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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【MAWIZA : ÜL】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH AWKA OF MAWIZA !!

“Our Song Wingkawnoamestá Is Based On The Dance Of The Wemul (Deer). It Has a Syncopated Rhythm Because This Animal Has The Wisdom To Confuse Its Predators, It Even Makes a False Step.”

DISC REVIEW “ÜL”

「僕たちはヘヴィ・メタルやロックの自由の叫びから、大きな力とエネルギーを見出したんだ。これは偶然ではないと感じているよ。自然とその精霊はメタルの力に気づいている。マプチェの知識では、マプ(土地)は最も身近なエネルギーを使うと言われている。MAWIZA は土地に仕える者だからね」
チリ・アルゼンチンに暮らす先住民、マプチェ族。マプは土地、チェは人を意味し、文字通り自らの生まれ育った土地を守りながら生きる人々。インカ帝国にも、スペインにも屈することなく独立を貫き続けた誇り高きマプチェの民は、その土地の自然とスピリチュアリティを何よりも大切にしています。そしてその自然や精霊から得られる大きな力、エンパワーメントがメタルとシンクロすることに MAWIZA は気づいたのです。自由の叫びと共に。
「僕たちの言語、マプズグン(土地の言語)は、19世紀末に抑圧されたため、現在復活の過程にあるんだ。マプズグンでフルアルバムをリリースすることは、それ自体がマプチェ復興のための活動であり、僕たちから奪われた場所を取り戻す行為でもある。
僕たちは、先住民の視点から現代の楽器を使用し、メタルを通じてこの活動を実践することで、エンパワーメント、力を得ている。それが、このアルバムで表現しようとしたものなんだ。
僕たちはマプチェの論理に基づいて音楽を構成しているから、自然、鳥、動物のリズム、海洋のパターンを模倣した音が聴こえるだろうね」
19世紀末、”アラウカニア制圧作戦” でスペインから独立したチリ政府に併合されたマプチェ族。以降彼らは、ピノチェトや国軍、大企業、もしくはヨーロッパから移住したチリのエリートから差別や迫害を受け、抑圧され、共に生き育てた自然を奪われていきました。マプズグンという彼らの言葉さえも奪われてしまいました。
いつの世も、植民者、征服者にとって先住民とは “なかったこと” にしたい存在です。それでも、マプチェとメタルには並外れた回復力、反発力、レジリエンスが宿っていました。MAWIZA はマプチェの言葉で歌い、マプチェのメタルを奏でることで、民族の復興を願っているのです。
「マプチェのリズムは先祖から受け継がれたもの。僕たちは、こうしたダンスを動物、風、海から学んだんだ。それはマプチェの民のコミュニティによって異なるんだよ。例えば、僕たちの曲 “Wingkawnoamestá” は、ウェムル(鹿)のダンスを基にしている。鹿は捕食者を混乱させる知恵を持ち、偽のステップを踏むため、シンコペーションのリズムが特徴となっているよ。実際、自然はメタルだよ」
そう自然はメタル。マプチェ復興の強い意志が込められた MAWIZA の最新作 “ÜL” には、雷のような轟音、風や海と地を揺るがすグルーヴ、情熱の炎と先祖から受け継いだ知恵とスピリチュアリティが織り込まれています。”ÜL” の詠唱はまさに土地の声。”Wingkawnoam” はインダストリアルで現代的なビートで進行しますが、その音はマプチェの儀式用ドラム “Kultxung” で叩き出されています。 Kultxung は神聖な楽器。シャーマンがこのドラムを叩くとき、彼らは空のエネルギーを受け取り、それを大地に伝えると言われています。
そうして彼らはシャーマンの言葉、先祖の夢託により、鹿のステップをプログレッシブなリズムに落とし込みました。自然の力である鹿を自らに見立て、植民者たちの目を撹乱するために。そう、マプチェの土地は今でも自然との共存とは程遠い開発業者の侵食に脅かされています。それでも、MAWIZA は先祖や長老から受け継いだ知恵、そして自然とメタルのエンパワーメントで力強い抵抗を続けていきます。彼らが紡ぐのは、血に飢えた征服者の目ではなく、土地と生きる先住民の目から見た歴史。
今回弊誌では、ボーカリスト Awka にインタビューを行うことができました。「MAWIZA とは “山” を意味する。現在僕たちが住むピクン・マプ(北部の土地)では、アンデス山脈が圧倒的な規模で広がっていてね。毎日、太陽がアンデスの背後から昇る光景は息をのむほど美しいものだ。冬には雪に覆われ、時にはピューマが山から下りてくる。森と山は多くの命が交わる場所。そこでは水、滝、多様な樹種、薬草、動物が共存しているんだよ」GOJIRA の Joe Duplantier もゲスト参加。どうぞ!!

MAWIZA “ÜL” : 10/10

INTERVIEW WITH AWKA

Q1: First, can you tell us what kind of music you grew up listening to?

【AWKA】: Mari mari! rume mañum tüfachi ngütxam mew. (Hello! thank you for this interview)
I grew up listening to very diverse music. At home, with my grandparents, there was always Latin American music.
From my uncles I discovered rock and metal. They even played drums and guitar.
Getting to know this bold and powerful musical language was a turning point for me.
It matched perfectly with the message and sense of identity that would later shape Mawiza.

Q1: 本誌初登場です!まずは、あなたの音楽的なバックグラウンドからお話ししていただけますか?

【AWKA】: マリマリ!ルメ・マヌム・トゥファチ・ングツハム・メウ。(こんにちは!インタビューの機会をありがとう!)
僕は非常に多様な音楽を聴いて育ったんだ。祖父母と過ごす家では、常にラテン・アメリカの音楽が流れていたね。
それから、叔父たちからはロックとメタルを学んだよ。彼らはドラムやギターを演奏していたんだ。この大胆で力強い音楽言語を知ることは、僕にとって転機となったんだよ。
その音楽は、後に MAWIZA を形作るメッセージとアイデンティティの感覚と完璧に一致していたんだ。

Q2: Is metal music active in Chile? What kind of scene is forming?

【AWKA】: Metal in Chile is very active. Even though it’s a marginal style and not what usually gets promoted, there are tons of bands from all kinds of subgenres.
There’s a strong scene connected to 80s metal, and in the last 10 years a wave of modern bands has appeared, with elements of death prog, metalcore or djent.
In the context of the Mapuche Nation, the scene is divided between rap and metal.
In the eastern side of Mapuche territory, which is now Argentina, rock is more common, there are many heavy and black metal bands.
But in our side of the land, west of the Andes, what’s now Chile, rap is more present.
We actually made a song called Txükür, featuring our lamngen (Mapuche sister) MC Millaray Collio, a rapper. That’s how we unite forces between contemporary Mapuche musicians.

Q2: チリでメタルはどんな状況なんでしょう?どのようなシーンが形成されていますか?

【AWKA】: チリのメタルは非常に活発だよ。たしかにマイナーなジャンルで、通常はプロモーションされないものの、あらゆるサブジャンルから数多くのバンドが存在しているんだ。
基本は80年代のメタルに根ざした強力なシーンがあり、過去10年間でデス・プログ、メタルコア、Djent などの要素を取り入れた現代的なバンドの波が台頭しているんだ。
マプチェ民族の文脈においては、そのシーンはラップとメタルに分かれているよ。マプチェの土地の東部、現在のアルゼンチン側ではロックがより一般的で、ヘヴィ・メタルやブラックメタルのバンドが数多く存在する。
しかし、アンデス山脈以西の僕たちの土地、現在のチリ側ではラップがより浸透しているんだ。
だから僕たちは、マプチェの姉妹である MC Millaray Collio をフィーチャーした “Txükür” という曲を作ったんだ。これが現代のマプチェ音楽家たちの連携の象徴なんだ。

Q3: I heard that your metal is a song for the Mapuche people, is the band actually Mapuche people too? What is the meaning behind the band name Mawiza?

【AWKA】: Our music is extreme Mapuche music. All of us are Mapuche descendants. We have our lof (Mapuche community) where we practice our spirituality, constantly learn, and hold our ceremonies.
Mawiza means the mountain. Where we live now, in Pikun Mapu (northern territory), the Andes are incredibly huge. Every day the sun rises behind them, it’s a breathtaking image.
In winter they’re covered in snow, and sometimes pumas come down from there.
The forest and the mountain are places where many lives meet, there’s water, waterfalls, different tree species, medicine and animals.
As an Indigenous people, we learned to communicate within the mountain, inside the forest. That’s what our ancestors say.
As a Mapuche band, we want to bring a piece of our nature, of our being, to different parts of the world, to connect with the essential, with the powerful energy of nature.

Q3: MAWIZA のメタルはマプチェの人々ためのメタルだと聞きましたが、バンドのメンバーもマプチェに由来があるんですよね?また、バンド名 MAWIZA にはどんな意味が込められていますか?

【AWKA】: 僕たちの音楽はエクストリームなマプチェ音楽。全員マプチェの末裔だからね。僕たちは今でもロフ(マプチェのコミュニティ)でスピリチュアリティを鍛錬し、学び続け、儀式を執り行っているんだ。
MAWIZA とは “山” を意味する。現在僕たちが住むピクン・マプ(北部の土地)では、アンデス山脈が圧倒的な規模で広がっていてね。毎日、太陽がアンデスの背後から昇る光景は息をのむほど美しいものだ。冬には雪に覆われ、時にはピューマが山から下りてくる。
森と山は多くの命が交わる場所。そこでは水、滝、多様な樹種、薬草、動物が共存しているんだよ。
先住民として、僕たちは山の中、森の中でコミュニケーションを学んだんだ。それが先祖たちの言葉だから。
マプチェの民として、僕たちは自然の一部である僕たちの存在を世界の様々な地域に持ち込み、自然の不可欠で強力なエネルギーとつながりたいと考えているんだ。

Q4: What makes Mapuche great is that it has always defended its independence without succumbing to the rebellion of the Inca Empire or Spain, right? I feel that such resilience is in perfect harmony with the resilience that resides in metal, would you agree?

【AWKA】: Absolutely. We’ve heard that around the world, we are known for our resilience, for being one of the few peoples who never gave in to the Spanish empire.
That resistance kept our independence as a free Indigenous nation until the late 1800s.
After that came what’s called the “Pacification of Araucanía” in Chile and the “Conquest of the Desert” in Argentina, and the Mapuche Nation was stripped of its territory and autonomy.
As descendants of Mapuche who migrated to big cities, we were surrounded by foreign cultural elements. But we found great strength and energy in heavy music, the cry of freedom in rock.
We feel it’s not a coincidence. Nature and its spirits are aware of this. In Mapuche knowledge, it’s said that the mapu (land) uses the energy that’s most available to her. Mawiza serves the land.

Q4: マプチェが偉大なのは、インカ帝国やスペインの反乱に屈することなく、常に独立を守り通してきたところですよね?そうしたレジリエンス (反発力、回復力) は、メタルに宿るレジリエンスと完璧に調和していると感じますよ。

【AWKA】: 間違いなくその通りだね!世界中で、僕たちマプチェは世界中にそのレジリエンスで知られていて、スペイン帝国に屈しなかった数少ない民族の一つだと誇りを持っているんだ。その抵抗があったから、19世紀後半まで自由な先住民国家としての独立を維持できたんだからね。
その後、チリでは “アラウカニアの平定”、アルゼンチンでは “砂漠の征服” と呼ばれる動きが起き、マプチェ民族は領土と自治権を奪われてしまった。
都市部に移住した僕たちマプチェの末裔にとって、周囲は外国の文化要素に囲まれている。しかし、僕たちはヘヴィ・メタルやロックの自由の叫びから、大きな力とエネルギーを見出したんだ。
これは偶然ではないと感じているよ。自然とその精霊はメタルの力に気づいている。マプチェの知識では、マプ(土地)は最も身近なエネルギーを使うと言われている。MAWIZA は土地に仕える者だからね。

Q5: I was told that the title of the album “Üi” means “chanting. “In fact, the Mapuche must have made great sacrifices to fight the Incas and the Spanish. Are you channeling those heroic spirits in this album?

【AWKA】: You’re right. ÜL means chant. According to rakizuam (Mapuche thought), chanting is the first moment of communication between our feelings and the world around us.
Our music is full of empowerment and the will to resist. But we never forget that we’re not fighting for ourselves, we are deeply connected to the land.
We are part of nature, children of the earth and the sky, we are the forest defending itself.
Our chant is just another extension of the anger of the oceans and volcanoes.
As Mapuche, we’re sure of this, and believing it every day means being ready to resist whatever comes, whether it’s the Inca Empire, the Spanish Crown or the Chilean state. We will die fighting on our land.
The songs in ÜL try to carry all this feeling, and also invite people to connect deeply with their own territory, whether they are Indigenous or not.
Nature is above our heads and beneath our feet.

Q5: アルバムのタイトル “ÜL” とは “チャント” “聖歌、詠唱” という意味だと聞きました。
実際、マプチェはインカとスペイン、チリ政府との戦いで大きな犠牲を払ったに違いありません。このアルバムの “チャント” で、その英雄的な霊を呼び起こしているのでしょうか?

【AWKA】: その通りだよ。”ÜL” は “チャント” を意味する。
ラキズアム(マプチェの思想)によると、歌は僕たちの感情と周囲の世界との最初のコミュニケーションの瞬間なんだ。
僕たちの音楽は力強さと抵抗の意志に満ちている。だけど僕たちは決して自分たちのために戦っているわけではないことを忘れないよ。僕たちは土地と深くつながっている。僕たちは自然の一部であり、大地と空の子であり、森が己を守るために遣わされた存在だ。 だから僕たちの歌は、海の怒りと火山の大地への怒りの延長に過ぎないんだよ。
マプチェとして、僕たちはこの理を確信していて、毎日それを信じることは、インカ帝国、スペイン王国、チリ政府のいずれが来ようとも抵抗する準備を整えることにつながるんだ。僕たちは自分たちの土地で戦いながら死んでいくだろう。
“ÜL” の曲は、こうした感情を伝え、また、先住民であろうとなかろうと、人々が自身の土地と深くつながるよう促しているんだ。
自然は僕たちの頭上にあり、足元にある。

Q6: In fact, does oppression and discrimination against the Mapuche people still exist today? Does the album also contain a force against it?

【AWKA】: Yes, it still exists. Our language, Mapuzugun (the language of the land), is being revitalized because it was silenced in the late 1800s.
Releasing a full album in Mapuzugun is, in itself, an act of Mapuche activism, of reclaiming the spaces that were taken from us.
We feel empowered doing this through metal, using modern instruments from an Indigenous perspective.
That’s what we tried to express in these 9 new songs.
We conceived the music based on Mapuche logic, that’s why you’ll hear sounds that imitate nature, birds, animal rhythms, ocean patterns.

Q6: 実際、マプチェ民族に対する抑圧と差別は現在も存在しているのでしょうか?

【AWKA】: そうだね、今も存在しているよ。僕たちの言語、マプズグン(土地の言語)は、19世紀末に抑圧されたため、現在復活の過程にあるんだ。
マプズグンでフルアルバムをリリースすることは、それ自体がマプチェ復興のための活動であり、僕たちから奪われた場所を取り戻す行為でもある。
僕たちは、先住民の視点から現代の楽器を使用し、メタルを通じてこの活動を実践することで、エンパワーメント、力を得ている。それが、この9曲の新曲で表現しようとしたものなんだ。
僕たちはマプチェの論理に基づいて音楽を構成しているから、自然、鳥、動物のリズム、海洋のパターンを模倣した音が聴こえるだろうね。

Q7: “ÜL” is great in its philosophy and, of course, in its music!In fact, it felt like a modern update of the great metal era of the 90’s with black metal, groove metal, nu-metal, and industrial, would you agree?

【AWKA】: Our influences in rock and metal are super varied. We love 90s metal like Sepultura. But also black metal and its origins in those dense European forests.
It wasn’t really planned to make this kind of metal in Mawiza, it just came naturally.
We don’t try to stick to any subgenre. We stay true to what each song needs.
And of course, when writing songs with a traditional Mapuche logic, ancestral rhythms appear, and they bring a lot of groove.
To mix ÜL, we used the latest Periphery album as a big reference, we loved the sound they got.
We wanted that crystal-clear sound, mixed with an incredible burst of power.

Q7: “ÜL” は哲学的にも、もちろん音楽的にも素晴らしい作品ですね!
実際、これは90年代のメタルを現代的に再解釈したような、ブラックメタル、グルーヴ・メタル、Nu-metal、インダストリアルにマプチェの響きを融合させた作品だと感じます。

【AWKA】: 僕たちのロックとメタルの影響は多岐にわたる。90年代のメタル、例えば SEPULTURA のようなバンドが大好きだよ。でも同時に、ヨーロッパの深い森に起源を持つブラックメタルも愛している。
MAWIZA でこうしたメタルを作ることは計画ではなかったんだ。自然に生まれたものだった。僕たちは特定のサブジャンルに固執していない。各曲が必要とする要素に忠実なだけなんだ。そしてもちろん、伝統的なマプチェの論理で曲を書く際、先祖代々のリズムが現れ、多くのグルーヴをもたらしてくれる。
実は “ÜL” をミックスする際、僕たちは PERIPHERY の最新アルバムを大きな参考にしたんだ。彼らのサウンドが大好きだからね。僕たちは、あのクリスタル・クリアなサウンドと、信じられないほどのパワーの爆発を組み合わせたかったんだ。

Q8: Above all, the album beautifully combines Mapuche folk music with metal! What are the characteristics of Mapuche music and how did you combine them with metal?

【AWKA】: Mapuche rhythms are inherited from our ancestors. They say we learned these dances from animals, the wind, and the sea.
It depends on each community across the Mapuche Nation.
For example, our song Wingkawnoamestá is based on the dance of the wemul (deer).
It has a syncopated rhythm because this animal has the wisdom to confuse its predators, it even makes a false step.
Nature is metal. The energy of volcanoes, of lightning, it’s overwhelming.
The sound of thunder is something we try to recreate in many ceremonies.
We know that newen (force) is needed to live in küme mongen (good balance).
The spirits of our ancestors, and nature itself, often demand that kind of strength.
We are people who understand how necessary great forces are, that’s why metal fits so well with our way of thinking.

Q8: 実際、このアルバムはマプチェの民族音楽を世界に知らしめるものにもなりました。マプチェ音楽の特徴と、どのようにメタルと融合させたのかを教えていただけますか?

【AWKA】: マプチェのリズムは先祖から受け継がれたもの。僕たちは、こうしたダンスを動物、風、海から学んだんだ。それはマプチェの民のコミュニティによって異なるんだよ。例えば、僕たちの曲 “Wingkawnoamestá” は、ウェムル(鹿)のダンスを基にしている。鹿は捕食者を混乱させる知恵を持ち、偽のステップを踏むため、シンコペーションのリズムが特徴となっているよ。
実際、自然はメタルだよ。火山や雷のエネルギーは圧倒的。雷の音は、僕らが多くの儀式で再現しようとしているものなんだ
僕たちは、クメ・モンゲン(良いバランス)で生きるためにはニューエン(力)が必要だと知っている。先祖の霊や自然そのものが、そのような力を求めることがある。
僕たちは、大きな力がどれだけ必要かを理解する民だ。だからこそ、メタルは僕たちの思考方式にぴったり合うのだろうな。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED AWKA’S LIFE!!

Beatriz Pichi Malen

Sepultura “Roots”

Metallica “Ride the Lightning”

Cardiacs “Sing to God”

Gojira “The Way of All Flesh”

And lots of Mapuche music from our ceremonies.

MESSAGE FOR JAPAN

We are die-hard fans of Studio Ghibli. We are deeply moved by the way they use art to express the need to care for nature and the power of its spirits.
We believe that Japanese and Mapuche cultures are very similar, both are rich in respect, diplomacy, family lineages, and a deep bond with the forest.
It would be an honor for us to one day travel to Japan or create music for an anime.
To the people of Japan, we want to say thank you for this space and for reading our zuam (intention). Despite the distance, newen (spiritual energy) exists, and it is very similar. Txürngey tayu newen! (May our energies be united!)

僕たちはスタジオ・ジブリの熱狂的なファンなんだ。彼らがアートを通じて自然への配慮の必要性と、その精霊の力を表現する手法に深く感動しているよ。
僕たちは、日本とマプチェの文化は非常に似ていると信じていてね。どちらも 尊重、関係、家族系譜、そして森との深い絆に富んでいるからね。
いつか日本を訪れるか、アニメのための音楽を制作する機会を得られるとしたら、僕たちにとって大きな栄誉だよ!
日本のみんな、僕たちのズアム(意図)を読んでくれてありがとう!距離はあっても、ニューエン(霊的なエネルギー)は存在し、つながっている。 ツゥルンゲイ・タユ・ニューエン! (僕たちのエネルギーが一つになりますように!)

AWKA

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SEASON OF MIST

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【IMPUREZA : ALCÁZARES】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH LIONEL CANO MUNOZ OF IMPUREZA !!

“Metal And Flamenco…Two Worlds That Seem To Be Opposites, But Which Share The Same Intensity, The Same Pain, The Same Rebellion. It’s This Mixture That Forged The Guitarist I Became.”

DISC REVIEW “ALCÁZARES”

「非常に美しい進化だと思うよ。メタルはついに、これまで以上にユニバーサルなものになりつつあるんだからね。各言語には歴史、色、文化があり、それを使用する者にリズムを与える。スペイン語は、僕たちの歌詞に特有の音楽性をもたらし、ドラマチックで激しく暴力的な側面を与え、メタルの力とフラメンコの強度を自然に融合させてくれるんだ」
BLOODYWOOD や THE HU の台頭により、メタルに宿る生命力、包容力、感染力がついに可視化されました。今やメタルに第三世界はありません。その大いなる寛容さで様々な地域、様々な人々の文化を暖かく包み込み、メタルの咆哮と旋律に共感を誘います。
“ヒスパニック・メタル” を標榜する IMPUREZA も、そんなユニバーサルなモダン・メタル世界を象徴するバンドのひとつ。フランスとスペインの伝統の炎…その熱き血潮で鍛えられた IMPUREZA は、エクストリーム・メタルとフラメンコの情熱的で激しい融合を20年もの長きに渡って、追求してきました。そして今、イベリア半島のアイデンティティを刃物のように操り、自らのルーツをメタルの中に浸透させた彼らの勇気に遂に時代が追いついたのです。
「僕はフラメンコとメタルという、非常に強力な2つの世界の間で育ったんだ。家ではパコ・デ・ルシア、カマロン・デ・ラ・イスラといったスペインのギター音楽を聴いていたんだよ。一方で、METALLICA, PANTERA, SLAYER, MORBID ANGEL, TESTAMENT, NILE などにも完全に浸っていた。一見対立する二つの世界だけど、同じ情熱、同じ苦悩、同じ反逆の精神を共有しているんだよ。このふたつのミックスが、ギタリストとしての僕を形作ったんだ」
そう、一見交わらないように思える様々な道を交わらせるのがメタルの力。しかし、そもそもフラメンコとメタルには、情熱、苦悩、そして逆境を跳ね返す回復力といった多くの共通項が存在しました。だからこそ、今回のインタビューイでありイベリアのギター・ヒーローLionel Cano Muñoz は PANTERA とパコ・デ・ルシアを同時に愛することができたのです。
「フラメンコには深い、悲劇的で、感情的、本能的な精神がある。メタルには、この解放的な音楽の力を通じて、僕たちの中に埋もれたエネルギーをアウトプットする能力がある。ただしふたつとも複雑な音楽で、多くの厳格さを必要とする。勇気は、この絶対的な誠実さから生まれてくるんだ」
とはいえ、これほど精巧で、荘厳で、ドラマティックなヒスパニック・メタルはまさに前人未到の領域。誰も踏み入れたことのない場所を開拓するためには勇気が必要です。そして、NILE や BEHEMOTH のように凶悪でありながら、OPETH のように挑戦的で、パコ・デ・ルシアのように革命的で苦悩と歓喜に満ちた “La Orden del Yelmo Negro” は、絶対的な勇気の歌。あの Jacob Hansen 指揮の下、見事に練られたクラシカルなストリングスとリズミックなパーカッションが、メタルの “レコンキスタ”、再征服を誇り高く宣言します。そしてもちろん、フレットレス・ベースの嗎はプログレッシブなデスメタルの矜持。
「スペインの歴史には、その偉大さと衰退の両方が刻まれている。政治的、宗教的、さらには神秘的な対立が多くの不幸の根源だけど、そうしたテーマは僕たちの創作に無限のインスピレーションを与えてくれる。僕たちは戦争を美化しようとしているわけではなく、その精神的、文化的、人間的な共鳴を探求しているんだ。戦争は確かに暴力的なものだけど、同時に深くて象徴的なものだと思う」
常にイベリアの歴史を物語ながら、ある種の教訓をもたらしてきた現代の吟遊詩人 IMPUREZA。今回のアルバム “Alcázares” で彼らは、血と死が今よりもはるかに近くにあった中世、レコンキスタをテーマに選びました。キリストとイスラム…血塗られた歴史と神秘が交錯する宗教と戦いのストーリー。争いから始まった文化と人の流動性はいつしか成熟され、洗練され、多様な背景を持つ人々を生み出し、ルネサンスの下地にもなりました。血と死に導かれたレコンキスタはまさに、メタルとフラメンコの “不純な” 婚姻にも似て、多文化共生、異文化共鳴の始まりでもあったのです。
今回弊誌では、Lionel Cano Muñoz にインタビューを行うことができました。「メタルは世界を変えることができない。それはたしかだ。だけど、ニュース、本、映画とは全く異なるチャンネルを通じて物語を伝えることならできる。そうやって、いつも僕たちに “逃避” する場所を与えてくれるんだ。メタルはおそらくこの世界におけるユニバーサルな言語であり、表現における最高の武器なんだ!」どうぞ!!

IMPUREZA “ALCÁZARES” : 10/10

INTERVIEW WITH LIONEL CANO MUNOZ

Q1: First of all, what kind of music did you grow up listening to?

【LIONEL】: I grew up between two very powerful worlds: flamenco and metal. At home, we listened to Paco de Lucía, Camarón de la Isla, Spanish guitar… And alongside that, I was completely immersed in Metallica, Pantera, Slayer, Morbid Angel, Testament, Nile… Two worlds that seem to be opposites, but which share the same intensity, the same pain, the same rebellion. It’s this mixture that forged the guitarist I became.

Q1: 本誌初登場です!まずは、あなたの音楽的なバックグラウンドからお話ししていただけますか?

【LIONEL】: 僕はフラメンコとメタルという、非常に強力な2つの世界の間で育ったんだ。家ではパコ・デ・ルシア、カマロン・デ・ラ・イスラといったスペインのギター音楽を聴いていたんだよ。一方で、METALLICA, PANTERA, SLAYER, MORBID ANGEL, TESTAMENT, NILE などにも完全に浸っていた。一見対立する二つの世界だけど、同じ情熱、同じ苦悩、同じ反逆の精神を共有しているんだよ。このふたつのミックスが、ギタリストとしての僕を形作ったんだ。

Q2: What made you start playing an instrument? Who were your heroes at the time?

【LIONEL】: I started around 14 years old with the acoustic guitar, which I found a little difficult and less fun than the electric one. So I first persevered with metal and hard rock. Then I decided to return to the acoustic guitar; with more maturity, I began to find pleasure in it, and I also continued to work on the Spanish guitar.
I’ve always had an artistic spirit and a desire to surpass myself, so I tried several hobbies, and when I found a guitar at my grandparents’ house, I gave it a try. As a fan of Metallica and Slayer at the time, I wanted to be like James Hetfield. I started playing along to the albums until I perfected my skills, and then I developed a taste for it, and I never stopped!
But very quickly, my origins took over. Flamenco was already there, in my blood, in my family roots. My heroes were Paco de Lucía, Dimebag Darrell, and Camarón de la Isla. They all had a spiritual strength, an authenticity that I was looking for.

Q2: ギターを弾き始めたきっかけもフラメンコだったんですか?当時のヒーローは誰でしたか?

【LIONEL】: そうだね、14歳ごろ、アコースティック・ギターから始めたんだけど、エレキギターに比べて少し難しく、楽しさも劣るように感じていてね。だから、最初はエレキでメタルとハードロックに粘り強く取り組みくむことにした。その後、アコースティックギターに戻ったんだ。すると、成熟した視点で楽しめるようになって、スパニッシュ・ギターにも取り組むようになったんだ。
芸術的な精神と自己超越の意欲があったから、昔から趣味は豊富でね。だから、祖父母の家でギターを見つけた時、挑戦してみようと思った。当時は METALLICA と SLAYER のファンだったので、ジェイムズ・ヘットフィールドのようになりたいと思っていたんだよな。アルバムに合わせて演奏し、技術を磨くうちに、その魅力にハマり、以来、ギターをやめられなくなってしまった!
だけど、すぐに僕のルーツが表れてきた。フラメンコは既に僕の血の中に、家族のルーツの中にあったからね。僕のヒーローはパコ・デ・ルシア、ダイムバック・ダレル、カマロン・デ・ラ・イスラだった。彼らは皆、精神的な強さと、僕が求めていた本物らしさを持っていたんだ。

Q3: You are known as “Hispanic Metal”. Although you are French, are you still proud of your Spanish roots? Is the band’s name “Impureza” “Impurity” a reference to your own mixture of Spanish and French blood?

【LIONEL】: Yes, completely for the first part of the question. I was born in France, but I am of Spanish origin, both my parents are Spanish and that is part of me. But for the second part, above all Impureza embodies the duality of two musical genres, the impurity certainly comes from the fact of textured flamenco with metal and smoothed metal with flamenco. So yes our music is perhaps impure!!! Haha!

Q3: IMPUREZA は “ヒスパニック・メタル” として知られています。あなたたち自体はフランス人であるにもかかわらず、スペインのルーツに重きを置き誇りを持っているようですね?バンド名 “Impureza”(不純物)とは、そうしたスペインとフランスの血の混合を意味しているんですか?

【LIONEL】: 最初の質問の答えは完全にイエス。僕はフランスで生まれたけど、スペインの血を引いている。両親はどちらもスペイン人で、そのルーツは僕の一部なんだ。
だけど、2つ目の質問ついては、IMPUREZA は主に2つの音楽ジャンルの二面性を体現していることが理由だよ。不純さとは、フラメンコとメタルのテクスチャーの融合、そしてメタルとフラメンコの滑らかな融合から来ているんだ。だから、僕たちの音楽は確かに “不純” かもしれないよね!!!(笑) 。

Q4: I don’t know of any other band that combines flamenco and traditional Spanish music with metal as well as you do! Your orchestration is also very skillful. Did you find any similarities between Spanish traditional music and metal music in terms of bravery and tragedy?

【LIONEL】: Thank you very much. Yes, these two worlds share a raw intensity. Flamenco has this deep, tragic, visceral spirit. Metal has a capacity for release, a way of externalizing the energy buried within us through the power of this liberating music. They are two complex musics that require a lot of rigor and rigor. Bravery comes from this absolute sincerity. We try to translate this into each composition.

Q4: 実際、あなたたちほど巧みにフラメンコ、伝統的なスペインの音楽をメタルと組み合わせるバンドは他に知りませんよ。オーケストレーションも実に見事ですね。スペインの伝統音楽とメタルの間には、勇気と悲壮感という類似点があるようにも思えます。

【LIONEL】: ありがとう。そうだね、この二つの世界は生の情熱を共有しているんだ。フラメンコには深い、悲劇的で、感情的、本能的な精神がある。メタルには、この解放的な音楽の力を通じて、僕たちの中に埋もれたエネルギーをアウトプットする能力がある。
ただしふたつとも複雑な音楽で、多くの厳格さを必要とする。勇気は、この絶対的な誠実さから生まれてくるんだ。僕たちは、そうしたものを各楽曲に反映させようと努めているよ。

Q5: Your Spanish also fits really well with metal! The metal world used to be almost exclusively English-speaking, but in recent years we have seen an increase in the number of bands using their native languages and traditional music. How do you feel about the increase in the number of bands with such regional characteristics?

【LIONEL】: It’s a very beautiful evolution in my opinion. Metal is finally becoming more universal than it has ever been. Each language has its history, its color, its culture and even gives a rhythm to whoever uses it. Spanish, for its part, brings a particular musicality to our lyrics, it gives them a dramatic, intense and violent side that naturally marries the power of metal and the intensity of flamenco.

Q5: アルバムのスペイン語もメタルにフィットしていますね!メタルの世界はかつてはほぼ英語が主流でしたが、近年、母国語や伝統音楽を使用するバンドが増えています。
IMPUREZA も含めて、ローカルな特色を持つバンドの増加について、どう感じていますか?

【LIONEL】: 非常に美しい進化だと思うよ。メタルはついに、これまで以上にユニバーサルなものになりつつあるんだからね。各言語には歴史、色、文化があり、それを使用する者にリズムを与える。スペイン語は、僕たちの歌詞に特有の音楽性をもたらし、ドラマチックで激しく暴力的な側面を与え、メタルの力とフラメンコの強度を自然に融合させてくれるんだ。

Q6: Your album “Alcazares” is set in medieval Spain, and the Reconquista is one theme. Why did you choose this bloody period of war, plague, and death?

【LIONEL】: Well, first of all, to conclude the trilogy on the history of old Spain, which we began with the Inquisition for “La Iglesia del Odio,” the Conquest for “La Caida de Tonatiuh,” and now the Reconquest for “Alcázares.” The history of Spain is marked as much by its grandeur as by its decadence. Political, religious, and even mystical conflicts are at the heart of many misfortunes, but they provide limitless inspiration for our writing. We don’t seek to glorify war, but to explore its spiritual, cultural, and human resonances. It’s violent, certainly, but also deeply symbolic.

Q6: 最新作 “Alcazares” は中世のスペインを舞台にしていて、レコンキスタがテーマのひとつとなっていますね。なぜ、戦争、疫病、死の血塗られた時代を選んだのでしょうか?

【LIONEL】: まず第一に、古いスペインの歴史を扱った僕らのトリロジーを完結させるためだった。僕たちは “La Iglesia del Odio” で異端審問会を、”La Caida de Tonatiuh” で征服を扱い、”Alcázares” でレコンキスタを扱うことでトリロジーを作り上げたんだ。スペインの歴史には、その偉大さと衰退の両方が刻まれている。
政治的、宗教的、さらには神秘的な対立が多くの不幸の根源だけど、そうしたテーマは僕たちの創作に無限のインスピレーションを与えてくれる。僕たちは戦争を美化しようとしているわけではなく、その精神的、文化的、人間的な共鳴を探求しているんだ。戦争は確かに暴力的なものだけど、同時に深くて象徴的なものだと思う。

Q7: Hundreds of years have passed since Reconquista, but the world is still a dark place of religion, pandemics, war, and division, and the essence of humanity seems unchanged. In such times, what can heavy metal do?

【LIONEL】: Metal won’t change the world, that’s for sure, but it will always allow us to escape, to tell the story through a channel very different from news, books, and films. Perhaps the universal language and the best weapon of expression in this world!

Q7: レコンキスタから数百年の時が経ちましたが、世界は依然として宗教、パンデミック、戦争、分断の暗雲が覆い、人間の本質は変わっていないようにも思えます。こんな時代に、ヘヴィ・メタルには何ができるでしょうか?

【LIONEL】: メタルは世界を変えることができない。それはたしかだ。だけど、ニュース、本、映画とは全く異なるチャンネルを通じて物語を伝えることならできる。そうやって、いつも僕たちに “逃避” する場所を与えてくれるんだ。メタルはおそらくこの世界におけるユニバーサルな言語であり、表現における最高の武器なんだ!

Q8: Your music is a perfect combination of ferocity and beauty, what do you think beauty means for death metal?

【LIONEL】: It’s like Romantic Gothic, which is defined by death, rebellion, night, and the morbid, but also by dreams, the sublime, nature, and the beauty of the fantastic and the mysterious. This duality is strongly present in Impureza’s music.
A guttural cry can be more moving than a melodic song expressed in plain language if the emotion is genuine. Beauty finds its essence in sincerity, even in the strange, even in horror and violence!

Q8: あなたの音楽は凶暴さと美しさの完璧な融合です。そんな IMPUREZA にとって、デスメタルにおける “美しさ” とは何だと思いますか?

【LIONEL】: デスメタルにおける美。それはロマンティック・ゴシックのようなもので、死、反逆、夜、そして病的なものによって定義されながら、同時に夢、崇高、自然、そして幻想的かつ神秘的な美しさによっても定義される。この二面性は、IMPUREZA の音楽に強く表れているよ。
例えば本物の感情が込められていれば、メロディックな曲よりも、のどから絞り出すような叫びの方が感動的になることがあるだろう。結局、美の本質は誠実さにあり、奇妙なものにも、恐怖や暴力にも存在するんだよ!

FIVE ALBUMS THAT CHANGED LIONEL’S LIFE!!

Slayer “Reign in Blood”

Testament “The Gathering”

Pantera “Vulgar Display of Power”

Morbid Angel “Entangled in Chaos”

Nile “Annihilation of the Wicked”

MESSAGE FOR JAPAN

Yes, of course! For us, Japan is a land of respect, values, culture, and passion. We adore Japanese artistic sensibility. It would be a tremendous honor for us to come and perform in Japan. Thank you very much for your support.
We hope to bring our Hispanic fury to your beautiful country soon.

僕たちにとって日本は、尊敬、価値観、文化、情熱の土地。日本の芸術的感性を愛しているんだ。もし、日本でパフォーマンスできるとしたら、僕たちにとってそれは大きな栄誉だよ。サポートをありがとう。
近い将来、僕たちのヒスパニックな情熱を美しい日本に届けられることを願って。

LIONEL

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IMPUREZA SEASON OF MIST

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【DARKASIDE : DECADE OF CRISIS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JOSHUA MAYUM OF DARKASIDE !!

“Kakarot Is My Favorite Hero, He Is a Force That Knows No Fear, He Always Challenges Himself And Fights For Others That Need Help, As a Kid I Always Wanted To Be Like Goku And Stand Up For Others”

DISC REVIEW “DECADE OF CRISIS”

「カカロットが僕の一番好きなヒーローなんだ。彼は恐れを知らない存在で、常に自分自身に挑戦し、助けを必要とする他者のために戦う。子供の頃、僕は常に悟空のように他者のために立ち上がることを望んでいたんだよ」
誰にでも、幼いころに勇気や優しさをもらったヒーローはいるはずです。もしかしたら、そうしたヒーローから “生き方” のお手本を示してもらった人もいるかもしれませんね。パプア・ニューギニアで抑圧をうけるブーゲンビルの DARKASIDE は、恐れ知らずで、自分に挑戦し、弱いもののために立ち上がる生き方をドラゴンボールの悟空から受け継ぎました。そう、もちろんメタルも誰かのヒーローになれるのです。
「この曲はブーゲンビルの人々に対して、危機を乗り越えて戦った人々や命を落とした人々の犠牲を忘れないよう、また現在も独立のために戦っている人々へのメッセージとリマインダーなんだ。抑圧と弾圧の下でも、ブーゲンビルの人々は互いを支え合い、教育、仕事、ビジネスに努力し、自己を向上させることで、この不条理を克服しなければならないことをね。現在のパプア・ニューギニア政府は、ブーゲンビルが資源(金、銅、カカオなど)に富むため、僕たちの島を富と収入の源と見なし、独立を渋っているんだ」
世界でも最も文化的・人種的・言語的に多様な国の一つといわれる異色の地、パプア・ニューギニアの中でもブーゲンビルはさらに異色の地です。首都ポートモレスビーのあるニューギニア島から離れた場所にあるブーゲンビル島は、鉱物や海洋資源が豊富。その資源は国の主な収入源のひとつとなっています。特に巨大なパングナ鉱山は国の生命線。しかし、政府によるその利益の分配が不公平だとブーゲンビル人は怒り、独立を求めています。内戦まで発展したそのブーゲンビル危機の裏側には、肌の色、言葉、文化の違いで抑圧を受け続けたブーゲンビルの人々の怒り、反骨精神、逆境を乗り越える回復力が存在しました。そしてその回復力は、まさにヘヴィ・メタルに宿る力。
“Decade of Crisis” はそのブーゲンビル危機をテーマとした楽曲です。ただし、DARKASIDE は争いや暴力による解決を求めているわけではありません。友と互いに支え合って高め合い、己を磨き、自己実現を果たしていく中で、権利を主張し譲歩を求める。それはまさにドラゴンボールの修行と武道会。そして、不条理を跳ね退けた先に待っているのは、きっと悟空とベジータのように互いを認め合う心なのかもしれませんね。
「僕たちはメタルを愛しているけど、僕たちはパプア・ニューギニア人であり、より具体的にはブーゲンビル人だ。僕たちは地元の伝統、文化、民話、言語(トク・ピジン/ナシオ)も大切にしているんだよ。こうした文化すべてが非常に重要で、可能な限り自然にメタル・ジャンル(カナカ・メタル)と融合させようと努めているよ。伝統とメタルは、それぞれの地域にとってリアルで忠実なものだから、よく調和するんだ。だから、人々は BLOODYWOOD や SEPULTURA の音楽スタイルに共感するんだよ」
重要なのは、DARKASIDE が理想だけを語る絵に描いた餅、机上の空論のような存在では決してないことです。彼らの音楽には明らかに、人を惹きつける何かがあります。Nu-metal と伝統音楽の類稀なる蜜月。BLOODYWOOD が蒔いたリズミックでフォーキッシュなメタルの種は今、世界中で芽吹こうとしています。そう、世界各地の文化、音楽、言語を吸収するセルのような力こそ、メタルの生命力にして真骨頂。今やメタルに第三世界はありません。ゆえに、そんなモダン・メタルの申し子ともいえる DARKASIDE が、5年後に BLOODYWOOD と肩を並べていたとしても決して不思議ではないのです。
今回弊誌では、フロントマン Joshua Mayum にインタビューを行うことができました。「メタルは、男女の関係について歌ったり、派手なライフスタイルや富を追求したり、この世界の快楽に浸るためのものではない。この音楽は、正義と平等を求める戦いの叫びであり、僕たちが日常の生活で直面する現実の状況と闘い続けるための武器なんだよ」 どうぞ!!

DARKASIDE “DECADE OF CRISIS” : 10/10

INTERVIEW WITH JOSHUA MAYUM

Q1: First of all, what got you into metal in Papua New Guinea, a country where metal is not exactly famous?

【JOSHUA】: Metal is not really a genre that a majority of people in Papua New Guinea (PNG) are exposed to or generally even like. Usually their first reactions would be “o that’s the devil’s music, too much noise or that’s demonic.’ We Darkaside are from the Autonomous Region of Bougainville (AROB). It is a region within Papua New Guinea that is commonly known for a having a few outstanding features, one most obvious is our dark skinned complexion, the decade long Bougainville Crisis from 1988 to 1998 and most definitely our general love for the metal genre. Over the recent years there has been a metal movement within PNG, specifically in the national city of Port Moresby, with likeminded metal heads meeting up and having metal nightsonce or twice in a year. Thanks to social media (Facebook, Whatsapp, Tiktok etc. we are able to find each other and build mutual friendships through our love for the metal genre. These metal nights have been single handedly arranged by Carmel Pilotti of Tritones Music and have been a focal point towardsbuilding the local metal scene and encouraging the minority of PNG metal heads regardless of their age, race or culture to attend and share our love for metal with the support of a few of our local PNG metal bands.

Q1: まず最初に、パプア・ニューギニアというメタルと無縁にも思える地で、メタルにハマったきっかけを教えていただけますか?

【JOSHUA】: メタルは、パプア・ニューギニア(PNG)の多くの人々にとって接する機会がなく、一般的に好まれるジャンルでもない。パプア・ニューギニア人の最初の反応は “ああ、メタルは悪魔の音楽だ。騒がしいし、悪魔的だ” といったものが多いだろうね。
僕たち DARKASIDE は、ブーゲンビル自治州(AROB)出身なんだ。この地域はパプア・ニューギニアの一部なんだけど、いくつかの特徴で知られている。最も目立つのは僕たちの黒い肌の色、1988年から1998年までの10年間続いたブーゲンビル危機、そして間違いなくメタル・ジャンルへの大きな愛なんだ。
近年、パプア・ニューギニア、特に首都ポートモレスビーでメタルムーブメントが生まれ、同じ趣味を持つメタルファンが年に1回か2回、メタル・ナイトが開催されているんだ。ソーシャルメディア(Facebook、WhatsApp、TikTokなど)を通じて、僕たちは互いを見つけ合い、メタルへの愛を通じて相互の友情を築くことができているよ。
こうしたメタル・ナイトは、トリトーンズ・ミュージックのカーメル・ピロッティが単独で企画・運営していて、地元のメタル・シーンの構築と、年齢、人種、文化に関わらずパプア・ニューギニアのメタル愛好家が参加し、メタルへの愛を共有する場として機能しているんだ。もちろん、いくつか地元のメタル・バンドの支援を受けて実現しているんだけどね。

Q2: I hear that Papua New Guinea is not a country with stable politics and security. What are the challenges of continuing to play heavy metal in such a place?

【JOSHUA】: Papua New Guinea is widely perceived as a corrupt country and arguably one of the most dangerous places in the world. But to be honest the media over exaggerates and lies about the security about this country. Most parts of Papua New Guinea are safe and the people here are the friendliest loving people you will ever meet. There are no challenges in playing heavy metal here, everybody in PNG respects each other and the type of Genre one plays and listens to. Maybe the only hiccup will be facing is getting our songs to be played on our local radio stations because currently Metal isn’t main stream here in PNG and now radio announcers asked to get paid under the table in order for them to play your songs on the radio stations so basically the radio stations here are corrupt and full of shit.

Q2: パプア・ニューギニアは、政治面・安全面で決して安定しているとは言えないそうですね。そうした国で、ヘヴィ・メタルを続けていくのは簡単ではないですよね?

【JOSHUA】: パプア・ニューギニアは、腐敗した国として広く認識されていて、おそらく世界で最も危険な場所の一つとされているよね。しかし正直なところ、メディアはこの国の安全面について過大に誇張し、嘘を流しているんだ。パプア・ニューギニアの大部分は安全で、ここに住む人々は、きっと君が会う中で最も親切で愛らしい人たちだよ。だから、ヘヴィ・メタルを演奏する上で問題があるわけじゃないんだ。
パプア・ニューギニアの誰もが互いを尊重し、演奏や聴くジャンルの違いを尊重しているよ。唯一の障害は、地元のラジオ局で僕たちの曲を流してもらうことかもしれないね。現在、この国ではメタルは主流ではなく、ラジオのアナウンサーはオンエアの対価として裏金を要求するからラジオ局は腐敗していて、まったくひどい状態だよ。

Q3: Papua New Guinea is one of the most culturally, racially and linguistically diverse countries in the world. What groups do you belong to in such a country?

【JOSHUA】: Papua New Guinea consists of four distinct regions. The highlands, Momase, Southern and Islands region. The Band members of Darkaside are from the Islands region which is composed by five provinces which is Bougainville also known as North Solomon’s Province (where all the band members of Darkaside are originated from), East New Britain, West New Britain, Manus, and New Ireland. Out of all the regions and provinces in Papua New Guinea, the people of Bougainville have a more darker skin complexation some may say we are the blackest people in the world. The island of Bougainville is rich with minerals and resources, abundant with marine life and has at least 19 different indigenous languages.

Q3: パプア・ニューギニアは、世界でも最も文化的・人種的・言語的に多様な国の一つです。あなたのグループについて、お話ししていただけますか?

【JOSHUA】: パプアニューギニアは4つの異なる地域から構成されているんだ。ハイランド、モマセ、南部、および島嶼地域だね。DARKASIDE のメンバーは島嶼地域出身で、この地域は5つの州から成り立っている。具体的には、ブーゲンビル(北ソロモン州とも呼ばれ、DARKASIDE のメンバーの出身地)、東ニューブリテン、西ニューブリテン、マヌス、およびニュー・アイルランド。
パプア・ニューギニアのすべての地域と州の中で、ブーゲンビルの住民は最も肌が黒いとされ、一部の人々は “世界で最も黒い人々” と呼ぶかもしれないね。ブーゲンビル島は鉱物と資源が豊富で、海洋生物も豊富。少なくとも19の異なる先住民言語が存在するんだ。

Q4: “Decade of Crisis” is a song about the Bougainvillea crisis. Many people have died in the conflict, but Bougainvillea has not yet achieved peace or independence. Was this song written to help the oppressed people of Bougainvillea?

【JOSHUA】: The people of Bougainville have waited a very long time for the Papua New Guinea Government to give them Independence.This song is a message and reminder to Bougainvillians to not forget and take for granted the sacrifices of those who fought through the crisis and died, and for those that are still here fighting for our Independence. Even under the circumstances of being oppressed and suppressed Bougainvillians must rise up and overcome this injustice by empowering one another, and work hard in their education, work, Business and then Better oneself. The current Government of PNG is reluctant to give us Independence because they see our island as a source of wealth and income since Bougainville is rich in resources (Gold, Copper, Cocoa ect).

Q4: “Decade of Crisis” はブーゲンビル危機をテーマにした楽曲ですね。この紛争で多くの命が失われましたが、ブーゲンビルは未だに平和や独立を確立できていません。この曲は、そうしたブーゲンビルの抑圧された人々を支援するために書かれたのでしょうか?

【JOSHUA】: ブーゲンビルの人々は、パプア・ニューギニア政府から独立を認められるのを非常に長い間待ってきた。この曲はブーゲンビルの人々に対して、危機を乗り越えて戦った人々や命を落とした人々の犠牲を忘れないよう、また現在も独立のために戦っている人々へのメッセージとリマインダーなんだ。
抑圧と弾圧の下でも、ブーゲンビルの人々は互いを支え合い、教育、仕事、ビジネスに努力し、自己を向上させることで、この不条理を克服しなければならないことをね。現在のパプア・ニューギニア政府は、ブーゲンビルが資源(金、銅、カカオなど)に富むため、僕たちの島を富と収入の源と見なし、独立を渋っているんだ。

Q5: This song uses bamboo flutes and other percussion instruments, which wonderfully match your metal! Are these instruments traditional instruments of your tribe?

【JOSHUA】: Yes, the traditional instruments such as the Bamboo drum and bamboo flute which is played in the Decade of Crisis music video are sacred instruments which can only be played by Man in my Tribe and in other tribes and specific regions in Papua New Guinea. These traditional instruments are normally played in Ceremonial gatherings and at Cultural dances.

Q5: この曲では竹の笛や打楽器が使用されており、DARKASIDE のメタルと素晴らしく調和しています。こうした楽器はあなたの民族の伝統的な楽器なのでしょうか?

【JOSHUA】: そうだね、ビデオに出てくる伝統的な楽器、竹の太鼓や竹の笛は、僕の部族やパプア・ニューギニアの他の部族や特定の地域で、男性のみが演奏できる神聖な楽器なんだ。こうした伝統的な楽器は、儀式的な集まりや文化的なダンスで演奏されるんだよ。

Q6: In recent years, music that combines metal with one’s own traditional music, such as Bloodywood, has become increasingly popular. You, like them, seem to be heavily influenced by Nu-metal, but why do you think metal and traditional music match so wonderfully?

【JOSHUA】: Yes, we love Bloodywood. Their music is so unique and inspiring. We are into Nu Metal as it suites our style of playing and it’s a genre that has evolved from main stream heavy metal in the 90’s. Our musical aspirations as a band has been to focus on originality and musical identity. Yes we love metal, but we are Papua New Guineans, more specifically we are Bougainvilleans. We also have our local, traditions, cultures, folklore, language (tok pidgin/nasio. These are all very important and we try as much as possible to fuse it naturally with the metal genre (kanaka metal). Traditional and metal sound well together because its real and authentic to each particular respective area. No wonder people relate well to the musical style of Bloodywood and of course Sepultura.

Q6: 近年、BLOODYWOOD のように、メタルと自国の伝統音楽を融合させた音楽がますます人気を集めています。
あなたも彼ら同様、Nu-metal に強く影響を受けているようですが、なぜメタルと伝統音楽はこれほど見事に調和するのでしょう?

【JOSHUA】: そうだね、僕たちは BLOODYWOOD を愛しているよ。彼らの音楽は独特で刺激的だから。そして実際、僕たちは Nu-metal に傾倒しているんだ。このジャンルは僕たちの演奏スタイルに合っていて、90年代主流のヘヴィ・メタルから進化したものだ。バンドとしての音楽的目標は、独自性と音楽的アイデンティティに焦点を当てること。
もちろん、僕たちはメタルを愛しているけど、僕たちはパプア・ニューギニア人であり、より具体的にはブーゲンビル人だ。僕たちは地元の伝統、文化、民話、言語(トク・ピジン/ナシオ)も大切にしているんだよ。こうした文化すべてが非常に重要で、可能な限り自然にメタル・ジャンル(カナカ・メタル)と融合させようと努めているよ。伝統とメタルは、それぞれの地域にとってリアルで忠実なものだから、よく調和するんだ。だから、人々は BLOODYWOOD や SEPULTURA の音楽スタイルに共感するんだよ。

Q7: I was very excited to see you wearing your Dragon Ball Z Frieza T-shirt! Are you actually a fan of Japanese anime, games and music?

【JOSHUA】: Yes, I Joshua Mayum the singer of Darkaside am a big fan of Dragon Ball Z and the late Akira Toriyama. I’ve been a fan of DBZ since I was a kid. When I was kid, I used to collect DBZ play cards, toys and watched DBZ episodes almost every afternoon after school and on the weekends. But now I only collect shirts and download wallpapers. Kakarot is my favorite Hero, he is a force that knows no fear, he always challenges himself and fights for others that need help, as a kid I always wanted to be like Goku and stand up for others.

Q7: ビデオのなかであなたがドラゴンボールZのフリーザTシャツを着ているのを見て、とても興奮しました!実際、あなたは日本のアニメ、ゲーム、音楽のファンなんですか?

【JOSHUA】: その通りだよ。僕はドラゴンボールZと故鳥山明の大ファンなんだ。僕は子供の頃からドラゴンボールZのファンでね。子供の頃、ドラゴンボールZのプレイカードやおもちゃを集め、放課後や週末のほぼ毎日、ドラゴンボールZのエピソードを見ていたんだよ。今はシャツを収集し、壁紙をダウンロードするくらいだけどね。
カカロットが僕の一番好きなヒーローなんだ。彼は恐れを知らない存在で、常に自分自身に挑戦し、助けを必要とする他者のために戦う。子供の頃、僕は常に悟空のように他者のために立ち上がることを望んでいたんだよ。

Q8: Pandemics, war, division, oppression, discrimination: in the 2020s, the world is heading toward an increasingly violent and dark place. What can heavy metal do in these times?

【JOSHUA】: Metal for us is about freedom of expression through means of creating awareness by campaigning musically on the social issues that are affecting our peers and our rural and urban communities. These are issues that we as a developing nation have been facing for some time now and we believe that this is a time for reflection and corrective actions need to be taken now as this year come September 16th will mark our 50 years of Independence as a sovereign nation. We are not an isolated issue as most of these issues are also being faced by many other developing nations in the world, particularly the Pacific. It’s not about singing about a girl/boy, bling bling or getting rich or even indulging in the pleasures of this world, but it’s battle cry for justice, equality and also about facing the real-life situations and struggles we encounter in our daily lives.

Q8: パンデミック、戦争、分断、抑圧、差別…2020年代、世界はますます暴力的で暗い方向へ進んでいます。このような時代において、ヘヴィ・メタルにはは何ができるのでしょうか?

【JOSHUA】: 僕たちにとってメタルは、音楽を通じて社会問題への意識を高め、表現の自由を追求する手段なんだ。そうした問題は、僕たちの同世代や農村・都市コミュニティに影響を及ぼしている。発展途上国として、僕たちは長年これらの問題に直面してきたよ。今年9月16日に独立50周年を迎える今、この国は反省と是正措置を講じる時期だと信じている。そしてそれはこの国に限った問題ではない。世界中の多くの発展途上国、特に太平洋地域でも直面している問題だよ。
メタルは、男女の関係について歌ったり、派手なライフスタイルや富を追求したり、この世界の快楽に浸るためのものではない。この音楽は、正義と平等を求める戦いの叫びであり、僕たちが日常の生活で直面する現実の状況と闘い続けるための武器なんだよ。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED JOSHUA’S LIFE!!

Metallica “Black Album”

Papa Roach “Infest”

P.O.D. “Satellite”

Disturbed “The Sickness”

Linkin Park “Hybrid Theory”

MESSAGE FOR JAPAN

Late Admiral Isoroku Yamamoto’s final resting place is in Bougainville, even our own grandfather (Kaka nasio language) would sing Japanese songs, as he was thought by the Japanese army during the 2nd World war in Bougainville. So we have always had this connection with Japan in some sense. If and when everything works out, we would love to come over and perform at the Supersonic Festival or the famous Budokanvenue one day. Our sincere love and greetings to you all.

故・山本五十六提督の最終的な安息の地はブーゲンビル島にあるんだ。僕たちの祖父(カカ・ナシオ語を話す)も、第二次世界大戦中にブーゲンビル島で日本軍に教育を受けていたから、日本の歌を歌っていたんだよ。だからいつも僕たちは、何らかの形で日本とのつながりを感じてきたんだ。もし全てがうまくいけば、いつか Supersonic Festival (おそらくサマソニのこと) や有名な武道館でパフォーマンスをしたいと考えているよ。みんなに心からの愛と喜びを。

JOSHUA MAYUM

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【KING GARCIA : HAMELIN】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH KORNILIOS KIRIAKIDIS OF KING GARCIA !!

“The Clarinet, In Particular, Has a Fascinating Quality: It Offers Freedom Between Tempered And Non-Tempered Systems, Opening Up Countless Musical Pathways. It Can Transform From a Sweet, Intimate Instrument To a Scream Of Despair, Making It Incredibly Expressive.”

DISC REVIEW “HAMELIN”

「ハーメルンの伝説は、社会的にも政治的にも、多くの文脈に適用できる。芸術家は常に、はみ出し者、フリンジ (奇抜な狂信者、過激派) として扱われてきた。しかし、芸術には世界を動かす力があると同時に、世界を止めてしまう力もあるんだ。救うことも破壊することも、団結させることも分断させることもできる。重要なメッセージは、権力の行使、あるいは行使の誤りこそが、救世主と暴君を分けるということだ」
欲望に魅入られた権力者の心ない、愚かな行為や圧政、暴力に差別はいつの世にも存在します。そしていつの世も、そんな理不尽や抑圧を引き受けるのは弱い者、はみ出し者、社会の常識に収まらなかった者。
ドイツの寓話、”ハーメルンの笛吹き男” では、ネズミ退治を請け負った 笛吹き男が報酬を支払ってもらえず、怒って町の子どもたちを笛の音で誘い森へと連れ去りました。一方で現代メタルの “笛吹き男”、ギリシャの KING GARCIA は暗い世にはびこるあらゆる種類の腐ったネズミたち-政治家、侵略者、宗教家-をその笛の音で何処かへ連れ去ろうとしています。こうした寓話から読み取れることは何でしょう?”生産性” がないと切り捨てられた人に、実際は世界を動かす力がある?芸術に秘められた諸刃の剣?とはいえ、その寓話と言葉のないアルバム “Hamelin” の受け止め方はリスナーの耳に委ねられています。
「僕たちはクラリネットやトランペットのような管楽器を “伝統的な楽器” として使っているわけではないということだよね。僕たちにとって最も重要なのは、木管楽器や金管楽器のサウンドと、それがもたらすユニークな特徴なんだ。特にクラリネットは魅力的な性質を持っている。調律された音と調律されてない音の間で自由を提供してくれて、数え切れないほど音楽の道を開いてくれる。甘く親密な楽器から絶望の叫びまで変幻自在で、信じられないほどの表現力を発揮するんだ」
実際、モダン・メタルの笛吹き男、その異名は伊達ではありません。クラリネットを主軸にトランペット、バグパイプ、ガイダ、カヴァルといった多彩な管楽器を駆使するのは、バンドの “声” の幅を広げるため。もちろん、ひとつの楽器、ボーカルやギターを “声” に据えてもその才能によって幅を広げることは可能ですが、KING GARCIA は楽器自体を入れ替えるという手法で “声” の多様さを追い求めようとしています。さらに、主軸となるクラリネット、そのギターで言えばフレットレスのような調律のフレキシビリティーがさらに “声” の可能性を押し広げていきます。
「伝統的なギリシャ音楽の影響が僕たちのスタイルにシームレスに織り込まれ、KING GARCIA のサウンドの豊かさと独自性を際立たせている。僕たちの音楽的伝統への敬意は、創造性を制限するものではなく、むしろそれを高め、僕たちの作品に聴衆と直接共鳴する深みを与えているんだよ」
そうした “声” の幅広い可能性は、KING GARCIA の肉体、その音楽的基盤の多様さによってさらに増幅されていきます。ただし、彼らが血肉としてきた影響の数々は、決して意図的ではなく有機的にその体内を巡ります。PAIN OF SALVATION, MESHUGGAH, QUEENS OF THE STONE AGE といったプログレッシブ/オルタナティブの極北、その雫は KING GARCIA の原衝動である ギリシャの伝統音楽とシームレスに混ざり合い、ガイダやカヴァルといった彼の地の伝統楽器を心臓にその体内を駆け巡ります。もしエンニオ・モリコーネやジョン・ウィリアムズがメタルを作ったら…そんな “If” の世界を実現できるのは、きっと彼らだけではないでしょうか?
今回弊誌では、ベーシストの Kornilios Kiriakidis にインタビューを行うことができました。「オンライン中毒による注意力の分断が事実上すべての人に影響を及ぼしている時代において、5秒以上続くものは今やリスクとみなされている。しかし、日常生活の中には、このような注意散漫が侵入できないわずかな時間がまだ残されているんだ。複雑で要求の多い音楽が輝きを放つのは、こうした瞬間なんだよ」 MOTHER OF MILLIONS のメンバーが参加、NEED のプロデューサーが手がけたギリシャ・メタルの最高到達点。どうぞ!!

KING GARCIA “HAMELIN” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CKRAFT : UNCOMMON GROUNDS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH CHARLES KIENY OF CKRAFT !!

“I Might Be Wrong, But I Don’t Think There’s Another Metal Band Fronted By This Accordion And Saxophone Section.”

DISC REVIEW “UNCOMMON GROUNDS”

「バンド名の CKRAFT は、”Craft” と “Kraft” という2つの単語を意図的に組み合わせたもので、僕たちの音楽哲学の核心を表している。英語の “Craft” は、僕たちが深く大切にしている “クラフトマン・シップ”、つまり作曲、レコーディング、演奏、そしてサウンドをゼロから構築していく実践的な作業を意味している。サンプルもプログラミングもなく、すべては楽器の演奏から生まれることをね。一方、ドイツ語で “Kraft” は “強さ” や “力” と訳され、ヘヴィでクラッシングなサウンドを意味するんだ!」
テクノロジーの進歩は、メタル世界にも様々な恩恵をもたらしています。アナログ時代には想像も出来なかったサウンド、正確性、利便性。その一方で、アナログ時代に確かに存在した “クラフトマン・シップ”、職人芸や鍛錬を重ねることでたどり着く創造性が失われたと感じるリスナーも少なくないでしょう。芸術の都パリを拠点とする CKRAFT は、伝統と革新の融合で失われつつある音楽の “クラフトマン・シップ” を再度提示します。
「僕の最大の情熱のひとつは、音楽(そして芸術全般)がいかに永続的で普遍的なものであるかを探求することで、このような古代のサウンドがいかに現代の文脈の中でも共鳴しうるかということが、それをよく表していると思う。それは、一見異質な世界の間に “共通点” を見出すことなのだ」
CKRAFT がすべて人の手から生まれる “クラフトマン・シップ” にこだわるのは、音楽の、芸術の永続性を探求するため。最新のテクノロジーどころか、電気もなかった時代。そんな時代の音楽でも、今の世に響く素晴らしさ。そこに CKRAFT は感動を覚えました。そうして、CKRAFT は、現代で感動を覚える MESHUGGAH や GOJIRA のヘヴィ・グルーヴと古代の音楽が共鳴することを発見します。彼らが特に感化されたのが、グレゴリオ聖歌。その壮大で神聖なクオリティは、まさに CKRAFT が愛するジャズとメタル、そして古代と現代のギャップを埋める重要な “糸” だったのです。
「アコーディオンやサックスはおそらく、僕たちを知ったときに最初に目にするもののひとつで、CKRAFT を際立たせている。間違っているかもしれないけど、このアコーディオンとサックス・セクションを前面に出したメタル・バンドは他にないと思う。僕にとっては、破砕的なリフに対する深い愛と、僕が大切にしているアコースティック楽器を融合させ、それを力強く機能させる方法を見出したかったということに尽きる」
CKRAFT のそんな野望、野心に応える楽器がアコーディオンでした。17世紀に誕生した美しき蛇腹の楽器は現在まで、時の試練に耐えその麗しき音色を奏で続けています。まさに時代をつなぐアーティファクト。だからこそ、聖歌、クラシック、ジャズ、メタルの架け橋として、彼らにとっては完璧な楽器でした。もちろん、そのままの音量ではメタルの喧騒に埋もれてしまいます。アコーディオン奏者で今回のインタビューイ Charles Kieny はそこに現代のテクノロジーを注ぎ込みました。シンセ・アコーディオン。ラウドに生まれ変わった古来の楽器は、そうしてモダン・メタルと多様な融合を果たすことになりました。
そうして “クラフトマン・シップ” の申し子たちは、メタルのヘヴィネス、ジャズの自由、グレゴリオの不滅の旋律を借りた、精巧でパワフルなサウンドの職人として完成しました。テナー・サックスとアコーディオンの熱狂的なブラストは決して声にも劣りません。真に才能のあるインストゥルメンタル・アーティストは、言葉を一切使わずに最も壮大なイメージを呼び起こすことができるのです。
今回弊誌では、Charles Kieny にインタビューを行うことができました。「MESHUGGAH はメタルにおける複雑さと精密さの頂点を表していると思う。彼らには独自のグルーヴがあり、そのリフはこの地球上の誰も生み出したことのないものだ」 どうぞ!!

CKRAFT “UNCOMMON GROUND” : 10/10

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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【BLOODYWOOD : NU DELHI】 JAPAN TOUR 25′


COVER STORY : BLOODYWOOD “NU DELHI”

“It’s True For Babymetal As Well. Like Wasabi, It’s an Acquired Taste. Once You Understand It, You Cannot Get Enough!”

NU DELHI

「BLOODYWOOD はメタルなんだけど、たくさんのスパイスが効いていて、五感を圧倒するんだ。 誰もがヘドバンして、最後は僕らと一緒に踊ることになるよ」
これは、メタル界で最も独創的なバンドのひとつである BLOODYWOOD のミッション・ステートメントです。 2016年に結成された BLOODYWOOD は、伝統的なインド楽器を用いてメタルの常識を覆しました。彼らの曲にはクランチング・リフと同じくらいのバーンスリーやドールがフィーチャーされています。 ステージでは6人編成になる彼らは、オリジナル曲を作る前にYouTubeでポップ・ソングやオルタナティブ・ヒットをカバーし、バイラル・センセーションを巻き起こしました。そこから彼らの人気に火がつきました。
最初のギグは、2019年のドイツのメタル・フェスティバル、ヴァッケン・オープン・エア。その4年後、彼らはイギリスのダウンロード・フェスティバルで、日曜日の早い時間にメイン・ステージにおいて大勢の観客を集めました。 フジロックでの好演も記憶に新しいところ。
2022年のデビュー・アルバム “Rakshak” がUKロック&メタル・チャートとUSデジタル・チャートでトップ10入りを果たしたとき、国際的な好意は確信に変わりました。さらに、彼らの楽曲 “Dana Dan” がアクション超大作 “Monkey Man” のワンシーンのサウンドトラックに採用されると、その人気はさらに高まっていきました。BLOODYWOOD はインド史上最大のメタル輸出品となったのです。
「インドのメタル・シーンなんて誰も気にしてなかったんだ。そこで僕らが考えたのは、インターネットで自分たちを全世界に発信することだった。 その土地の言葉でヒップホップやポップスをやっていれば、その土地のアーティストになれる。 でも、メタルでそれをやっても、少なくともインドでは通用しなかった。だから世界を目指したんだ」

ローカルをすっ飛ばして世界へ。BLOODYWOOD は当初インドのシーンではなく、FacebookやYouTubeにカバー曲を投稿してファンを増やしていきました。バイラルを叩き出すために、インドのサウンドスケープが欠かせないもの。彼らの曲は、8弦ギターのリフで鼓膜をへし折るかのような、脈打つような Nu-metal を核にしていますが、ヒンディー語の歌詞を英語に混ぜ、ドールのような民族楽器も使っています。
「ヤギの皮でできていて、どの種類の木かもわからないんだ」
しかし、彼らはただアイデアと遊び心のある奇抜な人気者というわけではありません。ギタリストの Karan Katiyar はソーシャルメディア上で 「ここ2、3年はこれまで以上に多くのいじめや憎悪を目にする。 また、その多くがエスニシティに向けられたものであり、だからこそ自分たちのストーリーを伝えることがより重要になった」と語っています。
ボーカリストの Jayant Bhadula は年上のいとこを通じてヘヴィ・メタルに出会い、ヴァイキング・メタル AMON AMARTH の音楽を教示され、SLIPKNOT から SYSTEM OF A DOWN までモダン・クラシックの詰まったCDを焼いてもらいました。その両者からの影響は、まさに BLOODYWOOD の音楽に滲み出ています。「誰かが僕をモッシュピットに放り込んでくれて、人生で最高の時間を過ごしたよ」
ただ、最初から順風満帆だった訳ではありません。
「最初にレコーディングしたのは、本当のスタジオではなかったんだ。 狭くて、夜はとても寒かった。 毛布がなかったから、カーテンを下ろして代わりに使っていた。 貧乏だったわけじゃない。両親には自分の活動を隠すのが一番だと考えていたからね。
インドでは、親が認める職業は3つしかない。医者、弁護士、役人だ。 当時なら親はきっと賛成してくれなかっただろうけど、今は賛成してくれて嬉しいよ」

Katiyar の最初のギターは “Givson” でした。
「インドの偽ギター業界を紹介するよ!最初のギターは、”Givson” というブランドのエレクトロアコースティックだった。そのアンプのひとつにオーバードライブのセッティングがあって、もちろんノブなんだけど、ノブをゼロから0.01でも何でもいいから少し回した瞬間に、信号が完全に歪んでしまうんだ (笑)」
ラップを担当する Raoul Kerr に出会った時のことを、Katiyar は今でも覚えています。善のための力になろうというバンドの意欲をアピールする Kerr は、強いメッセージで性的暴力を非難しています。 今日、彼はほとんどいつも “No Flag” の文字が入ったマッスルベストを着て、BLOODYWOOD が分断ではなく団結を望んでいることを一貫して証明しているのです。
「彼に会った瞬間から、僕たちが同じビジョンを共有していることは明らかだった。最初はレスラーのようだと思ったけどね! 彼のライムとフロウは、まさに僕たちがまだ探していたピースだった。 僕たちは何を探しているのか正確には知らなかったが、とにかくそれを見つけたんだ」
ラッパー Kerr にとっての神様は、多面的でした。
「Mike Shinoda が僕の最初のインスピレーションで、Nu-metal 的な要素もあった。LINKIN PARK は僕の最初の音楽的な神だ。 昔は他の人と同じように、ラジオから流れている音楽は何でも聴いていた。でも、LINKIN PARK は初めて好きになったバンドで、積極的に追いかけた。その後、ヒップホップの入り口が開かれ、Eminem に入ったんだ。彼は、一世代前のラッパーたちにとって誰もが認めるインスピレーションの源だから、多くの人が彼を1位にする。 彼について好きになれるものはたくさんある。 嫌いなところもたくさんある。でも、ひとつだけ反論できないのは、彼が正直で、自分をさらけ出しているということだ。 彼のテクニックは手がつけられないほどだけど、正直なところ、テクニックとかよりも、彼は正直なんだ。 だから僕はこう言いたい。Mike, Eminem, RAGE AGAINST THE MACHINE は、僕が大人になってからの神だった。 彼らが音楽と政治の融合で社会変革の境界線をどこまで押し広げ、社会的インパクトを与えることができたかという点で、影響は大きいね」

Bhadula によれば、彼らの出身地であるデリーでは音楽教育が盛んで、ギターやドラムのクラスがあるところがたくさんあるといいます。
「学校では音楽を演奏している人の中でも、いつもメタルを演奏している人がみんなの度肝を抜いていた」
と Katiyar は回顧します。 しかし、そうした状況がインドのメタル・シーンに広く浸透しているとはまだいえません。
「インドはとても大きな国だから、メタルのリスナーが少ないという事実をつきつけられるのは不思議なことだよ」
インドのメタルはライブだけでなく、音楽のプロモーションというインフラも欠けていると Bhadula はいいます。
「インドでは、音楽の仕事といえば基本的にボリウッドで働くことであり、メタルは仕事になるわけじゃない」
つまり、BLOODYWOOD は多くのローカルなアンダーグラウンドのバンドを背負って、世界でほぼ一人でインドの旗を振っているのです。
「自分たちの音楽で国や文化を表現するのが大好きなんだ」と Katiyar はいいます。 「プレッシャーは全くないけれど、時々頭を悩ませるのは、インドという国全体を代表することが難しいということだ。 文化も言語もたくさんあるし、楽器の数も数えきれない。それでも、可能な限り、みんなを代表したいんだ」

BLOODYWOOD が2023年のダウンロードのメインステージのオープニングを飾ったとき、6月の日差しを浴びる観客の多さは、このインドのメタル・アクトが本物であることを証明していました。デビュー・アルバム “Rakshak” をリリースしたばかりの彼らは、ドールやタブラといったインドの伝統楽器と怪物的なリフを融合させ、インド・メタルを世界地図にしっかりと刻み込んだのです。
「大盛況だった! 僕たちは決して期待しないで臨む。なぜなら、期待値を低く抑えれば、いつもそれを上回ることができるからね。 でも、あれは子供の頃に夢見た瞬間のひとつだった。ヨーロッパの人々が僕たちのところにやってきて、僕たちの曲が彼らにとってどれほど重要かを話してくれたとき、自分たちが到達したレベルを理解し始めた。 僕たちの曲のいくつかは、世界中で困難な時期を乗り越える人々を助けてきた。 天職を見つけたという意味での “made it “だね」
2019年のドキュメンタリーを “Raj Against the Machine” と命名し、ナン色のレコードを販売するなど自分たちの文化に遊び心を加えて紹介する一方で、彼らはシングル “Gaddaar” で憎悪に満ちたレトリックを使って分断を図ろうとする政治家たちに反撃し、レイプ・カルチャーに反対するために音楽を使ってステイトメント、連帯の意思表示を発してきました。「これは世界的な問題であり、僕たちが強く主張ていることだよ」と Katiyar は言います。 「愛する人のために立ち上がること以上にメタルなことはあまりないと思う」
彼らのニューアルバム “Nu Delhi” は、2022年のデビュー作 “Rakshak” に比べて政治色が抑えられています。Katiyar は、ロシアがウクライナに侵攻したのと同じ週に “Rakshak” がリリースされ、それ以来、世界は絶え間なく毒のような敵意に渦巻いていると指摘します。
「人々はどちらか一方を選び、もう一方と戦うことに熱心だ」

だからこそバンドは、自分たちの祖国と歴史の物語を祝うことで、毒性、ステレオタイプ、いじめに対抗することを選んだのです。 「音楽を通して、世界を生きやすい場所にしようとしているんだ。音楽のポジティブな面をできるだけ多くの人に届けたいんだよ」
BLOODYWOOD のニュー・アルバムのタイトルは “Nu Delhi” ニュー・メタルとインドの影響を融合させたダジャレのようなもの。しかしその歌詞は、音楽と同様に彼らの国の文化への敬意に満ちています。タイトル曲は、人口3,400万人の大都市、インドの首都の過密な通りへとリスナーを引きずり込みます。
「ここでは誰もが試されている。聖人も罪人もいる、街ではなくチェスのゲームだ」
彼らにとっての目標は、より広い世界に、正真正銘のインド観を提供すること。同時に英語とヒンディー語の両方で精神疾患に光を当て、性的虐待を告発し、愛と喪失の両方を探求することが彼らのヘヴィ・メタル。そう Bhadula は主張します。
「僕たちはいつも、自分たちの身近にあるものをテーマにしようとしているんだ。”Nu Delhi” では、インドにはメタルだけでなく、世界に匹敵するような盛んな音楽シーンがあることを知らせたかったんだ。ファースト・シングルの “Nu Delhi” そのものが、僕たちからこの街へのラブレターなんだ」
“Tadka” ではインド料理に対する不滅の愛を表現しました。
「”Tadka” の正確な意味は、”スパイスや調味料のエッセンスを引き出し、料理を爆発的な味に変える技術” なんだ。料理の味を引き立てるために使うんだよ。”Tadka” を使うと赤唐辛子、マスタードオイル、マスタードシードなど、その料理の味がまるで別物のようになる。南インドから北インドまで、東インドから西インドまで、同じ食材でも使い方は人それぞれだ。味の大爆発なんだ!」
料理について熱く語ったメタルはそうそうないでしょう。
「僕たちが書くトピックはすべて、僕たちの心に近いものなんだ。ツアー中、僕らはヨーロッパ料理を食べていて、それは数日間はいいんだけど、最終的にはインド料理が食べたくなった。じゃあインド料理の素晴らしさについて書けばいいじゃないか。インド料理は芸術なんだ。スパイスのバランスを保たなければならないからね。
Karan がインストゥルメンタル・パートを考えてくれたんだけど、サビに入るリフが何か言っているような感じがしたんだ。”Tadka” は素晴らしい言葉だし、それが雪だるま式に広がっていった。料理だけに使われる言葉ではないから、人生に味をつける、人生にスパイスを加えるという比喩として使うことができる。とはいえ、僕たちは皆、本当に食べ物に対する情熱を持っているんだ」

“Bekhauf” では、BABYMETAL とアジアン・メタルの新たな歴史を作りました。
「以前から BABYMETAL のファンだったんだ。彼女たちを知ったのは “ギミチョコ!!” で、”メギツネ” も聴いたんだけど、あれはアレンジの点で、今まで聴いた中で最高のメタル・トラックのひとつだよ。”ド・キ・ド・キ⭐︎モーニング” がとても好きだし、”KARATE” も大好きだ。 実は BABYMETAL の曲も何曲かカバーしてみたんだけど、歌詞がめちゃくちゃでね(笑)。
最初は興味本位でビデオを見ていたんだけど、甲高いボーカルで歌い始めて、その間にバンドが全力疾走しているんだ。 最初は不思議だと思ったんだけど、一緒に聴くとすごくいいんだ。わさびと同じで、後天的な味覚だ。 一度理解したら、それなしでは満足できない。
ある時、BABYMETALのプロデューサーである KOBAMETALがライブに来てくれたんだ。それからずっと後になって、Karan が “Bekhauf” のためにインストゥルメンタルを作っていたんだけど、偶然にも同じ頃にKOBAから “一緒に何かやろう”というメッセージを受け取ったんだ。
僕たちはすでに BABYMETAL のためにパートを書いていて、それを気に入れば先に進めようということになっていた。僕たちは音節をどのようにヒットさせたいかというアイディアを持っていて、3人はそれを実現してくれた。すべてが相乗効果でうまくいったね」
BLOODYWOOD はバンドとして、日本の文化にゾッコンです。
「日本のマーケットはメタルを本当に受け入れているんだ。 僕はずっとアニメを見てきた。 例えば、”Death Note” の主題歌、MAXIMUM THE HORMONE の “What’s Up People?!!!” はとてもヘヴィだ。 こういう曲が日本のテレビで放送されていることにいつも衝撃を受ける。 インドでは、生まれてこのかた、テレビでメタルの曲を見たのは1曲だけだよ。メタルファンは100%素晴らしいコミュニティだ。 世界中のメタルヘッズは、どこの出身であろうと共通の特徴を持っているからね」

アニメとメタルは世界をつなぐ架け橋だと彼らは考えています。
「バンド全員が “ドラゴンボールZ” と “進撃の巨人” のアニメシリーズを見ていて、大好きなんだ。音楽だけでなく、キャラクターやストーリーも楽しめる。”ドラゴンボールZ” の界王拳を引用した “Aaj” という曲は、自分の限界に挑戦し、より良い自分になることを歌った曲なので、ぴったりだったよね。
曲を書いているときに、この言葉を使えると思ったんだ。 簡単なディスカッションをして、たとえみんながその言葉を知らなくても、耳にはとてもいい響きに聞こえると判断したんだ。 驚いたのは、僕たちの支持基盤の多くが即座にその言葉を理解したことだ!
僕たちのファンの多くがアニメも見ていることに気づいたよ。だから今、僕らはソーシャルメディア上でアニメの推薦を受け入れるようになり、最新の情報を得るようになった。 最近、映画 “呪術廻戦0” を観に行ったんだ。友達は誰もアニメを観ないから、ひとりで。 リクライニング・チェアがあり、ポップコーンがあり、幸せだった! 」
そうして世界中とコラボしてツアーすることで、ニューデリーの良さを再認識できたと Bhadula は考えています。
「このアルバムは、ニューデリーが “やあ、僕らもメタル世界にちゃんと入ったよ” と言っているんだ。もちろん、ニューデリーにいるときはもっと好感が持てる。家にいて、周りに友達がいて、ある種の安心感がある。でもツアーに出ているときも、故郷のように感じるよ。だってヒンドゥー語を知らない人たちが、一緒に歌っているのを見ることができるからね。グラスポップ・メタル・ミーティングでは、ヨーロッパに住むパキスタン人(インド国旗を掲げていた)がいて、 “君たちのおかげでメタル世界の一員になれた気がする” と言っていた。この感謝の気持ちが、ホームシックなんて吹き飛ばしてくれるんだ…料理は別としてね!」
最近のドキュメンタリー “Expect A Riot” で彼らは、このアルバムで “インドに対する認識を変えたい” と語っていました。
「どのようなソーシャルメディア上でも、あるレベルのインド嫌いが蔓延している。”BABYMETALよ、なぜこんなP******とコラボしたんだ?” みたいなね。僕たちは常に平和な場所にいるわけではない。それは SNS 上で取り組まなければならないことで、僕たちのためだけでなく、世界中のすべての人のためでもある。僕たちができる最初の一歩は、そうした人たちの偏見、インドに対する認識を変えることだ。
僕たちは、世界で最も古い文明のひとつから生まれた。インドの文化は非常に多様で、一生かけてもインド全土を巡り、そのすべてを理解することはできないだろうね。そして伝統や文化だけでなく、科学にも多くのものを提供してきた国なんだ。他の誰かを攻撃することで、この認識を変えることはできない。このアルバムは、僕たちの一部分と、僕たちの出身地であるこの街への愛を分かち合うものだ。願わくば、人々が理解し、巷にはびこるインド人嫌いのフィルターを越えて見てくれることを願っているよ」

インドに対する偏見は、TikTok の影響だとも。
「インドに対する人々の印象は、実際とはかなり違っていて、その多くはTikTokに関係している。TikTokでは、インドの偏ったバージョンが常に描かれているんだ。汚い食べ物、汚い道路、汚い人々。 でも、実際にはそういうもは、探さなければ見つからない。 もしインドに来て、まずい店を探すなら、まずい街のまずいところに行くしかない。 この国はそういう国じゃないんだ。もしそうだとしたら、美味しい物が好きな僕たちみんな死んでるよ (笑)」
“Bekhauf” でのシンセサイザーの多用は、より純粋なフォーク・メタル・スタイルからの逸脱を予言しているのでしょうか?
「危険な要素もあるんだ。僕らのフィルターを通さない意見からだけでなく、このアルバムで実験した方法からもね。実験のひとつは “Bekhauf” で、次のアルバムで何をすべきかについて、誰もがそれぞれの意見を持っていた。でも、僕たちは最初からそうしてきたように、最も正直な気持ちを吐き出し、それを聴いてもらうことで、好きか嫌いかを決めてもらうことにしたんだ」
歌詞をすべて追えなくても、彼らの曲がいかに心からのものであるか、その情熱が伝わるはずです。そしてこの “Nu Delhi” は政治色よりもアットホームな要素を全面に押し出しました。例えば、”Halla Bol” では歴史的に重要な事件を扱い、”Hutt” では自己承認や否定的な雑音に立ち向かうという考え、あるいは “Tadka” ではインド料理の楽しさなど、ポジティブな意思を発信しています。
「音楽が世界に与える影響の限界を押し広げようとしているんだ。それが内なる戦いであれ、より良い世界のための戦いであれ、僕らのサウンドはみんなをひとつにして勝利に導くためのものなんだ」
常に “謙虚” だからこそ、BLOODYWOOD のメッセージは多くの人の心に届きます。
「実は…この成功は夢のようなものなんだ。インドでは、海外に出て、世界最大の舞台で国際的な観客のためにプレーする人はあまりいないんだ。つまり、50%は夢のようなもので、現実であるには素晴らしすぎる。 でも、あとの50%はとても信じられる。 なぜなら、インドだけでなく、世界中には、24時間365日、音楽が好きで働いているミュージシャンのように、懸命に努力している人たちがたくさんいることを知っているから。どんなに才能があっても、運という要素は必要だ。僕たちはそれを手に入れた。 でも同時に、自分たちの仕事を必死でやっていたから、幸運が訪れた。だから、このバンドはみんな謙虚でいられるんだと思う」


参考文献: JAPAN FORWARD :INTERVIEW | India’s Bloodywood Are Babymetal Fans and Out to Inspire Change in the World

KERRANG! :Bloodywood: “This album is New Delhi saying, ‘Hi, we’ve entered the metal world chat’”

THE GUARDIAN :Indian rock sensations Bloodywood: ‘What’s more metal than standing up for people you love?

GUITAR.COM :https://guitar.com/features/interviews/bloodywood-interview-karan-katiyar-nu-delhi/

来日公演の詳細はこちら。SMASH JAPAN

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SAOR : ADMIST THE RUINS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ANDY MARSHALL OF SAOR !!

“When People Listen To SAOR, I Want Them To Close Their Eyes And Be Transported Somewhere Else―Away From Their Worries, Even If Just For a Little While. Music Has That Power, And I Think That’s What Makes It So Special.”

DISC REVIEW “ADMIST THE RUINS”

「メタルには生の激しさがあり、伝統的な民族音楽と見事に調和するパワーがある。民族音楽は魂に語りかけるもので、歴史や感情、土地との深いつながりを運んでくる。それとメタルのヘヴィネスとエネルギーとを組み合わせると、重厚で深い感動が生まれる。自然な融合だよ」
ブラックメタルが根付いた土地の文化や自然を愛する営みは、今やメタル世界において最も純粋さが感じられる尊い瞬間のひとつ。その老舗であり盟主、SAOR の中の人 Andy Marshall は世界屈指のフォーク/ブラックメタル・アーティストであり、スコットランドの計り知れない美しさと民俗文化に誰よりも思いを馳せ、愛情を注ぎながらその音楽を書いています。そう、ヘヴィ・メタルも伝統音楽も、魂に語りかける歴史と感情の音楽。だからこそ両者は、純粋に、そして外連見なく溶け合います。
「僕はいつもスコットランドの歴史に魅了されてきたんだ。”グレンコーの虐殺” は、僕たちの過去において最も暗く悲劇的な瞬間のひとつだった。僕は自分の音楽でスコットランドの歴史の異なる時代を探求していくのが好きなのだけど、当時は、この特殊なストーリーがとても心に響いたんだよね」
“Amidst the Ruins” “廃墟の中で” と題された SAOR 6枚目のアルバムは、ここ数作で少し霞んでいたスコットランドの自然、荒涼とした高地、艶やかな湖、霧に覆われた渓谷が再びまざまざと眼下に広がる作品に仕上がりました。壮大でプログレッシブ。伝統楽器とディストーションがドラマチックに勇躍する旋律の重厚舞踏。
ブラックメタルの激しさとケルト民謡のメロディーの壮大な融合はそうして、ハイランドの歴史に生命を吹き込んでいきます。 カレドニアの精神に導かれ、SAOR の音楽は故郷の古代の物語と響き合い、時を超えます。哀愁漂う廃墟と自然の中で SAOR の奏でる音魂は、人間の裏切りから森がささやく秘め事まで、時代を超越した風景と人類の業を風化した幽玄なる渓谷から蘇らせていくのです。
インタビューの中で Andy は、歳をとるにつれて政治に関心がなくなってきた、暴力や欺瞞が蔓延る暗い現代よりも自分の音楽に集中したいと語っています。実際、スコットランドの独立を願っていた以前よりも肩の力が抜けて、スコットランドの美点へとよりフォーカスした作品はそんな考え方の変化を反映しているようにも感じます。
ただし、そうした変化の中でも Andy は、荘厳にして深淵、一際悲哀を誘う “Glen of Sorrow” で “グレンコーの虐殺” を取りあげました。これは17世紀にイングランド政府が手引きして起こった、スコットランド、グレンコーの罪なき村人たちが殺戮された忌まわしき事件。この一件により、スコットランドとイングランドはより険悪な関係となり、その余韻は300年を経た今でも少なからず続いています。ハイランドの嘆きの谷。そこに巣食う亡霊は今の世界を見て何を思うのでしょうか?きっと、Andy Marshall はそんな問いかけをこの美しくも悲しい暗がりで世界に発しているのではないでしょうか?
今回弊誌では、Andy Marshall にインタビューを行うことができました。
「僕はメタルだけじゃなく、すべての音楽は、ある意味で逃避場所になりうると思う。人々がSAORを聴くとき、目を閉じてどこか他の場所へ…ほんの少しの間でも悩みから遠ざかってほしい。音楽にはそういう力がある。それが音楽を特別なものにしていると思う」それでも、私たちにはヘヴィ・メタルがある。二度目の登場。 どうぞ!!

SAOR “ADMIST THE RUINS” : 10/10

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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【MOISSON LIVIDE : SENT EMPERI GASCON】


COVER STORY : MOISSON LIVIDE “SENT EMPERI GASCON”

“Je ne pourrais pas m’en passer, l’école power metal a laissé des traces bien trop profondes, merci Tobias Sammet !”

SENT EMPERI GASCON

MOISSON LIVIDE のデビュー・アルバムは、フォーク&パワー・メタルが黒に染まった魔法のような作品です。
ガスコーニュ地方として知られるフランス南西部出身の MOISSON LIVIDE(怒りの収穫)は、主に Baptiste Lavenne の発案によるプロジェクトです。Lavenne は、関連の深いフォーク・メタル・バンド、BOISSON DIVINE(神の酒)の中心人物ですが、MOISSON LIVIDE では、より幅広い楽器と様々な影響を取り入れながら、サウンドの攻撃性と激しさ、そして芳醇なるメロディを研ぎ澄ませました。
“Sent Empèri Gascon” は、初手であらゆる民族楽器(アコーディオン、バグパイプ、ティン・ホイッスル、ホルン、ブズーキなど)が魅了するかもしれませんが、作品が聴き手にしみ込んでいくにつれ、最も印象的なのは、実は基本的で最も重要なこと、つまり歌だとわかります。民俗音楽の系譜に忠実な Lavenne には、新鮮さと古さを同時に感じさせるメロディーを紡ぎ出し、それを中心に壮大でありながら論理的な構成を構築する才能があるのです。そうした点で、このアルバムには初期の MOONSORROW との強いつながりがあるのかもしれませんね。
そして何よりも意外性がここにはあります。フォーク・メタルはソフトだと思うなら、ここにはロケット燃料を使ったブラックメタルの激しさがあります。ブラックメタルは頑固で真面目だと思っているなら、このアルバムは暖かさと胸を高鳴らせる高揚感や笑いに溢れています。メタルは極端さを追求すると道を踏み外すと思っているなら、MOISSON LIVIDE は伝統的なメタルの疾走とツインギターのリードが唸りを上げます。彼らはフォーク・メタルを核に、ブラック・メタル、トラディショナル・メタル、メロデス、ピュア・フォーク、パンク、シネマティックな雰囲気、パワー・メタルなど、曲が必要とするところへ放射状その豊かな味わいを広げていくのです。
そうして、パンチの効いたパワー・メタルとパワフルなブラック・メタルの間で揺れ動くこの新しいバンドは、イノシシのように彼らの生まれた土地を隅々まで掘り下げます。自嘲と皮肉、そして何よりも知性に満ちた LAVENNE は、このプロジェクトの起源を振り返ります。

「BOISSON DIVINE があるからまあ、このプロジェクトが冗談のようなものだと考えるのは完全に間違っているわけではない。もう少し詳しく説明しよう。私がブラックメタルを知ったのは、雑誌のCDサンプラーでメタル全般を知った後、かなり早い時期だった。当時は正直言って、そのスタイルをよく理解していなかった。暴力のレベル、イメージ、ドラミングのスピード、皮を剥ぐようなボーカル……もちろん印象的ではあったけど、私にはすべてがほとんど不条理に思えたんだ。私はすぐにそこから離れ、明るいもの、特にパワー・メタルを愛するようになった。私は DISSECTION に出会い、衝撃を受けたんだ!DISSECTIONは、私がこのスタイルの虜になるために不可欠なバンドだった。アグレッションとメロディーの比率、メタルのちょっとしたアクセント、アコースティックなパッセージ、それは私にとって勝利のコンボだった!それから少しして、VEHEMENCE、AORLHAC、ABDUCTION、PAYDRETZ、HANTERNOZ…といったフランスのメロディック&メディーヴァルなシーンを味わった。だから私は、ゆっくりと、でも自然に、ブラックメタルの影響を自分の作曲に取り入れるようになった。それは BOISSON DIVINE の他のメンバーに定期的に送っていた新曲のデモにも反映されるようになっていったんだ。
それから、ガスコーニュ地方のブラックメタルというアイデアが気に入り、私は曲作りに熱中した(笑)。アイデアがどんどん湧いてきて、あっという間にすべてがうまくいった。BOISSON DIVINE をもじって MOISSON LIVIDE と名付けた。自分たちの足跡を隠すため、人々を笑わせるため、そして不意を突くためにね。こうして “Sent Empèri Gascon”が誕生したんだ」
このアルバムは明らかにガスコーニュ人による、ガスコーニュ地方のための、ガスコーニュのアルバムです。こうしたレコードを作るというアイデア全体、つまりジャンルの制約を気にせず、マーチング・トランペットとブラストビートと80年代のシュレッド・ソロを嬉々としてミックスするスピリットが、とてもフランス的だとも言えるでしょう。”気にしない” という強い姿勢、それはフランスのメタル・シーンに貫かれた哲学なのでしょうか?
「”We don’t care” はアルバムの雰囲気をよく表しているね(笑)。私を突き動かしている哲学であることは間違いない。反商業的な精神が大好きなんだ。自分たちの好きなことをやって、誰がそれを好きなのか見る。既成のジャンルの基準に100%固執して自分たちを芸術的に制限することは考えられないし、それは無意味だからだ。きれいなコーラスを思いつくたびに、私はこの言葉を口にしてきた。誰が気にするんだ?!ってね。ブラック・メタル純血主義者に嫌われる?ああ、でも私は気にしない!」

“聖なるガスコン帝国” というアルバム・タイトル、そして壮大なストーリーにも、フランスイズム、ガスコンイズム、そして中央集権化された首都への苛立ちが宿っています。
「コンセプト・アルバムではないし、テーマは曲によって大きく異なる。地元に古くから伝わる伝説や歴史上の人物、田舎からの脱出や過疎化といったシリアスな話題もあれば、サイクリストに関するユーモラスな話題や、大都会から来た迷惑な観光客をやっつける妄想もある。しかし、タイトルとジャケットは、技術の飛躍的進歩の後に銀河系ガスコン帝国が誕生するという近未来的な架空の物語で “Sent Empèri Gascon”(聖なるガスコン帝国)という曲に基づいている。2084年、パリのジャコバン党が、投票率83%で、”ヨーロッパ連合超民主主義共和国 “として知られる新生国家の選挙に勝利した。その後、中央集権化、自由を奪う、抑圧的な政策が強まった。公共の安全を確保するために高速道路の制限速度が時速50キロに引き下げられ、債務削減のために付加価値税が42%に引き上げられた。エネルギー消費を抑えるため、夜7時からの夜間外出禁止令が導入され、朝7時まで停電となった。反乱は拡大し、地域の独立を望む声はかつてないほど強くなった。
10月2日、鴨の胸肉の脂肪の摂取を禁止する改正案が可決された。さすがに背に腹は代えられなかった。ガスコーニュ地方の2人の農民、ジルとジョン・ドゥディジョスは首都を訪れ、パリの警察署に放火した。彼らの逮捕はメディア、特に24時間放送のオック語ニュースチャンネル “ベルグー・ニュー” で大きく報道された。民衆蜂起の試みを阻止するため、彼らは罰則を受けた。トラクターのボンネットは、自転車のフレームやスクーターのハンドルとして再利用される。彼らはまた、60.8°F以上の暖房をしている市民を通報する無料ホットラインの電話オペレーターとして、2週間の社会奉仕活動を強いられる。国防委員会は、公衆の面前でベレー帽をかぶった場合、頭囲1センチにつき90ユーロの罰金を科すという最後の一撃を加えた。
このような極端な暴力に直面した反体制派は、できる限り目立たないように、新たな集会の方法を探さざるを得なかった。しかし11月17日、すべてを変える出来事が起こった。バスク地方のイルレギー近郊で考古学的発掘が行われ、ガスコン語で刻まれた動物の骨が発見されたのだ。専門家たちの懸命の努力にもかかわらず、フェブシア文字で書かれたメッセージを解読することはできなかった。
そんなことができるのは、この世でただ一人の男だけだ。ピック・デュ・ミディ・ド・ビゴールからほど近い暗い洞窟に住む孤独な男、ガスコン族の最後の一人、ジャン・タイエール。伝説によると、彼は辞書を破って作ったマットレスの上で寝ており、マイクロトポニーミーへの執着が彼を狂わせたという。南風が吹く満月の夜には、アレッテの詩の一節を叫ぶ声が聞こえる。
12月21日、彼のもとに骨が運ばれてきた。彼は一息で、書物を覆っていた埃を払い落とした。Quan dou cèu e séra cadut Lou princi qui estoû proumétut Fénira lou téms de misèri Bastiram lou nouste Empèri」(約束された王子が天から降るとき、不幸の時は終わり、我々は帝国を築く)。
大地震が山を揺らした。何とも言えない音とともに、別世界からの宇宙船のようなものが岩の上に着陸した。長い金髪に熊の絵で飾られたマントを羽織った人型の巨漢が出てきた。彼は完璧なガスコン語で聴衆に語りかけた。彼の名はアラリック4世、Kメラト太陽系のブラアD星から来た。何千年もの間、地球を観察してきた彼の祖先が、ガストン・フェビュスの姿に魅了され、1390年8月2日、彼のバスタブの下にあるマイクロ・ブラックホールを使って、彼を誘拐する計画を立てたという話をした。溺れているように見せかけ攫ったと。
アラリック4世は話を続けた。予言は聖典によって明らかにされた。彼の使命はガスコーニュの人々に星間旅行と反重力の原理を理解する鍵を与え、パリのジャコバン派の凡庸さ、愚かさ、寄生から地球と銀河系を解放することだった。彼は、この技術的飛躍に不可欠な燃料である元素115を安定させる方法を教えた。ニンニク1片、ワイングラス2杯、モスコビウム7kgを量子粒子加速器の中で混ぜなければならなかった。
このようにしてマスターされた115番元素は、核兵器の1万2000倍の破壊力を持つ、想像を絶する恐ろしい戦争兵器の創造も可能にした。核兵器の1万2千倍の破壊力を持つのだ。権力を取り戻し、専制君主を打倒し、フェブスの昔からの夢を実現するときが来たのだ。そして、彼の意志は実現した。
この文章は、ほとんど理解できないような曖昧な文学や社会的引用で、ばかばかしくさえあることは分かっている。しかし、現在の(そして過去200年間の)フランスがどのようなものかを説明するならば、フランスは高度に中央集権化された国で、権力、資金、決定は主にパリに集中している。共和国はその支配力を確立するために文化の標準化を推進し、その結果、パリだけのフランス人を優遇するために、地方の文化や言語は破壊され、少なくとも弱体化した。
このアルバムには、肯定と復讐の思想がある。存在への叫び、私たちが再発見しなければならない生命力。要するに、私たちは自分自身を死なせるのではなく、抵抗しなければならないという考えだ。
疑念を抱くたびに、そのことが頭をよぎった。この精神がフランスのシーン全体に一般化できるかどうかはわからない。いずれにせよ、君がそう感じるのであれば、そこには何らかの真実があるに違いない」

MOISSON LIVIDEの音楽は、ブラックメタルやヘヴィメタル、さらにはパワー・メタルを基調としながら、伝統的な中世の楽器やフォーク的な部分も持ち込んだ実に多様な農夫のメタル。
「まあ、オープンマインドを強調するつもりはないけれど、時間が経てば経つほど、聴くものが多様になり、影響を受けたものが蓄積されていくんだ。私は作曲が大好きで、Cubase の空のセッションを開いて、ここ数ヶ月の間に蓄積されたアイデアの断片に命を吹き込み、それを構造化することをとても楽しんでいる。音楽を分析するのも好きだし、好きなスタイルのコードはすぐに理解できる。でも、あるジャンルを聴くことで、それが頭の片隅に残って、自然と出てくるんだ。結局、作曲のプロセスを説明するのはかなり難しい。脳がさまざまな情報の断片を保存し、その都度ユニークな組み合わせの混合物の形で吐き出すのだと想像している」
Lavenne が恐ろしいのは、農家であることをメタルに活用しているところでしょう。まさに農家とメタルの二刀流。
「私は頭を使ってよく書く。本当にほとんど楽曲は頭で書いている。アイデアは何の前触れもなく浮かんでくるので、ボイスレコーダーアプリを取り出し、赤いボタンを押してラララと歌う。夕方家に帰ると、自分が書いたものを聴いて、アコースティックギターかピアノでコードを練る。ほとんどすべて仕事中に書いている。私はワイン生産者なので、多くの時間をブドウ畑で手作業に費やしている。ブドウの木は1本1本違うが、やるべきことを覚えたら、他のすべてのブドウの木で同じ作業を繰り返す。これを疎外感と捉える人もいるかもしれないが、私は脳の時間を解放する素晴らしい機会だと考えている。
数年のノウハウとブドウ畑の知識があれば、ある種の自動操縦モードに入ることもある。楽器を手にして座り、何か書かなければと自分に言い聞かせることは、本当にめったにない。だから同時に2つのことができる。そのおかげで膨大な時間を節約できる。さまざまな影響について話を戻すと、このようにたくさんの曲をミックスするときに一番難しいのは、”コラージュ” 的な嫌味を出さずに、すべての曲を調和させる一貫性、共通の糸を保つことだ。
だから私は、長尺にもかかわらずかなりシンプルな構成に特に注意を払っている。フック、節、繰り返されるテーマ、コーラス……私はビッグなコーラスが大好きなんだ!パワー・メタル派は、メタルにあまりにも深い足跡を残しすぎた!ありがとう、トビアス・サメット!」
歌詞はガスコーニュ地方の昔話、寓話と現代の出来事に対する批判、さらには未来的な推測の間で揺れ動きます。
「いつもメロディーが先に作られる。それからコード。歌詞はその連鎖の最後のリンクにすぎない。実際、デモを作るときは、曲を完成させるために、何でも歌ったり、思いつきで書いたりすることがよくあるんだ。本当の歌詞は、曲がアルバムの選考段階を通過してから、後で書く。これが一番難しい作業で、なかなか進まないこともある。それでも、美しく、よく書かれた文章を最終的に完成させるのはとても満足感がある……少なくとも形としてはね、内容がくだらないこともあるから(笑)。
ただ、テーマを最初に思いつくということはよくあるんだ。それが曲の内容に大きく影響する。実際、最も非定型的な作曲はそうやって生まれることが多い。主題に変化をつけるのに役立つからだ。また、あらかじめテーマがあると、イメージを思い浮かべることができ、とても刺激になる。最終的には、それをメモに書き写すだけ」

戦争のトランペット、狩の角笛、あるいは反逆のパンクなど、まったく予想外の要素を導入するのも、意外性を生み出すためでしょうか?
「常にそれを意識してやっているわけではないけど、たしかにそんな一面はある。私はアレンジのバラエティーが大好きで、あらゆる方向に飛び出したり、いくつもの音域に触れたり、さまざまなスタイルをミックスしたり、要するにあらゆる棚からつまみ食いするのが好きなんだ(笑)。私はその冒険心をとらえようとしていて、”何でもあり” でいたい。商業的には間違いなく逆効果だけど、仕事ではないので経済的な制約がなく、このようなリスキーな組み合わせができるのは贅沢なことだ。というか、音楽制作のリスクって何?」
残忍さにメロディを加えるという意味で参考にしたのは、あのレジェンドでした。
「 CHILDREN OF BODOM がいい例だよ。私は必ずしもブラックメタルに詳しいわけではないけど、あれほどパワー・エッジの効いた残忍なメタルはまだ聴いたことがない。だから、ブラックメタルの純血主義者のことは気にせず、100%ブラックなアルバムを作る意味はなかった。 ビッグなコーラスがないトラックは作れないし、思いつくことはできても実現できない。私は、ハーディ・ガーディ、ランド地方のバグパイプ、マンドリン、ブズーキ(ちなみにガスコーニュ風ではない)を使い、私が望んでいたハードでキャッチーなコーラスをミックスしている。そしてもちろん、フランスの地方の力強さ、古くからの伝統や価値観に親近感と哀愁をもたらす伝統楽器も」
もちろん、パワー・メタルからの影響も強く残ります。
「IRON MAIDEN, JUDAS PRIEST, ACCEPT, HELLOWEEN, GAMMA RAY…それ以上に AVANTASIA とトビアス・サメットの大ファンでもあるし、伝統的なフォークに軍隊行進曲の側面もある。実際、MOISSON LIVIDE は、私のでたらめな考えをすべて受け入れてくれるような存在だった」
歌詞に使われているガスコン語で自分のルーツに忠実であること、信憑性を保つことは重要なのだろうか?
「簡単に言えば、ガスコン語は私の心の言葉だよ。私の言語だから私の言語で歌う。他の言語で音楽を作ろうとは思わないし、ごく散発的にしかやらないよ。ガスコン語はバスク語をローマ字にしたようなもので、特にRの転がし方にロック的な側面がある。メロディアスなんだ。
私がマスターしている他の言語に関して言えば、フランス語はゲルマン語の影響を受けてメロディーに悪影響を与えるし、メタルでは英語は完全に使いすぎだ。カスティーリャ語に関しては、中学の最後の年以来レベルが急降下しているし、イベリアの友人には失礼だが、ホタの使い方には少し抵抗がある。私たちの歴史はフランス共和国の学校では教えられていない。しかし、私たちのささやかなやり方で、この地域の文化を広める手助けをしている。私たちの歌のおかげでガスコン語を習い始めた人たちや、語学教室に通い始めた人たちからメッセージをもらうと、とてもうれしいね。ガスコン語の使用は70年前から減少しており、復活を望むのはユートピア的だとは思うけどね」
時代に反して、MOISSON LIVIDE の楽曲はかなり長く、変化に富んだパッセージに満ちています。
「レコード盤のフォーマットを埋める必要があったし、Cubase の ctrlC + ctrlV は僕のお気に入りの機能なんだ。”St.Anger” の遺産だね!冗談はさておき、曲のフォーマットは計画的なものではなく、とても本能的なもので、テーマによって本当に様々なんだ。でも、多くの場合、壮大な題材は少なくとも8分以上の時間を必要とする。昔の IRON MAIDEN や HELLOWEEN のアルバムのラスト・トラックに影響を受けているんだ(笑)」

アルバムのジャケットに使われている地図と紋章にも興味をそそられます。
「左の紋章はガスコン地方の紋章で、ルイ14世の紋章官が作った最も広く普及しているシンボルのひとつなんだ。2頭のライオンと麦の穂が描かれたこの紋章は、歴史上ガスコーニュの国旗は存在しないが、これは国旗の役割を果たした。私は赤と青よりも、より正統的な赤と白の方が好きだった。その下の標語は “Sauvatgèr, pataquèra, quantica, renavida” で、意味は “野蛮、乱闘、量子、刷新”。まあ、何の意味もないのだけど、なかなか調子に合っていると思う。ローマ帝国にちなんで乗っかっただけだ。右は銃士の十字架、ガスコン語で “crotz deu larèr”(囲炉裏の十字架)。
その下には “Nunqan Polluta”(決して汚されない)という標語がある。これはバイヨンヌの街の歴史的標語で、何度も包囲されたが一度も奪われなかったから。その版図は日本にまで及んでいるね。地図にはデタラメやダジャレがたくさん書かれているので、全部を解剖するつもりはないけど、パリは帝国の監獄と記されている。この街はこれ以上の価値はない」
MOISSON LIVIDE の精神には、人に内在する嘲笑と楽しみの精神が如実に感じられます。それは人生の明るい面を見る方法であり、蔓延する憂鬱を鼻で笑うこと。
「私の音楽はシリアスで、形式は巧みだけど、歌詞の半分は不条理で、二番煎じで挑発的で、実にくだらないものだ。それは私の性格の一部だからね。単純に人生の反映だと思う。映画の人生のように一面的なものではない。あるときはシリアスで厳粛、またあるときは遊び心にあふれ嘲笑的、速いか遅いか、短いか長いか、まったく異なるムード、サウンド、モード、トーナリティを通過する。深く掘り下げれば、自分の好みに合うものがすぐに見つかるからだ。とはいえ…メタルは真面目すぎるよな(笑)」

原点回帰の田舎暮らしを推奨し、礼賛するメタルだとすればまさに前代未聞でしょう。
「ただ、私たちは必ずしもそのメッセージを伝えようとしているわけではないんだよ。私たちがやっていることは、結局のところ、私たちが情熱を持っていて、他の人に音楽にして聴いてもらいたいと思っているテーマについて話しているだけだからね。特に制約もなく、思いついたものをミックスしているだけなんだ。個人的には、”土地に根を下ろせ”、”田舎に帰れ”, “庭を作れ”, “その土地の言葉を学べ” といった命令や小難しいフレーズを発する気にはならない。おそらく、私は人に指図されるのがあまり好きではないし、その逆もしかりだからだろう。だから自分でビジネスを立ち上げて、働き手を持たないのがいいんだ(笑)。
というのも、無理強いすることなく、ただ敬意を表し、練習し、提案することによって、私たちは人々にガスコン語を習得してもらい、年配の人々には再びガスコン語を始めてもらい、若者たちはランド・バグパイプのような伝統楽器を手にしてもらい、地元のポリフォニック・グループは私たちの歌をレパートリーに取り入れてもらっている。私たちのささやかな貢献によって、さまざまな人々が同じ旗のもとに集い、ガロンヌ地方やピレネー地方を越えて、この地方の知名度を高めることができるのは光栄なことだからね」
最後に、このアルバムにはどんなワインを合わせるべきなのだろうか?
「メルローではなく、100%タナだ!もちろん、MOISSON LIVIDE を存分に味わいたいなら、私のドメーヌ・ド・マティラのタナを飲まなければならない。私の祖父が1960年代に植えた古木のタナ100%の2020年のキュヴェがある。素晴らしいタンニンの強さを持ち、味わいはとてもリッチだが、とてもソフトでクリーミーでもある。家で15年から20年保存できるようなボトルだ。
アルバムを聴きながらタナを飲めば、五感が活性化する。飲むために聴き、その逆もまた然り。高価なVIPチケットよりずっといい、まさに没入型の体験だ。もし私の国を通りかかったら、遠慮なく訪ねてきてほしい。私は夜間、敷地内で人々を歓迎し、試飲やワイナリー周辺のツアーを提供しているからね」

参考文献: HARD FORCE:MOISSON LIVIDE Interview Darkagnan

HEAVY METAL DK:Interview med Baptiste ”Darkagnan” Labenne fra Moisson Livide

METAL OBS:MOISSON LIVIDE : OH, MA DOUCE FRANCE !

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ZYGNEMA : ICONIC】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH SIDHARTH KADADI OF ZYGNEMA !!

“I Was Deeply Connected And Impressed With a Steve Vai Track Titled Blood And Tears Since I Was a Teenager. It Has Carnatic Vocals With Electric Guitar And It Still Gives Me Goosebumps Whenever I Hear It.”

DISC REVIEW “ICONIC”

「地元の音とメタル音楽をブレンドして、この都市と州の人々にとってよりパーソナルなものにするという非常に効果的なアイデアを思いついた。だから、僕らが取り入れようとしている伝統的な音楽のブレンドは、パンジャブ音楽のようにポピュラーなものではない。正直なところ、西と南のミックスなんだ。”Iconic”, “Rise Again”, “To reach the Gods” を聴いてもらえば、その装飾がはっきりわかるはずだ。歌詞はムンバイの鼓動(人々)を語っていて、できるだけ多くの顔を見せることにした。ムンバイは喧騒に満ちているんだ」
想いや思い出、共感、怒りに願い。ヘヴィ・メタルがただの “音楽” ではなく、共に歩むうちいつしか人生になるように、ZYGNEMA の “Grind” も単なる “歌” ではありません。それは、彼らが生まれ育った故郷、ムンバイの精神と人々に捧げられた力強いアンセムです。
「音楽を通して表現することを可能にし、ライブに熱心に通い、メタル音楽に耳を傾ける人々は、その経験をより個人的なものにする。そうやって自分らしくいられること、個人的な感情を自由に表現できることは、誰もが望んでいることなのだろう。そこに、それぞれの文化や意味のある歌詞を融合させることで、より絆が深まるのだと思う」
インドの伝統的なリズムとモダン・メタルのアグレッションの極上のブレンドによって生まれたこの曲は、ムンバイの喧騒、混沌、疲れ知らずのエナジーを的確に捉え鮮やかに讃えるメタル讃歌。第三世界に根を広げるメタルの生命力、包容力、感染力を完膚なきまでに実現した、絆と人生の音楽。ハードなグルーヴと大胆不敵なテーマで知られる ZYGNEMA は、心に宿るローカルな文化とメタルの獰猛さの融合がいかに魅力的であるかを再び証明しました。
「”Grind” のインスピレーションは、ヘヴィなサウンドとリフ、そして PRODIGY の “Smack my bitch up” のようなエレクトロニックでインダストリアルなサウンドをブレンドすることだった。僕が10代の頃親しみ、感銘を受けた Steve Vai の “Blood & Tears” のようにね。エレクトリック・ギターにカルナティックなボーカルが入っていて、今でも聴くたびに鳥肌が立つよ。もうひとつのインスピレーションは、偉大なる Mattias Eklundh なんだ」
ムンバイの落ち着きのない鼓動を完璧に反映した轟音リフと複雑なグルーヴによって、”Grind” は台頭するインド・メタルの、そしてムンバイの新たなアンセムとなりました。コナッコルの複雑怪奇なパーカッションと歌で従来のメタルとは一線を画す印象的なリズムの質感を生み出していますが、そのルーツが欧米でこの奏法に早くから目をつけていた Steve Vai と Mattias Eklundh にあるのも興味深いところ。そうしてこの革新的な組み合わせは、ムンバイの活気に満ちた多様な雰囲気を映し出しながら、西洋と東洋の融合を祝います。
さらに “Grind” のミュージック・ビデオは、この曲のテーマに力強く命を吹き込んでいます。ムンバイの賑やかな通りを背景にしたこのビデオは、露天商、会社員、学生など、実際この地に生きる人々の日常をとらえています。彼らは皆、撮影時に話しかけて出演を快諾してくれたムンバイの人々。だからこそ、ムンバイの鼓動を伝えるこのビデオ、そして音楽には紛れもない信憑性があります。
「ムンバイの人々はたくましく、日々の生活を楽しく切り詰めている。ムンバイで苦難は誰も惜しまない。どんな階層や階級に属していようと、誰も文句を言わない。一日の終わりに、彼らは楽しみ、自分の功績を祝う。それが、僕たちがこのミュージック・ビデオで表現したいこと」
テクノロジーとSNSによって人類は退化しているのではないか。そう訝しむ ZYGNEMA のギタリスト Sidharth Kadadi。懸命に働く人々と、喜びや祝福を分かち合う瞬間がシームレスに織り込まれるこのビデオは、人間の回復力と精神力の証であり、困難にもかかわらず、揺るぎない決意で努力し、乗り越え、繁栄を勝ち取ったムンバイとメタルの記念碑でもあるのです。
今回弊誌では、Sidharth Kadadi にインタビューを行うことができました。「ストリート・ファイターは子供の頃にプレイしたことがあり、リュウの師匠の弟 (豪鬼) が “殺意の波動”という暗黒の修行に没頭してアクマになってしまうというバックストーリーがとても面白かった。剛柔流空手を学ぶことに間違いなく興味があるし、音楽と一緒にもうひとつ芸術を学ぶ時間を作るつもりだよ」どうぞ!!

ZYGNEMA “ICONIC” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【LOWEN : DO NOT GO TO WAR WITH THE DEMONS OF MAZANDARAN】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH NINA SAEIDI OF LOWEN !!

“The Government Of Iran Does Not In Any Way Represent Iranian People And Culture, Their Suppression Of The Arts And Oppression Of Women Goes Against Everything In Iranian culture. Our Culture Has Celebrated Women And The Arts For Millennia Prior To The Dictatorship.”

DISC REVIEW “DO NOT GO TO WAR WITH THE DEMONS OF MAZANDARAN”

「シャーナーメは、多くの寓話や物語を含む魅力的なテキストで、今日の世界で起きていることと非常に関連性があると感じるのよ。世界の舞台であれ、個人的なレベルであれ、このテキストに登場する王や悪党たちの愚行や戯れは、生き生きとした現代的なものに感じられる。この本は、色彩豊かで大げさな方法で人間性を表現した見事な作品であり、私はそれを私たちの音楽で取り入れたいと思ったの」
ペルシャの叙事詩 “シャーナーメ: 王書” は、創造と征服、勝利と恐怖に満ちた、10万行にも及ぶ広大な詩。ロンドンのプログレッシブ・ドゥーム集団 LOWEN の素晴らしき第二幕 “Do Not Go To War With The Demons Of Mazandaran” にインスピレーションを与えているのは、その中に収められている Mazandaran の悪魔の頭領 Div-e Sepid の物語。強大な力と熟練した魔術を持つ巨大な存在で、王の愚かさを懲らしめるため彼の軍隊を破壊し、失明させ、地下牢に幽閉する。
「このアルバムは、それを聴く人々への警告なの。戦争には絶対に勝者などいないし、戦争で利益を得る人間が最大の悪党となる。私はいつも、ウィリアム・ブレイクのような予言的人物に魅了されてきた。彼らは詩や芸術を使って、近未来の可能性について人々に警告を発している。このアルバムが歴史を変えることはないとわかっているけど、私たちの周りで起こっていることの愚かさを鮮やかな色彩で浮き彫りにせざるを得ないと感じている自分がいるのよ」
そう、このアルバムは戦争をけしかける愚かなる王、支配者、権力者たちへの芸術的な反抗であり、英雄に引っ張られる市民たちへの警告でもあります。いつの時代においても、戦争に真の勝者はなく、そこにはただ抑圧や痛みから利益を貪るものが存在するのみ。ただし、LOWEN の歌姫 Nina Saeidi には、そうした考えに至る正当な理由がありました。
「中東の最近の歴史は、100年以上にわたる不安定化と植民地化によって、悲劇的で心が痛むものになってしまった。今のイラン政府はイランの人々や文化を代表するものではなく、芸術の弾圧や女性への抑圧はイラン文化のすべてに反するものだと思っているわ。私たちの文化は、独裁政権以前の何千年もの間、女性と芸術を祝福してきたのだから」
イラン革命の亡命者の娘として産まれた Nina にとって、現在のイランのあり方、独裁と芸術や女性に対する抑圧は、本来イランやペルシャが培ってきた文化とは遠く離れたもの。本来、女性や芸術は祝福されるべき場所。そんな Nina の祖国に対する強い想いは、モダン・メタルの多様性と結びついてこのアルバムを超越的な輝きへと導きました。
何よりその音楽的ルーツは、彼女の祖先の土地に今も深く刻み込まれていて、ゴージャスで飛翔するような魅惑的な歌唱は、パートナーのセム・ルーカスの重戦車なリフの間を飛び回り、大渦の周りに蜃気楼を織り成していきます。”クリーン” な歌声が、これほどまでにヘヴィな音楽と一体化するのは珍しく、また、奈落の底への冒険をエキゾチシズムと知性で表現しているのも実に神秘的で魅力的。多くのメタル・バンドがアラブ世界のメロディを駆使してきましたが、LOWEN のプログレッシブ・ドゥームほど “本物” で、古代と今をまたにかけるバンドは他にいないでしょう。
今回弊誌では、Nina Saeidi にインタビューを行うことができました。「日本から生まれたプログは世界でもトップクラスよね!喜多島修と高中正義は、私の最も好きなミュージシャンの一人なの。もちろん、スタジオジブリの映画のファンでもあるし、『xxxホリック』や『神有月の子ども』など、日本の民話や神話を取り入れたファンタジーやアニメのジャンルも大好きよ。『ヴァンパイア・ハンターD』も、若い頃に好きだったアニメ映画のひとつね。ゴシック映画の傑作。
ビデオゲームでは、私はゼルダの大ファンなの。Wiiのゲームはプレイする機会がなかったけど、N64とSwitchのゲームは今でもプレイする機会があればヘビーローテーションしているの」 どうぞ!!

LOWEN “DO NOT GO TO WAR WITH DEMONS OF MAZANDARAN” : 10/10

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