NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【LOHARANO : VELIRANO 】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH LohArano !!

“One Of Our Major Objectives Is To Restore The Value Of Malagasy Culture, Which We Feel Is Being Lost Over Time. Our Language, Our Musical Sound, Our Ancestral Wisdoms, We Have So Many Extraordinary Things That We Tend To Devalue In Comparison With Western Culture, It’s Sad.”

DISC REVIEW “VELIRANO”

「私たちの大きな目的のひとつは、時間の経過とともに失われつつあると感じているマダガスカル文化の価値を回復することなのだから。私たちには言語、音楽、先祖代々の知恵など、素晴らしい文化がある。だけどそれらは西洋文化に比べて軽視されがちなんだよね。悲しいことだよ」
ヘヴィ・メタルの感染力は、もはやとどまることを知りません。文化や言語、人種に宗教の壁を越えてアジアや南米を侵食したメタルの種子は、ついにアフリカの南端の島までたどり着きました。そう、インド洋のグルニエことマダガスカルに。
マダガスカルといえば、まず私たちは色とりどりの豊かな自然と、独自の進化を遂げた固有種を思い浮かべることでしょう。そんなメタルらしからぬ場所にまで、今やメタルは届いています。そして、首都アンタナナリヴォを拠点とする新鋭トリオ LohArano は、島のシンボルであるワオキツネザルのように、ヘヴィ・メタルを独自に、魅力的に進化させていくのです。
メタルの生命力が傑出しているのは、世界各地で芽吹いたメタルの種を、その土地土地が育んだ文化の色に染め上げていくところ。LohArano は、ツァピキーやサレギーといった人気の高いマダガスカル音楽のスタイルを、オルタナティブなメタルを融合させた非常にユニークなサウンドを得意としています。それは文化を守ること。それは伝統を抱きしめること。LohArano は、培われた文化は平等に尊いこと、そして消えてはならないことを肌で感じて知っているのです。
「そう、ここでメタルをやるのはとても大変なんだ。日々の食事に事欠くくらいに大変なのだから、楽器を買い、スタジオを借り、演奏することがどれほど大変か想像してみてほしい。もしそうすることができたとしても、ここでのコンサートはお金にならないし、メタルは社会のステレオタイプに対処しなければならない。マダガスカルの多くのスタジオは、ハードロック/ヘヴィ・メタルのバンドを受け入れることを拒否しているんだから」
そうした “楽園” のイメージが強いマダガスカルですが、そこに住む人たちにとってこの国は決して “楽園” ではありません。世界最貧国のひとつと謳われるマダガスカルは、貧困と病が深刻な状況で、抑圧的な政治も機能せず、そうした権力に反抗する暴動も頻発しています。そんな苦難の中で、RAGE AGAINST THE MACHINE や SYSTEM OF A DOWN のような “プロテスト・メタル” と出会った彼らはメタルで状況を変えよう、世界を良くしようと思い立ちます。
「”Velirano” “誓い” は、政治家たちが国民をいかにぞんざいに扱っているか、生存のわずかな望みのためなら何でも受け入れる国民に対する不条理で馬鹿げた誓いの風刺なんだよ」
だからこそ、LohArano のモッシュ・ピットは散々な目に遭わされ、打ちのめされ、騙され、不条理を受け止め続けた人たちの、もうたくさんだという正義の怒りにあふれています。そうして、さながらLIVING COLOUR の “Cult of Personality” や、暴力的でディストピア的な独裁ファンタジーを暴露する “The Wall” のマダガスカル版ともいえるこの曲で、彼らはついに世界的な大舞台 Hellfest に到達します。
「私たちがその名を知られ始めているのは事実で、もうそれがすでに大きな一歩。だって、私たちの言葉に耳を傾ける人が増えるんだから。同意する、しないにかかわらずね」
そう、彼らはマダガスカルの “声” を届けるため、この場所まで進んできました。そうして長い苦闘の末、ついに彼らの声は世界に届き始めたのです。私たちは、メタルの寛容さ、包容力で、今こそ LohArano の戦いを、声を、音楽を、抱きしめるべき時でしょう。
今回弊誌では、LohArano にインタビューを行うことができました。「Hellfest の出演は素晴らしいニュースだし、Lovebites と一緒にプレーできることを光栄に思うよ!Lovebites はロックだ!素晴らしいバンドとステージを共有できることに興奮している!あとは Maximum The Hormone の大ファンなんだ!彼らはクレイジーさ!大好きなんだ!」 どうぞ!!

LohArano : “Velirano” : 10/10

INTERVIEW WITH LohArano

Q1: When I think of Madagascar, I first think of its rich nature and many endemic species. I feel like there has no connection to heavy metal and that is why I am surprised to see a metal band of your great talent! How did you come across metal in Madagascar?

【LohArano】: Rock came to Madagascans’ ears in the 50s, and that’s when our elders started exchanging the rare albums that some of them were able to bring back from abroad, and a movement of rockers began to emerge in Madagascar. In our case, we’re from the 90s generation, so when we were growing up, we were already hearing Malagasy maintsream rock bands on the radio, like Doc Holliday (rock fusion) or Tselatra (hard rock), or more extreme bands like Kazar (thrash metal)… We always worked by exchanging albums, cassettes or records, until the arrival of the Internet era when total access to the world’s music became feasible. And here we are!

Q1: マダガスカルといえば、まずその豊かな自然と多くの固有種を思い浮かべます。ヘヴィ・メタルとは無縁の場所のような気がしていたので、あなたのような素晴らしい才能を持ったバンドがいることに驚いていますよ!まずは、マダガスカルでメタルと出会ったきっかけから教えていただけますか?

【LohArano】: ロックがマダガスカル人の耳に入るようになったのは50年代のことで、年長者の何人かが海外から持ち帰ったレアなアルバムを交換するようになり、マダガスカルにロックのムーブメントが生まれ始めた。私たちは90年代世代だから、私たちが育った頃にはすでにラジオからマダガスカルのメインストリーム・ロック・バンド、例えば DOC HOLIDAY(ロック・フュージョン)や TSELATRA(ハードロック)、あるいは KAZAR(スラッシュ・メタル)のような過激なバンドまで流れていたんだ。
私たちはいつもアルバムやカセットテープ、レコードを交換することで活動していたんだけど、インターネットの時代が到来し、ついに世界中の音楽にアクセスできるようになった。そして私たちは今、ここにいる!

Q2: On the other hand, we have heard that Madagascar has many problems such as poverty, disease, and government repression and riots against it. It is not easy to continue playing metal music in such a situation, would you agree?

【LohArano】: Yes, it’s hard enough. Getting enough to eat on a daily basis is hard enough, so imagine how difficult it is to buy instruments, hire studio time and perform. Even for those who manage to do so, concerts don’t pay, we still have to deal with society’s stereotypes, and many studios refuse to accept hard rock/heavy metal bands, and so on.

Q2: 一方で、マダガスカルには貧困や病気、政府による弾圧やそれに対する暴動など多くの問題があると聞いています。そうした状況の中でメタルを続けていくのは、簡単ではないですよね?

【LohArano】: そう、とても大変なんだ。日々の食事に事欠くくらいに大変なのだから、楽器を買い、スタジオを借り、演奏することがどれほど大変か想像してみてほしい。
もしそうすることができたとしても、ここでのコンサートはお金にならないし、メタルは社会のステレオタイプに対処しなければならない。マダガスカルの多くのスタジオは、ハードロック/ヘヴィ・メタルのバンドを受け入れることを拒否しているんだから。他にもいろいろあるんだよ…。

Q3: “Velirano” really moved me as much as when I first heard Rage Against The Machine or System of a Down! Like them, it’s a protest song against authority and government, right?

【LohArano】: Yes, VELIRANO (“Oath”) is a caricature of how our politicians treat our people, of absurd and ridiculous oaths to a people willing to accept anything for the small hope of survival…

Q3: “Velirano” には、RAGE AGAINST THE MACHINE や SYSTEM OF A DOWN を初めて聴いたときと同じくらい、本当に心を揺さぶられました!この曲は彼ら同様、権力や政府に対するプロテスト・ソングですよね?

【LohArano】: そう、”Velirano” “誓い” は、政治家たちが国民をいかにぞんざいに扱っているか、生存のわずかな望みのためなら何でも受け入れる国民に対する不条理で馬鹿げた誓いの風刺なんだよ…

Q4: “Andrambavitany” satirizes the younger generation’s pursuit of instant pleasure on social networking sites. You are in wonderful harmony with your Madagascar heritage, while at the same time taking on new challenges, aren’t you?

【LohArano】: We know so many people who don’t drink for pleasure, but because their buddies want them to, and so many girls who show off to feel good about themselves, bearing in mind that this is what society demands. ANDRIAMBAVITANY says above all: “Don’t do it if you feel soiled, respect your body, respect your soul. “.

Q4: “Andrambavitany” では、SNS でインスタントに快楽を追い求める若い世代を風刺していますね?一方であなたたちは、マダガスカルの伝統と見事に調和しながら、同時に新しい挑戦も続けています。

【LohArano】: 私たちは、楽しむために飲むのではなく、仲間に飲めと言われるから飲む人をたくさん知っている。
そして、若さが社会が求めていることであることを念頭に置きながら、自分自身が良い気分になるために自分を見せびらかす多くの女の子たちを知っている。だからこそ ANDRIAMBAVITANY は何よりもこう伝えているんだ。”自分の体と魂を大切にしなさい” とね。

Q5: In fact, your music is a wonderful blend of intelligent metal like RATM, SOAD, Tool, and the traditional music of Madagascar. Can you explain to our readers about Madagascar’s traditional music?

【LohArano】: Traditional Malagasy music is very varied depending on the region and ethnic group, so to try and generalize would be a mistake hahaha. Here are a few broad examples: in the north, we have Salegy, a festive, ambient music whose icon, JAOJOBY, is nicknamed the King of Salegy; in the south, we have Tsapiky, Beko and Kilalaky, also ambient but with a more melancholic, sad theme… There’s also Vakodrazana, Hira Gasy in the highlands.

Q5: 実際、あなたたちの音楽は RATM、SOAD、TOOL のようなインテリジェントなグルーヴ・メタルとマダガスカルの伝統音楽が見事に融合しています。マダガスカルの伝統音楽について弊誌の読者に簡単に説明していただけますか?

【LohArano】: 伝統的なマダガスカル音楽は、地域や民族によって実に様々なんだよ。だから簡単に説明するのは難しい (笑)。北部にはアンビエントなサレギーがあり、その象徴である JAOJOBY はサレギーの王というニックネームを持っている。南部にはツァピキー、ベコ、キララキーがあり、これもアンビエントだが、よりメランコリックで悲しいテーマを持っているよ。高地にはヴァコドラザナ、ヒラ・ガシーもあるんだ。

Q6: I understand that the band name LohArano means “source” in the Madagascar language. Why did you choose this word?

【LohArano】: Loharano (“source”) because it’s each of us who creates and shapes the world, just as our ancestors did and our descendants will do. We are all a source in our own way.

Q6: “LohArano” というバンド名はマダガスカルの言葉で “源” という意味だそうですね?

【LohArano】: “LohArano” “源” を選んだのは、私たちの祖先がそうであったように、そして私たちの子孫がそうであるように、世界を創造し形作るのは私たち一人一人だからなんだ。私たちは皆、それぞれのやり方、それぞれのあり方でこの世界の源なんだよ。

Q7: But still, you guys gained tremendous popularity overnight, didn’t you? I believe that by being active in the world, you will promote the good aspects of Madagascar, such as its traditions and nature, expose the bad government to the world, and improve the status of women in Africa. Would you agree?

【LohArano】: It’s true that we’re starting to make a name for ourselves, and that’s already a big step, because more people are hearing what we have to say, whether they agree or not. Indeed, one of our major objectives is to restore the value of Malagasy culture, which we feel is being lost over time. Our language, our musical sound, our ancestral wisdoms, we have so many extraordinary things that we tend to devalue in comparison with Western culture, it’s sad. As far as the status of women is concerned, whether in Africa or elsewhere in the world, women are sacred, just like men. We can talk about differences, which isn’t a bad thing, but there’s no question of hierarchy.

Q7: それにしても、あなたたちは一夜にして絶大な人気を獲得しましたね。あなたたちが世界で活躍することで、マダガスカルの伝統や自然といった良い面を広めたり、悪政を世界に知らしめたり、アフリカの女性の地位を向上させたりすることができるのではないですか?

【LohArano】: 私たちがその名を知られ始めているのは事実で、もうそれがすでに大きな一歩。だって、私たちの言葉に耳を傾ける人が増えるんだから。同意する、しないにかかわらずね。そして実際、私たちの大きな目的のひとつは、時間の経過とともに失われつつあると感じているマダガスカル文化の価値を回復することなのだから。
私たちには言語、音楽、先祖代々の知恵など、素晴らしい文化がある。だけどそれらは西洋文化に比べて軽視されがちなんだよね。悲しいことだよ。女性の地位に関して言えば、アフリカであろうと世界の他の地域であろうと、女性は男性と同じように神聖な存在だ。違いについて話すことはできるし、それは悪いことではないが、絶対に上下関係はないんだからね。

Q8: I heard that you will play with the Lovebites from Japan at Hellfest. Are you interested in Japanese anime, video games and music?

【LohArano】: Yes it’s great news and an honor for us to play with them! The Lovebites rock! We’re excited to share a stage with such a great band! As far as anime, games and Japanese music are concerned, we watch, play and listen from time to time, but we’d have to say not as much as real enthusiasts, because we know some people here who really are. On the other hand, we’re big fans of one of your local bands, Maximum The Hormone-they’re crazy! We love them!

Q8: フランスで行われる Hellfest にも出演されるそうですね?Lovebites のような日本のバンドも出演しますが、日本の文化、アニメやゲーム、音楽に興味はありますか?

【LohArano】: そうなんだよ。Hellfest の出演は素晴らしいニュースだし、Lovebites と一緒にプレーできることを光栄に思うよ!Lovebites はロックだ!素晴らしいバンドとステージを共有できることに興奮している!
アニメ、ゲーム、日本の音楽に関しては、時々見たり、遊んだり、聴いたりしているけど、本当のマニアほどではないと言わざるを得ないね。ただ、Maximum The Hormone の大ファンなんだ!彼らはクレイジーさ!大好きなんだ!

FIVE ALBUMS THAT CHANGED LohArano’S LIFE!!

PANTERA “Vulgar Display of Power”

SEPULTURA “Roots Bloody Roots”

SYSTEM OF A DOWN “System Of a Down”

GOJIRA “The Way of All Flesh”

SLIPKNOT “Iowa”

MESSAGE FOR JAPAN

It’s wonderful to see how you keep and nurture your culture! We know that rock/metal is a big part of your culture, and we look forward to playing with you soon, meeting you and having a great time! Keep rockin guys!

あなたたちが自国の文化を守り育てていく姿勢は素晴らしいよ!ロック/メタルがあなたたちの文化の大きな部分を占めていることを私たちは知っているし、近いうちに日本で演奏し、日本のファンに会い、素晴らしい時間を過ごすことを楽しみにしているよ!Keep Rockin’ Guys!

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