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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW【ANARCHŸ : SENTÏENCE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH REESE TILLER OF ANARCHŸ !!

“Slayer Is Awesome, But We Really Don’t Need Any More Slayer Clones.”

DISC REVIEW “Sentïence”

「僕ら二人は Anarchÿ の他にも音楽活動をしているけど、HeXeN, VOIVOD, VEKTOR のようなメロディックかつプログレッシブなバンドのように、本当に痒いところに手が届くスラッシュ・アーティストをほとんど見たことがないんだよ。だからこそ、僕たちはできるだけ多くの音楽、特にクラシック音楽からインスピレーションを得ることにしたんだ」
スラッシュ・メタルはヘヴィ・メタルの改革にほとんど最初に取り組んだジャンルかもしれません。しかしながら、ここ20年ほど、質の高いスラッシュ・バンドはそれほど多く現れていないのが実情でしょう。80年代半ばから90年代初頭にかけての素晴らしい作品は今でもその輝きを失うことはありません。しかし、2020年代においても、絶賛されるスラッシュ作品のほとんどがあの時代のカルト・ヒーローという現状は決して健康的とは言えないはずです。
弊誌でも、今年取り上げたスラッシュ・バンドは VOIVOD, BLIND ILLUSION, TOXIK などあの時代の英雄ばかり。VEKTOR の偉業はむしろ青天の霹靂でした。では、スラッシュ・メタルを牽引する若い力はもう顕現することはないのでしょうか?
「音楽的に何も新しいものをもたらさない新たなスラッシュ・バンドは本当にたくさんいる。僕はどんな種類のスラッシュも好きだからそれはそれでいいんだけど、今後、もっとユニークなものを作る努力をしてほしいと願うばかりだよ。つまりね、SLAYER は素晴らしいけど、これ以上 SLAYER のクローンは全く必要ないんだ」
心配は無用。スラッシュ・メタルの無政府主義者 Anarchÿ がいます。セントルイスを拠点とするボーカルとマルチ奏者の2人組。彼らのデビューフル “Sentïence” はプログレッシブ・スラッシュの痒いところに手が届く意外性と独自性の塊。アートワークやてんこ盛りのウムラウトも、このジャンルが百花繚乱だった頃を思い起こさせる素晴らしい出来栄え。ジャンルの垣根を取り払い、様々な音楽的影響を融合させたこのアルバムは、スラッシュやメタルを基盤としながらその堅苦しい建物の外に出て、人間の経験や謎めいたテーマに触れながら、神秘的なリスニング体験を届けてくれます。
「スラッシュ・メタル史上最長の曲の後に続くのは、最短の曲以外に何があるだろうか? しかし残念ながら、WEHRMACHT は80年代に “E” で既に最短の試みを先行していたので、僕らは彼らのマイクロソングをカバーすることを選んだんだ。32分の曲の直後に2秒の曲を置くことのユーモアが、誰かに伝わることを祈るよ!」
バッハへの賛辞、スペインの夢、メタルらしからぬハンド・パーカッションなど様々な要素を取り入れたアルバムで、ハイライトとなるのは32分のオデッセイ “The Spectrum of Human Emotion”。シェイクスピアの戯曲 “ハムレット” をロック・オペラ風にアレンジしたこの曲は、スラッシュ・メタルのリフを中心に、ソフトなアコースティック・ギター、ジャズや VOIVOD の不協和音、アカペラ・ボーカル、優しいピアノの響き、そしてDavid Bowie を思わせるスペース・ロックと、ジャンルの枠を越えた冒険がスリルとサスペンスの汀で展開されていきます。スラッシュ・メタルの BETWEEN THE BURIED AND ME とでも評したくなるようなアイデアの湖。ただし、7部構成の壮大なシェイクスピアン・スラッシュが幕を閉じるや否や、たった2秒の “Ë” でリスナーの度肝を抜くのが彼らのやり方。
ただ、Anarchÿ の策士ぶりは、1時間近くあるアルバムの半分以上を “The Spectrum” という1曲の超越した叙事詩で展開しながら、残りのトラックでは、プログレッシブ・スラッシュの雛形を意識し、ジャンルの骨子である目眩く複雑なリフとコンポジションで好き者をも魅了していることからも十二分に伝わります。決して、ただのイロモノではなく、歴史と未来を抱きしめた明らかな “挑戦者” の登場です。
今回弊誌では、Reese Tiller にインタビューを行うことができました。「シェイクスピアの “ハムレット” は、とてつもなく長い戯曲だから、とてつもなく長いスラッシュ・メタルの曲にはぴったりだ!と。そして、歌詞にするためのメモがたくさんとって、曲の歌詞にチャネリングしていったんだ」どうぞ!!

ANARCHŸ “SENTÏENCE” : 10/10

INTERVIEW WITH REESE TILLER

Q1: First of all, what kind of music were you listening to, when you were growing up?

【REESE】: Growing up, I was obsessed with the Beatles! I still am, really. I imagine it’s what has drawn me towards the more experimental side of music over the years, of course, the Beatles were revolutionary with their innovation and experimentation in the studio.

Q1: 本誌初登場です!まずは、あなたの音楽的なバックグラウンドからお話ししていただけますか?

【REESE】: 幼い頃、僕はビートルズに夢中だったんだ。今でもそうだよ。そのおかげで、僕は長年にわたって、より実験的な音楽の方へと引き込まれていったんだろうな。もちろん、ビートルズはスタジオでの革新と実験によって革命的な存在だったからね。

Q2: How did Anarchÿ come to be? What made you choose that band name?

【REESE】: I’m constantly writing new music, so when COVID-19 sent the world into lockdown, I found myself with plenty of time to start recording my ideas. I recorded ‘Breathing Necropolis’, our first EP/Demo, in 2020. However, music is a lot more fun with multiple people involved, so I called upon my good friend Fionn to contribute his vocal talents. Our tastes are almost identical, and so, the duo was born. I wouldn’t be able to do this without him! The name “Anarchÿ” implies absolute musical freedom, creating precisely what we want to hear regardless of what anyone else may think. Selfishly-written music is always the best!

Q2: Anarchÿ 結成の経緯をお話ししていただけますか?

【REESE】: 僕は常に新しい音楽を書いている。そして、コロナが世界をロックダウンさせたとき、僕はそんな自分のアイデアを録音し始める時間がたっぷりあることに気づいたんだ。
2020年に最初の EP/デモである “Breathing Necropolis” をレコーディングしたね。だけど、音楽は多くの人が関わった方がずっと楽しいから、親友の Fionn にボーカルの才能を提供してくれるよう頼んだんだ。僕らの趣味はほとんど同じ。それでこのデュオが誕生したんだよ。彼がいなければ、この仕事はできないだろうね。
“アナーキー” という名前は、他の人がどう思うかに関係なく、自分たちが聴きたいものを正直に作るという、絶対的な音楽の自由を意味しているんだ。自分勝手でワガママに書いた音楽は、いつだって最高だから。

Q3: Reece plays all the instruments, how did you become so multi-talented? Who are your musical heroes?

【REESE】: In the past, I was involved with many bands consisting of my friends that never seemed to go anywhere. We’d learn a song or two, and then somebody loses interest. I’m sure many young rock/metal musicians could relate. Eventually, I took it upon myself to create music independently by any means necessary. I played percussion through 7 years of school and picked up guitar/bass when I was very young. When I first heard Vektor in middle school, that really made me realize just how incredibly versatile thrash metal can be. They greatly influenced both my guitar work and songwriting. I even started writing up in F standard tuning as they did.

Q3: あなたは、ボーカル以外のほとんどの楽器を演奏していますね?

【REESE】: 以前、僕は友人たちと多くのバンドを組んでいたんだけど、一向にうまくいかなかった。1,2 曲覚えたところで、誰かが興味を失ってしまう。若いロックやメタルのミュージシャンなら、共感してくれる人も多いと思うんだけど。
それで結局、僕はどんな手段を使ってでも、自分自身で音楽を作り上げることに決めたんだよ。僕は学校で7年間パーカッションを演奏し、幼い頃にギターとベースを手に入れた。そうして中学生の時、初めて VEKTOR を聴いてスラッシュ・メタルがいかに多才なものであるかを実感したんだ。彼らは僕のギター・ワークとソング・ライティングの両方に大きな影響を与えてくれた。彼らと同じように Fスタンダードチューニングで作曲するようになったくらいだよ 。

Q4: Still, “Sentience” is a great album that lives up to its Shakespearean thrash metal name! Shakespeare and thrash metal seem to be the furthest things from each other, so why did you decide to bring the two together?

【REESE】: I had this idea for a really long thrash metal song in high school, initially, wanting to make it over an hour long. I got to work on the music, but had no clue as to what the lyrics should be about. I was taking a Shakespeare class at the time, and that’s when it hit me. Shakespeare’s Hamlet, an incredibly long play, would be perfect for an incredibly long song! After all, I had plenty of written notes to work with and channel into song lyrics.

Q4: それにしても、”Sentïence” は “シェイクスピアのスラッシュ・メタル” の名に恥じない素晴らしいアルバムですね!
シェイクスピアとスラッシュ・メタルは両極にあるようにも思えるのですが、なぜその2つを合わせようと思ったんですか?

【REESE】: 高校時代、スラッシュ・メタルで1時間以上の本当に長尺の曲を作ろうと思いついたんだ。それで曲の制作には取りかかったのだけど、歌詞はどうしたらいいのか、まったくわからなかった。
当時、シェイクスピアの授業を受けていたんだけど、その時に閃いたんだ。シェイクスピアの “ハムレット” は、とてつもなく長い戯曲だから、とてつもなく長いスラッシュ・メタルの曲にはぴったりだ!と。そして、歌詞にするためのメモがたくさんとって、曲の歌詞にチャネリングしていったんだ。

Q5: What is the story being told in “Sentience” and what is the true meaning of “More Umlauts, More Metal!”?

【REESE】: “Sentïence” implies that the songs (well, most of them) are inspired by different parts of the human experience or some introspective thoughts that I’ve had and shared with others, topics based around fear and death. At first, we added the umlaut to our name only to be more easily identifiable, but of course, the whole umlaut thing in metal is incredibly cliche. It became something of a running joke to overuse them as much as possible.

Q5: “ウムラウトが増えるほどメタルっぽい” という曲には笑いましたが、アルバムにはどんなテーマがあるんですか?

【REESE】: “Sentïence” の曲のほとんどが、人間の経験のさまざまな部分、僕が持っていて他の人と共有した内省的な考え、恐怖と死を中心としたトピックに触発されているよ。
最初は、より簡単に識別できるようにと、自分たちの名前にウムラウトをつけたんだけど、もちろん、メタルにおけるウムラウトというのはある意味信じられないほど陳腐なものだよね。だからできるだけウムラウトを多用することが、ある種のジョークになったんだ。

Q6: I think this is the first album in the metal world where a 31-minute song and a 2-second song cohabitate! How did you create such chaos?

【REESE】: What else could follow up what’s potentially the longest thrash metal song ever recorded other than the shortest one we could muster? Unfortunately, Wehrmacht already beat us to it in the ’80s with “E”, so we just opted to cover their micro-song. Hopefully, the humour of placing a 2-second song immediately after a 32-minute song is not lost on anybody!

Q6: それにしても、32分の曲と2秒の曲が同居するアルバムは、メタル世界でも初めてでしょうね?

【REESE】: スラッシュ・メタル史上最長の曲の後に続くのは、最短の曲以外に何があるだろうか? しかし残念ながら、WEHRMACHT は80年代に “E” で既に最短の試みを先行していたので、僕らは彼らのマイクロソングをカバーすることを選んだんだ。
32分の曲の直後に2秒の曲を置くことのユーモアが、誰かに伝わることを祈るよ!

Q7: Musically, the work ranges from Yngwie to Napalm Death, and of course Voivod, Cynic, Death, and Vektor. Is it like you have put everything you like into it?

【REESE】: Absolutely! We both work on other musical endeavours besides Anarchÿ, but I have seen very few thrash acts that truly scratch the melodic and progressive itch that unique bands like HeXeN, Voivod, and Vektor do. We have drawn inspiration from as many points as possible, especially classical music. I’d say Exmortus is proof that classical and metal were meant to coexist.

Q7: 音楽的には、Yngwie から NAPALM DEATH, そしてもちろん、VOIVOD, VEKTOR, CYNIC といった幅広い影響が感じられますが、ある意味好きなものをすべて詰め込んだ作品とも言えるのでしょうか?

【REESE】: もちろん。僕ら二人は Anarchÿ の他にも音楽活動をしているけど、HeXeN, VOIVOD, VEKTOR のようなメロディックかつプログレッシブなバンドのように、本当に痒いところに手が届くスラッシュ・アーティストをほとんど見たことがないんだよ。だからこそ、僕たちはできるだけ多くの音楽、特にクラシック音楽からインスピレーションを得ることにしたんだ。EXMORTUS は、クラシックとメタルが共存することを意味する証拠だと言えるね。

Q8: Some people say that thrash metal doesn’t evolve any more, that Heathen, Annihilator, Realm and Toxik were the most challenging bands. But listening to your music I don’t think so! What do you think about the future of Thrash metal?

【REESE】: Those are all great bands that have also inspired what we do. There is indeed a vast sea of newer thrash bands that don’t bring anything new to the table musically, which is fine since I love thrash of any sort, but I can only hope that more will strive to be unique with what they create in the future. Slayer is awesome, but we really don’t need any more Slayer clones. If anything, you can rest assured that we will definitely continue to incorporate progressive experimentation into our thrashing.

Q8: スラッシュ・メタルはもうこれ以上進化しないと言う人もいますね?
CORONER, HEATHEN, ANNIHILATOR, REALM, TOXIK といったバンドが最も挑戦的だったと。しかし、あなたの音楽を聴けばそれが間違いであることが伝わりますね?

【REESE】: 君が挙げたバンドはすべて、僕らがやっていることにインスピレーションを与えてくれた素晴らしいバンドだ。だけど、音楽的に何も新しいものをもたらさない新たなスラッシュ・バンドは本当にたくさんいる。僕はどんな種類のスラッシュも好きだからそれはそれでいいんだけど、今後、もっとユニークなものを作る努力をしてほしいと願うばかりだよ。
つまりね、SLAYER は素晴らしいけど、これ以上 SLAYER のクローンは全く必要ないんだ。どちらにせよ、僕らはプログレッシブな実験をスラッシュに取り入れることを間違いなく続けていくから安心してほしいな。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED REESE’S LIFE!!

Vektor  “Terminal Redux”

possibly the best thrash album ever written.

おそらく史上最高のスラッシュ・アルバム。

HeXeN “Being and Nothingness”

perfectly incorporates the melodic and neoclassical components we love, as well as deeply introspective lyricism.

僕たちが愛するメロディックとネオクラシックの要素、そして深く内省的なリリックが完璧に盛り込まれている。

Archspire “Relentless Mutation”

absolutely mindblowing technicality and speed, but not at the expense of great songwriting.

驚くほどのテクニックとスピード。しかし素晴らしいソングライティングを犠牲にしていない。

A Perfect Circle “Thirteenth Step”

sparked my admiration for concept albums.

コンセプトアルバムへの憧れを抱かせてくれた。

The Beatles “Abbey Road”

the first album I ever bought, and it’s still one of the best.

僕が初めて買ったアルバムで、今でもベストの1枚。

MESSAGE FOR JAPAN

Thrash against the grain! Also, we have a brand new song, “Redder Dawn”, our first single coming 12/24! It’s about the brutal war still raging in Ukraine.

スラッシュに逆らおうぜ! 新曲 “Redder Dawn” は12/24にリリースされる最初のシングルだ!この曲はウクライナでまだ続いている残酷な戦争について歌っているんだよ。

REESE TILLER

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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【DREAM UNENDING : SONG OF SALVATION】


COVER STORY : DREAM UNENDING “SONG OF SALVATION”

“There will be bands where you’re like, “I only like the early stuff because the later stuff got different.” That’s fine, but do you really need six records that sound like one specific thing?”

DREAM UNENDING

人生は厳しいもの。人は必ず成長し、生きるために働き、老いて死にます。もし、そんな苦痛のサイクルから解き放たれたとしたら? もし私たちが現代生活の呪縛から解放され、哲学的な反乱を起こし、諦めるのではなく人生を謳歌することができたらどうでしょう。TOMB MOLD の Derrick Vella と INNUMERABLE FORMS, SUMERLANDS の Justin De Tore によるデュオ、DREAM UNENDING は、そうして人生という果てしないファンタジーに慰めを見出しました。
ANATHEMA や Peaceville Three に影響を受けたデスメタル、ドゥーム・メタルを背景に、DREAM UNENDING が描く人生に対する理想を理解することは簡単ではないでしょう。De Tore は、人生の循環的な側面と、逆境に直面した際の魂の回復力をテーマに、音楽とのより深い感情的なつながりを求めているのです。
すべての弦楽器を担当する Vella は、夢のように破砕的な雰囲気を作り出し、バンドが影響を受けてきた素材をさらに高揚させながら、個性と職人的なセンスで巧みにアイデアを育てていきます。デスメタル、ドゥーム・メタル、デス・ドゥームではなく、バンドを “ドリーム・ドゥーム” と呼ぶ Vella のソングライティングは、ヘヴィネスの黒海と天国から射す光のちょうど中間にある絶壁で稀有なるバランスを取っています。
それにしても、デスメタルの救世主として名を売った2人は、なぜゴシックやデス/ドゥームメタルの父である “Peaceville” にオマージュを捧げることになったのでしょう?Derrick Vella が答えます。
「僕が初めて Peaceville に触れたのは PARADISE LOST だった。2000年代に古いゴスのブログを通じて “Shades of God” を聴いたことがあったんだ。正直なところ、あのアルバムは好きではなかったね。そのブログで彼らが “Gothic” というアルバムも出していることを知ったんだけど…なぜあのブログはそっちをアップロードしなかったのか、理解できなかったよ。
“Gothic” は簡単に僕を虜にした。当時聴いていたダーク・ウェイヴ、ポストパンク、エクストリーム・メタルの延長線上にあるような、論理的なものだったからね。まさに世界がぶつかり合う瞬間だった。ちょうどあの頃は、夜、真っ暗なバスで帰宅していたから、このアルバムと THIS MORTAL COIL の “Filigree and Shadow” が混ざっても、それほど飛躍した感じはしなかったね。思い出深いアルバムだよ。
その頃から、友人がドゥーム・メタルにハマり始めたんだけど、彼はカーゴ・パンツのドゥームではなく、もっとベルボトムのようなドゥームが好きでね。だから幸運なことに、THERGOTHON や ESOTERIC みたいなバンドを紹介してもらうことができたんだ。ESOTERIC はこれまで存在した中で最も偉大なメタル・バンドかもしれないね。とても共鳴したよ。UNHOLY のファースト・アルバムもそう。それで結局、Peaceville のものをもっと聴くようになったんだ。
でも、何よりも他のバンドより心に響いたのは、ANATHEMA だった。いつも一番胸が締め付けられる。パワフルで壮大だ。ドゥームというのは面白いジャンルだよね。奇妙にプログレッシブであったり、簡単に雰囲気を作り上げることができたり、空間をシンプルに埋めて濃密なものを作り上げることができたり。デスメタルと同じくらい、いや、それ以上に好きなんだ。
DREAM UNENDING が存在するのは、Justin にバンドを始めようと誘われたからなんだ。それまではドゥーム・メタルを書こうとさえしていなかった。みんなは、僕が高いクオリティでたくさんの曲を書くことができるといつも言ってくれるけど、本当に頼まれたときしかやらないんだ。他人のために書くというプレッシャーの中でこそ、僕は成長できるんだろうな」
ボーカルとドラムを担当する Justin De Tore にとっても、PARADISE LOST と ANATHEMA は重要なバンドでした。
「PARADISE LOST を初めて聴いたのは、”Draconian Times” が発売されたときだった。ここボストンの大学ラジオでレギュラー・ローテーションとして放送されていたんだよね。ただ、EVOKEN / FUNEBRARUM の Nick Orlando が PARADISE LOST の最初の数枚のレコードをチェックするように薦めてくれるまで、彼らの初期の作品を聴くことはなかったんだ。僕は21歳で “Gothic” を聴いて、とても深い経験をした。基本的に Nick は僕をデス/ドゥームに引き込んだ人物で、だから彼には感謝しているよ。
ただ、”Peaceville Three”も好きなんだけど、一番好きなのは ANATHEMA。Darren White のように痛みや悲しみを表現する人は他にいないよ。とても感動的だ。とにかく、このスタイルで演奏するのはずっと夢だったんだけど、それを実現するための適切な仲間がいなかったんだ。だから、Derrick のように、僕と同じような熱意を持ってくれる人に出会えたことは、自分にとって幸運だったと思っている」

ドゥーム・メタルを作る際のアプローチと、デス・メタルの世界との違いは何なのでしょうか?両者を股にかける作曲家 Derrick が答えます。
「デスメタルに対して、ドゥームではあまり安全策を取らずに書ける気がするんだ。Justin は、自分がどう感じるかを自由に書いて、そこにたくさんのレイヤーを追加してくれる。メロディックになりすぎることを心配することもないし、リフに長くこだわりすぎることもない。もしそうなっても Justin が教えてくれるしね。彼には、”このリフを考え直してみて” と言われることもあるけど、ほとんどいつも彼の言うとおりさ。アルバム “Tide Turns Eternal” を書いたときも、特に対立することはなかったね。”Dream Unending” の長い中間部に差し掛かったとき、僕はこのバンドに何を求めているのかを理解したよ。美しい部分と不穏な部分が同居しているのだけど、それぞれの部分に必ず重みがあるんだよね。
新しいバンドをゼロから始めることの良い点は、何も期待されていないこと。自分たちの好きなように演奏できるし、誰にどう思われようが気にならない。プレッシャーから解放されるんだ。Justin と僕はある程度有名人というか、正直に言うと、彼はスターだけど、二人ともこの音楽をどう思われようと気にしていないよ」
DREAM UNENDING は、自分たちが影響を受けたものをある程度身にまとっているにもかかわらず、伝統的な “デス/ドゥーム・メタル” というタグを敬遠し、自分たち独自のジャンルを確立しています。Derrick はどうやって、”ドリーム・ドゥーム” という言葉が生み出したのでしょうか?
「最初はバンド名や、アルバム名が夢の中で浮かんだということから。COCTEAU TWINS, “Disintegration” 時代の THE CURE, THIS MORTAL COIL といったドリーミーなサウンドのバンドのことを考えながら、曲を肉付けしていった感じかな。曲やアートワークのアイデアのインスピレーションも、映画の夢のシーンから得たものがあるしね。それこそ、黒澤明の “影武者” とかね。ただ、そういうものは “ドリーム・ポップ” というブランドで呼ばれているから、僕たちは “ドリーム・ドゥーム にしたんだよ」
メタル・サウンドと先進的な “ドリーム・ドゥーム” サウンド、それぞれのバランスをどうとっているのでしょうか? Justin が説明します。
「最初から何か違うクリエイティブなことをやりたかったんだ。Derrickも言っていたけど、このプロジェクトに参加するにあたっては、二人ともかなりオープンマインドだった。ドゥームのレコードを作るということでは合意していたと思うんだけど、それ以外のことはほとんど決まっていなかった。かなり慎重にやったよ。僕がやっているバンドのほとんどは、特定のスタイルにしっかりと根ざしていて、それはそれでクールなんだけど、時々輪を乱してしまうようなレコードを作るのはとても楽しいことだよ」
Derrick が補足します。
「結局、Justin と僕はただの音楽オタクなんだ。そして、ヘヴィネスにこだわらず、何かを喚起するような印象的な音楽を作ることに重点を置くようになった。最もヘヴィな部分は、クリーンなパッセージの中にある。そのバランスは、”重さとは?” という問いかけのようなものだと思うんだ。どの曲もすべてのパートに説得力を持たせ、手を抜かないようにするのが僕たちの努め。そして、その説得力をさらに高めるために、必要であれば外部の力を借りることもある。Justin が心を開いて僕を信じてくれることは、本当に助けになるよ。それが自信につながり、自分を追い込み続けることができるんだ」

つまり、TOMB MOLD との違いは実はそれほどないのかも知れません。
「TOMB MOLD の曲は僕が作るかもしれないけど、それをバンドに持ち込むと、みんなが自分の DNA を入れてくれる。今年3曲入りのテープを出したんだけど、エンディングの “Prestige of Rebirth” にクリーンセクションが入っていて、それを聴いて DREAM UNENDING みたいだと言う人が多かったんだ。まあ、あの部分の土台は僕が書いているし、そうなるのは当然なんだけど、あのテープでは TOMB MOLD がもっとメロディックな面を開拓しているから面白いんだよね。
メロデス的なものではなくて、CYNIC の “Focus” や “Traced in Air” を彷彿とさせるような感じで、もしくは特に FATES WARNING ようなバンドの延長線上にあるような感じなんだ。みんなプログレッシブ・メタルが好きで、プログレッシブ・デス・メタルも好きで、そこに浮気しがちでね。DREAM UNENDING はほとんどそれをスローダウンさせただけのようなものだと思うんだ。とにかく、デスメタルはとても想像力豊かなジャンルだから、ドゥームがより想像力豊かなジャンルだとは言いたくない。たぶん、どちらのジャンルにもルールはないんだ」
ANATHEMA の中でも、”Pentecost III” と “Serenades” は特別な作品だと Derrick は言います。
「この2枚のレコードで聴けるような、ゆっくりとした陰鬱なパッセージがとても好きなんだ。伝統的でないパワー・コードをうまく使っている。それと、”We, the Gods” のような曲もね。この曲は基本的にタイトル曲の “Tide Turns Eternal “の青写真なんだ。でも、ペースをきっちりコントロールすることで、自分たちのものにした。ANATHEMA の特徴を壊したり、攻撃的で耳障りなものにしたくはなかったんだ。アルバムのテンションが上がっても、ペースを乱すことはない……といえば、わかりやすいだろうか?
ただ、彼らは常に進化しているんだ。それがバンドの素晴らしいところであり、音楽のカッコいいところでもある。若い頃、あるいは今でも、”後期は全然違うから初期のものしか好きじゃない” という人がいるでしょ。それはそれでいいんだけど、1つのサウンドを持つレコードが6枚も必要なんだろうか?リスナーとしては、好きなバンドにはもっと多くのものを求めるものだと思うし、彼らがどこまで到達できるかを常に見たい。ANATHEMA は30年前の ANATHEMA のようには聴こえない。2枚目、3枚目のアルバムでやめてしまう人もいるだろう。だけど、僕は最初の8枚くらいは全部好きなんだ」
もちろん自分たちはコピーバンドではないがと前置きして Justin が続けます。
「僕たちは特定のバンドをコピーしようとは思っていないよ。ボーカルに関しては、Darren White のような激しさを出したいとは思っているけど、それは無理な話。僕たちは異なる人間であり、最終的に僕は僕でなければならないからね。全体として、このアルバムでは歌詞もサウンドも自分自身に忠実であったと思うよ」
ゴシック・ドゥームというジャンルは一般的にヨーロッパのもので、2人でアメリカからその世界に参入するという感覚はあるのでしょうか?
「全然違うよ。僕らには EVOKEN がいるから。いい仲間なんだ」
この “陰鬱” なスタイルは、なぜアメリカよりもヨーロッパのシーンに多く浸透しているのでしょう? 2人にもその理由はわからないようです。
「僕はいつもこのジャンルに惹かれているのだけど、アメリカでは同じ興味を持つ友人が数人しかいない。おそらくこれはアメリカ的なものではないんだ。あと、美学は人々にとってとても重要でイメージが全ての場合もある。スタイリッシュでないサブジャンルは、スタイリッシュなものほど受け入れられてはいない」
「なぜもっと多くの人がこのジャンルを愛さないのか、なぜ皆 AHAB の最初の2枚を崇拝しないのか、わからないんだ。美意識の問題なのだろうか?でも、革ジャンを着た人たちには、海やクジラは十分にカルトではないんだろうな。レーベルの問題かもしれないけどね。ドゥームにはある種の忍耐力が必要だ。ドローンやベルボトム・ドゥームは、僕の知っている北米の人たちにはもっとインパクトがあったように感るな。多分、多くの人はメタルを聴いている時にまで、鬱な気分になりたくないだけなんだろうけど」

バンド名の由来となった “果てしない夢” とは何を意味するのでしょうか?Derrick の言葉です。
「僕にとっては、人生という誰もが共有する旅のこと。ひとりひとりの中にある魂は、僕たちよりも長生きし、もしかしたら永遠に続くかもしれない。それは、自分自身と世界における自分の位置を再調整する方法なんだ。僕は誰の上にも立っていない。みんながそうだよ。僕たちは皆同じ生身の人間で、自分たちが理解するよりも大きなものを運ぶ器なのさ。僕は君が生きているのと同じ夢を生きているんだよ。重要なのは希望を失わないこと、自分は一人ではないこと、忍耐すること、人生は生きる価値があること、人生は動き続けるものだからそれに合わせて動くこと、過去にこだわらないこと、神に不可能でも愛があれば救われること。
“Dream Unending” という曲のクリーンなブレイクは、緩やかで脆いものとの相性が抜群だと思うんだ。このアルバムは確かにダークに聞こえる時もあるし、美しくメランコリックで、ダグラス・サークの映画みたいに葛藤もある。でも、クリーン・ブレイクはとてもきれいだし、ネガティブではなく人生を肯定するような内容で、その後の歌詞の内容もより希望に満ちた方向にシフトしているよ。Justin の歌詞は崇高なもの。とにかくめちゃくちゃいい。リスナーに読んでほしいね。
自分たちだけでなく、心を開いてくれた人たちにもある種のメッセージを届けたかった。だから、意識的にきれいな話し言葉とクリーンなパートを使ったんだと思うんだ。そのパートは僕が書いたんだけど、Justin が僕に貢献させてくれてよかったよ。僕らふたりは、毎日が自分自身を向上させ、前進し続けるためのチャンスだと考えているんだ。”魂は波であり、潮の流れは永遠である” とね。くよくよせず、癒すことを選んでいきたい。少なくとも努力はするよ」
Justin がホラーやカオスなど、ネガティブなテーマを扱った長い時間を経て、人生を肯定するようなポジティブなものにシフトしたのは、なぜだったのでしょうか?
「解放されたんだよ。ニヒルな歌詞を書いたことはないんだけど、今の時点ではネガティブなことに疲れてしまったんだ。それを楽しむのは卑怯だと思うんだ。希望に満ちたものを書くことは、精神的に良いことだと思う。楽観的なものを作るために、怒りや激しさを妥協したわけでもない。ただ、この歌詞は、これまで書いてきたものと同じくらいリアルなんだ」
Derrick もこれまで、容赦のないデスメタルを奏で続けてきました。
「これは、TOMB MOLD が前作を出したあたりから、ずっとやりたかったことなんだ。ただ、それを表現するための適切なプラットフォームがなかったんだよね。Justin のことを知れば知るほど、僕らの波長が似ていることに気づいて、それが理にかなったことだったんだ。他のバンドがやっていることに反発するわけじゃないけど、不気味な陰鬱なデスとか、神の怒りとか、そういう悲観的なことは絶対にやらないようにしていた。これは僕らにとってより良い道であり、僕らにとってより真実だったんだ。一般的なメタル・ファンにはあまり好まれない道かもしれないけど、そんなことはどうでもいいんだ (笑)」

短いインターバルでリリースされた最新作 “Song of Salvation” はよりプログレッシブになったと Derrick は語ります。
「12弦ギターを手に入れて、曲作りのアプローチも少し変わったと思う。曲の真ん中が先にできているようなことが多くなったね。”これからどうするか” という感じでね。曲の最初から最後まで書くのとは違って、いろいろなものを組み合わせていくことができたんだよ。ホワイトボードを買って、長い曲のいろいろな部分をビジュアルマップにしたんだ。新譜の曲のいくつかは、14分から16分で、繰り返しがあまりない。だから、ほとんどプログレッシブなクオリティになっているよ。幸運なことに、このアルバムを完成させるのに十分な時間があったんだ」
“プログレッシブ” には意図的に舵を切ったのでしょうか?ギタリストが答えます。
「20分の曲を書こうと思っても、時間を伸ばすために必死になっているような感じがあるよね。今回の曲は、時間のことはあまり考えず、自然に終わると思うまで書いたんだ。長い曲は山あり谷ありで、それがプログレッシブ・ロックの良さでもあるから。クレイジーな部分やエネルギッシュな部分があって、一旦下がって、緊張が高まって解放されるような感じ。
このアルバムでは、より自信を持ってソロを書けるようになった。”Tides” でも満足していたんだけど、ギターを弾く時間が増えたことと、またギターのレッスンを受け始めたことが大きかったと思う。これが大きな鍵になった。レッスンを受け始めた頃には、アルバムの大部分はできていたんだけど、ソロのいくつかはまだ完成していなかった。レッスンを受けて、いろいろなアイデアを投げかけてもらって、アプローチして、また演奏や何かに取り組むという日常に戻って、それが練習でも課題でも、音楽的に自分を高めるための大きなステップになったんだ。
僕のの先生は Kevin Hufnagelで、彼は GORGUTS で演奏している。毎週レッスンが楽しみだよ。GORGUTS のレコード、DYSRYTHMIA、彼の昔のバンド SABBATH ASSEMBLY など、彼はクオリティの高い人で、音楽は様々。いろいろなことを教えてくれるし、僕が何を見せても、彼はいつもとても楽しそうに聞いてくれる。お互いが充実している、そんな師弟関係だと思うんだ。
でも、めちゃくちゃ長い曲を書くのは、ちょっとリスクがあるよね。ドゥーム・ミュージックはとにかく長いんだけど、”アルバムの半分が15分の曲” っていうのは、多くのリスナーを遠ざけることになる。そんな長い曲を聴いてる暇はないという人もいる。4分の曲でもスキップする人がいるんだから恐ろしいよね。まあ、それはアンダーグラウンドというよりメインストリームの問題だけど。まあ、全部聴いてくれる人、実際に13分間に渡って曲を聴いてくれる人にだけ聴いてほしいというような感じかな」
ゲスト・ボーカリストや多種多様な楽器もアルバムを彩りました。
「”Secret Grief” では、友人のレイラがトランペットを吹いてくれた。元々、この曲のデモを作ったとき、このメロディーの部分はエレキギターで、ほとんどシンプルなソロでやっていたんだ。でも、スコットランドのバンド BLUE NILE が大好きで、彼らの2枚目のアルバムには、とてもブルーで夢のようなクオリティーがあってね。その中に “Let’s Go Out Tonight” という曲があるんだけど、”このエッセンスを瓶詰めにして、なんとか僕らのレコードに入れたい” と思っていたんだ。確か Justin に、トランペット奏者と共演しているデヴィッド・トーンのアルバムかライブ映像を見せたら、それがすごくドリーミーで、この曲に使えるんじゃないかと思ったんだよな。レイラは何でもできるプロだから、それを見事に達成してくれた。アルバムに新しいテイストを加えてくれたよね。
アルバムに収録されているピアノやオルガンは、すべて僕の父の手によるもの。父がアルバムに参加することは、とてもクールなことなんだ。彼がピアノを弾いているのを見て、僕は音楽に目覚めたんだからね。僕がギターを弾きたいと思ったときも、彼は “お前ならできる、レッスンを受けろ” と言ってくれた。両親ともすごく励ましてくれる人なんだよ」

彼らは音そのものではなく、音の生み出す雰囲気を捉えることに長けているようです。
「Justin と僕は音楽全般についてよく話すし、自分たちが好きなものについても話す。LIVE というバンドを覚えているかな?Justin も僕もあのバンドと “Throwing Copper” というレコードが大好きでね。LIVE みたいな曲を作りたいとは思わないけど、”Lightning Crashes’ を聞いたときに感じるような感情を作りたいんだ。それが僕のキーポイントになっているような気がするね。サウンドをそのままコピーするわけではないんだけど、フィーリングやエモーションを掴むというか。
このレコードを制作していたとき、ターンテーブルから外さなかったレコードは、TOTO の “Hydra” だったと思う。TOTO のようなリフを書こうとは思わないけど、スティーブ・ルカサーのギターを聴いて、彼のソロのアプローチについて考えたり、感じたりすることはできるんだ。
JOURNEY の “Who’s Crying Now” いう曲もそう。あの曲のソロは決してトリッキーなものではないけど、そこから引き出される感情が見事なんだ。だから、僕はいつもそういうものを “鍵” にしている。今回のアルバムでは12弦で弾いているせいか、MAHAVISHNU OSCHESTRA のジョン・マクラフリンが弾いていたようなクリーンな瞬間がいくつかある。彼は僕よりずっとギターが上手いから、もっとシンプルだけどね。
僕たちはドゥームのもっとゴシックな側面、例えば THE GATHERING のようなバンドがとても好きなんだ。彼らも ANATHEMA のようにサウンドを進化させ続け、プログや PINK FLOYD のような領域に踏み込んでいったバンドなんだ。だから、このアルバムではクリーン・シンガーが何人か加わって、そういう部分を強調することができた。僕は成長を見るのが好きなんだ。フランク・ザッパが好きなら、その人はいろいろなテイストの音楽をたくさん聴くことができる。でも、フランク・ザッパが半分しか作品を出さなかったら?僕はアーティストの旅路を見るのが好きなんだよ。
メッセージやフィーリングを伝えるには、クリーン・ボーカルの方がずっと簡単なんだよ。スポークンワードのパートを使うのも同じで、より感情的なトーンを設定することができる。その点では、僕たちはより良い作品を作ることができたと思うな。”Tides” の出来が悪かったというわけではなくて、もっとコントロールできた気がしたんだ。
もうひとつ、僕らがよく話すバンドで、DREAM UNENDING の精神的なコンパスが KINGS Xなんだ。僕たちは彼らのようにクリスチャンではないけれど、彼らが話していることの多くは、”ある曲を聴くとその曲を聴く前よりも100倍も気分が良くなる” というもの。音楽にそんな力があるなんて驚きだよね。僕は音楽が高揚感をもたらすという考え方が好きで、それが DREAM UNENDING の方向性を決めるのに役立っていると思うんだ。ドゥームというジャンルは、特に最近は気分を悪くさせるように作られているから不思議なんだけど、僕たちは “それもいいけど、ちょっと違う方向にも行ってみようかな” と思っているんだ。
だからこのアルバムを作っている間は、あまりドゥーム・メタルを聴いていなかったと思う。ドゥーム・メタルの中で唯一聴いたのは ANATHEMA の “Silent Enigma” だと思うけど、それよりも “Alternative 4” と “Judgement” を聴いていたね。ESOTERIC よりも Bruce Hornsby を聴いていたかもしれない」
DREAM UNENDING の “高揚感” はより深く、よりスピリチュアルな側面を見出していきます。

「自分を大いなる力に委ねる必要はなく、もっと自分の中にあるもの、自己発見、自己改善という考え方に基づいたスピリチュアルな側面がこのバンドにはあると思う。人によっては、より良い人間になるための道として、宗教的な経験や啓示を得ることがあるかもしれないし、僕はそういったものをとても興味深く感じている。僕の周りには信仰を持つ人がいて、人生全般について話をするのが好きだし、彼らの視点が好きなんだ。
アルバム “Song of Salvation” は、自分自身を見つめて、”何かを変えなければならないのなら、変えるのは自分でなければならない” “何かを追い求めて自分を向上させなければならないことを受け入れる” 、そんな作品だと思う。それはとても重要なことで、僕たちはなかなか口にできないけど、大切なことなんだ。
だって、惨めな思いはしたくないでしょう?誰がみじめになりたいの?幸せを見つけることだって、一種の精神的な目覚めであり、自分自身と平和になることであり、周囲と平和になることでもある。それが何であれ、僕はそこに本当の力があると思うし、身体にも、精神衛生にも、魂にも良いことだと思うよ。どんなものであれ、そこに何かを見出すことができればね。
だから、”Song of Salvation” は、何よりも自己受容を扱っていると思う。ただ、それと同時に、忘れるために生きている人もいる。僕たちは後悔しながら物事を振り返り、人生において良くも悪くも物事を行い、それが自分自身を形成していく。それを受け入れて、自分の中に居場所を見つけて、ずっと一緒に暮らす必要はないけれど、否定する必要もないんだということを理解したほうがいいと思うんだ。自分自身から逃げているだけでは、ほとんど嘘をついて生きているようなものだから」
もちろん、リスナーは “救済” の先を期待してしまいます。
「そうだね、これまで取り組んできたものに関しては、まだ先があるんだ。曲作りは、”今、何を聴いていて、何が好きか?” ということを考えながら進めていくから楽しいんだよ。OPETH に似ていると言われたこともある。彼らほどヘヴィではない部分もあるけれども、いい意味で彼らも長尺なアプローチをするバンドだね。”Damnation” は、すべてクリーンで歌われたアルバムで、このアルバムを作っているときは、それをとにかく聴き込んだんだ。
どうすれば可能性を押し広げ続けることができる?例えば、中間部全体を使ったソロを書きたいとか、クリーンなソロを書きたいとか、ちょっと変わったソロを書きたいとか、みんなが期待しているような曲とは違う曲を書きたいとか。曲の長さや曲の性質上、DREAM UNENDING ではいろいろなことを試すスペースがあると思うんだ。そのことをずっと考えていて、曲を書き続けているんだ」

参考文献: NEW NOISE:INTERVIEW: DREAM UNENDING ON WEAVING A MUSICAL TAPESTRY

INVISIBLE ORANGE:he Soul is a Wave: A Conversation with Dream Unending (Interview)

TREBLE:The spiritual alignment of Dream Unending

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【RING OF FIRE : GRAVITY】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MARK BOALS FROM RING OF FIRE !!

“I Look To Singers Such As Pavarotti Who Never Lost Their Level Of Excellence And Singing Up Until The Day They Left This Earth. I Hope And Pray To Be Able To Do The Same!”

DISC REVIEW “GRAVITY”

「長い休みを取ったんだ。前作はコンセプトアルバムだったんだけど、ロシアを題材にしたこともあってあまり評判が良くなかったんだよね。ちょうどその頃、ロシアという国やその指導者に対して皆が怒っていた。だから、とても良いアルバムだったのだけど、チャンスをもらえなかった気がするね。その結果、僕たちは RING OF FIRE のバンドの活動から非常に長い間離れることになったんだ」
20世紀の最終盤に、特にここ日本で猛威を振るったネオクラシカルなシュレッドと、プログレッシブなヘヴィ・メタル。その複雑でしかし神秘的な二つの審美を炎と冷静でつなぎあわせた RING OF FIRE の存在は、ARTENSION と共に、かつて私たちを不可能を可能にした不可視領域へと誘ってくれました。
時は2022年。ネオクラシカルとプログを、素直に、ウルトラ・テクニックで結びつけるバンドはほとんど絶滅してしまいました。マグナ・カルタやシュラプネルはほとんど息をしていませんし、SHADOW GALLERY はメンバーの死により沈黙。SYMPHONY X はネオクラシカルを脱出し、ROYAL HUNT がその灯火を必死で繋いでいるといった状況なのかもしれません。
Vitalij Kuplij と Tony MacAlpine。もしくは George Bellas。さらに、彼のソロアルバムにおける Greg Howe との共演に、さながらパブロフの犬がごとく心が踊った私たちの偏った性癖は、もはや相当時代遅れなのかもしれませんね。実際、ヘヴィ・メタルは今でも多くのリスナーを惹きつけ、拠り所となっていますが、もっと多様で広義の “プログレッシブ”、そうでなければよりヒロイックで視覚にも訴えかける大仰なファンタジーを人々は求めているようです。
では、RING OF FIRE に、もう付け入る隙はないのでしょうか? 否。9年ぶりに帰ってきた彼らのサウンドは、自らのアイデンティティを保ちながらも、しっかりと “今”のヘヴィ・メタルの風を受けています。ウクライナ人である Vitalij にとってはもちろん侵略に、そして稀代のシンガー Mark Boals にとっては加齢という “重力” に、引っ張られるわけにはいかなかったのでしょう。RING OF FIRE 5枚目のアルバム “Gravity” は、その “反発力” で過去の遺産を見事に “エピック” なキャンパスへと描き切りました。
「Vitalij Kuprij はウクライナ出身だから、どのアルバムもヨーロッパ的な雰囲気はあると思う。もちろん、Cole や Aldo も曲を書いて独自のヴァイブを加えているし、僕以外のバンドはみんなヨーロッパにルーツがあるから欧州の音になるのも当然だよね」
血の入れ替えは完璧に成功しました。名の売れた古株を選ぶよりも、Mark と Vitalij はイタリアの新鋭3人に賭け、そしてギャンブルに勝利しました。特に、SECRET SPHERE のギタリスト Aldo Lonobile は掘り出し物としか言いようがありません。これまでの RING OF FIRE にもしかしたら欠けていた、ヨーロッパのエピックやスケール感、それにストーリー・テリングのスキルが Aldo によってもたらされました。それはまさに、今のメタルに求められるもの。
このアルバムのマグナム・オーパスである “The Beginning” と “Storm Of The Pawns” は、複雑な感情、洗練の感覚、鍛錬を重ねたクラシックの技術が、エピック・メタルのイメージで再構築されています。重要なのは、そこにプログレッシブ・メタル特有の驚きが組み込まれているところ。Vitalij が紡ぐ突然のピアノの旋律は、至る所でリスナーにサプライズを提供していきます。もちろん、”Melanchonia” のような内省的なリリックとメランコリーが、メタライズされた感情を爆発させる RING OF FIRE 式対比の美学も健在。”King Of Fool’s” や “21 Century Fate Unknown” のように、時には予想外の不協和音を音楽に取り入れて、心理的変化を伝える “物語” の能力も見事。
タイトル曲の “Gravity” はそんな新たな RING OF FIRE に生まれたマイルストーンなのかもしれません。メンタル、スピリチュアル、フィジカル。歌の三要素を整えた Mark Boals の歌唱は絶対領域へと到達。ドラマチック・シネマティックなシンセサイザーが響く中、ダニー・エルフマンがメタル映画のスコアを作ったような感染力が楽曲のフックを最高潮まで高めます。心強いことに、RING OF FIRE は今でも挑戦を重ね、最後の1音までそのクオリティを保っています。ネオクラシカル/プログレッシブ最後の桃源郷がここにはあるのです。
今回弊誌では、メタルの歌聖 Mark Boals にインタビューを行うことができました。「僕はまだまだ歌い方を勉強している感じなんだよ。パバロッティのように、この世を去るまでその卓越した歌唱力を失うことがなかった人たちは、特に尊敬しているよ。僕もそうでありたいと願っているから」BILLIONAIRES BOYS CLUB、いいですよね。どうぞ!!

RING OF FIRE “GRAVITY” : 10/10

INTERVIEW WITH MARK BOALS

Q1: I thought Ring of Fire was over, so I’m so glad it’s back after 9 years! Plus, “Gravity” is a REALLY great album, well worth the wait! Why did you decide to revive the band now? What did you and Vitalij discuss?

【MARK】: Yes, we took a long break after the last album, because it was a concept album that wasn’t received very well, partially because of bad timing with the subject matter regarding Russia, which the story was about. At that exact time we released the album, people were upset with the country of Russia and its leader ship so I think the album which was very good, was not given a chance. So as a result we took a very long break from working on Ring of fire band. But last year Vitalij and I started talking about making a new album. We started writing songs in the summer of 2021, and because of his commitment to Trans-Siberian Orchestra we had to finish the songs at the beginning of 2022, And delivered the masters in the spring of that year. We waited anxiously for the release this month!

Q1: RING OF FIRE というバンドは終わったものだと思っていたので、9年ぶりに帰ってきて本当にうれしいですよ!しかも、”Gravity” は素晴らしいアルバムですね!Vitalij とはどういった話をして、復活を決めたのでしょうか?

【MARK】: そうだね、長い休みを取ったんだ。前作はコンセプトアルバムだったんだけど、ロシアを題材にしたこともあってあまり評判が良くなかったんだよね。ちょうどその頃、ロシアという国やその指導者に対して皆が怒っていた。だから、とても良いアルバムだったのだけど、チャンスをもらえなかった気がするね。その結果、僕たちは RING OF FIRE のバンドの活動から非常に長い間離れることになったんだ。
でも去年、Vitalij と僕は新しいアルバムを作ることについて話し始めた。2021年の夏に曲作りを始め、彼が TRANS-SIBERIAN ORCHESTRA に参加していたため、2022年の初めに曲を完成させ、今年の春にマスターを納品したんだ。今月のリリースを心待ちにしていたよ!

Q2: I think “Gravity” is very epic and has more of a European feel to it than the previous Ring of Fire albums, does that have something to do with the fact that you have three Italians on this album?

【MARK】: I think all of our albums have had a kind of European feel, after all, Vitalij Kuprij is from Ukraine. Of course Aldo, who also Cole wrote some of the songs added his own vibe, and of course the whole band except myself have European roots.

Q2: “Gravity” は非常にエピカルなアルバムで、これまでの作品よりさらに欧州的な感覚が強いと感じました。それは、3人のイタリア人を起用したことと関係があるのでしょうか?

【MARK】: Vitalij Kuprij はウクライナ出身だから、どのアルバムもヨーロッパ的な雰囲気はあると思う。もちろん、Cole や Aldo も曲を書いて独自のヴァイブを加えているし、僕以外のバンドはみんなヨーロッパにルーツがあるからそうなるのも当然だよね。

Q3: You have always been a special singer in the metal world, but even so, your singing on “Gravity” is so great that I think it is the best you have ever done! Most veterans stop evolving, but are you still trying to improve your singing voice?

【MARK】: Well thank you very much! Yes I feel like I’m still learning how to sing. And I do think my voice is improving, but with age, I have to work harder at it. But, I still enjoy singing so very much, I feel very blessed, and it always lifts my spirit!

Q3: あなたはメタル世界にとっていつも特別なシンガーでしたが、それでも今回の “Gravity” はこれまでで最高の歌唱だと思います。感動しましたよ!
多くのベテランが進化をやめる中で、あなたは今でも、向上心を忘れていませんね?

【MARK】: ありがとう。そうだね……僕に言わせれば、僕はまだまだ歌い方を勉強している感じなんだよ。僕の声は良くなっていると思うんだけど、年齢とともに、もっと努力しなければならなくなってきたからね。
でも、今でも歌うことはとても楽しいし、僕はとても恵まれていると思うし、いつも気持ちを高めてくれるんだ。

Q4: Vocalists in particular tend to decline as they age, right? What efforts do singers need to make to maintain the singing voice as they age?

【MARK】: Singing is three things, mental focus, spiritual focus, and physical ability. All three of them need to be worked on regularly. Your lungs need to be in great shape along with your diaphragm for the physical part. The rest is up to the individual, however they may find their own ways to focus those elements.

Q4: 特にボーカリストは、加齢の影響を受けやすいと思います。加齢に逆らう、もしくはうまく付き合うために、シンガーは何をするべきなのでしょう?

【MARK】: 歌には3つの要素がある。精神的な集中力、スピリチュアルな集中力、そして身体的な能力。この3つを定期的に鍛える必要があるんだよ。
肉体的な面では、肺と横隔膜の調子が良くなければならないね。あとは個人差があるけど、その人なりの集中の仕方があると思うよ。

Q5: You are respected by many different singers, but on the other hand, are there any singers you respect, regardless of their age?

【MARK】: I suppose I respect all the singers that influenced me which are very many various types of singers, but I look to singers such as Pavarotti who never lost their level of excellence and singing up until the day they left this earth. I hope and pray to be able to do the same!

Q5: そうして、様々なシンガーからリスペクトを受けるあなたですが、逆に世代やジャンルに関係なく、リスペクトしているシンガーは誰でしょう?

【MARK】: 僕は実に様々なシンガーに影響を受け、その全員をリスペクトしているよ。ただ、パバロッティのように、この世を去るまでその卓越した歌唱力を失うことがなかった人たちは、特に尊敬しているよ。僕もそうでありたいと願っているから。

Q6: It is interesting to note that for much of your career you have been in progressive bands where the instruments were as much a mainstay as the vocals, not to mention Yngwie, Ring of Fire, Royal Hunt, etc. I assume you prefer bands where many different talents play an active role rather than where you alone stand out?

【MARK】: well, it is fun and exciting to be surrounded by virtuosos! However I enjoy singing simple rock songs as much as I enjoy classical and progressive singing….

Q6: あなたのキャリアが面白いのは、Yngwie から RING OF FIRE, ROYAL HUNT といつもヴァーチュオーゾに囲まれて、プログレッシブな音楽をやっているところです。
自分だけが目立つのよりも、沢山の才能に囲まれる方が好きなんですか?

【MARK】: まあ、ヴァーチュオーゾに囲まれているのは楽しいし、その環境は刺激的ではあるよね!だけど、僕はクラシックやプログレッシブな歌と同じくらい、シンプルなロックソングを歌うことも好きなんだけどね…。

Q7: You have a HUGE discography, could you give us some of your most memorable albums, some that you particularly like?

【MARK】: Trilogy was the first album I ever sang on that was released, so it was special, and I also really enjoyed the Billionaires Boys Club album, I wish I could’ve continued that band, because it was really fun. There are many others that I really like also too many to mention.

Q7: あなたには膨大なディスコグラフィーがありますが、特に思い出深いもの、特に気に入っている作品を教えていただけますか?

【MARK】: やっぱり、Yngwie の “Trilogy” は僕が初めて歌ってリリースされたアルバムだから特別だよね。あとは、BILLIONAIRES BOYS CLUB のアルバム。あれも本当に楽しかったから、もしあのバンドを続けられていたらと思うよ。
他にも本当に好きなバンドがたくさんあって、紹介しきれないよ。

Q8: Finally, Yngwie has been singing on his own lately, while saying he doesn’t want to work with an ego-driven “Rock-star” like vocalist anymore. Frankly, I miss the days when you, Jeff Soto, and Joe Lynn Turner were singing. What do you think of his songs and attitude?

【MARK】: I am so tired of people asking me the same questions about him, Everyone already knows he is the one with the ego, and that is why he can’t stand anyone being on stage with him and getting attention. On my first tour in Japan with him, he saw that people were looking at me and not him, and he came across the stage and kicked me. I went to the other side of the stage and he saw people were looking at me and not him and he came over to me and elbowed me. Everyone saw this. It’s not a secret. I tried very hard to be friends with him. I respected his talent very much.
So he is doing what he wants, and no one is going to tell him what to do regarding singers or anything else. I think he was very lucky to have a lot of great singers besides myself and if he was smart he would do something like Schenker did with 4 singers on tour.
I don’t know why he doesn’t do that except that he just wants to be alone up there on stage.

Q8: “Trilogy” が特別だと仰いましたが、最近の Yngwie は、「もう “ロックスター気取りのエゴ丸出し” なボーカリストとはやりたくない!」 と言って自分で歌っていますよね。
あなたや Jeff Soto, Joe Lynn Turner が歌っていた時代が懐かしいですよ。

【MARK】: 僕はもう、Yngwie の質問にはうんざりなんだ!だって、Yngwie はエゴの塊で、だからステージで一緒にいる人が注目されることに耐えられないともうみんな知っているんだから!
Yngwie との最初の日本ツアーで彼は、オーディエンスが自分ではなく僕を見ているのを見るやいなや、ステージを横切ってやってきて僕を蹴ったんだ。僕はすぐに、ステージの反対側に行ったんだけど、オーディエンスがやっぱり僕を見ているのを見て、また僕のところへやってきて今度は肘鉄を食らわせたんだ。みんな見ていたよ。秘密でもなんでもない!僕は Yngwie と友達になろうと一生懸命に努力したのに。彼の才能を心から尊敬していたから。
まあだから、彼は自分のやりたいことをやっているし、シンガーに関しても、他のことに関しても、誰も彼に指図することもないだろう。彼は僕以外にも、たくさんの素晴らしいシンガーに恵まれたと思うし、もし彼が賢かったら、Michael Schenker がツアーで4人のシンガーとやったようなことをやれるんだけどね。
きっと素晴らしいツアーになるのに、なんでそうしないんだろうね?たぶん、ステージで一人きりになりたいんだろう。それ以外考えられないし、僕にはわからないよ。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED MARK’S LIFE

DEEP PURPLE “FIRST 3 ALBUMS (MK. Ⅱ)”

BLACK SABBATH “FIRST 3 ALBUMS”

ALICE COOPER “FIRST 3 ALBUMS”

PAVAROTTI “ALL ALBUMS”

PINK FLOYD “THE DARK SIDE OF THE MOON”

MESSAGE FOR JAPAN

Hi everyone! Thanks for supporting me!
Japan always makes me happy, I really miss being there, I miss my longtime friends and fans from all these years, hope to see you soon!!!

やあ、日本のみんな!
いつも応援してくれてありがとう!
日本はいつも僕を幸せにしてくれる。本当に日本が恋しいよ。長年の友人やファンに会いたいね。すぐに会えるといいな!!

MARK BOALS

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MARK BOALS Official

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【OBSIDIOUS : ICONIC】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH LINUS KLAUSENITZER OF OBSIDIOUS !!

“The Wars And Violence In The World Can Only Make You Feel Depressed. I Try To Still Have a Normal Life By Focusing On The Beautiful Things In Life Without Ignoring What Is Happening In The World.”

DISC REVIEW “ICONIC”

「OBSCURA の Steffen と違って、Javi はギターと歌を同時に演奏する必要がない。だから、もう複雑さにも限界はないんだよ。アルバムのプロダクションはとてもモダンで、音楽の中の情報がよりクリアに伝わってくる。それに、僕たちはパワー・メタルの要素を取り入れているのも特徴だ。テクデスとパワー・メタルのミックスはあまり見かけないものだし、プレイしていて楽しかったね」
Linus Klausenitzer, Rafael Trujillo, Sebastian Lanser, Javi Perera。OBSCURA, ALKAROID, ETERNITY’S END, JUGGERNAUT といったプログレッシブ/テック・メタルの綺羅星から集結した4人。これまでも、複雑かつテクニカルなメタルの迷宮で存分に好き者たちを魅了してきた英傑たちは、それでも飽き足らずに複雑の限界を越えようとしています。ただし、黒曜石でできた新たな惑星 OBSIDIOUS はこれまでの星々とは全く別の美しさを誇ります。”Iconic” と名付けられた集合体の象徴は、ウルトラ・テクニカルでありながら敷居の高い堅苦しさとは無縁。このアルバムは、炎のようなインテンスを保ちながら、耳を捉えて離さないメロディーの洪水に満たされています。さながら、溶岩と濁流がクラッシュして黒曜石が生まれる奇跡の瞬間のように、OBSIDIOUS はパワー・メタルとデスメタルをテクニカルな化学反応で一つにしていくのです。
「僕たちはあの頃のバンドの雰囲気に不満で、もう将来の進展、未来の展望が見えなかったんだ。残念ながら、Steffen は僕たちの脱退にとても腹を立てている。もう連絡は取っていないよ。でも、OBSCURA に対して悪い感情は持っていないし、彼らの成功を願っているんだ」
4人中3人がかつてテック・メタルの巨星 OBSCURA の住人で、なおかつ “OBS” で始まるバンドを結成。これで OBSCURA を意識しないリスナーはいないでしょう。しかし、本人たちはどこ吹く風。巨星の絶対的独裁者 Steffen Kummerer から解き放たれ自由を手にした3人は、新たな挑戦にその身を躍らせます。パワー・メタルの咀嚼ももちろん、その一つ。加えて、Rafael Trujillo と Linus のタッグが永続的に復活したことで、多弦ギターとフレットレス・ベースによる異次元のフレットレス・マッドネスが繰り広げられることにも繋がりました。”フレットレス楽器は人間の歌声に近い” と Linus が語る通り、そうして OBSIDIOUS の音楽はより有機的な人間味を帯びることとなったのです。
「結局、世界の戦争や暴力は、自分を憂鬱にさせるだけ。僕は、世界で起こっていることを無視することなく、人生の美しいものに焦点を当てることで、まだ普通の生活を送れるよう努力しているんだよ」
人間味を帯びたのは、何も音楽だけにとどまりません。宇宙をテーマとしていた巨星を脱出した3人とボーカルの Javi Perera は、ロックダウンによるインスピレーションの “無” や、戦争の暴力を目の当たりにして地面に降り立とうと決意します。日常からあまりにもかけ離れた壮大な宇宙の話から、より人間らしいテーマを扱おうと。性的に加虐嗜好が行きすぎた人の話から、認知症とその周りの苦悩まで、誰にでも起こり得るテーマに焦点を当てながら、OBSIDIOUS は人の営みに黒曜石の輝きを探していきます。その探索に、Javi の看護師としての “体験” が生きていることは言うまでもないでしょう。
それにしても、モダンなテクデスからブラッケンドな息吹、スピード違反のアルペジオ、GOJIRA 風のチャグチャグ、ドラマチックなリード・メロディにジェットコースターのソロワークまで、互いの通れない音の隙間をぬいながら、ジャンルの障壁をいとも簡単にぶち破る弦楽隊の多様な才能には恐れ入ります。特に Linus にとって、その音楽的な寛容さは、OBSCURA はもちろん、様々なセッション・ワーク、パワー・メタルの ETERNITY’S END, そしてより伝統的なプログを摂取した ALKAROID で養われたものに違いありません。
そして、見事なオーケストレーションに、硬軟、単複、自由自在なカメレオンのボーカル。知的でエンターテイメント性の高いヘヴィ・メタルと言うことは簡単ですが、その両極端を勇気を持って結びつけるバンドは決して多くはないのですから。例えば、メタル版オペラ座の怪人とか、ブロードウェイのテクニカル・デスメタル。そんな表現を使いたくなるほど、OBSIDIOUS の挑戦は際立っているのです。
今回弊誌では、Linus Klausenitzer にインタビューを行うことができました。「Warrel Dane のファースト・ソロアルバム “Praises to the War Machine” を再び見つけたんだ。このアルバムには素晴らしい曲がたくさんあって、彼のボーカルはとても個性的に聞こえるね」 4度目の登場。どうぞ!!

OBSIDIOUS “ICONIC” : 10/10

INTERVIEW WITH LINUS KLAUSENITZER

Q1: I know this question has been asked tens of thousands of times before, but let me start with this: what happened to OBSCURA?

【LINUS】: Haha, first of all let me thank you for this interview. It’s hard to describe in a few sentences why we left Obscura but I will try. We were unhappy with the atmosphere in the band and didn’t see any progress for the future anymore. It takes a lot of energy and time playing in a band. Even Obsidious is a very new band and it takes time to build up a brand, we feel more fulfilled. We have the same musical language and have a productive way of working together on our goals.

Q1: 何万回も聞かれた質問だとは思いますが、まずはこの話から始めさせてください。OBSCURA に何が起きたのですか?

【LINUS】: ハハ、まずは、またインタビューをありがとう!僕たちが OBSCURA を脱退した理由を数センテンスで説明するのは難しいけど、やってみるね。
僕たちはあの頃のバンドの雰囲気に不満で、もう将来の進展、未来の展望が見えなかったんだ。バンドで演奏するには多くのエネルギーと時間が必要だ。OBSIDIOUS は新しいバンドで、たしかにブランドを確立するには時間がかかる。だけど、僕たちは今がより充実していると感じているんだよ。みんなが同じ音楽言語を持っていて、目標に向かって一緒に働く生産的な仲間だからね。

Q2: You have been with OBSCURA for about 10 years and many felt that you were the backbone of the band, so your departure was very unfortunate. Of course, you are also a colleague of Christian’s at ETERNITY’S END, but how do you feel about OBSCURA and Steffen now?

【LINUS】: It surely wasn’t an easy decision to leave the band. After more than 2 years after the split I feel completely happy about my decision though. It allowed me to develop as a musician and as a composer. In Obsidious I play with some of the best musicians I know, and I deeply believe that we created something unique with our debut album. Also my session jobs are better than before and I play on the biggest stages of my career.
Christian is a good friend of mine and we still make plenty of music together. In the next couple of weeks the new Alkaloid album will be finished, that we have recorded together. Unfortunately Steffen is very resentful about the split. We don’t have any contact anymore. I don’t have bad feelings about Obscura though and wish them all the best.

Q2: あなたは OBSCURA に10年近く在籍し、まさにバンドの屋台骨となっていただけに、今回の脱退を残念に思う人は多いでしょうね。
今も Christian とは ETERNITY’S END で一緒ですが、新しい OBSCURA に対しては、どう思っていますか?

【LINUS】: バンドを脱退するのは確かに簡単な決断ではあなかったよ。だけど、別離から2年以上経った今、自分の決断に完全に満足していると感じているんだ。あのバンドを離れたおかげで、ミュージシャンとして、作曲家として成長することができたからね。
OBSIDIOUS では、僕の知る限り最高のミュージシャンたちと演奏しているし、デビュー・アルバムでユニークなものを作り上げることができたと深く信じている。それに、セッションの仕事も以前よりうまくいっていて、自分のキャリアの中で最も大きなステージで演奏していると感じているよ。
Christian は僕の親友で、今でも一緒にたくさんの音楽を作っているんだ。数週間後には一緒にレコーディングした ALKALOID の新しいアルバムが完成する予定さ。残念ながら、Steffen は僕たちの脱退にとても腹を立てている。もう連絡は取っていないよ。でも、OBSCURA に対して悪い感情は持っていないし、彼らの成功を願っているんだ。

Q3: After you left OBSCURA, you formed OBSIDIOUS with Rafael and Sebastian. I think many people were confused because three of the members are ex-OBSCURA and the band name is similar. Was that intentional?

【LINUS】: Not really. We had a list of over 100 band names and made a vote. The name ‘Obsidious’ won the vote. We were aware that the first 3 characters in the band name are the same, but we didn’t choose it because of that.
We liked the image of the Obsidian in our heads. It’s a vulcanic stone created when lava is hit by water. This extreme reaction refects the intensity of music very well in my opinion.

Q3: 多くのファンは、OBSCURA を脱退した3人が結成した OBSIDIOUS というバンドの名前に混乱したと思います。意図的に似た名前にしたんですか?

【LINUS】: そういうわけでもないよ。100以上のバンド名のリストがあって、全員で投票をしたんだ。で、OBSIDIOUS という名前が票を集めたんだ。だから、バンド名の最初の3文字が同じであることは意識していたけど、それで選んだわけではないんだよ。
僕たちは頭の中にあるオブシディアン (黒曜石) のイメージが好きだったんだ。溶岩に水が当たった時にできる火山石。そのエクストリームな反応は、僕たちの音楽のインテンシティをとてもよく反映していると思うからね 。

Q4: Personally, I feel that compared to OBSCURA, OBSIDIOUS music has more catchy, ear-catching melodies and appeals to a wider audience. Really Great album! What are your thoughts on the differences between OBSCURA and OBSIDIOUS?

【LINUS】: That’s great to hear! Thank you! The biggest difference is the different singing style for sure. We were very lucky to find our singer Javi. He is a master with clean vocals, growls and everything in between. Since he doesn’t need to play guitar and sing at the same time, we didn’t have any limits with complexity anymore as well. The album production is very modern and the information in the music is transported clearer. Also the power metal elements are something we featured. This mix you can’t find often and it was fun to play with.

Q4: 個人的に、OBSCURA と比べて OBSIDIOUS の音楽は、よりキャッチーで、耳を捉えるメロディが多く、幅広い層にアピールしそうだと感じましたよ。素晴らしいアルバムですね!
あなたは、2つのバンドの違いをどう捉えていますか?

【LINUS】: それはうれしいね! ありがとう!一番大きな違いは、確かに歌のスタイルだよね。シンガーの Javi に出会えたことはとても幸運だったよ。彼はクリーン・ボーカル、グロウル、そしてその中間のすべてをこなす達人だからね。
OBSCURA の Steffen と違って、彼はギターと歌を同時に演奏する必要がない。だから、もう複雑さにも限界はないんだよ。アルバムのプロダクションはとてもモダンで、音楽の中の情報がよりクリアに伝わってくる。それに、僕たちはパワー・メタルの要素を取り入れているのも特徴だ。テクデスとパワー・メタルのミックスはあまり見かけないものだし、プレイしていて楽しかったね。

Q5: What do you see as the advantages of fretless instruments in heavy metal?

【LINUS】: A fretless instrument allows to play with more phrasing. It’s a better way to transport emotions because it’s closer to a human’s singing voice.

Q5: 複雑さに限界はないと仰いましたが、多弦の魔術師 Rafael とあなたのフレットレスで、弦楽器の凄まじい饗宴が楽しめるのも OBSIDIOUS の強みですよね?

【LINUS】: フレットレスの楽器は、もっと幅広くて豊かなフレージングを可能にするんだ。人間の歌声に近いから、感情を伝えるのに適しているんだよ。

Q6: Unlike OBSCURA, “Iconic” deals with a lot of very human subjects, from BDSM to dementia, right? Does the fact that Perera is a medical professional help you to delve deeper into the subject matter?

【LINUS】: Wow, it’s great that you recognized this. Javi had a stressful time working as a nurse in the corona unit at his hospital. This happened exactly at the same when he joined the band. I am sure it had an influence on the lyrics that he wrote.

Q6: OBSCURA とは違って、OBSIDIOUS は、BDSM から認知症まで、もっと人間的な題材を扱っていますよね?
Javi が医療関係者であることも、この題材を掘り下げる理由なんでしょうか?

【LINUS】: いやあ、よくぞ気づいてくれたね! Javi は、所属する病院のコロナ病棟で看護師として働きながら、ストレスの多い日々を送っていた。それがちょうどバンドに参加した時期と重なったんだ。きっと、そんな日々が歌詞に影響を与えたんだろうな。

Q7: The world has changed dramatically since our last interview, with pandemics and wars. Many people have gone through dark times, but has your music, themes and life been affected by those changes?

【LINUS】: I can only speak for myself. Without experiences I feel not inspired enough to compose. So I had to force different situations in my life during the lockdowns. Once I changed the decoration of a room and it had an impact already. I wrote almost a complete song the same night.
The wars and violence in the world can only make you feel depressed. I try to still have a normal life by focusing on the beautiful things in life without ignoring what is happening in the world.

Q7: 前回のインタビューから、世界は大きく変わりました。戦争にパンデミック…この暗い時代はあなたの音楽やテーマに影響を与えましたか?

【LINUS】: 僕は自分自身のことを話すことしかできないけど、体験がなければ、作曲するほどのインスピレーションは得られないと思うんだ。だから、体験のないロックダウンの間、僕は生活の中にさまざまな状況を作る必要があったんだよ。一度、部屋の装飾を変えただけで、もうインパクトがあった。その夜、ほぼ1曲書き上げたくらいでね。
結局、世界の戦争や暴力は、自分を憂鬱にさせるだけ。僕は、世界で起こっていることを無視することなく、人生の美しいものに焦点を当てることで、まだ普通の生活を送れるよう努力しているんだよ。

Q8: Well, I understand you are currently working on a solo album as well! Exclusively for our magazine (hehe), could you tell us what you can tell us about the members, themes, and its musicality?

【LINUS】: Haha, I am glad you mention it. I announced that I want to release a solo record 2 years ago already but so far I couldn’t find time to finish it yet. There were a lot of unexpected opportunities for my career and fortunately I didn’t have any time pressure to release the solo record. This’s why it took so long. I worked on the record when I had some time and now it’s the right moment to finalize it. The difference on this record is, that I have an artistic vision that I don’t need to make any compromises for. In the last couple years I released a lot of very complex albums with different bands. This time I wanted to write music that is more straight and easy to listen to. It’s another kind of challenge for me. Right now I am in the studio with Hannes Grossmann who mixes the album. The rest of the musicians I will announce soon. Just follow me on Social Media or Discord and subscribe to my newsletter if you want to be updated.
I have a very special bass that I will be featured on this album for the first time and some very specific guests.

Q8: ところで、あなたはソロ・アルバムの制作も進めているそうですね?弊誌だけに独占で (笑)、その内容を話していただけますか?

【LINUS】: ははは、気にかけてくれてありがとう!2年前にソロ・アルバムをリリースしたいと発表したんだけど、完成させる時間がなかなか取れなくてね。僕のキャリアには予期せぬチャンスがたくさんあって、ありがたい話なんだけど、ソロ・レコードをリリースする時間的なプレッシャーがなかったんだ。だから、これだけ時間がかかったんだよ。時間があるときにレコードに取り組み、今がそれを完成させる正しい瞬間だと思う。
このアルバムが他の作品と違うのは、僕には妥協する必要のない芸術的なビジョンがあるということ。ここ数年、僕は様々なバンドと非常に複雑なアルバムをたくさんリリースしてきたね。だから今回は、もっとストレートで聴きやすい音楽を作りたかったんだ。これは僕にとって、また別の種類の挑戦なんだよ。
今、僕はスタジオで Hannes Grossmann と一緒にアルバムのミキシングをしているところだ。他のミュージシャンについては、近々発表する予定だよ。ソーシャルメディアや Discord で僕をフォローして、ニュースレターを購読してくれたら、最新情報をゲットできるよ。
このアルバムで初めてフィーチャーされる特別なベースと、とても特別なゲストがいるんだ。

LINUS’S RECRNT FIVE FAVORITE ALBUMS

I have just found again the first solo album of Warrel Dane in my playlists: ‘Praises to the War Machine’. There are great songs on this album and his vocals sound very personal. I also enjoy the Smith/Kotzen project a lot. They have just released a live album. I love the music that both musicians made in the past. I couldn’t believe to read that they make albums together now. In my daily playlist you can also find the recent Tribulation record, the new albums of Soilwork and Soreption.

僕のプレイリストから、Warrel Dane のファースト・ソロアルバム “Praises to the War Machine” を再び見つけたんだ。このアルバムには素晴らしい曲がたくさんあって、彼のボーカルはとても個性的に聞こえるね。Smith/Kotzen のプロジェクトもとても気に入っているよ。彼らはちょうどライブ・アルバムをリリースしたところ。二人のミュージシャンが過去に作った音楽が好きなんだ。今、一緒にアルバムを作っているなんて信じられないよね。あと、僕のデイリープレイリストには、Tribulation の新譜、Soilwork と Soreption の新譜も入っているよ。

MESSAGE FOR JAPAN

My younger brother has started a company to bring tourists to Japan. Finally it is possible to guides Germans through your beautiful country again.
Japan has always been very special to me. I love the kindness of people and the amazing. If I don’t come with a band to Japan soon, I will book a trip through my brother. Thanks for being loyal follower of my and our music! See you all soon hopefully!

実は、僕の弟が日本に観光客を呼ぶための会社を立ち上げたんだよ。ようやく、ドイツ人が君たちの美しい国を再び案内できるようになったんだ。
日本は僕にとって、いつも特別な国。人の優しさ、素晴らしさが大好きなんだ。もし、僕がこのバンドで日本に行けなかったとしても、弟を通して旅行を予約するつもりだよ。僕と僕らの音楽の忠実なフォロワーでいてくれてありがとう! また近いうちに会おうね!

LINUS KLAUZENITZER

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OBSIDIOUS Official

SEASON OF MIST

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【LORDS OF THE TRIDENT : THE OFFERING】JAPAN TOUR 22!!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH TY CHRISTIAN !!

“Just Like My Short Time With My Host Family In Japan, It Doesn’t Take Much To Change Someone’s Life For The Better. Just a Little Bit Of Kindness Can Completely Change The World!”

DISC REVIEW “THE OFFERING”

「パワー・メタルのジャンルやコミュニティーをバンドや人々にとってポジティブな場所にすることができれば、人と人とのつながりが生まれ、友情が生まれ、最近の暗い時代と戦うことができるのではないかと思うからね。僕が日本でホストファミリーと過ごした短い時間のように、誰かの人生を良い方向に変えるのに、それほど多くの時間は必要ないんだよ。ほんの少しの優しさが、完全に世界を変えるんだ!」
茨城県阿見町。霞ヶ浦を抱く人口4万5000の小さな町の優しさが、遂には北米のパワー・メタル世界を大きな愛で一つにしようとしています。
「実は高校生のとき、茨城県阿見町の家庭でホームステイをしたことがあるんだ。日本に渡り、素晴らしい人たちと一緒に過ごしたことが僕の人生を変えたんだ。彼らはあまり英語を話せないから、日本語でお礼と日本での体験がいかに重要だったかを伝えたいと思った。それで、大学に進学して、3つの専攻のうちの1つを日本語にしたんだ。
日本語の授業でアキ(日本人のハーフだけどアメリカで育ったから言葉は通じない)と出会い、一緒にバンドを結成したよ。また、妻ともその日本語の授業で出会ったんだ。ホストファミリーと過ごした短い時間、そしてホストファミリーのアメリカ人の高校生に対する優しさが、僕の人生を完全に変えてくれたんだ。彼らのおかげで、僕は今ここにいるんだよ」
米国ウィスコンシン州のスーペリア市と姉妹都市である阿見町。その縁もあって、高校生の Fang VonWrathenstein A.K.A. Ty Chritsian はホームステイで阿見町にやってきました。日本の田舎町で受けた歓待、そしてどこの馬の骨かもわからぬ自分に向けられた家族のような温かい優しさは、Ty の人生を完全に変えました。RIP SLYME や GLAY を発見し、日本語を学び、日本語の授業で妻やバンドの盟友 Aki Shimada と出会い、日本のゲームやアニメ、コスプレと共鳴するメタル・バンド LORDS OF THE TRIDENT を結成。日本の優しさから生まれた日本への愛情は、そうしていつしか北米のパワー・メタル世界を優しさで一つにしていきます。
「パワーメタルのバンドや自分たちが作る音楽は、地域のコミュニティーをひとつにまとめ、世界にポジティブな変化をもたらす非常に強い力になるとも思っているんだ。僕たちは、北米のパワー・メタル・バンド、そのコミュニティーを友好的に結びつけることに取り組んでいる」
アメリカのメタルは “怒り” と “恐れ” の音楽。ゆえに、前向きで優しく、ファンタジーと伝統に彩られたパワー・メタルは未だにヨーロッパのもの。ただし、そんな状況を変えるために、LORDS OF THE TRIDENT は北米のパワー・メタル・コミュニティーを一つにしようと決意します。UNREASH THE ARCHERS, SEVEN KINDGOMS, AETHER REALM といったバンドの中心に LORDS OF THE TRIDENT は存在し、Kickstarters、Patreonキャンペーン、ゲームやプロレスのYoutube シリーズ、Twitch など様々なエンターテイメントに共同して取り組み、北米の熱烈なパワー・メタル・ファンや改心者の忠実なコミュニティを徐々に育んできたのです。
ここ数年のよう、現実の生活が悲惨で暗く憂鬱なときは、勝利を収めるヒーローの救済、そんな物語を欲するもの。現実の世界ではヒーローと悪役を見分けることさえも簡単ではありません。勇ましい主人公が究極の悪に立ち向かい暗闇を払う物語は、暗い現実を忘れ前向きに生きるための特効薬なのかもしれません。そんなアメリカの苦悩や絶望を、LORDS OF THE TRIDENT はパワー・メタルのファンタジックな絆で優しさに変えていこうとしているのです。
「僕らは伝統的なパワー・メタルとオールド・スクールなヘヴィ・メタルの間のどこかに存在しようとしてるんだ。ヨーロッパの多くのパワー・メタルとは違って、僕らの音楽には余計なオーケストレーションがないんだ。キャッチーな曲とコーラスを書くことにいつも重点を置いていて、それが僕らの音楽を広めるのに役立っていると思う」
アメリカにパワー・メタルを根付かせるための試みは、DIY のエンタメ活動だけにとどまりません。欧州のプログレッシブでエピックなパワー・メタルと、米国のフラッシーでキャッチーな80’s メタルを巧みに融合することで、彼らはアメリカのオーディエンスに訴えかけました。同時に、コミコンやゲーム・コンベンションのライブで培った、コスプレや小道具、演出で派手好きな米国人を虜にしていきます。そうして、遂には “地球で最もメタルなバンド” の称号を (勝手に) 得ることになりました。
そんな LORDS OF THE TRIDENT が日本に恩返しにやってきます。日本の小さな優しさが生んだ大きなパワー・メタルの物語は、きっとこのツアー、そして夢の土浦公演でひとつのフィナーレを迎えるのでしょう。そして、霞ヶ浦に降り立ったポセイドンは、次の物語にむけて新たな章を開くのです。
今回弊誌では、Ty Chritsian にインタビューを行うことができました。「”ファイナル・ファンタジー6″ が一番好きなゲームで、その音楽とも深いつながりがあるんたよね。実際、Baron の奥さんは結婚式で、”ファイナル・ファンタジー6″ の曲に合わせてヴァージン・ロードを歩いたからね」 どうぞ!!

LORDS OF THE TRIDENT “THE OFFERING” : 9.9/10

INTERVIEW WITH TY CHRISTIAN

Q1: Your tour of Japan has been confirmed! You are planning to tour quite a few different places, how do you feel now?

【TY】: I’m very excited, and a little nervous! We had the tour planned for over a year, but it was very difficult for us to find venues until the country opened up on 10/11/22, so the last few months have been very, VERY busy!

Q1: 日本ツアーが決まりましたね!かなり多くの場所を回るようですが?

【TY】: とても楽しみで、少し緊張しているよ!このツアーは1年以上前から計画していたのだけど、今年の10/11に入国措置が緩和するまで会場を見つけるのがとても難しかった。だから、ここ数ヶ月はとてもとても忙しかったんだよ!

Q2: Your Japanese is so good that I was surprised. How did you start and how did you learn it? Also, Aki Shimada San is Japanese?

【TY】: Thank you! I’m a bit out of practice, haha! When I was in high school, I did a homestay program with a family in Ami-Machi in Ibaraki. Coming to Japan and staying with those amazing people changed my life, and I wanted to be able to thank them and tell them how much it meant to me in their own language, because they didn’t speak much English. So, when I went to college, one of my three majors was Japanese. In Japanese class I met Aki (who is half-japanese, but raised in America, so he didn’t speak the language) and we formed the band together. I also met my wife in Japanese class. That short amount of time with my host family and their kindness to an American high school student completely changed my life for the better. I wouldn’t be here without them.

Q2: あなたの日本語の素晴らしさに驚きましたよ!何がきっかけで、どうやって習得したんですか? また、ギタリストの Aki Shimada は日本人なのですか?

【TY】: ありがとう!ちょっと練習不足だけどね、ははは!
実は高校生のとき、茨城県阿見町の家庭でホームステイをしたことがあるんだ。日本に渡り、素晴らしい人たちと一緒に過ごしたことが僕の人生を変えたんだ。彼らはあまり英語を話せないから、日本語でお礼と日本での体験がいかに重要だったかを伝えたいと思った。それで、大学に進学して、3つの専攻のうちの1つを日本語にしたんだ。
日本語の授業でアキ(日本人のハーフだけどアメリカで育ったから言葉は通じない)と出会い、一緒にバンドを結成したよ。また、妻ともその日本語の授業で出会ったんだ。ホストファミリーと過ごした短い時間、そしてホストファミリーのアメリカ人の高校生に対する優しさが、僕の人生を完全に変えてくれたんだ。彼らのおかげで、僕は今ここにいるんだよ。

Q3: You have deep ties to video games as well, with Twitch and live shows at gaming conventions, right? You also seem to be influenced by Japanese games and anime, (Among other things, you seem to be a Sega fanatic) What do you like about them?

【TY】: That’s true! I absolutely love video games, and the rest of the band does as well. I grew up at a time when video games and anime were just starting to become popular in America, but were nowhere near as popular as they are today. They were still a very “nerdy” thing – especially anime! It was SO hard to find anime in America back then! The incredible stories that many of these games told have influenced a lot of my lyric writing, and the whole band is heavily influenced by video game music. For example, the song “Figaro” from our album Shadows from the Past is about Final Fantasy 6. The Baron (lead guitars) and I both think Final Fantasy 6 is our favorite game of all time, and we have a deep connection to the music of that game. In fact, the Baron’s wife walked down the aisle to one of the Final Fantasy 6 songs when they got married! I think one of the main things I liked about games like that (as well as anime) is that they were able to tell such complex and emotional stories. A lot of games and cartoons in America back then were very much “for kids”, and they didn’t take risks telling complicated stories. There weren’t any emotional or mature stories in those mediums. I think that’s the main thing that made me really love anime and games.

Q3: Twitch での配信や、コミコン、ゲーム・コンベンションでのライブを見れば、THE LORDS OF TRIDENT が日本のゲームやアニメと強く結びついていることは明らかですね?

【TY】: そうなんだよ。僕はテレビゲームが大好きで、バンドのメンバーもそれは同じ。僕が育った時代は、アメリカでビデオゲームやアニメが流行り始めた頃で、まだ今ほど盛んではなかったんだ。まだとても “オタク的” なものだったんだよ、特にアニメはね!だから当時、アメリカでアニメを見つけるのはとても大変だったんだよ。
日本のゲームの多くが語る信じられないようなストーリーは、僕の作詞に多くの影響を与えたし、バンド全体もゲーム音楽から大きく影響を受けているんだ。例えば、アルバム “Shadows from the Past” に収録されている “Figaro” という曲は、”ファイナル・ファンタジー6″ のことを歌っているんだ。Baron(リード・ギター)も僕も “ファイナル・ファンタジー6″ が一番好きなゲームで、その音楽とも深いつながりがあるんたよね。実際、Baron の奥さんは結婚式で、”ファイナル・ファンタジー6” の曲に合わせてヴァージン・ロードを歩いたからね。
僕が日本のゲーム(アニメもそうだけど)の好きなのは、複雑で感情的なストーリーを語れるところだと思う。当時のアメリカでは、ゲームもアニメも “子供向け” のものが多くて、複雑なストーリーを描くようなリスクは犯していなかった。アメリカのメディアには、エモーショナルで成熟したストーリーはなかったんだよね。それが、僕が日本のアニメやゲームを好きになった大きな理由なんだ 。

Q4: You guys always wear fantastic costumes in your live performances. Is this partly due to the influence of Japanese “cos-play”? What kind of works have influenced your costume?

【TY】: Actually, when Aki and I started the band, I was very much not into metal. I was in an alternative rock band at the time – sort of like “Pearl Jam”. Aki introduced me to metal, and I really liked a lot of the bands he would listen to. When we started the band, I saw metal as an “outsider”, and as there were no metal bands or festivals in our city, I thought people wouldn’t want to come out to see a regular metal band. We’d need something “extra” to get people interested, so we created costumes and characters. I’d light things on fire, and we had props, swords, confetti…lots of extra stuff. We would get non-metal people coming out to the shows and then realizing that they actually liked metal! Over the years our costumes have evolved and gotten better, and a lot of that was due to the conventions we played and seeing all the cosplayers!

Q4: ライブにおいてあなたたちはファンタジックなコスチュームを披露していますが、これも日本の “コスプレ” に関係があるんですかね?

【TY】: 実は、僕と Aki がバンドを始めたとき、僕はメタルにはあまり興味がなかったんだ。当時はオルタナティブ・ロックのバンドをやっていて、PEARL JAM みたいな感じだったんだ。Aki は僕にメタルを紹介してくれたんだけど、彼が聴く多くのバンドが本当に好みだったよ。
バンドを始めたとき、僕はメタルを “アウトサイダー” として見ていた。僕たちの街にはメタル・バンドやフェスティバルがなかったし、誰も普通のメタル・バンドなんて見に来たがらないだろうと思ったんだよね。人々が興味を惹くような “プラスアルファ” が必要だとね。そこで、コスチュームやキャラクターを作ることにしたんだ。火をつけたり、小道具や剣、紙吹雪など、”エクストラ” なものをたくさん用意した。メタルじゃない人もライブに来てくれて、実はメタルが好きなんだ!って気付いて欲しかった!
何年もかけて、僕らのコスチュームは進化し、より良くなっていった。それは、僕らが出演したコンベンションで、コスプレイヤーたちを見てきたおかげなんだ。

Q5: Your voice is wonderful, reminding me of Hansi from Blind Guardian! In fact, Lords of the Trident combines the progressive, epic European metal of their kind with the tricky, flashy shreds and catchiness of American metal, would you agree?

【TY】: Thanks! Yes, we try to exist somewhere between traditional power metal and old-school heavy metal. Unlike a lot of European power metal, we don’t have a LOT of extra orchestration in our music. We always try to focus on writing catchy songs and choruses first, which I think has helped our music spread.

Q5: あなたの声は BLIND GUARDIAN の Hansi を想起させて素晴らしいですね!
実際、LORDS OF THE TRIDENT の音楽は、プログレッシブでエピックな欧州のメタルと、フラッシーなシュレッドにキャッチーなコーラスを併せ持つアメリカのメタルのまさに中間にありますよね?

【TY】: ありがとう!そうだね、僕らは伝統的なパワー・メタルとオールド・スクールなヘヴィ・メタルの間のどこかに存在しようとしてるんだ。
ヨーロッパの多くのパワー・メタルとは違って、僕らの音楽には余計なオーケストレーションがないんだ。キャッチーな曲とコーラスを書くことにいつも重点を置いていて、それが僕らの音楽を広めるのに役立っていると思う。

Q6: The world has been shrouded in darkness in recent years, with wars, pandemics, and climate change. There seems to be no heroes in the world. I recently interviewed Voivod and they said that the reason they covered the Ultraman song was because they wanted to see Ultraman defeat the Covid monster. Indeed, heavy metal, especially fantasy and heroic power metal like yours, is the perfect escape from reality and the dark world, would you agree?

【TY】: Yes, but I also think that bands and the music that we make can be a very strong force in bringing communities together and creating positive change in the world. We’ve been working towards uniting all of the North American power metal bands in our community together in friendship, which has been going very well. I think If we can make our genre a positive place for bands and people to be, it will create more connections between people and spark more friendships, which will fight the darkness of these recent times. Just like my short time with my host family in Japan, it doesn’t take much to change someone’s life for the better. Just a little bit of kindness can completely change the world!

Q6: 近年、戦争、パンデミック、気候変動などで、世界は闇に包まれています。世界にはヒーローがいないようにも思えます。先日、VOIVOD にインタビューしたのですが、彼らがウルトラマンの曲をカバーしたのは、ウルトラマンが “コロナ” という怪獣を倒すところが見たかったからだと言っていました。
確かに、ヘヴィ・メタル、特にあなたのようなファンタジーでヒロイックなパワー・メタルは、現実や暗い世界からの逃避場所や前向きな力を与えてくれますよね?

【TY】: そうだね。ただ、そうしたバンドや自分たちが作る音楽は、地域のコミュニティーをひとつにまとめ、世界にポジティブな変化をもたらす非常に強い力になるとも思っているんだ。僕たちは、北米のパワー・メタル・バンド、そのコミュニティーを友好的に結びつけることに取り組んでいるんだけど、この取り組みは非常にうまくいっているよ。
このジャンルやコミュニティーをバンドや人々にとってポジティブな場所にすることができれば、人と人とのつながりが生まれ、友情が生まれ、最近の暗い時代と戦うことができるのではないかと思うからね。僕が日本でホストファミリーと過ごした短い時間のように、誰かの人生を良い方向に変えるのに、それほど多くの時間は必要ないんだよ。ほんの少しの優しさが、完全に世界を変えるんだ!

Q7: However, there is still a perception that power metal is a European thing, and in fact, bands like Gloryhammer, Twilight Force, and Fellowship (They’re in costume, too.) are becoming more and more popular. Is the fact that there is no 1000 year old folk music in the U.S. another reason why power metal is not so big in the U.S.?

【TY】: That’s a great question! Yes, power metal is WAY more popular in Europe. We had a much better reception to our music when we toured in Europe versus when we tour in a place we’ve never played before in America. I think melodic metal in general is a much more “accepted” genre of music in Europe. In America, most metal is seen as “angry” and “scary”, and there’s a lot more death metal and metal with screaming vocals. Metal hasn’t really been a popular genre since the 80s – at least on radio & TV and such – which I think is part of the reason power metal is not more popular over here.

Q7: ただ、今でもパワー・メタルはヨーロッパのものという考えは根強く、実際、彼の地からは GLORYHAMMER, TWILIGHT FORCE, FELLOWSHIP のような有望で人気のバンドがどんどん現れています。
なんと言うか、アメリカには1000年前の伝統音楽や神話が存在しないことも関係しているんですかね?

【TY】: うん、いい質問だね。たしかに、ヨーロッパでパワー・メタルはもっと人気があるよね。ヨーロッパでツアーをしたときは、アメリカで一度も演奏したことのない場所でツアーをしたときよりも、自分たちの音楽に対してずっと良い反応を示してくれた。
一般的にメロディック・メタルは、ヨーロッパではより “受け入れられる” 音楽のジャンルだと思う。アメリカでは、ほとんどのメタルには “怒っている” “怖い” というイメージがあって、デスメタルやボーカルが叫んでいるようなメタルが多くなっているからね。メタルは80年代以降、少なくともラジオやテレビなどではあまり人気のあるジャンルではなく、それもパワー・メタルがアメリカであまり人気がない理由の一つだと思うんだ。

Q8: Is it true that you are “The Most Metal Band on Earth”? Manowar knocked on your door and asked you to “please turn down?

【TY】: That’s right! And they’re WAY TOO SCARED to face us in band-to-band combat! Every time we ask them for a fight, they either cancel or don’t return our calls. They know we’d beat them!

Q8: 最後に、あなたたちが “地球上で最もメタルなバンド” だというのは本当ですか? あの MANOWAR も恐れをなすそうですが?

【TY】: その通りさ!MANOWAR は僕らとバンドとバンドでタイマンすることをめちゃくちゃ恐れているんだよ!僕らが対バンを申し込むたびに、彼らはキャンセルするか、電話を返さない。きっと僕たちが打ち負かすことを知ってるんだ!指先一つでダウンさ!

FIVE ALBUMS THAT CHANGED TY’S LIFE

RIP SLYME “TOKYO CLASSIC”

My favorite Japanese rap group, and I’ll always have fond memories of discovering them right before I went to Japan for the first time!

大好きな日本語ラップグループ。初めて日本に行く直前に彼らを発見したのはいい思い出だよ!

PEARL JAM “BINAURAL”

Pearl Jam was one of the first bands I really fell in love with, and this was an album I listened to over and over.

PEARL JAM は僕が最初に好きになったバンドの一つで、このアルバムは何度も何度も聴いたよ。

GLAY “ONE LOVE”

When I was learning how to play the guitar, I wanted to learn how to play the riff to “MERMAID” so badly! Those guitars just sounded really raw and POWERFUL, and I loved it. I think it’s a very metal GLAY track as well, haha!

ギターを習っていた頃、”MERMAID” のリフを弾けるようになりたいと思ったんだ。あのギターの音は本当に生々しくて、 POWERFUL で、大好きだったんだ。GLAYの曲の中でも特にメタルな曲だと思うよ! (笑)

BLACK SABBATH “HEAVEN & HELL”

This was the album that made me fall in love with Dio’s voice. I think he’s the best heavy metal singer of all time. Lords of the Trident even did an entire cover set of this album a few years back.

Dio の声が好きになったきっかけとなったアルバム。歴代のヘヴィメタルシンガーの中で一番だと思う。僕らは数年前にこのアルバムのカバーセットを全部やったんだ。

UNLEASH THE ARCHERS “APEX”

we’ve been close friends with Unleash the Archers since 2015, and they’ve helped us in so many ways that I had to include their best album (in my opinion). They’ve changed our lives as a band for sure!

2015年から彼らと深い親交があり、いろいろと助けてもらっているから、彼らのベストアルバムを入れるのは当然さ。彼らは僕らのバンドとしての人生を確実に変えてくれたからね!

MESSAGE FOR JAPAN

もうすぐ日本に来て、日本のツアーを本当に楽しみしています!皆さんに会いたいので、僕たちのライブに来てください!全部、ありがとうございました!

TY CHRISTIAN

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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【BLIND GUARDIAN : THE GOD MACHINE】


COVER STORY : BLIND GUARDIAN “THE GOD MACHINE”

“I think What We Did Now Is How Speed Metal Has To Sound Right Now And This Is How It Can Be Interesting For The New Generation Of Metal Fans.”

THE GOD MACHINE

1984年、ギタリストの André Olbrich は、高校の同級生だった Hansi Kürsch をロックバンドのリハーサル室に誘います。そこから、BLIND GUARDIAN の歴史は始まりました。
「Hansi と僕は修学旅行で酒を飲んでいたんだ。すると突然、彼は King Diamond のように高音で歌い始め、完全におかしくなった。でも僕は同時に、”なんて声なんだ! 信じられない!圧倒されるし、こんなに高い音も出せるんだ!”と思ったんだ」
André はすぐに Hansi を自分のバンドで歌わないかと誘いましたが、Hansi は自分はシンガーではなくギタリストであると主張して断りました。 André のバンドにはすでに2人のギタリストがいて、3人目を加える計画はありませんでした。しかし、2人の間ですぐに妥協が成立します。Hansi のベース/ボーカルとしての参加です。さらに André は最終的に希望をかなえ、1997年、Hansi はベースを置いてボーカルだけに専念することになります。ここに、BLIND GUARDIAN の前身である LUCIFER’S HERITAGE が誕生したのです。
「Hansi が参加した瞬間から、ロックっぽいバンドからメタル・バンドになったんだ」
Hansi が付け加えます。
「André と一緒にバンドを組もうと決めたときから、とても真剣に取り組んでいた。僕ら二人は、夢を生きられない人たちにうんざりしていたんだ。誰もが有名になることについて話していたけど、話すことと実行することは別なんだから」
リハーサル室での地味な活動から抜け出し、新たに LUCIFER’S HERITAGE と改名した彼らは、2本のデモテープをリリースし、ドイツの小さなメタルレーベル、No Remorse Records の目にとまることになります。1988年、彼らはレーベルとレコード契約を結び、その記念として新しい名前を手に入れます。BLIND GUARDIAN。まもなくメタル世界で最も神聖なバンドのひとつとなる名前です。こうして彼らのオデッセイは幕を開けました。

BLIND GUARDIAN の名で最初にリリースされたのは1988年の “Battalions of Fear” で、この作品はより壮大なものに目を向けたスピード・メタルだったと言えます。 André, Hansi, ギタリストの Marcus Siepen、ドラマーの Thomen Stauch は、1987年10月にプロデューサー Kalle Trapp とレコーディング・スタジオに入り、世界の頂点に立ったような気分になっていたと André は明かします。
「スタジオに入ったとき、僕たちはとても高揚していたんだ。ヘヴィ・メタルのシーンの一部になって、自分たちのアルバムを持つことになるとね。録音するのは僕らのデモの曲で、僕らが大好きな曲だったから、最高のアルバムになると確信していたんだ」
“Battalions” のセッションは、この若いバンドにとってスタジオ・レコーディングの猛特訓となりました。クレーフェルトのリハーサル・ルームでデモを作っていた彼らのやり方は、あらゆるミスが目につく無菌状態のスタジオでは通用しなかったのです。”Battalions” は初期のバンドの奔放な野心を、特に “指輪物語” のアラルゴンに感化された中心曲の “Majesty” で見せつけますが、彼らにはまだ学ぶべきことがたくさんありました。特に André にとって、”ギターソロを作曲するべき” という気づきは、今後の BLIND GUARDIAN にとって重要な指針となっていきます。
「もっと時間があれば、もっと良くなっていたかもしれない」と André は振り返ります。「例えばソロの場合、あの時は一発勝負で、運が良ければ2発で録れた記憶がある。2回で録音できなかったものは?自分の問題だ。このままではいけないと思った。次のアルバムでは、通常のバンド・リハーサルだけでなく、一人でリハーサルをして、ギターソロを作曲する必要があるとね。スタジオで自分が何を演奏したいのか、どの音が必要なのかを考えるのではなく、その前に準備する必要があるとわかったんだよ」

“Battalions” がスタジオ・レコーディングの厳しさに対してバンドが準備不足だったとすれば、1989年の “Follow the Blind” は全く別の問題があったと André は言います。
「”Battalions of Fear” では、曲作りに時間的なプレッシャーはなかった。曲は全部できていたからね。デモテープにあった曲で、あと1、2曲書いて、アルバムは完成したんだ。そしたら突然、レーベル・マネージャーが “OK、次のアルバムは1年以内に出してくれ” って言ったんだ。それで僕たちは、まったくナイーブに、”ああ、問題ない!” と言ってしまった。だって、1年なんて結構長いと思ったから」
しかし、その1年はあっという間でした。André は公務員になり、Hansi も見習いとして働いていました。バンドはまだ BLIND GUARDIAN をフルタイムの仕事にすると決めていなかったので、曲作りとリハーサルは仕事の後の深夜に詰め込まれることになっていました。
「要求に応じて音楽を作るというのは、そんなに簡単なことではないとを初めて知った。だから多くのことが急いで行われ、リハーサル室で数回だけアイデアをまとめて曲をリハーサルしたんだ」
とはいえ、”エルリック・サーガ” に感化された “Fast To Madness” などファンタジックなメタルはより存在感を増しました。”Follow the Blind” のために彼らが最後に書いた曲は “Valhalla” で、André はこの曲を単なる “繋ぎ” だと考え、トラックリストから危うくカットするところでした。André の予想に反して今日、この曲は BLIND GUARDIAN の曲の中で最も人気のある曲の一つとなり、ライブの定番曲として観客のシンガロング欲を常に刺激しています。
「僕たちは素晴らしい曲を書くことができた。”Valhalla” は、あまり考えすぎない方が良いという素晴らしい例だ。自分の中から出てくるものをすべて、最初に受け止めてしまえばいい。最初のアイデアを採用する。2つ目のアイデアを待つという選択肢はなく、ただそこにあるものをつかむんだ。それがとても純粋で、とても本質的なことだと思うし、それこそが “Valhalla” なんだ。そして、これこそが純粋な BLIND GUARDIAN なんだ」

“Tales from the Twilight World” は、BLIND GUARDIAN がすべてをまとめ始めたレコードです。エピカルでありながら、比較的ストレートなスピード・メタルを2枚お見舞いした後、”Tales” でバンドは曲がりくねった曲の構成と綿密に重ねられたアレンジを導入し、以降それが彼らの特徴になることを宣言したのです。公務員と労働はすでにバックミラーの彼方にありました。バンドは André と Hansi の仕事になっていたのです。
「最初の2枚のアルバムで稼いだお金を全部つぎ込んで、自分たちの小さなスタジオを買ったんだ。スタジオと同じプロセスが必要だった。学ぶべきだとね。曲を事前にプロデュースする必要があったけど、これは小さなスタジオでしかできない。だから、スタジオ機材を購入したんだ。そして、この技術的な機材を手に入れた瞬間から、Hansi と僕はリハーサルルームで生活するようになった。機械を使って、一分一秒でも早く曲に取りかかろうとしたんだ」
Hansi も変革の時であったことを認めます。
「僕たちはいつもいろいろなことを試すのが好きなんだ。実験に対する情熱は、僕たちのソング・ライティングには欠かせないからね。”Follow The Blind” の後、自分たちで初めてスタジオ機材を手にしたとき、僕たちの選択肢は無限に広がり始めた。これがあの頃感じていたことだ」
“Tales” のハイライトである “Traveler in Time”, “Lost in the Twilight Hall”, “The Last Candle” といった楽曲は、複雑で重く、しかしメロディックでキャッチーな要素を一度に味わうことができました。”Lord of The Ring” では素直に自らの素性を告白。振り返ってみると、これはパワー・メタルの発明、そしてその体系化の始まりようにも感じられますが、2人は会話の中で、意図的にこの用語を避けていました。どのように呼ぶにせよ、”Tales” は明らかにバンドが自分たちの “声” を発見した瞬間でした。
「僕たちは、ミュージシャンとしての自分たちについて考えていた」 と André は言います。「どうすれば自分の個性を生かせるか?リード・ギタリストとしての音色はどうすればいいのか?そして、Hansi はもちろん、ボーカリストとしての自分の個性を見つけ、初めて、僕たちが知っている Hansi のような、カリスマ的なサウンドを奏でたと思う。”Follow the Blind” では、彼はもう少しスラッシーなサウンドを出そうとしていて、どこに行けばいいのかよくわからなかったんだと思う。でも、”Tales” ではわかっていた。そして僕らも分かっていた。みんな、自分たちがどこにいて、どんな音を出したいのかわかっていたんだ」
そして、”Tales” でメインストリームでの成功がもたらされたと Hansi は言います。
「もはや、誰もが BLIND GUARDIAN が何であるかを知っていた。最初の2枚のアルバムよりも当然優れていることは別として、違いを生んだのは人々の意識だった。次のアルバムに対する人々の期待を実感したことで、”Somewhere Far Beyond” の制作は最も重要で困難な曲作りの期間となったんだ」
期待はソングライターとしての自分たちに大きなプレッシャーを与えたと André も同意します。
「だって、”なんてこった、こんなに成功したアルバムがあるのに、どうやったらこれを超えることができるんだ?”って思ったんだから」

今年30周年を迎え記念のツアーも行われた “Somewhere Far Beyond” で BLIND GUARDIAN は、”Tales” のメロディックなアイデアを発展させると同時に、より多くのサウンド要素を導入しました。バグパイプを使った “The Piper’s Calling” とタイトル曲、シンセサイザーによる “Theater of Pain”、さらに “ホビットの冒険” を踏まえた “The Bard’s Song(In the Forest)” では悲しげなアコースティック・ギターを、続編 “The Bard’s Song(The Hobbit)” ではそれを発展させた中世的なサウンドを披露して、バンドは “Tales” における自己発見を倍加させながら、さらに外界へと拡大していったのです。ちなみに、”The Quest For Tanelorn” は、ムアコックのエターナル・チャンピオンシリーズが元ネタ。
「”Tales” から “Somewhere” へ進む中で、明らかな進化があった」と André は言います。「だから、ギターの音をもっとリッチにして、”Tales” でやったことにすべて上乗せしようとしたんだ」
“Somewhere Far Beyond” は同時に、BLIND GUARDIAN がリハーサル・ルーム時代にお世話になったプロデューサー、Kalle Trappe との関係を終了させる作品ともなりました。「彼はプロデューサーとして非常に保守的で、僕がサウンドやプロダクションに関して革新的なアイデアを思いついても、いつもブロックされた」と André は嘆きます。だからこそ、1995年の “Imaginations from the Other Side” でバンドは、METALLICA の80年代を支えた伝説のエンジニア、Flemming Rasmussen を起用することにしたのです。

「彼はミュージシャンの尻を叩く方法を知っている。前任者は、パフォーマンスとグルーヴとキャラクターにしか興味がなかったんだ。でも Flemming は、僕たちをミュージシャンとして押し上げることを望んでいた。だから、最初は指から血が出るほど演奏していたよ。”もう100%やってるよ!”って言っても彼は、”そんなのは認めないぞ!もっと頑張れ!” と言うんだよ」
Flemming がミキシング・ボードの後ろにいることで、BLIND GUARDIAN はこれまでで最もタイトで、プログレッシブかつ最もダイヤルの合ったアルバムを完成させます。ファンタジー全般を礼賛するタイトルトラックにアーサー王伝説を引用した “Mordred’s Song” まで、”想像のアザー・サイド” を祝賀する “Imaginations” は大ヒットし、バンドにとって待望の国際的なブレイクを成し遂げました。世界のメタル・シーンは、ドイツと日本のオーディエンスがすでに気づいてたことにやっと気づいたのです。また、このアルバムはメロディック・メタルが低迷していた時期に発表された、豊かなレイヤーを持つバロック的なパワー・メタルでした。95年と言えばグランジがまだ優勢で、Nu-metal が徐々に台頭し、アンダーグラウンドの世界はますます過激になるデス・メタルやブラック・メタルに固執していました。それでも、André は気にしませんでした。ロンドンから来た彼のヒーローが、道を示してくれたから。
「僕たちは QUEEN を尊敬していたんだ。彼らは常に、何があろうと自分たち自身のことをやっていた。彼らは個性的で、シーンから完全に独立していた。僕たちも同じようになりたかった。他のバンドを見すぎて、成功したトレンドに自分を合わせようとすると、常に先を行くバンドより少し遅れてしまうから下降する一方なんだ。僕たちは何かを発明するバンドになりたかったんだ」

現在では誰もが認める名盤となっているため、当時 “Nightfall in Middle Earth” がいかに大きな賭けであったかを想像するのは困難かもしれません。BLIND GUARDIAN は常にオタク的な性癖を持っていて、お気に入りの SF やファンタジーの本を基にした歌詞を書いていました。
「僕はオタク的だと思ったことはないし、自分がオタクだとも思っていなかった」と Hansi は抗議しますが。「オタクだったのは、 André と Marcus だ。彼らはコンピュータのロールプレイングに夢中だったからね。でも僕はクールな男だった。彼らがそうしてる間に本を読んでいたんだよ」
“Nightfall” では、トールキンの “シルマリルの物語” をベースにした22曲入りのメタル・オペラを制作し、これまで以上にファンタジーの道を突き進むことになります。
「このアルバムは、トールキンのファンや、僕たちのようなファンタジーが好きな人にとって素晴らしいものになると思ったんだ」と André は回想します。「だから、自分たちのためでもあった。商業的な考えは排除したんだ。レーベルがこの作品をあまり好まないだろうことは、もうわかっていた。このアルバムには、ヒット曲やラジオのシングル曲、MTVのビデオクリップ的なものは入っていないからね。それは分かっていた。でも、”だからどうした?自分たちがやりたいことなんだから” って思っていたよ」
“Nightfall” の構成は、バンドにとって新たな挑戦となりました。”Imaginations” のように単独で成立する曲を作るのではなく、全体の物語とどのように相互作用するかを考えなければならなかったから。 André が回想します。
「Hansi は “メランコリックなものが必要だ”, “戦いが必要だ”, “あれもこれも必要だ” と言っていたよ。ファンタジー世界に深く入り込んで、トールキン的な感覚に合うようなアイデアを出そうとしたんだ。今までとは違う作業工程だったけど、とても興味深く、違う道を歩んだその時から多くのことを学んだんだろうな」
「この作品は新たな BLIND GUARDIAN のソングライティングの出発点だったのかもしれない」 と Hansi は言います。「当時はそう感じなかったけど、今思えばここがポイントだったのかもしれない。曲作り全体が常に進行しているんだ。だから、”Imaginations” から新しいものに向かって自然で有機的な進化を遂げることになったんだ」

“Nightfall” は、 André がクラシック音楽とオーケストラ・アレンジメントに興味を持ち始めたきっかけとしても重要な作品であった。このこだわりは、”Nightfall” の次の作品である2002年の “A Night at the Opera” でさらに実を結ぶことになります。「キーボードでクラシックの楽器を演奏して、それをレコーディングできるなんて、本当に驚いたよ」と André は言います。
「僕たちは、壮大でクラシック志向の曲を作り、実験していたバンドのひとつだったんだ。そして、これらのサウンドの融合は素晴らしいものだと今でも思っている。メタル・ミュージックにとてもよく合うんだ。曲のストーリーやメロディーで作り上げるエモーションは、オーケストラが入ればさらに強くすることができるんだよ」
“A Night at the Opera” で最も大胆な試みは、ホメロスの長編叙事詩 “イーリアス” を14分に渡ってシンフォニック・メタルに翻案した “And Then There Was Silence” でしょう。この曲は、オーケストラの楽器をふんだんに使い、コーラスだけが繰り返されるという、ほとんど圧倒的な音楽的アイデアの洪水を実現しています。”Opera” のレコーディングを開始する頃、2人はクラシック音楽のアルバム “Legacy of the Dark Lands” の制作を始めていました。 André は”Legacy” で採用した作曲スタイルに解放感を覚え、それをメタルの文脈で適用しようとしたのです。
「ルールはない。僕はただ音楽で物語を語りるだけ。もちろん、ドラムとギターを加えなければならなかったけど、とてもうまくいった。ヴァース/コーラス/ヴァース/コーラス/ソロ/コーラス/コーラスみたいな普通の曲の流れから抜け出したかったんだ。それに縛られたくなかったんだ。それに、ヘヴィ・メタルには物語をどこかに導いてくれる自由があると感じている。左の道を通って、またまっすぐな道に戻って、別のところに行くこともできるってね。森の中を歩いていて、木が来たらルートを変えるようなもの。ずっとまっすぐな道である必要はないんだよ」

“Opera” をリリースした後、多くのバンドがレトロなアルバムを制作した時期があったと André は嘆息します。
「彼らは80年代のような音を出そうとしたんだ。僕にとっては、それはひどいことで、そうしたアルバムはすべてひどいと感じた。後ろ向きに歩いているような気がしたんだ。彼らは80年代をもう一度再現したかったんだろうけど、何をバカなことを! 時間は一方向にしか流れていないんだ」
BLIND GUARDIAN のカタログの中で見過ごされてきた逸品、”A Twist in the Myth” がそうしたレトロに回帰するバンドに対する André の答えでした。長年のドラマー Thomas “Thomen” Stauch が脱退し Frederik Ehmke が新たに加入。その厳しい制作スタイル、短くしかし密にミックスされた楽曲、奇妙なシンセ音の多用は、そうしたレトロの風やバンド自身の “A Night at the Opera” からも可能な限り距離を置いていました。 André は、”Twist” について今でも、その最高の曲 -“This Will Never End”, “Otherland”, “Fly” は、トップレベルの BLIND GUARDIAN であると信じています。そして彼は、それらをさらに良くするために手を加え続けたいと思っています。
「今聴くと、もっとこうしたらいいのにと思うことがたくさんある。でも、当時、僕たちはこうした音楽の作り方をこのやり方しか知らなかったし、心の中ではベストだったんだ。でも、いつかこのアルバムの曲のいくつかを作り直したいと思っているんだ。素晴らしいアイデアなんだけど、曲はもっといい方法でアレンジできるし、もっとキャッチーになるはずだからね。このアルバムは、初めて聴く人にとって、とてもとても入り込みにくいものだったということが、今になってよくわかる。情報過多になってしまうし、カッコ悪い。今ならこのアルバムをどうプロデュースするかがわかるんだ」

“Twist” の成果に失望した André は、”And Then There Was Silence” の壮大でシンフォニックな実験に立ち返り、そこから前に進むためのインスピレーションを得ようとしました。そしてその頃、 “Legacy of the Dark Lands” のリリースに向けたセッションに没頭していた André は、本物の人間によるオーケストラを BLIND GUARDIAN のアルバムに使用したくてたまらなくなっていました。
「本物のオーケストラを録音して多くを学んだからこそ、壮大なものを書いてみよう、より良いものを作ろうと言って “And Then There Was Silence” をプログラミングしたからね」
プラハ交響楽団は、”A Night at the Opera” の最大級の衝動をより有機的に感じさせる “At the Edge of Time” で重要な脇役となっています。ゲームの主題歌ともなった “Sacred Worlds” と”時の車輪” がモチーフの  “Wheel of Time” はアルバムの中枢として機能し、”And Then There Was Silence” の圧倒的なスケールをややコンパクトにまとめて提供しています。一方で、”Ride Into Obsession” は André の “作曲された” リードギターがメロディアスなフレーズを奏でなければスラッシュと見紛うばかりのアグレッションを纏います。結局、”At the Edge of Time” は原点回帰という名の一時後退で、 André とバンドの他のメンバーが “Twist” の “失敗” を克服するために必要なリセットであったのです。

2015年の “Beyond the Red Mirror” は、”At the Edge of Time” の自然な伴侶となるべき作品でしょう。この2枚のアルバムはほぼ同じシークエンスとペースで構成されていて、この作品では9分の “The Ninth Wave” と “Grand Parade” を、”Edge” における “Sacred Worlds” と “Wheel of Time” と同じスロットに配置しています。 André は当時、エピックモードで作業し、BLIND GUARDIAN のサウンドを盛り上げるオーケストラの使用に満足していました。
「この2枚のアルバムの間で抜本的な改革はしていないんだ。よし、”Tales” と “Somewhere” の間でやったように、さらに良い音にして、このスタイルをさらに進歩させようという感じだったね。”Beyond the Red Mirror” でピーク・ポイントを設定したかった。ソングライティングはそうできたと思うけど、プロダクションはそうじゃなかったんだ」
確かに、”Mirror” のオーケストラの要素は、”Edge” の力強さに比べて妙に弱々しく感じられ、その結果、アルバムは少しスケールダウンしています。それでも、”Prophecies” のようにいくつかの素晴らしい曲が含まれていますが、 André は “壮大なオーケストラの BLIND GUARDIAN 路線” に行き詰まりを感じていたようにも思えます。
「僕にとっては、その時、この壮大なスタイルを続ける必要はないと思ったんだ。しばらくはこれをやっていたが、今は他のことをやる時だ。もう一度激変が必要なんだとね」

その変化はすぐにやってきますが、その前に André と Hansi は20年以上も温めていた愛の結晶をリリースする必要がありました。BLIND GUARDIAN TWILIGHT ORCHESTRA とクレジットされ、エレクトリック・ギターがゼロである “Legacy of the Dark Land” は、2019年に発売されました。”Legcy” に収録されている最も古い曲は、”Nightfall” 時代までさかのぼります。
「純粋な体験について言えば、常に学び続けるプロセスだった」 と、Hansi は説明します。「音楽家としての能力はもちろん、機能的な曲作りや音楽における物理学について、膨大な知識を得ることができた。それは、実際よりも理論的にね。音楽の魂にとって、その知識は効率的なんだよ」
メタルではないアルバムをリリースし、その理由をファンに理解してもらうことができたのは BLIND GUARDIAN が数十年に渡って築き上げてきた実験の証といえるでしょう。バンドは常にAndré と Hansi の実験室であり、”Legacy” は彼らの最も壮大な実験であったと言えます。だからこそ、二人はこの作品をとても大切にしているのです。
「20年という時間の中で、このような学習プロセスがあったのだから、本当に素晴らしいことだ。こうした時間があったからこそ、このアルバムを作ることができた。何も変えたくないんだ。僕にとってあれは完璧なアルバムで、今までで最高の作品だ」

「長い間、僕らの思考を支配してきたオーケストラ・アルバムの後に、僕らが何か声明を出したかったのは確かだ」と Hansi は言います。「今、僕たちはやりたいことを何でも自由にできるようになったんだ。”The God Machine” は、解き放たれたブラインド・ガーディアンなんだ」
“解き放たれた” という言葉は、”The God Machine” にとって完璧な言葉でしょう。少なくとも “A Twist in the Myth” 以来、あるいはそれ以前から、BLIND GUARDIAN のアルバムの中で最もヘヴィな作品なのですから。このアルバムは、”Deliver Us from Evil”, “Damnation” という2曲の強烈なスピード・メタルで幕を開けます。その後に続く “Secrets of the American Gods” は7分間の音の迷宮で、”The God Machine” の中で最も叙事詩に近いもの。この曲は、Marcus のリズムギターを軸に、アレンジが螺旋状の回廊を下っていくようなうねりを伴っています。Marcus、ドラマーの Frederik Ehmke、ベーシストの Barend Courbois は André や Hansi と同様にアルバムのサウンドにとって重要な存在であることは言うまでもないでしょう。
「久々にバンドとしてリハーサルを再開したんだ。そして、”Legacy of the Dark Lands” に取り組んでいる間、ずっと見逃していたバンドのエネルギーとヘヴィネスを感じたんだ。それは僕らが再び速く、よりハードになった理由のひとつだ」
“The God Machine” はコロナ時代の BLIND GUARDIAN 最初のアルバムですが、彼らの曲は世界的な大災害よりもエルフや魔法使いについての曲の方が未だに多いのはたしかです。ただし、このアルバムは André が今の世界の “世相” と呼ぶものを捉えているようです。
「世界全体が厳しくなったように感じた。人々がお互いにどのように話しているのかがわかった。10代の頃のイライラした気持ちに近いものがあった。そして、それが “The God Machine ” の感覚だった。フラストレーションを全部吐き出して、エネルギーを全部込めたんだ。もっとスピード・メタルなんだ。もっとハードでファストな感じ。僕にとって、それは今の時代を反映しているもので、常に重要なこと。そしておそらく、僕がこの時代に抱いた感情を解消するのに役立つのであれば、それは他の人々にも役立つかもしれない」
今回、BLIND GUARDIAN の挑戦は “スピード・メタル 2022” です。
「もう2017年末のツアーの直後から曲作りを始めていたね。ただアイデアを集めて、すべてをオープンにしておいたんだ、なぜなら、最初のうちは、自分たちを特定の方向に限定したくないから、どんなアイデアがあるか見て、そこから作業するんだ。だから、最初は “American Gods” と “Architects of Doom” に取り組んでいて、その後、”Legacy of the Dark Lands” に集中しなければならない、あるいは集中したいので、曲作りは一旦中断したと思うんだ。それが終わると、オーケストラやアレンジメントと一緒に仕事をするのはとても強烈で、僕にとっては何か別のことをするのが自然だと感じたし、メタル・バンドを再び感じ、残忍さとスピードを感じることができた。だから自然に、最初の1、2曲はスピード感のある曲になった。Wacken Worldwide で演奏して “Violent Shadows” をプレイしたとき、この曲に対して素晴らしいフィードバックを受けた。そして、この直後に、いや、この直後ではなく、すでにこの前に、パンデミックがスタートしたんだ。その瞬間、僕の周りや世界が一変した。よりタフになり、ある種のサバイバルモードに切り替わったような感じ。だから僕もよりタフに、よりハードにならざるを得なかった。すべてが少し混沌としているように見え、その瞬間、よりハードで残忍な音楽を書くことが本物だと感じたんだ。だから、このアルバムは、僕らが今感じている “タイム・スピリット” 世相や瞬間を捉えたものだと思うし、それは僕らの音楽の中に常にあるもので、古いアルバムからずっと、音楽における感覚の大きな部分を占めていたんだ。
このスピード感のあるアルバムは、僕らにとっては自然なことなんだ。レトロなアルバムを作ろうとか、昔を真似しようとは思っていなかった。僕らにとってこの作品は、メタル・バンドとしてスタートしたときの純粋なに、今の知識を加え、バンドとして、作曲家として成長を加えたものなんだ。スピード・メタルを2021年、2022年の時代に移したかった。だから、よりモダンなサウンドにする必要があったし、アレンジに関しても少しトリッキーにする必要があって、それを実行した。振り返ってみて、通用しないような曲は嫌なんだ。そうだね、今回僕らの挑戦は、スピード・メタルが今どう聞こえるべきかということであり、新しい世代のメタル・ファンにとってどう興味深いものになり得るかということだと思う。もし今、16歳や20歳の若者が聴いたら、80年代のオリジナル曲よりもずっと彼らの関心を引くことができると思う」

ある意味、”The God Machine” は BLIND GUARDIAN の新章、その幕開けと言えるのかもしれません。
「どこか別の場所に行きたかった、それは確かだ。いわば、新しい BLIND GUARDIAN のサウンドを定義したかったんだ。”At the Edge of Time” と “Beyond the Red Mirror” はかなり近かったから、あれを1つの章として見ている。そのあと時折、章を閉じ、別の章を開く必要があるんだよ。今がそのタイミングだと思ったんだ。プロデューサーのチャーリーと、どうやったら新しいアルバムをまったく違うサウンドにできるかについて何度も話し合ったんだけど、結論は最初からすべてを変えること。ドラムの録り方も変えたし、ギターの音も完全に変えた。ミキシングも新しい人にやってもらったし、そういうことを全部ひっくるめて、新しい章が始まるんだということがわかるような、今までとは違う作品になったと思う。アートワークについてもね。ファンタジーであることに変わりはないけど、より現代的であることを示すようなアートワークのカットが必要だと」
ただし、BLIND GUARDIAN にとっての “現代化” とは、断捨離で、ミニマライズで、スペースを作ることでした。
「同じダイナミックさ、同じアグレッションを持ちながら、たくさんのスペースが欲しかった…今回の音楽はもっとオープンで、もっとスペースがあるんだ。80の楽器が同時にトリックを繰り広げるような超壮大なものではなく、もっと…僕は70年代のものが好きでね。DEEP PURPLE から LED ZEPPELIN まで、僕の好きなバンドの多くは70年代のロックバンドで、彼らのギターサウンドが本当に大好きなんだ。だから今の僕の基本的なサウンドは70年代のアンプをベースにしていて、それによってよりスペースができて、ある意味ボーカリストがより輝いている。
実際、”The God Machine” はかなり70年代の影響を受けている。今でもライブではこのコンセプトにこだわっていて、うまくいっている。その方がみんなにとってずっといいんだ。僕たちは、基本的なロックっぽいバンドに少し戻っているからね。例えば、ギターから見たアメリカ流のメタル・サウンド、SLIPKNOT, KORN, DISTURBED は、典型的な歪み過ぎ。僕のヒーローは Eddie Van Halen なんだけど、彼のサウンドをいつもチェックしていて、何が好きで何が嫌いなのかっていうのを考えていたんだ。たぶん、それが僕らにとっての進むべき道なんだと思うし、スピード・メタル系の音楽でも、こういうサウンドは気持ちいいと感じるんだ」
“Life Beyond the Spheres” にはたしかに、70年代の音もかなりはっきりと入っています。
「この曲は特殊な奏法で演奏されているんだけど、この奏法を実現するために何度もリハーサルを重ねたんだ。僕は音楽ジャンル全体を何か別のものに前進させる、イノベーションの大ファンなんだ。もしかしたら、今までなかった新しい何かを見つけられるかもしれない。”Life Beyond the Spheres” では、サウンドトラックの方向へ行きたいと思ったんだ。当時は “サイバーパンク 2077″ をやっていたから、ちょっとそこからインスピレーションがあった。サイバーパンクの方向性で、今までよりもスペイシーなメタル・サウンドを持ち込もうとしたんだ。その感覚を Hansi も掴んでくれて、今までやったことのない、このジャンルに近くない曲ができたと思う。いいよね、これはとても革新的な曲で、誇りに思っているよ」
多くのバンドが左に進むと、右に行くのが BLIND GUARDIAN のやり方。
「”Twist in a Myth” のように、遠くへ行ったアルバムもあるし、エレクトロニック・サウンドの実験もたくさんやった。当時はもっとシンセティックなサウンドにしたかったし、シーケンサーで遊んでみたかった。禁止されていることは何もない。自分の頭の中に素晴らしいコンセプトがあれば、何があってもそれを実現させたい。僕らにとってはただ、アルバム全体が調和していることが重要なんだ。曲作りの段階でたくさんの曲を考えたけど、その中には絶対に合わない曲もある。それを入れるのは休憩とか場違いみたいになってしまうから嫌なんだ。だから、曲順を工夫すれば、ストーリーが生まれるような曲ばかりを選んでいった。全く違う方向性の曲もあったよ。ジャズ的な要素も試したし、本当にクールなアイデアもある。ある時点で、リリースする予定だけど、すべては正しく行われなければならない。それでも、オリジナルの BLIND GUARDIAN サウンドにこだわる必要はない。僕の考えでは、BLIND GUARDIAN の本当の最初の定義となったのは “Tales of the Twilight World” だった。だから僕たちはどこへでも行けるんだ」

André は未だに長年連れ添った Hansi と意見が合わないこともあると認めています。”Blood of the Elves” はまさにそんな2人の違いとケミストリーが生んだ曲。
「キャッチーでフックなメロディーを聴く耳は、僕の方が上だと思う。Hansi はそういう意味では、もっと複雑で、プログレッシブな思考を持ちすぎている人。僕は楽器の演奏ではそうなんだけど、壮大でクラシックな曲になると複雑になりすぎてしまうのは嫌なんだ。僕は心に残るようなサビが好きなんだよ。Hansi はこれを壊したがっていたんだけど、僕は絶対にダメだと言ったんだ。彼にとっては、歌詞のセンスを入れることがとても重要なんだよね…全体がコーラス部分に収まる必要があるんだよ。でも僕はリズムもメロディも完璧なんだから、そのままでいいじゃないかと。だから、たまにはそういうこともあるけど、たいていの場合は同意する。僕たちはそんなに離れているわけでもないし、2つの世界が衝突するようなことはない。
結局、BLIND GUARDIAN の成功は、僕と Hansi のケミストリーのおかげだから。それは、愛憎半ばするケミストリー。僕たちは、本当に何でも話し合えるコミュニケーション方法を持っているから。たとえ意見が合わないときでも、すべてを持ち寄る。でも、最終的には一歩引いて、 “やっぱり、君が正しかった” と言えるんだ。それができるのが大事なんだよ。Hansi が思い通りになることもあれば、僕が思い通りになることもあり、時には妥協点を見出すこともできる。でも、僕は妥協があまり好きじゃなくて、妥協すると何かを失うと思ってしまう。だから、100%彼のやり方で行くか、100%僕のやり方で行くか、その方がいいんだ。何かに合意したら、何かを決めたらそれを100%追求する。それが僕らのいいところで、例えば Hansi が何かに反対していたとして、じゃあ君のやり方でやろうと言った瞬間から、そのアイディアに100%賛成することになるし、その反対もある。それが結果的にいい音楽につながっている」

ただ、歌詞のアイデアは、この曲での “Witcher” のように “オタク” である彼と Marcus が Hansi に押し付けることもあります。ただし、正解を出すのはいつも Hansi です。
「Hansi は歌詞について素晴らしい才能を持っているよ。だから彼に任せるよ。彼はボーカリストだから、正しい言葉に対する正しい感覚を持っているし、サビの部分の言葉ひとつで大きく変わるからね。もし、シンガーが嫌がる言葉を入れたら、曲が台無しになることもある。だから、最終的にボーカリストが気に入ったものを演奏することが本当に大事だと思う。Hansi の歌詞は、行間を読ませるような書き方をしていて、大好きだ。彼はいつも、解釈のためのスペースをたくさん残しているんだ。彼がヒントを与えることで、人々は何が起こっているのか、どういう意味なのかを考え始め、より深く、より深く掘り下げていくことができる。そうすることで、BLIND GUARDIAN の音楽は最終的にもっと強烈なものになるんだ。時には、歌詞がきっかけで本を見つけて、本を読んでくれるなんてこともあるくらいでね。
曲作りの時に彼はダミーの歌詞を使うから、時々議論が起こる。そのダミーの歌詞の中で、彼はとても良さそうな言葉を選んでいて、でも最終的に彼はその素敵な言葉を交換しようとするから、いつもまた喧嘩になる。ただ、Hansi は本当にセンスがよくて、曲のフィーリングや音楽に合うトピックを見抜く力があるんだよね。逆に、僕が音楽を作るとき、例えば “Destiny” は、僕が大のRPG好きで、あれは僕にとって、”World of Warcraft” という氷の世界の何かを題材にしたゲームにインスパイアされたものなんだ。そのことを彼に話し、僕のイメージするリッチキングのことを話した。すると彼は、”僕はそのストーリーに興味がないから、これについては書かないけど、同じ感情をキャッチできるようなものを考えてみるよ” と言ったんだ。彼はそれが本当に上手だから、心配する必要はないし、干渉する必要もないんだよね」
パンデミックで文化としての音楽、文化としてのメタルも危機に瀕しました。
「若い人がいきなり2年間も趣味を追求できなくなる。いきなり家に閉じこもってしまう。もちろん、フラストレーションは溜まる。僕が思うに、一番の捌け口は “音楽” だよ。音楽は良い治療法だ。ハードなバンドをいくつか聴いて、それを捌け口にするんだ。若い世代の人たちは昔よりオープンだからね。そんな若いファンにとって、スピード・メタルに親しむことは間違いなく面白いことだと思うんだ。”The God Machine” はスピード・メタルだけど、ただ、非常にモダンなスピード・メタルだから埃をかぶってはいない。そうやってスピード・メタルのエッセンス、エネルギーを今の時代に伝え、若い世代の足元に投げかけて、”ここにいい音楽があるよ” と言うことが大切だと思うんだ。パンデミックで、音楽シーンは社会の中で何のステータスもなく、真っ先にキャンセルされ、サポートされないことが明らかになった。この生じた穴を再び埋めることができればと願っているよ。多くのオーガナイザーやバンドが潰れてしまわないように。文化は重要だし、音楽は政治家が考えている以上に重要だよ。音楽という文化がこのまま、2023年以降も、僕たちが築き上げることのできる確かなものであってほしいと願っているんだ」

参考文献: TUONELA MAG:Interview with Blind Guardian — “We wanted to define a new Blind Guardian sound.”

BANDCAMP :An Introduction to Blind Guardian’s Mighty Power Metal

HARDFORCE:BLIND GUARDIAN Interview André Olbrich

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【VOIVOD : ULTRAMAN EP / SYNCHRO ANARCHY】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH DAN “CHEWY” MONGRAIN OF VOIVOD !!

“Let’s Help Each Other And Sing Together! Metal Is One Of The Most Open Community, People Gather And Have Fun, They Connect! We All Can Try To Be Ultraman In Our Own Ways And Help Each Other!”

DISC REVIEW “ULTRAMAN EP / SYNCHRO ANARCHY”

「今世界には、気候、戦争、政治など常に緊張感がある。日本はそれをよく理解しているはずなんだ。SF は時に僕たちが考えるよりも現実に近い。だからこそ、僕たちは皆、テレビの中のウルトラマンが勝利を収めることを望んでいたんだよね。そこに現実世界を重ねているから」
ピコン・ピコン・ピコン・ピコン…私たちは皆子供の頃、ウルトラマンの胸で輝くカラータイマーの点滅が加速するたび、スリルと心配で手に汗を握り、勝利を願いながらテレビにかじりついたものでしょう。もちろん、頭では “これは現実ではない” と理解していても、あの SF 怪奇大作戦に心がのめり込むのは “もしかすると現実でも起こり得る” そんな潜在的な不安と恐怖、そして共感をウルトラマンの巧みな設定やストーリー、そして音楽が掻きたてたから。そして、SF メタルの第一人者 VOIVOD は、今、この暗い時代にこそウルトラマンが必要だと誰よりも深く理解しているのです。
「僕たちは皆、ケベック州(カナダのフランス語圏)で翻訳されたフランス語版のウルトラマンを見て育ったんだ。オリジナル・シリーズ、音楽、怪獣、ベータ・カプセル…カラータイマーがどんどん早くなる時の緊張感…など、ウルトラマンはここケベックで知るものとは全く違っていて、新しい種類の冒険に心を開いてくれたんだよ」
なぜ今、VOIVOD がウルトラマンに着目し、テーマソングをカバーすることに決めたのか。理由は大きく二つ。一つは子供の頃からのヒーローだから。VOIVOD のメンバーはカナダ出身ですが、全員がフランス語圏のケベックで育ちました。日本の特撮やアニメの需要が高いフランス語圏において、彼らがウルトラマンやキャプテン・ハーロック、グレンダイザーをヒーローとして育ったことはある意味自然な成り行きでした。音楽産業がパンデミックや戦争で危機に瀕した時、ウルトラマンの登場を願うことも。
メンバーの中でも特に日本通、Dan “Chewy” Mongrain にとって、コロナ・ウィルスは怪獣に見えたのです。そして、ウルトラマンがその “怪獣コロナ” を一撃必殺のスペシューム光線で粉砕することを願いながら、ウルトラマンのテーマをアレンジしていったのです。そう、VOIVOD にとって光の戦士はまさに希望の象徴でした。
「このパンチの効いた不協和音はまさに VOIVOD のサウンドみたいだよね (笑) もしかするとオリジナル・ギタリストの Piggy は、ウルトラマンの音楽から影響を受けて初期の VOIVOD の音楽を作っていたのかもしれないね!ドラムの Away は僕のデモを聴いて、”うわっ!完全に VOIVOD だ!”と言っていたよ」
もう一つの理由は、純粋にウルトラマンのテーマがあまりに VOIVOD らしい楽曲だったから。それは Chewy が、前任のギタリストでバンドの支柱だった Piggy が、ウルトラマンのサウンドトラックから影響を受けたと推測するほどに。もちろん、半分は冗談でしょうが、SF マニアだった Piggy のことです。絶対にありえない話ではないでしょう。それほどに、ウルトラマンのテーマソング、そこに宿るブラスやオーケストレーション、そして不協和は解体してみれば実に VOIVO-DISH な姿をしています。
実際、VOIVOD は今が絶頂かと思えるほどに充実しています。40年にわたり SF プログレッシブ・スラッシュの王者として君臨してきた彼らは、1987年の3rd “Killing Technology” でこのスタイルを確立しましたが、メンバーの満ち引きを繰り返しながらその独自の方式に繰り返し改良を加えてきました。変幻自在にタイトでトリッキー、そしてフックの詰まった最新フル “Synchro Anarchy” は、まさにバンドが最高の状態にあることを示しています。
冒頭から、威風堂々圧倒的に異世界なギターリフ、近未来の激しいパーカッション、クセの強いディストピアンなボーカルが炸裂し、VOIVOD らしい歓迎すべきねじれた雰囲気を確立。 VOIVOD の愛する黙示録的な高揚感を完璧に体現しています。一方で、反復する心地よいハーモニーの催眠効果、不規則なサイクルと唐突な場面転換で、さながらフランク・ザッパのように VOIVOD は自由自在にメロディック・プログレッシブの地平も制覇していきます。
VOIVOD がただ、直接的な “苛酷” のみに止まらないのは、リスナーにポジティブなオーラ、夢や希望、ひと時でも現実を忘れる娯楽を提供するため。そうして彼らは、”Synchro Anarchy” と “Ultraman EP” の連作において見事にその目的を達成しました。ウルトラの父がいる。ウルトラの母がいる。そして “忠威” がここにいる。
今回弊誌では、Dan “Chewy” Mongrain にインタビューを行うことができました。「僕たちがしようとしたことは、皆を喜びやポジティブな気持ちをもたらすものに集中させること。悪い時は過ぎ去り、きっと良い日はやってくる。だからお互いに助け合い、一緒にメタルを歌おうよ! メタルは最もオープンなコミュニティーの一つだ。人はここに集まり、楽しみ、そしてつながっていく! 僕たちは皆、自分なりの方法で誰かのウルトラマンになろうと努力できるし、お互いに助け合うことができるんだよ!」 3度目の登場。感謝。どうぞ!!

VOIVOD “SYNCHRO ANARCHY” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【BLIND ILLUSION : WRATH OF THE GODS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH BLIND ILLUSION !!

“It’s Really All About The Love Of Playing Music And Most Of All This Latest Incarnate Was Designed To Be Able To Bring The Progressive Thrash Metal To The World.”

DISC REVIEW “WRATH OF THE GODS”

「そう、俺らはあの作品を “ヒッピー・スラッシュ” とか “プログレッシブ・スラッシュ・メタル” と呼んでいたんだ。俺たちは常にあらゆる音楽から影響を受けたリフを取り入れていたし、今でもそうしている。ヘヴィに変換できる素材なら何でもいいのさ! 」
ベイエリアのスラッシュ・シーンで名を馳せた BLIND ILLUSION は、バンドが始まって10年を超えるの活動期間中に、デモなどを除けば、たった1枚のスタジオ・アルバムを制作しただけでした。しかしあの Combat Records からリリースされたアルバム “The Sane Asylum” は、発売から四半世紀以上が経過した現在でもその異端な激音のブレンドでカルトな名盤として語り継がれています。プログ、クラシック・ロック、NWOBHM, サイケをふんだんにまぶした、あの酩酊を誘う重量感を一度耳にすれば決して忘れることはないでしょう。BLIND ILLUSION は、スピードとアグレッションが主流だった当時シーンに、別種のテクニックと多様性、そしてヒッピーの哲学的な味わいを加味し、”美味しすぎる” 闇鍋を作り上げていたのです。
「俺たちは学校で顔を合わせることの多い友人で、3人とも音楽にとても夢中になっていた。Les がギターを習いたいと言ったから、Kirk は俺からレッスンを受けるようにお膳立てしたんだよ。でも俺はベーシストが必要だったから、Les に “ギタリストはどこにでもいる。でもベースを弾けるようになればいつでもバンドを見つけられるぞ!”と言ったんだ。それで彼は BLIND ILLUSION に参加し、当時演奏していた曲から基本的なことを学んでいったんだ」
BLIND ILLUSION の功績はその音楽だけにとどまりません。バンドの首謀者 Mark Biedermann の周りには不思議と異能のアーティストが集まり、その才能を羽ばたかせていきます。類は友を呼ぶということでしょうか。
BLIND ILLUSION が POSSESSED も経由しているギタリスト Larry LaLonde とベースの魔術師 Les Claypool からなる史上最強のオルタナ・ファンク・メタル PRIMUS を生み出したことはつとに有名ですが、まさか Mark が Les にベースへの転向を勧めていたとは…そこにあの Kirk Hammett も絡んでいるのですから言葉を失いますね…あの3人が同じ学校で机を並べて勉強していたのですから。ゆえに当然、EXODUS のデビューにも BLIND ILLUSION のサポートがあったわけです。
「音楽を演奏することへの愛がすべてだよ。何よりもこの最新の俺の化身は、プログレッシブ・スラッシュ・メタルを世界に広めることができるように設計されているんだからね」
デビュー作のリリース後にバンドは解散し、ボーカル/ギターの Mark Biedermann は2010年に酩酊を深めた異なるサウンド、異なるラインナップで復帰しますが、長続きはしませんでした。しかし、Mark のプログレッシブ・スラッシュに対する情熱が消え去ることはありません。2017年に元 HEATHEN のギタリスト Doug Piercy とベーシスト Tom Gears が加入し、4曲入り EP が続き、遂にプログ・スラッシュの伝道作 “Wrath of the Gods” の完成を見ます。ただでさえ、百戦錬磨のスラッシュ戦隊に、元 DEATH ANGEL のドラマー Andy Galeon を加えながら。
「特にベイエリアやアメリカのスラッシュ・シーンで一番心配なのは、真に画期的な新しいバンドがいないことだよ。新しい世代の若いミュージシャンたちは、YouTube のビデオを見たり、既存のバンドと同じようなサウンドを出すのではなく、全く新しいことを実際にやってみる必要がある。GOJIRA, BLIND ILLUSION, SATAN, TOXIK, ANNIHILATOR のようなバンドは皆、他とは違う、未知の世界に踏み出すために懸命に働いているんだからね」
Doug Piercy がそう語る通り、この音は今でも真に画期的で、他とは異なる BLIND ILLUSION のお家芸。30年という時間は、忍耐強く待つには非常に長い時間ですが、それでも “Wrath of the Gods” は間違いなくその価値があります。本作は、場面転換やギアチェンジ、ズバ抜けた個々のパフォーマンス、現代的な洗練を適度に施したビンテージなプロダクションによって、確かに “The Sane Asylam” の真の後継作、そのプライドを宿しています。
このアルバムの素晴らしさは、金切り音を上げるギターソロや突然のリズムチェンジ、独特のしわがれ声というベイエリアの三原則、勝利の方程式を保持しながらがら、スローダウンしてファンクのグルーヴ、サイケのムードで耳を惹く場面が何度もあるところでしょう。やはり、この時代の人たちは YouTube のような “規範” など一切存在しなかっただけあって、自分の色が鮮明。
“Protomolecule’ や “Wrath of the Gods” といった神々しきリフの数々は、破砕的でテクニカルでありながら、非常にキャッチーでエネルギーに満ち、次の展開の予想でリスナーをスピーカーの前に釘付けにするのです。逆に、これで葉っぱキメてないと言われても容易には信じられませんね。
今回弊誌では、Mark Biedermann と Doug Piercy にインタビューを行うことができました。「機会があれば PRIMUS をよく見に行ったものだよ。特に Todd Huth がギタリストだった初期の PRIMUS が大好きでね。それでも、Larry が加入してからも本当に驚かされてばかりさ。透明で流れるようなギターのフレーズをよりヘヴィに仕上げていてね。彼らが新曲を発表するたびに、すぐにチェックしているんだよ」 どうぞ!!

BLIND ILLUSION “WRATH OF THE GODS” : 10/10

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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【ARCHITECTS : THE CLASSIC SYMPTOMS OF A BROKEN SPIRIT】


COVER STORY : ARCHITECTS “THE CLASSIC SYMPTOMS OF A BROKEN SPIRIT”

“Music Is an Escape For People. You Can Have Very Traumatic Experiences And Come And Enjoy Our Music And Listen To The Songs That Are About These Situations. But I Also Want You To Be Able To Come And Switch Off And To Let Us Be Your Saturday Night, Even If It’s On a Tuesday Or Wednesday, Come And Have a Good Time With Us And To Forget About The Stresses Of The Modern World.”

a classic symptoms of a broken spirit

アウトサイダーを自認する ARCHITECTS の Sam Carterは、期待という名の束縛から解き放たれ、ついに自分のありたい姿を受け入れられるようになりました。ARCHITECTS は10枚目のアルバムに伴い、ファンのプレッシャーから離れ、純粋に創造の自由への道を見つけようとしているのです…
「このアイラインのおかげで、何も苦しまずに済んだんだ…」
ARCHITECTS は、自分たちのファンが最も厳しい批評家であることに慣れています。ただ、彼らの軌跡とストリーミングの数字が不動の上向きであるとしても、メタルの世界で新しい何かに挑戦することは、決して簡単ではありません。Sam が戸惑ったのは、アウトサイダーが集まりがちなこの世界で、アイラインを引いた(実際にはとてもクールに見える)ことが、罪になっていることでした。
「メタルは、オープンでウェルカムな場所だと思っていたんだ。僕たちは皆、学校でヘヴィ・ミュージックを聴いていて、そのせいで小便をかけられたようなキッズだった。変わり者だと思われていたんだよね。だから何年もの間、ジーンズとノースリーブのTシャツを着てきたけど、ようやく今、長い間着たくても着れなかったものを着るようになったんだ。
それで、メタルのファンからちょっとバカにされたような気がしたんだよね。でも、僕はそれを恥ずかしがるような人間じゃないから、すぐに倍返ししてやるってもっと着るようになったよ。だってそうでしょ?アイラインをひいたオジーを見て “なんだこりゃ!” とは思わないだろ?彼はちょうどメイクアップ・シリーズを発表したところだ」
Sam は以前からバンドのライブに演劇的な要素を加え、メイクアップや衣装で “自分を表現したい” と思っていましたが、特定のファンからの反発を恐れてたのです。悲しいことに、彼は正しかったことが証明されました。
「そんなに悪くないはずだと思ったんだ。でもみんなの反応はひどかった。でも、ここはオルタナティブ・シーンであるべきだと思う。その中でみんながクリエイティブで自由であることをサポートすべきなんだ」
しかし最終的に、批判はバンドのレジリエンス、回復力、反発力を強めるだけでした。
「自分の直感と心と頭を信じるしかないんだ。多くの門番がいる。でもメタルはドラムと歪んだギターがあるだけのファッキン・ミュージックだ。考えすぎちゃいけないんだ。ここでは誰も “White Album” なんて書いていないんだから。
なあ、”Lost Forever…”, “All Our Gods”, “‘Holy Hell” いうメタルコアの “ホーリー・トリニティー” は常に存在し続けるんだ。これらの曲は常に僕たちのセットの中にある。でも、僕たちには10枚のアルバムがあるし、そのリフを真似ている他のバンドもたくさんいる。だから僕たちは新しいものに挑戦してみたいんだ」

“壊れた精神の典型的な症状”。Sam は不安を感じた時、David Bowie のビデオを見ます。このビデオは、ミュージシャンに対して、常に自分の直感に従い、決して引き下がらないようにと励ましているのです。
「David Bowie は、アーティストの最高の作品は、足が底につかず、水の上に浮かんでいる瞬間だと言っている。もし安全すぎて足が床についていたら、正しい仕事をしているとは言えないんだよ」
Sam は、Bowie の助言を確かに心に刻みました。ARCHITECTS はパンデミックに見舞われる前に、すでに世代を超えた最高のUKメタル・バンドとしての地位を固めていました。2015年の “Lost Forever // Lost Together”、2016年の “All Our Gods Have Abandoned Us”、2018年の “Holy Hell” はすべて、先進のテクニカル・メタルコアのスタンダードとなるものだったのです。しかし、バンドがその荒涼としたブルータリティの限界を押し広げ始めたとき、物事は変化を始めました。昨年の “For Those That Wish To Exist” でブライトンの5人組は、よりクリーンでメロディックな音の時代を切り開くことになったのです。
ARCHITECTS のニューアルバム “the classic symptoms of a broken spirit” の作曲とレコーディングの際に Sam は、Bowie の知恵を取り戻しました。”For Those That Wish to Exit” のようなシネマティックなピークやストリングスはなく、代わりに巨大なリフ、ダーク” はギター、そしてスタジアムでも通用するフックが使われています。Sam はこのアルバムを “殺伐としたパーティー・アルバム” と表現しています。
「新作の構想はダーティーでインダストリアル。新しい ARCHITECTS や古い ARCHITECTS も入っているけど、全てを通してこのテーマがあるんだ。僕たちはインダストリアルなバンドを全く知らないんだけど、それでもやっていこうと思ってるんだ」

ARCHITECTS は常に変幻自在です。このアルバムを例え聴いていなくても、メタルバンドはこうあるべきというステレオタイプからは明らかに外れています。白を基調としたシンプルなアートワーク、小文字で書かれたタイトル。そこから、悪魔崇拝やメタルらしいファンタジーは微塵も感じられないのですから。
そして音楽を聴けば、以前はストリングスや広がりのあるパッセージで感情表現をしていた ARCHITECTS が、この作品ではさらにエレクトロニクス、インダストリアルの世界をバンドのレパートリーとして取り込んでいることに気づくはずです。グリッチ風味のシンセサイザーによるサウンドが、彼らが20年近くかけて完成させたサウンドにさらなる深みを加えています。
エレクトロニクスを積極的に取り入れた現代のメタルバンドなら、シーンをリードする BRING ME THE HORIZON との比較は避けられません。特にオープニングの “deep fake” はシンセの使い方とヴォーカルの表現が彼らに似て秀逸。”Sempiternal” の影は10年近く経った今でもメタルコアの亡霊として影を落としますが、ここではそれ以上のものがあります。もちろん、RAMMSTEIN の面影を宿す “tear gas” にも。
“burn down my house” は静電気を帯電したよりスローでムーディーな曲で、一方 “living is killing us” はシンセウェーブのビートが深く刻まれた未来的な都市景観。アルバム全体を通して何層にも重ねられた挑戦的な建築物は、一つのアイディアに固執することはありません。
バンドが自分たちのサウンドを進化させ続けることが重要だと Sam は言います。2016年にギタリスト兼ソングライターの Tom Searle(ドラマーの Dan の双子の兄)が28歳で癌で他界した後、ARCHITECTS はメタル・コミュニティの “悲しみ” を背負うことになりました。多くのファンは、起こったことの意味を理解しようとしたアルバムである2018年の “Holy Hell” に溢れた悲しみにカタルシスを見出しました。しかし ARCHITECTS は、芸術のために自分たちの痛みの中で生きることが、不健康になりつつあることに気づいたのです。
「”グリーフ・コア” か何かのようなジャンルにならないことが重要だったと思う。Tom は僕らが常に痛みに耐えて、毎晩トラウマになるような経験を持ち出すことを望んではいないはずだ。インダストリアル・バンドになるなんてとんでもないことだが、僕たちはそれに挑戦するつもりなんだ」

つまり、ARCHITECTS の今日の状況はバラ色です。このビデオは、10枚目のアルバム、”the classic symptoms of a broken spirit” は大好評。あの BIFFY CLYRO と共にツアーに出る予定で、ロンドンのThe O2にも初上陸する手筈。前作 “For Those Wish To Exist” はチャートで1位を獲得し、The Official Charts Company からトロフィーが授与されています。
「あの出来事は、レスターがプレミアリーグで優勝したようなものだ。誰もがそんなことは起こらないとタカをくくっていた」
しかし、岡崎のチームと同様に、ARCHITECTS は狂ったオッズをはねのけて優勝しました。そして、ARCHITECTS はこれまでで最大の UK ツアーを敢行。それから彼らは昨年末、ロンドンの伝説的なアビーロード・スタジオで、オーケストラとレコーディングを行いました。
「最初のテイク “Black Lungs” をやったとき、僕は何も歌えなくなったんだ。完全にパニックになって、部屋を出なくちゃいけなかった。マネージャーからジンを渡され、涙ぐんでいた僕は指揮者のサイモン・ドブソンに慰められたんだ。彼は僕を抱きしめて、”一緒に乗り越えよう” と言ってくれた。”他のことは気にしないで、自分ことだけに集中して” と。そして、それはうまくいったんだ」
ビートルズに傾倒するフロントマンは、これを “聖書のような体験” と呼び、パンデミックがまだすべてを終わらせる恐れがある中でコストとリスクを秤にかけつつ、結局次のアルバムを書くことにしたのです。
「ロックダウンという、何もしない退屈な時間の中で、作曲だけが唯一意味のあることだったんだ。自分がミュージシャンであること、これが自分の仕事であることを再認識させてくれた。僕は犬の散歩が得意なんだけど、あとは本当にそれくらいしかできないんだ。だから、何か集中できるものがあってよかったし、みんなのコミュニケーションも保てた。一緒にスタジオにいなくても、アルバム制作のために、常に連絡を取り合っていたからね」

もしあなたが、Sam がビデオでメイクをしていることや、シングル “tear gas” が2007年の “Ruin” よりもさらに RAMMSTEIN 的なインダストリアルな香りがすることに腹を立てているとしても、歌詞の内容を知るまでその怒りは収めるべきでしょう。すべてが小文字のタイトルが物語るのは、傷ついた精神の典型的な症状です。”living is killing us”, “doomscrolling”, “a new moral low ground”, “be very afraid”, “born again pessimist” など、収録されている曲のタイトルがまさにそれを物語っています。Sam は、このような荒涼とした表現には “Very Architects” ARCHITECTS らしい胆力のあるユーモアがあると言いますが、気候変動や、持てる者と持たざる者の残酷な格差社会、そして自分自身の精神状態にかんする率直な分析といったセンシティブなテーマを扱うときには、まさにそのユーモアと胆力が必要なのだと言います。
「そうでなければ、いつも泣きながら歩いていることになる。人々の逃避場所になりたいんだ。自分の音楽は、人々が一緒になって、この国や世界の状況に対する疲労や弱さを共有できる場所でありたいと思うんだ。暖房費も気候変動も心配だけど、僕たちにはそれを話し合える相手がいるし、バンドで歌うこともできる。でも、そういった場所がない人もいるわけで。彼らは本当に心配しているのに、友人たちはそんなこと気にも留めていなかったりしてね。だから、こういうことを話せるバンドがいて、身を乗り出して、”クソみたいな話だよな” と言えるのはいいことだと思うよ」
ARCHITECTS のようなバンドがいることは、もちろん良いことでしょう。今のイギリスは、実際、”クソみたいな話” ばかりなのですから。イギリスの政府は、この数ヶ月で4人目の財務大臣となるジェレミー・ハントを発表。彼は、NHS を解体し、そこで働く人々の士気を破壊することによって売却のための下準備をしているように見えました。食べ物を買う余裕がないとか、凍死しないか?とか、基本的な生命の尊厳が脅かされているのです。さらに、前首相のリズ・トラスはよりクリーンな代替案ではなく、環境の破壊が進むべき道であると主張し続けていました。
同じ週、Just Stop Oil のキャンペーン参加者2人がロンドンのナショナル・ギャラリーに入り、ゴッホの “ひまわり” にスープの缶を投げつけ、壁に貼り付ける様子を撮影しました。芸術と命、どちらが大切なのか。絵画を守ることと、地球と人間を守ることのどちらが大事なんだ?と。その後、彼らの主張よりもその手法が話題になったのは当然ですが残念なことでした。イギリスは自国の気候変動目標の達成にさらに遅れをとっています。

Sam は、自分が答えを持っていないことを最初に認めます。そして、個人として、たとえ彼のような熱心な人間であっても、全体の “ゲーム” が地球に対して不正に操作されている間は、ほとんど何をやっても無駄に近いと理解しています。ARCHITECTS の音楽には、こうした不安も織り込みながら、悩みを他人と共有し、何ができるかを考えようとしているのです。
「誰のせいでもなく、僕たちにできることはあまりない。僕たちの社会におけるより大きな問題は、おそらく世界の炭素排出量の80パーセントを担っている約13の企業にかかっているのだから。環境に配慮している人は、リサイクルのやり方を間違えると、何かを殺してしまったような気がして、イライラしながらベッドに入ることになる。でも大丈夫。それは結局、企業の責任なんだ。もちろん、環境問題は自分の手を離れたわけではないし、毎日、環境のため、自分のため、周りの人のために、より良いことをしようと努力している。でも、時には、それが彼らの責任であることに気づかなければならないんだよ。問題は、誰も大企業にそうした質問をしないこと。みんな、こうした企業が提供するすべてを必要なものとして見なしているから、誰も踏み込めないんだよ。本当にクソ難しい問題なんだ。
僕たちはいつも、世界で何が起こっているのかを、虫眼鏡で見て、”これが本当の姿だ” と話してきた。今のイギリスは生活費や暖房費に苦しんでいる人たちが多いから、すごく暗いんだ。それってもちろん、僕たちにとっても恐ろしいことだけど、人工呼吸器をつけたまま寝ている老婦人にとってはもっと、本当に恐ろしいことだからね」

このアルバムでは、同じように厳しい視線を内側にも向けています。”burn down my house” では、Dan Searle の歌詞が精神的な健康について語りかけます。この2、3年、パンデミックに対する恐怖と怒りが、人との接触がかろうじて合法となったことで増幅されました。自分自身の葛藤の重さだけでなく、精神の病が現実的な健康問題とはなぜ見なされないのかという疑問符をこの曲は描き出します。
「この曲はすごく暗い曲なんだ。僕と Dan の精神的な健康について歌っているんだけど、社会的な状況に昇華できるオープンな曲だと思う。精神衛生についての議論や、チャリティ活動みたいに、人々が何かをすることはあるけど、この問題は思うほどにはまだ現実味がない。実際にきちんとした会話になっていないんだ。”大丈夫じゃなくてもいいんだよ” って言うだけで、”本当に大丈夫なのだろうか?” 答えは “ノー” だ」
ギタリスト、Tom Searle が2016年に亡くなる1年前から、Sam は抗うつ薬を服用するようになっていました。パンデミックにかけて、世界がいつもより混乱する中、彼は服用量を倍増させていきました。抗うつ薬はたしかに、暗いものを閉じ込めておくのに役立ちましたが、それ以外のものも同様に閉じ込めてしまったのです。うつ病の代わりに、彼は何も感じなくなりました。
「抗うつ剤が悪いとは思わないよ。抗うつ剤がなかったら、僕はここにいないだろうから。だけど、服用量を2倍にしたとき、僕はやり過ぎてしまった。喜びも悲しみも、まったく感じられなくなったんだ。全く何も感じない。喜びも悲しみがまったくないんだ。悲しみを感じたい、感情を持ちたいと思っていたよ」
Sam の友人たちが、彼と彼の婚約者に、娘の名付け親になってほしいと頼んだ瞬間が転機でした。その時、婚約者は涙を流しましたが、Sam 自身は、依頼されたことを光栄に思い、嬉しく思っていたが、何も感じなかったといいます。その瞬間に彼は、「もう薬はやめよう、もっと自分を見つめ直そう」と思ったのです。
「あまりに急に断薬するのは危険なので、時間をかけて断薬していったんだ。でも、その間は気が狂いそうだった。断薬するのはとても大変だったんだ」
同時に、サムは自分自身と自分の人生をより徹底的に検討し始めました。バンドが公の場で気高く Tom の死という悲しみを乗り越えてきたように、彼はより静かで個人的なケアも必要だと気づいたのです。

「実際にすべてを眺めてみると、”そうか、自分が対処しなければならないこと、話して癒さなければならないことがたくさんあるんだ” と気づいたんだ。僕と Dan は同じ時期にそれを経験していたんだと思う。Tom が亡くなった後、僕らはそのままツアーに出て、その状況についてレコードを録音した。ステージでも毎晩、彼のことを話したよ。それは本当にすべてを包み込むようなもので、本当に大変だった。
24時間365日、自分のトラウマをみんなに開放するのは簡単なことではないからね。かなり疲れるし、本当にただただ悲しかった。ステージに上がるたびに、Tom の話をするんだけど、同じ話ばかりするわけにはいかない。台本を読んでいるように聞こえるのが嫌だったから。だからこそ、毎晩 Tom の話をしているうちに、トラウマになるような思い出に入り込んでいくんだけど、それがすごくいい思い出だったり、すごくつらい思い出だったりする。
でも、僕本当のことを話していたんだ。Dan と話したんだけど、明らかに僕がステージでこの話をするのがどれだけ大変かを見ていて、”嫌ならこれ以上心を開く必要はない”, “もし君が多くを語らず、ショーを乗り切って楽しい時間を過ごし、ここにいることに感謝する必要があるなら、そうすべきだ” と言ってくれた。
だから、スタジオに入ったときも、今回は、今あるこの瞬間を本当に楽しもうという感じだったね。Tom が僕らにしてほしいと思っていることをやろう、つまり、悲しんでみじめに座っているのはやめようと決めた。Tom が望んでいるのは、悲しんだり惨めになったりすることではなく、自分の人生を精一杯生きて、すべての瞬間を楽しむことだから。
だから、自分の中に戻ってみると、”一人で乗り越えなきゃいけないんだ。みんなの前で僕が乗り越えるんじゃないんだ” って気づくんだ。僕はすでにカウンセラーに会っていたんだけど、最優先って感じじゃなかった。パブで大金を使ったり、ずっと欲しかったレコードを買ったりすること…カウンセラーの優先順位はその下にあるものだったんだよね。だけど、その転機で僕は、できる限り最高のカウンセラーに相談し、お金を貯めて、自分自身をケアするためにお金を使おうと思ったんだ」

結局、ステージから降りればアーティストも普通の人間です。
「チェスター・ベニントンや彼が経験した苦悩を見れば、スーパースターであるかどうかは関係ないんだ。みんな毎日を過ごして、学んで、お互いのために頑張るしかない。僕たちは、他の人たちと同じように、人生や家族、子供、浮き沈み、不安、長所、短所を持った普通の人間だ。僕は少し前に、なぜ怒りの音楽に惹かれるのかに気づいたんだ。他の多くの人と同じように、僕も自分の怒りのための健全なはけ口を持っていなかったから。実際、僕はそれを “許容できる” 方法で表現する方法をまったく知らなかったけど、ヘヴィー・ミュージックは、他の何にもできないときに、その感情を表現する場所を与えてくれたんだ。
今日、僕は18歳ではなく34歳で、自分の怒りのすべてを理解しているわけではないけど、音楽を作るときに表現することを求める感情はそれだけではないし、それはこのバンドのメンバー全員にも当てはまる。そう、怒る理由はたくさんあって、その感情はこの作品に表現されているけれど、もっと複雑な感情もここにあるんだ」
Sam はファンから受けるフィードバックをあまり気にかけてはいません。ARCHITECTS 初期の作品を特徴づけていた破砕的なヘヴィネスが失われたことを嘆く否定的なコメントなどを軽く笑い飛ばし、気にしない。メイクアップのことも、そこまで大した問題ではありません。唯一、本当に気になるのは、バンドが Tom と一緒にいたときとは違うという不満を持つ人たち。そこに Sam は恐怖や嫌悪感を感じています。
「最近はファンの声が大きい。インスタや Twitter を得て皆が突然、音楽評論家になった。だからどうでもいいんだ。良いものも悪いものも読まないよ。ただ若者の作品がその声に影響されるのは嫌だ。音楽を出すだけで怒られるのは辛いからね。
バンドにいるから、楽な人生だろうと思われているような気がする。でもね。毎日、毎秒、Tom のことを考えているんだ。ARCHITECTS という言葉を聞けば、彼のことを考えずにはいられない。Tom ならこれを恥じるだろう、Tom ならこのレコードを嫌うだろう、Tom ならこうしただろう、Tom の遺産に泥を塗るな、と言う人をたくさん見てきた。だけど、オマエは Tom の何を知っているんだ? 名前を口にするのもおこがましいって言いたいよ。
Tom はメインソングライターで、今はみんなが ARCHITECTS でソングライターとしてのあり方を学んでいる。僕たちはこの作品を作るために一生懸命働いてきた。”Tom なしではもう無理だ” と言う方がよっぽど簡単だっただろう。もうこれ以上できない。Tom の真似はできないよってね。つまり、僕たちは親友の音楽をパクってるわけじゃないんだ。後任のギタリスト Josh Middleton に Tom のようなリフを書いてくれなんて頼めないよ。それがどれだけ侮辱的なことかわかる?」
そうして Sam は “大丈夫じゃなくても大丈夫” の件に戻ります。
「SNS のヤツらは、今の僕らが気に入らないからと言って、僕の人生の中で最もトラウマになった瞬間を持ち出してもいいと思っているんだ。そのことで何度も泣いたし、何度も傷ついた。人がこんなに卑屈になれるなんて信じられない。そんなこと言うヤツは狂ってるよ。”大丈夫じゃなくても大丈夫” なんて言われるのは腹立たしいよ。だから、僕たちはお互いに話し方に気をつける必要があるんだよ。Tom がいた頃と比べられるのが僕は恐ろしいから。
新しい ARCHITECTS を好きになれとは言わない。音楽は完全に主観的なものだから。多くのファンは、僕のビートルズの “Revolver” のB面が最高だという話は聞きたくないと思うんだ。わかるよ。嫌いなら嫌いでいい。ただ、そこで僕を侮辱したり、僕のベストメイトを持ち出したりする必要はないんだよ」

“the classic symptoms of a broken spirit” を聴いていると、すべての挫折した感情の結び目が大きく書き込まれています。Sam が言うように、これは共有されることを意図したものでもあり、平易な言葉はそれを聞いて感じる必要のある人々に届く方法として使われているのです。そうして Sam は、自分のバンドがカタルシスの源となり、人々が暗闇の中に光を見出すことができるようにと願っているのです。
「ライヴでは、水曜日の夜を金曜日の夜に変えたいんだ (笑)。現代社会のストレスを忘れて欲しい。音楽は、人々にとって逃避の場だから。大きなトラウマになるような体験をしても、僕たちの音楽を楽しみに来て、トラウマをその時だけは忘れられる。
君がお金をかけて僕たちに会いに来てくれる時、僕たちは君のためにショーを行っているんだよ。君のお金は、僕たちのパフォーマンスという形で君に還元され、君を世の中のストレスから解放するということを知ってほしいんだ。
今の僕たちはオルタナティヴ・アリーナ・メタルだよ。よくわからないけど。つまるところ、僕たちはただのロックンロール・バンドなんだ」
最近の曲は実際にそうしたステージのために作られたもの。Sam は “Animals” をライブで演奏するときの興奮を、”大勢の人が巨大でシンプルなリフに押しつぶされる” という言葉で表現します。そして、疑うことを知らない BIFFY ファンは、英国で最も優れたメタル・バンドのひとつに初めて遭遇するのです。
「”これは一体何なんだ?”と思ってくれる人がいるといいんだけどね。面白くなりそうだ。楽しみだよ。僕はいつも打ち負かすことを楽しんでいる。観客の中にいる誰かを見て、激怒しているその一人に集中して、考えを変えようとする…そのチャレンジが好きなんだ」
何より今、Sam Carter は幸せです。彼は人生に満足し、自分のバンドの新しいアルバムに喜びを感じ、ようやく友人たちとツアーに出られるという見通しも立ちました。今の彼は自分自身をきちんとケアしていて、以前との違いを目の当たりにしているところです。そして、アルバムに収録されている音楽と同じくらい Sam の人生は、彼が人々と共有し、絆を深めたいと考えているものなのです。
「これが僕の人生だなんて、信じられないよ。”信じられない”! みんなにそれが伝わればいいな。それは、とても大切なこと。まるで、誰かが僕の口の中に LSD を入れたみたいだ」
壊れた精神?建築家はそれをリフォームする方法を知っています。

参考文献: KERRANG!Architects: “You want your music to be an escape for people. You want to be a place where people can come together…”

NME:Architects: “We’re not afraid to try new things, and I don’t think anybody should be

LOUDWIRE:How Architects Are Still Celebrating Tom Searle With Upbeat New Album Read More: How Architects Are Still Celebrating Tom Searle With Upbeat Album

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【AETERNAM : HEIR OF THE RISING SUN】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH AETERNAM !!

“We Do Think Of War As Part Of Human History And Mainly a Great Way To Learn That Violence Is Never The Answer To Resolving Any Conflict. There’s Nothing Positive In Death Of Innocents That Benefits Humanity At Large.”

DISC REVIEW “HEIR OF THE RISING SUN”

「歌詞を読んでみると、この作品がただの歴史の授業ではなく、詩的で、時には出来事の完全な説明というより、もっとテーマを喚起するような内容になっていることに気がつくと思うんだ。中世ビザンツ帝国の時代は北米じゃ軽視されがちだけど、歌詞の内容的にも音楽的にも大きな可能性を秘めた、取り組むべき興味深い題材だと思った」
大砲が何発も何発も都市の城壁に打ち込まれる中、ダミアヌスは深く動揺しながらも、矢を手に城壁の上に立つ。彼はすぐに聖母に祈りを捧げた後、弓を包囲者たちに向けて放つ。埃が空中に舞い上がり、大砲を操るオスマン軍の将を左に数センチ外してしまう。パニックの中、ダミアヌスは選択を迫られる。先祖の土地を捨てて去るべきか、それとも戦って死ぬべきか?ダミアヌスが戦うことを決断した数分後、大砲の弾が命中し、彼の手足は引き裂かれ骨は粉々になった。おそらく神は帝国の滅亡を望んでおられるのだろう。コンスタンティノープルの街のあちこちが限界点に達し、ノヴァローマの富を手に入れるため、オスマン帝国はついに征服不可能な都市に突入した。
「実は、この曲はウクライナ戦争が始まるずっと前に作られたものなんだ。とはいえ、僕たちは戦争を人類の歴史の一部と考え、暴力がどんな争いも解決するための答えには決してならない、そのことを学ぶために最適な方法だと考えているんだ。罪のない人々の死が、人類全体の利益となるなんてことは絶対にない。戦争にポジティブなことは何もないのだから」
この “The Fall of Constantinople” “コンスタンティノープルの陥落” は、AETERNAM の5枚目のアルバム “Heir of the Rising Sun” を締めくくる、ビザンツ帝国の終焉を描いた壮大な楽曲です。この歴史的、音楽的なクライマックスに到達するために、AETERNAM は SEPTICFLESH の映画的シンフォニー、WILDERUN の知の陶酔、AMORPHIS の旋律劇、ORPHANED LAND の異国の香りを見事に混交しています。リスナーはこのレコードで時を超え、オスマンとビザンツの時代に旅をしながら、”永遠” の名を持つバンドが提起する人類永遠の課題 “戦争” を追体験するのです。この物語は遠い昔の話しでありながら、実は過去の遺物ではありません。そろそろ私たちは、ほんの少しでも歴史から何かを学ぶべきでしょう。
「”Kasifi’s Verses” の冒頭にあるトルコ語のちょっとしたナレーションを入れると、実は5つあるんだよね。 それは、曲の中で僕たちが語る人々に対する言葉でのオマージュと見ることができるだろうね」
“Heir of the Rising Sun” で AETERNAM はアグレッシブ・メロディアスなリフの合間に、中東・北アフリカの風を受けたギターリードがオスマン帝国の誇りを見せつけ、”征服者” がコンスタンティノープルを手にするため力をつけていく様を描いていきます。もちろん、その絵巻物の情景は、モロッコに生まれ育った Achraf の歌声が肝。
そうしてアルバムは、1453年5月29日が近づくにつれそのオリエンタルなテンションを増していきます。”Beneath the Nightfall” や “Where the River Bends” におけるブラックメタルの激しい旋律、荘厳に勝利を響かせる “Nova Roma”。
一方で、”The Treacherous Hunt” では、東洋の水にグレゴリオ聖歌とシンフォニック・ブラックメタルの構造を無理なく融合させて、ビザンツ帝国の側からもストーリーを肉付けしていきます。戦争に正義などありませんし、完全に善と悪で割り切れるものでもないでしょう。AETERNAM は侵略者、被侵略者、両方の物語を描く必要があることを知っていました。英語、ギリシャ語、トルコ語、ノルウェー語、ラテン語という5つの言語を使用したメタル・アルバムなど前代未聞。しかし、それはこの壮大な “教訓” をリアルに語るため、絶対に不可欠な要素だったのです。
フィナーレにしてクライマックスのクローザーでは、大胆なメロディとスタッカート主体のリフ、ドラムが大砲のように鳴り響き、オスマントルコの攻撃を演出。しかし、途中から勇壮なギター・リフに移り変わり、ビザンツ兵の視点が強調されます。逃げ出すか、このまま街に残って死ぬか。彼は嘆きながらこう決心するのです。
「もし神の意志で街がこの夜に滅びるのなら 私は命を捧げた戦士たちの側に倒れよう」
今回弊誌では、魂のボーカル&ギター Achraf Loudiy と、創始者のドラマー Antoine Guertin にインタビューを行うことができました。「Achraf と僕が出会ったとき、彼は AETERNAM の曲にもっと東洋的なメロディーを取り入れるというアイディアを持っていたんだ。 彼はモロッコでそうしたメロディーを聴いて育ったし、彼の母親が素晴らしいシンガーであることも重要だった。家系的にもそうなんだよね」 どうぞ!!

AETERNAM “HEIR OF THE RISING SUN” : 9.9/10

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