REMEMBERING VITALIJ KUPRIJ (ARTENSION, RING OF FIRE, TRANS-SIBERIAN ORCHESTRA)
“Knowledge, Experience, and Confidence Are The Tools That I Use To Improve Myself. Knowledge Is Something You Gain As You Do It. You Apply Your Knowledge And Get Experience Out Of It. Confidence Is Something You Need In Your Vision To Survive And To Defend Your Point Of View As An Artist. Otherwise You Are Just a Copy Machine Or a Shallow Artist.”
HIGH DEFINITION
ウクライナ系アメリカ人のマエストロ、Vitalij Kuprij が亡くなりました。享年49歳。Vitalij は、コンサートホールのグランド・ピアノでベートーヴェンの協奏曲第4番を弾くのも、アリーナでフル・ロック・バンドに囲まれてネオクラシカル・メタルを披露するのも、両方お手のものでした。
Vitalij はクラシック、メタル、どちらのジャンルにも精通しており、クラシックの楽曲を演奏するソロ・アルバムと、コルグのキーボードでロックするプログ・メタル ARTENSION や RING OF FIRE でも存在感を発揮。のちに、あの TRANS-SIBERIAN ORCHESTRA にも加わり、メタル世界にとって不可欠な存在となっていきました。ARTENSION のファーストは本当に斬新で、キャッチーで、変態で、あの時代に消えかけていたプログ・メタルの炎を再燃させてくれました。
特筆すべきは、彼が教育をしっかりと受けたプロのクラシック奏者だったことで、当時メタル世界の演奏者に彼のような背景を持つ人物はほとんどいませんでした。だからこそ斬新で、個性的な作曲術、特殊なミキシング、鍵盤を打ちのめすような演奏、強烈なアイデンティティまで愛されるようになりました。アルバムを聴けば、音を聞けば、クレジットを見るまでもなく彼だとわかる。
だからこそ、あまりに早すぎるのです。ただでさえ、メタル世界にカリスマ的キーボーディストはほとんど残されていませんし、新たに登場してもいません。Jens Johansson, Andre Anderson, Jordan Rudess, Derek Shrenian…残念ながら、明らかに両手に収まるほどの人数です。Vitalij がこれから残すはずだった音楽、育てるはずだった人たち…あまりにも大きな喪失です。せめて、彼の言葉、ストーリー、メソッドをここに残しておきましょう。音楽は永遠に消えませんが、物語は語り継がねば消えてしまうのですから。
ウクライナやソビエトでは、メタルを学ぶことも簡単ではありませんでした。
「徐々に学んで行ったよ。私の国では何でも手に入るわけではなかったからね。西洋のロックバンドのほとんどは、ずっと後になってから来るようになった。私の国にはロック文化がなかったんだ。 でも結局、兄が洋楽をたくさん集めていたので、それを聴いて自分の音楽スタイルを確立していったんだ」
コンクールで優勝した後、Vitalij はソビエトで国内ツアーを行いその後、スイスでさらに修行を積みました。
「バーゼル音楽院で4年間、全額奨学金をもらって勉強したよ。有名なオーストリアのピアニスト、ルドルフ・ブッフビンダーに師事してね。彼は西洋の演奏スタイルや規律について多くのことを教えてくれたんだ。私はロマン派的でロシア的な環境で育ったので、ブッフビンダーは西欧的な規律ある態度で私を磨いてくれたんだよ」
ARTENSION のギタリスト Roger Staffelbach に出会ったのもスイス留学中でした。
「Roger はもう25年来の友人だよ。夏の間、スイスの小さな町に住んでいたんだけど、そこにピアノ・バーがあって、よく通ってジャムっていたんだよ。そこに Roger が入ってきて、自己紹介してくれたんだ。私はドイツ語が話せなかったから、少し言葉の壁はあったけど、彼はキーボード奏者を探していてね。彼と私は意気投合し、一緒に演奏するようになった。月曜日から金曜日まで、私は電車で1時間のところにある音楽アカデミーで音楽を学び、金曜日の夜、電車で Roger の家に行き、週末は彼のガレージでリハーサルをした。 日曜の夜はまたアカデミーに戻る。
Roger と私は、さらに2人のスイス人奏者と素晴らしいインストゥルメンタル・カルテットを結成したんだ。ATLANTIS RISING という名前だった。私はネオクラシックの曲を書き始め、カセットテープを作るためにお金をつぎ込んだ。カセットテープを300本は作ったと思う。私たちはスカンクのように無一文で、CDを作りたいだけのハングリーな少年だった!」
このカセットの一つが、シュレッドの総本山、シュラプネル・レコードに届くことになりました。
「シュラプネルの Mike Varney が聴いてくれたよ。Roger と私は2人ともアメリカに行くことになった。Roger が西海岸にいる間に、私はカーティス音楽院のオーディションを受けるためにフィラデルフィアに行ってね。 オーディションの後、私は Roger のところへ飛んで行き、その後2人でカリフォルニアのノバトへ飛んで Mike に会ったんだ。当時、シュラプネルは、私たちがやっていることと似たような音楽をたくさんリリースしていたからね。そして彼らは私たちと契約し、それが ARTENSION となったんだ」
世界でも有数の難関音楽学校に入学し、ARTENSION を結成してファースト・アルバムをリリースし、翌年にはファースト・ソロ・アルバムをリリース。カーティスに通いながら、どのようにすべてのバランスをとっていたのでしょう。
「大きなキャリアを築くのは、2つの分野を情熱的にターゲットにすると難しい。でも、私はそれがどんなに難しいことであっても気にしなかった。学期を終えて、他の学生が休みに入っている間、私はピアノで作曲をし、自分が何を書いていたかを思い出す。そしてカリフォルニアに飛び、ARTENSION でレコーディングをし、また戻ってクラシックの勉強に戻る。カーティスは厳しい学校で、おそらく世界ナンバーワンだろうな。
ARTENSION だと、”Phoenix Rising” は素晴らしいと思うし、もちろん “Into the Eye of the Storm” は最も印象に残る作品だけど、私は “Forces of Nature” が本当に好きなんだ。新しいベーシストとドラマー (John Onder と Shane Gaalaas が加わって、また違った雰囲気になった」
バンドは2枚のスタジオ・アルバムと、日本で録音された2枚組の素晴らしいライヴ・アルバムをリリースしました。ただ、Vitalij が参加していない作品もあります。
「Mark と私はいくつかの点で誤解しあっていた。大げさなことではなく、私たちが同意できなかったことがあっただけなんだ。ARTENSION は、キャリアの始まりという点で、私の心に少しだけ近かったので、私は ARTENSION と自分の作品に集中し続ける一方で、Mark には他のプレイヤーと一緒にやるように伝えたんだ」
Vitalij のソロアルバムはほとんどがインストゥルメンタルで、ソロのための十分なスペースがあり、鍵盤を前面に出しています。ARTENSION はボーカルを起用していますが、RING OF FIRE ほど大人しくはありません。
「ソロ作は私がほとんどの曲を書いたので、常にキーボード中心だ。ボーカルを書く機会も模索していたけどね。ボーカルものでは、私が派手になるという点では限界があったかもしれないけれど、ソロ・アルバムを通してならそれができる。 アルバムが進むにつれて、バンド自体のパワーに集中するようになったから、私が目立つことは少なくなった。でも、どのアルバムにも必ず私らしさがあるよ。
それに、ARTENSION では John West の音域を知り、バンドのスタイルを知り、バンド内のプレイヤー同士の相性を知りながら書くことも意識した。RING OF FIRE でも同じだ。
今は、ただ書いて、とてもパワフルでエモーショナルな感じの音楽にしたいと思っている。より作曲に集中し、より成熟したレベルに持っていく。自分が経験したことから集めた知識をすべて活用し、特定のバンドやプロジェクトをターゲットにすることなく、淡々と書いている。私はただ自分の書いたものを捕らえ、保存し、発展させ、変化させ、また戻ってきたいだけなのだ。 音楽を書くことは、とにかく驚異的だ。とても無邪気なプロセスで、新しい情報が生まれるから大好きだ。 何もないところから始めて、音楽的でスピリチュアルな情報を得る」
例えば、RING OF FIRE アルバムの中を見ると、”All music written by Vitalij Kuprij” と書かれていますが、ギター、ベース、ドラムのパートも Vitalij が書いているのでしょうか?
「すべての曲、すべてのパートをキーボードで書いているよ。だから、ギター、ドラム、ベースがキーボードで演奏され、他のメンバーが何を演奏すべきかの明確な方向性を示しているんだ。 特に後期のアルバムでは、より考え抜かれたものになっている。即興的なものはなるべく省いて、自分自身に任せるようにしている。 だからレコーディングのためにメンバーが集まったときには、構造的にはかなり練られているんだ。
ただ、決まった公式があってはならないと考えている。何かを目指さなくてはならないが、物事は自然に起こるものだ。それがあなたなのだから」
TRANS-SIBERIAN ORCHESTRA での最初のツアーは2009年のイースト・ツアーでした。
「あれは完全に “青天の霹靂” 。ある朝起きてコーヒーを飲み、メールをチェックした。彼らのマネジメントから、Paul O’Neill と会うためにフロリダまで来てほしいというメールが来ていた。 彼らがどのようにして私のことを知ったのかはわからない。Paul が何でもできてフレキシブルなキーボーディストを探していたのは知っている。彼はレコード業界で一緒に仕事をしたことのある人に電話して、その人が私を推薦してくれたんだ。数週間後、私はそこにいた」
EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH SERGIO LUNATICO OF COSMIC JAGUAR !!
“We Didn’t Want To Be Another Primitive And Dull Thrash Band That Sings About Booze, Sex, Zombies, Partying, Social Problems And Other Hackneyed Topics.”
EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH HELLE BOHDANOVA OF IGNEA !!
“I’d Say Music Can Definitely Change People’s Mood And Mind. But Changing The World… I’m Afraid, I Cannot Be So Naive Because Of Everything Happened To Me And My Country.”
EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MARK BOALS FROM RING OF FIRE !!
“I Look To Singers Such As Pavarotti Who Never Lost Their Level Of Excellence And Singing Up Until The Day They Left This Earth. I Hope And Pray To Be Able To Do The Same!”
DISC REVIEW “GRAVITY”
「長い休みを取ったんだ。前作はコンセプトアルバムだったんだけど、ロシアを題材にしたこともあってあまり評判が良くなかったんだよね。ちょうどその頃、ロシアという国やその指導者に対して皆が怒っていた。だから、とても良いアルバムだったのだけど、チャンスをもらえなかった気がするね。その結果、僕たちは RING OF FIRE のバンドの活動から非常に長い間離れることになったんだ」
20世紀の最終盤に、特にここ日本で猛威を振るったネオクラシカルなシュレッドと、プログレッシブなヘヴィ・メタル。その複雑でしかし神秘的な二つの審美を炎と冷静でつなぎあわせた RING OF FIRE の存在は、ARTENSION と共に、かつて私たちを不可能を可能にした不可視領域へと誘ってくれました。
時は2022年。ネオクラシカルとプログを、素直に、ウルトラ・テクニックで結びつけるバンドはほとんど絶滅してしまいました。マグナ・カルタやシュラプネルはほとんど息をしていませんし、SHADOW GALLERY はメンバーの死により沈黙。SYMPHONY X はネオクラシカルを脱出し、ROYAL HUNT がその灯火を必死で繋いでいるといった状況なのかもしれません。
Vitalij Kuplij と Tony MacAlpine。もしくは George Bellas。さらに、彼のソロアルバムにおける Greg Howe との共演に、さながらパブロフの犬がごとく心が踊った私たちの偏った性癖は、もはや相当時代遅れなのかもしれませんね。実際、ヘヴィ・メタルは今でも多くのリスナーを惹きつけ、拠り所となっていますが、もっと多様で広義の “プログレッシブ”、そうでなければよりヒロイックで視覚にも訴えかける大仰なファンタジーを人々は求めているようです。
では、RING OF FIRE に、もう付け入る隙はないのでしょうか? 否。9年ぶりに帰ってきた彼らのサウンドは、自らのアイデンティティを保ちながらも、しっかりと “今”のヘヴィ・メタルの風を受けています。ウクライナ人である Vitalij にとってはもちろん侵略に、そして稀代のシンガー Mark Boals にとっては加齢という “重力” に、引っ張られるわけにはいかなかったのでしょう。RING OF FIRE 5枚目のアルバム “Gravity” は、その “反発力” で過去の遺産を見事に “エピック” なキャンパスへと描き切りました。
「Vitalij Kuprij はウクライナ出身だから、どのアルバムもヨーロッパ的な雰囲気はあると思う。もちろん、Cole や Aldo も曲を書いて独自のヴァイブを加えているし、僕以外のバンドはみんなヨーロッパにルーツがあるから欧州の音になるのも当然だよね」
血の入れ替えは完璧に成功しました。名の売れた古株を選ぶよりも、Mark と Vitalij はイタリアの新鋭3人に賭け、そしてギャンブルに勝利しました。特に、SECRET SPHERE のギタリスト Aldo Lonobile は掘り出し物としか言いようがありません。これまでの RING OF FIRE にもしかしたら欠けていた、ヨーロッパのエピックやスケール感、それにストーリー・テリングのスキルが Aldo によってもたらされました。それはまさに、今のメタルに求められるもの。
このアルバムのマグナム・オーパスである “The Beginning” と “Storm Of The Pawns” は、複雑な感情、洗練の感覚、鍛錬を重ねたクラシックの技術が、エピック・メタルのイメージで再構築されています。重要なのは、そこにプログレッシブ・メタル特有の驚きが組み込まれているところ。Vitalij が紡ぐ突然のピアノの旋律は、至る所でリスナーにサプライズを提供していきます。もちろん、”Melanchonia” のような内省的なリリックとメランコリーが、メタライズされた感情を爆発させる RING OF FIRE 式対比の美学も健在。”King Of Fool’s” や “21 Century Fate Unknown” のように、時には予想外の不協和音を音楽に取り入れて、心理的変化を伝える “物語” の能力も見事。
タイトル曲の “Gravity” はそんな新たな RING OF FIRE に生まれたマイルストーンなのかもしれません。メンタル、スピリチュアル、フィジカル。歌の三要素を整えた Mark Boals の歌唱は絶対領域へと到達。ドラマチック・シネマティックなシンセサイザーが響く中、ダニー・エルフマンがメタル映画のスコアを作ったような感染力が楽曲のフックを最高潮まで高めます。心強いことに、RING OF FIRE は今でも挑戦を重ね、最後の1音までそのクオリティを保っています。ネオクラシカル/プログレッシブ最後の桃源郷がここにはあるのです。
今回弊誌では、メタルの歌聖 Mark Boals にインタビューを行うことができました。「僕はまだまだ歌い方を勉強している感じなんだよ。パバロッティのように、この世を去るまでその卓越した歌唱力を失うことがなかった人たちは、特に尊敬しているよ。僕もそうでありたいと願っているから」BILLIONAIRES BOYS CLUB、いいですよね。どうぞ!!
“You Feel Tension—Music Helps To Release It. You Feel Sad—Music Helps You Feel a Little Bit Happier. You Feel Anger And Pain—Creativity Is Also Your Savior. You Only Need How To Push The Negative Feeling Into a Creative Direction.”
EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ANTONY KALUGIN OF KARFAGEN !!
“I Want To Be With My Son And Wife Who Are Poland Now. I Want To Walk Through The Valleys Of Green And Gold Without Fear And Tears. Of Course I Want To Go Back To Studio And Work. Now I Can Only Guess If My Studio Is “Alive” There In Kharkiv…But There’s Always Sunrise Even After The Darkest Night.”
DISC REVIEW “LAND OF GREEN AND GOLD”
「今、ポーランドにいる息子と妻と一緒にいたい。”緑と金の谷”を、恐れずに、涙を流さずに歩きたい。もちろん、スタジオに戻って仕事をしたい。今、僕のスタジオがハリコフで “生きている” かどうかは、ロシアの大砲と空爆で大量に破壊された街のことを思えば、推測するしかないんだけど…それでもね、一番暗い夜の後でもいつも日は昇るんだよ」
KARFAGEN とはウクライナのマルチ奏者、コンポーザー、プロデューサー Antony Kalugin の主な音楽活動拠点であり、”Land of Green and Gold” はバンドにとって13枚目のアルバムです。Antony は多作な人物で、KARFAGEN, SUNCHILD, さらに ソロ・アーティストとしても、年に数回は新たな作品をリリースし続けてきました。しかし、そんな彼の音楽=人生は今、ロシアの侵略によって大きな岐路に立たされることとなりました。
彼は現在、故郷である激戦のハリコフを離れ、ウクライナで事実上の難民となっており、生活さえままならず、命の保証さえないような恐ろしい状況に置かれています。しかしそんな “災害” の中でも、Antony は KARFAGEN というライフワークを想い、音楽を求め、スタジオに帰りたいと切に願っているのです。
「ウクライナのために祈り、平和のために祈ることだね。そしてあなたたちの平和な日常、その価値を噛み締めてほしい。あとは、経済的にロシアをサポートしないでほしいな。経済制裁は彼らにとって本当に厳しいものだからね!」
Antony の音楽は常にポジティブで希望に満ち、平和を願っています。それは今、きっとこの世界にとって最も必要とされていること。必要なものは?世界に望むことは?その質問に Antony は、ロシアを倒してほしいでもなく、金銭や兵器や物質の援助でもなく、ただただ祈りと答えました。おそらくそれは、実は最も優しく、美しく、そして勇敢な願いなのかもしれませんね。武器を握るよりも置くことの方が、よっぽど勇気が必要なのは歴史が証明しているのですから。
「たしかに、この作品の “色” の組み合わせは、まさにウクライナ的だよね。多くの友人がこう言っていたのを覚えているよ。ああ、これはたしかにウクライナ製だ!ってね(笑)。このアルバムはね、平和と調和の音なんだよ」
そして実際、”Land of Green and Gold” は、そんな優しく、美しく、勇敢なウクライナを承知するような作品てす。タイトルやアートワークの緑と黄金は、そのままウクライナの大自然と太陽が奏でる驚異に満ちた風景を音の葉で表現していきます。アルバムは大きく3つのチャプターに分かれ、彼の地の様々な風景をシンフォニックな空気の広がり、陽気で遊び心のあるメロディー、ミュージシャンの名人芸、アコースティックな間奏曲、ジャジーな即興演奏など、KARFAGEN のトレードマークとなる要素すべてを用いて描き出しました。
第1章 “Land of Green” では、ウクライナの手つかずで自由な、深緑の風景をプログレッシブ、ジャズ・ファンクからアコースティック、アコーディオンのエスニックまで幅広く奔放に、牧歌的な音楽へと変換しています。今後、このような無垢を呼び起こすことが可能なのだろうか…と思わずにはいられないほどに、平和で希望に溢れた祈りのプログレッシブ・ミュージック。
一方、第2章 “Land of Gold” ではゴージャスなシンフォニック・プログを体現し、堂々とした豪華な雰囲気で、創造の栄冠、生命の賞賛を表現しています。巧みなギター、幾重にも重なるキーボード、そしてコーラス・エフェクトが組曲の華やかさを高めていきます。まさにウクライナの生命と誇りを全身で表現しているのでしょう。それにしても、時にギルモア、時にホールズワース、時にカールトン、時にグレッグ・ハウが憑依する Alex の千変万化なギターワークは白眉。そんな名人芸も、Antony の Tony Banks を思わせる七色の鍵盤が包み込んで、緑金の草原はいつしかメロディーで満たされていきます。
「今、戦争が始まって27日目だ。これを書いていても、戦争がいつまで続くか分からないんだよね。僕の想いは、家、親戚、子供、両親を失ったすべての絶望的な無実の市民と共にある…両親が殺されたため、多くの生まれたばかりの赤ちゃんが一人きりになっているんだ…目に涙が込み上げてくるよ…2022年にもなって、僕たちがこのように恥知らずで皮肉な犯罪の犠牲になるとは思ってもみなかったからね」
最後に、ずっと短い “Land of Jazz”。インプロビゼーションの活力は素晴らしいアルバムのコーダとなり、ウクライナの人々が、音楽が、再び “呼吸” できるようになることを強く信じさせてくれます。”Land of Green and Gold” を聴けば、ウクライナがかつてどのような場所であったかを思い出し、そして、必ずや再興しどのような場所になるのかが伝わるに違いありません。平和への優しく、美しく、勇敢な祈りと共に。例え、今は “緑と金の地” が侵略の TUNAMI によって破壊されたとしても…
今回弊誌では、Antony Kalugin にインタビューを行うことができました。「今日、プログレッシブ・ミュージックはウクライナでだけでなく、全世界で人気がないよね。僕たちはそれを知っている。それでも、この魂のこもったユニークな音楽の灯火をつないでいきたいよね!プログは富や大きな名声をもたらすものではないよ。だけどそれは、特別な何か、隠された夢と平和の世界をリスナーと共有できるものなんだ」 どうぞ!!
KARFAGEN “LAND OF GREEN AND GOLD” : 10/10
INTERVIEW WITH ANTONY KALUGIN
Q1: First of all, could you tell us how you got into such music in Ukraine, a place where maybe prog and rock music are not popular enough?
【ANTONY】: It was my father who showed me the beauty of art rock when I was only a child. We had Pink Floyd, Supertramp, Elton John, Genesis etc. vinyls. He was listening to them so did I ))
I remember I had entire Queen collection on tapes, my father brought it to me from Poland. So we listened tapes in the car while traveling around Europe. Queen, Dire Straits, Roxette were the bands whose music sounded on the Diso party. So this music is in my blood. Later on when I was 15 – 16 I`ve discovered beauty of Camel and Marillion…And I`ve started digging in this more prog direction – with every new album it was a sort of revelation.
Nowadays Prog is not popular not only in Ukraine but in the whole world, we know it. But we still do carry on this unique flame of soulful music! It`s something that will not bring you a fortune or big fame, it`s something special that you want to share with a listener, hidden world of dreams and fays!
Q2: You are incredible keyboard player, what musicians were your heroes when you were growing up?
【ANTONY】: Thank You, I don`t think i`m virtuoso player, I`m good writer and composer – yes, virtuoso – no ))) Anyway, I always enjoyed Tony Banks, Pete Bardens and some Rick Wakeman pieces. Manfred Mann moog singing as well. On a modern scene there are many very technique musicians but something is missing in their material – melody and soul. That`s why I prefer proper melodic solo rather than fast arpeggios that can be played on every other track and that do not mean anything rather than to show all how great the player is.
Tony Banks, Dave Gilmour, Andy Latimer, Snowy White are among this prolific musicians that can take a breath away with a few notes and chords structure only.
【ANTONY】: ありがとう!でも僕自身は自分を名手だとは思っていないんだよね。良いライターであり作曲家だとは思うけど…なんてね!(笑)
とにかく、僕はいつも Tony Banks, Pete Bardens, そして Rick Wakeman の作品を楽しんでいたんだよね。あとは Manfred Mann のムーグの歌声も。
現代のシーンには非常にテクニックのあるミュージシャンがたくさんいるけど、彼らの作品には何かメロディーとソウルが欠けているような気がする。だから僕は、他のどの曲でも演奏できるような速いアルペジオよりも、きちんとしたメロディックなソロの方が好きだし、そのプレイヤーがいかに素晴らしいかをみんなに見せることは何の意味もないと思っているんだ。
Tony Banks, Dave Gilmour, Andy Latimer, Snowy White といった人たちは、わずかな音符とコード構成で息を呑むような演奏をすることができる多才なミュージシャンだよね。
Q3: How did Karfagen come to be? What’s the meaning behind your band name Karfagen?
【ANTONY】: Karfagen – means Carthage, it was my father who advice me that title when I was studying at school. Since than it was title of my project in school, university and still it`s a nice unique title.
Q4: Are you in Kharkov now? What is the situation? Is it safe there?
【ANTONY】: Together with my wife and little son we`ve driven away from the city on the first day of war.
It was like a worst nightmare in life. Unbelievable that it can happen nowadays. It`s 27th day of War, writing this I don`t know how long it`ll be. My thoughts are with all desperate innocent civil people who lost their homes, relatives, child and parents… There`s so many new born babies left all alone cause their parents were killed…Tears in my eyes… I don`t believe that in 2022 we`ll be victims of such a shameless and cynical crime.
Everyday Kharkiv is under fire now… We all pray for peace. I hope this disaster will ends soon!
Q5: The world is angry at Russian aggression. They say it is unforgivable to destroy Ukraine, a beautiful people and country. Perhaps the artwork and music you wrote for “Land of Green and Gold” is the very representation of this beautiful Ukraine, would you agree?
【ANTONY】: Yes, the combination of colors on the artwork are very Ukrainian indeed. I remember lot of my friends were saying: Oh, it`s seen that it is made in Ukraine for sure! )))
This album is the sound of peace and harmony.
Q5: 世界中がロシアの侵略に怒りの声をあげています。美しいウクライナの人、景観、国を破壊するなんて許せないと。
奇しくも、あなたの新作 “Land of Green and Gold” のアートワークや音楽も、美しいウクライナを表象していますよね?
Q6: This album is full of love for prog giants like Camel, Genesis, Pink Floyd, and Gong, right? It is very technical yet emotional. For example, in guitar, we can enjoy the duality of Dave Gilmour and Allan Holdsworth living together, would you agree?
【ANTONY】: Alex Pavlov is fantastic jazz rock guitarist – I like his mixture of Holdsworth and Greg Howe in style. Writing the material for the album, I knew that Alex would be the main “actor”, that`s why i`ve brought more fusion and jazz elements to the sound canvas of the album. Also I`ve tried to recreate the sound and the warmth of the sound of the 70th. With some pastoral atmospheric breaks. To me it`s a very solid well crafted album and I`m so pleased to reed so many positive comments about it.
Straight after the war I`ll release the Karfagen “Land of Green” Bonus disk, that is available now on digital platforms only and first of all on my antonykalugin.bandcamp.com platform.
It will be really interesting addition to Karafgen fans collection..
Q6: このアルバムは、CAMEL, PINK FLOYD, GENESIS, GONG といったプログの巨人たちへの愛情に満ちていますね。テクニカルでありながら、非常にエモーショナルです。
例えば、ギターを聴いていても David Gilmour がいたかと思えば、次の瞬間 Allan Holdsworth がいるというような感じで…
【ANTONY】: Alex Pavlov は素晴らしいジャズロック・ギタリストで、Holdsworth と Greg Howe が混ざったようなスタイルが好きなんだ。アルバムのための素材を書くとき、今回は Alex が主役になることはわかっていた。だから、アルバムのサウンド・キャンバスにフュージョンとジャズの要素をもっと取り入れたんだ。
同時にまた、70年代のサウンドと暖かさも再現しようとした。牧歌的な雰囲気のブレイクもある。僕にとって、このアルバムはとてもソリッドでよくできたアルバムなんだよ。だから、多くのポジティブなコメントをもらって、とても嬉しく思っているんだ。
この戦争が終わったら、KARFAGEN の “Land of Green” のボーナス・ディスクをリリースするつもりだよ。ファンのコレクションに追加されるのは、本当に興味深いものになるだろうね。
Q7: Japanese people also wish to do something to help Ukraine. What are you most in need of now? What is the most effective aid we can provide?
【ANTONY】: Pray for Ukraine, pray for peace, value every peaceful day of your life.
Don’t support Russia with business. Sanctions should be really strict for them!
Q8: We hope to hear your wonderful music again soon. Please tell us what you want to say to the world now.
【ANTONY】: I want to be with my son and wife who are Poland now. I want to walk through the valleys of Green and Gold without fear and tears. Of course I want to go back to studio and work. Now I can only guess if my studio is “alive” there in Kharkiv, as it`s massively destroyed by Russian artillery and planes…But there’s always sunrise even after the darkest night.
I hope to visit your beautiful country, to play a few concerts for you!!
I know there`s so many followers of art rock and prog rock music in Japan. I wish you Peace and Happiness – enjoy life, enjoy music and stay creative!!
ps. I like “Ain Soph” band especially their “A Story of Mysterious Forest” 1980 if you don`t know this album by your countrymen – I highly recommend you to discover it!!!Many thanks Best wishes,
いつか日本という美しい国を訪れ、あなたたちのために何度かコンサートを開きたいと思っているんだ!
日本にはアート・ロックやプログ・ロックのフォロワーがたくさんいるよね。僕はあなたたちが平和で幸せであることを祈っているよ。 人生を楽しみ、音楽を楽しみ、そしてクリエイティブであり続けるために!
P.S. 僕は日本の “Ain Soph” というバンドが好きで、特に彼らの1980年の傑作 “A Story of Mysterious Forest” が大好きなんだ。もしこのアルバムを知らないなら、ぜひ知っておくことをお勧めするよ。ありがとう。幸運を!
EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH KONSTANTIN LAARS NAUMENKO OF SUNRISE !!
“We Remember Life In The Soviet Union Very Well And We Are Happy That Our Country Broke The Chains Of This Prison And Moves In The European Direction. Freedom Is In The Blood Of Our Nation And Our Way Is To Build a Highly Developed European Country.”
DISC REVIEW “EQUILIBRIA”
「ウクライナのメタルシーンは非常に多様で、ほとんどすべてのサブジャンルが存在しているよ。すでに有名なバンドもあれば、世界のメタルシーンでビッグネームになる可能性を秘めたこれからのバンドもあるんだよ」
JINJER, NOKTURNAL MORTUM, DRUDKH。Konstantin Naumenko の言葉を借りればソヴィエトという “牢獄” の鎖を断ち切ってからのウクライナは、ブラック・メタルからプログレッシブ・グルーヴまで個性極まる多様なバンドをゆっくりとしかし確実に輩出し始めました。それでもウクライナ、もしくは東欧から SUNRISE のようなクオリティーとテクニックを兼ね備えたパワー・メタルの申し子が登場したのは初めてでしょう。
「僕たちがインスパイアされたのは、バンドを始めた頃にとても人気があって、今ではレジェンドとなったパワー・メタルのバンドたちなんだ。STRATOVARIUS, SONATA ARCTICA, HAMMERFALL, HELLOWEEN みたいなバンドだよ」
2003年に活動を開始し、オンラインとアンダーグラウンドの世界で徐々に脚光を浴びはじめた SUNRISE は4枚目のフルアルバム “Equilibria” で、東欧メタル世界の常識を覆す大きな一撃を放ちました。
SONATA ARCTICA, そして STRATOVARIUS。北欧パワーメタルの象徴的なバンドを基にしてヘヴィネスとサウンドスケープを増幅した60分強の作品は、20年前のユーロ・パワー成功の要因を探りながら次の世代へとつなぐミッシング・リンクなのかもしれませんね。
フロントマン Konstantin “Laars” Naumenko は、”Ecliptica” や “Silence” の頃の Tony Kakkoが果たした冷静と情熱の間でドラマティックなメタルを語る吟遊詩人の役割を継ぎ、ボーカル/キーボード奏者で妻の Daria “Lady Dea” Naumenko は Jens Johansson を彷彿とさせる見事な鍵盤捌きとともに天使のような囀りで夫の世界観を肉付けしていきます。そうして、リズム・セクションと最近加入したギタリスト Maksym Vityuk まで一丸となり、雷鳴のようなスピードメタル・アタックを繰り広げていくのです。
「僕たちの “We are the Fire” が SONATA ARCTICA にインスパイアされていることには同意するけど、類似性はこの曲で終わっていると思うよ。他の曲では、異なるサウンドと異なるアイデアを披露している。NIGHTWISH や初期の WITHIN TEMPTATION のようなシンフォニックな曲もあれば、 STRATOVARIUS や AVANTASIA に近いサウンドの曲もあるからね。さらに、プログレッシブ・メタル・スタイルで書かれた3曲は、DREAM THEATER の作品を思い出させるかもしれないね」
“Equilibra” が “Reckoning Night” 以降の SONATA ARCTICA、もしくは “Eternal” 以降の STRATOVARIUS の長き沈黙に焦りを感じている層に対する福音であることは言うまでもありませんが、より広義のパワー・メタルやシンフォニック、プログ世界もこの作品を享受するべきでしょう。
“We Are The Fire”や “Life Is A Journey” のような高空飛行のジェットストリームは、”Father Time” や “Fullmoon” の疾走と高揚感を運びますが、心に響く混声のヴォーカル・デュエット “The Only Reason” や、ピアノを中心としたミドルペースの “The Bell” では存分にシンフォニック・プログレッシブの余韻に浸ることが可能。さらに、”Equilibrium” や “Unbroken Dreams” では重厚なリフワークとキーボードの相乗効果で、感染力の高いヘヴィーメタルの根源を探求していくのです。Eではじまり、Aで終わるパワーメタルの金字塔は、四半世紀の時を超えてより壮大により荘厳に進化を果たしました。
今回弊誌では、Konstantin “Laars” Naumenko にインタビューを行うことができました。「僕たちは、ソビエト連邦での生活をよく覚えているよ。そして、僕たちの国があの牢獄の鎖を断ち切り、ヨーロッパの方向に向かって進んでいることを嬉しく思っているんだ。自由は僕たちの国の血の中にあり、これからの道のりは高度に発展したヨーロッパ的国家を築くことなんだ」 どうぞ!!
“I Was Too Young To Remember Life In Soviet Union, But The Spirit Of Soviet Union Is Still Here. I’m Living In An Apartment Built Maybe 40 Years Ago, And My Parents Live In Such An Apartment, As Well. All Our Shops And Supermarkets Are Situated In Buildings Built Then. So It Is Still Sike Soviet Union. And There Are a Lot Of People Who Still Have Soviet Union In Their Heads And Their Minds.”
HOW JINJER SINGER TATIANA CROSSES MUSICAL, LYRICAL, AND UKRANIAN BORDER
NO PICTURE ! NO INTERVIEW ! UKRAINIAN MYSTERIOUS PAGAN BLACK METAL SET TO RELEASE NEW ALBUM “A FURROW CUT SHORT ” ON 4/20 !!
写真、インタビュー、一切 NG !! 秘密結社のようなウクライナの PAGAN BLACK METAL, DRUDKH が4/20に新作 “A FURROW CUT SHORT” をリリースします。ウクライナのエピカルなフォーク音楽を取り入れたメロディックでシネマティックなブラックメタルを指標しています。実はあの ALCEST の NEIGE と合体したプロジェクト OLD SILVER KEY で優れたアルバムをリリースしていたりします。今回もウクライナの詩から発想を得たアルバムになるそうです。
On ‘A Furrow Cut Short’, Roman is heavily drawing inspiration from 20th century Ukrainian poetry once more, which often deal with the bloody struggle of this old country to build a nation from foreign oppression. DRUDKH still refuse any kind of interview or promotion and demand to be understood through their music alone. This album equally represents the blood soaked sound of black despair and full hearted resistance to vile treachery and evil as well as the beauty of landscapes and culture. Listen carefully to hearts breaking.
Tracklist
1. Cursed Sons I
2. Cursed Sons II
3. To the Epoch of Unbowed Poets
4. Embers
5. Dishonour I
6. Dishonour II
7. Till Foreign Ground Shall Cover Eyes