EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH KHEMMIS !!
Modern But Traditional! Denver Based Four Piece Doomed Rock’n Roll Act, Khemmis Has Just Released One Of The Most Important Doom Record “Hunted” !!
DISC REVIEW “HUNTED”
US デンバーの Doom Metal カルテット KHEMMIS がリリースした 2ndアルバム “Hunted” はシーンの注目を一身に集めています。アルバムは、老舗メタル誌 Decibel Magazine でアルバムオブザイヤーを獲得した他、様々な音楽誌、ウェブサイトで2016年のベストアルバムに選ばれているのです。
KHEMMIS のデビュー作 “Absolution” は MASTODON と PALLBEARER のちょうど中間に位置するようなモダンな Doom / Sludge 作品で、近年活気を得て来た Doom シーンにまた新たな才能が舞い降りたことを知らしめました。
しかし博士号を持つメンバー2人が牽引する、この知的でメタルに忠誠を誓ったバンドが同じ場所へと留まることはありませんでした。デビューフルから僅か15ヵ月で届けられた KHEMMIS の次章 “Hunted” はそのイメージを明らかに変化させていたのです。
インタビューにもあるように、遂にバンド全員がコンポジションに参加した “Haunted” はよりクラッシックロック、トラディショナルメタルの領域へと接近したレコードとなりました。全5曲、44分の作品は全てがロックの美学に捧げられています。
“Three Gates” はアルバムを象徴する楽曲です。THIN LIZZY や MOTORHEAD をモダンなスラッジサウンドで再現したかのようなリフの暴走に、美麗なツインギターハーモニーが切れ込むとそこはまさしく KHEMMIS の世界。凶暴なグロウルと共に突き進むサウンドの壁が突如として崩壊し、叙情を極めたクリーンボーカルが紡がれる刹那は奇跡的とも言えるほどロックを体現しています。
実際、バンドの要でギター/ボーカル Phil Pendergast と Ben Hutcherson のコンビネーションには目を見張るものがありますね。2人の繊細なまでにレイヤーされたギターハーモニーは WISHBORN ASH を想起させるほど美しく、バンドの顔となっています。加えて、Ben のダーティーなボーカルと Phil のクリスタルのようにナーバスな歌声のコントラストは、インタビューで述べているように”モダンなレンズ”を通した Doomed Rock’n Roll を体現する重要な鍵だと言えるでしょう。
さらに叙情味を加速させた “Beyond The Door” では、JUDAS PRIEST のゴージャスなハーモニーアルペジオ、そして IRON MAIDEN の3連シャッフルが Doom という枠組みの中で効果的に使用されています。故に楽曲はテンポや拍子をプログレッシブと言えるほど頻繁に変えて行きますが、スロウ一辺倒でなく、ダイナミズムを追求するその姿勢には、哀愁に満ちたメロディーとも相俟って北欧の巨人 CANDLEMASS を思い起こさずにはいられませんね。
アルバムを締めくくるタイトルトラック “Hunted” は13分の壮大なエピックです。BARONESS をイメージさせるローチューンドのファズギターで MERCYFUL FATE を再現したとも言えるドラマティックな前半部分に魅了されたリスナーは、後半の荘厳でアトモスフェリックなアコースティックパートからトレモロリフまで導入したモダンで壮大、感動的な大円団に驚愕し喝采を捧げることでしょう。そこには YOB や NEUROSIS をしっかりと通過し咀嚼した、2010年代のバンドだからこそ持つ多様性、強みがありますね。
KHEMMIS は勿論、よりアトモスフェリックスかつサバス、70’s Prog に接近した PALLBEARER、そして煌びやかな 80’s Metal と現代的な Black Metal を融合させた SUMERLANDS などが話題となっているように、確かにレトロリバイバルの波はメタルシーンにも押し寄せています。ただ焼き直すだけではなく、各バンドとも”モダンなレンズを通して音楽を見ていることが重要で、興味深いレトロフューチャーなサウンドはこれからさらに拡がりを見せていくことでしょう。
今回弊誌では KHEMMIS にインタビューを行うことが出来ました。日本人にこそアピールする素晴らしいメロディーを持つバンドです。どうぞ!!