NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【TTNG : ANIMALS ACOUSTIC】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH TIM COLLIS OF TTNG !!

“The Animals Themselves Are Really Totally Abstract And Don’t Have Any Immediate Connection The Song’s Lyrics Or Sentiments. At The Time They Were Simply Place-holders.”

DISC REVIEW “ANIMALS ACOUSTIC”

オックスフォードに端を発するマスとエモの交差点は、英国と米国のサウンドスケープを統べる大動脈へと連なります。
TTNG。かつて THIS TOWN NEEDS GUNS を号していたヤングガンズの名を一躍知らしめたのは、多種多様な動物の姿をタイトルとアートワークに投影したデビューフル “Animals” でした。
確かにインタビューでバンドのマスターマインド Tim Collis は 「アルバムに登場する動物それ自体は、本当に、完全に抽象的な存在で、実は楽曲の歌詞や感情と直結するものではなかったんだよ。」と明かしてくれました。つまり、楽曲に授けられた動物の名前は、製作時に必要だった仮タイトル以上の存在でも以下の存在でもなかった訳です。
しかしながら、クロコダイルやシマウマ、パンダにマントヒヒが跋扈し、あの色彩豊かで五感を呼び覚ますアートワークの美福は、 TTNG のエクレクティックな音楽世界を図らずも象徴していたのかも知れませんね。
同郷同世代の FOALS は常に比較対象の的でしたが、BATTLES や日本の toe にも比肩される精密華麗な演奏技術は明らかに TTNG を際立った存在へと昇華していました。ただし、手数の多いハイテクニック、変幻自在のタイム感といったマスロックを源流とする鮮やかな音景は TTNG という大自然の一部分に過ぎません。
オックスフォードの偉大な先人 RADIOHEAD、さらには THE SMITH といった誇り高き霧雨の情緒は英国の血統を。一方で、Stu Smith の儚くも感傷的な歌声に溶け合う開拓者の実験性とアンビエンスは、OWLS, AMERICAN FOOTBALL, さらには MINUS THE BEAR といった Kinsella 兄弟に端を発する USエモ/インディーの景観をもリスナーへと届けるのですから。
以降、Stu の脱退、ベース/ボーカルの Henry Tremain を加えたトリオでのリスタート、THIS TOWN NEEDS GUNS から TTNG への改名、香港 Hidden Agenda での災難など激動のディケイドをくぐり抜けた彼らは、そうしてまるでバンドの第一章を総括するかのごとく “Animals” の記念すべき10周年を特別な形で祝うことに決めたのです。
トピックは3つ。まずは全編にアコースティックアレンジを施し再録することで、例えば叙情極まる “Lemur”, “Badger”, “Dog” のように躍動感に霞んでいた楽曲の本質が生々しく浮き上がり、ギタリスト Tim の円熟をも鮮明に伝えています。そしてよりソフトに、より理知的に再構築された音楽のジャングルは、”Elk” で顕著なように、ストリングスやトランペット、ハープにダブルベース、シロフォンにハンドドラムまで色とりどりのアコースティックな響きを誘うオーケストラへと進化を遂げたのです。
Stu Smith の帰還も特別な出来事でしょう。「明らかに Stu は “Animals” において大きな部分を担っていたね。だから僕たちはこの作品の楽曲で彼をフィーチャーしたかったんだ。」の言葉は真実です。より艶を増したように感じられるセンターラインの復帰は、期間限定とはいえバンドのエナジーにハイオクのインパクトをもたらしました。
そして、自由を与えられた AMERICAN FOOTBALL などで活躍する Nate Kinsella, COVET のクイーン Yvette Young, KRAKEN QUARTET のゲスト陣はノスタルジアに彩られた楽曲群に新たな生命を宿します。Tim はインタビューで何度も “リスナーが楽しめる” スペシャルワンを提供したかったと語っています。そしてその優しさは間違いなくサウンドスケープとなってレコードを循環しているのです。
「バンド名は元々、ジョークみたいなものだったんだよ。UKにはほとんど銃が存在しないんだ。警察官さえ所持していないほどでね。だから銃が必要だという笑いにしてみたんだけど、決してネガティヴな意味を込めた訳ではないんだよ。けれども、ほとんどの人間は勿論、銃とそれがもたらす暴力の可能性に反対だし、バンド名がそういった不名誉なスティグマを背負うことは避けたかったのさ。当然、明らかにジョークだし、シリアスに取られるべきことではないけどね。」と改名の理由を語ってくれた前回のインタビューもぜひ。Tim Collis です。どうぞ!!

TTNG “ANIMALS ACOUSTIC” : 9.8/10

INTERVIEW WITH TIM COLLIS

Q1: First of all, what made you celebrate your incredible debut-full “Animals” 10th anniversary with releasing an acoustic re-working?

【TIM】: We wanted to celebrate ten years passing since “Animals” was first released without simply putting out a different coloured vinyl or releasing something that wasn’t particularly different from the original. We figured that an acoustic re-working of the tracks would be a nice effort to allow fans to experience familiar tracks but with new arrangements and collaborating with other musicians.

Q1: まずは、デビュー作 “Animals” の10周年を、アコースティックバージョンの再録で祝うことに決めた理由からお話していただけますか?

【TIM】: 僕たちは、例えばシンプルに異なるカラーリングのヴァイナルやオリジナルと比べて特に目新しい部分のないものをリリースして、”Animals” のリリース10周年を祝いたくはなかったんだ。
だから、アコースティックでの楽曲のリワークは素敵なアイデアに思えたんだよ。ファンは慣れ親しんだ楽曲を、新たなアレンジメント、そして他のアーティストとのコラボレートで楽しむことが出来るんだからね。

Q2: Original vocalist, Stuart Smith returns to the band and sings in this record. Why did it happen? Is it temporary or permanent?

【TIM】: Obviously Stu was a big part of the “Animals” record and so we wanted to feature him on these tracks. It was a nod to the past which we thought listeners would really enjoy as well as it being a personal interest for Stu himself to be involved. It is just a temporary feature as Stu continues to focus on his family life but we were all excited to have him back as a guest for the acoustic record and to play some shows with him again.

Q2: “Animals Acoustic” ではオリジナルボーカリストの Stuart Smith が復帰してその歌唱を披露しています。この復帰はパーマネントなものなのでしょうか?

【TIM】: 明らかに Stu は “Animals” において大きな部分を担っていたね。だから僕たちはこの作品の楽曲で彼をフィーチャーしたかったんだ。
過去への挨拶みたいなものかな。そうすることで、僕たちはリスナーが本当に楽しめると思ったし、Stu 自身が関与することは個人的な関心事でもあったからね。
今回の復帰は一時的なものだよ。というのも Stu はこれからも家族との生活を第一に考えていくからね。だけどバンド全員が、このアコースティックレコードにおける彼の復帰に、そして彼とまたライブを行うことに興奮しているよ。

Q3: When you re-work “Animals” with acoustic arrangement, what was your goal? Off course, strings, trumpet, harp, double bass, xylophone, clapping and many other acoustic instruments are key features on this album. But I feel most of the songs are pretty true to originals. But, did you want to change it drastically, or keep it as it was?

【TIM】: Yes, we actually didn’t want to change the songs too much. I believe a total restructuring wouldn’t have allowed listeners who already knew the songs to enjoy the same nostalgia that comes with revisiting albums from the past. It was a fairly easy decision to go down this route. We wanted to allow the other musicians to have total freedom of how to conduct their own parts to pre-existing songs which I believe worked out really well.

Q3: 作品には、ストリングスやトランペット (もちろんオリジナルにも使用されていた)、ハープにダブルベース、シロフォン、ハンドドラムなど多彩なアコースティック楽器がフィーチャーされています。
ただ基本的には、オリジナルに対して真摯なアレンジがほとんどですよね?

【TIM】: そうだね、実際僕たちは楽曲を大きく変えたくはなかったんだよ。だって、完全に再構築してしまっても、すでに “Animals” の楽曲を知っているリスナーは喜ばないだろうからね。過去からアルバムを再訪して、同じようなノスタルジーに浸りたいはずなんだ。だからこのルートを辿るのはごく自然で簡単な決断だったね。
ただし、参加してくれたゲストミュージシャンたちには完全な自由を与えたかったんだ。すでに存在する楽曲で、独自のパートを構築する自由をね。そして、僕たちのオリジナルに新たな風が吹き込んで実に良く機能したと思うよ。

Q4: I think “Math-rock” is one of the best genre fits with acoustic, naked, organic arrangement. What’s your thought about that?

【TIM】: I guess anything in music is pretty subjective so it’s down to the individual to decide this. That being said, I agree it can work well with technical or ‘clean’ playing on a guitar for example.

Q4: マスロックほど、アコースティックのオーガニックなアレンジメントがフィットするジャンルは多くはないですよね?

【TIM】: そうだねえ。まあ、音楽に関することはとても主観的だからね。だからそういった感じ方は、個々の判断に委ねられる訳だよ。
とはいえ、マスロックがテクニカルでありながら、例えば “クリーントーン” でプレイすることにとても適していることは同意できるね。

Q5: Nate Kinsella from American Football and Yvette Young are really nice guest appearance. Why did you invite them to this record?

【TIM】: We realised that simply playing the existing songs on an acoustic guitar with vocals wouldn’t be that interesting and pretty early on we knew we wanted to involve other musicians to add other melodies or layers to the tracks. We’ve been friends with these guys and also the Kraken Quartet (who feature on ‘chinchilla’, ‘baboon’ and ‘gibbon’) and so it was simply a matter of asking them and hoping they’d like to be involved. Luckily they all agreed and we’re extremely happy they did, as the tracks they feature on are some of the most interesting reworking on the album, in my opinion.

Q5: AMERICAN FOOTBALL の Nate Kinsella, そして Yvett Young などゲスト陣は仰る通り自由を謳歌していますね?

【TIM】: 僕たちは、あの楽曲たちをただアコースティックギターとボーカルでシンプルにプレイするのは面白みに欠けると分かっていたからね。そして制作のかなり早い段階から、他のミュージシャンにメロディーやレイヤーを加えてもらいたいと望んでいたんだよ。
彼らとはずっと友人だったし、”Chinchilla’, “Baboon’, “Gibbon” の3曲に参加してくれた KRAKEN QUARTET もね。だから、彼らにお願いして、参加してもらいたいと思うのはごく自然なことだったんだよ。
幸運にも、全員が了承してくれて、彼らのプレイには僕たち全員が最高に満足しているんだ。僕の考えでは、彼らが参加してくれた楽曲たちこそが作品で最も興味深い仕上がりになっていると思うよ。

Q6: When “Animals” was released, I feel like “What’s the artwork and titles? Animals are here and there! Cool!” After that, I was really deep into the music. Looking back now, what inspired you to create animals based record?

【TIM】: The animals themselves are really totally abstract and don’t have any immediate connection the the song’s lyrics or sentiments. At the time they were simply place-holders, and a way to refer to ideas that later became these songs. For example, ‘baboon’ and ‘lemur’ were known as ‘new song 1’ and ‘new song 2’ for a long time, which after continuing writing more songs for the album, became quite confusing to keep track of which ideas were which! So the animal titles simply came from a necessity to keep things more organised and communicate to each other which song ideas we were talking about whilst working on them.

Q6: それにしても、”Animals” がリリースされた当時は、その斬新で魅力的なアートワークとタイトルに衝撃を覚えました。すぐに音楽にものめり込んで行きましたが。

【TIM】: アルバムに登場する動物それ自体は、本当に、完全に抽象的な存在で、実は楽曲の歌詞や感情と直結するものではなかったんだよ。
つまり、当時は仮のタイトルみたいなもので、後から楽曲のアイデアを参照するためにつけていた訳だよ。
例えば、”Baboon” や “Lemur” はそもそもは長い間 “新曲1″、”新曲2” と呼んでいたんだけど、後々アルバムのための楽曲が増えて行くにつれて、どのアイデアがどの楽曲のものなのかとても混乱を招くようになってね!
だから、単に必要に迫られて動物の名前のタイトルをつけただけなんだ。メンバーがお互いにどの楽曲のアイデアについて話しているのか、より円滑にオーガナイズしコミュニケーションをはかるためにね。

Q7: So, “Super Chon Bros Tour 2” with Chon, Polyphia, and tricot from Japan seemed to be really massive event for the math rock scene. How was the tour and what’s your perspective about these new comers?

【TIM】: It was a really interesting tour for us to go on. It was great to play with such talented musicians and it was especially great to meet the members of Tricot, who we really like. The tour itself was different for us because of the scale of the tour. We were playing the biggest capacity venues we’ve ever played and reaching a lot of new people rather than just playing to our own fans (which is also great of course!). The whole production and organisation of the tour was also quite new to us and it was interesting to see the addition of visuals, meet and greets etc. being included into a tour. We did have slightly mixed feelings about some of this though. It was also pretty fun to pay such a short set (maybe 30mins) and to play early on in the night.

Q7: 話は現在に戻りますが、CHON, POLYPHIA, そして日本の tricot と今年行った “Super Chon Bros Tour2” はまさにマスロックの祭典と言えましたね?

【TIM】: 僕たちにとって、本当に興味深いツアーだったよ。彼らのような才能に秀でたミュージシャンたちプレイ出来たのは素晴らしい経験だったね。特に tricot のメンバーと会えたのは嬉しかったな。僕たちは彼女たちのことが本当に好きなんだよ。
あのツアー自体は、僕たちにとって異なる環境だったね。普段とスケールの大きさが違ったから。今までの中で最も大きなキャパシティーの会場でプレイしたし、新たなオーディエンスたちにも多くリーチした訳さ。ただ僕たちのファンだけに向けてプレイするよりもね。もちろん、それはそれで素晴らしいんだけど!
ツアー全体のプロダクション、オーガニゼーションも僕たちにとってはとても目新しいものだったね。ショウにビジュアルを加えたり、ミート&グリードなんかがツアーに含まれるのは実に興味深かったな。
正直なところ、少し複雑な感情もあったのは事実だよ。もちろん、短い30分くらいのショートセットで、夜も早いうちからプレイするのもとても楽しかったんだけどね。

TIM’S RECENT FAVORITE FIVE ALBUMS

NOW, NOW “SAVED”

LAND OF TALK “LIFE AFTER YOUTH”

SNAIL MAIL “LUSH”

JENIFEREVER “CHOOSE A BRIGHT MORNING”

EVERYTHING, EVERYTHING “A FEVER DREAM”

MESSAGE FOR JAPAN

Hi Japan, we love you and are hoping to visit and do an Animals Tour some time early next Summer if we can. We’ll do our best. Arigatou Gozaimasu!

やあ、日本のみんな!大好きだよ。来年の初夏くらいには、”Animals” ツアーで来日出来たらと望んでいるんだ。そのためにベストを尽くすよ。ありがとうございます!

TIM COLLIS

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