NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【GREEN LUNG : BLACK HARVEST】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH TOM TEMPLAR OF GREEN LUNG !!

“We Wanted To Create Something That Harked Back To The Foundations Of The Genre, Something That Tried To Tap Into The Magic Of The Days When You Could Hear a Tony Iommi Riff Or a Halford Scream On Mainstream Radio.”

DISC REVIEW “BLACK HARVEST”

「自分たちですべてを行うことで得られる創造的な独立性と経済的報酬、その観点からすると、これまで受けたオファーは意味をなさないということなんだよね。大手レーベルと契約する理由の多くは、足がかりやオーディエンスを見つける手助けなんだ。僕たちは主に Bandcamp から有機的にファンを増やすことができたから、今僕たちの権利を手放すことは意味がないと思うんだよ」
英国の陰鬱な伝承を描くドゥームの新鋭 GREEN LUNG は、その音楽だけでなく、この時代におけるバンドのあり方についても革命を起こそうとしています。独立志向の強いバンドは、メジャーレーベルとの契約を断り、代わりにフィンランドのカルト・レーベル Svart Records から最新作 “Black Harvest” をリリースすることを選びました。そうして、Bandcamp のアルバム・チャートで首位を獲得したのです。
「Spotify は僕たちのようなアルバム・アーティストにとっては最悪のプラットフォームだよ。アルバムよりもシングル曲が優遇され、プレイリストをコントロールするために多くの資金が投入され、無機質で、そして僕たちはほとんどお金を得ることができないんだ。Bandcamp はその逆で、80年代や90年代の口コミやジン・カルチャーに相当するようなオンラインのプラットホームなんだよ。僕たちの最大の収入源のひとつさ。インディペンデントな音楽文化をたった一つのサイトが救っているのだから、いくら高く評価しても言い足りないくらいだよ」
GREEN LUNG のフロントマン Tom Templar は Bandcamp について “音楽業界における最後の砦” と表現します。唯一の倫理的な音楽配信・販売サービスだと。メジャーから提示される前金よりも Bandcamp の方が利益が出る現実。実際、現代の音楽産業において Bandcamp は、インディペンデントのアーティストにとって文字通り命綱です。特に、”メインストリームの大きなロックバンドになろうとはしていない” GREEN LUNG のようなバンドにとっては。
彼らがメジャーからの支援を必要としないのは、今を生きるバンドらしいその成長過程にも理由があります。2019年のデビュー作 “Woodland Rites” は、70年代後半の NWOBHM 的郷愁のサウンドと BLACK SABBATH のオカルト・ドゥーム、そして1968年の “ウィッチファインダー・ジェネラル” といった心をかき乱す映画の感覚を融合し、アンダーグラウンドのメタル世界を沸かせました。
「パブで5人くらいを相手にライブをしていたんだけど、ネットの世界から熱狂的なファンが現れたんだ。今では、バンドのマスコット、悪魔のようなヤギのタトゥーを入れている人は20人以上いるんだよ」
ただし、バンドが大量の新しいファンを獲得できたのは Instagram の投稿がバズったからで、特に、伝統的な木版画のデザインでレコードを覆う、彼らの不吉でありながらエレガントな美学が音楽的にも視覚的にも “無料で” 潜在的なリスナーたちの元へと届いたから。もはや、20年代のバンドたちにとって、大きな音楽レーベルの養ってきたノウハウや豊富な資金力は必要のないものなのかもしれません。それよりも、真に必要なのはクリエイティブな自由。
「僕たちは一つのジャンルにとどまるようなバントでいたくはないんだ。ドゥームやストーナーの構成要素を取り入れ、それを使ってモダンなものを作りたいと思っているんだよ。例えば、TURNSTILE がハードコアで、POWER TRIP がクロスオーバー・スラッシュ でやったようにね」
GREEN LUNG が “現代的” なのは、その野心です。面白いものならば、創造的になれるのであれば、ドゥームという地底の音楽に STEELY DAN の羽を纏わせることも、MADBALL の跳ねを植え付けることも厭いません。そうして、”Black Harvest” はその哲学と “Woodland Rites” の基盤すべてを、よりビッグで、よりクラシックで、より壮大なものへと増幅させていました。
そうして、プロデューサー Wayne Adams のタッチ、オルガニスト John Wright のハモンドを前面に押し出しアルバムに思慮深くダークな雰囲気を与えつつ、Tom のキャッチーで世界を包むこむようなオジーの歌唱に、 Scott Black のリフが幾重にも活力と華を添えて “Black Harvest” は完璧なバランスを得ることになりました。つまり、”Black Harvest” は、DEEP PURPLE や BLACK SABBATH, QUEEN といったメタルの祖先が誇りに思うような、壮大な70年代のリバイバルでありながら、深い層を持った進化するアルバムであり、クラシックとなり得る強烈なインパクトと現代らしい奔放さを十二分に兼ね備えているのです。荘厳な”カテドラル” に灯る紫の炎、そして宿る女王の気品。
今回弊誌では、Tom Templar にインタビューを行うことができました。「僕たちは皆、若い頃にエクストリーム・メタル・バンドでプレイしていた。それがあったから、GREEN LUNG を始めたとき、逆にこのジャンルの基礎に立ち返るようなものを作りたかったし、Tony Iommi のリフや Rob Halford の叫びをメインストリーム・ラジオで聞くことができた時代のマジックに触れようと思ったんだ」 どうぞ!!

GREEN LUNG “BLACK HARVEST” : 10/10

INTERVIEW WITH TOM TEMPLAR

Q1: The first thing that I admire about you guys is that despite your huge popularity, you have turned down offers from bloated major labels. Why do you stick to DIY?

【TOM】: It’s not necessarily that we wouldn’t work with major labels – it’s just that the offers we’ve had don’t make sense in the context of the creative independence and financial reward we get from doing everything ourselves. A lot of the reason for signing with a big label is if you need a leg up or help finding an audience – we managed to organically grow our following mostly from Bandcamp, and so it doesn’t make sense to give our rights away. We’re definitely open to growing the band and the distribution of our records, but we’d have to trust the label and keep the same level of creative control.

Q1: まず、あなたたちが素晴らしいのは、大きな人気を獲得しながらもビッグレーベルの誘いを断り、DIY にこだわっているところですよ!

【TOM】: 僕たちは必ずしもメジャーレーベルと仕事をしないわけではないんだよ。ただ、自分たちですべてを行うことで得られる創造的な独立性と経済的報酬、その観点からすると、これまで受けたオファーは意味をなさないということなんだよね。
大手レーベルと契約する理由の多くは、足がかりやオーディエンスを見つける手助けなんだ。僕たちは主に Bandcamp から有機的にファンを増やすことができたから、今僕たちの権利を手放すことは意味がないと思うんだよ。元々、パブで5人くらいを相手にライブをしていたんだけど、ネットの世界から熱狂的なファンが現れたんだ。今では、バンドのマスコット、悪魔のようなヤギのタトゥーを入れている人は20人以上いるんだよ。
バンドやレコードの流通を拡大することには前向きなんだけど、そのためにはレーベルを信頼し、クリエイティブなコントロールを同じレベルで維持する必要があると思う。

Q2: A lot of bands have been complaining about Spotify lately. What is your opinion of the streaming service? Do you think Bandcamp is still the best platform for artists and listeners?

【TOM】: We have all our records on Spotify and I’m sure we’ve gained fans through it, but it’s a terrible platform for album artists like us – it privileges single songs over albums, there’s lots of money controlling the big playlists, so it’s inorganic, and we get hardly any money through it. Bandcamp is almost the opposite – it’s kind of the online equivalent of the word of mouth, zine culture of the 80s and 90s. And it’s one of our biggest sources of income. I can’t speak more highly of that site – it’s single-handedly saving independent music culture.

Q2: 最近では、多くのアーティストが Spotify に対する不満を口にしています。音楽配信について、あなたの意見を聞かせていただけますか?やはり、Bandcamp が最良のプラットホームなのでしょうか?

【TOM】: 僕たちは Spotify にすべてのアルバムを提供しているし、それを通してファンを獲得していることも理解している。だけどね、アレは僕たちのようなアルバム・アーティストにとっては最悪のプラットフォームだよ。アルバムよりもシングル曲が優遇され、プレイリストをコントロールするために多くの資金が投入され、無機質で、そして僕たちはほとんどお金を得ることができないんだ。
Bandcamp はその逆で、80年代や90年代の口コミやジン・カルチャーに相当するようなオンラインのプラットホームなんだよ。僕たちの最大の収入源のひとつさ。インディペンデントな音楽文化をたった一つのサイトが救っているのだから、いくら高く評価しても言い足りないくらいだよ。

Q3: Another thing that’s great about you guys is that you’re not pigeonholed as a doom/stoner band. So, it was really interesting the idea of touring with Puppy, right?

【TOM】: We all love heavy rock music but we’ve also all got very broad tastes – and inspiration from totally different genres finds its way into the songs. You can find a Steely Dan type chord progression here, a Madball style breakdown there. Similarly, we don’t want to be pigeonholed as simply a genre band – we want to take the building blocks of doom and stoner and use them to create something modern – in the same way that, say, Turnstile have done for hardcore, or Power Trip did for crossover thrash. As long as the vibe is right, I can see us touring with folk artists, black metal bands, psychedelic pop bands… whatever feels right!

Q3: もう一つ、あなたたちが素晴らしいのは、ドゥーム/ストーナーの狭い枠組みにとどまってはいないことですよ。そういった意味で、近い意識を持った PUPPY とのツアーは面白い組み合わせでしたね?

【TOM】: 僕たちは皆、ヘヴィ・ロックが好きだけど、好みの幅が広いんだ。だから、全く異なるジャンルからインスピレーションを得て、曲の中に取り込んでいるんだよ。STEELY DAN のようなコード進行があったり、MADBALL のようなブレイクダウンがあったり。
僕たちは一つのジャンルにとどまるようなバントでいたくはないんだ。ドゥームやストーナーの構成要素を取り入れ、それを使ってモダンなものを作りたいと思っているんだよ。例えば、TURNSTILE がハードコアで、POWER TRIP がクロスオーバー・スラッシュ でやったようにね。雰囲気さえ合えば、フォーク・アーティストやブラックメタル・バンド、サイケデリックポップ・バンドなど、どんなバンドとでもツアーができると思っているよ。

Q4: Most doom/stoner bands go for more extreme music, but you guys seem to want to appeal to a rather wide audience. In that sense, you’ve been compared to Ghost a lot, what do you think of them?

【TOM】: I can’t speak for the rest of the band, but I used to obsessively check out every Rise Above Records band in the late 2000s, so I remember the first Ghost demo dropping. I remember thinking those songs sounded immediately classic, almost like lost music from the late 80s Scandinavian metal scene. The first record was great but I have to admit to losing interest since they went full AOR. But he’s obviously an incredibly talented songwriter and I think the presence of Ghost as an arena-level band is great for the scene, and ‘occult rock’ bands like us in general – if it helps bring more fans to shows, none of us underground bands can complain, really! As for wanting mass appeal, we’ve never tried to angle our sound that way, or been asked to by a label – Scott and I both like pretty classic songwriting – big choruses, big solos, catchy hooks – so it’s just what feels right rather than a conscious decision.

Q4: ほとんどのドゥーム/ストーナーバンドがより極端な音楽に進む中で、多くの層にアピールする音楽を目指すという意味では、GHOST とよく比較されますよね?

【TOM】: 他のバンドのことはあまり言えないけど、2000年代後半は Rise Above Records のバンドを片っ端からチェックしていたから、GHOST の最初のデモがドロップされたことはよく覚えているよ。80年代後半のスカンジナビア・メタル・シーン、その失われた音楽のように、彼らの曲はすぐにクラシックに聞こえると思ったことを覚えているんだ。
最初のレコードは素晴らしかったんだけど、彼らが完全な AOR になってしまってから、正直言って興味を失ったよね。でも、彼は明らかにすごい才能のあるソングライターだし、アリーナ・レベルのバンドとしての GHOST の存在は、シーンや僕らのような “オカルト・ロック” バンドにとって、全体的には素晴らしいことだと思うんだ。それでライブに足を運んでくれるファンが増えるのなら、僕たちアンダーグラウンド・バンドは文句がないからね。
だけど、大衆にアピールすることに関しては、自分たちのサウンドをそういう方向に持っていこうとしたことはないし、レーベルから頼まれたこともない。Scott も僕も、ビッグなコーラス、ビッグなソロ、キャッチーなフックなど、かなりクラシックなソングライティングが好きだから、意識的にそうしているというよりは、ただしっくりくるものを選んでいるだけなんだよね。

Q5: You guys focus on British folklore and horror stories, have you been interested in such stories since you were a child?

【TOM】: I can remember reading my parents’ copy of Folklore Myths and Legends of Britain, a bible-like tome on the subject, when I was a kid, and that definitely made an impression. I grew up in the deep countryside, which definitely shaped our lyrical standpoint too.

Q5: あなたたちは、英国の伝承やホラー・ストーリーをテーマとしていますが、そういった神話的なものには幼い時から興味があったのでしょうか?

【TOM】: 子供の頃、両親が持っていた “Folklore Myths and Legends of Britain” というバイブル的な本を読んだんだけど、それが確かに印象に残っているよね。僕は深い田舎で育ったから、歌詞の視点も確実にそれを元に形成されているんだ。

Q6: I love the artwork for “Black Harvest”, does it have anything to do with the theme of the album?

【TOM】: Absolutely – I discussed the themes of the album – autumn, the death of the year, the end of days – with Richard Wells the artist, and we both liked the idea of moulding them into a stained glass window design. With our first record, Woodland Rites, we pastiched a medieval artform on the cover – in that case woodcuts. So for album two we thought we’d move it on, but keep to the same principles. And there was something ironic about imbuing a usually religious form of design with occult iconography….

Q6: “Black Harvest” のアートワークも荘厳で素晴らしいですね。歌詞のテーマとも、リンクしているのでしょうか?

【TOM】: 間違いないね。秋、年の瀬、終末といった今回のアルバムのテーマについて、アーティストのリチャード・ウェルズと話し合ったんだけど、二人ともステンドグラスの窓のデザインに型取りするというアイディアが気に入ったんだよね。
最初のアルバム “Woodland Rites” では、中世の芸術様式(木版画)をジャケットに貼り付けたんだよ。だから、次の “アルバム2” では、それを発展させながらも、同じ原則を守ろうと考えたんだよね。それに、通常は宗教的なデザインに、オカルト的な図像、感覚を取り入れるのは、何か皮肉な感じがしたしね。

Q7: In this album, there are strong influences not only from bands like Black Sabbath, Witchfinder General, and Cathedral, but also from Deep Purple, Uriah Heep, and Queen, aren’t there? In particular, I love the warm organ sounds like Jon Lord. Is there a part of you that aimed to summarize the history of British rock in a way?

【TOM】: Absolutely – we’d all played in extreme metal bands in our youth, and when we started Green Lung we wanted to create something that harked back to the foundations of the genre, something that tried to tap into the magic of the days when you could hear a Tony Iommi riff or a Halford scream on mainstream radio.

Q7: “Black Harvest” では、BLACK SABBATH, WITCHFINDER GENERAL, CATHEDRAL といった “お決まりの” バンドだけではなく、DEEP PURPLE, URIAH HEEP, QUEEN といった英国の古典からの影響も強く感じられますね?
特に Jon Lord を想起させるハモンドの響きは素晴らしいですが、ある意味、英国ロックの歴史を総括したような作品という意識はありましたか?

【TOM】: その通りだよ。僕たちは皆、若い頃にエクストリーム・メタル・バンドでプレイしていた。それがあったから、GREEN LUNG を始めたとき、逆にこのジャンルの基礎に立ち返るようなものを作りたかったし、Tony Iommi のリフや Rob Halford の叫びをメインストリーム・ラジオで聞くことができた時代のマジックに触れようと思ったんだ。

Q8: I’ve never heard a doom and stoner sound as loud, uplifting, and party-inducing as yours. If you had to name a new genre, what would it be?

【TOM】: I think someone once said power psych?! Not far off…

Q8: それにしても、ドゥームでこれだけアップ・リフティングな音は他に聴いたことがありませんよ。新たなジャンルを形成したと言えるのかもしれませんね?

【TOM】: 誰かが “パワー・サイケ” と言っていたのをおぼえてるよ?!まあ遠くはないんじゃないかな…

FIVE ALBUMS THAT CHANGED TOM’S LIFE

CATHEDRAL “THE ETHEREAL MIRROR”

ELECTRIC WIZARD “WITCHCULT TODAY”

QUEEN “QUEEN Ⅱ”

URIAH HEEP “DEMONS AND WIZARDS”

BLACK SABBATH “SABBATH BLOODY SABBATH”

MESSAGE FOR JAPAN

We hope to come out to Japan as soon as we possibly can! We love Japanese bands like Church of Misery and Boris, and fingers crossed we can play a show for our Japanese fans in the not too distant future. Arigatou gozaimasu!

出来るだけ早く、日本に行きたいよ!CHURCH OF MISERY や BORIS を愛しているからね。誓って言うけど、そう遠くない未来、君たちのためにプレイできると思うな。ありがとうございます!

TOM TEMPLAR

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