EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JOHN BAILEY OF UTOPIA !!
“Allan Holdsworth Is My Biggest Musical Influence By a Long Way. I Studied Allan’s Music Eligious For Many Years. I Actually Had a Tribute Quartet And We Used To Go Out Playing Allans Music Round The UK.”
DISC REVIEW “SHAME”
「SikTh は大好きだったよ。よく聴いていたよ。THE DILLINGER ESCAPE PLAN のほうが中心だったけど。彼らの暴力性と攻撃性は本当に僕に語りかけてきたし、そのヴァイヴと僕のジャズの知識を融合させようとしたんだ」
“実験的” という言葉は、ヘヴィ・ミュージックのテクニカルな側面においてよく使用される言葉です。ただし、ただ速く、複雑なフレーズを乱立することが本当に “実験的” な音楽なのでしょうか?むしろ、ジャンルの殻を破るような破天荒にこそ、実験という言葉は相応しいようにも思えます。そうした意味で、メタル・コア、プログ・メタルの殻を完全に突き破った SikTh は実に実験的なバンドでした。四半世紀の時を経て、SikTh の志を継ぐ UTOPIA は、同じ UK の鬼才 Allan Holdsworth の遺伝子をも取り入れて、世界に再び実験の意味を問います。
デスメタル、グラインドコア、ドゥーム・メタル、ハードコア、プログレッシブ・ロック、ジャズ、そして時には “謎” としか言いようのないものまで、多様性のモダン・メタルを象徴する楽園 UTOPIA は、実際あまりにも前代未聞です。
「Allan Holdsworth は、僕の音楽的な最大の影響者だ。僕は何年も Allan の音楽を熱心に研究した。実際にトリビュート・カルテットを持っていて、イギリス中で彼の音楽を演奏していたんだ。彼のソロを書き写したり、彼の曲を学んだりするのに、文字通り何千時間も費やしたよ。 同時に、Pat Metheny, Mike Morenom Julian Break, Kurt Rosenwinkel, Nelson Veras, Jonathan Kreisberg も僕に大きな影響を与えているんだ」
Allan Holdsworth の影響を受けたメタルといえば、もちろん真っ先に MESHUGGAH が浮かぶはずです。ただし、彼らの場合はどちらかといえば Fredrik Thordental のソロイズムに Allan の影を見ることのほうが多かったような気がします。一方で、プロのジャズ・ギタリストでもあり、Holdsworth 研究に何千時間も費やしてきた UTOPIA のギタリスト John Bailey はソロのみならず、アトモスフィアやリズムの意外性にまで大きく踏み込んでいます。
それは、MESHUGGAH 的なポリリズミック、整合を不整合に見せるテクニックではなく、まさに奇想天外、青天の霹靂なオフキルター、不穏と破綻の一歩手前、ズレたリズムの面白さ。
「最近は、人々が僕らを発見しようがしまいが、本当にどうでもいいんだ。僕個人としては、自分たちのアウトプットにとても満足しているし、みんながそれを気に入ってくれるなら最高だけど、僕にも尊厳があるし、ソーシャルメディアやインスタント・カルチャーに自分の音楽人生をどう構成するかを左右されるようなことはしたくない。君のような人たちが僕らにメールをくれたり、インタビューを申し込んでくれたりするのは、とても個人的なことなんだ。それを聴いて気に入ってくれる人が何人かでもいれば、それは僕にとって素晴らしいことなんだ」
フィレンツェの哲学者マキャベリについて考察したオープナー “Machiavelli” は、そんな破綻寸前のスリルを醸し出す UTOPIA の真骨頂。デスメタルとハードコアで即座に惹きつけ、段階を踏んで展開し、不協和音のギター・ワーク、フレットレスの魔法、様々な拍子、そしてクジラの鳴き声に似たリラックスした不気味なアンビエント・インタールードまで、その破天荒は破綻寸前。だからこそ面白い。
目的のためには手段を選ばない、力の信奉マキャベリズムは、政治から人々の個人的な生活にまで広げることができる興味深い概念です。それはおそらくほとんどの人の中に存在し、権力や影響力のある地位にしがみつくために道徳的な行動や才能を堕落させます。UTOPIA の “実験性” はそんなマキャベリズムとは真逆の場所にいて、自分たちの才能ややりたい音楽だけを信じて邁進し続けるのです。だからこそ尊い。
今回弊誌では、John Bailey にインタビューを行うことができました。「15年間は、ほとんどジャズとクラシック音楽一筋だったんだ。ジャズの修士号を取得し、さまざまなジャズ・アンサンブルを結成した。クラシック・ギターのツアーも何度かやったし、ジャズのライブもたくさんやった」 どうぞ!!
UTOPIA “SHAME” : 10/10
INTERVIEW WITH JOHN BAILEY
Q1: First, what kind of music did you grow up listening to?
【JOHN】: I grew up like most people listening to the music of my parents. There was a lot of jazz and folk and also some classic rock like Deep Purple and Rolling Stones. Eventually I discovered Michael Jackson, Coolio and loads of 90’s indie bands like The Connells. My entrance into heavier music was Meat Loaf. I loved Meat Loaf!
Q1: 本誌初登場です!まずは、あなたの音楽的なバックグラウンドからお話ししていただけますか?
【JOHN】: 多くの人と同じように両親の音楽を聴いて育ったね。ジャズやフォークが多かったし、DEEP PURPLE や THE ROLLING STONESのようなクラシック・ロックも聴いていた。やがてマイケル・ジャクソンや Coolio、そして THE CONNELLS のような90年代のインディーズ・バンドに出会った。ヘヴィな音楽への入り口は MEAT LOAF だった。MEAT LOAF が大好きだったんだ!
Q2: You have great technique, but how did you get started with your instrument? Who were your heroes at the time?
【JOHN】: My early guitar heroes were just the guitarists in the bands I liked. Jimi Hendrix, Kim Thayil of Soundgarden, John 5 and mostly guitarists from the metal and nu-metal scene at the time. Later I discovered more extreme music like Converge, Dillinger Escape Plan, Agoraphobic Nosebleed, Necrophagist and a thousand others. From there I seguewayed almost exclusively into jazz and classical music pretty much the next 15 years. Did my MA in Jazz and formed loads of different jazz ensembles. I did a couple of classical guitar tours and loads of jazz gigs. Then I started working as a touring session guitarist involved loads of different pop and commercial projects for a while.
Q2: あなたは素晴らしいテクニックをお持ちですが、楽器を始めたきっかけは何でしたか?当時のヒーローは誰ですか?
【JOHN】: 僕の初期のギター・ヒーローは、好きなバンドのギタリストたちだった。ジミ・ヘンドリックス、SOUNDGARDEN の Kim Thayil, John 5…当時はメタルや Nu-metal シーンのギタリストがほとんどだった。その後、CONVERGE, THE DILLINGER ESCAPE PLAN, AGORAPHOBIC NOSEBLEED, NECROPHAGIST など、より過激な音楽に出会った。
でも、それから15年間は、ほとんどジャズとクラシック音楽一筋だったんだ。ジャズの修士号を取得し、さまざまなジャズ・アンサンブルを結成した。クラシック・ギターのツアーも何度かやったし、ジャズのライブもたくさんやった。その後、ツアー・セッション・ギタリストとしてポップスやコマーシャル・プロジェクトに参加するようになったんだ。
Q3: How did Utopia come to be?
【JOHN】: Utopia, like many bands, was a lockdown project. It was a good time top approach some of my favourite drummers like Billy Rymer (Dillinger), Baard Kolstad (Leprous) and Lee Fish (Fawn Limbs/Psyopus) who all ended up contributing to the first album. It was basically all my musical chops and general mental health flaws piled into one album.
Q3: UTOPIA はどのようにして生まれたのでしょう?
【JOHN】: UTOPIA は、多くのバンドと同じように、ロックダウンがきっかけのプロジェクトだった。 Billy Rymer (TDEP), Baard Kolstad (Leprous), Lee Fish (Fawn Limbs/Psyopus) といったお気に入りのドラマーたちにアプローチする良いタイミングだったんだ。基本的に、このアルバムは僕の音楽的才能とメンタルヘルスを1枚のアルバムに詰め込んだものだった 。
Q4: When I first heard you guys, the first thing I remembered was SikTh, another UK prodigy. Do you have any influences from their music?
【JOHN】: Yeah I used to love Sikth. We used to listen to them a lot. Dillinger were really the main ones though. Their violence and aggression really spoke to me and I just tried to combine that vibe with my jazz knowledge.
Q4: 初めてあなたたちの演奏を聴いたとき、真っ先に思い出したのが、同じくUKの鬼才 SikTh でした。彼らの音楽から影響を受けた部分はありますか?
【JOHN】: ああ、SikTh は大好きだったよ。よく聴いていたよ。THE DILLINGER ESCAPE PLAN のほうが中心だったけど。彼らの暴力性と攻撃性は本当に僕に語りかけてきたし、そのヴァイヴと僕のジャズの知識を融合させようとしたんだ。
Q5: What makes you guys stand out and unique is that you have both masscore and phenomenal guitar solos! There is no other band like that. Why did you decide to combine the two?
【JOHN】: I think every band should be the sum of their influences. Utopia is the best description of me thati can think of really. It doesnt try to be anything, it’s just my mind vomitting out extreme music. My jazz albums are the same but just a different format.
Q5: あなたたちが際立ってユニークなのは、マスコアと驚異的なギター・ソロの両方を持っていることです!そんなバンドは他にないですよね。なぜこの2つを組み合わせようと思ったのですか?
【JOHN】: どのバンドも影響を受けたものの総体であるべきだと思う。UTOPIA は、僕にとって最高の表現なんだ。何かになろうとするのではなく、ただ僕の心が過激な音楽を吐き出しているだけなんだ。僕のジャズ・アルバムも同じだけど、フォーマットが違うだけなんだよね。
Q6: At times, you also have jazz and Allan Holdsworth-esque music. Did you learn from Allan, Meshuggah, or Fredrik Thordental’s approach?
【JOHN】: Allan Holdsworth is my biggest musical influence by a long way. i studied Allan’s music eligious for many years. I actually had a tribute quartet and we used to go out playing Allans music round the UK. Ive spent literally thousands of hours transcribing his solos and learning his tunes. Although Pat Metheny, Mike Morenom Julian Break, Kurt Rosenwinkel, Nelson Veras and Jonathan Kreisberg are all massive influences on me as well.
Q6: 時にはジャズや Allan Holdsworth 風の音楽もありますね。Allan や MESHUGGAH, Fredrik Thordental のアプローチから学んだ所はありますか?
【JOHN】: Allan Holdsworth は、僕の音楽的な最大の影響者だ。僕は何年も Allan の音楽を熱心に研究した。実際にトリビュート・カルテットを持っていて、イギリス中で彼の音楽を演奏していたんだ。彼のソロを書き写したり、彼の曲を学んだりするのに、文字通り何千時間も費やしたよ。
同時に、Pat Metheny, Mike Morenom Julian Break, Kurt Rosenwinkel, Nelson Veras, Jonathan Kreisberg も僕に大きな影響を与えているんだ。
Q7: “Shame” is a very imaginative title and the beautiful artwork is very evocative. Is it a concept album?
【JOHN】: I guess shame just aims to capture all the personal short fallings, idiosyncrasies, mental, emotional problems that exist within all of us. Its about fragility and honesty and just trying to be good. Most of us try to be good but some of us are led by our emotions and have powerful undercurrents at work. But thats ok. Don’t be ashamed.
Q7: “Shame” はとても想像力豊かなタイトルで、美しいアートワークからもとても喚起されます。この作品はコンセプト・アルバムですか?
【JOHN】: “Shame” “羞恥心” は、僕たちの中に存在する個人的な欠点、特異性、精神的、感情的な問題をすべて捉えることを目的としていると思う。儚さ、正直さ、そして善良であろうとすること。僕たちの多くは善良であろうとするが、なかには感情に導かれ、強力な底流が働いている者もいる。でも大丈夫。恥じることはないよ。
Q8: The music world has changed dramatically over the past 20 years. With the rise of instant culture like streaming and social networking, prog, which takes time, intelligence, and practice to create, has never been more current. Why do you still continue to play this “Prog” music?
【JOHN】: These days I really don’t care if people discover us or not. Im personally very happy with our output and if people like it then great but I also have my dignity and Im not going to allow social media or instant culture to dictate how I organise my musical life. Its extremely personal and Im just happy when people like you guys drop us an email and ask for an interview. If only a few people hear it and love it then thats great for me.
Q8: 音楽の世界はこの20年で劇的に変化しました。ストリーミングやSNSのようなインスタント・カルチャーの台頭により、創作に時間と知性と練習を要するプログは、トレンドとは遠い場所にいます。
それでも、なぜあなたは今でもプログを追求し続けているのですか?
【JOHN】: 最近は、人々が僕らを発見しようがしまいが、本当にどうでもいいんだ。僕個人としては、自分たちのアウトプットにとても満足しているし、みんながそれを気に入ってくれるなら最高だけど、僕にも尊厳があるし、ソーシャルメディアやインスタント・カルチャーに自分の音楽人生をどう構成するかを左右されるようなことはしたくない。
君のような人たちが僕らにメールをくれたり、インタビューを申し込んでくれたりするのは、とても個人的なことなんだ。それを聴いて気に入ってくれる人が何人かでもいれば、それは僕にとって素晴らしいことなんだ。