NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SAIDAN : ONRYO Ⅱ: HER SPIRIT ETERNAL】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH SAIDAN !!

“America Used To Have an Obsession With Remaking The Famous Japanese Horror Films, And To Me, They Were Never Scary, Because It Placed Those Stories In Our Culture. To Me What Makes Japanese Horror Stand Out, And What Makes It Scarier, Is The Differences In Our Surroundings, And Cultures.”

DISC REVIEW “ONRYO Ⅱ: HER SPIRIT ETERNAL”

「当初はバンド名に、宗教的な意味合いから英語の “Altar” (祭壇) を使おうと考えていたんだ。でも、その名前を使ったバンドはすでにたくさんあるし、日本をテーマにしたものを書き始めていたから、”Saidan” の方がしっくりくるかなと思ったんだよね」
ナッシュビルから登場した USBM の雄、SAIDAN のメンバー Saidan と Shadosai は、日本文化への大きな愛と興味を持ち続けています。例えば、TRIVIUM の Matt Heafy がそうであるように、日本の神話、芸術、大衆文化において恐怖の概念がどのように表現され、それがいかに西洋の手法、恐怖と異なるのかに彼らもまた着目しているのです。
もちろんこれまでも、日本のフォルクローレ、その表層をテーマとした海外のバンドは少なからず存在しました。しかし、Matt の IBARAKI や アルゼンチンの IER、そして SAIDAN のように、日本の民俗的伝承や日常の深層までふみこんで音に委ねるアーティストが近年増えています。これぞメタル好奇心の生命力と感染力のたまもの。
「アメリカはかつて、日本の有名なホラー映画をリメイクすることに執着していたよね。でも、僕にとってそれは決して怖いものではなかったんだ。だから、日本のホラーを際立たせ、より怖くしているのは、おそらく僕たちを取り巻く環境と文化の違いだと思うんだ」
人間が持つ恐怖の感情は、おそらくその対象が未知のものであればあるほど増大する。そういった意味からも、およそ恐怖や狂気、死を描くブラックメタルのテーマとして西洋には馴染みの薄い日本の怪談を選ぶことはなるほど、理にかなっています。ただし、興味深いことに SAIDAN は、精神疾患や社会病質といった見えざる恐怖を引き起こす日本の悪霊、幽霊、妖怪、呪いと西洋の魔女を恐怖のスープでコトコトと煮込んで混交させているのです。
「BALZAC, LOUDNESS, DOG inThe PWO, X Japan、ANTHEM, 神聖かまってちゃんといったバンドにね。そして、Mrs.GREEN APPLE、DISH//、PassCode、Dizzy Sunfist、YOASOBI みたいな新しいグループにも影響を受けている。その他にもたくさんの日本のアーティストが、僕の作品作りに大きな影響を与えてくれているよ」
驚くべきことに、SAIDAN の異文化交流は恐怖だけではありません。まさに日本との架け橋となるべく、彼らは日本のロックやポップス、メタルからの影響まで大胆に料理して、鍋の中へと放り込みました。それはさながら恐怖を際立たせるためのイヤー・キャンディー。それとも生への渇望でしょうか。”Onryo” のサウンドや構成はブラックメタルであるにもかかわらず、生き生きとした、喜びさえ感じさせる多幸感のスパイスが用意されているのです。
「日本のポップスには独自のスタイルとフィーリングがあるんだよね。コード進行やメロディーも独特で、本物の楽器が使われている。一方、アメリカのポピュラー音楽は、ほぼ100% “フェイク” なんだ」
ポップでフレンドリーなリフ、ダンスホールのリズム、叫び声と極北のアンビエンスの奇妙な組み合わせでハイテンションな “Kissed by Lunar’s Silvery Gleam” で幕を開けるアルバムは、とてつもなく多くの音楽を提供してくれる怨霊の玉手箱。J-Rock、J-Pop, パンク、ポスト・ブラック…そしてドリーミーなシューゲイザーまで、あらゆる影響を SAIDAN のスタイルに取り込み、それがどんなに矛盾していても必死ですべてを成立させていきます。この包括的な精神は、他の楽曲にも波及し、エネルギッシュでポップなリフ、チャギーなリズム、冷たいアンビエンス、苦悶の叫び、神々しき多幸感、儚さと喪失感、つまり黒さと白さが等しく溢れかえっているのです。
重要なのは、ただポップであるのではなく、生々しく肉感的ブラックメタルの嗚咽に沿ってメロディックであることでしょう。シンセのキラキラとあいまって “Queen of the Haunted Dell” には COB の華やかささえ感じますし、”Yuki Onna” の素晴らしきJ-POP感も出色。
今回弊誌では、SAIDAN にインタビューを行うことができました。「日本の怪談やホラー映画について書き始めたのは、それらを読んだり見たりすることで、当時の人生で起こっていたすべてのことを忘れることができたからなんだ。西洋の音楽の中では、日本の怪談をテーマとしたストーリーはほとんど語られていない気がしたしね」 どうぞ!!

SAIDAN “ONRYO Ⅱ: HER SPIRIT ETERNAL” 9.9/10

INTERVIEW WITH SAIDAN

Q1: When I first heard your music, I thought it was made by the Japanese. But, you are American, right? haha! First of all, could you tell us why you Started Saidan and why you named your band Saidan?

【SAIDAN】: Yes! We’re based out of Nashville, Tennessee! I started Saidan back in early 2020 as a way to deal with a lot of built up anger I had within myself after my father passed away. Eventually, once I dealt with some of those feelings, I changed my focus to writing about different horror stories, and folklore that I liked.
I originally thought about using the English word “Altar” because of the religious nature of the word. But seeing as there were tons of bands using that name already, and since I was starting to write about Japanese themes, I thought “Saidan” would make more sense.

Q1: SAIDAN をはじめて聴く人は、様々な面で日本人が作った音楽だと思うでしょうね?(笑) 実際は、アメリカのバンドなんですよね?

【SAIDAN】: そうなんだ!テネシー州ナッシュビルを拠点に活動しているよ!2020年初頭、父の死後、自分の中に蓄積された怒りに対処するために SAIDAN を始めたんだ。そして、そうした喪失や怒りのような感情に徐々に対処しながら、自分が好きな様々なホラーストーリーや民間伝承について書くことに焦点を変えていったんだよ。
当初はバンド名に、宗教的な意味合いから英語の “Altar” (祭壇) を使おうと考えていたんだ。でも、その名前を使ったバンドはすでにたくさんあるし、日本をテーマにしたものを書き始めていたから、”Saidan” の方がしっくりくるかなと思ったんだよね。

Q2: Interestingly, Saidan’s music and concept are obviously heavily influenced by Kaidan, Yokai, Japanese ghost stories and horror movies, right? Why did you decide to feature Japanese horror stories?

【SAIDAN】: I mostly started writing about Japanese ghost stories, and horror movies, because reading, and watching them took my mind off of everything going on in my life at the time. And I felt like those themes, and stories weren’t really talked about in western music for the most part.

Q2: 仰るように、SAIDAN の音楽やコンセプトは、日本の怪談やホラー映画をもとにしていますよね?

【SAIDAN】: 日本の怪談やホラー映画について書き始めたのは、それらを読んだり見たりすることで、当時の人生で起こっていたすべてのことを忘れることができたからなんだ。
西洋の音楽の中では、日本の怪談をテーマとしたストーリーはほとんど語られていない気がしたしね。

Q3: I understand that Western horror fits well with black metal, but I was surprised that Japanese horror stories, Kaidan fit so well with black metal! If not black metal, then Japan’s Ningen Isu is a wonderful blend of Japanese ghost stories and metal, though.You must have been convinced that black metal and ghost stories match, right? In your mind, which is scarier, Western or Japanese horror?

【SAIDAN】: Yes, I believe that ghost stories, and all forms of metal (especially Black Metal) will always work well together in some way. And as for which horror I think is scarier, I’d have to say Japanese horror. I think that has to do with not growing up with those stories, so the ideas are new, and different.
America used to have an obsession with remaking the famous Japanese horror films, and to me, they were never scary, because it placed those stories in our culture. To me what makes Japanese horror stand out, and what makes it scarier, is the differences in our surroundings, and cultures.

Q3: まさにそのことについてお聞きしたかったんですよ。西洋のホラーがブラックメタルにあうことは想像に難くないわけですが、日本の怪談がこれほどブラックメタルにあうとは驚きですね。

【SAIDAN】: そうだね、怪談とメタル(特にブラックメタル)は必ず何らかの形では相性が良いと僕は信じているんだ。さて、西洋のホラーと日本の怪談、どちらがより怖いかというと、僕は怪談だと思う。というのも、僕はそういった物語とともに育ってこなかったから、発想が新しく、異なるように感じられるからだと思うんだ。
アメリカはかつて、日本の有名なホラー映画をリメイクすることに執着していたよね。でも、僕にとってそれは決して怖いものではなかったんだ。だから、日本のホラーを際立たせ、より怖くしているのは、おそらく僕たちを取り巻く環境と文化の違いだと思うんだ。

Q4: However, when I listen to your music, I get the feeling that it is not only black metal, but also Japanese rock or, more specifically, anime theme songs, right? It also matches wonderfully. Are you greatly influenced by Japanese music?

【SAIDAN】: Yes! I would say ALL Japanese music, especially Jrock, and Jpop are our biggest influences when it comes to melodies, and songwriting.
Bands like Balzac, Loudness, DOG inThe PWO, X Japan, Shinsei Kamattechan, Anthem. And some of the newer groups like Mrs. GREEN APPLE, DISH//, PassCode, Dizzy Sunfist, and YOASOBI. Plus tons of other artists, greatly influence my writing..
Japanese music has been a big influence on me ever since I heard “Loudness” when I was a little kid. I love it all so much!

Q4: ただ、SAIDAN の音楽を聴いていると、ブラックメタルだけではなく、日本のロックやメタル、ポップス、さらにアニメの主題歌的な影響も窺うことができますよね?

【SAIDAN】: そうなんだ!メロディーや曲作りに関しては、日本の音楽全般、特に J-Rock や J-Pop に一番影響を受けているね。
BALZAC, LOUDNESS, DOG inThe PWO, X Japan、ANTHEM, 神聖かまってちゃんといったバンドにね。そして、Mrs.GREEN APPLE、DISH//、PassCode、Dizzy Sunfist、YOASOBI みたいな新しいグループにも影響を受けている。その他にもたくさんの日本のアーティストが、僕の作品作りに大きな影響を与えてくれているよ。
日本の音楽からは、幼いころに “Loudness” を聴いて以来、ずっと大きな影響を受けているんだ。もうね、ぜんぶ大好きなんだよ。

Q5: Many of the Japan-loving artists I have interviewed say that video games were one of their entry points. How about you?

【SAIDAN】: I believe video games were my entry point too. The first time I was introduced to anything Japanese was probably playing “Metal Gear Solid” and “Metal Gear Solid 2” on PlayStation for the first time. And also I’d say Dragon Ball Z was a huge entry point too, as it was the first anime I had ever seen.

Q5: ちなみに、日本に興味を持ったきっかけは何だったんですか?私がインタビューしてきたアーティストで多かったのは、ビデオゲームですが。

【SAIDAN】: 僕もビデオゲームが入り口だったと思う。初めて日本のものに触れたのは、プレイステーションで “メタルギアソリッド” と “メタルギアソリッド2” をプレイしたときだっただろうか。
あと、初めて見たアニメが “ドラゴンボールZ” だったのも大きなきっかけだったね。

Q6: “Onryo II: Her Spirit Eternal” is a sequel to 2020’s “Onryo,” correct? What is the story?” Is it a different world from “Jigoku”?

【SAIDAN】: Yes, it’s the sequel to our first EP. back then I was just a solo artist, and used fake drums for all the drum parts. I knew I wanted to revisit the “Onryō” theme again after finally getting a real drummer, which I eventually got in December 2020.
The story of “Onryō II” is based off a local legend from where I’m from, called “The Bell Witch”. She was a spirit who supposedly haunted the Bell family in the year 1817. I thought this would work as an overarching story, since the bell witch would be considered an American “Onryō”. There’s other themes, and topics, on the album, but the main focus is “The Witch”..
“Jigoku” never had much of a story when it was being written. I wanted that album to be an introduction to our “new sound” with the added edition of my drummer “Shadosai” and slightly better production.

Q6: 最新作 “Onryo II: Her Spirit Eternal” は2020年の “Onryo” の続編ですよね?前作の “Jigoku” とはまた別の世界線なのでしょうか?

【SAIDAN】: そうだね、1st EP の続編だよ。当時はまだソロ・アーティストで、ドラムのパートはすべてフェイクドラムを使っていたんだ。だから、2020年12月に本物のドラマーを迎えてから、もう一度 “Onryo” のテーマを見直したいと思っていたんだよね。
“Onryo II” のストーリーは、僕の出身地に伝わる “The Bell Witch” という伝説が元になっているんだ。彼女は1817年にベル家に取り憑いていたとされる精霊。ベルの魔女はアメリカの “怨霊” だと考えられるから、このテーマは日本とアメリカをまたにかける包括的な物語として成立すると思ったんだよね。他にもテーマやトピックはあるけど、メインは “魔女” だね。
“Jigoku” は、書いているときはあまりストーリーがなかったんだ。あのアルバムは、ドラマー “Shadosai” を加えた “新しいサウンド” の入門編にしたかったし、プロダクションも少し良くしたんだ。

Q7: Interestingly, you used the sound of the movie “Ring” in “Yuki Onna”, right? Where did you come up with this idea?

【SAIDAN】: I’m glad you noticed that! I originally planned for that song to be about the “Ring” movie, but changed my mind during the writing process. Once I changed the theme to my own version of the “Yuki Onna” story, I decided to keep the “Ring” intro because I thought it sounded cool, and because I LOVE that movie, haha.

Q7: 興味深いことに、”Yuki Onna” の中で映画 “リング” のサウンドを使用していますね?

【SAIDAN】: 気づいてもらえてうれしいよ!あの曲は、もともと映画 “リング” をテーマにした曲のつもりだったんだけど、途中で気が変わったんだよね。それで、自分なりの “雪女” をテーマにした後、”リング” のイントロを残すことにしたんだよ。
あの響きがカッコよかったのと、あの映画が大好きだからね。

Q8: Some people say that the language barrier is the reason why Japanese rock, pop, visual kei, and metal music have not been able to achieve great success in the world. What do you think?

【SAIDAN】: I believe that could be one reason. But currently in the west, Kpop has become a huge genre on pop radio. And for the most part, there’s only a few English words in those songs. The difference in my opinion is Kpop is produced like western pop music. And most pop music fans don’t pay attention to the lyrics. they listen for the “vibe” or “beat”.. Japanese pop has its own style, and feel. It has its own unique chord progressions, and melodies. and for the most part, It still incorporates real instruments. Where as popular music in America is almost 100% “fake”. That’s not necessarily a bad thing, but I think it’s a shame. There’s so much good music in Japan, and my hope is one day it has a bigger audience in the west.

Q8: 日本語ではなく、英語の使用が今回の怪談メタルの成功につながったのでしょうか?
というのも、言葉の壁は、日本のロックやメタル、ポップスが世界で大成功を得られない一つの理由としてよく挙げられますからね。

【SAIDAN】: たしかに僕も、それが一つの理由かもしれないと思っているよ。だけどね、現在欧米では、K-Pop はポップ・ラジオで一大ジャンルになっている。そして、ほとんどの場合、彼らの曲の中には、ほんの少しの英語しかないんだよね。その理由は僕が思うに、K-Pop は西洋のポップ・ミュージックと同じように制作されているからなんだ。
ほとんどのポップ・ミュージック・ファンは、歌詞に注意を払わず、”ヴァイヴ” や “ビート” に耳を傾ける傾向があるね。日本のポップスには独自のスタイルとフィーリングがあるんだよね。コード進行やメロディーも独特で、本物の楽器が使われている。一方、アメリカのポピュラー音楽は、ほぼ100% “フェイク” なんだ。
それは必ずしも悪いことではないんだけど、僕は残念なことだと思っている。そういう意味でも、日本には良い音楽がたくさんあるから、いつか欧米でもっと多くの人に聴いてもらえたらと思うんだ。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED SAIDAN’S LIFE

MY CHEMICAL ROMANCE “THE BLACK PARADE”

OZZY OSBOURNE “BLIZZARD OF OZZ”

SLAYER “REIGN IN BLOOD”

PORTER ROBINSON “WORLDS”

MICHAEL JACKSON “DANGEROUS”

MESSAGE FOR JAPAN

I’d like to thank the fans in Japan who’ve supported our music. We see your comments online, and it means a lot that you enjoy our work! We hope we will get an opportunity to play a show in Japan someday soon. And we hope to see you all there when that day comes! Long Live Rock ‘N’ Roll!

僕たちの音楽を支えてくれた日本のファンの皆さんに感謝するよ。ネット上で皆のコメントを読んでいるけど、僕たちの作品を楽しんでくれていることがとても嬉しいんだ。
いつか近いうちに日本でライヴをする機会があることを願っているよ。そして、その日が来たら、皆に会えることを楽しみにしているよ。

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