COVER STORY : MESHUGGAH “IMMUTABLE”
“We Always Wanted To Have This Lateral Move Away From What You Might Construe Or See As Mainstream Metal.”
IMMUTABLE
30年以上にわたり、ヘヴィ・メタルはスウェーデンの最も重要な輸出品のひとつで、その品々は伝統的なメタルの慣習を粉々に打ち砕いてきました。
1970年代、KING CRIMSON の創設者でギタリストの Robert Fripp は、ドラマーの Bill Bruford とベーシストの John Wetton を “空飛ぶレンガの壁” と呼んでいました。Fripp は当時、バンドの角ばった不協和音を完成させる際、リズムセクションに対してギターの音量とパワーを競わせることに苦労していたのです。35年前にスウェーデン北部のウメオで結成された MESHUGGAH は、その特異で巨大な “空飛ぶレンガの壁” をバンドとして作り上げました。そうして、1995年の “Destroy Erase Improve” で彼らはメタルの慣習を粉々に “破壊し、消し去り、改善” したのです。
MESHUGGAH は、その非正統的なドラムパターン、テンションが張り巡らされた半音階のギター・メロディー、そして邪心の咆哮で、”冷酷で機械的”な数学的メタルのフロンティアを切り開きました。ドラマーの Tomas Haake が「このバンドは常に、主流であると解釈されるようなメタルから、あるいはそう見えるようなものから離れることを望んでいた」と証言するように。
デビュー・アルバム “Contradictions Collapse” のリリースから31年が経過しましたが、新譜 “Immutable” が物語るようにその決意は “不変” であり、衰えることなく続いています。この30年の間にメタルというジャンルは何度か、かつての伝統に寄りかかり、進歩の潮流を塞きとめたのかもしれません。しかし、そんな中でも MESHUGGAH はその歩みをいささかも止めることなく、巨大で、アンタッチャブルな存在であり続けています。変われないのか、変わらないのか。とにかく、おそらく、地球上で最も重要なメタル・バンドのひとつでしょう。
“Immutable” で MESHUGGAH は、自分たちのサウンドを調整することにしました。”イージーリスニング” とまではいかないまでも、 “よりファット” で “よりストレート” なサウンドに仕上げることを目標に据えたのです。ギターサウンドは、凄まじい高音域が明らかに減退しています。ただし、このバンドに特徴的な音色を与え、何十人、何百人もの模倣者が真似をした、あの際立った中低音は厚みを増しながら残っているのです。そうして彼らのギターの壁は、まるでクトゥルフが深海のケーブルをかき鳴らすかのようにダイレクトに響くこととなりました。
Tomas Haake はメタル世界で最も才能のあるドラマーの一人でしょう。かつて MESHUGGAH はロック王道の4/4拍子、その改革を生き様としていました。彼らは4/4拍子が自分たちの曲の基本であると主張しますが、その周辺に複雑なポリリズムを織り込むようになったのです。Haake のオフタイムのスネアヒット、そしてゴースト・ノートの使用は、彼らのリズムをメタル世界唯一無二のものへと羽ばたかせました。
2016年の “The Violent Sleep of Reason” で Haake は、特に “Clockworks” と “Nostrum” を怪物的な楽曲へと仕立て上げました。双方とも、ドラムソロを延長して音楽に合わせたような印象を与えるもの。バンドのソングライター全員がドラムをプログラムしていますが、この2曲はベーシストの Dick Lövgren との共作から生まれたものでした。
MESHUGGAH の “空飛ぶレンガの壁” は、ある雰囲気に従ってジャムを始め、作曲を “延々と続ける” 傾向があると Haake は語り、”Immutable” の秘密を説明します。
「”Immutable” では、僕と Dick が書いた曲と、ギタリストの Mårten Hagström が書いた曲がほぼ交互に演奏される。Marten の曲は、よりがっしりとして、よりビートの周りをスイングするような傾向がある。俺は、自分と Dick の作曲を頭脳的で “青” であると見ているのに対し、Marten の作曲は “赤”、つまり “木の実と内臓” で構成されている曲だと感じてるんだ」
Haake は、このアルバムが他のどのアルバムよりも、2012年の巨大でグルーヴに満ちた “Koloss” に近いとし、”Immutable” 全体のリズムの固定化をその理由に挙げています。
「”Immutable” は全曲にバックビートがあるはじめてのアルバムなんだ。前作の “The Violent Sleep of Reason” を見ると、”Clockworks” のような曲から始まる。スネアのヒットはすべて、小節線上の変拍子上にあるリフの一部になっているからね。だから、何が起こっているのかを把握するのが少し難しくなっていたんだと思う。一方、このアルバムはバックビートがあることで、ノリノリになれるし、僕らが目指しているものをもっと身近に感じてもらえるような気がするんだ」
ただし、MESHUGGAH が “機械” や “方程式” をないがしろにするようなことはあり得ません。
「実際には、両方の要素があると思うんだ。自分たちが感じたものしか書けないという意味ではオーガニックだし…他の多くのバンドのやり方とは違うと思うのは、僕らがすべてを “コンピューターの世界” で作っているということ。Cube Base に座って、僕がドラムのプログラミングをする。例えば、”The Violent Sleep Of Reason” からの “Clockworks” や、このアルバムからの “Phantoms” のように、リズムの面から来るパートもあるからね。ドラムが曲の基礎になって、それに対してリフを書く…まあ多くの場合は、リフから来るけどね。
だけど、オーガニックな面は確かにあるね。でも、リハーサルでジャムったり、いろいろ試したりすることはないんだ。僕らは作曲を完全にコンピュータの世界でやっているし、ほとんどずっとそうだった。僕がバンドに参加した1989年には、誰もがコンピューターを手に入れ始め、使えるソフトウェアが登場してきた…そういうツールがなかったら、バンドとして同じようなものにはならなかったに違いないんだ。僕らにとっては非常に重要なことで、好ましい方法というだけでなく、今ではすっかり慣れてしまっているからね。
だから、機械やコンピューターに頼っている部分も多いし、オーガニックとマシナリーの両方があると思う。でも、実際のアイデアそのものは、オーガニックでなければならないんだ。それは内面からしか生まれないものだから」
複雑怪奇な音楽を作るという命題も、ある意味 MESHUGGAH にとって “不変” です。
「ある意味、僕たちはとても早くから、僕がバンドに入ったときから、すでにテクニカルでヘヴィな音楽を作る道を歩んでいたと思うんだ…。ただ、僕らが育った音楽や10代後半にハマった音楽も、僕らが求める “融合” に大きな影響を及ぼしている。メタルが好きなのは変わらないけど、それとは違うことをやりたかったんだ。そしてその道を進んできた。基本的に僕たちは皆、大人になってからもこの仕事を続けていて、僕は32年間バンドをやっているんだけど、何がきっかけでこの道に進んだのか、それとも別の道に進んだのかを特定するのは難しいことがあるね。
初期の頃は、ある種の工夫が必要だったかもしれないけど、時間が経つにつれて、自然に出てくるようになった。僕たちは難しい音楽を作ろうとしているわけではないんだよ。ただ、自分たちにとって面白く聞こえるものを書こうとしているだけなんだ。だから、計算したりとか、こんなクレイジーなことをすれば、みんなを熱狂させられるだろうと決めたりするようなことはないんだ。決してそんなことはないんだよ。たぶん、年齢を重ねれば重ねるほど、成熟していくんだろうけど、アルバムごとに何を成し遂げようとしているのか、その感覚も成長していくんだろうね」
自身でも驚きを感じる瞬間は、今でもあるのでしょうか?
「今回のアルバムだと、”Armies of the Preposterous” だね。あの曲はワルツ調で、ハンドワークがすごく遅いのに、フットワークは速いんだ。この曲のサウンドにはとても興味をそそられたし、プログラミングしているときのサウンドもとても気に入ったんだけど、実際に演奏するのは難しいかもしれないと思ったよ。メタルでワルツをやるというのは、あまり一般的ではないしね。でも、リハーサルを始めてみると、アルバムの中でも演奏しやすい曲のひとつだったんだ。そうか、僕は自分のことをよく分かっていないんだと思った瞬間だったね。
もうひとつ、オープニング・トラックの “Broken Cog” だけど、これは3度目の正直。2010年から2011年にかけて書いた曲で、”Koloss” のためにやろうとしたんだけど、結局やらなかった。その後、”Violent Sleep” のためにやってみたんだけど、僕にはとても変な感じだったんだ。ドラマーとして演奏するのは本当に厄介でね。正気の沙汰とは思えないような音になっていたよ。自分が何をやっているのか、まったくわからないんだ。常にタイミングを探っているような感じでで、結局やらなかったんだけど、また戻ってきたんだ。それでも、みんなこの曲が好きだから、もう一度やってみようってね。それでもっとリハーサルをしたら、今度はなぜかずっといい感じだったんだ。結果的にとてもクールなものになったから、ライブでも演奏するつもりだよ。3度目の正直だ。この曲は12年もの間、僕らのドアをノックしていたんだけど、ついにそのかわいそうなやつを中に入れてあげたんだよ」
他のバンドと自分たちの音楽を比較することはあるのでしょうか?
「拍子で 7、9、5とか、そういうのを非常にうまくやるバンドがいるんだ。例えば、TOOL のようなバンドは、フォローするのがとても難しいし、聴いていてとても興味をそそられるんだ。でも、彼らのテクニカルな部分は、僕らのやり方とは全然違う。僕らがやろうとしていることは、テクニカルで難しいバンドが時々欠いてしまう音楽の流れを与えていると思うんだ。僕にとって、ライヴに行って CAR BOMB のようなバンドを聴くと、圧倒される。”ウォー!” って感じ。技術的な面ではとても難しい。まるで戦場にいるような衝撃を受けるんだ。アレは僕らには向いてないよ。一旦それができたら、それを維持しようとする。その点に関しては、あまり磨くつもりはないんだ。それよりも、自分たちの流れを維持しようとすることが大事なんだ」
後続の Djent についてはどのように感じているのでしょうか?Marten が答えます。
「あのシーンから大きくなってきたバンドが現れて、僕らを気に入ってくれているんだ。それはとてもクールなことで、本当に嬉しいことだよ。僕らがインスピレーションの源だと言ってくれる人がいるのは、本当に嬉しいことさ。”あなたたちは Djent” が嫌いで、あれもこれも嫌いなんでしょう?” という質問を受けたことがある。いや、違うよ。そんなことは全然ない。単純な話、僕たちはスウェーデンの年老いた怠け者で、この手の音楽を長いことやってきただけさ。だから、新しいアルバムを作っても、新しい音楽は全く聴かないだけなんだ。
誰であろうと、やりたいことがどんなクリエイティブな側面を持っていようと・・・君が何かにインスパイアされたように、他の人をインスパイアする人間になりたいとは思わないかい?それが最大の褒め言葉なんだ。どんな音であろうとね」
MESHUGGAH を聴いていると、バンド全体が難解なものほど魅力的なものとして捉えているようにも感じられます。しかし、Haake は “Immutable” が “The Violent Sleep of Reason” よりも地に足のついたアルバムで、だからこそ素晴らしいと感じています。たしかに後者では、いくつかの曲が力強く始まり、その後少し奇妙な方向に向かう傾向がありました。
「でも、今回はどの楽曲もそんな感じはしないんだ。演奏も、マテリアルも、曲の一部分さえも、もっとこうしておけばよかったと思うことはないんだよね。そして、それは僕たちにとって珍しいことなんだ。アルバムが完成したときに、こんな気持ちになったのは初めてだよ」
だからといって、いくつかの曲に対して不安がなかったわけではありません。”Kaleidoscope” は、彼と Lövgren が完全に満足していると感じるためには、いつもより “少しロック” な感じがしたことが気がかりでした。しかし、例えバンドが一般リスナーに対して譲歩したと危惧する曲でも、少なくとも98%は MESHUGGAH として識別できるようになっています。そして、”Kaleidoscope” における Jens Kidman の叫びは、バンド全体の気持ちをぐっと高めることにつながりました。
Kidman は、アルバム全曲を自身のホームスタジオでレコーディング。つまり、これまで以上にその歌唱に磨きをかける時間があったのです。通常、バンドがレコーディングで遅くれをだすと、彼のスタジオでの時間は減ってしまう。しかし “Immutable”では、通常の2週間ではなく、8週間を費やすことができました。1曲につき2テイク、時には6テイクまで用意して。そうすることで、彼の異なるヴォーカル・パフォーマンスをミックス全体に反映することができたのです。
Kidman の歌唱はまさに威厳。アルバムを通して、彼は唸り、吠え、叫び、また囁き、威嚇します。”Faultless” では、彼の声はピッチシフトされていますし、シングル “The Abysmal Eye” では、歌詞の一部に登場する古代の神々のような性格を歌に分け与えました。
MESHUGGAH は “Immutable” の制作にこれまでよりも時間をかけました。彼らは昨年10月、3ヶ月遅れでレーベル Atomic Fire にマスターを納品。レコーディングの間、彼らはしばしば自分たちに課せられていた束縛をいくつか解き放ちました。以前は、ライブで再現できないハーモニーやメロディーを重ねることを敬遠していたのですが、その戒めも解きました。Haakeの言葉を借りれば、バンドのソングライターが “メロディーをやり過ぎる” のが好きな場合、これ以上自分を律するのは難しいことだったのです。今回、彼らは音楽に身を任せ、ライブの要素は後で考えることにしました。その結果、よりリッチで動的、そしてシネマティックなサウンドが実現したのです。
「メロディーは、曲を作るときにいつも考えていることなんだ。新しいアルバムを制作するためにデモを聞き返すと、僕たちは常に音楽に対して視覚的な感覚を持っていることがわかる。でももちろん、その上でどんなメロディーを弾いているか、ギターのメロディーにどんな音を使うかによって、視覚的な感覚を強化することができるんだ」
このアルバムで最もシネマティックに仕上がっているのは、Hagstrom が作曲したインストゥルメンタル曲 “They Move Below” でしょう。レイヤーが重ねられたサウンドもさることながら、ギターのスライドと重い足音のキックドラムがストーナー・メタルのようなドロドロとした感触を与えています。Haake は、Hagström が常にストーナー・サウンドに片足を踏み入れており、その種のマテリアルを生み出していることを理解しています。彼はこの曲を “The Violent Sleep of Reason” の中の “Ivory Tower” の6/8フィールと比較しています。つまり、バンドはこういったよりストーナー的な曲を、MESHUGGAH 的に解釈する意図を持って演奏しているのです。
Hagström は、Haake と Lövgren に “Ligature Marks” という曲をスタジオに入るまで聞かせませんでした。
「ああ、この古いやつか、俺はこれがちょっと好きだとヤツに言ったんだ。昔は完成された曲じゃなかったけど、今はずっとちょっとカッコいいと思うとね。このアルバムからこれを遠ざけるなんて、バカげてるって言ったよ」
彼がそう感じたのも無理はありません。”Ligature Marks” は、2008年の “obZen” のタイトルトラックと同じように、無情に踏みつけるように始まります。しかし、それは美しく、超越的なアウトロで終わり、リスナーに悩みのタネを植え付けるのです。
“Immutable” では、創設者のギタリスト Fredrik Thordendal が復帰し、彼独特のジャジーでフリーフォームなソロを4つ披露しています。Thordendal は “The Violent Sleep of Reason” 以来、バンドでのツアーは行っていません。ライブでは SCAR SYMMETRY の Per Nilssen が彼の代役を務めていました。しかし、Thordendal は MESHUGGAH のメンバーであり続けているのです。Haakeは Thordendal(名曲 “Bleed “などを作曲)が近年作曲への貢献度が低いことを気にしていません。
「彼が変に感じたり、僕たちが変に感じたりするようなことではないんだ。実際、作曲の任を解かれて彼の肩の荷が下りたと思うんだ、わかるだろ? 彼はもう少し自分のことができるし、曲作りは僕たちに任せられるから」
Hagstrom も同意します。
「Fredrik の “Immutable” における作曲クレジットは “The Violent Sleep of Reason” とほとんど同じだから…何もないよ。”Koloss” 彼は、『みんな、このアルバムではあまり書かないよ』と言って、実際ほとんど書かなかった。彼は基本的に1曲だけ書いて、あとは僕らと一緒にあちこちで共同作業をしていたんだ。”Violent Sleep” では、彼ははっきりと『この作品では一音も書くつもりはない』と言ったんだ。
Fredrik との約束は、彼が3年半(ソロ作品)を続けて、それがどうなるかを見るというものだった。3年半が過ぎ、僕たちはミーティングをして、彼は『もし戻れるなら、ぜひ戻りたい。あそこは私の居場所であり、私の魂なんだ。3年半やってきて、ソロ作はまだ終わっていない。君たちが望むなら、戻ってもいいな』って。僕たちは『F-k yeah、バンドを再結成してツアーに出ようぜ!』って感じだったんだ。
Fredrik が実際にアルバムで演奏するかどうかということになったとき、僕たちは、”Fredrik Thordendal のリードが必要な曲がたくさんあるんだ”って感じだった。彼のリード・サウンドは不可欠だろう?もし彼がリードを弾かなかったら、真の MESHUGGAH のアルバムにはならないだろう。フレドリックがリードを弾いた4曲については、スタジオ33で彼にステムを送り、そこでレコーディングしたんだ」
Thordendal のソロのひとつは、騒々しい “God He Sees In Mirrors” を見事に飾り立てています。元々この曲には、Haake が “トリッピー” と表現するような歌詞がありました。しかし、この曲の攻撃性に直面し、彼は歌詞を書き直したのです。
「マインド・ファックだよ。この曲を聴いた後は、ほとんど暴力を受けたような気分になる。なぜなら、この曲は聴くものをを打ちのめし、ただ進み続けるから」
クラシックなスラッシュ・メタルに部分的にインスパイアされたアルバムの多くと同様に、この曲の歌詞は社会批判に根ざしています。”The Violent Sleep of Reason” が2016年10月にリリースされて以来、世界中でファシズムやポピュリズムが爆発的に広まりました。トランプ大統領が誕生し、去っていきました。専制君主や独裁者が世界中の国々を掌握しています。
「トランプが大きなインスピレーションを与えたのはまちがいない。ボルソナロなど、偽旗の下で走り出す政治家たち。ついでにプーチンも。トランプが鏡を見るとき、そこに映っているのは100%間違いなく自分以外の何者かだ。神のように純粋で、完璧な人類の標本を見ているのだろう。それが彼の見ているもの。そして、そのすべてが妄想なんだ。トランプだけじゃない。ヨーロッパや極東にもいるだろ?彼らの行動はすべて自己、利益、富のためであり、人々のためではないんだよ」
プーチンのウクライナ侵攻は、”Immutable” の大きなテーマの1つである、暴力的なやり方を変えることのできない人類をある意味証明してしまいました。アーティスト Luminokaya のアートワークのナイフを持った炎のような人型は、新しい現実の脅威を表現しているのです。
「歌詞の中に見られる批判は、今起きている多くのことと密接に関係しているんだ。プーチンがウクライナの人々に仕掛けているデタラメに関しては、今の時代、あるいは実際、人間は変われないと証明しているようなものだ」
人類は変わっていないかもしれませんが、MESHUGGAH は Lövgren を除くメンバー全員が50代になり、年を重ねてきています。アルバムのオープニングを飾る “Broken Cog” は、時間が我々から逃げていくというよりも、死という暗い影を背負った我々を地面に叩きつけるような曲。
「この曲の歌詞は、ここにいる自分たちの時間的性質を考え、残された時間を考え、死と暗い考えを受け入れなければならない人たちが、それを乗り切ろうとすることについて書かれているんだよ」
Hagstrom も加齢とアルバムタイトルの関係性を認めます。
「”不変” って僕らのバンドとしての位置づけにぴったりだ。俺たちは年を取った。ほとんどのメンバーが50代になり、自分たちが何者であるかということに納得している。ずっと実験をしてきたけれど、それは初日から変わらない。物事へのアプローチの仕方や、なぜ今でも新しいアルバムを作るのか、なぜ今でも自分たちの音を出すのか、それは不変のものなんだ。人間性も不変だよ。人類は何度も何度も同じ間違いを犯す。結局僕たちも不変なんだ」
MESHUGGAH には作詞家としての Haake、作曲家演奏家としての Haake、つまり二人の Tomas Haake がいます。
「脳の異なる部分を使っているのは確かだよ。以前は、歌詞は年に1回とか、2年に1回とか、掘り下げて書くようなものだったんだ。でも、ここ2枚のアルバムでは、音楽の雰囲気がわかると、その音楽に合わせて書くことが多くなったかもしれないな。トピックとしては、自分の周りで起こっていることに対する社会的なコメントがほとんどだけど、時には純粋なフィクションで、音楽から感じた雰囲気を強めていこうとすることもある。でも、多くの場合、僕の歌詞は社会的なものだよ」
Haake が現代社会に伝えたいことはたくさんあります。
「ソーシャルメディアがいかに多くの点で馬鹿馬鹿しいツールになっているか、偽情報のツールになっているか、さらには政治的なツールになっているかということだよね。”Light The Shortening Fuse” の歌詞は、まさに “Immutable” のために書かれたもので、より具体的にそのことについて話しているんだ。”Phantoms” のような曲は、人生を歩む上での後悔について歌っている。自分が言ったこと、やったことを後悔して、それがずっと自分の中に残っていてついて回る。幽霊や幻のようなものだよ」
彼の白い手袋は、2年前から手の内側にできてしまった湿疹を治すためのものだといいます。「手の中に湿疹があるんだ。全ての指にテープを貼り手袋をしなければ叩けない。だから1年近くドラムを叩いていないことになる。生活もままならないけど前を向いているし、ツアーではなんとか叩こうと思うよ」
有酸素運動よりも、ソファで Netflix を見るのが好きだという Haake は背中を痛め、右足のコントロールが効かなくなったこともあります。”Bleed” のガトリングガンのようなダブルバスドラムを毎晩ツアーで演奏することを期待されているドラマーにとって、それは理想的なことではないでしょう。Hagström は、バンドのリフを演奏する緊張から、手、前腕、肩に痛みを経験したことがあります。MESHUGGAH の音楽を演奏するための肉体的なピークは、おそらく20代や30代なのでしょう。
「人生も、バンドも、生活のためにやっていることも、永遠に続くものではないことに気づくからこそ、ある種の悲しみがあるんだと思う」
しかし、MESHUGGAH の音楽の背後にある意図は、常に不変です。彼らはいつも通り、不可解で華麗なサウンドを奏でています。”Future Breed Machine” でメタルの未来に警鐘を鳴らした彼らは、今でもメタルの未来を定義する “マシーン” として聳え立っています。それはまだ未完成の仕事。”Nothing” Has Changed.
参考文献: KNOTFEST.COM:THE MORE THINGS CHANGE: MESHUGGAH’S TOMAS HAAKE ON ‘IMMUTABLE’
LOUDWIRE: MESHUGGAH ADRESS MISCONCEPTION DJENT