NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【TOXIK : DIS MORTA】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JOSH CHRISTIAN OF TOXIK !!

“I Think When You Realize You’ve Got a Knack For Something It’s Seductive You Want To Keep Pushing It To See Where Your Boundaries Are. The Expression Is What Carries Us As Artists.”

DISC REVIEW “DIS MORTA”

「レーベルは METALLICA と SLAYER の波を利用することばかり考えていたみたいだけど…特にアメリカではね。純粋に僕たちは早すぎたんだ。たしかに TOXIK はスラッシュの波に乗ったけど、これってスラッシュなの??それが完璧な例えだよ。初期の TOXIK の75%は超高速でシンコペーションしたテストステロンで、残りの25%はメロディとダイナミクスだったから。スラッシュはみんなの中にある最も近い定義だっただけなんだと思う」
80年代半ばにギタリスト Josh Christian によって結成されたアメリカのスラッシュメタル・バンド TOXIK はメタルにとって早すぎた “毒気” であり、勇気ある開拓者でした。デビュー作 “World Circus” の無慈悲な猛攻で MEGADETH や ANTHRAX, それに SANCTUARY といった猛者たちを震えあがらせた彼らは、続く “Think This” でメタルの羽化を促しました。例えば、CORONER が、例えば WATCHTOWER が、例えば MEKONG DELTA が、例えば ARTILLERY がそうであったように、TOXIK もまたメタルのスピードとスリルを奇想天外な知と魑の世界に誘いました。中でも、彼らの精巧な技巧とプログレッシブな創造性は群を抜いていました。
「自分の限界を知るため挑戦することは魅力的だからね。そうすることが、僕たちをアーティストたらしめているとも言える。”Think This”…これは無謀で純粋な芸術的主張だった。レーベルはそれを好まず、ファンは “奇妙だ” と言った…だから当時は崖から飛び降りたようなものだったけど、今となってはこのレコードが多くの人にとってベンチマークとなっているのだから、振り返ってみると正しいことだったように思えるね」
結局、商業的な成功を収めることは叶わず、92年に解散に至った TOXIK。しかし、Josh が語るように彼らの無謀とも思える挑戦は決して無駄ではありませんでした。”Think This” の異様はいつしか威容へと姿を変え、CYNIC, ATHEIST, 後期 DEATH, MESHUGGAH、さらに最近では VEKTOR といったゲームチェンジャーたちの指標となりました。そうして彼らは、メタルの多様性や寛容さを開花させていくこととなります。
「たしかにこのアルバムには時間がかかったけど、これから僕たちは進み続けるし、実はこの現代版の僕たちをもっとたくさんマテリアルがあるんだよ。残酷だけど超美しいものがたくさんあるんだ」
20年間沈黙を守っていた TOXIK ですが、2013年には世界の舞台に戻り、ダイナモをはじめとする数々のフェスティバルに出演。その後、新しくなったバンドで “In Humanity”, “Breaking Class”, “Kinetic Closure”の3枚の EP をリリースし、”World Circus” と “Think This” の再録を披露。そして今、2022年、TOXIK は前作から33年という壮大な年月を経て、3rdアルバム “Dis Morta” を完成させました。
大胆に、苛烈に、衝動的に疾駆する “Dis Morte”, “Feeding Frenzy” のオープニング・ダブルは、得意の社会的・政治的なトピックを題材にしながらトラディショナルなモッシュピットを構築します。”発情した QUEEN”、そんな作品の世界観を植え付けながら。もちろん、MORDRED にも通ずるクロス・オーバーの美学も TOXIK の個性ですが、OVERKILL にも匹敵する強度と灼熱のペースも同様に彼らの真骨頂。スラッシュに対する鬼気迫る飢えは、33年の空白を埋めて余りあるターボチャージャーの衝撃。
それにしても、Allan Holdsworth のソロ曲を無理やりスラッシュメタルと悪魔合体したかのような後者は壮絶。Alex Skolnick だけが持て囃されるスラッシュ・ギターの世界は不公平だと言わざるを得ません。HEATHEN の Jim DeMaria もスーパー。
一方で、緩やかななパッセージ、ミドルテンポの迷宮、プログレッシブな情熱が巧みなギヤチェンジを交えて融合した “Hyper Reality” は、新たな地平への大胆な挑戦として際立っていて、TOXIK が未だ実験とサウンドスケープの拡張を恐れていないことを改めて証明します。同様に、古のプログレッシブを引用した “Chasing Mercury” やジャズ・バラードが加速する “Devil in The Mirror”, NEVERMORE の異形にも接近した “Creating the Abyss” も TOXIK にしか不可能な境界の侵食でしょう。そう、これはまごう事なき “Think This” の続編。
今回弊誌では、Josh Christian にインタビューを行うことができました。「僕の父は、僕が生まれる前に日本にいた頃の話をしながら、日本の文化をロマンチックに語ってくれていたからね。父は日本の社会とその組織を非常に尊敬していて、アメリカ社会についての会話でしばしば対比的な例として使っていたんだよ…。80年代、NYの子供たちは日本の影響を受けつつあって、特に僕はゲームに夢中で、他にもコミック、アニメ、音楽などで影響を受けたんだ。当時、日本に夢中になっていたから “Tokyo” という名前がフィットしていたんだよ。今日でも、TOXIK から日本の影響を聴くことができるよ」 どうぞ!!

TOXIK “DIS MORTA” : 10/10

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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【MEGADETH : THE SICK, THE DYING…AND THE DEAD!】


COVER STORY : MEGADETH “THE SICK, THE DYING…AND THE DEAD!”

“For The First Time In a Long Time, Everything That We Needed On This Record Is Right In Its Place”

THE SICK, THE DYING…AND THE DEAD!”

MEGADETH は復讐と共にある。苦難の度に強くなる。長年 MEGADETH と Dave Mustaine を追い続けたリスナーなら、そうした迷信があながち世迷いごとではないことを肌で感じているはずです。METALLICA からの非情なる追放、薬物やアルコール中毒、Marty Friedman の脱退、バンドの解散、Drover 兄弟を迎えた新体制での不振…実際、厄災が降りかかるたびに、MEGADETH と Dave Mustaine は研ぎ澄ました反骨の牙で苦難の数々をはね退け、倍返しの衝撃をメタル世界にもたらし続けています。
逆に言えば、MEGADETH という船が順風満帆であることは稀なのですが、2016年の “Dystopia” 以降の期間は、彼らの波乱万丈の基準からしても、非常に荒れた展開であったと言えるでしょう。まず、”Dystopia” でドラムを担当し、当初はアルバムをサポートするためにバンドとツアーを行っていた Chris Adler が、2016年半ばに当時は本職であった LAMB OF GOD とのスケジュールの兼ね合いで脱退せざるを得なくなります。後任には元 SOILWORK の Dirk Verbeuren がヘッドハントされました。
そうして2019年、次のアルバムの制作が始まった矢先、Dave Mustaine は咽頭癌と診断され、50回以上の放射線治療と化学療法を余儀なくされます。
「今は100パーセント大丈夫だと思う。2020年の10月に医者からOKが出たからね。3年目の節目を迎えるはずさ。それはかなりクールなこと。治療、栄養、そして病院の外で行わなければならない個人的なことまで、すべて一生懸命取り組んだからな。医師たちは、癌を治療するために俺にとって本当に残酷なプログラムを組んでくれたよ。手術をせずにがんを退治しようというのだから仕方がないけど。
俺は医師たちに、Eddie Van Halen が舌の一部を切り取ったのが少し気になると言ったからね。歌えなくなっちゃ困ると。IRON MAIDEN の Bruce Dickinson や Michael Douglas も罹患していて、俺もその一員になったってことさ。素晴らしいプログラムが用意されて、担当医は本当に素晴らしい人たちだった。医者に診てもらって、健康に異常がないと言われれば、普通は本当にありがたく思うもの。もう、俺の癌には何の力もない。ファンが落胆しないようにしたいからな。医師は俺が歌い続けることがいかに重要かを知っていたよ」

無事、寛解にはいたったものの、その後 Covid-19 の大流行が起こり、アルバムの進行はさらに遅れます。決定打は2021年春。長年のベーシストで Mustaine の右腕であった David “Junior” Ellefson が、”性的不祥事” を起こしてしまうのです。バンドで最も品行方正、神父にして良い父親と思われていた Ellefson の性的なスキャンダル。その影響は大きく、バンドはすぐに解雇という判断を下します。そうして、TESTAMENT などで活躍を続けるフレットレス・モンスター Steve Di Giorgio が彼のパートの再レコーディングを行うこととなりました。
「俺は Ellefson を1000回でも許す。だけどもう共に演奏することはない。もう彼のことは本当に話さないよ。面白い話をするのは好きだけど、そういう話をするのは本当に嫌なんだ。
Steve への交代は、多くの理由からそうする必要があったから。外から見ているだけで、俺が間違ったことをしたと言っている人がいたけど、なあ、あの事件が例え真実でなかったとしても、俺の人生にあんなクソ騒動はいらないと思ってたんだ。重要なのはバンドで、バンドには4人のメンバーがいる。クルーがいる。ビジネスの関係もある。そしてその全員の家族たちも。リーダーが間違った決断はできないよ。
Steve は素晴らしい新鮮な空気を吹き込んでくれたよ。最近インタビューを受けたんだけど、女の子が “どうして Dave Ellefson のパートを変えたんですか” って言うんだ。それで俺は思ったんだ。”オマエはバカなのか?あんな事があったんだ、パートを変えなきゃいけないだろ?”ってね。彼女には言わなかったけど、そう思っていたんだ。
Steve Gi Giorgio も (後任の) James Lomenzo も2人とも、一緒にいて本当に楽しい人たちだよ。Steve のことは知らなかったけれど、James と同じくらい一緒にいて楽しいヤツだと思った。みんなが経験したあの時期は、少し気難しいものだったよな。でも、俺たちは正しいことをしたかったんだ。誰もすべての事実を知らないけど、それで誰かを引き抜きたいとは思っていなかったから。TESTAMENT は俺の友人だから。
Steve は偉大なベーシストだけど、俺ら(METALLICA)が TRAUMA から Cliff Burton を引き抜いたときのことを覚えてるよ。TRAUMA はそれほど良いバンドではなかったけど、それでもバンドにはメンバーがいて、彼らの人生はその時に変わってしまったんだ。もし誰かを雇うなら、誰かから盗んでいないことを確かめたかったんだ」

そして今、”Dystopia” から6年半以上、MEGADETH 40年の歴史の中で最も長いインターバルを経て、”The Sick, the Dying… And the Dead!” がついに解き放たれました。このアルバムの制作にまつわるトラブルや苦悩の山を考えれば、MEGADETH のリベンジが倍返し以上のものであることは、ファンにとって容易に想像できるでしょう。そうして実際、Dave Mustaine は逆境をものともせず、12曲のスリリングで知的で瑞々しい破壊と衝動の傑作を携え戻ってきました。MEGADETH のリーダーのレジリエンス、驚異的な回復力、反発力を再度証明しながら。
「この曲は何人もの人から “パンデミックの話だろ?” と言われたことがあるけど、そうではないんだよ。黒死病についてなんだ。歌詞はとても分かりやすいものさ。かなり明確にストーリーを語っているからね。映画を観たことがあるよ。メアリー・シェリーの “フランケンシュタイン” で、ロバート・デ・ニーロとケネス・ブラナーが出演していた。映画の中でペストについて話している部分があったんだけど、その部分がとても不気味だったのをはっきりと覚えている。童謡の “Ring Around the Rosie” が出てくるんだよ。”Ring-a-ring-a-roses, A pocket full of posies, Atishoo, atishoo, We all fall down.” という歌。”Go to Hell” みたいに童謡を加えたかった。これは黒死病の時代の子供向けの童謡で、死体が悪臭を放つため、悪臭を隠すためにポージー (薬草、花束) を大量に用意しなければならなかったことから、ポージーをポケットに入れることを題材にしたもの。黒死病にかかった人々は、病気を取り除くために死体を火葬しなければならなかったんだ」

COVIDパンデミックの暗さと悲観を反映しつつ、過去の疫病をも呼び起こす禍々しくもハードな開幕のタイトル・トラックから、鞭打つような帰還の狼煙 “We’ll Be Back” まで、Dave Mustaine と MEGADETH は逆境や病から完全に復活しただけでなく、まだ自分の仕事を地獄のように楽しんでいます。
「俺が癌の診断を受けたとき、それが MEGADETH の終わりで、Dave Mustaine の終わりだと思った人たちがいた。しかし、そんなことはあり得ないと思っている信奉者たちは、今回の旅の一部、あるいは全部を一緒に過ごしてきてくれた。多くの人が、俺が癌になったとき、癌がかわいそうなくらいだと言ってくれた。彼らは、俺が戻ってくることを知っていたのさ。
俺は、このレコードで自分を追い込み、最高の歌と演奏を込めてやると決めた。これまでよりも、1パーセント進化する挑戦をね。俺が自分の力と対話し、耳を傾けることに費やした最も重要な時間は、俺の年齢(61歳)では、より速く、より優れた音楽を生み出し続けることはできないかもしれないという弱気だった。でもね、この仕事を始めた頃は若かったけど、その頃に重要だったことは今でも重要で、それに対する考え方は変わっていないんだ。
ただ、シナリオの中で自分がどう位置づけられるかは変わってきているかな。”反抗期は若者の遊び” というのは有名な言葉だけど、俺は人より少し反抗するのが好きな傾向がある。大抵のロッカーは、少し年をとって少し成功すると、車道にメルセデスを置いてアナーキーのシンボルを描くような、詐欺師のような臭いがしてくる。偽善としか言いようがない。
インスピレーションとメンタリティーは、1日1%、良くなるでいいんだよ。それでみんな大喜びさ。今、俺たちは最高の人材を集めている。最も高価というわけではないけど、最高のクルーたちだ。今や、俺たちは皆プロフェッショナル。彼らの仕事ぶりを見るのが何よりの楽しみなんだ」

例えば、”Life in Hell” の「2、3杯飲めば大丈夫/2、3錠飲めば世界が消える/どうせ死ぬんだから」という歌詞を、悪意に満ちたフランク・シナトラのように唸る彼の顔には、無粋な笑みが浮かんでいるにちがいないのです。そうして迎える6分半の軍事大作 “Night Stalkers” には、偉大なる Ice-Tの激しいラップが装備されています。BPM190で、米軍第160特殊作戦航空連隊という高度に専門化した部隊の英雄的行為にリリックと威厳で取り組みました。
「初めて会ったとき、Ice-T はちょうどキャリアをスタートさせたところだった。彼はかなり物議をかもしていた。当時、ラップ・アーティストにはある種のメンタリティがあり、特に Ice-T が1992年に “Cop Killer” みたいな曲を出したときはそうだった。彼は大衆を偏向させていたんだよな。俺は、彼は才能があり、彼が歌っているのは芸術だと信じていた。彼の曲の一つ、”Shut Up, Be Happy” を何年もイントロ・テープとして使っていたくらいでね。”Night Stalkers” での彼のパートはクールだ。俺は、個性的でわかりやすい声と言い回し、それにストリートのメンタリティと言葉を持っている人が欲しかったんだ。彼なら、ヘリに乗り込んで準備をするのに最適な人物だと思った。
それに、メタルとヒップホップ、2つのアートを融合させれば若い奴らにも響くだろ?子供たちがヒップホップに夢中なのは、友達が夢中になっているからだ。音楽を聴くことにかんして、個性的でない子供たちがたくさんいるんだ。友達が聴いていないものは聴きたくない、仲間はずれにされたくないという人がたくさんいる。俺が10代の頃、IRON MAIDEN や AC/DC を聴いていた時はとてもハードでヘヴィだったから、友達はどう考えているかなんて気にしなかったがね」

Sammy Hager もボーナス・トラックで、自身の楽曲のカバーでゲスト参加しています。
「Sammy の曲のカバーソングをやったんだ。多くの人は、VAN HALEN で活動する前の Sammy を知らないんだ。でも俺は、彼が MONTROSE でプレイしていた頃から知っているし、その後、ソロ・キャリアも知っている。正直、VAN HALEN のあの頃の曲にはあまり納得がいかなかったんだけど、MONTROSE で Sammy の歌を聴いて以来、あの人は歌えるなぁと思っていたからね。彼は俺の大好きなシンガーの一人だったんだ、ずっとね」
“The Sick, the Dying… And the Dead!” には、暗闇と暴力、そして痛烈な社会批判が溢れています。原子力発電所の事故によって引き起こされた壊滅的な影響の中で、安全性を必死で手繰り寄せる “Dogs of Cernobyl”。”唾液が噴き出し、嘔吐し、ボウルを溢れさせる/悔い改め、神に問う、あなたはまだ私の魂を欲しているのか?”
さらに、”Junkie”, “Celebutante” といった激しいトラックでは、NWOBHM やクラシックなメタルのスタイルが MEGADETH にどれだけ影響を与えたか、それを隠そうともせず彼らの悪態を正当な形で体現しています。
「オランダで女の子が MEGADETH のロゴの入った服を着てたから、俺のバンドだと言ったんだ。そしたら、近寄るな、変態!みたいな顔してシッシッと光の速さで手を振る。違う、違う、俺のバンドだからと写真を頼んだが、知らない!嫌だとさ」
特に、”Celebutante” は富と名声のためなら何でもするセレブリティの愚かさを皮肉った楽曲。質実剛健な MEGADETH とは正反対の場所にいます。まさに Mustaine の “反発力” が炸裂した最高のストーリー。

「MEGADETH のギタリストに必要なのは Attitude (態度), Ability (能力), Appearance (見た目)だ。まずは態度が大事だ。MEGADETH は音楽が何より優先だから、バンドに始まりバンドに終わる生活が必要。無論、能力がなければ無理だがね。友人同士の馴れ合いでは成功しないから」
もちろん、ムステインが船を操縦している間、目的地に向かうためには良い乗組員が必要です。そして、Verbeuren とリードギタリスト Kiko Loureiro は明らかに、巧みに創造し、大胆に冒険する完璧な船員となりました。重要なのは、Loureiro が12曲中8曲でコ・ライターとしてクレジットされていること。彼のクラシックギター演奏は、広大な “Dogs of Chernobyl” に東欧のテイストを付与し、難解なリフとジャズ・テイストのソロワークは、”We’ll Be Back” と “Night Stalkers “のまさに推進力。また、ミッドテンポのタイトル曲では、Mustaine の唸るようなヴォーカルに呼応したコール&レスポンスを聴かせるなど、彼の存在感は大いに増しています。
「MEGADETH との2枚目のアルバムだけど、Dave とは2015年から7年間一緒にプレイしている。だから、様々な国、様々な年齢のファンに会うことができる。古い曲も新しい曲も演奏するし、業界の人たちにも会うし、もちろん Dave の家族、バンド・メンバー、マネージメント、レーベルの人たちにも会うんだ。だから、もう内輪の付き合いみたいなもんだよ。
でもね、ギター・ソロは、この7年間ほとんど変化していないんだ。ギターソロは、自分自身の表現のようなものだ。ただ自分の楽器を演奏すればいいだけだから。ただし、MEGADETH の遺産にふさわしい曲や、Daveを喜ばせ、ファンを喜ばせるような曲を作ることは、ある意味、このアルバムでもっと簡単にできたんだ。バンドをより理解することができたし、それが大きな違いだったね。VAN HALEN のリフを持ち込んだりはしないよ (笑)」

Loureiro の野生に知性を組み込んだメロディックなスタイルは Mustaine のマニアックなクランチと見事にマッチし、Verbeuren のリズミック・アプローチは、彼が共作した “Junkie” や、トライバル・パムリングを中心とした短い間奏曲 “Psychopathy” などで顕著に効果を発揮。Di Giorgio の妙技を堪能できる場面も多々あり、さらに “Dystopia” の共同プロデューサーである Chris Rakestraw は、”The Sick, the Dying… And the Dead!をでも同じ役割を担いながら、Mustaine とクルーの活力と凶暴性を最高の状態で捉えていきました。
「人生は厳しい。勝ち組になるか、そうでないか。人は敗者と呼ばれるべきではないと思う。でもな、2位になろうとすることは、敗者ではないんだよ。常に自分を高めようと努力する限り、完走した者は勝者なんだ。それはとても簡単なこと。人生を1%改善するだけで、3ヶ月ちょっとの短い努力で、仕事ぶりでも、大切な人に対してでも、子供に対してでも、まったく違う人間になることができる。俺はレコードや出版契約をすべて全うしたよ。俺らのステージや地位にいるバンドで、そんなことをするバンドがどれだけいるだろうか?そんなことはしない。普通は延長するか、そもそも膨大な契約とたくさんのオプションがあって、自由になることはないだろう。だが、俺は本当に抜け目のないビジネスパーソンで、できるだけ早く自分たちの未来を確認することができるのさ」
MEGADETH のように長い歴史を持つバンドの場合、批評家の間では常に最新アルバムをバンドの最も象徴的な作品と比較したり、後期の高水準作品として認められるものは何でも “…以来最高の作品” と呼ぶ傾向があります。しかし、”The Sick, the Dying… And the Dead!” が MEGADETH の膨大なディスコグラフィーの中でどのような位置づけにあるかを正確に知るのは時期尚早であり、現時点で本当に知るべきことは、この新作が素晴らしいかどうかだけ。安心して欲しい。このアルバムはただ、ただ、本当に素晴らしい!
「本当に久しぶりに、このアルバムには必要なものが、正しい場所に、すべて揃っている」

参考文献: IRISH TIMES: Megadeth’s Dave Mustaine: ‘I said, This one’s for the cause. We had to be taken out of the place in a bulletproof bus’ 

LOUDWIRE:Dave Mustaine Didn’t Want to Poach New Megadeth Bassist From Another Band Read More: Dave Mustaine Didn’t Want to Poach New Bassist From Another Band

UCR:Why Kiko Loureiro Isn’t Bringing Van Halen Riffs to Megadeth Read More: Why Kiko Loureiro Isn’t Bringing Van Halen Riffs to Megadeth |

REVOLVER:REVIEW: DAVE MUSTAINE IS BACK WITH A VENGEANCE ON MEGADETH’S ‘THE SICK, THE DYING… AND THE DEAD!’

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【PENSEES NOCTURNES : DOUCE FANGE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH LEON HARCORE A.K.A. VAEROHN OF PENSEES NOCTURNES !!

“Pensees Nocturnes Is Drinking a Glass Of Champagne On The Edge Of The Abyss, Where Everything Is Falling.”

DISC REVIEW “DOUCE FANGE”

「僕は音楽を優先し、バンドをケースバイケースで判断し、なるべくカタログ化しないようにしているからね。インターネットの発達により、国籍という概念は音楽においてもはや意味を持たなくなったと思う。だから、たとえフランスに強力なブラックメタル・シーンがあるように見えても、フランス人であることに特に誇りを持つことはないんだ」
メタルヘッズがブラックメタルを想像するとき、ノルウェーのフィヨルドや教会を思い浮かべるのか一般的でしょう。しかし、”実験好き” な人たちはその限りではありません。PLEBEIAN GRANDSTAND, DEATHSPELL OMEGA, BLUT AUS NORD, CREATURE, そして IGORRR。バゲットとエスカルゴとエッフェル塔の国は、確実に今、そのトリコロールに血と知の漆黒を加えつつあります。
それでも、PENSEES NOCTURNES の首謀者 Leon Harcore A.K.A Vaerohn は、音楽に国籍はないと嘯きます。レッテルを剥がす、固定観念を疑う、欺瞞の美を笑う。それこそが彼らの目的なのですから。ある意味、そのニヒリズムとシニシズムこそ、フランスらしいと言えなくもないでしょうが。とにかく、この夜想と不安の申し子は、圧倒的なブラックメタルの核を、オーケストレーション、ジャズ、フォーク、エキセントリックな装飾、そして皮肉にもセーヌの滸やルネサンス、それにアール・ヌーヴォーでコーティングした裏切りの饗宴を催しています。
「なぜ好きな楽器を使えるのに、3つや4つに楽器を限定してしまうんだい?PENSEES NOCTURNES はライブと違ってスタジオでは常にワンマンバンドとして活動しているから、好きなものを何でも試すことができるのさ」
常識を疑い、当たり前をせせら笑う PENSEES NOCTURNES にとって、”ノン・メタル” な楽器の使用はある意味至極当然。ヴァイオリン、フルート、クラリネット、アコーディオン、トランペット、トロンボーン、サックス、ディジュリドゥ、ティンパニー、コントラバス、ハーモニカなど雑多なオーケストラと通常のメタル・サウンドが混在するインストゥルメントの狂気は、あのシルク・ド・ソレイユさえも凌駕します。ただし、Leon のサーカスは安全と死の狭間を良く知っていて、様々な要素をバランスよく取り入れながら、地獄の綱渡りを渡り切って見せるのです。
「PENSEES NOCTURNES は明らかに唯物論的な音楽であり、今ここで聴くべき音楽だ。憂鬱でもなく、無邪気な喜びでもなく、美しくもなく、酷くもなく、現実的で悲劇的な人生のビジョンだから。むしろ、僕たちの存在に対するニヒリズムと笑いのシニシズム (慣習の否定。冷笑主義)なんだよ」
フランスを笑う狂気のブラックメタル・サーカス “Douce Fange” は人間大砲の音で開演し、”Veins Tâter d’mon Carrousel” ですぐさま狂騒曲の舞台を設定します。芝居がかった叫び声は同じフランスの IGORRR を想起させ、刻々と変化する音の曲芸は無限にアクロバティック。ブラスセクションで始まる “Quel Sale Bourreau” は、DIABLO SWING ORCHESTRA にも似て、曲芸師のように様々な演目を披露。IMPERIAL TRIUMPHANT 的なブラックメタルのカオスとオペラが戦う様は、まさにニューヨークとフランスの決闘。そうして次々に、無慈悲なピエロたちはジャンルの境界線を歪めながらメタル化したワルツを踊り、笑い笑われながら即物的な享楽を与え、漆黒のアトラクションを血と知に染めあげていきます。
「キリスト教が現世の死である以上、ブラックメタルは生でなければならない。つまり、ブラックメタルは物質主義的な快楽であるべきで、それ以上の何かを望むことなく、今あるわずかな人生を楽しむことだ。 神秘的、超越的な側面も、サタンも、神も、どんな信念もない。 ただ、現実が、可能性と限界を伴ってあるがままにある。 その観点からすると、PENSEES NOCTURNES は他のどのバンドよりもブラックメタルなんだ」
Leon にとって、ブラックメタルの反語はキリスト教。天国に行くという目的のために、現世における享楽を放棄して、真面目に粛々と生を全うするその教義は彼にとって全くのナンセンス。美しいとされる “人生を楽しまない” 生き方に Leon は疑いの目を向け、快楽と狂気と反骨の三色に染まったトリコロールの旗を振ります。ブラックメタルこそが生。重要なのは、一見、ふしだらで退廃的で危険で強欲にも思えるこのサーカスには、実のところ何の強制力もありません。
今回弊誌では、Leon Harcore A.K.A. Vaerohn にインタビューを行うことができました。「PENSEES NOCTURNES は、すべてが落ちていく深淵の縁でシャンパンを飲んでいる」名言ですね!タイトルはもちろん、シャルル・トレネの “優しいフランス” のオマージュで  “汚れたフランス”。どうぞ!!

PENSEES NOCTURNES “DOUCE FANGE” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【DYMBUR : CHILD ABUSE / RAPE CULTURE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH DYMBUR !!

“We Cannot Expect To Change The World. We Are Just a Small Band From a Remote Corner Of The World So If Our Music Can Touch Just a Few Hearts And Bring About Just a Small Change Then We Would Consider Our Duties Fulfilled.”

CHILD ABUSE, RAPE CULTURE

「バンド名の DYMBUR はカシ語源で、英語では “Fig Tree” “イチジクの木” と訳される。カシ族は、インド北東部のメーガーラヤ州に住む先住民族なんだ。イチジクの木とは、古い枝から新しい葉が新しい形を形成する事、乾燥した期間の後に再生し新たに成長する能力から、再生、進歩、闘争の後の勝利への進化を象徴しているんだよ」
インド北東部の高地シロンを拠点とする DYMBUR。雨と雲に愛され、神の庭とも称される熱帯雨林を守るカシ族の申し子は、この10年でそのバンド名イチジクの木のように再生、進歩、そして勝利を手にしてきました。そもそもは、Djent とプログレッシブ・メタルに専念するバンドとして、国内のメタル・シーンで存在感を示していた彼ら。しかし、2020年になり、バンドは自分たちの音楽スタイルを一歩進めることを決め、その場所にカシ族の伝統音楽を融合させるようになったのです。
「僕たちは Djent/Metal とカシ族の伝統楽器を融合させ、独自のサウンドを作り上げることを決意し、ジャンルに “THRAAT” という言葉を加え、”Khasi Thraat Indian Folk Metal” と名づけることになった。例えば、デュイタラ(カシの小型ギター)は、8弦ギターと調和するように改造しなければならない。伝統的なデュイタラには4本の弦が張られているけど、僕たちは6本の弦に変更し、ナイロン弦を使うようにした」
今では、”Khasi Thraat Folk Metal” というアイデンティティで活動している DYMBUR。”Thraat” という新鮮な言葉は、長い年月をかけて、伝えるべきメッセージによってさまざまな形をとりながら熟成されてきました。”3連符の連鎖からの突然の停止”。DYMBUR 特有の音やグルーヴを見事に表現するその語感は、Djent における Thall と近い部分もあるのかもしれません。とにかく、今インドで “Thraat” とタグ付けすれば、それは即ち DYMBUR のこと。”Thraat” の最新形は、イントロにシンセウェーブのフィーリングを加えつつ、民族楽器のデュイタラやボムと融合させ、よりアグレッシブにラップまでをも取り入れています。LINKIN PARK や NU-METAL に対する憧憬を込めながら。
「インドではレイプが “文化” に変わり、人々は被害者に対して何の反省も同情もなく、日常生活を送ってしまっているんだ。場合によっては、被害者さえも、レイプされたのは自分のせいだと思い込んでしまうほど。だからどうしても、DYMBUR はこの曲を書き、制作しなければならなかったんだ」
2019年にリリースしたアルバム “The Legend of Thraat” に続き、2021年11月に社会派の新曲 “Rape Culture” を携え帰ってきた DYMBUR。彼らにとって “Rape Culture” とは、犯罪を矮小化したり常態化したりする行為が当たり前となっているインド社会を、少しでも変えたいという気持ちの現れでした。あまりにも犯罪が多すぎて、犯罪が “文化” となってしまう現実。DYMBUR はその “不都合な免疫” をメタルで洗い流そうとしているのです。
「僕たちは、変化をもたらすために少しでも努力しているだけなんだよ。インドにおける児童虐待は深刻だ。この曲の歌詞には、正確な事実が書かれている。1,000万人の子どもたちが児童労働に従事していて、毎日100人以上の子どもたちが何らかの形で虐待を受けている」
“Rape Culture” のリリース直後から、DYMBUR はインドの社会問題をさらに掘り下げ、”Child Abuse” を完成させます。児童労働、児童婚、児童虐待が蔓延するインドにおいても、特に彼らの出身地シロンは、炭鉱における限界を超えた劣悪な児童労働というデリケートなテーマに直面しています。
必要なのは、きっと国内以上に海外からの反響でしょう。もし BLOODYWOOD のようにこの曲が世界から大きな注目を集めることができれば、きっと世界は黙ってはいないでしょうから。さらに、社会に変化をもたらしたいという願望にとどまらず、DYMBUR はシロンを拠点とする非営利団体 SPARK のため資金集めも行っています。この団体は、社会から疎外された人々、特に女性や子どもたちの権利向上と福祉に力を注いでいます。
今回弊誌では、DYMBUR にインタビューを行うことができました。「僕たちは世界を変えようとは思っていない。僕たちは世界の片隅に住む小さなバンドに過ぎないから。でもだからこそ、僕たちの音楽がほんの少しでも人の心に触れ、ほんの少しの変化をもたらすことができれば、僕たちの任務は果たされたと考えられるんだ」 どうぞ!!

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【FELLOWSHIP : THE SABERLIGHT CHRONICLES】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH FELLOWSHIP !!

“Power Metal Can Do So Much To Lift Peoples’ Spirits And Really Motivate Them. It’s Fast, High energy, And It Allows Us To Talk About Themes Like Courage And Ambition, So It Was Really The Best Genre For Us To Effect The Change That We Wanted.”

DISC REVIEW “THE SABERLIGHT CHRONICLES”

「僕たちにとってパワーメタルは、人々の気分を高揚させ、やる気を起こさせるのにとても有効な音楽なんだ。スピード感があって、エネルギーがあり、勇気や野心といったテーマも語れるから、世界に僕たちが望む変化を起こすには最適なジャンルだったんだよ」
皆さんはメタルに何を求めるでしょうか?驚速のカタルシス、重さの極限、麻薬のようなメロディー、華麗なテクニック、ファンタジックなストーリー…きっとそれは百人百様、十人十色、リスナーの数だけ理想のメタルが存在するに違いありません。
ただし、パンデミック、戦争、分断といった暗い20年代の始まりに、これまで以上にヘヴィ・メタルの “偉大な逃避場所” としての役割が注目され、必要とされているのはたしかです。MUSE を筆頭に、メタルへのリスペクトを口にする他ジャンルのアーティストも増えてきました。暗い現実から目をそらし、束の間のメタル・ファンタジーに没頭する。そうしてほんの一握りの勇気やモチベーションを得る。これだけ寛容で優しい “異世界” の音楽は、他に存在しないのですから。
「正直なところ、僕たちは自分たちが楽しめて、他の人たちが一番喜んでくれるような音楽を演奏しているだけなんだ。たしかに、パワーメタルには新しいサウンドを求める動きがあるんだけど、僕らの場合、曲作りは何よりもメロディが重要なんだ。結局、技術的なことって、ただミュージシャンとしての自分たちをプッシュしているだけの自己満足だからね」
特に、”逃避場所” として最適にも思えるファンタジックなパワーメタル。UK から彗星のごとく登場した FELLOWSHIP は1枚の EP と1枚のフルアルバムだけで、そのメタル世界の “モチベーター” としての地位を確固たるものとしました。彼らは、このジャンルをただ無鉄砲に覆すのではなく、過去のパワーメタルと現代のパワーメタル最良の面を融合させ、未曾有の寛容で親しみのあるポジティブな波動を生み出しているのです。
TWILIGHT FORCE ほどテクニカルではなく、DRAGONFORCE ほど容赦なく速いわけでもありませんが、それこそが FELLOWSHIP の真骨頂。その名の通り、かつての HELLOWEEN や GAMMA RAY が大事にしていた “親しみやすさ” をモダンで過剰なパワーメタルの文脈に組み込むことで、彼らは気さくさと過剰さのバランスを完璧に操縦しています。
近年のパワーメタルに顕著なシンフォニック、フォーキッシュ、ハイテクニックな要素は瑞々しく散りばめられながら、決して劇画的、映画的にはなりすぎないメタルの血統が逆に新鮮。華やかなメロディー、爽快なソロイズム、そして壮大なファンタジー。そうした底なしの喜びの泉、シンプルなメタルの原点こそ、この狂った時代に正気を保つための常備薬なのかもしれませんね。
「このアルバムの物語は、日常の心の葛藤を寓話として語る古典的なファンタジーなんだ。主人公は悪の帝国を撃退するために伝説の剣の試験を受けるんだけど、自分を疑ったときに剣が手から消えてしまう。そこからは、彼が自分を信じることの大切さを発見する物語として続いていき、最後のシーンが僕たちのアルバムのジャケットになっているんだよ」
ただし、FELLOWSHIP が驚くべき速度でシーンの旗手となったのは、その斬新なソングライティングだけが理由ではなく、異世界と現実をつなぐ歌詞の完成度も重要でした。
他のパワーメタル・バンドが “Eagle Fly Free” の青写真を延々と掘り続け、浅はかな幸福を追求するのに対し、”The Saberlight Chronicles” は何不自由のない異世界にありながら、疑いや自己否定といった人間の弱さにもしっかりと言及してリスナーの親近感を高めています。自分の勇気、価値、そして強さを、人間らしい本物の方法で疑い、そして最後には苦悩と勝利を通してこうした疑念を見事に払拭してみせます。逃避場所は逃避場所で、いつかは現実に戻らなければなりません。重要なのは自分を信じること。これは自己肯定感を授ける力のメタル。
「今回弊誌では、FELLOWSHIP にインタビューを行うことができました。実際、Matt は大学でアニメのサークルを運営していたし、Sam はアニメのテーマソングが大好きだから、僕らの曲の多くはアニメのオープニングに適しているかもしれないね。そうなれば本当、夢が叶ったって感じだね!特に、”王様ランキング” がいいな!あのアニメのテーマは、僕たちの音楽や歌詞にピッタリだからね!」アニメもそうですが、時折あの偉大な GALNERYUS を彷彿とさせる瞬間も。どうぞ!!

FELLOWSHIP “THE SABERLIGHT CHRONICLES” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CRESTFALLEN DUSK : CRESTFALLEN DUSK】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH RYAN CLACKNER OF CRESTFALLEN DUSK !!

“It Is Worth Noting That Even When Bleak And Miserable, The Blues Does Tend To Be Life-Affirming Though The Opposite Tends To Hold True For Black Metal, Which Is a Very Powerful Contrast.”

DISC REVIEW “CRESTFALLEN DUSK”

「このアルバムのテーマは、アメリカや南部の神話的な記憶の中にある遠い場所を呼び起こし、ブラックメタルとブルースの正当なクロスオーバーが可能だと思われる場所で、歌詞的にも視覚的にも両者を融合させるというものだった」
モダンメタルを多様性と定義し、メタルに備わった寛容さを追い求めてきた弊誌。サブジャンルと文化の掛け算によるメタルの細分化、そしてその可能性はまさに無限大です。ただし中には、その可能性を逆手に取ったセルアウトの野心が見え隠れすることも事実。それでもなお、いくつかの新しいバンドは、夜の丘に立つ灯台のように、宇宙に瞬く一等星のように光り輝いています。
「ヴィンテージ・ギターも使って、いつものメタルらしいギターサウンドを排除して、古くて埃っぽいけどむせ返るような風景を想起させ、僕のアイデアがまだしっかり自立しているかどうかを確認しようとしたんだ。ブラックメタルとブルースの対比を際立たせ、ユーモアたっぷりにするため、ギター以外は基本的にすべて歪ませたんだよね」
ブラックメタルとブラック・ミュージックを融合させた魅力的な音楽といえば、おそらく多くのリスナーが ZEAL & ARDOR を想像するはずです。ただし、ZEAL & ARDOR a.k.a. Manuel Gagneux の場合は、ブラックメタルと、アメリカ南部を中心としながらも黒人の音楽全般という幅広いコンセプトが先にありました。
CRESTFALLEN DUSK の Ryan Clackner の場合は、そもそも大学でアメリカ南部の音楽と歴史を研究し、出発点がブルース、ジャズ、アメリカ南部の古いカントリー/フォーク音楽にあります。よって、このバンドではまずあの山と森と砂と埃と酒と音楽のアメリカ南部、ミシシッピの悪魔を召喚しつつ、その場所にブラックメタルの狂気を加えていくことにしたのです。
つまり Ryan の言葉を借りれば、「このアルバムは、他のブラックメタル・プロジェクトに広く見られるカントリーやフォークの影響から離れ、ジュニア・キンブローやR.L.バーンサイドのような巨人の影響を受けた強いヒルカントリー・ブルースでブラックメタルを再創造しようとする試み。全てのリズムギターは1958 Fender Musicmaster で録音されている」
つまり、もっと狭い場所の音楽をとことんまで深く追求してブラックメタルで煮詰めた地域密着、ど田舎のどニッチなブラックメタルと言えるのです。
「昔のブルース・アーティストたちは、ヒル・カントリーであろうと他の場所であろうと、基本的に抑圧されてもどんな場所でも自分たちの居場所を見つけることができた。そして、殺伐とした悲惨な状況にあっても、命を肯定する傾向があったことは注目に値するよ。これはブラックメタルとは真逆の傾向で、それが非常に強力なコントラストになる」
興味深いのは、同じ悪魔の音楽でありながら、Ryan にとってブルースとブラックメタルは真逆のものであるところ。ど田舎の寂寞、奴隷としての抑圧、惨めな貧困をかかえながら、ヒル・カントリーのブルースマンたちは、決して絶望にとらわれることはありませんでした。むしろ、どんな悲惨な状況にあっても、彼らは生に執着して命の音楽を奏でました。
一方で、ブラックメタルは同様に社会から抑圧され、孤立した人たちの集まりだったかもしれませんが、時には自らの命を断ち、時には他人を殺め、さらには教会を燃やしてその鬱屈を刹那に晴らしたと言えるのかもしれません。そんな “生” に対する真逆の考え方、執着と刹那のコントラストが見事に “Crestfallen Dusk” の世界には描かれているのです。つまり、この再創造は、ヒルカントリーのブルースをブラックメタルの “言語” に翻訳したものなのです。
ローファイで乾いた南部の景色に、ブラストビートが機械兵器のように突き刺さる様は、さながら南北戦争のダンスホールに集結したサタンのお祭り騒ぎのようでもあり、山と砂漠、鬱蒼とした森を照らす大きな月の下に潜むホンキートンクな悪魔の踊りのようでもあり。ヴィンテージ・ギターの息吹に黒々としたメタルがしばしば散乱し、爪を立て、ベースが雪崩のように鳴り響き、ドラムは砂嵐の暴力で命の雫に絶望感を叩きつけていきます。ブラックメタルであることは間違いないのですが、それにしても、今までのものとは全く違う、まさに悪魔の契約。
今回弊誌では、Ryan Clackner にインタビューを行うことができました。「アラバマ出身の大学時代の友人を通じて、ヒルカントリーのブルース・ミュージックに目覚めたんだ。まだ完全には解明されていないけど、ヒルカントリーは僕の人生を変えたんだ」 どうぞ!!

CRESTFALLEN DUSK “CRESTFALLEN DUSK” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【A-Z : A-Z】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MARK ZONDER OF A-Z !!

“The Main Focus Was Songs And Big Catchy Choruses. Nothing Better Than a Catchy Sing-Along Chorus.”

DISC REVIEW “A-Z”

「大衆にアピールしつつ、自分たちらしさも忘れない。それが当初からの目標。主な焦点は歌とキャッチーなコーラスだった。 そういうことをするバンドは、たいてい世界で一番大きなバンドだ。でも、このバンドで演奏しているメンバーなら、同時に素晴らしい音楽性が光るし、プログの人たちにもアピールできると思ったんだ。キャッチーなシンガロング・コーラスほど素晴らしいものはないからね」
FATES WARNING, WARLORD のドラマーとして名を馳せた Mark Zonder が2020年初頭に新バンドの計画を立てた時、彼は非常に明確なビジョンを持っていました。それは、ビールのコマーシャルや車のコマーシャルで使えそうな音楽。ただし、なにもポップスやヘアメタルが作りたかったわけではありません。これまでのキャリアを活かした洗練された音楽パートを保ちつつ、ハーモニーやメロディー、ビッグなフックを最優先に取り組むことにしたのです。なぜなら、それこそが 「リスナーの大多数が求めるものだから」。
洗練された知性とコマーシャルな大衆性の両翼をどちらも羽ばたかせるために選んだメンバーは極上でした。Steve Vai/ RING OF FIRE のベーシスト Philip Bynoe、ARABESQUE などで知られるギタリスト Joop Wolters、先ごろ美しきリーダー作を発表したキーボーディスト Vivien Lalu。そして最後のピースとなる “歌” を Mark が探した時、そこに降臨したのはかつて FATES WARNING で苦楽を共にした名シンガー Ray Alder だったのです。
「彼がコマーシャルな音楽に夢中になっていることは以前から知っていたし、何より彼はこの種の音楽を理解して、いつもとてもコマーシャルなポケットの中のグルーヴで歌ってくれると思っていたんだ」
A-Z というバンド名は Alder Through Zonder の意味。そこにはもちろん、悠久の時を超えたリユニオンの浪漫も込められていますが、それ以上に名前でバンドの音楽を限定してリスナーの数を決めてしまいたくないという強い想いが存在します。例えば、ドラゴンや剣を題材にすればメタルのリスナーを、大自然や宇宙をテーマにすればプログのリスナーをある一定数は取り込めるでしょうが、彼らはリスクを犯してでもそんな狭い檻を飛び出したいのです。
「個人的にはこういう大衆受けするヒット曲の音楽の方がずっと好きだったんだ。”Perfect Symmetry” の “Through Different Eyes” で、FATES WARNING の商業的な分野での発展が見られるとあの時思ったんだよな。あのドラムのパートは、誰もがついていけるような素晴らしいグルーヴとフィーリングを作り上げているよ」
とはいえ、これが FATES WARNING という運命的な夢の続きであることも事実。以前 Daymare Recordings からの再発盤のライナーにも記したとおり、FATES WARNING はある種カメレオン的な性格を有していて、時と場所を選びながら様々な方向に振れていったのですが、ビルボード20位という結果が示すとおり “Parallels” は最も異質で最もコマーシャルな作品でした。疑いようもなく、QUEENSRYCHE の大成功にも影響を受けていたでしょう。
コンパクトで洗練されていて知的でメロディアス。以降、Mark はアーティスティックな方向に進む FATES WARNING にある種の違和感を抱いていたのでしょう。つまり A-Z は “もし FATES WARNING が商業的な成功を追いかけていたら?” という If の世界を具現化したスーパーグループでもあるのです。
興味深いことに、ここでの Ray Alder は FATES で見せるハイパーな歌唱を捨てて、Harry Hess のようなハーモニー、メロディー、声質のアプローチを選択しています。加えて、名手たちのツボを押さえたテクニカルな演奏、洗練された作曲術によって、開幕から HAREM SCAREM や MILLENIUM を想起させるプログレッシブ・ハードの目眩く世界が展開されていきます。ただし、そこだけに終わらないのがこのバンドの恐ろしいところで、Vai 時代の ALCATRAZZ, TOTO, 80年代の YES に RUSH といったジャンルを超越したまさにロックの A-Z な色彩の妙がアルバムを通して展開されていくのです。
どの楽曲にも、オッ!と感じる旋律やウッ!と拳を握りしめるフックが必ず内臓されているのがミソ。結局、複雑極まる音楽でも単純明快な音楽でも、メロディーが死んでしまっては意味がありません。そうして英雄たちの邂逅は、FATES WARNING 夢の続きを確信させる3連打で幕を閉じるのです。
今回弊誌では、Mark Zonder にインタビューを行うことができました。「DREAM THEATER は “Pull me Under” が MTV でとてもプッシュされたからね。その後メジャーレーベルの助けも借りて成功を収めたんだ。もちろん、彼らは自分たちのやり方を貫き、とても努力した。 だけど同時に、ビデオ再生やメジャーレーベルの力、リソースも非常に役立ったのはたしかだよ」どうぞ!!

A-Z “A-Z” : 10/10

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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【SLAUGHTER TO PREVAIL : 1984】


COVER STORY : SLAUGHTER TO PREVAIL “1984”

“If You Say You Are Against The War, If You Do Something Like You’re Protesting, And All This Shit, You Can Probably Go To Jail.”

1984

世界で最も危険なデスコアバンドのひとつ、SLAUGHTER TO PREVAIL。彼らが昨年発表したミュージック・ビデオには、バズーカ砲の発射、戦車での巡航、命がけのロシアンルーレット、フロントマン Alex Terrible が熊と格闘するなど、母国ロシアのステレオタイプを大々的に取り入れた姿が映し出されていました。
メタルヘッズにとっては、この仮面をかぶったバンドの大げさな MV は、古き良きデスコアの過激さとバカバカしさを限界まで引き出したものに過ぎませんが、ロシア政府の目に彼らは脅威の悪魔崇拝者集団と映り、彼らの母国公演は、暴力と悪魔賛美のプロパガンダであるという理由で頻繁に警察によって閉鎖されました。
Alex Terrible は現在、フロリダ州オーランドに移住し、デスコアが最も盛んななアメリカに住むことを計画中。2021年のアルバム “Kostolom” 以来の新曲 “1984” は、ハリウッド映画のような空想上の暴力から、ウクライナでの流血を止めろ!というロシアへの鋭い政治的批判に向かってそのテーマを大きく転換した破砕的なシングル。この紛争は Terrible にとっての優先順位を完全に方向転換させ、バンドの今後の創造性にも鋭く影響を与えました。
今年2月にロシアがウクライナに侵攻し、現在も続く流血の紛争が始まったことで、ロシアにも、多くの変化がありましたが、ロシアの侵略が始まってすぐに、Alex Terrible はソーシャルメディア上でこの戦争に対し声高に反対の声をあげました。
「俺たちは残忍な音楽を演奏しビデオには武器も出る。だけどどんな戦争にも反対だ。ウクライナで起こっていることにとても傷ついている。どうかロシア国民全体を共犯者だと思わないで欲しい。皆の頭上に美しい、平和な空が広がりますように」
先日、同じロシア出身のプログ・チェンバー・デュオ、IAMTHEMORNING の Gleb と会話をした際、彼は今のロシア、そしてその国民を “ゾンビ” と呼びましたが、全員が全員 “噛み付かれて” ゾンビになっているわけではありません。ロシアが突き進む全体主義、差別主義、帝国主義に疑問を呈するアーティストやスポーツ選手、資産家が少なからず声を上げています。逮捕や暗殺の危険もかえりみず。
我々個人にできることは決して多くはないでしょう。しかし、まず恐ろしい戦争が今も続いていることを忘れないこと。戦争や弾圧、人の死に慣れないこと。そしてロシアとロシア人すべてを憎み切り捨ててしまわないこと。ロシアの全てを完全否定してしまうことは、そうした “自浄作用” の芽までも潰してしまいかねない危険な行為かもしれませんし、そもそもロシアがやっていることと何ら変わりがありません。
SLAUGHTER TO PREVAIL は昨日、戦争を止めるための第二の矢を放ちました。彼らが最も得意な方法で戦争と流血、そして全体主義について強く発言することを決めたのです。”1984″というタイトルの、強烈なエクストリーム・メタルによって。


1984

もし、あの場所で起きていることがすべて自分のことだったら?
あの涙が自分の家でも流れたとしたら?
お前はあんなクソを白い壁に塗りたくれるか?
自分の家で家族と一緒に
良心は死に絶えた!
行進する軍隊が見える
痛みが走る…だがそこにいる友にはもはや顔も運命もない
死と痛みが群衆の後ろに続く
一体何なんだ?何が起きている?
暴力を止めろ
地球上の流血を止めるんだ
怖がる子供たちの目を見て自分を取り戻せ
暴力を止めろ
地球上の流血を止めるんだ
なあ、兄弟たち
怒りは記憶の中で生き続ける! 怒りは生き続け、そしてはびこってしまうんだ!
罪のないふりをする
見ないふりをする
自分の戦争ではないふりをする
戦争反対のふりをする…そうじゃねえだろ?
ヤツらの目は呪われている
ヤツらの信仰は磔にされている
戦争によって!
ヤツらの舌は石だ
ヤツらの舌は死んでいる
戦争によって!
あのクソ野郎はいつかお前の背中にもナイフを突き刺すだろう

“どうか暴力を止めてくれ、地球上の流血を止めてくれ” という心からの率直な呼びかけを続けながらも、ジョージ・オーウェルの名作小説 “1984” を背景として “抗議” に奥行きを持たせているところはさすがとしか言いようがありません。オーウェルが1949年に執筆した、全体主義国家によって分割統治される近未来の恐怖。70年以上も前の空想が今、リアリティーを持って襲い来るなどと誰が想像したでしょうか。そうして彼らは戦争のみならず、政府による監視、検閲、権威主義の暴走に対しても抗議の声をあげているのです。”1984″ の仮のタイトルが “ヨーロッパ最後の人間” だったというのも、今となっては皮肉な話。オーウェルの言葉を置いておきましょう。
「この小説は社会主義に対する攻撃ではなく、倒錯を暴露することを意図したもの。小説の舞台はイギリスに置かれているが、これは英語を話す民族が生来的に他より優れているわけではないこと、全体主義はもし戦わなければどこにおいても勝利しうることを強調するためだった」
これほど直線的に暴力の嵐を叩きつけてくるバンドが、悪魔の顔を被ったバンドが、実は誰よりも平和を願っている。彼らの存在だけで、仮面の裏の素顔をしっかりと見極めることがいかに重要か伝わります。オーウェルと握手をかわし、ロシアの純血主義のため自分のアートを捨て去ることを拒否し、600ポンドの熊と戦い、顔の傷跡の凄みを明かし、デスコアに飽きたと宣言する。SLAUGHTER TO PREVAIL の野望と狂気と真実と未来はすでに約束されているのかもしれません。まずは、ロシアを離れた理由から話してもらいましょう。

「ロシアのメタル・シーンはアメリカに比べてそれほど大きくないからだ。でも、俺は自分の国が好きなんだ。家族も友達もまだそこにいるからね。俺はロシアで育った。自分の国のことは何でも知っている。ロシアにいる方がずっと楽なんだ。でも、戦争が始まると、ビジネスのコネクションなど、すべてを失ってしまう…制裁で何もできない。そこで、アメリカに移り住むことを即決し、ビジネスもアメリカに移したのさ」
Terrible が手がけているビジネスとは何なのでしょう?
「自分の商品、マスク、その他もろもろを売っているんだ。うまくいってるからビジネスみたいなもんだ。たくさん売れて儲かってるんぜ。俺のバンドにとってもいい金だ。PayPal はロシアと手を切った。Visa と MasterCard も閉鎖した。ロシアから他の国への送金ができないんだ。今は難しい。移住にはヨーロッパの国々や、おそらくメキシコ、アメリカなど、いくつかの選択肢があったな。でも、一番いいのはアメリカだと思った」
戦争によって物理的な危険もあったのでしょうか、それとも制裁によって去ることになったのでしょうか?
「それはちょっと危険な話だ…。戦争に反対だと言って、抗議するようなことをすれば、おそらく刑務所に入るか、3万ルーブル(約500ドル)か5万ルーブル(約800ドル)の切符を切られるかもしれないんだ。それほど高くはないが、それでもとんでもないことだよ。戦争に反対しているだけで、政府からただ “オマエには問題がある。黙れ。黙ってろ” と言われるのさ。特に音楽をやっていて、戦争に反対していたら、おそらく政府はショーを行わせないだろうし、シャットダウンする…… 俺は芸術のためなら何でもする。そうだよ、俺たちは少し問題を起こした。政府は俺たちが悪魔崇拝者だと考えている」
具体的に何があったのでしょう?
「暴力、暴力のプロパガンダ、悪魔崇拝、その他もろもろの理由で、俺らのショーはキャンセルされたんだ。俺や他のバンドにとって、それは非常に危険なことだ。ロシアでは何もしなくても刑務所に入れられるからな。ロシアは今、政府がかなり強くて、すべてをコントロールしているんだ。ヤツらが気に入らなければ、簡単に刑務所に入れられるんだよ」
Terrible はロシアで刑務所に入れられたことがあるのでしょうか?
「俺はないよ。ありがたいことにね。でも、俺の友人には、何もしていないのに刑務所に入れられた人がたくさんいる。ロシアではよく言われる言葉がある。”刑務所に行くかもしれないから、準備しておけ”。今はまさにそんな感じさ」
ライブが政府によってキャンセルされるときは、軍が踏み込むのでしょうか?
「警察が来て、”貴様らは演奏はできない”と言われるだけ。音楽も何もかも消されるんだ。あるいは、その前にショーを主催している人たちに電話して、ヤツらは演奏はできないと言うんだ。問題を起こしたくなければ、キャンセルしろとね」

新曲 “1984” は、かなり政治的に踏み込んだ内容です。
「俺はこれまで政治的なことには無頓着だった。でもな、歳をとると、自分の国で起こっていることをしっかり見なければならないことに気づくんだよ。そこで生きているんだから。政治的でなければならないんだ。この状況について歌ったこの曲。とても感情的だ。俺はとても感情的な男なんだ。だって音楽をやっているんだから。すべてのアーティストが感情的だと思う。それだけ、この状況は本当に心にキタんだよな…自分の仲間が他の国、つまりウクライナに行って、お互いに殺し合っているんだから。たしかに、今のような状況になる前にも、誰もがそのような話をしていた。ロシアがウクライナに侵攻するってね。でも俺はそんなことは信じていなかった。冗談のように思っていた。一体どうなっているんだ?何を言っているんだ?だけど、実際に起こった」
驚きましたか?
「気が狂いそうだったよ。”1984″ という本の中で言われていた、嘘は真実であり、暴力は愛であるといった状況が、ロシア政府にもはっきりと見て取れるからね。実に愚かで強力なプロパガンダが行われ、戦争に反対する人たちを刑務所に入れるという政府の本当に愚かな行動がね。刑務所ではなく、国自体がもう牢屋よ。切符を切られるんだからな。”そんなことはやめなさい。あなたは間違っている” もうね、イかれてるよ」
ロシア政府に従うという選択肢も存在したはずです。
「この曲では “暴力はやめろ” と歌ってる。”なぜこんなことをする?” 間違ってると思うからさ。俺は多くのことを知らないよ。でも俺はクソじゃない…俺は政治家ではないし、ドンバスの紛争もよく知らないし、こんなクソみたいな戦争の理由も知らない。でも、無学な俺にとって、今起きていることは好ましくないんだ。だって人が死んでいるんだから。民間人が苦しんでいる。マリウポルは破壊された。街全体が破壊されている。俺は無学だが、他人の立場に立って考えることはできる。例えば、マリウポリに住んでいて、こんなことが起こったと想像してみるんだ。家族を失い、家も失い、そしてこのような事態になる。ロシア政府を憎むだろう。ロシアが憎くてたまらなくなる。俺はただ… 何て言えばいいんだろう…本当に感情的な人間なんだ。ロシアでは、心の中ですべての人が戦争に反対していると思うよ」
あなたように政治的な問題に言及するロシア人が増えることで、今後、ウクライナにおける殺戮が沈静化することはあるのでしょうか?
「そう願うよ。誰もが、ただ黙っていることはできないからね。なぜなら、ロシア人はロシアに住んでいて、家族もロシアにに住んでいるから。自分の子どもたちも、この国で生きていく。今は俺に起きていることだけど、明日は自分子供や親に起きることなんだ。俺たちはこんなこと望んでいないよ。ロシア人にできる最も小さなことは、ただ何かを言うことだ。そして俺は幸運にも、自分のバンドや音楽を通して、何かを言うためのツールを持っている」

“1984” とそのミュージック・ビデオは、ロシア以外の国で録音されたのですよね?
「いや、もしロシアにいたとしても、俺はこのビデオを公開しただろう。このクソが始まったとき、戦争が始まったとき、俺はいつも自分のインスタで “政府なんてクソだ。戦争なんてクソだ。俺はアイツらなんて怖くねーから” と言ってきた。親には “気をつけなさい。黙っていてくれ” と言われたけどな。ダチはそうしてる。でも俺は嫌だな。俺は言いたいことは何でも言う」
あの曲をロシアで作ったことが政府に知れたら、どれだけの問題になるのでしょう?
「わからない。たぶん、誰かが俺らに興味を持って、敵対するようなことがあれば、トラブルになる可能性はあるけど、それはわからない。わからないけど…でも、常にリスクはあるよ。もし俺がロシアに戻り、そこに留まり、今のような言動を続けたなら、おそらく問題になるだろう…。たぶん、切符を切られ、2枚目の切符を切られ、そして刑務所に行くことになるのだろう」
ネット上では、”デスコアバンドで、暴力的なイメージの音楽を作っているのに、反戦だと言っている偽善者” と揶揄されることもあります。
「彼らは愚かだ。俺は感情的な人間なんだ。戦いは好きだし、武器やライフルも好きだけど、戦争が好きなわけではないんだよ。人々が苦しむのを見たいわけがない。人殺しが好きとか、そういうことじゃないんだ。奴らはただのバカだ。まあ、多くの人はバカだ。それはそれでいい。俺はそれを無視してるんだ。だって、デスコアってのは、蝶々や愛について歌うんじゃなくて、攻撃的な音楽なんだから。でも、いざ戦争になったら、何か言わなきゃいけないと思うし、俺は自分の歌で自分の思いを歌うんだ」
ロシアのおとぎ話をテーマとした “Baba Yaga” のビデオも強烈でした。
「戦車、バズーカ、熊など、かなりロシア的なテーマだったよね。ロシア的なものを1つのビデオにまとめただけというか。Baba Yaga は、小さな子供を怖がらせて食べようとするとても醜い女性の物語。ロシアではとても一般的なおとぎ話だよ。俺たちは、それをとてもシリアスで、とてもアグレッシブなものにしようとしただけなんだ。ロシアで戦車を走らせ、毎日熊と格闘しているわけではないよ。あれはただのアートだから。まず第一に、見ていて楽しい。第二に… 俺は武器や戦いが好きだ。だが常に一線を画している。それを理解する必要があるんだよ。大人の男なら分かるはずだ。一線は必ずある。多くの人がこう言う。なぜ戦車やバズーカのことを歌うのに戦争には反対なのか?その通りだよ。ただ、俺にはバカバカしいとしか思えない。一線を越えるか越えないかだよ。俺は人間で、常に人間でいようと思っているだけだ。何が起ころうとも、俺はいつも物事を落ち着かせようとしているんだ。たくさん分析しようとする。俺は人が苦しむのが好きじゃない。動物の苦しみも好きじゃない。だから6年間ヴィーガンだったんだ…よくわからないけど。世界はもっと優しくなるべきだと思う」
実際に熊と戦ったんですよね?
「もちろん、訓練されたクマだけど。でも、まあ訓練されていようがいまいが関係ないよ。だってあれは本物の熊なんだから。クマの本性は野性的で、何を考えているかわからない。数秒のうちに、もしかしたら突発的に食べられてしまうかもしれない。銃がないから止められないし… 俺たちの周りは棒だけを持っていた。トレーナーやコーチが “やめろ”と言いながらバン バン。それでおしまい。え?マジで?棒で熊を止めるのか?みたいな。クマの体重は200キロか300キロくらい。トレーナーは “何も問題ない。このクマは何度も人間とやりあってる” と言ってたな」

実際に武器を持っているのでしょうか?
「ロシアでは AK をたくさん持っている。ショットガンのAK、ごく普通の AK-47、スナイパーのもの、VSS など。俺たちはヴィントレスと呼んでいます。ロシアでもかなり一般的なライフルだね。アメリカではもうAKとAR、それに狙撃銃も買ったよ。50BMGとか。俺は射撃がかなり好きなんだ。子供のころはずっと “カウンターストライク” をプレイしていたから、武器の見た目がとても好きなんだよな(笑)」
プロの格闘家としても活躍しているんですよね?
「プロフェッショナルではなく、あくまで趣味だよ。本当に好きなんだ。6歳の時に親に連れられて、プロレスのフリーコーナーみたいなところに行って、それから一度辞めた。17歳か18歳のとき、ジムに行ってリフトを始めて、ガリガリだったから筋肉をつけたんだ。ガリガリが嫌だったんだよ。特にロシアに住んでいると、かなりポピュラーなのがゴプニク。ゴプニクというのは、強盗とか喧嘩とか、そういう悪いヤンキーたちのこと。本当に痩せていると狙われて困るんだよね。いつも銃を持っているわけにもいかないし、ね」
格闘技もステージに役立っているようですね?
「そうだね。確かにね。特にデスコアのボーカリストならね。ステージでは、叫びながらヘッドバンキングして、同時に動くのは本当に大変なことなんだ。エネルギーを費やして、呼吸をして……。MMAと似ているよね」
その顔の傷は…格闘でできたのですか?
「ただの傷跡だよ。わざとやったんだ。自分で顔を切っただけだ。タトゥーや体の模様替えが 好きなだけだよ。女の子がメスを持っていて、それで切っただけ。痛みは苦手なんだけど、タトゥーやその他もろもろが好きなんだ」

SLAUGHTER TO PREVAIL の新作のサウンドはどうなるのでしょう?
「”Kostolom” の良いところを取り入れ、それと同じかそれ以上のものを作ろうと思っている。おそらくデスコアにはならないだろうね、デスコアには飽きたから。正直に言うと、スラミングとかデスコアとか、そういう本当にヘヴィなものには飽きたんだ。デスメタルも好きだ。デスコアも好きだ。だけど、何か新しいものを作りたいんだ。何か巨大なものを作りたいんだ。例えば、RAMMSTEIN 。彼らはかなりクソ重いギターリフを持ってる。クソ重いけど、シンガーが歌っている。彼はクリーン・ボーカルをとる。でも、同時に、人々が(歌詞を)理解することができるから、かなり巨大なバンドなんだ。みんながあの雰囲気を感じ取ることができるんだ。俺たちはそういうものを作り出さなければならない。例えば、SLIPKNOT。90年代、彼らはデスメタルとヘヴィメタル、そしてニューメタル、これらすべてをミックスした。俺も同じことをしたい。SLAUGHTER TO PREVAIL と Alex Terrible の名前を音楽史に刻みたい。俺は普通のデスコアやデスメタルバンドにはなりたくない。何かクレイジーなことをしたいんだ」

参考文献:  “OUR GOVERNMENT THINKS WE’RE SATANISTS”: SLAUGHTER TO PREVAIL TALK RUSSIA, WAR, FIGHTING BEARS, NEW MUSIC

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【WAKE : THOUGHT FORM DESCENT】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH RYAN KENNEDY OF WAKE !!

“I Think We’re a Metal Band. For Better Or Worse There’s No Specifying Sub-genres For The Type Of Music We Want To Make, In My Opinion. We Play Metal.”

DISC REVIEW “THOUGHT FORM DESCENT”

「最近、僕らの音楽活動に対して “成長” や “発展” という言葉がメディアによってよく使われているけど、僕らにとっては、すべてが論理的で当たり前のステップのように感じられる。長い間同じ音楽を聴いてきて、その時々に浮かんだアイデアを形にするだけ。それが “ユニーク” かどうかはわからないけど、少なくとも自分たちを正直に表現しているとは言えると思う」
カナダの WAKE は決して同じことを繰り返すだけのバンドではなく、リリースのたびに進化を遂げているとメディアは評します。しかし彼らはただフワフワとジャンルの境を漂う根無し草などではなく、溢れ出る自らの音楽的な創造の泉を “エクストリーム” “ブルータル” とは何かを再考し再発明するための挑戦の場として活用しているのです。
「”ブルータル”、”クラッシング”、”デヴァステーティング” という言葉は、エクストリーム・ミュージックの形容詞として乱用されすぎだ。僕たちは、”ブルータル” や “エクストリーム” のアイデアはブラストビートや鋭いトライトーンだけではないことを証明したいし、もっと重要なのは “ブルータル” な要素は鋭さだけでなく受動的な緩やかさからも生み出せるんだ。そのどちらにも通じる、ユニークな衝撃を生み出すことができるというアイデアを、人々に直面させようと思ったんだ」
その結果、容赦なくヘヴィなものから絶妙な美しさまで、時に片側一車線、しばしば相互通行で同時に駆け抜けるニュアンス豊かな8曲が誕生しました。それは瞬時にリスナーの心を掴み、全ての神経を張り巡らせれことを要求します。”Thought Form Descent” は豊かな質感と緻密なレイヤーで構成され、聴くたびに奥行きを感じさせ、WAKE をナチュラルに新たな次元へと導いているのです。
「僕たちは単にメタル・バンドだと思うんだよ。良くも悪くも、僕らが作りたい音楽のタイプにサブジャンルの指定はないと僕は思っているんだ。僕らが演奏するのはメタルであり、あらゆるジャンルを網羅したメタルなんだ。僕たちの個性は、ジャンル、テンポ、音色がどうであれ、僕たちが導入するあらゆる音の要素の間に常に潜んでいるから」
重要なのは、WAKE が “クラスで一番” を目指しているわけではなく、メタル世界全体の “目覚め” を誘うことに重きを置いている点でしょう。例えば同郷の ARCHSPIRE のように、”テクニカル・デスメタル” という狭い “教室” を極め尽くして一番になる。それも名を上げる一つの方法です。しかし、WAKE はあらゆるメタル、あらゆるサブジャンルを網羅した包括的な “ヘヴィ・メタル” でメタルの革新を願うのです。故にグラインドに 端を発する彼らの旅路には、ブラックも、デスも、ドゥームも、スラッジも、プログレッシブも存在し、ポストメタルでさえ顔を覗かせていきます。
「今回は多くのアイデアが試されたけど、すぐに却下されていった。なぜなら、典型的な怒りに満ちた攻撃的な歌詞から軌道修正する必要性があったから。同時に、あまりに憂鬱で個人的なものでもないようにしたんだ。そうして僕たちは、自分たちのドリーミーな方向性を追求していったんだ」
タイトルの “Thought Form Descent” は、「心の中に一種の迷宮を作り、それを現実に物理的に顕在化させる」というアイデアに由来しています。自分自身の無意味さ、人生の虚無感に直面した主人公が現実と対立し、未知の世界に大きな意味を見いだすというもの。
明晰夢、瞑想、幽体離脱、臨死体験といった手段で、彼は未知の場所に旅立ち、良くも悪くも現実の扉の向こう側を発見します。己の生との対立、現実との対立。そうして主人公はアストラルセルフとフィジカルセルフのどちらが真の存在なのかで混乱し、2つの間を引き裂くような意識状態の中で戦っている自分に気づきます。そして最終的に彼は、両方を元に戻して絶対的な無になろうとするのです。
現実からの逃避と夢見がちなストーリー・ライン。その音楽的な具現化には、ALLEGAEON, CATTLE DECAPITATION, KHEMMIS, PRIMITIVE MAN などモダンメタルの多様を牽引するプロデューサー Dave Otero も一役買っています。彼のメタルだけでなくポップ・ミュージックとその構成を理解する能力、音楽理論の知識、リフだけでなく曲の動きとコード進行にも連動する姿勢は、”デスメタル” “ブラックメタル” をはるかに超え、同様に “超越者” である GORGUTS の Kevin Hufnagel が流麗なメロディーを奏でることでアルバムは至上の域に達しました。
今回弊誌では、ベーシスト Ryan Kennedy にインタビューを行うことができました。「たしかに僕は DARKTHRONE や MAYHEM, BATHORY などを聴いて育ったから、ブラックメタルと僕は強い感情的なつながりを持っているけど、哲学的な意味合いを持っているわけではないからね。それに、僕も歳をとったから、哲学的な傾倒がより多様化する傾向にあるしね」 どうぞ!!

WAKE “THOUGHT FORM DESCENT” : 10/10

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