タグ別アーカイブ: Russia

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【BYONOISEGENERATOR : SUBNORMAL DIVES】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH BYONOISEGENERATOR !!

Nothing is true, everything is permitted.” When we started playing this kind of avant-garde stuff, we made a conscious decision not to limit ourselves with genre boundaries. We began with pure experimentation, and we’re still sticking to that approach.

DISC REVIEW “SUBNORMAL DIVES”

「”正しい音楽などは決してない。すべてが許される”。こういうアヴァンギャルドな音楽を演奏し始めた時、僕たちはジャンルの枠にとらわれないことを意識的に決めたんだ。純粋な実験から始め、今もその姿勢を貫いているよ。初期の作品はデス/グラインドコア寄りだったけど、最新作は新メンバーの Dima と Semyon がもたらしたマス・コアの影響がより強くなっているね。
とはいえ、バンドの方向性は常に、最強に極めて激しい音楽を作ることにある。なぜなら、身体を動かすことは、強くて若々しくいる秘訣だからね」
混沌とした時代には混沌とした音楽がよく映える。実際、ロシアの ByoNoiseGenerator のカオスほど、2020年代のサウンド・トラックといえる音楽は他にないでしょう。
狂気じみたテクニカル・デスメタル、轟音のグラインド・コア、難解な数式のマス・コア、カウボーイ・ビバップのサウンドトラックに煙立ち込めるジャズクラブを、無機質な工業用装置で加工処理したかのような BNG の混沌にルールはありません。そう、ルール無用ですべてが許されるこの時代に、彼らの音楽はあまりにもフィットしているように思えます。
「すべてはデスメタルとその派生ジャンルから始まったんだよね。その後、グラインド・コアやマス・コアの要素をより多く取り入れるようになったんだ。僕たちはそうしたジャンルを音楽的に心から愛しているけど、凶悪な音楽に典型的に見られる歌詞のテーマからは意図的に距離を置いていてね。僕たちの音楽が、デスメタルの誇張された残虐性や、グラインド・コアによく見られる社会政治的なメッセージと結びつくことは望んでいないんだ」
とはいえ、彼らの混沌は決して戦争や抑圧といった暴力の渦に巻かれているわけではありません。むしろ、そうした狂気から距離を置き、音楽的な挑戦や寛容さが極まってたどり着いた場所こそが圧倒的なカオスだっただけ。彼らが生み出す怪物や肉塊、そして官能さえ、実は音楽のみに集約しているのです。
「John Zorn を知ったのは比較的遅い時期だったんだよね。ネット上で僕たちの音楽と彼の音楽を比較する人が出始めたのがきっかけだったんだ。当初は、Chris Potter, Ben Wendel, Michael Brecker といったサックス奏者から影響を受けていたんだよ」
近年、サックスの響きをメタルに持ち込むバンドが増えていますが、BNG に RIVERS OF NIHIL や SLEEP TOKEN のような洗練された音色を期待するのは大間違いです。ByoNoiseGeneratorは、その名の通り、純粋な聴覚的狂気を詰め込んだ混沌を投下するのみ。グルーヴ感のあるスラム・ブレイクダウン、PRIMUS 風のギター・ファンク、頭蓋骨を粉砕するグラインドコアが、フリーフォーム・ジャズの暴力的な流れと混濁し、目まぐるしくその姿を変化させていきます。
3分にも満たないトラックに山ほどの音楽ジャンル詰め込み、インテンスを高めるその姿勢はまさに NAKED CITY の遺伝子そのもの。”ジャズ・グラインド”。複雑極まりないと同時に爆発的なエネルギーを秘めた BNG の楽曲は、狂気じみた拍子と魅惑的な官能のスウィングを見事に結びつけました。この陶酔的でしかしサブリミナルなノイズの荒波で踊ることこそ、2020年代に課せられた私たちの使命なのかもしれませんね。
今回弊誌では、ByoNoiseGenerator にインタビューを行うことができました。「でも真面目な話、この名前もコンセプト全体も、僕らのドラマーがロシアのサウナで亜酸化窒素を吸っていた時に、ちょっと狂った頭で思いついたものなんだよね。だから、その狂ったコンセプトが自然と僕たちの芸術的アイデンティティの一部になったというわけだよ」どうぞ!!

BYONOISEGENERATOR “SUBNORMAL DIVES” : 10/10

INTERVIEW WITH BYONOISEGENERATOR

Q1: First of all, what kind of music did you grow up listening to?

【BNG】: We all started from very different places. For about half of the band, childhood happened at a time when the internet wasn’t that widespread yet, so we listened to whatever we could get our hands on.
Anything from heavy/thrash/death metal to punk rock. For example, our guitarist got into heavy music and picked up the guitar after hearing a Static-X track while playing Need for Speed.

Q1: 本誌初登場です!まずは、あなたの音楽的なバックグラウンドからお話ししていただけますか?

【BNG】: メンバーそれぞれ、音楽のルーツは大きく異なるよ。バンド・メンバーの約半数は、インターネットがまだそれほど普及していなかった時代に幼少期を過ごしたので、その時手に入るものは何でも聴いていたよ。
ヘヴィ・メタル、スラッシュ・メタル、デスメタルからパンク・ロックまで、あらゆるジャンルを聴いていたね。例えば、ギタリストは “Need for Speed” をプレイ中に Static-X の曲を聴いてヘヴィ・ミュージックにハマり、ギターを手に取ったんだ。

Q2: Are you connected to the Russian metal scene? Or have you been targeting bands outside the country?

【BNG】: Even though we don’t play shows that often, we stay connected to the Russian metal scene ― we keep in touch with a lot of musicians and bands.
We also try to stay connected with bands outside the country. We’ve got a lot of great memories and friendships from our European tour.

Q2: 地元ロシアのメタル・シーンとの繋がりはあるんですか?それとも、国外により目を向けているんですか?

【BNG】: ライブ活動はそれほど頻繁には行っていないんだけど、ロシアのメタル・シーンとは繋がりを保っているよ。多くのミュージシャンやバンドと連絡を取り合っているんだ。
同時に、国外のバンドとも繋がりを保つようにしているよ。ヨーロッパ・ツアーでは、たくさんの素晴らしい思い出と友情が生まれたんだ。

Q3: ByoNoiseGenerator is exactly the right name for your music, why did you decide on this name?

【BNG】: As you pointed out ― it fits our music, so that’s why we picked it.
But seriously, both the name and the whole concept came from our drummer’s slightly deranged mind while he was inhaling nitrous oxide in a Russian sauna. So yeah, it kind of naturally became part of our artistic identity.

Q3: ByoNoiseGenerator というバンド名は、まさにあなたの音楽にぴったりですね。なぜこの名前を選んだのですか?

【BNG】: 君が言う通り、僕たちの音楽に合っているからこそ、この名前を選んだんだ。
でも真面目な話、この名前もコンセプト全体も、僕らのドラマーがロシアのサウナで亜酸化窒素を吸っていた時に、ちょっと狂った頭で思いついたものなんだよね。だから、その狂ったコンセプトが自然と僕たちの芸術的アイデンティティの一部になったというわけだよ。

Q4: Still, I’ve never heard music as chaotic as yours!Technical grindcore, free jazz, Primus-like grooves with Mr. Bungle-like progressive developments. Why did you decide to make such chaotic, avant-garde music?

【BNG】: “Nothing is true, everything is permitted.”
When we started playing this kind of avant-garde stuff, we made a conscious decision not to limit ourselves with genre boundaries. We began with pure experimentation, and we’re still sticking to that approach.
Our earlier releases leaned more towards death/grind, while the latest one has a stronger mathcore influence, brought in by our newer members Dima and Semyon.
Overall though, the band’s direction has always been about creating максимально intense music ― because physical exercise keeps you strong and young.

Q4: それにしても、あなたたちほどカオスな音楽は聴いたことがありません!
テクニカル・グラインドコア、フリージャズ、PRIMUS のようなグルーヴに Mr. Bungle のようなプログレッシブな展開。なぜこんなにカオスでアヴァンギャルドな音楽を作ろうと思ったのですか?

【BNG】: 「正しい音楽などは決してない。すべてが許される」
こういうアヴァンギャルドな音楽を演奏し始めた時、僕たちはジャンルの枠にとらわれないことを意識的に決めたんだ。純粋な実験から始め、今もその姿勢を貫いているよ。
初期の作品はデス/グラインドコア寄りだったけど、最新作は新メンバーの Dima と Semyon がもたらしたマス・コアの影響がより強くなっているね。
とはいえ、バンドの方向性は常に、最強に極めて激しい音楽を作ることにある。なぜなら、身体を動かすことは、強くて若々しくいる秘訣だからね。

Q5: Many people must feel John Zorn’s genes when they listen to your music.In fact, does his music and use of the saxophone influence you?

【BNG】: We actually discovered Zorn relatively late. It happened after people online started comparing our music to his.
Initially, we were more influenced by sax players like Chris Potter, Ben Wendel, and Michael Brecker.
That said, John Zorn had a huge impact on our sax player Shela in his early years. He learned improvisation and phrasing largely through studying Zorn and Naked City.
So yeah ― the answer isn’t entirely straightforward, as you can see.

Q5: あなたたちの音楽を聴くと、John Zorn の影響を感じる人も多いのではないでしょうか。実際、彼の音楽やサックスの使い方は、あなたたちに影響を与えていますか?

【BNG】: 実は、John Zorn を知ったのは比較的遅い時期だったんだよね。ネット上で僕たちの音楽と彼の音楽を比較する人が出始めたのがきっかけだったんだ。
当初は、Chris Potter, Ben Wendel, Michael Brecker といったサックス奏者から影響を受けていたんだよ。
とはいえ、John Zorn は、サックス奏者の Shela が若い頃に大きな影響を受けている。Shela は Zorn と NAKED CITY を研究することで、即興演奏やフレージングを多く学んだんだ。
だから、メンバーによって異なるんだよね。

Q6: Interestingly, your music reminded me of the soundtrack to the Japanese anime Cowboy Bebap.It’s strange that grindcore reminds me of such music (lol), but do you actually have any Japanese anime, video games, or music influences?

【BNG】: Japanese culture hasn’t directly influenced our music, but it’s worth mentioning that we all grew up watching iconic anime and films like Evangelion, Berserk, Tetsuo: The Iron Man.
All of that stuff feels incredibly weird and mesmerizing ― at least from a European perspective. Maybe our music creates a similar feeling for listeners.

Q6: 面白いことに、あなたの音楽は日本のアニメ “カウボーイ・ビバップ” のサウンドトラックを想起させますよ。グラインドコアがそんな音楽を連想させるなんて不思議ですが(笑)。
そうした、日本のアニメやゲーム、音楽から影響を受けたことはありますか?

【BNG】: 日本の文化が直接僕たちの音楽に影響を与えたわけではないけど、僕たちは皆、”エヴァンゲリオン”, “ベルセルク”, “鉄男” といった名作アニメや映画を見て育ったことは特筆すべきだろうね。そうした作品は、少なくともヨーロッパの視点から見ると、信じられないほど奇妙でだけど魅惑的なんだ。
もしかしたら、僕たちの音楽もリスナーに同じような感覚を与えているのかもしれないね。

Q7: Originally, grindcore and death metal were two separate things, but in recent years the two have come closer together, with a proliferation of bands that are now being referred to as death grind. You also combine the impulse and sociality of hardcore with the complexity and technique of death metal, which do you consider more your roots?

【BNG】: Like we said earlier, it all started with death metal and its variations. Later, we began incorporating more grind and mathcore elements.
We genuinely love all these genres musically, but we deliberately distance ourselves from the typical lyrical themes associated with them.
We don’t want our music to be tied to the exaggerated brutality of death metal or the socio-political messaging often found in grindcore.

Q7: 元々、グラインド・コアとデスメタルは別々のジャンルでしたが、近年は両者が接近して “デス・グラインド” と呼ばれるバンドが増えています。
BNG もまた、ハードコアの衝動と社会性に、デスメタルの複雑さとテクニックを融合させていますが、どちらがよりあなたのルーツだと考えていますか?

【BNG】: 先ほども述べたように、すべてはデスメタルとその派生ジャンルから始まったんだよね。その後、グラインド・コアやマス・コアの要素をより多く取り入れるようになったんだ。
僕たちはそうしたジャンルを音楽的に心から愛しているけど、凶悪な音楽に典型的に見られる歌詞のテーマからは意図的に距離を置いていてね。
僕たちの音楽が、デスメタルの誇張された残虐性や、グラインド・コアによく見られる社会政治的なメッセージと結びつくことは望んでいないんだ。

Q8: Since 2020, pandemic happened, divisions are growing, and your country is at war. What can heavy music do in such a dark world?

【BNG】: We believe heavy music should keep doing what it has always done ― bringing people together, giving them a way to release emotions and energy, and helping them get through all this darkness.

Q8: 2020年以降、パンデミックが発生し、分断が深まり、遂にはあなたの国は戦争状態にあります。このような暗い世界で、ヘヴィ・ミュージックは何ができるでしょうか?

【BNG】: 僕たちは、ヘヴィ・ミュージックはこれまで通り、人々を結びつけ、感情やエネルギーを発散させる手段を提供し、この暗闇を乗り越える手助けをし続けるべきだと信じているよ。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED BNG’S LIFE!!

The Tony Danza Tapdance Extravaganza “Danza III”

the album that got me into mathcore (Halo)

Metallica “Master of Puppets”

the album that got me into heavy music (Tim)

Pink Floyd “The Wall”

because I like worms (Shela)

Yüth Forever “Freudian Slip”

such an underrated album that takes the best from nu metal, math metal, and metalcore and delivers it in a full-force blast of aggression, anxiety, and depression — just hits you straight in the face (M1t)

Foetopsy “In the Bathroom”

Almighty Jon Engman completely changed my drumming (Nox)

MESSAGE FOR JAPAN

We’re really happy that people in Japan are interested in what we do. Hopefully, one day we’ll get to visit your country, play a couple of shows, and fulfill our vocalist’s childhood dream!

日本のみんなが僕たちの音楽に興味を持ってくれたことを、本当に嬉しく思うよ。いつか日本に行けることを願っている。君たちの国でライブを行い、ボーカリストの幼い頃からの夢を叶えたいね!

BYONOISEGENERATOR

BYONOISEGENERATOR Facebook

BYONOISEGENERATOR Bandcamp

mmmB5dvKwaCcAEznJZ

PLZ FOLLOW US ON FACEBOOK !!

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ARKONA : KOB’】 JAPAN TOUR 25′


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MARIA “MASHA SCREAM” ARKHIPOVA OF ARKONA !!

“As a result, Slavic paganism became a part of my life, and subsequently I began to convey my worldview through my music.”

DISC REVIEW “KOB'”

「古代スラブのペイガニズムは私たちの歴史であり、過去であり、取り返しのつかない、しかしどうしようもなく説得力のあるテーマだ。私たちのルーツに戻り、多神教的な宇宙とそのさまざまな顔、解釈、そして数多くの神々や要素という形での現れと相互作用しながら、自然の法則のみに従って動くその世界そのものに真に没頭するよう教えてくれる。 私の意識はこのテーマに完全に没頭し、その結果、スラブ多神教は私の生活の一部となり、その後、私は音楽を通して自分の世界観を伝えるようになった」
ロシアの ARKONA (Аркона) は、ペイガン・メタルとフォーク・メタルの定義と革新を今もなお追求し続けています。ダークなプロダクション、ブラック・メタルとプログレッシブ・メタルの融合、強烈で内臓をえぐるようなパフォーマンス、そして物憂げで重々しいギターワークと民族色豊かな管楽器の響き。そうした言語をも超越した ARKONA のパフォーマンスは、自らが生まれ育った母なるロシアの厳しくも美しい大地と、ルーツである古代スラブのペイガニズムに捧げられています。
「ARKONA は非常に多様で、バンド結成20年の間に、私たちの音楽は大きな変化を遂げた。昔の、のんきで陽気で、荒々しく正直で、エネルギッシュでありながら儀式的な神秘に満ちたフォーク時代の ARKONA と、新しい、暗くて絶望的で、骨抜きで死の息吹が漂い、混沌の果てしない抱擁の中で勝利する ARKONA の両方のファンがいることは素晴らしいことだ。 誰もが自分自身のアルコナを選ぶことを勧めるよ。そして、1枚のアルバムに焦点を当てるには、あまりにも私たちは多面的で広大だ」
ARKONA の音楽は、彼らが崇拝するスラブ多神教のごとく多様で千変万化。初期の “Yarilo” や “Stenka Na Stenku” のようにある種牧歌的で楽しくしかしどこか憂いを帯び、直情的でパワフルなスラブ音楽の祭典はもちろん ARKONA の原点。一方で、近年の大作路線、難解で神秘的、死と混沌のプログレッシブ・ブラックにも彼らのペイガニズムは儀式として根付いています。
そして何より、今回のインタビューイでありボーカリスト Maria “Masha Scream” Arkhipova の哲学と人類の現代、そして未来観という深く暗い領域はどの時代の ARKONA においても紡がれていて、ペイガンの伝統、その光の中で音楽を描き出していくのです。
「ARKONA が結成されたとき、私はすでに熱狂的なメタル・ファンだったので、あるリハーサルで生々しく過激なヴォーカル・スタイルで歌ってみたところ、すぐに夢中になったの。 その結果、私はすぐにこの新しい、自発的な能力を自分の仕事に取り入れることにした。当時は、同じような声のテクニックを持つ女性ヴォーカリストのことをほとんど知らなかったから、だれかの真似をしたわけじゃない。 すべてが自然に起こったんだよ」
古代スラブの神話を語る時、Masha のスクリームやグロウルはストーリーに大きな抑揚を生み出します。その個性、存在感、そして圧倒的な音域は人智を超えた未知の恐怖と神性を ARKONA の音楽へともたらします。比較的自由で穏やかだったソ連崩壊後に声楽を学び、まだ女性スクリーマーがほとんど存在しなかった90年代後半からスクリームを追求し続ける彼女の声は、今や当たり前となったメタル世界の女性たちを力強く後押しし、今ではメタル世界最高の女性スクリーマーのひとりと言われるまでになりました。そうして、Masha の声は、人類が長らく忘れてしまった過去の知恵、太古の生活を蘇らせます。戦争、疫病、宗教的信念、環境問題によって社会が自らの墓穴を掘る中で、ARKONA は本物の疫病が現代を生きる強欲な人類自身であると太古の森から警告を発していくのです。
今回弊誌では、Maria “Masha Scream” Arkhipova にインタビューを行うことができました。「どんな状況でも、メタルは私たちを団結させてくれる。あなたが前の質問で、ヘヴィ・メタルは国際的な現象となり、政治や支配者層が私たちを陥れようとしているあらゆる汚物を超越する、と指摘したのは正しんだよ」 来日決定!どうぞ!!

ARKONA “KOB'” : 9.9/10

続きを読む NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ARKONA : KOB’】 JAPAN TOUR 25′

COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【SLAUGHTER TO PREVAIL : 1984】


COVER STORY : SLAUGHTER TO PREVAIL “1984”

“If You Say You Are Against The War, If You Do Something Like You’re Protesting, And All This Shit, You Can Probably Go To Jail.”

1984

世界で最も危険なデスコアバンドのひとつ、SLAUGHTER TO PREVAIL。彼らが昨年発表したミュージック・ビデオには、バズーカ砲の発射、戦車での巡航、命がけのロシアンルーレット、フロントマン Alex Terrible が熊と格闘するなど、母国ロシアのステレオタイプを大々的に取り入れた姿が映し出されていました。
メタルヘッズにとっては、この仮面をかぶったバンドの大げさな MV は、古き良きデスコアの過激さとバカバカしさを限界まで引き出したものに過ぎませんが、ロシア政府の目に彼らは脅威の悪魔崇拝者集団と映り、彼らの母国公演は、暴力と悪魔賛美のプロパガンダであるという理由で頻繁に警察によって閉鎖されました。
Alex Terrible は現在、フロリダ州オーランドに移住し、デスコアが最も盛んななアメリカに住むことを計画中。2021年のアルバム “Kostolom” 以来の新曲 “1984” は、ハリウッド映画のような空想上の暴力から、ウクライナでの流血を止めろ!というロシアへの鋭い政治的批判に向かってそのテーマを大きく転換した破砕的なシングル。この紛争は Terrible にとっての優先順位を完全に方向転換させ、バンドの今後の創造性にも鋭く影響を与えました。
今年2月にロシアがウクライナに侵攻し、現在も続く流血の紛争が始まったことで、ロシアにも、多くの変化がありましたが、ロシアの侵略が始まってすぐに、Alex Terrible はソーシャルメディア上でこの戦争に対し声高に反対の声をあげました。
「俺たちは残忍な音楽を演奏しビデオには武器も出る。だけどどんな戦争にも反対だ。ウクライナで起こっていることにとても傷ついている。どうかロシア国民全体を共犯者だと思わないで欲しい。皆の頭上に美しい、平和な空が広がりますように」
先日、同じロシア出身のプログ・チェンバー・デュオ、IAMTHEMORNING の Gleb と会話をした際、彼は今のロシア、そしてその国民を “ゾンビ” と呼びましたが、全員が全員 “噛み付かれて” ゾンビになっているわけではありません。ロシアが突き進む全体主義、差別主義、帝国主義に疑問を呈するアーティストやスポーツ選手、資産家が少なからず声を上げています。逮捕や暗殺の危険もかえりみず。
我々個人にできることは決して多くはないでしょう。しかし、まず恐ろしい戦争が今も続いていることを忘れないこと。戦争や弾圧、人の死に慣れないこと。そしてロシアとロシア人すべてを憎み切り捨ててしまわないこと。ロシアの全てを完全否定してしまうことは、そうした “自浄作用” の芽までも潰してしまいかねない危険な行為かもしれませんし、そもそもロシアがやっていることと何ら変わりがありません。
SLAUGHTER TO PREVAIL は昨日、戦争を止めるための第二の矢を放ちました。彼らが最も得意な方法で戦争と流血、そして全体主義について強く発言することを決めたのです。”1984″というタイトルの、強烈なエクストリーム・メタルによって。


1984

もし、あの場所で起きていることがすべて自分のことだったら?
あの涙が自分の家でも流れたとしたら?
お前はあんなクソを白い壁に塗りたくれるか?
自分の家で家族と一緒に
良心は死に絶えた!
行進する軍隊が見える
痛みが走る…だがそこにいる友にはもはや顔も運命もない
死と痛みが群衆の後ろに続く
一体何なんだ?何が起きている?
暴力を止めろ
地球上の流血を止めるんだ
怖がる子供たちの目を見て自分を取り戻せ
暴力を止めろ
地球上の流血を止めるんだ
なあ、兄弟たち
怒りは記憶の中で生き続ける! 怒りは生き続け、そしてはびこってしまうんだ!
罪のないふりをする
見ないふりをする
自分の戦争ではないふりをする
戦争反対のふりをする…そうじゃねえだろ?
ヤツらの目は呪われている
ヤツらの信仰は磔にされている
戦争によって!
ヤツらの舌は石だ
ヤツらの舌は死んでいる
戦争によって!
あのクソ野郎はいつかお前の背中にもナイフを突き刺すだろう

“どうか暴力を止めてくれ、地球上の流血を止めてくれ” という心からの率直な呼びかけを続けながらも、ジョージ・オーウェルの名作小説 “1984” を背景として “抗議” に奥行きを持たせているところはさすがとしか言いようがありません。オーウェルが1949年に執筆した、全体主義国家によって分割統治される近未来の恐怖。70年以上も前の空想が今、リアリティーを持って襲い来るなどと誰が想像したでしょうか。そうして彼らは戦争のみならず、政府による監視、検閲、権威主義の暴走に対しても抗議の声をあげているのです。”1984″ の仮のタイトルが “ヨーロッパ最後の人間” だったというのも、今となっては皮肉な話。オーウェルの言葉を置いておきましょう。
「この小説は社会主義に対する攻撃ではなく、倒錯を暴露することを意図したもの。小説の舞台はイギリスに置かれているが、これは英語を話す民族が生来的に他より優れているわけではないこと、全体主義はもし戦わなければどこにおいても勝利しうることを強調するためだった」
これほど直線的に暴力の嵐を叩きつけてくるバンドが、悪魔の顔を被ったバンドが、実は誰よりも平和を願っている。彼らの存在だけで、仮面の裏の素顔をしっかりと見極めることがいかに重要か伝わります。オーウェルと握手をかわし、ロシアの純血主義のため自分のアートを捨て去ることを拒否し、600ポンドの熊と戦い、顔の傷跡の凄みを明かし、デスコアに飽きたと宣言する。SLAUGHTER TO PREVAIL の野望と狂気と真実と未来はすでに約束されているのかもしれません。まずは、ロシアを離れた理由から話してもらいましょう。

「ロシアのメタル・シーンはアメリカに比べてそれほど大きくないからだ。でも、俺は自分の国が好きなんだ。家族も友達もまだそこにいるからね。俺はロシアで育った。自分の国のことは何でも知っている。ロシアにいる方がずっと楽なんだ。でも、戦争が始まると、ビジネスのコネクションなど、すべてを失ってしまう…制裁で何もできない。そこで、アメリカに移り住むことを即決し、ビジネスもアメリカに移したのさ」
Terrible が手がけているビジネスとは何なのでしょう?
「自分の商品、マスク、その他もろもろを売っているんだ。うまくいってるからビジネスみたいなもんだ。たくさん売れて儲かってるんぜ。俺のバンドにとってもいい金だ。PayPal はロシアと手を切った。Visa と MasterCard も閉鎖した。ロシアから他の国への送金ができないんだ。今は難しい。移住にはヨーロッパの国々や、おそらくメキシコ、アメリカなど、いくつかの選択肢があったな。でも、一番いいのはアメリカだと思った」
戦争によって物理的な危険もあったのでしょうか、それとも制裁によって去ることになったのでしょうか?
「それはちょっと危険な話だ…。戦争に反対だと言って、抗議するようなことをすれば、おそらく刑務所に入るか、3万ルーブル(約500ドル)か5万ルーブル(約800ドル)の切符を切られるかもしれないんだ。それほど高くはないが、それでもとんでもないことだよ。戦争に反対しているだけで、政府からただ “オマエには問題がある。黙れ。黙ってろ” と言われるのさ。特に音楽をやっていて、戦争に反対していたら、おそらく政府はショーを行わせないだろうし、シャットダウンする…… 俺は芸術のためなら何でもする。そうだよ、俺たちは少し問題を起こした。政府は俺たちが悪魔崇拝者だと考えている」
具体的に何があったのでしょう?
「暴力、暴力のプロパガンダ、悪魔崇拝、その他もろもろの理由で、俺らのショーはキャンセルされたんだ。俺や他のバンドにとって、それは非常に危険なことだ。ロシアでは何もしなくても刑務所に入れられるからな。ロシアは今、政府がかなり強くて、すべてをコントロールしているんだ。ヤツらが気に入らなければ、簡単に刑務所に入れられるんだよ」
Terrible はロシアで刑務所に入れられたことがあるのでしょうか?
「俺はないよ。ありがたいことにね。でも、俺の友人には、何もしていないのに刑務所に入れられた人がたくさんいる。ロシアではよく言われる言葉がある。”刑務所に行くかもしれないから、準備しておけ”。今はまさにそんな感じさ」
ライブが政府によってキャンセルされるときは、軍が踏み込むのでしょうか?
「警察が来て、”貴様らは演奏はできない”と言われるだけ。音楽も何もかも消されるんだ。あるいは、その前にショーを主催している人たちに電話して、ヤツらは演奏はできないと言うんだ。問題を起こしたくなければ、キャンセルしろとね」

新曲 “1984” は、かなり政治的に踏み込んだ内容です。
「俺はこれまで政治的なことには無頓着だった。でもな、歳をとると、自分の国で起こっていることをしっかり見なければならないことに気づくんだよ。そこで生きているんだから。政治的でなければならないんだ。この状況について歌ったこの曲。とても感情的だ。俺はとても感情的な男なんだ。だって音楽をやっているんだから。すべてのアーティストが感情的だと思う。それだけ、この状況は本当に心にキタんだよな…自分の仲間が他の国、つまりウクライナに行って、お互いに殺し合っているんだから。たしかに、今のような状況になる前にも、誰もがそのような話をしていた。ロシアがウクライナに侵攻するってね。でも俺はそんなことは信じていなかった。冗談のように思っていた。一体どうなっているんだ?何を言っているんだ?だけど、実際に起こった」
驚きましたか?
「気が狂いそうだったよ。”1984″ という本の中で言われていた、嘘は真実であり、暴力は愛であるといった状況が、ロシア政府にもはっきりと見て取れるからね。実に愚かで強力なプロパガンダが行われ、戦争に反対する人たちを刑務所に入れるという政府の本当に愚かな行動がね。刑務所ではなく、国自体がもう牢屋よ。切符を切られるんだからな。”そんなことはやめなさい。あなたは間違っている” もうね、イかれてるよ」
ロシア政府に従うという選択肢も存在したはずです。
「この曲では “暴力はやめろ” と歌ってる。”なぜこんなことをする?” 間違ってると思うからさ。俺は多くのことを知らないよ。でも俺はクソじゃない…俺は政治家ではないし、ドンバスの紛争もよく知らないし、こんなクソみたいな戦争の理由も知らない。でも、無学な俺にとって、今起きていることは好ましくないんだ。だって人が死んでいるんだから。民間人が苦しんでいる。マリウポルは破壊された。街全体が破壊されている。俺は無学だが、他人の立場に立って考えることはできる。例えば、マリウポリに住んでいて、こんなことが起こったと想像してみるんだ。家族を失い、家も失い、そしてこのような事態になる。ロシア政府を憎むだろう。ロシアが憎くてたまらなくなる。俺はただ… 何て言えばいいんだろう…本当に感情的な人間なんだ。ロシアでは、心の中ですべての人が戦争に反対していると思うよ」
あなたように政治的な問題に言及するロシア人が増えることで、今後、ウクライナにおける殺戮が沈静化することはあるのでしょうか?
「そう願うよ。誰もが、ただ黙っていることはできないからね。なぜなら、ロシア人はロシアに住んでいて、家族もロシアにに住んでいるから。自分の子どもたちも、この国で生きていく。今は俺に起きていることだけど、明日は自分子供や親に起きることなんだ。俺たちはこんなこと望んでいないよ。ロシア人にできる最も小さなことは、ただ何かを言うことだ。そして俺は幸運にも、自分のバンドや音楽を通して、何かを言うためのツールを持っている」

“1984” とそのミュージック・ビデオは、ロシア以外の国で録音されたのですよね?
「いや、もしロシアにいたとしても、俺はこのビデオを公開しただろう。このクソが始まったとき、戦争が始まったとき、俺はいつも自分のインスタで “政府なんてクソだ。戦争なんてクソだ。俺はアイツらなんて怖くねーから” と言ってきた。親には “気をつけなさい。黙っていてくれ” と言われたけどな。ダチはそうしてる。でも俺は嫌だな。俺は言いたいことは何でも言う」
あの曲をロシアで作ったことが政府に知れたら、どれだけの問題になるのでしょう?
「わからない。たぶん、誰かが俺らに興味を持って、敵対するようなことがあれば、トラブルになる可能性はあるけど、それはわからない。わからないけど…でも、常にリスクはあるよ。もし俺がロシアに戻り、そこに留まり、今のような言動を続けたなら、おそらく問題になるだろう…。たぶん、切符を切られ、2枚目の切符を切られ、そして刑務所に行くことになるのだろう」
ネット上では、”デスコアバンドで、暴力的なイメージの音楽を作っているのに、反戦だと言っている偽善者” と揶揄されることもあります。
「彼らは愚かだ。俺は感情的な人間なんだ。戦いは好きだし、武器やライフルも好きだけど、戦争が好きなわけではないんだよ。人々が苦しむのを見たいわけがない。人殺しが好きとか、そういうことじゃないんだ。奴らはただのバカだ。まあ、多くの人はバカだ。それはそれでいい。俺はそれを無視してるんだ。だって、デスコアってのは、蝶々や愛について歌うんじゃなくて、攻撃的な音楽なんだから。でも、いざ戦争になったら、何か言わなきゃいけないと思うし、俺は自分の歌で自分の思いを歌うんだ」
ロシアのおとぎ話をテーマとした “Baba Yaga” のビデオも強烈でした。
「戦車、バズーカ、熊など、かなりロシア的なテーマだったよね。ロシア的なものを1つのビデオにまとめただけというか。Baba Yaga は、小さな子供を怖がらせて食べようとするとても醜い女性の物語。ロシアではとても一般的なおとぎ話だよ。俺たちは、それをとてもシリアスで、とてもアグレッシブなものにしようとしただけなんだ。ロシアで戦車を走らせ、毎日熊と格闘しているわけではないよ。あれはただのアートだから。まず第一に、見ていて楽しい。第二に… 俺は武器や戦いが好きだ。だが常に一線を画している。それを理解する必要があるんだよ。大人の男なら分かるはずだ。一線は必ずある。多くの人がこう言う。なぜ戦車やバズーカのことを歌うのに戦争には反対なのか?その通りだよ。ただ、俺にはバカバカしいとしか思えない。一線を越えるか越えないかだよ。俺は人間で、常に人間でいようと思っているだけだ。何が起ころうとも、俺はいつも物事を落ち着かせようとしているんだ。たくさん分析しようとする。俺は人が苦しむのが好きじゃない。動物の苦しみも好きじゃない。だから6年間ヴィーガンだったんだ…よくわからないけど。世界はもっと優しくなるべきだと思う」
実際に熊と戦ったんですよね?
「もちろん、訓練されたクマだけど。でも、まあ訓練されていようがいまいが関係ないよ。だってあれは本物の熊なんだから。クマの本性は野性的で、何を考えているかわからない。数秒のうちに、もしかしたら突発的に食べられてしまうかもしれない。銃がないから止められないし… 俺たちの周りは棒だけを持っていた。トレーナーやコーチが “やめろ”と言いながらバン バン。それでおしまい。え?マジで?棒で熊を止めるのか?みたいな。クマの体重は200キロか300キロくらい。トレーナーは “何も問題ない。このクマは何度も人間とやりあってる” と言ってたな」

実際に武器を持っているのでしょうか?
「ロシアでは AK をたくさん持っている。ショットガンのAK、ごく普通の AK-47、スナイパーのもの、VSS など。俺たちはヴィントレスと呼んでいます。ロシアでもかなり一般的なライフルだね。アメリカではもうAKとAR、それに狙撃銃も買ったよ。50BMGとか。俺は射撃がかなり好きなんだ。子供のころはずっと “カウンターストライク” をプレイしていたから、武器の見た目がとても好きなんだよな(笑)」
プロの格闘家としても活躍しているんですよね?
「プロフェッショナルではなく、あくまで趣味だよ。本当に好きなんだ。6歳の時に親に連れられて、プロレスのフリーコーナーみたいなところに行って、それから一度辞めた。17歳か18歳のとき、ジムに行ってリフトを始めて、ガリガリだったから筋肉をつけたんだ。ガリガリが嫌だったんだよ。特にロシアに住んでいると、かなりポピュラーなのがゴプニク。ゴプニクというのは、強盗とか喧嘩とか、そういう悪いヤンキーたちのこと。本当に痩せていると狙われて困るんだよね。いつも銃を持っているわけにもいかないし、ね」
格闘技もステージに役立っているようですね?
「そうだね。確かにね。特にデスコアのボーカリストならね。ステージでは、叫びながらヘッドバンキングして、同時に動くのは本当に大変なことなんだ。エネルギーを費やして、呼吸をして……。MMAと似ているよね」
その顔の傷は…格闘でできたのですか?
「ただの傷跡だよ。わざとやったんだ。自分で顔を切っただけだ。タトゥーや体の模様替えが 好きなだけだよ。女の子がメスを持っていて、それで切っただけ。痛みは苦手なんだけど、タトゥーやその他もろもろが好きなんだ」

SLAUGHTER TO PREVAIL の新作のサウンドはどうなるのでしょう?
「”Kostolom” の良いところを取り入れ、それと同じかそれ以上のものを作ろうと思っている。おそらくデスコアにはならないだろうね、デスコアには飽きたから。正直に言うと、スラミングとかデスコアとか、そういう本当にヘヴィなものには飽きたんだ。デスメタルも好きだ。デスコアも好きだ。だけど、何か新しいものを作りたいんだ。何か巨大なものを作りたいんだ。例えば、RAMMSTEIN 。彼らはかなりクソ重いギターリフを持ってる。クソ重いけど、シンガーが歌っている。彼はクリーン・ボーカルをとる。でも、同時に、人々が(歌詞を)理解することができるから、かなり巨大なバンドなんだ。みんながあの雰囲気を感じ取ることができるんだ。俺たちはそういうものを作り出さなければならない。例えば、SLIPKNOT。90年代、彼らはデスメタルとヘヴィメタル、そしてニューメタル、これらすべてをミックスした。俺も同じことをしたい。SLAUGHTER TO PREVAIL と Alex Terrible の名前を音楽史に刻みたい。俺は普通のデスコアやデスメタルバンドにはなりたくない。何かクレイジーなことをしたいんだ」

参考文献:  “OUR GOVERNMENT THINKS WE’RE SATANISTS”: SLAUGHTER TO PREVAIL TALK RUSSIA, WAR, FIGHTING BEARS, NEW MUSIC

COVER STORY + NEW DISC REVIEW【PUSSY RIOT : PUNISH】


COVER STORY : PUSSY RIOT

“I Honestly Think Putin Is Digging His Own Grave Now”

I’LL PUNISH YOU

ニューヨークの会場Terminal 5で、PUSSY RIOT の Nadya Tolokonnikova は自由を謳歌しています。クラブ風のエレクトロポップをセクシーに、SM的なセンスで演奏し、またしても10年前と同様に、まだロシアの大統領である男に対して声を上げました。
「私は戦争が嫌い。平和を愛しているの。私はウクライナを支持するわ。プーチンはクソだ!早く死んでほしい!」

Nadya は何年も前から培った自身の美学を大切にしています。
「この美学は何年も前から、本当に自分のためだけに培ってきたもの。キュートなものと危険なものを組み合わせるのが好きなの。音楽ではメタルとポップを組み合わせているのよ。私は、この厳しいけれど明るいという組み合わせにとても惹かれるのよね。
服もお手製よ。今は、自分がやっていることを他の人にも伝えたいと思っているわ。刑務所で警察官の制服を縫わされていなかったら、服を作ろうとは思わなかったでしょう。幼いころは自分がデザイナーになるなんて考えもしなかった。ロシアは現代の奴隷制度だから、政治的抑圧、性差別、家父長制、監獄制度に反対する服を作る必要があるわ。アナーキストとして育った私は、服にこれほど意味があるとなんて思ってもいなかった」
Nadya は「プーチンと仲良くなることは絶対に無理。彼は狂っている。彼は自分の国民にさえ発砲するかもしれないの」と訴え続けてきました。
かつて反プーチンの “パンクの祈り” を歌ったためにシベリアの刑務所で2年間を過ごしたロシアのアーティストは、独裁者と戦うために NFT を利用し、5日間で700万ドルを集めました。このような時、正気を保てるのはアクティビズムだけだと彼女は主張します。
Nadya Tolokonnikova は非公開の場所で、PUSSY RIOT のTシャツを着用し、目的意識と意欲と一途さをもって活動を続けています。2011年に PUSSY RIOT を結成して以来、彼女のフェミニスト・プロテスト・アートは、真剣そのものです。無許可のゲリラライブ、そして彼女が追訴されたイベント、モスクワの救世主ハリストス大聖堂で “母なる神よ: プーチンを追い払いたまえ” を歌うまで、その遊び心に世界は酔いしれていました。そうちょうど10年前、PUSSY RIOT の5人のメンバーは、モスクワの大聖堂でカラフルな目出し帽をかぶり、聖母マリアに “パンクの祈り” を捧げ、ロシアのプーチン大統領を “追い払って” ほしいと懇願したのです。
しかし、その結果は常に厳しいものでした。Nadya は、PUSSY RIOT の他の2人のメンバーとともに、2012年にフーリガン行為で2年の刑を宣告され、幼い子どもたちと引き離され、ハンストを行い、想像を絶する過酷な状況に耐え、最終的にアムネスティ・インターナショナルから良心の囚人に指名されたのです。

Nadya は自分は “生まれつきの遊牧民” だと語ります。
「この惑星が私の家。私はいつも無政府主義者なの。国境や国家はあまり好きではないのよね」
しかし、その抽象的な言葉の下には、具体的な危険が潜んでいました。彼女は12月にクレムリンから “外国人工作員” と認定され、出所後に設立した独立系報道機関 Mediazone も同様に危険視されています。
「プーチンは、ウクライナの戦争について議論しただけでも15年の懲役を科すという法律にサインしたばかりよ。あれを戦争とさえ呼べない。特別軍事作戦と呼ばなければならないの」
ロシア反体制派として認知されることの危険性は、ここ数十年で最も大きくなっています。そして、1989年生まれでペレストロイカを覚えていない Nadya は、そのことを誰よりも痛感しているのです。
しかし、彼女の関心は、決して自己防衛ではありません。2月24日にプーチンがウクライナに侵攻したとき、彼女と暗号通貨世界の協力者は、ウクライナDAO(分散型自治組織)を立ち上げました。それはウクライナの国旗の1/1非可溶性トークン(NFT)で、この画像の集団所有のために入札を募り、5日間で710万ドルを調達したのです。
「私や暗号通貨の友人たちは、あの侵略に何とかして反応しなければならないと感じていたの。私は個人的に、このような状況では、アクティビズムが正気を保つことができる唯一のものであると確信しているわ。侵略、災害、悲劇をただ見て、それに対して何もしないことは、世界にとって本当に有害であるだけでなく、徐々に自分を破壊し、無力感を与えることになるのだから。このお金は、2014年からウクライナ軍に医療、弾薬、訓練、防衛分析などの支援を動員している組織 “Come Back Alive” にすでに分配されているの。プーチンのような独裁者と戦うなら、死ぬ覚悟があることを示さなければならない…そして、私はそうしたわ」

なぜ、”Come Back Alive” と共にウクライナの人たちにお金を届けようと思ったのでしょうか?
「私はウクライナに友人がたくさんいるの。ウクライナ人は非常に勇敢で、美しく、アグレッシブで、インスピレーションを与えてくれる人たちだと思っている。アナーキストから大臣まで、街角の人々から国会議員まで、たくさんの人々を知っているのよ。だからお金を入れるのに最も適した財団が何なのか、かなりよく理解できているの。私や DAO の他の人たちと連絡を取っているウクライナ人のほとんどは、”Come Back Alive” が今貢献するのに最適な財団だと言っているわ。暗号の利点は、国境がなく、無許可であること。たとえ戦場であっても、誰も止めることができないの。インターネットにアクセスできれば、資金にアクセスできるのだから」
ウクライナの友人とはどんな話をしているのでしょう?
「ウクライナの人々は、侵略という災害に直面しても、実にポジティブ。2014年にプーチンがクリミアを併合したとき、プーチンがウクライナ東部で戦争を始めたとき、私が見たのはそういう人たちよ。戦争を経験した人たちをたくさん知っているけれど、明らかにトラウマを抱えていながらも、彼らは普通の生活を送っている。私が会った人たちは、非常に回復力があるの。そして、彼らはプーチンに対して本当に怒っているのだと思うわ。ロシア人全員がプーチンを支持しているわけではないことを理解してくれている。なぜなら、多くのロシア人が自分たちの自由と生活を取り戻すために抗議し、街頭に立っているのだから。
ウクライナ人の最も魅力的な部分は、決してあきらめないというところ。多くのウクライナ人が、プーチンはウクライナの支配を自分に譲ることを期待していたと言っている。しかし、そうはならなかった。彼らはただ、”ここは我々の国だ” という精神を持っているの。ウクライナのゼレンスキー大統領は、本当によくやっていると思う。彼はキエフを離れることを拒否し、”私たちはキエフを守るだけだ “と言った。そして、驚くべき成果を上げている」
Nadya はウクライナへの侵攻に心が打ちのめされています。
「パニック状態で、毎日泣いているわ。ある意味、必要なことでも、論理的なことでもなかったと思う。起こるべくして起こったことではないのに、何千人もの人々の人生を終わらせる大惨事を起こしてしまった。パニックになったわ」

彼女には、そらみたことか、プーチンは何をしでかすかわからないと言ったじゃない?と自己満足する余裕はなかったのです。
「国際社会は極めて矛盾していたわ。その理由は2つある。プーチンの政治、野党への弾圧、プーチンが始めた戦争(これは決して最初の戦争ではない)を支持しないと表明する人たちがいた。しかし、同時に、彼らはプーチンのビジネスを続けていたわ。ロシアからやってきた “オリガルヒ” (ロシアの新興財閥) が、ヨーロッパやマイアミでどのようにして莫大な富を手に入れたのか、誰も金の流れを追おうとはしなかった。
もう一つはね、バカだから。これが2つ目の理由。人々は独裁者がどれほど危険かを過小評価しているの。2014年、私たちはイギリスの議会で演説し、アメリカの上院で演説し、多くの人からプーチンとどう話すべきか、どう会話を組み立てるべきかと聞かれたんだけど、私はいつも “できる限り厳しくするべきだ” とアドバイスしたものよ。”プーチンと仲良くすることはできない” と。この知恵は、薄情な指導者を怒らせて逮捕されたことよりも、獄中で勝ち得たもの。独裁者は刑務所の看守とよく似た行動をとるの。優しさを弱さとみなしてしまうのよ。
プーチンは自分の墓穴を掘っていると、正直そう思うわ」
Nadya は服役中、そして2014年の釈放後、歴史上の政治犯のような方法でキャンペーンを行いました。まず、ハンガー・ストライキ。
「ハンガー・ストライキを始めたとき、私は死を覚悟していた。独裁者と戦うなら、最後まで戦う覚悟があることを示さなければならない。ウクライナは、いくつかの都市を失うかもしれないが、最後まで戦う意志がある」
彼女は、マドンナやヒラリー・クリントンといった著名人から、世界的な支持を得るようになりました。スロベニアの哲学者スラヴォイ・ジジェクとの手紙のやり取りが始まり、それが “同志の挨拶” という本になりました。

彼女が今思い出すのは、刑務所の状況に具体的な影響を与えたこと。ハンガーストライキを始めて1週間後、プーチンの人権担当の右腕が獄中の彼女に直接電話をかけてきて、彼女が抗議している残酷な状況について話し合ったのです。18時間労働、6週間に1日しか休みがない、睡眠時間が短い、看守や他の受刑者からひどい暴力を受ける。
「これはかなり非常識なことだったのよ。私は社会的地位の最も低い人間だったけど、彼は私を呼び出さなければならなかったのだから」
その後、この奴隷労働システムの構築者である刑務所長ユーリー・クプリヤノフは、この件で有罪判決を受け、執行猶予付きの2年の刑に服しました。
「ロシアの矯正本部は声明を出さなければならなかった。彼らは私を名指しして、私が正しかったと言ったのよ。私がやっていることはすべて、プーチンにとってより大きな痛手となることなの」
しかし、Nadya の受けた刑は、今でも彼女に酷い痕跡を残しています。
「私は刑務所がトラウマになってしまった。出所したときには、人としてほとんど機能していなかった。2014年には本当にひどいうつ病にかかったの。PTSD によるうつ病で、今も薬を飲んでいるわ」。
服役中に引き離された娘は、現在14歳。「彼女は社会民主主義者よ」 と Nadya は皮肉を込めつつも、承認するように話します。「彼女の世代では、人々はより大きな平等を望んでいるの」

その彼女の娘の友人も、反戦のデモで危険な目にあっています。
「今、ロシアで反戦を訴えるのは極めて危険なの。この4日間で何千人もの人々が逮捕、しかも残忍な方法で逮捕されている。殴られたりしてね。
例えば、私の娘には14歳の友人がいるんだけど、見た目は10歳くらいに見える。彼女は父親と一緒に抗議に行ったけど、警官が彼女を殴って逮捕しようとしたのよ!彼女の父親は、”何をするんだ?私の娘だ。まだ子供なんだ!” と。警察は彼女に外傷を負わせ、彼女は包帯を巻いているわ。病院に行って治療しなければならないほどの酷いトラウマよ。警察は少女を逮捕する代わりに、彼女の父親をターゲットにして、彼を地面に投げつけたわ。彼は殴られ、2、3日前から逮捕されている。だから、本当に難しいの…
北米とは、抗議することの代償がまったく違うわ。ここでは、抗議しても、たいていの場合、1日か2日で解放されるけど、私の国ではそうはいかない。抗議活動に参加するだけで、あるいはツイッターでつぶやくだけで、簡単に5年間は刑務所行きになってしまう。私はソーシャルメディアの投稿で2件の刑事事件を起こしている。抗議活動に行かなくても、YouTubeやTwitter、Instagram で口を開くだけで捕まってしまう。彼らは私たちのInstagramのストーリーでさえ追っているの」

プーチンは、ナショナリズムの高まりを期待しているのでしょうか?
「ナショナリズムというより、帝国主義でしょうね。帝国というより、一つの大きな国家を築き上げるということ。彼はそれを望んでいるんだけど、人々が戦争に飢えていないため、それを達成できるとは思えない。
2014年には、人々はもっと飢えていた。そしてプーチンは本当にすぐに成功を収めたのよ。だけど、プーチンの対外的な軍事的冒険が、制裁を引き起こし普通のロシア市民にさらなる問題をもたらすことに気づいたとき、戦争へ欲求は本当にすぐに消えてなくなったのよ。彼らは苦しんでいる。プーチンは苦しまない。彼は大金持ちよ。だから、彼の生活の質には影響しないけど、一般人には影響するわけで、それは本当に悲しいことよ。
第二に、私たちは世界で良い顔をされていない。ロシアのパスポートで旅行すると、人から見下されるの。私はロシアのパスポートで旅行しているんだけど、嫌な思いをするわ。侵略者代表なんだから」
ウクライナ侵攻に関して、アメリカ政府やEU諸国に望むことは何でしょう?
「度胸を決めて、何かしてくれればいい。プーチンが危険な独裁者でしかないのは明らかで、止めなければならない。彼は自国の人々にとって危険なだけでなく、世界の平和にとっても危険な存在よ。多くの人が冗談半分で、この侵略が第三次世界大戦の引き金となると話している。だけど、これはヨーロッパでの戦争なの。冗談では済まされない。本格的な戦争なのよ
アメリカ政府やEUはこの事態を十分に深刻に受け止めていないと思う。この戦争は、プーチンのクリミア併合に対する国際的な反応の結果でもあると思っているの。彼は、基本的にヨーロッパの一部である隣国で簡単に戦争を始めることができ、それによってそれほど大きな被害を受けないということを学んだのだから。
だから、何か行動を起こすべき時だと思うのよ。制裁の対象はクレムリンであるべきで、一般のロシア市民はすでに苦境に立たされている」

これまでの様々な経験は彼女の活動を鈍らせることなく、今やテクノロジーの可能性、その最前線に集約されています。彼女は当初、暗号通貨は金持ちの技術者のおもちゃに過ぎないと考えていました。しかし、中央銀行や政府から独立し、企業の買収を受けないという暗号通貨のその活動家としての可能性に2021年初めに気づき、それ以来、資金調達を行ってきました。
「それ以来、さまざまな慈善活動のためにかなりの金額を集めているわ。家庭内暴力の被害者のためのシェルターのために資金を集めたし、ロシア国内の本当に危険な場所から、何十人もの女性をロシア国外に移動させることができたの。昨年の8月には、ロシアの政治犯のために募金を行ったしね」
それ以外にも、今日彼女は、女性や LGBTQ+ のアーティストの作品を購入することをミッションとした暗号基金 “UnicornDAO” の立ち上げに協力しています。
「単に彼らの作品を買い上げるだけでなく、彼らと共に働き、安定した持続可能なキャリアを持つために様々な支援をする予定なの」
ユニコーンの最初の買い取り作品は、ロシア出身でニューヨーク在住のアーティスト、オリーブ・アレン。
「NFT の世界はお金の再分配には最適だと感じているわ。だけどこの世界でも、古いパターンが繰り返されているのを目の当たりにしているの。女性差別は結局、デジタル作品にも移行するだけ。NFT の売上に占める女性の割合はわずか5%なの。あなたがたまたま女性だった場合、あなたの言葉に価値があることを証明するのはとても難しいのよ…」

NFT の探求は、文化的な変化を促進し、資金を集め、次は国家から独立した民主的な機関を作ろうとするものです。それがどのようなものかは決して明らかではないものの、Nadya のロシア政治に対する読みと、変化を強いるために必要なことは、今でも完全に現実的なものでしょう。
「大規模な反乱。何百万人もの人々が街頭に出て、プーチンがいなくなるまで立ち去らないこと。それは明らかに、非常に危険なことよ。プーチンは正気ではないから、自国民にさえ発砲するかもしれない。だからなぜ皆が街頭に出てこないのか、私にはよく理解できるのよ。
それと並行して、プーチンのクローズド・サークルから、もう一つの変革の力が生まれるかもしれないわね。正直言って、プーチンは今、自分の墓穴を掘っていると思う。彼と親しいオリガルヒのうち、公にウクライナを支持し、プーチンに立ち向かっている人の数は相当なもので、そんなことは20年来なかったことだから」
彼女は、野党指導者のアレクセイ・ナワリヌイが、プーチンの後継者にふさわしい人物と見ています。
「社会保障の充実、再分配、これらはすべて彼のプログラムの一部よ。私は2007年から彼を知っているんだけど、彼のプラットフォームがどんどん社会民主主義的になっていくのを目撃するのは本当に興味深いことよね。彼はレッテルを貼らないの。それは賢明なことだと思うわ。彼は人々を分裂させたくないのよ」
Nadya は、ナワリヌイが今も牢獄に閉じ込められていることを忘れてはいけないと訴えます。 彼はYouTubeで1億回以上再生された調査ドキュメンタリー番組を発表しています。プーチンの腐敗した取り巻きや宮殿を暴いたもので、驚くべきスパイ映像や彼が黒海に建設した10億ドルの秘密の宮殿についてのレポートが公開されたのです。
「そう、ナワリヌイといえば、彼のチーム全体を指していることを忘れてはいけないわ。素晴らしい活動家や才能ある人々のネットワークがあり、女性政治家もいます。彼の妻であるユリアとか彼のチームでプロデューサーとして働いている素晴らしい弁護士とかね。ナワリヌイと彼の調査チームは、絶えずビデオをリリースし、ニュースを配信している。率直に言って、彼はすごいわ。なぜなら、毎年、彼はどうにかして、あらゆる場面でプーチンを出し抜いているから。彼は毒まで飲まされたけど、生き延びたのだから。私は、彼をモスクワから医療専用機で移送するのを手伝った一人なの。残念ながら、私は夫が毒殺された経験があり、だからこそ同じルート、同じ人たちを通じて迅速にナワリヌイを移送できたのよ。そして、彼は生き延びただけではなかったの。ナワリヌイはその後、調査団体 “ベリングキャット” とともに、自らの暗殺について驚くべき調査を行い、彼の殺人未遂を担当した人物を指摘したの。自分の殺人犯となる人物に電話をかけ、電話で話をしたのよ!そして、計画すべてを認めさせたの! 」

結局、クレムリンが最も恐れているのは、優れた指導者に率いられた民衆の蜂起です。
「政府は、それを阻止するためにあらゆる手段を講じているの。集会に行く予定があると疑われたら、事前に逮捕して、疫学衛生犯のようなもので告発するのよ。コロナウイルスを理由に、家から出てはいけない、家から出たら刑事罰を受けることになると言われるの。この法律は普通の人が家を出るときには使われないわ。活動家だけよ。しかし、政府はいわゆる一般人の機関を本当に見くびっている。彼らは本当に怒っていて、政府がいくら逮捕しても無駄なのよね。私の友人のマーシャは、PUSSY RIOT の活動家で、私と一緒に2年間刑務所で過ごしたけど、今まさに刑務所にいて、さらに2年の刑期が待ちうけている。ナワリヌイの妻のユリアと、私の大親友である弟のオレグも牢屋に入っているわ。彼女の場合は逮捕されたので出馬できないの。犯罪歴があると、ロシアでは10年間は政治家になれないから」
プーチンのやり方は、いつも暴力と恐怖です。
「政府の主な手法は恐怖心。国民の意識にできるだけ恐怖心を植え付けようとしてきたの。活動家の予防的逮捕は別として、彼らは匿名のブロガーを使って、集会で大量殺戮が予想されるという偽情報をたくさんばらまいている。ロシアの機動隊が全員を射殺する命令を受けたという偽情報を流しているけと、正気の沙汰ではないわ!そんなことをしたら、プーチンは数時間以内に失脚するだろうね。人々はもう暴力を容認していない。だから、そう、彼らは恐怖を利用しようとしている。しかし、それはきっとうまくいかないの」
あまりに高いリスクを負いながらも、恐怖や暴力に負けず彼女たちは戦いを続けます。
「ロシアでも芸術を続けてもいいのよ。特にあなたの芸術が本質的に政治的であるならね。今日歌ったのは、警察国家はいらないとか、多くの曲は警察の弾圧や独裁政治に捧げられたものなの。メッセージから目をそらしてはいけないと思う。そうやって、反戦、反権威主義に貢献しているのよ」

参考文献: THE GUARDIAN :Pussy Riot’s Nadya Tolokonnikova: ‘You cannot play nice with Putin. He is insane. He might open fire on his own people’

ROLLING STONE :Pussy Riot’s Nadya Tolokonnikova: ‘Fuck Putin. I Hope He Dies Soon’

VOUGE :Pussy Riot’s Nadya Tolokonnikova On The Protests in Russia – And Why the Opposition Isn’t Going Anywhere

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【THE KOREA : VORRATOKON】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH YURI LAMPOCHKIN OF THE KOREA !!

“Right Now, We Are Feeling Like Musicians On Titanic, Who Continued To Play For The People In Their Darkest Hour, But We Want To Let Our Music Speak For Us.”

DISC REVIEW “VORRATOKON”

「僕たちのような音楽が流行りはじめたのは、00年代にローカルなバンドがメタルコアや Nu-metal に影響されたヘヴィな音楽を演奏し始めたのが最初だったと思う。ただ、国境を越えて音楽を届けるには常に問題があったんだけど、ストリーミング産業、特に Spotify や Apple Music といった大手が登場すると、それがずっと簡単になったね」
古くは ARIA や GORKY PARK、長じて EPIDEMIA や ABOMINABLE PUTRIDITY など、ロシアにはメタルの血脈が途切れることなく流れ続けています。ただし、その血管が大動脈となり脈打ちはじめたのは、00年代の後半、メタルコアや djent の影響を受けたテクニカルで現代的なメタルが根付いてからでした。モダン・メタルの多様な創造性は、ギタリスト Yuri Lampochkin 曰く “あらゆる音楽を聴く” ロシアの人たちの心にも感染して、瑞々しい生命力を滾らせていったのです。
仮面のデスコア怪人 SLAUGHTER TO PREVAIL のワールド・ワイドな活躍はもちろん、ギターヒーローとして揺るぎない地位を獲得した Sergey Gorvin、独自のオリエンタル・メタルコアでプログレッシブのモーゼとなった SHOKRAN、複雑怪奇と美麗のマトリョーシカ ABSTRACT DEVIATION など、10年代初頭、我々は芸術的 “おそロシア” の虜となっていきました。THE KOREA もそんな文脈の中で光を放つバンドの1つ。当時、Bandcamp で “Djent” タグを熱心に漁っていた人なら知らない者はいないでしょう。
「音楽で最も感動的なことのひとつは、常に新しい方法を探して、美しいもの、本当にパワフルなものを作り、自分の音や自分の音楽の感じ方を常に進化させることなんだ。僕たちは当時からその感覚を持っていて、今もそれが THE KOREA の原動力になっているんだよ。個人的に影響を受けたのは、これでもだいぶ絞っているんだけど、Jim Root, Jaco Pastorius, Ian Paice, Chester Bennington, Misha Mansoor といったところだね」
THE KOREA が唯一無二なのは、djent と Nu-metal という台風並みの瞬間風速を記録したメタル世界の徒花を、包括的なグルーヴ・メタルと捉え両者の垣根を取り払ったところでしょう。Jaco Pastosius や Ian Paice といったロックやジャズの教科書をしっかりと学びながら、まさにパワフルで美しい “新しい方法” をサンクトペテルブルクで創造しました。
莫大な情報と自由が存在する “西側” の国々でさえ、ハイパーテクニカルな LIMP BIZKIT や 拍子記号に狂った SLIPKNOT、やたらと暴力的な LINKIN PAPK なる “もしも” は考えもしなかったにもかかわらず。そんな “If” の世界を彩るは、雪に政府に閉ざされたロシアの哀しき旋律、それにトリップホップの無垢なる実験。
「僕たちの楽曲 “モノクローム(Монохром)”では、世界における暴力、特に戦争に終止符を打つことについて話している。戦争はもう、僕たちの生活の中にあってはならないことで、世界中の人々がそれに気づき、互いに争うことをやめるべきなんだよね。この曲は1年以上前に書かれたものなんだけど、まさか最近の出来事とこうして結びついていくなんて、僕たちには想像もつかなかったよ」
ロシア語で “耳を傾ける” を意味する最新作 “Vorratokon” はそんな彼らの集大成。戦争を引き起こしたロシアの中にも平和と反戦を願う “優しい” 人たちが存在すること。我々はそんな小さな声にもしっかりと傾聴すべき。奇しくもそんな祈りがタイトルから伝わってくるようです。
「僕たちの国にとって、残酷と不正のトピックは特に重要なんだよ。だけどロシアの社会は、明らかな問題を認識して解決し始めるレベルにもまだ達していないんだ…」
かつて、弊誌のインタビューで同じくロシア出身のチェンバー・デュオ IAMTHEMORNING はこう語ってくれました。もしかしたら、ロシアの中には戦争賛同者が想像以上に多く存在しているのかもしれません。しかし、その一つの意見を切り取ってロシアの総意のように発信するのは明らかに間違いです。
「俺たちは残忍な音楽を演奏しビデオには武器も出る。だけどどんな戦争にも反対だ。ウクライナで起こっていることにとても傷ついている。どうかロシア国民全体を共犯者だと思わないで欲しい。皆の頭上に美しい、平和な空が広がりますように」
SLAUGHTER TO PREVAIL、Alex Terrible の言葉です。こんな考えのロシア人もまた少なくないはずです。政治はともかく、少なくとも音楽の、芸術の世界では Yuri の願い通り私たちは “壁” を作るべきではないでしょう。
今回弊誌では、Yuri Lampochkin にインタビューを行うことができました。「今、僕たちはタイタニック号のミュージシャンのように、最も暗い時にいる人々のために演奏を続けているような気分なんだ…僕たちの音楽が僕たちの心を代弁してくれたらいいんだけどね」こんな時期に、こんな状況で本当によくここまで語ってくれたと思います。どうぞ!!

THE KOREA “VORRATOKON” : 9.9/10

続きを読む NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【THE KOREA : VORRATOKON】

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【KIBERSPASSK : SEE BEAR】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH KIBERSPASSK OF BABA YAGA !!

“See Bear” Is a Song About My Homeland, My Native Land. A Song About The Pristine Beauty And Greatness Of Siberia. I Am Very Inspired By The Pure Siberian Nature, Endless Expanses And a Huge Blue Sky.”

DISC REVIEW “SEE BEAR”

「”See Bear” (シベリアとかけている) は、私の祖国、生まれ育った土地についての歌よ。シベリアの原始的な美しさと偉大さを歌った曲。私は、純粋なシベリアの自然、果てしなく広がる大地、大きな青い空にとても刺激を受けているの。愛するシベリアをありのまま見せたかったの」
生い茂る針葉樹林、見渡す限りの永久凍土、そして果てのない空。シベリアのタイガに訪れる長い夜を、KIBERSPASSK はハードなダーク・エレクトロで語り、音とし、世界へと発信します。凍てつく寒さと闇の帳には、ひりつくようなインダストリアルとロシアの厳粛なフォークロアを組み合わせたユニークな音化粧がよく似合います。
「私は NYTT LAND という、世界的にもかなり有名なバンドをもう一つやっていて、そこではシャーマニックなダークフォークを作り、古代楽器を演奏し、シベリアのタイガにおけるシャーマンの歌を歌っているのよ。だから、KIBERSPASSK は、私の別人格なの」
冬にはマイナス30℃を超える極寒の地。カザフスタンから100キロ、アルタイ山脈の麓にひろがる西シベリアの草原がバンドの故郷です。そんな場所で Baba Yaga こと Natalya Pahalenko と夫の Anthony はカンテレやタルハルパという古の楽器を操り、北欧神話やシベリア先住民のシャーマンから薫陶を受けた “シャーマニック・ダークフォーク” を奏で世界的な成功を納めます。KIBERSPASSK とはそんな彼らのシベリアという厳しくも美しい環境に特化した別人格。今にも “死にかけた” 村の名前を抱きながら。
「私はずっと自分のやり方でボーカル・テクニックに取り組んできたわ。主な方向性は、伝統的なロシアのフォーク・ボーカル、北欧のヨイク (サーミ人の伝統歌唱) 、トゥバ共和国の喉歌よ」
KIBERSPASSK の特別な音楽の核となるのは、間違いなく Baba Yaga の歌唱です。Baba Yagaはその名の通り異能の力を持つ魔女でシャーマンかもしれません。ヨイクで天使のメロディーに荒々しい異教の呪いの声をかけたり、ホーミーで草原や森林に邪教の声を響き渡らせるのですから。そしてその歌声は、MINISTRY を想起させる攻撃的で無機質なインダストリアルの背景に独特の夜と自然、呪術的アトモスフィアをもたらすのです。
「シベリアの先住民族のフォークロアも同様だけど、ロシアの伝統音楽は私たちの祖先の精神的・文化的遺産のルーツを保存する非常に深い階層なの。本物の感情と個性を持った、とても美しく壮大な音楽よ。とてもインスパイアされるわ。私はもともと歴史家で、自分の土地の歴史や神話を研究し、古代の人物を自分の歌の中で蘇らせることが好きなのだから」
インスピレーションの源は、シベリアの環境や景色はもちろん、スラブ神話の暗黒面にまで及びます。キキーモラ (働き者の願いを叶え怠け者を喰らう幻獣)、ドモヴォーイ (家族を守るため悪い精霊や侵入者の殺害も厭わない家の妖精)、バーバ・ヤーガ (森に住む妖婆。骨と皮だけにまで痩せこけて、脚に至ってはむき出しの骨だけの老婆の姿をしている。人間を襲う魔女のごとき存在)、リホ (小さくて毛深い生き物) など、ロシアの子供たちが生まれたときから知っているキャラクターたち。
古い集落が消えつつあるこの土地では、シベリアの精神と真の神秘性が保たれていて、今でも神話と現実の境が曖昧です。この地で生まれ、生活し、音楽を創造する KIBERSPASSK。だからこそ、その音楽に太古の息吹と孤高、霊妙、荘厳、超自然、そして奇々怪界を持ち込むことが可能だったのでしょう。革新がもはや珍しくなってしまったジャンルに、新鮮で厳しい寒風を吹き込みながら。
今回弊誌では、Baba Yaga にインタビューを行うことができました。MV に登場する印象的なダンサーは Pahalenko 夫妻のの娘さんとの情報も。謎が深まりますね。「Babymetal は実に興味深いバンドよ!彼女たちのショーとエナジーが大好きなの。そういった要素のいくつかは、おそらく KIBERSPASSK に影響を与えているわ」 どうぞ!!

KIBERSPASSK “SEE BEAR” : 9.9/10

続きを読む NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【KIBERSPASSK : SEE BEAR】

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SHOKRAN : ETHEREAL】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ANDREW IVASHCHENKO OF SHOKRAN !!

“Oriental Elements Decreased In This Album. But The Compositions Matured, We’ve Gone More Progressive, Less Djent!”

DISC REVIEW “ETHEREAL”

プログレッシブメタルコアのモーゼ、SHOKRAN はジャンルを約束の土地へと導く預言者なのかも知れません。ロシアから世界を窺う指導者は、文字通り天上の美を体現する最新作 “Ethereal” で海を割ります。
ギタリスト Dmitry Demyanenko のソロプロジェクトとして始まった SHOKRAN は、デビューフル “Supreme Truth” で BORN OF OSIRIS の革新にオリエンタルで壮大なサウンドスケープをもたらし、遅れて来た “Djent スター” として一躍脚光を浴びました。
リリース後にはボーカル、リズムギター、ベーシストの脱退という非常事態に見舞われますが、グレードアップしたメンバー、さらにキーボーディストを加え盤石の体制でセカンドアルバム “Exodus” をドロップします。
そうしてバンドは旧約聖書に記された “出エジプト記” をテーマとしたコンセプト作品で、シンセサイザーの煌びやかな響きと、一際エクレクティックなビジョンを携え自らのオリエンタルドラマティックなサウンドを確立することとなったのです。
最新作 “Ethereal” は、メロディーと多様でプログレッシブな方向性をさらに追求し、バンドのドラマ性を飛躍的に高めたマイルストーンです。
「確かにこのアルバムでオリエンタルな要素は減ったと思うよ。だけどコンポジションはより成熟を遂げているね。つまり、僕たちはよりプログレッシブに、Djent の要素を減らして進化を果たしたんだ!」レジェンド THE HAARP MACHINE にも請われて参加することとなったシーンきってのシンガー Andrew Ivashchenko が語るように、典型的な Djent サウンドやあからさまなオリエンタルフレーズを減退させ、”エセリアル” なムードを研ぎ澄ますことで、アルバムは結果として唯一無二のダイナミズム、エピック世界を得ることとなりました。
実際、冷ややかで透明なリードギターとシンセサイザーの景色、ミステリアスなオリエンタルフレーズ、複雑でメカニカルなグルーヴ、スポークンワード、クリーン、グロウルを自在に行き来する声の表現力、全てで荘厳を体現したオープナー “Unbodied” がバンドの DNA をしっかりと受け継ぐ一方で、”Ascension” のサウンドスケープは完璧なコントラストを創出します。
「”Ascension” はアルバムで最も多様な楽曲さ。まさにドラマさ。緩やかに実にメロディックに始まり、メロディーが躍動し始め、アグレッションが加わり、ハッピーなコーラスが流れ出し、突如ヘヴィネスで期待を激しく裏切るんだ。まさに楽曲で最もドラマティックな瞬間だね。そうしてドラマを繰り返し、感情をもたらす訳さ!」Andrew の言葉通り、多幸感や神秘性を抱きしめた夢見心地の崇高美は、メジャー感を伴って SHOKRAN 劇場の素晴らしきアクセントとなっていますね。
そうして SHOKRAN が描く多次元の自己探求は、DREAM THEATER からハチャトリアンまで Tech-metal の粋を尽くした “Superior”、PERIPHERY や MONUMENTS の最新作にも通じるキャッチーさとヘヴィーグルーヴの対比を封じた “Golden Pendant” と、まさにマルチディメンショナルな世界観を提示していくのです。
幕引きは “Destiny Crucified”。ロシアの血が育んだ絶対零度のメランコリーは、ストリングスやアコースティックの蜃気楼を写しながら夢幻泡影のワルツを踊るのです。
今回弊誌では、Andrew Ivashchenko にインタビューを行うことが出来ました。THE HAARP MACHINE の新作についても語る Tech-metal ファン必読の内容だと思います。「今では大きな感情の変化を音楽で表現出来るんだ。僕たちは成熟を遂げ、集団として働けるようになったのさ。」 どうぞ!!

SHOKRAN “ETHEREAL” : 9.9/10

続きを読む NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SHOKRAN : ETHEREAL】

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【GLEB KOLYADIN (IAMTHEMORNING) : GLEB KOLYADIN】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH GLEB KOLYADIN OF IAMTHEMORNING !!

Gleb

Not Only A Gifted Pianist And Keyboardist, But A Brilliant Songwriter And Arranger, Iamthemorning’s Keyboard Wizard Gleb Kolyadin Shows His Incredible Talent With His Kaleidoscope-ish Solo Debut “Gleb Kolyadin” !!

DISC REVIEW “GLEB KOLYADIN”

崇高で森厳なる夢幻世界を具現化し、知性とロマンの宝石箱でプログシーンに衝撃をもたらした iamthemorning。幽玄の歌姫 Marjana を存分に駆使するコンダクター、Gleb Kolyadin が自身の “音楽日記” を更新するソロデビュー作 “Gleb Kolyadin” をリリースしました!!
万華鏡の世界観で待望の “キーボードヒーロー” が紡ぐ豊潤で鮮やかなサウンドスケープは、弦数を増やし複雑さと重厚さで近代インストゥルメンタルミュージックの花形となったギターへと突きつけた挑戦状なのかも知れませんね。
「この作品のアイデアは何年も前から積み重ねられて来たものだということなんだ。僕は長年、”Polonuimcubes” という音楽日記のようなものを書き続けているんだよ。」セルフタイトルで自身のポートレートをアートワークに冠した作品は、Gleb の書き連ねた音楽日記と自身のパーソナリティーを投影したまさに自叙伝のようなアルバムです。
“From Stravinsky to Keith Jarrett to ELP”。クラッシック、現代音楽、ジャズ、アンビエント、そしてプログレッシブに敬意を表したマイスターの自叙伝、ワイドで限定されない豊かなイマジネーションは、まさに多様なモダンミュージックの雛形だと言えますね。グランドピアノの凛とした響きは、時に Chick Corea の流麗なエレクトリックキーボードや Brian Eno の空間の美学へと移行し、全てを抱きしめたロシアンマイスターの傑出した才能を伝えています。
つまり、Gavin Harrison, Nick Beggs, Theo Travis といったプログシーンの重鎮がドラムス、ベース、フルート&サックスで牽引し、スーパースター Steve Hogarth, Jordan Rudess がゲスト参加を果たしたこのレコードでは、しかし Gleb こそが凛然と輝く星斗。
アルバムオープナー、”Insight” は Gleb の新たな音旅への “洞察” を高めるリスナーへのインビテーション。Gleb のピアノと Gavin のドラムスは、まさに一枚岩の如く強固に同調しアルバムの骨格を形成し、サックスと弦楽器を巧みに操るシンセサイザーの躍動は印象的なメロディーの潮流と共に作品の自由と鮮度を伝えます。
万華鏡の世界観を象徴する “Kaleidoscope” はモダンとレトロの交差点。プログレッシブの遺産を濃密に宿したピアノが奏でる爽快なテーマは ELP の “Hoedown” にも通じ、Gleb の繊細かつ大胆な鍵盤捌きは言葉を失うほどにスリリングです。
Tatiana Dubovaya のエセリアルなコーラスが切れ込むと雰囲気は一変し、突如として世界は荘厳なる現代的なアトモスフィアに包まれます。そうして楽曲は、フルートの音色を皮切りにエレクトリックカーニバルの大円団へと向かうのです。もちろんここに広がる多彩な”Kscope” はレーベルの美学、ポストプログレッシブの理念とも一致していますね。
そうして “Eidolon”, “Constellation/ The Bell” といった浪漫溢れるピアノの小曲と同様に、ボーカル曲も “Gleb Kolyadin” が誇る “Kscope” の一つとなりました。
“Storyteller” で Jordan Rudess とのヒリヒリするようなインテンスを終えた後辿り着く”The Best of Days” は終幕に相応しき叙情のドラマ。MARILLION の Steve Hogarth と Gleb のコンビネーションは極上のアトモスフィアとセンチメントを創造し、ノスタルジアを深く湛えた楽曲はリスナーの過去へと旅立ち “古き良き日” を克明にイメージさせるのです。
「現在ピアノは、僕にとって自分の思考や感情を表現するためのベストなオプションなんだ。」と語る Gleb。どこまでも謙虚なピアノマンはしかし、間違いなくプログシーンのセンターに立っています。長く待ち望まれた新たな鍵盤の魔術師はロシアからの登場。Gleb Kolyadin です。どうぞ!!

431544-2

GLEB KOLYADIN “GLEB KOLYADIN” : 10/10

続きを読む NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【GLEB KOLYADIN (IAMTHEMORNING) : GLEB KOLYADIN】

PICK UP ARTIST + INTERVIEW 【SVARTBY】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH GIFTSVAMP AND LINDWURM OF SVARTBY!!

sv10414600_10152445283400901_4495433551372607925_n

RUSSIAN FOLK/FAIRLY-TALE METAL, SVARTBY SET TO RELEASE THEIR NEWEST ALBUMS “SWAMP, MY NEIGHBOUR” IN AUTUMN !!

sv11350653_10153223190940901_3433945352801747355_n

ロシアの妖精フォークメタル、SVARTBY が待望の新作 “SWAMP, MY NEIGHBOUR” を秋にリリースします。フォーキーなメロディーを伴った煌びやかなキーボードとへヴィーなリフワーク。一見パーティメタルのように思えますが、楽曲の構成は見事に考え抜かれていてプログレッシブ。 FINNTROLL や EQUILIBRIUM、果てはCHILDREN OF BODOM を想起させる彼らの音楽はもっと多くの人たちの耳に届くべきだと思います。ロシアの音楽はヨーロッパやアメリカに比べて情報が少なく日本にも上陸しにくい現状ですが、素晴らしい音楽を生み出しているアーティストは多く存在します。弊誌で扱う事でそのギャップが少しでも埋められたらと感じていますし、今回、バンドの創立メンバー GIFTSVAMP と LINDWURM 二人がインタビューに応じてくれた事からもロシアからの熱気が伝わるのではないでしょうか?

YOU CAN LISTEN TO NEW SONG “CLOCK TOWER” HERE !!

続きを読む PICK UP ARTIST + INTERVIEW 【SVARTBY】

PICK UP ARTIST + INTERVIEW 【ESCAPETHECULT】


EXCLUSIVE : INTERVIEW WITH ESCAPETHECULT 

eca3444011950_2

【ESCAPETHECULT】

突如現れたスーパーグループ。シベリアンメタルの体現者 PETER G. SHALLMIN KING DIAMOND MIKE WEAD, UNEVEN STRUCTURE MATTHIEU ROMARIN, そして PRIMUS TIM ALEXANDER という「えっ?どうやって集めたんですか?」なメンバーを集めてデビュー作 ‘ALL YOU WANT TO’ をリリースしました。各自所属バンドの音楽性とは少し異なったオルタナ方面の楽曲群ですが演奏には各々の個性が炸裂していて良いアルバムだと思います。どうやって集めたのか PETER G. SHALLMIN に話が聞けました。インタヴューです。どうぞ。

ec630xNxaltthumb_php,qsrc=http,P3A,P2F,P2Fhangout_altsounds_com,P2Fgeek,P2Fgars,P2Fimages,P2F1,P2F2,P2F8,P2F3,P2F8,P2F2etc-band-2_jpg,aw=630,azc=1,aq=90_pag

続きを読む PICK UP ARTIST + INTERVIEW 【ESCAPETHECULT】