EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JEFF ARWADI OF KEKAL !!
“We Don’t Consider Record Labels To Be “Above The Band” Who Can Micro-Manage The Band Down To Artistic Choices, But Also On The Other Hand We Don’t Want To Put The Band’s Needs “Above The Record Labels” And Dictate Them How To Operate, Because They Already Operate The Way They Are.”
DISC REVIEW “QUANTUM RESOLUTION”
「インドネシアにはメタルやエクストリームな音楽に特化した多くのファンがいて、特に最近はメタルをやっているバンドが非常に多いんだよ。中には地元ではとても人気があるバンドもいて、メタル系の音楽を演奏するだけで “セレブ” の域に達しているバンドさえあるんだから。」
インドネシアの音楽に対する探究心はアジアでもトップクラスでしょう。MoonJune レーベルが提供するジャズやプログレッシブのレコードは須らく知性と冒険心に富んでいますし、ヘヴィーメタル大統領 Joko Widodo が象徴するメタルワールドも当然多彩で実力派を揃えています。デスメタルはもちろん、ブラックメタルに着目しても PURE WRATH のような奇跡を生み出す場所ですから、もはやメタルの第三世界と呼ぶには些か無理があるはずです。
KEKAL はインドネシアにおけるブラックメタルの先駆者ですが、もはやブラックメタルの一言でかたずけることは完全に不可能な、多様なモダンメタルの怪物へと進化しています。
エレクトロニカ、ポップス、ジャズ、トリップホップ、インダストリアル、アンビエント、サイケデリック。仮にエクストリームメタルをジャワ島だとすれば、APHEX TWIN, Miles Davis, PORTISHEAD, THE PRODIGY, MASSIVE ATTACK, ULVER といった島々で多文化多島美を形成するインドネシアのミニチュアこそ KEKAL の真の姿ではないでしょうか。特に、フィールドレコーディングまで敢行する電子音とノイズの実験は、フランスの IGORRR と並んでメタル世界の最先端に位置するはずです。
「2009年に全員がバンドを脱退しKEKAL は正式にインドネシアのバンドとして残ることになったんだ。つまり、僕たちは “メンバーレスバンド “という道を選ぶことにしたんだよ。その後、僕たちは “KEKAL として “ではなく、”KEKAL のために” 活動している。コントリビューターとして完全にボランティアベースで、スケジュールも締め切りもなく、いくつかのアルバムでは他のミュージシャンが参加するようなやり方でね。自由なアソシエーションを採用して、完全にアナーキストになったんだ。」
驚くべきことに、KEKAL にはオフィシャルメンバーが存在しません。レコーディングにおいても、より良い音楽のため楽器も歌も最も適した人物がこなすという徹底ぶり。バンドではなく自由結社と呼ぶべきでしょうか。その特殊極まる背景は、彼らの土台であり源泉であるアナキズムに起因しています。
「僕たちはレコード会社を “バンドの上に立つもの” だとは思っていないし、バンドの芸術的な選択まで細かく管理できるとは思っていないけど、一方でバンドのニーズも “レコード会社の上に立つもの” だとは思っていないし、バンドの運営方法をレコード会社に指示もしたくない。」
KEKAL の指標するアナキズムとは決して無責任であることではありません。非階層、反権威こそ彼らの魂。支配者のいない世界を実現するため、すべてにおいて責任を束ねる自己管理、自己統治のアプローチを研ぎ澄まし、突き詰めていくのです。
「それは2015年に僕が “スピリチュアルな目覚め “と呼ばれるものを体験し始めた時から始まったんだ。詳しく説明するのは難しんだけど、食生活、睡眠パターン、感情、他人に対する見方や感じ方、世界観などの劇的な変化があったんだ。何らかの形で僕自身、僕たちが住んでいる世界、宇宙に関する新しい知識を受信することで “導き” の奇妙な啓示を受けてきたんだ。 これは、人々が一般的にグノーシスや “明かされた知識” と呼ぶものだね。」
さらに、結社の首謀者 Jeff Arwadi は自らが受けた掲示、スピリチュアルな目覚めをレコードのコンセプトやリリックに反映することを新たな生き甲斐として見出しました。つまり、最新作 “Quantum Resolution” は Jeff の伝道師としての役割が花開いた作品でもあるのです。
ハモンドのプログメタルと軽快なダブステップ、そしてブラックメタルのメイルストロームが入り乱れる “Quite Eye” は “Schizo-metal” への入り口として完璧でしょう。インダストリアルな瞑想と JOY DIVISION の複合体 “Inward Journey” では、天使の声が鳴り響き内なる旅路を導きます。
アナーキーの申し子たる自由結社は、両極に振れることさえも絶対的に自由。”The Sleep System” で RUSH や KING CRIMSON への敬意をメロディーの彼方に見出せば、ダブとヒップホップで踊り狂うブラックメタルの THE PRODIGY “Testimony” ですぐさま混沌を呼び寄せます。
極め付けはタイトルトラック “Quantum Resolution” でしょう。グノーシス主義に傾倒した Jeff から生まれくるに相応しい量子の黙示録。DURAN DURAN とブラックメタルの許されざる婚姻を祝福する厳かな教会の聖歌。これはきっと伝道師が奏でる異端者の讃美歌です。
今回弊誌では、Jeff Arwadi にインタビューを行うことができました。「KEKAL はインドネシア出身のバンドとしてヨーロッパと北米で同時にアルバムを出した最初のバンドで、ヨーロッパツアーを行った最初のバンドでもある。そういう意味では、地元や母国だけでアピールしようとしない若いバンドのお手本にはなるかもしれないね。」 どうぞ!!
KEKAL “QUANTUM RESOLUTION” : 10/10
INTERVIEW WITH JEFF ARWADI
Q1: 1. It’s rare to find a band that doesn’t have an official member, right? Why are you in that situation?
【JEFF】: Hello Sin, this is Jeff representing Kekal. Thank you for reaching out.
Well, it’s a long story, but I’ll explain in brief here. I’ve been living in Canada since 2006. When I moved it was impossible for the band which had 3 members back then, to continue unless we decided on 3 possible options: First, I’d move the band to Canada, leaving the rest of the members out and re-banding Kekal as a Canadian band. I didn’t want to do that. 2nd option, I’d quit, and the rest of the members would continue with Kekal as an Indonesian band. They didn’t want to do that. The 3rd option was to disband completely, but our listeners didn’t want to, they wanted to see Kekal continue making new music and releasing albums even without playing live shows any longer. We all did leave the band in 2009 and Kekal would remain formally as an Indonesian band. We decided to go the “member-less band” route, perhaps the first band in the world doing that, not sure. After that, we went on as no-strings-attached contributors working “for Kekal” instead of “as Kekal”, completely on a voluntary basis, no schedules, no deadlines, and on some albums we got other musician(s) jumped in as well. We went full anarchist in terms of adopting free association and stuff. Once the material is released under Kekal, no one can claim the ownership in terms of copyright, so you can see all Kekal albums released after 2009 are licensed under Creative Commons and not copyright-controlled. The only problem we had is from mainstream corporate streaming sites like Spotify, Apple, YouTube Music, etc. which don’t recognize Creative Commons license as an option to standard copyright practice, so you’ll still see the copyright and property mark when published there. Kekal is completely independent, and now technically autonomous. The band will never get signed by a record label because there’s no legal ground for that (I’m talking about full band signing, not physical album licensing to smaller labels in which we always do). Everything from recording/production, album cover, artwork, music videos, photography, website, promotional material, etc. you name it, are completely D.I.Y done by contributors with no money involved. All the funds the band gets from digital sales are recycled for album promotion, ads, web-hosting and maintenance, etc. On this new album “Quantum Resolution”, you can see there’s no credits listed for music performance and songwriting, because it doesn’t really matter. Once the songs are published under Kekal name, I or whoever contributed to the music/lyrics would lose the property of the songs.
Q1: まずお聞きしたいのは、KEKAL にオフィシャルメンバーが存在しないことについてです。世界中探しても、なかなかそんなバンドは見つからないと思うのですが…
【JEFF】: やあ Sin、KEKAL の Jeff だよ。インタビューをありがとう。
さて、話が長くなるけど、なるべく簡単に説明してみるね。僕は2006年からカナダに住んでいるんだ。引っ越しをした時、当時メンバーが3人だったバンドは、3つの選択肢から1つを選ばないと活動を続けることができなかったんだよ。
まず、2人のメンバーを残してカナダにバンドを移し、KEKAL をカナダのバンドとして再結成する。僕はそんなことはしたくなかったね。2つ目の選択肢は、僕が脱退して、残りのメンバーがインドネシアのバンドとして KEKAL を続ける。彼らもそれを望んでいなかった。3つ目の選択肢は完全に解散することだったけど、リスナーがそれを望まなかった。
だから2009年に全員がバンドを脱退しKEKAL は正式にインドネシアのバンドとして残ることになったんだ。つまり、僕たちは “メンバーレスバンド “という道を選ぶことにしたんだよ。その後、僕たちは “KEKAL として” ではなく、”KEKAL のために” 活動している。コントリビューターとして完全にボランティアベースで、スケジュールも締め切りもなく、いくつかのアルバムでは他のミュージシャンが参加するようなやり方でね。自由なアソシエーションを採用して、完全にアナーキストになったんだ。
だから一度 KEKAL の名でリリースされた素材は、著作権の観点から誰も所有権を主張することができないことになった。2009年以降にリリースされた KEKAL のアルバムは全てクリエイティブ・コモンズの下にライセンスされていて、著作権管理されていないんだよ。唯一の問題は、Spotify, Apple, YouTube Musicなどの主流企業のストリーミングサイトで、彼らはクリエイティブ・コモンズのライセンスを標準的な著作権慣行のオプションとして認識していないから、そこで公開された場合には著作権とプロパティマークが表示されてしまうんだ。
KEKAL は完全にインディペンデントで、現在は技術的にも自律しているよ。レコードレーベルと契約することはないんだ。録音/制作、アルバムカバー、アートワーク、ミュージックビデオ、写真撮影、ウェブサイト、プロモーション素材など、すべては完全にお金が関与しないコントリビューターによってD.I.Y.で寄与されたものなんだ。バンドがデジタル販売から得るすべての資金は、アルバムのプロモーション、広告、ウェブホスティング、メンテナンスなどのためにリサイクルされるわけさ。
このニューアルバム “Quantum Resolution “には、演奏や作曲のクレジットが記載されていない。つまり、一旦 KEKAL の名前で公開されると、僕や音楽/歌詞に貢献した人はその曲の所有権を失うことになるんだよ。
Q2: Kekal is an Indonesian band and you are also from Indonesia, but you have now moved to Canada. What was the reason for that?
【JEFF】: The reasons were mainly personal and nothing to do with the band and music. I found out that Jakarta was too stressful for me to live a decent healthy life, physically and mentally. There was something that triggered me to live close to nature, close to the forest while I could spend time there quite often. Maybe the first trigger was when we had the European tour in 2004 which we also played in Sweden. The guys from the record label took us for a forest walk while we were in Sweden, removed from the civilization. It was very calm, I think no cellphone signal reached the area there back in 2004, and that was the time when I found myself to feel more peaceful and more “at home” than living in a crowded city, especially Jakarta. Now I live in the city called Ottawa, the capital of Canada, and nearby there’s a large nature reserve called Gatineau Park, only about 15 to 20 minutes drive from where I live. This setting is ideal for balance, because the scope of my day-job as a graphic designer I will need to live in the urban area.
Q2: あなたがインドネシアからカナダに移住した理由はなんだったのですか?
【JEFF】: 理由は主に個人的なもので、バンドや音楽とは何の関係もなかった。ジャカルタではストレスが多すぎて、身体的にも精神的にも健康的な生活を送ることができないと悟ったからね。
自然の近くに住み、森で過ごしたいと思ったきっかけはいくつかあってね。最初のきっかけは、2004年にスウェーデンでも演奏したヨーロッパツアーの時かもしれないな。スウェーデンにいる間にレコード会社の人に連れて行ってもらって、文明から離れた森の中を散歩したんだ。当時は携帯電話の電波が届かなかったと思うんだけど、ジャカルタのような混雑した街と比べとても穏やかで、”自分の家にいるような” 感覚になったんだよね。
現在、僕はカナダの首都オタワという街に住んでいるんだけど、近くにはガチノー公園という大きな自然保護区があって、車で15~20分で行けるんだ。グラフィックデザイナーとしての仕事を考えると、都市部での生活も必要になるので、そのバランスを取るには最適な環境だと思うな。
Q3: Mr. President Joko Widodo is typically, Indonesia is one of the most prolific metal countries in Asia, right? Kekal is a band that has led the scene in that country. Would you agree?
【JEFF】: I agree that Indonesia has a large number of fans dedicated to metal and other forms of extreme music, and there are so many bands doing metal especially these days. Some bands are very well-known locally, and even can reach the “celebrity” status only by playing in a heavy-metal type of music. We were among the earliest extreme metal bands from Indonesia who released a full-length album in the late 1990s. So during that time, we could see the early development of Indonesian metal scene, but our influence on the scene was relatively little. Nowadays, Kekal is not that “known” in Indonesia, especially because most never see us play live. The last show we had in Indonesia was in 2005, and that’s 15 years ago already. Many metal fans in Indonesia, while may know the name “Kekal” from word-of-mouth, haven’t really heard our music, and many others who already have don’t quite like the kind of music we play. But Kekal is the first band from Indonesia who released albums in both Europe and North America at the same time, and also the first band who toured Europe. So in that case, we may be put as an example for these younger bands who don’t want to appeal only within the local or regional scope.
Q3: Joko Widodo 大統領はある種象徴的ですが、インドネシアはアジアでも最もメタルが盛んな国の1つですよね?
KEKAL はそんな国のメタルシーンを牽引してきた印象があります。
【JEFF】: その通りだね。インドネシアにはメタルやエクストリームな音楽に特化した多くのファンがいて、特に最近はメタルをやっているバンドが非常に多いんだよ。中には地元ではとても人気があるバンドもいて、メタル系の音楽を演奏するだけで “セレブ” の域に達しているバンドさえあるんだから。
僕たちは、1990年代後半にフルアルバムをリリースしたインドネシア最古のエクストリームメタルバンドの一つだった。だからインドネシアのメタルシーン初期の発展を見ることはできたんだけど、シーン自体への影響力は比較的小さかったと思う。現在 KEKAL はインドネシアではあまり知られていないんだけど、それはほとんどの人が僕らのライブを見たことがないからなんだ。インドネシアでの最後のライヴは2005年で、もう15年も前のことになるからね。
だから、インドネシアの多くのメタルファンは、口コミで “KEKAL”という名前を知っているかもしれないけど、実際に僕たちの音楽を聞いたことがないし、僕たちの音楽を知っていても KEKAL のジャンルやテイストが好きじゃないんだろうな。
それでも、KEKAL はインドネシア出身のバンドとしてヨーロッパと北米で同時にアルバムを出した最初のバンドで、ヨーロッパツアーを行った最初のバンドでもある。そういう意味では、地元や母国だけでアピールしようとしない若いバンドのお手本にはなるかもしれないね。
Q4: I heard that Kekal means eternal or immortality in Indonesian. Why did you use that word in your band’s name?
【JEFF】: The name was coined by the original member called “Newbabe” who played bass on our demo cassette, so I personally don’t really know exactly the reason why. But I think it was a good choice, because no one in the world had used it, I knew no one used it in Indonesia and Malaysia where the same word is shared in both languages, so we were quite sure we would be the only band with the name Kekal. Back in 1995 when the band was formed, we had no internet connection to check out if such a band name existed already in any other part of the world, if we picked just an english word, most likely there’s another band or even multiple bands already used the name. That would be hard to change the name after you already released albums and gained listeners, just because the other band decided to trademark it. Changing a band name is very much like starting the band all over again.
Q4: KEKAL にはインドネシア語で永遠とか不滅といった意味があるそうですね?
【JEFF】: この名前はデモカセットでベースを弾いていた “Newbabe”というオリジナルメンバーが作ったものだから、個人的にはその理由まではよくわからないんだ。でも、世界では誰も使っていなかったし、インドネシアやマレーシアでも同じ言葉を使うバンドがいないのは知っていたので、KEKAL という名前を持つバンドは自分たちだけだと言う意味ではこの名前にして正解だったと思うよ。
バンドが結成された1995年当時はインターネットがなかったから、バンド名が世界のどこかに既に存在するかどうかを調べることもできず、英語の単語を選んでも、他のバンドが既にその名前を使っている可能性が高い。すでにアルバムをリリースしてリスナーを獲得しているのに、他のバンドが商標登録しているからといってバンド名を変えるのは難しいからね。バンド名を変えるのは、バンドをやり直すのと同じことだよ。
Q5: Kekal started out as a black metal band, but the band has gradually become more avant-garde/progressive in nature. What made you so?
【JEFF】: It was all natural. I remember it began after we released the “Embrace The Dead” album in 1999. There was something we did not like about that album, despite it being a decent album in terms of the music and the album appealed to quite a number of fans within metal especially black metal and symphonic metal. But for us, there was something missing, and many other bands also used almost the similar approach as we did on the album, so we decided to switch focus to be more from ourselves instead of doing what others do. Around that time, all the band members started to listen to many other music not limited only to metal and rock, so the influence started to show up when we recorded “The Painful Experience” album in 2001, and after that, we became more and more comfortable in doing musical explorations, especially by utilizing electronic elements. The progression has been gradual because we never forced ourselves in changing musical direction, just let everything to flow naturally.
Q5: KEKAL はブラックメタルバンドとしてスタートしましたが、徐々にプログレッシブ/アヴァンギャルドな要素を増やしていきましたよね?
【JEFF】: 全てが自然な進化だったよ。1999年に “Embrace The Dead” をリリースした後にその変化が始まったのを覚えているよ。あれは僕たち自身は気に入ってない部分もあるんだけど、音楽的にはまともなアルバムだったし、メタル、特にブラックメタルやシンフォニックメタルのファンの間ではかなり支持されていたね。
でも僕らには何かが欠けていて、他の多くのバンドもこのアルバムでの僕らと同じようなアプローチをするようになったから、他のバンドと同じことをするのではなく、もっと自分たちのやり方にフォーカスを移すことにしたんだ。
そのころからメンバー全員がメタルやロックに限らず、色々な音楽を聴くようになった。2001年に “The Painful Experience” を作った時からその影響は表れ始め、それ以降は特にエレクトロニックな要素を取り入れた音楽的な探求に慣れていったんだ。音楽的な方向性を無理に変えようとせず、自然の流れに任せていたからこそ、ゆるやかに進化を遂げたのさ。
Q6: Kekal is now a prime example of the fusion of metal and electro, along with Igorrr. I understand that you do fieldwork and collect noise material, right?
【JEFF】: Yes I did the field recordings when I collected samples for the 2010 album “8”. But I decided not to do that anymore, especially when in public nowadays people would look at me like if I did some spying just by brandishing a portable digital recorder. So I no longer find it as fun work. Maybe if I had some chickens I could record their performances, but someone else already did that. However, I still have many unused samples and also I could use modulated synth now, and everything can be filtered digitally in the computer so new sounds can be created only by manipulating anything from synthesizers, vocals, guitars, or old samples. In that case, right now I’ve abandoned the field recording.
Q6: 仰る通り、KEKAL は今では IGORRR と並んでメタルとエレクトロニカを融合させる第一人者だと感じています。あなたはフィールドワークまで行なってノイズを収集しているそうですね?
【JEFF】: そうだね。2010年のアルバム “8” のサンプルを集めた時にフィールドレコーディングを行ったよ。でも、最近は人前でポータブルデジタルレコーダーを持っているだけでスパイみたいな目で見られるから、もうやらないことにしたんだ。もう楽しく音を集められないからね。
(IGORRRみたいに) 鶏を飼っていたら、鶏の演奏を録音できるかもしれないけど、それはもう誰かがやっている。とはいえ、まだ使っていないサンプルはたくさんあるし、モジュレーションされたシンセも使えるようになっている。それにすべてコンピュータでデジタルフィルターをかけられるようになっているから、シンセサイザーもボーカルもギターも古いサンプルも、それを操作するだけで新しい音が作れるようにはなっているんだ。だから今はフィールドレコーディングを断念しているんだよ。
Q7: What is the lyrical theme or concept behind your latest release, “Quantum Resolution”? It seems there are Gnostic Christian references from the Nag Hammadi library writings. Is this a work that presents the band’s religious views in a way?
【JEFF】: I would not say the lyrics are based on religious views, but more from my personal experience connected to my inner-self. It’s quite a long story, but I will explain here in brief. It began in 2015 when I started to experience what some would call it as a “spiritual awakening”. It is difficult to explain in detail, but I’ve had the symptoms also include drastic change of my diet, sleep pattern, emotions, how I see and feel others, the world, etc. At first I had no idea what I was experiencing is generally known as “spiritual awakening”, I only came to realize a few years later after reading and watching similar experiences happening to others, which changed their course of life goals and priorities. This has nothing to do with religion or “religious experience” of some kind, and this has also nothing to do with self-induced “psychedelic experience” as people may get from DMT or some type of mushrooms. Other than those symptoms I’ve also experienced synchronicities (which are strange “coincidences” that also have meanings upon further reflection) and many other strange revelations which somehow “guide” me in receiving new knowledge regarding ourselves, the world we live in, and the Universe. This is what people generally call it as Gnosis or “revealed knowledge”. In about early 2018, I came across the texts which are known as the Nag Hammadi library, almost by “coincidence”, but I don’t believe it to be a random coincidence but instead part of the revelations given to me. Upon reading and learning the texts further, I realized that many of these writings seem to answer many of my questions regarding life and the Universe. These texts, originated from the early, pre-religion Christian mystics which now people call them as “gnostics”, were highly suppressed and thought to be destroyed by the Roman empire’s authorities when the empire took over the early movements of Christianity in the 4th Century and made into a monolithic religion, perhaps because the texts reveal too much information regarding who we are as a species, the world, the nature of our Universe, and also the realities beyond what we can see and perceive. These texts were “accidentally” found in 1945 buried and hidden inside a sealed jar. For sure they were intentionally buried to avoid them being found and destroyed by the Romans who persecuted and killed the “heretics” in the 4th Century, I mean those who did not want to submit to the “official” version of Christian dogma imposed by the Roman authorities. What struck me was that many of these writings explain pretty much just like what modern theoretical physicists in the fields of Quantum Mechanics try to conclude based on their mathematical equations regarding the holographic nature of our universe and our world as a simulation. It took me more than a year to dig deeper and to connect the dots, while I also did parallel research on “near-death-experience” by reading experiences from around two hundreds of people, out of many thousands available on the online database. To my surprise, all these things come together harmoniously and lead me to whole new realizations. This new knowledge basically helps myself in realizing our place in the Universe and our course at the same time, regarding who we really are and where we are going, especially nowadays because we are right at the beginning of the end of the Age.
So, all the lyrics of “Quantum Resolution” album are written based on these new realizations that I’ve got. They were written entirely before the music, so the lyrics would dictate the direction of the music instead of the other way around. I’ve published a full document in English called “Ask. Seek. Knock.” which can be downloaded for free from the link attached to the last page of digital booklet when purchasing the digital download of the album through Kekal Bandcamp page. It’s mostly discussion-type explanation about what’s behind-the-lyrics of all songs in the album. The lyrics deal with many subject matters like Quantum Mechanics, suppressed history of our species and the birth of civilizations and empires, the rulers of the Earth and their spiritual/cosmic driving force, near-death-experience, etc. To some extent, the lyrics also took influence from the original “The Matrix” film, like the red pill reference and so on. Parts of the discussions are also published on Facebook which everyone can access from http://www.kekal.org/quantumresolution
Q7: “Quantum Resolution” ではナグハマディ文書への言及から、キリスト教グノーシス主義との関連が伺えます。ある意味、バンドの宗教観を反映した作品なのでしょうか?
【JEFF】: このアルバムの歌詞は宗教観に基づいているというよりも、自分の内面と結びついた個人的な経験から書いたんだ。かなり長い話になるけど簡単に説明するね。
それは2015年に僕が “スピリチュアルな目覚め “と呼ばれるものを体験し始めた時から始まったんだ。詳しく説明するのは難しんだけど、食生活、睡眠パターン、感情、他人に対する見方や感じ方、世界観などの劇的な変化があったんだ。最初は、自分が経験してるものが一般的に “スピリチュアルな目覚め “として知られているとは思いもしなかったけど、数年後には、人生の目標や優先順位をすっかり変えた他人の類似経験を読んだりして信じるようになったんだ。
これは宗教やある種の “宗教的経験” とは何の関係もないし、DMTやある種のキノコのような自己誘発的な “サイケデリック体験” とも何の関係もないんだよ。先に挙げた体験以外でも、僕はシンクロニシティを経験し、何らかの形で僕自身、僕たちが住んでいる世界、宇宙に関する新しい知識を受信することで “導き” の奇妙な啓示を受けてきたんだ。 これは、人々が一般的にグノーシスや “明かされた知識” と呼ぶものだね。
2018年の初めごろ、僕はナグハマディライブラリとして知られているテキストにほぼ “偶然” 出くわしたんだけど、僕はその出会いが偶然ではなく、自分に与えられた啓示の一部であると信じているんだ。テキストを読み、学んでいくと、これらの文章の多くが、生命や宇宙に関する僕の疑問に答えてくれているように思えてきた。
これらのテキストは、”グノスチスト”と呼ばれる初期の、宗教以前のキリスト教の神秘主義者に由来するんだけど、4世紀にローマ帝国がキリスト教の初期の動きを引き継いで、一枚岩の宗教にしたときに、当局によって非常に抑圧され、破棄されると考えられていたものなんだ。それはその内容が、世界、宇宙の性質、また、我々が知覚できるものを超えた現実、種としての我々が何であるかについてあまりにも多くの情報を明らかにするためだったんだろうな。
このナグハマディ文書は1945年に “偶然” 発見され、密封された瓶の中に隠されていたんだよ。4世紀に “異端者 “を迫害し、殺したローマ人によって文書が破壊されるのを避けるため、意図的に埋葬されていたんだよ。もちろんそれは、ローマ当局によって課されたキリスト教義の “公式”バージョンに服従したくなかった人によってね。
僕が驚いたのは、これらの文書の多くが、量子力学の分野で現代の理論物理学者が宇宙のシミュレーションとしての世界のホログラフィックな性質について、数学的な方程式に基づいて結論を出そうとするのと同じようなことを説明している点だね。より深く掘り下げ、点と点を結びつけるのに1年以上かかったよ。
また、オンラインデータベースにある何千人もの体験の中から、約200人の体験を読むことによって、”臨死体験” についても並行して研究したんだ。そして驚いたことに、これらすべてのことが調和して、僕を全く新しい気づきへと導いてくれたんだよ。この新しい知識は基本的に、宇宙の中における自分たちの場所、自分たちが本当は誰であるか、どこに向かっているかについての理解を助けてくれた。特に今日、僕たちは時代の終わりの始まりにいるからね。
だから、アルバム “Quantum Resolution “の歌詞はすべて、僕が得たこれらの新しい気づきにととづいて書かれているんだ。音楽よりも先に書いたから、歌詞が音楽の方向性を決定することになるね。
僕は英語で “Ask. Seek. Knock” という文章を公開したよ。KEKAL Bandcampのページからアルバムのデジタル・ダウンロードを購入する際、デジタルブックレット最後のページに添付されているリンクから無料でダウンロードできるよ。 このアルバムに収録されている全曲の歌詞の裏には何があるのか、ほとんどがディスカッション形式で説明されているんだ。量子力学、僕たちの種の抑圧された歴史と文明や帝国の誕生、地球の支配者とその精神的/宇宙的な原動力、臨死体験など、多くの主題を歌詞で扱っているからね。 ある程度、レッドピルへの言及など、映画「マトリックス」からの影響も受けているんだ。議論の一部はFacebookでも公開されていて、誰でもアクセスできるよ。http://www.kekal.org/quantumresolution
Q8: Kekal claims to have practiced Anarchism since the beginning of its career, which in their own words “translates to non-hierarchical and anti-authoritarian approach to self-governing/self-managing”, including voluntary contribution, free association and a strong DIY ethic. I think it’s a great way of thinking and doing things. Can you talk about how you arrived at that philosophy?
【JEFF】: Sure. For the band, we’ve already been doing the practice of anarchism since the very beginning, not because we were anarchists to begin with and not because we knew or understood the depth of its philosophical framework, but mostly because we were somewhat influenced by ethics and practices of underground anarcho-punk and crust-punk bands. When Kekal was formed in 1995, the band took the roots about 50-50 between extreme metal and punk; extreme metal for the musical compositions and punk for the raw energy and “attitudes”, so we chose what’s best and most suitable for the band, and the D.I.Y. ethic seemed to be the best option. The first big decision was when we decided to never get signed by any record label for the full band signing, so we would self-produce our albums and keep the recording masters ourselves, and just do licensing deals with labels to put out our albums on physical formats and distribute them. We don’t consider record labels to be “above the band” who can micro-manage the band down to artistic choices, but also on the other hand we don’t want to put the band’s needs “above the record labels” and dictate them how to operate, because they already operate the way they are. In the beginning it was harder because we didn’t have options to make these points, so sometimes we made compromises. We’ve learned more about anarchism along the way, and through the years also expanded to the other practices, like free association and voluntary contribution to the persons involved, and abolishing the copyright-control in our music, especially when we decided to go the member-less route. On a personal level, I’ve just started adopting anarchism as personal philosophy quite recently, maybe around year 2017 not long after I received new realizations.
Q8: 先程お話しにもでましたが、ボランティアでの貢献、フリーアソシエーション、DIY といった KEKAL のアナーキズムは実に素晴らしいですね。その哲学に到達した経緯をお話ししていただけますか?
【JEFF】: バンドとして僕たちは、最初からアナーキズムの実践をしてきたわけだけど、それは元々アナーキストだったからでもなく、その哲学的な枠組みの深さを知っていたからでもなく、大半はアンダーグラウンドのアナーコパンクやクラストパンクの倫理観や実践に影響を受けていたからなんだ。
1995年に KEKAL が結成された時、バンドのルーツはエクストリームメタルとパンクの間で半々くらいになっていたね。作曲にはエクストリームメタル、生のエネルギーとアティテュードにはパンクをと、バンドに最適なものを選び、D.I.Y.の倫理観が一番の選択肢になったんだ。
最初の大きな決断は、レコードレーベルと契約しないことを決めた時だった。それですべて自分たちでプロデュースし、マスターテープも所持して、レーベルとはただライセンス契約を結んでフィジカルの配給を委託するだけになったんだ。
僕たちはレコード会社を “バンドの上に立つもの” だとは思っていないし、バンドの芸術的な選択まで細かく管理できるとは思っていないけど、一方でバンドのニーズも “レコード会社の上に立つもの” だとは思っていないし、バンドの運営方法をレコード会社に指示もしたくない。彼らには彼らのやり方があるからね。最初の頃は、この点を主張するための選択肢がなかったから大変だったし、妥協することもあったよ。
その間にアナーキズムについてより多くのことを学んできたんだけど、そのうちに、フリーアソシエーションや自発的な貢献、自分たちの音楽の著作権管理の廃止など、特にメンバーレスの道を選んだときには、アナーキズムの実践が広がっていったよね。個人的なレベルでは、哲学としてアナーキズムを取り入れ始めたのはかなり最近で、新たな気づきを得て間もない2017年頃だったかもしれないな。
FIVE ALBUMS THAT CHANGED JEFF’S LIFE
It’s hard for me to pick only 5 albums because there are many more than that which made an impact on my life, and some are not albums but only individual songs. But here I can list 5 from my all-time favourite albums, which impacted me when first time listening to them and also I could play them over and over: