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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ALTESIA : EMBRYO】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ALTESIA !!

“Dream Theater Is Not Really an Influence For Me When I Compose, And Indeed, I Feel Closer To Bands Like Haken, Between The Buried And Me, Wilderun, Opeth, Caligula’s Horse.”

DISC REVIEW “EMBRYO”

「実際のところ、DREAM THEATER は僕が作曲するときに影響を受けているバンドではないね。HAKEN, BETWEEN THE BURIED AND ME, WILDERUN, OPETH, CALIGULA’S HORSE みたいなバンドに近いと思っているよ」
2019年、”Paragon Circus” でプログ・メタルの世界に登場した ALTESIA は、HAKEN の壮大、LEPROUS の荘厳、OPETH の邪悪を DREAM THEATER の技巧でつなぐ奇跡のニュー・カマーとして驚きと賞賛を集め、フランス・メタル・アワードで五位という衝撃のデビューを果たしました。重要なのは、彼らが DREAM THEATER の “息子” ではなく “孫” だという点でしょう。
「僕たちは、長いシュレッドのソロや、テクニックのためのテクニックなど、プログ・メタルの “決まり文句” を避けようとしているんだ」
予測不可能でジャンルを超えた音建築、印象的なインタルードの数々、テクニカルでエキサイティングな楽器の魔法、20分を超える巨大なプログの要塞、荘厳なコーラスを伴うメロディックな歌声、魅惑の変拍子。おそらく、プログ・メタルのリスナーが求めるものをほぼすべて備えながら、ALTESIA の音楽からこのジャンルの巨星 DREAM THEATER が創造した “クリシェ” を感じることはそう多くはありません。それよりも、DREAM THEATER を聴いて育った “息子” 世代のモダン建築を手本として、さらなるプログの更新を目指しているのです。
マイナー・キーの楽曲を基盤としながら、よりアップビートで煌びやか、明快な荘厳は LEPROUS や HAKEN, CALIGULA’S HORSE が開拓した新たなプログの道筋。シンセサイザーは夜空に瞬く星座のように降り注ぎ、バックのシンフォニーは天の川のようにシルキーで滑らか。Clément のヴォーカル・メロディーは、さながらクワイアのようなコーラスの濁流に身を委ねながら、リスナーの琴線に触れ激しく胸を締め付けます。
「このアルバムは、57分間に様々な感情が渦巻く、とても繊細な作品だと思っているよ。でも、それは僕たちが目指していることでもあるんだよね。観客を驚かせるために、そして自分自身に挑戦するために、非常に多様でダイナミックなレコードをリリースすることでね」
彼らの実験が興味深いのは、大きな楽曲の枠組みの中に小さな楽曲を複数用意しているところかもしれませんね。言ってみれば、劇中劇のようにビッグテーマの内側で、Djenty なブレイクダウン、ブラストビート、ヴァイオリンやアコーディオン、サックスのダンス、古典的なファンクやジャズ、欧州のフォーク・ミュージック、さらに1800年代のパーラー・ミュージックのような世界観までカラフルな小曲が時代を超えて渦巻きます。このアルバムにおける千変万化なダイナミクスはプログ世界においても前人未到の領域かもしれませんね。
「このアルバムは、基本的に僕たちがより良い人間になるにはどうしたらよいかをテーマにしているんだ。もし僕たちが正しい質問を自分自身に投げかけ、集団的な方法で良心を高めようとするならば、世界は大きく変わるだろうと僕は思っていてね。許すこと、直観に従うこと、自分に忠実であること、自分のための人生を生きることなどテーマは様々さ」
政治的腐敗、富の不平等、地球汚染などサーカスのような運命を背負ってしまった人類破滅の物語 “Paragon Circus” の重苦しさから一転、”Embryo” はその暗い宿命をいかにして変えていくか、そんな命題を宿しています。だからこそ、その音楽もよりブライトで希望を湛えた濃密へと移り変わっていきました。
バンド名 ALTESIA は架空の木の名前。雄大な大木も一粒の種から始まっています。社会のあり方を変えようとするならば、まずは一人一人が内省し、自分を見つめなおし、愛を抱き、ALTESIA の音楽のように心を澄ませること。それこそが世界を変える第一歩なのかもしれませんね。
それにしても終幕の叙事詩、21分の祝祭 “Exit Initia” は言葉に表せないほどの絶景です。プログ世界の大曲には、しばしば退屈だったり、ただ何かを詰め込んだだけだったり、不器用に混線していたりする悪手が見られますが、”Exit Initia” には21分という長尺の意味がしっかり存在しています。そして、楽曲全体で大きな感情を創出する手法は、実は彼らの “祖父” DREAM THEATER が “Octavarium” で見せつけたプライドとよく似ていました。やはり、血は争えませんね。
今回弊誌では、ボーカル/ギターの Clement Darrieu とキーボードの Henri Bordillonにインタビューを行うことができました。「ビデオ・ゲームの音楽は、80年代のジャパニーズ・フュージョンに大きく影響を受けていて、その中には僕が大好きな Casiopea のようなバンドがいたんだよね。あとこれは秘密の話なんだけど、”Exit Initia” の一部はアレンジの段階で “Attack on titans” “進撃の巨人” のオープニングに似すぎているという理由で変更しているんだよね」 どうぞ!!

ALTESIA “EMBRYO” : 10/10

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