EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JAMES SPENCE OF ROLO TOMASSI !!
“There Has Always Been a Fit Balance The Dark And The Light In Both Our Music And Lyrical Themes. I Still Think There Is Darkness Within “Time Will Die and Love Will Bury It” But The Light Is Definitely Winning.”
DISC REVIEW “TIME WILL DIE AND LOVE WILL BURY IT”
シェフィールドのジキルとハイド。光彩と陰影を司る、世界で最も拡張的で多様なエクストリームイノベーター ROLO TOMASSI が遂に到達するダイナミズムの極地。
最新作 “Time Will Die and Love Will Bury It” はさながらピンボールのように、崇高と混沌の狭間を行き来しながらプログレッシブマスコアのフロントローを奪取します。
デビュー作 “Hysterics” から10年。バンドは常に再創造、再発明によるコアサウンドの “羽化” を続けながら、気高き深化を遂げて来ました。シンセ-レイドゥンのデジタルなマスコアサウンドから旅立つ分岐点、ターニングポイントとなったのは前作 “Grievances” だったのかもしれませんね。
アグレッションやマスマティカルな理念はそのままに、より有機的でアトモスフェリックな方法論、パッセージを導入したアルバムは、仄暗い暗澹たる深海に息継ぎや空間の美学を投影したユニークかつ思慮深き名品に仕上がったのです。
事実、バンドのトレードマークであったビビッドに拡がるシンセの響きでさえ、大部分が物憂げなピアノとストリングスの音景へそのポジションを譲渡していたのですから、実にドラスティックな革新だったと言えるでしょう。
“Time Will Die and Love Will Bury It” はその新風を追い風に、常にバンドに息衝く変化への渇望をより鮮明に表層化した作品です。
そして同時に、「確かに “Grievances” は罪と後悔にフォーカスしたとてもダークでモノクロームなレコードだったよね。そして僕はあのレコードで書いた全てのものを克服したかったんだよ。」と James が語る通り、不満と後悔に決別を告げるリスタートの表明でもあるのです。
“Grievances” の宵闇を洗い流す、セレスティアルでアンビエントなイントロダクション “Towards Dawn” でレコードの風向きを仄めかした後、バンドは “Aftermath” で耀きポストロックのドリームスケープを暁に捧げて作品の針路を決定づけます。
時に悪魔にも豹変する Eva Spence のスイートサイド、エセリアルに漂う歌声は実際、奔放かつ痛烈なマスコアにシューゲイズやエモ、インディーロックを渾融する彼らの新たなレジスタンスを想像以上に後押ししていますね。神々しきシンセサウンドが重厚に押し寄せる光のイルミネーション “A Flood of Light” はポストブラックとバンドの実験性が波打つ新機軸のシンボルと言えるかも知れませんね。
一方で、光は闇により際立ちます。ブラッケンドなビートにハードコアの激情、さらにドゥーミーな不穏を宿す “Ritual”、エレガントな幻想と無慈悲な悪夢が抱擁する “The Hollow Hour” などエクストリームミュージックの暗い場所から抽出したテクスチャーはより鮮明に、ダイナミックにレコードの光輝を映し出すこととなったのです。
アルバム各所に散りばめられたメランコリックなピアノとコーラスも、コントラストの魔法を際立たせ、ダイナミズムの終着点 “Balancing the Dark” では複雑な時間操作とジャズの魅力で、文字通り危うく絶妙なバランスポイントを提示するのです。
アルバムは “Risen” で Eva の嫋やかな歌声により、優しき静謐を抱きしめながら緩やかに埋葬されます。エンジェリックなソプラノボイスは “時のレクイエム” の中で、再度 UK で最もエクレクティックなバンドの遥かなる円熟を見せつけながら虚空へと消え去って行きました。
今回弊誌では、コンポーザーでキーボードプレイヤー、時に妹 Eva とパワフルなデュエットを聴かせる James Spence にインタビューを行うことが出来ました。「MOL や CONJURER といったバンドはモダンメタルの最前線にいるよ。」確かに今年はエクレクティックを掲げる Holy Roar Records の年と言えるかも知れませんね。二度目の登場です。とうぞ!!
ROLO TOMASSI “TIME WILL DIE AND LOVE WILL BURY IT” : 10/10
INTERVIEW WITH JAMES SPENCER
Q1: First of all, how was your Japan Tour 2016? What do you like our country?
【JAMES】: I wouldn’t really call it a tour as it was just one concert in Tokyo but we had a fantastic time. Tokyo is a truly unique city and one that we love. The concert was amazing and we’re really hoping to make it back soon.
Q1: まずは 2016年に Realising Media 招聘で行われた日本ツアーの感想を聞かせていただけますか?
【JAMES】: 東京での1回きりのコンサートだったからツアーとは言えないものの、素晴らしい時間を過ごせたよ。
東京は実にユニークな街だね。大好きな街の一つだよ。コンサートも素晴らしかったし、またすぐにでも行ければと本当に願うよ。
Q2: Two years since then, finally we got your new record. Definitely, it’s amazing, and it will be one of my year’s best. Lot’s of fans, critics praised the record so much. Did you expected such a great reactions?
【JAMES】: Not at all! We were really happy with the album when we came out of the studio but during the wait between finishing recording and releasing I was starting to doubt myself a little, questioning if we had done enough. The reaction was truly overwhelming and its been a joy to tour so far.
Q2: 日本でのコンサートから2年、新作 “Time Will Die and Love Will Bury It” は多くのファンや評論家に絶賛をもって迎えられました。これほどまでに良好なリアクションを想像していましたか?
【JAMES】: 全く想像していなかったよ!もちろん、スタジオでの作業を終えてこの作品にはとても満足していたんだけど、レコーディングが終了してからリリースまでの間に僕はほんの少し自分を疑いかけていたんだよ。僕たちは充分に努力を尽くしたのか?ってね。
だからリアクションが本当に想像以上で安心したし、ツアーも今のところ楽しんでいるよ。
Q3: The album title, “Time Will Die and Love Will Bury It” seems to be lifted from a poem by American postmodern author Richard Brautigan. Why did the phrase fit this record?
【JAMES】: We chose the title before we started writing. For me, it was about making the record fit the phrase and not the other way around. My friend makes prints and she posted one she’d made on her Instagram which said ‘Time Will Die and Love Will Bury It’ and I was immediately struck by it. I’m constantly keeping notes on sentences or words that I like, anything that strikes a creative spark. I knew immediately that’s what I wanted to call the record, it was just a case of convincing everyone else. It felt like a perfect contrast to Grievances and brought so many different sonic images to mind.
Q3: アルバムタイトル “Time Will Die and Love Will Bury It” はアメリカの作家、詩人 Richard Brautigan のポエムから引用したようですね?なぜこのフレーズが作品にフィットすると考えたのでしょう?
【JAMES】: このタイトルを選んだのは、作曲を始める前だったんだよ。だからどちらかと言えば、このフレーズにフィットするようにレコードを制作したような感じだね。つまり、順番が逆だったんだ。
友人がアートプリントをしているんだけど、彼女がインスタグラムに “Time Will Die and Love Will Bury It” (いつの日か時は滅び、愛がそれを埋葬するだろう) とポストしていたんだよ。僕はそのフレーズが瞬時に気に入ってね。
普段から僕はコンスタントに気に入った文章なんかを書き留めているんだ。クリエイティブな火花を感じたら何でもね。それですぐにこのフレーズをレコードのタイトルに決めたのさ。
きっと誰にでも共感する部分はあると思うんだ。それに “Grievances” (不満の塊) と完璧なコントラストを描くと感じたしね。前作とは全く異なる音のイメージを沢山心に届けてくれるよね。
Q4: As the artwork shows, your previous record “Grievances” was a very dark monochromatic record. Maybe, as a reaction to that, “Time Will Die and Love Will Bury It” became more happy, light reflected record. Do you agree that?
【JAMES】: Absolutely. There has always been a fit balance the dark and the light in both our music and lyrical themes. I still think there is darkness within TWDALWBI but the light is definitely winning.
Grievances was a very dark monochromatic record that focused on guilt and regret. I wanted to make a clean break from that because I felt like I’d overcome everything that we’d written within that record. For me, it was about moving forwards and taking things to a slightly happier place.
Q4: アートワークも示すように、前作 “Grievances” は非常にダークでモノクロームな作品でしたね。”Time Will Die and Love Will Bury It” はその反動として、よりハッピーで光を帯びた作品に仕上がったようにも思えます。
【JAMES】: まさにその通りだよ。僕たちの音楽や歌詞のテーマは、いつもダークとライトのバランスから成り立っていると言えるね。
だからもちろん、今回の “Time Will Die and Love Will Bury It” にもダークな部分は存在するんだけど、ただ間違いなくライトが勝者だったね。
確かに “Grievances” は罪と後悔にフォーカスしたとてもダークでモノクロームなレコードだったよね。そして僕はあのレコードで書いた全てのものを克服したかったんだよ。キッパリと決別したかったと言っても良い。
だから僕にとってこの作品は前進するための、そして少しでも幸せな場所に到達するためのアルバムなんだよ。
Q5: Off course, your melodic side and dark, chaotic side are always making incredible dynamism, contrasts. I mean, “Balancing the Dark” is very symbolic, how do you reconcile, settle a balance between the two?
【JAMES】: I think you have to go with the mood of a writing process or session. We’ve reached a point where we know how to effectively balance our albums just from previous experiences of writing together. To focus too heavily on striking the balance would be conceited. We know when something is right and we know when something is done.
Q5: 仰る通り、ダークとライトのコントラスト、ダイナミズムはバンドの生命線でしょう。”Balancing the Dark” は象徴的な楽曲でしたね。両者のバランスに関しては、どのように折り合いをつけているのでしょうか?
【JAMES】: きっと僕たちのライティングプロセスやセッションに来れば良く分かると思うんだ。ただこれまでの共に行って来たライティングの経験のみから、僕たちはアルバムで効果的なバランスを取る方法を知ることが出来ているんだよ。
だから、バランスを取ることにあまり重点を置きすぎるとかえって奇妙な感じになってしまうんだ。僕たちは何が正しいのか、何がなされているのかその時々でしっかりと把握しているんだからね。
Q6: How was the writing process? In the past, most of the band’s material has started with James, was that the same this time too?
【JAMES】: There was a greater balance of involvement with everyone on this record. Chris probably wrote most of the initial ideas that sparked into life as songs but we all had a part to play. We always start with a collection of ideas and demos and gradually build songs as a group.
Actually, this time around, we made a conscious decision to develop vocals to their absolute full potential.
Q6: ただ、普段のライティングプロセスは James から始まりますが、今回は異なる部分もあったようですね?
【JAMES】: そうだね、今回のレコードでは全員が関与する素晴らしいバランスに恵まれたね。Chris がおそらく最初のアイデアの大部分を書いたと思う。アイデアが人生に楽曲としてスパークするように降りて来たんだろう。ただし、僕たち全員が部分部分で貢献しているよ。
僕たちはいつもアイデアとデモの集積から始めて、グループで徐々に楽曲を形作っていくんだよ。ただし、今回は、いつもよりボーカルを完全なポテンシャルで収録出来るよう意識的にトライしてみたんだよ。
Q7: Perhaps, it all started with aggressive, synth laden Math-core, Math-rock. But thankfully, you bring so many different sonic images to our mind now. Do you think that you have completely left from there?
【JAMES】: I think we will always draw influence from bands who identify as that but for me, if I had to say we were something its either post or progressive hardcore. But, “Aftermath” is the four-minute pop song that we’ve been trying to write for ages but never really nailed.
Q7: シンセサウンドを大胆に使用したマスコア、マスロックに端を発する ROLO TOMASSI ですが、多様な音のイメージを付加してその場所からは随分と離れた気がしますね?
【JAMES】: マスコアやマスロックに属するバンドからの影響はいつだって、これからも存在し続けるはずだよ。だけど僕に関しては、僕たちを何らかのジャンルに分類するとしたらポストハードコア、もしくはプログレッシブハードコアだと答えるだろうね。
ただし、”Aftermath” はこれまで長年書こうとして実現しなかった、正真正銘4分間のポップソングだけどね。
Q8: So, Holy Roar Records definitely catches a great deal of attention from metal scene. And you are headliner of the label. What’s your perspective about the label’s view and rooster?
【JAMES】: Holy Roar is a label that has always allowed us to do whatever we want and we’re very grateful for that. I would say the label has enjoyed its best ever year in 2018 and that is down to the amazing roster it has right now. Bands like Mol and Conjurer are right at the forefront of modern metal.
Q8: バンドが所属する Holy Roar Records は間違いなく今最も注目を集めるレーベルです。
【JAMES】: Holy Roar というレーベルはいつだって僕たちのやりたいことを何でも自由にやらせてくれて来たし、本当に感謝しているんだ。
2018年、Holy Roar はこれまでで最良の時を楽しんでいると言えるだろうね。それは素晴らしいロースターによるところが大きいね。MOL や CONJURER といったバンドはモダンメタルの最前線にいるよ。