EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH HADES APPARITION OF DEVIL MASTER !!
“I Think The Desire To Find The Most Chaotic And Moribund Sound Is What Drew Us To Japan’s Underground Music Scene. It Has Had a Huge Impact On Us Musically And Aesthetically.”
DISC REVIEW “SATAN SPITS ON CHILDREN OF LIGHT”
「僕たちのライティングプロセスにおいて、禁止されていることは何もないし、創造的なプロセスを阻害するいかなる意図も働かないよ。」
エクストリームミュージックの世界において、ジャンルの “純血” を守るためのみに存在する特有の “ルール” はもはや過去のものへとなりつつあります。ヴァンパイアの血を引く “漆黒のプリンス” を盟主に仰ぎ、フィラデルフィアから示現したオカルト集団 DEVIL MASTER は、天衣無縫な怪異の妖気でメタル、ハードコア、ゴス、ポストパンクといったジャンルのボーダーラインをドロドロに溶かしていきます。
「 G.I.S.M., ZOUO, MOBS, GHOUL, GASTUNK…間違いなく彼らの影響は、僕たちが成そうとしていることの基礎となっているね。最も混沌とした、瀕死のサウンドを見つけたいという願望が、日本のアンダーグラウンドミュージックシーンに僕たちを引き寄せたんだと思うよ。」
ブラックメタルの歪みと混沌、スラッシュの突進力、衝動的なハードコアのD-beat、ゴシックロックの濃密なメランコリー、揺らぐポストパンクのリバーブ、そしてクラッシックメタルの高揚感。モダンメタルの多様性を究極に体現する DEVIL MASTER の音の饗宴。その骨子となったのは驚くことに、ここ日本で80年代に吹き荒れたハードコアパンクの凶悪な嵐、いわゆるジャパコアでした。
確かに、ZOUO のサタニックなイメージをはじめとして、パンクらしからぬ高度な演奏テクニック、ノイジーでメタリックなサウンドメイクなど、良い意味でガラパゴス化した当時のジャパコアシーンの異端なカオスは、DEVIL MASTER の原点としてあまりに符号します。
そして皮肉なことに、DEVIL MASTER が極東の前世紀アンダーグラウンドを起点として、多彩な阿鼻叫喚を創造したのは、今現在 「大半のモダンメタルが陥っている一種の停滞から自身をしっかり識別、認識させたいという願望」 にありました。
「サタニズムに纏わる事柄は、間違いなく僕たちの音楽に内包されているね。だけど、僕たちのアプローチは確実に典型的な意味では用いられていないんだ。」
ギターの片翼 Hades Apparition も固執する “典型” を嫌うマスターの哲学。さらにマスターマインド Darkest Prince は、「サタンは世界を前進させる力だと思う。神にも似て…いや神なんてものはいない。それは”フォース”の名称であるだけさ。邪悪だって存在しない。ただ、”道義心” が社会を形作っているだけなんだよ。」 と語ります。
つまり、彼らのサタンは “生を肯定” する存在。サタニズムを邪悪や悲惨のネガティブな一元論で語るバンドが多い中、”Devil Is Your Master” に示された通り DEVIL MASTER は、”マスター” という “フォース” の栄光を讃えることで、サタニズム由来のメランコリズムと高揚誘う勝利のサウンドを見事に両立しているのです。
EP のコンピレーションを経て Relapse からリリースとなったデビューフル “Satan Spits on Children of Light”。ピアノに始まりピアノに終わるレコードは、”Skeleton Hand” でハイテンションのホラーパンクを、”Desperate Shadow” で MERCYFUL FATE の劇場感を、”Dance of Fullmoon Specter” では古の日本の伝承を探求し、70年代のオカルト映画に通じる退廃的な邪悪をシアトリカルに体現するスペクタクルとなりました。それは聴覚とそして視覚からリスナーを地獄の底へと誘う旅。
CODE ORANGE, POWER TRIP を手がけた Arthur Rizk のプロデュースはまさしくクロスオーバー最先端の証でしょうし、もちろん、GHOST の手法を想起するリスナーも多いでしょう。
今回弊誌では、Hades Apparition にインタビューを行うことが出来ました。「一つの旗の下に音楽を創作するという典型的な “近視” の状態ではなく、僕たちの全ての影響を出したいと願うよ。そうすることで、僕たちの音楽に住む混沌とした性質をさらに加速させることが出来ると思うんだ。」 どうぞ!!
DEVIL MASTER “SATAN SPITS ON CHILDREN OF LIGHT” : 10/10
INTERVIEW WITH HADES APPARITION
Q1: We, Japanese, are really excited about Devil Master’s appearance! Because, lot’s of Japanese underground hardcore acts are in the spotlight by your big love. But what inspired you to start listening to very underground music in our country?
【HADES APPARITION】: For some time we have been huge fans of Japanese punk and metal it was a very unifying factor to our early beginnings. I think the desire to find the most chaotic and moribund sound is what drew us to Japan’s underground music scene. It has had a huge impact on us musically and aesthetically.
Q1: 日本のアンダーグランドなハードコアを愛する DEVIL MASTER の出現で、日本のシーンにもスポットライトが当たっています。それにしても、遠く離れたこの地のアンダーグランドな音楽に惹かれたのはなぜですか?
【HADES APPARITION】: バンドを始めるしばらく前から、僕たちは日本のパンクとメタルの大ファンだったんだ。だからそういった影響は、活動の初期においてバンドを統一する重要な要因だったんだ。
最も混沌とした、瀕死のサウンドを見つけたいという願望が、日本のアンダーグラウンドミュージックシーンに僕たちを引き寄せたんだと思うよ。それは音楽的にも審美的にも僕たちに大きな影響を与えているからね。
Q2: Specifically, from what Japanese bands were you influenced?
【HADES APPARITION】: G.I.S.M., Zouo, Mobs, Ghoul, Gastunk… Absolutely their influence are the foundation to what we try to achieve. The sense of palpable chaotic darkness in their music and aesthetic is what we collectively draw from. Our music is an extension of this as we try to push these ideas even further. Their music is unlike any other and it’s very easy to see how that has impacted us.
Q2: 具体的に、どういった日本のバンドから影響を受けているのでしょう?
【HADES APPARITION】: G.I.S.M., ZOUO, MOBS, GHOUL, GASTUNK …間違いなく彼らの影響は、僕たちが成そうとしていることの基礎となっているね。彼らの音楽と美学における明白で混沌とした闇の感覚は、僕たちがバンドとして集合的に引き出そうとしているものなんだ。つまり、僕たちの音楽はそういったアイデアの拡張で、そこからさらに推進させようとしているんだよ。
彼らの音楽は他とは違っているから、それが僕たちにどのような影響、インパクトを与えているかを探るのはとても簡単だと思うな。
Q3: It’s incredible that your music is great mixture of death/black metal and underground hardcore, but also there are definitely nice vibe or tone of goth, new-wave and post-punk. Do you agree that?
【HADES APPARITION】: I think the desire to discern ourselves from the sort of stagnation of most modern metal is what pushed us to achieve this sound. When it comes to writing our music nothing is necessarily forbidden and we never intend to stifle our creative process. At this point as a band we have achieved a certain sound so to speak but that’s not to say we are not open to the influence of even more than those specific genres.
Q3: デス/ブラックメタルとアンダーグランドなハードコアを見事にミックスしながら、同時にゴスやニューウェーブ、ポストパンクのヴァイブ、トーンをナチュラルに組み込む DEVIL MASTER の音楽性は驚異的です。
【HADES APPARITION】: 僕はね、大半のモダンメタルが陥っている一種の停滞から自身をしっかり識別、認識させたいという願望が、このサウンドを達成するために僕たちを駆り立てたんだと思う。僕たちのライティングプロセスにおいて、禁止されていることは何もないし、創造的なプロセスを阻害するいかなる意図も働かないよ。
現時点で、バンドとして僕たちは言わば特定のサウンドを完成させたようなものだと思う。だけどね、だからと言って、僕たちが今取り入れている特定のジャンル以外からの影響を受け入れないという訳ではないんだよ。
Q4: So, it seems Devil Master has a lot of roots and diversity. How did the unique collective get together?
【HADES APPARITION】: Our members are all from very distinct backgrounds and with that they carry their own unique perspective and influence when it comes to extreme art and music. Rather than the typical myopia of creating music under one banner we implore the distinction of all our influences when it comes to creating. We think this further adds to the chaotic nature of our music. As stated before one unifying factor of our collective has always been a reverence for Japanese hardcore and with this in mind we began creating. Allowing our sound to evolve as organically as possible has been the most important tenant of band.
Q4: つまり、DEVIL MASTER には実に多様なルーツが存在する訳ですね?
【HADES APPARITION】: DEVIL MASTER のメンバーは、全員が非常に異なるバックグラウンドを持ち、それぞれが独自のユニークな観点と影響で創造を続け、そうしてエクストリームなアートと音楽を生み出しているんだ。つまり、一つの旗の下に音楽を創作するという典型的な “近視” の状態ではなく、僕たちの全ての影響を出したいと願うよ。そうすることで、僕たちの音楽に住む混沌とした性質をさらに加速させることが出来ると思うんだ。
さっきも言ったけど、僕たちの集団を統一する一つの要素として、常に日本のハードコアに対するリスペクトがあり、これを念頭に置いて DEVIL MASTER の音楽を創出したんだよ。そして、その僕らのサウンドを出来るだけ有機的に進化させることこそが、バンドの最も重要な目標なんだ。
Q5: “Life-affirming Satanist” is kind of a keyword of Devil Master. You know, it seems you grasp satanism positively, right? Of course, lot’s of black metal bands take it as a symbol of misery, or evil. What’s your perspective about the difference?
【HADES APPARITION】: Yeah, those things are still certainly subject matters we embrace with our music but our approach has certainly not been of the typical sense. I think the dualist nature of our sound is sort of a perfect exemplification of what this may mean. The sense of melancholia as well as triumph our sound imbues is very reflective of our bands philosophical approach so to speak. Our music is for the glorification of the master!
Q5: 大半のブラックメタルバンドは、サタニズムを邪悪や悲惨の象徴として掲げています。サタニズムをポジティブに捉える DEVIL MASTER は “生を肯定する” サタニストとも言えますね?
【HADES APPARITION】: うん、サタニズムに纏わる事柄は、間違いなく僕たちの音楽に内包されているね。だけど、僕たちのアプローチは確実に典型的な意味では用いられていないんだ。
DEVIL MASTER サウンドの二元主義的な性質は、その典型的でないサタニズムが完璧な例だと思うな。メランコリックな感覚と勝利のサウンドの並立は、いわば僕たちの哲学的アプローチを素晴らしく反映しているんだよ。 そして僕たちの音楽は “マスター” の栄光のためにあるんだ!
Q6: I really love the artwork of “Satan Spits on Children of Light”. It’s so evil but very beautiful. Does it represent “dualist” and a concept or lyrical theme of the record?
【HADES APPARITION】: While it certainly represents much of what we create musically the art of the album harkens back to the more visceral times of musical discovery. Much like the works of Daniel Seagrave and Marc Rudes eponymous cover for Earth A.D. we wanted to send the listener on their own journey through the depths of hell visually and auditorily.
Q6: “Satan Spits on Children of Light” はアートワークも素晴らしいですね。実に邪悪で退廃的で、しかし審美的です。先程仰ったバンドの “二面性” を表しているようにも思えます。
【HADES APPARITION】: アルバムのアートワークは、確かに僕たちが音楽的に創り出すものの多くを表しているね。音楽的発見がより本能的だった時代にまで遡るようなね。
Daniel Seagrave と Marc Rudes の仕事は始祖である THE MISFITS の “Earth A.D.” にも並ぶものだね。僕たちはリスナーに聴覚と視覚から地獄の深い部分まで自身の旅をして欲しかったのさ。
Q7: Regarding visual, Your Music video, live show reminds me 70’s occult horror films like “Suspiria”, “Dawn of the Dead”, “The Wicker man”. Are you inspired by these kind of movies?
【HADES APPARITION】: Certainly much of the influence for our video comes from the decadent evil of occult horror films especially those of the 1970s. The films of Argento, Fulci and Hammer Horror studios have been very impactful on us as artists. The reverberations of their elegant approach to the macabre can be seen in much of what we do visually.
Q7: ビジュアルと言えば、DEVIL MASTER のミュージックビデオやライブは、例えば “サスペリア”、”ゾンビ”、”ウィッカーマン” といった70年代のオカルト映画に通じていますよね?
【HADES APPARITION】: 確かに、僕たちのビデオに対する影響の大部分はオカルトホラー映画、特に1970年代の作品に宿る退廃的な邪悪をインスピレーションとしているね。 Argento、Fulci、Hammer Horror スタジオの映画は、アーティストとしての僕たちに大きな影響を与えて来たんだよ。
彼らのエレガントなアプローチから伝わる残響は、僕たちが視覚的に挑戦していることの大半に存在しているんだ。