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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【LILLIAN AXE : FROM WOMB TO TOMB】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH STEVE BLAZE OF LILLIAN AXE !!

“Now, We Are Being Called Prog Rock. I Actually Feel We Are In a Category Of Our Own, Having Influences From All Types Of Music.”

DISC REVIEW “FROM WOMB TO TOMB”

「僕たちはどのカテゴリーにも当てはまらないという点で、とてもユニークな存在なんだ。僕らが出てきた当時は、そういった音楽が流行っていたからヘアメタルというジャンルに括られていた。だけど今、僕たちは “プログ・ロック” と呼ばれているんだからね!あらゆるタイプの音楽から影響を受けている僕たちは、実は自分たちだけのカテゴリーに属していると思う」
LILLIAN AXE は、常にメロディック・ロックの境界線を越え続けてきたバンドです。セルフ・タイトルのデビュー作と、それに続く “Love + War” で名を上げた彼らは、RATT との深いつながりや WARRENT の Jani Lane が加入寸前だったこともあり、ポップな恩恵を受けつつもその黎明は “ヘアメタル” のカテゴリーに幽閉されていたとも言えます。
「”Psychoscizophrenia” が僕らの時間軸の中で大きなランドマークだったということには、僕も同意するよ。曲作りに関して、僕はあのアルバムで心が大きく開くのを感じたんだ。だからこのアルバムは、僕たちの歴史の中で決定的な場所になったと感じているよ」
その才能が完全に開花したのは、1992年、まさにヘアメタルの徒花となった “Poetic Justice” でした。後に、CROWBER や BLACK LABEL SOCIETY, GODSMAC などとも共闘するメンバーを輩出した LILLIAN AXE は、首領者 Steve Blaze が語るようにアメリカ南部の血脈、ルイジアナの神秘性をメロディック・ロックに配合していきます。骨太でありながら知的、ポップでいながらダークで、リリカルな玉手箱はここに一つの完成を見ます。
世はグランジ全盛。しかし、神秘の暗がりが出身地である LILLIAN AXE にとって、主流の逆転はむしろ吉。繊細なメランコリアや重量感を増したダークなアトモスフィア、ステレオタイプからの脱却を纏った “Psychoschizophrenia” は、時代の狭間に置き忘れるにはあまりにも印象的な辞世の句となったのです。
「”From Womb to Tomb” は、僕たちの決定的瞬間であり、作品だと感じているよ。LILLIAN AXE を最も完璧に定義するアルバムなんだ!君の言う通り、まさに素晴らしい映画のサウンドトラックになると確信しているよ。オーケストラや合唱団と一緒にライブをすることを話し合っているくらいでね」
解散と再結成を経てメンバーも大きく変わりましたが、Steve Blaze と彼のバンドは今も、メロディック・ロックの開拓者として実験と挑戦を重ねています。10年ぶりとなる “From Womb to Tomb” は文字通り Steve の自伝とも思える “ゆりかごから墓場まで” のコンセプトで、その魅力的な音の多様性によって高められた作品はメロディックもプログレッシブも超越した、サウンドトラック・ロック、濃密なストーリーをもたらしているのです。そうして典型的な心の葛藤以上に、”From Womb to Tomb” は世界の現状、人類の寿命、人生の栄光と苦悩を深く正直に明らかにしていきます。
エニグマティックで美しいピアノセクション、スタッカートのストリングス・アレンジ、鳴り響く鐘の音に混ざり合い、溶け出す重暗いリフと濃密なコーラス、崇高なボーカル・ライン。メロディックな光沢とパワフルなメタルの毒気は、プログレッシブな探求やサイケデリックなクワイア、アコースティックの浪漫によって典型から遠く離れて、音楽的な賞賛を一身に受けとめます。
物語の終幕は “Ascension”。心と魂の再生はまさしくこの感嘆符のような作品の象徴です。メランコリックな歌声が響き渡り、神聖な終わりへと向かっていく。華やかさと壮大の間を行き来するこの曲は、古と新、子宮と墓、誕生と死に歴史の反復を投影しながら次の輪廻へと誘うのです。メロディック・ハードからの PAIN OF SALVATION に対する解答。素晴らしきリスニング体験、素晴らしき人生観。
今回弊誌では、Steve Blaze にインタビューを行うことができました。「僕のソロは、それぞれ楽曲のストーリーの重要な部分として取り組んでいるからね。ただ、技術的な強みを誇示するためではなく、音楽的、感情的に曲にフィットするように創作しているんだ」どうぞ!!

LILLIAN AXE “FROM WOMB TO TOMB” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【A-Z : A-Z】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MARK ZONDER OF A-Z !!

“The Main Focus Was Songs And Big Catchy Choruses. Nothing Better Than a Catchy Sing-Along Chorus.”

DISC REVIEW “A-Z”

「大衆にアピールしつつ、自分たちらしさも忘れない。それが当初からの目標。主な焦点は歌とキャッチーなコーラスだった。 そういうことをするバンドは、たいてい世界で一番大きなバンドだ。でも、このバンドで演奏しているメンバーなら、同時に素晴らしい音楽性が光るし、プログの人たちにもアピールできると思ったんだ。キャッチーなシンガロング・コーラスほど素晴らしいものはないからね」
FATES WARNING, WARLORD のドラマーとして名を馳せた Mark Zonder が2020年初頭に新バンドの計画を立てた時、彼は非常に明確なビジョンを持っていました。それは、ビールのコマーシャルや車のコマーシャルで使えそうな音楽。ただし、なにもポップスやヘアメタルが作りたかったわけではありません。これまでのキャリアを活かした洗練された音楽パートを保ちつつ、ハーモニーやメロディー、ビッグなフックを最優先に取り組むことにしたのです。なぜなら、それこそが 「リスナーの大多数が求めるものだから」。
洗練された知性とコマーシャルな大衆性の両翼をどちらも羽ばたかせるために選んだメンバーは極上でした。Steve Vai/ RING OF FIRE のベーシスト Philip Bynoe、ARABESQUE などで知られるギタリスト Joop Wolters、先ごろ美しきリーダー作を発表したキーボーディスト Vivien Lalu。そして最後のピースとなる “歌” を Mark が探した時、そこに降臨したのはかつて FATES WARNING で苦楽を共にした名シンガー Ray Alder だったのです。
「彼がコマーシャルな音楽に夢中になっていることは以前から知っていたし、何より彼はこの種の音楽を理解して、いつもとてもコマーシャルなポケットの中のグルーヴで歌ってくれると思っていたんだ」
A-Z というバンド名は Alder Through Zonder の意味。そこにはもちろん、悠久の時を超えたリユニオンの浪漫も込められていますが、それ以上に名前でバンドの音楽を限定してリスナーの数を決めてしまいたくないという強い想いが存在します。例えば、ドラゴンや剣を題材にすればメタルのリスナーを、大自然や宇宙をテーマにすればプログのリスナーをある一定数は取り込めるでしょうが、彼らはリスクを犯してでもそんな狭い檻を飛び出したいのです。
「個人的にはこういう大衆受けするヒット曲の音楽の方がずっと好きだったんだ。”Perfect Symmetry” の “Through Different Eyes” で、FATES WARNING の商業的な分野での発展が見られるとあの時思ったんだよな。あのドラムのパートは、誰もがついていけるような素晴らしいグルーヴとフィーリングを作り上げているよ」
とはいえ、これが FATES WARNING という運命的な夢の続きであることも事実。以前 Daymare Recordings からの再発盤のライナーにも記したとおり、FATES WARNING はある種カメレオン的な性格を有していて、時と場所を選びながら様々な方向に振れていったのですが、ビルボード20位という結果が示すとおり “Parallels” は最も異質で最もコマーシャルな作品でした。疑いようもなく、QUEENSRYCHE の大成功にも影響を受けていたでしょう。
コンパクトで洗練されていて知的でメロディアス。以降、Mark はアーティスティックな方向に進む FATES WARNING にある種の違和感を抱いていたのでしょう。つまり A-Z は “もし FATES WARNING が商業的な成功を追いかけていたら?” という If の世界を具現化したスーパーグループでもあるのです。
興味深いことに、ここでの Ray Alder は FATES で見せるハイパーな歌唱を捨てて、Harry Hess のようなハーモニー、メロディー、声質のアプローチを選択しています。加えて、名手たちのツボを押さえたテクニカルな演奏、洗練された作曲術によって、開幕から HAREM SCAREM や MILLENIUM を想起させるプログレッシブ・ハードの目眩く世界が展開されていきます。ただし、そこだけに終わらないのがこのバンドの恐ろしいところで、Vai 時代の ALCATRAZZ, TOTO, 80年代の YES に RUSH といったジャンルを超越したまさにロックの A-Z な色彩の妙がアルバムを通して展開されていくのです。
どの楽曲にも、オッ!と感じる旋律やウッ!と拳を握りしめるフックが必ず内臓されているのがミソ。結局、複雑極まる音楽でも単純明快な音楽でも、メロディーが死んでしまっては意味がありません。そうして英雄たちの邂逅は、FATES WARNING 夢の続きを確信させる3連打で幕を閉じるのです。
今回弊誌では、Mark Zonder にインタビューを行うことができました。「DREAM THEATER は “Pull me Under” が MTV でとてもプッシュされたからね。その後メジャーレーベルの助けも借りて成功を収めたんだ。もちろん、彼らは自分たちのやり方を貫き、とても努力した。 だけど同時に、ビデオ再生やメジャーレーベルの力、リソースも非常に役立ったのはたしかだよ」どうぞ!!

A-Z “A-Z” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【FREEDOM CALL : M.E.T.A.L.】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH CHRIS BAY OF FREEDOM CALL !!

“We Just Used The Word “Metal“ For This Common Threat. In This Moment We Got This Vision. If All People Around The World Would Be Metal Fans…We Would Have Peace On Earth!”

DISC REVIEW “M.E.T.A.L.”

「今日の世界において全ての元凶の一つは、全員が共通の価値観やバランスの上で生きていないことなんだ。異なる興味、宗教間の行き違い、そして政治家は金の亡者さ。だから僕たちは “メタル” という言葉を共通点に提案したんだ。もし世界中全ての人たちがメタルファンだったら…きっと世界に平和をもたらすことができるはずさ。」
白砂糖に蜜を敷きつめたウルトラブライトなメロディー、劇画的王道ファンタジーな世界観、そしてディフォルメを加えたユーモアの精神。FREEDOM CALL は自らが掲げる “ハッピーメタル” のクルセイダーとして20年ものキャリアを積み上げてきました。
十字軍の魔法は、マスターマインド Chris Bay の演奏者、メロディーメイカー、そしてプロデューサーとしての卓越した能力を三叉撃として発動しています。
例えば SAXON 中期の快作 “Metalhead” のキーボードを聴けば Chris のマルチな才能と音算能力が伝わるはずです。さらに、根からはオールドスクールを、葉脈からはコンテンポラリーを吸収したポップの大樹 “Chasing the Sun” で花開いた光の音の葉は、メロディーの騎士に相応しい壮麗と華美を誇っていたのですから。
「”車輪の再発明” を行うつもりはないんだよ。音楽において最も重要な部分は、リスナーを心地よくすることなんだから。例え1人でも FREEDOM CALL の楽曲を聴いて幸せになってくれる人がいるなら、僕は完全に満足なんだ。」
ポジティブに振り切れたハッピーメタルの真髄は全てがこの言葉に集約しています。メタルをただキャッチーの極みへと誘う Chris の大願は、そうして10枚目の記念碑 “M.E.T.A.L.” で完璧に実現へ至ることとなりました。
メタルの数字である “666” を敢えて避け、エンジェルナンバー “111” をタイトルへと掲げたメタルとゴスペルの白き調和 “111 – The Number of the Angels” で FREEDOM CALL はリスナーを “ハッピーメタル” の領域へと巧みに誘い込みます。
記念碑としてリアルなメタルアルバムを目指した作品において、タイトルトラック “M.E.T.A.L.” はまさにメタルの予想可能性、完成された様式を現代的に具現化した楽曲でしょう。Brian May の遺伝子を引き継いだギターの魔法はクラッシックな隠し味。実際、「新曲を全部シンガロングするのが聴きたいね。」 という Chris の言葉は伊達ではありません。一聴しただけで全て口ずさみたくなるほど、”M.E.T.A.L.” の “11” 曲は突き抜けてキャッチー&ハッピーです。
ただし、人生を変えたアルバムに ELP, SUPERTRAMP が含まれていることからも、楽曲の豊富なバラエティーやフックが他の平面的なメタルレコードとは異なることが伝わるはずです。「ただメタルを書いて生み出し続ける “メタルマシーン” みたいにはなりたくないからね。」 “Sail Away” を筆頭に、キーボードやシンセサイザーのエフェクトが醸し出す音の風景も時に神々しい奇跡、無類のドラマを演出します。
そして何より、ソロアルバムの影響は絶大でした。”The Ace of the Unicorn” などは特に顕著ですが、「おそらく、両方の感覚があるんだろうな。僕は間違いなくオールドスクールなソングライターなんだけど、同時にモダンな音楽にも合わせていこうとしているからね。」 の言葉が示す通り、メンバーの変遷と共に再生を果たした FREEDOM CALL のポップセンスはモダンにアップデートされていて、典型的なロック/メタルのイヤーキャンディーにメインストリームの計算された洗練を巧みに練り込んでいるのです。
もちろん、FREEDOM CALL に宿る “光” の正体とは、”Keeper” を継ぐ者の使命であるメジャーキー、メジャーコードの完璧なる支配でしょう。陽光と哀愁のコントラストこそドイツの誇り。ダーク&シンフォニックに統一された前作 “Master of Light” はむしろ異端でした。しかしそれ以上にコンテンポラリーな音の葉までも抱きしめるポジティブなスピリットこそが核心なのかもしれませんね。
それにしても、FREEDOM CALL 然り、MAJESTICA 然り、FROZEN CROWN 然り、GLORYHAMMER 然り、TWILIGHT FORCE 然り、今年は推進力と旋律の二重奏が革命的なメロディックパワーメタルの快作が多数降臨していますね。
今回弊誌では、Chris Bay にインタビューを行うことが出来ました。「僕たちは “ハッピーメタル” の十字軍で、自らが光の…マスターなんだから。」どうぞ!!

FREEDOM CALL “M.E.T.A.L.” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【W.E.T. : EARTHRAGE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ROBERT SÄLL OF W.E.T. !!

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Melodic Hard Super-Stars, W.E.T. Has Just Released Definitely One Of The Best Record In The Genre “Earthrage” !! Are You Ready For “Burn” And “Watch Their Fire” ?

DISC REVIEW “EARTHRAGE”

WORK OF ART, ECLIPSE, TALISMAN。メロディックハードの幾星霜に足跡を刻んだ三雄を頭文字に戴くスーパーグループ W.E.T. が、捲土重来を期すジャンルの王政復古 “Earthrage” をリリースしました!!瑞々しいアリーナロックの雄々しき鼓動は、地平の年輪に印されしかつての栄光を確かに呼び覚まします。
WORK OF ART と ECLIPSE。2000年代以降、メロディックハード希望の星は明らかにこの両雄でした。片や洗練の極みを尽くす AOR、片や情熱と澄明のハードロック。
しかしインタビューで語ったように、スウェーデンの同じ学校から輩出された2つの綺羅星 “W” の象徴 Robert Säll と “E” の象徴 Erik Mårtensson は、至上のメロディーを宿すシンクロニティー、宿命の双子星だったのです。実際、2人の邂逅は、AOR とハードロックの清新なる渾融を導き、ジャンルのレジェンド Jeff Scott Soto の熱情を伴って唯一無二の W.E.T. カラーを抽出することとなりました。
故に Robert の 「最初の2枚では、僕と Erik がかなりコラボレートして楽曲を書いていたんだ。だけど、今回の作品のソングライティングに僕は全く関わらなかったんだよ。」という発言はある意味大きな驚きでした。
それは何より、”Earthrage” が疑いようもなくバンドの最高傑作となり得たのは、前作 “Rise Up” で顕著であった硬質なサウンド、メタルへの接近をリセットし、Robert の得意とする80年代初頭のオーガニックなメロディックロックを指標したからに他ならないと感じていたからです。
つまり、「”Earthrage” を制作する際に Erik と話し合ってあのオーガニックなスタイルを取り戻すべきだと感じた訳さ。」と語るように、もちろん Robert から方向性についてのサジェスチョンはあったにせよ、”Earthrage” における奇跡にも思える有機的な旋律の蒸留、ハーモニーの醸造、ダイナミズムの精錬には改めて責任を一手に負った Erik Mårtensson というコンポーザーの開花と成熟を感じざるを得ませんね。
予兆は充分にありました。ECLIPSE のみならず、NORDIC UNION, AMMUNITION 等、歴戦の猛者達との凌ぎ合いは、明らかに Erik の持つ作曲術の幅を押し広げ、効果的で印象に残るコーラスパートの建築法を実戦の中で磨き上げて行ったのですから。
アルバムオープナー、”Watch The Fire” はまさに Erik とバンドが到達した新たな高みの炎。冒頭に炸裂する生の質感を帯びた強固なリズムと、期待感に満ちたギターリフはまさしく ECLIPSE 人脈から Magnus Henriksson & Robban Bäck 参加の功名。凛として行軍するヴァースでは Jeff と Erik がボーカルを分け合い、さながら DEEP PUPLE の如き伝統のインテンスを見せつけます。
コーラスパートは巨大なフックを宿す獣。トップフォームの Jeff は、久方振りに発揮する本領で徹頭徹尾リスナーのシンガロングを誘うのです。そしてパズルのラストピースは、Desmond Child 譲りのアンセミックなチャントでした。
BOSTON の奥深き音響に Robert のキーボードが映える “Kings on Thunder Road”、MR. BIG の “Nothing But Love” を彷彿とさせるストリングスの魔法 “Elegantly Wasted” を経て辿り着く “Urgent” はアルバムを象徴する楽曲かも知れませんね。
同タイトルのヒットソングを持つ FOREIGNER の哀愁とメジャー感を、コンテンポラリーなサウンドと切れ味で現代へと昇華した楽曲は、あまりに扇情的。
畳み掛けるように SURVIVOR の理想と美学を胸いっぱいに吸い込んだ “Dangerous” で、リスナーの感情は須らく解放され絶対的なカタルシスへと到達するはずです。
そうして一部の隙も無駄もないメロディックハードの殿堂は、”決して終わらない、引き返せない” 夢の続き “The Never-Ending Retraceable Dream” でその幕を閉じました。楽曲のムードが Jeff にとって “引き返せない” 夢である JOURNEY を想起させるのは偶然でしょうか、意図的でしょうか?
今回弊誌では、WORK OF ART でも活躍する稀代のコンポーザー Robert Säll にインタビューを行うことが出来ました。想像以上に明け透けな発言は、しかしだからこそ興味深い取材となっているはずです。「メロディックハードロックがまたチャートの頂点に戻れるとは思えないね。そして僕はそれで構わないと思っているんだよ。」どうぞ!!

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W.E.T. “EARTRAGE” : 10/10

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EXCLUSIVE INTERVIEW 【JEFF SCOTT SOTO : TALISMAN, KUNI, SOTO】LOUD PARK 2016 SPECIAL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JEFF SCOTT SOTO !!

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Legendary Vocalist, Jeff Scott Soto Talks About Japan Tour With Kuni, Talisman, Yngwie Malmsteen, And More !!

“A GUIDE TO JEFF SCOTT SOTO”

Jeff Scott Soto。Yngwie Malmsteen のバンド RISING FORCE の初代シンガーとして華々しくシーンに登場した唯一無二のボーカリストは、ソロとしては勿論、TALISMAN, JOURNEY, W.E.T. など数多のバンド、プロジェクトでその際立った才能を発揮し続けて来ました。ソウルフルでエモーショナル、”黒い”感覚を保持しながらも、キャッチーな歌メロに絶妙なボーカルハーモニーを乗せる、彼独特の個性は常にハードロックシーンを牽引して来たと言えますね。
同時に、Jeff はオフィシャルメンバーとしてではなく、ゲスト的な立ち位置で素晴らしい作品に貢献し続けた引く手あまたな人物でもあります。Axel Rudi Pell, Alex Masi, Vinnie Vincent, TAKARA などの名作群を懐かしく思うファンも多いでしょう。
80年代に、世界で勝負したマスクマン、日本人ギタリスト Kuni の 2nd アルバム “Lookin’ For Action” も、彼の参加でグレードが上がったアルバムの1枚です。
Billy Sheehan をはじめ、多数の豪華なゲストとともに制作されたデビュー作 “Masque” とは一味違い、固定されたメンバーで勝負した作品で、SLAUGHTER の秀才 Dana Strum プロデュースの下、Jeff のソウルフルな歌唱は勿論、Kuni のツボを得たフレージングの良さ、B’z でもお馴染み Mike Terrana のキレの良いドラムスを味わうことが出来る秀作でしたね。
そして今回、Kuni のデビュー30周年を祝い Loud Park 16 出演が決定、Jeff の参加もアナウンスされました。メンバーは、Kuni, Jeff に加えて GREAT WHITE の Tony Montana, HAREM SCAREM でお馴染み Darren Smith と実に豪華。素晴らしいショーになることでしょう。
今回インタビューを行った Jeff にとっては何と23年振りの来日となります。23年!最後の来日は、1993年の TALISMAN 初来日まで遡らなければなりません。しかし、インタビューで Jeff が語ってくれた通り、TALISMAN の音楽はその長い期間、世代を超えて引き継ぐべきものだと思います。
今は亡き Marcel Jacob というベースの名手にして優れた作曲家が存在したこと、Jeff と Marcel の素晴らしきケミストリー、爽快で、キャッチーで、ファンキーで、複雑なサウンド、その全てが忘れ去られてしまうには惜し過ぎると感じています。Jeff はインタビューで、意外にも Marcel 抜きの TALISMAN の未来に前向きな発言をしてくれました。勿論、ファンにはビッグニュースでしょうし、キッズのためにもぜひ実現してほしいと思います。
また同時に、彼自身の新しいバンド SOTO にも強く力を入れていることが伝わりますね。個人的な感想を述べれば、SOTO の新作 “Divak” はダークでヘヴィー、確かに若干メロディーが弱いものの、楽器陣が想像以上にテクニシャン揃いで、これからの活動に期待が出来そうです。今回の来日が契機となり、TALISMAN や SOTO でも、再度彼の姿を日本で見ることが出来るようになるかも知れませんね!
Jeff は Yngwie との現在の関係についても語ってくれました。メロディックハードの歴史の登場です。どうぞ!!

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ROYAL HUNT : DEVIL’S DOZEN】JAPAN TOUR 2016 SPECIAL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH André Andersen of ROYAL HUNT!!

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ROYAL HUNT set to come back to Japan again on April 2016!! André Andersen talks about Loud Park, Japan, “Devil’s Dozen” and more !!

先日行われた “Loud Park 2015” でも完成されたシアトリカルなパフォーマンスでメタルファンを魅了したデンマークのベテラン ROYAL HUNT。早くも2016年4月の再来日が決定しました!!
90年代の中盤から後半にかけて、ROYAL HUNT はここ日本で非常に人気の高いバンドでした。阪神大震災の折には “Far Away” という楽曲を日本に捧げてくれたこともありましたね。ところが、絶頂期のフロントマン、D.C. Cooper 離脱後も少なくとも音楽的には非常に聴き応えのある高いレベルの作品をリリースし続けていたにも関わらず、バンドは徐々に失速して行きました。D.C. の後任を務めた John West, Mark Boals, 共に実力は折り紙つき。しかしながらバンドはキャッチーさや華を失ってしまっていたように思います。D.C. のシアトリカルでメロディックな歌唱と ROYAL HUNT にはやはりケミストリーがあったのでしょう。
そこにやっと気づいたのかどうなのか、バンドは2011年、D.C. を迎えてツアーを行うことをアナウンスし、名作 “Paradox” の完全再現を含む来日公演を成功させました。以来、D.C. は正式にバンドに復帰、3枚のアルバムをリリースしています。
最新作”Devil’s Dozen” は彼の復帰後最も見事な作品ではないでしょうか?彼が復帰したからと言ってバンドは初期のようなコンパクトで明快な楽曲を制作する訳では勿論ありません。バンドのコンダクター Andre Andersen の成熟した作曲術を味わえる長尺の楽曲群に D.C. の華のあるキャッチーなメロディーを乗せてしっかり今の ROYAL HUNT を主張していますね。”Riches to Rags” ではフォーキーな要素を効果的に導入、新たなファンの開拓にも繋がりそうですし、Jonas Larsen のギタリスト然とした派手なソロワークも非常に魅力的。”May You Never (Walk Alone)” などは90年代の彼らを彷彿とさせる、思わず口ずさみたくなるようなメロディーが白眉です。前作のツアー後に「バンドを終わらせるかも知れない…」と語っていた Andre ですが ROYAL HUNT はどうやら第2の絶頂期を迎えそうな雰囲気ですね。
今回弊誌では、そのMr. ROYAL HUNT, Andre Andersen にインタビューを行うことが出来ました。どうぞ!!

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ROYAL HUNT “DEVIL’S DOZEN” 8,8/10

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WORLD PREMIERE & SPECIAL INTERVIEW 【TONY MILLS】


EXCLUSIVE: WORLD PREMIERE AND INTERVIEW WITH TONY MILLS!!

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GOD GAVE HIM A VOICE・・・ex-TNT, SHY, SERPENTINE, LEGENDARY SINGER TONY MILLS SET TO RELEASE HIS NEW SOLO RECORD “OVER MY DEAD BODY” ON 2/23 !!

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昨年 TNT を離脱しソロ活動を開始した TOMY MILLS。SHY, SIAM, SERPENTINE, TNT と渡り歩いてきた不世出のシンガーが送り出す久々のソロアルバム “OVER MY DEAD BODY” は W.E.T. , WORK OF ART でお馴染みメロハーマスターこと ROBERT SALL が共作、ROYAL HUNT の ANDREAS PASSMARK が参加、数々の傑作を生み出してきた伝説的プロデューサー NEIL KERNON がプロデュースという万全の体制で製作され彼のキャリアを総括したような素晴らしい作品に仕上がりました。今回、弊 WEBZINE ではその新作から TNT, W.E.T. を髣髴させる爽快なメロディックメタルナンバー “NORTHERN STAR” と SHY, JOURNEY 風な都会的メロディーが見事な AOR “4 IN THE MORNING” の2曲を世界初公開、並びに TONY の超ロングインタビューを掲載することが出来ました。

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