EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ALEX CANION OF VOYAGER !!
“As For a Band That Has Influenced The Band’s Sound As a Whole, It’d Have To Be Type O Negative. They’ve Been a Huge Inspiration.”
DISC REVIEW “COLOURS IN THE SUN”
「世界の生は今ほど良くなったことはないという事実と、同時にそうして実現しつつある人間としてのカラフルな多様性を祝うべきであるというテーマを扱っているよ。」
燦々と輝くオーストラリアの太陽の下、集結した5つの異なる個性は VOYAGER の名が表す通り人類の多様性を探求する音の船を大洋へと導きます。
メタル第三世界から現れた VOYAGERは、拡散と多様化のモダンメタルを象徴するのみならず、個性を尊重して育む現代世界の潮流まで確かに体現したバンドです。実際、彼らは音楽のルーツも各自の特徴も異なりながら、あたかも南天の夜空を彩る南十字のごとくそれぞれが際立って輝いているのです。
ショルダーキーボードを携え見た目もゴージャスなボーカリスト Danny Estrin は、紅旗からトヨタの MR2 までオールドスクールな車に情熱を燃やし、MODERN TALKING のようなシンセポップを崇拝。
一方で TesseracT の Dan Tompkins と ABSENT HEARTS も牽引するギタリスト Scott Kay は、”Dungeons & Dragons” のようなゲームを愛し、ARCHITECTS 的モダンギターの世界に心酔するニュータイプ。
今回インタビューに答えてくれたベーシスト Alex Canion にしても、バンドの外では声優の夢を追いマーシャルアーツに情熱を捧げ、LEVEL 42, THE CURE といった80’sをインスピレーションの中心に挙げているのですから。
ただし、VOYAGER という星座の中ではむしろそのバラバラにも思える個性が化学反応を起こします。
「出来るだけ単純化したプログレッシブポップメタルという言葉で、みんなが僕たちのプレイする音楽のイメージを掴みやすくしているんだけど、実際は、シンセウェーブメタルという表現が僕たちのマテリアルに対して最もしっくり来ると思うんだ。」
Danny のシンセポップ、Scott のモダンギター、Alex の80’s、それに紅一点 Simone の Devin Townsent 愛。全ての糸が絡み合い溶け合うことで、VOYAGER のカラフルかつアクセシブルな “シンセウェーブメタル” が織り上げられるのです。
「このアルバムではキーボードとシンセサイザーが大きな役割を果たしていて、アルバムを通して作品に “カラー” を仄めかし続けているね。」
Alex が語るように、バンドの最新作 “Colours in the Sun” は、これまで以上にキーボードとシンセサイザーを核に据えた、最もポップでしかし最もヘヴィーな作品だと言えるでしょう。
ノスタルジックなシンセサイザーの緩波と先鋭なポリリズムジェンティズムがせめぎ合うオープナー “Colours” はまさにアルバムの未来予想図。嫋やかで優雅な Danny の歌声は音のパレットへと染み渡り、アンセミックでダンサブルなビッグコーラスを導きます。
「バンド全体のサウンドに影響を与えたという意味では、TYPE O NEGATIVE だろうな。彼らからは巨大なインスピレーションを受けているよ。」
VOYAGER がゴシックメタルの偉大なる先駆者を最大のインスピレーションに挙げるのは、少々意外かもしれませんが理に適っています。事実、刻々と移ろうテンポの中で繊細なシンセサイザーのさざめきとメランコリー極まるメロディーを奏でる “Saccarine Dream” を聴けば “October Rust” の幽玄なゴシックホラー、TYPE O NEGATIVE に潜むニューウェーブへと連続性を認めるのも難しくはないでしょう。
当然、それ以上に彼らの実験性にシンクロニシティーを感じているのは確か。無論、これは祝祭のレコードですが、それでも耽美とメランコリーは VOYAGER を VOYAGER たらしめる絶佳の魔法です。
クライマックスは Alex も当代きってのシンガーと認める LEPROUS の Einar がゲスト参加を果たした “Entropy” で訪れます。最も才能に満ちたプログメタル最北端と最南端の衝突は、超常的なエナジーとエモーションを創出しました。
その実、エントロピーはレコードで最もスタンダードなメタルチューンかもしれませんが、故に VOYAGER のヘヴィーでプログレッシブな一面を深々と堪能出来る一つの熱量でしょう。
“Water Over the Bridge” で MESHUGGAH までもシンセウェーブに染めた後、”Runaway” でこの世のポップを追求するまさに千変万化、カラフル極まる祝祭のフィナーレ。PERTURBATOR や TesseracT に目配せをしながらよりレトロフューチャーに舞う太陽の蝶。
今回弊誌では Alex Canion にインタビューを行うことが出来ました。「パースはとても孤立している場所だから、故に世界の他の地域に追いつきたいという意欲が少なくとも小さな役割は果たしていると思うね。だから小さくてもオリジナルなシーンがとても繁栄してきたように思えるね。」 どうぞ!!
VOYAGER “COLOURS IN THE SUN” : 9.9/10
INTERVIEW WITH ALEX CANION
Q1: First of all, how was Japan’s Evoken Fest 2018? There were so many great band, right?
【ALEX】: Yes! It was a brilliant experience for us all. We’ve wanted to go to Japan to perform for many years, so it was amazing for us to finally get the opportunity. Also, seeing Per Nilsson play with Nocturnal Rites was amazing! I came back to holiday in Japan earlier this year and got to experience much more of the Japanese culture (and Junmai sake!). I honestly can’t wait to return!
Q1: まずは昨年、日本で開催された Evoken Fest 2018 の感想から聞かせていただけますか?素晴らしいバンドが多く名を連ねていましたね?
【ALEX】: まさに!僕たち全員にとって素晴らしい経験となったね。何年も前から日本でプレイしたかったんだ。だから遂にその機会を得ることが出来て最高だったね。それに Per Nilsson が NOCTURNAL RITES でプレイしているのを見られたのも素晴らしかったね!
実は今年の初頭、日本に戻って休暇を過ごしたんだ。より日本文化を掘り下げることが出来たよ。それに純米酒もね!正直言ってまた日本に戻るのが待ち切れないよ!
Q2: You are from Perth, Australia. And Perth has become kind of “hot spot” of prog, alternative rock in the decades. Karnivool, Pendulum, Bird of Tokyo, Tame Impala and of course, you create really attractive scene there. How is the connection of scene? What made Perth receive world’s attention?
【ALEX】: That’s a great question. We’re so isolated in Perth, so I think the drive to keep up with rest of the world certainly plays at least a small part. Perth has always seemed to have quite a thriving, albeit small, original music scene.
Q2: あなた達はもちろん、KARNIVOOL, BIRD OF TOKYO, PENDULUM, TAME IMPALA などオーストラリアのパースはプログやオルタナティブの “ホットスポット” となっていますよね? なぜこれほどまであなた達の出身地が世界から注目を集めているのでしょう?
【ALEX】: 素晴らしい質問だね。パースはとても孤立している場所だから、故に世界の他の地域に追いつきたいという意欲が少なくとも小さな役割は果たしていると思うね。
だから小さくてもオリジナルなシーンがとても繁栄してきたように思えるね。
Q3: Daniel’s singing with shoulder keyboard style is really cool! What made him start that style? Was there any inspired artist?
【ALEX】: Some years back, his friends all pitched in and bought him that keytar for his birthday. I think he brought it to the jam room to show us and we all encouraged him to use it seriously. One thing lead to another and now it’s still being used in our shows today!
Q3: ショルダーキーボード (Keytar) を携えて歌う Danny の姿は実にクールです。メタルアーティストの中では珍しいスタイルですが、始めたきっかけは何だったのでしょう?
【ALEX】: 何年か前に、Danny の友人たちがお金を出し合って、誕生日にあのショルダーキーボードをプレゼントしたんだよ。それで彼は僕たちに見せようとリハーサルルームに持ってきたんだよ。
そこで僕たちバンドメンバーは、真面目に彼にあの楽器を使うべきだとハッパをかけたんだ。それがきっかけで彼は今でもショルダーキーボードをライブで使い続けているんだ!
Q4: In your Facebook page, you introduce yourself as “Progressive Pop Metal”. Actually, I think you have one of the most accessible melody in the metal scene. Do you want to bring your prog metal to mainstream?
【ALEX】: It’s always been hard for us to categorize ourselves so we try and simplify it so people can grasp what it is we play. Synthwave metal seems to be the most fitting description of our latest material, but the pop element is what makes Voyager stand out from other metal bands in my opinion.
Q4: VOYAGER の Facebook ページでは “プログレッシブポップメタル” とバンドを紹介しています。実際、あなた達のメロディーはメタルシーンの中でも際立ってアクセシブルですよね。
いくらかは、プログをメインストリームに近づけたいという気持ちをお持ちなのでしょうか?
【ALEX】: 僕たちをカテゴライズするのはいつも悩みの種なんだ。だから出来るだけ単純化したプログレッシブポップメタルという言葉で、みんなが僕たちのプレイする音楽のイメージを掴みやすくしているんだよ。
実際は、シンセウェーブメタルという表現が僕たちのマテリアルに対して最もしっくり来ると思うんだけど、もちろんポップな要素も VOYAGER を他のメタルバンドから際立たせているに違いないからね。これは僕の考えだけど。
Q5: Sometimes I remind The Cure, Depeche Mode, even Duran Duran from your fantastic romantic music. Is there any inspiration from non-metal artists like new wave, goth, synthe-pop?
【ALEX】: Absolutely. We’re all huge fans of music of the 80s. I myself like bands like Level 42, The Cure, ABC among many others. As for a band that has influenced the band’s sound as a whole, it’d have to be Type O Negative. They’ve been a huge inspiration. We are fans of all music, and you could probably argue that we have more non-metal influences between us than metal ones.
Q5: 仰るように、VOYAGER の音楽からは、THE CURE, DEPECHE MODE のようなニューウェーブやゴス、シンセポップ的 “ノン・メタル” でロマンチックなフレイバーが感じられますね?
【ALEX】: 間違いないね。僕たちは80年代の音楽の大ファンなんだよ。個人的には、LEVEL 42, THE CURE, ABC みたいなバンドが好きなんだ。
バンド全体のサウンドに影響を与えたという意味では、TYPE O NEGATIVE だろうな。彼らからは巨大なインスピレーションを受けているよ。まあ全員が音楽全てのファンなんだけどね。だから、おそらくはメタルよりもノン・メタルな影響の方が大きいと言えるんじゃないかな。
Q6: I feel your newest record “Colours in the Sun” is your best record to date. Definitely, it’s really colorful, eclectic and even danceable. record. Does it have to do with album title and concept?
【ALEX】: Thank you so much. The keyboards and synths really play a big part on this album and it’s easy to hear how they can imply colour throughout the record, so Colours In The Sun is a very fitting title. The lyrics were all written by Danny, however what I understand about the concept is that it’s commenting on the fact that life in the world has never been as good as it is right now and that we should also be celebrating our diversity as people. Then again, Danny has written a song about not wanting to get out of bed in the morning, so it could easily be about eating a rainbow cake, who knows haha!
Q6: 最新作 “Colours in the Sun” はバンドの最高傑作に思えます。タイトル通り、間違いなくカラフルでエクレクティック、ダンサブルとさえ言えそうですね?
【ALEX】: どうもありがとう。このアルバムではキーボードとシンセサイザーが大きな役割を果たしていて、アルバムを通して作品に “カラー” を仄めかし続けているね。だから “Colours in the Sun” はとてもフィットしたタイトルだと思うよ。
歌詞は全て Danny が書いたんだけど、僕はコンセプトについて、世界の生は今ほど良くなったことはないという事実と、同時にそうして実現しつつある人間としてのカラフルな多様性を祝うべきであるというテーマを扱っていると理解しているよ。
もしかしたら、Danny は朝ベッドから起きたくないという歌詞を書いていて、カラフルなレインボーケーキを食べることについてのアルバムかもしれないけどね (笑)。
Q7: Compared with your previous record “Ghost Mile”, “Colours in the Sun” is more electronic, more keyboard oriented record, right? If so, what made you change some directions?
【ALEX】: We never make conscious decisions to take the music a certain way, it just happens organically. I think we all as musicians enjoy the bedrock of keys and synths that have always been present in Voyager’s music and encourage Danny when he adds them in.
Ghost Mile must be our darkest album, however I think Colours In The Sun might be our poppiest AND heaviest album yet.
Q7: 仰る通り、前作 “Ghost Mile” と比べると、明らかにキーボードのサウンドが増していて、キーボードオリエンテットと言えるほどですよね? その変化の理由を教えていただけますか?
【ALEX】: 僕たちは意識して音楽を特定の方向に導いたりはしないんだ。ただオーガニックに起こった変化なんだよ。
とは言え、VOYAGER に存在し続けてきたキーボード/シンセの基盤を全員が楽しんできたし、Danny がキーボードのサウンドを加える時はいつも賛成してきたんだよ。
“Ghost Mile” は僕たちにとって間違いなく最もダークなアルバムだったね。一方で、”Colours in the Sun” は最もポップでヘヴィーなアルバムかもしれないね。
Q8: Einar from Leprous joined in “Entropy”. How did it happen? Actually, I feel some common points between Voyager and Leprous, Do you agree that?
【ALEX】: We have toured Australia and Europe with Leprous and have become good friends with them as a result. In our past albums we’ve also had D.C Cooper (Royal Hunt) & Dan Tompkins (Tesseract) perform guest vocals on our songs, so it’s not really an odd choice for us to have another guest vocalist on this album.
Once we heard Einar sing live, we all wanted him on something of ours eventually. Just listen to his latest recording on Leprous’ latest album Pitfalls. His voice and range isincredible. I think in the future he’s going to be regarded as one of the best singers of our generation.
Q8: LEPROUS の Einar が “Entropy” にゲスト参加を果たしています。LEPROUS と VOYAGER にはいくつかの共通点も感じられますが?
【ALEX】: LEPROUS とはオーストラリアとヨーロッパでツアーを一緒に回り、良い友達になったんだ。過去には ROYAL HUNT の D.C. Cooper、TesseracT の Dan Tompkins が参加してくれたから、このアルバムにもゲストボーカルを呼ぶのはおかしくない決定だったね。
Einar の歌唱をライブで聴くと、僕たちはいつか彼に参加して欲しいと思ったね。彼らの最新作 “Pitfalls” を聴けば彼の声とレンジが驚異的だと分かるはずさ。僕は彼が将来、僕たちの世代で最高のシンガーの1人として認知されると思っているよ。