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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【BLOODYWOOD : NU DELHI】 JAPAN TOUR 25′


COVER STORY : BLOODYWOOD “NU DELHI”

“It’s True For Babymetal As Well. Like Wasabi, It’s an Acquired Taste. Once You Understand It, You Cannot Get Enough!”

NU DELHI

「BLOODYWOOD はメタルなんだけど、たくさんのスパイスが効いていて、五感を圧倒するんだ。 誰もがヘドバンして、最後は僕らと一緒に踊ることになるよ」
これは、メタル界で最も独創的なバンドのひとつである BLOODYWOOD のミッション・ステートメントです。 2016年に結成された BLOODYWOOD は、伝統的なインド楽器を用いてメタルの常識を覆しました。彼らの曲にはクランチング・リフと同じくらいのバーンスリーやドールがフィーチャーされています。 ステージでは6人編成になる彼らは、オリジナル曲を作る前にYouTubeでポップ・ソングやオルタナティブ・ヒットをカバーし、バイラル・センセーションを巻き起こしました。そこから彼らの人気に火がつきました。
最初のギグは、2019年のドイツのメタル・フェスティバル、ヴァッケン・オープン・エア。その4年後、彼らはイギリスのダウンロード・フェスティバルで、日曜日の早い時間にメイン・ステージにおいて大勢の観客を集めました。 フジロックでの好演も記憶に新しいところ。
2022年のデビュー・アルバム “Rakshak” がUKロック&メタル・チャートとUSデジタル・チャートでトップ10入りを果たしたとき、国際的な好意は確信に変わりました。さらに、彼らの楽曲 “Dana Dan” がアクション超大作 “Monkey Man” のワンシーンのサウンドトラックに採用されると、その人気はさらに高まっていきました。BLOODYWOOD はインド史上最大のメタル輸出品となったのです。
「インドのメタル・シーンなんて誰も気にしてなかったんだ。そこで僕らが考えたのは、インターネットで自分たちを全世界に発信することだった。 その土地の言葉でヒップホップやポップスをやっていれば、その土地のアーティストになれる。 でも、メタルでそれをやっても、少なくともインドでは通用しなかった。だから世界を目指したんだ」

ローカルをすっ飛ばして世界へ。BLOODYWOOD は当初インドのシーンではなく、FacebookやYouTubeにカバー曲を投稿してファンを増やしていきました。バイラルを叩き出すために、インドのサウンドスケープが欠かせないもの。彼らの曲は、8弦ギターのリフで鼓膜をへし折るかのような、脈打つような Nu-metal を核にしていますが、ヒンディー語の歌詞を英語に混ぜ、ドールのような民族楽器も使っています。
「ヤギの皮でできていて、どの種類の木かもわからないんだ」
しかし、彼らはただアイデアと遊び心のある奇抜な人気者というわけではありません。ギタリストの Karan Katiyar はソーシャルメディア上で 「ここ2、3年はこれまで以上に多くのいじめや憎悪を目にする。 また、その多くがエスニシティに向けられたものであり、だからこそ自分たちのストーリーを伝えることがより重要になった」と語っています。
ボーカリストの Jayant Bhadula は年上のいとこを通じてヘヴィ・メタルに出会い、ヴァイキング・メタル AMON AMARTH の音楽を教示され、SLIPKNOT から SYSTEM OF A DOWN までモダン・クラシックの詰まったCDを焼いてもらいました。その両者からの影響は、まさに BLOODYWOOD の音楽に滲み出ています。「誰かが僕をモッシュピットに放り込んでくれて、人生で最高の時間を過ごしたよ」
ただ、最初から順風満帆だった訳ではありません。
「最初にレコーディングしたのは、本当のスタジオではなかったんだ。 狭くて、夜はとても寒かった。 毛布がなかったから、カーテンを下ろして代わりに使っていた。 貧乏だったわけじゃない。両親には自分の活動を隠すのが一番だと考えていたからね。
インドでは、親が認める職業は3つしかない。医者、弁護士、役人だ。 当時なら親はきっと賛成してくれなかっただろうけど、今は賛成してくれて嬉しいよ」

Katiyar の最初のギターは “Givson” でした。
「インドの偽ギター業界を紹介するよ!最初のギターは、”Givson” というブランドのエレクトロアコースティックだった。そのアンプのひとつにオーバードライブのセッティングがあって、もちろんノブなんだけど、ノブをゼロから0.01でも何でもいいから少し回した瞬間に、信号が完全に歪んでしまうんだ (笑)」
ラップを担当する Raoul Kerr に出会った時のことを、Katiyar は今でも覚えています。善のための力になろうというバンドの意欲をアピールする Kerr は、強いメッセージで性的暴力を非難しています。 今日、彼はほとんどいつも “No Flag” の文字が入ったマッスルベストを着て、BLOODYWOOD が分断ではなく団結を望んでいることを一貫して証明しているのです。
「彼に会った瞬間から、僕たちが同じビジョンを共有していることは明らかだった。最初はレスラーのようだと思ったけどね! 彼のライムとフロウは、まさに僕たちがまだ探していたピースだった。 僕たちは何を探しているのか正確には知らなかったが、とにかくそれを見つけたんだ」
ラッパー Kerr にとっての神様は、多面的でした。
「Mike Shinoda が僕の最初のインスピレーションで、Nu-metal 的な要素もあった。LINKIN PARK は僕の最初の音楽的な神だ。 昔は他の人と同じように、ラジオから流れている音楽は何でも聴いていた。でも、LINKIN PARK は初めて好きになったバンドで、積極的に追いかけた。その後、ヒップホップの入り口が開かれ、Eminem に入ったんだ。彼は、一世代前のラッパーたちにとって誰もが認めるインスピレーションの源だから、多くの人が彼を1位にする。 彼について好きになれるものはたくさんある。 嫌いなところもたくさんある。でも、ひとつだけ反論できないのは、彼が正直で、自分をさらけ出しているということだ。 彼のテクニックは手がつけられないほどだけど、正直なところ、テクニックとかよりも、彼は正直なんだ。 だから僕はこう言いたい。Mike, Eminem, RAGE AGAINST THE MACHINE は、僕が大人になってからの神だった。 彼らが音楽と政治の融合で社会変革の境界線をどこまで押し広げ、社会的インパクトを与えることができたかという点で、影響は大きいね」

Bhadula によれば、彼らの出身地であるデリーでは音楽教育が盛んで、ギターやドラムのクラスがあるところがたくさんあるといいます。
「学校では音楽を演奏している人の中でも、いつもメタルを演奏している人がみんなの度肝を抜いていた」
と Katiyar は回顧します。 しかし、そうした状況がインドのメタル・シーンに広く浸透しているとはまだいえません。
「インドはとても大きな国だから、メタルのリスナーが少ないという事実をつきつけられるのは不思議なことだよ」
インドのメタルはライブだけでなく、音楽のプロモーションというインフラも欠けていると Bhadula はいいます。
「インドでは、音楽の仕事といえば基本的にボリウッドで働くことであり、メタルは仕事になるわけじゃない」
つまり、BLOODYWOOD は多くのローカルなアンダーグラウンドのバンドを背負って、世界でほぼ一人でインドの旗を振っているのです。
「自分たちの音楽で国や文化を表現するのが大好きなんだ」と Katiyar はいいます。 「プレッシャーは全くないけれど、時々頭を悩ませるのは、インドという国全体を代表することが難しいということだ。 文化も言語もたくさんあるし、楽器の数も数えきれない。それでも、可能な限り、みんなを代表したいんだ」

BLOODYWOOD が2023年のダウンロードのメインステージのオープニングを飾ったとき、6月の日差しを浴びる観客の多さは、このインドのメタル・アクトが本物であることを証明していました。デビュー・アルバム “Rakshak” をリリースしたばかりの彼らは、ドールやタブラといったインドの伝統楽器と怪物的なリフを融合させ、インド・メタルを世界地図にしっかりと刻み込んだのです。
「大盛況だった! 僕たちは決して期待しないで臨む。なぜなら、期待値を低く抑えれば、いつもそれを上回ることができるからね。 でも、あれは子供の頃に夢見た瞬間のひとつだった。ヨーロッパの人々が僕たちのところにやってきて、僕たちの曲が彼らにとってどれほど重要かを話してくれたとき、自分たちが到達したレベルを理解し始めた。 僕たちの曲のいくつかは、世界中で困難な時期を乗り越える人々を助けてきた。 天職を見つけたという意味での “made it “だね」
2019年のドキュメンタリーを “Raj Against the Machine” と命名し、ナン色のレコードを販売するなど自分たちの文化に遊び心を加えて紹介する一方で、彼らはシングル “Gaddaar” で憎悪に満ちたレトリックを使って分断を図ろうとする政治家たちに反撃し、レイプ・カルチャーに反対するために音楽を使ってステイトメント、連帯の意思表示を発してきました。「これは世界的な問題であり、僕たちが強く主張ていることだよ」と Katiyar は言います。 「愛する人のために立ち上がること以上にメタルなことはあまりないと思う」
彼らのニューアルバム “Nu Delhi” は、2022年のデビュー作 “Rakshak” に比べて政治色が抑えられています。Katiyar は、ロシアがウクライナに侵攻したのと同じ週に “Rakshak” がリリースされ、それ以来、世界は絶え間なく毒のような敵意に渦巻いていると指摘します。
「人々はどちらか一方を選び、もう一方と戦うことに熱心だ」

だからこそバンドは、自分たちの祖国と歴史の物語を祝うことで、毒性、ステレオタイプ、いじめに対抗することを選んだのです。 「音楽を通して、世界を生きやすい場所にしようとしているんだ。音楽のポジティブな面をできるだけ多くの人に届けたいんだよ」
BLOODYWOOD のニュー・アルバムのタイトルは “Nu Delhi” ニュー・メタルとインドの影響を融合させたダジャレのようなもの。しかしその歌詞は、音楽と同様に彼らの国の文化への敬意に満ちています。タイトル曲は、人口3,400万人の大都市、インドの首都の過密な通りへとリスナーを引きずり込みます。
「ここでは誰もが試されている。聖人も罪人もいる、街ではなくチェスのゲームだ」
彼らにとっての目標は、より広い世界に、正真正銘のインド観を提供すること。同時に英語とヒンディー語の両方で精神疾患に光を当て、性的虐待を告発し、愛と喪失の両方を探求することが彼らのヘヴィ・メタル。そう Bhadula は主張します。
「僕たちはいつも、自分たちの身近にあるものをテーマにしようとしているんだ。”Nu Delhi” では、インドにはメタルだけでなく、世界に匹敵するような盛んな音楽シーンがあることを知らせたかったんだ。ファースト・シングルの “Nu Delhi” そのものが、僕たちからこの街へのラブレターなんだ」
“Tadka” ではインド料理に対する不滅の愛を表現しました。
「”Tadka” の正確な意味は、”スパイスや調味料のエッセンスを引き出し、料理を爆発的な味に変える技術” なんだ。料理の味を引き立てるために使うんだよ。”Tadka” を使うと赤唐辛子、マスタードオイル、マスタードシードなど、その料理の味がまるで別物のようになる。南インドから北インドまで、東インドから西インドまで、同じ食材でも使い方は人それぞれだ。味の大爆発なんだ!」
料理について熱く語ったメタルはそうそうないでしょう。
「僕たちが書くトピックはすべて、僕たちの心に近いものなんだ。ツアー中、僕らはヨーロッパ料理を食べていて、それは数日間はいいんだけど、最終的にはインド料理が食べたくなった。じゃあインド料理の素晴らしさについて書けばいいじゃないか。インド料理は芸術なんだ。スパイスのバランスを保たなければならないからね。
Karan がインストゥルメンタル・パートを考えてくれたんだけど、サビに入るリフが何か言っているような感じがしたんだ。”Tadka” は素晴らしい言葉だし、それが雪だるま式に広がっていった。料理だけに使われる言葉ではないから、人生に味をつける、人生にスパイスを加えるという比喩として使うことができる。とはいえ、僕たちは皆、本当に食べ物に対する情熱を持っているんだ」

“Bekhauf” では、BABYMETAL とアジアン・メタルの新たな歴史を作りました。
「以前から BABYMETAL のファンだったんだ。彼女たちを知ったのは “ギミチョコ!!” で、”メギツネ” も聴いたんだけど、あれはアレンジの点で、今まで聴いた中で最高のメタル・トラックのひとつだよ。”ド・キ・ド・キ⭐︎モーニング” がとても好きだし、”KARATE” も大好きだ。 実は BABYMETAL の曲も何曲かカバーしてみたんだけど、歌詞がめちゃくちゃでね(笑)。
最初は興味本位でビデオを見ていたんだけど、甲高いボーカルで歌い始めて、その間にバンドが全力疾走しているんだ。 最初は不思議だと思ったんだけど、一緒に聴くとすごくいいんだ。わさびと同じで、後天的な味覚だ。 一度理解したら、それなしでは満足できない。
ある時、BABYMETALのプロデューサーである KOBAMETALがライブに来てくれたんだ。それからずっと後になって、Karan が “Bekhauf” のためにインストゥルメンタルを作っていたんだけど、偶然にも同じ頃にKOBAから “一緒に何かやろう”というメッセージを受け取ったんだ。
僕たちはすでに BABYMETAL のためにパートを書いていて、それを気に入れば先に進めようということになっていた。僕たちは音節をどのようにヒットさせたいかというアイディアを持っていて、3人はそれを実現してくれた。すべてが相乗効果でうまくいったね」
BLOODYWOOD はバンドとして、日本の文化にゾッコンです。
「日本のマーケットはメタルを本当に受け入れているんだ。 僕はずっとアニメを見てきた。 例えば、”Death Note” の主題歌、MAXIMUM THE HORMONE の “What’s Up People?!!!” はとてもヘヴィだ。 こういう曲が日本のテレビで放送されていることにいつも衝撃を受ける。 インドでは、生まれてこのかた、テレビでメタルの曲を見たのは1曲だけだよ。メタルファンは100%素晴らしいコミュニティだ。 世界中のメタルヘッズは、どこの出身であろうと共通の特徴を持っているからね」

アニメとメタルは世界をつなぐ架け橋だと彼らは考えています。
「バンド全員が “ドラゴンボールZ” と “進撃の巨人” のアニメシリーズを見ていて、大好きなんだ。音楽だけでなく、キャラクターやストーリーも楽しめる。”ドラゴンボールZ” の界王拳を引用した “Aaj” という曲は、自分の限界に挑戦し、より良い自分になることを歌った曲なので、ぴったりだったよね。
曲を書いているときに、この言葉を使えると思ったんだ。 簡単なディスカッションをして、たとえみんながその言葉を知らなくても、耳にはとてもいい響きに聞こえると判断したんだ。 驚いたのは、僕たちの支持基盤の多くが即座にその言葉を理解したことだ!
僕たちのファンの多くがアニメも見ていることに気づいたよ。だから今、僕らはソーシャルメディア上でアニメの推薦を受け入れるようになり、最新の情報を得るようになった。 最近、映画 “呪術廻戦0” を観に行ったんだ。友達は誰もアニメを観ないから、ひとりで。 リクライニング・チェアがあり、ポップコーンがあり、幸せだった! 」
そうして世界中とコラボしてツアーすることで、ニューデリーの良さを再認識できたと Bhadula は考えています。
「このアルバムは、ニューデリーが “やあ、僕らもメタル世界にちゃんと入ったよ” と言っているんだ。もちろん、ニューデリーにいるときはもっと好感が持てる。家にいて、周りに友達がいて、ある種の安心感がある。でもツアーに出ているときも、故郷のように感じるよ。だってヒンドゥー語を知らない人たちが、一緒に歌っているのを見ることができるからね。グラスポップ・メタル・ミーティングでは、ヨーロッパに住むパキスタン人(インド国旗を掲げていた)がいて、 “君たちのおかげでメタル世界の一員になれた気がする” と言っていた。この感謝の気持ちが、ホームシックなんて吹き飛ばしてくれるんだ…料理は別としてね!」
最近のドキュメンタリー “Expect A Riot” で彼らは、このアルバムで “インドに対する認識を変えたい” と語っていました。
「どのようなソーシャルメディア上でも、あるレベルのインド嫌いが蔓延している。”BABYMETALよ、なぜこんなP******とコラボしたんだ?” みたいなね。僕たちは常に平和な場所にいるわけではない。それは SNS 上で取り組まなければならないことで、僕たちのためだけでなく、世界中のすべての人のためでもある。僕たちができる最初の一歩は、そうした人たちの偏見、インドに対する認識を変えることだ。
僕たちは、世界で最も古い文明のひとつから生まれた。インドの文化は非常に多様で、一生かけてもインド全土を巡り、そのすべてを理解することはできないだろうね。そして伝統や文化だけでなく、科学にも多くのものを提供してきた国なんだ。他の誰かを攻撃することで、この認識を変えることはできない。このアルバムは、僕たちの一部分と、僕たちの出身地であるこの街への愛を分かち合うものだ。願わくば、人々が理解し、巷にはびこるインド人嫌いのフィルターを越えて見てくれることを願っているよ」

インドに対する偏見は、TikTok の影響だとも。
「インドに対する人々の印象は、実際とはかなり違っていて、その多くはTikTokに関係している。TikTokでは、インドの偏ったバージョンが常に描かれているんだ。汚い食べ物、汚い道路、汚い人々。 でも、実際にはそういうもは、探さなければ見つからない。 もしインドに来て、まずい店を探すなら、まずい街のまずいところに行くしかない。 この国はそういう国じゃないんだ。もしそうだとしたら、美味しい物が好きな僕たちみんな死んでるよ (笑)」
“Bekhauf” でのシンセサイザーの多用は、より純粋なフォーク・メタル・スタイルからの逸脱を予言しているのでしょうか?
「危険な要素もあるんだ。僕らのフィルターを通さない意見からだけでなく、このアルバムで実験した方法からもね。実験のひとつは “Bekhauf” で、次のアルバムで何をすべきかについて、誰もがそれぞれの意見を持っていた。でも、僕たちは最初からそうしてきたように、最も正直な気持ちを吐き出し、それを聴いてもらうことで、好きか嫌いかを決めてもらうことにしたんだ」
歌詞をすべて追えなくても、彼らの曲がいかに心からのものであるか、その情熱が伝わるはずです。そしてこの “Nu Delhi” は政治色よりもアットホームな要素を全面に押し出しました。例えば、”Halla Bol” では歴史的に重要な事件を扱い、”Hutt” では自己承認や否定的な雑音に立ち向かうという考え、あるいは “Tadka” ではインド料理の楽しさなど、ポジティブな意思を発信しています。
「音楽が世界に与える影響の限界を押し広げようとしているんだ。それが内なる戦いであれ、より良い世界のための戦いであれ、僕らのサウンドはみんなをひとつにして勝利に導くためのものなんだ」
常に “謙虚” だからこそ、BLOODYWOOD のメッセージは多くの人の心に届きます。
「実は…この成功は夢のようなものなんだ。インドでは、海外に出て、世界最大の舞台で国際的な観客のためにプレーする人はあまりいないんだ。つまり、50%は夢のようなもので、現実であるには素晴らしすぎる。 でも、あとの50%はとても信じられる。 なぜなら、インドだけでなく、世界中には、24時間365日、音楽が好きで働いているミュージシャンのように、懸命に努力している人たちがたくさんいることを知っているから。どんなに才能があっても、運という要素は必要だ。僕たちはそれを手に入れた。 でも同時に、自分たちの仕事を必死でやっていたから、幸運が訪れた。だから、このバンドはみんな謙虚でいられるんだと思う」


参考文献: JAPAN FORWARD :INTERVIEW | India’s Bloodywood Are Babymetal Fans and Out to Inspire Change in the World

KERRANG! :Bloodywood: “This album is New Delhi saying, ‘Hi, we’ve entered the metal world chat’”

THE GUARDIAN :Indian rock sensations Bloodywood: ‘What’s more metal than standing up for people you love?

GUITAR.COM :https://guitar.com/features/interviews/bloodywood-interview-karan-katiyar-nu-delhi/

来日公演の詳細はこちら。SMASH JAPAN

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CYBER BAND : THROUGH THE PASSAGES OF TIME】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ANDREW PATUASIC OF CYBER BAND !!

“My Dad Advised Us To Learn Tom Sawyer And YYZ by Rush If We Wanted To Win. And Through Learning Both Of The Songs Made Us Love Prog Rock And Opened Our Eyes To a New World Of Music.”

DISC REVIEW “THROUGH THE PASSAGES OF TIME”

「僕たちがまだ初心者だった頃、アマチュアのバンド・バトルに参加しては負け続けていたんだよ。父は、コンテストに勝ちたければ RUSH の “Tom Sawyer” と “YYZ” を覚えろとアドバイスしてくれた。この2曲を覚えたことで、僕たちはプログが大好きになり、新しい音楽の世界に目を向けるようになったんだ」
DREAM THEATER や GOJIRA のグラミー獲得。Steven Wilson の全英チャート1位。もしかすると、インスタントな文化、音楽に対する反動として、プログレッシブ・ミュージックの復権、その狼煙があがったように見える昨今。とはいえ、結局そうした怪気炎も音楽に対価を支払い、アルバム単位で鑑賞する過去の風習が染み付いた40代以上の踏ん張りに支えられているようにも思えます。
実際、シーンを牽引し、ムーブメントを起こすのは若い力。そうした意味で、20代前半からなるフィリピンの至宝 CYBER BAND が注目を集め始めていることに、プログの民はどれほど勇気づけられることでしょう。彼らの “情熱” は、勝利と喜びの味を教えてくれた RUSH とプログに対する恩返し。だからこそ、信頼できるのです。しかも彼らが現れたのはプログ未開の地、フィリピン。メタル同様、第三世界から登場する才能の芽は、シーンの未来を明るく照らします。
「僕らはプログの神様、EMERSON LAKE & PALMER, RUSH, YES, KING CRIMSON, GENESIS から影響を受けている。”Through The Passages of Time” は、壮大なプログ・ロック・ソングへの愛から生まれたもので、自分たちで作ろうと決め、自分たちの限界に挑戦したんだ。テクノロジーの台頭によって、より多くのミュージシャンが革新的で新しいものを生み出すようになると思う。プログの神々が当時そうであったように、もっと多くのアーティストが自分たちの限界に挑戦するようになれば、21世紀のプログレッシブ・ロック・ミュージックはもっと新しい音楽的次元へと進化していくだろうな」
事実、23分のオープナー “Through the Passages of Time” は、音楽の喜びを教えてくれたプログの神々に対する愛情にあふれています。さながら目前でライブを見ているかのような生々しいプロダクションはまさに70年代の偉大なプログやクラウトロックを彷彿とさせます。当時、レコーディングは生のまま、ある意味不完全なものが多くありましたが、だからこそバンドの演奏の楽しさとアイデアの豊かさが際立った側面はあるはずです。このアルバムのサウンドも同じで、パワフルでありながら扇情的で、レトロでありながらモダン。彼らのスピリットを余すことなく伝えていきます。
レトロとモダンの鍔迫り合いは音楽やアイデアにも飛び火します。CYBER BANDは、ドラム、ギター、ベース、ボーカルというクラシックなラインナップを基本としながらも、ストリングス、ピアノ、管楽器、エレクトロニック・エレメントがサウンドを豊かにし、多彩な音のビッグバンを作り出すことでプログ宇宙を拡張していきます。ジャズからクラシックまで、あの頃の巨人と同様に音楽の冒険を楽しみながら、シームレスに調和を取りながら、自らの歩みを進めるのです。
“Epitaph” や “Red Barchetta” を想わせる名演が繰り広げられるアルバムの中で、CYBER BAND をさらに特別な存在へと押し上げるのが、インタビューイ Andrew Patuasic の素晴らしい歌声でしょう。Wetton, Lake, Mercury といった伝説が帰還したかのようにエモーショナルで心を揺さぶる伸びやかな Andrew の歌唱はロックの本質、感情の昂りをリスナーに思い起こさせてくれます。それにしても、Arnel Pineda といい、フィリピンの人は本当に歌心がありますね。
今回弊誌では、Andrew Patuasic にインタビューを行うことができました。「アニメが大好きなんだ!”坂道のアポロン” というアニメが大好きで、日本がいろいろな音楽にオープンであることも大好きなんだ。”賭ケグルイ”のサウンドトラックを聴いて衝撃を受け、日本がいかにあらゆる音楽を愛しているかということを思い知らされたよ」 鍵盤とベースを同時に操る眼鏡クィッの彼も秀逸。どうぞ!!

CYBER BAND “THROUGH THE PASSAGES OF TIME” : 10/10

INTERVIEW WITH ANDREW PATUASIC

Q1: First of all, what kind of music did you grow up listening to?

【ANDREW】: I am Andrew Patuasic, 23 years old from Cagayan de Oro City, Philippines. I am the guitarist, vocalist, songwriter of Cyber Band. The kind of music that I grew up with is a lot of kinds of music ranging from classical to classic rock to prog rock and to standards.

Q1: まず最初に、どんな音楽を聴いて育ったのですか?

【ANDREW】: 僕は Andrew Patuasic、フィリピンのカガヤン・デ・オロ市出身の23歳。CYBER BAND のギタリスト、ボーカリスト、ソングライターだよ。クラシックからクラシック・ロック、プログ、スタンダードまで、いろいろな音楽を聴いて育ったんだ。

Q2: What inspired you to start playing an instrument? Who was your hero at the time?

【ANDREW】: I was inspired to learn my instrument when I was told by my teacher to bring my guitar to class and that night I asked my dad to teach me how to play the guitar. My dad was my hero in learning the guitar.

Q2: 楽器を始めたきっかけはなんだったんですか?当時のヒーローは誰でしたか?

【ANDREW】: 楽器を習おうと思ったのは、学校の先生にギターを教室に持ってくるように言われたときで、その夜、父にギターの弾き方を教えてくれるように頼んだんだ。父はギターを学ぶ上での僕のヒーローだったよ。

Q3: I have been to the Philippines several times and was struck by the fact that MTV was playing all the time.What made you get into niche, complex progressive music and metal in such an environment?

【ANDREW】: Back when we were still beginners, we kept joining battle of the bands for amateurs and we kept losing. My dad advised us to learn Tom Sawyer and YYZ by Rush if we wanted to win. And through learning both of the songs made us love Prog Rock and opened our eyes to a new world of music.

Q3: フィリピンには何度か行ったことがありますが、MTVがいつも流れていたのが印象的でした。そのような環境で、ニッチで複雑なプログレッシブ・ミュージックやメタルにのめり込んだきっかけは何だったのでしょうか?

【ANDREW】: 僕たちがまだ初心者だった頃、アマチュアのバンド・バトルに参加しては負け続けていたんだよ。父は、コンテストに勝ちたければ RUSH の “Tom Sawyer” と “YYZ” を覚えろとアドバイスしてくれた。この2曲を覚えたことで、僕たちはプログが大好きになり、新しい音楽の世界に目を向けるようになったんだ 。

Q4: In fact, what is the progressive and metal scene in the Philippines like?

【ANDREW】: The progressive rock scene in the Philippines is that we only have very little prog rock bands in the Philippines and in comparison to the metal scene, Philippines has a lot of metal bands, they’re all bounded to one another and supportive to each other.

Q4: フィリピンのプログレッシブやメタルのシーンはどんな感じですか?

【ANDREW】: フィリピンのプログレッシブ・ロック・シーンだけど、フィリピンにはプログ・バンドがほとんどいないんだ。メタル・シーンに比べるとね。フィリピンにはたくさんのメタル・バンドがいる。彼らはとても仲が良くて、互いに助け合っているよ。

Q5: By the way, “Through the Passages of Time” is a great album! Could you start by telling us about the album and the theme behind the title?

【ANDREW】: The album is about a man’s journey into the purgatory with his heart filled with regret. He tries to escape the purgatory asking the King of Time for another chance in life. The rest of the album is up to the listeners interpretation.

Q5: ところで、”Through the Passages of Time” は素晴らしいアルバムですね!まず、アルバムの内容とタイトルに込められたテーマについて教えていただけますか?

【ANDREW】: このアルバムは、後悔で胸がいっぱいになりながら、煉獄へと向かう男の旅を描いている。彼は煉獄から逃れようと、時の王に人生の再チャンスを求める。あとはリスナーの解釈次第だよ。

Q6: The title track, “Through the Passages of Time,” is an huge 23-minute epic! The structure of the song is really brilliant! Are there any bands or songs that have influenced you in terms of long songs?

【ANDREW】: We are influenced by the Prog Rock Gods Emerson Lake Palmer, Rush, Yes, King Crimson, and Genesis. Through The Passages of Time was born out of love from the epic prog rock songs and we decided to make our own and challenged ourselves to our limits.

Q6: タイトル・トラック “Through the Passages of Time” は23分の大作です!曲の構成が実に見事ですね!長い曲という点で、影響を受けたバンドや曲はありますか?

【ANDREW】: 僕らはプログの神様、EMERSON LAKE & PALMER, RUSH, YES, KING CRIMSON, GENESIS から影響を受けている。”Through The Passages of Time” は、壮大なプログ・ロック・ソングへの愛から生まれたもので、自分たちで作ろうと決め、自分たちの限界に挑戦したんだ。

Q7: The music world has changed dramatically over the past 20 years. With the rise of instant culture like streaming and social networking, prog, which takes time, intelligence, and practice to create, has never been more current. Why do you still continue to play this “Prog” music?

【ANDREW】: We chose to play Prog Rock because it is something that we really love to play. We love to challenge ourselves to our limits, to go out of the box and to travel into the new dimensions of music. Ever since we’ve listened to prog, we’ve never looked back and despite it is not something the masses would like, we decided to just play music that we want. Never thinking if the masses would like it, art for art’s sake.

Q7: 音楽の世界はこの20年で劇的に変化しました。ストリーミングやSNSのようなインスタント・カルチャーの台頭により、創作に時間と知性と練習が必要なプログはトレンドとは真逆の場所にいます。それでもあなたたちが、 “プログ” を演奏し続けるのはなぜですか?

【ANDREW】: 僕たちがプログを演奏することを選んだのは、それが本当に好きだから。自分たちの限界に挑戦し、既成概念にとらわれず、音楽の新しい次元に旅立つのが大好きなんだ。プログを聴いて以来、一度も振り返ったことはないし、大衆が好むものではないにもかかわらず、自分たちの好きな音楽を演奏することに決めた。大衆が好むかどうかではなく、芸術のための芸術をやりたかったんだ。

Q8: More to the point, many of the prog giants have aged and passed away. Some people say that progressive rock has lost the meaning of the term and has become formulaic. In the midst of all this, you guys have shown us what is possible! Do you think there is room left for prog music to evolve?

【ANDREW】: I believe with the rise of technology it will really inspire more musicians to create something innovative and new. If more artists would push themselves to the limits just how the Prog Rock Gods did back then, 21st century progressive rock music will evolve to travel to more new musical dimensions.

Q8: さらに言えば、プログの巨人たちの多くが年を取り、この世を去った人も少なくありません。プログレッシブ・ロックはその言葉の意味を失い、定型化してしまったと言う人もいます。そんな中、あなたたちは可能性を見せてくれましたね!プログが進化する余地は残されていると思いますか?

【ANDREW】: テクノロジーの台頭によって、より多くのミュージシャンが革新的で新しいものを生み出すようになると思う。プログの神々が当時そうであったように、もっと多くのアーティストが自分たちの限界に挑戦するようになれば、21世紀のプログレッシブ・ロック・ミュージックはもっと新しい音楽的次元へと進化していくだろうな。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED ANDREW’S LIFE!!

EMERSON, LAKE & PALMER “Tarkus”

RUSH “Moving Pictures”

YES “Close to the Edge”

GENESIS “Selling England By The Pound”

KING CRIMSON “In The Court of the Crimson King”

MESSAGE FOR JAPAN

Yes I love anime! I really loved the anime “Kids on the Slope” and I really love how Japan is really open to a lot of kinds of music. When I heard a soundtrack of Kakegurui that really blew my mind and realized how Japan is a lover of all kinds of music and it is shown in the song how it fuses a lot of genres into one song. We’d love to tour Japan soon! We’re just currently looking for any event productions in Japan to make us play in their music festivals or prog events. We can’t wait to play for you Japan.

アニメが大好きなんだ!”坂道のアポロン” というアニメが大好きで、日本がいろいろな音楽にオープンであることも大好きなんだ。”賭ケグルイ”のサウンドトラックを聴いて衝撃を受け、日本がいかにあらゆる音楽を愛しているかということを思い知らされたよ。近いうちに日本をツアーしたいと思っているんだ!現在、日本の音楽フェスティバルやプログ・イベントに出演させてくれるイベント・プロダクションを探しているところなんだ。日本のみんなのために演奏するのが待ちきれないよ!

ANDREW PATSUASIC

CYBER BAND Facebook

CYBER BAND Bandcamp

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【DAWN OF OUROBOROS : BIOLUMINESCENCE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH TONY THOMAS OF DAWN OF OUROBOROS !!

“We All Grew Up Near The Coastline Of California So The Pacific Ocean Has Been a Major Theme Across All Of Our Music. In The Case Of Bioluminescence, Chelsea Felt It Was a Theme She Found Beautiful, And Wanted To Express Her Admiration Of It Through The Music.”

DISC REVIEW “BIOLUMINESCENCE”

「僕たちはみんなカリフォルニアの海岸線の近くで育ったから、太平洋は僕たちの音楽すべてに共通する大きなテーマなんだ。”Bioluminescence” の場合は、Chealsea が美しいと感じたテーマで、音楽を通して生物発光の素晴らしさを表現したかった。主にアルバムのタイトル曲でね」
“Bioluminescence”(生物発光)とは、生物の体内で起こる化学反応が光を生み出すことを表します。これは、カリフォルニア州オークランドの DAWN OF OUROBOROS、その自らの尾を飲み込む円環の音蛇を実に的確に比喩した言葉なのかもしれません。様々に異なる曲作りの技法を組み合わせた彼らの虹色の輝き、それはまさにブラックメタルの生物発光。
重要なのは、彼らがそうしたインスピレーションを、自らが生まれ育った太平洋の海岸線、美しき海原と生命の神秘から受けていることでしょう。もちろん、今日ブラックメタルはその出自であるサタニズムの手を離れて、自然崇拝や少数派、弱者の代弁、スピリチュアリズムなど様々な分野に進出していますが、彼らも自らのアイデンティティを余すことなくブラックメタルに注いでいます。メタルにおける自己実現。それはきっと、とても尊いこと。
「作曲を始めるときは、いろいろなドラムのアイデアに合わせてギターを弾き、気に入ったものが出てくるまでその上で即興演奏するんだ。だから、インプロビゼーションを通して自然に生まれるものなんだよ。でも、僕たちのサウンドが人々の心に響くのは、イントロ部分の Chelsea の歌のおかげだよ。彼女もそのボーカルの多くを即興で歌うので、曲に自然なジャズ・フィーリングが生まれたんだ」
そうして唯一無二の方法で育まれた DAWN OF OUROBOROS の音楽は、当然ながら他のブラックメタルとは一線を画しています。現代的なブラックメタルとデスメタルが巧みに混ざり合う “Bioluminescence” の世界には、さながら深海を探索するようなポスト/プログのアトモスフィアが漂います。発光生物の多くが海に生息しているように、DAWN OF OUROBOROS の音色は明らかに水中のイメージを想起させ、ボーカルとギターのメロディーにはオワンクラゲのごとくみずみずしき浮遊感が存在します。
一方で、リズム・セクションが津波のようなシンセ・ラインとともに脈動し、激しいうなり声や叫び声が大空から轟いてくることもあり、この太平洋の神秘と荒波の二律背反こそがウロボロスの夜明けを端的に表しているに違いありません。
「僕たちは自分たちが好きな音楽を作ること以外を目指したことはなかったから、他のバンドがよくやること、当たり前なことなんて考えたことはなかったんだ。それに、Chelsea の声はそれ自身で彼女がいる意味を物語っていると思うし、何より彼女はハーシュ・ヴォーカルもクリーン・ヴォーカルも、他のヴォーカリストよりもうまくこなせるんだ」
そうした DAWN OF OUROBOROS の両極性を増幅させるのが、Chelsea Murphy の多面的なボーカルでしょう。ドリーミーな歌声と生々しい叫び声を瞬時に切り替える彼女の類まれな能力は、ROLO TOMASSI の Eva Korman を想わせるほどに魅力的。
“Slipping Burgundy” ではスムースでジャジーに、”Fragile Tranquility” では荒く、ほとんど懇願するようなトーンでリスナーの感情を刺激します。 先程までラウンジで歌声を響かせた歌姫が、まるで燃え盛るマグネシウムのまばゆい輝きのように耳を惹き、ハリケーンのように畏敬の念を抱かせるスクリームで世界を変える瞬間こそ圧巻。バスキングと威嚇を繰り返すウロボロスの円環はあまりにも斬新です。
今回弊誌では BOTANIST でも活躍する Tony Thomas にインタビューを行うことができました。「最近では、ALCEST や DEAFHEAVEN, 明日の叙景、LANTLOS, HERETOIR のようなポスト・ブラックメタルや、COMA CLUSTER VOID, ROLO TOMASSI, ULCERATE のようなプログレッシブ・メタルを探求しているね」 どうぞ!!

DAWN OF OUROBOROS “BIOLUMINESCENCE” : 10/10

INTERVIEW WITH TONY THOMAS

Q1: First of all, what kind of music did you grow up listening to?

【TONY】: Well music was always a big part of my home environment. My parents were always playing classic rock music when I was very young. So I was exposed regularly to the music of the Beatles, Led Zeppelin, Pink Floyd etc.
As I grew older and I started to develop my own tastes. I gravitated towards heavy music which around 1997 what I was exposed to was music such as Nine Inch Nails, and various Nu Metal bands.
Around fourteen years old I discovered extreme metal through Cradle of Filth. I explored various bands such as Dimmu Borgir Mayhem, and even Sigh. and Melodic death metal such as Dark Tranquility was also early metal I was exposed to.
When I started playing my own music I took lots of influence from Scandinavian black metal, but also progressive metal such as Cynic, Atheist, and later bands like Between the Buried and Me, and Dillinger Escape Plan.
These days I enjoy exploring lots of post black metal like Alcest, Deafheaven. Asunojokei, Lantlos, Heretoir and progressive metal like Coma Cluster Void, Rolo Tomassi, Ulcerate. .

Q1: 本誌初登場です。まずは、あなたの音楽的なバックグラウンドからお話ししていただけますか?

【TONY】: 僕の家庭環境では、常に音楽が大きな部分を占めていたね。僕が幼い頃、両親はいつもクラシック・ロックをかけていた。だから、THE BEATLES, LED ZEPPELIN, PINK FLOYD といった音楽に定期的に触れていたよ。
ただ、大人になるにつれて、自分の好みが出てきたね。1997年頃には、NINE INCH NAILS や様々な Nu-metal バンドなどのヘヴィ・ミュージックに傾倒していった。
14歳頃、CRADLE OF FILTH を通してエクストリーム・メタルに出会った。DIMMU BORGIR, MAYHEM, SIGH など様々なバンドを探しあてたし、DARK TRANQUILLITY のようなメロディック・デスメタルも初期にハマったメタルだった。
自分の音楽を始めた頃は、スカンジナビアのブラック・メタルから多くの影響を受けたけど、同時に CYNIC や ATHEIST のようなプログレッシブ・メタル、後には BETWEEN THE BURIED AND ME や THE DILLINGER ESCAPE PLAN のようなバンドからも影響を受けた。
最近では、ALCEST や DEAFHEAVEN, 明日の叙景、LANTLOS, HERETOIR のようなポスト・ブラックメタルや、COMA CLUSTER VOID, ROLO TOMASSI, ULCERATE のようなプログレッシブ・メタルを探求しているね。

Q2: You are a well-known member of Botanist, why did you start Dawn of Ouroboros?

【TONY】: I started Dawn of Ouroboros about six months before I joined Botanist. So late 2018 is when the band started writing music.

Q2: あなたは BOTANIST のメンバーとしても知られていますが、なぜ DAWN OF OUROBOROS を始めたのですか?

【TONY】: DAWN OF OUROBOROS を始めたのは、BOTANIST に加入する半年ほど前だった。 だから2018年後半がこのバンドが曲作りを始めた時期だったね。

Q3: The band name Dawn of Ouroboros is very cool, why did you choose this name?

【TONY】: We felt the name best represented the sound of the band. As we take so many different influences and combine them in a way to make our own sound.

Q3: DAWN OF OUROBOROS というバンド名はとてもクールですが、なぜこの名前に決めたのですか?

【TONY】: OUROBOROS (自分の尾を飲み込む蛇) がバンドのサウンドを最もよく表していると思ったからだよ。様々な影響を受けて、それを組み合わせて自分たちのサウンドを作っているからね。

Q4: First of all, what makes this band so impressive is your compositions and Chelsea Murphy’s voice. Her voice is very appealing, but why did you decide to use a female vocalist, which is still not common in the field of black metal?

【TONY】: Well we never really set out to do anything other than make music we like ourselves so we never considered what is common for other bands to do. And well, I think Chelsea’s voice speaks for itself, and it can pull off harsh vocals and cleans better than most other vocalists.

Q4: まず、このバンドを印象的にしているのは、あなたの作曲と Chelsea Murphy の歌声です。
彼女の声はとても魅力的ですが、ブラックメタルの分野ではまだ一般的ではない女性ヴォーカリストを起用したのはなぜですか?

【TONY】: そうだね、僕たちは自分たちが好きな音楽を作ること以外を目指したことはなかったから、他のバンドがよくやること、当たり前なことなんて考えたことはなかったんだ。それに、Chelsea の声はそれ自身で彼女がいる意味を物語っていると思うし、何より彼女はハーシュ・ヴォーカルもクリーン・ヴォーカルも、他のヴォーカリストよりもうまくこなせるんだ。

Q5: One of my favorite tracks on the album is “Slipping Burgundy”. It’s great how lounge singing jazz is somehow swallowed by the wave of post-black metal, but how do you come up with these ideas?

【TONY】: The way I start compositions is to just play my guitar to various drum ideas and improvise over them until I hear something I like. So it just arose naturally through improvisation. However, what really makes us have the sound that really clicks with people is Chelsea’s singing for the intro section. She also improvises much of her vocals so it gave the song a real natural jazz feel.

Q5: アルバムの中で一番好きな曲のひとつが “Slipping Burgundy” です。
ラウンジで歌われるジャズがいつの間にかポスト・ブラックの波に飲み込まれていく様が素晴らしいですが、こうしたアイデアはどうやって思いつくのですか?

【TONY】: 作曲を始めるときは、いろいろなドラムのアイデアに合わせてギターを弾き、気に入ったものが出てくるまでその上で即興演奏するんだ。だから、インプロビゼーションを通して自然に生まれるものなんだよ。
でも、僕たちのサウンドが人々の心に響くのは、イントロ部分の Chelsea の歌のおかげだよ。彼女もそのボーカルの多くを即興で歌うので、曲に自然なジャズ・フィーリングが生まれたんだ。

Q6: In Botanist, you and Otrebor delve into the field of botany, and the title “Bioluminescence” is also very biological indeed. Why did you choose this title and what themes are discussed on the album?

【TONY】: We all grew up near the coastline of California so the pacific ocean has been a major theme across all of our music. In the case of Bioluminescence, Chelsea felt it was a theme she found beautiful, and wanted to express her admiration of it through the music. Primarily with the title track of the album.

Q6: BOTANIST では、あなたと Otrebor は植物学の分野を掘り下げていますが、”Bioluminescence” というタイトルも実に生物学的です。このタイトルを選んだ理由と、アルバムの中で語られているテーマを教えてください。

【TONY】: 僕たちはみんなカリフォルニアの海岸線の近くで育ったから、太平洋は僕たちの音楽すべてに共通する大きなテーマなんだ。”Bioluminescence” の場合は、Chealsea が美しいと感じたテーマで、音楽を通して生物発光の素晴らしさを表現したかった。主にアルバムのタイトル曲でね。

Q7: Regarding “Nature”, some black metal bands like Wolves in the Throne Room, Agalloch, Alcest, have an ideology of Nature Worship and spiritualism. Do you think you have some common points with them?

【TONY】: Absolutely. As I mentioned, we grew up near the coastline of Northern California. So we’ve spent a great deal of time there. But we have also explored the redwood forests of the area throughout our lives.

Q7: “自然” といえば、WOLVES IN THE THRONE ROOM, AGALLOCH, ALCEST といったブラックメタル・バンドの中には、自然崇拝やスピリチュアリズムの思想を持つバンドがいますね。彼らにシンパシーを感じますか?

【TONY】: もちろんだよ。さっきも言ったように、僕らは北カリフォルニアの海岸線の近くで育った。そこで多くの時間を過ごしてきたんだ。だけど、僕たちは生涯を通じて、この地域のレッドウッドの森も存分に探索してきているからね。

Q8: Current black metal scene is very diverse, not only in terms of music, but also in terms of themes, with some bands moving away from devil worship and dealing with the natural environment and transgenderism. I think are obviously in the diverse black metal stream. How do you feel about black metal moving away from the violence of the early murders and church arson?

【TONY】: I first got into black metal as a teenager and the satanic themes were very interesting to me at the time as it was far darker than any other music I had found till that point. Personally, I’m agnostic so spiritual themes are irrelevant to my personal life. So for us just using themes that are from our own experiences applies best to our music. Such as themes of nature, and general life experience.

Q8: 現在のブラックメタル・シーンは、音楽だけでなくテーマも非常に多様で、悪魔崇拝から離れ、自然環境やトランスジェンダーを扱うバンドも増えています。そしてあなたたちも明らかにそうした多様なブラックメタルの流れの中にあると思います。
ブラックメタルが初期の殺人や教会放火のような暴力から遠ざかっていることについてどう思いますか?

【TONY】: 僕がブラック・メタルにハマったのは10代の頃で、それまで僕が見つけていた他のどの音楽よりもはるかにダークだったから、当時はそうした悪魔的なテーマが僕にとって非常に興味深いものだった。
個人的には、私は不可知論者 (神の存在も非存在も知り得ないという立場) なので、スピリチュアルなテーマは個人的な生活には関係ないけどね。だから、僕らの音楽には、自分たちの経験から得たテーマを使うのが一番適しているんだ。例えば、自然や一般的な人生経験といったテーマがね。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED TONY’S LIFE!!

Cradle of Filth “Dusk and Her Embrace”

As it was the first extreme metal album I ever heard.

初めて聴いたエクストリーム・メタルのアルバムだった。

Death “Individual Thought Patterns”

It introduced me to more progressive elements in metal and inspired me to pick up playing guitar.

このアルバムでメタルのプログレッシブな要素を知り、ギターを弾くようになった。

Emperor “Anthems to the Welkin at Dusk”

It introduced me to the unrestrained and progressive possibilities that can be achieved through black metal music.

ブラックメタルで達成できる自由でプログレッシブな可能性を教えてくれた。

Sigh “Scenario IV: Dread Dreams”

My first exposure to more Avant-garde themes used with metal music. It really broke down barriers in my mind on “what’s allowed” in metal compositions.

メタル音楽で使われるよりアバンギャルドなテーマに初めて触れた。メタル作曲において「何が許されるのか」という自分の中の障壁を本当に取り払ってくれたよ。

Lantlos “Melting Sun”

A more recent influence, but one that I find to be one of the most emotionally compelling.

より最近の影響だが、最も感情移入しやすいものの1つだと思う。

MESSAGE FOR JAPAN

I am. I first watched Akira when I was around 12 and got into anime.
For anime some of my favorites are; Serial Experiments Lain, Ergo Proxy, or even stuff like Gurren Lagann.
For manga some of my favorites are Gantz, and Kamisama no Iutoori.
With video games I’m big on RPG games. My first was Phantasy Star IV. But I’d say my favorites are all of the Shin Megami Tensei games, Xenogears, and Chrono Trigger.
Thanks for the interview, and thank you to the fans we have in Japan! We hope you enjoy our new album Bioluminescence, but also explore our other albums. We very much hope that we will be able to tour Japan in the near future!

日本文化についてだけど、まず12歳頃に初めて “AKIRA” を見て、アニメにハマったんだ。それから好きになったのは、”serial experiments lain”、”Ergo Proxy”、”天元突破グレンラガン” などだね。
漫画では “Gantz” や “神さまの言うとおり” などが好き。
ゲームではRPGが好きだね。 初めてやったのは “ファンタシースターIV”。 でも一番好きなのは、”真・女神転生”、”ゼノギアス”、”クロノ・トリガー” かな。
インタビューをありがとう!そして日本のファンのみんな、ありがとう! ニューアルバム “Bioluminescence” を楽しんでもらえるとうれしいし、他のアルバムもぜひ聴いてみてほしいな。近い将来、日本ツアーができることを願っているよ!

TONY THOMAS

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【FROGG : ECLIPSE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH SKY MOON CLARK OF FROGG !!

“Obviously I LOVE Tech Death, But Yes, One Has To Admit There’s a Formulaic Approach To Both Production And Songwriting In The Genre.”

DISC REVIEW “ECLIPSE”

「特定のサブジャンルにこだわる必要なんてなくて、どんなアイデアも排除したくなかったんだ。 だから “Eclipse II” にはメタル・コア、Djent、フュージョンの要素があり、Will が演奏した何十種類もの楽器を使ったギター・ソロ・セクション、特にファースト・ソロで目立つタブラの妙技、そして黒く染まったシンフォニック・デスメタルのアウトロまでがある。 まさにそれが僕たちが感じていたものだった」
“Frogging the Horses” という SikTh の狂った名曲がありますが、Frogg の二つ名はプログ世界にとってはどうやら僥倖。”どんなアイデアも排除しない” という意味で、明らかにニューヨークのセンセーション FROGG はあの SikTh の魂を受け継いでいます。いや、SikTh だけではありません。00年代、SikTh と “カオス” の覇権を激しく争った PROTEST THE HERO の高鳴るギター・メロディ。ANIMALS AS LEADERS の超重低音とシステマティックな陶酔。BETWEEN THE BURIED AND ME の驚異的で雑多な構成力。NECROPHAGIST の性格無比な超速暴威。そうした21世紀を代表するプログ・メタルを養分として蓄えた巨大なカエルが今、メタルの境界をすべて飲み込みます。
「間違いなく Alexi Laiho だね。 僕がギターを弾き始めたのは高校1年生のときで、かなり後発組だった。 でも、ギター中毒になってしまって、ギターを弾くのを止められなかったよ。僕はPCゲーマーだったから、ネットで独学する方法を知っていたんだ。 Ultimate Metal Forums と sevenstring.org は、当時ギターを学ぶのに人気のサイトだった。まだYoutubeのコンテンツが豊富ではなかったから、フォーラムとギター・タブが主流だったね。僕は地元でフルタイムのインストラクターを雇う余裕がなかったから、Guitar Proが最初の先生だったよ」
そうした21世紀の多様性に FROGG はギター・ヒーローの魂を持ち込んでいます。奔放でカラフル、まるでメインストリームのポップ・ミュージックのように光り輝く “Wake Up” においても、Alexi Laiho から受け継いだ高速の “ピロピロ” がメタルの証を主張します。
実際、”フロッゲンシュタイン” などと例えられるパッチワークな FROGG の音楽において、Sky Moon Clark と Brett Fairchild のシュレッドがすべてを縫い合わせている、そんなイメージさえリスナーは感じることになるでしょう。Alexi Laiho と Guitar Pro の遺産が実りをもたらす時代になりました。”Double Vision Roll” なんて実に COB ですよね。
そうして紡ぎ出されるのは、テクニカル・デスメタルらしからぬスケール感と意外性、そしてお洒落なムード。空想的なメロディ、短いポップなブレイク、奔放な音楽的ショーマンシップに自由を見出した薔薇色のメタル。今の時代、”テック” だけでメタル世界の水面に波紋を広げることはできません。しかし、FROGG の棲む水面にはステレオタイプに飽きたリスナーが渇望する、ぞわぞわとしたカタルシスとカエルが舌を伸ばすようなお茶目な驚きと遊び心が混じった何かが渦を巻いています。まさに新時代のメタル両生類。
今回弊誌では、ボーカルも務める Sky Moon Clark にインタビューを行うことができました。「Will(ドラマー)はこのアルバムのもう一人の主要なソングライターで、BTBAM や SikTH に影響を受けている。 THE FACELESS, COB, SCAR SYMMETRY にはもっと影響を受けたと思う。 FFO (For Fans Of) にBTBAMに入れたのは、彼らが DIABLO SWING ORCHESTRA や UNEXPECT と並んで Will に大きな影響を与えたからなんだ」 UNEXPECT!!ARSIS の名盤を挙げているのも嬉しい。また Emma のショルキーが最高よね。どうぞ!!

FROGG “ECLOPSE” : 10/10

INTERVIEW WITH SKY MOON CLARK

Q1: First of all, what kind of music did you grow up listening to?

【SKY】: This might surprise you but when I was very young I was big into gangster rap but my world shifted when I heard As The Palaces Burn by Lamb of God sometime in 2004. That was kind of my gateway drug into the heavy metal universe. I started with the classics y’know (Death, Megadeth, Iron maiden etc…) but about a year later I got really into Children of Bodom, and that’s pretty much stuck ever since. COB is still one of my favorite bands today.

Q1: 本誌初登場です!まずは、あなたの音楽的バックグラウンドからお話ししていただけますか?

【SKY】: 驚かれるかもしれないけど、僕は若い頃、ギャングスタ・ラップに夢中だったんだ。でも、2004年のある日、LAMB OF GOD の “As The Palaces Burn” を聴いて世界が変わった。それがヘヴィ・メタルへの入り口だった。
DEATH, MEGADETH, IRON MAIDEN といったクラシックから入ったんだけど、その1年後くらいに CHILDREN OF BODOM にハマって、それ以来ずっとメタルから抜け出せないでいる。COBは今でも大好きなバンドのひとつだよ。

Q2: Frogg is a band full of technicians, what made you start playing an instrument? Who were your heroes back then?

【SKY】: efinitely Alexi Laiho. I was a pretty latecomer to the guitar playing party only starting things up freshman year of highschool. I just got addicted, I couldn’t stop playing the damn thing and I was so bad too. But I was a young degen pc gamer so I knew how to teach myself things online. Ultimate Metal Forums & Sevenstring.org were popular websites back then for learning guitar. There wasn’t as rich of a moat in the Youtube content universe yet, so forums & guitar tabs were the way. Guitar Pro was my first teacher, as I wasn’t able to really afford a full time instructor local to me..

Q2: FROGG は非常にテクニカルなバンドですが、ギターを始めたきっかけは何だったんですか?当時のヒーローは誰でしたか?

【SKY】: 間違いなく Alexi Laiho だね。 僕がギターを弾き始めたのは高校1年生のときで、かなり後発組だった。 でも、ギター中毒になってしまって、ギターを弾くのを止められなかったよ。
僕はPCゲーマーだったから、ネットで独学する方法を知っていたんだ。 Ultimate Metal Forums と sevenstring.org は、当時ギターを学ぶのに人気のサイトだった。まだYoutubeのコンテンツが豊富ではなかったから、フォーラムとギター・タブが主流だったね。僕は地元でフルタイムのインストラクターを雇う余裕がなかったから、Guitar Proが最初の先生だったよ。

Q3: How did Frogg come to be? What’s the meaning behind your band name Frogg?

【SKY】: So we founded the band back in 2008/9 in highschool. My sister was our co-lead singer at that time and she coined the term and it kind of just stuck. There’s no real deep meaning to it other than that. It was between frogg with two Gs or cheeese with three e’s. We were teenagers back then, young and unaware.

Q3: FROGG という名前はとてもユニークですね?

【SKY】: バンドを結成したのは2008年のことで、高校生の時だった。 当時、僕の妹がコ・リード・ボーカルだったんだけど、彼女がこの言葉を作って、それがそのまま定着したんだ。 それ以外に深い意味はないんだよね。 Gが2つある FROGG か、Eが3つある Cheeese で迷ったんだ。 当時の僕たちはティーンエイジャーで、若くて何も知らなかった。

Q4: “Eclipse” is an album full of real surprises. It’s basically technical death metal, but without the niche feel characteristic of that genre, and with a much freer, more diverse and major cathy feel, would you agree?

【SKY】: You know, I’m not really sure what genre Eclipse really is, but I don’t think that matters. Like yeah, obviously I LOVE tech death, but yes, one has to admit there’s a formulaic approach to both production and songwriting in the genre. I’m a sucker for blast beats, and counterpart guitars. Eclipse was designed to be more of a journey, if we played a dope riff in the room Will (drummer) & I would just include it. We didn’t want to exclude any ideas because we needed to be a specific subgenre and stick to it. Hence why Eclipse II has elements of metalcore, djent, fusion guitar solo section with dozens of real world instruments that Will played, especially the prominent tabla chops during the first solo, and then a blackened symphonic death metal outro. It was just what we were feeling. This sort of mentality is pretty progressive but there’s definitely the constant “you guys are riff salad”, but when you work on a song for ~14 years or so, it’s a very conscious decision. The band is full Berklee folk, so we know how music is supposed to be, especially in these genres. But on the other hand, I wouldn’t say we made something different just to make a statement or be contrarian. To be completely honest with you, I didn’t think many people would like this thing. I was super stressed out leading up to the release thinking we’d just get torn apart by the community. While there’s still some criticism on the genre-blending that Eclipse does, it’s been pretty awesome to see us sell out almost half our physical CDs within the first week of orders being up. I mean hey, we’re a small unknown band right now, so we’re not talking big numbers here, but it still felt pretty insane to us.

Q4: “Eclipse” は本当に驚きに満ちたアルバムですね! 基本的にはテクニカル・デスメタルですが、このジャンル特有のニッチな感じはなく、もっと自由で多様でメジャー、キャッチーな感覚があります。

【SKY】: “Eclipse” がどんなジャンルなのかよくわからないけど、どんなジャンルでも構わないと思う。 僕はテクデスが大好きだけど、このジャンルにはプロダクションとソングライティングの両面で定型的なアプローチがあることは認めざるを得ないよね。 僕はブラストビートと対になるギターが大好きなんだ。
“Eclipse” はもっと旅に出るような音楽として作られていて、もしWill Brown(ドラマー)と僕が部屋でドープなリフを演奏したら、それを取り入れていくだけだった。 特定のサブジャンルにこだわる必要なんてなくて、どんなアイデアも排除したくなかったんだ。 だから “Eclipse II” にはメタル・コア、Djent、フュージョンの要素があり、Will が演奏した何十種類もの楽器を使ったギター・ソロ・セクション、特にファースト・ソロで目立つタブラの妙技、そして黒く染まったシンフォニック・デスメタルのアウトロまでがある。 まさにそれが僕たちが感じていたものだった。
こういったメンタリティはかなりプログレッシブで、”君たちはリフ・サラダだ” と常に言われるのは確かだけど、14年とか曲を作っていると、それはとても意識的なことなんだ。 このバンドはバークリー出身だから、特にこういうジャンルの音楽がどうあるべきかは分かっている。でもその一方で、ただ主張するために、あるいは逆張りするために違うものを作ったとは言いたくないんだ。
正直に言うと、多くの人がこの作品を気に入ってくれるとは思っていなかった。 リリースに至るまで、コミュニティからボロクソに言われるんじゃないかと超ストレスを感じていたよ。”Eclipge” でやっているジャンル・ブレンドにはまだ批判もあるけれど、注文開始から1週間でフィジカルCDの半分近くが完売したのは、とても素晴らしいことだよ。 僕たちは無名の小さなバンドだから、ここで大きな数字は語れないけど、それでも僕らにとってはかなり信じられないことだった。

Q5: In that sense, your music reminded me of bands like SikTh, Periphery, BTBAM, The Contortionist, and Scale the Summit. How do you feel about the comparison to them?

【SKY】: It’s interesting to hear the comparisons. Will (drummer) was the other major songwriter on the record, has more BTBAM & SikTH, I think I have more Contortionist, Scale The Summit. I think The Faceless, Children of Bodom & Scar Symmetry influenced me a lot more. We put that FFO inclusive of BTBAM because they are a big influence of Will’s along with Diablo Swing Orchestra & Unexpect, but the majority of the songs I gotta be honest… I don’t know who the hell influenced me on some of this stuff. The comparison is a positive though, because anybody who’s able to compare us to names like that is a huge compliment. Those bands are all killer in my book.

Q5: “どんなアイデアも排除しない” という意味で、あなたの音楽は SikTh, PERIPHERY, BTBAM, THE CONTORTIONIST, SCALE THE SUMMIT といったバンドを思い出させてくれます。 彼らとの比較についてどう感じますか?

【SKY】: そうした比較を聞くのは面白いね。 Will(ドラマー)はこのアルバムのもう一人の主要なソングライターで、BTBAM や SikTH に影響を受けている。 THE FACELESS, COB, SCAR SYMMETRY にはもっと影響を受けたと思う。
FFO (For Fans Of) にBTBAMに入れたのは、彼らが DIABLO SWING ORCHESTRA や UNEXPECT と並んで Will に大きな影響を与えたからなんだ。でも大半の曲は、正直に言うと…一体誰に影響を受けたのか分からないんだ。
でもそうした比較はとてもポジティブに受け止めるよ。というのも、そのようなバンドと僕らを比較してくれるってことは、とても褒め言葉だからだ。 僕の中では、君があげたようなバンドはみんなキラーだからね。

Q6: What kind of movement was Djent for you?

【SKY】: I think Djent for me as a guitar player was a moment of guitar technique expansion with techniques evolving, techniques used on bass being incorporated into the extended range of 7 or 8 string guitars. A lot of good came out of the Djent movement. I think the trap there is, there’s a lot of production & similar songs. To me there’s great “djent” records but there’s a lot of staleness– but that’s just my picky ear. Disperse’s Living Mirrors was one of my favorite records for a while.

Q6: では、Djent というムーブメントはあなたにとってどんなものでしたか?

【SKY】: ギタリストとしての僕にとっての Djent は、ベースで使われていたテクニックが7弦や8弦ギターの拡張された音域に取り入れられるなど、ギターのテクニックが進化して拡張された瞬間だったと思う。 Djentムーブメントからは多くの良いものが生まれた。 そこにある罠は、多くのやりすぎたプロダクションと似たような曲があることだと思う。 僕にとっては、素晴らしい “Djent” のレコードがある一方で、陳腐なものが多い。DISPERSE の “Living Mirrors” は、そんな中でもお気に入りのレコードのひとつだったね。

Q7: “Eclipse” deals with the mythology of various places, doesn’t it? Why did you decide to make such an album?

【SKY】: So lyrically and thematically, yes there’s some pretty on the nose references to different mythologies from Native American, to Greek, to Filipino to Warhammer (lol we are nerds that love warhammer). But each song had a specific intention, you could know jack about each one and still connect with the lyrics. The songs can be interpreted in many ways but the main two are 1)The Mythologic Angle or 2) The Emotional Implications. I think we just wanted each song to be part of a unique journey and it sat right.

Q7: “Eclipse” ではさまざまな土地の神話を扱っていますね。 なぜそのようなアルバムを作ろうと思ったのですか?

【SKY】: 歌詞やテーマ的には、ネイティブ・アメリカン、ギリシャ神話、フィリピン神話、ウォーハンマー(僕らはウォーハンマーが大好きなオタクなんだ。)などを扱っているね。 それぞれの曲には特定の意図があり、それぞれのテーマについて知っていなくても歌詞に共感することができる。 曲はいろいろな解釈ができるけど、主な2つは1)神話的な角度、2)感情的な意味合いかな。 それぞれの曲がユニークな旅の一部となることを望んでいたし、それがうまくはまったんだと思う。

Q8: The music world has changed dramatically over the past 20 years. With the rise of instant culture like streaming and social networking, prog, which takes time, intelligence, and practice to create, has never been more current. Why do you still continue to play this “Prog” music?

【SKY】: Well, great art takes hard work and dedication. It’s an honor to be able to spend time honing skills, and putting blood sweat and tears into something you love. I think this is a lifelong journey for the current guys and myself in the band. It’s not something we pursue for instant gratification, it’s deeper than that. To me, it’s almost part of connecting with my human spirit, which is ironic I’m sure to people unfamiliar with extreme metal… like if you told a grandma on the street that “this artist is connecting with his inner self” and popped an earbud in her ear she’d probably run away.

Q8: この20年で音楽世界は劇的に変化しました。ストリーミングや SNS のようなインスタント・カルチャーの台頭により、創作に時間と知性と修練が必要なプログはトレンドとは程遠い場所にいます。それでもなお、”プログ” を追求し演奏し続けるのはなぜですか?

【SKY】: 素晴らしい芸術には努力と献身が必要だ。 時間をかけて技術を磨き、好きなことに血と汗と涙を注ぐことができるのは名誉なことだ。
今のメンバーや僕自身にとって、これは生涯の旅だと思う。 すぐに満足するために追求するものではなく、もっと深いものなんだ。 僕にとっては、ほとんど自分の魂と繋がっているというかね。それってエクストリーム・メタルに馴染みのない人にとっては皮肉な話だろうけど……道行くおばあちゃんに “このアーティストは自分の内面とつながっているんだよ” と言ってイヤホンを耳に突っ込んだら、きっと逃げ出すだろうけどね。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED SKY’S LIFE!!

CHILDREN OF BODOM “Follow The Reaper”

SCAR SYMMETRY “The Singularity Phase II -Xenotaph”

GALNERYUS “Resurrection”

THE FACELESS “Autotheism”

ARSIS “Starve For The Devil “

MESSAGE FOR JAPAN

Yes! My girlfriend & I watch some popular anime like To Your Eternity, Solo Leveling, JJK etc… I’m also huge into video games, really dug the Sekiro series. I definitely have my hand of Japanese artists I love both in music and visual arts, lots of insanely talented painters from Japan.
Our message to Japan: One day, we will be in Japan playing a show. Come see us, let’s go f*cking crazy!

僕と彼女は、”不滅のあなたへ” 、”俺だけレベルアップな件”、”呪術廻戦” などの人気アニメを見ているし、ゲームも大好きで、 “Sekiro” シリーズは本当に面白かった。 音楽でもビジュアル・アートでも、大好きな日本のアーティストがたくさんいるんだ。いつか日本でライブをやるよ。僕たちに会いに来て、クレイジーに盛り上がろう!

SKY MOON CLARK

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SEVENTH STATION : ON SHOULDERS OF GIANTS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH SEVENTH STATION !!

“We Had This Inspiration- What If All These Master Composers Were Alive Today, Having Access To The Technology And All The Musical Capacity Of Everything We Have Today, How Would It Sound?”

DISC REVIEW “ON SHOULDERS OF GIANTS”

「もし、現代音楽の巨匠、作曲家たちが今に生きていて、現代のテクノロジーとあらゆる音楽的能力を利用できるとしたら、どんなサウンドになるだろうか?それは素晴らしい創造的な挑戦であり、僕たちにインスピレーションを与えてくれる音楽の巨匠たちに謙虚な敬意を払う機会でもあったんだ」
ヘヴィ・メタルとクラシック音楽は、RAINBOW, SCORPIONS や Yngwie Malmsteen が証明するように、太古の昔から美しきアマルガムを演じてきました。荘厳かつ影のあるネオ・クラシカルな旋律と、メタルのダークな重さは実に相性が良く、そのマリアージュは今やメタルの顔と言っても過言ではないでしょう。
一方で、アヴァンギャルドかつ多様な20世紀以降のクラシック、現代音楽とメタルの融合はあまり進んでこなかったというのが実情でしょう。もちろん、例えば SYMPHONY X のように現代音楽まで踏み込んで咀嚼するバンドは少なからず存在しますが、それ相応の音楽知識と好奇心、挑戦心を兼ね備えたアーティストは決して多くはないのです。SEVENTH STATION はそんな状況に風穴を開けていきます。
「DREAM THEATER と一緒にステージに立つという生涯の夢が、Jordan とのつながりの直後、このレコードで実現した。僕の音楽的マインドを解放してくれた最も影響力のあるヒーローたちと一緒に演奏するという信じられないような特権を得たし、このクレイジーな夢に50人もの才能あるバークリーの友人たちを招待することができた。DREAM THEATER のライブ・レコーディングに指揮者兼アレンジャーとして参加したことは、今でも思い出すとゾクゾクする」
そうした前代未聞を実現したのは、労力と時間をかけた学びの力でした。SEVENTH STATION は、スロベニア、トルコ、イスラエルを拠点とする多国籍プログレッシブ・エクスペリメンタル・メタル・バンド。エルサレムの音楽アカデミーとボストンのバークリー音楽大学の間で結成された彼らの “学びの力” “学びへの意欲” は多くの音楽家を凌駕しています。だからこそ、鍵盤奏者でプログラマーの Eren Başbuğ はあの Jordan Rudess の愛弟子となることができました。DREAM THEATER のオーケストレーションも担当。そうして彼らは常に高い到達点を目指し、感情的に複雑で巧みな芸術を追求し、アルバムごとにプログレッシブ・ミュージックがあるべきビジョンに向かって前進しているのです。
「美的にも芸術的にも、20世紀初頭に憧れがあるのは間違いない。テクノロジーが未熟だった時代にね。現代人がいつでも誰でもすぐに情報にアクセスできるようになったことで、多くの謎や心の余裕が失われてしまった。そのミステリーとマインドフルネスには、世界と互いについて常に好奇心を持ち、夢を見続けるという、人と人との表現とつながりという意味があった」
そんなSEVENTH STATION が理想とするのが、まだテクノロジーが未熟で、だからこそそこに謎や驚き、意外性が存在した20世紀初頭。ストラヴィンスキー、ショスタコーヴィチ、ヴォーン・ウィリアムズにモノトーンの無声映画。彼らはそうした古き良き時代にあった驚き、不確実性、不調和、シュールレアリズム、そして実験精神をヘヴィ・メタルで見事現代に甦らせました。木琴も彼らの手にかかれば立派なメタル楽器。異端児や歌舞伎者の魂は、決して一朝一夕、インスタントに貫くことなどできないのです。
今回弊誌では、SEVENTH STATION にインタビューを行うことができました。
「”Nagasaki Kisses” は、ラルフ・ヴォーン・ウィリアムズの交響曲第6番の第1楽章を僕たちが再構築したもの。多くの学者やリスナーは、ヴォーン・ウィリアムズの交響曲第6番、特にその第1楽章は、第二次世界大戦の暗い感情の余波を反映していると推測しているんだ。ヴォーン・ウィリアムズが交響曲第6番を作曲したのは戦後の数年間で、世界中が原爆戦争の悲惨な結末と、紛争が残した深い傷跡と格闘していた時期だった。暗く、陰鬱で、時に不穏な雰囲気を持つこの交響曲の陰鬱な曲調は、この破滅的な出来事から生じた「死」「絶望」「喪失」の感情と一致しているよ」 どうぞ!!

Dmitri Alperovich – Electric and Acoustic Guitars
Eren Başbuğ – Keyboards, Editing, Programming
Davidavi (Vidi) Dolev – Vocals [2, 4, 5]
Alexy Polyanski – Bass Guitars
Grega Plamberger – Drums, Marimba [3], Percussion

SEVENTH STATION “ON SHOULDERS OF GIANTS” : 10/10

INTERVIEW WITH SEVENTH STATION

Q1: First of all, what kind of music did you grow up listening to?

【EREN】: Early on growing up in a conservatory, a lot of western classical music. Baroque to romantic to contemporary, from solo pieces to whole symphonies and operas. During the rebellion phase of high school, I ventured out to R&B, nu-metal, 90s pop, trip-hop and finally progressive metal of course. I also had a Gameboy Advance SP where I played lots of Pokemon, which the soundtracks still have a special and dear place in my heart to this day.

【DMITRI】: I began playing the guitar at the age of twelve, but my connection to music goes back even further. My parents often share stories of me, just one year old, sitting by the piano in our home in Belarus, pressing the keys for hours on end. Our house was always filled with a rich variety of music, and we had an extensive collection of LPs, which exposed me to a wide range of genres from pop and rock to jazz and classical a very young age. This early immersion in music played a significant role in shaping my musical tastes and interests. When I decided I wanted to learn the electric guitar, my parents, recognizing the importance of a solid musical foundation, enrolled me in classical music and classical guitar lessons. While this was initially a departure from the electric guitar I had envisioned, it opened my eyes to the depth and beauty of classical music. This exposure has profoundly influenced not only my development as a musician but also my broader understanding of music and its impact on me as a person. The discipline and techniques I learned in classical training have become an integral part of my musical identity, enriching my approach to all genres.

Q1: 本誌初登場です!まずは、あなたの音楽的なバックグラウンドからお話ししていただけますか?

【EREN】: 音楽院で育ったころは、西洋のクラシック音楽が多かった。バロックからロマン派、現代音楽まで、そして独奏曲から交響曲やオペラまで。高校の反抗期には、R&B、Nu-metal、90年代のポップス、トリップ・ホップ、そしてもちろんプログレッシブ・メタルを聴いていたね。あとはゲームボーイ・アドバンスSPも持っていて、そこでポケモンをたくさんプレイしたんだけど、そのサウンドトラックは今でも僕の心の中で特別で大切な位置を占めているよ。

【DMITRI】: 僕は12歳でギターを弾き始めたんだけど、音楽とのつながりはもっと前にさかのぼるんだ。両親は、まだ1歳だった僕がベラルーシの家でピアノのそばに座り、何時間も鍵盤を押していた話をよくしてくれる。我が家はいつもバラエティに富んだ音楽であふれ、LPのコレクションも充実していたから、僕は幼い頃からポップスやロックからジャズやクラシックまで幅広いジャンルに触れていたんだ。この幼少期からの音楽漬けが、僕の音楽的嗜好や興味を形成する上で重要な役割を果たした。
エレキ・ギターを習いたいと思ったとき、両親はしっかりとした音楽的基礎の重要性を認識していて、クラシック音楽とクラシック・ギターのレッスンを受けさせてくれた。これは当初、僕が思い描いていたエレキ・ギターとはかけ離れたものだったけど、クラシック音楽の奥深さと美しさに目を開かせてくれたんだ。この経験は、僕の音楽家としての成長だけでなく、音楽に対する幅広い理解や、音楽が僕に与えるインスピレーションにも大きな影響を与えた。クラシックの訓練で学んだ規律とテクニックは、僕の音楽的アイデンティティの不可欠な一部となり、あらゆるジャンルへのアプローチを豊かにしているんだよ。

Q2: How did Seventh Station come to be? What’s the meaning behind your band name?

【DMITRI】: Seventh Station was founded at the Academy of Music and Dance in Jerusalem by Alexy Polyansky and myself while we were still students. I was studying classical guitar, and Alexy was focusing on piano and composition, but we both shared an interest in the world of distortion. We decided we wanted to break free from the confines of classical music and find a way to express ourselves more freely.
The name behind the band is tied to my fascination with numbers. From the very beginning, we knew we wanted the band’s name to include the word “Station,” but we couldn’t quite settle on the right name. At that time, I was often called Dima 1348 because I frequently noticed that the clock would show 13:48. I even theorized that I was somehow haunted by these numbers. Eventually, I decided to break them down: 1+3+4+8 equals 16, and 1+6 equals 7. At that moment, I knew the band should be named Seventh Station. Over time, I realized that this number has appeared in many aspects of my life and in some of the themes of our debut album “Between Life and Dreams”, the 1348 theme is being explored.

Q2: SEVENTH STATION はどのようにして誕生したのですか?バンド名に込められた意味は何ですか?

【DMITRI】: SEVENTH STATION は、エルサレムの音楽舞踊アカデミーで、まだ学生だった Alexy Polyansky と僕が結成したんだ。僕はクラシック・ギターを、Alexy はピアノと作曲を専攻していましたけど、2人ともディストーションの世界に興味を持っていたんだよね。僕たちは、クラシック音楽の枠から抜け出して、もっと自由に自分たちを表現する方法を見つけたいと思っていたんだ。
バンド名は、僕が数字に魅せられていたことと結びついている。結成当初から、バンド名には “ステーション” という言葉を入れたいと思っていたのだけど、なかなか決まらなくてね。当時、僕はよく Dima 1348 と呼ばれていた。時計が13時48分を示すことによく気づいたからだ。僕はこの数字に憑りつかれているのではないかとさえ考えていた。それで結局、僕はこの数字を分解することにした
1+3+4+8で16、1+6で7。その瞬間、私はこのバンドを SEVENTH STATION と名付けるべきだと思った。時が経つにつれて、この数字が僕の人生の様々な局面に現れていることに気づいたんだよね。僕たちのデビュー・アルバム “Between Life and Dreams” のテーマのいくつかでも、1348というテーマが探求されている。

Q3: Seventh Station is a multinational band. Are there any cultural differences or distances that hinder your activities?

【EREN】: Distances of course affect us not being able to hang out face to face in person as much as we would like to, and limits our friendship and work to be exercised through the screens and headphones. Culturally, we get to have a lot of fun learning from each other’s unique backgrounds and ways.

Q3: SEVENTH STATION は多国籍バンドですが、文化の違いや距離は活動の妨げになりますか?

【EREN】: もちろん、距離の違いは、僕たちが望むほど直接顔を合わせて付き合うことができないことに影響するし、僕たちの友情と仕事がスクリーンやヘッドフォンを通して行使されることにも制限されるよね。でも文化的な面では、お互いのユニークな背景ややり方から学ぶ楽しみがあるよ。

Q4: Even in the wide world of metal, your music is truly unique and individual! There have been widely known attempts to fuse classical music up to the 19th century with metal, but you are translating 20th century contemporary music into metal, aren’t you? Why did you start pursuing these endeavors?

【EREN】: Our vocalist Vidi led this inspiration and idea. It is a follow up on a track from our previous record Heal the Unhealed’s The Ruthless Koba, which also was an arrangement of a Shostakovich piece. For me personally it’s a full circle: I love taking different kinds of music and putting it into the other domains, which most famously I did with my own symphonic version of Octavarium from Dream Theater. This record now is now the other way around: taking contemporary classical music and putting it into the progressive metal domain. We had this inspiration- what if all these master composers were alive today, having access to the technology and all the musical capacity of everything we have today, how would it sound? It was an incredible creative challenge, and an opportunity to pay our humble respects to musical masters who inspire us.

Q4: メタルという広い世界の中でも、あなたたちの音楽は本当にユニークで際立っていますね!19世紀までのクラシック音楽とメタルを融合させる試みは広く知られていますが、あなたたちは20世紀の現代音楽をメタルに “翻訳” しているような感じがします。なぜこのような試みを始めたのですか?

【EREN】: ボーカルの Vidi がこのインスピレーションとアイデアを導いてくれたんだ。僕たちの前作 “Heal the Unhealed” の “The Ruthless Koba” に続く試みで、あの曲もショスタコーヴィチの曲をアレンジしたものだったんだ。
僕個人としては、これはフル・サークルなんだ。やっぱりこのスタイルが好きでね。異なる種類の音楽を別の領域に取り入れるのが好きで、僕の仕事で最も有名なのは、DREAM THEATER の “Octavarium” のシンフォニック・ヴァージョンだろうね。このレコードはその逆で、現代のクラシック音楽をプログレッシブ・メタルに取り入れたものだ。もし、こうした巨匠の作曲家たちが現代に生きていて、現代のテクノロジーとあらゆる音楽的能力を利用できるとしたら、どんなサウンドになるだろうか?それは素晴らしい創造的な挑戦であり、僕たちにインスピレーションを与えてくれる音楽の巨匠たちに謙虚な敬意を払う機会でもあったんだ。

Q5: In addition, your music has parts that sound like film music, or more specifically, silent films from the first half of the 20th century? Do you have a longing for that era?

【EREN】: Aesthetically and artistically there definitely is a longing. In a world where technology was in its infancy, there was a lot of mystery and mindfulness that was destroyed by the immediate access of information available anytime to anyone today. That very mystery and mindfulness had its implications in expression and connection between people, to stay always curious and dreaming about the world and each other. I had the wonderful opportunity of working with Berklee Silent Film Orchestra on performing and recording original music for seven incredible silent films, including the infamous Phantom of the Opera’s 1925 version, and the world of silent films through this experience has had a tremendous impact on me.

Q5: 加えて、あなたの音楽には映画音楽、より具体的には20世紀前半の無声映画のように聞こえる部分がありますね?その時代への憧れがあるんですか?

【EREN】: 美的にも芸術的にも、憧れがあるのは間違いない。テクノロジーが未熟だった時代にね。現代人がいつでも誰でもすぐに情報にアクセスできるようになったことで、多くの謎や心の余裕が失われてしまった。そのミステリーとマインドフルネスには、世界と互いについて常に好奇心を持ち、夢を見続けるという、人と人との表現とつながりという意味があった。
バークリー無声映画管弦楽団と一緒に、悪名高い “オペラ座の怪人”(1925年版)を含む7本の極上なる無声映画のオリジナル音楽を演奏・録音するという素晴らしい機会に恵まれ、この経験を通して無声映画の世界から僕は多大な影響を受けたんだ。

Q6: “Nagasaki” in “Nagasaki Kisses” is the name of a place in Japan, right? Why is it in the title of the song?

【DMITRI】: “Nagasaki Kisses is our reimagination of the first movement of Ralph Vaughan Williams’ sixth symphony. Many scholars and listeners have speculated that Vaughan Williams’ Sixth Symphony, particularly its first movement, reflects the dark emotional aftermath of World War II, and some interpretations do indeed connect it to the devastating events of the atomic attack on Nagasaki.
Vaughan Williams composed the Sixth Symphony in the years following the war, during a time when the world was grappling with the horrific consequences of atomic warfare and the deep scars left by the conflict. The symphony’s somber tone, with its dark, brooding, and sometimes unsettling atmosphere, aligns with the feelings of Death, Despair, and loss that arose from this catastrophic event.

Q6: “Nagasaki Kisses” の “ナガサキ” とは日本の地名ですよね?

【DMITRI】: “Nagasaki Kisses” は、ラルフ・ヴォーン・ウィリアムズの交響曲第6番の第1楽章を僕たちが再構築したもの。多くの学者やリスナーは、ヴォーン・ウィリアムズの交響曲第6番、特にその第1楽章は、第二次世界大戦の暗い感情の余波を反映していると推測しているんだ。
ヴォーン・ウィリアムズが交響曲第6番を作曲したのは戦後の数年間で、世界中が原爆戦争の悲惨な結末と、紛争が残した深い傷跡と格闘していた時期だった。暗く、陰鬱で、時に不穏な雰囲気を持つこの交響曲の陰鬱な曲調は、この破滅的な出来事から生じた「死」「絶望」「喪失」の感情と一致しているよ。

Q7: The artwork of the previous album “Heal the Unhealed” looked like Soviet-era propaganda art. This time, for a change, it looks like a religious painting from the Renaissance era. What is your message from such artwork and lyricism?

【DMITRI】: “Heal the Unhealed” is an album that explores the parallels between the mindset of an artist and that of a dictator. Through this album, we aimed to highlight the ways in which artists, in their pursuit of control over their music, may develop unhealthy behaviors that mirror the authoritarian tendencies of figures like dictators. The album reflects on how such control can extend beyond the art itself, influencing both the artist’s relationship with themselves and others. This can ultimately lead to destructive outcomes, much like when a dictator imposes their vision upon a population, pushing them toward ruin.
Additionally, the album delves into the psychological effects shared by both artists and dictators, such as panic attacks, paranoia, and excessive self-admiration. These mental states are often a direct consequence of the choices made in the pursuit of power and control. This theme resonates with me personally because I was raised in the Soviet Union, and stories from that era, along with what I heard from my parents, profoundly shaped my perspective. My fascination with the history of that time further influenced my choice to reference figures like Stalin, as I sought to explore these complex themes through a historical lens.

Q7: 前作 “Heal the Unhealed” のアートワークは、ソ連時代のプロパガンダ・アートのようでしたね。今回は一転して、ルネサンス時代の宗教画のようです。このようなアートワークとリリックから、あなたはどのようなメッセージを送っているのですか?

【DMITRI】: “Heal the Unhealed” は、芸術家の考え方と独裁者の考え方の類似点を探るアルバムだ。このアルバムを通して、アーティストが自分の音楽をコントロールしようとするあまり、独裁者のような権威主義的傾向を反映した不健全な行動をとってしまう可能性を浮き彫りにすることを目指した。そして今回のアルバムは、そのようなコントロールがいかに芸術そのものにとどまらず、アーティスト自身と他者との関係にまで影響を及ぼしうるかを考察している。これは、独裁者が国民に自分のビジョンを押し付け、破滅に向かわせるときのように、最終的に破壊的な結果につながる可能性がある。
さらにこのアルバムは、パニック発作、パラノイア、過剰な自画自賛など、アーティストと独裁者の双方に共通する心理的影響についても掘り下げている。このような精神状態は、権力と支配を追い求める中でなされた選択の直接的な結果であることが多い。僕はソビエト連邦で育ったので、このテーマには個人的に共鳴し、その時代の話や両親から聞いた話は、僕の視点を深く形作った。当時の歴史に興味をもったことが、スターリンのような人物を引き合いに出すという僕の選択にさらに影響を及ぼし、歴史的なレンズを通してこれらの複雑なテーマを探求しようとしたんだ。

Q8: Slovenia, Turkey, Israel, and our own Japan are no stranger to war. The world seems to have reverted back to an era of violence and deception.What can your music do in such dark times?

【EREN】: Seventh Station is an international assembly of artists defying borders, separation and incompatibility, standing for unity and advancement of society and humanity through the fine arts. I believe the violence and deception never left us in the first place, we are just more aware of it due to the speed and ease of communication. In a time of constant deception bombarding us from all angles, we always strive for honesty, first to ourselves, of our communication and stories, and then to the world listening to us. In the time of war and violence challenging us, news and information trying to take over our minds, we always respond with more art, beauty and kindness, asking the world to remember the human, and not to respond with more violence or more war.

Q8: あなたたちのスロベニア、トルコ、イスラエル、そして私たちの日本も、戦争とは無縁ではない時代です。世界は暴力と欺瞞の時代に逆戻りしているようです。このような暗い時代に、あなたの音楽は何ができるのでしょうか?

【EREN】: SEVENTH STATION は、国境や隔たり、相容れなさに抗い、芸術を通じて団結し、社会と人類の発展を目指すアーティストの国際的な集りだ。僕は、暴力や欺瞞はそもそも僕たちから離れていなかったと信じているんだ。コミュニケーションのスピードと手軽さによって、近年それをより意識するようになっただけなんだ。
あらゆる角度から絶え間なく欺瞞が襲ってくる時代にあって、僕たちは常に正直であろうと努めている。戦争や暴力が僕たちを挑発し、ニュースや情報が僕たちの心を支配しようとする時代にあって、僕たちは常に、より多くの暴力や戦争で応えず、より多くの芸術、美、優しさで応え、人間らしさを忘れないよう世界に求めていきたいんだ。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED EREN’S LIFE!!

JORDAN RUDESS “Explorations for Keyboard and Orchestra”

At the point of breaking through the walls of the classical conservatory and venturing into the musical world at large, having the privilege of collaborating with Jordan Rudess who is my all-time musical hero, friend and sensei, literally shaped the rest of my life. It was a dream to be friends and make music with him, and I still remember our first phone call where I was in complete shock that I got to see him in person, and later to be on stage together with him in Venezuela, Poland and Czechia performing my orchestrations of this incredible record was truly a life-changing experience to this day.

クラシック音楽院の壁を破って広く音楽の世界に飛び込んだ時点で、僕の音楽的ヒーローであり、友人であり、先生である Jordan Rudess とコラボレーションする機会に恵まれたことは、文字通り僕の残りの人生を形作った。彼と友達になり、一緒に音楽を作ることは夢だったんだ。彼に直接会うことができたことに完全に衝撃を受けたよ。その後、ベネズエラ、ポーランド、チェコで彼と一緒にステージに立ち、この素晴らしいレコードのオーケストレーションを演奏できたことは、今日に至るまで、本当に人生を変えるような経験だったね。

DREAM THEATER “Breaking the Fourth Wall (Live from the Boston Opera House)”

A lifelong dream of being on stage with Dream Theater together came true with this record early on in my life right after our connection with Jordan. I had the incredible privilege of performing alongside my most influential heroes who liberated my musical mind, and I got to invite fifty of my very talented Berklee friends to join this crazy dream. Being on stage as a conductor and arranger as a part of a Dream Theater live record still gives me chills today thinking about it.

DREAM THEATER と一緒にステージに立つという生涯の夢が、Jordan とのつながりの直後、このレコードで実現した。僕の音楽的マインドを解放してくれた最も影響力のあるヒーローたちと一緒に演奏するという信じられないような特権を得たし、このクレイジーな夢に50人もの才能あるバークリーの友人たちを招待することができた。DREAM THEATER のライブ・レコーディングに指揮者兼アレンジャーとして参加したことは、今でも思い出すとゾクゾクするよ。

NIK BARTSCH’S RONIN “Holon”

In the very first seconds of hearing this record for the first time, it felt like I had encountered a color I’ve never seen before in my life. What I was experiencing was something way beyond music, I felt like I was in the presence of a divine mind and soul, channeling the beauty of nature’s complexity through a carefully constructed and mindful aestheticism. Nik likes to call it Zen Funk, and it is definitely the perfect description. Every note, sound and silence recorded and every decision made is carefully intentional. I had the amazing opportunity to practice with him and call him a sensei as well, and he has shown me that art and its messengers are holistic- we artists are ideas, movement, intention and observation, in the breathing flesh.

このレコードを初めて聴いた最初の数秒で、人生で見たことのない色に出会ったような気がした。僕が体験していたのは、音楽を遥かに超えた何かであり、注意深く構築されたマインドフルな美学を通して自然の複雑な美をチャネリングする、神聖な心と魂の前にいるような気がした。Nikはこれを「禅ファンク」と呼ぶのが好きだが、それは間違いなく完璧な表現だ。録音されたすべての音、音、沈黙、そしてすべての決断は、注意深く意図的になされている。僕は彼と一緒に練習し、彼を先生と呼ぶ素晴らしい機会に恵まれたが、彼は芸術とそのメッセンジャーが全体的なものであることを教えてくれた。

YOKO KANNO “Ghost in the Shell Stand Alone Complex OST CD-Box”

Yoko-san’s incredibly colorful, meticulously detailed and super wide range of musical palette has enlightened me in a profound way. I consider her a remarkable storyteller who uses music as a medium, one that can not be bound by genres, styles, or the idea of a traditional composer. From symphonic, electronic, rock to traditional, acoustic and beyond, she has shown me there are no limits in how many colors and genres you can put in a record, except your own mind and its perceptions. I humbly hope to give my respect and gratitude to her one day in person for her impact on me as an artist and human being.

菅野よう子さんの信じられないほど色彩豊かで、細部まで緻密に描き込まれた超幅広い音楽のパレットは、僕を深い意味で啓発してくれた。ジャンルやスタイル、伝統的な作曲家という概念に縛られることなく、音楽をメディアとして使う彼女は卓越したストーリーテラーだと思う。シンフォニック、エレクトロニック、ロックからトラディショナル、アコースティック、そしてそれ以上のものまで、彼女はレコードにどれだけ多くの色やジャンルを入れることができるか、そして自分の心とその認識以外には限界がないことを僕に教えてくれた。アーティストとして、人間として影響を与えてくれた彼女に、いつか直接敬意と感謝の気持ちを伝えたいと願っている。

SAVANT “Alchemist”

In the vast seas of electronic music, Savant truly and undeniably is a master wizard. His way of surgically detailed productions, compositions and a mind-boggling amount of productivity through so many releases is an absolute inspiration. Discovering him through this record in my early twenties, I have realized to what crazy extent electronic dance music can reach, and was inspired to also make electronic music myself too. Beautifully complex harmonies, counterpoints, pristine production, a seriousness of detail like classical music, endless fun of a dance club, and the thrill of beating the final boss in a video game: putting all these ingredients together to make an insane musical potion, Savant truly is the Alchemist himself he titles this record as, and definitely is a part of my DNA.

エレクトロニック・ミュージックの広大な海の中で、SAVANT は本当に紛れもなくマスター・ウィザードだ。外科手術のように詳細なプロダクション、コンポジション、そして多くのリリースを通じた気の遠くなるような生産性の高さは、絶対的なインスピレーションを与えてくれる。20代前半の頃、このレコードを通して彼を知った僕は、エレクトロニック・ダンス・ミュージックがどれほどクレイジーな域に達することができるかを実感し、自分もエレクトロニック・ミュージックを作りたいと思うようになった。美しく複雑なハーモニー、対位法、原始的なプロダクション、クラシック音楽のような細部へのこだわり、ダンスクラブの無限の楽しさ、ビデオゲームのラスボスを倒すスリル……これらの要素をすべて組み合わせて、狂気の音楽薬を作り上げた SAVANT は、まさに彼がこのレコードのタイトルに掲げたアルケミストそのものであり、間違いなく僕のDNAの一部でなんだ。

MESSAGE FOR JAPAN

It would probably take a whole another interview to go into details of it, but here’s some select favorites:
Anime / Manga: Ghost in the Shell (my all time favorite), Attack on Titan (with another Eren in it!!), Ergo Proxy, works of Satoshi Kon, Hayao Miyazaki, Yoshitoshi Abe, Junji Ito
Cinema: Takeshi Kitano, Hirokazu Kore-eda, Shunji Iwai, Naoko Ogigami
Music: Yoko Kanno, Ryuichi Sakamoto, Koenjihyakkei, Toru Takemitsu, Ametsub, Ryoji Ikeda, Nujabes, Galneryus
Video Game: Pokemon RBY/GSC/RSE
Message to Japan: Seventh Station is looking forward to visiting and playing for you hopefully very soon! We appreciate your support, and wish to meet you in person. Doumo arigatou gozaimasu.

詳しくはまた別のインタビューになると思うけど、いくつか日本の好きなものを紹介するね!
アニメ・漫画:攻殻機動隊(ずっと好き)、進撃の巨人(もう一人のエレンが出てくる!)、Erog Proxy、今敏作品、宮崎駿、安部吉俊、伊藤潤二
映画:北野武、是枝裕和、岩井俊二、荻上直子
音楽:菅野よう子、坂本龍一、高円寺百景、武満徹、Ametsub、池田亮司、Nujabes、Galneryus
ビデオゲーム: ポケモンRBY/GSC/RSE
日本へのメッセージ: SEVENTH STATION は、近いうちにみんなのもとを訪れ、プレーできることを楽しみにしているよ!応援ありがとう。ドウモアリガトウゴザイマス!

SEVENTH STATION

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【NEURAL GLITCH : CONVINCED TO OBEY】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH CHRIS PARKER OF NEURAL GLITCH !!

“I Consider Editing And Effects Design To Be As Vital an Instrument To The Overall Project As The Guitars, Drums, Bass, And Vocals.”

DISC REVIEW “CONVINCED TO OBEY”

「スタジオ・エンジニアとして、またソングライターとして、編集とエフェクト・デザインは、ギター、ドラム、ベース、ボーカルと同様に、プロジェクト全体にとって不可欠なひとつの “楽器” だと考えているんだ。僕は、NEGATIVELAND, EMERGENCY BROADCAST NETWORK, John Oswald など、編集とオーディオ操作の美しさに特化したオーディオ・コラージュ・アートの大ファンだからね。メタルの行く末を予測するのは難しいけど、これまで未開拓だった領域へと広がっていくことは間違いないと思う。僕の音楽がモダン・メタルの進化に少しでも貢献できれば、とても光栄に思うよ」
90年代初頭。グランジの台頭で絶滅の危機へと追い込まれたヘヴィ・メタルは、さながらかつて小惑星の衝突で絶滅待ったなしとなった地球の生物のように、多様化と細分化を押し進めることになりました。ただし、そんなステレオタイプから距離を置いたモダン・メタルの世界においても、やはりメタルらしい “流れ”、メタルらしいカタルシスを排除し、”脱構築” するバンドは皆無に近かったと言えるでしょう。テキサスの NEURAL GLITCH とその鬼才 Chris Parker は遂にその前代未聞に革命的なメスを入れます。
「僕は様々な形のメタルが好きだけど、それぞれのジャンルの枠の中では限定的すぎると思うことがよくあった。僕はすべてをミックスしたかった。私生活では実に様々な音楽を楽しんでいるので、このような多様な音楽的アイデアのパレットをまとまりのあるプロジェクトに取り入れたいと思ったんだ」
もちろん、多様性から生まれ出る “混沌” がひとつの “顔” となったモダン・メタルの現在ですが、それでもその “混沌” はすべからく意図して作られた混沌。NEURAL GLITCH はその混沌をある意味、神の手に委ねています。いや、もちろん Chris の話を聞けばその混沌は綿密に計算されたものですが、少なくともリスナーの耳にはあまりに突拍子もなく非連続な偶然の産物に聴こえます。
しかし、NEURAL GLITCH がずば抜けているのは、その偶然の産物が往々にして実にクールに連鎖していくこと。
「Devin Townsend と IGORRR の例えについてだけど、彼らの名前を挙げてもらえるだけでも大変光栄だよ。特に Devin は、長い間僕のソングライティングとスタジオ・プロダクションのヒーローの一人だったからね。彼の初期の作品は素晴らしいし、彼のアルバム ”Empath” はジャンルを融合させた傑作であり、スタジオ・プロダクションの最高峰だと僕は思う。僕は彼ら天才の作品の何分の一かのクオリティに達する努力しかできないよ」
なぜこれほど NEURAL GLITCH の “カット・アップ” はクールなのか?それは、Chris が音楽の切り貼り、”コラージュ” を自らの愛するメタルと様々な色彩のジャンルで埋めているから。オールド・スクールなデスメタル、スラッシュ・メタルから始まり、YES の壮大知的なプログレッシブ・ミュージック、MR. BUNGLE の前衛性、MINISTRY のインダストリアルに、Devin Townsend が司る複雑性の全知全能。
そうした Chris の愛情が注がれた音楽の断片たちは、唐突であっても決して偽物やセルアウトのようには聴こえません。むしろ、これこそが “グリッチ・アート”、美しき偶然性で、美しきエラー。我々はこのメタルを壊しながらメタルを愛する不思議な場所から何が生まれるのか、しっかりと見守る必要がありそうです。
今回弊誌では、Chris Parker にインタビューを行うことができました。 「The Boredams は容赦なく狂気的で、聴いていても信じられないようなサウンドだ。 彼らのアルバムを何枚か持っている。 彼らのボーカル、山塚アイのバンド、NAKID CITY での活動は、高く評価してもしきれない。 後にも先にもこのようなレコードはないね。 素晴らしいノイジーなエレクトロニック・パンク・アルバムをリリースしている Space Streakings も大好きだ。 数年前、Igorrr の前座で Melt Banana を見る機会に恵まれたんだけど、彼らのパフォーマンスは強烈で爆発的だった! さらに最近では、ジャンルを超えた予測不可能なサウンドと魅惑的なビジュアルで魅了する Deviloof を発見した。 それに、数週間後にHanabie. と Crystal Lake のライブを見るのが楽しみなんだ。驚異的な Kim Dracula と共演するんだよ」 どうぞ!!

NEURAL GLITCH “CONVINCED TO OBEY” : 10/10

続きを読む NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【NEURAL GLITCH : CONVINCED TO OBEY】

MASTERPIECE REVIEW + INTERVIEW 【ATHEIST : PIECE OF TIME, UNQUESTIONABLE PRESENCE】 JAPAN TOUR 25′


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH KELLY SHAEFER OF ATHEIST !!

“In My Opinion, Death Has Zero To With The Pioneering Aspect Of Tech-metal, That Title Belongs To Atheist.”

DISC REVIEW “PIECE OF TIME” “UNQUESTIONABLE PRESENCE”

「もともとプログレッシブ・バンドや複雑な音楽が好きだったし、エクストリーム・メタルも好きだったから、そのふたつを組み合わせるのは自然なことだった。でも、それは決して意図的なものではなく、他の誰かになりたかった訳でもないんだよ。ただ自分たちがそうでありたかっただけで、でもありがたいことに、人々は私たちのユニークなアプローチを徐々に認めてくれるようになった。そして、私たちは自分たちの道を見つけたんだ。人々が最終的にそれを理解するまでには何年もかかったけどね」
デスメタルはその黎明期においてさえ、骨子である過激さに忠実であると同時に、境界を押し広げ、さまざまなサウンドを探求するジャンルとして進化を模索していました。それは、フロリダを一挙にデスメタルのメッカへと押し上げた MORBID ANGEL, OBITUARY, CANNIBAL CORPSE といった黎明期の偉人からの伝統。彼らにしても十二分に異様な音楽を叩きつけていましたが、それでも殻を破るバンドはいつの時代も出てくるものです。
特に90年代初頭には、デスメタルをそのコンフォート・ゾーンから脱却させ、よりプログレッシヴでテクニカルな道へと押し進めようとするバンドの波が押し寄せました。DEATH, CYNIC, PESTILENCE, NOCTURNUS といったバンドが、この奇抜でしかしあまりにも好奇心を誘う音楽の中心にいました。そして、そうしたバンドの “パイオニア” と自負するバンドこそ、ATHEIST です。
「CYNIC は私が契約するのを手伝ったバンドで、私は彼らのデモを Scott Burns と一緒に作った。Paul Masvidal と私は今でも数十年来の素晴らしい友なんだよ。
私の意見では、DEATH はテック・メタルのパイオニアという側面とは全く関係がない。そのタイトルは ATHEIST にこそ相応しい。DEATH は違う種類のメタルのパイオニアであり、プログレッシブになったのは CYNIC の私の子たちが Chuck Schuldiner と一緒になってからだ。それ以前の Chuck はとてもベーシックなプレイヤーだったからね」
もはや伝説となった CYNIC の Paul Masvidal や DEATH の Chuck Schuldiner をこのジャンルにおいては “ひよっこ” 扱いする ATHEIST の心臓 Kelly Shaefer。しかしその言葉に異論を唱える人は誰もいないでしょう。それだけ、ATHEIST と Kelly の功績はずば抜けていました。
「私にとってのお気に入りは、”Unquestionable Presence” だね。このアルバムでプレーしているすべての音を誇りに思う。でも、そうだね、4枚ともまったく違うアルバムだ。 そうなるべきだったんだ。だって、誰も同じアルバムを何度も聴きたくはないだろう。 でも、ATHEIST の雛形は “Unquestionable Presence” だと思うよ」
今年35周年を迎えた ATHEIST のデビュー・アルバム “Piece Of Time” は驚異的なテクニカル・スラッシュとデスメタルの要素をミックスした、オールドスクールでありながら破天荒、非常に狂暴なアルバムで、テクニカルな華やかさとプログレッシブな屈折がふんだんに盛り込まれた名品でした。
それでも ATHEIST の最高傑作に次の “Unquestionable Presence” を推す声が多いのは、おそらくプログレッシブ・デスメタル、テック・メタルというジャンルそのものの雛形を作り上げたから。この作品で彼らはオールドスクールなスラッシュ、デスメタルから離陸し、ジャズ/フュージョンがメタルといかに親密になれるかをその一音一音で証明していきました。
とはいえ、ソリッドなリフと辛辣なヴォーカルは健在。迷宮の中を浮遊して探索するような音楽の中で、リフはより複雑に、ギター・ソロは巧みさを増し、ベースとドラムは以前より遥かに印象的になりました。まだ Kelly はその巧みなギターを弾くことができましたし、ベーシスト Roger Patterson は悲劇的な死を遂げる寸前、このアルバムのためにベース・パートを書きあげていました。そうして、Roger の後任、CYNIC, PESTILENCE, ATHEIST を渡り歩いた稀代のベースマン Tony Choy の独特の音色はこのアルバムを真に特別なものへと昇華したのです。
今回弊誌では、Kelly Shaefer にインタビューを行うことができました。「テック・メタルは私たちから始まったのだけど、多くの人が私たちのアプローチを取り入れ、複雑な新天地へと進んでいったんだ。残念なことに、ジャズ・フュージョンとメタルを最初に激しく融合させたという点で、私たちが評価されることはほとんどないのだけどね」テック・メタルの起源、奇跡の初来日決定。どうぞ!!

ATHEIST “PIECE OF TIME” “UNQUESTIONABLE PRESENCE” : 10/10

ATHEIST ARE: Kelly Shaefer – lead vocals (1987–1994, 2006–present), guitars (1987–1994)
Dylan Marks – drums (2023-present)
Yoav Ruiz Feingold – bass (2019–present)
Jerry Witunsky – guitars (2023–present)
Alex Haddad – guitars (2023–present)

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【LUNAR : TEMPORA MUTANTUR】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ALEX BOSSON OF LUNAR !!

“I Distinctly Remember Staring At My Boombox In Disbelief While Hearing Blackwater Park For The First Time, Learning That It Was Possible To Combine Such Beauty With Such Brutality So Seamlessly, And I Have Been Drawn To Attempting To Achieve That Myself Ever Since.”

DISC REVIEW “TEMPORA MUTANTUR”

「”Eidolon” は、僕の心の中で特別な位置を占めているのは確かだよ。Ryan が亡くなったとき、僕はバンドを続けるかどうかでずいぶん悩んだんだ。当時はまだスタジオ・プロジェクトで、僕たち2人が中心となって必死に取り組んでいたからね。だから、彼なしで続けるべきかどうか、あるいは続けることができるのかどうかさえも疑問に思った。言うまでもなく、僕は子供の頃からの親友の一人の死と向き合っていた。 そのとき、僕のその悲嘆の過程についてアルバムを書くというアイデアが閃いた。それは強く、力強く、感情的で、そう、彼の思い出を称えるものになると思った」
ヘヴィ・メタルは聴くものの痛み、悲しみ、孤独を優しく抱きしめる音楽です。そのメタルに宿る並外れた包容力と湧き出でる回復力の源泉は、きっと音楽を生み出す者もまた喪失や痛みを抱えた経験があるからに他なりません。
カリフォルニア州サクラメントを拠点とする LUNAR は、長年の友人である Alex Bosson(ドラムス/パーカッション)と Ryan Erwin(ギター/ヴォーカル)が2013年に結成したプログレッシブ・メタル・バンドでした。しかし、2018年の春に Ryan が突然他界。Alex は悲しみに暮れ、一時は LUNAR を終わらせることも考えましたが、Ryan の遺志を継ぎ、Ryan の偉業と思い出を称えるためにバンドの存続を決意しました。
「このリストは、僕の意見では、この世に存在する偉大なバンドやミュージシャンばかりだ。 また、僕が個人的に尊敬し、ファンであるバンドばかりだ。 だから、彼らの組み合わせと言われるのはとても名誉なことなんだ。 それに、僕にとってプログはすでに音楽全般の “るつぼ” なんだ。 だから、メルティング・ポットのメルティング・ポットになることは、僕にとって本当にクールなことなんだよ」
CALIGULA’S HORSE や WILDRUN のオペラ的な部分、HAKEN のトラディショナルでメロディアスな部分、TOOL や THANK YOU SCIENTIST の数学的な部分、BETWEEN THE BURIED AND ME の超絶テクニカルな部分、そのすべてを飲み込んだプログというメルティング・ポットの “メルティング・ポット”。そんな LUNAR の音楽を Ryan なしで再現するために Alex はまさにそうした敬愛するヒーローたちの力を借ります。
HAKEN, CALIGULA’S HORSE, LEPROUS, THANK YOU SCIENTIST, FALLUJAH…Ryan の思い出と共に人間の生と死を描いた “Eidolon” はそうして、メタルの包容力と回復力に魅せられた18人のゲストミュージシャンからなる一時間超の壮大なプログ・シアターとして多くの人の心を震わせたのです。
「OPETH の “Blackwater Park” を初めて聴いたとき、信じられない思いでラジカセを見つめたのをはっきりと覚えている。あのような美しさと残忍さをシームレスに融合させることが可能なのだと知り、それ以来、自分もそれを達成しようとすることに惹かれるようになった」
親友の死をも乗り越え、Alex がメタルを諦めなかったことで LUNAR は始祖 OPETH の血を受け継ぎながらも、よりシアトリカルでより多様なプログ・メタルの構築に成功します。もちろん、OPETH が生み出した美と残忍のコントラストはもはやプログ・メタル全体の基盤となっていますが、LUNAR はその場所にマス、オペラ、Djent といった新たな血脈、WILDRUN, CALIGULA’S HORSE, THANK YOU SCIENTIST の人脈を加え、そこにかの Peter Gabriel を想起させるプログレッシブ・ドラマを投影していきます。人生を四季に例えた “Tempora Mutantur” は、そうしてまさにプログすべての季節をも内包することとなったのです。
今回弊誌では、Alex Bosson にインタビューを行うことができました。「DREAM THEATER や GOJIRA のようなバンドがグラミー賞を受賞したことは、この音楽に対する世間の認識の変化をすでに示している。 今後もそうなることを願っているよ。
ただ、僕の考えでは、プログは常にミュージシャンのための音楽だ。 万人受けする音楽ではないよ。 ほとんどの人はシンプルな音楽を楽しんでいて、それはそれでいいんだけど、僕らがやっていることは一般的にもっと複雑なんだ」どうぞ!!

LUNAR “TEMPORA MUTANTUR” : 10/10

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COVER STORY 【DEATH : SYMBOLIC】 30TH ANNIVERSARY !!


COVER STORY : DEATH “SYMBOLIC” 30TH ANNIVERSARY !!

“I Feel, As a Fan, Not Even As a Musician, But As a Metal Fan, That I -Do- Have a Responsibility To Keep Metal Going And Alive And Do Whatever I Can Do.”

SYMBOLIC

Chuck Schuldiner は、脳腫瘍との闘病の末、2001年に他界しました。しかし、デスメタルのゴッド・ファーザーとして知られる彼の音楽的才能と革新的なビジョンは、メタルヘッズの心に永遠に残るでしょう。
物静かで物腰が柔らかく、動物も人間もこよなく愛する Chuck は、その死から四半世紀を経た今でもデスメタルの革新者として称賛され続けています。実際彼が残したもの、特に DEATH の後半においては、通常このジャンルによくある攻撃的で暴力的なテーマとは対照的でした。チャーミングで茶目っ気たっぷりのフロントマンは、しばしば同業者の悪魔的なイメージを否定し、インタビューでは子猫の飾りがついたシャツを着るほどでした。彼は最終的に、象徴的な DEATH のロゴのデザインを変更し、オリジナルの逆十字架を排除して、宗教的(または神聖な)慣習から自身を切り離しまでしたのですから。
加えて今日、私たちはエクストリーム・メタルの話題にプログレッシブな音楽性やアティテュードを取り入れることを当然と感じていますが、20数年前のアンダーグラウンドはそうではありませんでした。CANNIVAL CORPSE のようなバンドが “Orgasm Through Torture” のようなトラックで名を馳せていた一方で、Chuck のような穏やかな人物が、リリックを通して無毒な男性性を模範的に示すことは、純粋に先進的だったのです。
同時代のアーティストと比べると、Chuck には必ずしも典型的なデスメタルのネタではない歌詞で社会問題に取り組む意識がありました。”Spiritual Healing” の “Altering The Future” では、中絶といういまだに議論されているトピックを取り上げました。
「もし僕が女性だったら、子供を産むか産まないかの選択をしたいと思うに違いない。アメリカでは、多くの新生児が望まれなかったために殺されている。女性が妊娠に気づき、子供を望まない場合は、すぐに中絶を選んだほうが救われるんだ」

“Scream Bloody Gore” のホラーへの偏執から、後の作品で見せた超越的なスタイルへの進化。しかし初期においてさえ、”Zombi Ritual” のような曲で彼は哲学的な傾向を示していました。苛烈な慟哭の中の自虐の悪夢、そして暗い誘惑。ゾンビの呪われたゴブレットから酒を飲むことに投影された淫らな憧れ。Chuck は最初から教えてくれていました。人間の意識は渦巻き、暗く、複雑で、それを響かせる音を求める者もいるのだと。
「僕たちは皆、死に魅了され、怖れを抱き、自分が死んだ後に一体何が起こるのか誰もわからない。できることなら永遠に生きていたいよね」
音楽的にも、哲学的にも、典型的なデスメタルから完全に脱皮を果たし、Chuck が望んだ “不老不死” をメタル世界で実現したアルバムこそ、今から30年前にリリースされた “Symbolic” でした。本作は間違いなくChuck と彼のアンサンブルの、いや数あるヘヴィ・メタル作品の中でも最高傑作だと言えるでしょう。そして、30年の月日を経てもいささかも色褪せることのないその魅力。
90年代初頭から中盤にかけては、グランジの台頭によりメタルの多様化が始まり、モダン・メタルの基礎を作り上げた競争の時期でした。特に1995年は、革命的なアルバムの当たり年で、CARCASS の “Heartwork” が50万枚、PAPADISE LOST の “Draconian Times” が30万枚、AT THE GATES の “Slaughter of the Soul” が20万枚を売り上げる中、ロードランナーに移籍を果たした DEATH の “Symbolic” は25万枚を売り上げ名実ともに新時代のメタルを牽引する存在となりました。
明らかに “Symbolic” は、初期の作品 “Leprosy” や “Scream Bloody Gore” の狂気と、プログレッシブな “Human” や “Individual Thought Patterns” の技巧に、研ぎ澄まされた旋律の美しさを組み合わせた新たなステップでした。”Spiritual Healing” から始まった進化の息吹は、”Symbolic” において絶対的な完成度に達したのです。

まず、目を惹くのが歌詞の成熟でしょう。特に “Human” や “Individual Thought Patterns” では、哲学性を帯びながらも音楽ビジネスや元メンバーとの関係に関する歌詞が多かったのに対して、”Symbolic” では社会的なテーマが明らかに増えました。当然、初期のデスメタル・ファンタジーはもうここにはありません。そして驚くべきことに、当時 Chuck の考えていたことはさながら予言書のように30年後の未来を見通していました。
「”Crystal Mountain” というタイトルはある意味ファンタジーのように聞こえるけど、実際はフロリダの元隣人とのトラブルについて歌っているんだ。彼らは宗教狂信者で、偏屈で、ある意味 “クリスタル・マウンテン” と呼ばれる “クリスタルのような完璧な世界” に住んでいて、あらゆるものに反対していた。周囲のすべてのものを否定し、批判した。宗教は確かに悪いものではないが、他人を傷つけて気分を良くし、日曜の朝には教会に行って神に許しを請う……というようなものだとしたら、あまりうまくはいかないだろうね(笑)。だから “Crystal Mountain” は確かにいいタイトルだったけど、ファンタジーとはまったく関係ない。
“Symbolic” には僕にとって重要な歌詞がもっとあるんだ。”1000 Eyes” は犯罪の増加について歌っている。これは世界的な問題だけど、ここアメリカではおそらく最悪だ。最近、テレビでドキュメンタリーを見たんだけど、数年後には各通り、各家、各アパート、各トイレ、あらゆるところにカメラが設置され、すべてを管理し、法の目として機能するようになるだろうと言われていた。そして、もし僕たちがそれに対して何もしなければ、この “何千もの目 ” が僕たちを狩ることになるだろう!プライバシーなんてなくなってしまう。でも、ここフロリダでは、車を盗むために誰かに殺されるのを恐れなければならない。これが最新の “ファッション” だ!車のために誰かに殺されるなんて、本当に正気の沙汰とは思えない!」

SNS時代を見越したような楽曲も存在します。
「”Perennial Quest” は人生における幸福感、その永遠の探求について。僕たちは常に何かを求めていると思う。しかし、それを阻むさまざまな障壁がある。例えば、嫉妬、評判、世間体、欺瞞などだ。これらはすべて、人が純粋に望むものに到達するのを妨げる害悪だ。僕は自分の人生を生きたいし、生活費を払い、犬や猫に餌を与えたいだけだ。誰にも迷惑をかけず、かけられず、ただ望むように生きていたい。僕の人生は終わりのない探求なんだ。
“Without Judgement” もそうだね、世論について歌っているんだ。アメリカでは音楽業界もメディアも噂で溢れている。一生を通じて、誰かが君に対して何らかの意見を持ったり、批評したがったりしていると思う。でもね、髪が長かろうが、小柄だろうが、背が高かろうが関係ないじゃない。自分の人生を生きろよ。多くの人は自分を批判しないけど、他人を批判したり批評したりするのには熱心なんだよな。
“Empty Words” はまさにそんな奴らが吐く空っぽの言葉について。人生の義務、特に人生そのものへのコミットメントや信頼の欠如は、しばしばその言葉の意味を知らない人々によって攻撃される。彼らは何の責任もなく何も知らないことをしゃべりまくるだけなんだよ。僕はそういう無責任な奴らに “Zero Tolerance” まったく我慢ができないんだ」
もちろん Chuck が愛する動物への言及も。
「”Sacred Serenity”。この曲は動物について歌っている。僕にとっては特に犬や猫だ。彼らは命の終わりについて何も知らないし、とても自由奔放だ。僕たちは自分の命がいつ終わるのかを疑うかもしれないけど、彼らは何の疑問も抱かず、自分の人生を分析することもなく、ただ純粋に生きている。だからこそ、僕にとっては動物たちが気持ちよく、幸せであることがとても重要なんだ」
そうした様々な Chuck Schuldiner の集大成的なアルバムゆえにタイトルは “Symbolic” に落ち着きました。
「タイトル曲 “Symbolic” の歌詞は回顧的なもので、僕のこれまでの人生に対する振り返り。無邪気な子供がどのように世界を見ていたのか、それを大人の僕がどのように見ているのか、自分がどのように意見を変えてきたのか、どのように音楽を始めたのか、この音楽がどのように進化してきたのか等々。Symbolic(象徴的)という言葉は、アルバム全体のタイトルをつけるのに十分な力を持っていると思った。”Symbolic” の歌詞はすべて現実について歌っていて、そのためか前2作のような怒りや邪悪さはない。この2枚のアルバムでは、僕は苛立ちや複雑な感情を振り払おうとしていたんだ」

中絶(”Altering the Future”)、末期患者の闘い(”Suicide Machine”)、死ぬ権利(”Pull the Plug”)といった重要なテーマに取り組んでいた Chuck は、デスメタルの音楽と歌詞が邪悪で、悪魔的で、全速力でプレイすることだけが目的になってしまったことに苦言も呈していました。
「今の (90年代中盤の) デスメタルは僕が夢中になっているものとは全く違う。基本的に僕の生き方は、周りに良い人がいること。動物も好きだし。普通のことが大好き。ビーチに行くのも好き。すべてが普通。世の中には、人が転げ落ちたり、人生でうまくいかなくなったりするのを見たがる人がたくさんいることに悩まされる。他人の人生をくよくよ考えている暇はない。世の中には、何もしない人がたくさんいる。噂を立てたり、人の悪口を言ったりしてね。僕はネガティブなことには興味がないんだ。今のアメリカのメタルの状況は、とても歪んでいる。音楽的に安易な道を選び、みんなお互いにコピーし合っている。このアルバムは、みんなの真ん中に投げ入れて、”ほら、これを持っていけ!”と言うのにちょうどいいアルバムだと思う」
歌詞が変わったのは、派手なショービジネスに向かない Chuck がそれでもファンの力を得て、人生が良い方向に変わったからでした。
「生活のすべてが整理され、誰に頼ればいいのか、誰を頼んではいけないのかがわかるようになった。特に90年代の始めはそうではなかったし、僕自身もバンドも、二度と繰り返したくないような状況を経験してきた。例えば、あるファンからの手紙には、僕についてマスコミに何を書かれ、何を言われても気にしない、ただ僕の音楽が好きだから続けてほしい、と書いてあった。それは僕にとってもバンドにとってもとても助けになったんだ」

DEATH はメンバーの入れ替わりが激しいバンドでしたが、ドラムに Gene Hoglan, ベースに Steve Di Giorgio、ギターに Andy LaRocque, ツアー・メンバーに Ralph Santolla, FORBIDDEN の Craig Locicero を擁した “Individual Thought Patterns” 期を推す声が多いようにも思われます。しかし、”Symbolic” のラインナップも素晴らしいものでした。
「新しいラインナップも天才的だ。Craig はもちろん素晴らしいギタリストで、ヨーロッパ・ツアーでは完璧な関係を築けたし、とても楽しかった。でも、新しいギタリストの Bobby Koelble もクールだ。どちらが優れているとは言いたくない。2人ともギターのスタイルが比較的似ていて、大のトラディショニストだし、僕のコンセプトに完璧にフィットしている。新しいベーシストの Kelly Conlon も同じだ。彼ら2人には、他の活動の脅威はないし、DEATH 以外の仕事もない。二人ともプログレッシブ・ハード・ミュージックを演奏していた地元のバンド出身なんだ。だから、DEATH にとっては最高の条件なんだ。新しいバンド仲間を探すにあたって、Gene と僕は大物や偉大な名前には興味がなかった。僕らにとってモチベーションを与えてくれる人、そして僕らとうまくやっていける人を探していたんだ。ふたりとももオーランドとその近郊の出身で、とても近いから、遠くへ行く必要はない。それは大きなアドバンテージだ」
中でも、Gene Hoglan への信頼は特別なものでした。
「Gene はいい奴だし、同じバンドで一緒にプレイするのは本当に素晴らしいことだ。僕たちには多くの共通点がある。Gene は DARK ANGEL でプレイしていた時、最も好きなドラマーの一人だった。僕と一緒にいてくれて、”Symbolic” で彼が自分の楽器に自由を与えてくれたことを嬉しく思っているよ。今、僕は音楽についての考えを共有してくれる男を味方につけた。ドラムは僕らの音楽にとってとても重要な楽器だし、音楽的にも個人的にも Gene との良好な関係が “Symbolic” を素晴らしいアルバムにしていると思う」

“Individual” のサウンドではベースが大きな役割を果たしていましたが、”Symbolic” ではギターがより支配的です。フレットレス・モンスターの不在が影響していたのでしょうか?
「そんなことはないよ。Kelly も Steve と同じくらい有能だし……ギターが支配的になった最大の理由は、新しいプロデューサーの Jim Morris だ。彼が僕らのサウンドを “オープン” にしてくれたんだ。”Individual” のギターは少し泥臭く聴こえ、ベースがサウンド全体で重要な役割を果たしたのはそのせいかもしれない。”Symbolic” では、ギターはより率直で、ストレートで、シャープになった。このテーマについては、スタジオ・ワークが始まる前にジムと話していて、僕たちがどのようなサウンドにしたいかを伝え、彼はあらゆる面でそれを理解してくれた。ドラムの音も同じだった。それまではどのアルバムでも、ドラムの音はそれほど良くなかったし、明るくもなかった。それが改善されたのはジムの経験と関係していると思う。Jim は、ポップ、ロック、ブルース、コマーシャル・ハードロック、メロディック・メタルなど、まったく異なるスタイルの音楽を演奏するバンドと何度も仕事をしてきた。彼の経験は、僕たち、ひいては “Symbolic” を大いに助けてくれたね。 “Symbolic” 制作当時、前任者の Scott Burns は他のバンドをプロデュースしていた。彼は僕らのために時間を割いてくれなかった。Jim との協力については以前から考えていて、可能性が出てきたときにチャンスをつかんだんだ。必ず次のアルバムのプロデュースをしてくれると思っていたので、本当に嬉しかった!」アコースティック・ギター、シンセサイザー、よりメロディアスなリフやソロ、歌いアジテートするボーカル・テクニックなど、物理的にも DEATH は典型的なデスメタルから進化を続けていました。
「まず、アルバム “Human” に収録されている “Cosmic Sea” と比べると、”Symbolic” ではシンセサイザーが一切使われていない。アルバムのレコーディング中、Jim には “みんなシンセサイザーだと思うだろうね”と言ったんだけど、その通りだった(笑)! そしてメロディよルーツは70年代や80年代の音楽、クラシック・ロックやメタル・バンドにある。”Symbolic” は僕らにとって自然な進化の結果であり、ルーツを裏切ることのない進化なんだよ」

Chuck は DEATH の進化の過程、そのすべてを抱擁していました。
「どのアルバムにも満足しているよ。どのアルバムも、その時の僕の音楽と人生に起こっていることを表現している、とても重要なアルバムだった。とても原始的なデビュー・アルバム “Scream Bloody Gore” を聴いていると、何も偽りのないアルバムで、今の DEATH のベースになっていると言わざるを得ない。当時の僕たちが何に悩み、どう表現し、どう考えていたのか、何が僕たちにとって重要だったのか、そして年月を経てどれだけ基準が変わったのか、微笑ましく思わざるを得ない。
“Leprosy” は間違いなく一歩前進だった。よりテクニカルで、僕たちが将来どこに向かっていくかはすでに明らかだった。”Spiritual Healing” は、主にプロダクションの面で非常に進歩的で、しかも Scott Burns との初めての共同作業だった。”Human” は、これまでのアルバムよりもアグレッシブでプログレッシブ、しかもとてもダークなアルバムになった。
そこからまた、”Individual Thought Patterns” は一歩前進したアルバムだった。僕は、バンドがほとんど同じアルバムを2枚続けてリリースすること以上悪いことはないと言っている。僕の好きなバンドもこういう感じだよ。すでに聴いたことがあるようなことを繰り返したいと思ったことはない。”Symbolic” ではその心配はないと思う」
DEATH はもはや Chuck にとって、”ライフワーク” のような存在となっていました。
「このバンドを離れることは絶対にない!DEATH での仕事に支障が出ないなら、プロジェクトやサイド・バンドに入る準備はできているけどね。例えば、DIO の次のアルバムでギターを弾くというようなオファーがあれば受けるだろう。クラシックのヴォーカリストと仕事をしたいとも思うし、それは僕にとって楽しいことだ。でも DEATH を放っておくわけにはいかないんだ!」
最終作 “The Sound of Perseverance” でプログレッシブとメロディのさらなる高みを目指したのち、CONTROL DENIED で新たな地平を開拓。そうして、2001年に悪性の脳腫瘍であまりにも短かすぎる34年の人生に幕を閉じました。バンド名 DEATH の由来には、兄フランクの若くしての死が影響しているといわれています。そう、死は結局、誰もが行き着く場所。特別なことではありません。Chuck の才能と功績、そして早すぎる死によって彼は伝説となり、神格化されましたが、あくまでも本人は “普通の” Chuck Schuldiner でいたかったのです。

「余暇はペットと遊ぶのが好きなんだ。海辺を散歩したり、釣りをしたり、友達と会ってハンバーガーを作ったり、ビールを飲んだり、映画を観たり、ビデオを観たり…ファンの中には、”邪悪な” 余暇の過ごし方を期待している人もいるかもしれないけど、今は誰も失望させていないことを願っているよ (笑)。僕たちは皆、動物と自然が好きな普通の幸せな男たちだ。それがこの多忙なビジネスにおいて最も重要なことだ!自分を名声に溺れさせず、普通の生活を送ることが大切なんだ」
メタルに関しても、いつまでも “ファン” の目線を失うことはありませんでした。
「変に聞こえるかもしれないけど、僕はただ自分の道を進んで、自分のことをやって、どんなものが出てきてもみんなが喜んでくれればいいという感じだ。一人のファンとして、ミュージシャンとしてではなく、一人のメタル・ファンとして、僕にはメタルを存続させ、生かし、できることは何でもする責任があると感じている。それはミュージシャンとしての僕よりも、ファンとしての僕の側面だ。僕は今でもファンであり、人々はそのことを忘れているかもしれないと思う。多くのバンドマンはファンになることをやめてしまう。大物バンドのレコードを聴けば、彼らがメタルのファンをやめてしまったことがわかる。METALLICA のようなバンドが、自分たちはもうメタル・バンドではないし、メタル・バンドと呼ばれたくもないと言っているのは残念だよ。メタルで大成功を収めたのにね (笑)」
実際、Chuck はあまりにも謙虚で、自らの素晴らしい功績にもまったく無頓着で気がついていませんでした。Gene Hoglan が振り返ります。
「Chuck はとても穏やかで、動物とガーデニングが大好きだった。音楽業界は好きではなく友人が大好きだった。デスメタルの父で偉大なシェフ。美味い料理を沢山作ってくれたんだ。俺に音楽的な手錠をかけることは一度もなかった。彼の遺産は生き続けるよ。でも Chuck はデスメタルの”ゴッドファーザー”と見なされることにいつも不快感を感じていたね。自分はその称号に値しないと感じていたようだね。先人達に譲ろうとしていたよ」

最後に、弊誌のインタビューで Chuck について言及してくれたアーティストたちの言葉を置いておきましょう。
「Chuckとの思い出は僕を笑顔にしてくれるんだ。彼が充実した作品とインスピレーションを、次の世代に残してくれたことが嬉しいからね。Chuck はその人生を音楽に捧げ、いつも新たなことを学ぶ意欲を持ち、自身のアートを広げていったんだ。そういう点がアーティストとしての僕たちを結びつけたんだと思う。きっと彼は僕の中にも、創造的な精神を見つけていたんだろうな – Paul Masvidal (CYNIC)」


「君の演奏を見て、デスメタルの話ばかりしていたあの頃が懐かしいよ。君はまだ誰も気づいていない頃から POSSESSED の革命性を理解してくれていた。君のお陰でメタルの世界はより良い場所になったんだよ。天国で会おう! -Jeff Becerra (POSSESSED) 」


「Chuckは偉大な男で、プロデューサー、エンジニアだったね。素晴らしい時間を過ごしたよ。実に創造的なね。僕がフロリダに着いた時、すでにリズムギターのレコーディングはほぼ終わっていたから、僕は自分のソロパートに集中することができたね – Andy LaRocque (KING DIAMOND)」


「政府がクリエイティブな人々、音楽家、画家、表現者に対してどれほど無関心であるかを悟ったよ。私たちはかなり長い間、資金援助も何もない状態で監禁されていた。Chuck が言うように、まさに彼ら権力の “Secret Face” “秘密の顔”を示していたと思うよ – Patrick Mameli (PESTILENCE)」

参考文献: COC : DEATH Interview

EMPTY WORDS ORG.

KERRANG! :Life After Death: The romantic legacy of Chuck Schuldiner

REVOLVER :DEATH’S CHUCK SCHULDINER REMEMBERED