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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【AUGUST BURNS RED : GUARDIANS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JB BRUBAKER OF AUGUST BURNS RED !!

“What I Don’t Like Is That Metalcore Has Become Almost a Dirty Word. The Genre Got So Oversaturated That It Got Predictable And Boring. It Was Around That Time That We Started To Talk Publicly About Breathing New Life And Originality Back Into Metalcore. We Also Started To Steer Away From The Word And Were Just Calling Ourselves a Metal Band.”

DISC REVIEW “GUARDIANS”

「AUGUST BURNS RED は可能な限り首尾一貫していようとしてきたんだ。自分たちのプレイしている音楽が気に入っているし、ヘヴィーな音楽を書き続けることに誇りを持っている。それこそが僕たちのやりたいことなんだ。」
メタルコア創造主の1人、AUGUST BURNS RED はその獰猛と誇りを失うことなくチャレンジを続けるジャンルの枢要な “ガーディアン” でしょう。
「僕が気に入らないのは、メタルコアという言葉がほとんど “ダーティーワード” “禁句” と化していることなんだ。このジャンルは非常に飽和してしまい、予想可能で退屈なものになってしまった。その状況は2012年から2014年にかけてが顕著だったね。」
複雑怪奇なリフイリュージョン、スポークンワードの冷徹、BETWEEN THE BURIED AND ME 由来の時間軸、クラシカルな旋律やアトモスフィア。フォーミュレイクなリフワークやブレイクダウンが蔓延したメタルコア世界で、プログレッシブな精神を保ち続ける ABR の心臓 JB Brubaker はいつしかその呼称自体を倦厭していきました。そうして自らをただメタルと称しながら、その実メタルコアに新たな生命と独創性を吹き込むことへ全力を投じ、ジャンルのリノベーションを誰よりも強く願ったのです。
「今では、メタルコアシーンの過飽和の多くは解消されたと思う。ジャンルは少し人気を落としているし、メタルコアバブルが弾けてからも続けているバンドは充分音楽を演奏するに値すると感じるからね。」
そうして LOATHE を筆頭にカラフルで技術に優れ才能豊かな若手が台頭した今、守護者が回帰した場所はルーツであるパンク、ハードコア、メタル全ての基盤である重量感でした。
実際、最新作 “Guardians” の作曲過程には、ボーカリスト Jake が重さが足りないと意見を出し、JB をはじめとした作曲陣がそれならば究極にヘヴィーな楽曲を作ってやろうと奮起した背景が存在します。
任務は完璧に遂行されました。眩暈を誘うリフエイジ、血管が決壊するスクリーム、地鳴りのようなブレイクダウン。一方でクラシカルな美旋律やアトモスフィアの荘厳は威力を増して、バンドのメカニカルなイメージを払拭しつつダイナミズムの魔法をよりレコードの深部へと植えつけました。
同時に、オーストラリアの怪物 PARKWAY DRIVE とのツアーも “Guardians” の哲学に影響を及ぼしたでしょうか。メタルコアをアリーナ対応のアンセムへと昇華した彼らのやり方は ABR にとってある種の衝撃でした。
攻撃の単純化、もしくは合理化とも呼べる発想の転換。JB 語るところのバンド史上最も簡素化されたストレートな楽曲 “Defender” には、3つのルーツ全てをもって素手で殴りつけるような露骨でダイレクト、獰猛なる緊張感が漲ります。
さらに、ビッグなコーラスとシンガロングパートを新たな武器として装填した “Bones”, “Paramount”, “Lighthouse” には、ヒロイックでアンセミックな即効性と躍動感が施され、よりアリーナという闘技場が似つかわしいバンドへとスケールアップを遂げています。中でもプログレッシブでシュレッドギターを満載しながら、シンガロングを強烈に誘う “Paramount” の仕上がりは圧倒的でした。
「クリスチャンであろうがなかろうが人には善良な人間になる責任があるはずさ。」
かつてクリスチャンメタルの旗手と謳われた ABR は、もはやその定義には拘っていません。ただし、JB はポジティブで思いやりを備えた人生の一つのテンプレートとして、キリスト教を大事に思っています。救いを求めるものに手を差し伸べる。この困難な時に、きっと “Guardians” は音楽を救いとする多くのメタル教信者にとって福音であり守護者となるはずです。
今回弊誌では、JB Brubaker にインタビューを行うことができました。「残念ながらツアーが中止になったことには失望しているけど、この世界的なパンデミックが音楽や ABR に関連するものよりもはるかに大きく重要であることも理解しているからね。人間の健康と福祉は娯楽よりも優先されるべきだからね。
でも出来るなら、この時間を利用して “Guardians” を聴いて欲しいと思うよ。きっとこの暗い時期を明るく照らしてくれるはずだから。」 どうぞ!!

AUGUST BURNS RED “GUARDIANS” : 9.9/10

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