タグ別アーカイブ: Scale The Summit

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SCALE THE SUMMIT : SUBJECTS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH CHRIS LETCHFORD OF SCALE THE SUMMIT !!

“You Have To Diversify Your Income. The Days Of Musicians Making a Living Off Of Just Their One Band Is Long Over, It Was Over Even When We Started Our Band In 2005.”

DISC REVIEW “SUBJECTS”

「6枚のアルバムをリリースし、世界中でツアーを行ってきた。たけど楽器の演奏や作曲に少し飽きていたこと、バンドの規模が大きくなってきたこともあり、お気に入りのシンガーに声をかけてみようと考えるようになったんだ」
かつて、インストでなければ SCALE THE SUMMIT ではないとまで言い切った、ギター世界のミッシングリンク Chris Letchford は実際、彼の言葉通り LIQUID TENSION EXPERIMENT と ANIMALS AS LEADERS をつなぐインストゥルメンタルの覇道を突き進む数少ない才能の一人と目されていました。
シュレッドよりも楽曲にフォーカスし、プログ・メタルの標準的なクリシェを排除。ワイルドで目的のないシュレッドの代わりに、まるで弦が声であるかのように、冒険的でメロディックなリードを自らのジャガーノートとして積み上げてきたのです。一方で、Chris の中で、インストの商業的限界、壁を打ち破れない苛立ちとマンネリの幻影が日に日に膨らんでいたのも事実でしょう。
「8人の異なるシンガーを起用したことで、シンガーと本格的に活動していくことが自分のやりたいことだと気づくことができたんだ。音楽を作ることへの情熱が再び蘇ったんだよ」
前作 “In A World of Fear” で各楽曲にソリストを招聘し、新たな “色” を加える試みが一つの導火線となったのでしょうか。SCALE THE SUMMIT は遂にインストゥルメンタルの旗手という地位を捨て去り、新たな航海に出ることを決意します。船に乗り込むのは8人の多種多様なボーカリストたち。
アルバムは Mike Semeski(ex-INTERVALS)をフィーチャーした “Form and Finite” で幕を開けます。猛烈な勢いのギター・ストリームはそれだけで十分にプログで刺激的ですが、ボーカルが加わることでさらなる波が加えられ、最後に鬼才 Andy James がゲストとして花火のごとき流麗なリードを披露し、新生 SCALE THE SUMMIT号は完璧な条件での船出を迎えます。
Chris Letchford は、数年前にソロプロジェクト ISLANDS で、ボーカルとの婚姻を予見していました。アルバム “History of Robots” にはボーカル曲が2曲収録されていたのですが、そこで歌っていた REIGN OF KINDO の Joey Secchiaroli は “Subjects” でも崇高な “Jackhammer Ballet” に登場しています。煩雑なギターワークとジャジーなボーカルの蜜月。”Subjects” にはインストゥルメンタル・バージョンも存在しますが、STS の新章は、独創的なギターと各ボーカリストの優れたパフォーマンスの組み合わせで、ネクスト・レベルへと進化を遂げたのです。
HAKEN の Ross Jennings をフィーチャーした “Daggers and Cloak” で既存のファンの溜飲を下げる一方で、バンドは新たな海域にも進出していきます。今最も注目されているバンドの一つ、SPIRITBOX から Courtney LaPlante を呼び寄せた “The Land of Nod” は STS のヘヴィーとメロディック双方の最高到達点を更新したような珠玉。
「彼の死は本当に衝撃的だった。アルバムの完成後、Garrett とは誰もあまり話をしていなかったんだ。だからアルバムの発表日に SNS にみんながタグ付けして、その時にはじめて彼が亡くなったことを知ったんだよね。辛かったね…」
アルバムのハイライトは、Garrett Garfield をフィーチャーした “Don’t Mind Me” でしょう。Chris のトレードマークであるクリーントーンのタッピングが、Garrett のソウルフルな歌声とデュエットを繰り広げるような夢見心地。 残念ながら、Garrett は昨年11月に鬱に飲み込まれてこの世を去ってしまいました。Garrett の心の痛みや喪失感を反映した感情の灯火は、インストゥルメンタルでは到達できなかった境地なのかもしれませんね。「うつ病や不安、ストレスに悩んでいる人には食事と運動の改善をお勧めするよ。自分で調べてみるのが大事だよ!」
今回弊誌では、Chris Letchford にインタビューを行うことができました。「ミュージシャンを目指すなら、収入を多様化しなければならないよ。ミュージシャンが一つのバンドだけで生計を立てていた時代はとっくに終わったんだ。2005年に僕らがバンドをはじめた時には、すでに終わっていたんだから」二度目の登場。どうぞ!!

SCALE THE SUMMIT “SUBJECTS” : 10/10

続きを読む NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SCALE THE SUMMIT : SUBJECTS】

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SCALE THE SUMMIT : V】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH CHRIS LETCHFORD OF SCALE THE SUMMIT !!

11075167_567170806718837_5895959050362557921_n

HUSTON’S INSTRU-METAL MAESTRO, SCALE THE SUMMIT HAS JUST RELASED MELODIC, CATCHY, TECHNICAL, AND PROGRESSIVE RECORD “V” !! IT MUST BE REMAINED IN INSTRU-METAL HISTORY!!

ANIMALS AS LEADERS の登場でにわかに注目を集めるようになったモダンプログシーンのインストゥルメンタル部門。彼らの音楽は非常にテクニカルでありながら耳を捉えて離さないキャッチーさも共存していて、それが DJENTY な新しさも伴って人気を集めているのだと思います。今回取り上げる SCALE THE SUMMIT はそういったバンドたちの先駆け的存在です。結成は2004年ですからもう10年選手。2009年には MIKE PORTNOY に認められ DREAM THEATER の PROG NATION ツアーに招かれるなど、4枚の作品をリリースし徐々に人気を高めて来ましたが、記念すべき5作目の新作、その名も “V” が遂にリリースされました!内容的には成功を収めた “THE COLLECTIVE” のメロウでダークな雰囲気と前作 “THE MIGRATION” のメジャー感、プログレッシブさを併せ持ったような作品に仕上がったと感じました。確実にキャリアで最も優れたレコードでしょう。アルバムの大半はヘヴィーでグルーヴィーな演奏に CHRIS LETCHFORD と TRAVIS LEVIER の時にメロディアスで時に驚異的なシュレッドが乗るというスタイル。AAL ほど DJENTY ではなく、CYNIC, DREAM THEATER のようなプログメタルらしい雰囲気も多分に残しているのがポイントです。ただ、このレコードを傑出した出来にしているのは、”SORIA MORIA” と “OORT CLOUD” の2曲です。AAL のデビュー作にも “SORAYA” というメロウでアダルトな魅力を持った1曲が収録されていましたが、まさにそういった役割を果たす優れた2曲です。CHRIS は昨年 “LIGHTBOX” という味わい深いジャズ/フュージョン寄りのソロ作品をリリースしましたがその影響もあるのでしょうか。実に良いアクセントになっていますね。優れた楽曲群の中でも “PONTUS EUSINIS” はヘヴィーなグルーヴとメロウさ、そして複雑な構成を巧みに合わせ込んでいて、今後の彼らにとっても重要な意味を持つ1曲のような気がします。とにかく、表情豊かで聴き所が満載のギタープレイ、楽曲が見事で”インストゥル-メタル”アルバムということを忘れるくらいエモーションに満ちていますね。今回弊誌では、バンドの創立メンバーでモダンプログ界隈で最も注目されるギタリストの1人 CHRIS LETCHFORD にインタビューを行うことが出来ました。8歳からギターを始め、MIとバークリーで学んだ秀才です。エンドース契約を結んでいる新進気鋭のヘッドレスギターメーカー STRANDBERG の使い手としても知られていますね。どうぞ!!

YOU CAN STREAM AND BUY “V” HERE !!

11836668_614796118622972_2051705542921482481_n

MMM RATING⭐️

SCALE THE SUMMIT “V” : 9/10

続きを読む NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SCALE THE SUMMIT : V】