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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【IMPUREZA : ALCÁZARES】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH LIONEL CANO MUNOZ OF IMPUREZA !!

“Metal And Flamenco…Two Worlds That Seem To Be Opposites, But Which Share The Same Intensity, The Same Pain, The Same Rebellion. It’s This Mixture That Forged The Guitarist I Became.”

DISC REVIEW “ALCÁZARES”

「非常に美しい進化だと思うよ。メタルはついに、これまで以上にユニバーサルなものになりつつあるんだからね。各言語には歴史、色、文化があり、それを使用する者にリズムを与える。スペイン語は、僕たちの歌詞に特有の音楽性をもたらし、ドラマチックで激しく暴力的な側面を与え、メタルの力とフラメンコの強度を自然に融合させてくれるんだ」
BLOODYWOOD や THE HU の台頭により、メタルに宿る生命力、包容力、感染力がついに可視化されました。今やメタルに第三世界はありません。その大いなる寛容さで様々な地域、様々な人々の文化を暖かく包み込み、メタルの咆哮と旋律に共感を誘います。
“ヒスパニック・メタル” を標榜する IMPUREZA も、そんなユニバーサルなモダン・メタル世界を象徴するバンドのひとつ。フランスとスペインの伝統の炎…その熱き血潮で鍛えられた IMPUREZA は、エクストリーム・メタルとフラメンコの情熱的で激しい融合を20年もの長きに渡って、追求してきました。そして今、イベリア半島のアイデンティティを刃物のように操り、自らのルーツをメタルの中に浸透させた彼らの勇気に遂に時代が追いついたのです。
「僕はフラメンコとメタルという、非常に強力な2つの世界の間で育ったんだ。家ではパコ・デ・ルシア、カマロン・デ・ラ・イスラといったスペインのギター音楽を聴いていたんだよ。一方で、METALLICA, PANTERA, SLAYER, MORBID ANGEL, TESTAMENT, NILE などにも完全に浸っていた。一見対立する二つの世界だけど、同じ情熱、同じ苦悩、同じ反逆の精神を共有しているんだよ。このふたつのミックスが、ギタリストとしての僕を形作ったんだ」
そう、一見交わらないように思える様々な道を交わらせるのがメタルの力。しかし、そもそもフラメンコとメタルには、情熱、苦悩、そして逆境を跳ね返す回復力といった多くの共通項が存在しました。だからこそ、今回のインタビューイでありイベリアのギター・ヒーローLionel Cano Muñoz は PANTERA とパコ・デ・ルシアを同時に愛することができたのです。
「フラメンコには深い、悲劇的で、感情的、本能的な精神がある。メタルには、この解放的な音楽の力を通じて、僕たちの中に埋もれたエネルギーをアウトプットする能力がある。ただしふたつとも複雑な音楽で、多くの厳格さを必要とする。勇気は、この絶対的な誠実さから生まれてくるんだ」
とはいえ、これほど精巧で、荘厳で、ドラマティックなヒスパニック・メタルはまさに前人未到の領域。誰も踏み入れたことのない場所を開拓するためには勇気が必要です。そして、NILE や BEHEMOTH のように凶悪でありながら、OPETH のように挑戦的で、パコ・デ・ルシアのように革命的で苦悩と歓喜に満ちた “La Orden del Yelmo Negro” は、絶対的な勇気の歌。あの Jacob Hansen 指揮の下、見事に練られたクラシカルなストリングスとリズミックなパーカッションが、メタルの “レコンキスタ”、再征服を誇り高く宣言します。そしてもちろん、フレットレス・ベースの嗎はプログレッシブなデスメタルの矜持。
「スペインの歴史には、その偉大さと衰退の両方が刻まれている。政治的、宗教的、さらには神秘的な対立が多くの不幸の根源だけど、そうしたテーマは僕たちの創作に無限のインスピレーションを与えてくれる。僕たちは戦争を美化しようとしているわけではなく、その精神的、文化的、人間的な共鳴を探求しているんだ。戦争は確かに暴力的なものだけど、同時に深くて象徴的なものだと思う」
常にイベリアの歴史を物語ながら、ある種の教訓をもたらしてきた現代の吟遊詩人 IMPUREZA。今回のアルバム “Alcázares” で彼らは、血と死が今よりもはるかに近くにあった中世、レコンキスタをテーマに選びました。キリストとイスラム…血塗られた歴史と神秘が交錯する宗教と戦いのストーリー。争いから始まった文化と人の流動性はいつしか成熟され、洗練され、多様な背景を持つ人々を生み出し、ルネサンスの下地にもなりました。血と死に導かれたレコンキスタはまさに、メタルとフラメンコの “不純な” 婚姻にも似て、多文化共生、異文化共鳴の始まりでもあったのです。
今回弊誌では、Lionel Cano Muñoz にインタビューを行うことができました。「メタルは世界を変えることができない。それはたしかだ。だけど、ニュース、本、映画とは全く異なるチャンネルを通じて物語を伝えることならできる。そうやって、いつも僕たちに “逃避” する場所を与えてくれるんだ。メタルはおそらくこの世界におけるユニバーサルな言語であり、表現における最高の武器なんだ!」どうぞ!!

IMPUREZA “ALCÁZARES” : 10/10

INTERVIEW WITH LIONEL CANO MUNOZ

Q1: First of all, what kind of music did you grow up listening to?

【LIONEL】: I grew up between two very powerful worlds: flamenco and metal. At home, we listened to Paco de Lucía, Camarón de la Isla, Spanish guitar… And alongside that, I was completely immersed in Metallica, Pantera, Slayer, Morbid Angel, Testament, Nile… Two worlds that seem to be opposites, but which share the same intensity, the same pain, the same rebellion. It’s this mixture that forged the guitarist I became.

Q1: 本誌初登場です!まずは、あなたの音楽的なバックグラウンドからお話ししていただけますか?

【LIONEL】: 僕はフラメンコとメタルという、非常に強力な2つの世界の間で育ったんだ。家ではパコ・デ・ルシア、カマロン・デ・ラ・イスラといったスペインのギター音楽を聴いていたんだよ。一方で、METALLICA, PANTERA, SLAYER, MORBID ANGEL, TESTAMENT, NILE などにも完全に浸っていた。一見対立する二つの世界だけど、同じ情熱、同じ苦悩、同じ反逆の精神を共有しているんだよ。このふたつのミックスが、ギタリストとしての僕を形作ったんだ。

Q2: What made you start playing an instrument? Who were your heroes at the time?

【LIONEL】: I started around 14 years old with the acoustic guitar, which I found a little difficult and less fun than the electric one. So I first persevered with metal and hard rock. Then I decided to return to the acoustic guitar; with more maturity, I began to find pleasure in it, and I also continued to work on the Spanish guitar.
I’ve always had an artistic spirit and a desire to surpass myself, so I tried several hobbies, and when I found a guitar at my grandparents’ house, I gave it a try. As a fan of Metallica and Slayer at the time, I wanted to be like James Hetfield. I started playing along to the albums until I perfected my skills, and then I developed a taste for it, and I never stopped!
But very quickly, my origins took over. Flamenco was already there, in my blood, in my family roots. My heroes were Paco de Lucía, Dimebag Darrell, and Camarón de la Isla. They all had a spiritual strength, an authenticity that I was looking for.

Q2: ギターを弾き始めたきっかけもフラメンコだったんですか?当時のヒーローは誰でしたか?

【LIONEL】: そうだね、14歳ごろ、アコースティック・ギターから始めたんだけど、エレキギターに比べて少し難しく、楽しさも劣るように感じていてね。だから、最初はエレキでメタルとハードロックに粘り強く取り組みくむことにした。その後、アコースティックギターに戻ったんだ。すると、成熟した視点で楽しめるようになって、スパニッシュ・ギターにも取り組むようになったんだ。
芸術的な精神と自己超越の意欲があったから、昔から趣味は豊富でね。だから、祖父母の家でギターを見つけた時、挑戦してみようと思った。当時は METALLICA と SLAYER のファンだったので、ジェイムズ・ヘットフィールドのようになりたいと思っていたんだよな。アルバムに合わせて演奏し、技術を磨くうちに、その魅力にハマり、以来、ギターをやめられなくなってしまった!
だけど、すぐに僕のルーツが表れてきた。フラメンコは既に僕の血の中に、家族のルーツの中にあったからね。僕のヒーローはパコ・デ・ルシア、ダイムバック・ダレル、カマロン・デ・ラ・イスラだった。彼らは皆、精神的な強さと、僕が求めていた本物らしさを持っていたんだ。

Q3: You are known as “Hispanic Metal”. Although you are French, are you still proud of your Spanish roots? Is the band’s name “Impureza” “Impurity” a reference to your own mixture of Spanish and French blood?

【LIONEL】: Yes, completely for the first part of the question. I was born in France, but I am of Spanish origin, both my parents are Spanish and that is part of me. But for the second part, above all Impureza embodies the duality of two musical genres, the impurity certainly comes from the fact of textured flamenco with metal and smoothed metal with flamenco. So yes our music is perhaps impure!!! Haha!

Q3: IMPUREZA は “ヒスパニック・メタル” として知られています。あなたたち自体はフランス人であるにもかかわらず、スペインのルーツに重きを置き誇りを持っているようですね?バンド名 “Impureza”(不純物)とは、そうしたスペインとフランスの血の混合を意味しているんですか?

【LIONEL】: 最初の質問の答えは完全にイエス。僕はフランスで生まれたけど、スペインの血を引いている。両親はどちらもスペイン人で、そのルーツは僕の一部なんだ。
だけど、2つ目の質問ついては、IMPUREZA は主に2つの音楽ジャンルの二面性を体現していることが理由だよ。不純さとは、フラメンコとメタルのテクスチャーの融合、そしてメタルとフラメンコの滑らかな融合から来ているんだ。だから、僕たちの音楽は確かに “不純” かもしれないよね!!!(笑) 。

Q4: I don’t know of any other band that combines flamenco and traditional Spanish music with metal as well as you do! Your orchestration is also very skillful. Did you find any similarities between Spanish traditional music and metal music in terms of bravery and tragedy?

【LIONEL】: Thank you very much. Yes, these two worlds share a raw intensity. Flamenco has this deep, tragic, visceral spirit. Metal has a capacity for release, a way of externalizing the energy buried within us through the power of this liberating music. They are two complex musics that require a lot of rigor and rigor. Bravery comes from this absolute sincerity. We try to translate this into each composition.

Q4: 実際、あなたたちほど巧みにフラメンコ、伝統的なスペインの音楽をメタルと組み合わせるバンドは他に知りませんよ。オーケストレーションも実に見事ですね。スペインの伝統音楽とメタルの間には、勇気と悲壮感という類似点があるようにも思えます。

【LIONEL】: ありがとう。そうだね、この二つの世界は生の情熱を共有しているんだ。フラメンコには深い、悲劇的で、感情的、本能的な精神がある。メタルには、この解放的な音楽の力を通じて、僕たちの中に埋もれたエネルギーをアウトプットする能力がある。
ただしふたつとも複雑な音楽で、多くの厳格さを必要とする。勇気は、この絶対的な誠実さから生まれてくるんだ。僕たちは、そうしたものを各楽曲に反映させようと努めているよ。

Q5: Your Spanish also fits really well with metal! The metal world used to be almost exclusively English-speaking, but in recent years we have seen an increase in the number of bands using their native languages and traditional music. How do you feel about the increase in the number of bands with such regional characteristics?

【LIONEL】: It’s a very beautiful evolution in my opinion. Metal is finally becoming more universal than it has ever been. Each language has its history, its color, its culture and even gives a rhythm to whoever uses it. Spanish, for its part, brings a particular musicality to our lyrics, it gives them a dramatic, intense and violent side that naturally marries the power of metal and the intensity of flamenco.

Q5: アルバムのスペイン語もメタルにフィットしていますね!メタルの世界はかつてはほぼ英語が主流でしたが、近年、母国語や伝統音楽を使用するバンドが増えています。
IMPUREZA も含めて、ローカルな特色を持つバンドの増加について、どう感じていますか?

【LIONEL】: 非常に美しい進化だと思うよ。メタルはついに、これまで以上にユニバーサルなものになりつつあるんだからね。各言語には歴史、色、文化があり、それを使用する者にリズムを与える。スペイン語は、僕たちの歌詞に特有の音楽性をもたらし、ドラマチックで激しく暴力的な側面を与え、メタルの力とフラメンコの強度を自然に融合させてくれるんだ。

Q6: Your album “Alcazares” is set in medieval Spain, and the Reconquista is one theme. Why did you choose this bloody period of war, plague, and death?

【LIONEL】: Well, first of all, to conclude the trilogy on the history of old Spain, which we began with the Inquisition for “La Iglesia del Odio,” the Conquest for “La Caida de Tonatiuh,” and now the Reconquest for “Alcázares.” The history of Spain is marked as much by its grandeur as by its decadence. Political, religious, and even mystical conflicts are at the heart of many misfortunes, but they provide limitless inspiration for our writing. We don’t seek to glorify war, but to explore its spiritual, cultural, and human resonances. It’s violent, certainly, but also deeply symbolic.

Q6: 最新作 “Alcazares” は中世のスペインを舞台にしていて、レコンキスタがテーマのひとつとなっていますね。なぜ、戦争、疫病、死の血塗られた時代を選んだのでしょうか?

【LIONEL】: まず第一に、古いスペインの歴史を扱った僕らのトリロジーを完結させるためだった。僕たちは “La Iglesia del Odio” で異端審問会を、”La Caida de Tonatiuh” で征服を扱い、”Alcázares” でレコンキスタを扱うことでトリロジーを作り上げたんだ。スペインの歴史には、その偉大さと衰退の両方が刻まれている。
政治的、宗教的、さらには神秘的な対立が多くの不幸の根源だけど、そうしたテーマは僕たちの創作に無限のインスピレーションを与えてくれる。僕たちは戦争を美化しようとしているわけではなく、その精神的、文化的、人間的な共鳴を探求しているんだ。戦争は確かに暴力的なものだけど、同時に深くて象徴的なものだと思う。

Q7: Hundreds of years have passed since Reconquista, but the world is still a dark place of religion, pandemics, war, and division, and the essence of humanity seems unchanged. In such times, what can heavy metal do?

【LIONEL】: Metal won’t change the world, that’s for sure, but it will always allow us to escape, to tell the story through a channel very different from news, books, and films. Perhaps the universal language and the best weapon of expression in this world!

Q7: レコンキスタから数百年の時が経ちましたが、世界は依然として宗教、パンデミック、戦争、分断の暗雲が覆い、人間の本質は変わっていないようにも思えます。こんな時代に、ヘヴィ・メタルには何ができるでしょうか?

【LIONEL】: メタルは世界を変えることができない。それはたしかだ。だけど、ニュース、本、映画とは全く異なるチャンネルを通じて物語を伝えることならできる。そうやって、いつも僕たちに “逃避” する場所を与えてくれるんだ。メタルはおそらくこの世界におけるユニバーサルな言語であり、表現における最高の武器なんだ!

Q8: Your music is a perfect combination of ferocity and beauty, what do you think beauty means for death metal?

【LIONEL】: It’s like Romantic Gothic, which is defined by death, rebellion, night, and the morbid, but also by dreams, the sublime, nature, and the beauty of the fantastic and the mysterious. This duality is strongly present in Impureza’s music.
A guttural cry can be more moving than a melodic song expressed in plain language if the emotion is genuine. Beauty finds its essence in sincerity, even in the strange, even in horror and violence!

Q8: あなたの音楽は凶暴さと美しさの完璧な融合です。そんな IMPUREZA にとって、デスメタルにおける “美しさ” とは何だと思いますか?

【LIONEL】: デスメタルにおける美。それはロマンティック・ゴシックのようなもので、死、反逆、夜、そして病的なものによって定義されながら、同時に夢、崇高、自然、そして幻想的かつ神秘的な美しさによっても定義される。この二面性は、IMPUREZA の音楽に強く表れているよ。
例えば本物の感情が込められていれば、メロディックな曲よりも、のどから絞り出すような叫びの方が感動的になることがあるだろう。結局、美の本質は誠実さにあり、奇妙なものにも、恐怖や暴力にも存在するんだよ!

FIVE ALBUMS THAT CHANGED LIONEL’S LIFE!!

Slayer “Reign in Blood”

Testament “The Gathering”

Pantera “Vulgar Display of Power”

Morbid Angel “Entangled in Chaos”

Nile “Annihilation of the Wicked”

MESSAGE FOR JAPAN

Yes, of course! For us, Japan is a land of respect, values, culture, and passion. We adore Japanese artistic sensibility. It would be a tremendous honor for us to come and perform in Japan. Thank you very much for your support.
We hope to bring our Hispanic fury to your beautiful country soon.

僕たちにとって日本は、尊敬、価値観、文化、情熱の土地。日本の芸術的感性を愛しているんだ。もし、日本でパフォーマンスできるとしたら、僕たちにとってそれは大きな栄誉だよ。サポートをありがとう。
近い将来、僕たちのヒスパニックな情熱を美しい日本に届けられることを願って。

LIONEL

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IMPUREZA Official

IMPUREZA SEASON OF MIST

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【DARKASIDE : DECADE OF CRISIS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JOSHUA MAYUM OF DARKASIDE !!

“Kakarot Is My Favorite Hero, He Is a Force That Knows No Fear, He Always Challenges Himself And Fights For Others That Need Help, As a Kid I Always Wanted To Be Like Goku And Stand Up For Others”

DISC REVIEW “DECADE OF CRISIS”

「カカロットが僕の一番好きなヒーローなんだ。彼は恐れを知らない存在で、常に自分自身に挑戦し、助けを必要とする他者のために戦う。子供の頃、僕は常に悟空のように他者のために立ち上がることを望んでいたんだよ」
誰にでも、幼いころに勇気や優しさをもらったヒーローはいるはずです。もしかしたら、そうしたヒーローから “生き方” のお手本を示してもらった人もいるかもしれませんね。パプア・ニューギニアで抑圧をうけるブーゲンビルの DARKASIDE は、恐れ知らずで、自分に挑戦し、弱いもののために立ち上がる生き方をドラゴンボールの悟空から受け継ぎました。そう、もちろんメタルも誰かのヒーローになれるのです。
「この曲はブーゲンビルの人々に対して、危機を乗り越えて戦った人々や命を落とした人々の犠牲を忘れないよう、また現在も独立のために戦っている人々へのメッセージとリマインダーなんだ。抑圧と弾圧の下でも、ブーゲンビルの人々は互いを支え合い、教育、仕事、ビジネスに努力し、自己を向上させることで、この不条理を克服しなければならないことをね。現在のパプア・ニューギニア政府は、ブーゲンビルが資源(金、銅、カカオなど)に富むため、僕たちの島を富と収入の源と見なし、独立を渋っているんだ」
世界でも最も文化的・人種的・言語的に多様な国の一つといわれる異色の地、パプア・ニューギニアの中でもブーゲンビルはさらに異色の地です。首都ポートモレスビーのあるニューギニア島から離れた場所にあるブーゲンビル島は、鉱物や海洋資源が豊富。その資源は国の主な収入源のひとつとなっています。特に巨大なパングナ鉱山は国の生命線。しかし、政府によるその利益の分配が不公平だとブーゲンビル人は怒り、独立を求めています。内戦まで発展したそのブーゲンビル危機の裏側には、肌の色、言葉、文化の違いで抑圧を受け続けたブーゲンビルの人々の怒り、反骨精神、逆境を乗り越える回復力が存在しました。そしてその回復力は、まさにヘヴィ・メタルに宿る力。
“Decade of Crisis” はそのブーゲンビル危機をテーマとした楽曲です。ただし、DARKASIDE は争いや暴力による解決を求めているわけではありません。友と互いに支え合って高め合い、己を磨き、自己実現を果たしていく中で、権利を主張し譲歩を求める。それはまさにドラゴンボールの修行と武道会。そして、不条理を跳ね退けた先に待っているのは、きっと悟空とベジータのように互いを認め合う心なのかもしれませんね。
「僕たちはメタルを愛しているけど、僕たちはパプア・ニューギニア人であり、より具体的にはブーゲンビル人だ。僕たちは地元の伝統、文化、民話、言語(トク・ピジン/ナシオ)も大切にしているんだよ。こうした文化すべてが非常に重要で、可能な限り自然にメタル・ジャンル(カナカ・メタル)と融合させようと努めているよ。伝統とメタルは、それぞれの地域にとってリアルで忠実なものだから、よく調和するんだ。だから、人々は BLOODYWOOD や SEPULTURA の音楽スタイルに共感するんだよ」
重要なのは、DARKASIDE が理想だけを語る絵に描いた餅、机上の空論のような存在では決してないことです。彼らの音楽には明らかに、人を惹きつける何かがあります。Nu-metal と伝統音楽の類稀なる蜜月。BLOODYWOOD が蒔いたリズミックでフォーキッシュなメタルの種は今、世界中で芽吹こうとしています。そう、世界各地の文化、音楽、言語を吸収するセルのような力こそ、メタルの生命力にして真骨頂。今やメタルに第三世界はありません。ゆえに、そんなモダン・メタルの申し子ともいえる DARKASIDE が、5年後に BLOODYWOOD と肩を並べていたとしても決して不思議ではないのです。
今回弊誌では、フロントマン Joshua Mayum にインタビューを行うことができました。「メタルは、男女の関係について歌ったり、派手なライフスタイルや富を追求したり、この世界の快楽に浸るためのものではない。この音楽は、正義と平等を求める戦いの叫びであり、僕たちが日常の生活で直面する現実の状況と闘い続けるための武器なんだよ」 どうぞ!!

DARKASIDE “DECADE OF CRISIS” : 10/10

INTERVIEW WITH JOSHUA MAYUM

Q1: First of all, what got you into metal in Papua New Guinea, a country where metal is not exactly famous?

【JOSHUA】: Metal is not really a genre that a majority of people in Papua New Guinea (PNG) are exposed to or generally even like. Usually their first reactions would be “o that’s the devil’s music, too much noise or that’s demonic.’ We Darkaside are from the Autonomous Region of Bougainville (AROB). It is a region within Papua New Guinea that is commonly known for a having a few outstanding features, one most obvious is our dark skinned complexion, the decade long Bougainville Crisis from 1988 to 1998 and most definitely our general love for the metal genre. Over the recent years there has been a metal movement within PNG, specifically in the national city of Port Moresby, with likeminded metal heads meeting up and having metal nightsonce or twice in a year. Thanks to social media (Facebook, Whatsapp, Tiktok etc. we are able to find each other and build mutual friendships through our love for the metal genre. These metal nights have been single handedly arranged by Carmel Pilotti of Tritones Music and have been a focal point towardsbuilding the local metal scene and encouraging the minority of PNG metal heads regardless of their age, race or culture to attend and share our love for metal with the support of a few of our local PNG metal bands.

Q1: まず最初に、パプア・ニューギニアというメタルと無縁にも思える地で、メタルにハマったきっかけを教えていただけますか?

【JOSHUA】: メタルは、パプア・ニューギニア(PNG)の多くの人々にとって接する機会がなく、一般的に好まれるジャンルでもない。パプア・ニューギニア人の最初の反応は “ああ、メタルは悪魔の音楽だ。騒がしいし、悪魔的だ” といったものが多いだろうね。
僕たち DARKASIDE は、ブーゲンビル自治州(AROB)出身なんだ。この地域はパプア・ニューギニアの一部なんだけど、いくつかの特徴で知られている。最も目立つのは僕たちの黒い肌の色、1988年から1998年までの10年間続いたブーゲンビル危機、そして間違いなくメタル・ジャンルへの大きな愛なんだ。
近年、パプア・ニューギニア、特に首都ポートモレスビーでメタルムーブメントが生まれ、同じ趣味を持つメタルファンが年に1回か2回、メタル・ナイトが開催されているんだ。ソーシャルメディア(Facebook、WhatsApp、TikTokなど)を通じて、僕たちは互いを見つけ合い、メタルへの愛を通じて相互の友情を築くことができているよ。
こうしたメタル・ナイトは、トリトーンズ・ミュージックのカーメル・ピロッティが単独で企画・運営していて、地元のメタル・シーンの構築と、年齢、人種、文化に関わらずパプア・ニューギニアのメタル愛好家が参加し、メタルへの愛を共有する場として機能しているんだ。もちろん、いくつか地元のメタル・バンドの支援を受けて実現しているんだけどね。

Q2: I hear that Papua New Guinea is not a country with stable politics and security. What are the challenges of continuing to play heavy metal in such a place?

【JOSHUA】: Papua New Guinea is widely perceived as a corrupt country and arguably one of the most dangerous places in the world. But to be honest the media over exaggerates and lies about the security about this country. Most parts of Papua New Guinea are safe and the people here are the friendliest loving people you will ever meet. There are no challenges in playing heavy metal here, everybody in PNG respects each other and the type of Genre one plays and listens to. Maybe the only hiccup will be facing is getting our songs to be played on our local radio stations because currently Metal isn’t main stream here in PNG and now radio announcers asked to get paid under the table in order for them to play your songs on the radio stations so basically the radio stations here are corrupt and full of shit.

Q2: パプア・ニューギニアは、政治面・安全面で決して安定しているとは言えないそうですね。そうした国で、ヘヴィ・メタルを続けていくのは簡単ではないですよね?

【JOSHUA】: パプア・ニューギニアは、腐敗した国として広く認識されていて、おそらく世界で最も危険な場所の一つとされているよね。しかし正直なところ、メディアはこの国の安全面について過大に誇張し、嘘を流しているんだ。パプア・ニューギニアの大部分は安全で、ここに住む人々は、きっと君が会う中で最も親切で愛らしい人たちだよ。だから、ヘヴィ・メタルを演奏する上で問題があるわけじゃないんだ。
パプア・ニューギニアの誰もが互いを尊重し、演奏や聴くジャンルの違いを尊重しているよ。唯一の障害は、地元のラジオ局で僕たちの曲を流してもらうことかもしれないね。現在、この国ではメタルは主流ではなく、ラジオのアナウンサーはオンエアの対価として裏金を要求するからラジオ局は腐敗していて、まったくひどい状態だよ。

Q3: Papua New Guinea is one of the most culturally, racially and linguistically diverse countries in the world. What groups do you belong to in such a country?

【JOSHUA】: Papua New Guinea consists of four distinct regions. The highlands, Momase, Southern and Islands region. The Band members of Darkaside are from the Islands region which is composed by five provinces which is Bougainville also known as North Solomon’s Province (where all the band members of Darkaside are originated from), East New Britain, West New Britain, Manus, and New Ireland. Out of all the regions and provinces in Papua New Guinea, the people of Bougainville have a more darker skin complexation some may say we are the blackest people in the world. The island of Bougainville is rich with minerals and resources, abundant with marine life and has at least 19 different indigenous languages.

Q3: パプア・ニューギニアは、世界でも最も文化的・人種的・言語的に多様な国の一つです。あなたのグループについて、お話ししていただけますか?

【JOSHUA】: パプアニューギニアは4つの異なる地域から構成されているんだ。ハイランド、モマセ、南部、および島嶼地域だね。DARKASIDE のメンバーは島嶼地域出身で、この地域は5つの州から成り立っている。具体的には、ブーゲンビル(北ソロモン州とも呼ばれ、DARKASIDE のメンバーの出身地)、東ニューブリテン、西ニューブリテン、マヌス、およびニュー・アイルランド。
パプア・ニューギニアのすべての地域と州の中で、ブーゲンビルの住民は最も肌が黒いとされ、一部の人々は “世界で最も黒い人々” と呼ぶかもしれないね。ブーゲンビル島は鉱物と資源が豊富で、海洋生物も豊富。少なくとも19の異なる先住民言語が存在するんだ。

Q4: “Decade of Crisis” is a song about the Bougainvillea crisis. Many people have died in the conflict, but Bougainvillea has not yet achieved peace or independence. Was this song written to help the oppressed people of Bougainvillea?

【JOSHUA】: The people of Bougainville have waited a very long time for the Papua New Guinea Government to give them Independence.This song is a message and reminder to Bougainvillians to not forget and take for granted the sacrifices of those who fought through the crisis and died, and for those that are still here fighting for our Independence. Even under the circumstances of being oppressed and suppressed Bougainvillians must rise up and overcome this injustice by empowering one another, and work hard in their education, work, Business and then Better oneself. The current Government of PNG is reluctant to give us Independence because they see our island as a source of wealth and income since Bougainville is rich in resources (Gold, Copper, Cocoa ect).

Q4: “Decade of Crisis” はブーゲンビル危機をテーマにした楽曲ですね。この紛争で多くの命が失われましたが、ブーゲンビルは未だに平和や独立を確立できていません。この曲は、そうしたブーゲンビルの抑圧された人々を支援するために書かれたのでしょうか?

【JOSHUA】: ブーゲンビルの人々は、パプア・ニューギニア政府から独立を認められるのを非常に長い間待ってきた。この曲はブーゲンビルの人々に対して、危機を乗り越えて戦った人々や命を落とした人々の犠牲を忘れないよう、また現在も独立のために戦っている人々へのメッセージとリマインダーなんだ。
抑圧と弾圧の下でも、ブーゲンビルの人々は互いを支え合い、教育、仕事、ビジネスに努力し、自己を向上させることで、この不条理を克服しなければならないことをね。現在のパプア・ニューギニア政府は、ブーゲンビルが資源(金、銅、カカオなど)に富むため、僕たちの島を富と収入の源と見なし、独立を渋っているんだ。

Q5: This song uses bamboo flutes and other percussion instruments, which wonderfully match your metal! Are these instruments traditional instruments of your tribe?

【JOSHUA】: Yes, the traditional instruments such as the Bamboo drum and bamboo flute which is played in the Decade of Crisis music video are sacred instruments which can only be played by Man in my Tribe and in other tribes and specific regions in Papua New Guinea. These traditional instruments are normally played in Ceremonial gatherings and at Cultural dances.

Q5: この曲では竹の笛や打楽器が使用されており、DARKASIDE のメタルと素晴らしく調和しています。こうした楽器はあなたの民族の伝統的な楽器なのでしょうか?

【JOSHUA】: そうだね、ビデオに出てくる伝統的な楽器、竹の太鼓や竹の笛は、僕の部族やパプア・ニューギニアの他の部族や特定の地域で、男性のみが演奏できる神聖な楽器なんだ。こうした伝統的な楽器は、儀式的な集まりや文化的なダンスで演奏されるんだよ。

Q6: In recent years, music that combines metal with one’s own traditional music, such as Bloodywood, has become increasingly popular. You, like them, seem to be heavily influenced by Nu-metal, but why do you think metal and traditional music match so wonderfully?

【JOSHUA】: Yes, we love Bloodywood. Their music is so unique and inspiring. We are into Nu Metal as it suites our style of playing and it’s a genre that has evolved from main stream heavy metal in the 90’s. Our musical aspirations as a band has been to focus on originality and musical identity. Yes we love metal, but we are Papua New Guineans, more specifically we are Bougainvilleans. We also have our local, traditions, cultures, folklore, language (tok pidgin/nasio. These are all very important and we try as much as possible to fuse it naturally with the metal genre (kanaka metal). Traditional and metal sound well together because its real and authentic to each particular respective area. No wonder people relate well to the musical style of Bloodywood and of course Sepultura.

Q6: 近年、BLOODYWOOD のように、メタルと自国の伝統音楽を融合させた音楽がますます人気を集めています。
あなたも彼ら同様、Nu-metal に強く影響を受けているようですが、なぜメタルと伝統音楽はこれほど見事に調和するのでしょう?

【JOSHUA】: そうだね、僕たちは BLOODYWOOD を愛しているよ。彼らの音楽は独特で刺激的だから。そして実際、僕たちは Nu-metal に傾倒しているんだ。このジャンルは僕たちの演奏スタイルに合っていて、90年代主流のヘヴィ・メタルから進化したものだ。バンドとしての音楽的目標は、独自性と音楽的アイデンティティに焦点を当てること。
もちろん、僕たちはメタルを愛しているけど、僕たちはパプア・ニューギニア人であり、より具体的にはブーゲンビル人だ。僕たちは地元の伝統、文化、民話、言語(トク・ピジン/ナシオ)も大切にしているんだよ。こうした文化すべてが非常に重要で、可能な限り自然にメタル・ジャンル(カナカ・メタル)と融合させようと努めているよ。伝統とメタルは、それぞれの地域にとってリアルで忠実なものだから、よく調和するんだ。だから、人々は BLOODYWOOD や SEPULTURA の音楽スタイルに共感するんだよ。

Q7: I was very excited to see you wearing your Dragon Ball Z Frieza T-shirt! Are you actually a fan of Japanese anime, games and music?

【JOSHUA】: Yes, I Joshua Mayum the singer of Darkaside am a big fan of Dragon Ball Z and the late Akira Toriyama. I’ve been a fan of DBZ since I was a kid. When I was kid, I used to collect DBZ play cards, toys and watched DBZ episodes almost every afternoon after school and on the weekends. But now I only collect shirts and download wallpapers. Kakarot is my favorite Hero, he is a force that knows no fear, he always challenges himself and fights for others that need help, as a kid I always wanted to be like Goku and stand up for others.

Q7: ビデオのなかであなたがドラゴンボールZのフリーザTシャツを着ているのを見て、とても興奮しました!実際、あなたは日本のアニメ、ゲーム、音楽のファンなんですか?

【JOSHUA】: その通りだよ。僕はドラゴンボールZと故鳥山明の大ファンなんだ。僕は子供の頃からドラゴンボールZのファンでね。子供の頃、ドラゴンボールZのプレイカードやおもちゃを集め、放課後や週末のほぼ毎日、ドラゴンボールZのエピソードを見ていたんだよ。今はシャツを収集し、壁紙をダウンロードするくらいだけどね。
カカロットが僕の一番好きなヒーローなんだ。彼は恐れを知らない存在で、常に自分自身に挑戦し、助けを必要とする他者のために戦う。子供の頃、僕は常に悟空のように他者のために立ち上がることを望んでいたんだよ。

Q8: Pandemics, war, division, oppression, discrimination: in the 2020s, the world is heading toward an increasingly violent and dark place. What can heavy metal do in these times?

【JOSHUA】: Metal for us is about freedom of expression through means of creating awareness by campaigning musically on the social issues that are affecting our peers and our rural and urban communities. These are issues that we as a developing nation have been facing for some time now and we believe that this is a time for reflection and corrective actions need to be taken now as this year come September 16th will mark our 50 years of Independence as a sovereign nation. We are not an isolated issue as most of these issues are also being faced by many other developing nations in the world, particularly the Pacific. It’s not about singing about a girl/boy, bling bling or getting rich or even indulging in the pleasures of this world, but it’s battle cry for justice, equality and also about facing the real-life situations and struggles we encounter in our daily lives.

Q8: パンデミック、戦争、分断、抑圧、差別…2020年代、世界はますます暴力的で暗い方向へ進んでいます。このような時代において、ヘヴィ・メタルにはは何ができるのでしょうか?

【JOSHUA】: 僕たちにとってメタルは、音楽を通じて社会問題への意識を高め、表現の自由を追求する手段なんだ。そうした問題は、僕たちの同世代や農村・都市コミュニティに影響を及ぼしている。発展途上国として、僕たちは長年これらの問題に直面してきたよ。今年9月16日に独立50周年を迎える今、この国は反省と是正措置を講じる時期だと信じている。そしてそれはこの国に限った問題ではない。世界中の多くの発展途上国、特に太平洋地域でも直面している問題だよ。
メタルは、男女の関係について歌ったり、派手なライフスタイルや富を追求したり、この世界の快楽に浸るためのものではない。この音楽は、正義と平等を求める戦いの叫びであり、僕たちが日常の生活で直面する現実の状況と闘い続けるための武器なんだよ。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED JOSHUA’S LIFE!!

Metallica “Black Album”

Papa Roach “Infest”

P.O.D. “Satellite”

Disturbed “The Sickness”

Linkin Park “Hybrid Theory”

MESSAGE FOR JAPAN

Late Admiral Isoroku Yamamoto’s final resting place is in Bougainville, even our own grandfather (Kaka nasio language) would sing Japanese songs, as he was thought by the Japanese army during the 2nd World war in Bougainville. So we have always had this connection with Japan in some sense. If and when everything works out, we would love to come over and perform at the Supersonic Festival or the famous Budokanvenue one day. Our sincere love and greetings to you all.

故・山本五十六提督の最終的な安息の地はブーゲンビル島にあるんだ。僕たちの祖父(カカ・ナシオ語を話す)も、第二次世界大戦中にブーゲンビル島で日本軍に教育を受けていたから、日本の歌を歌っていたんだよ。だからいつも僕たちは、何らかの形で日本とのつながりを感じてきたんだ。もし全てがうまくいけば、いつか Supersonic Festival (おそらくサマソニのこと) や有名な武道館でパフォーマンスをしたいと考えているよ。みんなに心からの愛と喜びを。

JOSHUA MAYUM

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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【SKUNK ANANSIE : THE PAINFUL TRUTH】


COVER STORY : SKUNK ANANSIE “THE PAINFUL TRUTH”

“Having a Black, Female, Gay Lead Singer Was Completely Different Than All The Other Bands, Me Being The Face Of a Rock Band Made a Lot Of People Uncomfortable.”

THE PAINFUL TRUTH

「私がロックバンドのフロントを務めたことで、多くの人々が不快感を抱いていた」
SKUNK ANANSIE は、Oasis, Blur, Pulp といったバンドがラジオを席巻した 90 年代半ばのブリット・ポップの流れに関連して、一躍有名になりました。しかし、このムーブメントの軽快なインディーズ・ロックに流されることなく、ロンドンの 4 人組はよりヘヴィで政治的な要素の強い、反抗的なサウンドを選択していました。それは、オルタナティブで時にメタル。そうして、Skin の激しく詩的な表現を完璧に引き立てていったのです。
Skin のかつてないルックス、恐れ知らずの性格、そして抑圧された人々のために立ち上がる心意気が、当時の他のバンドと SKUNK ANANSIE を明確に区別し、彼女を世界的なアイコンへと押し上げました。Skin はアイコニックなDr.マーチンのブーツを履き、ステレオタイプを恐れずに打ち破りました。
「黒人で、女性で、クィアのリードシンガーがいることは、他のバンドとは完全に違っていた。私は人々の先入観に挑んだんだ。私がロック・バンドの顔となることは、多くの人を不快にさせたから」
1990年代半ばは、イギリス音楽にとって特筆すべき時代でした。現代とは異なり、ジャンルやスタイルの統一性がより強く支配していた時代において、アメリカン・オルタナティブ・ミュージックの氾濫に対する対抗馬として台頭したブリットポップは、ラジオや主流メディアを席巻しました。しかし、この注目を浴びたムーブメントの特筆すべき特徴は、その人種的・性別的な均一性でした。つまり、白人男性中心のトレンドだったのです。

一方、時々 “ブリット・ロック” と呼ばれた SKUNK ANANSIE, THE WILDHEARTS, FEEDER といったアーティストは、異なる人種的背景を持つメンバーを擁していました。
「そこに情熱と真実味があるから、ロックにハマるの。そして、そこには怒りと憤りもある。本当にアウトサイダーが集まる場所。90年代、ロックやメタルにハマることは、確実に主流に逆らう選択だった。それはアンダーグラウンドで、少しエッジの効いた音楽だった。だから、私はあの時代の人々ははるかに共感力があると思う。ロックのオーディエンスははるかに共感力がある」
2020年代に入っても、SKUNK ANANSIE が大きな会場を埋められる事実が、このバンドの音楽が “人々の音楽” であることを証明しています。
「それは私がブリストン出身だからよ。1970年代のブリストンは、私が育った頃、南ロンドンの資金不足で忘れ去られた地域だった。黒人たちが住む場所だった。そして、そのことは語られなかった。黒人たちの問題は語られなかった。私たちは本当に自分たちで何とかするしかなかった。さらに、スース(容疑者)法という問題もあった。多くの黒人居住地域は、非常に差別的な警察組織とも対峙しなければならなかった。彼らは黒人男性を疑いだけで逮捕し、捜索した。彼らは街中で裸にさせることもできた。私は3人の兄弟がいるので、その現実をよく知っていたの」
彼女の歌声は、しばしばロック界で最高の歌声と称されています。 純粋で、ハスキーという表現は決して適切ではありません。 高くて正確で、ビブラートがたっぷりかかっているのです。ウィンドラッシュ世代としてジャマイカからイギリスに移り住んだ Skin の家族にとって、そうした音楽とのつながりは天性のものだと感じています。
「私の家族はみんな歌えるの。ただ、練習してこなかったから、いい声が出なかっただけでね。 でも、私みたいに練習していたら、きっとうまくなっていたはず。私は音楽をやって成功したいという意欲と野心を持っていたから」

表舞台で活躍する中で、Skin が耐えてきた逆境は、 “居心地が悪い” という表現がぴったりでした。 他人の偏見や不安の受け皿となることを繰り返してきた彼女は、社会的、政治的な問題に関しては決して尻込みすることなく、長年にわたって差別の事例について率直に語ってきたのです。Skin は SKUNK ANANSIE のキャリアを通して、”Selling Jesus”, “Intellectualise My Blackness”, “On My Hotel TV”, “Little Baby Swastikkka” といった曲で、人種差別、虐待、組織宗教、資本主義の貪欲さに立ち向かってきました。 2020年9月に出版された自叙伝 “It Takes Blood and Guts” の中で彼女は、1996年に SEX PISTOLS のオーストラリア・ツアーに参加した際、人種差別を経験したと語っています。
「髪型だけでナチスだと誤解された。”ステージから降りろ、この黒人女!” とか叫ばれてね。そして、私たちを擁護する人たちが巻き込まれて、小さな乱闘になることもよくあったわ」
ベーシストの Cass も黒人であるバンドは、敵対する者たちを怒りに満ちたパフォーマンスで吹き飛ばし、無表情で束縛することなく反応したのです。
「私たちは、黒人らしく、獰猛に、ラウドになりきったの。その不条理な差別や偏見のおかげで、ステージでより良いパフォーマンスをするためのエネルギーが湧いてきたんだよ」
この活力は、フロントマンのジョニー・ロッテンを含む SEX PISTOLS からのサポートがなかったとされることで、さらに拍車がかかりました。
「彼は私たち四面楚歌になっているのを見て、何もしなかった。そういう沈黙の中に暴力があると思うの。詩的な文章だね、くそったれ! それを書き留めて」

このような抑圧に対する反骨精神が、Skin が多くの人々にとって伝説となった理由のひとつといえます。しかし、何十年にもわたって人々の偏見の的となり続けたことは、どんなに強い人間にとっても重い十字架となるはずです。
「でも、私はそれを背負わなかった。 人種差別、性差別、同性愛嫌悪など、他人の問題を引き受けてしまうと、その人たちが私に重荷を背負わせているようなものになってしまう。 だから前向きに成功について話す方が生産的だと思う。 実際に起こったいくつかの事件や、物事を難しくするようなことが、結果的にバンドの原動力となって成功した理由になっているのだから」
Skin が背負っている問題はたくさんあって、彼女がひとつひとつの十字架を背負う余裕がないのは当然のことです。30年間にわたる闘いの中で、彼女は社会と文化の活動家として、恐れずに声を上げ続けています。LGBTQ+の権利を擁護する活動——これは彼女が数十年にわたり続けてきたもので、当時、多くのアーティストがカミングアウトしていなかった時代から始まっています——以外の時間には、アフリカ女性主導の組織 “Forward” のアンバサダーとして、女性器切除反対運動を展開しています。
The Medical Foundation for the Care of Victims of Torture(現在はFreedom From Tortureとして知られる)や、黒人や少数民族コミュニティを支援するBaobab Foundationといった慈善団体と協力し、Skinは音楽療法を通じて若年の難民申請者を社会に統合する支援も行っています。また、ソーシャルメディアを通じて黒人コミュニティの物語を伝え、差別反対を訴えています。
「先日読んだ研究によると、Instagramのコメントの80%が否定的なものだったそう。人間は他人を批判するのが好きで、他人を励ますことには興味がないんだよ。だから、人々がその対処法を学ぶのは良いことだと思う。なぜなら、それは決して変わらないから。重要なのは、フィードバックを適切に評価すること。99%の人があなたのことを気に入っていても、1つの悪いコメントがあれば、その悪いコメントに焦点を当ててしまう。それは無意味よ。私はソーシャルメディアを最もポジティブな形で使い、善のために活用している。人生で何をするにしても、善のために活用してほしいわ。そうすれば、多くの善が返ってくるでしょう」

2020年、Skin はキャリアの新たな段階を開始し、Absolute Radioで毎週放送されるラジオ番組 “The Skin Show” の司会を務めるとともに、ポッドキャスト “Skin Tings” を立ち上げました。このポッドキャストでは、彼女の音楽のヒーロー、著名な友人、そして新進気鋭のアーティストをインタビューしています。しかし、彼女がインタビューしたアーティストたちと同じように、ロック音楽にとって重要な存在であるのは彼女自身です。彼女の明るい態度とダイナミックな精神は、Nova Twins, Rico Nasty, Little Simz など多くのアーティストに道を開き、自分らしくありながら成功を収めるよう鼓舞してきました。
「自分らしさを保つことは本当に重要だと思う」と Skin は、特に現在の過密な音楽シーンにおいて、多くのアーティストがトレンドを追う代わりに独自の個性を共有しない中で、個性の重要性について振り返ります。
「あなたが興味深いのは、あなたがあなた自身だから。他人を真似るな。本質的にあなたではない方法で物事を始めるな。あなたの素晴らしいところは、あなたが本質的にあなた自身であり、この地球上にあなたのような人は他にいないこと。それがあなたが録音すべき音であり、あなたが集中すべきもの。観客やロック批評家に媚びて成功を追い求めるために、自分ではない誰かになる必要があるなら価値はない。実際、成功とは何だろう?音楽を作り、世に送り出すこと—私にとっては、すでにそれが成功なの。そうすればあなたは実際に音楽業界の一部なのよ。ロック批評家の目を通して自分の成功を見ることは、自身の integrity(誠実さ)と authenticity(本物さ)を損なう可能性があるのだから」

イギリス王室さえも、Skin がジャンルを超えたアイコンとしての地位を認めています。彼女は音楽への貢献を称えられて、OBE勲章を授与されました。リーズ芸術大学の総長でもあります。つまり、英国ロック史で最も影響力のある人物の一人であるわけですが、よく与えられる “先駆者” という称号を受け入れているのでしょうか?
「後から振り返ると、バンドとして私たちの影響力とインパクトはわかる。でも、その中にいてやっている時は、人々が何について話しているのか全然わからない。黒人で女性で同性愛者の歌手が、セクシーで小さな服を着ていないこと、むしろアンドロジナスで政治的な音楽を歌っていたことが、どれだけ狂っていたか思い出す。それは本当に重かった。そして、90年代に多様性と意識の高さを追求した私たちの成果を振り返ると、今や実際に黒人、ゲイ、トランスジェンダーの文化に熱中することがクールになった。それは素晴らしいことだ。だから、私たちは先駆者だったと今なら理解できる」
先駆者といえば1998年7月16日、Skin と Cass は、南アフリカのクルーガー国立公園で、元大統領ネルソン・マンデラの80歳の誕生日を祝うための集まりに参加し、1,000人もの人々と共に夕食を摂っていました。その夜の司会者が、ステージに上がることを許可された人々の名前を短くリストアップし始めた時、2人は、自分たちも呼ばれるだろうと冗談を言いました。そして、本当に呼ばれたのです。
「私たちは “呼ばれるよ!” と笑い合っていた。そして “SKUNK ANANSIE!” って。やばい! それで私たちはステージに上がった。ネルソン・マンデラと少し会話し、その後マイケル・ジャクソン、ダニー・グローバー、スティーヴィー・ワンダー、ニナ・シモンと並んで立ち、全員でネルソンに “ハッピー・バースデー” を歌った。スティーヴィーがピアノを弾き、私がリードを歌い、マイケル・ジャクソンがハーモニーを担当した。そう、本当に魔法のような夜だった…」

まさに伝説に残る一夜でした。1994年にロンドン・キングスクロス地区の怪しげなリハーサルルームで活動を始めたバンドとしては、悪くない成果です。31人が焼死した地下鉄駅を出て、Skin は強盗の目を避けるため、目的地の街を走って移動していました。そこでは薬物依存、売春、ホームレスが蔓延していたのです。
「キングス・クロスは人間社会の汚物溜めだった。まさに汚物溜めだったが、輝かしいものだった。最高のバンドは汚物溜めから生まれると思う」
27年半後、現在 Skin はニューヨークとロンドン北東部を往復する生活を送っています。最初のラジオシングル “Little Baby Swastikkka” から 30 年近く経った今日、彼女は “成功” “今でも観客を前に、チケットが完売のライブを行っていること” と定義しています。
「人々は私に “成功とは600万枚のアルバムを売ることですか?” とか聞いてくるけど、私は “いいえ、成功の定義は、自分が方向付けた人生を送れていて、それでも十分な収入を得られるから、他のことをする必要がないこと” だと答えるわ。私にとって、成功とは、楽しみながらお金を稼ぎ、素晴らしいライブを続け、人々に称賛されることよ。おそらく今、私たちは “伝説的な地位” のカテゴリーに入っているようで、興味深いね。おそらく私たちは、今や人々が憧れるバンドの一つであり、若者たちが憧れる存在になっているでしょう」
間違いなくそうでしょう。2019年の夏、O2アカデミー・ブリクストンでの SKUNK ANANSIE のライブでは、他の同様の激しいライブでは時々見られない、特に同性カップルや有色人種の女性を含む、明らかに多様な層の観客がいました。もちろん、そのシーンが必ずしも排他的な場所というわけではありませんが、彼らのシンガーが説明する通り、このグループは “慰めを提供する “のです。「人々は SKUNK ANANSIE のライブに来て、自由になれる。私たちのライブのプライバシーの中で、彼らはその1時間や2時間を、ただ自分らしくいることができるの」

同じく2019年、Stormzy が “グラストンベリーでヘッドライナーを務めた最初の有色人種アーティスト” と誤って主張した件(SKUNK ANANSIE が彼より20年も前にその栄誉を獲得していた)に対し、ラッパーは正式な謝罪を表明しました。
「正直に言えば、ビヨンセが “グラストンベリーでヘッドライナーを務めた最初の黒人女性” だと発言したときのほうが、私はもっと苛立った。Stormzy は大好きで、彼は多くの良いことをしている。彼を批判したり、その瞬間を奪ったりすることは絶対にしない。でも、自分を守らなければならなかったから訂正を求めたの。彼は本当に品格がある。個人的にDMを送ってくれて、素敵なメッセージだった。少し会話した。私たちは皆、彼が黒人男性として、黒人男性らしいことをしていることに誇りを持っている」
実際、Skin の人気急上昇期の記憶は輝かしいものでした。彼女はダライ・ラマの前でパヴァロッティとデュエットし、ネルソン・マンデラに誕生日を歌い、1999年にグラストンベリーでヘッドライナーを務めた最初の黒人イギリス人となったのです。黒人女性として切り開いてきた道。それは確実に、報われようとしています。
「今や状況は変わった。人々は、変化をもたらすべきのは女性ではなく、他の人々であることに気づいた。女性が服装を変える必要はない。女性が自分を証明するために5倍努力する必要もない。それは私たちの責任ではない。他人が態度を変えるべきだし、それが女性以外の責任なの。90年代はそうではなかったけど、私はずっと前からその態度を持っていたの」
あの MOTORHEAD の Lemmy とは親友でした。
「彼はとても優しかった。 私が会った人の中で、一番本物の人だった。 彼はありのままの自分で、それを隠そうとしなかった。 それに、彼は想像以上に完璧な人だった。 彼はとても紳士的だった。私がLAにいるときはいつも一緒に曲を書いていて、彼からのメッセージもとても嬉しかった。 あるとき、彼と一緒に曲を書くことになっていたのに、私は恋人と別れてしまって書けなかった。 すると彼はLAに来て、”君のためにきたよ。一緒に遊ぼう” って。 本当に優しい人だった」

自伝、ツアー、ニューアルバム…多くのことが進行中ですが、Skin はいつか音楽から完全に離れることを考えるでしょうか?「どうやって止めるの?」と彼女は微笑みながら言う。「なぜ止める必要があるの?」
そう、SKUNK ANANSIE 9年ぶりの7thアルバム “The Painful Truth” (2009年の再結成以来最高の作品)は、再結成したグループの一部が形式的に活動するのと対照的に、このバンドがは2025年に活躍するためのバンドであることを見事に証明しました。
「最も良いのは、すべてが音楽から来ていること。新しい曲は人々に好まれ、古い曲はボーナスだ。私は常にこの強い信念を持っていた…素晴らしいアルバムを作れば、すべてが変わる…とね。私たちは “続けるか、続けないか” という自問自答をしたの。本当に質の高い曲をまだ作れるなら、未来があるとね。しかし、平均的な曲しか書けないなら、創造的に終わりかもしれないって。そうやって、ただ緩やかな衰退をたどれば人々は、90年代の私たちにしか興奮しなくなるだろう」
“The Painful Truth” には彼らの特徴的な歌詞と音楽の重厚さに、情熱的なオルタナティブの要素、電子音楽の要素、大衆向けの大きなコーラス、そしてスキンによる “巧妙な言葉遊び” が見事に融合されています。 “Shoulda Been You” のような堂々たるポップな曲から、率直で容赦ない “Shame”(「あの歌詞で一部の人から批判されるかもしれないけど、もうすでにその人たちからは十分批判されてるから!」と Skin が冗談を交えて語る)まで、これはまさに SKUNK ANANSIE が作りたかったアルバムであり、人々が予想していた過去の彼らから進化を遂げた作品でした。
「ファンが気に入ってくれるかどうか、という不安はある。なぜなら、”The Painful Truth” は私たちが普段やっていた音楽ではないから。でも、人々が本当に求めているのは、自分たちが欲しかったと気づかなかった本当に素晴らしいものを享受すること。私たちの仕事は他人を追いかけることではないからね」

そしてもちろん、それが常に SKUNK ANANSIE のやり方でした。90年代の白人男性中心のロックシーンを切り裂いてきた頃から常に。
「当時は気づかなかった…私たちはただバンドとして活動していただけだから。でも、私のような人たちがロック音楽への門を大きく広げたと信じたい。私たちは結局のところ、それを発明したんだから!今なら、小さな黒人少女や多様なバンドでも、それほど多くの反発を受けずに自分の道を歩めるだろう」
そうして時代がやっと追いついてきた今、SKUNK ANANSIE はメンバーの闘病という苦難にまたさらされています。しかし、30年もの間、世界のあらゆる試練を乗り越えてきた SKUNK ANANSIE は、今さら引き下がるつもりはありません。
“An Artist Is An Artist” や “Cheers” といった素晴らしい新曲が、”Weak” や “Little Baby Swastikkka” といった名曲と見事に調和しています。バンドは、ついに彼らが常に受けるべき尊敬を受ける時が来たのでしょう。
「いいメッセージを持ったバンドとして記憶されるのは悪くない。”彼らは本気で、いくつかの障壁を打ち破り、正しいことをした” ってね。私たちがやってきたことに比べれば、まだ花は咲いていないけど…私たちは毎晩、人々から花をもらっているよ」

参考文献: REDBULL:Skunk Anansie rocks out while Skin does the trailblazing

KERRANG!:Skin: “We offer solace. At a Skunk Anansie gig, people can be themselves, be free…”

KERRANG!:“I always had this strong belief: ‘If you do a great album, everything changes…’” How Skunk Anansie forged their dazzling future

VICE: Skin from Skunk Anansie Will Always Be a True Original

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【PALEFACE SWISS : CURSED】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH PALEFACE SWISS OF YANNICK LEHMANN !!

ALL PHOTOS BY ADAM CHANDLER

“In Times Like These, Solidarity Is Everything. We Want To Give People a Space Where They Can Truly Be Themselves. Everyone Is e Equal, That’s Our Message.”

DISC REVIEW “CURSED”

「もちろん SLIPKNOT は大きな影響源だったよ。僕たちのボーカルと元ドラマーは、彼らのライブで出会ったんだからね。だけど、僕たちは決して SLIPKNOT になることを目指したわけではないんだよ。僕たちはビートダウン・バンドとして始まり、そのころの夢や目標はシンプルだった。世界で最も過激なバンドになることだよ」
かつて、SLIPKNOT は世界一過激で、クリエイティブで、それでいてメジャーなエクストリーム・バンドでした。過激であることと、クリエイティブであること、そしてメジャーであることが並び立つと彼らは証明してくれたのです。
SLIPKNOT のコンサートで結成されたスイスの PALEFACE SWISS は、そんな伝説の志を継ぐバンド。なぜなら、彼らはすでにスラム・ビートダウンとして狂気のSAN値を更新しながら、多様で創造的なアイデアで、スイスで最も人気のあるエクストリーム・メタルとなりつつあるのですから。
「僕たちはジャンルに縛られないんだ。狭い箱に閉じ込められるためにここにいるわけではないんだからね。ある日は Nu-metal のトラックを書き、次の日はデスメタルのアンセムを書くかもしれない。僕たちは感じるままに創造する。そこに限界はないんだよ」
初期 SLIPKNOT への崇拝という呪い “Hatred” から幕を開けるアルバム “Cursed” は、しかし徐々に自らにかけられたその呪いを振り払い、新たな世界を “Spit it Out” 吐き出していきます。KORN の奇妙な絶望や孤独をデスコアで解釈した “…and with hope you’ll be damned”、パーカッシブなコンセプトを活用した “My Blood On Your Hands”、そしてメロデスと Nu-metal のオフビートな狂宴 “Love Burns”。また、完全版に収録された “River Of Sorrows” のアンプラグド・バージョンではリスナーの涙を誘い、バンドの懐の広さを見せつけます。
「このような暗い時代には、団結が全て。僕たちは、メタルを通じて人々が本当に自分らしくいられる空間を提供したいんだ。ここでは誰もが平等である…それが僕たちのメッセージだよ」
SLIPKNOT が “People=Shit” と歌った “Iowa” からおおよそ四半世紀の年月が経ちました。90年代の暗さを背負っていた SLIPKNOT が “People=Shit” と叫ぶのは、ある意味時代の必然だったのかもしれませんね。
しかし、同じ暗い時代において、PALEFACE SWISS はメタルと人の可能性を信じます。メタル世界ではすべての仮面や肩書きを脱ぎ捨てて、本当の自分でいられる。どんな文化、人種、宗教、言語でもメタルの前では平等である。差別や抑圧を許さない。メタルを愛するという大きな “共感” が、コミュニティ全体を優しく包み込んでいきます。いろんなことが、この25年で大きく変化しましたが、少なくともメタル世界は少しづつでも前へと進んでいるのです。
今回弊誌では、ギタリストの Yannick Lehmann にインタビューを行うことができました。「ヘヴィ・ミュージックは世界を変えられないかもしれないけど、人々を変えることならできる。音楽で困難な瞬間を乗り越える手助けをしたり、長い一日の後に平穏をもたらしたり―それがヘヴィ・ミュージックが持つ真のインパクトなんだ。君なら僕の意味するところを理解してくれると思う」それにしても、Zelli のボーカル・パフォーマンス、スター性は群を抜いていますね。どうぞ!!

PALEFACE SWISS “CURSED” : 9.9/10

INTERVIEW WITH YANNICK LEHMANN

Q1: I heard that Slipknot was the band that inspired you to form Paleface. Did you want to be like them back then?

【YANNICK】: Yes and no. Of course Slipknot was a huge inspiration, our singer and former drummer actually met at one of their shows. But we never set out to be Slipknot. We started as a beatdown band and our goal was simple: to be the hardest band on the plane.

Q1: PALEFACE は SLIPKNOT が結成のきっかけになったと聞きました。当時、彼らのようなバンドになりたいと思っていたのでしょうか?

【YANNICK】: YesでありNoでもある。もちろん SLIPKNOT は大きな影響源だったよ。僕たちのボーカルと元ドラマーは、彼らのライブで出会ったんだからね。だけど、僕たちは決して SLIPKNOT になることを目指したわけではないんだよ。僕たちはビート・ダウン・バンドとして始まり、そのころの夢や目標はシンプルだった。世界で最も過激なバンドになることだよ。

Q2: Nowadays your music is heavier, more ferocious, and even more terrifying than Slipknot. What drove your evolution from nu-metal to deathcore?

【YANNICK】: We don’t box ourselves into any genre. We just follow what feels right. The evolution happened naturally over the years, it’s been a journey, not a decision.

Q2: 現在、あなたの音楽は SLIPKNOT よりも重く、凶暴で、さらに恐ろしいものになっています。そうした進化は何が原動力となったのでしょうか?

【YANNICK】: 僕たちはジャンルに縛られないんだ。ただ、自然な流れに従っているだけなんだよ。進化は年月をかけて自然に起こったもので、決断ではなく、旅のようなものだったんだ。

Q3: People often label you as deathcore, but your sound spans hardcore, slamming beatdown, nu-metal, and even melodic death metal at times. How do you feel about being described as “on the cutting edge of metal”?

【YANNICK】: That’s exactly how we like it. Like I said, we’re not here to be put in a box. One day we might write a nu-metal track, the next a death metal anthem. We create what we feel. No limits.

Q3: 人々はあなたたちをデスコアとラベリングしますが、実際のサウンドはハードコア、スラム・ビートダウン、Nu-metal、時にはメロディック・デスメタルまで多岐にわたります。まさにジャンルに縛られていませんが、そうした音楽を “メタルの最先端” と形容されることについては、どう感じていますか?

【YANNICK】: まさにそれが僕たちの望むところだよ。先ほど言ったように、僕たちは狭い箱に閉じ込められるためにここにいるわけではないんだからね。ある日は Nu-metal のトラックを書き、次の日はデスメタルのアンセムを書くかもしれない。僕たちは感じるままに創造する。そこに限界はないんだよ 。

Q4: Your music feels like a brutal horror movie, yet the metal community is known for being kind and supportive. Do you think that’s because many fans feel like outsiders themselves?

【YANNICK】: Absolutely. In times like these, solidarity is everything. We want to give people a space where they can truly be themselves. Everyone is equal, that’s our message.

Q4: あなたの音楽が象徴するように、メタルは残酷なホラー映画のような感覚ですが、一方でメタル・コミュニティは親切で共感的なことで知られています。それは、多くのファンが自分自身もアウトサイダーだと感じているからでしょうか?

【YANNICK】: 絶対にそうだよ!このような時代には、団結が全て。僕たちは、メタルを通じて人々が本当に自分らしくいられる空間を提供したいんだ。ここでは誰もが平等である…それが僕たちのメッセージだよ。

Q5: I find it interesting that you have “Swiss” in your band name. Switzerland isn’t known for a huge metal scene, but it has produced legendary bands like Celtic Frost, Coroner, Breakdown of Sanity, and Eluveitie. Do you feel like you’re following in their footsteps?

【YANNICK】: For sure! Eluveitie, for example, was one of the first metal bands I ever listened to. And now I’m proud to be part of what people might call the “new face” of Swiss metal.

Q5: バンド名に “スイス” という国名が入っているのが興味深いです。スイスは決して大きなメタルシーンで知られているわけではありませんが、CELTIC FROST, CORONER, BREAKDOWN OF SANITY, ELUVEITIE のような伝説的なバンドを輩出しています。彼らの足跡を継いでいると感じますか?

【YANNICK】: もちろん!例えば ELUVEITIE は、僕が初めて聴いたメタル・バンドの一つなんだよ!そして今、人々が “スイスのメタルの新しい顔” と呼ぶものの一部になれたことを誇りに思っているんだよ。

Q6: After your EP trilogy, you released the stunning and haunting full-length Cursed. Is there a thematic connection to the trilogy?

【YANNICK】: Not directly. But there’s a thread connecting Fear & Dagger and Cursed. Fear & Dagger tells stories of mental struggles and personal battles of people we know. Cursed dives deeper, those stories are ours. Still, the chapters didn’t quite fit the previous records thematically.

Q6: EP3部作の後、衝撃的で不気味なフルアルバム “Cursed” をリリースしましたが、トリロジーとのテーマ的なつながりはあるんですか?

【YANNICK】: 直接的なつながりはない。だけど、”Fear & Dagger” と “Cursed” には共通の糸があるんだ。”Fear & Dagger” は、僕たちが知る人々の精神的な苦闘や個人的な戦いの物語を描いている。”Cursed” はそれをさらに深く掘り下げ、その物語を僕たち自身のものにしたんだ。それでも、これらの章は以前の作品とテーマ的に完全に一致しているわけではないんだ。

Q7: The world feels cursed in many ways―discrimination, division, oppression, war. What do you think heavy music can offer in a world like this?

【YANNICK】: Heavy music may not change the world but it can change people. Whether it helps you get through a tough moment or gives you peace after a long day, that’s real impact. I think you know what I mean.

Q7: 世界は多くの面で “呪われている” ように感じられます―差別、分断、抑圧、戦争。こうした世界で、ヘヴィ・ミュージックに何ができるでしょうか?

【YANNICK】: ヘヴィ・ミュージックは世界を変えられないかもしれないけど、人々を変えることならできる。音楽で困難な瞬間を乗り越える手助けをしたり、長い一日の後に平穏をもたらしたり―それがヘヴィ・ミュージックが持つ真のインパクトなんだ。君なら僕の意味するところを理解してくれると思う。

Q8: Lorna Shore has brought new attention to deathcore, but also a flood of “blackend” bands trying to copy that sound. What’s your take?

【YANNICK】: I’d say Lorna Shore opened doors for people who’d never given heavy music a chance before. That made the scene stronger. As for the copycats, those kinds of trends come and go. We don’t pay attention to that noise.

Q8: デスコア・シーンであなたたちと双璧をなす LORNA SHORE はまさにデスコアに新たな波をもたらしましたが、そのサウンドを真似ようとする “ブラッケンド” バンドの急増も引き起こしましたね。

【YANNICK】: 僕は LORNA SHORE が、これまでヘヴィ・ミュージックに手を伸ばさなかった人々に扉を開いたと考えているよ。それがシーンを強化したんだ。模倣者についてだけど、結局そうしたトレンドは来たり去ったりするもの。僕たちはその騒音には特に注目していないよ。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED YANNICK’S LIFE!!

HELLOWEEN “Walls of Jericho”

KREATOR “Phantom Antichrist”

AC/DC “Live 1991”

BULLET FOR MY VALENTINE “Fever”

TRIVIUM “In Waves”

MESSAGE FOR JAPAN

I’m just getting into that world, but my stepdaughter is a massive anime and Japan fan! I’ve always loved Studio Ghibli movies, they’re pure magic.
We can’t wait to come to Japan. It’s a dream. See you very, very soon!

日本の文化にはまだ詳しくないけど、僕の義理の娘はアニメと日本の大ファンなんだ!スタジオジブリの映画はいつも大好きで、純粋な魔法のような作品だよね。
日本に行くのを楽しみにしているよ。本当に夢なんだ。とても、とても、とても早くに会えるのを楽しみにしているよ!

YANNICK LEHMANN

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【BLACKRAIN : CRACK THE SKY】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH SWAN HELLION OF BLACKRAIN !!

“Van Halen Debut Album Became a Big Thing In My World, The Sound Of The Guitar On This Album Is So Unique, There’s a Very Special Feeling Coming Out Of It, It Is Wild.”

DISC REVIEW “CRACK THE SKY”

「Jerem はまだ若いけど EVH の大ファンで、彼にとって大きな影響の源だよ。実は、この動画で僕らの音楽がより広い層に届くと期待していたんだ。素晴らしいギターソロは、ロックやグラムのコミュニティだけでなく、多くの人々の心を動かすことができるからね」
Eddie Van Halen が旅立って5年。そのユニークな音楽、哲学、サウンド、テクニックは、大いなる遺産、ロックの “導火線” となって今も人々の心を動かし、リアルタイムを知らない若い世代をもギターやメタルの沼へと引きずり込んでいます。ギター・ヒーローの類稀なる情熱と魔法は、先日インタビューを行った DERAPS の例を挙げるまでもなく、確実に多くの後続へと “継承” されているのです。
「VAN HALEN のファースト・アルバムは、若い頃にオリジナルのLP版を贈られてから、僕の世界で大きな意味を持つようになったんだ。このアルバムのギターの音は本当に独特で、特別な感覚があるよね。実に野性的だよ」
20年前、ここ日本のツアーからキャリアのスタートをきったフランスの BLACKRAIN。80年代のサンセット・ストリップを現代へと蘇らせる彼らは、紆余曲折を経て昨年再スタートを切りました。Jerem G という若き才能を得た彼らは、一度 VAN HALEN のファースト・アルバムという原点に戻り、再起を図ります。”Resurrection”。Jerem G がこの楽曲、このMVで魅せた姿には明らかに “Eruption” の情熱、野生、衝撃が宿っていました。今、この動画は様々なプラットフォームで拡散され、”バズって” います。そう、ギターの衝動は時にメタルのコミュニティを超越して “噴火” します。かつての VAN HALEN のように。
「現代の社会では、人々は何かに対して30秒以上の注意を払わないため、”メディオクリティ” “奇をてらわない良さ” “普遍的な素晴らしさ” が “大きな問題” となる。これが、今日あらゆる問題が蔓延する理由かもしれないよね。だからこそ、努力を重ねて一定のレベルに達し、夢を叶えた人々を見聞きすることは、確かに大切なことなんだ…」
長年こうしたサイトを運営していると、いかに現代が、もしくは SNS が “普遍” と相性が悪いかを思い知らされます。結局、”バズる” 記事は今や30秒、いや5秒で伝わる奇抜な “出オチ” のアーティストが大多数。もちろん、そうした前代未聞のアイデア自体は素晴らしいのですが、果たして “バズ” に “加担した” リスナーは彼らを末長く愛しているのでしょうか?まるでスタバの新作のように、ただ一度 “消費” してそれで終わりのような気がしてなりません。
スクロールで膨大な情報が現れては消える時代に、私たちのアテンション・スパンはどんどん短くなっていきます。そうした流れで、”メディオクリティ”、普遍的に長く愛せる音楽を私たちは見失いがちなのかもしれませんね。だからこそ、もし “当たり前にカッコいい” Jerem G の勇姿に感銘を受けたとしたら、彼らのアルバムにも目を向けて欲しいのです。そこには、80年代の巨人たちとも対等に渡り合える、情熱的な目眩くメタルの “普遍” が存在しているのですから。
今回弊誌では、フロントマン Swan Hellion にインタビューを行うことができました。「多くのギター・ヒーローや素晴らしい達人が存在したと感じてきたけど、僕の注意を引くのはごくわずかだった。多くの人が超高速でスケールを上下に弾くことができる中、僕は別の何かが必要だと思ったんだ。曲のために演奏し、音楽に本物をもたらすギタリスト、タッチやサウンドを持つギタリストこそが必要だとね。Jerem はその資質を持っている」 どうぞ!!

BLACKRAIN “CRACK THE SKY” : 10/10

INTERVIEW WITH SWAN HELLION

Q1: The video for “Resurrection” is getting a lot of buzz! Frankly, how do you feel now?

【SWAN】: We are very satisfied about the response, we were actually expecting to reach a wider crowd with this video, a great guitar solo can touch a lot of people, not only the Rock \ Glam community. It is a very positive buzz but it could be even bigger, Jerem G, our new guitarist is very talented and would surely deserve a million views for this beautiful performance, the inspiration and execution are remarkable here.

Q1: 今、”Resurrection” のミュージックビデオがまさに “バズって” いますね!率直に、どんなお気持ちですか?

【SWAN】: 反応には非常に満足しているよ。実は、この動画で僕らの音楽がより広い層に届くと期待していたんだ。素晴らしいギターソロは、ロックやグラムのコミュニティだけでなく、多くの人々の心を動かすことができるからね。
今でもとてもポジティブな反響だけど、これがさらに大きくなる可能性もあるよ。僕たちの新しいギタリスト、Jerem・G は非常に才能があり、この美しいパフォーマンスで100万回の再生回数を獲得するに値するはずさ。この動画における、彼のインスピレーションと実行力は本当に素晴らしいものだからね。

Q2: “Resurrection” reminds many people of Van Halen’s “Eruption”. In fact, are you aware of that legendary performance?

【SWAN】: Of course, even tho he is young, Jerem is a huge EVH fan, a big influence for him. Actually, it was my idea to try to get this solo on the new album and when I asked him to try to work on it, I specifically referred to Eddie Van Halen solo Eruption. This Van Halen album was given to me when I was young, the LP version, original one, and it became a big thing in my world, the sound of the guitar on this album is so unique, there=s a very special feeling coming out of it, it is wild.

Q2: “Resurrection” を聴けば、多くの人が VAN HALEN の “Eruption” を思い出すはずです。実際、あの伝説的なパフォーマンスを目標にしていたのでしょうか?

【SWAN】: もちろん、Jerem はまだ若いけど EVH の大ファンで、彼にとって大きな影響の源だよ。実際、このソロを新アルバムに収録するアイデアは僕から出したんだ。彼にこのソロに取り組むようお願いした時、Eddie Van Halen の “Eruption” を具体的に例として挙げたからね。
VAN HALEN のファースト・アルバムは、若い頃にオリジナルのLP版を贈られてから、僕の世界で大きな意味を持つようになったんだ。このアルバムのギターの音は本当に独特で、特別な感覚があるよね。実に野性的だよ。

Q3: In fact, there are very few young people who play the kind of loud, technical, arena-ready, catchy metal and rock music that you do nowadays. Did you choose the title “Resurrection ” in the hope of reviving such music?

【SWAN】: The title Resurrection was chosen partly because it reminds of the title and also because when Jerem arrived in BlackRain, his first role was to act as Jesus Christ (Summer Jesus) on stage with us, so Resurrection was the perfect word to name his solo.

Q3: 近年、あなたたちのようなテクニカルでメロディックでラウドで、アリーナを沸かせるキャッチーなメタルやロックを演奏する若者はほとんどいませんよね。”Resurrection” というタイトルは、そうした音楽を復活させたいという希望を込めて選んだのでしょうか?

【SWAN】: “Resurrection” というタイトルは、”Eruption” を少し連想させるから選んだんだ。また Jerem が BLACKRAIN に加入した際、最初の役割がステージ上で僕たちと共にイエス・キリスト(Summer Jesus)を演じることだったから、彼のソロに “Resurrection” という名前が完璧だったというのもある 。

Q4: More to the point, there are not a few new generation of guitar magicians like Tosin Abasi and Polyphia, for example, but there are really few guitar heroes like you who attract people with their passion for metal and rock. In these dark times of war, division, oppression, discrimination, and loneliness, we need guitar heroes like you and Jerem G, would you agree?

【SWAN】: First, I am myself far from being a guitar hero and it’s never been my interest, the term would suits Jerem much better for sure.
I’ve had the feeling those past years that it was actually a lot of guitar heroes out there, a lot of great technicians, but it is only a very few that catch the attention, at least, my attention. When so many can play super fast, playing scales up and down at the speed of light, I need something else to strike me, I need a guitarist that can play for the songs, that brings something real to the music, a touch, a sound, Jerem got those qualities.
In a world where people don’t give more than 30 sc of attention to anything, mediocrity becomes something too “big”, that might be the reason why there are so many problems of all kind today, so yes, it helps to hear and see people that worked hard to reach a certain level and achieve their dreams….

Q4: より具体的に言うと、Tosin Abasi や POLYPHIA ような新しい世代のギター魔術師は少なくないですが、あなたたちのようなメタルとロックへの情熱で人々を惹きつけるギター・ヒーローは本当に少なくなりました。
戦争、分断、抑圧、差別、孤独の暗い時代において、世界を明るく照らすようなあなたやJerem・G のようなギターヒーローが必要だと感じますよ。

【SWAN】: まず、僕は自分自身、ギターヒーローからは程遠く、その言葉はJerem にずっと適していると思っているよ。
過去数年間、多くのギター・ヒーローや素晴らしい達人が存在したと感じてきたけど、僕の注意を引くのはごくわずかだった。多くの人が超高速でスケールを上下に弾くことができる中、僕は別の何かが必要だと思ったんだ。曲のために演奏し、音楽に本物をもたらすギタリスト、タッチやサウンドを持つギタリストこそが必要だとね。Jerem はその資質を持っている。
現代の社会では、人々は何かに対して30秒以上の注意を払わないため、”メディオクリティ” “奇をてらわない良さ” “普遍的な素晴らしさ” が “大きな問題” となる。これが、今日あらゆる問題が蔓延する理由かもしれないよね。だからこそ、努力を重ねて一定のレベルに達し、夢を叶えた人々を見聞きすることは、確かに大切なことなんだ…

Q5: In addition, the word “Resurrection” also means “rebirth” for the band with Jerem G and Franky, would you agree?

【SWAN】: Yes I can agree, “Resurrection” can mean a lot and in this case it fits pretty well, after the departure of 2 members that had been in the band for so long, the future of BlackRain could have been questionable but on the other side, there are no words to describe what the band has gained with two guys like Franky Costanza and Jerem G, our music has become better and thanks to them we can reach a higher level.

Q5: さらに、”Resurrection” という言葉は、Jerem・G と Franky Costanza という新たな素晴らしきメンバーを得て、バンドにとって “再生” を意味するようにも感じます。

【SWAN】: その通りだよ。”Resurrection” は多くの意味を持ち、この場合、非常に適切だよ。2人のメンバーが長年在籍していたバンドを去った後、BLACKRAIN の未来は闇の中にあったけど、一方で、Franky Costanza と Jerem・G 2人の加入により、バンドが得たものは言葉では表現できないほど大きいんだ。僕たちの音楽はより良くなって、彼らのおかげでより高いレベルに達することができたんだからね。

Q6: “Hot Rock Time Machine” from 2024 was another great album! In fact, it’s like going back in time to the late 80s and early 90s, when metal was at its brightest! What makes you stick with music from that era?

【SWAN】: This is just what we like, it is the music that touches us, I don’t really know why because frankly, all this 80s music isn’t our generation, we grew up more with Nirvana, Korn, Children of Bodom or even Mayhem! We just play what we like to play on stage, that is all. I believe there is something more in the music that comes from this era, the atmosphere, the way it was recorded, somehow, it sounds warmer, some would say nowadays sound design is way bigger but I don’t agree, everything was more alive back then, even the videos, maybe the society in general was thriving more and you can feel it in the music.

Q6: 過去の楽曲をリアレンジした2024年の “Hot Rock Time Machine” も素晴らしいアルバムでした!
実際、BLACKRAIN の作品を聴けば、80年代後半から90年代初頭、メタルが最も輝いていた時代に戻ったような感覚を味わえますよ!あなたはなぜ、あの時代の音楽にこだわるのでしょうか?

【SWAN】: これは単に僕たちが好きな音楽だからだよ。僕たちを感動させる音楽だから。正直なところ、なぜかは分からないんだ。だって、80年代の音楽は僕たちの世代のものではないからね。僕たちは NIRVANA, KORN, CHILDREN OF BODOM, MAYHEM などと共に育ったからね!
僕たちは単にステージで演奏したい音楽を演奏しているだけなんだ。でも、あの時代の音楽には何か特別なものがあると思う。雰囲気や録音の仕方、何だか温かみがあるんだよね。現代のサウンド・デザインははるかに進化していると言われるけど、本当にそうだろうか。あの頃は全てがより生き生きとしていたように思える。ミュージック・ビデオもそうだよね。おそらく社会全体がより活気があって、それが音楽に反映されていたのかもしれないね。

Q7: Your voice is very inspiring to listen to! Blackrain’s music shows influences from various bands such as Guns N’ Roses, Def Leppard, Motley Crue, Dokken, etc. Is there a vocalist that you particularly admire?

【SWAN】: Thank you very much! My big influences are Axl Rose and Blackie Lawless because nobody can sing like them and I love the way they sound, so unique and good. Im also a big fan of Sebastian Bach, basically, I like singers with attitude!

Q7: あなたの声にもとてもインスパイアされますよ!BLACKRAIN の音楽には GUNS N’ ROSES, DEF LEPPARD, MOTLEY CRUE, DOKKEN など、さまざまなバンドからの影響が伺えますが、あなたが特に尊敬するボーカリストは誰ですか?

【SWAN】: ありがとう!僕の大きなボーカリストは Axl Rose と Blackie Lawless なんだ。誰も彼らのようには歌えないし、彼らの声のユニークで素晴らしい響きが好きなんだ。あとは、Sebastian Bach も大好き。要するに、アティテュードのあるボーカルが好きなんだ!

Q8: Glam rock is not exactly popular music today. Some may say it is outdated or lame.

【SWAN】: I agree it might seem outdated for some, but after 40 years it is still the same bands, like Guns n roses or Queen radios and medias keep on playing, using on magazines front pages and the same bands packing arenas, so I have a bit of doubts that this kind of music is outdated, nothing “new” can compete with the old ones, except Ghost maybe, which by the way, kinda sound like 70s or 80s music. More specifically, talking about Glam rock, what usually push back people is the look, the make up and tight clothes, not the music itself I think. But I prefer to see a band dressed to kill than a bunch of average dudes looking like my neighbours on stage.
In the face of such headwinds , Why do you continue to play this music?
We choose to play what we like, if people follows it is great, if they prefer something else, well, it is what it is, we re not gonna start playing stuff we don’t enjoy to please the community or get into the current trend. We are well aware of the situation, we might be down the cycle right now, we can only hope to reach out to more people in the future but we won’t change ourselves.

Q8: グラム・ロックは今や、主流の音楽ではありません。一部の人は時代遅れやダサいとまで言うかもしれませんね。

【SWAN】: たしかに、一部の人々には古臭く感じられるかもしれない。でもね、40年経った今でも同じバンド、例えば GUNS N’ ROSES や QUEEN がラジオやメディアで繰り返し流され、雑誌の表紙を飾り、アリーナを埋め尽くすような状況が続いているよね。ということは、この種の音楽が古臭いというのも少し疑わしい気がするよ。
時代遅れというよりも、”新しい” ハードロックは古い巨人と競うことができないというのが正しいんじゃないかな。GHOST くらいしか例外はないかもしれないよね。だって、GHOST は70年代や80年代の音楽に似ているように聞こえるから。より具体的に言うと、グラム・ロックについて話すと、人々が拒否反応を示すのは、メイクやタイトな服装といった見た目で、音楽そのものではないと思っているんだ。だけど、僕はステージ上で隣の家の住人みたいな普通の男たちよりも、派手な服装で登場するバンドを見る方が好きだからね (笑)。
こうした逆風にもかかわらず、なぜこの音楽を続けるかって?僕たちは好きな音楽を演奏するだけだよ。人々が気に入ってくれたら素晴らしいし、他のものを好むならそれはそれでかまわない。コミュニティを喜ばせたり、現在のトレンドに合わせるために、楽しめない音楽を演奏するつもりは毛頭ないよ。僕たちは状況をよく理解している。現在、ハードロックやグラム・ロックはサイクルの底にいるかもしれないけど、将来より多くの人々に届くことを願っているんだ。自分たちを変えるつもりはないよ。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED SWAN’S LIFE!!

Nirvana “Nevermind”

Metallica “Ride the lightning”

Guns N’ Roses “Appetite For Destruction”

Pantera “The Great Southern Trendkill”

Crashdiet “Rest In Sleaze”

MESSAGE FOR JAPAN

We almost started our music journey in Japan, about 20 years ago, we toured for almost a month in the Tokyo clubs and around, we keep a great memory of it and we strongly hope to come back one day, we loved the experience, we were young and wild back then, playing every night and ended up every time to this Rock club named The Current. Our former drummer Frank is still a big big fan of Japan and animes, he even speaks a bit of Japanese.
On our side, we grew up with Japanese video games and anime like Dragon ball, Saint seiya or City Hunter and many more, we re still watching them today.
We don’t know much about Japanese music but the songs “Endless rain” and “Tears” from X Japan have been in our playlist for about 25 years haha
Thank you so much for this interview, I hope we will be able to visit Japan soon again and rock together!

僕たちは約20年前、日本で音楽の旅を始めたようなものなんだ。東京のクラブや周辺でほぼ1ヶ月間ツアーを回り、その思い出は今でも鮮明だよ。いつかまた戻ってきたいと強く願っている。当時の僕たちは若く荒削りで、毎晩演奏し、最終的に “ザ・カレント” というロッククラブで過ごすことが多かったな。元ドラマーのフランクは今でも日本とアニメの大ファンで、少し日本語も話せるしね。
僕らはドラゴンボール、聖闘士星矢、シティハンターなど、日本のビデオゲームやアニメと共に育ったし、今でも観ているよ。
日本の音楽については詳しくないけど、X Japanの “Endless rain” と “Tears” は、約25年間プレイリストに入りつづけている(笑)
インタビューをありがとう。また日本を訪れてみんなとロックできることを願っているよ!

SAWN HELLION

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【LUX TERMINUS : CINDER】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH VIKRAM SHANKAR OF LUX TERMINUS !!

“Trying To Make Heavy Music With No Guitars Is a Creative Challenge That Requires Creative Solutions, Which Is a Lot Of Fun.”

DISC REVIEW “CINDER”

「芸術的に言えば、ギターがないという制約があることはとても充実したことだと思う。実は僕はギターの音が絶対的に好きだし、好きなミュージシャンの多くはギタリストだ。それでも、ギターを排除することで、キーボードが “音の混沌” に埋もれてしまうことがなく、繊細さや美味しさを堪能する余地が生まれる」
LUX TERMINUS とは、ラテン語で “終わりの先の光” を意味します。そう、このバンドは過去のプログのトンネルの先にある光に違いありません。バンドの中心人物は Vikram Shankar。そう、2010年代後半、シーンに彗星のごとく現れた若き鍵盤の魔法使いこそプログ世界の希望。
あの歌聖 Tom Englund との美しすぎるデュオ SILENT SKIES でネットから現実へと飛び出した Vikram は、すぐにその優れたテクニック、音楽教育を存分に受けた知性、研ぎ澄まされたメロディの感覚、音楽を俯瞰して見る眼差しが認められ、REDEMPTION や PAIN OF SALVATION といったこの世界の鬼才にして重鎮にとってなくてはならない存在となりました。
彼がプログ世界の希望である理由。それは彼の音楽に対する優れた才能、真摯な態度だけではなく、鍵盤をその武器に選んでいるから。かつて、プログやメタル世界の華のひとつだったキーボード・ヒーローは今や絶滅寸前。しかし、その繊細さや多彩な色彩は決して滅びてはならない天然記念物。Vikram はこの LUX TERMINUS で、PLINI, INTERVALS, David Maxim Micic といった愛するギターヒーローの哲学をキーボードで再現して独自に進化させ、ギター全盛のシーンに選択肢を増やそうとしているのです。
「ギターがない状態でヘヴィな音楽を作ろうとするのは、創造的な解決策を必要とするクリエイティブな挑戦であり、それはとても楽しいことなんだ。LUX TERMINUS は、おそらく SILENT SKIES と最も共通点があると思う。主に、シネマティックな色合いという意味でね。僕たちは、サウンド・デザインを織り上げていくようなアプローチや、深く思慮深い雰囲気を作り出すための音の実験が大好きだからね」
ギターレスのDjent。LUX TERMINUS の原点はそこにあります。重量感マシマシ、ギターありきのDjentにキーボードで切り込むその心意気こそプログレッシブ。Vikram はアルバム “Cinder” の中で、そのミスマッチに様々な創造的ソリューションで挑んでいきます。
もちろん、ARCH ECHO のようなキラキラの Fu-Djent も一つの解決法でしょう。幾重にも重なった光のキーボードと複雑重厚なリズムが織りなすディズニー・ランドは完璧なエンターテイメントとなり得ます。SLEEP TOKEN のポップな電子メタルも、DIRTY LOOPS のファンキーなリズムも彼らは飲み込み咀嚼します。しかし Vikram の企みはそこだけにとどまりません。
「特に久石譲のジブリ映画の音楽には大きな影響を受けているよ!また、僕は尺八を持っていて、レベルの高い尺八の演奏に心から魅了されているんだ。そうした名人たちには遠く及ばないけど、それでも “Neon Rain” (三味線や箏の演奏もある)のバックで尺八を僕が吹いているんだ。他にも、驚くべきソースがあってね。ポケモン・アルセウスのサウンドトラックに収録されている、特にジュビレシティーのテーマとかね。僕は日本の “音楽言語” がとても好きなんだ!」
Vikram の生み出す音楽はよりコズミックで、映画的で、未来的。Espera という優れたボーカル集団と紡ぐ “Jupitor” 三部作で私たちはインターステラーやスターフィールドといった壮大な映画やゲームの世界へと旅立ち、かの Ross Jennings と Jorgen Munkby を起用した “Catalyst” では CHICAGO や THE POLILE が映画やドラマの主題歌に使われていたあのアーバンでポップな80年代を再訪します。
そして何より Vikram がこのアルバムで大切にしたのが日本とのつながりでした。PAIN OF SALVATION の来日公演で愛する日本を訪れ、様々な都市を訪問した彼はこの国の人や風景の優美に感銘を受けます。尺八や三味線、琴を使用した “Neon Rain” はまさにその感銘が投影された楽曲。そうしてアルバムを締めくくる “Natsukasii” で Vikram はジブリの世界観とメタルを見事に融合させていきます。ノスタルジーと情景、壮観。彼が LUX TERMINUS で目指したものは、素晴らしくここに投影され、確かに鍵盤でなければ実現できない未曾有の景色で、未来へのプログレッシブな窓でした。
今回弊誌では、Vikram Shankar にインタビューを行うことができました。「最近のプログレッシブ・ミュージックには、メタルだけでなくフュージョンやジャズの文脈で活躍する優れたキーボーディストがたくさんいると思うけどね。とはいえ、キーボードの “旗手” のような存在になって、キーボードでどれだけ多彩で奥深い表現が可能かをアピールするできるとしたら、それはとてもやりがいのあることだと思うよ」 どうぞ!!

LUX TERMINUS “CINDER” : 10/10

INTERVIEW WITH VIKRAM SHANKAR

Q1: I am a big fan of Silent Skies, the beautiful tapestry you and Tom Englund have woven together, so I was really looking forward to hearing that you were starting a new band! And indeed, “Cinder” is a wonderful record! First of all, can you tell us how Lux Terminus came together?

【VIKRAM】: Thank you so much! Lux Terminus was formed in 2016, with two of my friends from my home town. These two musicians (Brian Craft – bass guitar and Matthew Kerschner – drums), invited me into my first ‘serious’ band when I was in high school, and so I have played with them for about half my life at this point. We released one album in 2018, and then a lot of time passed while I worked on albums by Silent Skies, Redemption, tours with Pain of Salvation, and more. Now, we are officially ready to conquer the world!

Q1: 私は、あなたと Tom Englund が織り成す美しいタペストリー、SILENT SKIES の大ファンなので、あなたが新しいバンドを始めると聞いてとても楽しみにしていました!そして実際、”Cinder” は素晴らしいアルバムです!
まず最初に、LUX TERMINUS がどのようにして結成されたのか教えていただけますか?

【VIKRAM】: ありがとう!LUX TERMINUS は2016年に僕の故郷の友人2人と結成したんだ。この2人のミュージシャン(Brian Craft – ベースギター、Matthew Kerschner- ドラム)は、僕が高校生の時に初めて “本格的な” バンドへと誘ってくれたんだよ。だから、今の時点で人生の半分くらいは彼らと一緒に演奏していることになるね。
2018年にアルバムを1枚リリースし、その後、SILENT SKIES, REDEMPTION, PAIN OF SALVATION とのツアーやアルバム制作に携わりながら、多くの時間が過ぎていった。だけど今、正式に世界を征服する準備が整ったんだ!

Q2: I think it takes a lot of courage to do guitarless prog metal in an era when guitars are at their peak in the metal world. Why did you insist on a guitarless trio?

【VIKRAM】: There are a few reasons for this. Artistically speaking, I find it very fulfilling to have the constraint of no guitar. I absolutely adore the sound of guitar, and many of my favorite musicians are guitarists, but by removing the guitars, the keyboards have room to indulge in subtleties and delicacies that would otherwise be lost in the “sonic chaos.” Trying to make heavy music with no guitars is a creative challenge that requires creative solutions, which is a lot of fun. Additionally, playing in smaller bands and local venues over the years, guitars very often were the “weak point” from a sound mix/live perspective, and so removing guitars allows for a lot of clarity that allows the audience to connect with everything we do without knowing our music beforehand.

Q2: ギターが全盛のメタル世界でギターレスのプログ・メタルをやるのはとても勇気のいることだと思います。なぜギターレスのトリオにこだわったのですか?

【VIKRAM】: 理由はいくつかある。芸術的に言えば、ギターがないという制約があることはとても充実したことだと思う。実は僕はギターの音が絶対的に好きだし、好きなミュージシャンの多くはギタリストだ。それでも、ギターを排除することで、キーボードが “音の混沌” に埋もれてしまうことがなく、繊細さや美味しさを堪能する余地が生まれる。
つまり、ギターがない状態でヘヴィな音楽を作ろうとするのは、創造的な解決策を必要とするクリエイティブな挑戦であり、それはとても楽しいことなんだよ。さらに、長年にわたって小規模なバンドや地元の会場で演奏していると、サウンド・ミックスやライブの観点からギターが “弱点” になることが非常に多かった。だから、ギターを取り除くことで、観客が事前に僕たちの音楽を知らなくても、僕たちのやること全てとつながることができるような明瞭さが得られると思うんだ。

Q3: There used to be many keyboard heroes like Keith Emerson and Jon Lord in the metal and prog world, but now they are few and far between. That’s why your presence is so valuable. Why don’t keyboard heroes grow up now a days?

【VIKRAM】: I think that there are many outstanding keyboardists working in progressive music these days, in metal but also in a more fusion/jazz context, but certainly it is very rewarding to be a sort of “standard bearer” for keyboards, and showcase how much versatility and depth of expression is possible with the keyboard.

Q3: かつては Keith Emerson や Jon Lord のようなキーボード・ヒーローがメタルやプログの世界には多く存在しましたが、今ではほとんどいなくなってしまいました。だからこそ、あなたの存在はとても貴重ですよ!なぜ今は、ほとんどキーボード・ヒーローが育たないのだと思いますか?

【VIKRAM】: 最近のプログレッシブ・ミュージックには、メタルだけでなくフュージョンやジャズの文脈で活躍する優れたキーボーディストがたくさんいると思うけどね。とはいえ、キーボードの “旗手” のような存在になって、キーボードでどれだけ多彩で奥深い表現が可能かをアピールするできるとしたら、それはとてもやりがいのあることだと思うよ 。

Q4: The album also features great vocalists such as Ross Jennings and Espera. But you didn’t ask Tom Englund, who has worked with you on Silent Skies and Redemption, to participate?

【VIKRAM】: Tom is one of my closest friends, and also a truly world-class vocalist whose singing has profoundly shaped my life over the years. So I would love to work with him on Lux Terminus music! Perhaps on a future album!

Q4: このアルバムには、Ross Jennings や Espera といった素晴らしいヴォーカリストたちも参加しています。しかし、SILENT SKIES や REDEMPTION で共演する Tom Englund には参加を依頼しなかったのですか?

【VIKRAM】: Tom は僕の最も親しい友人の一人であり、また彼の歌唱は長年にわたって僕の人生を深く形作ってきた、まさに世界的なヴォーカリストでもある。だからもちろん、LUX TERMINUS の音楽で彼と一緒に仕事がしたいよ!おそらく将来のアルバムでね!

Q5: On the album, we can hear an unprecedented amount of atmospheric, cosmic, almost gem-like metal! How do you think Lux Terminus differs from bands like Redemption, Silent Skies and Pain of Salvation that you are involved with?

【VIKRAM】: Lux Terminus perhaps has the most in common with Silent Skies, of those artists mentioned, chiefly because of our emphasis on cinematic colors. We love textural approaches to sound design, and experimenting with sounds to create deep and thoughtful atmospheres. Of course Lux Terminus is a good deal heavier and more technical, and we also tend to celebrate joy and positive emotions in music more than any of those artists mentioned. For me emotion is vital and the defining characteristic of my music. Lux Terminus allows me to express positivity and light and excitement in progressive music, and this is very important for me because I believe in striving to be happy, even when I may not feel it due to my own internal struggles with mental health and depression!

Q5: このアルバムでは、かつてないほどのアトモスフェリックでコズミックな、まるで宝石のようなメタルを聴くことができます!LUX TERMINUS は、あなたが関わっている REDEMPTION, SILENT SKIES, PAIN OF SALVATION といったバンドとはどう異なりますか?

【VIKRAM】: LUX TERMINUS は、おそらく SILENT SKIES と最も共通点があると思う。主に、シネマティックな色合いという意味でね。僕たちは、サウンド・デザインを織り上げていくようなアプローチや、深く思慮深い雰囲気を作り出すための音の実験が大好きだからね。
もちろん、LUX TERMINUS はもっとヘヴィでテクニカルだし、僕が関わっている他のバンド以上に、音楽における喜びやポジティブな感情を讃える傾向がある。僕にとって、感情は不可欠であり、それが僕の音楽の特徴でもある。このバンドでは、プログレッシブ・ミュージックでポジティブさ、明るさ、興奮を表現することができる。これは僕にとってとても重要なことなんだ。たとえメンタルヘルスや鬱との内的な闘いのためにそれを感じることができなくても、僕は幸せになろうと努力することを信じているからね!

Q6: You also do music for video games, and there are elements of video game music on this album as well, aren’t there? In fact, do Japanese cultures, like video games, anime, and music, for example, influence you?

【VIKRAM】: Certainly, in particular Joe Hisaishi’s scores for the Ghibli films has been a significant influence on me! Also I own a shakuhachi, and am extremely captivated by high-level shakuhachi playing. I cannot play the instrument anywhere near the great masters, but I do play some shakuhachi in the background of a part of the song “Neon Rain” (which also includes shamisen and koto instrumentation). There is also some influence from some surprising sources – for instance the “Jubilife” theme from Pokemon, especially as it appears on the Arceus soundtrack. I love the “musical language” of Japan very much!

Q6: あなたはビデオゲームの音楽も手がけていますが、このアルバムにもビデオゲーム音楽の要素がありますよね?実際、例えばそうしたビデオゲームやアニメ、音楽といった日本の文化は、あなたに影響を与えていますか?

【VIKRAM】: 確かにね!特に久石譲のジブリ映画の音楽には大きな影響を受けているよ!また、僕は尺八を持っていて、レベルの高い尺八の演奏に心から魅了されているんだ。そうした名人たちには遠く及ばないけど、それでも “Neon Rain” (三味線や箏の演奏もある)のバックで尺八を僕が吹いているんだ。
他にも、驚くべきソースがあってね。ポケモン・アルセウスのサウンドトラックに収録されている、特にジュビレシティーのテーマとかね。僕は日本の “音楽言語” がとても好きなんだ!

Q7: At the same time, there is a sense of Djent, Jazz/Fusion, and Fu-djent-like quality to this album. What’s interesting is that the keyboards take over the guitar-driven Djent music and create a truly unique sound, would you agree?

【VIKRAM】: I think that is a big part of what makes Lux Terminus special. It’s also something that I find extremely fun to do compositionally. Achieving a djent-like quality without a guitar, the instrument that usually defines djent, is a unique challenge!

Q7: 同時に、このアルバムには Djent、Jazz/Fusion、Fu-djent のような感覚もあります。興味深いのは、キーボードがギター主体のDjent音楽を引き継ぎ、実にユニークなサウンドを作り出していることですよ。

【VIKRAM】: それが LUX TERMINUS を特別なものにしている大きな部分だと思う。また、そうやって作曲をするのはとても楽しいことだと思う。通常、Djentを定義する楽器であるギターを使わずに、Djentのようなクオリティを実現するのは、ユニークな挑戦だからね!

Q8: You end the album with a song titled “Natsukashii” in Japanese. Why did you choose this Japanese word, which means nostalgic?

【VIKRAM】: I was reading about some concepts of words from other languages that express ideas that are not as easy to express in English, and “Natsukashii” captivated me immediately. I love the idea of not simply feeling a longing for the past, but rather gratitude for having experienced it – that is a beautiful way to approach the idea of nostalgia. I think it goes along very well with the way that we like to incorporate what might be “nostalgic” musical elements, in particular 80s pop and synth pop sounds.

Q8: アルバムは日本語のタイトルがつけられた “Natsukashii” という曲で幕を閉じます。

【VIKRAM】: 英語で表現するのが簡単ではないアイデアは他の言語にたくさんあって、その話を読んでいて日本語の “なつかしい” という言葉にすぐに心を奪われたんだよね。単純に過去を懐かしむのではなく、それを経験できたことに感謝するという考え方がとても好きでね。僕たちが “ノスタルジック” な音楽要素、特に80年代のポップスやシンセポップのサウンドを取り入れるのが好きなこととも、とても相性がいいと思ったんだ。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED VIKRAM’S LIFE!!

What a question! There are so many! Here are five that I know have had a profound impact on my trajectory as a musician from childhood through the present day, roughly in the order that they entered my life:

Mussorgsky “Pictures at an Exhibition (Ravel orchestration)”

Dream Theater “Octavarium”

John Coltrane “A Love Supreme”

Anathema “Weather Systems”

Sleep Token “Take Me Back to Eden”

MESSAGE FOR JAPAN

Thank you for the love and support from the Japanese fans! I have a close personal relationship to Japan – I visited the country for two weeks last year, first playing with Pain of Salvation in Tokyo at Realise It Yourself vol. 1, and then visiting Hiroshima, Miyajima, Kyoto, and Tokyo with my girlfriend. I even proposed to her in Kyoto at Maruyama Park! There is no place in the world like Japan, and no people in the world like the Japanese people. We would dearly love to visit Japan with Lux Terminus, and play for the wonderful Japanese progressive music fans. Hopefully it happens sooner rather than later – and in the mean time, our sincere gratitude for the support!

日本のファンからの愛とサポートに感謝を!日本とは個人的なつながりもある。昨年は2週間日本に滞在したんだ。東京で開催された “Realise It Yourself vol.1” で PAIN OF SALVATION で演奏したあと、広島、宮島、京都、東京をガールフレンドと訪れたんだ。京都の円山公園では彼女にプロポーズもしたんだよ!
日本のような場所は世界にはないし、日本人のような人も世界にはいない。LUX TERMINUS と共に日本を訪れ、素晴らしい日本のプログレッシブ・ミュージック・ファンのために演奏することを心から望んでいるよ。一日も早く実現することを願っているね!君たちのサポートに心から感謝を!

VIKRAM SHANKAR

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COVER STORY + INTERVIEW 【MORBID SAINT : SPECTRUM OF DEATH】JAPAN TOUR 25′


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JIM FERGADES OF MORBID SAINT !!

“We Are Humbled By The Fact That a Little Album We Wrote So Long Ago Has Been Embraced By So Many From So Far. We Thank You And Look Forward To Seeing You All!”

DISC REVIEW “SPECTRUM OF DEATH”

「自分たちや他のバンドが成功したかしなかったかについて、失望したりうらやんだりすることはなかったよ。僕たちはただ自分たちのやりたいことをやり、バンドが終わったら終わったものは仕方がないって感じだった。バンドを始めたときはとても若かったし、年齢を重ねるにつれて私生活も変わっていった。家族を養うためにお金を稼ぐことが、音楽を作ることよりも重要になる時が来るんだよな」
人はいつまで夢を追えるのでしょうか?人生とは無情なもので、夢を叶えられる人はごく僅かです。私たちは必ず歳を重ね、人生のステージが進むと共に夢と同じくらい大切なものもまた増えていきます。誰もが一度は、”諦める” という選択肢や決断と向かい合う時がきます。とはいえ、人生は一度きり。せっかく大きな夢を持ったなら、それを実現したいと願うのもまた人の性でしょう。
ウィスコンシン州シボイガンで青春時代を過ごした MORBID SAINT もまた、夢と生活を秤にかけ、一度は “諦める” という選択肢を選んだバンドでした。80年代後半から90年代前半にかけて、ヘヴィ・メタルの世界には “アルバム一枚だけ” をリリースしてフェイド・アウトするバンドが実に多く存在したのです。メタルの日差しが翳る中で、自然と淘汰されていくのもまた運命。むしろ、アルバムを一枚だけでもリリースできて、歴史に名を刻めた幸運を噛み締めるべきなのかもしれませんね。とはいえ、MORBID SAINT のように長い月日を経て復活する稀有な例もあります。
「2010年ごろから、オンライン上で “Spectrum of Death” がかなりの支持を集めていることがわかり始めたと思う。そしてそれは、僕らにとって本当に驚きだったんだ!このアルバムは、最初にリリースしたときはあまりうまくいかなかったんだけど、今のように成長した姿を見るのはとてもエキサイティングなことなんだ」
MORBID SAINT の数奇な運命が動き始めたのは、SNS が普及し日常となった2010年頃でした。大手メディアの注目など集めたこともなかった “死んだ” バンドの話題がポロポロとメタル・コミュニティの中で語られるようになったのです。SNS の使用には一長一短がありますが、光の当たらない才能を発掘できるのは確実にこの場所の強み。
そして実際、アグレッション、スピード、テクニックを兼ね備え、スラッシュとデスメタルの架け橋と謳われる MORBID SAINT の才能は SNS の “共感” によって日の目を見ることとなったのです。そうして彼らは復活を決めました。SNS によってつながった、メタル・コミュニティの共感力によって。
「初の来日公演にとても興奮しているよ!ようやく東アジアのファンのために演奏し、会えることができて光栄だね。 東アジアのファンのために、”Spectrum of death” の完全再現と “Destruction System”, “Swallowed by Hell” からの曲を演奏することを楽しみにしているよ。 ずいぶん前に作った小さなアルバムが、遠く日本のこんなに多くの人に受け入れられているという事実に、僕たちは身が引き締まる思いだよ」
そうして、ウィスコンシンの小さなバンドが生み出した小さなアルバムは、いつしか多くの場所、多くの人のかけがえのない大きな宝物となり、ずいぶんと遠回りになりましたが MORBID SAINT は夢を叶えました。”諦めなければ夢は叶う” などとよく言われますが、人生はきっともっと複雑で無慈悲。しかし、一度は諦めたとしても全力を注いだ何かがあれば、きっといつかはこうした幸運が舞い込むものなのかもしれませんね。
今回弊誌では、ギタリスト Jim Fergades にインタビューを行うことができました。「DEATH とは確か3公演しか一緒にやらなかったけど、一緒にやったときに Chuck と一緒に過ごすチャンスはあった。彼はとても実直で、純粋にいい人だった。 彼とバックステージで音楽の話ができたことを光栄に思うよ」 どうぞ!!

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【DERAPS : VIVA ROCK N’ ROLL】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JACOB DERAPS OF DERAPS !!

“Van Halen Is a Huge Part Of My Life, What I’ve Become And What I’m Doing Today. I’m Glad I Got To See Them Live In 2012 For My 16th Birthday With My Dad.”

DISC REVIEW “VIVA ROCK N’ ROLL”

「VAN HALEN 78-84年は、史上最高のロックンロール・バンドだと思う。それがすべてだよ。彼らは他のどのバンドよりもロックの本質を体現し、表現していた。 そして、ロックにとって何一つ欠けるところのないトータル・パッケージだったね。曲作りであれ、技術力であれ、サウンドであれ、カリスマ性であれ、彼らはすべてを持っていたんだ」
Eddie Van Halen の死は、あまりにも衝撃的で、悲しく、そしてロックやメタル、ギターにとって致命傷にも思える大打撃でした。なぜなら、VAN HALEN と Eddie はすべての始まりであり、そして理想型だったから。誰もが口ずさめるメロディ、ひねりの効いたフックのある楽曲、ゴージャスなアピアランスとステージング、そして革命的なテクニック。そんな奇跡と魔法のトータル・パッケージが、Eddie の笑顔と共に失われてしまった…多くの人がそう感じて、巨大な喪失感に襲われたのです。
しかし、Eddie は “情熱” という素晴らしい遺産を残してくれていました。例えば、Nuno Bettencourt は、Eddie の死で次のギターヒーローの盟主へと着任する腹をくくり、実際 Eddie のギターや音楽への情熱を受け継ぐ傑作でロックの灯火をつなぎました。息子である Wolfgang Van Halen や Eddie を崇拝する Jeff Waters (AMERIKAN KAOS が素晴らしい!) もその灯火を明々と燃やします。そして今、Eddie の情熱を胸いっぱいに吸い込んだ若武者が、世界にロックの復権を叫びます。DERAPS の登場はギターとロックの世界にとって、まさに事件です。
「70年代や80年代のようなギターがベースとなったロックを作るバンドがもっと増えてくれると嬉しい。 最近のほとんどのロックバンドのように、パワーコードとドラムのサンプリングだけでなく、興味深いリックやソロ、ユニークな生のトーンのあるリフ重視の音楽がね」
ロックとメタル、そしてギター世界は多様化の道を歩み、プログレッシブだったり、革新的だったり、エクレクティックだったり、電子音を基盤としたり、伝統音楽に根差したり…枝葉のように別れた家系図のその先で様々に情熱を傾ける人たちがいます。
しかし、原点であるフラッシーなソロや脳髄を叩き割るようなリフ、そしてアリーナを釘付けにするような華麗なパフォーマンスに耳馴染みの良いメロディ。そんな、Eddie が情熱を注いだハードロックの王道を追求する若者は決して多くはありませんでした。だからこそ、まだ20代にして “本物” の風格を備えた DERAPS と今回のインタビューイ、新たなるギターヒーロー Jacob Deraps の登場はあまりにも尊いのです。
「100%、David Lee Roth だ! 彼は歌えないなんてよく言われているけど、それは単純に真実じゃない。78年から81年にかけてのツアーで彼は、ライヴで狂気の叫びを上げ、ステージと観客を圧倒していた。 彼が優れていたのは声域の広さではなく、さまざまなトーン、色彩、ユニークな音を出していたことだ。 彼自体がキャラクターであり、完全に際立っていて、Eddie のギター・サウンドと同じくらい認知されていたよね」
VAN HALEN の申し子と謳われる DERAPS の実力は圧倒的です。”Last Fall” を聴けば、いかに彼らが あの “伝説の爆撃機” に薫陶を受けているのか伝わるはずです。重要なのは、彼らが David Lee Roth 時代の “生の” エネルギー、アクロバティックな咆哮、ハイエナジーなロックの源衝動を大切にしていること。まるでここから再び “炎の導火線” に火がつくような情熱の再発明はあまりにも肉感的。Jacob のギターには Eddie の魂が乗り移り、あの独特のタイム感と魔法が時代の “戒厳令” を突破して蘇ります。
とはいえ、DERAPS は決してコピーキャットではありません。Jacob のギターからはあの Yngwie Malmsteen や Slash, Randy Rhoads の足跡も感じさせますし、何より同じカナダのトリオ (DERAPS は今はベーシストが脱退して二人組ではありますが)、TRIUMPH のさりげない小曲や清爽なるメロディ、さらには RUSH のプログレッシブさえ彼らは飲み込んで、”Viva Rock N’ Roll” という決定的なロック讃歌を2025年に叩きつけたのです。
今回弊誌では Jacob Deraps にインタビューを行うことができました。「Eddie の死を聞いたとき、僕は完全に打ちのめされたよ。突然、大好きなバンドと音楽が正式に過去のものになってしまったような、不思議で悲しい気分だった。VAN HALEN は僕の人生、今の僕、そして今やっている音楽の大部分を占めている。僕は2012年、16歳の誕生日に父と一緒に彼らのライブを見ることができて本当によかったと思っているよ」 もしかすると、一周回ってこれが “新しい” となるやもしれませんね。どうぞ!!

DERAPS “VIVA ROCK N’ ROLL” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【BENTHOS : FROM NOTHING】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH BENTHOS !!

“I always loved the japanese math scene: downy, toe, tricot, paranoid void, LITE… Outside the math world, I enjoy MILLENIUM PARADE, MASS OF THE FERMENTING DREGS, ermhoi, Black Boboi, BAUKHA (ex HOPI), Sheena Ringo, Friday Night Plans, Ichiko Aoba, Kaho Nakamura, betcover!!, Sarah Bonito (from Kero Kero Bonito).”

DISC REVIEW “FROM NOTHING”

「2000年代以降、メインストリームは非常にドライで予測可能なものになり始めた。今起きていること、プログレッシブ・ミュージックの再評価は、消費主義やコンテンツ不足の問題とリンクしているのではなく、メインストリームの外側にある何かを探したいという欲求だと思う。もしかしたら、いつものように、狂った “飽き” からくるものなのかもしれないけど!また、”脳内腐敗” や短いコンテンツに対する自意識のようなものもZ世代から見受けられるので、僕たちの一部が “治療法” のようなものを求めている可能性もある」
DREAM THEATER や GOJIRA のグラミー受賞は、プログレッシブ世界にとってとても大きな出来事でした。いや、プログレッシブ世界のみならず、インスタントな文化に支配された音楽世界全般にとっても、かなりの衝撃だったに違いありません。なぜなら、複雑で、長く、相当な鍛錬を要するプログレッシブ・ミュージックはコンテンツを “消費” するという時流の真逆にあると目されていたからです。
イタリアのエクスペリメンタル・メタル BENTHOS は、プログの復興と再評価について、”メインストリーム” の外側にある音楽への探求が始まったと表現しました。その言葉は、現行のポップやロックに、短いコンテンツの消費に “飽きた” リスナーにとって、プログが新たなエルドラドとなり得る可能性を自ら証明するという自信の現れでもあるはずです。
「基本的に何でも聴くようになり、あらゆるジャンルへと興味の幅を広げていった。今好きなアーティストは、Radiohead, Bjork, downy, Kendrick Lamar, JPEGMAFIA, Kero Kero Bonito, Magdalena Bay, 青葉市子だね」
なぜ BENTHOS が今、プログレッシブ・ミュージックの希望と呼ばれているのでしょうか?それは、彼らがあの SLEEP TOKEN と同様、メインストリームに住むメインストリームに飽きたリスナーを、メタルやプログレッシブ世界へと惹き込む魅力を備えているから。BENTHOS は例えば、THE CONTORTIONIST や THE DILLINGER ESCAPE PLAN, DREAM THEATER に HAKEN, OPETH, THE SAFETY FIRE (!) といったメタリックで複雑なプログやマスの “基本” を当然抑えながらも、決してそれだけでは終わりません。
Kendrick Lamar, Magdalena Bay, JPEGAMFIA, Kero Kero Bonito といったカラフルなヒップホップやポップ、エレクトロはもちろん、特に日本の音楽に薫陶を受け、toe, tricot, LITE といったマス・ロック、downy や 椎名林檎のようなレジェンド、そして青葉市子や中村佳穂のような新鋭まで、BENTHOS の好奇心は尽きることがありません。さらに、THE MARS VOLTA や A LOT LIKE BIRDS のようなポスト・ハードコア、そしてロックの酩酊までもがここには詰め込まれています。だからこそ、メインストリームのリスナーを惹き込め、プログの “充足感” を伝えていくことができるのでしょう。
型破りなアレンジ、破壊と野蛮、残忍と美麗、混沌と叙情、静寂と喧騒、そして悲痛な感情。複雑なリズム、パワフルでダイナミックなギターワークが、静謐でメロディアスな間奏とシームレスにブレンドされた、プログの再構築 “From Nothing”。その音楽的想像力のスケールの大きさ比肩できる作品はそうありません。決してつぎはぎのパッチワークではなく、洗練された創造性が幾重にも織り込まれたタペストリーはきっと “プログレッシブ” の楽しさを売り込む絶好のアンバサダーとなるはずです。
今回弊誌では、BENTHOS にインタビューを行うことができました。「BENTHOS という名前は、海底に密着して生活する生物のコミュニティを意味する。比喩的には、僕たちの内なるエッセンス、地下深くに埋もれている僕たちの感情を表し、それを表面化させようと努力しているんだ。僕たちの初期の楽曲のひとつ、”Debris // Essence” の原題は “Awake the Benthos” だった。やがて、その “Benthos” が僕たちにとって完璧な名前だと感じるようになったんだ」 どうぞ!!

BENTHOS “FROM NOTHING” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【PHASE TRANSITION : THE OTHER SIDE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH FERNANDO MEIA OF PHASE TRANSITION !!

“Fado Is More Than Music; It’s Emotion. It’s About Longing, Destiny, Melancholy… Feelings That Resonate Deeply. That Emotional Weight Definitely Finds Its Way Into Our Songs.”

DISC REVIEW “THE OTHER SIDE”

「深みに飢えている人がいるのだと思う。世の中にはたくさんのコンテンツがありすぎて、つながりがないままスクロールして通り過ぎてしまうのが簡単で当たり前となっている。しかし、複雑な音楽は集中力を要求し、その代わりに豊かでエモーショナルな体験を与えてくれるんだ。ツイートではなく小説を読むようなもので、時間はかかるけど見返りは大きい。それがプログを生かし続けているんだよ」
画面をスクロールして5秒立ち止まり、またスクロールして5秒立ち止まる。コンテンツは無限にあって、私たちはその宇宙の中で “消費” というあまりにも無味乾燥かつ一方通行な言葉によって、すべてを理解し堪能した気持ちになっています。しかし、まるでそのスーパーの試食コーナーだけを回るような無料の巡回で心が満たされることはあるのでしょうか?
ポルトガルのプログ・メタル新人類 PHASE TRANSITION は、感情の起伏を山のように織り込んだ長く複雑な楽曲によって、そうしたインスタントな世界を変えたいと望んでいます。GOJIRA や DREAM THEATER のグラミー受賞はその “フェイズ移行” のきっかけとなるでしょう。結局、どれだけもっともらしいことを150字で呟いたとしても、どれだけ印象的な演奏を15秒で残したとしても、それは “作品” ではなく “コンテンツ” にすぎません。私たちにはきっと、こちらも疲れ果ててしまうような、集中力と思考力要する “作品” が今、必要なのかもしれません。
「DREAM THEATER は大好きだけど、決してクローンにはなりたくなかった。このバンドのメンバーはそれぞれ違うものを持ちよっている。Sofia はクラシックの強力なバックグラウンドを持っているし、”Dark Side of the Moon” や “Kid A” を聴いて育った。僕はモダン・メタルからEDM、シティ・ポップからフュージョンまで、何でも好きだ。僕たちは自分たちを限定することはないと信じている。PHASE TRANSITION の音楽は、そうしたすべてのテイストを反映しているんだ」
大学在学中に心酔する DREAM THEATER のカバーを演奏したのが始まりで、ドラマー Fernando Meia、ギタリスト Luis Dias、ヴァイオリニスト/ヴォーカリストの Sofia Beco を擁する PHASE TRANSITION のラインナップが完成しました。しかし、”The Other Side” を聴いて DREAM THEATER のフォロワーなどと揶揄する人はいないでしょう。キーボーディストはもちろん、ベーシストもいない、伝統的な楽器編成を回避した事実からも、彼らのエクレクティックなプログレッシブ・メタルの美学が非常に意外でユニークなものであることを証明しています。
「ファドはまさに音楽というよりもエモーションなんだ。憧れ、運命、メランコリー…深く心に響く感情なんだよ。その感情的な重みは、間違いなく僕たちの曲にも表れている」
“Veil of Illusions” や “Becoming” のような楽曲にはゴシック・メタルの雰囲気が織り込まれ、もし EVANESCENCE やアンネケ時代の THE GATHERING が PERIPHERY や TesseracT と融合したら…という極上のIFサウンドを具現化していきます。この魅惑のハイブリッドの背景には、サウダージとメランコリーを根源とするポルトガルの伝統音楽ファドの血が存在し、Sofia の幽玄な歌声とヴァイオリンが Luis のウルトラ・テクニカルなギタリズムと混ざり合うことで、未曾有の温故知新、未曾有のエモーションが完成をみるのです。きっと誰もが、この壮大な音楽を5秒でスクロールすることはできません。
今回弊誌では、リーダーでドラマー Fernando Meia にインタビューを行うことができました。「音楽的には、日本のフュージョンやシティポップ、Casiopea や T-SQUARE が好きなんだ。 日本には、情緒と技術的な素晴らしさがミックスされた素晴らしいものがあり、僕は深く敬服している」 どうぞ!!

PHASE TRANSITION “THE OTHER SIDE” : 10/10

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