EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH CARSON PACE OF THE CALLOUS DAOBOYS !!
“The Non-metal Elements Are Way More Important, That’s What Sets Us Apart. We Would Be Playing To 5 People At Local Shows Once a Month If We Didn’t Think Outside Of The Box And Push Ourselves To Be More Than Just a Heavy Band.”
DISC REVIEW “CELEBRITY THERAPIST”
「真の “ダークサイド” なんて存在しないんだよ。少なくとも、君や僕が同意しない側にいる人々にとって、彼ら自身はまったく “ダークサイド” ではないんだから。彼らは自分を社会ののけものとか殉教者だと思っているかもしれないけど、少なくとも自分から見て悪意ある行動をとっているわけではなくてね。真摯に話せる友人がいないから間違った道に進んでしまう」
ジョージア州アトランタのメタルコア・ハイブリッド、THE CALLOUS DAOBOYS。彼らはマスコア、ソフトジャズ、ボサノバ、オルタナティブ、ラジオ・ロック、エフェクトで歪んだヴァイオリンなど複雑なサウンドの嵐を生成し、メタル世界で大きな注目を集めています。そしてその台風の目には、Carson Pace がいます。
ステージ上のエネルギーレベルは桁外れで、PUPIL SLICER とのコラボレートや GREYHAVEN とのツアー、そしてバンドの待望のセカンド・アルバム “Celebrity Therapist” のリリースで、彼らの知名度は飛躍的に向上しました。重要なのは、世界に解き放たれたことで Pace が対話を始める機会を多く得られたということ。彼の叫びはなぜか、陰謀論やカルトに囚われた人たちにも素直に届きます。それはきっと、頭ごなしに否定から入ることをしないから。”ダークサイド” だと見下し、馬鹿にして、間違っていると断言することで、囚われの勇者たちはむしろ、自分が正しいと確信してしまうのですから。
「安倍晋三は去った。それが僕の公式見解だよ。右と左の争いについては、グッドラック!としか言えないよね。僕たちはその解決策をまだ見つけられていないけど、まあ解決策を探す人たちには幸運を祈るよ」
しばしば謎めいた歌詞のアプローチにもかかわらず、Carson は THE CALLOUS DAOBOYS にその生来のストーリーテラー、語り部の感覚を持ちこむことに成功しています。Carson の声は、パワーハウス的な叫びから、Mike Patton や Greg Puciato のような筋張った歌声へとドラマティックに変化して、ストーリーを紡ぎます。”Celebrity Therapist” における Carson のリリックは、盲目の愛国心、陰謀論、アルコール依存症、有名人の崇拝などを点と線で結びつけ、人は皆いずれかの悪徳に陥っていると主張しているのです。
例えば、”Title Track” では、彼は “有名人だと威張って話すリードシンガーの不条理さ” を論じていますが、この内観は逆説的に自己矛盾を抱えていることを自覚しています。つまり、Carson がハマってしまった “カルト” とはナルシズム。自分たちが FOO FIGHTERS ではないにもかかわらず押し寄せるエゴイズム。そう、陰謀論やカルトは決して他人事、宇宙人の話ではないのです。
「THE DILLINGER ESCAPE PLAN も MR. BUNGLE も僕の大好きなバンドだからね。でも、先日イギリスのインタビュアーが、僕らを90年代の Madonna と比較していたんだけど、あれは最高にクールだったね。僕はヘヴィーな音楽よりもポップスやエレクトロニック・ミュージックをよく聴くんだけど、それが間違いなく曲作りに反映されていると思うんだ」
カルトといえば、彼らの “アート・メタル” もカルト的なファンを集めています。”Celebrity Therapist” に収録されたよりプリズム的で、常識はずれな楽曲の数々は、流動性と万華鏡の輝きを保ちながら、常にメタルの常識を疑っています。つまり、彼らの教義とは、疑うこと。エレベーター・ミュージックをモチーフにした轟音スラッシュ “The Elephant Man in the Room”、ポップでロックなファンク・ベースと組み合わされたサイコなバイオリン “Beautiful Dude Missile”、サックスが冴える理路整然なポップとグロテスク・デス・モッシュ “What Is Delicious? Who Swarms”。そうした異端と驚きの数々は、メタルらしさ、メタルの定形を疑うことから生まれ落ちたのです。
今回弊誌では、Carson Pace にインタビューを行うことができました!「僕たちにとってはメタル以外の要素の方がずっと重要で、それが僕らを際立たせているんだ。もし、メタルという狭い箱から出なかったとしたら、自分たちを単なるヘヴィー・バンド以上の存在に押し上げなかったとしたら、月に一度、地元のライブでたった5人を相手に演奏することになっていただろうからね」 どうぞ!!
THE CALLOUS DAOBOYS “CELEBRITY THERAPIST” : 10/10
INTERVIEW WITH CARSON PACE
Q1: First of all, what kind music were you listening to, when you were growing up?
【CARSON】: I think a good amount of my taste comes from my dad being really into music, new music specifically. He played a lot of Sting around the house, but he also loves Nu-metal like Korn and Limp Bizkit, anything with a groove and huge down-tuned riff is his jam (he loves Loathe). I just love big huge hooks and crazy riffs, always have.
Q1: 本誌初登場です!まずは、あなたの音楽的なバックグラウンドからお話ししていただけますか?
【CARSON】: 僕の好みは、父が音楽、特に新しい音楽に夢中だったことに由来していると思う。父は家の中で Sting をたくさんかけていたんだけど、KORN や LIMP BIZKIT みたいな Nu-metal も好きで、グルーブがあって巨大なダウン・チューニングのリフは何でも彼の好みなんだ。今は LOATHE が大好きだよ。
僕はとにかくビッグなフックとクレイジーなリフが大好きで、いつもそういうものを愛してきたね。
Q2: The band name The Callous Daoboys is a play on words on the Dallas Cowboys. Why did you choose this name?
【CARSON】: It was funny, we wanted to have a name no one would ever forget, and we achieved that.
Q2: バンド名の THE CALLOUS DAOBOYS は、ダラス・カウボーイズの言葉遊びだと思うのですが…
【CARSON】: 面白くて、誰も忘れないような名前にしたかったんだよね。それが実現したよ。
Q3: It was originally based on a band called Sunnycide, which was influenced by Sunny Day Real Estate? Why did you change your musical style from indie rock to metal?
【CARSON】: Indie rock was oversaturated, it wasn’t working. I learned how to scream (kinda) and we just went for it.
Q3: バンドの前身は、SUNNYCIDE という名前で、SUNNY DAY REAL ESTATE のようなインディー・ロックをやっていたそうですね?
【CARSON】: インディー・ロックは飽和状態で、うまくいかなかったんだ。僕はちょっとだけ叫び方を習って、それからはただひたすらメタルを追求したんだ。
Q4: Still, your music is diverse, unpredictable, and truly wonderful! Are you comfortable with your reputation as, for example, the marriage of The Dillinger Escape Plan and Mr. Bungle?
【CARSON】: I guess I’m comfortable with it, I love those bands, but the other day an interviewer from the UK compared us to 90’s madonna, and that was the coolest shit ever. I listen to way more pop and electronic music than heavy stuff, and I think that definitely comes out in the writing.
Q4: それにしても、あなたたちの音楽は予想不可能で、多様で、実に素晴らしいですね!例えば、THE DILLINGER ESCAPE PLAN と MR. BUNGLE の婚姻などと評されていることには、どう感じていますか?
【CARSON】: うん、全然構わないよ。僕の大好きなバンドだからね。でも、先日イギリスのインタビュアーが、僕らを90年代の Madonna と比較していたんだけど、あれは最高にクールだったね。
僕はヘヴィーな音楽よりもポップスやエレクトロニック・ミュージックをよく聴くんだけど、それが間違いなく曲作りに反映されていると思うんだ。
Q5: And, a metal band with a violinist is very rare, would you agree? Are the non-metal elements as important to you as the metal elements?
【CARSON】: I don’t agree, violin is an older instrument than the guitar, pretty normal to me. The non-metal elements are way more important, that’s what sets us apart. We would be playing to 5 people at local shows once a month if we didn’t think outside of the box and push ourselves to be more than just a heavy band.
Q5: ヴァイオリニストがパーマネント・メンバーであるメタル・バンドは非常に珍しいですよね?
ノン・メタルな要素も、メタル的な要素と同様に重要視していることが伺えますよ。
【CARSON】: まあ、僕は特別珍しいとは思わないけどね。ヴァイオリンはギターよりも古い楽器で、僕にとってはごく普通のことなんだ。
ただ、僕たちにとってはメタル以外の要素の方がずっと重要で、それが僕らを際立たせているんだ。もし、メタルという狭い箱から出なかったとしたら、自分たちを単なるヘヴィー・バンド以上の存在に押し上げなかったとしたら、月に一度、地元のライブでたった5人を相手に演奏することになっていただろうからね。
Q6: In “Celebrity Therapist,” you confront cults and conspiracy theories. It seems to me that you are trying to talk to and understand those who have fallen to the “dark side” as well, right?
【CARSON】: There isn’t really a “dark side” per say, at least to the people who are on the side who you or I don’t agree with, they are not on the “dark side” at all. They might consider themselves to be a pariah or a martyr, but they’re not acting in bad faith in their own eyes. I definitely understand where all of them are coming from, I’m incredibly conspiratorial myself, I’m just lucky enough to be surrounded by people who ground me in reality. I think that’s where they go wrong. Everyone wants to have a friend group with similar interests, but they can’t all be sycophants. Having people that tell you how it is is way more Important.
Q6: “Celebrity Therapist” では、カルト宗教や陰謀論について深く掘り下げていますよね?
ただ、あなたたちは “ダークサイド” に落ちた人たちをも理解して、対話を計っているように見えます。
【CARSON】: というよりも、真の “ダークサイド” なんて存在しないんだよね。少なくとも、君や僕が同意しない側にいる人々にとって、彼ら自身はまったく “ダークサイド” ではないんだから。彼らは自分を社会ののけものとか殉教者だと思っているかもしれないけど、少なくとも自分から見て悪意ある行動をとっているわけではなくてね。
そうなる理由はよくわかるんだよ。というのも、僕自身も陰謀論を信じがちだからね。でも、幸運にも、僕の周りには現実を見据えた人たちがたくさんいる。おかげで、陰謀論者にならないで済んでいるだけの話でね。彼らはそうじゃないから、間違った道に進んでしまった。
誰もが同じような趣味を持つ友人グループを持ちたいと思うものだけど、全員がお人好しで同じ意見であってはいけないんだ。ありのままを伝えてくれる人たちのほうが、よっぽど大切なんだよな。
Q7: Actually, Japan’s previous prime minister, who claimed to be a “beautiful country,” was in fact connected to a cult, and this led to his assassination. This has now divided Japan into two major parts, maybe between right and left. Is there a solution?
【CARSON】: My official opinion is that Shinzo Abe was Popping Off.
Good luck with the “right and left” thing. We haven’t found a solution, but I wish you all the best in looking for one.
In America, the Right is constantly moving the goalposts of “centrism” further and further to their side because the left is mostly a bunch of spineless neoliberal dorks who still believe in “bipartisanship”, which is a fucking myth created by Aaron Sorkin. The end of the empire is coming, I hope I don’t live to see it.
Q7: 先日、日本の元首相が暗殺されましたが、彼は “美しい国” を謳いながらも、背後ではカルトと繋がっていたとも囁かれています。そして、結果として日本は彼を信じる右派と、糾弾する左派の2つにすっかり分断されてしまいました。
【CARSON】: 安倍晋三は去った。それが僕の公式見解だよ。
右と左の争いについては、グッドラック!としか言えないよね。僕たちはその解決策をまだ見つけられていないけど、まあ解決策を探す人たちには幸運を祈るよ。
アメリカでは、右派は常に “中道主義” のゴールポストをどんどん自分たちの側に動かしているんだ。そして左派はほとんどが、Aaron Sorkin が作り出したクソ神話である “超党派” をいまだに信じている。意気地なしの新自由主義者の間抜けな集団だからだ。帝国の終わりが近づいている。それを見るまで僕が生きていないことを願うよ。
Q8: I really like this artwork. The members wearing colorful bags are holding hands in a circle. What was your intention?
【CARSON】: It’s actually not us on the cover, it’s the artist, Sean Mundy, duplicated 5 times. My intention was to make the most Tattoo-able artwork possible.
Q8: メンバーがカラフルな袋を被り、手を繋いで輪になっているこの作品のアートワークが大好きなんですよ。
【CARSON】: 実は、このアートワークは僕たちではなく、アーティストのショーン・マンディが5回複製したものなんだ。最もタトゥーにしやすい作品を作ろうというのが僕の意図だったんだよ。