EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MICHAEL “WHIP” WILTON OF QUEENSRŸCHE !!
“If We Were To Write Another Conceptual Album It Would Always Be Judged And Compared To The Original “Operation:Mindcrime” Album. Sequels Rarely Outshine The Original !!”
DISC REVIEW “THE VERDICT”
「QUEENSRŸCHE には37年の歴史があるんだ。だからね、どの時代にも大きなインパクトを与えられた、人生を変えてくれたっていう情熱溢れるファンがいる訳だよ。」
Chris DeGarmo も Geoff Tate もいない QUEENSRŸCHE に何を期待し求めるのか。
デジタルな叫びにプログレッシブの本能を込めた “Rage for Order”、メタル史に残るコンセプトアルバムの金字塔 “Operation: Mindcrime”、ラジオのエアプレイを支配した洗練の帝国 “Empire”、哲学と内省の楽園 “Promised Land”、そして時代の影を生き生きと描写した開拓地 “Hear In the Now Frontier” まで、2人の主役が牽引したレコードは全てが知性と冒険心でメタルの可能性を培養する妙想のシャーレだったのですから、その疑問はある種当然です。
DeGarmo が去り、齟齬を孕んだ Tate とバンドのアンバランスな営みが終焉を迎えた後、しかし QUEENSRŸCHE は Todd La Torre の輝かしき才能と原点回帰で長きアイデンティティークライシスを解消へと導きました。
「僕たちはどんなトレンドも追いかけたりはしないし、自分たちにとって正しいと感じる音楽だけを追求しようとしているんだ。」
おそらく、”女王の王国” を設立した Michiel Wilton の中には中途半端なトレンドの追求が不遇の時代招いたという想いがあるのでしょう。とは言え、過去にはトレンドを巧みに司って音の稜線を拡大していた時期もある訳で、この発言には近年の Tate の半端なセンスに対する鬱憤と後悔が透けて見えるようにも思えますね。
ただし、Geoff Tate がその歌唱力において唯一無二であったのは確かです。故に、バンドが完璧に QUEENSRŸCHE の声を代弁し余りある Todd を見出すことが出来たのはただただ行幸でした。
最新作のタイトル “The Verdict” とはすなわち “評決”。或いは、Todd 加入後の2作は “審議” 期間だったのかも知れませんね。つまり、この作品で現在の QUEENSRŸCHE に対する是非の判断が下されるのです。そしてきっと間違いなく、正義はここにありました。
もちろん、QUEENSRŸCHE という名前の裏に、張り巡らされた迷宮のような知性や背景を期待するならば現在の彼らには物足りない部分もあるでしょう。ただし、”The Verdict” にはそれを補って余りある瑞々しくも圧倒的エナジーと、研ぎ澄まされた充実の旋律美が存在するのです。
オープナー “Blood of the Levant” の重量感は、HATEBREED や BORN OF OSIRIS との仕事で名を上げた売れっ子プロデューサー ZEUSS との相乗効果でグルーヴの新風を吹き込みます。一方で、シンコペーションやハーモニーの美学はまさしく QUEENSRŸCHE の流儀で、結果として Michiel 言う所の 「バンド史上最もメタルかつプログレッシブな作品」を具現化しているようにも思えます。
あのビッグバンとも言える成功を経験した Michael と Eddie にとって、原点、QUEENSRŸCHE サウンドとは “Operation: Mindcrime” と “Empire” を指すはずです。実際、コンパクトに設計された作品には、当時の躍動感やロマンチシズムが明らかに戻って来ています。
ただ面白いことに、例えばエニグマティックな “Light-Years” を聴けば “Rage For Order” を、サイケデリックでシュールな “Inside Out” を聴けば “Promised Land” を、ボーカルエフェクトもグランジーな “Propaganda Fashion” を聴けば “Hear In the Now Frontier” を想起する “ライチアーミー” は多いはずで、つまり “The Verdict” には QUEENSRŸCHE が刻んだ長い旅路の集大成といった側面も確かに存在するのです。
アルバムは、「永遠に続くものは無い。ただ回転ドアのように入れ替わっていくんだ。」 とメンバーチェンジの悲喜交々を隠喩する “Dark Reverie” を境に Michael 語るところの “進化” の結晶を畳み掛けていきます。
それは、Todd の絶唱ハイトーンとシンセサウンドを活用したダークでドラマティックな世界。息つく暇もなく押し寄せる、劇的で静動、陰影濃くするダイナミズムの波は完璧なチームワークの賜物。名曲の目白押し。
そうして、評決の行方を見るまでもなくリスナーは、エレガントでアトモスフェリックな感情のポートレート “Portrait” に大きな喝采を送るのです。
オリジナルメンバーの一人であるドラマー Scott Rockenfield の不参加によりボーカルの Todd がドラムスも兼任していることは記して置くべきでしょう。ただし心配は無用。トレードマークのダブルチャイナ、ライドとハイハットの華麗な使い分けはまさしく Scott のそれですから。
今回弊誌では印象的なフックを刻み続ける Michael “Whip” Wilton にインタビューを行うことが出来ました。「もし今の QUEENSRŸCHE が気に入らないなら立ち去れば良いだけさ。」 どうぞ!!
QUEENSRŸCHE “THE VERDICT” : 10/10
INTERVIEW WITH MICHAEL “WHIP” WILTON
Q1: In Japan, Queensrÿche and Dream Theatre are the big two of Prog metal. So, we are really excited you two release fantastic new records at around same time! Of course, Queensrÿche have longer career than Dream Theater, but what mean they and their music to you?
【MICHAEL】: Queensryche and Dream Theater have toured together In the past. Their styles compliment each other with musical proficiency. We are fans of them and they are fans of us. Both bands have stood the test of time.
Q1: 日本では、QUEENSRŸCHE と DREAM THEATER がプログメタルの二神として崇められて来ました。その二大巨頭がほぼ時期を同じくして、どちらも素晴らしい作品をリリースしたのですからプログメタルファンも活気づいていますよ。
もちろん、QUEENSRŸCHE は DREAM THEATER より長いキャリアを誇りますが、彼らについてはどう思っていますか?
【MICHAEL】: QUEENSRŸCHE と DREAM THEATER は過去に共にツアーを行ったこともあるね。彼らは、音楽的な熟練度でお互いを補完し合うといったスタイルだね。
僕たちは彼らのファンで、彼らもまた僕たちのファンなんだ。そして何より、QUEENSRŸCHE も DREAM THEATER も長い時の試練に打ち勝って今もここに立っているんだからね。
Q2: Maybe, Prog metal has more than 35 years history, and you are definitely originator of the genre along with Fates Warning. Like Periphery, Animals As Leaders, so many “modern” Progmetal bands come into the scene. As an originator, what’s your perspective about the evolution of genre?
【MICHAEL】: Queensryche has a unique musical style that lends itself to many different genres. The progressive part of Queensryche comes from musical influences such as Yes, King Crimson and Pink Floyd. Though some of our music stretches the boundaries due to its melodic nature we find acceptance in styles of Metal and Hard Rock as well. That is why Queensryche has stayed true to its own style and still has fans from the early eighties as well as new to this day.
Q2: QUEENSRŸCHE は FATES WARNING と並んでプログメタルのオリジネーターだと思います。現在では例えば、PERIPHERY や ANIMALS AS LEADERS のように、モダンで細分化されたシーンには魅力的な新鋭も登場していますよね?
ジャンルの進化についてはパイオニアとしてどのような思いをお持ちですか?
【MICHAEL】: QUEENSRŸCHE は様々に異なるジャンルを由来とするユニークな音楽スタイルを持っているんだ。QUEENSRŸCHE のプログレッシブな部分は、例えば YES だったり、KING CRIMSON, PINK FLOYD といった影響に根差しているんだよ。
だけど、同時にメタルやハードロックを由来としたメロディックなスタイルも受け入れることにより、音楽的な境界線をより伸長させることになったんだ。
だからこそ、QUEENSRŸCHE は自らのスタイルに忠実で、今日でも80年代からのファン、そして新たなファンを保持していられるんだと思うな。
Q3: “The Verdict” is definitely your new masterpiece! This record has perfect balance between Metal and Prog, I think. How did you think about the balance when you were making “The Verdict”?
【MICHAEL】: This is a natural evolution for the band in its writing style. We don’t try to follow any trend we just right what we feel is right for us. I think there is definitely an excitement in the band and that reflects in its writing. We have always tried to make our songs interesting to play live and have depth for many a journey of pleasant listening.
Q3: 最新作 “The Verdict” は、仰るように QUEENSRŸCHE のスタイル、すなわちメタルとプログの素晴らしき婚姻をより完璧なバランスで祝う傑作となりました。
【MICHAEL】: この進化はバンドにとって実に自然なものだったね。僕たちはどんなトレンドも追いかけたりはしないし、自分たちにとって正しいと感じる音楽だけを追求しようとしているんだ。
バンドは今こそエキサイトしているし、その衝動が作曲にも投影されているね。QUEENSRŸCHE は楽曲を作るときにいつも心掛けていることがあってね。それは、ライブでプレイするときに面白いと感じて、多くのリスナーが旅のような楽しく深みのあるリスニング体験が出来るコンポジションなんだ。
Q4: Also, this record is diverse, full of energy and catchy melodies. So, compared with your past works, “Empire” is the closest record, I feel. Do you agree that?
【MICHAEL】: I would hope one would find links in the Queensryche discography as to a new edge that the band has now. With the DNA of Eddie and myself naturally it’s going to sound like old Queensryche. As with the others they have embraced the Queensryche way and style.
Q4: ハイエナジーとキャッチーなメロディーに満ちたカラフルなレコードは、過去の作品と比較するならば “Empire” に近いように感じました。
【MICHAEL】: バンドに現在備わっているエッジと同様に、過去の作品との繋がりを見つけてくれるのは嬉しいよ。だって、Eddie と僕の DNA は自然と過去の QUEENSRŸCHE サウンドへと向かうんだからね。
他のメンバーにしたって、QUEENSRŸCHE のやり方やスタイルをしっかり抱擁してくれているからね。
Q5: I was really surprised at Todd’s talent. His voice is of course, but also he played drums in this record! But, what made him play Scott’s part? And will he come back to the band someday soon?
【MICHAEL】: When we booked pre-production we were notified that Scott could not be a part of the recording and he gave his blessing to who ever was hired to record the drums. Todd was a natural stepping-stone to fulfill the part. The drums were written parts that reflect the past drumming of Queensryche style. As to the return of Scott your guess is as good as mine. His hiatus from the band is his decision and we value his privacy.
Q5: ボーカルの素晴らしさはもちろん、ドラムまでプレイしている Todd の才能は素晴らしいですね!もちろん、Scott の不参加は寂しいですが…近々復帰出来そうですか?
【MICHAEL】: プリプロダクションの予約をした時に、Scott はレコーディングに参加出来ないとわかったんだ。そして、彼も誰か他のドラマーを雇ってレコーディングを進めることに賛成していたんだよ。そして Todd は Scott の穴を埋める自然な選択肢だったんだ。このアルバムのドラムパートは、過去の QUEENSRŸCHE のドラミングスタイルを反映して書かれたんだよ。
Scott の復帰に関してだけど、君が近々と言ったけど僕もそうなれば良いと思っているよ。彼のバンド活動休止は彼の決断で、僕たちは彼のプライバシーを尊重しているんだ。
Q6: Producer, ZEUSS seems to become indispensable for Queensrÿche now, right? I think most of his works are Metalcore, Hardcore, and Modern metal. Do you think he brings modern blood, flesh sound to the band?
【MICHAEL】: Zeus is the conduit that puts it all together who organizes everything and makes the final call on scheduling, recording, mixing and mastering. He works great with us and knows how to pull the best performances from us. He has sharp ears and knows the Queensryche back catalog so he knows how the band should sound. The song writing feels fresh because of the combination of creativity that is present in this version of Queensryche.
Q6: プロデューサー ZEUSS はもはやバンドにとって不可欠な存在と言えそうですね?
どちらかと言えば、彼はメタルコアやモダンなメタルを多く手掛けて来たイメージがありますが、彼が QUEENSRŸCHE のサウンドをアップデートしている側面はあるのでしょうか?
【MICHAEL】: ZEUSS は全てをオーガナイズし取りまとめる導管のような役割なんだよ。スケジュール、レコーディング、ミキシング、マスタリングの最終的な決断を握りながらね。
彼は僕たちととても上手くやっていて、僕たちからベストなパフォーマンスを引き出す術を知っているんだよ。彼の耳はとても研ぎ澄まされていて、QUEENSRŸCHE の過去の作品も網羅している。だからバンドがあるべきサウンドも理解しているんだ。
ソングライティングが新鮮に感じられるのは、QUEENSRŸCHE の今のラインナップにおける創造性のコンビネーションによるものだろうね。
Q7: “Conceptual album” is kind of a synonym for Queensrÿche. After Todd came in, you took your signature sound back, but maybe there is no huge, conceptual epic, right? Do you want to make “Operation: Mindcrime” style record someday again?
【MICHAEL】: I cannot predict the future of songwriting but that trend has had its day with Queensryche. If we were to write another conceptual album it would always be judged and compared to the original Operation:Mindcrime album. Sequels rarely outshine the original!!!
Q7: コンセプトアルバムと言えば、過去には QUEENSRŸCHE の代名詞的な時期もありました。
Todd の加入以来、バンドのシグネチャーサウンドは復活しましたが、”Operation: Mindcrime” スタイルのエピックは制作されていませんよね?
【MICHAEL】: 僕たちのソングライティングについて将来の予想をすることは出来ないね。だけど、コンセプトアルバムのスタイルは当時の QUEENSRŸCHE にとってトレンドだった訳だよ。
もし僕たちが将来的にまたコンセプトアルバムを作るとしたら、必ずあのオリジナルの “Operation: Mindcrime” と比較され判断されるはずだよ。まあ続編がオリジナルより輝くことも稀にはあるんだけどね!!!(けどめったにないんだよ!!!)
Q8: You have very long history. That’s why, some old fans keep saying like “There is no Geoff Tate, where is Chris DeGarmo”. But most of fans bring in a “verdict” of not guilty, current line-up of Queensrÿche is justice in this record, haha. What do you think of the fans who still miss the past?
【MICHAEL】: Well Queensryche has had 37 years of recordings so you will always have passionate fans that like a certain decade that made a big impact on there lives. If you don’t like this version of Queensryche then just move on. We are doing just fine and have an army of loyal fans old and new that we have the privilege to tour the world for. We also are playing new places around the world and are signed to a major record label that puts out relevant recordings. In fact we just debuted in the German charts #6, which is the highest debut in Queensryche history. I say life is short celebrate the music and check out a Queensryche show.
Q8: QUEENSRŸCHE は非常に長い歴史を持つバンドです。故に、「Geoff Tate はもういないじゃないか、Chris DeGarmo はどこ?」などと発言するオールドファンも存在します。
“The Verdict” の素晴らしさはそういったファンに現在の QUEENSRŸCHE の正当性を提示する “評決” にも思えます。
【MICHAEL】: そうだね。QUEENSRŸCHE には37年の歴史があるんだ。だからね、どの時代にも大きなインパクトを与えられた、人生を変えてくれたっていう情熱溢れるファンがいる訳だよ。
もし今の QUEENSRŸCHE が気に入らないなら立ち去れば良いだけさ。僕たちは快調だし、忠実なオールドファンから新たなファンを抱えて世界中をツアー出来る。さらに言えば、新たな場所でもどんどんプレイしているし、メジャーレーベルと契約してレコーディング環境にも恵まれているんだ。
実際、”The Verdict” はドイツのチャートで初登場6位だった。これは QUEENSRŸCHE の歴史においても最高のものだよ。つまり何が言いたいかって、人生は短いんだ、素敵な音楽を享受して、QUEENSRŸCHE のショウに来て欲しいね。