EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH FLOYD LONDON OF THE ALMIGHTY !!
“Rock Show Is All About Screaming Your Head Off, Fists In The Air, With a Bunch Of Like-minded Individuals Making a Real Connection With Band Stood Right In Front Of You. The Crowd Feed Off The Band, The Band Feed Off The Crowd, Becoming One”
DISC REVIEW “BLOOD, FIRE & LOVE”
「ストリーミングのライブと本物のライブは比較にならないと思う。ある種の落ち着いたジャンルでは、ストリーミングの方がうまくいくかもしれないけど、ロックのライヴは、目の前にいるバンドと本当のつながりを作りながら、志を同じくする大勢の人たちと一緒に、拳を振り上げて、頭を振り上げて叫ぶことがすべてだから。観客はバンドを糧とし、バンドは観客を糧とし、一体となるんだよ!」
ライブやその音源の方が、雑だけどスタジオ盤よりもかっこいいし強烈で興奮する。それが当たり前だった風景は今や昔。THE ALMIGHTY が2023年に復活する理由があるとすれば、間違いなくこれに尽きます。彼らがロックやメタルの世界から消えている間に、音楽産業のあり方は大きく変わりました。
彼らが生きた時間をかけて “足を運ぶ” 時代は遠ざかり、清廉潔白で”正しい” 音源もライブ配信も情報も、すべてがワンクリックで手に入る現代。そんなインスタントでバーチャルな無菌室の音世界に、THE ALMIGHTY は “体験” や “経験” の汚染を取り戻そうとしています。
「人々が私たちを見たいと望むかぎり、このバンドが私の居場所だと感じるようになったんだ。
最近、長いドライブ旅行をしたんだけど、最初の5枚のアルバムをプレイリストに入れて、フルボリュームで聴いたんだ。最近ではそれが音楽を聴く唯一の方法なんだよな、実際。で、自分たちの曲なのに腕の毛が全部逆立つような感じだったよ。今でも興奮した。曲は時の試練に耐えているんだ。今のバンド内の雰囲気はとてもいいんだ。私たちの人生の魔法のような時期に戻ったようで、特別な感じがするよ。だからこそ、本当にうれしいんだ!」
Ricky Warwick, Stump Monroe, Floyd London。80年代、スコットランドで学生時代からの幼馴染が結成した THE ALMIGHTY は、いつしかその存在感を世界中で大きくしていきました。特に、ここ日本では、THE WILDHEARTS, THUNDER , SKIN, THERAPY? らと共に、”生粋のメタルではないがとにかくメロディと勢いとルックスが強烈な英国勢” として人気が爆発。今では車の中でしか存在意義がないような CD も飛ぶように売れ、来日公演も大盛況だったのです。
「個人的に一番好きなのは “Crank” だ。パンクの攻撃性をロックの音楽性と明瞭な歌詞で表現したこのアルバムが、私たちのピークだったと思う。ただ、”Blood Fire & Love” には、他のアルバムとは異なるエネルギーと意図があって、今でもライブで演奏する曲が多いからな。時の試練に耐えていることは確かだよ」
CD のジャケットが色褪せたとしても、THE ALMIGHTY の音楽が時の試練に耐えたのは、一重にそれが “全能の” ロックだったからでしょう。グラムやゴス、MOTORHEAD の暴走機関車から始まり、”Powertrippin” のヘヴィ・グルーヴ、”Crank” の UK らしい口ずさめるパンクに “Just Add Life” の Pop’n Roll まで、彼らはその圧倒的なライブ・パフォーマンスにモノを言わせてやりたいことをやりたいように突き進んできました。
だからこそ、どのアルバムを聴いても新しいし、どのアルバムを聴いてもエネルギーに満ちている。それがきっと、真の音楽 “体験” なのでしょう。
「再結成してメンバー間の齟齬を脇に置くということは、すべての齟齬を脇に置くということだ。物語の始まりを祝う35周年というのは、そのための十分な口実に思えたんだ」
そんな彼らが、再集結の会場に選んだのは、始まりの場所グラスゴーであり、始まりの音 ”Blood, Fire & Love”。ギタリストも、オリジナル・メンバーである Tantrum が選ばれました。もちろん、Alice Cooper の下で学んだトリッキーな Pete Friesen を愛するファンも多いでしょうが、Tantrum の直情型ギタリズムもまた至高。
35年という時の試練や周りの雑音、メンバー間のわだかまりに耐えた THE ALMIGHTY、全能のスコティッシュが、来年以降も予定されているライブやアルバムでどんな “体験” をもたらしてくれるのでしょうか。私たちがかつて、ロックやメタルを聞いて感じていたあの全能感を、全能神が取り戻してくれることはたしかでしょう。
「記憶が正しければ、ハイライトは大阪の野外円形劇場だったな。5,000人の観客が座席に座り、静かに辛抱強く私たちを待っていた。私たちがステージに上がると、観客は熱狂し、ショーが終わると、5分も経たないうちにみんなが整然と去っていった。素晴らしかったね」来日もあわせて期待しましょう!Floyd London です。どうぞ!!
“Punk Is Anything We Want It To Be. I Like ‘Do-it-yourself’ Because It’s Whatever You Feel Like. It Doesn’t Have To Be a Certain Way.”
GROWING UP
「言いたいことは何でも言うべきだし、言えたらそれを誇りに思うべき」
まだ若く、会場によっては客として入れないかもしれませんが、LA のパンクバンド THE LINDA LINDAS はシーンに特別注目されています。昨年の大ヒット “Racist, Sexist Boy” で Epitaph にピックアップされた後、強さと10代特有の青を持った彼女たちは、すでに世界を相手にする準備が整っているのです。
ニーハイソックスとグラフィックTシャツに身を包んだアジア系とラテン系の4人の少女は、パンデミックの中で急増した反アジアの憎悪に対して、勇ましくも正当で、活気ある雄叫びを上げました。
自分の10代を振り返ってみればわかるでしょうが、ティーンエイジャーの多くは夏休みの過ごし方をあまり考えてはいません。数ヶ月に及ぶ授業、宿題、試験の後、一年のうちで最も晴れやかな時期を気ままに過ごせる自由はあまりに優雅です。綿密な計画は必要ありません。友達に会ったり、日光浴をしたり、学校の時間割にはない楽しさとリラックスを詰め込むためのシンプルな時間。
しかし今年、Lucia と Mila の De La Garza 姉妹、いとこの Eloise Wong、長年の友人 Bela Salazar は、THE LINDA LINDAS 初のヘッドライン・ツアーに出発し、他に類を見ない冒険の夏休みを過ごすことに決まっています。BIKINI KILL の Kathleen Hanna が彼女たちの母親に直接メールを送り、彼女のバンドの再結成ツアーの前座を務めてもらえないか頼んだという逸話も。彼女たちはリラックスしている場合ではないのです。
多くのバンドとは異なり、THE LINDA LINDAS にはフロント・パーソンがいません。4人全員が歌い、作詞作曲をすることで、それぞれの声がほぼ均等に聞こえるようになっています。ベーシストの Eloise は最も熱狂的な性格で、怒りに満ちた楽曲にぴったりの力強いシャウト・スタイルを持っています。ギタリストの Bela はビッグなリフを奏でながら、メランコリックで物思いにふけったり、ヒステリックな叫び声をあげるのに適した硬質な歌声を披露。
一方で、同じくギターの Lucia は、晴れやかな楽観主義で、世界をありのままにとらえながらも、そこに喜びを見出すような曲を書き連ねます。ドラマーである Mila の歌詞は、姉の Lucia でさえ 「彼女がまだ11歳だなんて信じられない!12歳、いや15歳くらいに感じる時もあるわ!」 と語るほど自己認識と思慮深さに秀でています。
昨年半ば、LA市立図書館で “Racist, Sexist Boy” を披露した動画は予想外に拡散され、この4人組はシーンに突如現れることとなりました。Mila の同級生が、父親から、彼女のような中国系には近づくなと言われたことがすべてのはじまりでした。ジョージ・フロイドの殺害事件と BLM で世界が変化を求めているときに、反ヘイトの気迫に満ちた彼女たちの賛歌が心を打ったのでしょう。彼女たちが見せた強さと希望は、まもなく伝説的なパンクレーベル、Epitaph へと4人を導くことになりました。
「BAD RELIGION, DESCENDENTS, RED AUNTS, L7 など、私たちが大好きなバンドがたくさん所属しているレーベルの一員になれるなんて、シュールな話ね。SOUL GLO と THE MUSLIMS が Epitaph と契約したことにも興奮しているわ」
そして、”RSB” の拡散は、同じように “嫌な奴” の無知に悩まされた見知らぬ人たちから多くのメッセージが殺到することにもつながりました。
「この曲が人々をひとつにするのは素晴らしいことだけど、多くの人が共感してしまう状況は本当に悲しいことだわ」
Mila と Eloise は、2020年11月にロックダウンが始まる1週間前に Mila がクラスメートと交わしたやりとりを受けて、この曲を書き下ろしました。
「彼は、お父さんに中国人に近づくなと言われたと、ピンクの大きなパーカーから頭を覗かせながら言うの。なぜそんなことを言われるのか、とても困惑したわ。何が起きているのかわからなくて、私が中国系だと言ったら、彼は私から離れ始めたの」
Mila は家に帰り、家族とバンド仲間にその出来事を話しました。”Racist Sexist Boy “が誕生したのは、それからズームコールによって誕生していきます。虐げられてきたすべての人の力になることを願いながら…
「”Racist Sexist Boy” が爆発的にヒットした直後は、バンドにいるアジア人ってどんな感じなのかって質問されたよ…音楽で自分を表現することは、私にとってとても大切なこと。怒っているときに怒ったり、悲しんでいるときに悲しんだりすることができるのが、音楽のいいところなの。音楽があれば、他の方法では封じ込めてしまうようなことも話すことができる。政治的、社会的な問題であろうとなかろうと、吐き出したいことは何でも書くわ」と Eloise は打ち明けます。
「自分たちの声を、声をもたない人たちのために使いたかった」と Mila も頷きます。
当初、この曲は “Idiotic Boy” と呼ばれ、「馬鹿で愚かな」男の子について歌っていましたが、彼女たちは能力主義について学び、Eloise はその言葉がいかに人を傷つけるかを学んだと言います。
「この歌は、人種差別的で性差別的な男の子に対抗するためのものだったけど、私たちが差別的なことをしては元も子もない。だから、言葉を変えたの。私たちは知性についてではなく、いじめっ子であることについてより多く語ることにした。9歳の少女に実際に起こったことを物語にしたかった。そうすれば、世界は無視できなくなるから」
今でも少年からの謝罪はありません。しかし、Lucia たちにとってそれはもうすでに重要なことではないのです。
「もう、彼のことはどうでもいいの。より良くなるため、やってはいけないことを人々に伝えるため、そして私たち全員がより良くなるためのものになったから。私たちは完璧ではない。たとえ男の子でなくても、人種差別や性差別をしないこと。ホモフォビック(同性愛嫌悪)であってはならない。ただ、悪い人にならないように。そして能力主義にも陥らないように」
THE LINDA LINDAS の4人は、BEST COAST, THE CLASH, THE ADOLESCENTS, YEAH YEAH YEAHS といった反抗の音に囲まれて育ちました。「私は “子供の音楽” を聴いたことがなかったの」 と語る彼女たちは、まだ幼稚園に通っているときでさえ、分厚い耳栓で武装して初めてコンサートに参加しました。その多くは、世界最大の独立系レコード店と自負する Amoeba Records で行われた全年齢対象の昼間のショーでした。音楽的な生い立ちとしては、かなり印象的でしょう。
4人は2018年、Girlschool LA festival のピックアップ・バンドに誘われ、そこで BEST COAST の Bethany Cosentino と YEAH YEAH YEAHS の Karen O に初めて会った後、一緒に音楽を作るようになります。さらに、Lucia と Mila は、父親であるグラミー賞受賞プロデューサー兼サウンドエンジニア Carlos De La Garza が、PARAMORE の最新アルバム2枚と Hayley Williams のソロ・アルバム2枚を手掛けていることから、PARAMORE からも恩恵を受けることになります。実際、二人がこれまでに受けた音楽業界に関する最高のアドバイスは、Hayley からのもの。
「いつノーと言うべきか。そしてノーは時としてイエスと同じくらいパワフルであることを知ること。クールな両親を持ったわ。パンクのライブに行ったり、ミックステープを作ったり、誰でも何でもできるというパンクの DIY 文化とともに育ったから。パンクは、私たちが望むものなら何でもできる。決められたやり方なんてないの」
THE LINDA LINDAS が代表曲 “Rebel Girl” をカバーしたのを見た Kathleen Hanna は、30年前に BIKINI KILL が歩んだのと同じ攻撃的でフェミニストなパンクの道を歩むバンドにチャンスを与えるべきだと考え、2019年に彼女たちをツアーに帯同します。Lucia が振り返ります。
「あれは大きなチャンスだった。BIKINI KILL がいなかったら、私たちはおそらくバンドをやっていなかったと思う。彼女たちは、女性がバンドに参加し、コンサートに行くことについて、それほど批判されることなく受け入れられるようになるという革命を起こしたの。これは本当に特別なことよ。そして、初日から私たちを信じて、応援してくれた人たちがたくさんいる。私たちが望むような方法で、クリエイティブになれると教えてくれたの」
誰もがそうではありませんが、インターネット上のある種の人々は、楽器を演奏する4人の女の子を見て、彼女たちのメッセージには興味を示さずただ、”かわいい” と切り捨てています。当然、それは THE LINDA LINDAS を苛立たせ、Mila は見下すようなコメントよりも憎しみを感じるくらいだと言います。「男だけのバンドにそんなこと言わないでしょ」とルシアは指摘します。
「私たちは自分たちがしていることを真剣に受け止めている。この仕事を長く続けているわけではないけれど、音楽を作ることは私たちにとってとてもとても大切なことだとわかっているのだから」
視野の狭いキーボード・ウォーリアーたちは、本当に見逃していることがあります。この4人の仲間は、今、私たちの時代に対するあまりにダイレクトなメッセージを持っていることを。THE LINDA LINDAS の “パンク” を疑ってかかると、きっと後悔することになるはずです。”Racist, Sexist, Boy” はたしかに THE LINDA LINDAS を成層圏まで押し上げて、彼女たちの道筋を決めました。しかし、Lucia は単に表現と寛容のために戦うだけではないことを強調しています。
「私たちは、人種差別や性差別について話すことを期待される立場に置かれることが多くなった。もちろん、それについても話したいと思っているけど、それが私たちのすべてではないのよね。私たちが有色人種の若い女性だからといって、それが私たちの責任になることを望んではいないのよ。誰かに話をする義務があるわけではないの」
しかし、COVID-19がアメリカの海岸に届く前から彼女たちは、メキシコ人を犯罪者、麻薬の売人、強姦魔と決めつけ、COVID-19を “中国のウイルス” と呼んだホワイトハウスの老人のおかげで、かなり複雑で、物議を醸す状況で育つことを余儀なくされました。
「毎日何かあったのは確かよね。パンデミック、大統領選挙、Stop Asian Hate や Black Lives Matter みたいなことが立て続けにあったわ。何が起こっているのか、自分には何もできないと感じながら、家で座っているのは本当につらかった。そんな時には、自分が自分自身の最大の敵にならないように、心の中で何が起こっているのか、つまり、内面的に何かを理解する方法を見つけなければならないの。それがソングライティングなのよ」
ゆえに、彼女たちが音楽を通じて共有している世界観の形成に、アメリカの前政権は極めて大きな影響を及ぼしました。ホワイトハウスの横暴もあって、彼女たちは “Racist, Sexist Boy” を書き上げ、2020年の大統領選でついにトランプが大統領から解任されたその渦中に楽曲を完成させたのです。
彼女たちは投票するには若すぎたために(そして今も)トランプの横暴に対して何もできないままでした。だからこそ、THE LINDA LINDAS での活動は、彼女たちが感じた無力感に対する解毒剤になったのです。大人たちは、この困難な時代に育つ子供が若すぎて政治的なレトリックや意味、立場を理解できないと思っているかもしれません。しかし、それは真実から遠く離れていることを Mila は主張しています。
「でも、私たちは毎日状況を見ているんだよ。私たちは政治を理解しているの。わからないことがあれば、説明をしてほしい。難しくても理解したいと願うから」
Lucia は、このアルバムに収録されている曲のうち、よりハッピーな曲を好んで提供しました。アッパーなタイトル”Growing Up” は、成長という潮流に流されることを受け入れ、可能な限りその中から楽しみを絞り出すという内容です。彼女は、スタジオでは悲しい曲も書いていましたが、自分の感情をさらけ出す準備が出来ていないようでした。それでも懸命に絞り出したのが、パンデミックの暗い雰囲気の中で希望を見出そうとする Mila との共作、”Remember”。
「パンデミックにおける “Zoom スクール” の日々では、すべての日が同じで1つにぼやけているように感じられ、何も把握することができなかった。ある日に、何もしなかった自分を許すにはどうしたらいいか、生産的になれないことに罪悪感を持たないようにするにはどうしたらいいか、それを考えるのが大変だったわ。時には、何もしないことを受け入れることも必要なのよね。自分にとってそれが必要な時もあるのだから」
Bela は曲作りの際、自分の感情を深く掘り下げることに抵抗がありました。彼女は、自分の感情を世界と共有することは、難しく苦しいと認めていて、”Nino” のように、より幸せで簡単なトピックにこだわることを好んでいます。掘り下げたい感情があっても、公にするのが怖いと感じたとき、彼女は “Cuantas Veces (How Many Times)” を書くことでその方法を見つけました。歌詞はスペイン語で書かれています。
「スペイン語は誰もが理解できるわけではないので、自分の感情を共有するのにより神聖で安全なことだと感じていたわ。私はスペイン語を話して育ち、スペイン語と英語を同時に学んだかは、スペイン語は私という人間の本当に深い部分だと言えるの」
パンクらしい DIY の精神も貫かれています。Eloise が解説します。
「ジャケットアートは、私たち一人一人の紙人形を作って、友達の Zen Sekizawa さんが撮影してくれた。ニッキ・マクルーアの切り絵や、テ・ウォンユの紙の彫刻にインスパイアされたの。パンクは単なる音やスタイルではない。好きなことを好きな人とやって、自分にとって重要なことを貫くこと。誰もやらないなら、自分でやること。ただクリエイティブでいて、楽しむこと」
THE LINDA LINDAS の成功はあっという間に高々と聳え、彼女たちはまだそのすべてを吸収しきれてはいません。彼女たちは、自分たちがアルバムを作ったという事実さえもまだ頭の中で整理できていないのですから。2005年の日本映画 “リンダ リンダ リンダ” で、女子高生が THE BLUE HEARTS の “リンダ・リンダ” を習うシーンにインスパイアされた THE LINDA LINDAS は、その後、Netflixのドキュメンタリー映画でオリジナル曲を披露し、今では完全に “バイラル” な状況に置かれています。
「ただ楽しかっただけなのに……”うぉー、ハリウッド・パラディアムで演奏したぞー” って。それから、”すごい、映画に出たぞ!” って。そして今、私たちはバイラルな状態。学校に行けば歓声が上がる。正直、ついていくのが大変よ」
当然、期待に胸を膨らませていますが、何よりもこの4人は、このアルバムが自分たちの夢の扉を開く鍵になることを望んでいます。
「より多くの人に聴いてもらえるように、そして世界のいろんな場所で演奏できるように。旅をしたいし、もっと音楽を発表したい。でも、それ以上に大切なことがある。それは、自分たちが好きなことをやりつづけること」
彼女たちは “かわいい” と言われるのが嫌いで、Lucia は自分たちの名声がいつまで続くのか心配になることがあるといいます。
「私たちが若くて、女の子で、アジア系で、ラテン系だから、みんなに好かれるのだろうか?私たちが年をとったらどうなるんだろう?私はいつも起こっていることを否定して悲観的になっている気がする。でも、ここ数日は楽しくて仕方がない。だから、楽しもうって感じ。そして、もっともっと曲を書いて、続けていくつもりよ!」
EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH TAICHI NAGURA OF ENDON & KAPO OF SWARRRM !!
“To Me, Extreme Music In Japan Seems To Have a Spirit Kind Of “Fuck While Being Fucked” And Yeah…I Can Hear It. The Situation Is Often Forgotton Unconsciously.” By Taichi Nagura
“I’m Not Sure What The Punk / Hardcore Spirit Specifically Refers To. The Spirit Should Be Different For Each Individual.” By Kapo
EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ADRIAN BELEW OF GIZMODROME !!
The Police, PFM, Level 42, And King Crimson Got Together, Making An Strange But Absolutely Fantastic Record As Gizmodrome !!
DISC REVIEW “GIZMODROME”
ロック四半世紀の時を刻む、四人の傑出したミュージシャンが集結したスーパーグループ GIZMODROME が唯一無二の色彩を放つデビュー作 “Gizmodrome” をリリースしました!!マエストロが紡ぐ多彩かつユニークな “パンクプログ” “プログレッシブポップ” の造形は、ある種定型化したシーンに贖いがたい魅力的な誘惑を放ちます。
THE POLICE の大黒柱 Stewart Copeland を中心として、鍵盤の魔術師 PFM の Vittorio Cosma、LEVEL 42 のスラップキング Mark King、そして KING CRIMSON のギターイノベーター Adrian Belew が参集。GIZMODROME はパンク、ポップ、ニューウェーブが花開いた80年代初頭の風をプログレッシブのテクニックに乗せて運ぶ素晴らしき “Gizmo” “仕掛け” の体現者だと言えるでしょう。
「レコーディングの鍵は素早さだったね。長々と時間をかけることなく、ただ楽しんで行ったんだ。」 と Adrian が語る通り、アルバムは音楽本来のワクワク感、楽しさ、多幸感に満ちています。
アルバムオープナー、”Zombies In The Mall” は GIZMODROME の “生態” を目の当たりに出来る楽曲かも知れませんね。THE POLICE が遺したポップパンクの遺産と、LEVEL 42 のジャズファンクが、プログレッシブなポルカの上でダンスを踊る奇跡。Stewart 自らがプレイしたというトロンボーン、Adrian の巧みなアコースティックギターも重要なアクセントになっていますね。
実際、バンドはポップパンク、ロック、ジャズファンク、プログレッシブという異なるジャンルから一名づつ選抜されたハイブリッドな “多音籍軍”の 顔を持ちます。そしてその4人の選ばれしヴァーチュオーソは究極に楽しみながら、ユーモラスなまでにエクレクティックな音楽のショーケースを披露しているのです。
“イタリア” というロケーションが、この自由で楽観的なムードに更なる追い風となった可能性もありますね。Stewart もレコーディングにおいて、話題の大半が音楽ではなく、パスタやピザについてだったと認めています。
勿論、GIZMODROME のフレキシビリティーが Frank Zappa に通じると感じるリスナーも多いでしょう。事実、レコードの大部分でリードボーカルを務めた Stewart のモノトーンな声質やイントネーションは、Zappa のそれと近いようにも思えます。
インタビューで Adrian が語る通り、Adrian & King のメロディックなコーラスが Stewart のボーカルを際立たせ、VAN HALEN におけるダイヤモンドデイヴの如く極上のストーリーテラーに仕立てあげている部分も、マルチに歌えるバンドならではの実に興味深いチャレンジですね。”Summer is Coming” の BEACH BOYS もしくは TOTO を想起させるコーラスワークは、まさに GIZMODROME の豊潤な可能性の一つだと言えるでしょう。
もしかしたら GIZMODROME は最も成功した音楽の “Back to the Future” なのかも知れません。「僕は二つの要素をミックスするのが好きだね。テクノロジーとオーガニックをね。」 と Adrian が語るように、確かに “Gizmodrome” には古き良き時代の大らかな空気と、現代的なサウンド、コンテンポラリーで多様な創造性のエッセンスが奇想天外に共存しています。
“American People” を文字ったユーモラスな “Amaka Pipa” はまさにその象徴でしょう。Stewart のトライバルなリズムは、Adrian の異質でしかし温もりのある “Foxtone” と溶け合いラップ調のボーカルを誘います。ジャズのビートやブルースの精神まで内包したユニークかつ多彩な一曲は、ルーズで発想豊かなジャムセッションのムードとモダンなデザインを共有するバンドのランドマークなのかも知れませんね。
それにしても Rolling Stone 誌 “100 Greatest Drummers of All Time” で10位にランクした Stewart のドラミングはやはり伊達ではありませんね。左利きにも関わらず右利きのセットでプレイする彼の稀有なスタイルは、スネア、リムショット、ハイハットのダイナミズムに特別な魔法をかけ、THE POLICE 時代から培ったレゲエを初めとする世界中のリズムを見事にロックと融合させています。”Gizmodrome” の楽曲の大半がワールドミュージックを隠し味としているのは、Stewart がメインコンポーザーであることと密接にリンクしているのです。
今回弊誌では Adrian Belew にインタビューを行うことが出来ました。”Stay Ready” は象徴的ですが、彼の風変わりでイタズラ心満載のリックがなければ作品の魅力は半減していたことでしょう。さらには KING CRIMSON, Robert Fripp に対する愛憎入りまじる複雑な感情を、これほど顕にしたインタビューは世界でも初めてかも知れません。来年4月には来日公演も決定しています。どうぞ!!
EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH STEPHEN BRODSKY OF MUTOID MAN !!
Converge / Cave In Super Group, Mind-Blowing Behemoth, Mutoid Man Literary Melt Your Mind With Their Newest Record “War Moans” !!
DISC REVIEW “WAR MOANS”
CONVERGE, CAVE IN, ALL PIGS MUST DIE のメンバーが集結した突然変異のスーパーグループ MUTOID MAN が奔放かつ不遜、バッダースな新作 “War Moans” をリリースしました!!キャッチーなロックン・ロールのイメージを獰猛なメタルのアグレッションに投影した、チャーミングかつタイトなレコードはシーンの大いなる期待に応えて余りある一撃となりました。
シリアスで暗色調なアティテュードが枢軸となるコンテンポラリーなメタルシーン。狂気やユーモア、風刺を宿す MUTOID MAN のシアトリカルで本来のメタルらしいコンセプトは、実際異端で新鮮なカウンターとして際立っています。
インタビューにもあるように、”War Moans” は “セクシャリティ”、性行為や性的欲求にフォーカスした作品です。アートワークやタイトルが示すように、性的指向、欲求が日増しに暴走する現代社会を、戦争という極限状態へと投影しある意味戯画化することで、現代の異様さ “倒錯性” “変態性” を浮き彫りにしているのかも知れませんね。実際、バンドは “War Moans” を “Perverted” 変態的なレコードだと断言しています。そしてその柔軟なユーモアはポップセンスに、辛辣な毒気はアグレッションに姿を変えて作品の音楽性に反映されているのです。
文字通りリスナーの心を溶かすアルバムオープナー、”Melt Your Mind” はそういった彼らの意図を十二分に汲み取った楽曲です。キャッチーでスピーディー、ハイパーアクティブなバンドの新たなアンセムは、Brodsky のフックに満ちたギタープレイ、ファジーでラウドな Nick のベース捌き、そして Ben Koller の数学的かつダイナミックなドラミングに牽引されて、空襲にも似た爆発的なエナジーを発します。
加えて、あの VAN HALEN をも想起させるボーカルハーモニー “hoo-ooo” の火力も絶大で、物憂げなメロディーとの相乗効果は無上の中毒性をリスナーへと植え付けて行くのです。
続く”Bone Chain” ではさらにアンニュイなメロディーが中毒性を増し、MOTORHEAD meets QUEENS OF THE STONE AGE とでも形容可能、ドラッグのように危険でオルタナティブなキャッチーネスを創造していますね。
インタビューにもあるように、パンクやハードコアは勿論ですが、特に初期のメタルスピリット、80年代という時代を意識しリスペクトして制作されたアルバムで “Irons in the Fire” からタイトルトラック “War Moans” への流れはまさに作品を象徴しています。
MEGADETH の “Countdown to Extinction” をイメージさせる大仰なイントロ、スラッシュの衝動、テクニカルなシュレッド、インテレクチュアルなリズムワーク、シンガロングを誘うキャッチーなコーラス。”Irons in the Fire” は、かつてメタルが備えていた祝祭的な高揚感を胸いっぱいに浴びつつ、マスマティカルでスペーシーに味付けしたモダンな感覚と共に現代へと叩きつけているのです。
さらに SLAYER の “War Ensemble” に対する極上のオマージュにも思える “War Moans” では、あの時代を象徴するシュレッダー Marty Friedman が、トレードマークのコード感抜群で変拍子を切り裂くリードプレイでバンドの主張を代弁しています。
こういった凶悪な楽曲においても、Brodsky はスクリームや吐き捨てを駆使してあくまでメロディーを追い、勿論あの素晴らしき CAVE IN で確立したスタイルから遠く遊離する訳もありませんが、グロウルは使用していませんね。彼のそのトレードマーク自体も、グロウルが飽和気味な界隈に対する強いアンチテーゼ、風刺となっているように感じました。
とは言え、アルバムは決してオプティミスティックな押しの一辺倒ではありません。ブルージーでスロウ、スラッジーにバンドのシリアスな一面を見せつける “Kiss of Death” はアルバムの裏ハイライトとして作品に妙なる濃淡をもたらし、何よりこのマスターピースを締めくくる衝撃のパワーバラード、ダークな歌姫 Chelsea Wolfe を起用した “Bandages” では、慈愛と憂鬱の相反するエモーションを深々とサウンドに込め、バンドのジャンルスパニングでフレキシブルな才能を絶佳なるコントラストとして見事レコードに落とし込んでいるのです。
作品のプロデューサーでもある CONVERGE の Kurt Ballou が、カオティックに暴走する “Micro Aggression” ではなく、意外にもこの2曲にゲスト参加を果たしていることを付け加えておきましょう。
今回弊誌では、ex-CONVERGE で CAVE IN のマスターマインド Stephen Brodsky にインタビューを行うことが出来ました。マーティーさんによれば、「新しいアルバムはエグい! クッソかっこいい! メタルかロックかパンクか分からないけど、とにかく生々しいヘヴィ・ミュージック! コイツらはホンモノだ、保証付き!!」 だそうですよ。どうぞ!!