EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH CARLOS LOZANO OF PERSEFONE !!
“I Remember I Read “Hagakure”, “Dokkodo”, “The Book Of Five Rings” And Works From Mishima Yukio. There Was Something On Those Books That Resonated With Me Since a Very Young Age And Made Me Look To Japan In a Very Personal And Respectful Way.”
DISC REVIEW “METANOIA”
「僕にとって日本は、幼少の頃から大きな存在だった。もちろん、アニメやゲームも入り口だったけど、やがて武道を嗜み、”葉隠”, “独行道”, “五輪書”、そして三島由紀夫の作品を読んだと記憶している。これらの本には、幼い頃から心に響くものがあって、とても個人的かつ尊敬の念を持って日本を見つめさせてくれたんだよね」
欧州のメタル侍。そう称したくなるほどに、PERSEFONE の生き様は彼らが深く薫陶を受けた日本の武士道を喚起させます。世界でも最小の国の一つアンドラから始まって、ビッグレーベルとの契約、Metal Hammer の表紙を飾るといったサクセスストーリーも、すべてはただ、 音楽的な”より善く” の探究を “潔く”、脇目も振らず続けた結果でしょう。
「どこの国でも2022年はストリーミングが主流だから、コンセプト・アルバムを作ることはマーケティング的に最も賢いやり方ではないかもしれないよね。でも、僕たちはただ音楽が好きなんだよ。最初から最後までリスナーに本物の音楽体験を提供したい。それが、僕たちにとっての PERSEFONE の音楽だから」
ストリーミング全盛の世の中において、壮大なコンセプト・アルバムにこだわり続ける。実際、主流に贖い自らの “正義” を通すそんな彼らの武士道こそ、PERSEFONE が世界に認められた理由の一つ。さらに彼らは、現代のプログ・メタル界において、おそらく他のどのバンドよりも破壊的で残忍なテック・デスメタルと、荘厳さ、スピリチュアルな詩歌を巧みに組み合わせることによって、その存在を際立たせているのです。心が洗われるような荘厳美麗の刹那、襲い来る津波のようなテクニカルの牙。その対比の魔法は中毒になるほど鮮烈で、PERSEFONE だけに備わった一撃必殺の抜刀術に違いありません。
「”Metanoia” は、人間の中の深い変化、痛みと意思よる変化についての作品で、個人の闇の奥深くに潜り、もはや役に立たないもの全てを手放し(”Katabasis”)、新しい存在として再び立ち上がる(”Anabasis”)ためのアルバムなんだ」
“悔い改める” というギリシャ語のタイトルが示すように、”Metanoia” は、主人公が精神的なメルトダウンに陥り、そこから抜け出すまでの道のりを辿る壮大な物語。地獄から抜け出すための第一歩は、そこに問題があることを認めること。つまりそれは、心からの内省なのかもしれませんね。前作 “Aathma” では、CYNIC の Paul Masvidal が物語の案内人を担当しましたが、今回は LEPROUS の Einar Solberg が担当。”Pitsfall” という “落とし穴” から蜘蛛の糸をたどって抜け出した Einar ほど、その大役に相応しい人はいないでしょう。
新たなプログレッシブの声による精神世界の対話が終わると、現実という地獄が突然解き放たれます。”Katabasis” の根幹を成すのまさには灼熱のリフワーク、地獄の業火。この曲の優美で繊細な瞬間は、強引に、しかし巧みに、残忍さや複雑さと対になっています。こうした繊細と破壊の戦いは、レコードに類い稀なるダイナミズムと流動性をもたらし、気が遠くなるような主人公の精神的苦痛を伝えるのみならず、リスナー自身の体に直感的な苦痛を植え付けていきます。
燠火に彩られた牧歌的なピアノの旋律がリスナーを迎え入れる “Leap of Faith” は、驚くべきサウンド体験だと言えます。彼らはもはや、心をゆさぶる音楽を演奏するだけではなく、芸術を通してカタルシスや超感覚までをも生み出せることを示した異能のインスト作品。それでも、PERSEFONE は PERSEFONE にしか飼いならすことのできない内なる神獣を宿していて、その発火を待ち焦がれる召喚獣の嗎が、複雑さと凶暴性をすぐさま呼び寄せていくのです。
「僕にとっては “Spiritual Migration” の時代は個人的に難しい時代だった。だからライブで楽しく演奏していても、多くの人が好きなアルバムだとわかっていても、あのアルバムを聴くのは結構キツいものがあるんだよ。だから、”Consciousness pt3 “を作るために “Spiritual Migration” のリフを再利用することは、ある種のセラピーだったんだ」
作品の後半で、 Spiritual Migration” を歌詞や楽曲の引用という形で数多く取り上げたのは、Carlos にとっても地獄から舞い戻るためのセラピーでした。トラウマを乗り越え、生まれ変わるために再訪した過去こそが “Consciousness Part 3″。もしかするとこの楽曲は、DREAM THEATER が20年以上も前に “The Dance of Eternity” で成し遂げたプログとインストの魔法を現代に蘇らせるタイム・マシンなのかもしれませんね。”Spiritual Migration” のオープニングを飾る独特のリズムパターンと、PINK FLOYD のセグメント、そしてあの “Flying Sea Dragons” で登場した海龍の如きタッピングで締めくくられる楽曲はあまりにも秀逸な復活の音の葉。
そうしてこの長い精神の旅路は、前作を彷彿とさせる組曲で終焉を迎えます。”Anabasis” 三部作において彼らは、ジャンルの壁や先入観をいとも簡単になぎ倒し、技術的な複雑さと感情的なサウンドスケープの奇跡的な婚姻によって映画のような没入感を生み出すことに成功しました。いつかの ANATHEMA のように、長く暗い内なる夜は永遠にも思えるが、太陽は確かに昇るのだと語りかけながら。優しく、静謐に。
今回弊誌では、Carlos Lozano にインタビューを行うことができました。「音楽は、僕たちの周りで起こるすべての狂気から、僕たちを逃れさせてくれるよね。僕たちは、世の中で起こっているすべてのことから、できる限り音楽を遠ざけておこうとしているんだ」どうぞ!!