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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【BUMBLEFOOT : …RETURNS】”THE ADVENTURES OF BUMBLEFOOT” 30TH ANNIVERSARY


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH RON “BUMBLEFOOT” THAL !!

“I Always Loved To Learn, Explore, Experiment…I Love Astronomy, Science, Physics… The Things I Love, The Way I Feel, The Way I Live, This Is What Comes Out In My Music.”

DISC REVIEW “…RETURNS”

「あの作品はシュラプネル・レコードにとっては異質なものだったけど、僕にとってはごく普通のものだった。 フィルターを通さず、不完全で、若く、無邪気で、とても正直で、自分が何者であるかをありのままに表現したものだったんだ。レコーディングとミックスのためのツールは生々しく、洗練されていなくて、でもそれがアルバムの個性に拍車をかけている! もちろん、アートワークも!だから、何も変えたくないんだ。人生のある時期の一人の人間の写真集のようなものだよ。全ての瞬間は僕たちにとって一度しかないからね」
“The Adventures of Bumblefoot”。今からちょうど30年前、1995年のこのレコードと、”Bumblefoot” “趾瘤症” という猛禽類の足の病気を名乗るギタリストの登場はあまりにも衝撃的でした。楽曲名はすべて動物の病気の名前。足やチーズを模した異様なギター。そして、ギター世界の常識である24フレット以上のハイフレットを操り、時にはフレットレスまで駆使した超常的サウンド。指抜きなどのトリッキーな技も冴え渡り、複雑怪奇に入り組んでファストなフレーズが絡み合うその楽曲群は、ギター虎の穴シュラプネルにおいてもあまりに異質だったのです。
革命児のそんな評判は瞬く間に業界の目に止まり、ソロ・キャリアを重ねる中で GN’R、ASIA といった巨大なバンドの一員にも抜擢され、一方では Mike Portnoy のような大物と共に SONS OF APOLLO というスーパー・バンドを立ち上げるに至りました。
「完全なインストゥルメンタルなので、ギターが “声” になるスペースが増え、さまざまなムード、さまざまなサウンド、さまざまなエネルギー……など、より多くのことができるようになったんだ。僕は自分の直感に従っただけで、それぞれの曲は独自の方法で発展していった。ある曲はより過激で対照的で、ある曲はより予想された方法で発展していった…ゴールはその瞬間の正直なフィーリングを捉えることだったんだ..」
その歌声も高く評価される鬼才ですが、ただやはり彼の本質はギタリズムにあります。デビュー作から30年、”復活の Bumblefoot” を冠したアルバムで彼は再び始まりの地、”Bumblefoot の冒険” へと回帰しました。30年ぶりにオール・インストゥルメンタルで制作されたアルバムには、ギターに対する愛情、情熱があふれています。ただし、30年前とは異なる点も。それは、彼がギターをより自身の “声” として自由自在に操っているところでしょう。
オープナー “Simon in Space” を聴けば、90年代にはなかった瑞々しいメロディの息吹が感じられるはずです。とはいえもちろん、以前の混沌や荒唐無稽、ヘヴィな暗がりも失われるはずもなく、結果として両者のコントラストが耳を惹く前代未聞のギター作品が完成をみました。
「進化、革新、進歩するテクノロジーやコミュニケーション、そしてそれを使って自分たちの活動を共有する方法については、私は別にかまわないと思っているよ。15秒の動画からフルアルバムまで、今の世の中には誰もが楽しめるものがある!そうやって私たちは皆、自分が選んだ様々な方法で自分の才能をシェアするべきだし、そうできる世界になったことを嬉しく思うよ」
何よりも、Bumblefoot はギター世界において最も “オープンな” メンターのひとり。新しいもの、異質なものを取り入れることになんの躊躇もありません。当時のヒーローの多くがヴィンテージに回帰する中で嬉々として Helix を愛用。表現力豊かでメロディアスなリック、お馴染みのショパンやリストへの傾倒、ウイスキーを注ぎたくなるようなカントリー、微睡のスローなブルース、異国の香り、Djent も真っ青なチャグチャグ・リフと、場所も時間も飛び越えて、自らの直感とテクニックだけで広大なギター世界を築き上げていきます。
Brian May, Steve Vai, Guthrie Govan という、時代の異なる情熱のギターヒーローがここに集ったことも付け加えておきましょう。Vai 参加の “Monstruoso” など、”Fire Garden” 時代の彼を思い出して歓喜すること必至。そう、彼らのアイデアは今でも、アートワークのギター船のように宇宙高く飛び立ちます。ギター世界にはまだまだ情熱と探求の余地が残されているのです。
今回弊誌では、Ron “Bumblefoot” Thal にインタビューを行うことができました。「世界には素晴らしいミュージシャンがたくさんいるし、その中でも日本はとても注目に値するよ! 才能に溢れている!日本の音楽にはずっと注目してきたんだ。Akria (Takasaki) のアルバム “Tusk of Jaguar” までさかのぼると、リリースされた当時、子供のころは本当に聴き入っていたよ。14歳の時には、僕のバンドが LOUDNESS の曲をたくさんカバーしていたんだ。”Girl”, “Crazy Doctor”, “Esper”…もう少し経ってからは “Run For Your Life” もね!」  二度目の登場。どうぞ!!

BUMBLEFOOT “…RETURNS” : 10/10

INTERVIEW WITH RON “BUMBLEFOOT” THAL

Q1: It has been exactly 30 years since “The Adventures of Bumblefoot” That album is still a real treasure for me. At the time, I was a bit bored with “normal” guitarists and “normal” metal, and no other guitar album captured my imagination and curiosity like that one. It’s crazy to name a song after an animal’s disease, haha! Looking back, what does that album mean to you?

【BUMBLEFOOT】: Thank you!! It was something different for Shrapnel Records, but something very normal for me, haha. It was unfiltered, imperfect, young, innocent, and very honest – it was a truthful expression of who I was. The tools to record and mix were raw, unpolished, and it adds to the personality of the album… the artwork, too! I wouldn’t change a thing – it was like a photo album of a person during a time in his life, and all moments only happen once for us – we should embrace them..

Q1: “The Adventures of Bumblefoot” からちょうど30年が経ちましたね。当時、”普通の” ギタリストや “普通の” メタルに少し飽きていた私にとって、あのアルバムほど想像力と好奇心をかき立てられたギター・アルバムは他にありませんでした。動物の病気の名前を曲名にするなんてクレイジーだ!!と (笑)。
今振り返って、このアルバムはあなたにとってどんな意味を持っていますか?

【BUMBLEFOOT】: ありがとう! あの作品はシュラプネル・レコードにとっては異質なものだったけど、僕にとってはごく普通のものだった。 フィルターを通さず、不完全で、若く、無邪気で、とても正直で、自分が何者であるかをありのままに表現したものだったんだ。
レコーディングとミックスのためのツールは生々しく、洗練されていなくて、でもそれがアルバムの個性に拍車をかけている! もちろん、アートワークも!だから、何も変えたくないんだ。人生のある時期の一人の人間の写真集のようなものだよ。全ての瞬間は僕たちにとって一度しかないからね。

Q2: That record was also technically ahead of its time. First of all, I can’t imitate you because you uses the 29th and 30th frets. I don’t even own a fretless guitar, so I can’t imitate you. There is no way I can use a sewing thimble. And your scatting is too good to imitate. But, The normal part is too difficult to imitate. In the end, I couldn’t imitate anything! haha! I was quite shocked your crazy ideas! How did you come up with the ideas and techniques that no one else was doing?

【BUMBLEFOOT】: The ideas are normal and natural to me, it’s just who I am, haha. I always loved to learn, explore, experiment… I love astronomy, science, physics… the things I love, the way I feel, the way I live, this is what comes out in my music.

Q2: あのレコードはテクニック的にも時代を先取りしていましたよね。まず、29フレットと30フレットを使っているから真似できない。フレットレス・ギターも持っていないから真似できない。裁縫用の指ぬきなんて使えるわけがない。それにスキャットも上手すぎて真似できない。だからといって、ノーマル・パートも難しすぎて真似できない。結局、私は何も真似できなかったんです! (笑)
あなたのクレイジーなアイデアにはかなり衝撃を受けました!ああした、誰もやっていないアイデアやテクニックはどうやって思いついたのですか?

【BUMBLEFOOT】: そうしたアイデアは僕にとっては普通で自然なことなんだ。僕はいつも学ぶこと、探求すること、実験することが大好きだった。 天文学、科学、物理学…自分が好きなこと、自分が感じていること、自分が生きていること、そうしたすべてが僕の音楽やテクニックに現れているんだ。

Q3: You already proved with the scat on your first album that you are also a really good singer, which is why you have not made a complete instrumental album in 30 years, and why you were recruited by ASIA for your singing and guitar skills. But what made you decide to work on an instrumental album again 30 years later?

【BUMBLEFOOT】: Having time during the pandemic, time to do all the things I wanted to do ‘some day’ but could never find time to do… I did more acoustic EPs (‘Barefoot 2’ and ‘Barefoot 3’ at   http://bumblefoot.bandcamp.com ) , and then began working on this new instrumental album.  It was so tempting to add vocals to these songs, but I stopped myself…!

Q3: あなたはあのアルバムのスキャットで、シンガーとしての実力も証明していましたね。その歌とギターのスキルを買われてASIA にもスカウトされたわけですし。
以降、歌もあなたの強力な武器となったわけですが、今回また30年後に再び完全なインストゥルメンタル・アルバムに取り組もうと思ったのはなぜですか?

【BUMBLEFOOT】: パンデミックの間に時間ができたこと、”いつか” やりたいと思っていたけれど時間が取れなかったことをすべてやる時間ができたこと…それが理由かな。
さらにアコースティックEP、”Barefoot 2″ と “Barefoot 3” http://bumblefoot.bandcamp.com  を制作し、それからこの新しいインストゥルメンタル・アルバムの制作を始めたんだ。実はこのアルバムの曲にもボーカルを加えたい衝動に駆られたけど、思いとどまったよ…!

Q4: The guitar world has changed a lot since then, and now it is dominated by 30-second video clippings and song-by-song streaming. We live in an age where you can open YouTube and instantly find out how to play. Of course, there are many great talents among those “insta” rists, but old-school listeners like me still want to hear albums, and that’s why I’m really glad you’ve made another guitar-filled album. How do you see these changes in the guitar world?

【BUMBLEFOOT】: I’m ok with evolution, innovation, advancing technology and communication, and how we use it to share what we do. There’s something for everyone in today’s world, from 15-second videos to full albums. I’m glad we all have the ability to share in he different ways we choose to.

Q4: 30年前と比べてギター世界は大きく変わり、今では30秒のビデオクリップや楽曲ごとのストリーミングが主流になっています。YouTubeを開けば即座に弾き方がわかる時代。
もちろん、そういった “インスタ” リストの中にも素晴らしい才能を持った人はたくさんいますが、私のような昔ながらのリスナーは、やはりフル・アルバムを聴きたいと思っています。だからこそ、あなたがギターで埋め尽くされたアルバムを再び作ってくれてとてもうれしいんですよ!あなたはそうしたギター世界の変化をどう見ていますか?

【BUMBLEFOOT】: 進化、革新、進歩するテクノロジーやコミュニケーション、そしてそれを使って自分たちの活動を共有する方法については、私は別にかまわないと思っているよ。
15秒の動画からフルアルバムまで、今の世の中には誰もが楽しめるものがある!そうやって私たちは皆、自分が選んだ様々な方法で自分の才能をシェアするべきだし、そうできる世界になったことを嬉しく思うよ。

Q5: But still, “…Returns” is a really great album! As the opener “Simon in Space” symbolizes, it is the most melodic in your discography, which is why it is a great contrast to the chaotic parts that follow! In fact, was that your goal this time around?

【BUMBLEFOOT】: Being fully instrumental, the guitar has more space to be the ‘voice’, to do a lot more – different moods, different sounds, different energies… I would follow my instincts, and each song would develop in its own way, some more extreme and contrasting, others building in a more expected way… the goal was to capture the honest feeling of that moment…

Q5: それにしても、”…RETURNS” は本当に素晴らしいアルバムですね!
オープニングの “Simon in Space” が象徴するように、このアルバムはあなたのディスコグラフィーの中で最もメロディアスで、それゆえにその後の混沌とした部分と素晴らしいコントラストを成しています!実際、そのコントラストが今回の目標だったのですか?

【BUMBLEFOOT】: 完全なインストゥルメンタルなので、ギターが “声” になるスペースが増え、さまざまなムード、さまざまなサウンド、さまざまなエネルギー……など、より多くのことができるようになったんだ。
僕は自分の直感に従っただけで、それぞれの曲は独自の方法で発展していった。ある曲はより過激で対照的で、ある曲はより予想された方法で発展していった…ゴールはその瞬間の正直なフィーリングを捉えることだったんだ…

Q6: What was it like playing with Brian May, Steve Vai and Guthrie Govan? Brian is a living legend, Steve is a legend who lived almost at the same time as you, Guthrie is a legend who is a little younger than you, and you yourself are a legend, but even though the times are different, all of them are still serious about the guitar. That’s really cool, would you agree?

【BUMBLEFOOT】: These days people often record on their own and send files… guest on the album did it this way, there was no travel allowed during the pandemic, and after everyone’s schedules were full again, it was the only way. Kyle Hughes recorded drums to ‘Anveshana’ and ‘The Thread’ from studios in California, the rest of the drums on the album were recorded together at my studio in New Jersey….

Q6: Brian May, Steve Vai, Guthrie Govan との共演はどのようなものでしたか?
Brian は生ける伝説、Steve はあなたとほぼ同時代に生きた伝説、Guthrie はあなたより少し若い伝説、そしてあなた自身も伝説ですが、時代は違っても、今でも全員がギターに真剣に向き合っています。実にクールなことですよね?

【BUMBLEFOOT】: ただ、最近のレコーディングはファイルが主だこらね。パンデミック(世界的大流行)の時期には旅行もできなかったし、みんなのスケジュールが埋まってからは、それしか方法がなかったんだ。
Kyle Huges は “Anveshana” と “The Thread” のドラムをカリフォルニアのスタジオで録音し、アルバムの残りのドラムはニュージャージーにある僕のスタジオで一緒に録音した…そのくらいかな。

Q7: What surprised me in “…Returns” was your cool use of riffs like Meshuggah and Djent. In fact, in one of your clinics, you played only with Helix LT, and you are very open to such new technology and new music, aren’t you?

【BUMBLEFOOT】: I LOVE the Helix!! The electric guitars on the album are entirely Helix except for the one talkbox solo in ‘Griggstown Crossing’, everything else is Helix. There’s fx routing and sounds that would be impossible in the analog world. And I love to get creative, with parallel delays and pitch fx… My custom Helix presets for the whole album are available at Line 6 Marketplace, at http://bit.ly/bf-6 

Q7: “…Returns” で驚いたのは、Meshuggah や Djent のようなリフをクールに使っていたことです。
実際、あるクリニックであなたは Helix LT だけで演奏していましたが、そういった新しいテクノロジーや新しい音楽に対してとてもオープンですよね?

【BUMBLEFOOT】: Helix が大好きなんだ! このアルバムのエレクトリック・ギターは、”Griggstown Crossing” のトークボックス・ソロ以外はすべて Helix だ。 アナログの世界では不可能なFxルーティングやサウンドがある。
それに、パラレル・ディレイやピッチ・フィクスなど…そうやってクリエイティブになるのが大好きなんだ…。 全アルバム用の僕のカスタムHelixプリセットは、Line 6で入手できるよ。

Q8: I was glad to see you mention Yasu Nomura and Li-sa-X as Internet guitarists you’ve been paying attention to lately! Yasu is also a bandmate of Whom God Destroy, and you’ve been paying attention to Japanese music and guitarists?

【BUMBLEFOOT】: The world is full of incredible musicians, and Japan deserves a lot of attention! So much talent! Japan always had my musical attention, going back to Akira’s Tusk of Jaguar album, I listened to it so much as a kid when it was released… my band covered a bunch of Loudness when I was 14 years old – Girl, Crazy Doctor, Esper… and Run For Your Life years later.

Q8: 最近注目しているインターネット・ギタリストとして、日本の Yasu Nomura と Li-sa-X の名前を挙げてくれたのは嬉しかったですよ!
Yasu は Whom God Destroy のバンド・メイトでもありますし、日本の音楽とギタリストに注目してくれているんですね?

【BUMBLEFOOT】: 世界には素晴らしいミュージシャンがたくさんいるし、その中でも日本はとても注目に値するよ! 才能に溢れている!日本の音楽にはずっと注目してきたんだ。
Akria (Takasaki) のアルバム “Tusk of Jaguar” までさかのぼると、リリースされた当時、子供のころは本当に聴き入っていたよ。14歳の時には、僕のバンドが LOUDNESS の曲をたくさんカバーしていたんだ。”Girl”, “Crazy Doctor”, “Esper”…もう少し経ってからは “Run For Your Life” もね!

Q9: I was obsessed with the Shrapnel guitarists back then. Are there any of the Shrapnel guitarists that you still find intriguing and listen to today?

【BUMBLEFOOT】: I’m still blown away by all of them… Derek Taylor is a great guy and a BEAST of a player!! 

Q9: 私は当時、シュラプネルのギタリストに夢中でした。シュラプネルのギタリストで、今でも興味を惹かれて聴いているギタリストはいますか?

【BUMBLEFOOT】: 今でも全員に圧倒されるよ…。特に Derek Taylor は素晴らしい男だし、BEAST のようなプレイヤーだよ!

RON’S PLAYLIST !!

I’m always in my studio, producing bands, and these bands are what I’m listening to (because I’m recording them…!) So the albums on my list aren’t released yet…! Here’s albums to look out for…

僕はいつもスタジオでバンドをプロデュースしていて、今挙げたバンドは僕が聴いているものなんだ(レコーディングしているから…!)だから、リストにあるアルバムはまだリリースされていないんだけど…!

The Dodies “Dreamism” (Feb 28, 2025 release)

Dennis Atlas ‘My Magical Wonderland’ (release coming soon!) I helped him remix this album

Evoken – finished mixing their upcoming album to be released later in the year, no title yet…

Shavrock – their debut release is coming in a few months, no title yet…

Fanalo – he was my guitarist for Bumblefoot European touring 20 years ago, he just released an album, I laid a guest solo on a song called ‘Why’)

MESSAGE FOR YOUNG GUITAR PLAYERS

Work hard. Don’t expect immediate results, it’s a long process. Always be early, never late, don’t make people wait for you to arrive. Remember that everything in life is a collaboration, you’re working *with people, don’t think of it as a competition. Always try your best, give your best effort. And appreciate the ride – there will be many ups and downs, you will learn a lot. Your goal should be to live a “well-lived life” and the journey can be more valuable than the destination. Arigato!

とにかく、一生懸命練習すること。すぐに結果が出るとは思わないでほしい。 長い道のりだからね。遅刻をせず、常に早めに到着して人を待たせないこと。 人生の全ては、他人との共同作業であることを忘れないでほしい。競争ではないんだよ。そうしていつもベストを尽くし、最高の努力をすること。 人生は山あり谷あり、楽しみながら多くのことを学ぶべきだ。 君のゴールはギターで成功することよりも “よく生きた人生” を送ることであり、その旅路は目的地よりも価値があるものなのだから。ありがとう!

RON “BUMBLEFOOT” THAL

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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【DREAM THEATER : PARASOMNIA】


COVER STORY : DREAM THEATER “PARASOMNIA”

“Not Every Band Survives, Right? Bands Break Up, Members Leave. We Know How Lucky We Are To Have a 40-year Career!”

PARASOMNIA

DREAM THEATER の新作 “Parasomnia” は、睡眠障害にちなんだタイトルです。しかしこのアルバムは、40年の歴史を持つプログ・メタル・レジェンドのファンにとってはむしろ “夢” を叶えるアルバムだといえます。
“Parasomnia” は、2009年の “Black Clouds & Silver Linings” 以来初となる、ドラマーで共同創設者 Mike Portnoy がバンドに復帰した作品です。ボストンのバークリー音楽大学で出会い、1985年に MAJESTY としてこのバンドをスタートさせたギタリスト(兼アルバム・プロデューサー)の John Petrucci、ベーシストの Jonh Myung とは久々の再会となります。
DREAM THEATER は Portnoy が脱退後に5枚のスタジオ・アルバムをリリースしていますが、それでも Petrucci は 「Mike が復帰し、僕らが再び一緒になることの重大さを十分に理解している」 と語ります。
Portnoy にとっても DREAM THEATER はずっと帰りたかった “おうち” でした。
「”オズの魔法使い” でドロシーがかつて言ったように、ずっとおうちに帰りたかった。オリジナルのラインナップではないけど、”クラシック” なラインナップだ。このメンバーでアルバムを作っていた時代、基本的に99年から2009年までは、いろんな意味でこのバンドの黄金時代だったと思うし、DREAM THEATER の歴史の大きな部分を占める音楽だった。だからこのラインナップが再結成されることは、本当に特別なことなんだ」

もう一人の “幼馴染” John Myung も Portnoy の復帰を祝福します。
「バンドでミーティングをしたんだ。その要旨は、 “Mike と話したところ、彼は家に戻る準備ができている” というものだった。あの頃バンドは本当にうまくいっていたし、音楽的にも Mike と一緒にいたときが一番強かったと思う。だから彼が戻ってくるのは理にかなっていたね。レコーディングも本当に順調だった。何の問題もなかった。Mike が元々バンドにいた頃を思い出すような感じだ。彼が戻ってきて、かつてのようなケミストリーが生まれたのは本当に素晴らしいことだった。彼が脱退してからはいろいろなドラマーをオーディションして彼らの個性を知ることができたし、一方で Mike がバンドに戻ってきてくれたことは、僕らにとって本当に素晴らしいことだった。僕たちは本当にいい場所にいて、すべてが少しずつ理解できるようになった。振り返って、当たり前だと思っていたことに気づくことができた。だから、バンドと今のケミストリーをより理解できるようになったんだ」

かつて、Portnoy との確執も噂されたボーカリスト James LaBrie も今回の再結集を祝います。
「Mike と僕が久々に出会ったのは……ニューヨークのビーコン・シアターでのライブだった。それがきっかけで、僕たちみんなが本気で考え始めることができたんだ。Mike はすでに John のソロ・アルバムに参加していて、その後 LIQUID TENSION EXPERIMENT では John と Jordan とも仕事をした。だから、そうしたすべてのことが、彼が再びメンバーとして活動できるように、ゆっくりと、でも確実に、その扉から歩みを進めていたんだ。
だから Mike が復帰して、実際にそうなったときは、とても自然だった。本当にうまくいくのか?このバンドでいいのか?といった不安は絶対になかった。正直に言うと、Mike の脱退はまるで彼がコーヒーを飲みに出かけて、戻って来てから作曲を始めたような感じだったと冗談交じりにインタビューで話したこともある。でも、とてもスムーズで、隙がなかった。実際にその環境に入ってアルバムを書き始めると、しっかり感じ取れるようなケミストリーを思い出し始めるからね。
“Parasomnia” を書き始めて最初の日か2日くらいですでに、冗談を言い合ったり、笑ったりしていた。あのやりとりや、曲に対する分析的なアプローチや、それらがゆっくりと、でも確実に、完全な構成へと進化していく様子を覚えているよ。だから、一歩も踏み外していないように思える。非常に楽だった。13、14年前とは思えないほど、”よし、ここから続けよう” という感じだった。とても本能的で自然な感じで、スタジオに入って何か新しいものを作ろうという、自分たちが一番得意とすることに没頭できたんだ。僕ら5人がスタジオに入ったらどうすればいいか、わかっていることをやっただけなんだ」
LaBrie は Portnoy の前任 Mike Mangini への感謝も忘れてはいません。
「彼はとてもプロフェッショナルだった。とても立派な人だった。つまり、明らかに動揺していたと思う…動揺していたに違いないが、彼はそれを受け止めて”なんだか納得したよ、みんな” みたいなことまで言ったんだ。なぜこうなるのか、なぜ必然的にこうなるのかがわかった。バンドにとっても、君たちがともに歩んできた歴史にとっても、理にかなっている。自然なことだってね。そう、彼は上品な男だった。上品なね」

Portnoy は脱退から “いくつかのフェンスを修復しなければならなかった” と認めていますが、彼と Petrucci は2020年の Petrucci のソロ・アルバム “Terminal Velocity” で共にに働き、一緒にツアーを回りました。それから2人は、2021年に LIQUID TENSION EXPERIMENT 3枚目のスタジオ・アルバムに Rudess, ベーシストの Tony Levin と参加することになります。 しかし Petrucci はそうした動きを “予行演習” ではなかったと主張します。
「ああしたコラボレートは、Mike が戻ってくる可能性を示唆するものではなかった。Mike Mangini はバンドにとても強い存在だったからね…”Portnoy はいつ戻ってくるのか?” と常に聞かれたけど、僕たちはグラミー賞を初めて受賞したばかりでツアーも順調だった。
どんな理由であれ、2023年の秋、あの瞬間に星が一直線に並んだだけなんだ。 Portnoy が戻ってくるだけでなく、また一緒にスタジオに入るという発表をすることで、ファンが熱狂することは理解していた。 それをアルバムで聴いてもらえると思う」

全8曲、71分のこのアルバムは、ロングアイランドにあるDREAM THEATER のDTHQスタジオでレコーディングされ、バンドにとって通算16作目。ビルボードのトップ・ハード・ロック・アルバム、トップ・ロック・アルバム、インディペンデント・アルバム・チャートでトップ10入りを果たした2021年の “A View From the Top of the World”に続く作品となりました。複雑なアレンジ、超常的ダイナミクス、ウルトラ・テクニカルな演奏、長大な構成(6曲が7分を超え、エンディングを飾る大曲 “The Shadow Man Incident” は19分32秒にも及ぶ)により “Parasomnia” は過去の DREAM THEATER すべてを包み込みながら、リフのタイム感やサウンドの立体感は明らかに現代的に仕上がっています。
「モダンでありながらクラシックなサウンドにしたかったんだ」と Petrucci は語ります。 「1999年から2009年の間に作られたアルバムのいくつか、そしてその時期は、ファンにとても愛されている。だから、 Mike が再加入することで、そのノスタルジーが戻ってくることを期待しているんだ。確かにあの雰囲気はある。ああ、これは “Scenes from a Memory” や “Train of Thought” からの曲っぽいなと思っても、それを捨てたりはしなかった。クールだ、これで行こうって感じなんだ。僕らは僕らなんだ。
プロデューサーとしては、今までのどのアルバムよりもいいサウンドを作りたいと思っている。 だから、レコーディングの方法で限界に挑戦するんだ。 モダンなテクニックを使いながら、ヴィンテージの機材を使って、それらを完璧な形でマッシュアップするという組み合わせなんだ。まだ新しいレコーディング・テクニックを試しているところだ。1991年や1995年に使っていたような機材を使うことで、レトロなサウンドではなく、モダンだけどヴィンテージで暖かく、居心地の良いフィーリングを含んだレコードを作ることが目標だった。この組み合わせはとても意図的だったよ。8弦と7弦のギターを使ったリズム・サウンドで、よりモダンなアプローチを作る。ヘヴィでアグレッシブだ。今のメタル事情に合うようなサウンドだ。でもリード・サウンドを聴くと、オールドスクールな Santana の雰囲気がある。ドラムのミックスの仕方も含めて、アルバムではそういう並置をたくさんやった。アンディ・スニープと話し合ったんだけど、Mike のドラム・サウンドはとても独特なんだ。オーバー・プロセスやオーバー・プロデュースはしてほしくない。彼がドラムを叩いているようなサウンドにしたいんだ。それが、僕らが最初から目指していたことだった。そうして、ジミー・T、アンディ・スニープ、マーク・ギッツといった素晴らしい人材を起用することで、レコーディングを未来へと導き、モダンなサウンドに仕上げている。 新旧のバランスが完璧なんだ」

伝説的なアーティスト、ヒュー・サイム(2005年の “Octavarium” 以来、DREAM THEATER のほぼ全アルバムのアートワークを担当)がデザインした “Parasomnia” のメイン・イメージは、LPの包括的なテーマであるパラソムニアを見事に体現しています。 サイムはかつて、DREAM THEATER の音楽は「”ありえない現実と夢の状態” の世界を楽しむ僕のアートにぴったりだ!」と述べています (ただし最近、ORION というプログ・メタル・バンドのアートワークへの使い回しが問題視されている)
興味深いのは、サイムのアプローチが、バンドの金字塔1992年の “Images and Words” を意識したものに思えるところ。 どちらの写真もナイトガウンを着た少女がベットからほんの数フィート離れて立っています。もちろん、DREAM THEATER のエンブレムも両方に写っており、このつながりはあの記念碑的な作品への独創的な回帰と見ることも、とてもクールな偶然の一致と見ることもできるのです。さらにブックレットの中には、かつての作品のアートワークが壁にかけられていたりもします。
そう、過去の作品への回帰もこの作品の愛すべき側面のひとつ。彼らのコンセプチュアルな大作 “Metropolis Pt. 2: Scenes From A Memory” への言及が複数あるのもダイハードなファンへの贈り物。 例えば、 “Parasomnia” の3枚目のシングル “Midnight Messiah” で LaBrie はこう歌っています。”In my dreams, there’s a song I oncе knew / Like an uncanny strange déjà vu”、”For all eternity / It’s calling me back to my home” 。当然、私たちは “Strange Déjà Vu” と “Home” の両方を思い出すでしょう。
同様に、”Dead Asleep “の8分あたりには “Beyond This Life” を彷彿とさせるインストゥルメンタル・ブレイクもあり、最後の大曲のイントロで “Metropolis Pt.1” を思い出すファンは少なくないでしょう。 “Midnight Messiah” に戻ると、LaBrie はこうも歌っています。”In my life / I’ve lost all self-control / Like a sword piercing this dying soul”。そう、彼らはまさにこの作品で自らの伝説と抱擁を果たしたのです。

Petrucci によれば、”Parasomnia” のコンセプトは、ずっと温めていたものだそう。
「ずっとポケットにしまっておいたんだ。この言葉の響きが好きでね。 夢や DREAM THEATER との結びつきも好きだし、題材がとても不気味でダークでヘヴィになるのも好きだった」
“Parasomnia” は DREAM THEATER のレコードのタイトルとしては謎めいていて素晴らしいものですが、ただ Petrucci はこのタイトルの由来を自分の手柄とは言えないと告白します。
「ある日、息子と話していて彼がこのタイトルを口にしたんだ。彼はただ “パラソムニア” と言っただけだけど、すぐにこれはクールなアルバム・タイトルになると思って、数年間頭の片隅に置いておいたんだ。まさに DREAM THEATER の完璧なタイトルだ。息子には認めていないんだ。そろそろ息子に言わないとね(笑)」
Petrucci は、夢遊病、夜驚症、夜間麻痺など、さまざまな睡眠時随伴症を研究し、それらを曲の礎にしました。そのうちのひとつ、”Dead Asleep” は、侵入者と戦っている夢を見ているうちに、誤ってベッドで妻の首を絞めてしまった男の実話から引用したもの。
一方、組曲のような “The Shadow Man Incident” は、Petrucci によれば、”悪魔や暗い人物” の存在を感じるという目覚める前の現象に基づいています。
「パラソムニアとは、夢遊病、睡眠麻痺、夜驚症など、睡眠に関連した破壊的な障害を指す言葉だ。 僕らのバンド名は文字通り、夢を見ている時に流れる劇場なんだから、これをもっと早く思いつかなかった方がおかしいよ」

このアルバムが特別なのは、パラソムニアの不穏な性質がシークエンス全体に浸透していることでしょう。 全曲のタイトルや歌詞が睡眠、悪夢などに何らかの形で関連して、まるでつながったビジョンのように展開させる聴覚的な戦術がとられています。
具体的には、オープニングのインスト・オーヴァーチュア “In the Arms of Morpheus” は、不気味なギター・ライン、時を刻む時計、誰かがベッドに入る音で始まり、それに呼応するように、壮大なクローザー “The Shadow Man Incident” では、不吉な声が “目を覚ませ” と囁きながら、冒頭のサウンドを再現して終わります。”Dead Asleep” も “In the Arms of Morpheus “と同様の始まり方。そして、”Are We Dreaming? ” はその名の通り、心地よい声とキーボードのコードで構成された夢のような楽曲です。そして何より、白昼夢のように美しき “Bend the Clock”。もちろん、メインテーマとなるメロディがアルバムを通して何度も顔を出すのは彼らが慣れ親しんだやり方。
「このアルバムはテーマ性のあるコンセプト・アルバムなんだ。 僕たちはそういうことが大好きなんだ。 コンセプトを加えることで、アルバムが別の次元に引き上げられると思うんだ。より壮大で、よりクラシックで、より特別なものになる。とても楽しいよ。
このアルバムに取りかかったとき、Mike が “もう一歩踏み込んで、もっとコンセプチュアルな作品にしたらどうだろう” と言ってくれたんだ。だから、さまざまな曲で繰り返されるテーマを持つようになったし、耳触りのいい曲を追加して、すべての音楽をつなげ、序曲を持つようになった。だからこそ、DREAM THEATER のアルバム体験が期待できるんだ」

一方、Portnoy は、”Parasomnia” で DREAM THEATER をコンセプチュアルな方向に押し進めたことを誇りに思っています。
「僕らにとってとても重要なアルバムだから、単なる曲の集まり以上のものにする必要があると思ったんだ。映画を観たり、本を読んだりするように、最初から最後まで消化するような1つの作品という観点でアルバムを作り始めたんだ。その方向で行くと決めてから、このアルバムを特別なアルバムにするための扉が本当に開いたんだ」
Petrucci が言っていることの典型的な例が、アルバムからのセカンド・シングル “A Broken Man” でした。この曲は、戦争帰還兵の体験を詳述していて、戦後ストレス障害、PTSD が彼らの睡眠パターンを大きく乱し、ひいては戦闘から帰還した後の彼らの生活の質に悪影響を及ぼす可能性があることに焦点を当てています。
「James LaBrie が “A Broken Man” の歌詞を書いたんだ。基本的に、このアルバムのために歌詞のガイドラインは、パラソムニアの出来事や経験について書くというものだった。僕の場合は、夜驚症や睡眠麻痺について書いた。
James は、退役軍人が睡眠不足によってどのような影響を受けるか、PTSD が元戦闘員の心理をどのように混乱させるか、それが彼らの睡眠パターンや生活にどのような影響を与えるか、それがどれほどフラストレーションになるかを書くことにした。それを彼は “Parasomnia” の話題と結びつけて書くことにしたんだ」

“Night Terror” は彼らが再び集まって最初に書いた曲だったと Petrucci は回想します。
「”Night Terror” は、スタジオに入って最初に書いた曲なんだ。だから、僕らが感じていたことをそのまま反映した曲となった。ファンにとっては、その興奮やエネルギーを感じ取ることができたと思う。また、このアルバムがどのような作品になるかというトーンも示してくれたと思う。つまり、確かにヘヴィで、僕らが大好きな DREAM THEATER の様々な要素、プログの要素、リフの要素、そういったものをすべて含んでいるんだ。
40周年記念ツアーでこの曲を披露するのは最高だったよ。この曲に入ると、ずっとカタログに載っている曲のように感じるんだ。それに、夜驚症の人たちが経験する本当に怖い感覚を表現するような歌詞を書くのも楽しかった」
今回のツアーではニュー・アルバムからの曲もいくつか演奏されますが、そのほとんどは、昨年海外で始まった DREAM THEATER 40周年記念を継続するためのもので、今年後半にはより “Parasomnia” 中心のツアーが予定されているといいます。その時にニュー・アルバムを全曲演奏したいと彼らは計画しています。
そのツアーで Portnoy が再び管理していることのひとつが、セットリストであり、Petrucci にとってそれは大きな安心材料となっています。
「Mike は本当にセトリを作るのが上手で、いつ、どこで、どの曲を演奏したかを一番把握しているんだ。彼は音楽やバンドのファンだから、ファンの視点からもアプローチしてくれる。繰り返しになるけど、彼はそれが本当にうまいんだ。僕はその仕事から解放され、彼が戻ってきたことをうれしく思っている。それって、僕らが見逃していたものだと思う。彼がそうしていたこと、そしてセットリストが興味深いものであったこと。僕たちのファンは、彼が戻ってくると聞いたとき、おそらく彼がその担当に戻ってくることを望んでいたはずだ。だから、今回も彼の担当なんだ」

40年バンドを続けること…それは生半可なことではありません。
「12歳の時に出会った中学の同級生と、18歳の時に出会った大学に入りたての男と、まだ同じバンドをやっているなんて信じられないよ。僕らはみんな、バンドをやるのが大好きなんだ。楽器を演奏するのも、一緒に曲を作るのも、一緒にレコーディングするのも、一緒にツアーするのも大好きなんだ。ケミストリーと兄弟愛がとても強いんだ。それに加えて、国際的で広く、忠実で献身的なファンベースがある。それを当然だとは思っていない。
すべてのバンドが生き残るわけではないだろ?バンドは解散し、メンバーは去っていくもの。40年のキャリアを持つことがどれだけ幸運なことか、そして、メンバーが脱退しても、また戻ってきて、幸せと興奮に包まれながら再合流できることを、僕たちは知っている。それはみんながこのバンドを愛している証拠であり、お互いに愛し合っている証拠なんだ」
実際、Petrucci が40年以上にわたってこのバンドに在籍しているという事実は、いまだに彼の心を揺さぶっています。
「ワイルドだよ。自分の好きなバンドを考えてみても、そんなに長く続くバンドはそうそうない。R40、つまり RUSH の40周年について考えても、”もうそんな時期なのか!”と思う。
John Myung とは12歳のときに知り合ったんだ。今でも同じメンバーで同じバンドをやっていて、まるで家族のようであり、兄弟のようであり、みんなこのポジションにいることを本当に幸運だと思っている。ファンもずっと応援してくれる。そうしたすべてが当たり前だとは思っていないよ」


参考文献: WALL OF SOUNDS: John Petrucci – Dream Theater ‘Four Decades of Living the Dream’

BILLBOARD : Dream Theater Open Up About Reuniting With Mike Portnoy on New Album

BLABBERMOUTH :DREAM THEATER’s JOHN MYUNG On Reunion With MIKE PORTNOY: ‘It Made Sense To Bring Him Back’

UCL:HOW DREAM THEATER EMBRACED THEIR LEGACY WITH ‘PARASOMNIA’

COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【JINJER : DUEL】 JAPAN TOUR 25′


COVER STORY : JINJER “DUEL”

“There Is No Guarantee That Tomorrow Is Coming, So You Live Right Here And Now.”

DUEL

JINJER のシンガー、ウクライナの英雄 Tatiana Shmayluk は今、メタル世界で最も注目を集める才能のひとりです。カナダの SPIRITBOX とともに披露した “Circle With Me” の驚異的なデュエットはYouTube で100万回以上再生され、何千ものコメント欄で “これまで見たライブの中で最高の瞬間のひとつ” と称賛されています。Shmayluk が Courtney LaPlante の美しいクリーンに乗って原始の活火山を思わせる叫び声を放つ刹那、私たちはヘヴィ・メタル最高の瞬間を目撃します。その自然の脅威にも似た Shmayluk の歌声はリスナーにもはや畏敬の念をさえ抱かせます。そしてそれは、JINJER のニュー・アルバム “Duél” を盛り上げるエネルギーでもあるのです。
ただそんな新たなスーパースターである彼女は、等身大の自分との格差に戸惑い、疲れ、不安と孤独を感じていました。それは、いったいどうやってこの場所にたどり着いたのかわからないという思いに集約されています。
「時々、自分の人生を振り返って、一体何が起こったんだろうと思うことがある。この現実から目をそらさないと、パニックに陥ってしまうのよ」
容赦ないツアー・スケジュール、何億ものクロス・プラットフォーム・ストリーミングの獲得、国際的なオーディエンスを増化、DISTURBED, SLIPKNOT, DEVILDRIVER といったヒーローたちからの招待。Shmayluk にとって、そんな日々はしばしば、とても騒々しく、とてもぼんやりとした夢のように感じられるのです。
「時々、私はこの人生には力不足だと感じるの……いつも強くなければならないことに疲れていたわ」

そんな日々を送る中で、彼女は中世で穏やかにひっそりと生きる人生を夢想するようになります。妄想、白昼夢の中への逃避。とはいえ、Shmayluk はストリーミング時代のロックスターで、絶え間ないツアー、忙しいスケジュール、過剰な刺激を要求される仕事に就いています。そして37歳になった今、彼女はようやく現実を受け入れ、 “人生に身を委ねた” と感じています。
バンドの5枚目のアルバムとなる “Duél” は、Shmayluk のそんな白昼夢から飛び出してきたような作品です。ほとんどの曲は、仮面舞踏会、ハイソサエティ・ソワレなど、血で血を洗うような大騒ぎが繰り広げられる1830年代が舞台。ギタリスト Roman Ibramkhalilov、ベーシスト Eugene Abdukhanov、ドラマー Vlad Ulasevichを擁するバンドは、19世紀のシンフォニック・ミュージックを、ハイパーチャージド・Djent・サウンドで表現しているのです。
オープナー、”Tantrum” はかつて “力不足” “本当にここにいて良いのだろうか?” と自問自答を重ねた Shmayluk の捌け口として機能しました。
「オープニングはどの曲でもいいんだけど、バンドには4人いるからね。だから、レコーディングが終わってからが大変なんだ。アートワークを決め、プレイリストのようなものを作り、曲順を決める!最終的には、本当にハードでヘヴィな曲から始めるのがいいとみんなで決めたんだ。
この曲はアルバムの中でも特に気に入っている。社会的な期待に逆らうこと、たとえクレイジーだと思われてもありのままの自分でいることを歌っている。個人の自由とスタイルについて歌っているの。歌詞を書いたとき、YouTubeで舞踏会のビデオをたくさん見たんだ!私がショーで着ているような服を着て、未来からのゲストとして舞踏会にに現れた様子を、人々の反応を想像してみたんだ。こういう集まりで目立つと、自分はそこにいるべきでないような気がするよね。それがこの曲の核心なんだ」

プログレッシブに酩酊を誘う “Green Serpent” はそうしたプレッシャーから逃れるために彼女が頼ったアルコールをテーマにしています。
「この曲はアルコール、そしてアルコールの乱用について歌っている。ベラルーシ、ウクライナ、ロシアなどでは、”グリーン・サーペント” はアルコールを意味する言葉だ。それに相当する英語を探そうと翻訳してみたんだけど、これほどしっくりくるものは見つからなかった。これほど詩的な例えはないわ。
この曲は、私のアルコール体験を投影したもので、とても心に響く。ツアー中だと、ショーの前に飲んで、ショーの後に飲むのが習慣になりがちなんだ。ストレスがたまると、それに対処するためにあっちで一杯、こっちで一杯と、考えてみれば、私はアルコール依存症だったのかもしれない。それに、常に英語を話さなければならないから、かなりの精神的エネルギーを使うのよ。お酒は助けになるように見えるけど、いつもひどい気分になって、結局、その価値はないと気づくようになったんだ」
実際、”Duél” は Shmayluk がシラフで書いた初めてのレコードです。12月で彼女は断酒2周年を迎えました。
「今までで最高の決断のひとつだわ。”恥は頭痛よりも痛い” という歌詞がマントラのように刺さる。酔ったときに自分がしたことをとても恥ずかしく感じたのよ。記憶がなくなれば、いつか誰かが私が犯罪を犯した、私が誰かを殺したと言うかもしれない。カフカの “裁判” のヨーゼフ・K のように目が覚めたら、身に覚えのない犯罪で連行されるかも。だから、私は自分自身をコントロールしなければならなかった。もちろん、今でもワインの白昼夢を見るわ。でも、酒を再開するのは60歳になってから」

実際、Shmayluk はカフカを愛しすぎて “Kafka” という楽曲まで制作しました。チェコの有名な作家、フランツ・カフカについてのドキュメンタリーを見ながら、彼女は仲間意識と安堵感を感じていました。特に彼女は、カフカが虐待を受けていた父親に宛てた手紙に特に強く反応しました。”私はいつもあなたから隠れて、自分の部屋で、本の中で、狂った友人たちと、あるいは贅沢な考えを抱いていました”
Shmayluk は、その手紙を読んで大泣きし、すぐに亡き作家の名を冠した曲を書こうと思ったのです。そして、彼女のような実は内向的な芸術家たちが、自分の想像の中や他人の創作物の中に、世間からの避難場所を求めることを白日の下に晒しました。カフカの “変身” に登場するゴキブリのグレゴールのように、彼女はしばしば “無視されている、虫のようだ ” と感じてきたといいます。
「子供の頃、私は本当に作家になりたかった。 散文や自然の描写が大好きで、言葉で風景を表現しようとしたの。 それから自分で物語を作るようになったんだけど、それはかなりくだらないものだった。中学1年生のときには、不条理な詩を書き始めたんだ。ランダムな言葉に韻を踏んだ、かなり前衛的と言えるかもしれない詩をね。
この曲は、(オーストリア系チェコ人の作家)フランツ・カフカのドキュメンタリーにインスパイアされたんだ。 当時はそれほど気にしていなかったかもしれないけれど、30代になった今、より強く心に響いたの。 カフカは傷つきやすく壊れやすい性格で、芸術家としてというより、一人の人間として共感できる。 芸術家として、自分の考えや感情を外に出すことには不安があるからね」

まだ不安と闘っている Shmayluk ですが、断酒してからは気分が和らいでいるといいます。依存症による波や動揺のない生活を取り戻すことは、時として挑戦でもあり、ただじっとしていること、ただ存在することが、どれほど難しく、ほとんど罰のように感じられることか。シラフでアルバムのレコーディングをしたことは、言うまでもなく、彼女にとってまったく違う経験でした。
「以前は怒りっぽかったけど、今は冷静になることを学んだわ」
しかし、酒を飲もうが飲むまいが、Shmayluk はドラマチックなことを好むのは彼女の性格の一部だと認めています。彼女は冷酷な自制心で、そして他人の飲酒習慣を身をもって体験することで、自分のそうした一面と戦わなければならなりませんでした。バーで友人たちと一緒にいるときは、オーケストラの指揮者に自分を例え、「さあ、もう一杯!」とタクトを振るうのです。
もちろん、ウクライナが今置かれている状況も彼女の不安を煽りました。
「”Rogue” “ならず者” は特にウクライナの状況についてだけど、血に飢えた支配者たちによってもたらされたあらゆる状況についても言える。人は権力に貪欲だ。この楽曲は、そうした恐怖を引き起こす血に飢えたすべての王に捧げられる。私たちの運命は残念ながら誰かの手の中にある。 悲しいことに、少なくとも近い将来には変えられないことだと思う。しかし、希望は常にある。 いつも言っているように、希望は最後まで潰えないものだから」

アメリカに住んで数年。しかし、移住4周年が近づくにつれ、彼女は不安感が増していることに気づいています。
「過去のトラウマが出てきたんだ。私は4年ごとに引っ越しをする傾向があるからね。休む時は自分の殻に閉じこもっていたい。特に、いつもフレンドリーなアメリカにはまだ馴染んでいない。私はまだ彼らに慣れようとしているの。私たちウクライナ人はあまり笑わないので、彼らはいつも私が何か悪いことをしたと思っているのよ (笑) 絶え間なくパニックが体中を巡り、西海岸の煙の灰色はおろか、空気を吸うのも大変なの」
明日が来ることが当たり前ではない世界を経験した彼女は、そこから新たな生き方も学びました。
「”Hedonist” はたぶん1年前、いくつかのビジネスを経営し、大成功を収めている女性のインタビューを見て思いついた。”快楽主義” という言葉はすでに知っていたけれど、彼女はそれを新たなレベルに引き上げていた。彼女にとっては精神的、心理的な旅だったけど、今では毎日最高の服を着て、毎日銀の皿で食事をするまでになった。今あるものを最大限に生かし、今を生き、今を楽しむことを学んだのよ。明日が来るとは限らないのだから」

女性であることも、時には生きることを難しくします。
「”Someone’s Daughter” は、女性アーティストが常に自分自身を正当化するよう求められているということ、そして最終的にはすべての女性についての曲。今の世界で女性であることは大変なことなのよ。毎日タフでなければならないし…生まれつきとても穏やかで、冷酷な特質を持っていない女性がたくさんいることは確か。 女性はとてもか弱いかもしれないし、実際、私自身もそういう人間だと思う。 私には保護とケアが必要なのだろうけど、私たちが生きている世界のせいで、私はしばしば一人で物事を進めなければならない。
もちろん、私の周りには私を助け、支えてくれる人たちがいるけど、最終的には自分の道を歩まなければならない。 自分自身を武装しなければならない。この曲のヘヴィな部分は、自分がしなくてもいいと思うような振る舞いを強いられる女性がもつ怒りについて歌っている。私だって戦いたくはない。そんなことはしたくないけど、生き残るためには戦士にならなければならないこともあるの。だから、マリー・キュリーやクレオパトラのような “歴史上の強い女性たち” を讃える曲にしたの」
現代のミュージシャンは、SNS とも戦わなければなりません。
「”A Tongue So Sly” は音楽が複雑なので、完成させるのに数日かかったわ。強いメッセージがある。自分に関する噂やゴシップを耳にしたときのことを歌っているんだ。噂は雪だるま式に大きくなり、その噂が間違っていることを証明しようとするあまり、孤立感を味わうことになる。噂を広める人たちは、本人の言い分には興味がない。彼らはあなたの後ろのドアを閉め、ソーシャルメディアや他の場所で汚いたわごとを吐き出したいだけなの」

いくつもの不安と戦いを乗り越えて、彼女は成長を遂げました。”Duel” とはふたりの自分、良い面と悪い面、内面と外面の戦いのこと。戦いはいつも暴力がその手段ではありません。彼女は意志の力で悪い自分、弱い自分に打ち勝ちました。
「”Duel” とは自分自身と戦争すること、自分の悪い面と良い面、自分の内面と外面。人は常に内面の変化が必要だ。成長しなければ、人生は死を歩くようなものだから。この曲はアルコール依存症を克服した私について書かれたもの。それは意志の力についてであり、私たちは皆それを持っている。自分を信じれば、悪いことにも打ち勝つことができる。この曲は暴力的な決闘のようなものではなく、心理的にはある種の暴力があるかもしれないけれど、自分自身をコントロールし、より良い人間になるということを歌っているんだ」


参考文献: KERRANG! :“There’s no guarantee that tomorrow is coming, so you live right here and now”: Inside Jinjer’s new album, Duél

INSIDE JINJER’S ‘DUÉL’: WILL TATIANA SHMAYLUK EVER FIND PEACE?

来日公演の詳細はこちら!TMMusic

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【DRAGONKNIGHT : LEGIONS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MIKAEL SALO OF DRAGONKNIGHT !!

“I Think In Tough Times Power Metal Can Be Something You Hang On To, And When Times Are Good It Is Something To Celebrate Life With! I Think I Might’ve Heard That Quote Actually From André Matos In a Japanese Interview !”

DISC REVIEW “LEGIONS”

「学生時代、ちょっとはみ出し者だった僕にとって、BLIND GUARDIAN の “Nightfall in Middle-Earth” や ANGRA の “Temple of Shadows” のようなアルバムは、人間の領域を超えた壮大な物語を体験させてくれ、心に音楽的な冒険を与えてくれたからね。パワー・メタルは、辛いときには心のよりどころとなり、幸せなときには人生を祝福してくれるものだと思う!この言葉は、日本のインタビューで読んだ Andre Matos の言葉の受け売りなんだけどね!」
早いもので、Andre Matos が亡くなってもう6年の月日が経ちました。メタル・ファンの多くは、未だにこの喪失の大きな穴を完全には埋められていないでしょう。しかし、彼の遺志と音楽は今も生き続けて、リスナーの心に寄り添い、もしくは後続のインスピレーションとして燦然と輝いています。フィニッシュ・パワー・メタルの新鋭 DRAGONKNIGHT も Andre Matos に薫陶を受けたバンドのひとつ。
「このアルバムは重層的な作品と言える。アルバムのいくつかの曲は “時を越えた地” からの短い物語に過ぎないが、アルバムの全てにわたる広いコンセプトもある。ドラゴンロードとして知られる5人の兄弟が、打ちのめされた子供時代を経て、力を取り戻し、子供時代の故郷であるアトランティスを奪還する。アルバムの最後を締めくくるのに、神秘的なアトランティスの再征服以上の勝利があるだろうか?」
日本語を学び、日本の音楽を愛するフィンランドの Ronnie James Dio こと Mikael Salo が語るように、パワー・メタルのファンタジーはこの暗い世界において素晴らしき逃避場所だと言えます。私たちは大人になっても、DRAGONKNIGHT というバンド名に心奪われても、闇の皇帝を頂く仮面で匿名の5人の亡霊を名乗っても、ドラゴンが飛翔する異世界に憧れても良いのです。痛みを忘れて、想像力を羽ばたかせることはいくつになっても素敵なこと。厳しい現実、無慈悲な社会から少々はみだしても大丈夫。きっとヘヴィ・メタルがそんなあなたを丸ごと抱きしめてくれるから。
「特に日本のフォーク・ミュージックに多く見られるペンタトニック・ハーモニーを多用するのが好きなんだ!必要なときに、全体的な音楽体験に神秘的でダークな雰囲気を与えてくれると思う。また、シンガーとしても、Yama-B、坂本英三、森川之雄、小野正利など、日本の巨匠たちの激しさや情感にいつもインスパイアされているよ!」
そうして、Mika の歌うメロディは、ファンタジーのメッカ日本の音楽に触発されています。時代は変わり、今や日本のメタルは世界中から注目を浴びています。不滅のドラゴンロードたちが奏でる壮大なアンセミック・シンフォニー。ドラムの疾走感が、見事なシュレッドと複雑なギター・ワークに向かって、彼らの航海を前進させます。そう、その主役は、日本のメロディで育ったサー・ミカ・サロ卿。
実際このアルバムは、海賊からドラゴンに至るまで、素晴らしいファンタジー、冒険映画のサウンドトラックになり得るでしょう。剣に生き、剣に死ぬ。その彼らの華麗な剣技は、間違いなくいつも人生に寄り添ってくれた BLIND GUARDIAN や ANGRA、彼らから受け継いだパワー・メタルの血、祝福そのものなのです。
今回弊誌では Mikael Salo にインタビューを行うことができました。「メタル以外での僕の “ギルティプレジャー” は、最近80年代の日本の “シティポップ “だ。普段はYouTube Musicで様々なアルバムの曲を個別に聴いているんだ。杏里のこのアルバムはバンガーをたくさん収録しているので、間違いなく最近のお気に入りアルバムのひとつに挙げられる!”I Can’t Stop The Loneliness” と “Windy Summer” は、暗くて寒いフィンランドにいても、沖縄のビーチでくつろいでいるような気分にさせてくれるね(笑)」 二度目の登場!。どうぞ!!

DRAGONKNIGHT “LEGIONS” : 10/10

INTERVIEW WITH MIKAEL SALO

Q1: In a previous interview, you mentioned that your dream was to see Anthem live. What did you think when you actually saw them?

【MIKAEL】: I was so impressed when I saw them in Yokohama back in 2023… I actually bought the VIP ticket so I got to see & hear their soundcheck, the band is so unbelievably tight! I even got to meet Naoto Shibata and Graham Bonnet after the show and take a picture with them. It was an unbelievable show and experience overall! Some people seemed to recognize me and came to talk to me after the show which was so cool.

Q1: 以前のインタビューで、ANTHEM のライブを見るのが夢だとおっしゃっていました。その夢が叶ったようですね?

【MIKAEL】: 2023年に横浜で彼らを見たときは本当に感動したよ。実際にVIPチケットを買って、彼らのサウンドチェックを見たり聴いたりしたんだけど、バンドは信じられないくらいタイトだった!柴田直人さんとグラハム・ボネットにはショーの後に会えて一緒に写真を撮ることもできたんだ。全体的に信じられないようなショーと経験だった!それにショーの後、何人かの人が僕のことをわかってくれて、話しかけてきてくれたんだ。

Q2: In a previous interview you spoke of your love for Japanese music and metal. Have you added any favorite Japanese bands since then?

【MIKAEL】: I saw Lovebites at the Rock Imperium festival in Spain last year and was very impressed! They are very talented musicians and put on a great show. Their songwriting is also incredibly strong… Other than that I’ve mostly gotten into Japanese pop music from the 80’s haha More about that in a later question!

Q2: 以前のインタビューで、日本の音楽とメタルへの愛を語ってくれました。その後、好きな日本のバンドは増えましたか?

【MIKAEL】: 去年スペインの Rock Imperium フェスで LOVEBITES を見て、とても感動したんだ!とても才能のあるミュージシャンで、素晴らしいショーを見せてくれた。彼女たちのソングライティングも驚くほど力強くて…。それ以外では、80年代の日本のポップミュージックにハマっているんだけど、それはあとで話すね!

Q3: Can you tell us how you came to sing with Dragonknight this time?

【MIKAEL】: The guys are basically old friends who a few years ago decided to write and record the power metal album of their dreams together. The guitarists had already sung the album 50/50, but they decided to hire a full-on singer for the record and that’s where I came a long. I have been offering session vocal services for a few years now, and they approached me through my social media. The album was very easy for me to record since all of the basic ideas were there already. I only added my harmonic work in the vocal arrangements, some phrasing changes, and that’s about it!

Q3: 今回、DRAGONKNIGHT で歌うことになった経緯を教えていただけますか?

【MIKAEL】: 彼らは基本的に古い友人で、数年前に夢のパワー・メタル・アルバムを一緒に作ってレコーディングすることに決めたんだ。ギタリストたちはすでにアルバムのデモを半々で歌っていたんだけど、彼らはこのアルバムのために本格的なシンガーを雇うことに決めたんだ。僕は数年前からセッション・ヴォーカル・サービスを提供していて、彼らは僕のソーシャルメディアを通じてアプローチしてきたんだよ。
このアルバムは、基本的なアイデアがすでにあったから、レコーディングはとても簡単だったね。僕はヴォーカル・アレンジにハーモニーの仕事を加え、フレージングを少し変えただけだったから!

Q4: All members of Dragonknight are masked and their real names are kept secret. Is the band like Crimson Glory in a sense?

【MIKAEL】: First of all, I love ‘Transcendence’ by Crimson Glory, I think it is an immortal classic! Midnight’s vocals in ‘Red Sharks’ are just godly… I can definitely see some similarities in the look of the band. I do not think it was a conscious decision though for the band to be directly inspired by them. Personally I got more similar vibes from Blind Guardian’s music video ‘Architects of Doom’! I think the main reason the guys wanted to stay anonymous is just that they are quite shy and don’t want all the potential fame and glory haha I think it is a very Finnish cultural thing! Personally I can’t ofc hide my voice identity, so my name is public… しょうがないね!

Q4: DRAGONKNIGHT のメンバーは全員覆面をしていて、あなた以外の本名は秘密にされています。ある意味、CRIMSON GLORY のようなバンドなんですか?

【MIKAEL】: まず、僕は CRIMSON GLORY の “Transcendence” が大好きで、不滅の名作だと思っていてね!”Red Sharks” における Midnight のボーカルは実に神々しい…。
バンドのルックスには確かに共通点があるね。でも、バンドが直接彼らにインスパイアされたり、彼らを意識してのことではないと思う。個人的には、BLIND GUARDIAN のPV “Architects of Doom” の方が似た雰囲気を感じたよ!バンドが匿名を望んだ主な理由は、彼らがとてもシャイで、潜在的な名声や栄光を望まないからだと思う!個人的には、自分の声のアイデンティティを隠すことはできないから、名前は公開してるんだけど……こればかりはしょうがないね!

Q5: “Legions” is a great debut album! The folky melodies shine through European power metal, but do you incorporate any influences from your beloved Japanese metal and music?

【MIKAEL】: I can only speak for my own work on the vocal harmonization, since I didn’t actually take part in the songwriting of the album… I love to use a lot of pentatonic harmony which is prevalent especially in Japanese folk music! I think it gives a mystical and dark vibe to the overall musical experience when it needs it. Also as a singer I am ofc always inspired by the Japanese masters in their intensity and emotion, such as Yama B, Eizo Sakamoto, Yukio Morikawa and Masatoshi Ono!

Q5: それにしても “Legions” は素晴らしいデビューアルバムですね!フォーキーなメロディーがヨーロッパのパワーメタルの中で輝いていますが、大好きな日本のメタルや音楽からの影響は取り入れていますか?

【MIKAEL】: 僕はこのアルバムの曲作りに参加したわけではないので、ヴォーカル・ハーモナイゼーションについてしか語れないのだけど…。特に日本のフォーク・ミュージックに多く見られるペンタトニック・ハーモニーを多用するのが好きなんだ!必要なときに、全体的な音楽体験に神秘的でダークな雰囲気を与えてくれると思う。
また、シンガーとしても、Yama-B、坂本英三、森川之雄、小野正利など、日本の巨匠たちの激しさや情感にいつもインスパイアされているよ!

Q6: The name of the band Dragonknight also captures the imagination! What story is being told on this album?

【MIKAEL】: I’ll let the guys answer this one: “Glad to hear that the name sounds interesting! It’s a name that immediately should raise interest in all power metal fans who like warriors and dragons!
The album could be described as a multilayered opus. While some songs on the album are just short stories from the Lands Beyond Time, there is also a broader concept that spans the whole length of the album. There are five brothers, also known as the dragonlords, who after a shattering childhood, regather their strength and reconquer their childhood home, Atlantis. And could there possibly be a more triumphant way to end an album than by reconquering the mystical Atlantis?
The album booklet has amazing original art and a deeper description of the lore. If you’re into owning physical versions of albums, we highly recommend you getting this, simply just for the amazing artwork by Tommi Aaltonen.

Q6: DRAGONKNIGHT というバンド名も想像力をかきたてますね!このアルバムではどんな物語が語られているのでしょう?

【MIKAEL】: これはメンバーに答えてもらおう: 面白そうな名前だと言ってもらえて嬉しい!戦士やドラゴンが好きなパワー・メタル・ファンなら、すぐに興味をそそられる名前だ!
このアルバムは重層的な作品と言える。アルバムのいくつかの曲は “時を越えた地” からの短い物語に過ぎないが、アルバムの全てにわたる広いコンセプトもある。ドラゴンロードとして知られる5人の兄弟が、打ちのめされた子供時代を経て、力を取り戻し、子供時代の故郷であるアトランティスを奪還する。アルバムの最後を締めくくるのに、神秘的なアトランティスの再征服以上の勝利があるだろうか?
アルバムのブックレットには、素晴らしいオリジナル・アートと伝承についての深い説明が掲載されている。もし君がアルバムのフィジカル・バージョンを所有することに興味があるのなら、トミー・アールトネンによる素晴らしいアートワークのためだけに、このアルバムを手に入れることを強くお勧めするよ。

Q7: Power metal almost disappeared from the world for a while, but recently we have seen the emergence of excellent new bands like you, Twilight Force, Fellowship, Gloryhammer, Power Paladin, and others. Do you believe that Power Metal will make a comeback?

【MIKAEL】: I think recently power metal is doing great! The bands you mentioned are all fantastic, and I think also Japanese bands such as Galneryus are keeping the flag high! In my honest opinion we are now living in a new golden age for the genre of power metal.

Q7: パワー・メタルは一時期世界から消えかけていましたが、最近、TWILIGHT FORCE, FELLOWSHIP, GLORYHAMMER, POWER PALADIN, そしてあなたたちのような優れた新しいバンドが出現しています。パワー・メタルは復活すると思いますか?

【MIKAEL】: 最近のパワー・メタルは絶好調だと思う!君が挙げたバンドはどれも素晴らしいし、GALNERYUS のような日本のバンドも旗を高く掲げていると思う!僕の正直な意見では、僕たちは今、パワー・メタルというジャンルの新たな黄金時代を生きていると思うよ!

Q8: With Covid, war, and division, the world has been getting darker and darker since the beginning of the 20s. For the marginalized and oppressed people, power metal fantasy seems to be a great escape. Would you agree?

【MIKAEL】: Definitely! For me as a bit of an outcast in my school days, albums such as Nightfall in Middle-Earth by Blind Guardian and Temple of Shadows by Angra offered musical adventures of the mind, taking me to experience epic stories from beyond our mortal realm. I think in tough times this kind of music can be something you hang on to, and when times are good it is something to celebrate life with! I think I might’ve heard that quote actually from André Matos in a Japanese interview btw!

Q8: パンデミック、戦争、分断によって、20年代初頭からますます世界は暗くなっています。疎外され、抑圧された人々にとって、パワー・メタル・ファンタジーは素晴らしい逃避場所ようにも思えますね?
だからこそ今の世界に必要とされるのでしょうか?

【MIKAEL】: もちろん!学生時代、ちょっとはみ出し者だった僕にとって、BLIND GUARDIAN の “Nightfall in Middle-Earth” や ANGRA の “Temple of Shadows” のようなアルバムは、人間の領域を超えた壮大な物語を体験させてくれ、心に音楽的な冒険を与えてくれたからね。
パワー・メタルは、辛いときには心のよりどころとなり、幸せなときには人生を祝福してくれるものだと思う!この言葉は、日本のインタビューで読んだ Andre Matos の言葉の受け売りなんだけどね!

MIKAEL’S PLAYLIST !!

杏里 “Timely!!”

“My guilty pleasure outside of metal has recently been Japanese “city pop” from the 80’s. I usually listen to individual songs from different albums on YouTube Music, but this one by Anri has so many bangers that I can definitely list it as one of my favorite albums recently! ‘I Can’t Stop The Loneliness’ and ‘Windy Summer’ just make me feel like I’m on an Okinawan beach chilling, even if I am in dark and cold Finland haha”

メタル以外での僕の “ギルティプレジャー” は、最近80年代の日本の “シティポップ “だ。普段はYouTube Musicで様々なアルバムの曲を個別に聴いているんだ。杏里のこのアルバムはバンガーをたくさん収録しているので、間違いなく最近のお気に入りアルバムのひとつに挙げられる!”I Can’t Stop The Loneliness” と “Windy Summer” は、暗くて寒いフィンランドにいても、沖縄のビーチでくつろいでいるような気分にさせてくれるね(笑)

Equilibrium “Erdentempel”

“An album that actually reminds me a lot of Dragonknight’s music. There’s a lot of emphasis on strong orchestrations, and the album just makes me happy with its super-charged positive feeling and power! People who want to check it out should definitely listen to the songs ‘Wirsthaus Gaudi’ and ‘Waldschrein’.”

DRAGONKNIGHT の音楽を思い出させるアルバムだ。力強いオーケストレーションに重点が置かれていて、ハイパー・チャージされたポジティブなフィーリングとパワーで僕をハッピーにしてくれる!チェックしたい人は、”Wirsthaus Gaudi” と “Waldschrein” をぜひ聴いてほしい。

Galneryus “The Stars Will Light The Way”

“My favorite band alongside Anthem released their new album this year, and I think it is amazing! I can recommend the song “Lost In The Darkness” for its Deep Purple-ish hammond organ and rock ‘n roll feel, as well as ‘I Believe’, which is a classic Galneryus epic!”

ANTHEM と並んで大好きなバンドが今年ニューアルバムをリリースした!”Lost In The Darkness” という曲は、ディープ・パープルっぽいハモンド・オルガンとロックンロールのフィーリングが最高だし、” I Believe” は GALNERYUS の典型的な叙事詩だ!

Iced Earth “Alive In Athens”

“This live album might be one of the best ever released… The production and playing is super tight, and the atmosphere is just pure fire! It is jam-packed with songs, distributed on 3 cds. I remember practicing my rhythm guitar playing with it back in the day also, Jon Schaffer’s right hand might be the best in the world when it comes to riffs and galloping rhythm!”

このライヴ・アルバムは、これまでリリースされた中でベストの1枚かもしれない…。プロダクションも演奏も超タイトで、純粋に燃えている!曲はぎっしり詰まっていて、3枚のCDに収録されている。John Schaffer の右手は、リフと疾走するリズムに関しては世界一かもしれない。

Luca Turilli “King Of The Nordic Twilight”

“This album is one that we found out with the Dragonknight guys that we all liked! ‘Legend Of Steel’ and ‘The Ancient Forest Of Elves’ are full of orchestral delight and I love the renaissance Baroque-esque sound in them! I think it might’ve inspired the guys to some extent to find our sound too.”

このアルバムは、DRAGONKNIGHT のみんなと一緒に見つけて、みんなが気に入った1枚なんだ! “Legend Of Steel “と “The Ancient Forest Of Elves”はオーケストラの楽しさに溢れていて、ルネッサンス・バロック風のサウンドが大好きだ! 僕らのサウンドを見つけるために、ある程度みんなをインスパイアしたのかもしれないね。

MESSAGE FOR JAPAN

Kiitos and どうもありがとうございますメタルの皆様!本当にまた日本ツアーに行きたいです!この最近の暗い時代は一緒にパワーメタルと頑張りましょう🙏

MIKAEL SALO

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【INGURGITATING OBLIVION : ONTOLOGY OF NOUGHT】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH FLORIAN ENGELKE & NORBERT MULLER OF INGURGITATING OBLIVION !!

“I Find The Now “Industrially” Standardized Production And Songwriting In Metal Music Boring And Annoying. It’s Become Boring As Hell.”

DISC REVIEW “ONTOLOGY OF NOUGHT”

「メタル・ミュージックは、今や “工業的に” 標準化されたプロダクションとソングライティングが退屈で腹立たしいものになった。地獄のようにつまらなくなった。こういう図式化された大量生産物の一部にはなりたくない。プログ・メタルの50%でさえ、画一化されている。もちろん挑戦すれば、ボツになったり、プロダクションを台無しにするリスクは常にあるけど、それを跳ね返していきたいんだ」
その並外れた生命力と感染力で世界中に種を蒔き、芽吹かせてきたヘヴィ・メタル。しかし、これほど裾野が広がった世界においても、真に挑戦的な音楽を志すアーティストは決して多くはありません。それはある意味当たり前のことでしょう。アーティストも我々と同じ人間です。普通に生活して人気を得、承認欲求を満たすためにはある程度 “アート” を犠牲にしてでも認知され売れることが必要だから。しかし、INGURGITATING OBLIVION にそんな “打算的” 考えは毛頭ありません。
「僕が常に心がけているのは、何よりもまず自分が好きで、個人的に満足できる音楽を作ることだ。それはアーティストの特権だ。僕たちは、ただ共有するのではなく、音楽を録音し、ある時点で発表/共有することを選んだ。これはもちろん、批判や嘲笑を浴びるリスクを伴う。信じてほしいのだけど、僕はメタル・シーンやそれ以外の世界で、僕たちのバンドをうっとうしい、気取っている、つまらない、長い、はっきりしない……何でもありだと心から思う何百人もの人々に会ってきた。幸いなことに、それでも僕はあまり気にしていない。僕たちの蛇行した複雑な音楽表現を楽しんでくれている素敵な人たちの輪があるから」
書籍を出版するほどの本物の哲学者 Florian Engelke 率いる INGURGITATING OBLIVION は、ただ自分たちが満足できる音楽と哲学のみを “Ontology of Nought” に記録しました。だからこそ、パターンも、手がかりも、建築的根拠も、どこにも見つからない。まったく脈絡がないままに、しかし壮大な迷宮が完成していく。デスメタルを名乗るものにこれほど迷わされ、興味をそそられたことは未だかつてありません。
不協和音、途切れ途切れのリズム、漆黒のインテンシティ、テクニカルなアルペジオ、フレットレスの夢幻、スポークンワード、呪術的なアトモスフィア、凶悪なノイズが結びついたアヴァンギャルドな地下大迷宮は1時間15分近くに及ぶ5曲からなり、さまざまな楽章に分かれています。忍耐強く、有機的に、しかし盲人が盲人を導くような意図と方向性をもって彼らの “バベルの図書館” は刻々と変化していきます。
「僕に言わせれば、人は形成期というものを経験する。僕の場合、それは MORBID ANGEL, OBITUARY, DISINCARNATE, MY DYING BRIDE といったバンドだった。彼らの印象は今でも僕の中に残っている。でもDjent全体は、ほんの短い間だけ楽しめたものだった。それがすべて過ぎ去り、印象が残って、次に進んだのかもしれないけどね」
彼らの生み出す音の迷宮は、Djent のように機械仕掛けで精密なものではありません。むしろ、デスメタルがその凶暴を発揮し始めた90年代初頭の、おどろおどろしい混沌を百鬼夜行の壮大さで実現した狂気。そこにバルトークやライヒのような現代音楽の実験や、フランク・ザッパとマイルス・デイヴィスの挑戦を込めた奇々怪界は真に唯一無二。だからこそ、有機的で、実存的で、革命的な音楽が生まれるのです。
今回弊誌では、INGURGITATING OBLIVION にインタビューを行うことができました。「僕らのバンド名が哲学的に聞こえる主な理由のひとつは、僕がある時期哲学を勉強していた(その後、言語学に科目を変更した)という事実そのものにあると思う。だから、自然と哲学的なことや根源的なことに関心を持つようになったんだ。いくつかの古典(孫子、老子、ソクラテス、プラトン、デリダ、ニーチェ、そして宗教的/精神的な経典の数々)を読み、政治的/哲学的な言説に親しみを持っているからね。2024年初頭、僕はRoutledgeから “The Ethical Bottomline(倫理的ボトムライン)” というタイトルの最初の本を出版したんだ」 Tom Fountainhead がフレットレス・ギターを奏でるツールはEBOW ( 弦に近づけるだけでサスティンをコントロールできるアタッチメント。バッテリー駆動でバイオリン、ホーンや木管楽器のようなハーモニーを奏でることができる)。どうぞ!!

INGURGITATING OBLIVION “ONTOLOGY OF NOUGHT” : 10/10

INTERVIEW WITH INGURGITATING OBLIVION

Q1: First of all, what kind of music did you grow up listening to?

【FLORIAN】: Hi there everyone. It is a pleasure indeed to actually do an interview again the old school way. Much appreciated. Personally, my childhood was broadly influenced by music. Through my dad I got exposed to artists / bands such as Frank Zappy, a lot of classical music (Beethoven, Bach, Mozart, Schostakovich), folk music (Deutche Liedermacher such as Hannes Wader, Frank Bayer, Schobert & Black), Blues Rock and such. Aged 11, I listed to Iron Maiden, The Scorpions, AC/DC and the likes. I was a die-hard Sepultura fan when I was around 12 years old and took it from there when it comes to more extreme music. From back then, my main influences may be bands like Morbid Angel, Incantation, My Dying Bride, Anathema, Sigh, Death, Carcass, Obituary, Suffocation. I went through different phases Metal-wise, but my heros were 90s Death Metal acts and a lot of Doom Metal. Going beyond Metal, I am very much inspired by Baltic Jazz (Mathias Eick, Trygve Seim, Frode Haltli etc.), and certainly composers such as Steve Reich, Arvo Pärt, and Kronos Quartet left a lasting mark on me personally.

【NORBERT】: Hello everyone. I grew up with the likes of Bach, Mahler, Weather Report, Led Zeppelin, Beatles (White Album), Rolling Stones, AC/DC, Black Sabbath, Miles Davis, Güttler and many others. Then when I was about 10, I started with Metallica, Megadeth, Cannibal Corpse. A turning point was Slayers – Divine Intervention which pushed me into the extreme corner of metal. Then I immediately started with Deicide, Monstrosity, Suffocation, Krisiun, Sepultura, Mortician, Death, Morbid Angel and tons of underground stuff. However, I always have an ear for music styles that aren’t metal.

Q1: 本誌初登場です!まずは、あなたの音楽的なバックグラウンドからお話ししていただけますか?

【FLORIAN】: こんにちは!こうして昔ながらの方法でインタビューをすることができて、本当にうれしいよ。ありがとう。
個人的には、幼少期は幅広い音楽から影響を受けていたよ。父を通してフランク・ザッパのようなアーティストやバンド、多くのクラシック音楽(ベートーヴェン、バッハ、モーツァルト、ショスタコーヴィチ)、民族音楽(ハンネス・ヴェーダー、フランク・バイエル、ショベルト&ブラックなどのドイツ歌曲)、ブルース・ロックなどに触れていたからね。
11歳のとき、IRON MAIDEN, SCORPIONS, AC/DC などを聴いて、12歳頃には SEPULTURA の熱狂的なファンとなり、そこから過激な音楽に傾倒していったよ。当時から主に影響を受けたのは、MORBID ANGEL, INCANTATION, MY DYING BRIDE, ANATHEMA, SIGH, DEATH, CARCASS, OBITUARY, SUFFOCATION といったバンドかな。メタルに関しては様々な段階を経たけど、僕のヒーローは結局90年代のデスメタルと多くのドゥーム・メタルだった。メタル以外では、バルト海のジャズ(Mathias Eick、Trygve Seim、Frode Haltliなど)にとてもインスパイアされ、他にもスティーブ・ライヒ、アルヴォ・ペルト、クロノス・カルテットなどの作曲家は、個人的に大きな影響を受けたんだよ。

【NORBERT】: みんな、こんにちは!僕はバッハ、マーラー、WEATHER REPORT, LED ZEPPELIN, THE BEATLES (White Album), THE ROLLING STONES, AC/DC, BLACK SABBATH, マイルス・デイヴィス、その他多くの音楽を聴いて育ったね。それから10歳くらいのときに、METALLICA, MEGADETH, CANNIVAL CORPSE を聴き始めたね。転機となったのは SLAYER の “Divine Intervention” で、僕をメタルの過激なコーナーに押し込んでくれた。それからすぐに DEICIDE, MONSTOROSITY, SUFFOCATION, KRISIUN, SEPULTURA, MORTICIAN, DEATH, MORBID ANGEL といっまアンダーグラウンドのものをたくさん聴き始めた。ただ、僕は常にメタル以外の音楽スタイルにも耳を傾けているよ。

Q2: Ingurgitating Oblivion is a great band with a long career that deserves to be called a veteran. Can you give us a brief history of the band?

【FLORIAN】: Gladly. I formed the band in the mid 1990s. In the first years, the only thing my then-bandmates and I did was to try and find our way, rehearse, and discuss as there were very different ideas where to go stylistically. I formed the band with one of my brothers and a close friend. It did not take long to understand that I was the main driving force, taking things more seriously. We recorded our fist album in 1998. It is a real album when it comes to length, entitled “Fragmente aus dem Fließenden”. Back then, we were called of trees and orchids. We released one more album under this moniker. In the early 2000s I chose a more fitting name (at least I thought of the band’s new name of just that): Ingurgitating Oblivion. We released another demo entitled “Cadence and Perspective in Desolation”. In the early 2000s we released yet another demo entitled “Poetry of the Flesh”. Then our first full-length came out on Unmatched Brutality. After that we changed labels and joined forces with Willowtip Records where we released “Continuum of Absence”, “Vision wallows in Symphonies of Light” and “Ontology of Nought”. It goes without saying that over all these years the line-up changed constantly. Since 2013 or so Norbert and I have been operating the bans as a two-piece. All other contributors are session members – even though, personally I consider Lille (drums), Jan (virbraphone), Ava (female vocals), Chris (bass), and Céline (piano) members of the inner circle.

Q2: INGURGITATING OBLIVION はベテランと呼ぶにふさわしい長いキャリアを持つ素晴らしいバンドです。バンドの歴史を簡単に教えていただけますか?

【FLORIAN】: 喜んで。バンドを結成したのは1990年代半ば。最初の数年間は、当時のバンドメイトと僕がしたことといえば、自分たちの道を見つけようとすること、リハーサルをすること、そしてスタイル的にどこに向かうべきか全く異なる考えを持っていたので議論することだけだった。僕は兄弟の1人と親しい友人とバンドを結成したんだ。物事をより真剣に考え、僕がこのバンドの主要な原動力であることを理解するのに時間はかからなかったね。
1998年に最初のアルバムをレコーディングした。タイトルは “Fragmente aus dem Fließenden”。当時、僕たちは TREES AND ORCHIDR と名乗っていた。この名でもう1枚アルバムを出したんだ。
そしめ2000年代初頭、僕はよりふさわしい名前を選んだ(少なくとも僕は、バンドの新しい名前をまさにそう考えた)INGURGITATING OBLIVION だ。”Cadence and Perspective in Desolation” というタイトルのデモをリリースし、その後 “Poetry of the Flesh “というタイトルのデモをリリースした。それから、Unmatched Brutality から初のフルアルバムをリリースしたんだ。
その後、レーベルを変えて Willowtip と手を組み、”Continuum of Absence”, “Vision wallows in Symphonies of Light”, “Ontology of Nought” をリリースした。言うまでもなく、この数年の間、ラインナップは常に変化してきた。2013年頃からは、Norbert と僕の2人体制でバンドを運営している。個人的には、Lille (drums), Jan (virbraphone), Ava (female vocals), Chris (bass), Céline (piano) はインナーサークルのメンバーだと思っているけどね。

Q3: Ingurgitating Oblivion is a very philosophical and symbolic name for your band! Why did you choose this name?

【FLORIAN】: That is an interesting question. I believe one of the main reasons for our band’s name to sound philosophical is that very fact that I studied philosophy for a certain time (and then changed subjects to linguistics). So, naturally I am inclined to philosophize and concern with things fundamental. I read some classics (Sun Tzu, Lao Tse, Socrates, Plato, Derrida, Nietzsche, and loads of religious / spiritual scripture)and have an affinity for political and philosophical discourse. In early 2024, I published my first book on Routledge entitled “The Ethical Bottomline”, which, essentially, is a book on ethical leadership and focuses on leadership and love, maturity levels of personality and systems, pathological leadership and so forth. So, in a nutshell, I like to think, I guess. Back to your original question: The fundamental idea of “Ingurgitating Oblivion” as a name is either to ingurgitate oblivion, meaning to destroy a state of forgetfulness. Whatever it may be that you(whoever the subject of this phrase) try not to forget is something to be decided. To destroy forgetfulness (i.e. oblivion) actually means to remember (destruction of oblivion = remembering). Conversely, the ingurgitating oblivion may also denote a harrowing experience – as in “a state of oblivion that is ingurgitating”, meaning that forgetfulness / oblivion is a state that eats away the subject’s sanity and it is worthwhile to try and remember things that make a positive difference. In a way, I guess, the whole moniker may be interpreted as hint or emphatic statement to always inquire, wonder, and question what surrounds us. It may also be a reminder to think critically and to always be aware that, as human animals, we tend to reduce cognitive dissonance, and that this complacency is omnipresent, and may be challenged by the very act of “ingurgitating oblivion”. Don’t know whether this makes sense, haha. Anyway, this is my thinking.

Q3: お話しにも出ましたが、INGURGITATING OBLIVION というバンド名はとても哲学的で、このバンドを象徴していますね!

【FLORIAN】: 興味深いね。僕らのバンド名が哲学的に聞こえる主な理由のひとつは、僕がある時期哲学を勉強していた(その後、言語学に科目を変更した)という事実そのものにあると思う。だから、自然と哲学的なことや根源的なことに関心を持つようになったんだ。いくつかの古典(孫子、老子、ソクラテス、プラトン、デリダ、ニーチェ、そして宗教的/精神的な経典の数々)を読み、政治的/哲学的な言説に親しみを持っているからね。
2024年初頭、僕はRoutledgeから “The Ethical Bottomline(倫理的ボトムライン)” というタイトルの最初の本を出版したんだ。これは基本的に倫理的リーダーシップに関する本で、リーダーシップと愛、人格とシステムの成熟度、病的リーダーシップなどに焦点を当てているんだよ。要するに、僕は考えるのが好きなんだ。
最初の質問に戻るけど、INGURGITATING OBLIVION “忘却を嚥下する” という名前の基本的な考え方は、忘却の状態を破壊するという意味だ。忘却を破壊することは、実際には思い出すことを意味する(忘却の破壊=思い出すこと)。逆に、忘却を消化することは、”忘却が消化されている状態” というように、悲惨な経験を表すこともある。忘却は、対象者の正気を蝕む状態であり、プラスになるようなことを思い出そうとすることに価値があるという意味なんだ。
ある意味、この呼称は、僕たちを取り囲むものに対し、常に疑問を持ち、驚き、問いかけよというヒント、あるいは強調の言葉として解釈されるのかもしれない。また、人間の性質として、僕たちは認知的不協和を減少させる傾向があり、その自己満足が遍在していることを常に意識し、批判的に考えることを思い出させることが大切だ。まさに “忘却を摂取する” という行為によってその事象に挑戦できるかもしれない。意味があるかどうかはわからない。とにかく、これが僕の考えだ 。

Q4: “Ontology of Nought” is one of the few works on the music scene today that is as epic, tests your patience, and offers new discoveries every time you face it again and again. Why do you make these works in this age of instant culture, of streaming and cut-out videos?

【FLORIAN】: You are right. Many bands – also in the Metal scene – are not challenging at all. Many musicians, writers, artists, and thinkers play it safe. Your publications are always a mirror of who you are as a person. Norbert and I – I think this is fair to say – are complicated lads. To be very frank, I think we are difficult characters, we read a lot, sometimes find it difficult to get to clear answers, and simplify stuff. As a consequence, our music sounds the way it does. My bottom-line has always been to first and foremost create the music I love and that pleases me personally. That is the prerogative of the artist. We have chosen not to just do this and never to share, but to record music and publish / share it at some point. This of course ensues the risk of getting criticized and mocked – and believe me, I have met hundreds of people in the Metal scene and beyond who sincerely find our band annoying, pretentious, boring, lengthy, not clear enough … you name it. Luckily, I do not care a lot. There is a circle of lovely people who seem to enjoy our meandering and intricate take on music – and that is fantastic. We do not write and publish music to please anybody. If people can relate, that’s great. If they cannot and would rather listen to Six Feet Under and Metallica, go ahead and be our guests. Creating music is lovely and cathartic. Sharing it is divine. Recognizing current formats such as the ones you described above is no guiding principle to us. We please ourselves first and foremost – and if an small community appreciates what we do, that’s great. That’s about it, haha.

【NORBERT】: I find the now “industrially” standardized production and songwriting in Metal music boring and annoying. It’s become boring as hell. I don’t want to be part of these schematic mass products. Even 50% of prog metal productions are just standardized. Of course, we always run the risk of being rejected or of messing up the production.

Q4: “Ontology of Nought(無の存在論)” は、壮大で、忍耐力を試され、何度向き合っても新たな発見がある、現在の音楽シーンにおいて数少ない作品です。インスタント文化、ストリーミングや切り取り動画の時代に、なぜこのような作品を追い求めるのですか?

【FLORIAN】: その通りだよね。多くのバンドは(メタルシーンでも)、まったく挑戦的ではないと感じる。多くのミュージシャン、作家、アーティスト、思想家は、安全策をとっているよ。出版物は常に、その人間を映し出す鏡。Norbert と僕は–これは言っていいと思うが–複雑な人間だ。とても率直に言うと、僕たちは難しい性格で、たくさん本を読み、時には明確な答えを導き出すことが難しく、物事を複雑化してしまうのだと思う。その結果、僕たちの音楽はこのように聞こえるようになった。
僕が常に心がけているのは、何よりもまず自分が好きで、個人的に満足できる音楽を作ることだ。それはアーティストの特権だ。僕たちは、ただ共有するのではなく、音楽を録音し、ある時点で発表/共有することを選んだ。これはもちろん、批判や嘲笑を浴びるリスクを伴う。信じてほしいのだけど、僕はメタル・シーンやそれ以外の世界で、僕たちのバンドをうっとうしい、気取っている、つまらない、長い、はっきりしない……何でもありだと心から思う何百人もの人々に会ってきた。幸いなことに、それでも僕はあまり気にしていない。僕たちの蛇行した複雑な音楽表現を楽しんでくれている素敵な人たちの輪があるから。それは素晴らしいことだよ。でもね、僕たちは誰かを喜ばせるために音楽を書き、発表しているわけではない。人々が共感してくれるなら、それは素晴らしいことだけど。もしそれができなくて、SIX FEET UNDER や METALLICA を聴きたいというのなら、どうぞって感じなんだ。
音楽を創ることは素敵なことだし、カタルシスもある。それを分かち合うことは神聖なことだ。君が述べたような現在のフォーマットを認めることは、僕たちにとって指針にはならない。私 僕たちは、何よりもまず自分たち自身を喜ばせる。そして、小さなコミュニティーが僕たちのすることを評価してくれるなら、それは素晴らしいことだ。そんなところだよ。

【NORBERT】: メタル・ミュージックは、今や “工業的に” 標準化されたプロダクションとソングライティングが退屈で腹立たしいものになった。地獄のようにつまらなくなった。こういう図式化された大量生産物の一部にはなりたくない。プログ・メタルの50%でさえ、画一化されている。もちろん、ボツになったり、プロダクションを台無しにするリスクは常にあるけど、それを跳ね返していきたいんだ。

Q5: Your music shows the influence of death metal reformers such as Obituary, Morbid Angel, and Gorguts, as well as prog, jazz, or more specifically, contemporary music such as Bartok and Reich? In a sense, are you aware that you are pushing the possibilities of death metal?

【FLORIAN】: Yes, these artists play a central role for us. I am a big fan of early Obituary, everything Gorguts released, old Morbid Angel, but also more contemporary stuff such as Ritual Necromancy, Chthe’ilist, Demilich, Krypts, Nucleus, Cosmic Atrophy and the likes. Artists such as Terje Rypdal, Mathias Eick, Trygve Seim, Reich, or Arvo Pärt have had their impact as well. This is simply the music I enjoy. However, I do not try to force fit this into Ingurgitating Oblivion’s style. All of this just happens naturally. If you listen to the first of trees and orchids albums, you will realize that we have always (!) composed these long tracks, even back in 1998. I guess the above influences simply find their way into our sound – that’s all. We are on no mission. We simply follow our gut instinct and try to compose music and write lyrics that matter.

【NORBERT】: We explore the boundaries rather unconsciously, because we conceive the music as fans and do not see it as a competition or a challenge to go particularly far beyond the known boundaries.

Q5: あなたの音楽には、OBITUARY, MORBID ANGEL, GORGUTS のようなデスメタルの改革者たちや、プログ、ジャズ、もっと言えばバルトークやライヒのような現代音楽の影響が見られます。ある意味、デスメタルの可能性を押し広げているという意識はありますか?

【FLORIAN】: そう、君が挙げたのアーティストは僕たちにとって中心的な役割を果たしている。初期の OBITUARY, GORGUTS がリリースしたものすべて、昔の MORBID ANGEL の大ファンだし、RITUAL NECROMANCY, CHTHE’ILIST, DEMILICH, KRYPTS, NUCLEUS, COSMIC ATROPHY など、より現代的なものも好きなんだ。Terje Rypdal, Mathias Eick, Trygve Seim, Reich, Arvo Pärt などのアーティストからも影響を受けた。これは単に僕が楽しんでいる音楽だ。しかし、これを無理に INGURGITATING OBLIVION のスタイルに当てはめようとはしていない。すべては自然に起こることなんだよ。
TREES AND ORCHIDS のファースト・アルバムを聴けば、1998年当時から、僕たちはいつも(!)このような長いトラックを作曲していたことがわかるだろう。上記の影響は、単に僕たちのサウンドの中に入り込んでいるだけなのだろう。僕たちに使命はない。ただ直感に従って、重要な音楽を作曲し、歌詞を書こうとしているだけなんだ。

【NORBERT】: 僕たちはどちらかというと無意識のうちに境界線を探っているんだ。なぜなら、僕たちはファンとして音楽を考えていて、既知の境界線を特に超えていくことを競争や挑戦だとは思っていないから。

Q6: Your use of the fretless guitar also makes your music special, doesn’t it? Few bands in the metal world use fretless guitars, what makes that instrument superior and what makes it difficult?

【FLORIAN】: Yes, indeed. On “Ontology of Nought” we asked Tom Fountainhead to contribute a couple of fretless guitar solos. I guess we are constantly seeking some frontier – be it the vibraphone, the piano or female vocals. Tom, of course, is a virtuoso and his work on “Ontology of Nought” really pushed the envelope and it is please to hear you enjoy his work. The bottom line here is that we are a progressive band (or whatever label pleases you) and we enjoy experimenting with elements that create extra levels, an aura that touches the soul, is emotive, relevant, tasteful. The fretless guitar is rarely used in Metal – I presume this is another reason we chose to work with Tom. And then, of course, fretless string instruments almost automatically sound ungraspable, otherworldly, and a little off. Perfect ingredients for Ingurgitating Oblivion’s take.

Q6: フレットレス・ギターを使うことも、あなたの音楽を特別なものにしていますね。メタル世界でフレットレス・ギターを使うバンドはほとんどいませんが、その楽器の優れている点、難しい点は何でしょうか?

【FLORIAN】: そうだね。”Ontology of Nought” では、Tom Fountainhead にフレットレス・ギターを2、3曲提供してもらったよ。
ヴィブラフォンであれ、ピアノであれ、女性ヴォーカルであれ、僕らはそうしたフロンティアをいつも探しているんだ。Tom はもちろん名人だし、”Ontology of Nought” での彼の仕事は本当に限界に挑戦している。要するに、僕たちはプログレッシブ・バンドであり(あるいはどんなレッテルを貼ってもかまわない)、さらなるレベル、魂に響くオーラ、エモーショナルで、適切で、味わい深いものを生み出す要素を試すことを楽しんでいるということだ。フレットレス・ギターがメタルで使われることはめったにない。だからこそ彼に依頼したんだ。そしてもちろん、フレットレスの弦楽器はほとんど自動的に、つかみどころのない、別世界のような、少しずれた音になる。INGURGITATING OBLIVION のテイクには完璧な素材だ。

Q7: In recent years, there has been a trend toward Meshuggah-derived Djent, which is different from progressive and technical death metal. How did you feel about that polyrhythmic, ultra-technical music?

【NORBERT】: There are some really great and interesting things there. However, you will never hear this style so dry and isolated in our songs, but rather woven into the IO typical disorder.

【FLORIAN】: Personally, I have mixed feelings about it. I was deeply into “I” by Meshuggah. Love the tonality, the madness, the depth, and the excitement to hear 8-string guitars for the first time. Everything was new back then, everything was exciting. But, you know, in the following year myriads of bands basically released remakes of one and the same song – at least that was my impression. But, I guess, that is perfectly fine. If you ask me, a person goes through some formative years, years where you are very impressionable. In my case these were bands like Morbid Angel, Obituary, Disincarnate, My Dying Bride. These impressions stick with me. The whole Djent thing was something I enjoyed very briefly – but then it all passed, may have left an impression, and I moved on. My roots certainly lie elsewhere. This, however, does not mean that I do not respect Djent. The fact of the matter simply is that it does not touch me as profoundly as, for instance, My Dying Bride or Anathema did back in the 1990s. That’s it.

Q7: 近年、プログレッシブやテクニカル・デス・メタルとは異なる、MESHUGGAH 由来の Djent が流行した時代がありましたね。あのポリリズミックで超絶テクニカルな音楽についてどう感じましたか?

【NORBERT】: あそこには本当に素晴らしくて面白いものがある。しかし、僕らの曲の中でこのスタイルがドライで孤立しているのを聴くことはなく、むしろ INGURGITATING OBLIVION の典型的な無秩序の中に織り込まれていると言えよう。

【FLORIAN】: 個人的には複雑な気持ちだ。僕は MESHUGGAH の “I “に深く傾倒していたからね。あの音色、狂気、深み、そして初めて8弦ギターを聴いたときの興奮。当時はすべてが新しく、すべてが刺激的だった。でもね、翌年には無数のバンドが同じ曲のリメイクのようなものをリリースした。
でも、それでいいと思う。僕に言わせれば、人は形成期というものを経験する。僕の場合、それは MORBID ANGEL, OBITUARY, DISINCARNATE, MY DYING BRIDE といったバンドだった。彼らの印象は今でも僕の中に残っている。でもDjent全体は、ほんの短い間だけ楽しめたものだった。それがすべて過ぎ去り、印象が残って、次に進んだのかもしれないけどね。僕のルーツは確かに別のところにある。しかし、だからといってDjentをリスペクトしていないわけではない。ただ、例えば1990年代に MY DYING BRIDE や ANATHEMA がそうであったようには、僕の心に深く響かないということだ。それだけだよ。

Q8: Lastly, can you give us an insight into the theme and content of this grand and profound “Ontology of Nought”?

【FLORIAN】: I guess I take this one. To be honest, I do not want to reveal that much about the lyrics and their potential intent. This is something each one of us needs to explore themselves, really. What I can say, though, is that I have myriads of ideas and new associations when I go through my lyrics after not having done so for a while. What I usually do is sit down in the evening and for some reason I feel like expression myself. As a typical Capricornus I explore this odd urge to disappear in nothingness, cognitive stillness, silence, things numinous, and every once in a while, I kill someone in words and with great pleasure for cathartic reasons. I also like to explore spectrums of extreme antinomies: rejection and love, despair and hope. Stuff like that. However, connecting the dots is really the listeners / readers task if you feel inclined.

Q8: 最後に、この壮大で深遠な “無の存在論” のテーマと内容について教えてください。

【FLORIAN】: これは僕が受け持つことになると思う。正直なところ、歌詞やその潜在的な意図について、それほど多くを明かしたくはない。これは各自が自分自身で探求する必要があることなんだ。ただ、言えることは、しばらく歌詞を書かなかった後に歌詞を見直すと、無数のアイデアや新しい連想が浮かぶということだ。僕がいつもするのは、夕方に座って、なぜか自分自身を表現したくなるようなこと。典型的な山羊座の僕は、何もないところ、認知的な静けさ、静寂、無感覚なものの中に消えてしまいたいという奇妙な衝動を探求する。拒絶と愛、絶望と希望。そんな感じだ。しかし、点と点を結ぶのは、リスナー/読者の仕事だと思う。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED INGURGITATING OBLIVION’S LIFE!!

My Dying Bride “As the Flower Withers”
Colloseum “The Grass is Greener”
Tery Rypdal “After the Rain”
Goat Semen “Devotos del Diablo”
Sepultura “Schizophrenia”

(FLORIAN)

The Beatles “White Album”
Slayer “Divine Intervention”
Bach “Brandenburgische Konzerte”
AC/DC “Black Album”
Led Zeppelin “In Through The Out Door”

(NORBERT)

MESSAGE FOR JAPAN

Florian: Yes, very much so. I certainly am no connoisseur, but I love (!) everything – yes, EVERYTHING – Hayao Miyazakihas produced as an animator. What impressed me as well is the work of Eiichiro Oda, Osamu Akimoto, Hirohiko Araki, and Mitsuteru Yokoyama. I have no idea whatsoever when it comes to video games, though. When it comes to music, I love Tōru Takemitsu, Hikaru Hayashi, Keiko Fujiie, and Ayaka Hirahara. Thank you for the wonderful interview. I really enjoyed it.

Norbert: Japan is still on my travel list! I like Haruomi Hosono (S-F-X) and Japanese food in general.

FLORIAN : 僕はアニメ通ではないけれど、宮崎駿がアニメーターとして制作した作品はすべて(!)大好きだよ。尾田栄一郎、秋本治、荒木飛呂彦、横山光輝の作品も印象に残っている。ビデオゲームに関してはまったくわからないけどね。音楽では、武満徹さん、林光さん、藤家渓子さん、平原綾香さんが大好きだ。素晴らしいインタビューをありがとう。本当に楽しかったよ。

NORBERT : 日本はいつも僕の旅行リストに入っている!細野晴臣(S-F-X)と日本食全般が好きなんだ。

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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【ALL THAT REMAINS : ANTIFRAGILE】


COVER STORY : ALL THAT REMAINS “ANTIFRAGILE”

“The Biggest Thing That’s Happened To Us Was Oli Passed Away… It Was a Really, Really Big Deal.”

ANTIFRAGILE

「人間には不屈の魂が必要だ」
そう語るのは、ALL THAT REAMINS のバンドリーダーでボーカリストの Phil Labonte です。彼はメタルの “回復力” を知っています。
Labonte は、ATR が前作 “Victim of the New Disease” をリリースした2018年後半から、待望の10枚目のスタジオLP “Antifragile” の登場となる2025年初頭までのこの6年間、心が折れるような悲劇を含め、多くの障害に直面してきました。
現在、Labonte とギタリストの Mike Martin を除けば、バンドのラインナップは6年前とはまったく異なっています。最も深刻だったのは、2018年、リード・ギタリスト、Oli Herbert がコネチカット州スタッフォード・スプリングスの自宅敷地内、池のほとりで遺体で発見されたことでしょう。彼はまだ44歳でした。この事件は現在も未解決のまま。
Jason Richardson(元 CHELSEA GRIN、BORN OF OSIRIS)が Herbert の後を継ぎ、最初はツアー・メンバーとして、その後フルタイムのリード・ギタリストとなります。しかし、パンデミックにより、ALL THAT REMAINS の再始動、その勢いはすぐに止まってしまったのです。
2022年、ライブ・サーキットがようやく再開されると、グループは “The Fall of Ideals” のアニバーサリー・ツアーを行い、遅ればせながらアメリカン・メタルコアの画期的なレコード15歳の誕生日を祝いました。
さらにそこから大きな変化が待ち受けていました。Labonte 個人としては、ポッドキャスト Timcast IRL の共同司会とプロデュースを始めました。ALL THAT REMAINS としては元レコード・レーベルと友好的に決別。2024年春、ベーシストの Matt Deis とドラマーの Anthony Barone を加えた5人組は、自分たちだけで独立し、オール・ザット・リメインズ・レコーズという名の独立レーベルを設立したのです。

それでも、Labonte は彼とバンドメンバーが乗り越えてきたすべてのことに活力を感じています。そしてそれこそが新譜のテーマとなりました。
「僕は、ポジティブで高揚感のあるコンセプトが欲しかった。人生で経験する苦難は、実は私たちをより強くしてくれるものなのだからね。
人には目的が必要だ。ビーチでマルガリータを飲みながらぶらぶらするだけでは十分じゃない。”喜びは目的地ではなく旅にある” という古いことわざは、真実だ」
つまり、ALL THAT REMAINS の新作は、近年の苦難の旅の中で鍛え上げられた、正真正銘の銘刀であり、バンドが輩出した初期の西マサチューセッツ・メタルコア・シーン、その特徴的なサウンドを想起させながら、ウルトラ・テクニカルなギター・プレイから精巧に磨き上げられたヴォーカル・フックに至るまで、現代的なタッチが加えられているのです。
ではこのバンドのリーダー Labonte にとって、この6年間で最大の苦難は何だったのでしょう。
「そうだね、いろいろあったよ。一番大きかったのはやっぱり Oli が亡くなったことかな…本当に、本当に大きな出来事だった。Oli は ALL THAT REMAINS に加入した最初の男だった。まだフルバンドになる前だった。ギタリストの Mike がやってきて、リフを弾いてみたんだけど、当時はまだうまく弾けなかったからね。Mike が彼の先生に会うべきだって言うんだ。それで Oli に会って意気投合したんだ。彼は最初から僕と一緒だった…
だから彼を失ったとき、彼なしで ALL THAT REMAINS をやれるのか、Oli Herbert 抜きの ALL THAT REMAINS とはどういうものなのかという大きな疑問が湧いたんだ。バンドののサウンドに欠かすことのできない存在だった彼抜きで何をやるのか?それを乗り越えるには長い時間がかかったね」

人として、Oli はバンドにとってどんな存在だったのでしょう?
「Oli はまるで家族のようだった。僕たちみんなを笑わせてくれた変なこととかがすぐ思い浮かぶんだけど、個人的なことだからあまり話したくないんだ。でも、みんなが変だと思うようなくだらないことこそ、家族みたいで大好きだったんだ。Oli が僕たちの1人か2人にイライラすることもあったけど、今振り返ると笑ってしまう。
昔の写真なんかを見ていると、ツアー中に彼が変なところで気絶しているのがたまらなく好きだ。空港とかホテルのロビーとか、変な格好で寝ている Oli の写真がフォルダに入っているんだ。バスを降りてすぐの草むらで気絶している Oli の写真もある。彼は “草の感触を味わいたかったんだ” って言ってた。僕らはそうだな!と笑ってた。
Oli について考えるとき、私はそういうことを思い出すのが好きなんだ。奇妙で風変わりなことが、彼をユニークで特別な男にしていたからね」
Oli の跡を継ぐ Jason Richardson と Labonte は本当に気が合うようです。
「彼はギターのサイボーグだからね!(笑) そう、彼はコンピュータープログラムなんだ。頭の中は1と0だけ。それだけ。あの子とは何度も一緒に出かけたけど、”彼は本物のロボットだ” って結論に達した (笑)。彼の演奏で本当に素晴らしいのは……彼は音楽理論や何やらについて深く膨大な知識を持っていて、小さなアイデアでもそれを発展させることができるんだ。僕たちは彼に2つのリフを渡して、”さて、どうしよう?”と言うことができる。そうすると彼は、曲全体で使える6、7種類のパートと、そのバリエーションとかを考えてくれるんだ。
ちょっとしたアイディアが浮かんだら、それを音楽理論に詳しい人に持っていくと、そのアイディアだけでなく、そのキーの他のスケールとの関係や、別のキーに移動させる方法などを教えてくれるんだ。それらはすべて、バンドが開いて実験できるドアなんだ。そういう人と一緒に仕事ができるのは本当に素晴らしいことだ。それが、僕たちが仲良くなれる理由のひとつだと思う。
もちろん、それは Oli が得意としていたことの1つであり、Jason が Oli と共有していることの1つだと思う。とにかく彼はワールドクラスのプレイヤーだが、ワールドクラスの知識も持っているんだ」

Labonte にとって、Oli の “モノマネ” をするギタリストは必要ではありませんでした。
「あの子は最高だよ。もし死後の世界があったとして、Oli が自分の場所に立っているのが Jason だとわかったら納得するだろうね。だから、それが重要なんだ。Oli になりすまそうとするようなヤツは獲りたくなかった。Oli は Oli だった。彼のリフの書き方、彼の個性。長髪でひげを生やしている人を断ることはなかったけど、長髪でひげを生やしてなければならないとは言わなかった。そんなことは求めていなかった。僕らが一番避けたかったのは、オーリーになりきってもらおうとしたように思われることだった。もう誰も Oli にはなれないんだから」
Richardson がギター・サイボーグになれたのはふたりの天才のおかげでした。
「Alexi が亡くなってから、CHILDREN OF BODOM をまた聴き始めたんだ。DREAM THEATER 並んで、僕が最も影響を受けて育ったバンドのひとつだからね。彼のギターは僕の嫌いなものばかりだけど、ずっと欲しかったんだ。 とんがっているのは好きじゃないし、EMG のファンでもないし、ノブは1つだし、ロッキング・ナットがついているし、フロイド・ローズもついている。 でも大人になってからは、Alexi か Petrucci かのどちらかが欲しかったんだ。周りの楽器屋には Petrucci のギターしか置いてなかったんだ」
Richardson にとって、ALL THAT REMAINS への加入は驚きでした。
「明らかに予想外だった。前任のギタリスト、Oli は20年間バンドに在籍していたんだけど、その Oli が亡くなったんだ。 ネットで見て、”なんてこった” って思った。彼は僕の友達で、以前一緒にツアーを回ったし、ジャムも一緒にやった。何時間も話をした。
それから1週間半後くらいだったと思うけど、彼らはインスタグラムにメッセージをくれた。”ちょっと聞きたいことがあるんだけど、僕らはすでにツアーを予約していて、アルバムのリリースも決まっているんだけど、このツアーの代役をやってもらえないかな?” ってね。ATR とは過去に何度か他のバンドでツアーをしたことがあったから、すぐにイエスと答えたよ。時間さえかければ曲は弾けると思っていた。幸運なことに、Oli はすべてを譜面に書き起こしていた。当時の新譜からの最新曲以外は、耳コピの必要はなかった。正直なところ、耳コピすることが唯一の不安だったんだ。それ以外のことは、もう一人のギタリストの Mike がビデオを送ってくれたりして、それで曲を覚えることができた」

Richardson は奇抜なソロキャリアと王道の ATR 、その二刀流を楽しんでいます。
「ATR は何枚もアルバムを出しているし、彼らのサウンドを評価する大勢のファンがいる。だから、彼らと一緒に曲を書いている間は、そのことを100%念頭に置かなければならない。でも幸いなことに、彼らには超クレイジーなテクニカル・メタルの旧作もたくさんあるし、”What If I Was Nothing” のようなストレートなロック・ヒット曲もある。意図的にラジオ用に書かれた曲が1、2曲ある。だから、よりシンプルで消化しやすいサウンドになっているのは明らかだ。
僕のソロをミュージシャンでない人が聴いて、”ああ、これは最高だ!” とは思わないだろう。僕のソロを聴くのは、ギタリストやミュージシャン・オタクだけだよ。ミュージシャンでなくても、”What If I Was Nothing” を聴けば、すぐにそれに惹きつけられるだろう。この曲は本当にキャッチーで、すぐに頭に残るから、バンドのために曲を書くときはいつも、もっとビジネス的な帽子をかぶらなければならない。その両方ができるようにならないとね。狂気的なメタルの曲も作りたいし、ラジオ向けのバラードも作りたい」
新メンバー、Richardson とドラマーの Anthony に加え、旧メンバーのベーシスト、Matt Deis もバンドに復帰しました。
「素晴らしいよ。2005年に Matt が脱退したときも、彼は僕らと仲が悪かったわけじゃないんだ。彼は CKY で演奏する機会を得たんだ。彼は大ファンだった。彼はそのバンドが大好きで、彼らのやっていることが大好きだった。ATR の2004年のセカンド・アルバム “This Darkened Heart” は発売されたばかりか、発売されて間もなかった。”The Fall of Ideals” はまだ出ていなかった。だから、僕らと一緒にいてもまだ何が起こるかわからないという状態だった。”Darkened” が少し成功して、みんなが僕たちを見て “これは誰だ?” という感じになったけど、それがキャリアになるかどうかは明らかではなかったんだ。
だから、彼が “こんなチャンスをもらったよ “と言ったとき、僕たちは “わかったよ。僕らにとっては最悪だけど、それでも君を愛している” って感じだった。連絡は取り続けたよ。彼はマサチューセッツ州西部の出身だから、幼馴染みみたいなものさ。Matt のことはずっと好きだったから、彼が戻ってきてくれて嬉しいよ。僕たちはいつも本当に仲が良かった。
それに素晴らしいミュージシャンなんだ。ピアノもベースもギターも弾く。音楽理論にも詳しいしね」

Labonte は作詞家として、”人間の条件に関する歌が最も説得力がある “と言っています。
「”Kerosene” は10月7日のイスラエル同時多発テロの直後に書かれたもので、パレスチナ人とイスラエル人の間で起こっている戦闘をアウトサイダーとして解釈したものなんだ。双方の言い分を聞けば、どちらにもそれぞれの物語があり、それぞれの理解の仕方がある。そのため、双方がそれぞれの理解の仕方を持っている。この確執は長い間続いている。1948年だけでなく、何千年もさかのぼるものなのだ。
彼らが相手側を少なくとも正当なものとして認め、同意することができない限り、このような事態はさらに続くだろう。”言葉がただの灯油になるとき” というサビのセリフがある。10月7日に実際に起こったことを聞いて、本当に、本当につらかった。控えめに言ってもね。2015年にパリの会場で行われた EAGLES OF DEATH METAL のコンサート中にバタクランで起きたテロ事件を思い出したよ。いろいろなものを見ていて、バタクランのことを考えずにはいられなかった。バタクランにいた人たちを知っていたから。
“Kerosene” を書いたのは、10月7日の事件の次の週末だったと思う。プロデューサーのジョシュ・ウィルバーとロサンゼルスにいて、そのことを話し始めたんだ。ただ会話が流れていて、”これを曲にできるかもしれない” と思ったんだ。この曲の出来栄えには本当に満足しているよ」
特に、ライブを楽しんでいただけの罪のない人々が巻き込まれたのですから、人ごとだとは思えませんでした。
「”Cut Their Tongues Out ” について話そうか。もっと怒っている曲だから (笑)。レコードのために最初に作った曲は “Divine”だった。Jason が曲を提供してくれて、僕とジョシュが一緒になって、アルバムのメッセージをどうしたいかを話し始めたんだ。このアルバムはパンデミック以来の作品だったから、全体的にダウナーな雰囲気にはしたくなかったんだ。この2年間、ロックダウンや抗争、そして多くの人たちが互いに罵り合ったりして、みんなもう十分に打ちのめされていたからね。
だから “Divine” は、自分が好きなことを何でもやっていて、自分が有能で、どうすればそれができるかを知っているとき、すべてがうまくいっているときに感じる感覚を表現しようとしたんだ。スポーツの世界では、それを “ゾーンに入る ” と呼ぶ。マイケル・ジョーダンがミスを一切許さなかったときのようにね。僕はその映像を覚えている。マイケル・ジョーダンが素晴らしいスリーポイントを決めたとき、彼は振り返ってコーチのフィル・ジャクソンの方を見るんだよな。”神 “とは、自分が着手しているどんなことでも、そのやり方を学ぶために全力を注いできたおかげで、ほんのちょっとだけ手に入れることができる小さな神性のかけらなんだよ。全てを注げば最高に有能になれるし、その結果には疑問の余地はない」

そうした揺るぎない “好き” “得意” を作ることはまさに “Antifragile” “こわれにくいもの” のミッション・ステートメントと一致しています。どんなことでも、自分が充実していると感じられればいい。だからこそ、ATR は独立の道を選んだのでしょうか?
「レーベルに所属し、レーベルを通じてライセンス契約を結ぶという選択肢もあったけど、レーベルに付随する多くのネガティブな要素に煩わされることなく、自分たちの手で作品を作り上げるというアイディアがとても気に入ったんだ。もうね、今となっては、レーベルは単なる広告代理店に過ぎないから。
もし君たちが若いバンドなら、レーベルに所属したいと思うのは分かるよ。でもね、ALL THAT REMAINS にとって、これは10枚目のリリースなんだ。僕らには歴史がある。”Fall of Ideals” のアニバーサリー・ツアーをやったんだけど、20年近く前にリリースされたレコードの曲を聴きに来てくれたんだ。そうした影響力を持ち、人々がまだ気にかけてくれていることは、とても幸運なことだ。でも、もし僕らのようなカタログや歴史がなかったら、”何か突破口を見つけ、人々の注目を集める方法を見つけなければならない” と思うのは自然なことだからね」
Lebonte のもう一つの仕事、ティム・プールとのTimcast IRLの共同司会とプロダクションの仕事は、どのように始まったのでしょう?
「ツイッターだよ。2013年に彼が “ウォール街を占拠せよ” を取材していた時に、彼の番組をいくつか見たんだ。それから、ティムの毎日の番組を見るようになった。彼はただビデオを作るだけで、基本的にただカメラを回して自分自身を撮影するだけだった。
僕がレガシーな、大きなメディアから離れ始めたのは、彼らが僕が魅力的だと思うものを本当に表現していなかったからだ。9.11の直後、僕はニュース中毒になった。なぜ起きたのか、何が起きているのか、そういったことを知りたかった。YouTubeが普及し始めたこともあって、インターネットでいろいろなものを見るようになり、自分の関心のあることについて話している人たちを見つけるようになった。ティムもその一人だった。
2016年頃、ツイッターでティムと交流するようになり、その後、バンドがきっかけでIRLのゲストに招待されたんだ。そしてある日、彼から電話がかかってきて、”お願いできる?” ってね」

Lebonte は明らかに、政治的に非常に率直な人物ですが、ATR は決して政治的なバンドではないでしょう。
「僕は常に分けて考えようとしてきた。その理由は、ATR には常に異なる政治的意見を持つ人々がいたからだ。僕と元ベーシストは、かなりはっきりした政治的意見を持っていた。Jason と僕は、政治的な意見の違いがはっきりしている。でも僕は、これまでの人生で、政治的なことが誰かとの友達付き合いをやめる理由になると思ったことは一度もない。だから僕にとっては、”ステージに上がって説教することはできない” という感じだった。ATR のライヴでやったことのある政治的なことといえば、2012年にロン・ポールのシャツを着たことくらいかな。
あと、マリファナに耽溺していた頃、コロラド州でマリファナが合法化されたばかりだったと思うんだけど、そのときに言ったんだ。コロラド州がマリファナを合法化したのはいいことだ。もちろん、今となっては全く議論の余地はない。
バンドには、僕と同じ考え方のヤツもいれば、僕と全然違う考え方のヤツもいる。それが普通だと僕は思う。意見が合わない友達がいないなら、そっちのほうが異常な気がする」
反対意見を持ちにくい時代になった?
「そうだと思う。でもそれは変わりつつあると思う。マーク・ザッカーバーグは昨日、5年ほど前に行った自由な意見交換についてのスピーチを撤回した。
結局のところ、アメリカでは誰もが相違点よりも共通点の方が多いんだよ。そして、隣人を敵視するよう人々を駆り立てる衝動は、もう限界だと思うし、ほとんどのアメリカ人はそれにうんざりしていると思う。僕らは反対する人の意見にも耳を傾けるべきだ。
僕は、とてもとても “生かされて生きる” タイプの男だ。極端な政治的意見は持っていない。非常に穏健だ。正直に言うと、90年代の民主党的なんだ。ナチス呼ばわりされたことは数え切れないほどあるが、同時にナチスからユダヤの回し者、イスラエルの回し者として攻撃されたことも数え切れないほどある。両側からそう言われているのなら、どちらの側にもそこまで極端にはなれないはずだ」

キャンセル・カルチャーは滅びるのでしょうか?
「その力があるかどうかを決めるのは、一般人である僕たちだ。炎上時に起こることは、誰かが何かを言って、”ああ、この人はこんなことをしたんだ” となる。そしてネットで大騒ぎになる。
それが社会にとって良いことだとは思わない。特に、意図的にやっていない人の場合はね。だから、もし誰かが何かを言っていて、それが侮辱的であったり、分断的であったり、偏見に満ちていたりするつもりはなく、何かについて話していて、それがただ無慈悲な言葉でないなら、人々が自分の人生に悪影響を及ぼす理由はない。誰かが誰かを罵倒したりするのであれば、企業が “あなたとはもう付き合いたくない” と言うのは理にかなっているかもしれないけどね。
でも、軽はずみなキャンセル・カルチャーはもう終わりだと思う。でも、他人の行動に影響を与える方法として暴挙を利用しようとする人々がいる限り、常に暴挙は続くと思う。ただ、人々は絶え間なく憤慨し続けることに飽きているのだと思う。だから、少なくともしばらくの間はね…」


参考文献: REVOLVER MAG:HOW TRAGEDY AND TURMOIL MADE ALL THAT REMAINS ANTIFRAGILE

GUITAR WORLD :Jason Richardson on his love of Alexi Laiho, soundtracking Lifetime movies and how his late pet pug’s progressive drinking habits shaped his new album

NEW ENGLAND SOUNDS :Jason Richardson On Filling Big Shoes In All That Remains

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【VICTORIANO : LIVING AN ODYSSEY】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH SERGIO VICTORIANO FROM VICTORIANO !!

“I Fell My Selfattracted By The Originality Of Japanese Music, The Way They Mix Many Styles Into One Piece, That’s Absolutely Outstanding, For Example I Really Like Acid Black Cherry, Cause They Have Songs In Different Styles, From Rock, Jazz, Ballad, Pop. etc…”

DISC REVIEW “LIVING AN ODYSSEY”

「日本の音楽のオリジナリティに惹かれたんだ。いろんなスタイルを1つの作品にミックスするやり方は、本当に素晴らしい。例えば、僕は Acid Black Cherry が大好きなんだけど、彼らはロック、ジャズ、バラード、ポップスなど様々なスタイルの曲を持っている。日本のバンドから受けた影響によって、僕らの心は新しい音楽の地平へと開かれ、日本の音楽によって VICTORIANO は様々な音楽スタイルに挑戦し、自分たちの道を見つけることができた」
かつて、日本の音楽は西欧よりも “遅れている”、テクニックが足りていない、外国では売れない、日本語が壁になるなどと言われていた時代がありましたが、インターネットの進歩によってそうした言説が誤ちであることが証明されつつあります。もちろん、他文化を受け入れる風潮が高まったという時流の変化もあるでしょうが、むしろ日本の音楽は “発見” されていなかっただけで、今ではその独特のコード感やメロディ、日本語の響きを含めて “クール” だと感じる外国人が明らかに増えています。
地球の反対側、チリから現れた VICTORIANO もそんなバンドのひとつ。ただし、彼らの日本に対する愛情はアメリカ大陸においても群を抜いています。
「数年間日本語を勉強していて、日本語はとても美しい言語だと気づいたし、その響きが好きになったから。その頃僕は、何か本当にオリジナルなことをしたいと思い、アメリカ大陸で日本語でフルアルバムをリリースする初めてのバンドになるという挑戦を自分に課したんだ。僕らの音楽を日本のリスナーの心に届けることは、僕にとってとても重要なこと。だからすべての愛を込めて、特に日本の人たちのためにアルバムを作ったんだ」
日本の音楽、その美しいメロディと多様なスタイル、そしてリリックの侘び寂びに魅せられた VICTORIANO。だからこそ、彼らは “日本語で” 歌うことにこだわりました。当然、ラテン系の言語と日本語の間には大きな隔たりがあります。その習得だけでも容易ではありません。ましてや、心を込めて歌うことには相当の鍛錬が必要でしょう。そうして彼らはやりきりました。
「最近日本の音楽でよく聴いているのは、Iron Attack, Imari Tones, 陰陽座, Siam Shade, Acid Black Cherry, Xie, Saluki, Galneryus だね。VICTORIANO のスタイルはかなり実験的で、ロック、ダブステップ、インダストリアル・メタル、プログレッシブ・ロック、ポップ、ジャズの間のミクスチャーだ。僕たちにとって最も重要なことは、他のバンドのスタイルを真似たり、守ったりするのではなく、オリジナルのスタイルを確立することだ」
“Living an Odyssey” を聴けば、その音楽のそこかしこに、古き良き往年のパワー・メタルと共生する日本の息吹を感じるはずです。バンドとして敬愛する Acid Black Cherry を筆頭に、Siam Shade, L’Arc~en~Ciel といったVとメタルの架け橋となったバンドの刹那のメロディ。さらにはボーカルの Sergio が幼少期から愛するアニソンとメタルの架け橋、Make Up や影山ヒロノブの遺伝子。そして Yama-B のゲスト参加が物語るように、日本を代表するパワー・メタルの伝説 GALNERYUS の純真。聖飢魔IIや Daita のシュレッドを思わせる場面も。
チリは敬虔なカトリックの国ですが彼らはプロテスタントで、興味深いことに彼らはそうした日本に対する愛情をキリスト教文化の中に落とし込みました。ルカの福音書にインスピレーションを得た “神の許しがない” を筆頭に、STRYPER も顔負けの穢れなきまっすぐなリリックは、不思議と日本語の響き、日本の音楽に自然に融合し、新たなアマルガムを創造していきます。広がるメタルの世界。その情報過多とも思える彼らの創造こそ、まさに今のメタルが翼を広げて飛翔する姿の象徴でしょう。
今回弊誌では、Sergio Victoriano にインタビューを行うことができました。「間違いなく僕は子供の頃からパワー・メタルが大好きだった。そして、これからもパワー・メタルを、新しい曲を作り続けていきたい。今の時代、パワー・メタルがそれほど人気がなくても構わないんだ。大事なのは、心の中にある音楽を作れるかどうかだから」 二度目の来日にも期待。どうぞ!!

VICTORIANO “LIVING AN ODYSSEY” : 9.9/10

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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【HARAKIRI FOR THE SKY : SCORCHED EARTH】


COVER STORY : HARAKIRI FOR THE SKY “SCORCHED EARTH”

“Even If I Am Generally Lucky, I Have a Very Cool Band, I Have a Very Cool Wife And All That, But In The Meantime All That Is Happening In The World, Gets Me In a State Of Mind Where I Should Not Be And It May Be The Answer If People Ask How I Get Into This Sad Mood To Write Those Lyrics.”

SCORCHED EARTH

絶望、喪失、愛、そして実存的葛藤は、常にHARAKIRI FOR THE SKY の特徴的なサウンドの基盤。そうして2011年の結成以来、マルチ・インストゥルメンタリストのM.S.とボーカリストのJ.J.は、アトモスフェリックなエクストリーム・メタルとメロディアスなポスト・ロック、グランジ、モダン・ハードコアを融合させたエモーショナルなサウンドで音楽の境界を押し広げ、独自のジャンルを確立してきました。HARAKIRI FOR THE SKY は、ある意味過小評価されているバンドだと言えます。このオーストリアのデュオのメロディに対するこだわりは誰にも引けを取らず、憧憬のアトモスフィアと黒々とした攻撃性、そして瞑想的なテンポを組み合わせながらも、決して “虚弱さ” に陥ることはありません。あくまでもメタルの文脈の中で、筋肉質な重さとメロディックなモチーフにその情熱を注いできました。このスタイルのトレードマークであるゆっくりと燃え上がる “スロウ・バーン” を追求しながら、彼らは常に “ポスト・ブラック” という形容の落とし穴を避け、弱々しくきらびやかでしかし “簡単な” 道を選ぶことはなかったのです。
つまり彼らは小手先の技に頼らず、美しさ、憂鬱さ、残虐さのバランスを保ちながら、その中に光と希望を輝かせる卓越したソングライティングで、音楽の限界を押し広げてきました。感情を揺さぶるという使い古された言葉では言い表せないほどに。
それにしても、日本人としてはこの突拍子もないバンド名が気になります。
「Harakiri とは割腹自殺のこと。そう、経験したくはないことだ。これはボーカル J.J. のアイデアで、彼の夢と関係があるんだ。自殺は彼にとってとても重要なテーマで、彼は崖から落ちるような夢を見たんだけど、自分を刺しそれから飛び始めたんだと思う。僕の知っている限り、彼はそうやってこの名前を思いついたんだと思う。だから、彼の歌詞の中にも、いろいろなことの比喩があると思ったんだ」

2010年代初頭、寝る間も惜しんで Bandcamp を漁っていたメタル・ナードにとっては忘れられない名前でもあります。
「覚えている限りでは、我々は2011年の春か夏頃、古いアパートで HFTS のアイデアを思いついたんだ。夜通し酒を飲みながら、WOODS OF DESOLATION やALCEST、HERETOIR といった初期のポストブラックメタルを聴いていた。2人とも、当時組んでいた他のバンドにあまり満足してなくて、何か新しいもの、違うものを求めていたんだよね。こうして HFTS が誕生した。デビューのための最初のレコーディングをするまでに、そんなに時間はかからなかった。2012年の初めに完成し、その数ヵ月後に僕らが今も所属しているレーベル、AOPレコードからリリースされることになった。そう、それがこのバンドの起源だ」
ちょうど、オーストリア、そしてインターネットから生まれたバンドが飛躍し始めたころ。
「オーストリアは大きな国ではないし、大きなシーンもなかったけど、SUMMONING や ABIGOR、ELLENDE のような新しく、とても有望で影響力のあるバンドがいる。バンドを始めた当初は、Facebook や Bandcamp などを通じて、オーディエンスを見つけることができたのも大きかったな。そのおかげで、オーストリアの外でもすぐに演奏することができたし、ツアーにも出ることができたと思う。当時はポスト・ブラック・メタルはまだ新しかったし、インターネットはそれを “流行らせる” のにとても役に立ったんだ」
ポスト・ロックとブラック・メタルの融合は、最初から目指していたものなのでしょうか?
「もちろん、バンドを始めた頃は雰囲気のあるブラック・メタルのバンドを聴いていたし、同じようなことをやりたかったんだ。メランコリックな雰囲気がありつつもハーシュな音楽で、僕らが好きな音楽、聴いていた音楽からすべて何かしらの影響を受けていたから、頭に浮かんだものをそのまま書いたんだ。それが全体的なサウンドなんだけど、特定のバンドのようなサウンドにしたかったわけでもないし、特定の影響を受けたわけでもない」

HARAKIRI FOR THE SKY を10年以上続けてきたその原動力とはなんだったのでしょう?
「他人やファンとのコミュニケーションのためにやっているとは思わない。でも、僕らの作る歌詞や音楽の中に、同じような心の重荷というか、なんというか……そういうものを感じて、自分自身を見出すことがあるとしたら意義深いことだ。僕らははいつも、ある種のセラピーとして、自分自身を表現するためにやってきた。でも、他の人たちが僕たちの作るアートに共感してくれるのは、いつだって嬉しいことだし、そう、僕たちの曲のすべてに通じる特定のテーマや問題があるんだ」
それはどんなテーマなのでしょう?
「僕らの歌詞は常に自伝的なもので、つまり、書けるのはそれしかない。歌詞のほとんどは、人生のマイナス面、憂鬱、失恋、疎遠、薬物乱用などについてのものだ。でも、それは人間の心の奥底に宿っているもので、僕たちは多かれ少なかれ、そうしたネガティブな感情を処理しなければならない。そこでアートが生まれる。良い芸術や良い音楽は、通常、優雅な時に生まれるのではなく、憂鬱や悲しみから生まれるものだから」
人間嫌いと噂されることも少なくありません。
「人間嫌いかどうかはわからない。なぜなら、人間関係で何か不快なことや嫌な経験をしたとき、それをただ飲み込むのではなく、僕らは吐き出す必要があるからだ。音楽はそのための素晴らしいフィルターであり、そういったことに対処するための個人的なカタルシスなんだ。もちろん、世界でいろいろなことが起きている中で、ポジティブなことを見つけるのは難しいけど、それよりも、個人的に起きた悪いことに対処しているんだ」
彼らの音楽からは明らかに “冬” の景色が聴こえます。
「僕は完全に秋冬派だね。春も好きだけど感動するというわけではない。月並みな言葉だけど、寒くなり、自然が死んで、数ヵ月後の春にまた生まれ変わるとき、いつも何か重要なことが起こるという意味でね。つまり、多くのアルバムや音楽が四季に言及しているのは、それが感動的なものだからだ。僕は個人的には寒い季節が好きだ。僕は山の中腹出身だから、雪や氷が好きだったんだ」
動物を使ったアートワークの数々も、彼らの美学を彩ります。
「最初のアルバムでカラスを使ったときから、それが僕たちのコンセプトであり、意図となった。動物には、メランコリックな音楽にぴったり合う特別な美学があるんだ。こうしたジャケットやイラストは絶対に残していくよ。”Scorched Earth” の新しいアルバム・ジャケットには、過去5枚のアルバムの動物をすべて集めた。これは、新しいアルバムが過去に書いたすべての音楽的なコレクションであることを示すためだ。僕たちの音楽の旅を示しているんだ」

2021年の “Maere”(ドイツの公式チャートで4位を記録)の後、4年の歳月をかけて次なる壮大な章 “Scorched Earth” を作り上げた HARAKIRI FOR THE SKY。このアルバムは、私たちが生きている世界のスナップショットといえます。私たちの社会は根底から分断され、ここ数十年、平和からかつてないほど遠ざかっています。危機が次から次へと押し寄せてくるような、そんな差し迫った破滅の予感が “Scorched Earth” には込められているのです。
4年というインターバルは彼らにとってこれまでなかったことでした。それは、パンデミックが及ぼした影響でした。
「コロナのために多くのコンサートやツアーが延期され続けたことも関係している。結局、この2年半で、2020年の初めからやるべきことをほぼすべてやり遂げた。年間80本ものコンサートを行い、さらに移動とその周辺のすべてをこなすとなると、継続的に新曲に取り組む時間とエネルギーはあまり残されていない。作曲はツアーの休憩時間に限られていた。
それに、あまり外に出ず、家にいる時間が長いと、インプットがなければアウトプットもない。インスピレーションを与えてくれるものがないんだ。だから全体的に時間がかかるんだ。それに6枚目のアルバムでは、物事が迅速に進まないということもある。同時に何千ものアイデアを思いつくことはなくなり、全体的に内省的になる」
一方で、パンデミックのおかげで、初期の “Harakiri For The Sky” と “青木ヶ原” を再録することができました。
「最初のロックダウンは本当にクールだった。でもある時点で、おそらくほとんどの人がそうであるように、ある種の無気力に陥ってしまった。結局、最初の2枚のアルバムを再レコーディングして再リリースすることで、時間を使うことにした。無理に新曲を作るのではなく、このようなプロジェクトに時間を使おうと考えたんだ。
何度もライブで演奏し、現在のサウンドを実感しているからね。Ver. 2.0ではまったく違うサウンドになっている。僕の声色はこの10年で大きく変わった。当時のアルバムは、ドラムをプログラムして自宅でレコーディングしていた。ノスタルジックに言えば、それはそれで魅力的なのだが、これらのアルバムが今の HARAKIRI FOR THE SKY のようなサウンドだったら、どんなにクールだろうと思った。特に本物のドラムで、プロのスタジオで録音され、宅録のクオリティを損なうことなくね。
バンドを始めたとき、僕たちはバンドがどこに行くのかわからなかった。DIYのミュージシャンで、家ですべてを解決していた。でも、ある時点で僕たちは話し合ったんだ。リマスター?いや、それだと本物のドラムをミックスできない。リミックス?だったらアルバムを完全に録り直すことにしたんだ。この決断にはとても満足している。オリジナル・バージョンはYouTube や Spotify などに残っているから、ファンにとって問題はない。だから、どのバージョンが好きかは君たちが決めればいい」

“Scorched Earth” はプレス・リリースによれば、”悲惨なまでに壊れてしまった世界 ” にインスパイアされたものだといいます。それは “内省的” なものから離れているようにも聞こえます。
「このアルバムは政治的なアルバムかとよく聞かれるんだ。でも政治的なアルバムではないんだよ。ただ、ここ数年、特にロシアのウクライナ侵攻以来、そして一昨年の10月7日以降、実は “コロナ” 以降なんだけど、世界の出来事がどれだけ僕らの精神的にネガティブな影響を及ぼしているかに気づいたんだ。朝から晩まで悲惨なヘッドラインにさらされ、そのどれもが自分を落ち込ませる。政治的なアルバムではないけど、このような世界の出来事がアルバムのムードに自然に影響を与えているんだよ。
でも、HARAKIRI FOR THE SKY では、いつも僕ら自身が経験した自伝的なトピックについて書いている。ファンタジーは書けないし、書きたくない。2020年の半ばか終わりに、僕の人生はかなり破綻した。当時のガールフレンドは6年間付き合った僕を捨てたんだ…理由はともかく。コロナがやってきて、ライブもなく、僕は文字通り実存的な危機に陥った。そのすべてがこの作品反映され、だから歌詞には悲痛な思いが強く表れているんだ
アルバムのトラックリストを発表したとき、ある人から “エモい” と言われたんだ。”Without You, I’m Just a Sad Song ” や “Too Late for Goodbyes” のような曲やタイトルは、実際とてもエモく聞こえる。曲目が一緒にリストアップされているのを見たことがなかったから、そのことに気づかなかった。しかし、そう、最初から最後まで失恋ソングなんだよ。それは HARAKIRI FOR THE SKY にとって目新しいことではない。薬物乱用、メンタルヘルス、うつ病、壊れた人間関係といったトピックは、僕たちの音楽の重要な部分だ。そうしたテーマは僕らを夢中にさせるし、おそらくこれからもずっとそうだろう。人生は楽にはならないし、年を取れば取るほど、別れは頻繁に訪れるようになる。今は幸せな恋愛をしているし、結婚して1年になるけれど、そういう経験はいつも心に響く。幸運にも僕はとてもクールなバンドをやっていて、とてもクールな奥さんがいて、いろいろなことに恵まれているんだけど、その間に世界で起こっているすべてのことが、僕を本来あるべきでない精神状態にしてしまう。簡単に言うと、僕は繊細すぎるんだ」

古き良き、もしかしたら今よりも平和で気楽だった過去へのノスタルジーも、彼らの音楽にはタペストリーのように織り込まれています。
「HARAKIRI の音楽はいつも、すべてがより良かった過去への強い憧れの感情、究極のメランコリーを反映している。人類の歴史には常に、すべてが非常に悪いと思われた時代があり、その後、より良い時代がやってくる。個人的にも初めての恋とか、今はもういない人間関係とか、そういうことを思い出すと、メランコリックな気持ちになることは誰にでもあると思う」
また同じプレスリリースには、”Scorched Earth” は、すべてのアルバム、”HARAKIRI” が象徴するもの、音楽的、歌詞的なすべての結論のようなものとも書かれています。
「このアルバムは “HARAKIRI FOR THE SKY” の長所を1枚にまとめたものだと思う。瞑想的なポスト・ブラックのパートに、ブラスト・ビート、トレモロ・ギターといった、僕らがいつもやっているようなサウンドは健在だ。同時に、インディー・ロックやグランジ、ポスト・パンク的なアプローチなど、より実験的な要素も多く含まれている。
基本的に、このアルバムはファースト・アルバム以来の僕たちの音楽的な旅を要約したものであり、これまでのアルバムのベストを総括したものでもある。でも、これからもスタイルを根本的に変えることはないと思う。基本的に自分たちが進みたい方向は決まっている。もちろん、新しい影響は僕たちに影響を与えるけど、例えば “Scorched Earth ” で単なる “Mære 2.0 ” を作りたくはなかった。さらなる発展が僕らにとって重要だったんだ。
ただし、バンドが自分たちのスタイルを見つけるのはいいことだが、同じことを繰り返したくはない。だからこのアルバムを “Conclusio” と呼んでいるんだ。アルバム・ジャケットには、過去に登場した5匹の動物が描かれている。動物たちは燃え盛る森から逃げ惑い、そのうちの何匹かはすでに燃えている。つまり、これは終わりではなく、HARAKIRI FOR THE SKY がこれまでやってきたことの論理的帰結なんだ」

アルバムには多くのゲスト・ボーカルが参加しています。
「時系列で説明しよう。まずは AUSTERE の Tim から。AUSTERE に出会ったのは彼らのファーストアルバムが出たときで、2006年か2007年のことだった。当時18歳か19歳で、ほとんどアンダーグラウンドのブラックメタルばかり聴いていた。AUSTERE, LIFELOVER, NYKTALGIA…憂鬱なブラックメタルばかりだった。ポスト・ブラック・メタルが登場する前は、それが僕のちょっとした宗教だった。その15年後、あるライブで Tim に会った。彼は HARAKIRI のジャンパーを着ていて、僕らのファンだったんだ。彼の歌声は素晴らしかったね!
SVALBARD はもう知ってるよね。少なくとも今は、ALCEST とのツアー以来だけどバンドとの付き合いはかなり長い。2015年にウィーンのコンサートで彼らを見たときからのファンだからね。Serena は美しくクリーンな歌唱もできるし、非常にクールなハーシュ・ヴォーカルもできる。そのコンサート以来、僕はSVALBARD のファンになった。以前からスクリームもできる女性と仕事をしたいと思っていたので、彼女は第一候補だった。M.S.も、クリーン・ボーカルとのコンビネーションという点に惹かれたんだ。それに彼女は超超超素敵な女性だよ!
GROZAのP.G.は、今では親友だ。彼はザルツブルクのすぐ近くに住んでいて、しょっちゅう会っている。一緒にコンサートをしたバンドはとても少ないんだ。P.G.はもともと僕と一緒にスクリーム・ヴォーカルをやるはずだったんだけど、彼は自発的に ALICE IN CHAINS のようなスタイルでやってみたんだ。僕たち全員がかなりのグランジ・ファンであることは周知の事実だ。この曲はとてもいい仕上がりになったと思う。僕らのファンのための曲でもあると思う。
最後の曲についてだけど、M.S.はもう少し KATATONIA の流れを汲む曲を書きたかったようだ。僕も KATATONIA のファンだけど、M.S.は本当にファン・ボーイなんだ。その路線で何か書いてみたいと。僕は歌えないことはないけど、音域は信じられないほど広くはないんだ。この曲でボーカルを務めた Daniel は、実は KARG と自身のバンド BACKWARDS CHARM のギタリスト。かなり古典的なシューゲイザー・バンドだと思うよ」

RADIOHEADのカバー “Street Spirit” をボーナス・トラックに決めたのはなぜだったのでしょう?
「アルバムのボーナス・トラックとして特別盤に収録される曲のカバー・ヴァージョンを毎回制作していたんだ。典型的なブラック・メタルやポスト・メタル、ハードコアなどではなく、常に違うジャンルの曲でなければならない。いわば、僕らのバンドの手袋をはめた原曲のような、新しい解釈であるべきなんだ。僕らは、Placebo や Radiohead のようなバンドの大ファンだった。過去2枚のアルバムでは、それは完全に理にかなっていた。確かに Radiohead は Harakiri のようには聴こえないし、その逆もしかりだけど、この曲の始まり方はHFTSでもあり得たと思う。だから、この曲は僕らにぴったりの曲だと思う」
重苦しさ、痛み、哀しみ、絶望、カタルシス、残虐性など、”Scorched Earth” はあらゆる暗さに触れ、ほんの一握りの光を灯し、エネルギッシュかつ憂鬱な雰囲気を漂わせながら、聴く者を難なく彼らの世界へと導いていきます。このアルバムにおける極端な表現のバランスは、もはや HARAKIRI のサウンドスケープとして唯一無二のトレードマークとなっています。Evoken de Valhall Production による来日公演も大盛況。そんな彼らは今、どんなバンドとの共演を夢見ているのでしょう?
「ALCEST, CONVERGE, そして AMENRA かな。彼らは本当に大きな存在だから」


参考文献: Arrow Lords Metal: Harakiri For The Sky

Disciplin Mag:IN CONVERSATION WITH – Harakiri For The Sky – Interview

Metal Imperium: Interview Harakiri For The Sky

Metal de: Harakiri For The Sky Interview

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【MIKAEL ERLANDSSON : THE SECOND 1】 “THE 1” 30TH ANNIVERSARY


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MIKAEL ERLANDSSON !!

“Melodic Hard Is My ”Backyard” And My Home! I Will Continuing Doing This Til The Day I Die. Doesn’t Matter If It’s Popular Or Not – For Me It’s My Music Lifestyle – Love It !!!”

DISC REVIEW “THE SECOND 1”

「メロディック・ハードロックは私の “バックヤード” であり、私の家なんだ!だから、死ぬまでやり続けるつもりだよ。人気があろうがなかろうが関係ない!私にとって、この音楽はライフスタイルなんだ。ただ、愛しているんだよ!」
“ダサい” 音楽とは何でしょうか?流行や時代にそぐわない音楽のことなのでしょうか?だとしたら、たしかにメロディック・ハードロック、通称メロハーは “ダサい” 音楽なのかもしれません。ただし、もし、”ダサい” が情熱や信念もなくただ時流に乗るだけの、名声、金、モテを欲するポーザーを指すとしたらどうでしょう?明らかにメロハーは “ダサい” から最も遠い場所にいます。なぜなら、大きな名声や金銭は今の時代、メロハーでは得られないものだから。
それでも北欧の貴公子 Mikael Erlandsson がこの音楽をやり続けるのは、メロハーが、美しい旋律がただ好きだから。あの傑作 “The 1” から30年。ついにリリースされる続編 “The Second 1” には、長い月日を経ても枯れることのなかったメロハーに対する愛や情熱が溢れています。
「私は美しいメロディーがただただ大好きなんだ。そしてそれは、私の頭の中で常に鳴っている。メジャー・キーでもマイナー・キーでも、音楽のルールにとらわれず、自分なりのやり方でやるのが好きなんだよ」
1994年、ゼロ・コーポレーションからリリースされた “The 1” はメロハーを定義づけるレコードの一枚となりました。ハードな曲もソフトな曲も、メジャー・キーでもマイナー・キーでも貫かれる旋律の審美。
もちろん、アップテンポでハード、北欧の哀愁が浸透した “It’s Alright” は特にここ日本で爆発的な人気を得ましたが、それだけではありません。例えば “Show me”, “Reason” のようなおおらかなメロディの泉や、”Wish You Were Here”, “Life is a Hard Game to Play” のようなクリスタルで澄み切った北欧の景色に “We Don’t Talk Anymore” のタンゴまで、Mikael のハスキー…ボイスが紡ぎ出すメロディはすべてが珠玉で、ジャンルの醍醐味を心ゆくまで見せつけてくれたのです。
「私は自分をシンガーソングライターとして見ているんだ。そして自分のやっていることを愛している。そうした有名になることについて、ただ興味がないんだよ。だから、人気があろうとなかろうと、これからも音楽を続けていくつもりだよ。自分のため、そして私に興味を持ってくれる人のために」
世界が音楽だけに収束していくような “C’est la vie” を聴けば、メロディがゆっくりと密やかに孤独を癒してくれるような “Paper Moon” を聴けば、Mikael のメロハーに対する情熱が些かも衰えず、むしろ今もなお燃え盛っていることが伝わるはずです。
ここには、LAST AUTUMN’S DREAM, AUTUMN’S CHILD, SALUTE など紆余曲折を経ても守り続けた美旋律の牙城が堂々と鎮座しています。メロハーは今や万人受けでも、時代の万能薬でもありませんが、それでも “Put Some Love In the World”、ほんの一欠片の愛情を、優しさを世界にお裾分けすることならできるはず。暗い時代に Mikael はそう信じて、明日も歌い続けるのです。
今回弊誌では、Mikael Erlandsson にインタビューを行うことができました。「日本は私にとって…本当にすべてなんだ。私の音楽を最初にリリースしてくれた国だから。”The 1” がすべての扉を開けてくれた。このアルバムをとても誇りに思っている。最初からね。もともとはただのデモだったものなんだ。でも、なんとかリリースにこぎつけることができた。その日から、私はほぼ毎年アルバムをリリースしているんだ!」 どうぞ!!

MIKAEL ERLANDSSON “THE SECOND 1” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【UTOPIA : SHAME】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JOHN BAILEY OF UTOPIA !!

“Allan Holdsworth Is My Biggest Musical Influence By a Long Way. I Studied Allan’s Music Eligious For Many Years. I Actually Had a Tribute Quartet And We Used To Go Out Playing Allans Music Round The UK.”

DISC REVIEW “SHAME”

「SikTh は大好きだったよ。よく聴いていたよ。THE DILLINGER ESCAPE PLAN のほうが中心だったけど。彼らの暴力性と攻撃性は本当に僕に語りかけてきたし、そのヴァイヴと僕のジャズの知識を融合させようとしたんだ」
“実験的” という言葉は、ヘヴィ・ミュージックのテクニカルな側面においてよく使用される言葉です。ただし、ただ速く、複雑なフレーズを乱立することが本当に “実験的” な音楽なのでしょうか?むしろ、ジャンルの殻を破るような破天荒にこそ、実験という言葉は相応しいようにも思えます。そうした意味で、メタル・コア、プログ・メタルの殻を完全に突き破った SikTh は実に実験的なバンドでした。四半世紀の時を経て、SikTh の志を継ぐ UTOPIA は、同じ UK の鬼才 Allan Holdsworth の遺伝子をも取り入れて、世界に再び実験の意味を問います。
デスメタル、グラインドコア、ドゥーム・メタル、ハードコア、プログレッシブ・ロック、ジャズ、そして時には “謎” としか言いようのないものまで、多様性のモダン・メタルを象徴する楽園 UTOPIA は、実際あまりにも前代未聞です。
「Allan Holdsworth は、僕の音楽的な最大の影響者だ。僕は何年も Allan の音楽を熱心に研究した。実際にトリビュート・カルテットを持っていて、イギリス中で彼の音楽を演奏していたんだ。彼のソロを書き写したり、彼の曲を学んだりするのに、文字通り何千時間も費やしたよ。 同時に、Pat Metheny, Mike Morenom Julian Break, Kurt Rosenwinkel, Nelson Veras, Jonathan Kreisberg も僕に大きな影響を与えているんだ」
Allan Holdsworth の影響を受けたメタルといえば、もちろん真っ先に MESHUGGAH が浮かぶはずです。ただし、彼らの場合はどちらかといえば Fredrik Thordental のソロイズムに Allan の影を見ることのほうが多かったような気がします。一方で、プロのジャズ・ギタリストでもあり、Holdsworth 研究に何千時間も費やしてきた UTOPIA のギタリスト John Bailey はソロのみならず、アトモスフィアやリズムの意外性にまで大きく踏み込んでいます。
それは、MESHUGGAH 的なポリリズミック、整合を不整合に見せるテクニックではなく、まさに奇想天外、青天の霹靂なオフキルター、不穏と破綻の一歩手前、ズレたリズムの面白さ。
「最近は、人々が僕らを発見しようがしまいが、本当にどうでもいいんだ。僕個人としては、自分たちのアウトプットにとても満足しているし、みんながそれを気に入ってくれるなら最高だけど、僕にも尊厳があるし、ソーシャルメディアやインスタント・カルチャーに自分の音楽人生をどう構成するかを左右されるようなことはしたくない。君のような人たちが僕らにメールをくれたり、インタビューを申し込んでくれたりするのは、とても個人的なことなんだ。それを聴いて気に入ってくれる人が何人かでもいれば、それは僕にとって素晴らしいことなんだ」
フィレンツェの哲学者マキャベリについて考察したオープナー “Machiavelli” は、そんな破綻寸前のスリルを醸し出す UTOPIA の真骨頂。デスメタルとハードコアで即座に惹きつけ、段階を踏んで展開し、不協和音のギター・ワーク、フレットレスの魔法、様々な拍子、そしてクジラの鳴き声に似たリラックスした不気味なアンビエント・インタールードまで、その破天荒は破綻寸前。だからこそ面白い。
目的のためには手段を選ばない、力の信奉マキャベリズムは、政治から人々の個人的な生活にまで広げることができる興味深い概念です。それはおそらくほとんどの人の中に存在し、権力や影響力のある地位にしがみつくために道徳的な行動や才能を堕落させます。UTOPIA の “実験性” はそんなマキャベリズムとは真逆の場所にいて、自分たちの才能ややりたい音楽だけを信じて邁進し続けるのです。だからこそ尊い。
今回弊誌では、John Bailey にインタビューを行うことができました。「15年間は、ほとんどジャズとクラシック音楽一筋だったんだ。ジャズの修士号を取得し、さまざまなジャズ・アンサンブルを結成した。クラシック・ギターのツアーも何度かやったし、ジャズのライブもたくさんやった」 どうぞ!!

UTOPIA “SHAME” : 10/10

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