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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【VIOLET ETERNAL : RELOAD THE VIOLET】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JIEN TAKAHASHI OF VIOLET ETERNAL !!

“I Studied From Timo Tolkki About Most Important Things. He Taught Me The We Need The Respect For Cherish Individuality By My Own.”

DISC REVIEW “RELOAD THE VIOLET”

「自分も満足出来て尚且つファンの人が喜んでくれるであろう夢のような音楽を作り続ける為に人脈を広げていく努力は惜しみなくしていますが、なによりも人間関係に恵まれたという部分が大きいと思います」
かつて、日本のメタル・アーティストが、海外のプレイヤーと共闘することはほとんどありませんでした。それは、言葉の壁、文化の壁、そして文字通り “海” という壁が大きく立ちはだかっていたから。もちろん、だからこそ日本のメタルは独特の “味” を持つようになったといわれる一方で、世界で認知されるには少しばかりドメスティックになりすぎたのかもしれませんね。
やはり、歴史を変えるのは若い力です。聳り立つ壁の数々を、ギタリスト Jien Takahashi はいとも簡単に薙ぎ倒していきます。Timo Tolkki に見出され、MAJUSTICE で颯爽とシーンに登場した Jien は、Kaz Nakamura, Kotaro Tanaka, Kelly SIMONZ という日本の百戦錬磨と共に、海外の烈士たち、Iuri Sanson, Ralf Scheepers, Vitalij Kuprij を従えていました。その姿はさながらメタル世界の坂本龍馬。インターネットという新たな海を自在に泳ぎ、Jien は信頼できる仲間を世界中で見つけました。
まさにメタルの生命力、感染力、そして包容力。彼にとって、国籍、人種、文化、性別は一切壁にはなり得ません。重要なのは、自らの才能を具現化できるパーティ。そして、その力を余すことなく使い切って、リスナーに極上の個性的なパワー・メタルを届けること。
「トルキとはかなりコンスタントに連絡を取るようになり、STRATOVARIUS 時代の楽曲をどのように作り上げたかなど色んなことを教えて頂けました。そして彼から独自の作曲方法を伝授されてからは一貫して彼の方法論を踏襲しています。しかし、それはあくまで方法論に過ぎず彼から学んだ最も大切な事は”個性的であれ”という事です。このジャンルに於いて”独創的”でいる事は難儀ですが、個性的であることを大切にしてこれからも精進していきます」
パワー・メタルはたしかにステレオタイプになりがちなジャンルで、飽和と定型化が衰退を招いたこともありました。しかし近年、TWILIGHT FORCE や GLORYHAMMER, FELLOWSHIP, IMMORTAL GUARDIAN といった若い力は、振り切った個性とテクニックで再びこのジャンルに活力を取り戻しています。Jien の新たな冒険となる VIOLET ETERNAL もそうしたバンドのひとつでしょう。
「村下孝蔵さんや弘田三枝子さんのような歌謡界のレジェンドから、私立恵比寿中学やアンジェルムのようなアイドル音楽など幅広く日本のポピュラーミュージックを愛しています。
太鼓の達人でお馴染みのナムコオリジナルやロマンシング・サガシリーズの楽曲を手がける伊藤賢治さんの作る音楽も大好きです。ヨーロッパっぽいメロディも大好きなのですが、ぼくは日本的なメロディで曲を作っていくのが楽しいしその点に生き甲斐を覚えています」
思い返してみれば、かつてパワー・メタルの銀河帝国を築き上げた綺羅星たちには、それぞれのユニーク・スキルが備わっていました。VIOLET ETERNAL のそのスキルはおそらく、欧州と日本の融合。実に耽美的でヨーロピアンでありながら、戦隊もの、アニメの主題歌、J-Rock で慣れ親しんだ日本的なコード進行や勇壮な旋律が五感を刺激するカタルシス。バンドのアンセムである “Under the Violet Sun” は、後半の転調を含めてまさしくその象徴でしょう。平坦になりがちな海外のパワー・メタルに比べて、VIOLET ETERNAL の楽曲はコード進行や転調の魔法が実に鮮やか。
DERDIAN の盟友 Ivan Giannini をはじめとした海外のパワーと、GALNERYUS の YUHKI をはじめとする繊細な日本のメタルが交わる様もまさに Jien が理想とするパワー&メタルの有り様。リスナーはただ、タクトを振るいながら美技を連発する Jien の紫に踊らされればよいのです。
今回弊誌では、Jien Takahashi にインタビューを行うことができました。「BanGDreamに関しては声優の工藤晴香さんのファンクラブにも入ったくらいどハマりしましたね!一時期は髪色まで工藤晴香さんの真似をしていたくらいです(笑)。実際に今でもInstagramでは工藤晴香さんとティモ・トルキの名前を捩った名称をIDにしていますね」
あの RING OF FIRE の “Circle of Time” を彷彿とさせる “The Echoes of Time” からさらに飛翔する “Now And Forever” の流れは絶品。開幕からメロパワ!メロパワ!でねじ伏せるアルバムは、HELLOWEEN の “Master of the Rings” 以来では? どうぞ!!

<収録曲>
01.The Titans
02. The Echoes of Time
03.Now and Forever
04.Ember Flame
05. Under the Violet Sun
06.Land of Golden Sun
07.Never Surrender…In My Dreams
08.Heartless
09. Over the Sorrow
10.Sonata Black
Line-up:
・Ivan Giannini (Vocals)
・Jien Takahashi (Guitarist)
Sound Producer:
・Dennis Ward (Sound Producer)
Additional Musicians:
・Track 02~10. Andrea Cappellari (NEKOMATA, ex-SKELETOON) as Guitarist
・Track 02~10. Ollie Bernstein (ILLUSION FORCE) as Bassist Track 09. Takao (MinstreliX) as Guitarist
・Track 09. Gabriel Guardian (IMMORTAL GUARADIAN) as Guitarist and Keyboardist
・Track 10. YUHKI (GALNERYUS, ULTIMA GRACE) as Keyboardist
・Track 09 10. Ryuya Inoue as Drummer
・Track 10. Timo Tolkki (ex-STRATOVARIUS) as Songwriter

VIOLET ETERNAL “RELOAD THE VIOLET” : 10/10

INTERVIEW WITH JIEN TAKAHASHI

Q1: Unfortunately, Vitalij Kuprij has passed away… He was a hero and a dear partner to you… Can you tell us about your story with Vitalij and your feelings towards him?

【JIEN】: I was devastated by his passed away, still I can’t believe it he left from earth.
Sometime I imagined how I felt if I loss the band mate, but I had never felt so sad about anything in my music career.
About the bond with Vitali and me, sometimes we fought.
But sometimes we talked about bull-shit things for hours.
So we built a wonderful bond that I could never have imagined when I just fan of him.
I was able to co-produce two albums with Vitali and played together in two bands before the he left from earth.
Fortunately, there have a unreleased recording take what he recorded the my song but did not release through the officially.
We are working on this song to release it as VIOLET ETERNAL. So please waiting for upcoming information about this!!

Q1: 残念ながら、Vitalij Kuprij が亡くなってしまいましたね…あなたにとって彼は、ヒーローであり、大切なパートナーだったわけですが、Vitalij とのストーリーや、彼に対する気持ちをお話ししていただけますか?

【JIEN】: “こんなに悲しい出来事が起きるものなのか”…と、彼の死には打ちひしがれました。
音楽活動を続けていればいずれはこういう事もあるかとは思っていましたが、音楽をやってきてここまで残念な気持ちを抱いた事はかつてありませんでした。
ヴィタリとは時には真面目にぶつかり合い、時には何時間もくだらない話をする…いっぱしのリスナーだった頃には想像出来ないほど素敵な絆を築いておりました。
ヴィタリとは生前に2つのバンドで2枚の作品を共同プロデュースして作ることが出来ました。
不幸中の幸いで、彼とレコーディングはしたものの一般的なルートでは発表しなかったレコーディングテイクが残っています。この曲は VIOLET ETERNAL として発表する為に作業を進めておりますので、続報に期待していて下さい!

Q2: To begin with, you and Majustice met with Timo Tolkki, which was a major turning point for you, wasn’t it? Can you talk about your encounter with him and what you learned and inherited from him?

【JIEN】: Sure!! If I never contacted to the Timo Tolkki in this life, my life is a totally different I guess.
Let’s way back to end of 2019, I was in a band called Stormheart and we were creating a EP, and I wanted to get some comments for the EP.
Then I dive to find the e-mail address of Timo Tolkki from internet, and fortunately I’m succeed to found the his address.
After that I send the email to Timo with my songs, then he responed after 15 min!!
And he told me how much he felt happiness to got the email from Japanese fan first after a long time, also he asked to talk with me in phone call.
Then I and him with familiar and he told me the many story, exsample how did he write the songs for STRATOVARIUS era.
After the he taught me to song write process, I’m fully write the songs with same way as Timo.
But is just a way, I studied from him about most important things.
He taught me the we need the respect for cherish individuality by my own.

Q2: そもそも、あなたとMajusticeは、Timo Tolkki との出会いが大きなターニングポイントとなったそうですね?彼との出会い、そして彼から何を学び、受け継いだのかお話ししていただけますか?

【JIEN】: もしもティモ・トルキと接触しなければぼくの人生は大きく違った形になっていたかと思います。
事の始まりは2019年の12月に遡ります。その当時ぼくが活動をしていた STORMHEART というバンドで作品を作っていたのですが、帯タタキにコメントが欲しいなと思いました。
そこで真夜中にインターネット中を駆け巡ってティモ・トルキのメールアドレスを見つけ出して彼にバンドの楽曲を送ったんですね。
そうしたらものの15分程で彼からレスポンスがあって、”日本の人から連絡が来るのは久しぶりだし、ちゃんと話したいから電話番号を教えて欲しい” と伝えられたんです。
それからトルキとはかなりコンスタントに連絡を取るようになり、STRATOVARIUS 時代の楽曲をどのように作り上げたかなど色んなことを教えて頂けました。そして彼から独自の作曲方法を伝授されてからは一貫して彼の方法論を踏襲しています。
しかし、それはあくまで方法論に過ぎず彼から学んだ最も大切な事は”個性的であれ”という事です。このジャンルに於いて”独創的”でいる事は難儀ですが、個性的であることを大切にしてこれからも精進していきます。

Q3: It seems that Jason Becker also approves of your guitar playing, doesn’t he? How did you interact with him?

【JIEN】: I was uploaded the cover video of Jason, I covered the “Altitudes” as you can see in the YouTube.
Then man of the manager for Jason contacted me about my cover video.
He praised for my cover video, especially he loved the I played the “Altitudes” with by my modern and heaviest arrange.
Then he showed my video and songs for Jason Becker himself, and fortunately Jason loved the my musical skills!!
After that sometimes Jason posted recommendation about me in his social medias.
It’s not common things, so still I can’t believe it Jason Becker loved my musical skills especiallyguitar playing.

Q3: あの Jason Becker にもあなたのギター・プレイは認められているようですね?彼とはどういった交流があったのですか?

【JIEN】: ジェイソン・ベッカーに関しては、”Altitudes” という彼の楽曲をカバーしたビデオを YouTube にアップロードしたんです。
そうしたらぼくのカバービデオを見たジェイソンさんのマネージャーから連絡があり、”君はジェイソンの作った楽曲を新たな次元に持っていった!ヘヴィでありながらもジェイソンへのリスペクトを凄く感じる!” と、言って頂けたんですね。
その後にぼくのビデオや楽曲をジェイソンさんのマネージャーが本人に聴かせたらいたく喜んで頂き、おめがねに叶ったという流れでした。それからジェイソンさんは定期的に自分のSNSでぼくのことを投稿して下さるようになったし、それは信じられないほど光栄な事ですよね 。

Q4: Still, Violet Eternal’s “Reload the Violet” is really great album! Can you tell us how you decided to start this band with Ivan Giannini, apart from Majustice?

【JIEN】: I was e-meet to Ivan Giannini at spring season 2023.
So we have fun to talked, especially we had a lot of common friends.
And we discussed about I supporting his upcoming solo activities, but unfortunately I can’t the found the time at that timing.
Few month later, I’ve left from my last activity with suddenly, so I needed to starting the new musical activity.
Then I contacted to Ivan about joining to the my upcoming musical activity, but he difficult to find the time for doing my things at that timing.
But I was not surrendering to got the him, because I have no choice about starting the new musical activity with other than him.
Then he asked me to send the song materials what can use for the album, and I did send the many songs and my artworks what I designed for my hobby.
After listened the whole songs, he send to me single email like a below…
“Sorry Jien, I can’t sing for your song.
Because I’ll sing the whole of your songs after that, so when we’ll be can start the recording!?”.

Q4: それにしても、Violet Eternal の “Reload the Violet” は素晴らしいアルバムですね!今回、Majustice とは別に、Ivan Giannini とこのバンドを立ち上げることになった経緯をお話ししていただけますか?

【JIEN】: イヴァン・ジャンニーニとは2023年の春頃に知り合いました。
イヴァンとは共通の知人もたくさんいたので話が盛り上がったんですね。話の流れでイヴァンのソロアルバムの制作や流通をぼくがサポートするという話が持ち上がったりもしたのですが、そのときはぼくの時間が取れずに没交渉となってしまったのです。
その後、ぼくが参加していた橘アンジュの活動から離脱する事となり新たな活動を模索し始める事となりました。
そして、再びイヴァンにコンタクトを取ってタッグを組めないか打診をしたんですが、今度は彼がめちゃくちゃ忙しく過ごしていてタイミングが合わなそうだったんですね。
しかし、ぼくはイヴァン以外と何かをやるなんて考えられなかったし、”1曲でも良いから!!あ!!ジャケ写のデザインもあるよ!!”とゴリ押しをして彼に確認を促したら、”もっと曲を聴かせてくれ” と連絡が来たんですね。
そして、アルバム相当の曲を送って暫くした頃にイヴァンから連絡があったんです。”ジエンとは1曲だけレコーディングをする事は出来ないよ…何故ならこれからジエンの曲は全て俺が歌うからだ!!さぁいつからレコーディングを始めたらいいんだ??”

Q5: What surprised me was that Dennis Ward, formerly of PINK CREAM 69, was the sound producer! Not only that, but Andrea Capperalli, Ollie Bernstein, Takao, YUHKI, Gabriel Guardian, and Timo Tolkki are also featured on the album! There have been very few Japanese metal artists like that until now, and that’s why you will pave the way and serve as a guideline for other young Japanese to follow! How did you develop this attitude of not putting up barriers, and gathering great musicians from all over the country and abroad?

【JIEN】: Always I’m worked as hard for make the dream power metal for me and every fan, so I’m effort for expanding to my human network for my musical activities.
But I’m lucky guy about human network.
Example let’s talk about how we welcomed the Michael Vescera for MAJUSTICE.
Simply Timo Tolkki was introduced me to Michael with recommended to joining the MAJUSTICE.
As for Dennis Ward who sound produced for “Reload The Violet”.
Iuri Sanson who vocalist of MAJUSTICE introduced me the Juan Corral who working for HIBRIA as manager, and I’m familiar to Juan after that.
It was someday I’ve consult to him about sound produce guy, then Juan was introduced me to Dennis with biggest his kind heart.
About the guest musicians of “Reload The Violet”.
Ollie Bernstein and Andrea Cappellari was good friends with Ivan and me, they gave us a kind answer about participating in the album.
Because that’s participate was feel like home party with friends!!
Sometimes human network made the bad trouble, but I’m so happy to enjoyed my life by the human network of mine.

Q5: おどろいたのは、あの元 PINK CREAM 69 の Dennis Ward がサウンド・プロデューサーをつとめていることですよ!それだけではなく、Andrea Capellari, Ollie Bernstein, Takao, YUHKI, Gabriel Guardian, そして Timo Tolkki といったそうそうたるメンバーがアルバムに参加しています!
今までそういった日本のメタルアーティストはほとんどいませんでしたし、だからこそ、道を切り開き、後続の指針にもなるでしょうね!そうやって、壁を作らず、国内海外問わず素晴らしいミュージシャンをどんどん集めていくあなたの姿勢は、どうやって培われたんですか?

【JIEN】: 自分も満足出来て尚且つファンの人が喜んでくれるであろう夢のような音楽を作り続ける為に人脈を広げていく努力は惜しみなくしていますが、なによりも人間関係に恵まれたという部分が大きいと思います。
例えばMAJUSTICEに参加したマイク・ヴェセーラはティモ・トルキから紹介をされた事がキッカケになりました。
“Reload The Violet” のサウンドプロデュースを手掛けたデニス・ワードは HIBRIA のマネージャーを務めるフアン・コーラルからの推薦で、そのフアンは MAJUSTICE のボーカリストを務めたユーリ・サンソンがぼくに紹介してくれたんです。
今回のアルバムに関してもオリー・バーンスタインとアンドレア・カッペラーリはイヴァンとぼくの2人と仲が良かったから友達グループの内輪ノリ感覚で参加が決まりました。
人間関係が原因でトラブルが起きる事もあるけど、なんだかんだで周りの人達に支えられているからこそぼくはこうして頑張れています。

Q6: Violet Eternal carries on the great power metal aesthetic of Stratovarius, early Symphony X, and Sonata Arctica. But you’re still in your 20s, and you didn’t experience the 90s scene. But I was surprised by your passion and knowledge of metal when we spoke. What made you fall in love with the power metal of that era and decide to carry on the aesthetic yourself?

【JIEN】: Let’s way back to my childhood, I’ve liked Crash 40’s “Live & Learn” and the song called “Can’t Beat Air Man” what famous song in niconico, so originally I’m loved music of what included the power metallic sound since I was a child.
I listened to Yngwie Malmsteen’s album calledTrilogy when I started playing guitar in junior high school, and I thought “this kind music is that I longing to to play it!!”
After that, I saw it the STRATOVARIUS at LOUD PARK 2013, that’s performance was totally changed my life.
And my mind about power metal have never changed until now.
I simply love the sound of power metal, because this type music can convey emotions so directly through melody.

Q6: Violet Eternal は、Stratovarius や初期のSymphony X、それに Sonata Arctica のような素晴らしきパワーメタルの美学を受け継いでいます。ただ、あなたはまだ20代で、90年代のシーンは経験していないはずです。
お話ししていて、あなたのメタルに対する情熱や博識ぶりに驚いたのですが、なぜ、あのころのパワーメタルにのめり込み、自らその美学を受け継ごうと思ったのですか?

【JIEN】: Crash 40 の “Live & Learn” とか、ネット上で大流行をした “エアーマンが倒せない” とか幼少期からメタルっぽい音楽が好きだったのです。
中学生になってギターを始めてすぐにイングヴェイ・マルムスティーンの “Trilogy” というアルバムを聴いて、”ぼくがやりたい音楽はこれっぽい!” と思ったし、そのあとに STRATOVARIUS のステージを LOUD PARK 2013 で観てからは今に至るまでパワーメタルに対する気持ちがブレた事はないです。
単純にパワーメタルのサウンドが好きだし、これほどストレートに感情をメロディに乗せて伝えられるジャンルも他にないと思っています。

Q7: The beauty of Violet Eternal’s power metal music is that it inherits the aesthetics of foreign power metal music, as I mentioned earlier, while at the same time producing melodies that are uniquely Japanese, such as power ranger, anime theme songs, or even J-Rock influences such as B’z! Is such a fusion of foreign and Japanese concepts one of your goals?

【JIEN】: I love a whole of Japanese popular music, example I’m fan of Japanese music legends like Kozo Murashita and Mieko Hirota.
And I loved Japanese idol music groups such as Shiritsu Ebisu Chugaku and Angerme.
I also love Namco Originals such as songs from Taiko no Tatsujin, and I’m huge fan of the Kenji Ito who writes the music for the Romancing SaGa series.
Of course I love European-style melodies, but I enjoy composing power metal songs with Japanese melodies, and that’s what gives me meaning in life.

Q7: Violet Eternal のパワーメタルが素晴らしいのは、先ほど述べたような海外のパワー・メタルの美学を受け継ぎながらも、日本らしいメロディ、例えば戦隊モノやアニメの主題歌、もっといえば B’z のような J-Rock の影響さえ醸し出しているところです!
そうした、海外と日本の融合的なコンセプトは、目標のひとつなんですか?

【JIEN】: 村下孝蔵さんや弘田三枝子さんのような歌謡界のレジェンドから、私立恵比寿中学やアンジェルムのようなアイドル音楽など幅広く日本のポピュラーミュージックを愛しています。
太鼓の達人でお馴染みのナムコオリジナルやロマンシング・サガシリーズの楽曲を手がける伊藤賢治さんの作る音楽も大好きです。
ヨーロッパっぽいメロディも大好きなのですが、ぼくは日本的なメロディで曲を作っていくのが楽しいし、その点に生き甲斐を覚えています。

Q8: “Reload the Violet” is also fascinating because of its beautiful artwork, which I understand you painted yourself? From this art, it seems you have a deep knowledge of manga, anime, and video games. What are some of your favorite works of these art?

【JIEN】: Absolutely!!
As for games, I’m big fan of Dragon Quest *maybe you know that same game with different name called Dragon warrior, especially I’m loved Dragon Warrior Monsters.
In fact, the band name MAJUSTICE itself is come from a spell in Dragon Warrior lol
For anime, I was crazy fan of Kochikame, Dragon Ball, and Yu-Gi-Oh!
Especially I was checking out almost all anime’swhat broadcasting at night time, I loved works like Isekai Shokudou and Aho Girl.
But I should talk about BanG Dream, because I even joined the fan club of Haruka Kudo who voice actress of this anime!!
At one point, I even imitated Haruka Kudo’s hair color lol
Even now, I use a name that is a play on the names of Haruka Kudo and Timo Tolkki as my Instagram name.

Q8: “Reload the Violet” はその美しいアートワークにも惹かれますが、これはあなたがご自身で描かれたそうですね?
このアートを見るに、あなたはマンガやアニメ、ゲームへの造詣も深そうですね。どういった作品が気に入っていますか?

【JIEN】: ゲームならドラゴンクエスト、それもモンスターズシリーズが大好きです。なんなら MAJUSTICE というバンド名自体がドラクエの呪文から名前を拝借しています (笑)。
アニメではこちら葛飾区亀有公園前派出所やドラゴンボール、そして遊戯王にはめちゃくちゃハマりました。一時期は深夜アニメもほぼ全てチェックしていたくらいで、異世界食堂やアホガールといった作品は思い入れが深いです。
中でも BanGDream に関しては声優の工藤晴香さんのファンクラブにも入ったくらいどハマりしましたね!一時期は髪色まで工藤晴香さんの真似をしていたくらいです (笑)。
実際に今でも Instagram では工藤晴香さんとティモ・トルキの名前を捩った名称をIDにしていますね。

Q9: With Covid, war, and division, the world has been getting darker and darker since the beginning of the 20s. For the marginalized and oppressed people, power metal fantasy seems to be a great escape, and The world needs Power metal now. Would you agree?

【JIEN】: The world has totally changed so much since I was a high school student in 2014.
However, the COVID prevented us from even meeting people close to us.
and I came to the idea such I wrote it below… “I can’t play with band, whether members live in Japan or Portugal!
But wait man… now geography has no effect, so I could form a band with Iuri Sanson living in Portugal!”
So it wasn’t that I hated the pandemic at fully actually.
If you change the way you look at things, a crisis can turn into an great opportunity I guess.
If I hadn’t left activities of before the VIOLET ETERNAL, I wouldn’t have teamed up with Ivan Giannini and released “Reload the Violet”.
And I think that the ability to turn life’s choices into great chance rather than regret is an important ability for surviving in this era.

Q9: パンデミック、戦争、分断と、20年代初頭から世界はどんどん暗くなっているように思えます。
そんな世界で社会から疎外され、抑圧された人々にとって、パワー・メタルのファンタジーはアニメやマンガと同様、現実からの素晴らしい逃避先であり、今、世界から必要とされているように思えますね?

【JIEN】: ぼくが夢見る高校生だった2014年から考えるとあまりにも世界は変わり過ぎてしまったように思います。
しかし、パンデミックによって近くにいる人達とすら会えなくなった事によって、”これじゃあ日本にいようがポルトガルにいようが誰ともバンド出来ないじゃん!…いや、待てよ…今なら地理の影響なんてないに等しいわけだからポルトガルにいるユーリ・サンソンとバンドやってもいいじゃん!” という発想にぼくは行き着いたわけで、まるっきり”パンデミック憎し”というわけではなかったです。
何事も見方を変えるとピンチはチャンスに成り変わると思います。
もしも、ぼくが橘アンジュの活動から離脱していなければイヴァン・ジャンニーニとタッグを組んで “Reload the Violet” という作品を出す事はなかったし、人生の選択を後悔じゃなくて幸福に転じさせる力こそが今の時代を生き抜く上で大切な能力なんだと思います。

SIX ALBUMS THAT CHANGED JIEN’S LIFE!!

Michael Jackson “Invincible”

マイケル・ジャクソンがぼくにとって音楽的な初期衝動を与えてくれた存在です。今でもこの作品はよく聴いていて、聴くたびに新しい発見があります。20年以上前に作られたとは全く思えないし、この作品をもし聴いたことがない方がいれば是非とも聴いて欲しいです。
“最高の楽曲を最高の音質で最高のシンガーが歌う” という方程式の重要性を思い知らされます。

Michael Jackson is the one who gave me my first musical impulses.
I still listen to this album often, and discover something new every time I listen to it this album.
It’s hard to believe that this album was made over 20 years ago!!!
So if you haven’t heard it yet, I highly recommend you do.
It makes you realize the importance of the equation “the best song sung by the best singer with the best sound production.”

Stratovarius “Infinite”

これこそがポピュラリティーを兼ね備えたパワーメタルという音楽の最高傑作だと思います。
バンドの状態も素晴らしいし、なによりもティモ・トルキという人間に於ける “狂気と冷静さ” のバランスが最も絶妙なバランスで体現された楽曲群が揃っているという点がこの作品に於いて最も重要な部分だと思います。
“Mother Gaia” や “Millennium” といった常人には考え難い楽曲がこの世に生み出されて、
黄金期のSTRATOVARIUSというバンドがそれらの楽曲を演奏して録音したという事は奇跡に近い事ですね。 

I think this is the greatest masterpiece of power metal music.
The band was great condition, and I think the most important part of this album is that it is filled with songs that perfectly embody the balance of “madness and calmness” that Timo Tolkki.
This album has a miracle songs like “Mother Gaia” and “Millennium,” which are almost people can’t write.

Kelly SIMONZ’s BLIND FAITH “BLIND FAITH”

この作品が発売された当時高校生だったぼくがリアルタイムでこのアルバムの洗礼を受けた事は後の人生に於ける行末を決定づけるキッカケになったと思います。
“N.W.O” というネオクラシカルメタルの王道を往く楽曲から始まり、キャッチーな “Burning In My Soul” に繋がる流れだけでも感動的ですが、更に “Toki-No-Kakera” という Kelly SIMONZ にしか作れない歌謡ネオクラシカルメタルに繋がるという展開は実に素晴らしく、いつも変わらぬ刺激を頂けるアルバムです。

I’m lucky guy, because this album was released at the time of when I was high school student.
In fact, I think my life is totally different if that’s album released was different timing.
The album starts with the classic neo-classicalmetal song called “N.W.O”,
and I loved the flow that leads into the catchy hard rock”Burning In My Soul”.
But “Toki-No-Kakera” what next song by the track-2, that only Kelly SIMONZ can wrote it!! So this is an album that always inspires me.

Marty Friedman “TOKYO JUKEBOX”

このアルバムこそがマーティ・フリードマンの真骨頂だと思います。
与えられた題材に対して独創性を魅せながら素材の味を活かすという物凄く高度な表現をマーティさんはアルバムを通して披露して下さいました。
痛快過ぎる衝撃をリスナーにお見舞いする “爪爪爪” から始まるアルバムには、”TSUNAMI” や “雪の華” といったマーティさんならではの歌心が込められた楽曲が沢山収録されています。
中でも “駅” に於けるギタープレイはかの名演 “Tornado of Souls” に匹敵する次元にあると断言します!

I believe this album was best work by Marty Friedman.
Throughout the album, Marty performed with his incredibly advanced expression of bringing out the best in the material while displaying his originality in the subject matter he is given.
The album begins with “Tsume Tsume Tsume,” which delivers a brutal punch to the listener.
And contains many songs filled with Marty’s emotional guitar arrangement such as “TSUNAMI” and “Yuki no Hana.”
I declare that his guitar playing in “Station *Eki” in particular is on a level comparable to that of the his masterpiece “Tornado of Souls”!!

Volcano “Violent”

“THE 速弾きバカ”だったぼくにとって屍忌蛇さんのギターを最初に聴いたときの衝撃は凄まじかったです。まるで田舎から出てきた青年が葉巻とスコッチウィスキーの味を通じて都会の渋さを叩き込まれるような感覚ですよね (笑)。
この作品を聴いた後、屍忌蛇さんとは実際に交流を持たせて頂く事となったわけですが、酩酊した屍忌蛇さんから教えられた哲学はティモ・トルキから学んだ事と同じレベルでぼくの音楽脳の礎となっています。
“速く弾いて緊張感をマックスに持ってきてから泣きに落とし込む” という術は “The Echoes of Time” のギターソロに於いてお聴き頂ける事かと思います。

I’m so surprised to listening guitar play of SHE-JA when I was listening at first time.
After listening to this work,
fortunately I had the opportunity to interact with SHE-JA himself.
And the philosophy that SHE-JA taught me is on the same level as what I learned from Timo Tolkki, and it has become the foundation of my musical mind.
I think you can see the I did same way of SHE-JA in the guitar solo of “The Echoes of Time” such as “Shredding for build up tension and then letting it drop into emotional section”

Silex “Arise”

このバンドのギタリストである Masha さんから受けた影響は計り知れないです。
“ヨーロピアンかつ日本的なフィールを持つ楽曲を外国人シンガーを含むハイレベルな面々で表現する” という Silex が実践した方法論は後に MAJUSTICE や VIOLET ETERNAL を始める上で大いなるヒントとなりました。
高校を卒業してから数年間の間は Masha さんの存在がぼくの全てだったし、”どうしたら彼のようになれるのか” と数年間毎日悩み抜いたほど強大な存在でした。
しかしMAJUSTICEを始めるにあたって、”強力な個性” がないとユーリ・サンソンや Kelly SIMONZ といった面々と張り合う事は不可能だと悟り、影響を遠ざけるべく数年間は自ら Masha さんの音楽に触れる事をストップしていました。
自分のスタイルを見出せた今では改めて聴き返す機会も多い大好きな作品です!

Masha who guitarist of this band was gave me inspired as immeasurable.
The methodology that Silex practiced, “The songs with a style of European power metal and combined Japanese feel, and these songs play by musicians what having a most skillful with including non Japanese singer”.
It was a great hint for when I started MAJUSTICE and VIOLET ETERNAL.
For a few years after graduating from high school, Masha was everything to me.
And he was such a powerful presence that I spent several years worrying every day about “how to become like him”.
But when I started MAJUSTICE. I realized that it was impossible to compete musicians the such as Iuri Sanson and Kelly SIMONZ without a “strong personality”.
So I stopped listening to Masha’s music for a few years to distance myself from his influence.
Now that I’ve found my own style fortunately, I often listen to this album again and it’s one of my favorites!

MESSAGE FOR JAPAN

I really enjoyed answering Natsume’s questions, then this interview had become quite long as you can see lol
Thank you for watching this interview!
I would be very happy if you could find even a little bit of empathy with my thought.
My latest album “Reload The Violet” will be released in other than Japan on May 3rd.
This album has contains melodic metal that embodies the mind I talked in the interview.
I’m pretty sure that anyone who has read this interview will like it! lol
If you like “Reload The Violet”, please post your review on social medias, as it will be a great encouragement.
Please keep the continue to support forVIOLET ETERNAL and Jien Takahashi!!

Sin さんの質問に答えていくのが本当に楽しくて、気がついたら随分と長いインタビューとなってしまいました (笑)。
このインタビューをご覧下さりありがとうございました!もしも、インタビューの中で少しでも共感出来る部分を見出せて頂けたならぼくは凄く嬉しく思います。
そして、4月10日(日)に日本で先行発売された “Reload The Violet” という作品にはぼくがインタビューで述べたマインドが集約されたメロディックメタルが収録されています。このインタビューを読破してくださった方なら必ず気に入って下さる事でしょう!
もし “Reload The Violet” という作品を気に入ってくれたら旧Twitterなどで感想を投稿して頂けると凄く励みになります。今後とも VIOLET ETERNAL と Jien Takahashi への応援のほどをよろしくお願いします!

JIEN TAKAHASHI

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ALBION : LAKESONGS OF ELBID】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JOE PARRISH OF ALBION !!

“I Prefer To Go Back To The Source Itself, As In The Original Folk Songs And Melodies Themselves, Rather Than The Versions Of That Sound Found In Rock Or Metal Music.”

DISC REVIEW “LAKESONGS OF ELBID”

「僕が ALBION のために書こうとしている音楽は、基本的には精巧でありながら、できれば本物のフォーク・ミュージックをモダンな楽器で演奏し、アレンジにクラシックのアプローチを取り入れたものにしたい。最近のロックやメタルによくあるバージョンではなく、オリジナルの民謡やメロディーのように、起源そのものに立ち返ることを好んでいるんだ」
ある時点で、メタルのトレンドに躍り出た欧州のフォーク・メタルが、徐々にその輝きを失っていったのは、明らかに飽和と画一化が理由でした。それもそのはず。先達のフォーク・メタルから拝借したようなフレーズを満載したフォーク・メタルは、すでに伝統音楽の色香さえ失っていたのですから。その間に、インドや中東、アフリカ、アジア、南米、南太平洋の各地で、メタルの感染力は猛威をふるい、その生命力と包容力で世界中の日常を捉えた “フォーク・ミュージック” と融合を果たしていきました。
では、欧州のフォーク・メタルは消えゆく運命にあるのでしょうか?否。あの JETHRO TULL で薫陶を受け、完全復活の立役者となったギタリスト Joe Parrish 率いる ALBION がその流れを変えつつあります。彼らの音楽は、まがいものではなく、真のフォーク・ミュージックと当時の風景、日常、神話、そしてリュートやフルートのような楽器に根ざしているのですから。
「60年代や70年代のロック・ミュージシャンの多くは、細部まで考えすぎるのではなく、直感的な情熱のようなもので、短期間に多くのこと(ライヴ、アルバム、曲)をやり遂げ、アイデアにコミットする…そんな自信のようなものを持っていたと思う。Ian と一緒に仕事をし、彼とレコーディングをしたことで、僕はただアイデアにコミットし、物事を本当にやり遂げることができるようになったんだ。準備しすぎたり、細かなことで自分を苦しめて最終的な完成を遅らせるのではなく、もう少し自分の直感を信じることができるようになった。芸術の世界では、クリエイティブで多くのアイデアを持っている人の割合が高いが、そのアイデアにコミットし、実現までやり遂げる人の割合はかなり少ないからね」
さらに、ALBION にはかつての偉大なミュージシャンに備わっていた直感力を兼ね備えています。Joe が JETHRO TULL を離れたのも、まさにそれが理由。狂気のフラミンゴこと Ian Anderson と仕事をする中で学んだ、直感のアイデアを具現化する力。そうして彼はビッグ・バンドを離脱して、アーサー王伝説とその時代をプログ・メタル、フォーク・メタルに投影するアイデアを、完成させる道を選んだのです。
「逃避という側面は極めて重要なものだ。すべての素晴らしい芸術は、何らかの形で “トランスポート” する能力を持っている。よく、つらい時や状況を乗り切るために、特定の曲や音楽のことを口にする人がいるけど、それはよくわかるよね。ある曲や作品に惚れ込んだとき、その曲や作品によって日々の感情や経験が大きく変わることがある。それがアートや音楽の “変容力” なんだ!」
そうして完成を見た “Lakesongs of Elbid” には、アートに込められた “変容力” が備わっています。JETHRO TULL に傾倒した OPETH のような、現代的なリフワークに目覚めた BLIND GUARDIAN のような、その新鮮なフォーク・メタルの息吹は、リスナーの憂鬱や喪失を抱きしめながら、その感情をポジティブに変容させ、そして歴史上のめぐるめくファンタジーへと誘います。ALBION にとっての “聖杯” とは、リスナーの心を変容させる音の葉のこと。そうして彼らは、プログレッシブでフォーキーなメタルの王位継承を目指し、邁進していくのです。
今回弊誌では、Joe Parrish にインタビューを行うことができました。「自分たちが聴きたくなるような音楽を作っているだけさ。それがアーティストとしての誠実さを保つ唯一の方法なんだ。他人をなだめたり、アピールしたり、迎合したりするようなことを始めた時点で、アーティストではない。いやまあ、アーティストなんだろうけど、不誠実極まりない人間になる。それは、作品にあらわれるよね」 どうぞ!!

ALBION “LAKESONGS OF ELBID” : 10/10

INTERVIEW WITH JOE PARRISH

Q1: First, can you tell us what kind of music you grew up listening to?

【JOE】: I grew up listening to folk collections and my mother played me classical music from a very young age. When I was about 5 or 6 I learned how to use my parents’ old record player, so I went through all the vinyl they had from the 70s when they were at university. My favourites at that age were LPs by Led Zeppelin, Deep Purple, The Beatles, Steeleye Span, Jethro Tull, Yes, Renaissance and many more.
As I got into my teens I got very much into metal music, my favourite band at the time being Iron Maiden. In fact they still are one of my favourites. I loved (some of) the progressive side of metal too, particularly the band Opeth, but all through these periods I had an affinity for traditional folk music and certain classical music.

Q1: 本誌初登場です!まずは、あなたの音楽的なバックグラウンドからお話ししていただけますか?

【JOE】: フォークのコレクションを聴いて育ち、母は幼い頃からクラシック音楽を聴かせてくれた。5歳か6歳のときに両親が持っていた古いレコード・プレーヤーの使い方を覚えたので、両親が大学に通っていたころの70年代のレコードを全部聴いたんだ。その頃のお気に入りは、LED ZEPPELIN, DEEP PURPLE, THE BEATLES, STEELEYE SPAN, JETHRO TULL, YES, RENAISSANCE などのLPだったな。
10代になるとメタルにのめり込んだ。当時好きだったバンドは IRON MAIDEN だったね。実際、今でも大好きなバンドのひとつだ。メタルのプログレッシブな側面も(一部は)好きで、特に OPETH が好きだった。ただ、すべての時期を通じて、僕は伝統的な民族音楽や特定のクラシック音楽には常に親近感を持っていたよ。

Q2: Albion is an archaic term for Great Britain, right? In other words, is there an intention in this name to connect the sounds and culture of 2000 years ago to the present?

【JOE】: Yes, absolutely right. The word is quite common, and we are aware there are many other bands with this word in their name, but none in our opinion (apart from The Albion Band) who actually do what such a name suggests musically or conceptually.
Lyrically and musically we are very much connecting with the mythology, history and folk music tradition of Great Britain (and Ireland too) in everything that we do, so despite some people saying it’s not an original name, so far no one who has that name seems to be doing this in the dedicated, purist sense that we are.

Q2: “Albion” とはグレート・ブリテン島を指す古い言葉ですよね?
つまり、ALBION というバンド名には、2000年前の英国の音や文化を現在につなげようという意図が込められているのでしょうか?

【JOE】: うん、その通りだよ。この言葉はとても一般的で、この言葉をバンド名に持つバンドが他にもたくさんあることは知っているけれど、(The Albion band を除けば)この名前が示唆する音楽的、概念的なことを実際にやっているバンドはないと僕らは思っている。
歌詞的にも音楽的にも、僕たちはイギリス、そしてアイルランドの神話、歴史、民族音楽の伝統に深く関わっているんだ。だから、オリジナルの名前ではないと言う人がいるのもわかるけど、今のところ、僕たちのような熱心で純粋な意味で、この名前をつけている人はいないようだからね。

Q3: Joe was with Jethro Tull for 4 years and was instrumental in their complete revival.
Did you leave Jethro Tull to focus all your energy on Albion? What did you learn from Sir Ian Anderson?

【JOE】: That’s nice of you to say, although I wouldn’t go that far – hah! Yes, I left Tull in order to have more time and energy to put into my own music which is of course Albion.
I think a lot of rock musicians from the 60s and 70s had this kind of confidence whereby they would just commit to ideas and get a lot done (shows, albums, songs) in a short period of time with a kind of intuitive panache rather than overthinking every detail, which I am guilty of doing. Working with Ian and recording with him helped me get better at just committing to ideas and just really getting things done and trusting your instinct a bit more rather than over-preparing and torturing yourself over minute details and then delaying the completion of the final thing.
A high percentage of people in the arts are creative and have a lot of ideas, but it’s a much smaller percentage of those people who commit to those ideas and see them all the way through to fruition.

Q3: あなたは JETHRO TULL に4年間在籍し、彼らの完全復活に貢献しました。バンドを離れたのは、ALBION に全力を注ぐためですか?Ian Anderson から学んだことはなんですか?

【JOE】: そこまで貢献したわけではないと思うけど、そう言ってくれるのはうれしいね!(笑) そう、僕は自分の音楽により多くの時間とエネルギーを注ぐためにタルを離れた。
60年代や70年代のロック・ミュージシャンの多くは、細部まで考えすぎるのではなく、直感的な情熱のようなもので、短期間に多くのこと(ライヴ、アルバム、曲)をやり遂げ、アイデアにコミットする…そんな自信のようなものを持っていたと思う。Ian と一緒に仕事をし、彼とレコーディングをしたことで、僕はただアイデアにコミットし、物事を本当にやり遂げることができるようになったんだ。準備しすぎたり、細かなことで自分を苦しめて最終的な完成を遅らせるのではなく、もう少し自分の直感を信じることができるようになった。
芸術の世界では、クリエイティブで多くのアイデアを持っている人の割合が高いが、そのアイデアにコミットし、実現までやり遂げる人の割合はかなり少ないからね。

Q4: Of course you guys are more metallic and modern, (Sometimes remind me Opeth, Blind Guardian) But with its beautiful flute tones and wonderful folky, epic tunes, Albion is clearly infused with what you have developed at Jethro Tull, would you agree?

【JOE】: Tull were an influence even before I joined the band, so their sound has had an effect on the sound of Albion, however I think a lot of people who listen to Tull and listen to rock probably only hear the flute in that context, so they associate the instrument almost exclusively with Tull.
As I said, I listen to a lot of folk and classical where you hear flute all the time, and certain types of melody that far predate rock music. The music I try to write for Albion is essentially elaborate but (hopefully) authentic folk music played on modern instruments with a classical approach to the arrangement. These days I prefer to go back to the source itself, as in the original folk songs and melodies themselves, rather than the versions of that sound found in rock or metal music.

Q4: もちろん、あなた方はよりメタリックでモダンですが(時に OPETH や BLIND GUARDIAN を思い起こさせる)、美しいフルートの音色とフォーキーで壮大な曲調を持つ ALBION の音楽には、明らかにあなたが JETHRO TULL で培ったものも注ぎ込まれていますよね?

【JOE】: タルは僕がバンドに加入する前から影響を受けていたから、もちろん ALBION のサウンドに影響を及ぼしているよ。ただ、タルを聴いてロックを聴く人の多くは、おそらくフルートという楽器をほとんどタルのものとしか連想していないのではないだろうか。
さっきも言ったように、僕はフォークやクラシックをよく聴くけど、そこにはいつもフルートがあるし、ある種のメロディーはロックよりずっと前からある。僕が ALBION のために書こうとしている音楽は、基本的には精巧でありながら、できれば本物のフォーク・ミュージックをモダンな楽器で演奏し、アレンジにクラシックのアプローチを取り入れたものにしたい。最近のロックやメタルによくあるバージョンではなく、オリジナルの民謡やメロディーのように、起源そのものに立ち返ることを好んでいるんだ。

Q5: The album also includes a tribute to the Merlin TV series? Is the story of King Arthur the backbone of “Lakesongs of Elbid”?

【JOE】: The Arthurian legend is the backbone of Albion in general. That story and cycle permeates so much of the mythology and legend from Britain to varying degrees. Even the tales that seem unrelated often have references to it or actually exist in the same mythical universe. Like all great legends it has worn different clothes throughout each era of its retelling, and yet the core meaning and atmosphere of the myth itself remains the same.
The Merlin miniseries is the one with Sam Neill from 1998, not the later TV series from 2008 which is more for children, although has some nice moments. One of my earliest memories is seeing the 1998 one around Christmas of that year when I would have been 3 years old and falling in love with the music and the story. Watching it now it has some goofy moments and questionable effects, but it is the greatest soundtrack ever written in my opinion and the overall portrayal captures the essence of the legend and all it’s nostalgia, melancholy, chivalry and romance extremely effectively.

Q5: このアルバムには、TVシリーズ “魔術師マーリン” へのオマージュも含まれていますね。”Lakesongs of Elbid” のバックボーンはアーサー王の物語しょうか?

【JOE】: アーサー王伝説は ALBION 全体のバックボーンだ。アーサー王物語とサイクルは、程度の差こそあれ、英国に伝わる神話や伝説の多くに浸透している。一見無関係に見える物語でさえ、アーサー王伝説を参照したり、実際に同じ神話の世界に存在していたりする。すべての偉大な伝説がそうであるように、この神話もまた、語り継がれる各時代を通じて異なる姿を装ってきたが、神話そのものの核心的な意味と雰囲気は変わらない。
マーリンのミニシリーズは1998年にサム・ニールが出演したもので、2008年に放映された子供向けのテレビシリーズではないよ。僕の最も古い記憶のひとつは、3歳だったはずの1998年のクリスマスの頃にマーリンを見て、その音楽とストーリーに惚れ込んだことなんだ。今観ると、ベタな場面や疑問の残る効果もあるけど、僕の中では史上最高のサウンドトラックだ。全体的な描写は、伝説の本質と、ノスタルジー、哀愁、騎士道精神、ロマンスのすべてを極めて効果的にとらえているね。

Q6: In fact, your music would make a great soundtrack to a fantastic movie or video game! For example, Elder scrolls or Lord of the Rings. Is there any particular content for which you would like to create a soundtrack?

【JOE】: I think of songs as being soundtracks in themselves really, that’s how I am guided when writing a song’s structure and what should happen next. Listening to Iron Maiden they essentially wrote mini soundtracks to films they watched, books they read, poetry etc. Actually the new Dune film came out recently and they have an excellent song that acts as a metal soundtrack to Dune called ‘To Tame a Land’.
I would love to make an album made up of songs depicting things from Tolkien’s legendarium, like character-based songs inspired by The Silmarillion, or other events predating the Lord of the Rings. I’d also like to do a more acoustic or slightly twee album that acted as a soundtrack for something like The Canterbury Tales, or Beowulf or something like that. I also toyed with the idea of doing a song to represent each piece by the artist Gustave Doré for ‘Idylls of the King’ by Tennyson.
A trilogy of albums for the three stages of the afterlife as depicted in Dante would also be very cool, and in fact also depicted in another series of works by Doré.
Something by Shakespeare could also be made very folky and fun. So many great things to represent with music – not enough hours in the day!.

Q6: 実際、あなたの音楽は素晴らしい映画やビデオゲームのサウンド・トラックになるでしょうね!例えば、エルダースクロールやロード・オブ・ザ・リング。いつかサウンド・トラックを作りたいコンテンツはありますか?

【JOE】: 僕らの曲はそれ自体がサウンド・トラックだと思っていて、曲の構成や次に起こるべきことを書くときに、物語のように導かれるんだ。IRON MAIDEN を聴いていると、彼らは基本的に自分たちが観た映画や読んだ本、詩などのミニ・サウンドトラックを書いていることに気づくだろう。実際、最近 “Dune” の新作が公開されたけど、彼らには “To Tame a Land” という “デューン” のメタル・サウンドトラックのような素晴らしい曲がある。
トールキンの伝説的な作品に登場するもの、例えば “シルマリリオン” にインスパイアされたキャラクター・ベースの曲や、”指輪物語” 以前の出来事を描いた曲で構成されたアルバムを作ってみたいね。また、”カンタベリー物語” や “ベオウルフ” のような作品のサウンドトラックのような、アコースティックでちょっと小粋なアルバムも作ってみたいな。テニスンの “王の牧歌” のために、ギュスターヴ・ドレという画家の作品ごとに曲を作るというアイデアも考えたことがあるね。
ダンテに描かれている死後の世界の3つの段階を表現した3部作のアルバムもとてもクールだし、実際、それはドレの別の作品シリーズにも描かれている。
シェイクスピアの作品も、とてもフォーキーで楽しいものになるだろう。音楽で表現できる素晴らしいものはたくさんあるんだ!

Q7: War, division, pandemic…Yet, light and hope still exist in your music. The world is full of lonely or oppressed people, and your record is a perfect proof that metal and progressive music is a place to escape from such real world, and even a place to get resilience, would you agree?

【JOE】: Yes, the escapism aspect is an extremely important one. All great art has the ability to transport in some way or other. People often mention certain songs or pieces of music as helping them through a tough time or situation, which I totally get. When you fall in love with a song or piece it can really alter your day to day feeling and experience. That’s the transformative power of art and music. Three days ago I listened to an Irish folk band from the 70s called Planxty for the first time, and they have a song that is a short medley called ‘Raggle Taggle Gypsy/Tabhair Dom Do Lamh’ where the first half is a Scottish folk song and the second half is a beautiful Irish sort of waltz, both dating from about the 17th and early 18th centuries. They do a short segue between the two pieces in the middle and it’s such a magic moment where the chords become very major and warm, like a light shining through the clouds, and then the more nostalgic, yearning Irish waltz begins. Anyway, I bring it up because it lifted my spirits almost instantly, and with lasting effect.

Q7: 戦争、分断、パンデミック…そんな暗い世界においても、あなたの音楽には光と希望が存在します。世界は孤独な人々や抑圧された人々で溢れています。あなたのアルバムは、メタルやプログレッシブ・ミュージックがそうした現実世界から逃避できる場所となり、さらには回復力を得る場所となり得ることを完璧に証明していますね?

【JOE】: そう、逃避という側面は極めて重要なものだ。すべての素晴らしい芸術は、何らかの形で “トランスポート” する能力を持っている。よく、つらい時や状況を乗り切るために、特定の曲や音楽のことを口にする人がいるけど、それはよくわかるよね。ある曲や作品に惚れ込んだとき、その曲や作品によって日々の感情や経験が大きく変わることがある。それがアートや音楽の “変容力” なんだ!
3日前、Planxty という70年代に活躍したアイルランドのフォーク・バンドを初めて聴いたんだけど、彼らには “Raggle Taggle Gypsy/Tabhair Dom Do Lamh” という短いメドレーのような曲がある。途中、2つの曲の間に短いセグエが入るのだけど、和音がとてもメジャーで暖かくなり、雲の切れ間から光が差し込むような魔法のような瞬間だ。その後、よりノスタルジックで憧れのアイルランド・ワルツが始まる。とにかく、僕がこの曲を例に取り上げたのは、この曲が僕の気分を瞬時に高揚させ、その効果が持続したからなんだ。まさに変容力だね!

Q8: Perhaps your music would be described as prog-folk or prog-metal. Many of the prog giants are old and have passed away. Meanwhile, the world is dominated by the instant culture of social networking and clippings, and few young people will bother to take the time and trouble to pursue epic and complex prog. So, What was it that drove you guys to the prog in such a situation?

【JOE】: Well we just make the music that we would want to listen to ourselves. It’s the only way to maintain integrity as an artist. As soon as you start doing things to appease others or to appeal or to pander you’re not an artist. Well you are one but you’re an insincere and disingenuous one which will always be apparent in what you’ve created. We won’t and in fact can’t make anything with complete sincerity that isn’t this type of music. It’s a very true expression of who we are and what we like.

Q8: おそらくあなたの音楽は、プログ・フォークやプログ・メタルと表現されるでしょう。プログの巨人の多くは高齢となり、他界した人も少なくありません。
一方で、世の中はSNSや切り取りのインスタント文化に支配され、わざわざ時間と手間をかけて壮大で複雑なプログを追求する若者はほとんどいません。そのような状況の中で、あなたたちをプログに駆り立てるものは何ですか?

【JOE】: 自分たちが聴きたくなるような音楽を作っているだけさ。それがアーティストとしての誠実さを保つ唯一の方法なんだ。他人をなだめたり、アピールしたり、迎合したりするようなことを始めた時点で、アーティストではない。いやまあ、アーティストなんだろうけど、不誠実極まりない人間になる。それは、作品にあらわれるよね。僕たちは、プログといわれる音楽でないものを誠実に作ることはしないし、実際できない。それは、僕たちがどういう人間で、何が好きかということを、とても忠実に表現したものだから。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED JOE’S LIFE!!

TREVOR JONES “Merlin OST (1998)”

THOMAS TALLIS “Spem in alium”

IGOR STRAVINSKY “Rite of Spring”

VAUGHAN WILLIAMS “Fantasia on a Theme by Thomas Tallis”

Traditional folk songs, airs, jigs, shanties etc. – usually a guy called anon.

MESSAGE FOR JAPAN

Yes of course, the history of feudal Japan is fascinating. I also love the films of Studio Ghibli, particularly ‘Spirited Away’. Actually I’m going to see a stage production of it in London in the summer.
I used to play the Final Fantasy games when I was younger, and the stories in particular are excellent. In terms of music I find Takemitsu really interesting.
Hello Japan! Albion hope very much to one day visit your country and play for you. Japan has been a real hot spot for rock, prog and metal over the past fifty years, and many bands who went on to become world famous often had early major fanbases in Japan, so your taste must be ahead of everyone else’s! The live albums in Japan of Deep Purple and Iron Maiden come to mind, and they are both great. Many great ‘Live at Budokan’ albums come to mind too, and hopefully we’ll make one too in the future!
Until then, enjoy the album!

日本の文化が大好きなんだ!封建時代の日本の歴史は魅力的だ。スタジオ・ジブリの映画も大好きで、特に “千と千尋の神隠し” がお気に入り。実は夏にロンドンでその舞台を観に行くんだ。
若い頃はファイナルファンタジーのゲームもよくやったし、特にストーリーは素晴らしい。音楽では、武満徹がとても面白いと思う。
ハロージャパン!ALBION は、いつか日本を訪れ、君たちのために演奏したいと強く願っているよ。日本は過去50年間、ロック、プログ、メタルにとって本当にホットなスポットで、世界的に有名になったバンドの多くは、日本で初期の主要なファンを持っていたことが多い!DEEP PURPLE や IRON MAIDEN の日本でのライブ・アルバムが思い浮かぶけど、どちらも素晴らしいね。”ライヴ・アット・武道館” の名盤もたくさんあるし、将来的には僕らも作りたいね!
それまでは、アルバムを楽しんで!

JOE PARRISH

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【FREAK KITCHEN : EVERYONE GETS BLOODY】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MATTIAS IA EKLUNDH OF FREAK KITCHEN !!

“Turn Off Your Phone. Spend Time With Your Instrument. Don’t Be Afraid To Make Mistakes. Mistakes Are Beautiful.”

DISC REVIEW “EVERYONE GETS BLOODY”

「あのころ私たちは若かったから、最高のアルバムを作ろうと必死だった。楽しくてエキサイティングな時代だったよな!いくつかの賞も受賞したと思う。マイケル・イルバートにミキシングしてもらったことで、実際よりもずっと良くなった。彼は本物のプロだ。アルバムのアートワークは、私が持っているジャケット (服) の写真なんだ。あのジャケットを箪笥から取り出して、ほこりを払って、プレゼントか何かをする必要があるね。とにかく、”Appetizer” は私にとってとても大切なアルバムで、30年前のアルバムという古さがまったく感じられないよね。それは間違いないよ」
FREAK KITCHEN がデビュー・アルバム “Appetizer” をリリースして30年。30年経った今でも、あのユニークで、チャレンジングで、ウルトラ・ヘヴィでしかしウルトラ・キャッチーな傑作はまったく色褪せることはありません。そして、その傑作の立役者 Mattias IA Eklundh その人も、30年という月日で色褪せることはありませんでした。
「Caparison Guitarsには賞賛の言葉しかないし、デザイナーの菅野至は私の長年の友人だ。あのギターはあらゆる面で素晴らしい。だからこそ、私が住んでいるところから1時間ほど離れた、ここスウェーデンのトゥルー・テンペラメントの新しい工場でギターを作る機会を与えられてから、自分のブランドを立ち上げることについて長い間頭を悩ませていたんだ。でもね、最初から最後まで全工程に携われるというのは、断るにはあまりに魅力的なオファーだった。実際に自分のブランドを持つことができる。楽器は一流だし、それを作っている素晴らしい人たちは本当に、本当にプロフェッショナル。だからとても満足しているよ」
Mattias といえばキャパリソン。キャパリソンといえば Mattias。そんな常識が浸透していたギター世界。だからこそ、突然の Mattias によるギター・ブランド Freak Guitar Lab の立ち上げは驚天動地でした。しかし、結局あくまでも最後まで “職人” である Mattias にとって、すべてをコントロールできる、全工程に携われるスウェーデンの True Temperament Factory との提携はあまりにも魅力的でした。挑戦と変化を恐れない。Mattias は、ボロボロの Ibanez を弾いていた30年前から何も変わってはいないのです。
ギターの名前はウルフ。それは愛するスウェーデンの自然を投影した名前で、もちろん長年の友人だった愛犬の名を冠したもの。今のところ、8弦と6弦のラインがあり、日本では Zanshin Musical Instrument が代理店となるそうです。大阪サウンドメッセでの久々の来日も決まっています。
「音楽はとても大切だよ。音楽がなければ気が狂ってしまう。音楽はね、生きる力と目的を与えてくれるんだ。正気を保ち、インスピレーションを与えてくれる。世界が狂っているとき、音楽は最高だよ。身を守る盾になる。音楽の力を過小評価してはいけない。そして…そう、このアートワークとタイトルはまさに今日私たちがいる場所を反映している。私はね、両極化、終わりのない対立、プロパガンダ、嘘をつかれることにとても疲れているんだ。そんな世界で、音楽だけは私の魂を浄化してくれる」
そして、”Appetizer” 30年の年に、Mattias は前だけ見据えて新たなプレゼントを用意してくれていました。アルバム “Everyone Gets Bloody”。5月に発売される新作は、これまでとは少し異なる様相。争いや分断、暴力が蔓延る暗い世界に疲れ果てた Mattias は、ついに直接的にこの世界の異様さを音の中に込めました。もちろん、新たな挑戦はそれだけではありません。9弦という超低音域をオクターブ下でハモらせるという、常人には理解し難い試みもその一つ。デビュー30周年に新たなギターと新たな作品、新たなチャレンジで攻め続ける Mattias IA Eklundh と FREAK KITCHEN。来日とアルバムを楽しみに待ちましょう!
今回弊誌では、Mattias IA Eklundh にインタビューを行うことができました。「作曲や練習をするときはインターネットを避けること。気が滅入ってしまうからね。スマホの電源を切るべきなんだよ。ただ楽器と向き合ってね。そして何よりミスを恐れないで。音楽において間違いは美しいものだから。演奏を通して自分が何者であるかを知り、自分自身のアイデンティティを見つけるのは難しい。だからこそ、外部からのインプットが少なければ少ないほど、自分自身のもの、ユニークなものを作り上げることができると思うよ」 3度目の登場! どうぞ!!

FREAK KITCHEN “EVERYONE GETS BLOODY” : 10/10

INTERVIEW WITH MATTIAS IA EKLUNDH

Q1: You are coming to Japan for the first time in a really long time at the Osaka Sound Messe! What are you looking forward to in Japan?

【MATTIAS】: Needless to say, I am really longing for Japan and my Japanese friends. It’s been too long and I am tremendously happy to be back. Ever since my first visit in 1996 Japan has been amazing to me in every possible way. Love you guys.

Q1: 大阪サウンドメッセで久しぶりの来日ですね!まず、久しぶりの日本で楽しみにしていることは何ですか?

【MATTIAS】: 言うまでもなく、日本と日本の友人たちがとても待ち遠しいよ!あまりに久しぶりで、戻ってくることができるだけで本当にうれしいんだよ。1996年に初めて日本を訪れて以来、日本は私にとってあらゆる面で素晴らしい国だった。みんな愛してるよ。

Q2: Mattias had been so pervasively associated with Caparison’s Apple Horn that it was a surprise to see you change guitars. This visit to Japan is also a promotion for your own brand, Freak Guitar Lab, and its Japanese distributor. Why did you decide to launch your own guitar brand?

【MATTIAS】: I have nothing but praise for Caparison Guitars and designer Itaru Kanno is my longtime friend. The guitars are simply fantastic in every way. This has been a long period of racking my brain since I was given the opportunity to start my own brand and make guitars here in Sweden, about an hour from where I live, at the new True Temperament factory. It was too intriguing to turn down, to be part of the entire process from start to finish. To actually have a brand of my own. The instruments are top notch and the fine folks that are building them are really, really professional. I am very happy.

Q2: マティアスといえばキャパリソンのアップルホーンというイメージが浸透していたので、愛機を変えるとは驚きでした。今回の来日は、あなた自身のブランド、Freak Guitar Labとその日本代理店のプロモーションでもあります。なぜご自身のギターブランドを立ち上げようと思われたのですか?

【MATTIAS】: Caparison Guitarsには賞賛の言葉しかないし、デザイナーの菅野至は私の長年の友人だ。あのギターはあらゆる面で素晴らしい。
だからこそ、私が住んでいるところから1時間ほど離れた、ここスウェーデンのトゥルー・テンペラメントの新しい工場でギターを作る機会を与えられてから、自分のブランドを立ち上げることについて長い間頭を悩ませていたんだ。でもね、最初から最後まで全工程に携われるというのは、断るにはあまりに魅力的なオファーだった。実際に自分のブランドを持つことができる。楽器は一流だし、それを作っている素晴らしい人たちは本当に、本当にプロフェッショナル。だからとても満足しているよ。

Q3: I understand that the name of the guitar Ulv comes from the Old Norse word Ulfr? It is well known that you are very protective of nature and animals, especially dogs, but this name also shows that you love Swedish nature very much, doesn’t it?

【MATTIAS】: Yes, very much so. As I am typing this I am lying in our coach in the living room in front of the fireplace with an 80 kilo dog next to me and outside there is an owl going nuts in a tree. Ulf was also a dear friend of mine that passed away last year who was very involved in the startup of Freak Guitar Lab so it’s an homage to him as well.

Q3: “Ulv” というギターの名前は、古ノルド語の Ulfr から来ているそうですね?あなたが自然や動物、特に犬をとても大切にしていることはよく知られていますが、この名前もあなたがスウェーデンの自然をとても愛していることを示していますね?

【MATTIAS】: そう、とてもね。これを書いている今、私はリビングルームのコーチで暖炉の前に寝そべっていて、隣には80キロの犬がいる。外ではフクロウが狂ったように木の上で鳴いている。ウルフは昨年亡くなった私の大切な友人でもあり、フリーク・ギター・ラボの立ち上げに深く関わってくれたので、この名前は彼へのオマージュでもあるんだよ。

Q4: This year marks the 30th anniversary of Freak Kitchen’s debut album “Appetizer! Congratulations! I’m sure many of you, myself included, have had your lives changed by that album.
It is a one-of-a-kind piece of music that combines Pantera-like heavy riffs, catchy melodies, and your unique and technical guitar playing. Looking back now, what does that album mean to you?

【MATTIAS】: Oh gee, thank you for reminding me about this. I am constantly moving forward and do not look back so much so I would have missed this anniversary for sure. Need to start looking into making a vinyl of Appetizer.
We were working hard to make it the best possible album we could, young as we were. It was fun and exciting times! I think it even won some awards. Having Michael Illbert mixing it made so much better than it actually is. A real pro.
The album cover is a photograph of a jacket I have. Need to bring it out and dust it off and maybe do a giveaway or something. Appetizer means a lot to me and doesn’t feel like 30 years ago at all, I must admit.

Q4: 今年は FREAK KITCHEN のデビュー・アルバム “Appetizer” の30周年にあたりますね。おめでとうございます!私も含め、あのアルバムで人生が変わった人は多いはずです。
PANTERA のようなヘヴィなリフ、キャッチーなメロディ、そしてあなたのユニークでテクニカルなギター・プレイが融合した唯一無二の音楽です。今振り返ってみて、あなたにとってあのアルバムはどんな意味を持っていますか?

【MATTIAS】: おっと、思い出させてくれてありがとう。私は常に前に進んでいて、過去をあまり振り返らないから、君に言われなければこの記念日は確実に見逃していただろう。”Appetizer” のヴァイナルを作ることを検討し始めなければならないね!
あのころ私たちは若かったから、最高のアルバムを作ろうと必死だった。楽しくてエキサイティングな時代だったよな!いくつかの賞も受賞したと思う。マイケル・イルバートにミキシングしてもらったことで、実際よりもずっと良くなった。彼は本物のプロだ。
アルバムのアートワークは、私が持っているジャケット (服) の写真なんだ。あのジャケットを箪笥から取り出して、ほこりを払って、プレゼントか何かをする必要があるね。とにかく、”Appetizer” は私にとってとても大切なアルバムで、30年前のアルバムという古さがまったく感じられないよね。それは間違いないよ。

Q5: In that era, heavy groove metal like Pantera and grunge were at their peak. Did these musical trends influence “Appetizer” in any way?

【MATTIAS】: I honestly don’t know. When I write music I never plan anything. What happens happens, so to speak. Subconsciously I may have picked up stuff like everybody else and channeled it through the songs. Basically I merely wanted to make it as good as I could together with Joakim and Christian, the drummer and bass player at the time.

Q5: あの時代は、PANTERA のようなヘヴィなグルーヴ・メタルやグランジが全盛でした。そうしたトレンドは “Appetizer” に何らかの影響を与えたのでしょうか?

【MATTIAS】: 正直、わからない。私は音楽を書くとき、何も計画をしないんだ。いわば、起こったことが起こる。ただ無意識のうちに、他の人たちと同じようにいろいろなものを拾ってきて、それを曲の中に取り入れたのかもしれない。基本的には、Joakim と Christian (当時のドラマーとベーシスト)と一緒に、できる限りいいものを作りたかっただけなんだ。

Q6: In the first place, there was a relationship between the band name Freak Kitchen and the album title “Appetizer”, wasn’t there?

【MATTIAS】: Sure, we wanted to tell the world this was only the beginning, an appetizer. I often think to myself that Freak Kitchen is quite a bad name, with the letter K next to another, making it slightly impossible to say, but… You do what you do and then move on, I guess.

Q6: そもそも FREAK KITCHEN というバンド名とアルバム・タイトルの “Appetizer” には関連が感じられますが、あの一枚だけですよね?

【MATTIAS】: そうなんだ。これは始まりに過ぎない、私たちにとって “前菜” だと世界に伝えたかった。FREAK KITCHEN という名前は、Kが隣り合って連続していて、ちょっと言いにくい名前だと自分でもよく思うのだけど…。でも…やることをやって、次に進もう。

Q7: Times have changed dramatically since then. Today, it is really easy to study guitar and music, for better or worse, through social networking, streaming, and video sites. Conversely, it is said that the world is too instant and it is harder to create truly unique players like you. Do you have any advice for young guitarists living in such an era?

【MATTIAS】: Avoid the internet when you compose or practise. It can be disheartening. Turn off your phone. Spend time with your instrument. Don’t be afraid to make mistakes. Mistakes are beautiful. It’s hard to find out who you are through your playing and to find an identity of your own. The less outside input you have, the better off you are creating something of your own, something unique.

Q7: あれから時代は大きく変わった。SNSやストリーミング、動画サイトなど、良くも悪くもギターや音楽の勉強が本当に簡単にできるようになった現代。逆に世の中がインスタントすぎて、あなたのような本当に個性的なプレイヤーが生まれにくくなっているとも言われています。そんな時代に生きる若いギタリストに何かアドバイスはありますか?

【MATTIAS】: 作曲や練習をするときはインターネットを避けること。気が滅入ってしまうからね。スマホの電源を切るべきなんだよ。ただ楽器と向き合ってね。そして何よりミスを恐れないで。音楽において間違いは美しいものだから。
演奏を通して自分が何者であるかを知り、自分自身のアイデンティティを見つけるのは難しい。だからこそ、外部からのインプットが少なければ少ないほど、自分自身のもの、ユニークなものを作り上げることができると思うよ。

Q8: The new song “Everyone Gets Bloody” is also great! The artwork and title seem to represent the world today, a world stained with anger and blood due to wars, divisions, and pandemics. What can music do in such a dark world?

【MATTIAS】: Music is so important. I would go crazy without it. It gives me strength and purpose in life. It keeps me sane and inspired. When the world is going nuts, music is the best. A protective shield. Never underestimate the power of music… and yes, the artwork reflects where we are today. I am so tired of polarization, of endless conflicts, propaganda and of being lied to. Music cleanses my soul.

Q8: 新曲 “Everyone Gets Bloody” も素晴らしいですね!アートワークとタイトルは、戦争、分断、パンデミックによって怒りと血に染まった今の世界を象徴しているように思えます。こうした暗い世界で音楽ができることは何でしょうか?

【MATTIAS】: 音楽はとても大切だよ。音楽がなければ気が狂ってしまう。音楽はね、生きる力と目的を与えてくれるんだ。正気を保ち、インスピレーションを与えてくれる。世界が狂っているとき、音楽は最高だよ。身を守る盾になる。音楽の力を過小評価してはいけない。
そして…そう、このアートワークとタイトルはまさに今日私たちがいる場所を反映している。私はね、両極化、終わりのない対立、プロパガンダ、嘘をつかれることにとても疲れているんだ。そんな世界で、音楽だけは私の魂を浄化してくれる。

Q9: You have created a variety of unique playing techniques such as the horse clip, remote control, and dildo. Is a 9-string guitar a new challenge for you this time? Why do you need such a low register for you?

【MATTIAS】: I’d say I play 8-string about 99% of the time but every once in awhile I love overdubbing with the 9-string an octave below. I use the Helix by Line6 and this lovely device makes it possible to go really low and have a super steady sound, something that is virtually impossible with a tube amp (as much I love them too).

Q9: あなたはホースクリップ、リモコン、ディルドーなど様々にユニークな奏法を生み出してきました。今回は9弦ギターが新たな挑戦でしょうか?なぜあなたにはこのような超低音域が必要なのですか?

【MATTIAS】: まあ、99%くらいは8弦を弾いているけど、たまに1オクターブ下の9弦でオーバーダビングするのが好きなんだ。Line6 の Helix を使っているんだけど、この素敵なデバイスのおかげで、真空管アンプでは事実上不可能な、超低音で安定したサウンドを出すことができるんだ。とはいえ、真空管アンプも大好きだけどね。

MESSAGE FOR JAPAN

Can’t wait to hook up again! Thanks to my friends and partners at Zanshin Musical Instrument (PVP Inc.) who will distribute Freak Guitar Lab instruments you will see a lot more of me in Japan in the future. Take heed, the Viking is back, haha!

また日本でフックアップするのが待ちきれないよ!私の友人であり、Freak Guitar Lab の楽器を販売してくれる Zanshin Musical Instrument (PVP Inc.) のパートナーのおかげで、今後日本で私の姿をたくさん見ることができるだろうね。気をつけろ、バイキングが帰ってきたぞ!

MATTIAS IA EKLUNDH

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【HEMLYN : WARS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH AL JAZIRI OF HEMLYN !!

“Ultimately, The Future Of Metal In Africa Depends On Nurturing Local Talent, Improving Infrastructure, And Fostering a Supportive Environment For Metal Enthusiasts, And Fusing The Genres.”

DISC REVIEW “WARS”

「アフリカにおけるメタルの未来は、地元の才能を育て、インフラを改善し、メタル愛好家を支援する環境を育み、ジャンルを融合させることにかかっている。僕は、メタルは現地の音楽のルーツを借りてこそ受け入れられるものだと心から信じている…つまり、フュージョンが鍵なんだ。そして決意と投資をしさえすれば、アフリカは多様性を謳歌し、このジャンルの世界的景観に貢献する活気あるメタル・コミュニティを育成する可能性を秘めているんだ」
メタルの生命力、感染力、包容力は、文化や人種、国、大陸、宗教、性別の壁をのりこえて、今や世界各地で芽吹いています。それでも、アフリカへ到達し、その場所で花開くためにはおそらく、世界のどの場所よりも時間が必要でした。それはまず、貧困や治安の悪化からくるインフラの不足、機材の不足。そして何より、現地のルーツとかけ離れた音楽性もその理由でしょう。
「HEMLYN の創作過程では、地元のパーカッションと僕たちの青春時代のギター・ヒーロー、両方の世界の要素を融合させている。僕たちの音楽はロックとスフィの要素を融合させたもので、だからこそチュニジアの文化遺産と音楽の旅を反映したユニークなサウンドを作り出せたんだ」
チュニジアの神秘的な音楽集団 HEMLYN のリーダー Al Jaziri は、アフリカにおけるメタルの未来を見据えて、自身のルーツである SYSTEM OF A DOWN のようなグルーヴ・ギターと、自らの血である北アフリカのパーカッションや旋律を見事に融合させました。あまりにユニークでエキゾチック、アフリカとメタルがシームレスにつながったその音楽は、砂漠に浮かぶ蜃気楼、シティ・ブ・サイドのように驚きと感嘆、現実からの逃避場所をリスナーに届けるのです。
「僕にとって、日本のアニメやビデオゲーム、そしてヘヴィ・メタルは、とどまるところを知らない想像力と、日常生活の制限を超越することができる幻想的な世界を提供してくれる。スーパーマンや悟空のように空を飛んだり、宇宙を股にかけた壮大な冒険に乗り出したり、不正義に立ち向かったりすることを夢見たり。こうした芸術形態は、現実の苦難に必要な休息を与えてくれる」
HEMLYN の音楽が、現実からの逃避場所となり得たのは、Ali がメタルと同じくらい、日本の文化を愛していたからでした。地中海に面した美しい国チュニジアにしても、やはり貧困や病気、抑圧に暴力といったアフリカの苦難は存在します。新曲 “Mafia 52” も、革命後の政府の抑圧、自由の搾取に対するプロテスト・ソング。そんな日常で Al の心が休まる時間が、メタルと日本のゲームやアニメだったのです。
「マンガもメタルも、従来の常識に挑戦し、より明るく希望に満ちた未来を垣間見せてくれるオルタナティブな視点を表現しているんだ。そうした文化は、人間の精神の回復力と、現実の枠を超越する創造性の力を体現し、疎外され、抑圧されていると感じている人々に慰めとインスピレーションを与えてくれるのさ」
HEMLYN の音楽は情景音写と感情豊かなリリックで、リスナーを音の旅へと誘います。パワフルなギター・リフ、プリミティブなリズム、魂を揺さぶるヴォーカルで、リスナーの心を非日常へと連れ出すのです。そう、アニメもマンガもゲームもメタルも、現実のくだらない常識や慣習を打ち破り、抑圧から解放された未来をもたらす希望のアート。そして、HEMLYN ほどそのアートを世界にもたらすに適したバンドは他にいないはずです。
今回弊誌では、Al Jaziri にインタビューを行うことができました。「アニメ、ゲーム、音楽を含む日本文化は、常に僕を魅了してきた。思いやり、寛大さ、友情、忍耐力、ユーモアなど、人生の貴重な教訓を教えてくれたんだ。ゼルダやソニック、マリオやストリートファイターなどの日本のビデオゲームのサウンドトラックは、僕の作曲へのアプローチに影響を与え、永続的な影響を残した…菊池俊輔の作曲は、何十年もの間、僕の中で共鳴し続けた。いつもメタルを聴きながらマンガを読んでいたのを覚えているよ。だからこそ今、僕の中でノリタカのようなマンガは、STRATOVARIUS のようなバンドと永遠に結びついているんだ」 どうぞ!!

HEMLYN “WARS” : 10/10

INTERVIEW WITH AL JAZIRI

Q1: When I think of metal and rock in Tunisia, I first think of MYRATH. Is metal/rock music actually popular in Tunisia? Are you influenced by them?

【AL】: MYRATH is indeed one of the most respected metal bands that originated from Tunisia. Even though metal music faced challenges after the revolution of 2011, it was quite popular, loved by many Tunisians. Metal concerts, including bands like Dark Tranquility, were well-received. After a decade of absence, metal is making a comeback in Tunisia, and I personally aim to promote this genre further. While MYRATH are friends of HEMLYN, our styles differ significantly, and we don’t consider ourselves directly influenced by them. However, we may share common influences in rock music. Personally, my music is influenced by Soufi music, Californian metal, and English rock music. Since I was five years old, I was roaming in my father’s soufi and pop mega shows (Hadhra – Nouba, etc.

Q1: チュニジアのメタルやロックといえば、まず MYRATH を思い浮かべる人が多いかもしれませんね。チュニジアではメタルやロックはポピュラーなのでしょうか?MYRATH からは影響を受けていますか?

【AL】: MYRATH は、チュニジアから生まれた最も尊敬されるメタル・バンドのひとつだよ。2011年の革命後、メタル・ミュージックは困難に直面したんだけど、それでもメタルは多くのチュニジア人に愛され、かなり人気があった。DARK TRANQUILLITY のようなバンドを含むメタルのコンサートは好評だったしね。
10年の後、チュニジアではメタルがカムバックしつつあり、僕は個人的にこのジャンルをさらに促進することを目指しているんだ。MYRATH は HEMLYN の友人だけど、僕たちのスタイルは大きく異なり、彼らから直接影響を受けたとは考えていないよ。ただ、ロック・ミュージックにおいては共通の影響を受けているかもしれない。個人的には、僕の音楽はスフィー・ミュージック、カリフォルニアのメタル、イギリスのロックに影響を受けている。5歳の頃から、父のスフィやポップ・メガ・ショー(Hadhra – Noubaなど)の中を聴き歩いていたからね。

Q2: I think you differ from MYRATH and ORPHANED LAND in that you are more primitive and based on traditional North African music, whereas they are more oriental in melody. These differences give you a great personality, would you agree?

【AL】: The traditional North African, specifically Tunisian, popular music is in my blood, having been born into it. I grew up on stage, and learned the job alongside great artists. Hemlyn’s creation process blends elements from both worlds, to local percussion and the guitar heroes of my/ our youth. Our music is a fusion of rock and Soufi elements, creating a unique sound that reflects our cultural heritage and musical journey. After two years of Covid, we composed a total of 21 tracks divided into two parts. “Mafia 52” being the second song released from Part 1 of the “WARS” album.

Q2: MYRATH や ORPHANED LAND とあなたたちの違いは、彼らがよりオリエンタルなメロディーを主軸としているのに対して、あなたたちはよりプリミティブで伝統的な北アフリカの音楽をベースにしている点だと思います。この違いが HEMLYN に素晴らしい個性を与えていますね?

【AL】: 北アフリカ、特にチュニジアの伝統的なポピュラー音楽は、生まれながらにして僕の血の中に流れている。僕はステージで育ち、偉大なアーティストたちとともに仕事を学んだ。
HEMLYN の創作過程では、地元のパーカッションと僕たちの青春時代のギター・ヒーロー、両方の世界の要素を融合させている。僕たちの音楽はロックとスフィの要素を融合させたもので、だからこそチュニジアの文化遺産と音楽の旅を反映したユニークなサウンドを作り出せたんだ。
パンデミックの2年間を経て、僕たちは2つのパートに分かれた全21曲を作曲した。”Mafia 52 ” は、アルバム “WARS” のパート1からリリースされた2曲目にあたる。

Q3: How did Hemlyn start and where did the name Hemlyn come from?

【AL】: In 2013, when I came back from from Los Angeles where I studied music, I realized that I needed to form a band that had a very distinct signature. We know already that the world is full of awesome musicians, so instead of imitating existing styles, I wanted to create something authentic and unique through the fusion process, very much like fusing ingredients into a new recipe to create a new dish. After recruiting talented musicians in my city and brainstorming band names, I came up with the name, and HEMLYN was born. The name reflects our journey as music wanderers, seeking our own path beyond conventional norms, HEMLYN could be translated to RONIN in Japanese.

Q3: HEMLYN はどのように始まり、その名前はどこから来たのでしょう?

【AL】: 2013年、音楽の勉強をしていたロサンゼルスから戻ってきたとき、とても特徴的なバンドを結成する必要があると気づいたんだ。世界中に素晴らしいミュージシャンがたくさんいることはもう知っているから、既存のスタイルを真似するのではなく、フュージョンのプロセスを通して、何か本物のユニークなものを作りたかった。
そうして僕の住む街で才能あるミュージシャンを募り、バンド名をブレインストーミングした結果、HEMLYN が誕生した。この名前は、音楽の放浪者としての僕たちの旅を反映している。だから、HEMLYN は日本語に訳すと “浪人” なんだよ。

Q4: Seplutura’s “Roots” was a record that changed the world of metal, bringing third world traditions, vitality and diversity to a predominantly western metal scene. Were you influenced by them and the Nu-metal movement?

【AL】: While many people make comparisons to Sepultura, personally, I wasn’t influenced by them. My primary fusion inspiration comes from System Of A Down. Their socially and politically engaged music resonated with me deeply. Combining Armenian melodies and rhythms with powerful riffs, and Serj Tankian’s powerful vocals left a lasting impression on me as a singer and songwriter. System Of A Down’s music remains relevant even today, almost two decades later….

Q4: SEPLUTURA の “Roots” はメタル世界を変えたレコードで、西洋のメタル・シーンに第三世界の伝統、活力、多様性をもたらしました。彼らの哲学や Nu-metal のムーブメントに影響を受けましたか?

【AL】: 多くの人が僕らと SEPLUTURA を比較しているけど、個人的には彼らから影響を受けたわけではないんだよ。僕のフュージョンのインスピレーションの源は、SYSTEM OF A DOWN だ。彼らの社会的、政治的に関与した音楽は、僕の心に深く響いた。アルメニア語のメロディーとリズムにパワフルなリフを組み合わせ、Serji Tankian のパワフルなボーカルは、シンガー・ソングライターとしての僕に強烈な印象を残したね。SOAD の音楽は、20年近く経った今日でも僕らと大きな関連性があるんだ…。

Q5: In recent years, metal bands that incorporate traditional music, such as Bloodywood, have given the impression that they are rebelling against the power and government of their country with their music.” The title “Mafia 52” is a strong title, what is the theme or meaning behind it?

【AL】: “Mafia 52” is a commentary on Law 52 in Tunisia, which imposes severe restrictions on personal freedoms, particularly regarding drug offenses. The song critiques the abuse of power enabled by such laws, symbolized by the title “Mafia 52.” It reflects a rebellion against oppressive legal frameworks and the authorities enforcing them. Themes of resistance, defiance, and the pursuit of freedom resonate strongly with the context of Law 52 in Tunisia, highlighting broader societal issues through the lens of metal music. The upcoming album “WARS” is in fact a collection of critiques about everything that is wrong with society, and each song is a battle against any form of injustice or struggle.

Q5: 近年、BLOODYWOOD のような伝統音楽を取り入れたメタル・バンドは、その音楽で自国の権力や政府に反抗することが多いように思えます。”Mafia 52″ という強烈なタイトルには、どんな意味が込められていますか?

【AL】: “Mafia 52″ はチュニジアの法律52号に対するコメントで、個人の自由、特に麻薬犯罪に関して厳しい制限を課している。この曲は、”マフィア52” というタイトルに象徴されるように、このような法律が可能にする権力の乱用を批判している。抑圧的な法的枠組みとそれを執行する当局への反抗を反映しているんだよ。
抵抗、反抗、自由の追求というテーマは、チュニジアの法律52号の背景と強く共鳴し、メタル音楽のレンズを通してより広い社会問題を浮き彫りにしている。今度のアルバム “WARS” は、実際、社会のあらゆる問題についての批評集であり、それぞれの曲は、あらゆる形の不正や闘争に対する “戦い” なんだ。

Q6: I was surprised to know that you love Japanese culture, anime, games and music, including Akira Toriyama. What works of art do you particularly enjoy? Do you draw inspiration from them?

【AL】: Ah now we are talking!
I am a fan of the 80’s / 90’s manga era. From Gunnm to GTO, Noritaka to Ruroni Kenshin, ARMS, Yuyu Hakusho & Hunter X Hunter , Bleach, Ranma 1/2, Death Note and of course Dragon ball Z.. Japanese culture, including anime, games, and music, has always fascinated me. It taught me valuable life lessons about compassion, generosity, friendship, perseverance, and humor. Japanese video game soundtracks, such as those from Zelda and Sonic, Mario and Street fighter have left a lasting impact on me, influencing my approach to music composition… the compositions of Shunsuke Kikuchi resonated in me for decades. And I remember always having metal music in my ears when I was reading mangas, and now mangas such as Noritaka are bound forever with bands like like Stratovarius.

Q6: あなたが鳥山明をはじめ、日本の文化、アニメ、ゲーム、音楽が好きだと知って驚きました。特に好きな作品は何ですか?また、日本の文化からインスピレーションを受けることはありますか?

【AL】: 話が盛り上がってきたね!僕は80年代、90年代の漫画のファンなんだ!ガンダムからGTO、破壊王ノリタカ!、るろうに剣心、ARMS、幽遊白書、ハンターXハンター、BLEACH、らんま1/2、デスノート、そしてもちろんドラゴンボールZまでね。
アニメ、ゲーム、音楽を含む日本文化は、常に僕を魅了してきた。思いやり、寛大さ、友情、忍耐力、ユーモアなど、人生の貴重な教訓を教えてくれたんだ。ゼルダやソニック、マリオやストリートファイターなどの日本のビデオゲームのサウンドトラックは、僕の作曲へのアプローチに影響を与え、永続的な影響を残した…菊池俊輔の作曲は、何十年もの間、僕の中で共鳴し続けた。いつもメタルを聴きながらマンガを読んでいたのを覚えているよ。だからこそ今、僕の中でノリタカのようなマンガは、STRATOVARIUS のようなバンドと永遠に結びついているんだ。

Q7: The world has changed dramatically in 2020’s with pandemics, divisions, and wars. The world is full of lonely or oppressed people, Both of the fantasy of Japanese anime and video games and heavy metal are perfect escapes and recoveries from such dark realities. Is that part of what made you fall in love with both?

【AL】: The world is indeed in a state of constant flux, marked by pandemics, divisions, and conflicts that leave many people feeling lonely or oppressed. Throughout history, this struggle between the powerful and the marginalized has persisted, and art has always played a cathartic role and offering emotional comfort in the face of adversity.
For me, Japanese anime and video games, as well as heavy metal, offer fantastical realms where imagination knows no bounds and where one can transcend the limitations of everyday life. Whether it’s dreaming of flying like Superman or Goku, embarking on epic adventures across the universe, or standing up against injustice, these art forms provide a much-needed respite from the struggles of reality.
In my journey, Michael Jackson’s visit to Tunisia in ’98 left a profound impact on me. Sharing the stage with him ignited a passion within me to pursue music as a career. His music, along with the world of mangas, shaped my worldview as a ’90s kid. Additionally, bands like Metallica, Marilyn Manson, Korn, Muse, and System of a Down became pillars of inspiration for me. Their music served as a beacon of hope, reminding me that I am not alone in navigating the challenges of this oppressive world.
In essence, both mangas and metal represent alternative perspectives that challenge conventional norms and offer glimpses of a brighter, more hopeful future. They embody the resilience of the human spirit and the power of creativity to transcend the confines of reality, providing comfort and inspiration to those who feel marginalized or oppressed.

Q7: パンデミック、分断、戦争など、2020年代の世界は劇的に変化しました。世界は孤独や抑圧された人々で溢れ、日本のアニメやビデオゲーム、そしてヘヴィ・メタルのファンタジーは、そうした暗い現実からの逃避や回復に最適だと感じます。あなたがその両方を好きになったのは、そうした理由もあるのでしょうか?

【AL】: パンデミックや分断、紛争によって、多くの人々が孤独や抑圧を感じている。歴史を通じて、権力者と疎外された人々との間のこの闘争は続いてきた。そして芸術は常に、逆境に直面したときに感情的な安らぎを与え、カタルシスをもたらす役割を果たしてきたんだ。
僕にとって、日本のアニメやビデオゲーム、そしてヘヴィ・メタルは、とどまるところを知らない想像力と、日常生活の制限を超越することができる幻想的な世界を提供してくれる。スーパーマンや悟空のように空を飛んだり、宇宙を股にかけた壮大な冒険に乗り出したり、不正義に立ち向かったりすることを夢見たり。こうした芸術形態は、現実の苦難に必要な休息を与えてくれる。
僕の旅では、98年のマイケル・ジャクソンのチュニジア訪問が大きな衝撃を残したんだ。彼とステージを共にしたことで、音楽を職業にしたいという情熱に火がついた。彼の音楽は、マンガの世界とともに、90年代の子供だった僕の世界観を形作った。さらに、METALLICA, Marilyn Manson, KORN, MUSE, SYSTEM OF A DOWN といったバンドは、僕にとってインスピレーションの柱となった。彼らの音楽は希望の光となり、この抑圧的な世界の困難を乗り越えようとしているのは自分ひとりではないことを思い出させてくれた。
要するに、マンガもメタルも、従来の常識に挑戦し、より明るく希望に満ちた未来を垣間見せてくれるオルタナティブな視点を表現しているんだ。そうした文化は、人間の精神の回復力と、現実の枠を超越する創造性の力を体現し、疎外され、抑圧されていると感じている人々に慰めとインスピレーションを与えてくれるのさ。

Q8: I believe that metal has the power to transcend religious, racial, gender, and cultural barriers. Still, it took a long time for metal to flourish in Africa. Do you think metal will gain more vitality in Africa in the future?

【AL】: Honestly, it’s going to depend on people. The flourishing of metal in Africa hinges largely on the support and promotion of local emerging bands. Historically, metal has been predominantly associated with Western civilizations, with notable contributions from England and the United States.
In contrast, Africa has faced challenges in establishing a thriving metal scene, largely due to infrastructural limitations and a lack of support for local artists. Unlike genres like blues and rap, which have deep roots in African culture, metal has taken longer to gain traction. Nevertheless, there is potential for growth and vitality in the African metal scene with concerted efforts to support emerging talent and improve infrastructure. However, I truly believe that Metal music can only be accepted if it borrows the roots of the local music… Fusion is the key.
Japan serves as a prime example of how dedication to promoting metal bands can lead to international success. With a robust metal scene and effective promotion strategies, Japanese bands have gained recognition on the global stage. However, in the third world, where production quality may be limited and infrastructure lacking, the path to prosperity is more challenging.
Ultimately, the future of metal in Africa depends on nurturing local talent, improving infrastructure, and fostering a supportive environment for metal enthusiasts, and fusing the genres. With determination and investment, Africa has the potential to cultivate a vibrant metal community that celebrates diversity and contributes to the genre’s global landscape.

Q8: メタルには宗教、人種、性別、文化の壁を超える力があると信じています。それでも、アフリカでメタルが花開くには長い時間がかかりました。今後、アフリカでメタルはもっと活性化すると思いますか?

【AL】: 正直なところ、それは人によるだろう。アフリカにおけるメタルの繁栄は、地元の新興バンドのサポートとプロモーションに大きく依存している。歴史的に、メタルは主に西洋文明と結びついていて、イギリスやアメリカの貢献が顕著だ。これとは対照的に、アフリカではメタル・シーンの繁栄が困難で、その主な原因はインフラ面での制約と地元アーティストへの支援不足だ。アフリカ文化に深く根付いているブルースやラップのようなジャンルとは異なり、メタルは人気を得るまでに時間がかかった。とはいえ、新たな才能を支援し、インフラを改善するための協調的な努力によって、アフリカのメタル・シーンには成長と活力の可能性を得た。僕は、メタルは現地の音楽のルーツを借りてこそ受け入れられるものだと心から信じている……つまり、フュージョンが鍵なんだ。
日本は、メタル・バンドのプロモーションへの献身が国際的な成功につながるという典型的な例だよね。強固なメタル・シーンと効果的なプロモーション戦略によって、日本のバンドは世界の舞台で認知されるようになった。しかし、生産の質が限られ、インフラが不足している可能性のある第三世界では、繁栄への道はより困難となる。
結局のところ、アフリカにおけるメタルの未来は、地元の才能を育て、インフラを改善し、メタル愛好家を支援する環境を育み、ジャンルを融合させることにかかっている。決意と投資をしさえすれば、アフリカは多様性を謳歌し、このジャンルの世界的景観に貢献する活気あるメタル・コミュニティを育成する可能性を秘めている。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED AL’S LIFE!!

METALLICA “Black Album”

Turning point in my life, a Hit packed album, that turned me into a metal believer.

SILVERCHAIR “Neon Ballroom”

The orchestral composition of Emotion Sickness and the vocal performance changed my perception of what is possible to do with rock, and broke boundaries.

MUSE “Origin of Symmetry”

The specific rock and classical piano approach along with Mathew Bellamy’s vocal performance comforted my taste of fusing genres. Being a piano player that used to love Chopin, a found this album refreshing. So much that I called Chris Rock , the engineer who mixed and mastered this album to work one my first album.

SYSTEM OF A DOWN “Toxicity”

A true slap in the face, powerful, inspired, angry, engaged, fused with unconventional instruments and melodies. My true inspiration as a fusion artist, leading me to create a Tunisian Tribal Metal genre.

METALLICA “Reload”

Metallica again, because their evolution, and the emotion around their art. Metallica is not a music genre, it’s a world. Besides, Hetfield was my greatest vocal teacher with Tankian.

MESSAGE FOR JAPAN

First of all, one of my goals in life is to travel to Japan! Try delicious meals, from sushi platters to yakisobas and ramens, Yattaa!! !!
And I AM going to attend to the 2025 universal expo in OSAKA, and I WILL one day perform in Japan in front of Metal fans! To Japanese people I say this: Your sensitivity, friendship, hard work and creativity force respect!
Keep being amazing at what you do JAPAN, you are a very special country.
Thank you Sin for your interest in Hemlyn. Be Safe and Keep Head Banging!
PS: I am enthusiastic about an opportunity to meet you in Japan and discuss our shared passion for music and culture, should you be available. Additionally, I am proud of the project at Le Centre Des Arts Jerba (https://centre-arts-jerba.com/fr/), founded by my father, Fadhel Jaziri. The center aims to promote artistic and cultural exchange, offering a platform for diverse performances and exhibitions. I believe it contributes to the enrichment and promotion of the region’s cultural heritage and is deeply intertwined with my day-to-day involvement with music and arts. Looking forward to chatting more!

まず、僕の人生の目標のひとつは、日本を旅行することだ!寿司の盛り合わせから焼きそば、ラーメンまで、美味しいものを食べて、ヤッタァ!!
そして、2025年に大阪で開催される万国博覧会に参加し、いつか日本のメタル・ファンの前でライブをするつもりだよ!日本の皆さんに言いたい。君たちの感性、友情、努力、創造性は尊敬に値する!日本は特別な国だよ。HEMLYN に興味を持ってくれてありがとう。安全第一で、ヘッドバンギングを続けてほしい!
PS:僕の父、ファデル・ジャジリが設立したLe Centre Des Arts Jerba (https://centre-arts-jerba.com/fr/)のプロジェクトを誇りに思っているんだ。このセンターは、芸術的・文化的交流を促進することを目的としており、多様なパフォーマンスや展示のためのプラットフォームを提供している。僕は、このセンターがこの地域の文化遺産の充実と振興に貢献し、私の日々の音楽や芸術との関わりと深く結びついていると信じているんだ。また話せるのを楽しみにしているよ!

AL JAZIRI

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【WOMBAT SUPERNOVA : APEWOMAN VS TURBO】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH WOMBAT SUPERNOVA!!

“Math Rock And Prog Metal. These Genres Can Go In Similar Directions But As They Come From Really Different Worlds, They’re Not Really Meeting Each Other That Often.”

DISC REVIEW “APEWOMAN VS TURBO”

「マス・ロックとプログ・メタル。そのふたつのジャンルは似たような方向に進むことができるけど、本当に違う世界から来たものだから、実際はお互いに出会うことはあまりないんだよね。僕らのプロジェクトは、DREAM THEATER や HAKEN ようなプログ・メタルの大ファンで、でもマス・ロックを作りたかったから、その両方を組み合わせることにしたんだよ」
マス・ロックとプログ・メタル。両者共に、複雑怪奇な奇数拍子と難解なテクニックを心臓としながらも、決して交わることのなかったジャンルたち。それはきっと、エモ/スクリーモとメタルという大きく離れた場所から進化をとげてきたせいでしょう。しかし、フランスのウォンバットとエイプウーマンは、ユーモアでその壁をとりはらいます。
「僕はいつも不思議だったんだ。マス・ロックは当然、プログレッシブで面白いことを期待していた(そしてそれを望んでいた)のだけど、実際にはシリアスでエモい側面が、僕が思っていたよりもずっとシーンで優勢であることを知って驚いたね」
おそらく、マス・ロックとプログ・メタル最大のちがいは、音楽的な “深刻さ” である。そう信じていたウォンバットこと Lulu は、実際のマス・ロックシーンのシリアスさに驚き、違和感を感じます。同じくらいシリアスなら、大好きなマス・ロックとプログ・メタルが出会わない手はない。しかも、そこにユーモアやハッピーな感情を織り込んだらどうなるんだろう?そこから、WOMBAT SUPERNOVA の冒険がはじまりました。
「僕はいつも任天堂の大ファンボーイで、僕らの音楽はマリオカートのサウンドトラックにすごく影響を受けていると思う。全体的にはちょっと微妙なんだけど、”Bertrand” のコーラスのようにはっきりわかることもある。僕ら2人とも、大乱闘スマッシュブラザーズ・アルティメットとそのOSTの大ファンでもあるんだ」
“Bertrand” は、まさにそんな “最高にキュートで、最高にハッピーで、最高におマヌケなマス・ロック” を標榜する彼らを象徴するような楽曲。ハイパーなイントロのタッピング・リフに、MESHUGGAH も顔負けのブレイクダウン。そのふたつをつなぐのが、感染力増し増しのアニメチックで爽快なメロディなのですから、前代未聞のマスプログハッピーミュージックはとどまるところをしりません。
「どうやら僕らの音楽のおかげで、暗いことがあっても楽しくハッピーな気分で生活できるようになったみたいなんだ。このプロジェクトは、以前は僕らが楽しむために作ったものだったけど、もしこのプロジェクトがみんなに良いバイブスを与えることができたなら、僕たちは本当に嬉しいよ」
音楽は、それがネガティブな感情であれ、ポジティブな感情であれ、リスナーの心に寄り添うもの。そうして、リスナーの心の壁を溶かしたウォンバットは、カントリーからジャズ、そして場違いなブラストビートの連打までカオティックに音楽で未曾有のサーカスを演じ続け、ジャンルの壁をも溶かしていくのです。
今回弊誌では、WOMBAT SUPERNOVA にインタビューを行うことができました。”バンドのアイデンティティにウォンバットを選んだのは、かわいい動物だし、小さなキャラクターだし、その中の一匹が “ベルトラン” (明るくてかわいくて賢い) だったから” どうぞ!!

WOMBAT SUPERNOVA “APEWOMAN VS TURBO” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CHET THOMPSON : STRONG LIKE BULL】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH CHET THOMPSON !!

“On The Piano The Bass Lines Are Played With The Left Hand And Treble Lines Are Played With The Right Hand. I Had To Turn The Guitar Upside Down On Its Headstock So I Could Tap Out The Lines The Same Way a Pianist Would.”

DISC REVIEW “STRONG LIKE BULL”

「僕のサウンドは、人と違う音を出したいという欲求から生まれているんだ。僕のギターはアクションが高く設定されていて、とても弾きにくいんだ。アクションを低く設定すると、他の多くのプレイヤーと同じような演奏になってしまうからね。僕はスケールやアルペジオ、弦のスキッピングをとても速く弾けるから、もし弾きやすいギターを自由に弾かせたら、他の人と同じようなサウンドになってしまう。だからその代わりに、自分が欲しいトーンを得るためにギターと戦わなければならないようにしている。自分にとって弾きにくいギターを作るんだ。もしそれが、太いトーンのためにリードの流動性を犠牲にすることを意味するなら、そうすればいいとね」
SNSやストリーミングの普及によって、ギターの探求はより身近で、簡単なものへと変わりました。音や弾き方の正解がそこかしこにあふれる世界で、ギターの敷居はかつてないほどに下がり、誰もが最速で上達できる環境が整っています。しかし、正解だけが、効率だけが、ステレオタイプだけが求められるギター世界は、本当に魅力的なのでしょうか?
「1980年、兄がピアノでモーツァルトを弾いているのを聴いているときに、逆さ両手タッピング奏法を思いついたんだ。ピアノでは低音は左手、高音は右手で弾く。だから私は、ピアニストと同じようにラインをタッピングできるように、ギターのヘッドストックを逆さまにしなければならなかったんだよ」
Randy Rhoads の弟子として知られる Chet Thompson は、決して効率的なギタリストではありません。ギターは重くて速弾きに向かないレスポール。太い弦を張り、さらにその弦高をわざと高く設定して、流動性を犠牲にしながらファットなトーンを追求します。それはギターとの戦い。効率や正解などクソ食らえ。自分が思い描いた理想を具現化することこそがギタリズム。そこから生まれる個性こそがギターの楽しさであり、多様性。そうして、Chet の類まれなる個性、反効率の精神はついにギターを担ぐことに集約しました。
ギターをピアノに模して弾く。Stanley Jordan をはじめ、両手タップでギターを奏でるプレイヤーは何人かいます。しかし Chet はそれだけでは飽きたりません。ピアノと同様、右手で高音を、左手で低音を奏でるためにギターを肩へと担ぎ上げたのです。効率は最悪でしょう。誰もそんなことはやりません。しかし、誰もやらないからこそ意味がある。すぐに彼の音だとわかる。それは、今のギター世界から失われてしまった魔法なのかもしれません。
「Youtuber から音楽を学ぶことについてどう思うか、という質問に対する僕の答えは簡単。ただ楽しんで曲を覚えるだけならいいけど、自分のスタイルを作りたいなら、自分だけのサウンドとスタイルを作る長い旅に出なければならない。Randy Rhoads はいつも、彼から学んだことを自分のものにしなさいと言っていた。だから、Randy のそのアドバイスを受けとることを勧めるよ」
妻の死に衝撃を受け、セラピーのため久々にギターを手に取り生み出したソロアルバム “Strong Like Bull”。アルバムには、喪失に打ち勝つ牛のような強さと共に、教えを受けた Randy Rhoads, Eddie Van Halen の哲学が織り込まれています。Djent やギターの進化を認めながらも、記憶に残るソロや耳に最も心地よいノーマルチューニングでのグルーヴにこだわる Chet のギタリズムは、よりポップに、流麗に、その歌声と共に明らかな進化を遂げています。実際はそんなにギターを担がないけれど、それでも十二分に個性的かつ魅力的。あの時代にこれをやっていれば、また違う未来もあったのかもしれません。それでも Chet はまだギターを置いてはいません。もしかすると、それだけで十分なのかもしれませんね。
今回弊誌では、Chet Thompson にインタビューを行うことができました。「Randy に学んでいたとき、ジャムったときにとてもクリエイティブなリードを思いついたから、彼に最高の生徒だと言われたんだ。どうやってアイデアを思いつくのかと聞かれたから、クラシック・ギターも勉強していると答えたよ。すると彼は目を輝かせて、そのクラシック・ギターの先生を紹介してくれと言ったんだ。僕は Randy にクラシック・ギターの先生を紹介し、彼はその先生に師事することになった。だから Randy の Ozzy とのプレイや、HELLION の “Screams in the Night” のレコードに収録されている僕の曲のいくつかには、クラシックの影響が見て取れるわけさ」 どうぞ!!

CHET THOMPSON “STRONG LIKE BULL” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【METAL DE FACTO : LAND OF THE RISING SUN PART.1】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ESA ORJATSALO OF METAL DE FACTO !!

“Power Metal Is The Pinnacle Of Music. It Is Music De Facto, Metal Music De Facto… And From There It Came, Metal De Facto!”

DISC REVIEW “LAND OF THE RISING SUN Pt.1”

「パワー・メタルは音楽の最高峰だということだ。これこそが真の音楽であり、真のメタルだとね…そしてそこから生まれたのが METAL DE FACTO だったんだ!パワー・メタルが再び大衆の意識の中で正当な地位を取り戻すことを願っているんだ!」
魅力的なアートを生み出すために最も必要なのは、好きを突きつめることかもしれません。フィンランドが輩出したパワー・メタルの秘宝 METAL DE FACTO は、その音楽も、そのテーマも自らの好きを貫き通して、情熱の炎で新たな傑作を世に産み落としました。
「たしかにパワー・メタルは、2000年代初頭の全盛期を過ぎると、世間のレーダーから姿を消したように思えたけど、完全に姿を消したわけではなかったと思う。ファンやミュージシャンは、かつてほどの人気がなかったにもかかわらず、パワー・メタルを存続させた」
そう、かつて、パワー・メタルはヘヴィ・メタルが揶揄されるマンネリの象徴でした。”すべてが予定調和で、同じに聴こえる”。そんな逆境中でも、パワー・メタルを愛し、その可能性を信じ続けた STRATOVARIUS, BLIND GUARDIAN, GAMMA RAY, HELLOWEEN といった不屈の魂は、いつしかこのジャンルを豊かで実り多い大地へと変えていきました。METAL DE FACTO は彼らの背中を見て育ち、追い求め、そしてついには同じ舞台、同じ高みへと到達しました。
フィンランド訛りが郷愁を誘う Tony Kakko のような歌声、Steve Harris への憧憬が愛しいベース捌き、疾走するツインリードに Jens Johansson 印の眩いキーボード。”Make Power Metal Great Again” を掲げる彼らの眼差しには、パワー・メタル・マニアックスが求めるものすべてが克明に映し出されているのです。
「大学で民族音楽学を専攻していたとき、ゼミで日本の芸術音楽について研究していたんだけど、日本人がフィンランドのアーティストをどう受け止めているか、フィンランドのメディアがフィンランドのアーティストの日本公演をどう報じているかについても研究したんだ。そう考えると、日本についてのアルバムを作るのはとても自然なことだったと思う」
そうして METAL DE FACTO は、パワー・メタルという暗い現実を薙ぎ払うファンタジーにも好きを貫きます。テーマに選んだ天照大神、赤穂浪士、元寇。それは、Esa Orjatsalo が人生で憧れ続けた日本の歴史や神話そのもの。そうして彼らは “Land of the Rising Sun” “日出る国” と第打ったアルバムで、愛する日本とパワー・メタルの今の姿を重ねます。沈んだ太陽。しかし日はまた必ず昇る。そう、権力や多数派に惑わされず、私たちが好きを貫き続ければ。可能性を信じ続ければ。
今回弊誌では、Esa Orjatsalo にインタビューを行うことができました。「”社畜”。この歌は、権力を得るために会社(または主人)に人生を捧げ、大成功を収めたものの、心の中は空虚で、権力なしで人生がシンプルだった時代を懐かしむ人の物語だからね。また、この曲には、何を望むかには注意しなさい、それは実際に望むものではないかもしれないというより普遍的なテーマもあるんだよ」 どうぞ!!

METAL DE FACTO “LAND OF THE RISING SUN PT.1” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【BIRD PROBLEMS : FLIGHT OR FLIGHT】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MICHAEL SMILOVITCH OF BIRD PROBLEMS !!

“In Terms Of Math, There Have Definitely Been Times Where Daniel and Joseph Have Sat Down With a Calculator To Write a Complex Rhythmic Section!”

DISC REVIEW “FLIGHT OR FLIGHT”

「MESHUGGAH と TOOL からは、PERIPHERY, TesseracT, THE CONTORTIONIST のようなバンドと同様に、大きなインスピレーションを得ている。作曲をするときは、常に自分たちの好きなものから影響を受けているんだ。数学に関しては、Daniel と Joseph が電卓を持って複雑なリズム・セクションを書いたこともよくあるんだ!」
マスマティカル、数学的なメタル。そもそも音楽とは非常に数学的なものですが、特に複雑な奇数拍子やポリリズムを駆使したメタルがトレンドの一角に躍り出て以来、メタルの方程式はより多様で、色とりどりの解を持つようになりました。モントリオール出身の BIRD PROBLEMS も、リスナーに複雑怪奇な方程式を出題し、様々な解法を引き出しながらメタルを前に進めるソクラテス。
「自分たちが好きな音楽をやりたかった。僕たちは常に自分たち自身に挑戦しようとしているので、何か新しい曲を書くときはいつも、まだ実際に演奏できないような曲を書くことが多いんだ。もっとポピュラーなジャンルで活動した方が楽なんじゃないかと思うこともあるけれど、それだと心が入らないのは分かっているからね」
スクロールやクリックするだけのインスタントな娯楽、SNSや切り取り動画、ストリーミングが蔓延る世の中で、長い修練と手間暇要するプログレッシブ・ミュージックは世界から取り残されているようにも思えます。実際、BIRD PROBLEMS のボーカル Michael Smilovitch も、ポップ・ミュージックで売れるほうが楽なのは間違いないと認めています。それでも、この複雑怪奇な音の葉を追求する理由。それはひとえにただ、好きだから。挑戦したいから。
「プログは複雑であっても意図的で、秩序があり、有限であるため、結局は安らぎを与えてくれる。最初は混沌としていて予想外に聞こえるけど、努力すれば必ずパターンを見つけ出すことができるし、その中で迷うことを楽しむこともできるんだ」
たしかに、プログレッシブ・ミュージックは世間の潮流とは真逆にあるのかもしれません。一回しか流行らなかった音楽かもしれません。しかし、それでもここまで生きながらえているのは、混沌と難解の中に安らぎや快楽があるからでしょう。プログレッシブ・ミュージックには、リスナーそれぞれの解法があり、迷う楽しみがあり、好きがあり、驚きがあり、解き明かした際の解放があります。
「リスナーが BIRD PROBLEMS の新曲を聴いたときに驚き、興味をそそられ、次に何が出てくるかわからないようにしたいんだよね。僕は文学的な分析をとても楽しんでいる。歌詞や詩をひとつひとつ分解して、それを本当に理解しようとする。自分の歌詞に関して言えば、基本的なテーマや感情を表面的に表現するだけでなく、そういうことが好きな人たちが分析できるような、深い意味や言及を含むパズルのようなものを作ることが目標なんだ」
彼らが “Bird Problems” などという奇怪な名を名乗るのも、結局は音楽の中に宿る個性と驚きを大切にしているから。大学で化学や文学を学んだことも、ANIMALS AS LEADERS とジャズを履修し “Djazz” と呼ばれることも、失楽園のような叙事詩に言及をすることも、アニメやゲームを愛することも、かたくなに鳥をテーマにすることも、すべては創造性という翼となって、ステレオタイプな音の巣から飛び立つための養分に違いありません。
今回弊誌では、Michael Smilovitch にインタビューを行うことができました。「僕は個人的に大のゲーマーで、ビデオ・ゲーム業界で働いているから、ゲームも研究対象なんだ!今年は日本のRPGにとって素晴らしい年。今プレイしているのは、”龍が如く8″と “ユニコーンオーバーロード” なんだ。僕の好きなビデオ・ゲームのほとんどは日本のもので、一番を選ぶとしたら “Bloodborne”だね」 NEXT PROTEST THE HERO。どうぞ!!

BIRD PROBLEMS “FLIGHT OR FLIGHT” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【VALENTINO FRANCAVILLA : MIDNIGHT DREAMS】 RIOT 祭り 24!!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH VALENTINO FRANCAVILLA!!

“I Learned The Constancy From Riot, Do What You Love With The Heart And If You Persevere With Such Thing Someone Will Be Happy Listening Your Music Or Recognize You As Something Like Fresh Air In His Life Thanks To The Art.”

DISC REVIEW “MIDNIGHT DREAMS”

「RIOT から “不変であること” を学んだんだ。自分の好きなことを心をこめてやれば、誰かが自分の音楽を聴いて幸せな気持ちになったり、自分のアートで人生に新鮮な風が吹いたと認めてくれるだろう。そう、自分の好きなことを変わらずやり続ければね」
かつて、パワー・メタルはヘヴィ・メタルが揶揄されるマンネリの象徴でした。”すべてが予定調和で、同じに聴こえる”。そんな中でも、RIOT は己が愛するパワー・メタルをやり続けました。好きをやり続けることで RIOT のパワー・メタルは豊かに熟成されて、フォーキーだったり、メタリックだったり、エモーショナルだったり、テクニカルだったり、Valentino Francavilla が語るように時季折々の個性を醸し出すようになりました。多くの人の人生に救いや癒しをもたらしました。そして、パワー・メタルの復権と拡散、新たな才能の礎になったのです。
「RIOT は僕のヒーローであり、インスピレーションなんだ!16歳の頃、クラシックなオールドスクール・ヘヴィメタルのコンピレーションを聴いていて、”Thundersteel” が流れてきたんだ。最初のコーラスの後、”これが真のヘヴィ・メタルというものなんだ” と雷に打たれ、この素晴らしいバンドに恋をしたのさ!」
イタリアでメタルに目覚めた Valentino Francavilla は、RIOT の “Thundersteel” を聴いて文字通り雷に打たれたような衝撃を受けました。これこそが個性的で真なるヘヴィ・メタル。いや、真なるヘヴィ・メタルは個性的だと確信した Valentino は、そうしてギター、さらには歌の研鑽に励みました。WHITE SKULL で名を上げ、胸筋と SNS で火がつき、ついにはソロ・デビュー。そして7月にはここ日本で、RIOT V との共演が決定。彼もまた、好きをやり続けた結果、まさに “Midnight Dreams” が実現するのです。
「僕は何か新しいものを発明しているわけじゃない。僕が作曲したものは、人生の季節季節で耳にしたものから影響を受けた音楽だから。でも、僕は人の個性を本当に信じているんだ。人はひとりひとりがそれぞれ個性的だ。だから僕は、良いインスピレーションと影響、愛と独自性を持って、最高の音楽を作ろうとしたんだ!」
Valentino の言葉どおり、彼の音楽は決して真新しい革命的な何かではありません。とはいえ、彼の人生の四季折々を反映した、実に個性的で芳醇なパワー・メタル。たしかに、パワー・メタルには一定のフォーミュラ、型が存在しますが、そこに注がれるのはアーティスト個性であり、”好き” の源。つまり、個性を知り、音楽の色を積み重ねたアーティストにとって、そうしたフォーミュラは創造性の妨げにはならないのです。
「僕がステージで演奏するときに最初に考えるのは、目の前にいる人たちは新鮮な空気を吸って、人生を楽しむためにここにいるんだということ。こんな困難な時代だからこそね。ヘヴィ・メタルや音楽全般は、心理的な問題に対しても、本当に多くの方法で人々を助けることができると思う」
そうして Valentino のパワー・メタルは暗い世界の灯火となります。モダンで高度なテクニックと、クラシックなメタルのメロディ、そして積み重ねてきた音楽の色は雄弁に交合わさり、憂鬱や痛みをかかえる人々にひとときの癒しを提供し、新鮮な一陣の風を心に吹き込むのです。
今回弊誌では、Valentino Francavilla にインタビューを行うことができました。「LOUDNESS や X Japan のような日本のヘヴィ・メタル・バンドも大好きで、彼らからたくさん影響を受けたよ!Xの “Sadistic Desire” や LOUDNESS の “Crazy Doctor”, “Like Hell”, “In The Mirror”, “Heavy Chains” のようなリフが本当に大好きでね。彼らはいつも僕に夢を与えてくれたし、高崎晃の演奏も大好きだよ」 祭りには胸筋。どうぞ!!

VALENTINO FRANCAVILLA “MIDNIGHT DREAMS” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【LOHARANO : VELIRANO 】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH LohArano !!

“One Of Our Major Objectives Is To Restore The Value Of Malagasy Culture, Which We Feel Is Being Lost Over Time. Our Language, Our Musical Sound, Our Ancestral Wisdoms, We Have So Many Extraordinary Things That We Tend To Devalue In Comparison With Western Culture, It’s Sad.”

DISC REVIEW “VELIRANO”

「私たちの大きな目的のひとつは、時間の経過とともに失われつつあると感じているマダガスカル文化の価値を回復することなのだから。私たちには言語、音楽、先祖代々の知恵など、素晴らしい文化がある。だけどそれらは西洋文化に比べて軽視されがちなんだよね。悲しいことだよ」
ヘヴィ・メタルの感染力は、もはやとどまることを知りません。文化や言語、人種に宗教の壁を越えてアジアや南米を侵食したメタルの種子は、ついにアフリカの南端の島までたどり着きました。そう、インド洋のグルニエことマダガスカルに。
マダガスカルといえば、まず私たちは色とりどりの豊かな自然と、独自の進化を遂げた固有種を思い浮かべることでしょう。そんなメタルらしからぬ場所にまで、今やメタルは届いています。そして、首都アンタナナリヴォを拠点とする新鋭トリオ LohArano は、島のシンボルであるワオキツネザルのように、ヘヴィ・メタルを独自に、魅力的に進化させていくのです。
メタルの生命力が傑出しているのは、世界各地で芽吹いたメタルの種を、その土地土地が育んだ文化の色に染め上げていくところ。LohArano は、ツァピキーやサレギーといった人気の高いマダガスカル音楽のスタイルを、オルタナティブなメタルを融合させた非常にユニークなサウンドを得意としています。それは文化を守ること。それは伝統を抱きしめること。LohArano は、培われた文化は平等に尊いこと、そして消えてはならないことを肌で感じて知っているのです。
「そう、ここでメタルをやるのはとても大変なんだ。日々の食事に事欠くくらいに大変なのだから、楽器を買い、スタジオを借り、演奏することがどれほど大変か想像してみてほしい。もしそうすることができたとしても、ここでのコンサートはお金にならないし、メタルは社会のステレオタイプに対処しなければならない。マダガスカルの多くのスタジオは、ハードロック/ヘヴィ・メタルのバンドを受け入れることを拒否しているんだから」
そうした “楽園” のイメージが強いマダガスカルですが、そこに住む人たちにとってこの国は決して “楽園” ではありません。世界最貧国のひとつと謳われるマダガスカルは、貧困と病が深刻な状況で、抑圧的な政治も機能せず、そうした権力に反抗する暴動も頻発しています。そんな苦難の中で、RAGE AGAINST THE MACHINE や SYSTEM OF A DOWN のような “プロテスト・メタル” と出会った彼らはメタルで状況を変えよう、世界を良くしようと思い立ちます。
「”Velirano” “誓い” は、政治家たちが国民をいかにぞんざいに扱っているか、生存のわずかな望みのためなら何でも受け入れる国民に対する不条理で馬鹿げた誓いの風刺なんだよ」
だからこそ、LohArano のモッシュ・ピットは散々な目に遭わされ、打ちのめされ、騙され、不条理を受け止め続けた人たちの、もうたくさんだという正義の怒りにあふれています。そうして、さながらLIVING COLOUR の “Cult of Personality” や、暴力的でディストピア的な独裁ファンタジーを暴露する “The Wall” のマダガスカル版ともいえるこの曲で、彼らはついに世界的な大舞台 Hellfest に到達します。
「私たちがその名を知られ始めているのは事実で、もうそれがすでに大きな一歩。だって、私たちの言葉に耳を傾ける人が増えるんだから。同意する、しないにかかわらずね」
そう、彼らはマダガスカルの “声” を届けるため、この場所まで進んできました。そうして長い苦闘の末、ついに彼らの声は世界に届き始めたのです。私たちは、メタルの寛容さ、包容力で、今こそ LohArano の戦いを、声を、音楽を、抱きしめるべき時でしょう。
今回弊誌では、LohArano にインタビューを行うことができました。「Hellfest の出演は素晴らしいニュースだし、Lovebites と一緒にプレーできることを光栄に思うよ!Lovebites はロックだ!素晴らしいバンドとステージを共有できることに興奮している!あとは Maximum The Hormone の大ファンなんだ!彼らはクレイジーさ!大好きなんだ!」 どうぞ!!

LohArano : “Velirano” : 10/10

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