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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【ANGINE DE POITRINE VOL. Ⅱ】 FUJI ROCK 26′


COVER STORY : ANGINE DE POITRINE “VOL. Ⅱ”

“I built the first microtonal guitar we used myself. I added more frets on a guitar with a saw. The moment we started playing it, we just laughed!”

ANGINE DE POITRINE

「ノコギリでフレットを増やしたんだ」 ANGINE DE POITRINE (フランス語で狭心症の意) は “意味不明” なマイクロトーン・ダブルネック・ギターを自作。そうして今、彼らはネット上で爆発的な人気を博しています。
ジャズ、プログ、マスロックを融合させた彼らの濃密なサウンドは、数百万回の再生回数を記録し、Rick Beato や Cory Wong, Dave Grohl といったミュージシャンを驚愕させながら、音楽世界の話題をかっさらっています。
ケベック出身の型破りなデュオは、まるで別次元、別宇宙から来たかのような、見た目も音色も異彩を放つ自作のマイクロトーン・ダブルネック・ギターを手に、不協和音をバイラルな言語へと昇華させ、先月KEXPで行われた彼らのパフォーマンスは、なんと350万回以上の再生回数を記録。FUJI ROCK 26′ への参戦も決定。
2020年から活動を開始し、ケベックを拠点とするこのデュオは、まさに方向感覚を失わせるようなサウンドを奏でています。彼らの黒と白の水玉模様の衣装と張り子の頭部は、そのミステリアスな雰囲気をさらに高め、ただでさえ異質なサウンドに、催眠的でありながら悪夢のような視覚的アイデンティティを与えているのです。しかし、真の物語は彼らの指先に込められています。
異質な存在の始まりは、やはり異質でした。
「初めてお互いの音楽を聴いたのは、初めて一緒にジャムセッションをした時だった。子供の頃、僕たちは音楽を仕事場というより遊び場のように捉えていてね。午後は地下室で過ごしたり、時にはドラムとアンプを野外に持ち出して自由に即興演奏をしたりしていたんだ。僕たちが結束を固め、緊密な共通の芸術的ビジョンを築き上げてきたのは、カバー曲を演奏することに全く興味がなく、自由な即興演奏を通して一緒に演奏することを学んだからだと思う。
常に、グロテスクな即興演奏で笑いを取ったり、自分たちのオリジナル曲のレパートリーを増やしたりすることを目指していた。あるいは、遊びを通して互いに刺激し合うこともあった。例えば、”おい、こっちの友達に無調のウォーキング・ベースを三連符で弾いてもらって、ギターは奇妙な16分音符のラインで切り込みを入れて、ドラムはスウィングと均一なリズムを交互に刻むんだ。まるでビデオゲームのビートみたいにね” といった具合にね」

当時も今も、二人はギタリスト Khn の家をリハーサルスペースとして使っています。彼ら曰く、そこは “混沌としていて、ちょっと崩れかけている” 場所で、アリやネズミがいて、壁にはカビが生え、屋根からは水が漏れているそうです。しかし、その環境には独特の静けさがあり、それが彼らの奇妙な演奏を可能にしているといいます。「森の中の静かな場所だから、いつでも思いっきり騒げるんだ」
ANGINE DE POITRINE の初の公式コンサートは、シクティミで開催されたパフォーマンスアート・イベントで行われました。そこで二人は、好奇心旺盛でオープンマインドな地元の人々からすぐに支持を得ることに成功します。
「あの最初のショーは、もし僕らが活動を続けたらどうなるかという試金石だった。バンドの構想は、ライブ・パフォーマンスに特化していて、最初はちょっとした冗談だった。でも、僕たちがこれまでやってきたことの多くは、そういう瓢箪から駒的なものなんだ」
ふたりは匿名性について語ろうとはしませんが、バンド名とインスピレーションの源については(ユーモラスに)認めています。
「視覚的にも音響的にも、僕たちの主なインスピレーション源はテングザルだ。バンド名は最初は冗談で出したものだったけど、不協和音による心臓機能不全というアイデアと合致していることに気づいた。それと、いくつかの曲に感じられる切迫感もね」
たしかに、”切迫感” という言葉は、ANGINE DE POITRINE の特徴である、力強く、微分音的で、ループを多用したサウンドとその進化を的確に表現しています。
「僕たちは物事を自然に進化させている。音楽の方向性に厳密なスタイルの境界線を設けないでね。僕たちの音楽的嗜好はロック音楽に深く根ざしているので、常に少し “ヘヴィ” な雰囲気があるかもしれないね。でも、曲を通してさまざまな影響を感じ取ることができるだろう。”Vol. II” では、あまり深く考えずに、さまざまな方向へ進んでみた。そういうこともあるんだってね」

作曲における彼らのモットーは何でしょう?
「僕らのモットーは常に、新鮮な音楽的アイデアを世に送り出し、驚きで脳を刺激しつつ、ある程度シンプルさを保つことなんだ。変拍子をできるだけ聴きやすくしようと常に心がけているんだ。タイトで “複雑な” ビートと、すごく踊れるビートの間を行き来するのが好きなんだ。ギターのように、緊張と解放のパターンを作り出すようにしているんだよ」
とはいえ、考えすぎてはいないようです。
「僕たちは、象徴主義にはあまり重きを置いていないんだ。バンド全体として、深い概念的な思考プロセスは存在しなくてね。みんなが耳にする、目にするすべてのものは、常に僕たちの独特なユーモアのセンスの産物であり、それが僕たちの共通の創造空間の根底にあるものだ。つまり、音楽に合わせて体を揺らし、笑い、奇妙で不条理、あるいは驚きに満ちた美的表現(視覚的なものも音楽的なものも)を通して、喜びの状態に到達するのが目的なんだ」
独特の衣装も偶然の産物で、強いていえばリスナーの驚きを誘うため。
「衣装は、初めてのライブのために即興で作ったんだ。アンディ・カウフマンみたいな、地元の観客を驚かせるためのちょっとしたイタズラみたいなもので、ライブを1回や2回、あるいは3000回やるかどうかも分からなかったからね。最初は冗談のつもりだったんだ。僕たちはジョークが大好きで、アイデンティティの一番の源だからね。何事も少し軽快で楽しいものが好きだ。時が経つにつれ、僕たちのバンドがちょっと風変わりだということを受け入れるようになってきた。そして今では、それが別の意味で役に立っている。プライベートとステージ上のペルソナを切り離し、匿名性を保つことができるからね」

彼らのサウンドの中心にあるのは、自作のマイクロトーン楽器。ストラトキャスター型のダブルネックギターで、エレキギターとベースの中間のような形状をしています。このギターは手作業でフレットを追加することで改造されていて、標準的な西洋音階の音程間の音程を奏でることができるのです。
Jack White のギターとベースを融合させた “アグリー・スティック” を彷彿とさせるこのギターは、ギターとベースを兼ねたダブルネック構造で、その特徴はとんでもなく奇妙なフレット間隔にあります。Bumblefoot のフレットレスのように、これまでにも興味深いダブルネック・ギターはいくつか存在しましたが、これは全く異なる存在かもしれません。そうして、実験的に始まったものが、あっという間にバンドの代名詞となりました。
「僕たちが最初に使ったマイクロトーン・ギターは、自分で作ったんだ」と、ドラマーの Klek de Poitrine は告白しています。「ノコギリを使ってギターにフレットを追加したんだよ。でも演奏し始めた瞬間、みんなで笑ってしまったんだ。でも、僕はギタリストじゃないから、楽器のポテンシャルを十分に引き出せていなかった。それで、Khn に持って行って、”これ、絶対試してみて。全く意味不明だけど” って言ったんだ。そしたら、演奏し始めた瞬間、不協和とそれぞれの音の近さに、みんなで大笑いしたよ」
その “不協和” こそが重要でした。インドと日本の音楽伝統からインスピレーションを得たこのデュオは、四分音やマイクロインターバルを装飾としてではなく、楽曲の基盤として活用しているのですから。
プログレッシブ・ロックとモダン・ジャズをバックグラウンドに持つギタリストのKhnは、ギターを異国情緒あふれる目新しい楽器としてではなく、ハーモニー言語の拡張手段として捉えています。
「四分音を使うことで、半音階的なアイデアを拡張し、より緊張感を高めることができる。そうすることで、Frank Zappa のようなフレージングに近いものになるんだけど、僕らはさらにその先へと突き詰めている。結局のところ、僕たちが作る曲のほとんどは、John Scofield の “Überjam” や Miles Davis の “So What” のような曲とハーモニー的に比較できるだろう」

Klek がマイクロトーンに惹かれた理由は何だったのでしょう?
「ドラマーだけど、昔から “東洋音楽” 、つまりインド音楽や日本音楽などが大好きなんだ。音符が増えることで、より複雑な響きが生まれるように感じてね。四分音や三分音がもたらす深みに、いつも魅了されてきたよ。音符間の緊張感や不協和をこよなく愛する僕たちにとって、その方向へ進むのはごく自然な流れだった」
ギタリストの Khn はまず、アラビアの響きに惹かれていました。
「最初は、アラビア風の響きをどうにかして出そうとしていたんだ。でもすぐに、よりモード的なアプローチへと移行し、非常にステレオタイプで、結局は自分の文化ではないものを連想させるようなものに陥ることなく、不協和音の可能性を最大限に活用しようとしたね。それに、僕自身の音楽的背景は、プログレッシブ・ロック、モダン・ジャズ、そして現代音楽に深く根ざしている。僕にとって、四分音をもっとキュビズム的、というか、Frank Zappa 風のフレーズで使うのはごく自然なことなんだ。四分音を使うことで、倍の長さの半音階的なアプローチを探求し、より緊張感を高めることができる」
また、トルコのロックや、日本の伝統音楽、そして KING CRIMSON が “Dicipline” で探求したインドネシアのガムラン音楽も影響を受けていると述べています。しかし、時が経つにつれ、彼らはこの独特な楽器を本当の意味で自分たちのものにしつつあります。
「僕たちは、ロックのグルーヴ美学に深く根ざした、独自の音楽言語を探求しているんだ。まだそれほど長くこの手法に取り組んできたわけじゃない。ギターを弾き始めて20年になるけど、マイクロトーンを探求したのはせいぜい4、5年くらいかな。まさに今、僕たちが開いたばかりの扉なんだ」

Klek のお気に入りのバンドはなかなかに通好み。
「僕の生涯のお気に入りは、70年代のプログレッシブ・ロック・バンド、GENTLE GIANT だ。彼らは本当に変人で、プログレッシブ・ミュージックのオタクだった。BLACK SABBATH の前座を務めたんだけど、あまりにも奇妙だったから観客はブーイングしたんだ。観客は準備ができていなかった。ヘヴィ・メタルのリフを求めていたのに、GENTLE GIANT はバイオリンやトランペット、中世の衣装で現れたんだ(笑)。
あと、DUA LIPA は本当に最高にイカしたグルーヴを生み出すと思う。Calvin Harris の音楽全般も、本当に素晴らしい名曲ばかり。過小評価されているバンドといえば、僕の友人で LE PARC というバンドのメンバーにもエールを送りたいね。彼らは僕たちより少し若いけどとてつもない実力派だよ。彼らは一流のプログレッシブ・ロックを演奏する。彼らが国際的にブレイクすることを願っているんだ。少なくとも、彼らが望むだけの名声を得ることをね。だって、本当に、彼らはブレイクするに値するんだから」

Khn は複雑な音楽に没頭する時期は終わったと考えています。
「ほら、誰しもがもっと凝った、もっと複雑なものに共感しようとする時期を経るじゃない。大学で音楽を勉強した後、その時期は終わったよね。今はポップをたくさん聴いているんだ。実は、僕も Calvin Harrisという名前が頭に浮かんでいて、リアーナや DUA LUPA 、その他 Calvin がプロデュースした大物ポップスターたちのヒット曲はどれも最高なんだよな。
過小評価されているバンドなら LOUNGE LIZARDS かな。有名ではないけれど、世界中のアンダーグラウンドシーンでは認知されているバンドだからね。本当にユニークで、他に類を見ない個性を持ったバンドなんだ。ジャズの美学を取り入れつつも、ポップ・ロックのスタイルで演奏する。そして、そのエネルギーはパンクに近い。初めて彼らの音楽を知った時は、本当に衝撃を受けたよ。ギタリストの Arthur Lindsay のギターの弾き方は、ジャズとは全く関係ないんだ。彼はノイズシーン出身で、意味不明なリフを思いつく。まるで音色や音符の概念を拒否しているかのようだ。彼は明確に定義できる音符やメロディーを演奏しない。だから彼のギター演奏が大好きだ!
僕が最も誇りに思うアーティストは、ケベックのバンド、DEUX POUILLES EN CAVALE で、彼らのライブでのルーパーの使い方に本当に感銘を受けた。彼らは僕たちにデュオで演奏するよう刺激を与えてくれたね。僕は彼らのツアーに同行し、彼らが演奏するほぼすべての場所に行った。彼らを見るためにヒッチハイクまでしたんだ」
Rick Beato によれば、ANGINE DE POITRINE ほど彼の受信箱に大量のメールが殺到したアーティストは他にいないそうです。
「彼らについてのメールが1日に25通届き、コメントは何千件にも上っている。彼らの演奏を聴くと、”一体どうやって演奏しているんだろう?” と驚かされてしまうよね。これが未来の音楽のサウンドだと私は想像しているよ」
4月2日にセカンドアルバム “Vol. II” をリリースした彼らの使命は明確です。マイクロトーン音楽を、単なる珍しい音楽ではなく、完全に確立された音楽のひとつとして、そして Jeff Beck がこれまで探求してきたマイクロトーンの限界を超えて、メジャーへと押し上げることです。
「目標は、マイクロトーンを他の音と同じように使うこと。装飾としてではなく、言語そのものとして使うことだよ」
彼らの奇妙で不協和音に満ちた世界は、2026年を通してさらに拡大していくことでしょう。

参考文献: GUITAR WORLD :microtonal guitar has been the key to their unlikely success

NOISE MAG:ANGINE DE POITRINE: A DISCUSSION WITH THE INFECTIOUS QUEBEC BAND

FLOOD MAG:Angine de Poitrine Put the “Big” in Ambiguous

FUJI ROCK FESTIVAL 26′

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【EXXÛL : SEALED INTO NONE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH PHIL TOUGAS OF EXXÛL !!

“I got this idea from Sortilège, a french band that has greatly inspired me. The song “Délire d’un fou” has a short moment like this and the first time I heard this solo, I couldn’t believe it! This song marks probably one of the greatest moments in heavy metal history in my book. Not only that, but I couldn’t believe more bands that came after them didn’t try this either.”

DISC REVIEW “SEALED INTO NONE”

「独自の音楽で故郷ケベック州を代表することが僕の使命だと考えているんだ。また、僕の活動を通して、音楽シーンを活性化させ、仲間や友人たちがそれぞれの個性を磨き、独自のサウンドを確立していくよう、刺激を与えたいと思っているんだ。こうした思いから、僕は “TSO”(The Stygian Oathの略)というレーベルを設立したんだ」
今、メタル世界で Phil Tougas ほど多忙かつ、才能溢れる人物は他にいないかもしれません。FIRST FRAGMENT ではシュラプネルに敬意を表したフラッシーなテクニカル・デスメタルを叩きつけ、ZEICRYDEUS では MANOWAR や RUNNING WILD をベースだけで演じきり、WORM では ENSLAVED がドゥームと契ったネクロマティックな音楽を披露。Phil の多才は TSO という自身の音楽を解き放つためのレーベルを立ち上げるにまで至り、今やケベックの、いやカナダ、もっといえば世界のメタルを牽引する場所にいます。
Phil がメタル世界で一目置かれているのは、その独特で斬新な古の音楽に対するリスペクトが故でしょう。多くの “モダンな” メタル・バンドが影響を受けている GOJIRA のような “メジャー” には目もくれず、Phil は多くのマニアにとって特別な、しかしナードなバンドを追い続け、創造的な音楽を作り続けています。
例えば、ZEMETH の Junya 氏が MAGO DE OZ や RATA BLANCA, DARK MOOR といったマニアックなバンドに対する愛情を隠さないその姿に、私たち真のメタル・オタクは心を動かされ、喝采を送ります。それは、彼が私たちと同じ熱量と時間をメタルに費やした “こちら側” の人間、本物である証明だから。メタルに対する深い知識と愛情は、そのまま絶大な信頼感へと置き換わります。そしてもちろん、Phil Tougas も同様に、”こちら側” の人間です。
「僕の目標はパワー・ドゥーム・アルバムを作ることだった。速いテンポと遅いテンポを組み合わせ、ダークでスローなリフの上に高揚感のあるボーカルとシュレッディングを乗せて、独特の音楽的コントラストを生み出したかった。多くの界隈でプログレッシブ・ドゥームと見なされている MEMENTO MORI や VENI DOMINE に影響を受けたとはいえ、このアルバムを必ずしもプログレッシブ・メタル・アルバムとは考えていないよ」
こちら側の人間だからこそ、Phil は EXXÛL でメタル史に残る傑作 “Sealed into None” を生み出せたのでしょう。驚くべきことに、このアルバムは、ドゥーム・メタルとプログ・パワーという、一見仄暗く遠い場所にある音楽が見事に融合した、古めかしくも斬新で、非常に稀有な作品です。Phil が言及しているように、あの素晴らしき MEMENTO MORI はもしかすると近い場所にいたかもしれません。とはいえ、FATES WARNING の迷宮と SOLITUDE AETERNAUS の陰鬱がブラック・メタルやダンジョン・シンセを経て、これほど濃密に美しく混ざり合えるなど、誰が想像したでしょう?
「”スキャット” のアイデアは、僕に大きなインスピレーションを与えてくれたフランスのバンド、Sortilège から得たんだ。”Délire d’un fou” という曲に、まさにこのような短いパートがあり、初めてこのソロを聴いた時は信じられなかったよ!この曲は、僕にとってヘヴィ・メタルの歴史の中でも屈指の名曲となった。それだけでなく、彼らの後に続くバンドがなぜこの手法を取り入れなかったのか、不思議でならないんだよ」
そのふたつを見事に繋いだのが、Phil の “GOAT” とも評される卓越したギター・シュレッドでしょう。WORM の作品に Marty Friedman を招いたように、彼のシュラプネルやシュレッドに対する愛情もまた本物。同世代の教科書通りのギタリストたちを置き去りにする、大胆不敵でヘヴィ・メロディックな Phil の魔法は、CRIMSON GLORY の Midnight を彷彿とさせる驚異のボーカル Thomas Karam の歌声とシンクロし、ダークな深淵からメタルのスキャットをお見舞いします。SORTILEGE を聴いたことのない奴は黙ってろ!真に信頼できるのは、そんな一見さんお断りでしかし絶品のグルメを提供する通な店なのかもしれませんね。”Painkiller” や “Into the Arena” みたいな有名曲ばかり上手に弾いて再生数だけ稼いでんじゃねえ!
今回弊誌では、Phil Tougas にインタビューを行うことができました。「僕は日本のメタルも大好きだよ。SABER TIGER が大好きでね。彼らのデビュー・アルバム “Invasion” は、僕にとって歴代最高のメタル・アルバムの一つなんだ。 Anthem, Fast Draw, Loudness, Sex Machineguns から GISM, Funeral Moth, Corrupted, Viscera Infest, Anatomia, Coffins, Somnium De Lycoris。それから Galneryus, X Japan, Skywings, Versailles といった過激なパワー・メタルまで、日本のメタルはほとんど好きなんだよ」21世紀最高のメタル・アルバムのひとつ。 二度目の登場。どうぞ!!

EXXÛL “SEALED INTO NONE” : 10/10

INTERVIEW WITH PHIL TOUGAS

Q1: I interviewed you previously for First Fragment, and since then you have released works in a variety of bands! It seems that you are involved in about half of the metal released from Canada! haha! Is your creativity really never ending?

【PHIL】: I am always inspired to write music. I am not able to write every day. I must maintain a balance between writing music, performing shows, rehearsing, teaching music, running my label and spending time with friends, family, my girlfriend as well as going to shows, doing photography or playing video games. But I try to be consistent. What drives me the most is to create music that differs from what is currently being done in my province of Québec. The scene here is strong but some bands sound very similar. It is my duty to represent my province with music that offers something unique. I also do this to push my scene forward and to motivate my colleagues and friends in the scene to develop their individual sound & do the same.
This is why I also created my label TSO, which stands for The Stygian Oath. The mission statement of this label is the same as what I described above. My bands Zeicrydeus, Exxûl, Atramentus, Chthe’ilist, First Fragment & DDT are all affiliated to this label. My bandmates’ bands Dissimulator & Incandescence also put out music on this label too. As such, TSO can be considered as a collective.

Q1: 以前、FIRST FRAGMENT でインタビューさせていただきましたが、それ以来、様々なバンドで作品を発表されていますね! カナダからリリースされるメタルの約半分に関わっているような感じですね!(笑) あなたのクリエイティビティは本当に尽きることがないのでしょうか?

【PHIL】: 僕は常に音楽制作への意欲に満ち溢れているからね。もちろん、毎日作曲できるわけではないよ。作曲、ライブ活動、リハーサル、音楽指導、レーベル運営、友人や家族、恋人との時間、ライブ鑑賞、写真撮影、ビデオ・ゲームなど、様々な活動のバランスを取らなければならないと思っているからね。それでも、できる限り継続するように心がけているんだ。
僕を最も突き動かすのは、故郷ケベック州で現在行われている音楽とは一線を画す音楽を生み出すこと。この地の音楽シーンは活気に満ちているけど、似たようなサウンドのバンドも少なくないからね。だからこそ、独自の音楽で故郷ケベック州を代表することが僕の使命だと考えているんだ。また、僕の活動を通して、音楽シーンを活性化させ、仲間や友人たちがそれぞれの個性を磨き、独自のサウンドを確立していくよう、刺激を与えたいと思っているんだ。
こうした思いから、僕は “TSO”(The Stygian Oathの略)というレーベルを設立したんだ。このレーベルの理念は、まさに前述の理念と同じ。僕の所属バンドである Zeicrydeus, Exxûl, Atramentus, Chthe’ilist, First Fragment, DDTはすべてこのレーベルに所属しているんだ。僕のバンド仲間が所属する Dissimulator と Incandescence もこのレーベルから作品をリリースしているよ。だから、TSOは一種のコレクティブ(集団)とみなすことができるだろうね。

Q2: Zeicrydeus was really great too! How did you come up with the outlandish idea of lead-based black metal influenced by Manowar and Running Wild?

【PHIL】: The idea came long ago. The first song I wrote for this band was in 2018 when I was still in Eternity’s End. It didn’t fit the band so I kept the song for a heavy metal side project alongside a 2nd song. I gave up on the idea quickly however, due to the near-absence of traditional heavy metal vocalists in my province. In 2024, I decided I wanted to release these songs. I wrote more songs in the same vein and I recorded Black Metal vocals on top of them. The combination of Greek Black Metal and 80s heavy metal influences felt appropriate for me, having grown up with both. I felt I also couldn’t allow myself to repeat old ideas so I decided to put the bass at the forefront, going as far as replacing my guitar solos by bass solos. No one in black metal except Necromantia & Mortuary Drape does this. I played bass in my school orchestra for 5 years and played gigs as a bassist in my teenage years so it was great to fall in love with bass again. My last recording to feature my bass playing was on Le Dernier Crépuscule which I recorded in 2015. I did the bass on Le Dernier Crépuscule at the last minute as a necessity. On La Grande Hérésie, I could take my time and make sure to write the best bass lines and bass solos possible. I was influenced heavily by Joey Demaio of Manowar, Jens from Running Wild, Steve Harris of Iron Maiden, Flint from Cirith Ungol, Wally Voss from Joey Tafolla’s former backing band, Billy Sheehan of Mr. Big & Derek from Heir Apparent.

Q2: Zeicrydeus も本当に素晴らしい作品を出しましたね! その、MANOWAR や RUNNING WILD に影響を受けた “リード・ベース” のブラックメタルという突飛なアイデアはどうやって思いついたのですか?

【PHIL】: このアイデアはずっと前に思いついたものでね。このバンドのために最初に書いた曲は、僕がまだ Eternity’s End に所属していた2018年のことだった。Eternity’s End には合わなかったので、2曲目と一緒にヘヴィ・メタルのサイドプロジェクト用に取っておいたんだ。だけど、僕の住む地域には伝統的なヘヴィ・メタルのボーカリストがほとんどいなかったから、すぐにこのアイデアを諦めてしまったんだ。
2024年、その時の曲をリリースしたいと思い、同じような曲をさらに書き、その上にブラックメタルのボーカルを録音していったんだ。ギリシャのブラックメタルと80年代のヘヴィ・メタルの影響の組み合わせは、両方と共に育った僕にとってまさに適切だと感じたよ。また、そうした古いアイデアを繰り返すことは許されないと感じたので、ベースを前面に出すことに決め、ギター・ソロをベース・ソロに置き換えることさえしていった。ブラックメタルで Necromantia と Mortuary Drape 以外にこれをやっているバンドはいないからね。
僕は学校のオーケストラで5年間ベースを演奏し、10代の頃にはベーシストとしてライブもやっていたから、再びベースに夢中になれたのは素晴らしい経験だった。それまで、ベースを演奏した最後のレコーディングは、2015年に録音した “Le Dernier Crépuscule” だった。”Le Dernier Crépuscule” では、やむを得ず土壇場でベースを演奏したんだ。”La Grande Hérésie” では、時間をかけて最高のベース・ラインとベース・ソロを作曲することができたね。
ベーシストなら、MANOWAR の Joey Demaio、RUNNING WILD の Jens、IRON MAIDEN の Steve Harris、CILITH UNGOLの Flint、Joey Tafolla の元バックバンドの Wally Voss、Mr. BIG の Billy Sheehan 、HEIR APPARENT の Derek から大きな影響を受けたよ。

Q3: I also like WORM’s “Necropalace” very much. What kind of music is Necromtic Black/Doom for you?

【PHIL】: Necropalace combines the extreme doom metal sensibilities of Disembowelment, Evoken & Dolorian with black metal like early Samael, Limbonic Art, Emperor, Odium, Abigor, Enslaved as well as gothic and 80s heavy metal influences. It is very easy to tell what inspired this album on the surface. However, a more attentive listen will reveal that these similarities are only at surface-level; we crafted our song structures in a completely different manner than the bands that inspired us. We drew more from classical music than anything else to create a more cinematic experience with each song. There is also a big shrapnel records era influence on this album much like First Fragment. In fact, the last song on Necropalace, titled Witchmoon, features Marty Friedman who did a guitar solo duel alongside me that goes on for nearly 3 minutes. A must-listen for all Marty Friedman and Cacophony fans.

Q3: WORM の “Necropalace ” もとても気に入っています。その WORM の二つ名である、”Necromtic Black/Doom” とはどんな音楽ですか?

【PHIL】: “Necropalace” は、Disembowelment, Evoken, Dolorian のようなエクストリーム・ドゥーム・メタルの感性と、初期のSamael, Limbonic Art, Emperor, Odium, Abigor, Enslavedのようなブラック・メタル、そしてゴシックや80年代のヘヴィ・メタルの影響を融合させた作品なんだ。
表面上は、このアルバムのインスピレーション源は容易に分かるだろう。しかし、より注意深く聴けば、そうした類似点はまさに表面的なものに過ぎないことに気づくはずさ。僕たちは、影響を受けたバンドとは全く異なる方法で楽曲構成を構築していった。各楽曲でより映画的な体験を生み出すために、何よりもクラシック音楽からインスピレーションを得ているんだよ。また、First Fragment と同様に、このアルバムには Shrapnel Records 時代の大きな影響も見られるよね。実際、”Necropalace” の最後の曲 “Witchmoon” では、Marty Friedman が僕と3分近くにわたるギター・ソロのデュエルを繰り広げているよ。Marty Friedman と CACOPHONY のファンは必聴だね。

Q4: Now let’s talk about Exxul. For me, this album is one of the best metal albums of the 21st century!In fact, I have never heard a progressive doom album with such a strong guitar shred! Was it a fusion of shred and doom that you were aiming for with Exxul?

【PHIL】: Right from the start, my goal was to create a power doom album. I wanted to combine fast and slow tempos with soaring vocals & shredding over dark slow riffs to create a unique musical contrast. I don’t see this album as necessarily a progressive metal album, even if I was inspired by Memento Mori & Veni Domine who are considered as progressive doom in many circles. Our songs are long, sure, but it’s mostly because we play slow and we like to build things up. One thing is certain however : we don’t always rely on typical song structures. Blighted Deity for example, was written around the melody that occurs at the start of the song. This melody shows up again in the three choruses, but in a different key. It also shows up again in the 2nd solo and in the first faster-paced riff of the song midway through, then one last time at the very end of the song. The song is centered around a central theme rather than a typical compact structure. However, this was not done to appear “progressive”. This type of songwriting is necessary to effectively fuse power and doom. The only way to make “power doom” that maintains cohesion through multiple tempo changes is to use recurring motifs that sound as good when played fast or slow. These changes must be given a proper build up, too. Hence the long songs. The same process is used in “Wall Of Endless Darkness. The super slow doom riff at the beginning of the song comes back as a fast galloping power metal riff during the 2nd half of the song.
There is also a strong black metal influence on this album from the synth sounds & use of timpani and harsher rhythm guitar tones to the use of the chromatic median in our chord sequences. As a result, Sealed Into None is darker than the average epic doom album..

Q4: では、EXXÛL について話しましょう。 私にとって、このアルバムは21世紀最高のメタル・アルバムのひとつです!実際、これほどギター・シュレッドの強いプログレッシブ・ドゥームの作品は聴いたことがありません! EXXUL で目指していたのは、シュレッドとドゥームの融合だったのですか?

【PHIL】: 最初から、僕の目標はパワー・ドゥーム・アルバムを作ることだった。速いテンポと遅いテンポを組み合わせ、ダークでスローなリフの上に高揚感のあるボーカルとシュレッディングを乗せて、独特の音楽的コントラストを生み出したかった。多くの界隈でプログレッシブ・ドゥームと見なされている MEMENTO MORI や VENI DOMINE に影響を受けたとはいえ、このアルバムを必ずしもプログレッシブ・メタル・アルバムとは考えていないよ。確かに僕たちの曲は長いけれど、それは主に僕たちがゆっくりと演奏し、物事を積み上げていくのが好きだからなんだ。それでも、一つ確かなことがある。それは、僕たちが常に典型的な曲の構成に頼っているわけではないということ。
例えば、”Blighted Deity” は、曲の冒頭に出てくるメロディーを中心に作曲されている。このメロディーは3つのコーラスで再び登場するけど、キーが異なるんだ。また、2番目のソロと、曲の中盤にある最初の速いテンポのリフにも再び登場し、最後の最後にもう一度登場する。この曲は、典型的なコンパクトな構成ではなく、中心となるテーマを中心に構成されているんだよ。しかし、これは決して “プログレッシブ” に見せるためではない。パワーとドゥームを効果的に融合させるには、このような作曲スタイルが不可欠なんだ。テンポの変化を幾度も繰り返しても一貫性を保つ “パワー・ドゥーム” を作る唯一の方法は、速くても遅くても同じように響く反復的なモチーフを用いることだからね。そうした変化には、適切な “盛り上げ” も必要だ。そのため、曲は長尺になってしまうんだ。
“Wall Of Endless Darkness” でも同様の手法が用いられているよ。曲の冒頭の超スローなドゥーム・リフは、後半で疾走感あふれるパワー・メタル・リフへと変化するからね。また、このアルバムにはブラック・メタルの影響も強く見られるんだ。シンセサイザーの音色、ティンパニの使用、より荒々しいリズム・ギターの音色、そしてコード進行における半音階のメディアンの使用などがその例だよ。結果として、”Sealed Into None” は一般的なエピック・ドゥーム・アルバムよりもダークな作品となっていると思う。

Q5: What’s great about you is that you never forget the influence of legendary and underrated bands while adding new challenges and modern colors to any band. For example, First Fragment would be Elegy, Zeicrydeus would be Manowar or Running Wild, Worm would be Crimson Glory, and Exxul would be Fates Warning, Warlord, or Solitude Aeternus…Is the fusion of the past and the present your life’s work?

【PHIL】: Yes, that’s a good way to put this. I proudly wear my influences on my sleeves and create new sounds all at once. The same could be said for all great bands of the past, however. Without Yngwie, Elegy wouldn’t exist. Without Hendrix, Uli Jon Roth and Ritchie Blackmore, Yngwie wouldn’t exist. Without Judas Priest, Running Wild wouldn’t exist or even have their name. Without Rush, Fates Warning wouldn’t exist. Without Black Sabbath, Solitude Aeturnus and all metal bands wouldn’t exist. And so on.

Q5: あなたの素晴らしいところは、伝説的でありながら過小評価されているバンドの影響を決して忘れず、同時に新たな挑戦と現代的な色彩を加えている点です。
例えば、First Fragment は Elegy、Zeicrydeus は Manowar や Running Wild、Worm は Crimson Glory、Exxul は Fates Warning、Warlord、あるいは Solitude Aeternus といったところでしょうか。過去と現在を融合させることが、あなたのライフワークなのでしょうか?

【PHIL】: そうだね、それは良い言い方だね。僕は自分の影響を受けたものを堂々と表に出しつつ、同時に新しいサウンドを生み出していると思う。でもそれって、過去の偉大なバンドすべてに言えることでしょ?
Yngwie がいなければ、Elegy は存在しなかったでしょう。Jimi Hendrix, Uli Roth, Richie Blackmore がいなければ、その Yngwie は存在しなかったでしょう。JUDAS PRIEST がいなければ、RUNNING WILD は存在せず、その名前すらなかったでしょう。RUSH がいなければ、FATES WARNING は存在しなかったでしょう。BLACK SABBATH がいなければ、SOLITUDE AETERNAUS はもちろん、すべてのメタル・バンドは存在しなかったでしょう。そんな例は、他にもたくさんあるよね。

Q6: One of the most wonderful moments in Exxul is when the vocals and guitar are in sync! Not many metal bands try something like this with “Scat”, where did you get the inspiration?

【PHIL】: I got this idea from Sortilège, a french band that has greatly inspired me. The song “Délire d’un fou” has a short moment like this and the first time I heard this solo, I couldn’t believe it! This song marks probably one of the greatest moments in heavy metal history in my book. Not only that, but I couldn’t believe more bands that came after them didn’t try this either.
When I met Thomas, our vocalist, I asked him what he thought of Sortilège, as his vocals reminded me of theirs. To my surprise, he hadn’t heard them before! Because Thomas’s range is so wide, and because we do not have a 2nd guitarist to harmonize my solos, I decided to ask him to harmonize my solos. It paid off, as I think this is one of the most unique aspects of Exxûl.

Q6: EXXÛL の最も素晴らしい瞬間のひとつは、”スキャット” のようにボーカルとギターがシンクロしている時です!このような試みを行うメタル・バンドはあまり多くありませんが、インスピレーションはどこから得たのですか?

【PHIL】: このアイデアは、僕に大きなインスピレーションを与えてくれたフランスのバンド、Sortilège から得たんだ。”Délire d’un fou” という曲に、まさにこのような短いパートがあり、初めてこのソロを聴いた時は信じられなかったよ!この曲は、僕にとってヘヴィ・メタルの歴史の中でも屈指の名曲となった。それだけでなく、彼らの後に続くバンドがなぜこの手法を取り入れなかったのか、不思議でならないんだよ。
ボーカルの Thomas に会った時、彼の歌声が Sortilège を彷彿とさせたので、Sortilègeについてどう思うか尋ねてみたんだ。すると驚いたことに、彼は Sortilège を聴いたことがなかったんだよ!Thomas の音域が非常に広いこと、そして僕のソロにハーモニーをつけてくれるセカンド・ギタリストがいないことを考えると、彼の歌でソロのハーモニーをつけることがしっくりきたんだよね。これが大成功で、EXXÛL の最もユニークな特徴の一つになったと思っているよ。

Q7: Dream Theater and Gojira began to win Grammy awards. In an age when listeners’ attention spans are so short and instant content is so easily consumed, why is music like your’s that is complex, long, and requires many practice beginning to be reevaluated?

【PHIL】: You just reminded me that I am so out of touch with mainstream metal bands of the current age. I don’t think I’ve even listened to one single Gojira song all the way through. I am aware we don’t fit the current industry’s norms, especially here in Québec, but I honestly don’t really think about it. Our songs ended up being long simply because we do like to play slow.

Q7: DREAM THEATER や GOJIRA がグラミー賞を受賞し始めた時代。
リスナーの集中力が短く、コンテンツが簡単に消費される現代において、複雑で長く、多くの練習を必要とする、あなたも含めたそうした音楽が再評価され始めているのはなぜでしょうか?

【PHIL】: 今改めて気づかされたけど、僕は今の主流メタル・バンドの動向には全く疎い。GOJIRA の曲を最初から最後まで聴いたことすら一度もないと思う。特にここケベックでは、僕たちが今の音楽業界の常識に合わないことは自覚しているけど、正直あまり気にしていない。僕たちの曲が長くなるのは、単純にゆっくり演奏するのが好きだからなんだ。

Q8: I feel that there now exists an important role for metal fantasy as an escape from the dark world. I believe that Japanese anime and video games, and music also play such a role. You are really knowledgeable about metal and music, so much, but is there any influence from Japanese culture and music?

【PHIL】: I am a big fan of Fromsoft’s works. Their video games are very fun and immersive, but more importantly, they have taught me about perseverance & discipline in a new, interesting way. These games are perhaps a reflection of a man that wanted to convey that it is possible to overcome seemingly impossible odds imposed by society.
Of course, I am a big fan of Japanese metal. I love Saber Tiger. Their debut album invasion is one of my all-time favorite metal albums. I like most Japan metal, from Anthem, Fast Draw, Loudness, Sex Machineguns to GISM, Funeral Moth, Corrupted, Viscera Infest, Anatomia, Coffins, Somnium De Lycoris and more over the top power metal like Galneryus, X Japan, Skywings & Versailles
My friends in Devilmaster also introduced me to Japanese hardcore punk. My conclusion is that Japanese punk bands make British & American punk bands sound like The Beach Boys.

Q8: メタル・ファンタジーは、暗い世界からの逃避手段として、今や重要な役割を担っていると感じています。そして、日本のアニメやゲーム、音楽も同様の役割を担っていると思います。あなたはメタルや音楽について非常に詳しいですが、日本の文化や音楽からの影響はありますか?

【PHIL】: 僕はフロム・ソフトウェアの作品の大ファンなんだ。彼らのゲームはとても楽しく没入感があるんだけど、それ以上に、忍耐力と規律について、斬新で興味深い方法で教えてくれるよね。そうしたゲームは、社会が課す一見不可能な困難、それを乗り越えることが可能だと伝えようとした誰かの意思を反映しているのかもしれないね。
もちろん、僕は日本のメタルも大好きだよ。SABER TIGER が大好きでね。彼らのデビュー・アルバム “Invasion” は、僕にとって歴代最高のメタル・アルバムの一つなんだ。 Anthem, Fast Draw, Loudness, Sex Machineguns から GISM, Funeral Moth, Corrupted, Viscera Infest, Anatomia, Coffins, Somnium De Lycoris。それから Galneryus, X Japan, Skywings, Versailles といった過激なパワー・メタルまで、日本のメタルはほとんど好きなんだよ。
Devil Master の友人たちも、僕に日本のハードコア・パンクを紹介してくれるんだ。僕の結論は、日本のパンク・バンドは、イギリスやアメリカのパンク・バンドをビーチ・ボーイズのように聞こえさせてくれるということだね。

PHIL’S PLAYLIST !!

I really recommend checking the latest Cryptic Shift album and the last Hexenbrett album. Otherwise, the recent works from Demon Bitch, Void (Lafayette), Fortress and the upcoming Concilium album are all very good releases. I also recommend keeping an eye on my fellow Québécois compatriots Noor & Bloodstone who will put out new albums soon.

Cryptic Shift の最新アルバムと Hexenbrett の最新アルバムはぜひチェックしてほしいね。その他にも、Demon Bitch, Void (Lafayette), Fortress の最近の作品や、近日発売予定の Concilium のアルバムも素晴らしいリリースだよ。また、同じケベック出身の Noor & Bloodstone も近々ニューアルバムをリリース予定なので、ぜひ注目してほしいな!

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CRYPTOPSY : AN INSATIABLE VIOLENCE】JAPAN TOUR 25′


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MATT MCGACHY OF CRYPTOPSY !!

“What AI Can’t Replicate Is “Feel”. Flo Has a Groove, a Pulse, a Sense Of Tension And Release That’s Completely Human. He’s Not Just Playing Fast ― He’s “Telling a story” Through His Drumming.”

DISC REVIEW “AN INSATIABLE VIOLENCE”

「AIが再現できないのは、”フィール” だ。Flo にはグルーヴがあり、パルスがあり、緊張感と解放感があり、それは完全に人間的なもの。彼はただ速く演奏しているのではなく、ドラミングを通してストーリーを語っているんだよ。いつプッシュし、いつ抑えるのか、ライブの瞬間にどう乗って観客のエネルギーを高めるのか。 あとは直感だね。それをプログラムすることはできない。魂を偽ることはできないからね。それこそが Flo を伝説的な存在にしている理由であり、どんなアルゴリズムも彼に取って代わることができない理由なんだ」
SNS に支配された世界。AI が生み出すヒット・ソング。ほんの10年前にはSFでしかなかったテクノロジーのシンギュラリティ、アートにおけるディストピアが目前に迫っています。人が作曲し、演奏する。そんな当たり前だった音楽の根源が揺らぎ始めた世界においても、テクニカル・デスメタルの頭領 CRYPTOPSY が揺らぐことはありません。なぜなら、その心臓である Flo Mounier のドラム、その魂とフィール、そして人間としての “ストーリー” は決してプログラムすることは出来ないから。
「AIは敵ではないよ…しかし、注意と責任を持って扱うべき強力なツールには違いないね。確かに、AIは技術的には CRYPTOPSY の音楽のスピードや複雑さを再現することはできる。だけどね…人間の意図、欠点、魂、音楽の背後にある “ストーリー” を再現することは “決して” できないんだよ。メタルが進むべき道はまさにそこなんだよ。つまり、人間の経験なんだ」
CRYPTOPSY が29年前に “None So Vile” で大ブレイクを果たした時、世界は Flo のドラミングを “人智を超えたスピード、テクニック” と大絶賛しました。しかし今や、AI はスピードやテクニックだけなら悠々とその基準を凌駕することができるでしょう。では、人間はAIに敵わないのでしょうか?否。AIが0.01秒で制作した楽曲には “背景” がありません。Flo Mounier という達人が50年の人生で培ってきた “ストーリー”。癖や失敗、進化の過程、そして何より魂と情熱の炎は、AI がいくら進化しても決して再現することはできません。そして、シンギュラリティを目前に控え、ヘヴィ・メタルが目指すべき場所もまた、その何かを伝える、物語る “ストーリー” と情熱の煌めきに違いありません。
「エクストリーム・メタルは “解放” を提供する。こうした音楽は人々に、彼らの痛み、怒り、混乱を洗い流す場所を与え、それを力強いものに変える手助けをする。そしてこうした音楽はコミュニティを生み出す。メタルは、”暗闇の中にいても君は孤独ではない” と言ってくれるんだ。これほどまでに分断された世界で、メタルはあらゆる文化、あらゆる背景を持つ人々をひとつにする。混沌の中にカタルシスがある。残虐さの中に美がある。 だからこそメタルは重要なんだ。だからこそメタルは、時に文字通り、人々が “生き残る” ことを助けるんだよ」
そう、ヘヴィ・メタルはこの激しく分断された世界においても、孤独と痛みを洗い流し、様々な文化、背景を持つ人たちをひとつにつなげる “ストーリー” を語ることができます。CRYPTOPSY の最新作 “An Insatiable Violence” で彼らが扱ったのは SNS の狂気。私たちは、誰かの悪意あるノイズ、嘘、噂話、そしてネガティブなポストをスクロールして悦に浸る奇妙な SNS 中毒に犯されています。しかし、そうした負のドーパミンから活力を得られるはずもなく、結局私たちは大きな時間を割いて、自らを虐げ続けていると今回のインタビューイ Matt McGacy は語ります。
だからこそ、”痛み” や “怒り”、”孤独” を解放するヘヴィ・メタルは、今の世に必要なのです。教養にあふれ、それが悲劇であれ、美談であれ、正直にストーリーを語り、世界をつなぐヘヴィ・メタルが貴重なのです。
「Flo は技術に敬意を払い、真剣に取り組んでいる。 しかしそれ以上に、彼は自分のやっていることが大好きなんだよ。成長したい、学びたい、挑戦したいというハングリー精神があれば、年齢は関係ない。むしろ、年齢は追い風になる。Flo が今も進化し続けているのは、彼が決して満足しなかったからだ。彼は常に向上心を持ち続け、それこそが彼を止められない、アンストッパブルな存在にしているのだ」
その正直さは結局、メタルが好き、楽器が好きという気持ち、情熱から生まれています。エクストリームなメタル・ドラムの教科書を制定した Flo Mounier でさえ、”A Insatiable Violence” においてその技巧と直感に磨きをかけています。もっといえば、CRYPTOPSY というバンド自体が、その伝説を基盤としつつ、”アクセシブル” という新たな領域へと挑んでいます。
悪辣でありながらフィーリングに満ちたフックと即座に耳に残るメロディが、熟練と技術のフィルターを通過して狂気と残忍のデスメタルに染み渡ります。そう、彼らは王座に胡座をかくことなく、遺産を尊重しつつも超越、濃密で毒霧のようななサウンドスケープを解き放って、メタルにおける情熱の物語を見事に語って見せたのです。血に飢えた、慌ただしい作品で容赦なく、不安を煽りながら。
今回弊誌では、フロントマン Matt McGachy にインタビューを行うことができました。「ポストロック・バンドの MONO が大好きなんだよ。彼らの音楽は信じられないほど感動的で、アトモスフィアがあり、感情的だ。歌詞を書いているときや、ショーの後にリラックスしているときに、よく MONO を聴くんだ。美しく、力強い音楽だ」バンドはニ度目の登場。  Flo には VLTIMAS でもインタビューを行っています。どうぞ!!

CRYPTOPSY “AN INSATIABLE VIOLENCE” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CRIMSON SHADOWS : WHISPERS OF WAR】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JIMI MALTAIS OF CRIMSON SHADOWS !!

“We’re Definitely Inspired By The Way Metalcore Bands Like Killswitch Engage Blend Growls And Clean Vocals, And We Wanted To Bring Some Of That Emotional Intensity Into a Power Metal Context.”

DISC REVIEW “WHISPERS OF WAR”

「KILLSWITCH ENGAGE のようなメタルコア・バンドの、グロウルとクリーン・ボーカルを融合させる手法にインスパイアされているのは確かで、そのエモーショナルな激しさをパワー・メタルに持ち込みたかったんだ。 同時に、僕たちは常にメタルのダークでシアトリカルな側面のファンでもあるので、CRADLE OF FILTH のようなバンドの影響は、僕たちのアレンジや雰囲気の一部にも自然に表れているはずだよ。 僕らにとっては、厳密なジャンルの枠に収まることよりも、自分たちのストーリーを伝え、自分たちが望むムードを作り出すために正しいと感じるものをブレンドすることの方が重要なんだ。それこそがパワー・メタル、あるいはエクストリーム・パワー・メタルの進化形と言えるかもしれないね」
エクストリーム・パワー・メタル。CRIMSON SHADOWS のサウンドはそんな二つ名で呼ばれています。そして、実際にそのパワー・メタルはあまりにもエクストリームで規格外。だからこそ、長い活動休止がなければ、明らかに彼らは DRAGONFORCE と共にモダン・パワー・メタルの主力となっていたはずでした。
CRIMSON SHADOWS のサウンドは、もし DRAGONFORCE が90年代後半から2000年代前半の北欧に降り立っていたら、長じて北米の恩恵を胸いっぱいに吸い込んでいたらこうなっていただろうと思わせる圧倒的な推進力と破壊力を備えています。つまり、メロデスやブラック・メタル、メタル・コアの手法を、ファンタジックでエピカル、ファストなパワー・メタルに叩きつけているのです。
「僕たちにとって、グロウルは、ただ単に他と違うことをしようとするためのものではなかったんだ。僕たちが語っているストーリーの種類や、音楽にもたらしたい激しさによって、導入するのが自然に感じられたんだよね。パワー・メタルは非常に高揚感があり、メロディックであることもあるけれど、僕たちは常に戦争、喪失、闘争といったダークなテーマに傾倒してきた。だからハーシュ・ヴォーカルを採用することで、感情の重みをより直感的な方法で表現できるようになったんだ。クリーン・ボーカルとのコントラストは、曲にダイナミックな幅を与えるのにも役立っている。 高揚感のある壮大な瞬間から、よりアグレッシブでプリミティブなものへと変化させることができるからね」
そうして、もしかすると CRIMSON SHADOWS は、同じカナダの INTO ETERNITY や UNLEASH THE ARCHERS 以上に、パワー・メタルにおけるグロウルの導入を見事にやってのけているかもしれませんね。この試みの難しいところは、パワー・メタルにグロウルを取り入れすぎると、例えば WINTERSUN や KALMAH のようなメロデスになってしまうこと。それは、初期のイエテボリ勢が多かれ少なかれ、パワー・メタルに影響を受けていたことにも通じます。しかし、CRIMSON SHADOWS のやり方は、あくまでもパワー・メタルが主軸。同時に、戦争という重苦しい、血生臭いテーマにグロウルの凶暴で巧みにリアリティを与えていきます。
「戦争は難しいテーマだけど、人類の歴史や物語には常につきまとうものだ。僕たちにとって、”戦争のささやき” は争いを美化するものではなく、戦争の現実と結果、それに伴う痛み、喪失感、回復力を探求するものだったんだ。 世界が分断され、暴力的になっているように感じる中、僕たちは、そのような葛藤に正直に光を当てたいと思った。 時に音楽は、困難な感情を処理し、暗い時代であっても団結することに強さと希望があることを人々に思い出させる手段となり得る。それは、特に今、伝えるべき重要な物語のように感じるね」
平和への希望を持ち続けても、実際に戦争はすぐそばにある。そんな葛藤を CRIMSON SHADOWS は “Whispers of War”、”戦争のささやき” において、希望のクリーンと絶望のグロウルで見事に描き出していきます。試されるのは忍耐力。自分を信じ、他人を信じ、全てを乗り越える力強さを、彼らは200bpmの猛スピードで世界に示して見せるのです。
今回弊誌では、ボーカリスト Jimi Maltais にインタビューを行うことができました。「際立っているのは、カナダのバンドのテクニックの高さだ。たぶん冬が長いからだと思う。1年の半分は楽器を抱えて家に閉じこもっていて、他にすることがないからね。練習し、曲を書き、すべてを微調整する時間がたくさんある。そのおかげで、正確さと生々しさがミックスされ、カナディアン・メタル独自の味わいが生まれるんだ」 どうぞ!!

CRIMSON SHADOWS “WHISPERS OF WAR” : 9.9/10

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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【SPIRITBOX : TSUNAMI SEA】


COVER STORY : SPIRITBOX “TSUNAMI SEA”

“I Think Anything That Women Like Is Always Mocked, But I Think Teenage Girls Are The Purveyors Of Culture.”

TSUNAMI SEA

津波が本当の姿を現すのは、その波が水辺に到達してからだと言います。最初はほとんど見えない深海を脈打ちますが、最終的にはこの壊滅的な自然災害は無慈悲な水の壁を築き上げ、その進路にあるすべてのものを押しつぶすのです。
「津波が陸に到達した後、それが私たちの生活にどのような影響を及ぼすのか飲み込めていないうちに、その災害は無慈悲に通過していく」
SPIRITBOX の生活は既に計り知れないほど変化しました。2015年にカルト的なマスコア・クルー iwrestledabearonce の灰から生まれ変わった Courtney LaPlante と Mike Stringer は、以前よりも暗く洗練された音楽を作ることを目指していきました。そうして、デビュー作 “Eternal Blue” からの “Holy Roller” や “Blessed Be” といった曲は、新たな表現を求めていたファンたちの心に響き、彼らをメタルの頂点へと押し上げたのです。以来、彼らは勢いを増し続け、2022年のDownloadフェスティバルでのテントを揺るがすデビューから、Reading & Leedsのメインステージ、Megan Thee Stallionとのレコーディング、先月のAlly Pallyでのソールドアウト公演まで、着実に歩みを進めてきました。その勢いは、メタルコア世界の狭い枠組みを飛び出した津波ともいえました。
しかし、SPIRITBOX はタイトルの “津波” そのものではありません。むしろ、縦波、横波、波浪、風浪、うねり、磯波…数多くの波が積み重なって壮大なコンセプトを形作る広大な海。メンタルヘルスにおける比喩的な津波…うつ病や暗い思考が心を押し流す状態。そして、Courtney と Mike の故郷バンクーバー島での生活経験…船以外では離れることができない孤独な環境。そうした痛みや恐怖、孤独の影響は、2022年の “Rotoscope EP” と2023年の “The Fear Of Fear” の即効的なスリル追求と比べ、より威圧的で包み込むような “Tsunami Sea” への到達に現れています。

大きな成功が Courtney の率直な歌詞の核心にある危機感を侵食するのではなく、”Tsunami Sea” はそれがさらに激化と同化したようにも思えます。”Eternal Blue” のタイトル・トラックで彼女は “苦痛が離岸流のように引きずり始める” と歌いました。4年後、ボーカリストの感情は今や海洋規模となり、”私のすべての涙を津波の海に変える” と表現されています。それでも、Courtney と SPIRITBOX はただ痛みの海に押し流されることはありませんでした。つまり、この音楽は、メンバー個人の内面的葛藤はもちろん、元メンバーの死去やベース奏者がロサンゼルスの山火事で自宅を失うなど、逆境を乗り越えてきたバンドにふさわしいものとなっているのです。
「Bill Crook の死は恐ろしいことだった。突然のことで、私たちはツアー中だったのよ。彼の母親が、彼の友人全員が追悼式に出席できるようにしてくれたことに、私たちは本当に感謝しているの。彼女は追悼式を延期してくれたのよ。
このアルバムは本当に彼のためのもの。なぜなら、彼は私たちと同じ場所で育ち、同じ経験をしてきたから。アルバムで話していることの多く – 私が精神的に向き合い、克服しようとしていること – 彼と私はその点で非常に似ていたんだよ。アルバムを彼に見せられたらよかったと思う。毎日彼をとても恋しく思っているわ。この数ヶ月は皆にとって大変だったけど、私たちは大丈夫。今年は本当に良い年になると思うよ」

“Soft Spine” という力強いリードシングルから、変幻自在なメロディが光る “Perfect Soul”、そしてインダストリアルな要素を交えた176秒の “No Loss, No Love” まで、リスナーはすでにこの11曲が SPIRITBOX の最高峰であることを直感しているでしょう。大きなステージで演奏する機会を得たことで、彼らは “A Haven With Two Faces” のような壮大な瞬間を捉える直感を磨いてきました。一方で、彼らは “Crystal Roses” のような予測不能なサウンド、例えば変幻自在なドラムンベースに挑戦する勇気をも得たのです。
「音楽を書く時はそれを意識しないが、後に1万人や2万人の観客の前で自分の好きな曲を演奏すると観客はただスマホをいじっているだけだ。一方、特に気にかけていない曲では、みんな跳ね回って大騒ぎしている。なぜそうなるのかと疑問に思うようになる。それは曲作りに直接影響するわけではなく、単に “この曲でみんなが狂喜する姿が見える” と気づくだけだ。でも、私はいつも間違っている。私の好きな曲は、いつも最も再生回数が少ない曲だ。それは呪いのようだ…このアルバムだと “Black Rainbow” に夢中なんだがね。あらゆるタイプの音楽からあらゆるインスピレーションを得ることは、とてもとても重要だ。 どのジャンルの中にも良いトーン、ソングライティング、メロディがあるんだ。だからブレイクダウンだけを聴くことに自分を限定すべきではない」
一方で、Courtney は観客の反応をあまり気にはしていません。
「それが私の音楽の楽しみ方じゃない。人々がモッシュしているかどうかで、私たちが良い仕事をしているかどうかを判断しないよ。もし彼らがモッシュするなら、それは素晴らしい。それがその人の音楽の楽しみ方だ。でも、ただ頷いているだけの人もいる。それがその人の音楽の楽しみ方かもしれない。そして、ただ立っているだけで音楽を吸収している人に対しては、エゴを持ってはいけない。もしかしたら、彼らはそこで SPIRITBOX を初めて発見しているのかもしれない。もしかしたら、ただ全てを吸収しているだけかもしれない。だから私は大好きな曲を歌いながら、人生で最も楽しい時間を過ごしているだけなの。結婚式で踊る人みたいに、自分の小さな世界に入り込んでいる!馬鹿に見えても構わないさ!」

美しさ、陶酔、そして命がけの混沌が、”Tsunami Sea” を駆け抜ける中で尽きることなく展開されます。このバンドは、”Keep Sweet” のようなのモッシュ・コンフェクションを混ぜ合わせ、次に “Ride The Wave” の滑らかなオルタナティブ・ポップを軽やかに滑り、クリーンな歌声のクロージング・トラック “Deep End” では目眩く多様性を備えています。
「Michael も私も、本当に何でも聴くのが好きなの。 たとえそれが、プロダクションや歌詞のつながり、インストゥルメンタルや全体の雰囲気など、研究的に聴いているものであっても、聴かずにはいられないの。真空の中で曲を書くことはできない。 常に外部の音楽から影響を受けているんだ」
しかし、そのすべては心からの、しばしば胸を締め付けるような、感情に支えられています。”悲しみが私を追いかける” と、Courtney はオープニング・トラック “Fata Morgana” が迫力満点に始まると呟きます。 “呼吸するたびに、その悲しみを胸に感じる…” その悲しみの糸は彼女の中で途切れることはありません。周囲の騒音や勝利の味わいにもかかわらず、内側の暗闇は枯渇することがないのです。
「私の人生で素晴らしいことが起こっても、メンタルヘルスに気を配らなければ、私たちは常に極端な感情の波に翻弄されるだろう。特に私のような人間なら。それが私の感じ方よ。それが私の一部。悲しみや怒りの歌詞は、おそらく私にとって常に共感できるものだろう。
面白いことに…キャリアでの幸せや成功、人間関係での充実感が増すほど、まだあのネガティブな感情を抱えていることに恥ずかしさを感じるの。人生が順調なのに、メンタルヘルスが低下することに恥を感じている人は多い。そして、私は歌詞を通じて、見知らぬ人々にその感情をさらけ出したい衝動があるの。おそらく、それは自分自身をより深く理解するためのメカニズムかもしれない。そうやって、良い人間であるためにできる限りのことをしながら、その抑うつ症のブラックホールに引きずり込まれないようにしているの」

6年前、彼女は時給$8でウェイターとして働いていました。”Eternal Blue” がリリースされた当時でさえ、彼女と Michael はバンドの資金調達のために、データ入力の仕事をしていたのです。そうしてダウンロードで数万の観客を前に Courtney は、”Perfect Soul” の感動的なパフォーマンスを披露し、”私の夢はただの幻想だ” と歌いました。
「数万人の前でそんな個人的な感情を表現するのは、とても難しいこと。でも私を知っている人なら、私たちの旅路を見てきた人なら、私が言っていることに、私の生活について現実を投影できるだろう。でも、ほとんどの人が本当の私を知らない。あの言葉は、私たちのバンドとしての経験を超えた多くのことを指している。残念ながら、あの感情は私にとって常にレリバントなものだ。それは私の人生の一部だった。精神疾患、ペテン師症候群 (自分の能力や成功を過小評価し、自身を詐欺師のように感じてしまう) の経験があることを、私はずっと知らなかった。私は問題にしないのが上手だから、ただ隙間をすり抜けてきただけ。それは潮の満ち引きのような循環的なものだった」
Courtney はメタルにおける女性の存在についても、常に思考を巡らせています。
「人生のある時点で、女性や少女たちが誰も招待されていないパーティーには参加する気にならなくなるものよ。そこに、ドアマンが私を入場させるかどうか待って並ぶつもりはない。自分の、他のクラブを探しに行くでしょう。望まれないなら、私を歓迎してくれる場所を探すだけよ。
これは、若い少女の頃、メタルの世界から歓迎されていないと感じた経験からも来ているの。例えば、小さなメタルのライブに行って、なぜここにいるのかと疑問に思われるような状況。その状況は改善されているけど、私たちはより高い基準を求め、私たちに投げられたパン屑にはこだわらない必要がある。私たちはステーキを食べようとしているのだから」

Courtney にとって、女性リスナーの存在はとても大きなものです。
「SPIRITBOX, BAD OMENS, SLEEP TOKEN, そしておそらく KNOCKED LOOSE が共通しているのは、他の同世代のバンドと比べて女性リスナーがかなり多いことだと思う。Rise-core 時代や emo 時代のバンドも同じだ。METALLICA のドキュメンタリーを見ても、その点で笑われていた。女性が好きなものは常に嘲笑されるものだけど、私はティーンエイジャーの女の子が文化の伝道者だと考えているのよ」
“Crystal Roses” や “Ride the Wave” では、ボトルの中、エコーチェンバーの中に閉じ込められる怖さを、島で育った自身と重ねています。
「私たちがこれまで作ったすべての作品—歌詞的にもサウンド的にも—は、コンセプトアルバムとして考えていて、このアルバムのすべての曲は互いに関連しているの。最後の曲は、私が話したすべてのものの集大成。奇妙なサウンドは実際、海の音だよ。それは説明するものではないけれど。聴く人にさりげなく伝われば幸いだよ。
歌詞的には、このアルバムは私自身が何者であるかを、私の頭の中で描いた自伝のようなもの。育った環境は、世界を見る方法に深く刻み込まれていると思いの。15歳の時、バンクーバー島に移住したんだ。そこで、私のバンドのメンバーである夫の Michael と出会ったんだ。孤立した島で暮らし、キャリアの夢を叶えるために難しい環境は、私を非常に孤立させたの。それは私の人格を大きく形作ったけど、同時に懐かしさも感じている。故郷の場所を美化してしまうというかね。そこにいた時は私を縛っていたのに、離れてからは懐かしむの。家族を恋しく思うからかな」

SPIRITBOX はずっと冷静で、”自分たちが何になりたいのかを模索中だ” と語り、創造性に過度のストレスをかけることで創作物を歪めてしまうことを避けてきました。
「それが私たちの本質だと思う。過去数年間、たくさんのクールでクレイジーな経験を積んできた。グラミー賞でレッドカーペットを歩き、インタビューを受けた。しかし、そのようなことを繰り返すほど、私たちはまだ最低賃金の昼間の仕事をしていて、バンドを立ち上げるのが不可能に思えた時代と、今もつながっていることに気づくんだ。あの経験は、”レッドカーペットに立つ” というイメージよりもずっと身近なの。ああしたイベントは日常の一部ではないし、慣れるまでには長い時間がかかるでしょう。そして、私たちにはそれが起こり続けるかどうかは本当にどうでもいいんだよ…」
シーンの連帯感がプレッシャーを和らげる一方で、その裏側には、新しい世代の象徴としてそのコミュニティを背負う重圧がかかってきます。Courtney は、SPIRITBOX が “目隠しをして、それについて考えないようにし、音楽が誰かの消費対象となるための流行戦略討論に陥らないようにする” と主張します。
「考えれば考えるほどストレスが増す。みんなが歌詞を全部知っているのは、私たちにとってまだ非常に奇妙なことだ。インターネット・バンドとして実家の地下室で生まれた私たちが、”未来のフェスティバルのヘッドライナー” と呼ばれるようになったのは奇妙な感覚だ。プレッシャーは確かに存在する。しかし、自分たちらしさを保ち、楽しむ音楽をリリースし続ける限り、非難されることはない。それが現実だ… 自分の音楽は、無限の可能性を持っていたいんだ」

Courtney はメタルを非常に “二元的な” ジャンルだと理解しています。
「バンドがスローな曲をリリースしたら、”彼らは今やスローな曲しか作らない” とか、本当にヘヴィな曲をリリースしたら、”バンドが戻ってきた。彼らは最もヘヴィな曲を作ったし、それが彼らの現在だ” とか。
私たちの世界では、極めて二元的なのよね。実際に、ミュージックビデオのプレミア上映中に人々を見ていると、”OK、彼女は30秒叫んで、今は45秒歌ってる。ああ、ダメだ! でも、ブレイクダウンがある、神様ありがとう。また好きになった” と。サイドバーで “これはひどい” と表示されていても、私が叫び始めると、彼らは “やった!” と反応する。
なぜそんな二元的になるのだろう。私は常に、地元のシーンや地域のシーンの一部ではないと感じていたの。常に少し外側にいるような感覚だった。そしてある日、誰かがクリックし、誰かが魔法の杖を振ったかのように、プロのメディアが “このバンドは素晴らしい。これが君たちが好きになるべきバンドだ” って言い出したんだ。でも、自分たちが “メタルコア・バンドだ!” なんて思ったことは一度もないんだよね」
SPIRITBOX はメタルのステレオタイプを破壊してここまできました。
「私たちは “1つのバンドの価格で2つのバンドを味わえる” と言っているの。人々がそれを好むかどうかは分からないわ。誰かに2つの異なる SPIRITBOX の曲を聴かせても、同じバンドだと気づかないかもしれないよね。
だから、すべてのバンドがそうではないことは知っているけど、流動性って大事だよね。私は “血統” や “こうしないとメタルではない“ という外部の圧力を感じていないんだ。なぜなら、私はメタルを聴いてきたのに “メタルではない” と言われ続けてきたから。誰が気にするの? DEFTONES のようなバンドがそれについてどう思っているのか、いつも疑問に思っているよ」

Courtney がメタルを聴き始めたのは遅く、だからこそこのジャンルはサブジャンルに囚われすぎだと感じています。
「18歳くらいまで、メインストリーム以外の音楽を聴いたことがなくてね。そして、私が初めて接したメタルは、Protest the Hero, Despised Icon といったカナダのバンドたちだった。Misery Signals はカナダ出身ではないけど、私たちは彼らをカナダのバンドとして数えているんだけどね。
つまり、自分で探した音楽ではなく、私の島にやってくる人たちの音楽だった。非常に露出が少なかったよね。そして少し年を取ってから…私は確かにエクストリームな音楽が好きだと気づいた。Job for a Cowboy の “Entombment of a Machine” をかけて、技術的な能力を聴き分けていたんだよね。他の同年代の人がメタル音楽を聴き始めるのとは異なる方法で聴いていたんだ。後からその音楽を学んだから、なぜこうしたバンドがこうした音をしているのかを理解する必要があった」
今や、インターネット空間には様々な批判や悪意が蔓延しています。差別や抑圧に抗い、多様性を認め合うことはどんどん難しくなっています。
「私たちは互いを守ろうとしているの。憎しみを増幅させたくないのよね。個人的には、自分自身のことに集中したいだけで、常に悪口を言いたくないんだよ。右派の振り子の揺れもどし、アルゴリズムによる人々の過激化…そして、メタルは私たちが思っていたよりずっと保守的だったのかもしれないね。もちろん、公の場で批判することはできるけど、それがまさにあの彼らが求めていることのように感じるんだ。だから私は成功を収め、持っている影響力を活用して影響を与えることを望んでいるのよね。
NINE INCH NAILS はいい例だよ。フェスで一緒になった時、彼らがステージを見て “私たちのステージに女性を配置し、多様な人種の人々を配置する必要がある。これは受け入れられない” と言ったことがある。私は “Wow、あのバンドの影響力だ。彼らはそうできるんだ” と思った。だから、いつか私もそうできるかもしれないし、私の同世代の多くもそうできるかもしれない。全員を知っているわけではないけど、彼らは私たちと同じように感じていると思う。だから、同志のバンドたちが成功すると、それが私たち全員を強化することになるんだよね」

SPIRITBOX にとっての同志とは、BAD OMENS であり、SLEEP TOKEN でしょう。
「私の周りにメタルを聴いたことのない人たちが、SLEEP TOKEN の音楽を聴いている。特別なケースだよね。彼らは断然最もポップ寄りのバンド。
彼らに会ったことはないけど、多分私たちや BAD OMENS に近い存在だと思う。彼らとこの話題について話したことはないけど、彼らも作った曲のジャンルについて考えたことはないと思う。それが良いか悪いかは分からない…でも少なくとも AI にこんな音楽は作れないよ」
SPIRITBOX の成功は、疑いながらも自分を信じて諦めなかったことから生まれました。
「私は本当に妄想的な人間で、人生がこうなることをずっと知っていた。その確信は、極度の自己疑念とペテン師症候群の霞の中で常にそこにあった。27歳の誕生日は “最悪の日” だった。決して忘れないよ。その日、私はコーヒーショップで一人で働いていた。他の従業員は全員病気で休んでいてね。コーヒーを作ったり、サンドイッチを作ったりしながら、誕生日なのに最低賃金の仕事をしていることに恥ずかしさでいっぱいだった。そして、誰かがミルクの瓶を倒してしまい、私は床に膝をついて掃除しながら、涙が溢れそうで、怒り始めた客たちに囲まれていたんだ。”27歳で、教育も金もなくて、前のバンドを辞めたばかりなのに、牛乳をこぼしただけで泣いてるなんて!”と。
それでも、SPIRITBOX の成功は私にとって起こるべきことだと分かっていた。私たちは次のことにばかり集中して、今この瞬間を生き、自分を褒めることを十分にできていないのかもしれない。私たちが既にどれほど遠くまで来たかを考えると、信じられないほどだよ…」
結局、Courtney は音楽 “オタク” だったかつての自分からその本質は変わっていないのです。
「そう、だから自意識過剰なんだと思う。高校のクールな連中はみんな私たちをボコボコにしただろうね。ただ不愉快だからいじめられるオタクっているでしょ? それが私たち。ただ不愉快なだけなんだ。 私たちは “私たちは違うから嫌われてるんでしょ? “でも、”違うよ、ただ君が嫌いなだけだよ “って言われるんだ (笑)。
でも、だからこそ私たちは奇妙な音楽を作ることができる。 みんなにバカにされるけどね (笑)」

参考文献: ELI ENIS :”Your whole family’s going down”: A blunt talk with Spiritbox singer Courtney LaPlante

KERRANG! :Spiritbox: “Every time I walk out onstage, I can’t believe this is my life”

GRAMMY AWARDS :On ‘Tsunami Sea,’ Spiritbox’s Courtney LaPlante Contemplates Adversity, Solidarity & Renewal

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【DERAPS : VIVA ROCK N’ ROLL】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JACOB DERAPS OF DERAPS !!

“Van Halen Is a Huge Part Of My Life, What I’ve Become And What I’m Doing Today. I’m Glad I Got To See Them Live In 2012 For My 16th Birthday With My Dad.”

DISC REVIEW “VIVA ROCK N’ ROLL”

「VAN HALEN 78-84年は、史上最高のロックンロール・バンドだと思う。それがすべてだよ。彼らは他のどのバンドよりもロックの本質を体現し、表現していた。 そして、ロックにとって何一つ欠けるところのないトータル・パッケージだったね。曲作りであれ、技術力であれ、サウンドであれ、カリスマ性であれ、彼らはすべてを持っていたんだ」
Eddie Van Halen の死は、あまりにも衝撃的で、悲しく、そしてロックやメタル、ギターにとって致命傷にも思える大打撃でした。なぜなら、VAN HALEN と Eddie はすべての始まりであり、そして理想型だったから。誰もが口ずさめるメロディ、ひねりの効いたフックのある楽曲、ゴージャスなアピアランスとステージング、そして革命的なテクニック。そんな奇跡と魔法のトータル・パッケージが、Eddie の笑顔と共に失われてしまった…多くの人がそう感じて、巨大な喪失感に襲われたのです。
しかし、Eddie は “情熱” という素晴らしい遺産を残してくれていました。例えば、Nuno Bettencourt は、Eddie の死で次のギターヒーローの盟主へと着任する腹をくくり、実際 Eddie のギターや音楽への情熱を受け継ぐ傑作でロックの灯火をつなぎました。息子である Wolfgang Van Halen や Eddie を崇拝する Jeff Waters (AMERIKAN KAOS が素晴らしい!) もその灯火を明々と燃やします。そして今、Eddie の情熱を胸いっぱいに吸い込んだ若武者が、世界にロックの復権を叫びます。DERAPS の登場はギターとロックの世界にとって、まさに事件です。
「70年代や80年代のようなギターがベースとなったロックを作るバンドがもっと増えてくれると嬉しい。 最近のほとんどのロックバンドのように、パワーコードとドラムのサンプリングだけでなく、興味深いリックやソロ、ユニークな生のトーンのあるリフ重視の音楽がね」
ロックとメタル、そしてギター世界は多様化の道を歩み、プログレッシブだったり、革新的だったり、エクレクティックだったり、電子音を基盤としたり、伝統音楽に根差したり…枝葉のように別れた家系図のその先で様々に情熱を傾ける人たちがいます。
しかし、原点であるフラッシーなソロや脳髄を叩き割るようなリフ、そしてアリーナを釘付けにするような華麗なパフォーマンスに耳馴染みの良いメロディ。そんな、Eddie が情熱を注いだハードロックの王道を追求する若者は決して多くはありませんでした。だからこそ、まだ20代にして “本物” の風格を備えた DERAPS と今回のインタビューイ、新たなるギターヒーロー Jacob Deraps の登場はあまりにも尊いのです。
「100%、David Lee Roth だ! 彼は歌えないなんてよく言われているけど、それは単純に真実じゃない。78年から81年にかけてのツアーで彼は、ライヴで狂気の叫びを上げ、ステージと観客を圧倒していた。 彼が優れていたのは声域の広さではなく、さまざまなトーン、色彩、ユニークな音を出していたことだ。 彼自体がキャラクターであり、完全に際立っていて、Eddie のギター・サウンドと同じくらい認知されていたよね」
VAN HALEN の申し子と謳われる DERAPS の実力は圧倒的です。”Last Fall” を聴けば、いかに彼らが あの “伝説の爆撃機” に薫陶を受けているのか伝わるはずです。重要なのは、彼らが David Lee Roth 時代の “生の” エネルギー、アクロバティックな咆哮、ハイエナジーなロックの源衝動を大切にしていること。まるでここから再び “炎の導火線” に火がつくような情熱の再発明はあまりにも肉感的。Jacob のギターには Eddie の魂が乗り移り、あの独特のタイム感と魔法が時代の “戒厳令” を突破して蘇ります。
とはいえ、DERAPS は決してコピーキャットではありません。Jacob のギターからはあの Yngwie Malmsteen や Slash, Randy Rhoads の足跡も感じさせますし、何より同じカナダのトリオ (DERAPS は今はベーシストが脱退して二人組ではありますが)、TRIUMPH のさりげない小曲や清爽なるメロディ、さらには RUSH のプログレッシブさえ彼らは飲み込んで、”Viva Rock N’ Roll” という決定的なロック讃歌を2025年に叩きつけたのです。
今回弊誌では Jacob Deraps にインタビューを行うことができました。「Eddie の死を聞いたとき、僕は完全に打ちのめされたよ。突然、大好きなバンドと音楽が正式に過去のものになってしまったような、不思議で悲しい気分だった。VAN HALEN は僕の人生、今の僕、そして今やっている音楽の大部分を占めている。僕は2012年、16歳の誕生日に父と一緒に彼らのライブを見ることができて本当によかったと思っているよ」 もしかすると、一周回ってこれが “新しい” となるやもしれませんね。どうぞ!!

DERAPS “VIVA ROCK N’ ROLL” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ANCIIENTS : BEYOND THE REACH OF THE SUN】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH KENNY COOK OF ANCIIENTS !!

“Opeth And Mastodon Are Amazing Bands And Are Clearly The Benchmark For Progressive Metal In Todays Perspective.”

DISC REVIEW “BEYOND THE REACH OF THE SUN”

「ANCIIENTS を結成した当時、僕はちょうど OPETH と MASTODON を発見したところで、彼らがやっていることに本当にインスパイアされたんだ。両者とも素晴らしいバンドで、現代的な観点から見れば明らかにプログレッシブ・メタルのベンチマークだからね」
OPETH と MASTODON。まさにモダン・プログ・メタルのベンチマークであり、雛形とも言える両雄の完璧なキメラとして生を受けた ANCIIENTS は、デビュー作 “Heart of Oak” からプログ・メタルの未来という評価を確固たるものとします。時は Bandcamp 戦国時代。INTRONAUT や WILDERUN, CALIGULA’S HORSE といった次世代を担うプログ・メタルの新鋭が鎬を削った10年代前半においても、ANCIIENTS の描く複雑の青写真と存在感は群を抜いていました。あの Bandcamp の音とアートワークの海の中で、彼らの作品を覚えていないディガーなどモグリでしかありません。そして16年には、地元カナダのグラミーと言われるジュノー賞を獲得。プログの “古代” と現代を巧みに融合する彼らの未来は約束されたように思えました。
「一連の不幸な出来事に直面し、音楽活動から身を引いていたんだよね。家族の深刻な健康問題、バンド内のメンバーチェンジ、そしてコヴィッド。この3つが、長期の活動休止の理由だった」
しかし彼らはさながら古代のロスト・テクノロジーのように、突如として沈黙し、休眠期間に入ります。8年という長い不在の間に、ライバルたちはメジャー・レーベルへと移籍。しかし、ついに復活を遂げた ANCIIENTS の音楽は決して名を上げた彼らに劣ってはいません。むしろ、8年という沈黙は、そして痛みは、ANCIIENTS の音楽をさらなる高みへと押し上げました。
“Beyond The Reach of The Sun” 制作のために戦い抜かなければならなかった試練や苦難(家族の病気、メンバーの交代、転居、パンデミック)を知ることで、このアルバムには感情的な重みが加わります。フロントマン Kenny Cook が逆境を乗り越えてきた年月があったからこそ、このアルバムは不確実で、孤独で、恐怖の長い夜が明けて勝利の夜明けを迎えたような印象を与えるのでしょう。
「面白いことに気づいたね!ここ数年、ALICE IN CHAINS, SOUNDGARDEN など、あの時代の曲を聴き直しているんだ。ギターを習っていた頃は、そうしたバンドの大ファンだったし、ミュージシャンとしての僕に大きな影響を与えてくれたからね」
特筆すべきは、Kenny がこの作品でさらに、自らの原体験、ルーツへと回帰した点でしょう。リード・シングルの “Melt the Crown” では、1本でも2本でもなく、3本のギター・ソロが飛び出しますが、そのひとつひとつが、フォークからサザン・ブルース、サイケデリック・プログまで、独自のテイストを持っています。MASTODON の哲学と70年代が煌めくこの楽曲において、響き渡るは Mikael Akerfeldt の陰を帯びた美声、そして Jerry Cantrell の陰鬱なコーラス・ワーク。
そう、私たちはグランジとメタルをとかく別のフィールドに置きがちですが、確実にその垣根はつながっています。”Beyond The Reach of The Sun” は、90年代から00年代を駆け抜けた ALICE IN CHAINS, OPETH, MASTODON の連続性と類似性を見事に実証したレコードだと言えるでしょう。
そう、アルバムのテーマは “Wisdom”、”叡智”。これは異次元からの力によって奴隷化された社会の物語。思考が停止するやいなや奴隷化されてしまう世界で今、最も必要な洞察力や叡智を養えるプログ・メタルの有用性も、彼らは同時に証明してくれたのです。
今回弊誌では、Kenny Cook にインタビューを行うことができました。「当時は、特にプログレッシブ・ロックのジャンルにおいて、多くの実験が行われていた。KING CRIMSON, YES, CAMEL, PINK FLOYD, Alan Persons Project は、何らかの形で僕らのサウンドに大きな影響を与えた。同時に、JUDAS PRIEST の古いレコード、THIN LIZZY、そしてもちろん DEEP PURPLE も同じようなテイストを持っているが、よりハード・ロックのジャンルだよね」 どうぞ!!

ANCIIENTS “BEYOND THE REACH OF THE SUN” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【UNLEASH THE ARCHERS : PHANTOMA】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH BRITTNEY SLAYES OF UNLEASH THE ARCHERS !!

“I Do Wish Though That Maybe The World Was Better Equipped To Have Children On Tour!”

DISC REVIEW “PHANTOMA”

「世界は利己的で、批判的で、孤独な場所かもしれないけど、他人の期待に応える生き方をやめ、自分自身の健康と幸福を第一に考えた選択をすることで、私たちは幸せを見つけることができるのだと思う。
これがファントマが学んだ教訓であり、このアルバムの真意でもある。AIは善にも悪にも使えるツールであり、結局それを決めるのはその背後にいる人間。 私はAIを恐れているのではなく、暗い意図を持った人々がAIを使ってやることを恐れているの」
北米パワー・メタルの巨星 UNLEASH THE ARCHERS は、パワー・メタルの特性である “ストーリー・テリング” “物語” の能力を誰よりも遺憾無く発揮しています。パワー・メタルのファンタジーを歌にのせることこそ、Brittney Slayes の幸せ。今回、バンドは近年の音楽業界で話題となっている人工知能(AI)”物語” に選びました。面白いことに、今のところ、AI は自己の幸せを追求することも、ファンタジーを語ることも得意ではなさそうです。今のところ、人間の “道具” にすぎないようです。しかし、近い未来ではどうでしょうか?
「”Phantoma” の作曲にAIは使っていないよ。だって作曲こそミュージシャンとしての醍醐味のひとつなのに、なぜそれを放棄しなければならないの? 他のみんなも同じだと思う。 私たちは楽しみながら実験し、AIがどんなものかを見ていくだろうが、結局のところ、音楽は人間が人間のために作り続けるもの。 AIが作った音楽で音楽の旅を始める人もいるだろうし、それはそれでいい。 もちろんAIは、これまで音楽に触れることができなかった人たちに作曲する能力を与えるだろうし、私はそれでいいと思う。 でもね、私自身は、昔ながらの方法で音楽を作り続けるつもりだよ。最終的にはAIがそのプロセスの一部になるのかもしれないけど、それまでにはまだ何年もかかると思う」
実際、彼らは最近、”Green & Grass” のプロモーション・ビデオにおけるAIの使用で批判に直面し、芸術的創造プロセスにおいてこのテクノロジーを使用することがどこまで許容範囲なのかという疑問をはからずしも提供することになりました。Brittney の回答はシンプルです。最新のテクノロジー・トレンドは道具にしかすぎない。音楽の裾野が広がることは悪くないけど、結局、音楽に携わる上で最も “楽しみ” である部分、作曲を人が手放すことはあり得ないと。
「日本のバンドで一番好きなのはとにかく GALNERYUS! 何よりボーカリストが素晴らしいわね!そして、音楽がとてもキャッチーで、一緒に歌いやすい!それが私にとってとても大事なことなのよ!(笑)」
そしてその作曲において、UNLEASH THE ARCHERS が最も大事にしていること。それがキャッチーなメロディであり、シンガロングできるコーラスなのです。ウルトラ・テクニカルなギター、超高速ドラム、地下室の咆哮、荘厳なシンフォニー、躍動的な聖歌隊がジェットコースターのように駆け巡るこのコンセプト・アルバムにおいて、しかし彼らの作曲の美学だけはいっさいブレることはありません。物語のなかでAIの主人公ファントマが、人間性を理解し、完璧な人間になりたいと望むように、UNLEASH THE ARCHERS は完璧なパワー・メタルを生み出したいと望みます。
「子供が生まれて、ただ立ち上がって何週間もツアーをするというわけにはいかない。すべてのロジスティクスを、何カ月も前から詳細に計画しなければならないのよ。でもね、最初から苦労することはわかっていたし、うまくいくためには何でもやると自分に言い聞かせていたから、後悔も不満もない。 ただ、ツアー中に子供を育てられる環境が世の中に整っていたらいいなと思うことはある (笑)。 でも、それが変わる可能性は低いと思うけどね!」
人間性、望みといえば、UNLEASH THE ARCHERS はメタル世界に “寛容さ” の輪を広げたいとも望んでいます。もちろん、近年女性の数は増えてきましたが、まだ子供を育てながらツアーに出られるような環境が整っているとは言い難い現状。彼女は先駆者のひとりとなることで、その状況を変えていきたいと願っています。もちろん、日本盤のボーナス・トラックを日本語で歌ったのも “寛容さ” の一環。そうやって、箱や壁はひとつひとつ取り払われていくべきなのでしょう。
今回弊誌では、Brittney Slayes にインタビューを行うことができました。「”Ghosts In The Mist” という曲は日本語に訳すのに適していると思ったから、15年ほど前に日本に移住した友人に翻訳を手伝ってもらったのよ。 彼と彼の奥さんはネイティブ・ジャパニーズで、発音まで手伝ってくれたのよ。 私は一生懸命日本語に取り組んだけど、残念ながらそれでも完璧にはほど遠い。でも、私はあなたたちの言葉が大好きよ! うまく伝わることを願っているわ!」 Olivia Newton John を思わせる彼女の声の透明感が肝。どうぞ!!

UNLEASH THE ARCHERS “PHANTOMA” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SPECTRAL WOUND : A DIABOLIC THIRST】 JAPAN TOUR 24′


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH SPECTRAL WOUND !!

“We Are Not Particularly Interested In “Pushing The Boundaries” In That Manner. There Is Room Enough For Experimentation In Black Metal Without Turning It Into Toothless Post-rock.”

DISC REVIEW “A DIABOLIC THIRST”

「そう、私たちは特にそうした “境界を押し広げる” ことには興味がない。わざわざ “歯抜けの” 間抜けなポスト・ロックにしなくても、ブラック・メタルには実験を行う余地が十二分にあるからね」
今やブラック・メタルの世界は百花繚乱。シューゲイザー、ポスト・ロック、ジャズ、プログレッシブ、そしてその土地土着のフォーク・ミュージックなど、トレモロとブラストが渦巻く狂乱の暗黒世界は多様に進化を続けています。
ただし、その動きに我関せず、なんなら退化と嘲笑うかのようにブラック・メタルの神秘と美学を守り続けるアーティストも当然存在します。ついに来日を果たすカナダの創傷 SPECTRAL WOUND はそんな鎮守荒神の筆頭でしょう。
「フィンランド人のメロディーの巧みさは、おそらく他の追随を許さないだろうな。自分たちが聴きたいと思う音楽を作っている限りにおいて、メロディにはこだわりたい。ただ我々は広くアピールしようとはせず、自分たちの欲求を満たすことだけを追求しているんだ」
カナダ、ケベックというブラック・メタル生誕の地からは遠く離れた場所に居を構えながらも、SPECTRAL WOUND はあくまでもプリミティブです。何も新しいことはやりたくない。その哲学が、かえって今のブラック・メタル世界には新しいのかもしれません。
絶え間なく迫り来るブラストの海にトレモロの嵐。ただし、彼らの絞り出す寒々しい断末魔のメロディはあまりにも心を抉ります。SARGEIST や HORNA に心酔する彼らにとって、北欧のミュルクヴィズ、暗くて凍える針葉樹の冬を描き出すことこそが理想なのでしょう。
「ブラック・メタルはその創成期から、人間の最もダークな部分を探求する音楽だった。従って、様々な形の過激主義に傾倒していったとしても何ら不思議ではないし、その事実を歴史から消し去ることもできない。私たちはこの歴史を受け入れる必要はないし、弁解する必要もない。ただ、 私たちはそうした歴史を理解し、それと闘わなければならないのだよ」
一方で、SPECTRAL WOUND のブラック・メタル、その背後にある思想は20世紀のそれとは大きく異なります。今でもかつての流れを汲んだ、極右やナチズムに傾倒するブラック・メタル NSBM は少なからず存在します。しかし彼らは、そうした暴力、抑圧、差別に対しては真っ向から反旗を翻しているのです。
Red and Anarchist Black Metal、RABM にまで属するのかはわかりませんが、少なくとも彼らはオールド・スクールなブラック・メタルにニュー・スクールな思想を持ち込んで、世界の闇をインスピレーションとして喰らい尽くしているのです。
今回弊誌では、SPECTRAL WOUND にインタビューを行うことができました。「日本の映画や音楽は大好きだよ。SABBAT, ABIGAIL, BORIS, CORRUPTED, G.I.S.M….彼らははみんな偉大だし、Flower Travellin’ Band, 坂本龍一、清水靖晃、高橋幸宏など、日本の音楽界の巨人たちも素晴らしいね。浅川マキは、北米ではほとんど知られていないけど、とても魅力的なアーティストだ。日本映画では、小津安二郎はその狂気において、黒澤、成瀬巳喜男、北野武、押井守、大友克洋、鈴木清順、三池崇史と並ぶ巨匠であることは間違いないね」どうぞ!!

SPECTRAL WOUND “A DIABOLIC THIRST” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【BIRD PROBLEMS : FLIGHT OR FLIGHT】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MICHAEL SMILOVITCH OF BIRD PROBLEMS !!

“In Terms Of Math, There Have Definitely Been Times Where Daniel and Joseph Have Sat Down With a Calculator To Write a Complex Rhythmic Section!”

DISC REVIEW “FLIGHT OR FLIGHT”

「MESHUGGAH と TOOL からは、PERIPHERY, TesseracT, THE CONTORTIONIST のようなバンドと同様に、大きなインスピレーションを得ている。作曲をするときは、常に自分たちの好きなものから影響を受けているんだ。数学に関しては、Daniel と Joseph が電卓を持って複雑なリズム・セクションを書いたこともよくあるんだ!」
マスマティカル、数学的なメタル。そもそも音楽とは非常に数学的なものですが、特に複雑な奇数拍子やポリリズムを駆使したメタルがトレンドの一角に躍り出て以来、メタルの方程式はより多様で、色とりどりの解を持つようになりました。モントリオール出身の BIRD PROBLEMS も、リスナーに複雑怪奇な方程式を出題し、様々な解法を引き出しながらメタルを前に進めるソクラテス。
「自分たちが好きな音楽をやりたかった。僕たちは常に自分たち自身に挑戦しようとしているので、何か新しい曲を書くときはいつも、まだ実際に演奏できないような曲を書くことが多いんだ。もっとポピュラーなジャンルで活動した方が楽なんじゃないかと思うこともあるけれど、それだと心が入らないのは分かっているからね」
スクロールやクリックするだけのインスタントな娯楽、SNSや切り取り動画、ストリーミングが蔓延る世の中で、長い修練と手間暇要するプログレッシブ・ミュージックは世界から取り残されているようにも思えます。実際、BIRD PROBLEMS のボーカル Michael Smilovitch も、ポップ・ミュージックで売れるほうが楽なのは間違いないと認めています。それでも、この複雑怪奇な音の葉を追求する理由。それはひとえにただ、好きだから。挑戦したいから。
「プログは複雑であっても意図的で、秩序があり、有限であるため、結局は安らぎを与えてくれる。最初は混沌としていて予想外に聞こえるけど、努力すれば必ずパターンを見つけ出すことができるし、その中で迷うことを楽しむこともできるんだ」
たしかに、プログレッシブ・ミュージックは世間の潮流とは真逆にあるのかもしれません。一回しか流行らなかった音楽かもしれません。しかし、それでもここまで生きながらえているのは、混沌と難解の中に安らぎや快楽があるからでしょう。プログレッシブ・ミュージックには、リスナーそれぞれの解法があり、迷う楽しみがあり、好きがあり、驚きがあり、解き明かした際の解放があります。
「リスナーが BIRD PROBLEMS の新曲を聴いたときに驚き、興味をそそられ、次に何が出てくるかわからないようにしたいんだよね。僕は文学的な分析をとても楽しんでいる。歌詞や詩をひとつひとつ分解して、それを本当に理解しようとする。自分の歌詞に関して言えば、基本的なテーマや感情を表面的に表現するだけでなく、そういうことが好きな人たちが分析できるような、深い意味や言及を含むパズルのようなものを作ることが目標なんだ」
彼らが “Bird Problems” などという奇怪な名を名乗るのも、結局は音楽の中に宿る個性と驚きを大切にしているから。大学で化学や文学を学んだことも、ANIMALS AS LEADERS とジャズを履修し “Djazz” と呼ばれることも、失楽園のような叙事詩に言及をすることも、アニメやゲームを愛することも、かたくなに鳥をテーマにすることも、すべては創造性という翼となって、ステレオタイプな音の巣から飛び立つための養分に違いありません。
今回弊誌では、Michael Smilovitch にインタビューを行うことができました。「僕は個人的に大のゲーマーで、ビデオ・ゲーム業界で働いているから、ゲームも研究対象なんだ!今年は日本のRPGにとって素晴らしい年。今プレイしているのは、”龍が如く8″と “ユニコーンオーバーロード” なんだ。僕の好きなビデオ・ゲームのほとんどは日本のもので、一番を選ぶとしたら “Bloodborne”だね」 NEXT PROTEST THE HERO。どうぞ!!

BIRD PROBLEMS “FLIGHT OR FLIGHT” : 10/10

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