EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH Sgah’gahsowah OF BLACKBRAID!!
“Our Ancestors Have Been Painting Their Faces In This Way For Thousands Of Years, Long Before Metal Existed, So We Honor Them By Painting Our Faces In The Same Ways.”
DISC REVIEW “BLACKBRAID I”
「自然に対する尊敬の念は、僕の人生の中で大きな部分を占めている。だからそれは、僕の音楽にも大きく反映されているよ。僕は自然を敬い、神聖な方法で人生を送れるよう最善を尽くしているんだ。 BLACKBRAID は、日常的に自然を体験する機会に恵まれていない人々に、自然からのメッセージや体験を届ける手助けをする方法なんだよね」
近年、ブラックメタルに携わる者は皆、自身の中から湧き出るテーマや意図を持っているように思えます。反差別、反暴力、反ファシズム。
このジャンルを築いたいくつかのバンドが持っていた右翼的で人種差別的なニュアンスを考えれば、それはまさしく革命的な変化であると言えるでしょう。ただし、BLACKBRAID はそういった新しい波とも少し距離を置いているように見えます。首謀者 Sgah’gahsowah はただ、自身のブラックメタルを聴いて、外に出て、自然と対話してほしいと願っているのです。
「そう、僕はネイティブ・アメリカンだよ。人生の大半をニューヨーク州北部に住んで過ごしてきた。若いころは少し引っ越しもしたけど、長い間この地域、アディロンダックに住んでいるんだ」
Sgah’gahsowah のあり方は、今日の世界に蔓延する絶対悪や政治を無視していると主張する人もいるかもしれませんが、地球の状態や気候問題を見れば、もっとシンプルに、自然の中に身を置いてみることの重要性が伝わるはずです。人生の大半を大自然の中で過ごし、日焼けをし、狩り、釣り、剥製など、スピリチュアルで伝統的な生き方を貫く Sgah’gahsowah。
窓の外には3万エーカーの山々が広がり、今は人里離れた場所で24時間365日自然とつながる彼はただ、ハイキングをしたり、山を見たり、小川で泳いだりすることを知らない人々に、音楽を通してそれを伝えたいだけなのです。大都会の高級ブランドならいくつでも名前を挙げられる人が、鳥の名前や魚の名前は一つも挙げることが出来ない。それは果たして “自然” なのか?Sgah’gahsowah はそんな現実を憂い、自分の見ている世界を音楽によって見せたいのです。そこから、何かが変わるかもしれないと仄かな期待を寄せながら。
「僕たちの祖先は、ヘヴィ・メタルが存在する何千年も前からこの方法で顔にペイントしてきたんだよ。だからこそ、僕たちはメタルをやる時に、先祖と同じように顔にペイントを施すことが誇りなんだ。フルートや他の先住民の楽器を使うときも同じで、こうした伝統を自分のブラックメタルに取り入れることができるのは名誉なことなんだ」
もちろん、自然への尊敬と崇拝は、ネイティブ・アメリカンの祖先を敬うことにもつながります。”Sacandaga” や “As the Creek Flows Softly By” を聴けば、彼がネイティブな楽器の音、そして魂をブラックメタルに受け継ぐことを一切恐れないことが伝わります。同時に、始まりの場所、”Barefoot Ghost Dance on Blood Soaked Soil” のような楽曲では、USBM, 特に WOLVES IN THE THRONE ROOM や PANOPTICON といった自然崇拝のカスカディアン・ブラックに対する憧憬をも隠そうとはしません。敬うべきを敬い、敬意に値しない価値観は捨て去る。さらにその場所からも一歩進んで、郷愁を誘うアコースティック・フォーク “As the Creek Flows Softly By”、そしてアコースティックとエレクトリックの二重奏で相互作用を喚起する “Warm Wind Whispering Softly Through Hemlock” と BLACKBRAID は自身に与えられた “ギフト” を存分に見せつけていくのです。
「ブラックメタルが持つ反キリスト教的な思想に共感するのは確かだけど、自然や闇に対する畏敬の念も大きな部分を占めていて、ブラックメタルは僕の音楽にとって完璧なメディアだと思っているんだ」
WAYFARER, UNTAMED LAND, DARK WATCHER のようなアメリカ西部をテーマとするバンドが活躍する中で、USBM には明らかに先住民の声が欠けていました。それはもちろん、ブラックメタルの根元にあったアンチクライストという考え方が、キリスト教に冷酷に弾圧され抑圧された先住民にとって親和性が高いから。しかし、Sgah’gahsowah はそれでも誰かを責めるよりも、闇や自然を敬っていたいのです。政治は彼にとってあまりにも不純な闇だから。争いからは何も生まれないことを知っているから。
今回弊誌では、Sgah’gahsowah にインタビューを行うことができました。どうぞ!!
BLACKBRAID “BLACKBRAID I” : 10/10
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