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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【SLEEP THEORY : STUCK IN MY HEAD】


COVER STORY : SLEEP THEORY “STUCK IN MY HEAD”

“If Sleep Theory Was To Take All The Guitars Away, We Can Make a Pop Song. That’s What We Always Want To Do.”

SLEEP THEORY

SLEEP THEORY はまさにメタル世界のライジング・スター。たった1年で旋風を巻き起こしました。フロントマンの Cullen Moore はしかし、そのブレイクのために生涯をかけてトレーニングしてきたのです。R&Bミュージシャンの息子として育ち、父の後を継いで陸軍に入隊した Moore は、何年もかけて音楽キャリアの成功に必要な意欲、協調性、創造的なビジョンを培ってきました。
そして実際、このメンフィスのバンドは、2023年にデビュー・シングル “Another Way” をドロップした直後にブレイク。このムード満点のエモーショナルなアンセムは TikTok でバズり、わずか36時間で50万ビューを記録したのです。この即効性、即時性はまさに今という時代を誰よりも反映した存在でしょう。
「自分たちの音楽を広める機会に恵まれたのは幸運だった。インターネットとソーシャルメディアの力のおかげで、僕たちは人々とつながることができた。
TikTokで爆発的にバズったとき、僕たちはSNSでできる限りファンに対応しようとした。とにかく、今の時代はファンとつながることが重要だし、それが勢いを持続させる大きな鍵だったと思う」

Epitaph からリリースされたデビューEP “Paper Hearts” がその直後に発表され、David Draiman や Jelly Roll を含む多くのフォロワーや有名ファンを獲得。メタルコア、ポップ、R&Bをミックスしたバンドのエキサイティングなサウンドは、明らかに大きな反響を呼び、さらに SHINEDOWN, BEARTOOTH, FALLING IN REVERSE, WAGE WAR との共演で名を上げた SLEEP THEORY は、瞬く間にヘヴィ・ミュージックの大ブレイク・アーティストの一人となったのです。
彼らのサウンドは、BAD OMENS や SLEEP TOKEN のようなジャンルにとらわれないバンドを彷彿とさせ、ビートの効いたリフとソウルフルで胸を打つバラードを自信を持って織り交ぜています。
「正直、自分たちがどんなジャンルなのかさえわからない。ただ僕たちは、君たちの予想を裏切るつもりはない。ただこれが僕たちの好きなことなんだ」
Moore に加えて、ベーシストのPaolo Vergara、そしてギタリスト Daniel Pruitt とドラマー Ben Pruitt の兄弟で構成される SLEEP THEORY。Moore 以外のメンバーは、突然の注目に慌てましたが、Moore の反応は違いました。
「驚きはなかった。むしろ、”よし、始まったぞ “って感じだった」

つまり、Moore は一夜にして成功したように見えるかもしれませんが、彼がここにたどり着くまでには何年も必要とし、その道は決して一直線ではなかったのです。
この素晴らしきボーカリストが生まれる前、父親はR&Bに手を出し、子育てが優先される時期までバラードを書いていました。
Moore 自身の音楽への情熱が燃え上がったのは10代の頃で、彼は LINKIN PARK からマイケル・ジャクソンまで、あらゆるものにインスパイアされました。彼の父親は Moore をずっとサポートしてきましたが、しかし、母親は現実的な懸念を抱いていました。
「母も音楽が好きだったが、確実なキャリアを歩んでほしかったんだ。音楽で生計を立ててどっちに行くかわからないというのは、親にとって怖いことなんだよな」
Moore は父の音楽への情熱を共有しながらも、父と同じ軍人の道には進まないと確信していました。しかし、いつしか考え方や立場が変わり、彼はその “確実なキャリア” を選び、陸軍に入隊したのです。
「僕は決して面倒な人間ではなかったが、それでも軍隊に入ったことは自分にとって良かったんだ。他の人と協力し、心を開き、冷静になり、状況を全体的に見る方法を学べたからね。軍隊にいた時間は、いろいろな意味で自分を形成するのに役立ったよ」
しかし、結局 Moore の音楽への愛情は揺るがず、最終的にはロックスターの夢を追い求めるために退役を決めたのです。

まず、Moore はメンフィスのローカル・バンドと一緒にやってみたのですが、彼らのサウンドを次のレベルに引き上げてくれると信じていたプロデューサーの David Cowell との仕事をグループが拒否したため、そのパートナーシップは2019年に頓挫しました。そこで Moore と Cowell はクリエイティブ・パートナーシップを切り離し、新体制の SLEEP THEORY に専念することを決めたのです。
最初の数年間、SLEEP THEORY は Moore と Cowell を中心とした純粋なスタジオ・プロジェクトでした。しかし当初から、2人は音楽に対する大きな夢と野望を共有していました。
「多くの人は地元のアーティストと競争する傾向があるけど、それではダメなんだ」
SLEEP THEORY という名前はエニグマティックで、SLEEP TOKEN に次ぐ第二の “SLEEP” といったムードも醸し出しています。
「理由はバンドがある種の科学的な名前を調べ始めたという単純なことだった。科学的な言葉をググって、”REM Sleep” と “Theory” を見たんだ」
ベーシストの Vergara とはある誕生日パーティーで出会いました。彼がギターを手に取り、PARAMORE の “My Heart” を演奏するのを目撃した Moore は即リクルート。フィリピンから移住してきた Vergara は成功に飢えていました。
「2016年にアメリカに引っ越してきて、僕の人生の目標はミュージシャンか映画監督になることだった。バンドに加入したときは、今このような立場になるとは思ってもみなかった。フィリピンでバンドをやっていたけど、夢を実現したり、自分たちの曲を発表したりするチャンスはなかった。だから、もしアメリカに来て、バンドとしての夢を実現するチャンスがあるなら彼らの誇りになるようにしなければならない。その夢は今でもずっと心に残っている」

次に彼らはすぐにドラマーの Ben Pruitt を採用します。彼は “Another Way” のサビに入る、スキッターのようなドロップを見せつけました。
幸運なことに、SLEEP THEORY の音楽を求める声が急速に高まると、バンドは Ben の弟で、シュレッドとスクリームを自在に操るギタリスト、Dan を見つけます。ラインナップは固まりました。
「多くのステップを飛ばしたと言われるだろう。でも、正直なところ、いきなり急成長するのは、何年もそれに向かって努力するよりもストレスがたまるものなんだ。ちょっとでも、物事を風化させてしまうと、人々はすぐに気が散ってしまう……忘れ去られてしまう。どうすれば人気を保てるかを考えなければならなかった」
SLEEP THEORY の音楽的な成功の鍵は、ジャンルを飛び越えたサウンドのミックス、モダン・メタルの多様性を駆使して、最も熟練したメタル・リスナーをも飽きさせないその哲学にあります。受けた影響は、BRING ME THE HORIZON, LINKIN PARK, BEARTOOTH, SAIOSIN といった Moore が幼少期に愛したアーティストから、BAD OMENS, ISSUES のような現代のオルタナティブ・メタル・グループにまで遡ることができるます。特に後者の2019年作 “Beautiful Oblivion” は、Moore が今も目指している ベンチマークです。
ただし、彼らの影響はそれだけにとどまりません。子供の頃は Boyz II Men や TEMPTATIONS にも強く影響を受けていた Moore。当然、それらのインスピレーション、多くの人が共感するノスタルジーは SLEEP THEORY の音楽にも深く根付いています。
「SLEEP THEORY は、音楽業界において非常にユニークな位置にある。僕たちの目標は常に、ジャンルの融合を図りながら、人々に時代を超えたノスタルジックな感覚を与えること。僕たちはロック・バンドだけど、僕たちのサウンドは枠にはめることができないんだよ」

さらには、Ariana Grande や Drake まで。つまり、この予測可能性の欠如が SLEEP THEORY の創作プロセスを定義するようになっていったのです。&Bを織り交ぜたローファイな曲を作るという実験的な試み “Gone or Staying” のようなシングルから、Moore が “スーパーR&B” だと強調するリリースされたばかりのニュー・シングル “Stuck in My Head” まで、彼らの音楽は想像の斜め上へと飛び出していきます。
同時に Moore にとって、素直さと弱さを感じさせる歌詞を書くことも重要でした。
「多くの場合、人はその曲をどう受け取って解釈してもいいという書き方をする。でも僕たちは、それをどう受け取ればいいかをしっかり伝えて曲を書きたいんだよ」
Moore のリリシズムのこの要素は、感情的な直接的さをと同様に、SLEEP THEORY の “Reimagined” “再想像シリーズ” で大きな役割を果たしています。オルタナティブに録音された同じ曲の別の音源を聴くことで、彼の言葉の背後にある感情をまったく違った角度から見ることができるのです。
この例として彼は “Numb” を挙げています。”Numb”は、GODSMACK 風のピットでの怒りに満ちた失恋ソングとして生まれましたが、”Reimagined” バージョンではアコースティック・ギター・ソングとして、傷ついた絶望のナンバーへと変貌を遂げました。
「SLEEP THEORY からギターをすべて取り除いたら、ポップ・ソングができる。それが僕らがいつもやりたいことなんだ。ポップ・ソングを書き、それをメタルやロックにする」
Moore がファンからもらったネット上のコメントのひとつに、”このバンドは悪い曲をリリースしたことがない” というものがあります。彼はその考えを持ち続け、今後取り組むすべての作品の指標としています。
「その言葉に取り憑かれてしまったんだ。どの曲もバンガー (最高) に次ぐ最高であり続けようとしている。それはまるで強迫観念のようだ。音楽を作るのは楽しいよ.僕らはクールな曲を書いて、それを楽しんでいるんだ」
そして彼らは、2025年にリリース予定のデビュー・アルバムで、その注目度の高さに応えるような、バイラルを途切れさせないような作品を作ろうと意欲を燃やしています。Moore によれば、まだタイトルの決まっていないアルバムはほぼ完成していますが、”Beautiful Oblivion” のような “飛ばす曲のないアルバム” にしたいという彼の完璧主義と強迫観念のせいもあり、今でも微調整を続けているのです。
「僕たちは、君たちが予想もしないような音楽を投げかけるつもりだよ。そしてこのアルバムを隅から隅まで体験してもらいたいんだ」


参考文献: REVOLVER:SLEEP THEORY: HOW AN ARMY VET FOUND A NEW MISSION IN THIS METALCORE-MEETS-R&B PROJECT

MUSIC SCENE MEDIA: SLEEP THEORY INTERVIEW

LOUDWIRE: SLEEP THEORY

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【MIRAR : MARE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MIRAR !!

“Thall Is Tone, Ambience And a Genre If You Want. Everything I Do In Mirar Is Inspired By Vildhjarta And HLB, so Based On That I Think We Have a Lot In Common.”

DISC REVIEW “MARE”

「”Thall” とはトーンであり、アンビエンスであり、君がそうとりたいならジャンルでもある。僕が MIRAR でやっていることは全て VILDHJARTA と HLB にインスパイアされているんだ」
Thall とは何なのか?Thall とは魂であり、ユーモアであり、重力であり、アトモスフィア。Thall の解釈は千差万別、人それぞれでしょうが、いつしかこの魔法の言葉は Djent の宇宙を超えた超自然的ジャンルを形成するようになりました。もちろん、その根源にして黎明は Thall 生みの親である VILDHJARTA。その分家である HUMANITY’S LAST BREATH も含まれるはずです。そして、彼らの音楽に心酔し、バンドを始めたフランス&ノルウェーの混合軍 MIRAR もまた、間違いなく “Thall” なのです。
「”Thall” は Calle Thomer と Daniel Adel のゲームに過ぎないんだ。山の中でも、夜でも、水辺でも、嵐の中でも。まるで魅惑の世界を探検しているような気分だった。彼らのギターの音は、まるで生き物のようで、魔女のようで、僕には小さな妖精に取り憑かれた風景や森が見えた。分析的なアプローチを超えて、ただ夢中になることができた。僕は “Thousand of Evils” の続編を作曲したいと思うほど夢中になったよ。特に彼らが何年も行方不明になっているときはね。
彼らのスタイルで作曲したいと思ったのは、彼らが音楽をリリースしていないことが悔しかったからだ。僕のパソコンには VILDHJARTA 風のリフが何十曲も入っていて、個性がなくてもいいから彼らのサウンドを真似しようと何年も費やしたんだ。だから、VILDHJARTA には感謝しているよ! 」
どうやら、MIRAR にとって Thall とは、MESHUGGAH→Djent→Thall という進化系統ではなく、MESHUGGAH→Djent、MESHUGGAH→Thall という考えのようです。そして、その MIRAR が提唱する Thall の進化論は彼ら自身の音楽によって証明されました。
MIRAR は敬愛する VILDHJARTA と同様、無機質なポリリズムの海に風景を持ち込みました。000 の重低音に感情を持ち込みました。それはさながら、暗い北欧の森に住む怪しい魔女の見せる幻影。魔法。怪異。
「高校卒業後は音楽学を学び、偉大な作曲家を発見した。最初によく聴いたのはルネサンスのポリフォニー(オッケム、トマス・タリス、ジョスカン・デ・プレ、マショー、パレストリーナなど)と中世の歌曲だ。一方で、ダブやダブステップのコンサートも見に行く。
それから、ヘンリー・パーセル、バッハ、ヴィヴァルディ、ラモー、クープラン、リュリ、そして全く違うスタイルではラフマニノフに没頭した。彼らは今でも僕のお気に入りの音楽家たちだ。
なぜかわからないが、僕はクラシックの時代にはあまり敏感ではない。でも、アーノルド・シェーンベルクやリゲティのような現代の音楽家は本当に好きだ」
そう、MIRAR は彼らがアートワークとして使用したカラヴァッジョの絵画のように、飽和した Djent のステレオタイプを断罪していきます。ここには、ルネサンスがあり、現代音楽があり、ジャズがあり、ダブステップがあります。そして何より、彼らのリフは Thall 発祥の由来となった World of Warcraft に巣食う夜のエルフのように悲しく、トロールのように畏怖めいていて、もちろん人狼のように雄々しく、アンデットのように怪しく蠢きます。そのピッチシフトは生命の証。彼らのリフ、彼らの音楽にはうねりがあり、胎動があり、命が込められているのです。
今回弊誌では、MIRAR にインタビューを行うことができました。「僕はメタルはあまり聴かない。インディーやジャズを中心に聴いている。この5年間は、メタルだとほとんど VILDHJARTA と HLB しか聴いていない。この2つのバンド以外、僕をインスパイアするメタル音楽はない。だから自然とこのジャンルで存在したいと思うようになった」 どうぞ!!

MIRAR “MARE” : 10/10

INTERVIEW WITH MIRAR

Q1: Can you start by telling us how Mirar got started and where the name Mirar comes from?

【LEO】: I started Mirar in France just after finishing my music studies. I was planning to go live in Norway. So I posted an ad in the YouTube description of the song Lisette. “If you are Norwegian and want to be part of the project, send me a message on Instagram. » Marius contacted me and we started making songs together. I’m very lucky to have met him, he has a lot of imagination, is very talented and I can’t imagine doing Mirar with anyone else. He is no ordinary metalhead. He is very open to different styles and quickly knew how to make the project more interesting.
The name Mirar comes from Degenesis, a German role-playing game book about the world’s rebirth after an apocalypse. Mirar is a place in Spain where you can see into the past and into the future.

【MARIUS】: I stumbled upon Mirar on YouTube. Lisette popped up on my YT page and had to check it out because of the picture. I was instantly blown away of what I heard. I read in the description that “if you are a musician based in Norway and want to be part of the project, message me on Instagram please!”. So i had to send him a message since I’m from Norway and really wanted to get to know the person behind this madness. We started talking and worked on “Madeleine” together, and after Annonciation I joined Mirar as a official member.

Q1: まず、MIRAR がどのようにスタートしたのか、そしてバンド名の由来を教えてください。

【LEO】: 音楽の勉強を終えてすぐ、フランスで MIRAR を始めたんだ。当時はノルウェーに移住するつもりだったんだ。だから、YouTube の “Lisette” という曲の説明文に広告を載せたんだ。”ノルウェー人でこのプロジェクトに参加したい人は、インスタグラムにメッセージを送ってね” とね。
すると Marius から連絡が来て、一緒に曲を作り始めたんだ。彼は想像力が豊かで、とても才能があり、他の誰かと MIRAR をやるなんて想像できないね。彼は普通のメタル・ヘッドではない。様々なスタイルにとてもオープンで、プロジェクトをより面白くする方法をすぐに理解してくれた。
MIRAR という名前は、終末後の世界の再生について書かれたドイツのロール・プレイング・ゲーム本 “Degenesis” に由来しているんだ。Mirar とははスペインにある、過去や未来を見ることができる場所だよ。

【MARIUS】: YouTube で偶然 MIRAR を見つけたんだ。”Lissete” が僕の YouTube ページに出てきて、そのサムネを見てチェックしたんだ。聴いた瞬間に圧倒されたよ。”ノルウェーを拠点に活動しているミュージシャンで、このプロジェクトに参加したい人はインスタグラムにメッセージをください!” と説明文に書いてあった。
僕はノルウェー出身で、この狂気の背後にいる人物を本当に知りたかったので、彼にメッセージを送らなければならなかった。その後、一緒に “Madeleine” を制作し、”Annonciation” の後、正式メンバーとして MIRAR に加入したんだ。

Q2: What kind of music did you yourself grow up listening to?

【LEO】: My father was a musician and there were often musicians at home. I grew up listening to Django Reinhardt, American jazz and a lot of Eastern European music, like Toni Iordache.
Then I discovered Slipknot at 11, it was my first musical love. especially the first two albums. (I don’t really like the rest of their discography, it’s like it’s another band)
Then I went to Fnac to listen to all the metal records. I especially remember Gojira, Suicide Silence, Korn, and Meshuggah.
After high school I studied musicology, I discovered the great composers. I first listened a lot to the polyphonies of the Renaissance (Ockeghem, Thomas Tallis, Josquin Des Prés, Machaut, Palestrina, etc.) and the songs of the Middle Ages.
I also go to see dub and dubstep concerts.
Then I immersed myself in Henry Purcell, Bach, Vivaldi, Rameau, Couperin, Lully, and in a very different style, Rachmaninoff. They are still my favorite musicians today.
I don’t know why, I’m less sensitive to the classical period. But I really like modern musicians like Arnold Schoenberg and Ligeti.
At the same time I discovered “Masstaden” by Vildhjarta, and fell in love.
Then, I went to a Jazz school. I did a lot of solos there, and learned a lot of American standards. My favorite jazz musicians are Coltrane, Eddie Costa, Herbie Nichols, Dexter Gordon, Jimmy Raney and I love the aesthetic developed by Lennie Tristano Lee Konitz, Warne Marsh.
Today, Bach is my favorite musician. And I listen to Subtronic a lot.

【MARIUS】: My parents plays clarinet and trumpet, so I grew up listening to a lot of orchestral/film music like John Williams and Hans Zimmer. I played the Cornet for 5 years, but after picking up the guitar I started listening to metal. Slipknot and Korn was the first bands I got really obsessed with. But after getting more into music production I didn’t really listen to metal anymore. I enjoyed listening more to music like Flume, Skrillex, Hiatus Kaiyote and Flying Lotus because of the sound design, complex chords and wonky rhythms. After producing for a couple of years I wanted to get more into songwriting and started listening to Indie music. Artists like Mild High Club, Unknown Mortal Orchestra, Tame Impala and Mac Demarco. But when HLB dropped Abyssal in 2019 I was shocked. That was everything I wanted in metal music, heavy, complex, dark and top tier production. I got obsessed and revisited all the previous albums. Then Vildhjarta released måsstaden under vatten and i was shocked again.

Q2: あなたたちは、どんな音楽を聴いて育ったんですか?

【LEO】: 僕の父はミュージシャンで、家にはよくミュージシャンがいたんだ。ジャンゴ・ラインハルトやアメリカのジャズ、そしてトニ・イオルダチェのような東欧の音楽をたくさん聴いて育った。
それから11歳のときに SLIPKNOT に出会って、初めて音楽が好きになった。最初の2枚は特別だよ。彼らの他のディスコグラフィーはあまり好きではないんだ。なんだか別のバンドみたいでね。
それから Fnac (フランスの小売チェーン) でメタルのレコードを聴きまくった。特に覚えているのは、GOJIRA, SUICIDE SILENCE, KORN, MESHUGGAH だ。
高校卒業後は音楽学を学び、偉大な作曲家を発見した。最初によく聴いたのはルネサンスのポリフォニー(オッケム、トマス・タリス、ジョスカン・デ・プレ、マショー、パレストリーナなど)と中世の歌曲だ。一方で、ダブやダブステップのコンサートも見に行く。
それから、ヘンリー・パーセル、バッハ、ヴィヴァルディ、ラモー、クープラン、リュリ、そして全く違うスタイルではラフマニノフに没頭した。彼らは今でも僕のお気に入りの音楽家たちだ。
なぜかわからないが、僕はクラシックの時代にはあまり敏感ではない。でも、アーノルド・シェーンベルクやリゲティのような現代の音楽家は本当に好きだ。
同じ頃、VILDHJARTA の “Masstaden” に出会って恋に落ちた。
その後、ジャズスクールに通ったんだ。そこでソロをたくさんやって、アメリカのスタンダードをたくさん学んだ。僕の好きなジャズ・ミュージシャンは、コルトレーン、エディ・コスタ、ハービー・ニコルズ、デクスター・ゴードン、ジミー・レイニー、そしてレニー・トリスターノ・リー・コニッツ、ウォーン・マーシュが発展させた美学が大好きだ。
現在では、バッハが最も好きなミュージシャンだ。Subtronics もよく聴いているよ。

【MARIUS】: 両親がクラリネットとトランペットを吹いていたから、ジョン・ウィリアムスやハンス・ジマーのようなオーケストラ音楽や映画音楽をたくさん聴いて育った。5年間はコルネットを吹いていたけど、ギターを始めてからはメタルを聴くようになったね。SLIPKNOT や KORN が最初に夢中になったバンドだ。でも、音楽制作にのめり込んでからは、あまりメタルを聴かなくなった。
Flume, Skrillex, Hiatus Kaiyote, Flying Lotus のようなサウンド・デザイン、複雑なコード、奇妙なリズムの音楽を聴く方が楽しかった。数年間プロデュースした後、曲作りにもっと没頭したくなり、インディーズ・ミュージックを聴くようになった。Mild High Club、Unknown Mortal Orchestra、Tame Impala、Mac Demarco といったアーティストだ。
それでも、HUMANITY’S LAST BREATH が2019年に “Abyssal” をリリースした時、僕は衝撃を受けたんだよ。それは、僕がメタル音楽に求めていたものすべてで、重く、複雑で、ダークで、トップレベルのプロダクションだった。夢中になり、過去のアルバムをすべて見直した。それから VILDHJARTA が “måsstaden under vatten” をリリースして、また衝撃を受けたよ。

Q3: I have the impression that France is a country that embraces Japanese culture, anime, video games, and music. Are you influenced by such Japanese culture?

【LEO】: Yes, it’s true that many young French people are interested in manga, anime and video games.
Personally, I was very impressed by the film “Spirited Away”. But unfortunately I don’t know Japanese culture very well.

Q3: フランスは日本の文化、アニメ、ゲーム、音楽を受け入れる国という印象があります。そうした日本文化から影響を受けていますか?

【LEO】: そうだね、フランスの若者の多くが漫画やアニメ、ビデオゲームに興味を持っているのは事実だ。
個人的には、映画 “千と千尋の神隠し” にとても感動したよ。でも残念ながら日本の文化はそんなによく知らないんだ。

Q4: From the early to mid-2010s, Djent was booming tremendously. However, the saturation of bands and the uniformity of the music industry have caused the boom to fade away. Why did you jump into this genre at this time?

【LEO】: I love Meshuggah, but I haven’t listened to Djent. I don’t like it. I didn’t jump into the genre. I’m.

【MARIUS】: Im not a huge metal head, I mainly listen to indie and jazz music. But I have almost exclusively been listening to Vildhjarta and HLB the past 5 years. There is no metal music that inspires me except those two bands. So naturally that’s the genre I want to exist in.

Q4: 2010年代初頭から半ばにかけて、Djent はものすごいブームとなりました。しかし、飽和や画一化により、ブームは下火になりましたね。なぜそんなタイミングで、このジャンルに飛び込んだのですか?

【LEO】: MESHUGGAH は大好きだけど、Djent は聴いたことがないんだ。好きじゃないんだ。だからそもそも、そのジャンルに飛び込むことはなかった。

【MARIUS】: 僕はメタルはあまり聴かない。インディーやジャズを中心に聴いている。この5年間は、メタルだとほとんど VILDHJARTA と HLB しか聴いていない。この2つのバンド以外、僕をインスパイアするメタル音楽はない。だから自然とこのジャンルで存在したいと思うようになった。

Q5: I often see the word thall used as a genre for you guys. However, I don’t think thall is a genre. But I am sure that you guys and Vildhjarta have something in common, would you agree? What’s thall to you?

【LEO】: Thall is just a game between Calle and Daniel. Yes, I listened to Vildhjatra billions of times, everywhere, in the mountains, at night, by the water, during the storm, it transported me to another world. I felt like I was exploring an enchanted world.
Their guitars sounded like creatures, like witches. it made me see landscapes, forests haunted by little elves. I didn’t have an analytical approach, I could just let myself be carried away. I was so addicted that I wanted to compose the sequel to TOE. Especially when they’ve been missing for years. I wanted to compose in their style because I was so frustrated that they weren’t releasing music. I have dozens of Vildhjarta style riffs in my computer, I spent years trying to imitate their sound, no matter if I had no personality. So, thank you Vildhjarta !

【MARIUS】: Thall is tone, ambience and a genre if you want. Everything I do in Mirar is inspired by Vildhjarta and HLB, so based on that I think we have a lot in common.

Q5: あなたたちのジャンルとして “thall” という言葉をよく目にします。”thall” は Djent における魔法の言葉であって、ジャンルではない気がするのですが、少なくともあなたたちと VILDHJARTA に共通点があることは確かですよね?

【LEO】: “Thall” は Calle Thomer と Daniel Adel のゲームに過ぎないんだ。山の中でも、夜でも、水辺でも、嵐の中でも。まるで魅惑の世界を探検しているような気分だった。
彼らのギターの音は、まるで生き物のようで、魔女のようで、僕には小さな妖精に取り憑かれた風景や森が見えた。分析的なアプローチを超えて、ただ夢中になることができた。僕は “Thousand of Evils” の続編を作曲したいと思うほど夢中になったよ。特に彼らが何年も行方不明になっているときはね。
彼らのスタイルで作曲したいと思ったのは、彼らが音楽をリリースしていないことが悔しかったからだ。僕のパソコンには VILDHJARTA 風のリフが何十曲も入っていて、個性がなくてもいいから彼らのサウンドを真似しようと何年も費やしたんだ。だから、VILDHJARTA には感謝しているよ!

【MARIUS】: “Thall” とはトーンであり、アンビエンスであり、君がそうとりたいならジャンルでもある。僕が MIRAR でやっていることは全て VILDHJARTA と HLB にインスパイアされているんだ。たくさん共通点があると思うよ。

Q6: Still, “Mare” is a great album! The chugs that tend to be monotonous and Djent-like are really violent and intelligent, sometimes really atmospheric with classical elements woven into them. As can be said for the artwork, was one of your goals to bring medieval elements into metal?

【LEO】: I used classical music pieces because that’s what I listen to the most at the moment. We use these paintings because they are beautiful, and we can use them for free. Plus, it goes well with the baroque music we use.

Q6: それにしても “Mare” は素晴らしいアルバムですね!単調で Djent 的になりがちなチャグが、実に暴力的で知的、時にはクラシックの要素を織り込んだ実に雰囲気のあるものになっています。アートワークにも言えることですが、メタルに中世の要素を取り入れることは、目標の一つだったのでしょうか?

【LEO】: クラシック音楽を使ったのは、僕が今一番聴いている音楽だから。さらに中世絵画は美しいし、無料で使えるから使っているんだ。それに、僕たちが使っているバロック音楽との相性もいい。

Q7: You have used Caravaggio’s work in your artwork before, why do you like his work? Is your use of “Judith Beheading Holofernes” a metaphor for the dark times we are once again living in?

【LEO】: Currently, Caravaggio is my favorite painter. I love its chiaroscuros, and its Christian theme. But we didn’t think of a metaphor for the EP cover.

Q7: 以前にもカラヴァッジョの作品をアートワークに使っていますが、なぜ彼の作品が気に入っているのですか?あなたが “ホロフェルネスの首を斬るユディト” を使ったのは、私たちが中世以来再び生きている暗い時代のメタファーですか?

【LEO】: 現在、カラヴァッジョが一番好きな画家なんだ。そのキアロスクーロ (明暗のコントラスト) とキリスト教的なテーマが大好きなんだ。でも、EPのジャケットにメタファーは仕込んでいないんだ。

Q8: Djent has often been described as an inorganic genre, but you guys skillfully portray awe, fear, loneliness, and sadness. Is it a revolution for you to bring these emotions to Djent?

【LEO】: I don’t think we do Djent. It’s not a revolution, many musicians express these emotions.

【MARIUS】: I don’t really think about feelings when making music. It’s only based on what I think sounds cool in that moment. Maybe subconsciously my feelings are portrayed in the music, but I can’t really tell what they are before the songs are released.

Q8: Djent はしばしば無機質なジャンルと言われますが、あなた方は畏怖、恐怖、孤独、悲しみを巧みに表現しています。
このような感情をDjentに持ち込むことは、まさに革命ですよね?

【LEO】: 僕らはDjentはやっていないと思う。これは革命ではないよ。多くのミュージシャンがやっていることだからね。

【MARIUS】: 音楽を作る時に感情について考えることはあまりない。その瞬間にカッコイイと思うものだけをベースにしている。無意識のうちに自分の感情が音楽に表れているのかもしれないけど、それが何なのかは曲をリリースする前にはわからないんだ。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED MIRAR’S LIFE!!

SLIPKNOT “Iowa”

SLIPKNOT “Slipknot”

VILDHJARTA “Thousand of Evils”

Robert Hill “BWV 1080 the Art of Fugue”

Jean Rondo “Dynastie-Bach Family Concertos”

(LEO)

Flying Lotus “You’re Dead”

Unknown Mortal Orchestra “Self Titled”

SLIPKNOT “Vol.3”

HUMANITY’S LAST BREATH “Abyssal”

VILDHJARTA “måsstaden under vatten”

(MARIUS)

MESSAGE FOR JAPAN

We hope to see you one day! Thank you for your interest in us. Take care of yourself.

いつかみんなに会えることを楽しみにしているよ!僕たちに興味を持ってくれてありがとう!

MIRAR

MIRAR Bandcamp

MIRAR Instagram

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【HARPAZO : THE CRUCIBLE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH HARPAZO !!

“Prog Metal Is Not Dead, It’s Finally Getting Recognized. Music Should Be an Experience And Something New And Our Hope Is We Deliver That.”

DISC REVIEW “THE CRUCIBLE”

「SHADOW GALLERY はいつか復活する。そう信じているよ。僕らの最初の大きなブレイクは、日本の放送局やマサ伊藤のような人たちが、最初の数枚のレコードを強く支持してくれたからこそ起きた。だから僕は、そうしたプロモーターと日本をとても愛しているんだよ。日本のファンは、それほど選り好みしないし、新たな音楽の味に飛びつく準備ができている。日本のファンは音楽とバンドに投資してくれる。HARPAZO でもチャンスを掴めたら、そして僕が持ち込まずにはいられない SHADOW GALLERY の強固な影響をここで聴いてくれたらうれしいね」
SHADOW GALLERY は誠実なバンドでした。音楽のためだけに生きたバンドでした。旋律と構成の妙を追求し尽くしたバンドでした。プログ・メタルの理想形を体現したバンドでした。だからこそ、オリジナル・ボーカル Mike Baker の死は大きな衝撃で、彼の遺産を残した2009年の “Digital Ghost” が今のところバンド最後の作品となっているこもが残念でなりません。SHADOW GALLERY は今も存続していますが、彼らの音楽は15年もの間、”石に刻まれた” ままなのです。
「プログ・メタルは死んでいない。ついに認知を得てきているんだ。DREAM THEATER はグラミー賞を受賞したばかりだし、彼らの曲はどれも6分以上ある。僕たちのファンになってくれるのは、同じようなレシピに飽きた人たちなんだ。音楽は体験であり、何か新しいものであるべきで、僕たちはそれを提供したいと願っているんだよ」
しかし例え、SHADOW GALLERY がその “遺産” の中に住み続けていようと、心配はいりません。バンドの中心人物でマルチ・プレイヤー Gary Wehrkamp が彼の一番弟子 Marc Centanini を引き連れて復活の狼煙をあげました。”プログ・メタルのレミゼラブル” と評される HARPAZO で、彼らはトレンドとは真逆の複雑性、長尺、旋律美で現代のリスナーに新たな選択肢をもたらし、ロック・オペラ、プログ・メタルの再評価を促します。
「HARPAZO のポイントは、ジャンルの枠を超えたバンドを作ることだった。ロック・オペラは、マスターするのが難しい特別な芸術形態だけど、うまくいけば、リスナーはヒット・シングルだけを聴くのではなく、アルバム全体を考慮に入れて聴かざるを得なくなる。各曲は次の曲を強化し、コンセプトを構築するものでなければならない」
例えば、AYREON の “Human Equation” のように。例えば、AVANTASIA の “The Metal Opera” のように。例えば、MEATLOAF の “Bat Out of Hell” のように。HARPAZO の “The Crucible” はまさに音楽の “るつぼ” であり、アーティストのるつぼ。FATES WARNING の Mark Zonder をドラムに、ROYAL HUNT の DC Cooper をリード・ボーカルに迎え、プログ・メタルの黄金スカッドを完成させた HARPAZO は、そこに “演者” という名の多様なボーカリストたちを加えて美しくも狂おしいメタル・オペラを上演しました。
「”ファイナル・ファンタジー7″ をプレイして完クリし、悪名高い9999の限界突破とナイツオブラウンドを手に入れた。”ファイナルファンタジー・タクティクス”、”タクティクス・オウガ”、”サガ・フロンティア”、”スター・オーシャン”、”クロノ・クロス”、”ゼノギアス”、”エルデンリング”、”ダーク・ソウル”、”ドラゴンズ・ドグマ” などに夢中になったよ。これらのゲームにはすべて、英雄と巨悪が登場する。HARPAZO のストーリーと似ているのは間違いないね」
機械の体、機械の知能を求めた人類のディストピア。さながら銀河鉄道999のようなトランスヒューマニズムなストーリー・ラインは、実際、日本のゲームやアニメから大きなインスピレーションを得ています。それだけではありません。この世界に降臨した新たなヒーロー Marc Centanini は、桜庭基や植松伸夫を筆頭とする日本のゲーム・コンポーザー、音楽家たちからも影響を受けています。つまり、この HARPAZO という未曾有のメタル・オペラは、SHADOW GALLERY を発見し育んだ日本のファンに対する素晴らしき贈り物でもあるのです。
今回弊誌では、HARPAZO にインタビューを行うことができました。「”Tyranny” は僕にとって特別なアルバムだと思う。というのも、このアルバムの制作には、バンド・メンバー全員が様々な面で全面的に関わっていたと思うからだ。僕たちの影響力の偉大さを感じることができるし、そのチームワークはいつも僕の心に語りかけてくる」 どうぞ!!

HARPAZO “THE CRUCIBLE” : 9.9/10

INTERVIEW WITH HARPAZO

Q1: You have gathered a truly amazing group of people. Can you start by telling us how Harpazo came to be?

【MARC】: Hello Sin at Marunouchi Muzik Magazine and Japan! I was a Shadow Gallery / Prog metal fan before I met Gary and I was a self-practiced writer and guitar player. I was into writing epic narrative story poetry and I was looking for a guitar teacher who could teach me guitar and songwriting. We accidentally found each other on social media and I realized that he only lived about 1 hour from my home. I decided it was worth the drive to take lessons from one of my heroes. For a few years, I took lessons from him and then I told him why I was pursuing lessons. He decided to help me make it part of guitar lessons. I brought in some riffs, lyrics, story, music and ideas for how I wanted the songs to specifically sound and he helped me bring that to life. Gary is a musical genius who is great at all instruments that I’ve seen him play. We started to discover that our fun recording sessions were becoming special and so Gary offered his services to help me bring “Harpazo” to life.

【GARY】: Marc had a grand idea to create a concept album with this story. We developed it together into songs, but it was his narrative and lyric writing. I acted as his director or producer. Clearly, we needed different singers for the various characters, so we made lists and ended up with a great cast of singers to tell Marc’s storyline..

Q1: 本当に素晴らしいメンバーが集まりましたね。まずは、HARPAZO がどのようにして誕生したのかからお話ししていただけますか?

【MARC】: やあ、Marunouchi Muzik Mag の Sin と日本のみんな!Gary と出会う前はプログ・メタル、そして SHADOW GALLERY のファンで、自己流のライター兼ギター・プレイヤーだったんだ。壮大な物語詩を書くことに夢中で、ギターと曲作りを教えてくれるギターの先生を探していたんだよね。そんなとき、僕と Gary は偶然 SNS で知り合い、彼が僕の家からわずか1時間ほどのところに住んでいることがわかったんだ。
もちろん、僕はヒーローの一人からレッスンを受けるためにドライブする価値があると思ったよ。数年間、僕は彼からレッスンを受け、その後、僕がレッスンを受けている理由を彼に話したんだ。すると彼は、ギター・レッスンの一環として作曲を手伝ってくれるようになった。僕がリフ、歌詞、ストーリー、音楽、そして具体的にどう聴かせたいかというアイデアを持ち込むと、彼はそれを実現する手助けをしてくれたんだ。Gary は音楽の天才で、僕が見た限りではどの楽器も素晴らしく操る。僕たちは、楽しいレコーディング・セッションが特別なものになりつつあることに気づき始め、Gary が HARPAZO に命を吹き込むために力を貸してくれたんだ。

【GARY】: Marc は、この物語でコンセプト・アルバムを作るという壮大なアイディアを持っていた。私たちはそのアルバムを一緒に曲にしていったんだけど、これは彼の語りであり、作詞作曲なんだ。僕は彼のディレクターやプロデューサーの役割を果たした。様々な登場人物に別々のシンガーが必要なのは明らかだったので、リストを作り、Marc のストーリーを伝えるために素晴らしいシンガーのキャストを揃えることができたね。

Q2: I have read the narrative synopsis of “The Crucible” and it is very interesting! It is a dystopian story in the near future, but it seems to incorporate things that are happening today or have happened in the past. Is this story, in a way, a lesson and a wake-up call for humanity today?

【MARC】: This story delves into the threat of the transhumanist movement that is growing in the world. It’s a movement that states they want to cut away biological realities they find undesirable and create a new world of godhood. Futurist and former head of technology direction at Google, Ray Kurzweil, a transhumanist activist, has written numerous books about how with nanobot injections we could merge humanity with machine and achieve essentially immortality. Recently, a video from Yemeni “science communicator” Hashem Al-Ghaili entitled “EctoLife: The World’s First Artificial Womb Facility” recently went viral, discussing “bioreactors” that may soon supplant mothers and enable investors to “genetically engineer” prospective children. They want brain implants that may one day soon help the blind to see and the disabled to walk, all great things but at the installation of some version of OpenAI’s ChatGPT could be used as a stand-in for thought control and rapid intelligence systems.
Right now, entertainment AI technologies such as Suno, Midjourney, PIKA, Chatgpt, and others are doing their very best impressions of us humans. AI is able to paint flawed but beautiful pictures in seconds, write our children’s college essays and produce songs about our trip to the grocery store. In the corporate world, AI is used to enhance and make up for our own communication flaws and turn them almost perfect. We see it everywhere now and the true pushers and funders of this technology have a goal and that is a world without their death.
Everything I am discussing didn’t even exist when I wrote the lyrics to Harpazo’s story but were absolutely predicted correctly by many futurists. It’s actually happening faster than I and many have expected. I don’t think there is a way to stop this powerful and growing movement but some of us may have a choice to make later on in our lives – we can either embrace it and become slaves to a new system or we can fight back and try to keep our humanity. Progressive governments want to control us and companies want control us for profit and power – and if you try to fight against that they will silence you and you will be cut off from algorithms. That’s what happened to us, Youtube’s algorithms said our music video had “gambling” and for 3 weeks our marketing campaign for our band, that we put thousands into, was stopped. Where is our restitution for what the AI did to us? It took weeks to rectify. How many people will never now know Harpazo because of that.

Q2: “The Crucible” のあらすじを読みましたよ!近未来のディストピアの物語ですが、現在起こっていること、あるいは過去に起こったことが盛り込まれているようです。この物語はある意味、現代の人類に対する教訓であり、警鐘なのでしょうか?

【MARC】: この物語は、世界で拡大しつつあるトランス・ヒューマニズム運動の脅威を掘り下げている。それは、自分たちが好ましくないと思う生物学的な現実を切り捨て、神格化された新しい世界を作りたいとする運動だ。未来学者であり、グーグルの元技術部門責任者であるレイ・カーツワイルは、トランス・ヒューマニスト運動家であり、ナノボット注射によって人類と機械を融合させ、実質的に不死を達成する方法について多くの著書を書いている。
最近、イエメンの “科学コミュニケーター “であるハシェム・アル・ガイリのビデオ “EctoLife” が公開された。”世界初の人工子宮施設” と題されたイエメンの “科学コミュニケーター”、ハシェム・アル・ガイリの動画が最近流行しているんだ。この動画では、近い将来母親に取って代わり、投資家たちが将来の子どもたちを “遺伝子操作 “できるようになるかもしれない “バイオリアクター” について論じている。彼らは、目の見えない人が見えるようになり、体の不自由な人が歩けるようになる日が近いかもしれないと、脳インプラントを望んでいるんだ。素晴らしいことではあるけれど、OpenAIのChatGPTが設置されれば、思考制御や迅速な知能システムの代用品として使われる可能性があるよね。
今現在、Suno、Midjourney、PIKA、Chatgpt などのエンターテイメントAIテクノロジーは、僕たち人間に対して最高の印象を与えてくれている。AIは、欠点はあるが美しい絵を数秒で描いたり、僕たちの子供の大学のエッセイを書いたり、食料品店への旅について歌を作ったりすることができる。企業の世界では、AIは僕たち自身のコミュニケーションの欠点を補い、ほぼ完璧にするために使われている。この技術の真の推進者と資金提供者には目標があるんだ。それは彼らの死のない世界。
僕が HARPAZO の物語の歌詞を書いたときには、僕が論じていることはすべて存在すらしていなかったけど、多くの未来学者によって正確に予測されていた。そしてそれは、実際、僕や多くの人が予想していたよりも早く実現している。このパワフルで成長し続けるムーブメントを止める方法はないと思うけど、僕たちの中には、人生の後半で選択を迫られる人がいるかもしれない。それを受け入れて新しいシステムの奴隷になるか、反撃して人間性を保とうとするか。
進歩的な政府はわれわれを支配しようとし、企業は利益と権力のためにわれわれを支配しようとする。それに対抗しようとすれば、彼らは君を黙らせ、君はアルゴリズムから切り離される。Youtube のアルゴリズムが僕たちのミュージック・ビデオを “ギャンブル” だと言って、僕たちが何千ドルもつぎ込んだバンドのマーケティング・キャンペーンが3週間も中止された。AIが僕たちにしたことに対する賠償はどうなるんだ?修正に何週間もかかった。そのせいで、どれだけの人が HARPAZO を知ることができなくなったことか。

Q3: In this day and age, we have the instant culture of social networking cutouts and music streaming. I applaud you for creating an epic 71-minute concept album in such an age. Can you tell us why you went against the flow of the times to create such a work?

【GARY】: I have never been a fan of “format.” We didn’t set out to do this project for money or fame. Simply put, we had a story to tell, and we were going to allow no restrictions within the music or songs to tell it. Remaining in an open ended progressive rock format allowed us the freedom to allow the music to match the plot.

【MARC】: When we started this project back around 2010, TikTok wasn’t really a thing. Social media was still getting started as a powerful promotion tool for bands. You will hear from many bands, such as Kamelot, say that concept albums aren’t worth their time any more because of the culture change. You also hear that people only want short songs.Yet, some of the most iconic songs live on in infamy and that aren’t 3-4 minute quick hitters (Bohemian Rhapsody, Shine on you Crazy Diamond, Freebird etc). We wrote the album the way we wanted to based on what interests us. We like arrangements, we like instrumentals, we love exploring different sounds, and we like taking our listeners on a melodic journey. We don’t want you to just listen to our singles, we want you to love our entire album because it’s a puzzle that goes together – which means it was really important that we made incredible songs and opuses that have huge payoff for the listener emotionally. Prog metal is not dead, it’s finally getting recognized. Dream Theater just won a grammy and each one of their tracks is over 6 minutes long. Of course we will advertise on all platforms but the people who are going to become our fans are those who grow tired of the same ol’ same recipe. Music should be an experience and something new and our hope is we deliver that.

Q3: 今の時代、SNSの切り抜き動画や音楽ストリーミングといったインスタントな文化が全盛です。そんな時代に71分の壮大なコンセプト・アルバムを作ったことに拍手を送りたいですよ。なぜ時代の流れに逆らってまで、こうした作品を生み出すのですか?

【GARY】: 僕は特定の “フォーマット” を好んだことはない。お金や名声のためにこのプロジェクトをやろうとしたわけでもない。単純に言えば、僕たちには語るべき物語があり、それを語るために音楽や曲の制約を課すことはないんだよ。プログレッシブ・ロックというオープン・エンドのフォーマットであり続けたことで、音楽が筋書きにマッチするような自由を得ることができるんだ。

【MARC】: 僕らがこのプロジェクトを始めた2010年頃は、TikTok なんてまだなかったんだ。SNS は、バンドにとって強力なプロモーション・ツールとして、まだ始まったばかりだった。
KAMELOT のような多くのバンドが、文化の変化によりコンセプト・アルバムはもう価値がないと言っているのを耳にする。しかし、最も象徴的な曲の中には、3~4分のクイック・ヒッターではない曲、”Bohemian Rhapsody”, “Shine on you Crazy Diamond”, “Freebird” だってある。僕たちは、自分たちが何に興味があるかに基づいて、自分たちがやりたいようにアルバムを書いた。アレンジが好きで、インストゥルメンタルが好きで、いろいろなサウンドを探求するのが好きで、リスナーをメロディックな旅に連れて行くのが好きなんだ。シングルを聴いてもらうだけでなく、アルバム全体を好きになってもらいたいんだ。アルバム全体がパズルのように組み合わさっているからね。
プログ・メタルは死んでいない。ついに認知を得てきているんだ。DREAM THEATER はグラミー賞を受賞したばかりだし、彼らの曲はどれも6分以上ある。もちろん、僕たちはあらゆるプラットフォームで広告を出すつもりだけど、僕たちのファンになってくれるのは、同じようなレシピに飽きた人たちなんだ。音楽は体験であり、何か新しいものであるべきで、僕たちはそれを提供したいと願っているんだよ 。

Q4: When one thinks of metal operas featuring many singers and guest musicians, Ayreon and Avantasia come to mind. But your music is more like a full-fledged opera, would you agree?

【MARC】: I definitely think right now we are firmly in the rock/metal opera style because of a few key differences. When I think of opera, I think of a theatrical stage with all of us wearing wigs and capes that go whooshing around as we sing in Italian (btw Gary would totally have a rad black cape). None of the singers, at least not I am aware of, are classically trained nor do I want them to sing like that on Harpazo. I also think of full orchestration – usually guitars are not in opera which is a shame!
A musical typically has a lot of dialogue and acting on top of having music on a stage. Musicals can often include elaborate acted fight scenes and set devices like fire and smoke that actors can dramatically use to “disappear” off set – looking at you“Phantom of the Opera”! Now if you asked me what I think the show would be like on stage – definitely more of a musical – like Ayreon’s ‘Live Equation’ he did for ‘Human Equation’.
The point of Harpazo was to create a band that pushed the boundaries of the genre beyond what they are. Rock Operas are a special art form that is difficult to master but when done right, forces listeners to take the entire album into consideration to be heard rather than just the hit single. Each song should strengthen the next song and build upon the concept but also be good enough to stand on it’s own. It’s very difficult to do but we enjoyed the challenge immensely.

Q4: 多くのシンガーやゲストミュージシャンをフィーチャーしたメタル・オペラといえば、AYREON や AVANTASIA が思い浮かびます。しかし、あなた方の音楽は、より本格的なオペラに近いように思えますね?

【MARC】: いくつかの重要な違いがあるから、今の僕たちは間違いなくロック/メタル・オペラのスタイルを堅持していると思う。オペラというと、劇場のような舞台で、全員がかつらをかぶり、イタリア語で歌いながらマントがフワフワと舞うようなイメージがある(Gary なら黒いマントが似合いそうだ)。少なくとも僕が知る限り、ここにはクラシックの訓練を受けた歌手は一人もいないし、HARPAZO でそのように歌ってほしいとも思わない。また、僕はフル・オーケストラを考えている。通常、ギターはオペラには登場しないが、これは残念なことだよ!
ミュージカルは通常、舞台上に音楽がある上に、多くの台詞と演技がある。ミュージカルには、凝った演技の戦闘シーンや、俳優がセットの外に “消える “ためにドラマチックに使える火や煙のようなセットの仕掛けもよくある!さて、僕らはステージでどのようなショーになるかと聞かれたら、間違いなくミュージカルに近い。AYREON が “Human Equation” のツアーで行った “Live Equation” のようなものだよ。
HARPAZO のポイントは、ジャンルの枠を超えたバンドを作ることだった。ロック・オペラは、マスターするのが難しい特別な芸術形態だけど、うまくいけば、リスナーはヒット・シングルだけを聴くのではなく、アルバム全体を考慮に入れて聴かざるを得なくなる。各曲は次の曲を強化し、コンセプトを構築するものでなければならない。これはとても難しいことだが、僕たちはこの挑戦を大いに楽しんだよ。

Q5: Speaking of opera, Japanese games, such as Final Fantasy and Eldenring, have a sense of opera and fantasy. You are influenced by such Japanese games, music, and anime, aren’t you?

【MARC】: Absolutely! When I became a teenager I got very much into video games and was drawn to japanese role playing games. After a while, falling down a sewer hole in Mario got boring after the 50th try, I longed for a story. I find parallels to my story to a lot of these j-rpg games unintentionally. I played and beat ‘Final Fantasy 7’ and got the notorious 99:99 and the knights of the round table. I fell in love with Final Fantasy Tactics, Tactics Ogre, Saga Frontier, Star Ocean, Chrono Cross, Xenogears, Eldenring, Darksouls, Dragon’s Dogma etc. These games all feature a hero/s and a great evil. You can definitely see similarities with Harpazo’s storyline.
I didn’t just love these games, but I listened to the soundtracks and my love of the composers such as Motoi Sakuruba (who has an incredible Prog Rock music), Nobuo Uematsu, Hitoshi Sakimoto have been so inspirational. While I was writing the album, I would find mood setting tunes to help me construct the lyrical parts of the album and listen to them on repeat until I forgot they were playing. Songs like “Theme of the Black Knight”, “Antipyretic”, “Reflected Moon”, “One Winged Angel” – have so much emotion. I also love polish Adam Skorupa of the Witcher 2 game and American composer Jack Wall of Mass Effect. As for as Japanese bands, you’ve got to mention Galneryus, X Japan, Sigh, and a newer smaller band that I love, ‘Imari Tones’.
As for Anime, I was a Toonami kid and loved shows like ‘Outlaw Star’, ‘Dragon Ball’, ‘Gundam Wing’, ‘Yu Yu Hakushou’, ‘Cowboy Bebop’, ‘Attack on Titan’, ‘Vampire Hunter D’ to name a few. I occasionally check out a show here and there or a movie like ‘Demon Slayer’for example. There is just a lot to love here and a lot of these series have stellar world building, these shows make characters you care about and the stakes are always high. Again, like the Harpazo album. Speaking of which – would possibly be a great manga if someone wanted to give it a try!

Q5: オペラといえば、ファイナル・ファンタジーや Eldenring など、日本のゲームにはオペラやファンタジーの感覚を持ったものが多いですよね?

【MARC】: もちろん!10代の頃、僕はビデオ・ゲームに夢中になって、日本のロール・プレイング・ゲームに惹かれたんだ。しばらくして、マリオで下水道の穴に落ちるのが50回目くらいで飽きてきて、ストーリーに憧れるようになった。僕の書くストーリーは、知らず知らずのうちに多くのJ-RPGゲームと類似しているんだ。
“ファイナル・ファンタジー7″ をプレイして完クリし、悪名高い9999の限界突破とナイツオブラウンドを手に入れた。”ファイナルファンタジー・タクティクス”、”タクティクス・オウガ”、”サガ・フロンティア”、”スター・オーシャン”、”クロノ・クロス”、”ゼノギアス”、”エルデンリング”、”ダーク・ソウル”、”ドラゴンズ・ドグマ” などに夢中になったよ。これらのゲームにはすべて、英雄と巨悪が登場する。HARPAZO のストーリーと似ているのは間違いないね。
日本のゲームが好きというだけでなく、サウンドトラックも聴いていて、桜庭基(素晴らしいプログ・ミュージックの天才)、植松伸夫、崎元仁といった作曲家たちへの愛情をもっている。彼らは僕にとてもインスピレーションを与えてくれたよ。アルバムを書いている間、僕はアルバムのリリカルな部分を構成するのに役立つムード・セッティングの曲を見つけては、それが流れているのを繰り返し聴いていた。”Theme of the Black Knight”、”Antipyretic”、”Reflected Moon”、”One Winged Angel” のような曲はとても感情的だ。”Witcher 2″ のアダム・スコルパや “マス・エフェクト” のアメリカ人作曲家ジャック・ウォールも大好きなんだ。日本のバンドでは、Galneryus, X Japan, Sigh, そして僕が好きな新しい小編成のバンド Imari Tones がいるね。
アニメに関しては、僕は Toonami (Cartoon Tsunami) キッズで、”アウトロースター”、”ドラゴンボール”、”ガンダムW”、”幽☆遊☆白書”、”カウボーイ・ビバップ”、”進撃の巨人”、”ヴァンパイア・ハンターD” などの番組が大好きだった。時々、他の番組や、例えば “.デーモン・スレイヤー” のような映画もチェックする。こうしたシリーズの多くには素晴らしい世界観があり、気になるキャラクターが登場し、賭け金は常に高い。HARPAZO のアルバムのようにね。そういえば、もし誰かがこの作品の漫画に挑戦したければ、素晴らしいものになるかもしれない!

Q6: Shadow Gallery’s last album was “Digital Ghost” in 2009. Of course, there were some unfortunate events, such as the passing of Mike Baker and the fire in your studio, Why have you not released anything for such a long time?

【GARY】: We enjoyed focusing solelyon bringing our music to some festivals and to Europe on a couple of tours. We rewrote new endings and arrangements to segue songs together with greater zest and punch. That was a fun thing to do over the course of a few years. We planned on resuming and started writing again but have not yet since been ready to move forward with definitive material.

Q6: Gary、SHADOW GALLERY の最後のアルバムは、今のところ2009年の “Digital Ghost” ですね。もちろん、Mike Baker の死去やスタジオの火災など不運な出来事もありましたが、なぜこれほど長い間何もリリースがないのですか?

【GARY】: いくつかのフェスティバルやヨーロッパ・ツアーのため、自分たちの音楽を提供することだけに集中して楽しんだんだ。新しいエンディングやアレンジを書き直して、曲をより生き生きとパンチのあるものにまとめ直していたんだ。それは数年かけてやった楽しいことだった。僕たちは再開を計画し、再び作曲を始めたが、それ以来、決定的な曲で前進する準備はまだできていないんだよ。

Q7: “Carved in Stone” is a very important album for me, as it was my first introduction to the world of prog metal.
There are 6 albums in Shadow Gallery, can you tell us which one is your favorite and why?

【GARY】: I am honored that “Carved” was your introduction. That was an extraordinary time writing that record. As far as favorites, They are all special to me, and the first one, released just before I joined the band, has always been one of my most listened-to (aside from listening while working on it.. I think “Tyranny” is a unique record to me because I believe every bandmate was fully involved in many aspects of creating that record. I can hear this great degree of all of our influences, and that team effort has always spoken to my heart.

Q7: “Carved in Stone” は、私にとって、プログ・メタルの世界に初めて足を踏み入れた、とても重要なアルバムです。SHADOW GALLERY には6枚のアルバムがありますが、あなたはどのアルバムがお気に入りですか?

【GARY】: “Carved” が君の入門作になって光栄だよ。あのレコードを書いた時は並外れた時間だった。お気に入りの作品に関しては、どれも僕にとって特別な作品だし、僕がバンドに加入する直前にリリースされた最初の作品は、(作業中に聴くのは別として)いつも最もよく聴いている作品のひとつなんだ。
でも、”Tyranny” は僕にとって特別なアルバムだと思う。というのも、このアルバムの制作には、バンド・メンバー全員が様々な面で全面的に関わっていたと思うからだ。僕たちの影響力の偉大さを感じることができるし、そのチームワークはいつも僕の心に語りかけてくる。

Q8: Shadow Gallery was often compared to Dream Theater at the time, even though you were very different. How did you feel about that comparison? Did their Grammy win expand the possibilities of prog metal?

【GARY】: How could I not be honored to be compared to such a monumentally incredible band. Please compare away! Those guys are the best! While I couldn’t say how much, their Grammy was a great thing and hopefully opened up new doors for those who need to become more familiar with this style of music.

Q8: SHADOW GALLERY は当時、よく DREAM THEATER と比較されていましたね。その比較についてどう感じていますか?彼らのグラミー賞受賞は、プログ・メタルの可能性を広げるものてしょうか?

【GARY】: あんなに記念碑的な素晴らしいバンドと比較されて光栄じゃないわけがない!どうぞ比べてください!彼らは最高だ!どれくらいとは言えないが、彼らのグラミー賞は素晴らしいものだったし、このスタイルの音楽にもっと親しめる可能性のある人たちに、新しい扉を開いてくれることを願っているよ。

Q9: How did you feel about the Magna Carta label and its bands?

【GARY】: They put progressive rock on the map and took chances to introduce this style of music. I am grateful they were interested in Shadow Gallery.

Q9: Magna Carta のレーベルとそのバンドについてはどう感じていましたか?

【GARY】: 彼らはプログレッシブ・ロックをメタルの地図に載せ、このスタイルの音楽を紹介するチャンスを作ってくれた。彼らが SHADOW GALLERY に興味を持ってくれたことに感謝しているんだ。

Q10: Is there a possibility that Shadow Gallery will start up again? Japanese fans are really looking forward to your visit to Japan!

【GARY】: It is difficult to say, but I believe so.
Our first big rise was seeing Japanese stations and people like Masa Itoh strongly endorse our first few records. I love these promoters and Japan so much. The fans in your region are not so picky and ready to jump ship for the next fleeting flavor of music. They invest in the music and the band. I am in the band because I initially auditioned to be an extra member who would play Guitar and keyboards and sing for a tour of Japan in the early 90’s. When the label told us that the priority was finishing a second album first, the other members just asked me to join as a full member and write and record the next one. I am also grateful for that. I hope they take a chance on HARPAZO and hear the robust SHADOW GALLERY influence that I cannot avoid bringing.

Q10: SHADOW GALLERY が再び動き出して、新作をリリースする可能性はありますか?日本のファンはあなたの来日を待ち侘びていますよ!

【GARY】: 簡単には言えないけど、そう信じているよ。僕らの最初の大きなブレイクは、日本の放送局やマサ伊藤のような人たちが、最初の数枚のレコードを強く支持してくれたからこそ起きた。だから僕は、そうしたプロモーターと日本をとても愛しているんだよ。日本のファンは、それほど選り好みしないし、新たな音楽の味に飛びつく準備ができている。日本のファンは音楽とバンドに投資してくれる。
僕がこのバンドにいるのは、90年代初めの日本ツアーでギターとキーボードと歌を担当するエキストラ・メンバーとしてオーディションを受けたからだ。そしてレーベルから、まずはセカンド・アルバムを完成させることが先決だと言われたとき、他のメンバーから、正式メンバーとして参加し、次のアルバムを書いてレコーディングしてほしいと言われたんだ。そのことにも感謝している。HARPAZO でもチャンスを掴めたら、そして僕が持ち込まずにはいられない SHADOW GALLERY の強固な影響をここで聴いてくれたらうれしいね。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED HARPAZO’S LIFE!!

Dream Theater “Scenes from a Memory”

When I heard ragtime in Fatal Tragedy, I was absolutely hooked. It was absolutely my favorite record for many years…until I got ‘Images and Words’ and ‘Awake’ and was introduced to the genius of Kevin Moore’s lyric writing.

“Fatal Tragedy” でラグタイムを聴いた時、完全に夢中になった。”Images and Words” と “Awake” を手に入れて、Kevin Moore の天才的な作詞作曲を知るまではね。

Ayreon “Human Equation”

this album really introduced me to rock opera’s on a completely different level. Love is a song my wife and I still sing together occasionally. It also just has really impactive poignant lyric writing that matches well with it’s folky dark sci-fi vibe that just take you into this “Black Mirror” like world where it’s just all a simulation. That was a dirty trick by Arjen haha!

このアルバムは、僕にロック・オペラを全く違うレベルで教えてくれた。”Love” は今でも妻と時々一緒に歌う曲だ。フォーキーでダークなSFの雰囲気とマッチして、すべてがシミュレーションであるという “Black Mirror” のような世界に連れていってくれる。Arjen のトリックだね!

Kamelot “Black Halo & Epica”

I have to say, I wasn’t much of a power metal fan before I heard this band in the early 2000s. Nor did I know the greatness of Roy Khan’s vocals before this band. The song writing of Thomas Youngblood and Roy was stellar, the drums by Casey were killer and fast, and the keys by Oliver and bass by Glenn – great job all around to create this modern telling of the story of faust. Black Halo/Epica are t near flawless power metal albums.

2000年代初頭にこのバンドを聴くまでは、パワーメタルのファンではなかった。このバンドを聴くまでは Roy Khan のヴォーカルの素晴らしさも知らなかった。Thomas Youngblood と Roy のソングライティングは素晴らしく、Casey のドラムはキラーで速く、Oliver のキーボードと Glenn のベースは、ファウストの物語を現代に伝える素晴らしい仕事だった。Black Halo/Epicaは、ほぼ完璧なパワー・メタル・アルバムだ。

Fates Warning “A Pleasant Shade of Gray”

This album is like poetry on a level I had never heard before. Song structures were nearly abandoned and it was just one long song. “Let nothing bleed into nothing, and do nothing”. Jim Matheos seriously is underrated writer and how could I not mention’s Harpazo’s Mark Zonders work on that album. I always hated how there wasn’t a clear storyline so I created my own in an epic 14-page poem that went along with the music. Underrated album!

このアルバムは、今まで聴いたことのないレベルの詩のようだ。曲の構成はほとんど放棄され、ただ1つの長い曲になっている。”何もないところに何も出血させず、何もしない”。Jim Matheos は過小評価されている作家であり、HARPAZO の Mark Zonder のこのアルバムでの仕事の素晴らしさを挙げないわけにはいかない。ただ、明確なストーリーがないのがいつも嫌だったので、音楽に合わせて14ページの壮大な詩を自分で作ったんだ。過小評価されているアルバムだ!

(MARK)

PINK FLOYD “THE WALL”

was my most extensive game-changing record. Combining a concept album with diverse styles, sounds, and sound effects – all seamlessly running one song directly overlapping the next- has been endlessly inspiring to me.

僕の人生を変えた最も広範なレコードだった。コンセプト・アルバムに多様なスタイル、サウンド、サウンド・エフェクトを組み合わせることで、1つの曲が次の曲とシームレスに重なり合う。

MEATLOAF “BAT OUT OF HELL”

showed me that you didn’t need a three-minute song to make a strong impact. Having a dozen different sections of music that returned creatively to any other part was not only acceptable, but it was also invigorating and inviting. You will hear that on albums like Amaran’s Plight’s “VOICE IN THE LIGHT” or this new HARPAZO record, as well as some SHADOW GALLERY songs.

強いインパクトを与えるのに3分の曲は必要ないことを教えてくれた。他のどのパートにも創造的に戻ってくるような、何十もの異なるセクションを持つ音楽は、それでも人々に受け入れられるだけでなく、爽快で魅力的だった。Amaran’s Plight の “VOICE IN THE LIGHT” やこの HARPAZO の新譜、SHADOW GALLERY の曲のようなアルバムでそれを聴くことができるだろう。

AYREON “THE ELECTRIC CASTLE”

This was back in the day when I would get a lot of music from fans, magazines, and their writers by cassette in the mail. A writer named Larry Daglieri sent me some cassettes in 1998 with bands such as SAVATAGE and many others I didn’t know. One group of songs moved me. When I asked him about that, he told me I was referring to a new AYREON album that came out around the same time as Shadow Gallery’s “TYRANNY” record. I contacted Arjen Lucassen to tell him how much I liked it, and we became terrific friends and made numerous appearances on each other’s albums and side projects.

これは、ファンや雑誌、そのライターからカセットテープでたくさんの音楽を郵送してもらっていた頃の話だ。ラリー・ダグリエリというライターが1998年に送ってくれたカセットには、SAVATAGE をはじめ、僕の知らないバンドがたくさん入っていた。その中の一組の曲に僕は感動した。彼にそのことを尋ねると、SHADOW GALLERY の “TYRANNY” と同じ頃に出た AYREON の新譜のことだと教えてくれた。 僕は Arjen に連絡を取り、このアルバムがどれほど気に入ったかを伝え、僕たちは素晴らしい友人となり、お互いのアルバムやサイド・プロジェクトに何度も参加するようになった。

QUEEN “NIGHT AT THE OPERA”

I heard “Bohemian Rhapsody” on the radio when I was about to leave for the school bus stop in the morning in 1975. I was in Kindergarten. I wouldn’t leave the house until the song was over. My mother may have been impatient, but she saw something in my eyes and let me listen to the whole thing. Of course, neither of us expected it to go on for so long. Still, this song remains a game-changer for me. “The Prophet’s Song” would also be a solid motivating song for me years later.

1975年、朝、スクールバスのバス停に向かおうとしていた時、ラジオから “Bohemian Rhapsody” が流れてきた。僕は幼稚園児だった。でも僕はその曲が終わるまで家を出ようとしなかった。母はせっかちだったのかもしれないが、僕の目に何かを見たのか、最後まで聴かせてくれた。もちろん、二人ともこんなに長く続くとは思っていなかった。それでも、この曲は僕にとってのゲームチェンジャーであり続けている。”Prophet’s Song” もまた、数年後、僕のモチベーションを高める曲となった。

JELLYFISH’S “SPILT MILK”

is a classy pop album different from the bands above but has an adventurous recording spirit and fantastic vocals.

上記のバンドとは異なる上品なポップ・アルバムだが、冒険的なレコーディング・スピリットと素晴らしいヴォーカルを持っている。

(GARY)

MESSAGE FOR JAPAN

GARY: Thanks for taking the time to listen to progressive music. I hope many of you accept and adopt this album as much as we have. Thank you always for your support!

MARC: Hello to our friends in Japan! We are Harpazo, and we are thrilled to share our new progressive metal epic rock opera with you: “The Crucible.” This album is a powerful blend of intricate rhythms and evocative melodies, crafted to take you on a profound musical journey. “The Crucible” is a story told through music, filled with emotion and intensity that we hope will resonate deeply with you. Each track is designed to offer something unique, revealing new layers and surprises with every listen. We warmly invite you to join us and embrace this musical adventure that your incredible culture helped inspire. We are excited to connect and make new fans in Japan and look forward to sharing this experience with you. Open your hearts to our music, and let “The Crucible” become a part of your life. We welcome you with open arms.

GARY: プログレッシブ・ミュージックを聴いてくれてありがとう。みんなが、僕たちと同じようにこのアルバムを受け入れ、気に入ってくれることを願っているよ。いつも応援ありがとう!

MARK: 日本の友人のみんな、こんにちは!僕たちは HARPAZO で、この新しいプログレッシブ・メタルのロック・オペラをみんなと分かち合えることに興奮しているよ。このアルバムは、入り組んだリズムと喚起的なメロディーの力強いブレンドで、君たちを深遠な音楽の旅へと誘うように作られている。”The Crucible” は、音楽を通して語られる物語であり、感情と激しさに満ちている。どの曲もユニークで、聴くたびに新たな層と驚きを与えてくれる。
君たち日本の素晴らしい文化がインスピレーションの源となったこの音楽の冒険を、ぜひ僕たちと一緒に楽しんでほしいな。僕たちは、日本で新しいファンを作り、みんなとこの経験を分かち合えることを楽しみにしているんだ。僕たちの音楽に心を開き、”The Crucible” を君たちの人生の一部にしてほしい。僕たちは両手を広げて君たちを歓迎するよ。

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CRIMSON GLORY : TRISKAIDEKA】 REUNION 2024 !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JEFF LORDS OF CRIMSON GLORY !!

“To Me, Progressive Suggests Innovation, But If a Given Band Tries To Innovate Or Change Too Much, They Will Be Discredited Because They Ventured Too Far Out Of The “Prog” Box. I Find That As Sad As I Do Ironic.”

DISC REVIEW “TRISKAIDEKA”

「”プログレッシブ” と呼ばれるロックやメタルのファンの多くは、自分が聴くものに関しては決してその主張を曲げないということだ。私にとっては、プログレッシブとは革新的であることを意味するのだが、もしあるバンドが革新的であったり変化しすぎたりすると、”プログレ” の枠からはみ出しすぎたという理由で信用されなくなる。それは皮肉であると同時に悲しいことだと思う。しかし要するに、音楽は主観的なものであり、誰もが自分の好きなものを好むということなんだよね」
80年代後半、メタルの多様性が花開く瞬間の前夜。”正統派” の枠組みの中で、いかにメロディックに、いかにプログレッシブにメタルは進化できるのかという挑戦を重ねたバンドが登場し、人気を博しました。FATES WARNING の “Perfect Symmetry” や IRON MAIDEN の “Seventh Son of a Seventh Son”、そしてもちろんその筆頭が QUEENSRYCHE の “Operation: Mindcrime” であったことに疑いの余地はありません。
いわゆる “プログ・パワー” の誕生。そしてその “プログ・パワー” の定着と拡大に、QUEENSRYCHE の傑作と同じくらいの貢献を果たした作品があります。CRIMSON GLORY の “Transcendence” です。
「Todd は QUEENSRYCHE に参加するために CRIMSON GLORY を去ったのではなく、バンドの “惰性” のために去ったのだよ」
“Transcendence” の音楽は、QUEENSRYCHE と比較してもずば抜けて完璧な “プログ・パワー” でした。まさに “超越的”。あまりに壮大で、あまりにメロディックで、知性を抱擁し、緩急自在、実にプログレッシブ。驚異のシンガー Midnight が持ち込んだ、次作のよりカラフルで実験的な傑作 “Strange & Beautiful” につながるアルバム後半の LED ZEPPELIN 的な実験も魅力的で、これほど好奇心を誘う80年代のメタル・アルバムはそう多くはないでしょう。
しかし、残念ながらこのミステリアスな仮面集団はあまりに “怠惰” でした。活動休止期間も長く、1983年から2013年の30年で残したアルバムはわずか4枚だけ。シアトリカルなファーストからエスニックな “Astronomica” まで、そのすべてがいかに素晴らしくとも、バンドは徐々に忘れ去られ、バンドの顔だった超絶ハイトーンの Midnight は亡くなり、新たな才能 Todd LaTorre は QUEENSRYCHE へと引き抜かれ、ピカピカだったシルバーの仮面は色褪せていきました。
「新しい CRIMSON GLORY は、最初に私たちをメタルの地図に載せたスタイルに意図的に戻ることになるだろう。しかし、同時に私たち全員がミュージシャンとしてどのように成長したかを明らかにし、現代的なエッジを加えながらもルーツに忠実であることが可能であることを示すことができればと思うよ。過去を再現することばかりにこだわっていては、アーティストとして成長できない。逆に、トレンディであること、時流にこだわりすぎるのも欠点がある。だから、バランスを取ることが大切なんだ」
それでも、仮面と薔薇の騎士は時を超えて戻ってきました。ここには Midnight も、Wade Black も、Jon Drenning もいませんが、それでも歴戦の強者たち、リズム隊とギターの片翼は今も健在。そして新たな血となるボーカリスト Travis Wills とギタリスト Mark Borgmeyer が加わりました。特に、Midnight の超絶ハイトーンからアペアランス、ペルソナまで完全にコピーして、”超越” を志す Travis の存在は驚異的。プログ・パワーの勇壮や正義、そしてファンタジーが必要とされる時代に、CRIMSON GLORY は再びその神秘と審美を世界に注ぐため復活を決めたのです。
今回弊誌では、ベーシスト Jeff Lords にインタビューを行うことができました。「日本食は大好きだよ!音楽では、BAND MAID は素晴らしいバンドだと思う。とくにドラマーの Akane は尊敬しているよ。和楽器バンドも好きでね。とてもクールなアクトだ。三味線奏者が好きなんだ」 どうぞ!!

CRIMSON GLORY “TRISKAIDEKA” : 10/10

INTERVIEW WITH JEFF LORDS

Q1: I am very happy you are back! Can you start by telling us why you decided to come back after 10 years?

【JEFF】: There was never really a decision to not come back. But we know that in order to do so it requires timing and of course the right singer. Ten years prior to now after having toured Scandinavia with Todd LaTorre as our singer, we had plenty of momentum, so the plan was to take a short break and then to jump straight into songwriting mode. However, not all parties involved chose to be present for these writing sessions. Over time, this led to frustration for those of us who were present, mainly Todd, who was eager to write new songs with the band. When it became apparent that we were forced yet once more into hiatus, a few of us stayed occupied with our various solo and side projects. It wasn’t until a mutual friend of the band introduced us to a Greek singer who could not only mimic Midnight, but he copied his whole persona, mask and all. We’d do Zoom meetings and this guy would be in full stage garb. As one could imagine, we found it a bit odd, but the bottom line is that there was some friction when it came to the direction of the material. There was also some overreach, which we saw as a red flag.

Q1: CRIMSON GLORY が戻ってきとてもうれしいですよ!まず、10年ぶりに復帰を決めた理由から教えていただけますか?

【JEFF】: 復帰しないという決断はなかった。ただ、そうするためにはタイミングが必要で、もちろん適切なシンガーが必要だということも分かっていた。
10年前、Todd LaTorre をシンガーに迎えてスカンジナビア・ツアーを行った後、私たちには十分な勢いがあったから、少し休んでから曲作りに入るつもりだったんだ。しかし、関係者全員がこの作曲セッションに立ち会うことを選んだわけではなかった。そのため、バンドと一緒に新曲を作りたいと思っていた Todd を中心に、その場にいた人たちの不満が募っていった。
そしてまたしても活動休止を余儀なくされたことが明らかになったとき、私たちのうちの何人かは、さまざまなソロ・プロジェクトやサイド・プロジェクトで忙しくしていた。バンドの共通の友人が、Midnight のモノマネができるだけでなく、マスクも含めて彼のペルソナ全体をコピーできる風変わりなシンガーを紹介してくれるまでは。
私たちがズーム・ミーティングをすると、この男は完璧なステージ衣装に身を包んでいた。想像できるように、私たちはそれを少し奇妙に感じたが、要するに、素材の方向性に関しては多少の摩擦があったということだ。私たちが赤信号と見たのは、いくつかの行き過ぎがあったということだ。

Q2: Crimson Glory has broken up and reunited several times, but when you last split up in 2013, was it because Todd LaTorre was brought over by Queensryche?

【JEFF】: As mentioned in my previous answer, Todd had become discouraged over a situation in which not every band member was making new songs a priority in their life. This is not to say that the rest of us were not disappointed as well; we were, but sadly, this was not the first time that the plug had gotten pulled on the band because of certain lifestyle choices that are sadly common in this business. Unfortunately, a hiatus was nothing new to us. But about the time that it became clear that things would once again become stagnant, we found out that, yes, Todd in fact agreed to team up with some of the guys in QR who had sought him out, or he sought them out, I’m not sure which. But it’s a moot point, because to answer your question, Todd did not leave CG to join QR; he left because of the “inertia” of CG, which I believe is actually the word that Todd himself used to describe it.

Q2: では、Todd が QUEENSRYCHE に引き抜かれたから解散したというわけでもなかったんですね?

【JEFF】: 前の答えでも述べたように、Todd はバンド・メンバー全員が新曲を生活の優先事項にしていない状況に落胆していた。しかし、悲しいことに、この業界ではよくあるライフスタイルの選択のせいで、バンドのプラグが抜かれたのは今回が初めてではなかったね。残念ながら、活動休止は私たちにとって目新しいことではなかった。
そうして、事態が再び停滞することが明らかになった頃、Todd が QUEENSRYCHE と組むことに同意したことがわかったんだ。だから、君の質問に答えるなら、Todd は QUEENSRYCHE に参加するために CRIMSON GLORY を去ったのではなく、バンドの “惰性” のために去ったのだよ。

Q3: Speaking of Queensryche, you guys have always been compared to them. How did you feel about that comparison?

【JEFF】: I don’t mind it. We have similarities, so naturally there will be comparisons.

Q3: QUEENSRYCHE といえば、CRIMSON GLORY はいつも彼らと比較されてきましたね。その比較についてはどう感じていますか?

【JEFF】: 特に気にしてないよ。僕らにはいくつか共通点があるから、比較されるのは自然なことだ 。

Q4: Speaking of prog metal, after you guys came Dream Theater and Meshuggah, and in recent years the Djent movement. How do you feel about the evolution of such technical music and prog metal?

【JEFF】: While I’m keenly aware of how recording and producing music has evolved over the years, honestly, I’ve been out of the loop when it comes to how it’s changed stylistically. The truth is, I stopped listening to heavy music long ago. I know that may seem strange, but this is just how things have evolved for me. One thing I do notice is that many fans of what’s termed “progressive” rock or metal are unbending when it comes to what they listen to. To me, progressive suggests innovation, but if a given band tries to innovate or change too much, they will be discredited because they ventured too far out of the “prog” box. I find that as sad as I do ironic. But the bottom line is that music is subjective and everybody likes what they like.

Q4: プログ・メタルといえば、あなたたちの後に DREAM THEATER や MESHUGGAH が登場し、近年では Djent ムーブメントが起こりました。
そうしたテクニカル・ミュージックやプログ・メタルの進化についてはどう感じていますか?

【JEFF】: 音楽のレコーディングやプロデュースが長年にわたっていかに進化してきたかについては痛感しているけど、正直なところ、音楽のスタイル的な変化に関しては蚊帳の外だった。実のところ、ヘヴィ・ミュージックを聴かなくなって久しいんだ。変に思われるかもしれないが、これが私にとっての進化なんだ。
ひとつ気になるのは、”プログレッシブ” と呼ばれるロックやメタルのファンの多くは、自分が聴くものに関しては決してその主張を曲げないということだ。私にとっては、プログレッシブとは革新的であることを意味するのだが、もしあるバンドが革新的であったり変化しすぎたりすると、”プログレ” の枠からはみ出しすぎたという理由で信用されなくなる。それは皮肉であると同時に悲しいことだと思う。しかし要するに、音楽は主観的なものであり、誰もが自分の好きなものを好むということなんだよね。

Q5: However, I also love “Strange and Beautiful” and “Astronomica,” which are away from such “prog metal” style of music. How would you rate the earlier and later albums?

【JEFF】: On S & B, the stylistic change came about mostly because of two reasons, the first of which was Midnight’s voice having suffered because of lifestyle choices he made that affected him physically. The other reason is that he and Jon were living together during that time period, and thus, they were collaborating the most. Given that one of Midnight’s influences was Led Zeppelin, this might explain how/why when the two of them started writing together, the songs on S & B had more of a bluesy feel, versus the style that was established on CG 1 & 2. Of course, another crucial factor was Jon’s aspiration to be the only guitarist at that time. As far as rating our albums, I’m not really in the business of rating my own works, but I do prefer the style we established on 1 & 2 more. All of my contributions for the upcoming return of CG should reveal that I prefer that style, a style that I injected into the band from the onset. As for Astronomica, that album captured a little bit of that style, but it seems like it didn’t appease the diehard Midnight fans enough, albeit, Wade did the songs justice with the style he brought to the table.

Q5: そういう意味で、私は “Strange and Beautiful” や “Astronomica” のような、典型的な “プログ・メタル” スタイルから離れた音楽も大好きなんですよ。
初期のアルバムと後期のアルバムをどう評価しますか?

【JEFF】: “Strange & Beautiful” でスタイルが変わったのは主に2つの理由がある。ひとつは Midnight の声が、ライフスタイルの選択によって身体的な影響を受け、苦しくなったこと。もう1つの理由は、その時期、彼と元ギタリストの Jon Drenning は一緒に住んでいて、そのため、彼らは最もコラボレーションしていたからだよ。Midnight の影響のひとつが LED ZEPPELIN であったことを考えると、2人が一緒に作曲を始めたとき、ファーストとセカンドで確立されたスタイルに対して、S&Bの曲はよりブルージーなフィーリングを持っていたことが説明できるかもしれないね。
もちろん、もうひとつの決定的な要因は、当時 Jon が唯一のギタリストになることを熱望していたからだ。
私たちのアルバムの評価に関しては、まあ私は自分の作品を評価するような仕事はしていないけど、ファーストとセカンドで確立したスタイルの方が好きだね。今度の CRIMSON GLORY の復活のために私が提供したすべての曲は、私がそのスタイルを好んでいることを明らかにするはずだよ。”Astronomica” に関しては、再びそのスタイルを少し取り入れたアルバムだったけど、熱心なミッドナイト・ファンを十分に満足させることはできなかったようだね。

Q6: Crimson Glory has been wonderful with all the singers over the years as the musical style has changed. But maybe, Midnight, who has passed away, is still very popular. How would you feel the individuality of each vocalist?

【JEFF】: Few people realize that Midnight was originally intended to sing on some of the Astronomica demos. He declined. We sought out Wade when we saw him perform with his band Lucian Blaque. Jon got his number and kept it. When Midnight declined, we called Wade. As mentioned, I think Wade did the songs on Astronomica justice. But I think our new singer, Travis Wills, is a better fit, especially if we’re making comparisons with our original vocalist, Midnight.

Q6: そうして、CRIMSON GLORY は、音楽スタイルが変化するにつれ、長年にわたって様々なシンガーを起用してきました。もしかしたら、亡くなった Midnight が今でも最も人気があるかもしれませんね。
それぞれのボーカリストの個性をどう理解していますか?

【JEFF】: Midnight がもともと、”Astronomica” のデモのいくつかで歌う予定だったことを知る人は少ない。彼は断ったんだ。かつて Wade Black が彼のバンド LUCIAN BLAQUE で演奏するのを見たとき、私たちは Wade を探したよ。Jon は彼の電話番号を手に入れ、そのままにしておいたんだ。そして Midnight が断ったとき、私たちは Wade に電話したよ。うん、Wade は “Astronomica” の曲を正しく歌ったと思う。
しかし、特にオリジナルのヴォーカリストである Midnight と比較するのであれば、新しいヴォーカリストである Travis Wills の方が合っていると思う。

Q7: “Triskaideka,” the first song to be resurrected, is a really wonderful piece of music! Can you talk about the new Crimson Glory, reborn with new members, your new musical and lyrical philosophy?

【JEFF】: As mentioned, the new CG will be a deliberate return to the style that put us on the map to begin with. However, it will also reveal how we’ve all grown as musicians, as will it hopefully demonstrate how it’s possible to stick to one’s roots while adding a contemporary edge. To stay strictly focused on recapturing the past would not allow growth as an artist. Conversely, to stay strictly focused on being trendy and current would have its drawbacks, too. So, it’s definitely a balancing act. Right now my musical philosophy is to partake in this balancing act. In my other band, Gods of Centaurus, I don’t have to think in terms of a certain time period. Not that doing so is a bad thing, there’s just certain things I have to keep in the back of my mind when writing CG material. Between both bands, I get my creative needs met. I consider the balancing act in CG a challenge, and with new singer Travis Wills and new guitarist Mark Borgmeyer, there should be no looking back. Everyone is a seasoned player, and equally if not more importantly, everyone is down to earth. That goes a long way in this business.

Q7: 復活第一弾の “Triskaideka” は本当に素晴らしいですね!
新メンバーで生まれ変わった新生 CRIMSON GLORYの新しい音楽的、作詞的哲学について話してもらえますか?

【JEFF】: 新しい CRIMSON GLORY は、最初に私たちをメタルの地図に載せたスタイルに意図的に戻ることになるだろう。しかし、同時に私たち全員がミュージシャンとしてどのように成長したかを明らかにし、現代的なエッジを加えながらもルーツに忠実であることが可能であることを示すことができればと思うよ。
過去を再現することばかりにこだわっていては、アーティストとして成長できない。逆に、トレンディであること、時流にこだわりすぎるのも欠点がある。だから、バランスを取ることが大切なんだ。今、私の音楽哲学は、このバランスを取ることにある。私のもうひとつのバンド、GODS OF CENTAURUS では、特定の時代にとらわれる必要はない。そうすることが悪いというわけではないが、CRIMSON GLORY の素材を書くときには頭の片隅に置いておかなければならないことがある。そうやって両方のバンドの間で、私は創造的な欲求を満たしているんだ。
CRIMSON GLORY でのバランス感覚は挑戦だと思っているし、新しいシンガーの Travis Wills と新しいギタリストの Mark Borgmayer がいるので、後ろを振り返ることはないはずだよ。みんなベテランのプレイヤーだし、それ以上に重要なことは、みんな地に足がついているということだ。それがこの業界では大きな意味を持つのだから。

Q8: Crimson Glory is famous for its masks, but this time the area of the mask has been reduced, giving the impression of being more stylish. Why did this mask change happen?

【JEFF】: The original masks were full face and were the brainstorm of Jon and our former manager. At the time, it seemed like a publicity stunt. However, it did create a mystique which got us the cover of many music magazines. The problem was that we looked like mannequins because of the complete lack of facial expressions. When we were traveling in a van somewhere in Europe on our first tour, there was a music magazine with the band Duran Duran on the cover sitting on the seat. This was before cell phones, mind you, so, sitting there bored out of my mind I grabbed a silver sharpie, started doodling and drew half-faced silver masks on each guy, making each one a little different than the other. I showed this to somebody, I forget who, but they thought it was a good idea. Going forward we started cutting our full face masks diagonally, each one a little differently than the other. This was the era between the release of our debut and Transcendence, hence, the evolution of the full face masks to the stylized half face masks on Transcendence. With the return of CG, it just seemed appropriate to return to the look of the era in which the masks were born, except with a more modern look.

Q8: CRIMSON GLORY といえばマスクが有名ですが、今回はマスクの面積が小さくなり、よりスタイリッシュな印象を受けました。
このマスクの変更はなぜ起こったのですか?

【JEFF】: オリジナルのマスクはフルフェイスで、Jon と前マネージャーの発案だった。当時は少し売名行為のようにも思えたね。しかし、それによって神秘性が生まれ、多くの音楽雑誌の表紙を飾ることができたんだ。
問題は、表情がまったくないため、私たちがマネキンのように見えることだった。最初のツアーでヨーロッパのどこかのバンに乗って移動していたとき、DURAN DURAN というバンドが表紙の音楽雑誌が座席に置いてあった。まだ携帯電話を持つ前のことで、私は退屈しのぎに銀色のシャープペンを手に取り、落書きを始めた。これを誰かに見せたんだ(誰かは忘れたが)。それから、フルフェイスのマスクを斜めにカットするようになった。
これがデビュー作と “Transcendence” の間の時代で、フルフェイス・マスクから “Transcendence” では様式化されたハーフフェイス・マスクに進化した。CRIMSON GLORY が復活したことで、より現代的なルックで、マスクが生まれた時代に戻るのが適切だと思ったんだ。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED JEFF’S LIFE!!

Rush “2112”

Black Sabbath “Heaven and Hell”

Van Halen “S.T.”

Iron Maiden “Number of the Beast”

Metallica “Ride the Lightning”

MESSAGE FOR JAPAN

In Anime, and video games, not so much. Japanese food? I love it. As for music, I think Band Maid is a great band, with special props to their drummer, Akane. And I like Waggakki, too. Very cool act. I dig the Shamisen player.
We’ve been to Japan before and we love it there! Quite a few stories, not all of which I’m at liberty to go into, but there was one incident where a few Japanese fans actually flew back to the states with us just so they could be seated next to us for the ride. Now that’s devoted fans! We love the Land of the Rising Sun and hope to return!

アニメ、ビデオゲームはあまりしらないけど、日本食は大好きだよ!音楽では、BAND MAID は素晴らしいバンドだと思う。とくにドラマーの Akane は尊敬しているよ。和楽器バンドも好きでね。とてもクールなアクトだ。三味線奏者が好きなんだ。
日本には以前行ったことがあるし、大好きだよ!いろいろなエピソードがあって全部は言えないんだけど、日本のファンが僕らの隣の席に座りたすぎて、一緒に飛行機に乗ってアメリカに帰ってきたことがあったんだ。熱心なファンだよね!私たちは日出ずる国が大好きだし、ぜひまた行きたいと思っているよ!

JEFF LORDS

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COVER STORY 【MASTODON : LEVIATHAN】 20TH ANNIVERSARY !!


COVER STORY : MASTODON “LEVIATHAN 20TH”

“If You Play Jazz, You Should Listen To Metal. If You Play Metal You Should Listen To Jazz. If You Play Country You Should Listen To Classical, You Know What I Mean?”

LEVIATHAN

「地上の愚かさで人間の狂気に勝るものはない。水にはすべての人を惹きつける魔力がある」
2004年。今から20年前の夏、メタル・リフに革命をもたらし、リフの歴史を変えた2枚のアルバムがリリースされました。MASTODON の “Leviathan” と LAMB OF GOD の “Ashes of the Wake”。奇しくもその20年後、2つのバンド、2つのアルバムは邂逅し、共に旅をはじめます。

MASTODON のセカンド・アルバム “Leviathan” は2004年8月31日にリリースされました。その衝撃は津波のように伝わり、ジョージア州アトランタとその周辺のDIYシーンからバンドを大舞台へと連れ出しました。2004年の Unholy Alliance ツアーで SLIPKNOT, SLAYER のサポートを務め、2005年のOzzfest ではセカンド・ステージに登場。ライターや掲示板のユーザーたちは、彼らが次の METALLICA ではないかと推測し始めました。
この比較は、音楽的成長の質の高さからいえば適切なものでした。もちろん、2002年にリラプス・レコードからリリースされたファースト・アルバム “Remission” は、見事なまでにニヒルで野心的なデビュー作でした。バンドはヘヴィ・メタルの頂点に臆することなく立ち向かい、奇妙で伸びやかなメロディック・パッセージ、恐ろしいほどヘヴィな血の激流、そして先見性のある歌詞のアプローチなど、独自の特徴的なサウンドを見せつけていました。
しかし、”Leviathan” はそれ以上のまさに津波でした。傲慢、強迫観念、狂気を描いたハーマン・メルヴィルの古典小説 “白鯨” を軸にしたこのコンセプト・アルバムは、よりフォーカスされた、より大胆な作品となりました。IRON MAIDEN から THIN LIZZY, MELVINS まで、様々な影響が渦潮のごとく渦巻いていながら、彼らのリフやサウンドは完全にオリジナルでした。そして、オープナーのエクストリーム・アンセム “Blood and Thunder” から、海の底から蘇ったエイリアン的コーダ “Joseph Merrick” まで、モダン・メタルの叙事詩はリスナーを冒険の船旅へと誘います。

今では、”21世紀最高のメタル・アルバム” と呼ばれることも少なくない “Leviathan”。20年経った今、ドラマーでボーカリストの Brann Dailer はこのアルバムを “僕らのディスコグラフィーの柱のひとつであり、僕らのすべてを変えたアルバム” だと語っています。
「”Leviathan” で自分たちが新しい場所に行ったような気がして興奮したんだ」
興味深いことに、MASTODON はこのアルバムの制作にあたって、特に強い音楽的野心を持っていたわけではありませんでした。彼らが出すアルバムはどれも、”その時たまたま取り組んでいた曲” を反映しているだけなのです。楽曲で十分にジャムり、強力だと判断した時、バンドはアルバムをレコーディングします。”Leviathan” の音楽は比較的早くまとまりました。そして彼らの音楽的ヒーローである NEUROSIS の例に倣い、彼らは2004年初頭に CLUTCH をサポートしたアメリカの東海岸から西海岸にまたがるツアーを利用して、狂気の試みを実行に移しました。
「よし、”Leviathan” の全曲を演奏しよう。そして、基本的に毎晩、ライブの観客の前でアルバムのリハーサルをするんだ。レコーディング地、シアトルに着くまでに、すべてを把握しよう!」
サポート・アクトとして、メインのバンドの観客にまったく未知の曲をぶつけるのは、狂気か天才かのどちらかでしょう。MASTODON の場合は、おそらくその両方でした。そのツアーでバンドが “Blood and Thunder” をジャムっている動画が出回っていますが、ベーシスト兼シンガーの Troy Sanders は、この曲のリード・ボーカルの音程を試しながら、大混乱の中で歌詞にもならない無意味なことを叫んでいるだけでした。
2、3ヶ月のツアーを終えてシアトルに着く頃には、エンジニアの Matt Bayles はこうぶっきらぼうに言ったそうです。
「2度とこんなことはするな。オマエらもうヘトヘトじゃねーか!」

メルヴィルの小説の中で、エイハブ船長がモビー・ディックと呼ばれる巨大な白いマッコウクジラを追い求めざるを得なかったように、彼らは自らの可能性を追い求めました。
「何が自分たちの地平線の上にあるのか、見当もつかなかった。でも、僕たち全員が、自分たちの想像力のさまざまな面や、自分たちが好きなさまざまな影響を実験することに興味を持っていたんだ」
後年のリリースで MASTODON はより表現力豊かな “プログ” に接近したといわれています。しかし、このプログレッシブな感覚は、マストドン・プロジェクトに最初から備わっていたものでした。”Leviathan” は、型にはまらないという意味でも間違いなくプログレッシブなレコードです。長年ライヴで愛されている “Megalodon” では、ギタリストの Brent Hinds が中盤でブルー・グラスの長めのリリックを披露し、その後、急転直下、METALLICA の “Welcome Home (Sanitarium)” の後半を強く想起させる怒涛のスラッシュ・パートに突入する場面はその象徴でしょう。
「奇妙な並置が僕らのお気に入りなんだ。リスナーの意表をつくようなことは何でも大歓迎だ」
MASTODON はメタルなのでしょうか?
「有機的でヘヴィでソウルフル。音楽的に複雑で挑戦的なものもあれば、頭脳的な意味でヘヴィなものもある。自分たちがメタルだと言うことを恐れてはいない。メタルというジャンルには、いろいろな形があると思う。たぶん、世の中にある他のどんな種類の音楽よりも多くの形があると思う。ダイナミックに、メタル・ミュージックでできることはたくさんある。本当にソフトに演奏することもできるし、クソほどヘヴィに演奏することもできる。ハードの中のハードとヘヴィの中のヘヴィが同時に存在できる。メタルではそれが可能なんだ」

“Leviathan” で MASTODON は現代的なリフの可能性、つまりリズミックな挑戦を追求しました。言いかえれば、MASTODON と LAMB OF GOD の登場で、一般的なメタルのリスナーまでも複雑さを包容し、欲しがり始めたともいえます。そうした意味でも、”モダン・メタル” における MASTODON の貢献は計り知れません。では、そうした複雑さ、”プログレッシブ” な影響はどこから現れたのでしょうか?
「特に70年代のプログレッシブ・ロックに影響を受けた。例えば、”Colony of Birchmen” という曲名が “The Colony of Slippermen” へのオマージュであるように。GENESIS の “The Lamb Lies Down on Broadway”。あのコンセプト・アルバムは僕の一番好きなアルバムなんだ。
赤ん坊の頃から僕の人生の大部分を占めている。僕の両親は初期の GENESIS に夢中だった。母の昔のバンドは “Supper’s Ready” をよくカバーしていたんだ。僕にとって GENESIS はおばあちゃんのミートローフのようなもので、最初の数音をピアノで聴くと心が安らぐんだ」
Brann はドラマーとしても Phil Collins の大ファンです。
「彼のドラミングは大好きだし、彼が出した Peter Gabriel 以降のアルバム、”Abacab” も好きだ!GENESIS のドラマーとして、彼は驚異的だと思う。
多くの人が彼のことを “GENESIS をダメにした男” としか思っていなかったり、偉大で革新的なドラマーというよりは、ジャケットとネクタイ姿のラウンジ・シンガーとしてしか知らなかったりする。
僕が Phil Collins と Stevie Wonder が好きな2人のドラマーだと話すと驚かれるよ。多くの人は Stevie Wander が自分のアルバムでドラムを叩いていることさえ知らないんだ。ドラムは彼が最初に手にした楽器なんだ。Stevie は、Peter Gabriel, David Bowie と並んで、僕の一番好きなミュージシャンだ」

加えて、ジャズからの影響が MASTODON の複雑さと重さの架け橋になっています。
「ジャズで影響を受けたのは Elvin Jones, Billy Cobham, Tony Williams。この3人がトップ3だね。この3人のキットの動かし方が好きなんだ」
まさにモダン・メタルの多様性。では、メタル・プレイヤーにとって、ジャズを学ぶことは重要なのでしょうか?
「僕も勉強したことはないけれど、ミュージシャンとして一般的に何でも聴くべきだと思う。ジャズを演奏するなら、メタルを聴くべきだ。メタルをやるならジャズを聴くべきだ。カントリーをやるならクラシックを聴くべきだ。もし音楽をやっているのなら、音楽的な状況やセッティングに入るときに、自分が何を話しているのかを知っておくべきだからね。そうすれば、何が何に合うかを頭の片隅に置いておくことができる。あらゆる種類の音楽について一般的な知識を持っておくべきだ。世の中にはどんなジャンルにも宝石がある。それを探すんだ。Willie Nelson のように、多くの人がその音楽について語り、クラシック・アーティストとして賞賛されていれば、きっとその音楽は素晴らしいものであるはずだ。今はピンとこないかもしれないけど、後でピンとくるかもしれない。
若いうちは少し閉鎖的になりがちかもしれないけれど、あるスタイルの音楽に対して “絶対ダメ” とは言わない方がいいと思う。たとえ好きでなくても、その音楽について何か知っておくべきだと思う。13歳か14歳の頃、スラッシュ・メタルをよく聴いていたんだけど、その時は家では他のものを聴いていることを認めることができなかった。聴いていたけど、カッコつけてたんだよな」
THE MARS VOLTA のメンバーだった Jon Philip Theodore と比較されることも多い Brann。
「Jon は僕の相棒なんだ!ライブで知り合ったんだ。彼は僕の親友で、よく話をする。僕らのスタイルは絶対に似ていると思う。初めて Jon の演奏を聴いたとき、いろんな意味で自分を思い出したよ。似ているところがたくさんあると思うし、彼のスタイルが大好きなんだ。彼は本当に流動的で、最高においしいビートを持っている。彼がキットを動き回る様子はとても流動的で、でも僕には彼がやることすべてが正しい場所にあるように思える。ドラマーに聴かせたいものは何でも、彼がやってくれる。彼は私を幸せにしてくれるんだ」

とはいえ、MASTODON と Brann は別段突拍子もない特別なことをしたわけではありません。解放弦を多用したカントリー風のリック、ツインギターのハーモニー、バディ・リッチのような手数の多いドラム・マシンガン、幾何学的な変拍子。彼らはこれまであったものを活用し、うまく溶け合わせることで難解でヘヴィでありながらオーガニックという MASTODON のユニーク・スキルを築き上げました。特に、当たり前のようなリフ、古臭いカントリーのリック、シンメトリーなパターンを、雷のようなドラミングで磨き上げ、リズムのトリックを生み出し、現代的に仕立て上げる Brann の手練手管はもはやリフの一部でした。
こうした音楽にしては、Brann のドラムは驚くほどルーズでしなやか。死ぬほどハードに叩いているわけではないのに、ブルータルなサウンドを生み出しているのは驚異的です。
「すべてのパートで基本的なビートを作ってからいじくり回す。基本の枠にはとらわれない。ストレートなビートでないとうまくいかないリフもある。でも、多くの曲では、自分のやりたいことをやって、2秒後にそれを戻すことができるんだ。
若い頃、たぶん16歳か17歳の頃、ツーバスに頼りすぎていると感じていた。シングルベースだけでビートをフルにするようにしたんだ。ツーバスは、必要なときにアクセントとして入れるんだ。軍艦や戦車が転がってくるようなリフもあって、そこで必要になる。
僕が演奏しているときの目標は、飛び立つことなんだ。飛び立ってどこかに行く。毎回そうなるわけではない。でも、もしその場所に行くことができたら、音楽を演奏することで得られる、ほとんど体の外にいるような体験がしたいんだ」

当時、スピードと”正確性” へと向かっていたメタルのトレンドを揺り戻したのも MASTODON でした。
「演奏にもっと多様性が出てくるといいよね。僕は超高速のツーバスが得意じゃないから、手を開発したんだ。手を鍛えるのと一緒に、クレイジーなフィルとかもたくさんできるようになった。僕のドラムの多くは、僕ができなかったことを許容した結果なんだ(笑)。そういうプレイをする連中が一番上手いんだから、わざわざ僕がいじろうとする必要はないだろう。僕はただ自分のことをするだけで、自分自身のオリジナリティを保ち、できる限り挑戦し、自分がプレーできる最もクールなものを考えるようにしたい。時には AC/DC のPhil Rudd になることも必要だ。僕はただ、自分が演奏しても面白いし、リスナーが聴いても面白いパートを作るように心がけている。音楽を中心にビートを組み立てているんだ。その時に鳴っているリフからインスピレーションを受けるんだ。そうすると、トランジションを作りたくなるし、クレッシェンドを作りたくなる。ドラマーとして求めている激しさが曲の中で起こるようにしたいんだ。次のレベル、”ランナーズ・ハイ” のようなものをね。それをいつも探しているんだ」
Brann はそれでも “ただドラムを叩いていただけ” と自身の貢献を軽視しますが、”Iron Tusk” の冒頭のドラム・ブレイクは、明らかに MASTODON が偉大なメタル・バンドの仲間入りを果たした瞬間でした。しかし、Brann にとってより重要だったのは、”感情にフックする” ことであり、偉大なヘヴィ・ミュージックを生み出した “原始的な場所” に行くことでした。そして、Brann にはその夢を分け合った盟友が存在したのです。
「彼は僕のハイハット・スタンドにメモをテープで貼っていた。演奏する前にね。それは、”Seabeast”…”Seabeast”はやらないの?せめて最後のリフだけでも……お願い……”って感じだった」
SLIPKNOT とツアーを共にした際、Joey Jordison がBrann のサウンドチェックを見ていた時の話。モダン・メタル界で最も偉大なドラマーである2人が、互いのプレイを見守り、賞賛し合っていたのです。両者とも “忙しない” ドラマーとして名を馳せましたが、スネアを鳴らして楽曲を作り上げた Brann に対して、足とバスドラで主張する Joey はまさに好対照の好敵手でした。
ともあれ、Joey の懇願は十分に理解できます。”Seabeast” は、異世界のように蛇行したギターラインとのトリッピーで漂うようなボーカルから、一風変わった音階の轟音コーラスで推進力を得て進む海獣。最後のリフは、そのギザギザの牙で強襲しながらバンドが今日まで忠実に守っている激しさを見せつけます。
「他の作品がよりポップになったり、スーパー・プログレッシヴになったとしても、少なくとも1枚のアルバムに2、3回は、常に牙を見せようとしているんだ」

とはいえ、MASTODON には怒りや激しさだけがあるわけではありません。
「妹は僕が15歳の時に自殺した。妹は14歳だった。それから13年。僕が心の中に抱えていたすべての痛み。姉を失った痛みはいつもそこにあった。TODAY IS THE DAY では怒りが込み上げてきた。それ以降は、怒りたくない。MASTODON で活動を始めてアトランタに移ったとき、個人的に大きな癒しがあった。それには MASTODON が大きく関係している。それが、”Remission” を作った大きな理由のひとつだ。Remission とは、許しと癒しという意味だ。MASTODON が助けてくれた。人生に起こった多くのことを許してくれた」
彼らの音楽が複雑になるにつれ、バンドは “Leviathan” ほど直接的な攻撃性を見せることはほぼなくなりました。だからこそ、シンプルかつ強烈な “Blood and Thunder” のメイン・リフを思いついた瞬間は、まさに奇跡でした。MASTODON 流 “Paranoid”, “Enter Sandman”, “Highway Star” のようなアンセムで、シンプルで、即効性があり、誰も否定することはできません。
「”Blood and Thunder” の最初のリフが出来上がったとき、全員が部屋に集まって、100時間演奏し続けたよ!」
Brann に言わせれば、バンドはあのリフで宝くじに当たったようなもので、そこからリスナーは MASTODON に病みつきになるのです。
“Blood and Thunder” が天才的なのは、その原作である “白鯨” のエッセンスを巧みに抽出しているところでもあります。”Blood and Thunder!” という絶叫自体が、18世紀に一種の誓いとして生まれたもの。小説では、ペレグ船長が叫び、彼が所有するペコッド号の乗組員たちに、エイハブ船長の指揮の下、急いで出港するよう促す呼びかけの言葉でした。
1984年の “Powerslave” に収録された IRON MAIDEN の名曲 “Rime of the Ancient Mariner” が、基本的にコールリッジの同名の詩を自分たちのために書き直したのとは異なり、MASTODON は白鯨をテーマのバックボーンとして使用しています。”Aqua Dementia” (ボーカルは NEUROSIS の Scott Kelly)では、彼らはさらに踏み込んで、船室の少年ピップがクジラ船から飛び降り、一時的に海に捨てられている間に精神に異常をきたした経験を詳しく説明しています。
「水とか火とか、いろんなものを使いたかった。純粋な攻撃性も欲しかったし、美しさも欲しかったし、すべてが混ざり合っていたかった」

この曲のもうひとつのイメージである “大地を燃やす完璧な火” は、アルバムの水のテーマに反するもの。MASTODON の最初の4枚のアルバムがそれぞれ元素のひとつをテーマにしているのは、”Remission” のリリース後に考案されたものでした。”Remission” の火のシンボルを認め、そして彼らは、次の作品に水を求めたのです。
水というテーマは、その性質上、絞り込むのが難しく、Brann は2003年のハワイ滞在中に “白鯨” を購入しました。この本がハワイに由来することも、ハワイの火山の女神ペレの燃えるようなイメージがリヴァイアサンの歌詞に残っていることもそれが理由。また、このアルバムの中で最も過酷で不協和音が多い “ĺsland” に描かれているように、1973年にアイスランドのハイマエイ島で起きた噴火にも言及しています。
そして “Hearts Alive”。この曲は言葉ではとても言い表せません。まるで海そのもののようなサウンド。海水は揺れ動き、沸騰し、重厚なリフと揺らめくアルペジオが互いに重なり合う。そして高揚感あふれるギター・ソロ。さながらメルヴィルの小説の最後に出てくるペコッド号の沈没に対する鎮魂歌のように、最後の3分間で鳴り響く勝利の和音と湧き上がるリズムの波動。白鯨とマストドンが共に水面を突き破り、海は墓場となり、空に向かって上昇していきます。
さらに白鯨と鯨狩りの道具は、Brann とジャケット・アーティストのポール・ロマーノとの会話に完璧なインスピレーションを与えました。バンドは、”M” の後ろに交差した銛をバンドのロゴ兼海上の紋章のように使用。ロマノがこのアルバムのために制作したアートワークは、MASTODON の歌詞と音楽に加え、小説や関連する原典、学術的なリサーチなど、多くの素材に恵まれました。そうして、船を背負った巨大な白鯨の威厳は、音楽史上最も壮大なアルバム・ジャケットのひとつとなったのです。
「アルバムが完成したとき、駐車場に座ってビールを1ケースくらい飲みながら、”Leviathan” を何度も何度も聴いたのを覚えている。出来上がりにとても興奮していた。みんながどう思うかはわからなかった。”Blood and Thunder” については、シンプルでストレートすぎると怒っていた人たちがいたのを覚えている。でも、自分たちが書きたいこと、好きなことを書いていただけなんだ」
そうして “白鯨” を捕まえた “Leviathan” から20年。結成から四半世紀が経とうとしていますが、MASTODON のもうひとつの特筆すべき点は、2000年以降メンバーを一人も失っていないことでしょう。エイハブのような執念が、彼らをこれまで以上に強く結び付けているのです。
「同じ4人組がずっと活動を続けているのは、確かに最近では珍しいことだと思う」

参考文献: INK19:An Interview with Brann Dailor of Mastodon

LOLIPOP MAG: MASTODON

KNOTFEST:Of Fire and Water: Twenty years of Mastodon’s ‘Leviathan’

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SEVENTH DIMENSION : OF HOPE & ORDEALS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH LUCA DELLE FAVE OF SEVENTH DIMENSION !!

“I First Discovered Japanese Culture Back In 2014. Actually It Was Back When Babymetal Was Starting To Become Big In The West And I Was Part Of The Early Bandwagon Of European Fans.”

DISC REVIEW “OF HOPE & ORDEAL”

「最近は、歌詞のアイデアの多くに日本文化が確かに影響しているよ。日本人である妻が最近、”雨ニモマケズ” という有名な日本の詩を紹介してくれてね。その詩の内容の多くが、僕の周りにいる多くの日本人の友人の中にあることに気づいたから心に残ったんだ」
“ほめられもせず 苦にもされず そういうものに わたしはなりたい”。宮沢賢治 “雨ニモマケズ” の最終節です。もしかすると、プログ・メタルというジャンル自体、音楽シーンのなかではまさにそんな存在なのかもしれません。欲はなく、決して怒らず、いつも静かに笑っている。デクノボーと呼ばれるかもしれない。それでも、こうした音楽に楽しみや癒しや救いを求める者があれば、行って希望を叶えてあげる。スウェーデンの SEVENTH DIMENSION はそんなプログ・メタルになりたいのです。
「僕らの音楽はプログレッシブでありながら、とても聴きやすい音楽でありたいといつも思っているんだ。コード進行の中で時々変なところに行ったり、長い曲があったりするかもしれないけど、曲が長く感じられるようには決してしたくない」
闇があるからこそ光が差す。試練があるからこそ希望がある。SEVENTH DIMENSION の最新作 “Of Hope & Ordeals” は、エゴと欲望が渦巻くこの暗い世界を迷宮という試練に例えながら、いつかは出口という光にたどり着くと歌います。プログという複雑で迷宮のような音楽において、色とりどりのメロディはまさに悦楽であり希望。そう、彼らはプログという一見エゴイスティックな音楽が、その実最も欲望や妬みから程遠いことをその音楽で証明します。煩悩よりも才能を。あまりに見事な甘やかなアートはそうして、世界の闇をクリスタルで払います。
「日本の音楽シーンで一番好きなのは、ジャンルは違っても、実際の楽器を使って音楽を演奏することが、今でも演奏やレコーディングのメジャーなスタイルだというところだね。西洋では多くのジャンルがそれを放棄し、プログラミングに完全に取って代わられていると感じるからね。だから、ポップ・ミュージックの中にも、人間的な要素がまだ強く残っている日本が好きなんだ」
そんな彼らの “試練”、プログ・メタルに大きな影響を与えたのが、日本の優しさの文化であり、日本の音楽世界のあり方でした。日本で4年間を過ごしたギタリスト Luca Delle Fave は、この国にきてまず、本物の楽器が今も幅を利かせていることに驚きました。なぜなら、欧米のシーンはプログラミングが今や音の大部分を占めているから。
フィジカルな “練習” を必要としないインスタントなサウンドは、プログという “試練” や “苦悩” とは真逆の場所にあります。だからこそ、そこには SEVENTH DIMENSION の求める光や希望は存在しないのかもしれません。日本で楽器を修練し、プログレッシブであることを許され、勇気を得た彼らは、そうしてグラミーを獲得した DREAM THEATER の背中を追います。
切なくも色香のあるラブリエのような歌声に、難解をフックに変えたインストの妙、そして美しきアトモスフィア。これまでスウェーデンの “Seventh” といえば Wonder でしたが、”Dimension” もこれからは外すことができないでしょう。
今回弊誌では、Luca Delle Fave にインタビューを行うことができました。「日本の文化を知ったのは2014年のこと。実はBabymetal が欧米でビッグになり始めた頃で、僕はヨーロッパのファンの初期メンバーの一員だったんだ。それで、Babymetal の最初のヨーロッパ公演を何度か見に行ったんだけど、そこで生まれて初めてたくさんの日本人に会ったんだ。彼らの優しさ、敬意、謙虚さに心を打たれた。その後、Babymetal コミュニティの中で多くの日本人の友人を作り、最終的に2015年初めに日本を訪れることになった。1カ月滞在した僕は、自分が見つけたこの新しい世界にすっかり魅了され、日本語を流暢に話せるようになって日本に住むことを決意したんだ」 どうぞ!!

SEVENTH DIMENSION “OF HOPE & ORDEALS” : 10/10

INTERVIEW WITH LUCA DELLE FAVE

Q1: First of all, I was surprised to hear that you have lived in Japan for four years! Why are you so closely connected to Japan?

【LUCA】: I first discovered Japanese culture back in 2014. Actually it was back when Babymetal was starting to become big in the west and I was part of the early bandwagon of European fans. So I went to see them live in several of their first European shows and by doing so, I met plenty of Japanese people for the first time in my life. I was struck by their kindness, respect and humbleness. I then made many Japanese friends within that community which eventually brought me to visit Japan in early 2015. I was there for a month and I completely fell in love with this new world I had found, which led to my decision to commit to become fluent in Japanese and live there. It might sound cheesy for some, but I found a lot of peace in Japan and discovered a lot of what I value in life by living there. I’m back in Sweden now for various reasons, but Japan is always a second home to me.

Q1: まず、あなたが日本に4年間住んでいたと聞いて驚きました!なぜそんなに日本と関係が深いのですか?

【LUCA】: 日本の文化を知ったのは2014年のこと。実はBabymetal が欧米でビッグになり始めた頃で、僕はヨーロッパのファンの初期メンバーの一員だったんだ。それで、Babymetal の最初のヨーロッパ公演を何度か見に行ったんだけど、そこで生まれて初めてたくさんの日本人に会ったんだ。
彼らの優しさ、敬意、謙虚さに心を打たれた。その後、Babymetal コミュニティの中で多くの日本人の友人を作り、最終的に2015年初めに日本を訪れることになった。1カ月滞在した僕は、自分が見つけたこの新しい世界にすっかり魅了され、日本語を流暢に話せるようになって日本に住むことを決意したんだ。
安っぽく聞こえる人もいるかもしれない。だけどね、僕は日本で多くの安らぎを見つけ、日本で生活することで今、人生で大切にしていることの多くを発見した。今は様々な理由でスウェーデンに戻っているけど、日本は僕にとって常に第二の故郷だよ。

Q2: After living in Japan, how do you feel about the Japanese music and metal scene? Were there any artists you particularly liked?

【LUCA】: My friend listens to a lot of Visual Kei, so he tried to get me into a lot of stuff haha. But ‘Girugamesh’ had a lot of really great music. Ulma Sound Junction is also a great band! I know them because they played with us when Seventh Dimension played at Wild Side in Tokyo in 2019. But the thing I love the most about the music scene in Japan is that, despite the genre, playing music with actual instruments is still the main way to perform and record. While I feel that so many genres in the west have abandoned that for complete replacement by programming. So I like that big human factor still being strong, even within pop music.

Q2: 日本に住んでみて、日本の音楽やメタル・シーンについてはどう感じましたか?特に好きなアーティストはいましたか?

【LUCA】: 僕の友達がヴィジュアル系をよく聴いていて、僕をいろんなバンドに引き込もうとしたんだ (笑)。でも girugamesh には本当に素晴らしい音楽がたくさんあったな。Ulma Sound Junction も素晴らしいバンドだ!2019年に SEVENTH DIMENSION が東京のワイルドサイドで演奏したときに一緒に出演したから知っているんだ。
だけどね、日本の音楽シーンで一番好きなのは、ジャンルは違っても、実際の楽器を使って音楽を演奏することが、今でも演奏やレコーディングのメジャーなスタイルだというところだね。西洋では多くのジャンルがそれを放棄し、プログラミングに完全に取って代わられていると感じるからね。だから、ポップ・ミュージックの中にも、人間的な要素がまだ強く残っている日本が好きなんだ。

Q3: Does Japanese culture, anime, video games, history, and music influence your work?

【LUCA】: Culture sure does when it comes to many of the lyrical ideas I get recently. My wife, who is Japanese, recently introduced me to a famous Japanese poem called 雨ニモマケズ and it stayed with me because I recognize a lot of it’s content in many Japanese friends I have. It also made me realize how much life in Japan has helped form some of my ways of thinking. And all these things surely make their way into our music sometimes. I also studied orchestration & arrangement and graduated at SHOBI College of Music in Tokyo, so a lot of what I learned there has been applied to our new album.

Q3: 日本の文化、アニメ、ビデオゲーム、歴史、音楽はあなたの作品に影響を与えていますか?

【LUCA】: 最近は、歌詞のアイデアの多くに日本文化が確かに影響しているよ。日本人である妻が最近、”雨ニモマケズ” という有名な日本の詩を紹介してくれてね。その詩の内容の多くが、僕の周りにいる多くの日本人の友人の中にあることに気づいたから心に残ったんだ。
また、日本での生活がどれだけ僕の考え方を形成するのに役立っているかも実感させられた。そして、こういったことはすべて、時に僕たちの音楽にも確実に影響を及ぼしている。また、僕は東京の尚美ミュージック・カレッジでオーケストレーションとアレンジを学び、卒業しているから、そこで学んだことの多くが僕たちの新しいアルバムに生かされているよ。

Q4: Still, “Of Hope & Ordeals” is a great piece of work! Can you start by telling us the meaning of the title and the artwork with the Final Fantasy-like crystals?

【LUCA】: The title came about a year ago. I suggested the title to the guys in the band on Midsummer’s Eve last year, which is a big holiday here in Sweden, once the general topics and lyrical ideas were already set in motion. I realized a lot of them dealt with hardships but also finding light at the end of the dark tunnel. So this title popped up into my head, and it really connected with everyone. When it comes to the artwork, one of our main ideas from the beginning was to have an album where we “paint with many colors”. So we wanted each song to have its own vibe and color. So each color represents a song, and then every color is also found again within the 6 chapters of the final song. Originally in my draft art, it looked more like a sunflower, but we knew early on we wanted to have things like stones or crystals. The labyrinth in the middle represents the album title. In other words, we wanted to symbolize the word “Ordeals” with the feeling of being stuck in a labyrinth trying to find your way out to the colors that represent “Hope”. The labyrinth also felt very fitting for the genre, since with prog you never really know what’s behind the corner, where the path will lead you or how long the path is.

Q4: それにしても “Of Hope & Ordeals” は素晴らしい作品ですね!
まずはタイトルと、まるでファイナル・ファンタジーのようなクリスタルを使ったアートワークの意味から教えていただけますか?

【LUCA】: タイトルは1年ほど前につけたんだ。昨年の夏至の夜にバンドのみんなにタイトルを提案したんだよ。スウェーデンでは大きな祝日なんだけど、大まかなトピックと歌詞のアイデアはすでに決まっていた。その多くが苦難を扱っていると同時に、暗いトンネルの先に光を見出すことをテーマにしていることに気づいたんだ。だからこのタイトルが頭に浮かんだんだ。
アートワークに関して言えば、当初からの主なアイデアのひとつは、”たくさんの色で描く” アルバムにすることだった。だから、それぞれの曲にそれぞれの雰囲気と色を持たせたかった。それぞれの色が曲を表し、そしてすべての色が最終的な曲の6つのチャプターの中でまた見つかる。
もともとはひまわりのようなイメージだったんだけど、石やクリスタルのようなものにしたいと早い段階から思っていたんだ。真ん中の迷宮はアルバム・タイトルを表している。つまり、”Ordeals (試練)” という言葉を、迷宮から抜け出せずに “Hope (希望)” を表す色に辿り着こうとしているような感覚で象徴したかった。また、プログの世界は、曲がり角の向こうに何があるのか、道はどこにつながっているのか、道のりはどれくらい長いのか、わからない音楽なので、迷宮はこのジャンルにとてもふさわしいと感じたんだよね。

Q5: This is truly an “Ordeals” time in the world, where war, division, and oppression are rampant. In such a world, what can music do and what can music be “hope”?

【LUCA】: I think hope, or peace, is always achievable, because more often than not it is the result of a mindset. Sometimes hope and ordeals are codependent on one another, as in we can’t fully appreciate hope and peace unless we’ve experienced struggle and hardship. A certain mindset can also hinder you from finding peace, such as being caught in greed for example which then becomes this hunt for a goal line that constantly moves away from you the closer you get to it, almost like the horizon. But music is definitely a wonderful tool when we struggle with these questions. They often offer a remedy, a temporary relief or even help us deep dive into answering these questions. I think that musical stimulation combined with human interpretation leads us to a very special and meditative place of self reflection.

Q5: 今、世界では戦争、分断、抑圧が蔓延していて、まさに “試練” の時代ですよね。そのような世界で、音楽ができること、音楽が “希望” となれることは何でしょうか?

【LUCA】: 希望や平和は常に達成可能なものだと思う。希望と試練は互いに共依存していることがある。つまり、闘争や苦難を経験しなければ、希望や平和を十分に理解することができない。
ある種の考え方は、平和を見出す妨げになることもある。例えば、貪欲さにとらわれていると、ゴールに近づけば近づくほど遠ざかっていく、まるで地平線のようなゴールラインを追い求めることになる。
しかし、このような疑問と闘うとき、音楽は間違いなく素晴らしいツールだ。音楽は多くの場合、救済策や一時的な安らぎを与えてくれるし、こうした疑問の答えを導き出すために深く潜る手助けさえしてくれる。人間的な解釈と組み合わさった音楽的刺激は、僕たちを非常に特別で瞑想的な自己内省の場へと導いてくれるんだ。

Q6: What’s more, in such a dark world, perhaps the fantasy of metal and prog as an escape from reality is what the world needs most right now?

【LUCA】: That’s exactly it! And sometimes an escape is what we really need. This is really why I love big long songs such as Black Sky: Final Frontier on this album. Long pieces like that really make you temporarily forget about the world around you.

Q6: さらに、このような暗い世界では、現実逃避としてのメタルやプログレのファンタジーこそが、今世界が最も必要としているものなのかもしれませんね?

【LUCA】: まさにそうだね!時には逃避行も必要なんだ。だから、このアルバムの “Black Sky” のような長い曲が大好きなんだ。ああいう長い曲は、一時的に周りの世界を忘れさせてくれるからね。

Q7: Your cover of ” A Change of Seasons” was wonderful! It’s true that your music is influenced by Dream Theater, especially the atmospheric feeling of the Kevin Moore and Derek Sherinian era before Jordan Rudess joined the band. Would you agree?

【LUCA】: Oh absolutely! For us, Dream Theater is a huge influence, there is no denying that. However we probably mostly grew up with the Jordan era of Dream Theater actually, which is my favorite era in general around 2000-2011. This is also of course because that is when I became a musician, fell in love with music, discovered prog and discovered all my favorite bands. I guess a person’s favorite era of music is always the era that took place whenever they were around 20 years old, haha. However we are of course big fans of DTs early Kevin Moore-era as well, and ‘A Change of Seasons’ is my favorite song of all time which is also why we covered it.

Q7: “A Change of Seasons” のカバーは素晴らしかったですね!
あなたの音楽は DREAM THEATER、特に Jordan Rudess が加入する前の Kevin Moore や Derek Sherinian 時代の雰囲気から影響を受けているように感じました。

【LUCA】: もちろん!僕らにとって DREAM THEATER の影響はとても大きい。でも、僕たちは Jordan 時代で育ったんだ。2000年から2011年ごろかな。それはもちろん、僕がミュージシャンになり、音楽を好きになり、プログを発見し、好きなバンドを見つけた時期でもあるからだ。
人の好きな音楽というのは、常に20歳前後のときに体験した時代なんだろうね。”A Change of Seasons” は僕の一番好きな曲で、それがこの曲をカバーした理由でもあるんだ。

Q8: It is important to note that your music is technical and progressive, yet has very catchy melodies. Prog and metal music is not the most popular music, but with such melodic beauty, is it possible to gain great popularity through buzz on social networking sites and TikTok?

【LUCA】: We sure hope so! Haha. But I think we always wanted our music to sound proggy but at the same time being very listenable prog. We might go to odd places within our chord progressions sometimes or have long songs, but I never want a song to feel long, with the exception of ‘The Dreamer’s Escape’ on our third album which is purposely designed to feel long. But there’s a common goal I want to achieve when it comes to having long songs, writing an odd chord progression, writing in odd time… And that is that I always want it to feel smooth and natural. Unless there is a conceptual/lyrical/story reason for it not to do so.

Q8: あなたの音楽はテクニカルでプログレッシブでありながら、非常にキャッチーなメロディを持っていることが重要です。
プログやメタル・ミュージックは最もポピュラーな音楽ではありませんが、このようなメロディーの美しさがあれば、SNSやTikTokで話題となり、大きな人気を得ることも可能でしょうか?

【LUCA】: そうだといいよね!ハハハ。でも、僕らの音楽はプログレッシブでありながら、とても聴きやすい音楽でありたいといつも思っているんだ。コード進行の中で時々変なところに行ったり、長い曲があったりするかもしれないけど、曲が長く感じられるようには決してしたくない。3枚目の”The Dreamer Escape” を除いてね。あれはわざと長く感じるようにデザインしていたから。でも、長い曲や変則的なコード進行、変則的な拍子で書くことに関しては、達成したい共通の目標があるんだ。それは、常にスムーズで自然な感じにしたいということだ。コンセプチュアル/叙情的/ストーリー的な理由がない限りはね。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED LUCA’S LIFE!!

Jean-Michel Jarre “The Concert in China”

Iron Maiden “A Matter of Life and Death”

Dream Theater “Metropolis Pt. 2: Scenes From a Memory”

Symphony X “The Odyssey”

Porcupine Tree “Fear of a Blank Planet”

MESSAGE FOR JAPAN

Japan, you are my second home, now and forever! Playing in Japan with Seventh Dimension in 2019 was the best show of our career and we definitely want to come back and do a proper tour. We love you, I love you and we shall see you again! And when we do, we shall prepare a bunch of incredible setlists to make it an unforgettable tour!

日本は僕の第二の故郷だよ、今も昔も!2019年の日本のライブは僕らのキャリアの中で最高のショーだったし、絶対にまた日本でちゃんとしたツアーをやりたい。とにかく、日本が大好きなんだ!そしてその時は、忘れられないツアーにするために、たくさんの素晴らしいセットリストを準備しよう!

LUCA DELLE FAVE

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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【ALCEST : LES CHANTS DE L’AURORE】


COVER STORY : ALCEST “LES CHANTS DE L’AURORE”

“God Is Called Kami In Japanese, And They Basically Have a Kami For Everything. And You Can Clearly See That In Princess Mononoke.”

夜明けの歌

「今、メタルというジャンルはとてもオープンで、いろんなスタイルやアプローチがある」
ブラック・ゲイズ。このサブジャンルは、ブラック・メタルの狂暴で擦過的な暗闇と、シューゲイザーの幽玄でメランコリックな審美を等しく抱きしめた奇跡。メタルとインディー。つまり、このあまりに対照的な2つのジャンルの融合は、フランスの ALCEST が牽引したといっても過言ではないでしょう。
ALCEST にはサウンド面だけでなく、主にフランス語で作曲しながら、世界中に多くのカルト的なファンを獲得してきたという功績もあります。ヨーロッパや非英語圏のメタル・バンドは、より広くアピールするために英語で作曲するのが普通でしたが、ALCEST は音楽に普遍的な魅力があれば言語は関係ないことを証明し続けています。
7枚目のスタジオ・アルバム “Les Chants De L’Aurore” でALCEST は、極限まで輝かしく、メロディアスでみずみずしいアルバムを作るという野心的な探求に乗り出しました。”Spiritual Instinct” や “Kodama” で焦点となっていた “硬さ” や “ヘヴィネス” は減退。一部のファンは不意を突かれたかもしれませんが、”Les Chants De L’Aurore” はこれまで以上に、いやはるかにニュアンスがあり、高揚感があり、複雑なアルバムに仕上がりました。
タイトルの “Les Chants De L’Aurore” は直訳すると “夜明けの歌”。
「新しいアルバムを作るときは、音楽、ビジュアル、歌詞の間にとてもまとまりのあるものを作ろうとするんだ。アルバム・タイトルは、リスナーの心に強いイメージを喚起するものでなければならないと思う。”歌” にかんしては、このアルバムではいつもよりヴォーカルが多くて、合唱団もいるし、僕も歌っているからね。”夜明け” は、ジャケットのアートワークとリンクしていて、とても暖かくて、新しい一日のようでもあり、一日の終わりのようでもあり、その中間のようでもある。だから、このアルバムの持つ温かい雰囲気にぴったりだと思ったんだ」

ALCEST が前作 “Spiritual Instinct” をリリースしたのは5年前のことでした。その頃の世界は自由に動き回れる場所。ところが突然、世界的なパンデミックが起こり、私たちは孤立の繭に包まれました。
このさなぎから抜け出した多くの人たちは、本当に大切なものに対する感謝の気持ちを新たにしたでしょう。それはまるで夢想家に生まれ変わったかのようであり、世界の素晴らしさを再発見した子供たちのようでもありました。
「パンデミックの期間中、何もアイデアが浮かばず、ギターのリフを書こうとしても何も出てこなかった。今までで一番長い期間、何も書けなかった。1年間、リフが1つも出てこなかったと思う。僕はいつも何かを得ようとしていた。もうダメだって感じだった。そしてある日、すべてのブロックが外れた。
インスピレーションがどのように働くのか、本当に知りたい。とても複雑なテーマだ。1年間も何も見つからなかったのに、ある日突然、すべてが解き放たれたなんて。とても奇妙だよね。
10年間ノンストップでツアーを続けてきた僕らにとっては、何か違うことをするいい機会だった。大好きな人たちや、この10年間まともに会っていなかった家族と初めて一緒に過ごすことができた。これまでは年に1、2回地元に帰るだけだった。でもパンデミックのあとは、ほとんど毎日両親に電話するようになり、今では2~3カ月に1回は南仏に会いに行っている。人の温もりやあたたかい気持ちを再発見できた。だから結果的にはよかったんだよ」

つまり、Neige にとって夜明けの歌とは終焉であり、新たな始まりでもあります。
「僕にとってこのアルバムは、ALCEST のオリジナル・サウンドへのカムバックであり、初期のアルバムにあったような、とても異世界的でドリーミーなサウンドへの帰還だ。その後、ほとんどコンセプト・アルバムのようなものに踏み込んでいったから、ちょっとした再生のようなものだった。シューゲイザー・アルバム “Shelter” を作り、映画 “もののけ姫” をテーマにしたコンセプト・アルバム” Kodama” を作り、そして前作 “Spiritual Instinct” はとてもダークなアルバムだった。特に “Kodama” や “Spiritual Instinct” は様々な意味でより硬質だった。
でも、このニュー・アルバムこそが本当の ALCEST であり、僕がこのプロジェクトで表現したいことだと思う。子供の頃にスピリチュアルな体験をして、その体験を音楽で表現できないかと ALCEST を作ったんだからね」
そのスピリチュアルな体験とは何だったのでしょうか?
「子供の頃、何かとつながっているような感覚があった。子供には特別な感覚があると思うんだ。キリスト教的な宗教を連想させるから天国とは呼びたくないけど、人間的な経験をする前のような、僕たちみんなが来た場所、現世と前世、2つの人生の間にあるある種の安らぎの場所のような、魂が休まる場所とのつながりのね。
そのことをあまり話したくないから、代わりに音楽を作ることにしたんだ。だから、ALCEST のアルバムは毎回、物事の違う側面を探求しているというか、僕の日常生活や、いわば地道な生活の中で経験したことにより近いものがあるんだ」

同郷の GOJIRA とは異なり、ALCEST はほとんどの場合フランス語にこだわっています。そしてこのアンニュイな言語こそが、バンドの幽玄で優しい音楽をさらに引き立てているようにも思えます。
「とても不思議な話なんだけど、アジアや日本には巨大なファン・コミュニティがあるし、アメリカやヨーロッパの他の国にも僕らのファンがたくさんいる。でも、フランスは僕たちの存在に気づくのが本当に遅かった。フランスで本当に人気が出始めたのは “Kodama” からだと思う。なぜ英語に切り替えないかというと、フランス語で歌詞を書くことに安心感があるからなんだ。フランス語は僕の母国語だから、もちろん正確に書くし、母国語で書く方がずっと簡単なんだ。英語で歌おうとして、フランス語のアクセントが聞こえてしまうのが本当に嫌なんだよね。英語で歌うとフランス語のアクセントが確実に聞こえてしまう。
ただ、ボーカルがミックスの中ですごく大きいわけでもないから、フランス語が強すぎることはない。フランス語で歌うフランスのバンドだと思われたくないんだ。できることなら、僕らの音楽は少し普遍的であってほしいからね。あまりはっきり歌わないのはワザとだよ。フランス人だって歌詞を理解できないくらいにね。ボーカルは、メロディーのひとつの要素であってほしいんだ」
ブラックゲイズといった特定のレッテルを貼られることについては、どう感じているのでしょう?
「僕たちは最初の “ブラックゲイザー” バンドとしてクレジットされているし、プレスは ALCEST がブラックゲイズを発明したと言っている。どう考えたらいいんだろう……もちろん、僕らにとってはとても名誉なことだし、意図的にそうしたわけではないんだけど、僕らがジャンルを創り出したバンドだと思われているのならそれは素晴らしいことだと思う。ただ、ブラック・メタルのギターとドラム、ドリーミーなボーカル、そして天使のような、別世界のような、幽玄なタイプのメタルを演奏したかっただけなんだ。
そしたら、レビューの人たちがシューゲイザーという言葉を使い始めて、私は “ああ、シューゲイザーか、音楽スタイルとしてはとても面白い名前だけど、まあいいか” という感じだった。それからシューゲイザー・バンドを聴き始めて、”ああ、そうか、なぜ僕らがシューゲイザー・スタイルを連想されるのか、よくわかったよ” って感じになって、SLOWDIVE とかが大好きになったんだ。とても素敵なのは、ブラックゲイザー・バンドたちがみんな、ALCEST を聴いてバンドを結成したと言ってくれたこと。”あなたの音楽が大好きで、私も同じようなものを作りたかったからバンドを結成した”、これ以上の褒め言葉はないと思う」

SLOWDIVE と Neige には特別なつながりがあります。”Shelter” 収録の “Away” では Neil Halstead と共演も行いました。
「初めて Neil Halstead に会ったとき、僕はまだ20代半ばだった。ファンボーイだったんだ。だから彼に会ったときは怖かったし、ファンであることを隠すのはとても難しかった。だから震えていたし、今思うとちょっと恥ずかしい。でも、彼は本当に親切にしてくれたし、僕が若いミュージシャンで、彼ほど経験を積んでいないことを見抜いていてくれた。
SLOWDIVE を知ったのは、かなり昔のことで、そのころ彼らは音楽の地図から消えていた。誰も彼らのことを知らなかったよ。90年代の幽霊バンドのような存在だった。でも、だんだんもっと語られるようになったような、何か話題になっているような気がしていたんだ。それで彼に言ったんだ。”バンドを再結成したら、みんな熱狂するよ” ってね。そしたら彼は、”いや、どうかな” って。でも面白いもので、彼らが再結成した1年後、僕は彼らを見るためだけにロンドンに行ったんだ。今、彼らは巨大なバンドになっている。Spotify か TikTok か何かで、キッズたちがみんな彼らを発見したんだ。ここ数ヶ月の間に2回彼らを見たけど、観客の中には10代の子もいた。とても奇妙で、とてもクールだよ!
SLOWDIVE で一番好きなのは、”Souvlaki” からのアウトテイクで、”I Saw the Sun” っていう曲。加えて、”Silver Screen”, “Joy”, “Bleeds” といった曲があり、アルバムではリリースされなかった曲だけど YouTube で見ることができるし、おそらくブートレグもリリースされていたと思う。これらはバンドの曲の中で私が一番好きな曲だ。Rachel に再レコーディングや再リリースなどの予定はあるのかと聞いたことがあるんだけど、彼らはこうした曲が好きではないと思う。本当に素晴らしい曲なのに、残念だよね。ぜひ聴いてみてほしい。”Souvlaki: Demos & Outtakes” というタイトルだよ」
THE CURE にもみそめられています。
「Robet Smith は僕たちのアルバム “Kodama” のファンで、アルバムの全曲を演奏してほしいといって彼がキュレーションする Meltdown に招待してくれたんだ。僕は “冗談だろう?” って思ったね。
多くの人がポスト・パンクやニューウェーブに夢中になっているように、THE CURE はとても重要なバンドなんだ。だから、彼のような人がいて、彼が僕らを知っているという単純な事実だけでも、すでにすごいことなんだけど、彼がファンで、彼のフェスティバルで僕らに演奏してほしいと言ってくれたんだ。とても光栄だよ!」
“Les Chants De L’Aurore” は、SLOWDIVE の “Just for a Day” や RIDE の “Nowhere” といったシューゲイザーの名盤と肩を並べるような作品なのかもしれません。
「たぶん RIDE は、”Nowhere” ではドラムがシューゲイザーのレコードにしてはかなりラウドにミックスされていることから来ていると思う。SLOWDIVE や MY BLOODY VALENTINE では、ドラムはそこにあるけれど、もっと背景のような感じ。僕たちの新しいアルバムでは、ドラムが本当に聴こえるよね。ドラムを大音量でミックスしたのは、このアルバムが初めてなんだ。というのも、プロセス・ミュージックはメロディーやムード、雰囲気に重点を置いているからね。でも、ドラムの Winterhalter は、ドラム・パートにとても力を入れているんだ。だから、今回はドラムの音をもう少し大きくしてもいいんじゃないかと思ったんだ」

なぜ、”Spiritual Instinct” のダークでヘヴィな世界から離れたのでしょう?
「そこから離れる必要があったから。いつもツアーをしていると、一人でいることがなくて、いつも人と一緒にいる。だから、自分自身との接点を失うのはとても簡単なことなんだ。最初のインスピレーションは何?この音楽プロジェクトを作ろうと思ったきっかけは?
“Spiritual Instinct” で聴くことができるように、僕は少し混乱していて、フラストレーションを感じていたんだと思う。そして、自分のスピリチュアリティと再びつながることがどうしても必要だった。あのタイトルは、僕が少し混乱していた時期でさえ、たとえ迷いを感じていたとしても、自分の中にある内なる世界やスピリチュアリティを感じることができたという意味なんだ。それは消えることはなかった。パンデミックで僕たちは一区切りをつけ、このバンドに対する主なインスピレーションは何だったのか、このバンドで表現したいことは何だったのか、本当に集中し直した。そして、最初のアルバムにあったコンセプトに戻りたいと気づいたんだ。最初の2枚のアルバムは、この別世界について歌っているからね。光と調和というもうひとつの世界に戻ってきたんだ」
回帰といえば、今回のアートワークはファースト・アルバム “Souvenirs d’un autre monde” を暗示しているように思えます。
「フルートの少女だね。ファースト・アルバムはフランス語で “別世界の思い出” という意味。そのファースト・アルバムの少女が成長し、今、僕がこのプロジェクトで成長したように、彼女も大人になったという意味で、ファースト・アルバムへの言及を入れたかった。ALCEST を始めたのは14歳か15歳のとき。基本的には子供だった。そして、このキャラクターも僕も、この世界、ALCEST の世界の中で成長した。そして、ニューアルバムのジャケットでは、大人になった彼女を再び見ることができるわけだよ」

そして、オープニング・トラックの日本語 “木漏れ日” でこのジャケットを暗示しています。
「恍惚とした曲だよね。幸せな気分になる。光に満ちている。日本語には、英語にもフランス語にも訳せないような言葉がいくつかあるけれど、それがひとつの概念になっているところが好きなんだ。”Komorebi” は、春の木漏れ日を意味する。そしてそれは、まるで宝石のように葉をエメラルド色に変える。とても美しいと思ったよ」
ALCEST のレコードには、宝石の名前を冠した曲が収録されています。
「そう、実は小さな伝統のようなものなんだ。”Komorebi” は、ファーストアルバムの1曲目 “Printemps Emeraude” “エメラルドの春” の現代版のようなもの。”Shelter” には “Opale”、 “Kodama” には “Onyx”、”Spiritual Instinct” には “Sapphire”、そして新作には “Amethyst” が収録されている。だから全部かな!でも、アメジストには特別な意味があるんだ。紫は神秘主義と精神性の色だからね。だから、それを指しているんだ。この石を曲のタイトルに使うのは、僕らのキャリアの中で完璧な瞬間だと思ったんだ。とても強い意味があるんだよ」
ただし、Neige のスピリチュアリティは、神秘主義のような秘教的なものとは異なります。
「確立された考え方に従わないという意味で、秘教的なものはあまり好きではない。というのも、スピリチュアリティについてあまり詳しく読みたくないから。誰もが自分の考えが正しいと思っているけれど、地球上には人の数だけ真実があると思う。そして誰も知らない。誰もすべての意味を知っているふりはできない。神はいるのか、それとも?
でも、自分の感情や直感に耳を傾けるなら、僕はとても直感的な人間だから、スピリチュアルなものやこの種のものと、ただ本で何かを読むよりもずっと深いつながりを持つことができると思う。高次のものとのつながりを感じるために教会に行く必要がある人もいる。でも僕の場合は、自然の中に身を置く必要があるので、故郷に近い南フランスで多くの時間を過ごしている。そこにはとても美しい自然があり、バンド結成当初から私にインスピレーションを与えてくれた。
森の中や海の近くなど、特別な場所にいると、現実ともっと壮大なものとの橋渡しをしてくれるような気がするんだ。この背後に何かがあることを実感できるんだ。少なくとも、僕はそう感じている。すべてに意味がある。そして、僕たちがここにいるのには、それなりの理由がある。それが、このプロジェクトで私が話していることなんだ」

“もののけ姫” にインスパイアされたように、Neige は日本の神道、自然界に存在するものすべてに魂が宿るという側面に惹かれています。
「神道では、すべてのものに魂が宿ると信じられている。例えば、村の小さな川にも魂が宿っている。だから彼らは自然をとても大切にするんだろうね。山には山の魂があり、空には空の魂がある。ちょっと比喩的な表現になるけれど。日本人は、すべてのものに魂が宿っていると本気で言っているわけではないと思うけど、それがすべてのものを尊重することにつながっている。自分たちの周りにあるすべてのものに敬意を払う。それは、僕が日本文化でとても好きなところだよ。日本語では “God” のことを神と呼ぶけど、彼らは基本的にすべてのものに神を持っている。”もののけ姫” を見れば、それがよくわかるよね。彼らは森の精霊、巨大な樫のような生き物を描いている。本当に美しい」
アルバムは、前半は陽気で多幸感にあふれ、それから後半は悲しい中にも喜びがあるような流れです。
「そう、アルバムは最後の曲で少し暗くなる。最後の曲は、ギョーム・アポリネールというフランスの作家の詩で、”L’adieu”。これは英語で “farewell” と訳される。僕が取った詩のタイトルなんだ。とても悲しい歌だよ。
僕がアルバムでやりたいのは、最後にもう少し深みを持たせることなんだ。そうすると、ある種のミステリアスなゾーンに行き着くんだ。自分の感情をどうしたらいいのかわからなくなる。そして、本当に少し緊張してくる。それに、僕は100%ハッピーエンドが好きではないのかもしれない。たぶん、最後のほうで物事を少し複雑にするのが好きなんだと思う」
ピアノ曲の “Reminiscence” は今までの ALCEST の曲とは一風異なります。
「アルバムで本物のピアノを使い、完全なアコースティックの曲を作ったのは初めてだからね。チェロのように聞こえる楽器があるけど、これはチェロではなくヴィオラ・ダ・ガンバという楽器。とても古い楽器なんだ。すべてアコースティック。とてもシンプルな曲だ。間奏曲のようなものだけど、僕にとってはとても深い意味がある。なぜなら、この曲は僕が生まれて初めて触った楽器、祖母のピアノで録音されたから。祖母はピアノの先生で、家族みんなに音楽の手ほどきをした。レコードで聴けるのは、僕の家族全員が使っているこの楽器の音なんだ。そして僕たちは皆、この楽器から音楽の弾き方を学んだ。だから、祖母がもたらしてくれたものへの素敵なオマージュなんだ。祖母がいなかったら、もしかしたら僕はこの音楽を作っていなかったかもしれないからね」
そうして、ALCEST は暗い時代に光を投じる灯台のようなアルバムを完成させました。
「今僕らが生きている時代の暗さにインスパイアされたアルバムを2枚作った後、特にこの暗い時代に、調和と美しさとポジティブさをたくさん持ったアルバムを作れば、本当に際立つことができると思った。このアルバムは、まるで癒しのような感じがするから、みんなに楽しんでもらえると思ったんだ」


参考文献: FORBES:Alcest Flourish In The Unbridled Warmth Of Their Latest LP, ‘Les Chants De L’Aurore’

POST-PUNK .COM: BANDS FEATURED ARTICLES INTERVIEWS Emerald Leaves Shimmering in the Light of Dawn — An Interview with Alcest

KERRANG!:Alcest: “In dark times, to make an album of beauty and positivity could really stick out”

MARUNOUCHI MUZIK MAG ALCEST INTERVIEW

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【FREEDOM CALL : SILVER ROMANCE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH CHRIS BAY OF FREEDOM CALL !!

“The Audience On Our Concerts Is In Between The Ages Of 5 And 70. And We Are Happy To Maintain The Flame Of Metal For The Next Generations.”

DISC REVIEW “SILVER ROMANCE”

「”去年の夏は、SLAYERにハマってたんだ” なんて話を聞いたことはないだろう?そんなことはありえないんだ。メタル・ヘッズかそうでないか。人はそのどちらかだ。つまり、子供の頃はメタルを聴いていたけど、もう聴いていないなんていう人はいないはずだ。もし君がメタルに夢中なら、ずっと夢中なんだ!
一度ハマったら抜け出せねえ。言ってみれば、宗教さ」
EXODUS の Steve Souza の言葉です。たしかに、ヘヴィ・メタルの世界には自分も含めて “卒業” とは縁遠いファンが多いような気がします。メタルほど深い沼はない。その理由を、今年パワー・メタルの銀婚式を迎えた FREEDOM CALL の Chris Bay が弊誌に語ってくれました。
「メタル・ファンが最も忠実だということに同意するよ。私の意見だけど、メタル・ヘッズはただメタル音楽を聴いているのではないんだ。メタルはバック・グラウンドで流しているような音楽のスタイルではないからね。ロックとメタルはライフ・スタイルであり、このジャンルのファンは愛する音楽を積極的に、能動的に聴きながら生活しているのだよ…ラウドで激しくね..」
あのアルバムが出た時、結婚相手に出会った。就職した時は、あのTシャツを着ていた。愛猫が家に来た時は、あのライブに行った。そう、メタルはライフ・スタイルとなり、その人の人生と重なるような、インスタントとは程遠いヘヴィな音楽なのです。そうして、ファンとメタルは離婚とは無縁の幾久しき絆を育てていきます。
「”メタル・ジェネレーション” というアイデアは、何年も、何世代にもわたってこの種の音楽を支えてくれているすべてのメタル・ヘッズへの感謝の気持ちなんだ。私たちのコンサートの観客は5歳から70歳まで幅広い年代が来てくれる。そうやって、次の世代のためにメタルの炎を維持できることを嬉しく思っているんだ」
25年の銀婚式で幕を開ける FREEDOM CALL の “Silver Romance” は、まさにその幾久しき絆を祝う祝祭のパワー・メタル・アルバム。このバンドの素晴らしさは、勇壮なメタルの中に Chris Bay の趣味全開な80年代ポップス的かわいらしいメロディ、ビバリーヒルズ・コップを想起させるレトロなキーボードの祝祭感が織り込まれているところでしょう。
そんな彼らのお茶目で新たなサマー・パーティ・アンセムとなる “Metal Generation” は、メタルの絆を、灯火をつなげていくという決意表明でもあります。何世代にもわたってつながれ、更新され、愛され続けてきたヘヴィ・メタルの炎。5歳から70歳までが拳を突き上げ、 “メタルはみんなのもの” とシャウトする FREEDOM CALL のライブこそがメタルの寛容さ、自由、多様性の象徴でしょう。
「”フリーダム・コール” の意味は、以前にも増して時事的、今にあったものになっている。なぜなら、今この世界には数え切れないほどの戦争や残酷な行為があって、苦しむ人々、何百万人もの難民がいるからね。自由を求める声はかつてないほど大きくなっているよ」
そう、彼らのポジティブで優しい “ハッピー・メタル” こそ、暗い現代が求めるもの。彼らは大真面目に、寛容で敬意にあふれた世界、メタルによる世界平和の実現を夢見ています。バンド名を “自由への叫び” と名づけた25年前よりもかくじつに、世界には自由を求める人たちが増えています。FREEDOM CALL はそんな世界で今日も、法律より強く、鋼鉄とプライドでできた愛と平和のパワー・メタルを心の底から歌うのです。”メタル革命” が成就するその日まで。
今回弊誌では、Chris Bay にインタビューを行うことができました。「”メタルはみんなのもの” という言葉は調和のとれた世界を表現しているんだ。”一人はみんなのために、みんなは一人のために” というのがテーマだからね。ステージでこの言葉をつかうのは、もし世界中の人々がメタル・ファンになれば……地球は平和になると信じているからだ! メタルで地球に平和をもたらそう!」 二度目の登場。 どうぞ!!

FREEDOM CALL “SILVER ROMANCE” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【THE CHRONICLES OF THE FATHER ROBIN : THE SONGS & TALES OF AIROEA】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ANDREAS WETTERGREEN OF THE CHRONICLES OF FATHER ROBIN !!

“We Think It’s Sad If Someone Wants To Live And Express Themselves Only Through «New Formulas» And Dogmatic Only Seek To Do Something That No One Has Done Before. Then You Forget History And The Evolution Of Things, Which In Our Opinion Is At The Core Of Human Existence.”

DISC REVIEW “THE SONGS & TALES OF AIROEA – BOOK Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ

「最初は若いワインのように最初は有望で実り豊かなバンドだったけど、やがて複雑さを増し、私たち集団の心の奥底にある濁った深みで数年間熟成され、エレジオンの森のオーク樽で熟成されたとき、ついにそのポテンシャルを完全に発揮することになったのさ」
アルバムの制作に長い時間をかけるバンドは少なくありませんが、それでも30年を超える月日を作品に費やすアーティストはほとんど前代未聞でしょう。ノルウェー・プログの粋を集めた THE CHRONICLES OF FATHER ROBIN は、ロビン神父の数奇なる物語に自分たちの人生や経験を重ね合わせ、四半世紀以上かけてついに壮大な3部作を完成させました。
「90年代に親が着ていた70年代の古着に身を包み、髪を伸ばし、1967年から1977年の音楽ばかりを聴いていたんだ。当時のポップ・ミュージックやポップ・カルチャー・シーンにはとても否定的で、RUSH や YES, そして DOORS の音楽は、例えば RED HOT CHILLI PEPPERS や RAGE AGAINST THE MACHINE, NEW KIDS ON THE BLOCK など他のバンドが聴いている音楽よりもずっと聴き応えがあると、パーティーで長い間議論していたほどでね。私たちは、自分たちが他人よりより高い位置にいると確信し、できるだけ多くの “失われた魂” を救おうとしていたんだ。だけどそれからしばらくして、私たちは他人がどう思うかとか、彼らが何に夢中になっているかということに疲れ、ただ自分たちの興味と、ミュージシャンとして、バンドとしての成長にエネルギーを集中させていくことにした」
70年代が終焉を告げて以来、プログレッシブ・ロックはつねに大衆から切り離された場所にありました。だからこそ、プログの世界に立ち入りし者たちはある種の特権意識に目覚め、あまつさえ大衆の啓蒙を望む者まで存在します。90年代のカルチャーに馴染めなかった TCOFR のメンバーたちも当初はカウンター・カルチャーとしてのプログに惹かれていましたが、しかしワインのように熟成され、長い年月を重ねるにつれて、ただ自分たちが夢中になれる音楽を創造する “道” へと進んでいきました。
3部作のコンセプト最初の芽は、民話、神話、幻想文学、サイケデリア、冒険的な音楽に共通の興味を持つ10代の仲間から生まれ、最新の発見を紹介し合ううち、徐々にノルウェーの仲間たちは独自の糸を紡ぎ、パッチワークやレンガのように新たな色彩や経験を積み重ねるようになりました。それは30年もの長きにわたる壮大なブレイン・ストーミング。
「確かに、私たちはプログ・ロックの穴を深く這いずり回ってきたけど、クラシック・ロック、フォーク・ロック、サイケ、ジャズ、クラシック音楽、エスニック、ボサノヴァ、アンビエント・エレクトロニック・ミュージックなどを聴くのをやめたことはない。たとえ自分たちが地球上で最後の人間になったとしても、こうした音楽を演奏するだろう。私たちは、お金や “大衆” からの評価のために音楽をやったことはない。もちろん、レコードをリリースして夢を実現できるだけのお金を稼ぎたいとは思っているけど、どんなジャンルに属するものであれ、音楽を通じて自分たちの考えや感情を顕在化させることが最も重要であり、これからもそうあり続けるだろう。そしてそれこそが、極めてプログレッシブなことだと私たちは考えているんだ」
WOBBLER, WHITE WILLOW, Tusmørke, Jordsjø, IN LINGUA MORTUA, SAMUEL JACKSON 5など、ノルウェーの実験的でプログレッシブなバンドのアーティストが一堂に会した TCOFR は、しかしプログレッシブ・ロックの真髄をその複雑さや華麗なファンタジーではなく、個性や感情を顕在化させることだと言い切ります。
とはいえ、プログの歴史が積み重ねたステレオタイプやクリシェを否定しているわけではありません。学問もアートもすべては積み重ねから生まれるもの。彼らは先人たちが残したプログの書を読み漁り、学び、身につけてそこからさらに自分たちの “クロニクル” を書き加えようとしているのです。
表現力豊かな和声のカデンツ、絶え間なく変化するキーボードの華やかさ、ジャンキーなテンポ、蛇行するギター・セクションの間で、TCOFR の音楽は常に注意力を翻弄し、ドーパミンの過剰分泌を促します。ここにある TCOFR の狂気はまちがいなく、ノルウェーにおける温故知新のプログ・ルネサンスの成果であり、大衆やトレンドから遠すぎる場所にあるがゆえに、大衆やトレンドを巻き込むことを期待させるアートの要塞であり蔵から発掘された奇跡の古酒なのです。
今回弊誌では、WOBBLER でも活躍する Andreas Wettergreen にインタビューを行うことができました。「芸術の発展は、決して1969年の “In The Court of the Crimson King” やバッハのミサ曲ロ短調から始まったわけではない。芸術と芸術を通した人間の表現力は非常に長い間続いており、それは何世紀にもわたって展開し続けている。イタリアの作曲家カルロス・ゲスアルドは、16世紀に複雑で半音階的な難解な合唱作品を作ったが、一方で今日作られるもっとシンプルな合唱作品も美しく興味深いものである。両者は共存し、決して競い合うものではない。
心に響くなら、それはとても良いスタートだ。それが知性も捉えるものであれば、なおさらだ。音楽と芸術はシステムの問題ではなく、感情と気持ちの問題なんだよ。最も重要なことは、良い音楽に限界はないということだ」 ANEKDOTEN, ANGLAGARD に追いつけ、追い越せ。どうぞ!!

THE CHRONICLES OF FATHER ROBIN “THE SONGS AND TALES OF AIROEA” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【BEATEN TO DEATH : SUNRISE OVER RIGOR MORTIS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MIKA MARTINUSSEN OF BEATEN TO DEATH !!

“I Urge You To Look Closer, Because I’m Still Trying To Keep My Precious Hair From Leaving My Balding Head, Haha! For Sure, There’s Not Much Left To Save, And It’s Hard To Imagine I’ll Keep It This Way Until I Die, But I Promise To Do My Best! “

DISC REVIEW “SUNRISE OVER RIGOR MORTIS”

「よく見てよ。僕はまだ、貴重な髪をハゲ頭からなくさないようにしているんだ!(笑) 確かに、残りは少ないし、死ぬまでこのままとは思えないけど、頑張るって約束するよ! !」
絶滅の危機を経て、メタルはいつしか現実世界の抑圧、孤独からの素晴らしき逃避場所として多くの人に救いをもたらすようになりました。戦争や分断、極右の台頭という生きづらい世界を公然と批判して風刺するバンドも増えています。そうした理不尽や権利に対してメタルが持つ反発力は、蹂躙されしものたちのまさに希望。
そして今、この世界で最も蹂躙され抑圧されしものこそ “オッサン”。もちろん、権力を持ち蹂躙するのもオッサンであれば、また社会から最も阻害され孤独を感じているのもオッサンなのです。オッサンというだけで即通報。出会って2秒で豚箱行き。そんな世の中に反旗を翻すべく、ノルウェーの BEATEN TO DEATH は “Sunrise Over Rigor Mortis” でオッサン讃歌のグラインド・コアを叩きつけました。
それを象徴するのが “My Hair Will Be Long Until Death”。死ぬまで髪の毛を離さねえ。ツーブロやセンターパート、毛先カラーで髪の毛を謳歌する若者たちに、オッサンの悲壮な頭志いや闘志を見せつける楽曲は、同時に大切なものや人を喪失した世界中の悲しみに勇気と共感を与えていきます。
そう、バーコードに撫で付けた髪の毛のごとく、失うことや年齢を重ねることはたしかに苦しいけれど、アルバム・タイトル “死後硬直に差す陽光” が示すように、いつだって何かを追い求め、ユーモラスに優しく前を向いていれば、死してなお朝日は昇ってくるのです。
「数ヶ月前にロンドンで NAPALM DEATH を観たんだけど、もちろん Barney は、人類がこれまで  “クソみたいな違いをいかに解決してこなかったか” についてスピーチをしたんだ。違いは悪じゃない。グラインド・コア・バンドがそうやって、僕たちの共有する地球の状態について何か言ってくれるのはありがたいよね」
つまり、年齢、性別、国籍、文化、宗教など人々の持つ “違い” など些細なこと。それをいかに個性として包容し、寛容になりあえるかがきっと人類の未来にとって重要な鍵なのでしょう。NAPALM DEATH の Barney に言われるまでもなく、BEATEN TO DEATH はそうした異端や逸脱、違いという名の個性を独創的なグラインド・コアで表現することで、寛容な心を世界に届けていきます。
「僕らのプレイが “真の” グラインド・コアかどうかということにあまりこだわらないということの自然な結果だと思う。新しい曲を作るときは、ほとんどクリーンなギター・サウンドでハーモニーやダイナミクスを試す方が自然だと感じるんだ。僕自身は、もっとハーモニーが冒険的でキャッチーでありながら、もっと過激でアグレッシブになれると感じている」
実際、彼らのグラインド・コアは暴力一辺倒ではありません。PIG DESTROYER, BRUTAL TRUTH, NASUM を敬愛しつつ、YES, VAI, MESHUGGAH, Zappa, Holdsworth といったプログ・パラダイスで育った Mika。ゆえに、彼らのグラインド・コアには繊細で知的な一面が素晴らしきコントラストとして映し出されています。
さらに、杏里、松原みき、竹内まりや、大貫妙子といった遠き日本のシティ・ポップのハーモニーまで養分として取り込んだ BEATEN TO DEATH のグラインド・コアは、見事に世界中の “違い” を音楽で解決していくのです。
今回弊誌では、4月に来日公演も成功させたベーシスト Mika Martinussen にインタビューを行うことができました。「正直なところ、僕にとっては、ブラック・メタルは全く好きではないんだ!失礼な言い方かもしれないけど、僕には信じられないほど無味乾燥で退屈に思えるし、ユーモアがなくて独りよがりなものなんだよ。シアトリカルな面もあまり好きじゃない。でも、他のメンバーの何人かは、なぜかそういうものに夢中なんだ」 どうぞ!!

BEATEN TO DEATH “SUNRISE OVER RIGOR MORTIS” : 10/10

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