearts and minds.”

DISC REVIEW “HUMAN HERDS”

「メタルは新たな自由の時代に入り、様々な文化がジャンルの中で真摯に自己表現できるようになったと確信しているよ。メタルは世界の限られた場所で生まれたけど、その感情的な言語は無限大だ。強さ、闘争、アイデンティティ、そして意味の探求を語ってくれる。そうしたテーマは地球上のあらゆる文化が共有する経験。だからこそ、メタルは今、その起源をはるかに超えて広がっているんだと思う」
2025年。メタルの生命力、感染力、包容力はその可能性をますます広げています。モダン・メタルに宿る寛容さは、世界の壁を壊し、さまざまな文化を包容していきます。そうして、世界中に根を張ったメタルの種子は、その多様な音の枝葉を存分に伸ばしているのです。
モンゴルに生まれた UUHAI も、そうしたメタルの自由を謳歌するバンドのひとつ。彼らは祖先の英雄チンギス・ハーンに学んだ勇気、正義、責任、リーダーシップを噛み締めながら、共感と団結というまた別のやり方で世界を席巻しようとしています。
「Uuhai は、深い歴史的、精神的な意味を持つ力強いモンゴル語だ。僕たちの祖先が戦いや儀式、そして団結と勇気が必要な瞬間に使っていた古代の呼び声なんだ。それは単なる叫び以上のもの。それは共有された精神の声なんだ。それは単なる名前ではない。僕たちの声であり、アイデンティティであり、モンゴルの魂との繋がりなんだよ」
勇気、強さ、そして団結を象徴する古来の戦いの雄叫び、UUHAI という名前は決して偶然選ばれたわけではありません。伝統と現代を結ぶため。草原に轟いた一致団結の雄叫びを、暗い現代社会へと響かせるため。だからこそ、当然その叫びのエネルギーは彼らの音楽にも反映されています。
モンゴルから先に世界的成功を収めた THE HU はフォークとロックのバランスを巧みに取りますが、UUHAI はより断固としたメタル寄りのサウンドを追求しています。そして、彼らのデビュー・フル “Human Herds” は、まさにその真髄でしょう。タイトルの一部は英語ですが、歌詞は彼らのルーツに忠実で、すべてモンゴル語で歌われています。だからこそ、彼らの楽曲にはステップ民族の力強さがもたらされ、草原の響きを響かせる馬頭琴(モリンホール)や、世界遺産にも登録されている喉歌といった伝統的な楽器が、より一層、真実の音をもって響き渡ります。喉歌のスピリチュアルな神秘、悍馬のように力強いリフ、草原から吹き寄せるギターソロ、そして馬頭琴独特の響きが、壮大なスケールの楽曲へと溶け合います。このシンプルな二弦楽器と人に備わる声帯が、修練と創意工夫を経てメタルの包容力に包まれる時、これほどまでに緊張感と感情を呼び起こせるものなのでしょうか…まさにモンゴルは蒼き狼、メタルは白き牝鹿。
「今日、世界は様々な闘争に直面している。戦争、分断、差別、そして恐怖が多くの場所で蔓延しているんだ。こうした課題は力で解決できるものではない。理解と団結をもって立ち向かわなければならないんだよ。
こうした世界において、ヘヴィ・メタルは特別な役割を担っている。メタルは感情を隠さない。正直で、率直で、恐れることなく真実を語る。社会が沈黙に包まれたとき、メタルは声をあげられない人々の声となる。怒り、悲しみ、そしてフラストレーションを表現するだけでなく、そうした感情を強さと繋がりへと変える力も持ち合わせているんだ。
UUHAI にとって、メタルは単なる音楽ジャンルではない。メタルは人々に共通の人間性を思い出させる力であり、国境や文化を超えたメッセージを届けることができるもの。出会うことのない人々でさえ、音楽の中で同じ鼓動を感じ、一つに繋がることができるんだ」
長い歴史の中で、モンゴルの人々は自然と調和しながら生きてきました。そして、誇り高き戦士としても。母なる大地が泣く時、それは人類への警告。世界が歴史の暗黒面を忘れ去り暗雲に包まれる時、戦士は人々を守るため恐れず、怯まず、勇気を持って武器を手に取ります。ヘヴィ・メタルという剣には、どんな弾圧も抑圧も敵いません。そうして、彼らは国境も文化も超えて、古の英雄の如く世界を、そして人と自然を再びひとつにつなげるのです。Uuhai! の雄叫びとともに。
今回弊誌では、UUHAI にインタビューを行うことが出来ました。「ヘヴィ・メタルは戦争を止めることはできないけど、平和を築こうと願う人々を鼓舞することができる。分断を消し去ることはできないけど、ライブで分断が消え去る瞬間を作り出すことはできる。すべての問題を解決することはできないけど、人々の心と精神を開くことはできる」素晴らしい言葉ですね。どうぞ!!

UUHAI “HUMAN HERDS” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CRISTIANO FILIPPINI’S FLAMES OF HEAVEN : SYMPHONY OF THE UNIVERSE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH CRISTIANO FILIPPINI OF FLAMES OF HEAVEN !!

“Power Metal and AOR must be about love, positivity, inner strength, battles that take place inside and outside of us, and a sense of justice. So I think Knights of the Zodiac represent not only my favorites, but also perfect examples of how to convey this message.”

DISC REVIEW “SYMPHONY OF THE UNIVERSE”

「パワー・メタルやAORは、愛、ポジティブさ、内なる強さ、自分の内外で起こる戦い、そして正義感について語らなければならないと思う。同時に、”聖闘士星矢”、”北斗の拳”、”ドラゴンボール”、”ベルセルク” といった日本のアニメも、僕のお気に入りであるだけでなく、そうしたメッセージを伝える完璧な作品でもあると思う。だからこそ、このアルバムが日本の漫画やアニメのファンに届くことを心から願っているんだよ」
仲間を信じ合う “友情”、目標達成のため苦難に耐え励む “努力”、そして最後まで諦めず勝利を目指す “勝利”。80年代から90年代にかけて、日本のアニメや漫画はそうしたポジティブでストイックなムードにあふれていました。まだまだ暴力や抑圧、不条理が蔓延していた当時の学校や子供の社会で、私たちはそうした “エンターテイメント” から、前向きな生き方や優しさ、倫理観を学んでいたのかもしれませんね。
それからおよそ30年。当時のアニメや漫画で育った子供たちは成熟し、さまざまな分野でその影響を発揮するようになりました。その波は日本国内に止まりません。イタリアの Cristiano Filippini 率いる FLAMES OF HEAVEN もそうしたアーティストのひとつ。彼らはアートも生き方も複雑を極める現代で、愛や友情、正義といったいつの世も変わらぬ不変の真理にコスモを燃やしています。そのための乗り物として、パワー・メタルや AOR は完璧な “ペガサス”。なぜなら、パワー・メタルのファンタジーはいつの時代もそうしたポジティブな心に寄り添ってきたのですから。
「”聖闘士星矢” にインスパイアされたアルバムの全曲は、最初のシリーズ “サンクチュアリ編” のいくつかのシチュエーションを描写していると言える。曲のタイトルにも登場するフェニックスの一輝やジェミニは間違いなく、漫画の中で最も魅力的で重要で複雑なキャラクターの2人だからね。 しかし、僕のお気に入りのキャラクターは、星矢、紫龍、シャカ、そして童虎だ。 強さ、前向きさ、そして星矢は別としてバランスと知恵の良い例だからね」
“ペガサス幻想 そうさ夢だけは 誰も奪えない心の翼だから”。この数小節、数文字に私たちは何度助けられたことでしょう。イタリアに生まれた Cristiano もこの聖闘士星矢の美しき理想、夢、ストーリーに魅了され、大人になった今、その世界をパワー・メタルで描くことを決意します。
「もちろん “ペガサス幻想” は知っているし、素晴らしい曲で、まさにアンセムだよね。”聖闘士星矢” の公式サウンドトラックには美しい曲がたくさん収録されている。 それに、オーケストラのインストゥルメンタルにも信じられないほどインスパイアされている。傑作だよ」
普段はクラシック・アンサンブルのための作曲に注力している Cristiano。だからこそ、”Symphony of the Universe” は、サンクチュアリのサーガを描くに十分な壮大さと情熱を兼ね備えています。もちろん、イタリアの偉大な先人 RHAPSODY の血をひくクラシカルなパワー・メタルの一撃は強烈ですが、同時にイタリアが誇る Frontiers Music の流れを汲むメロディック・ハードな旋律美も内包し、ワグナーのオペラをメタルに仕立てたような長尺曲も見事。Cristiano はクラシックの作曲プロセスをそのままメタルに持ち込むのではなく、クラシックの世界からメタルを俯瞰し手を加えることで、他のアーティストとは一線を画す存在となり得ています。
同郷 TEMPERANCE の Marco Pastorino が張り上げる歌声はペガサスに乗って駆け上がり、達人 Michele Vioni のギターは廬山昇龍覇の滝の流れの如く流麗。そして Cristiano が指揮を取る鍵盤とオーケストレーションのネビラチェーンはあまりにも純美。ここには、ファンタジックでポジティブなメタルに求められる要素すべてが詰まっているのです。
今回弊誌では、Cristiano Filippini にインタビューを行うことができました。「音楽、特にこのジャンルは、人々の生活を向上させるために大いに役立つと思う。僕の音楽がどれだけ人々が困難な時期を乗り越えるのを助け、今日まったく狂っているように見えるこの世界の灰色を取り除くことができたかについて、多くのメッセージをもらうからね。僕たちは善の戦士なのだから戦わなければならないし、あきらめてはならない。人生は時に厳しいものだけど、戦うための武器はある。そのひとつが、こうしたアートなんだよ」 どうぞ!!

CRISTIANO FILIPPINI’S FLAMES OF HEAVEN “SYMPHONY OF THE UNIVERSE” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【AEPHANEMER : UTOPIE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MARTIN HAMICHE OF AEPHANEMER !!

“I have always admired Joe Hisaishi, who composed the music for many Studio Ghibli films. One of my favorite pieces is Innocent from Castle in the Sky – it is pure, sincere, and beautiful. I truly admire his work.”

DISC REVIEW “UTOPIE”

「僕らにとって、フランス語で歌うことはとても自然な選択なんだ。メタルの世界では母国語で歌うバンドがますます多くなり、一般的に広く受け入れられるようになったと感じているよ。 それは今日、誠実さや信憑性の証とみなされ、高く評価されることさえあるからね」
音楽、特にメタルの優れているのは、たとえ言葉の壁やボーカル・スタイルによって歌詞が不明瞭で理解不能な場合でも、ムード、メロディ、テーマ、バイブスなどその音楽自体に伝える力が込められているところでしょう。裏を返せば、モダン・メタルの寛容さは、あらゆる異端を排除せず、壁を壊して包容し、自らの血肉としていくことができるのです。フランスの AEPHANEMER は、そうして文化の壁も、さらにはメロデスというジャンルの限界まで打ち壊し、突破していきます。
「客観的に見て、僕たちは DARK TRANQUILLITY, AMON AMARTH, ARCH ENEMY のようなサウンドではまったくない。 CHILDREN OF BODOM と比較されることがあるけれど、それでも僕らとはまったく違う雰囲気を持っているよ。 というのも、今の僕は中世、クラシック、民族音楽にインスパイアされることが多いからね。それはもはや前世代のバンドには当てはまらない特徴だよね。結局、単に音楽はそうやって進化していくということだよ」
メタルの進化に終わりはありません。そう、AEPHANEMER はメロデスの遺産をしっかりと抱きしめながら、そのサウンドを別の次元へと高めるために音楽を奏でています。”メディーヴァル・フォーク的シンフォニック・メロデス” という大げさな表現が、もしかしたら今の彼らには最もしっくりくるのかもしれませんね。それだけ、この最先端のメロデスは、映画的で、オーケストラで、壮大な音の祭典です。
2023年にベーシストの Lucie Hune が脱退し3人編成となったにもかかわらず、これだけの緻密な壮観を完成させた AEPHANEMER の才能は比類なきもの。バンド創設者でインタビューイ、 Martin Hamiche が全ての弦楽器とオーケストレーションを担当して、あの鬼才 Dan Swanö 再度の協力により、力強いメロディにフック、心を震わす激情、幻想的なムード、フランスらしい気品と格調の高さ、そして豪華絢爛な “La Rivière Souterraine” が象徴する複雑で多面的な色彩を帯びた、ダーク・フォークとネオクラシカルの煌びやかな祭典 “Utopie” が降臨することとなりました。
「僕たちのアプローチは、あきらめずに日々の小さな行動を通じて現実世界を改善する努力を続ければ、現実世界で何が起こり得るかについて、自分自身、そしておそらく他の人たちを鼓舞するためにアートを創作するというものなんだ。僕たちは、人々が僕たちの音楽からエナジーやインスピレーションを感じ、そのエネルギーを活かして生活や家庭、地域社会に前向きな変化を起こしてくれることをとても嬉しく思っているんだ。僕たちにとって、すべての生きとし生けるもののためにより良い未来を創造することは必要不可欠なこと。だからこそ僕たちの考えるユートピアとは、人類が自然や他の生命体と調和して生きる世界なんだよ」
お馴染みとなった Niklas Sundin (DARK TRANQUILLITY) の手による鮮やかなアートワーク。そこには、彼らにとっての “Utopie” “理想郷”、自然と人間が手を携え、調和して生きていく世界が描かれています。もちろん、前作 “A Dream of Wildness” のイノシシに、私たちは “もののけ姫“ の影をみましたし、久石譲の風も受け取りました。
そう、AEPHANEMER の理想郷にとって、進化し多様に共生するべきは音楽だけにとどまりません。彼らは、人も小さな行動の積み重ねでより良い世界を目指すことができる、異文化と共生し調和することができると信じてアートを生み出していますし、もちろんアシタカとサンのように文明と自然も調和して生きていく未来を見据えているのです。
今回弊誌では、ギタリスト Martin Hamiche にインタビューを行うことができました。「Marion は、僕たちが大好きな宮崎駿監督の “もののけ姫” に登場するイノシシをすぐに思い浮かべたね。 彼女は若い頃からアニメのファンで、アニメは常に彼女に創造的なインスピレーションの源となってきた。 個人的には、多くのスタジオジブリ作品の音楽を作曲した久石譲さんをずっと尊敬してきたんだ。彼の作品で好きな曲のひとつは “天空の城ラピュタ” の “Innocent”。まさに純粋で誠実で美しい音だよね。彼の作品を心から尊敬しているんだ」ギターの煌めきとドラムの技巧、そして声の獰猛は群を抜いていますね。どうぞ!!

AEPHANEMER “UTOPIE” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【DORMANT ORDEAL : TOOTH AND NAIL】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MACIEJ NIESCIORUK OF DORMANT ORDEAL !!

“I always liked intelligent intensity, something that can be enjoyed both live and at home.”

DISC REVIEW “TOOTH AND NAIL”

「このアルバムの目標は異なるものの調和だった。 スピードとブルータリティを維持しながら、よりシンプルな曲にして、テクニカルなリフを減らしたかったんだ。同じことを繰り返さないようね。このアルバムは、真のエクストリームなジャンル・ファンにとってはソフトすぎるし、メロディーを求める人にとっては激しすぎるという意見を耳にしているよ。そうして、誰もレッテルを貼れないような音楽を作ることができて、僕はとても満足なんだ」
テクデス・シーンと結びつけられることも多い、ポーランドの新星 DORMANT ORDEAL。しかし、彼らはそうしたテクニカル合戦、スピード競争から距離を置こうとしています。少なくとも、あの Willowtip からリリースされた4枚目のアルバム “Tooth and Nail” は、DEFEATED SANITY や ARCHSPIRE とは異なる場所にいることはたしかでしょう。なぜなら、彼らは技巧や速度を超越した、総合芸術としての攻撃性と獰猛さを追求しているから。
「ポーランドのブラックメタル・シーンはかなり充実しているし、ポスト・ブラックメタル・シーンはさらに混雑している。だから、いくつかの形容詞に絞り込んで表現するのはかなり難しいけど、激しく、凶暴で、機械的でありながら、一貫した知性があるという君の説明は好きだ。僕はいつも知的な激しさが好きで、ライブでも家でも楽しめるようなものが好きなんだ」
VADER に端を発するポーランドの凶暴なる音の流れは、BEHEMOTH, DECAPITATED, BATUSHKA, Mgła、そしてこの DORMANT ORDEAL という多種多様な地獄の業火を生み出してきました。彼らの炎は灼熱でありながら冷徹で、それ以上に一貫した知性と冒険への野心が漲っています。今回のインタビューイ Maciej が語るように、ライブでは当然そのエネルギーに圧倒されますが、同時に家でじっくりと腰を落ち着けて聴く時でも何かしらの新たな発見や好奇心をそそる展開が待ち受けている。そんなポーランド・エクストリーム世界の哲学を今に体現したバンドこそ、DORMANT ORDEAL なのです。
「”To fight tooth and nail” とは、全力で戦う、あらゆる手段を使う覚悟がある、簡単にはあきらめないという慣用句だ。 リリックでは、戦争のような外的なものであれ、憂鬱や自信喪失のような内面に向けられたものであれ、戦いや闘争という主題に触れている。 アートワークについては、上記のすべてを要約する試みだったよ」
“Tooth and Nail” というタイトルもふさわしく、DORMANT ORDEAL はこの作品で容赦のないブラック/デスメタルの集中砲火を届けます。周囲のすべてが破壊されていく中、塹壕の中で縮こまるような感覚。安全地帯から出ようとするたびに、容赦ない砲撃の波が再びリスナーをシェルターへと押し戻します。
そうした圧倒的で容赦のない音攻の中で彼らは、様々なスタイルを融合させながら、しかしいずれのスタイルにも完全には染まらない独自のエクストリーム・メタルを生み出しました。テクニカルなセンスが光るリフの猛攻にも、テクデスらしいフレットボードを駆け回るヒロイックな表現はありません。不協和音とメロディーの二律背反は必需品ではなく秘密兵器となり、何者にも染まらない DORMANT ORDEAL 独自の凶暴を生み出しました。
DECAPITATED のごとき激しいリズムの非人間的異変は、Mgła や BEHEMOTH を彷彿とさせるブラックメタルのエッジと溶け合い、そこにアンビエントなタッチが加わることで、ポーランドらしい強烈な中毒性と痛烈なまでに生々しいサウンドを実現。アートワークから内容まで、”Tooth and Nail” は DORMANT ORDEAL の真髄を体現しています。バンドの唯一の創設メンバーと別れるのは容易なことではありませんが、諦めずに死に物狂いの苦闘で乗り越えて、傑作にたどりつきました。揺るがぬ決意と、困難なに立ち向かうことこそメタルの真骨頂。不条理に全力で戦いぬけと、DORMANT ORDEAL は叫び続けます。
今回弊誌では、Maciej Nieścioruk にインタビューを行うことができました。「1993年に MEGADETH, METALLICA, それに SEPULTURA と CANNIVAL CORPSE を初めて聴いたときからすべてが始まったんだ。 その後、メタルのダムが決壊し、バンドはより残忍であればあるほど良くなった。とにかく、アグレッションと生々しい獰猛さを愛しているんだ。この数十年の間に僕の好みは大きく進化したけど、90年代にリリースされたこうしたのアルバムには今でも思い入れがあるね」 どうぞ!!

DORMANT ORDEAL “TOOTH AND NAIL” : 10/10

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