NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【PHASE TRANSITION : THE OTHER SIDE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH FERNANDO MEIA OF PHASE TRANSITION !!

“Fado Is More Than Music; It’s Emotion. It’s About Longing, Destiny, Melancholy… Feelings That Resonate Deeply. That Emotional Weight Definitely Finds Its Way Into Our Songs.”

DISC REVIEW “THE OTHER SIDE”

「深みに飢えている人がいるのだと思う。世の中にはたくさんのコンテンツがありすぎて、つながりがないままスクロールして通り過ぎてしまうのが簡単で当たり前となっている。しかし、複雑な音楽は集中力を要求し、その代わりに豊かでエモーショナルな体験を与えてくれるんだ。ツイートではなく小説を読むようなもので、時間はかかるけど見返りは大きい。それがプログを生かし続けているんだよ」
画面をスクロールして5秒立ち止まり、またスクロールして5秒立ち止まる。コンテンツは無限にあって、私たちはその宇宙の中で “消費” というあまりにも無味乾燥かつ一方通行な言葉によって、すべてを理解し堪能した気持ちになっています。しかし、まるでそのスーパーの試食コーナーだけを回るような無料の巡回で心が満たされることはあるのでしょうか?
ポルトガルのプログ・メタル新人類 PHASE TRANSITION は、感情の起伏を山のように織り込んだ長く複雑な楽曲によって、そうしたインスタントな世界を変えたいと望んでいます。GOJIRA や DREAM THEATER のグラミー受賞はその “フェイズ移行” のきっかけとなるでしょう。結局、どれだけもっともらしいことを150字で呟いたとしても、どれだけ印象的な演奏を15秒で残したとしても、それは “作品” ではなく “コンテンツ” にすぎません。私たちにはきっと、こちらも疲れ果ててしまうような、集中力と思考力要する “作品” が今、必要なのかもしれません。
「DREAM THEATER は大好きだけど、決してクローンにはなりたくなかった。このバンドのメンバーはそれぞれ違うものを持ちよっている。Sofia はクラシックの強力なバックグラウンドを持っているし、”Dark Side of the Moon” や “Kid A” を聴いて育った。僕はモダン・メタルからEDM、シティ・ポップからフュージョンまで、何でも好きだ。僕たちは自分たちを限定することはないと信じている。PHASE TRANSITION の音楽は、そうしたすべてのテイストを反映しているんだ」
大学在学中に心酔する DREAM THEATER のカバーを演奏したのが始まりで、ドラマー Fernando Meia、ギタリスト Luis Dias、ヴァイオリニスト/ヴォーカリストの Sofia Beco を擁する PHASE TRANSITION のラインナップが完成しました。しかし、”The Other Side” を聴いて DREAM THEATER のフォロワーなどと揶揄する人はいないでしょう。キーボーディストはもちろん、ベーシストもいない、伝統的な楽器編成を回避した事実からも、彼らのエクレクティックなプログレッシブ・メタルの美学が非常に意外でユニークなものであることを証明しています。
「ファドはまさに音楽というよりもエモーションなんだ。憧れ、運命、メランコリー…深く心に響く感情なんだよ。その感情的な重みは、間違いなく僕たちの曲にも表れている」
“Veil of Illusions” や “Becoming” のような楽曲にはゴシック・メタルの雰囲気が織り込まれ、もし EVANESCENCE やアンネケ時代の THE GATHERING が PERIPHERY や TesseracT と融合したら…という極上のIFサウンドを具現化していきます。この魅惑のハイブリッドの背景には、サウダージとメランコリーを根源とするポルトガルの伝統音楽ファドの血が存在し、Sofia の幽玄な歌声とヴァイオリンが Luis のウルトラ・テクニカルなギタリズムと混ざり合うことで、未曾有の温故知新、未曾有のエモーションが完成をみるのです。きっと誰もが、この壮大な音楽を5秒でスクロールすることはできません。
今回弊誌では、リーダーでドラマー Fernando Meia にインタビューを行うことができました。「音楽的には、日本のフュージョンやシティポップ、Casiopea や T-SQUARE が好きなんだ。 日本には、情緒と技術的な素晴らしさがミックスされた素晴らしいものがあり、僕は深く敬服している」 どうぞ!!

PHASE TRANSITION “THE OTHER SIDE” : 10/10

INTERVIEW WITH FERNANDO MEIA

Q1: First of all, what kind of music did you grow up listening to?

【FERNANDO】: When I was a kid, I was surrounded by the music my dad loved―bands like Pink Floyd, Jean-Michel Jarre, Kraftwerk, and of course, Michael Jackson. That mix of atmospheric and rhythmic music really shaped my ears early on. Then came my teenage rebellion phase―Metallica and Megadeth were everything to me! My first dive into prog was Animals as Leaders, but it was during my university years that I truly got hooked. That’s when I discovered Dream Theater. The first thing I heard was their live performance in Budokan, and man, that concert blew my mind. Still gives me chills!

Q1: 本誌初登場です!まずは、あなたの音楽的なバックグラウンドからお話ししていただけますか?

【FERNANDO】: 子供の頃は、父が大好きだった PINK FLOYD、 , Jean-Michel Jarre, KRAFTWREK, そしてもちろん Michael Jackson といった音楽に囲まれていたね。雰囲気があってリズミカルな音楽が僕の耳を早くから形成してくれたんだ。その後、10代の反抗期がやってきた。METALLICA と MEGADETH が僕のすべてだったよ!
プログの世界に最初に飛び込んだのは ANIMALS AS LEADERS がきっかけだったけど、本当に夢中になったのは大学時代だった。DREAM THEATER に出会ったときだよ。最初に聴いたのは武道館のライブだったんだけど、あのコンサートには度肝を抜かれたよ。今でもゾクゾクするね!

Q2: What inspired you to start playing an instrument? Who were your heroes at the time?

【FERNANDO】: Funny story―drums weren’t even the plan. I started playing Guitar Hero: Legends of Rock when it came out, and that was my gateway into music. I began guitar lessons at 13, just for fun. That Christmas, my sister asked our dad for Band Hero, and we played together like a real band. That’s when I tried the drums… and never looked back.
At the time, I was deep into Metallica, and Lars Ulrich was the reason I started learning their songs. Controversial drummer out there, but his role in the band and energy? Unmatched. That lit the fire in me.

Q2: 楽器を始めたきっかけはなんだったんですか?当時のヒーローは誰でしたか?

【FERNANDO】: 変な話だけど、ドラムを始めるのは予定になかったんだ。Guitar Hero: Legends of Rock が発売されたときにプレイし始めたのが、音楽への入り口だったんだ。13歳でギターのレッスンを始めたよ。その年のクリスマス、妹が父にバンドヒーローを買ってきてくれと頼んで、本物のバンドのように一緒に演奏したんだ。そのとき、僕は初めてドラムに挑戦したんだ…そして、それ以来、ギターに戻ることはなかったね。
当時、僕は METALLICA にのめり込んでいて、Lars Ulrich がきっかけで彼らの曲を覚え始めたんだ。彼はたしかに物議を醸すドラマーだけど、バンドにおける彼の役割とエネルギーは他の追随を許さない。それでドラム熱に火がついたんだ。

Q3: How was Phase Transition formed? What’s behind the band name?

【FERNANDO】: Before writing our own music, we were playing covers―Dream Theater, Metallica, Megadeth. At that time, Sofia only played violin, so she would reinterpret the vocal melodies on her instrument. We played our first show at a local festival, and after that, something clicked. We didn’t just want to play what others had written―we wanted to tell our own stories.
That switch from covers to original compositions felt like a real transformation… a “Phase Transition.” That’s where the name came from. It’s about change, evolution, and stepping into our own sound.

Q3: PHASE TRANSITION はどのようにして結成されたのですか?バンド名の由来は何だったんですか?

【FERNANDO】: 自分たちで曲を作る前は、DREAM THEATER, METALLICA, MEGADETH などのカバーを演奏していた。当時、Sofia はヴァイオリンだけを弾いて歌っていなかったから、ボーカルのメロディーを自分の楽器で解釈し直していたんだ。地元のフェスティバルで初めてライヴをやったんだけど、そのあと、何かがひらめいた。他の人が書いたものをただ演奏するのではなく、自分たちのストーリーを語りたくなったんだよ。
カバーからオリジナル曲への転換は、真の変容のように感じられた…つまり “フェイズ・トランジション” フェイズが移行したんだ。それがバンド名の由来だった。変化、進化、そして自分たちのサウンドへのステップアップを意味しているんだよ 。

Q4: Speaking of metal in Portugal, Moonspell and more recently Gaerea are really popular. Are there any influences from these local bands or scenes?

【FERNANDO】: Absolutely. Moonspell were pioneers―they were the first Portuguese metal band to break into the international scene. That’s a big deal, and their work paved the way for so many others.
As for Gaerea, they’re doing amazing things right now. I’m lucky to know Diogo, their drummer―he’s a good friend and such a dedicated artist. Seeing their growth is super inspiring and proves that Portuguese metal has a lot to say.

Q4: ポルトガルのメタルといえば、MOONSPELL や最近では GAEREA がとても人気があります。こうした地元のバンドやシーンから影響を受けた部分はありますか?

【FERNANDO】: もちろん。MOONSPELL はパイオニアで、ポルトガルのメタル・バンドとして初めて国際的なシーンに進出した。これは大きなことで、彼らの活動は他の多くのバンドに道を開いたんだ。
GAEREA に関しては、彼らは今素晴らしいことをやっている。彼らのドラマーである Diogo と知り合えたのは幸運だった。彼らの成長を見るのはとても刺激的で、ポルトガル・メタルが多くのことを語れることを証明している。

Q5: When I think of Portugal, I feel this deep, emotional music like fado with saudade. Sometimes your music gives me that same vibe. Would you agree?

【FERNANDO】: That means a lot―thank you. Fado is more than music; it’s emotion. It’s about longing, destiny, melancholy… feelings that resonate deeply. That emotional weight definitely finds its way into our songs.
You can hear some references in “Your Guide,” and our upcoming song “Dichotomy” but they were not made on purpose.

Q5: また、ポルトガルといえばファドですが、そのサウダージような深くてエモーショナルな雰囲気があなたたちの音楽にはありますよね?。

【FERNANDO】: ありがとう。ファドはまさに音楽というよりもエモーションなんだ。憧れ、運命、メランコリー…深く心に響く感情なんだよ。その感情的な重みは、間違いなく僕たちの曲にも表れている。
“Your Guide” や次に発表する “Dichotomy” では、ファドからいくつかの引用を聴くことができるよ。

Q6: You started with Dream Theater, but your style now includes djent, acoustic parts, classical violin, and more. Was it important for the band not to just follow in Dream Theater’s footsteps?

【FERNANDO】: We love Dream Theater, but we never wanted to be a clone. Each of us brings something different to the table. Sofia brings a strong classical background―she also grew up listening to Dark Side of the Moon and Kid A. Luís adds jazz influences to the mix. As for me, I’m into everything from modern metal to EDM, city pop to fusion. We don’t believe in limiting ourselves. Our music reflects all those flavors―structured, but free.

Q6: DREAM THEATER のカバーから始まったバンドが、今では Djent、アコースティック・パート、クラシック・バイオリンなど、様々なスタイルを取り入れています。バンドにとって、DREAM THEATER の呪縛から解き放たれることは重要でしたか?

【FERNANDO】: DREAM THEATER は大好きだけど、決してクローンにはなりたくなかった。このバンドのメンバーはそれぞれ違うものを持ちよっている。Sofia はクラシックの強力なバックグラウンドを持っているし、”Dark Side of the Moon” や “Kid A” を聴いて育った。僕はモダン・メタルからEDM、シティ・ポップからフュージョンまで、何でも好きだ。僕たちは自分たちを限定することはないと信じている。PHASE TRANSITION の音楽は、そうしたすべてのテイストを反映しているんだ。

Q7: Prog metal is known for its deep lyrics and concepts. What is “The Other Side” about?

【FERNANDO】: “The Other Side” dives into the mystery of death and how we perceive mortality―something we all think about but rarely talk about out loud.
The track features Ricardo Pereira from Moonshade and balances haunting female vocals with intense growls. Add in solos from violin, guitar, and drums―and it all crescendos into an epic chorus. It’s heavy, it’s emotional, and it’s exactly what we wanted it to be: a powerful, melodic take on progressive metal.

Q7: プログ・メタルに深淵なる歌詞とコンセプトはつきものですが、”The Other Side” にはどのようなメッセージが込められていますか?

【FERNANDO】: “The Other Side” は、死の謎と、僕たちが死をどのように受け止めているかという、誰もが考えてはいるが口に出して話すことはめったにないような話題に踏み込んでいるよ。
タイトル・トラックは MOONSHADE の Ricardo Pereira をフィーチャーし、心を揺さぶる女性ボーカルと激しいグロウルのバランスをとっている。ヴァイオリン、ギター、ドラムのソロが加わり、壮大なコーラスへと一気に盛り上がる。ヘヴィで、エモーショナルで、まさに僕たちが望んでいたもの、プログレッシヴ・メタルのパワフルでメロディアスな理想型なんだよ。

Q8: Dream Theater and Gojira won Grammy Awards. In this fast-consumption era, why is complex music getting more attention again?

【FERNANDO】: I think some people are hungry for depth. There’s so much content out there―it’s easy to scroll past things without connecting. But complex music demands focus, and in return, it gives you a rich, emotional experience. It’s like reading a novel instead of a tweet―it takes more time, but the reward is bigger. That’s what keeps prog alive.

Q8: DREAM THEATER と GOJIRA がグラミー賞を受賞しました。この消費スピードの速い時代に、なぜ複雑な音楽が再び注目されるようになったのでしょうか?

【FERNANDO】: 深みに飢えている人がいるのだと思う。世の中にはたくさんのコンテンツがありすぎて、つながりがないままスクロールして通り過ぎてしまうのが簡単で当たり前となっている。しかし、複雑な音楽は集中力を要求し、その代わりに豊かでエモーショナルな体験を与えてくれるんだ。ツイートではなく小説を読むようなもので、時間はかかるけど見返りは大きい。それがプログを生かし続けているんだよ。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED FERNANDO’S LIFE!!

Michael Jackson “Thriller”

Metallica “Black Album”

Pink Floyd “The Dark Side of the Moon”

Dream Theater “Metropolis Pt. 2: Scenes from a Memory”

Haken “Vector”

MESSAGE FOR JAPAN

子供の頃からアニメが大好きだった。 キャプテン翼や進撃の巨人などは、僕の想像力を完全に形作ってくれた。Luis がゼルダのような日本のビデオゲームの大ファンであることも知っている。音楽的には、日本のフュージョンやシティポップ、Casiopea や T-SQUARE が好きなんだ。 日本には、情緒と技術的な素晴らしさがミックスされた素晴らしいものがあり、僕は深く敬服している。
日本文化は、数え切れないほど僕たちにインスピレーションを与えてくれたんだ。いつか日本でライブをすることを夢見ているよ。聴いてくれてありがとう。これからも、みんなの心と体を動かす音楽を届けられるよう頑張るね。ありがとうございます!

I’ve loved anime since I was a kid. Shows like Captain Tsubasa and Attack on Titan totally shaped my imagination. I know that Luís is a huge fan of Japanese video games like Zelda. And musically, I really like Japanese fusion and city pop―Casiopea and T-Square. Japan has this incredible mix of emotion and technical brilliance that I deeply admire.
Message to Japan:
Your culture has inspired us in more ways than we can count. We dream of playing live in Japan one day. Until then―thank you for listening. We’ll keep doing our best to bring music that moves both your mind and your heart. ありがとうございます!

FERNANDO MEIA

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PHASE TRANSITION Official

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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【ORBIT CULTURE : DESCENT】 LOUD PARK 25′


COVER STORY : ORBIT CULTURE “DESCENT”

“I Believe That Orbit Culture Will Lead The Metal World In The Future. Super Heavy And Super Melodic. Above All, They Have All The “Ingredients” That Metal Should Have! -Matt Heafy-“

DESCENT

「これからのメタル世界を牽引するのは、ORBIT CULTURE だと信じている。スーパー・ヘヴィでスーパー・メロディック。何より、メタルにあるべきすべての “素材” を備えているんだ!」
TRIVIUM の Matt Heafy はそう言って、スウェーデンのエクショーという小さな街から現れた “メタルの未来” を称賛しました。
実際、ORBIT CULTURE のメロディック・デスメタルとメタルコア、グルーヴ・メタルに80年代の古き良きスラッシュ・メタルのブレンドは、メタル界で最も期待されるバンドとして、Matt 以外の人物からも高く評価されているのです。
MACHINE “Fuckin”’ HEAD の Robb Flynn もそのひとり。彼らはUSツアーのサポートに躊躇なく ORBIT CULTURE を抜擢しました。
「言葉がないよ!よく、大好きなヒーローには会うべきじゃないなんて言われるけど、それは間違いだ。ヒーローには会うべきだよ。彼らはみんな、謙虚で素晴らしい人たちだ!」
フロントマン、Niklas Karlsson はそう言って、自らのヒーローたちからの称賛を噛み締めました。そのヒーローたちと同様、Niklals が謙虚なのはここに来るまでの道のりで苦労を重ねてきたからかもしれません。実際、エクショーがどこにあるかと尋ねても、おそらくほとんどの人はあまりピンとはこないでしょう。 しかし、スウェーデンの真ん中、あのイエテボリとストックホルムの間に位置するのどかなこの街こそ、Niklas が自分のバンドを作ろうと動き出し、今でも彼が故郷と呼ぶ場所なのです。
「子供の時からずっとバンドがやりたかった。15歳のときに近くの村からここに引っ越してきたんだ。 バンドをやっている人たちの輪に入ろうとしていてね。結局、昔のギタリスト Max Zinsmeister と友達になり、バンドをやることにしたんだ」

そうして2013年、17歳の Niklas はスウェーデンの若者らしくメタル・バンド ORBIT CULTURE (バンド名ジェネレーターで決めた) を立ち上げ、何千マイルも離れた場所で暮らす人たちの前で演奏しながら、世界中を回る旅を始めたのです。
「今日に至るまで10年かかったけれど、それは必要なことだった。成熟するためのプロセスと時間が必要だったと思う。 でも、時には大変なこともあったけど、僕はバンドを止めなかった。だって、メタルとバンドのおかげで僕は正気を保っていられるのだから」
“Nija”, “Shaman” で Niklas の不屈のボーカル・レンジも相まって勢いに乗った Orbit Cultureは、同じスウェーデンの大物で、メロデス・シーンのレジェンド IN FLAMES との US ツアーにこぎつけましたが、それは実際に訪れるまで現実味がまったくないほどの驚きでした。
「オファーを受けたときは “ああ、クールな感じだ” と思った。それから、”何が起こっているんだ?” とパニックになったんだ!
でも、IN FLAMES と一緒に演奏した初日以降は、基本的に1日おきにバーベキューをしたりで馴染んでいったよ。彼らはメロディック・デスメタルの最大手のひとつだ!でも今となっては、彼らは僕らのおじさんか、兄のような感じだ。”IN FLAMES の Anders とこんなところで話しているなんて…” って、ちょっと腕をつねってみたりね。僕たちの誰もが、このツアーを実際に起こったこととまだ受け止められていないと思う」

MACHINE HEAD や IN FLAMES とのツアーの経験が、彼らの音楽を進化させました。
「巨大なバンドがライヴをやっている間、僕たちはステージの脇に立って、彼らの話し方や、彼らが楽器を通して観客にどう語りかけるかに注目してきた。そして、 ライヴに足を運んでくれる人たちに楽しんでほしいという思いが強くなった。 それがバンドとして僕らに欠けていたものなんだ。 だから、そこに集中するようにしているんだ」
実際、ORBIT CULTURE はアルバムごとに進化を遂げてきました。
「”Nija” はとても機械的な野獣だった。サウンドスケープで巨大なものを目指していた。一方 “Shaman” は、よりライブに適したものだった。最も自然なのは、”Descent” でそれらを融合させようとすることで、そこにダークな要素や新しいものを作るのも自然なことだった。2016年のアルバム “Rasen” からの要素もある。ある部分について面白かったものを取り出して、それらをまとめようとしたんだ」

Niklas は、イエテボリやストックホルムのようなメタルの “故郷” ではなく、エクショーという小さな街で育ったことが ORBIT CULTURE のオリジナルなサウンドを生み出したと考えています。
「もし僕たちがイエテボリやストックホルムで育っていたとしたら、こうはならなかっただろうな。僕らは、シーンの一部でも何でもなかった。IMMINENCE の Christian とも話したんだけど、僕らは生まれるのが15年遅かったんだ。当時は誰もがバンドをやっていたからね。だから、自分たちの音楽を自分たちだけで作り続けていたんだ。シーンの中心から遠かったからこそ、スウェーデンのバンドだけじゃなく、USのスラッシュや METALLICA からもより多くのインスピレーションを受けることができた。もちろん、MESHUGGAH や IN FLAMES は敬愛しているけど、同時に僕たちはいつもアメリカの80年代や90年代の音楽に興味があったんだ。
もちろん、メロディック・デスメタルもまだ聴くことができるけど、僕らはそこに様々な影響を融合させたんだ。自分たちがクールだと思うものを演奏し、レコーディングしているよ」

彼らの音楽と人生を変えたバンドは、昨年オリンピックのオープニング・セレモニーで叫び、そしてグラミーを受賞しました。
「メタル仲間が “The Way of All Flesh” についてよく話していたんだ…でも、当時は METALLICA に夢中だったから、友達みんなでパーティーをすることになるまで、GOJIRA に触れる機会はなかった。 その夜、僕が知っていたメタルと音楽全般についてのすべてが変わったんだ。
パーティーのみんなは朝早くには眠ってしまっていて、僕だけがまだ起きていてゲームをしたり、新しい音楽を探し回ったりしていた。 そうして、”Where Dragons Dwell” に出会い、そのイントロが流れた瞬間、ある種の高揚感を感じた。 僕は “The Way of All Flesh” まで聴き続け、”The Art of Dying” という曲が流れてきた。 その曲を初めて体験した後、僕はヘッドホンをゆっくりと外し、緊張した目が潤んできた。 これはもう音楽ですらなく、18歳の僕の魂にまっすぐ語りかけてくる何か別のものだった。 その体験の後、僕は眠りにつき、目を覚ますと、荷物をまとめてまっすぐ家に帰り、さっき聞いたことを燃料にしてリフと曲を書いた。 あの日のことは決して忘れないだろう。
GOJIRA は METALLICA と同様、僕が何年も何年も聴き続けている数少ないバンドのひとつだ。 彼らはレコードを出すたびに、僕が最初に彼らを好きになった理由であるスピリチュアルな面を含みながら、完全に新鮮なものを作っている。 世界で最もヘヴィなメタル・バンドのひとつでありながら、悲しみ、希望、愛、怒りなど、リスナーのあらゆる感情とつながることで、完全なスピリチュアルな感覚をリスナーに与えている。つまり、僕らの屋台骨は GOJIRA と METALLICA なんだ」

AVICII の大ファンであることも公言しています。
「つまり、彼の音楽は素晴らしいけど、僕が一番興味を惹かれるのは、フックを書く能力だと思う。 ポップでハッピーな曲でも、心の琴線に触れることができるんだ。そしてそれが僕の興味をそそる。
最もダークなメタルであれ、最もポップなダンスミュージックであれ、音楽は何かを感じさせてくれることが大切なんだ」
映画 “Dune” も “Descent” の大きなインスピレーションのひとつです。
「そう、もう2回も観ている。まったく飽きることがなかったよ。ハンス・ジマーによるサウンドデザインは素晴らしかった。サウンド・デザインと言ったのは、メロディーというより、壮大なサウンドが印象的だからだ。 その広大さが映像にとても合っているんだ。 ストーリーも音楽も、どちらも重厚な映画だ。だから、次のアルバムでも “Dune” はもっと出てくると思うよ」
まさに “映画” は ORBIT CULTURE の音楽にとってなくてはならない音楽の景色となりつつあります。”The Tales of War”。彼らの最新曲は、緊張感がありながらも洗練されたシンフォニー・ストリングスのイントロで始まり、すぐに廃墟のようなギターの沼地へと沈んでいきます。Niklas は、暗闇の中を這いずり回り “恐怖の海に溺れる” と唸り、威嚇的な姿を見せながらも、アンセム的なコーラスで憧れとメロディックな救いを与えていきます。
「これまでほとんどすべてのライヴで、ムードを盛り上げるために映画のような長いイントロを使ってきた。でも今回は、曲そのものにその感覚をそのまま焼き付けるのはどうだろうと考えたんだ。映画のような要素、盛り上がり、詩、そしてコーラス。最初から、これが僕らの新時代を紹介する最初の曲でなければならないとわかっていた」

とはいえ、実験のしすぎにも気をつけています。
「実験や進化はとても大事なことだけど、あまり手を広げすぎるのもよくない。 というのも、僕はまず自分のために曲を書くし、今の僕らのサウンドが好きだから…(笑)。でも明らかに、僕はどこでもプラグインやサウンドパックを “ああ、これカッコいいな” と思って買ってしまうような人間でもある。でも結局のところ、10個の要素のうち1個を使うだけなんだ。 イントロ、ヴァース、コーラスというような、ポップでシンプルな公式が基本。僕はそれが好きだし、それが僕にとってのメタル。1秒間に100万音符を弾くような演奏はしないよ(笑)」
歌いながらギターを弾くことも簡単ではありません。
「”Nija” の3曲目に収録されている “Day of the Cloud” は、演奏するのも歌うのも大変だった。 でも、”Shaman” に収録されている “Mast of the World” という曲にはいまだに苦労している。 歌いながら同時に演奏することはなんとかできるようになったけど、ただそこにつっ立っていなければならないんだ。 完全に時間通りにやらないとスタミナが続かない。 他のメンバーとの連携が取れていないと、平坦なものになってしまう」
“Descent” を作るにあたって、Niklas が考えていたのは静寂を使ったダイナミズムでした。
「ほとんどの曲は、ジェットコースターのように上下する。それが僕らの好きなところなんだ。アルバムの流れについてもっと考えている。”Descent” の最後を飾る “Through Time” は、星間的な雰囲気の曲で、いい感じだった。45秒間大音量で鳴り響き、その後に静かな音楽が鳴り響く。僕はそれが好きだ。そうありたいんだ。NIRVANA のようなね。ライヴ向きのアルバムにしたかったんだけど、最終的にはこの巨大でダークなモンスターになった。最高の山から最低の奈落の底まで。ただ、僕はギターがそんなに上手くないから、曲を作るときは、自分ができることにとどめているんだよ」

苦労と実験の長い道のり。それでも、1400年代にまで遡る歴史的で、しかし小さな町から生まれたヒーローは常に前を見据えています。
「最初の頃は大きな問題を抱えていた。 僕は一体何を間違えているんだ? って。それから他人のせいにしたり、そんなくだらないことを始めた。 ORBIT CULTURE で何をしたいのか、目的を見失いかけていた。 ただ曲を書いて、カッコいいアルバムやカッコいいアルバム・カバーを作りたかったんだけなんだけどね。 でも同時に、外に出て演奏しなければならないことも分かっていたし、そのためにふさわしい仲間を見つけなければならないことも分かっていた。 幸運なことに、それがうまくいった。 特にスウェーデンのこんな人口10000人の小さな町から来たのは超レアだ。 ここで音楽をやっている人はもうそんなに多くないし、僕が知っている限りではね。 それが僕らを家族のように感じさせてくれた。ファンのコメントで、何か暗い経験をしていると書いてあるのを見ると、自分もそういうことを考えることがあるんだ。 僕らの音楽に共感してくれるなんて、本当に素晴らしいことだよ。 僕らの音楽が人々の助けになるなら、僕らにとってはそれで十分なんだ。僕たちは兄弟みたいなもので、みんなと ORBIT CULTURE を共有できることに興奮しているよ」

 参考文献: KERRANG! MUSIC CULTURE REVIEWS COVER STORY THE K! PIT STORE MAGAZINE BUY NOW SPRING 2025 FEATURES “This keeps me sane, I have to do this”: Meet Orbit Culture, the band Matt Heafy is calling the future of metal

REVOLVER :”HIGHEST MOUNTAIN, LOWEST ABYSS”: INSIDE ORBIT CULTURE’S MOST EXTREME ALBUM YET

NEW NOISE MAG:INTERVIEW: SWEDEN’S ORBIT CULTURE ARE SHOOTING FOR THE STARS

KNOTFEST:Niklas Karlsson Of Orbit Culture Talks Their Rise, Touring With In Flames and More!

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SIGN OF THE WOLF : SIGN OF THE WOLF】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH TONY CAREY OF SIGN OF THE WOLF !!

“In The Original Era, 60s, 70s, and 80s, The Music Was New And The Style Was Being Invented. It’s Now 50 Years Later For Me – I Joined Rainbow In 1975 – And The Bands I Hear Today Aren’t Inventing Anything. That’s The Difference.”

DISC REVIEW “SIGN OF THE WOLF”

「Ronnie の声?まさに最高の一人だよ。人として?彼は僕より14歳年上で、叔父さんのような存在だった。Ronnie も Wendy Dio も素晴らしい人たちだったし、彼は僕と同じアメリカ人だったからね。僕はイギリス人ミュージシャンと仕事をしたことがなかったから、バンドにもう一人アメリカ人がいたことは大きな助けになったんだよ」
70年代/80年代を象徴するハードロックについて語るとき、RAINBOW の “Rising”、BLACK SABBATH の “Heaven And Hell”、DIO の “Holy Diver” が挙がることは間違いないでしょう。共通項はもちろん、伝説のボーカリスト Ronnie James Dio の存在。彼の歌声、彼の魔法、彼のファンタジーが失われて久しい2025年の暗闇に虹をかけるような傑作が、Ronnie を愛する人々の手によって生まれました。SIGN OF THE WOLF。彼の掲げるメロイック・サインに集いし者たち。
「オリジナルの時代…60年代、70年代、80年代は、音楽が新しく、スタイルが発明がどんどん発明されていった。僕は1975年に RAINBOW に加入したんだ。それから50年が経って…今僕が耳にする新しいバンドは何も発明していない。それが違いだと思うよ」
この美しいプロジェクトは、Firework Mag の Bruce Mee の発案で始まりました。”Tarot Woman” のイントロ、Tony Carey の幽玄神秘なキーボードが彼をハードロックに引き込み、Ronnie の圧倒的な歌声に忠誠を誓いました。そうして長年音楽業界に身を置く中で、今回のインタビューイ Tony Carey と同く、現代のハードロックにどこか物足りなさを感じるようになったのです。かつての、個性的で、音楽の発明が各所に散りばめられた壮大なるメロディの園を甦らせたい。そうして彼は Tony Carey をはじめ、温故知新で才能豊かなアーティストを集めることに決めたのです。
「このプロジェクトにはたくさんの才能があるし、僕はとにかく、Doug Aldrich と Vinnie Appice と一緒にやってみたかったんだ」
ドラム・キットの後ろには、”Mob Rules” や “Holy Diver” など数多のマイルストーンでエンジンとなった Vinnie Appice が鎮座し、Chuck Wright や Mark Boals といった名手とタッグを組みます。リード・ギターは Doug Aldrich。ご承知の通り、WHITESNAKE に再び魂を込め、DIO を復活に導いたカリスマにして、真のギターヒーロー。
もちろん、Ronnie James Dio の歌声は誰にも代えられませんが、ここでは全曲に Andrew Freeman が参加。Vivian Campbell が DIO を受け継ぐ LAST IN LINE (“Ⅱ” の素晴らしさは筆舌に尽くしがたい) でボーカルを務める Andrew の実力は本物。良い意味で “ジェネリック・ディオ” ともいえる彼のキャッチーな力強さは、SIGN OF THE WOLF の音楽に真のフックと重厚さを与えています。そこに、Doug や Vinnie と演奏をしてみたかったと語る RAINBOW のレジェンド Tony Carey が合流。絶対的なハードロックの金字塔がここに誕生しました。
「”Rising” がこんなに長く愛されていることに驚いているよ。たいていのレコードは2~3年で忘れ去られてしまうものだからね。”Rising” はほとんど50年も人々の記憶に残っているんだから」
実際、Tony の参加した “The Last Unicorn” や “Rage of Angels” では、まさに “Tarot Woman” や “Stargazer” が放っていた神秘的で荘厳なロックの魔法が降臨しています。まだ鍵盤がロックの中心にいた虹色の時代。ただし、アルバムは RAINBOW のみならず、”Arbeit Machat Frei” では THIN LIZZY を (まるで Doug の BAD MOON RISING の3rd のようでもある)、”Silent Killer” では DIO を、そして壮大なタイトル・トラックではあの名曲 “Heaven and Hell” をも探訪して、ロックやメタル、その革命の炎を今でもあかあかと燃やせることを証明するのです。Steve Mann や Steve Morris, Mark Mangold の美学が炸裂するメロディックな楽曲もまた素晴らしい。
今回弊誌では、Tony Carey にインタビューを行うことができました。「実は、RAINBOW のライブは、スタジオでの RAINBOW とはまったく違っていたんだ。コンサートではハモンドをたくさん弾いたけど、レコードではほとんど弾かなかった。”Rising” と “Long Live Rock and Roll” のレコードは、ハモンドの代わりにギターのオーバーダブがほとんどだったんだ。だから僕たちのライブ・サウンドはスタジオとはとても違っていて、そのライブ・サウンドこそが僕にとっての RAINBOW だったんだ」本物にしか作りえない本物のハードロック・アルバム…Dio といえば “Dehumanizer” の再評価も進んで欲しいと祈りながら…どうぞ!!

SIGN OF THE WOLF “S.T.” : 10/10

INTERVIEW WITH TONY CAREY

Q1: “Sign of the Wolf” is one of the best hard rock albums of the century for me! It’s really masterpiece! This project started as a project of Bruce Mee of Firework Mag, would you agree?

【TONY】: I was asked by somebody else to play on two songs, I don’t know Bruce Mee personally. I’m happy that you like it so much…. there’s a lot of talent in this project, and I wanted to work with Doug Aldrich and Vinnie Appice anyway.
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Q1: “Sign of the Wolf” は、私にとって今世紀最高のハードロック・アルバムのひとつですよ!本当に傑作ですね!このプロジェクトは、Firework Mag の Bruce Mee のプロジェクトとして始まったそうですね?

【TONY】: Bruce Mee とは個人的には面識がないんだ。でも、君がとても気に入ってくれて嬉しいよ。このプロジェクトにはたくさんの才能があるし、僕はとにかく、Doug Aldrich と Vinnie Appice と一緒にやってみたかったんだ。

Q2: Many of the band members are associated with Ronnie James Dio. In a way, is it a tribute to him?Also, what was Dio’s voice and person like for you?

【TONY】: I hadn’t thought of it as a tribute to Ronnie. Ronnie’s voice? One of the very best. As a person? I loved the guy, he was 14 years older than me and more like an uncle. I never had any sort of problems with Ronnie or Wendy Dio, they were great people and Ronnie was American, like me.
I had never worked with British musicians and having another American in the band was a great help.

Q2: バンド・メンバーの多くは Ronnie James Dio と関係がありますよね。ある意味、彼に対するトリビュートのような意味合いもあったのですか?また、あなたにとって Ronnie はどんな存在でしたか?

【TONY】: Ronnie へのトリビュートとは考えていなかったよ。Ronnie の声?まさに最高の一人だよ。人として?彼は僕より14歳年上で、叔父さんのような存在だった。Ronnie も Wendy Dio も素晴らしい人たちだったし、彼は僕と同じアメリカ人だったからね。
僕はイギリス人ミュージシャンと仕事をしたことがなかったから、バンドにもう一人アメリカ人がいたことは大きな助けになったんだよ。

Q3: When your keyboard sound echoed in the introduction of “The Last Unicorn,” it was as if Rainbow had returned. In fact, your keyboards were indispensable on “Rising” and “On Stage”.
What did you think at the time about the keyboard’s place in Rainbow, with the absolute presence of Ritchie Blacbmore?

【TONY】: Rainbow live was very different than Rainbow in the studio. I played a LOT of Hammond in concert, and (almost) none on the records. The ‘Rising’ and ‘Long Live Rock and Roll’ records were mostly guitar overdubs instead of Hammond. Our live sound was very different and THAT was Rainbow for me.

Q3: “The Last Unicorn” のイントロであなたのキーボードの音が響いたとき、まるであの RAINBOW が戻ってきたかのように感じましたよ。実際、”Rising” と “On Stage”, そして “Long Live Rock’n’ Roll” の一部ではあなたのキーボードが RAINBOW にとって不可欠な存在となっていました。
Ritchie Blackmore が絶対的な存在として君臨していた RAINBOW におけるキーボードの役割について、当時どのように考えていましたか?

【TONY】: 実は、RAINBOW のライブは、スタジオでの RAINBOW とはまったく違っていたんだ。コンサートではハモンドをたくさん弾いたけど、レコードではほとんど弾かなかった。”Rising” と “Long Live Rock and Roll” のレコードは、ハモンドの代わりにギターのオーバーダブがほとんどだったんだ。
だから僕たちのライブ・サウンドはスタジオとはとても違っていて、そのライブ・サウンドこそが僕にとっての RAINBOW だったんだ。

Q4: Back then, there were many keyboard heroes like you, Keith Emerson, and Jon Lord in the hard rock world, but there are few of them in the rock and metal world today. Why is it so hard to develop keyboard heroes?

【TONY】: Well, I’m not a hard-rock keyboard player, I’m a singer-songwriter. I played what I thought the band wanted to hear in Rainbow, and that was my only hard-rock band ever. MY influences are Matthew Fischer, Richard Wright, Ray Manzarek… NOT Emerson or Lord. Hard rock keyboards are out of style and there is a very small audience for retro bands who play 70s and 80s style. There are MANY, MANY fantastic keyboard players playing other genres of music. I’ve played with Cory Henry a lot, he’s a mix of jazz, Gospel, Blues – Cory might be the best player I’ve ever worked with, and one of the best I’ve ever heard. He’s 35 years old and he’s not interested in hard rock. And honestly, neither am I, although when I get offered a session like ‘Sign of the Wolf’, I’m happy to do it if I like the songs and arrangements.

Q4: 当時、ハードロック界にはあなたや Keith Emerson, Jon Lord のようなキーボード・ヒーローがたくさんいましたが、今のロックやメタル世界にはほとんどいなくなってしまいました。なぜキーボード・ヒーローは少なくなってしまったのでしょうか?

【TONY】: まあ、僕はハードロックのキーボード・プレイヤーではなく、シンガー・ソングライターだからね。RAINBOW ではバンドが聴きたいと思うものを演奏したし、それが僕にとって唯一のハードロック・バンドだった。僕が影響を受けたのは、Matthew Fischer, Richard Wright, Ray Manzarek であって、Emerson や Lord じゃなかったからね。
今やハードロックのキーボードは流行遅れだし、70年代や80年代のスタイルを演奏するレトロなバンドのリスナーはとても少ない。でもね、他のジャンルの音楽を演奏する素晴らしいキーボード奏者はたくさんいるんだよ。ジャズ、ゴスペル、ブルースをミックスしたような Cory Henry とはよく一緒に演奏したね。今まで仕事をした、聴いてきた中でも最高のひとりだよ。彼は35歳で、ハードロックには興味がない。正直なところ、僕もそうだ。”Sign of the Wolf” のようなセッションのオファーを受けたときは、曲とアレンジが気に入れば喜んで引き受けるけどね。

Q5: “Rainbow’s End” is a really great song, but in a way it is an iconic title. Is it about Rainbow as a band?

【TONY】: Sorry, I don’t know the song.

Q5: “Rainbow’s End” はまた実に素晴らしい曲ですが、ある意味象徴的なタイトルですね。バンドとしての RAINBOW のことを隠喩しているのでしょうか?

【TONY】: ごめんね、その曲についてはよく知らないんだ。

Q6: However, the album is not only about Rainbow, but also about Dio, Black Sabbath (Dio&Martin Era), Thin Lizzy, and other great hard rock bands. How do you feel about the difference between that era and today’s hard rock and metal scene?

【TONY】: In the original era, 60s, 70s, and 80s, the music was new and the style was being invented. It’s now 50 years later for me – I joined Rainbow in 1975 – and the bands I hear today aren’t inventing anything. That’s the difference.

Q6: それにしても、このアルバムは RAINBOW だけでなく、DIO, BLACK SABBATH (Dio&Martin 時代) , THIN LIZZY, その他の偉大なハードロック・バンドを包括したような素晴らしさです!
あの時代と現在のハードロックやメタル・シーンの違いについて、あなたはどう感じていますか?

【TONY】: オリジナルの時代…60年代、70年代、80年代は、音楽が新しく、スタイルが発明がどんどん発明されていった。僕は1975年に RAINBOW に加入したんだ。それから50年が経って…今僕が耳にする新しいバンドは何も発明していない。それが違いだと思うよ。

Q7: The music industry has changed dramatically since the 1970s.The music world, which used to be about buying physical music and enjoying it album by album for a long time, has now changed to one of free and instant enjoyment through streaming and cut-out videos on social networking sites. Listeners’ attention spans have become shorter, and some young people cannot even listen to a song through. How do you see these changes?

【TONY】: It is what it is. I hate it. Everything has to be one minute long – like TikTok – and then the listener moves on to the next thing. All of the mystery is gone, and all of the magic. I was lucky enough to be active in the 70s-90s. The music business fell apart around 2000 and will never be the same.
That’s what I mean with ‘it is what it is’, there’s no going back.

Q7: 音楽業界は1970年代から劇的に変化を遂げました。かつてはフィジカルを購入し、アルバムごとに長い時間をかけて楽しむのが当たり前だった音楽界は、今ではストリーミングやSNSでの切り抜き動画を通じて無料でインスタントに楽しむものへと変化しました。
リスナーの注意力も短くなり、1曲通して聴けない若者も少なくありませんね。こうした変化をあなたはどう見ていますか?

【TONY】: “仕方がない”。それがすべてだよ。僕は今のそうした風潮が嫌いだ。すべてが TikTok のように1分でなければならず、リスナーはすぐに次のことに移ってしまう。音楽にミステリーもマジックもなくなってしまった。僕は幸運にも70年代から90年代にかけて活動することができた。音楽ビジネスは2000年頃に崩壊し、決して元には戻らないだろう。
それが僕の言う “仕方がない” で、つまりもう後戻りはできないんだ。

Q8: Cozy Powell, Ronnie James Dio and Jimmy Bain have all passed away, leaving you and Ritchie Blackmore as the only surviving members of “Rising”… Still, it’s great that an album made almost 50 years ago created the template for hard rock and metal and is still loved by so many people today! Looking back now, What does “Rising” mean to you?

【TONY】: I’m amazed at how long it’s held up. Most records are forgotten in 2-3 years. ‘Rising’ is almost 50 years old. A lot of people think I’m a hard-rock legend, but I’m not. I’m a musician and I’ve recorded and produced in many genres of music. Still, those were amazing times, I was 21 years old and went around the world… so no complaints.

Q8: Cozy Powell, Ronnie James Dio, Jimmy Bane の3人が他界し、”Rising” の存命メンバーはあなたと Ritchie Blackmore だけとなりました…それにしても、約50年前に作られたアルバムがハードロックやメタルの雛形を作り、今も多くの人に愛されているのは素晴らしいことです!
今振り返って、あなたにとって “Rising” とはどんな存在ですか?

【TONY】: こんなに長く愛されていることに驚いているよ。たいていのレコードは2~3年で忘れ去られてしまうものだからね。”Rising” はほとんど50年も人々の記憶に残っているんだから。
あの作品のおかげで、多くの人が僕のことをハードロックのレジェンドだと思っているけど、実はそうじゃないんだ。僕はミュージシャンで、さまざまなジャンルの音楽をレコーディングし、プロデュースもしてきた。それでも、あの頃は最高だったよ。21歳で世界中を回ったんだから…なにも文句はないよ。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED TONY’S LIFE!!

Miles Davis ‘Bitches brew’, Bob Dylan (anything from his early work), The Doors, Creedence Clearwater Revival, Joni Mitchell, Elton John, Janis Joplin, Jimi Hendrix… there’s a very long list of artists who influenced me. I woudn’t say that any record ‘changed my life’, though.

MESSAGE FOR JAPAN

日本のみんな、こんにちは! 僕は今、ソロ・ライヴ(ピアノとギターと僕の声、たった一人でステージに立つ)のシリーズを企画しようとしているんだ!2026年の後半に、また日本に行けたらいいね!

Hello, Japan! I’m trying to organise a series of solo shows (a piano, a guitar, and my voice, all alone on stage) and I hope to see you all again later this year or in 2026!

TONY CAREY

ESCAPE MUSIC

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【KING GARCIA : HAMELIN】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH KORNILIOS KIRIAKIDIS OF KING GARCIA !!

“The Clarinet, In Particular, Has a Fascinating Quality: It Offers Freedom Between Tempered And Non-Tempered Systems, Opening Up Countless Musical Pathways. It Can Transform From a Sweet, Intimate Instrument To a Scream Of Despair, Making It Incredibly Expressive.”

DISC REVIEW “HAMELIN”

「ハーメルンの伝説は、社会的にも政治的にも、多くの文脈に適用できる。芸術家は常に、はみ出し者、フリンジ (奇抜な狂信者、過激派) として扱われてきた。しかし、芸術には世界を動かす力があると同時に、世界を止めてしまう力もあるんだ。救うことも破壊することも、団結させることも分断させることもできる。重要なメッセージは、権力の行使、あるいは行使の誤りこそが、救世主と暴君を分けるということだ」
欲望に魅入られた権力者の心ない、愚かな行為や圧政、暴力に差別はいつの世にも存在します。そしていつの世も、そんな理不尽や抑圧を引き受けるのは弱い者、はみ出し者、社会の常識に収まらなかった者。
ドイツの寓話、”ハーメルンの笛吹き男” では、ネズミ退治を請け負った 笛吹き男が報酬を支払ってもらえず、怒って町の子どもたちを笛の音で誘い森へと連れ去りました。一方で現代メタルの “笛吹き男”、ギリシャの KING GARCIA は暗い世にはびこるあらゆる種類の腐ったネズミたち-政治家、侵略者、宗教家-をその笛の音で何処かへ連れ去ろうとしています。こうした寓話から読み取れることは何でしょう?”生産性” がないと切り捨てられた人に、実際は世界を動かす力がある?芸術に秘められた諸刃の剣?とはいえ、その寓話と言葉のないアルバム “Hamelin” の受け止め方はリスナーの耳に委ねられています。
「僕たちはクラリネットやトランペットのような管楽器を “伝統的な楽器” として使っているわけではないということだよね。僕たちにとって最も重要なのは、木管楽器や金管楽器のサウンドと、それがもたらすユニークな特徴なんだ。特にクラリネットは魅力的な性質を持っている。調律された音と調律されてない音の間で自由を提供してくれて、数え切れないほど音楽の道を開いてくれる。甘く親密な楽器から絶望の叫びまで変幻自在で、信じられないほどの表現力を発揮するんだ」
実際、モダン・メタルの笛吹き男、その異名は伊達ではありません。クラリネットを主軸にトランペット、バグパイプ、ガイダ、カヴァルといった多彩な管楽器を駆使するのは、バンドの “声” の幅を広げるため。もちろん、ひとつの楽器、ボーカルやギターを “声” に据えてもその才能によって幅を広げることは可能ですが、KING GARCIA は楽器自体を入れ替えるという手法で “声” の多様さを追い求めようとしています。さらに、主軸となるクラリネット、そのギターで言えばフレットレスのような調律のフレキシビリティーがさらに “声” の可能性を押し広げていきます。
「伝統的なギリシャ音楽の影響が僕たちのスタイルにシームレスに織り込まれ、KING GARCIA のサウンドの豊かさと独自性を際立たせている。僕たちの音楽的伝統への敬意は、創造性を制限するものではなく、むしろそれを高め、僕たちの作品に聴衆と直接共鳴する深みを与えているんだよ」
そうした “声” の幅広い可能性は、KING GARCIA の肉体、その音楽的基盤の多様さによってさらに増幅されていきます。ただし、彼らが血肉としてきた影響の数々は、決して意図的ではなく有機的にその体内を巡ります。PAIN OF SALVATION, MESHUGGAH, QUEENS OF THE STONE AGE といったプログレッシブ/オルタナティブの極北、その雫は KING GARCIA の原衝動である ギリシャの伝統音楽とシームレスに混ざり合い、ガイダやカヴァルといった彼の地の伝統楽器を心臓にその体内を駆け巡ります。もしエンニオ・モリコーネやジョン・ウィリアムズがメタルを作ったら…そんな “If” の世界を実現できるのは、きっと彼らだけではないでしょうか?
今回弊誌では、ベーシストの Kornilios Kiriakidis にインタビューを行うことができました。「オンライン中毒による注意力の分断が事実上すべての人に影響を及ぼしている時代において、5秒以上続くものは今やリスクとみなされている。しかし、日常生活の中には、このような注意散漫が侵入できないわずかな時間がまだ残されているんだ。複雑で要求の多い音楽が輝きを放つのは、こうした瞬間なんだよ」 MOTHER OF MILLIONS のメンバーが参加、NEED のプロデューサーが手がけたギリシャ・メタルの最高到達点。どうぞ!!

KING GARCIA “HAMELIN” : 10/10

INTERVIEW WITH KORNILIOS KIRIAKIDIS

Q1: First of all, what kind of music did you grow up listening to?

【KORNILIOS】: Each band member has their own unique listening preferences, which, collectively, span a very wide range of music. From rock and metal to jazz, classical, and traditional music, this diversity helps us bring uniqueness and freshness to our creations. Everyone contributes their own distinctive elements and influences to the band, which merge to form our signature sound.

Q1: 本誌初登場です!まずは、あなたの音楽的なバックグラウンドからお話ししていただけますか?

【KORNILIOS】: このバンドのメンバーはそれぞれ独自の好みの音楽を持っていて、それを総合すると非常に幅広いジャンルの音楽を聴くことができるんだ。ロック、メタルからジャズ、クラシック、伝統音楽まで、この多様性が僕たちの創作に独自性と新鮮さをもたらすのに役立っているよ。全員がそれぞれの特徴的な要素や影響をバンドに提供し、それらが融合して KING GARCIA の特徴的なサウンドを形成しているんだよ。

Q2: How was King Garcia formed? What is the meaning behind the band name?

【KORNILIOS】: The creation of King Garcia dates back to November 2019, when Kamil had the brilliant―and slightly sneaky―idea to invite me, Kostas, and Alexandros to a jam session that he presented as “purposeless.” Among us, not everyone was acquainted, and we certainly hadn’t played together before. Kamil framed it as an afternoon of casual music-making, just for the fun of it, like when we were kids, with no hidden agenda. But of course, he secretly intended to form a band with us. If he had asked outright, none of us would have agreed, as we were all busy with other projects.
What followed that afternoon was nothing short of magical. As soon as we started improvising in a studio in Ilion, the first tracks emerged effortlessly. The chemistry was incredible, and the formula was spot-on. The very next day, we all agreed that this shouldn’t remain just a jam session―it had to evolve into a band.
As for the name, its story is equally fascinating. Kostas had suggested “The Daughters of King Fisher,” while Kamil―unaware of Kostas’s idea―came up with “The People of Diego Garcia.” The concept of collectivism and collaboration is central to us, so we conducted a poll on social media, asking our friends to vote. One of our friends suggested combining the two ideas: “King Garcia.” And so, our little king was born. Who he is and what he represents is something we leave to the listener’s imagination.

Q2: KING GARCIA はどのようにして結成されたのですか?バンド名にはどんな意味が込められていますか?

【KORNILIOS】: KING GARCIA の結成は2019年11月にさかのぼる。”目的なし” を謳ったジャム・セッションに、Kamil が素晴らしい、そして少し卑劣なアイデアで僕と Kostas、そして Alexandros を招待したんだ。僕たちのうち、全員が知り合いというわけではなかったし、一緒に演奏したことがなかったのは確かだ。Kamil はこのセッションを、僕たちが子供の頃のように、何の意図もなく、ただ音楽を楽しむ午後のひとときだと説明した。しかしもちろん、彼は密かに僕たちとバンドを組むつもりだった。もし彼がはっきりお願いしたら、みんな他のプロジェクトで忙しかったので、誰も同意しなかっただろうからね。
その日の午後に起こったことは、魔法のような出来事だった。イリオンのスタジオで即興演奏を始めるや否や、最初の曲は難なく生まれた。ケミストリーは信じられないほどで、音楽の公式は完璧だった。その翌日、これは単なるジャム・セッションにとどまるべきではなく、バンドに進化させなければならないということに全員が同意したんだ。
バンド名についても、同様に魅力的なストーリーがある。Kostas はバンド名に “The Daughters of King Fisher” を提案し、Kamil はコスタスのアイデアを知らずに “The People of Diego Garcia” を思いついた。集団主義と協力というコンセプトは僕たちにとって中心的なものなので、ソーシャルメディアで投票を行い、友人たちに投票を求めた。そこで友人の一人は、この2つのアイデアを組み合わせることを提案したんだ:”King Garcia”。こうして、僕たちの小さな王様が誕生した。彼が何者で、何を象徴しているのかは、リスナーの想像にお任せするよ。

Q3: Heavy metal and heavy rock featuring woodwinds such as trumpet, clarinet, gaida, and kaval is really rare and revolutionary! Why did you decide to use such instruments in the metal field?

【KORNILIOS】: The decision to incorporate woodwinds like trumpet, clarinet, gaida, and kaval into our music happened somewhat spontaneously. On the evening when the band was formed, Kamil decided not to invite a vocalist, as he didn’t want to limit our improvisation. Additionally, none of us had ever played with a trumpet player before, and the idea of brass instruments over powerful, aggressive music intrigued us and sparked curiosity to try it out.
Alexandros, who initially was a trumpeter, has now taken on the role of our “vocalist” through his woodwind instruments. We compose our music in a way that ensures the right space, both acoustically and compositionally, for Alexandros to deliver his melodies. It’s as if we have a vocalist in the band, but his “voice” comes through his instruments―and one advantage is that it never gets strained or worn out at the end of the night!

Q3: トランペット、クラリネット、ガイダ、カヴァルといった管楽器をフィーチャーしたヘヴィ・メタルやヘヴィ・ロックは実に珍しく、画期的です!なぜメタルの分野でそうした楽器を使おうと思ったのですか?

【KORNILIOS】: トランペット、クラリネット、ガイダ、カヴァルといった楽器を僕たちの音楽に取り入れることになった成り行きは、やや自然発生的なものだったんだ。バンドが結成された夜、Kamil は即興演奏を制限したくなかったのでボーカリストを呼ばないことにしてね。さらに、僕たちの誰もトランペット奏者と一緒に演奏したことがなかったし、パワフルで攻撃的な音楽にブラスいうアイディアに興味を惹かれ、試してみたいという好奇心を掻き立てられたんだ。
当初トランペッターだった Alexandros は、今では木管楽器や金管楽器を通して僕たちの “ボーカリスト” の役割を担っている。僕たちは、Alexandros がメロディーを届けるために、音響的にも構成的にも適切な空間を確保するように作曲しているよ。これはバンドにボーカリストがいるようなものだけど、ただ彼の “声” は楽器を通して出ているんだよ!

Q4: What are the pros and cons of using woodwinds in heavy music?

【KORNILIOS】: Great question. First of all, we want to clarify that we don’t use woodwinds, like clarinet and trumpet, as “traditional instruments.” What matters to us most is their sound and the unique characteristics they bring to the table. The clarinet, in particular, has a fascinating quality: it offers freedom between tempered and non-tempered systems, opening up countless musical pathways. It can transform from a sweet, intimate instrument to a scream of despair, making it incredibly expressive.
At the same time, Alexandros’s style, deeply influenced by his love for oriental music and culture, adds a special flavor to our sound. While this influence naturally comes through, it’s not something he intentionally aims for―it’s simply his way of expressing himself, like speaking English with a Greek accent.
That said, there are challenges. Incorporating woodwinds into the heavy sound of metal requires careful composition and production. We must create space, both acoustically and harmonically, to let their melodies shine. However, this fusion allows us to craft music that truly stands out.

Q4: ヘヴィ・ミュージックで管楽器を使うことの長所と短所を教えてください。

【KORNILIOS】: いい質問だ。まずはっきりさせておきたいのは、僕たちはクラリネットやトランペットのような管楽器を “伝統的な楽器” として使っているわけではないということだよね。僕たちにとって最も重要なのは、木管楽器や金管楽器のサウンドと、それがもたらすユニークな特徴なんだ。特にクラリネットは魅力的な性質を持っている。調律された音と調律されてない音の間で自由を提供してくれて、数え切れないほど音楽の道を開いてくれる。甘く親密な楽器から絶望の叫びまで変幻自在で、信じられないほどの表現力を発揮するんだ。
同時に、東洋の音楽と文化への愛情に深く影響された Alexandros のスタイルが、僕たちのサウンドに特別な味わいを加えている。この影響は自然に出てくるものだけど、彼が意図的に目指しているものではなく、僕らがギリシャ訛りの英語を話すように、単に彼自身を表現する方法なんだよね。
とはいえ、課題もある。メタルのヘヴィなサウンドに管楽器を取り入れるには、慎重な作曲と制作が必要だ。管楽器のメロディーを輝かせるために、音響的にもハーモニー的にもスペースを作らなければならない。でもこのふたつの融合によって、真に際立つ音楽を作り上げることができるんだ。

Q5: Your music shows progressive metal influences like Pain of Salvation and Meshuggah, as well as alternative heavy rock influences like Queens of the Stone Age, and this diversity makes the album a richer piece of work, would you agree?

【KORNILIOS】: Our sound emerges naturally from our love for diverse musical cultures. We don’t start with the intent to follow specific genres or influences; rather, we let our passion for different styles guide us organically. Connections to bands like Pain of Salvation, Meshuggah, or Queens of the Stone Age aren’t deliberate; they’re an authentic reflection of who we are and the music we’ve absorbed throughout our lives.
At the heart of our music is the need to experiment. We enjoy blending seemingly contrasting elements that, despite their differences, can harmonize and create a rich sound. Our goal is to produce music with depth, soul, and authenticity that speaks directly to the listener. We believe that when a listener experiences something created with honesty and passion, it’s felt and forms a strong connection.
Our music is deeply rooted, with a strong influence from both traditional and modern elements, while remaining contemporary. We see the diversity of our influences not as a limitation but as our strength, enabling us to create works that are rich and varied.

Q5: あなたの音楽には、PAIN OF SALVATION や MESHUGGAH のようなプログレッシブ・メタルや、QUEENS OF THE STONE AGE のようなオルタナティヴ・ヘヴィ・ロックの影響が見られますが、この多様な影響がアルバムをより豊かな作品にしていますよね?

【KORNILIOS】: 僕たちのサウンドは、多様な音楽文化への愛情から自然に生まれてくるものだからね。特定のジャンルや影響を追いかけようという意図で始めるのではなく、さまざまなスタイルへの情熱に任せて、有機的に導いていくのが肝なんだ。君が挙げたようなバンドとのつながりは、意図的なものではなく、僕たち自身と、僕たちが人生を通して吸収してきた音楽の正真正銘の反映なんだよ。
僕たちの音楽の根底にあるのは、実験する必要性だ。僕たちは、一見対照的に見える要素が、その違いにもかかわらず調和し、豊かなサウンドを生み出すことを楽しんでいる。そして僕たちのゴールは、リスナーに直接語りかけるような、深みと魂と信憑性のある音楽を生み出すことなんだ。リスナーが正直さと情熱をもって創られたものを体験するとき、それは心に訴えかけ、強いつながりを形成すると信じているからね。
僕たちの音楽は、伝統的な要素と現代的な要素の両方から強い影響を受けていて、両方に深く根ざしている。それでいてコンテンポラリー。僕たちは、影響を受けている多様性を制限としてではなく、強みとしてとらえているからこそ、豊かで変化に富んだ作品を創り出すことを可能にしているんだ。

Q6: More importantly, your music probably incorporates traditional Greek music. Is traditional Greek music still an important part of your music?

【KORNILIOS】: Since the beginning, King Garcia has operated in a very organic way when it comes to composition. When we’re in the same space, we simply play music without planning in advance and let the elements emerge naturally. Each member brings their own musical roots to the table, and traditional Greek music often plays an important role. At the same time, we strive to create a common musical “dialogue,” connecting and understanding each other’s language. Traditional Greek music is an integral part of our identity and enters our music not as something intentional but as a natural continuation of who we are.
Through this organic method of expression, traditional Greek influences are seamlessly woven into our style, highlighting the richness and uniqueness of our sound. Our respect for our musical heritage doesn’t limit our creativity; instead, it enhances it, giving our work a depth that resonates directly with the audience.

Q6: さらに重要なのは、あなたの音楽にはおそらくギリシャの伝統音楽が取り入れられているということですよ。ギリシャの伝統音楽はあなたの音楽の重要な一部なんですね?

【KORNILIOS】: 作曲に関しては、当初から KING GARCIA は非常に有機的な方法で活動してきた。同じ空間にいるときは、事前に計画を立てることなく、ただ音楽を演奏し、自然に要素が浮かび上がるようにする。メンバーそれぞれが自分の音楽的ルーツを持ち寄り、だからこそギリシャの伝統音楽が重要な役割を果たすことも多いんだ。
同時に、僕たちは共通の音楽的 “対話” を生み出し、互いの言語をつなぎ、理解し合うよう努めている。ギリシャの伝統音楽は、僕たちのアイデンティティの不可欠な一部であり、意図的なものとしてではなく、自分たちらしさを自然に継承するものとして音楽に入ってくる。
この有機的な表現方法を通して、伝統的なギリシャ音楽の影響が僕たちのスタイルにシームレスに織り込まれ、KING GARCIA のサウンドの豊かさと独自性を際立たせている。僕たちの音楽的伝統への敬意は、創造性を制限するものではなく、むしろそれを高め、僕たちの作品に聴衆と直接共鳴する深みを与えているんだよ。

Q7: There are no words on the album, but we can guess from the title and artwork that it is about the pied piper of Hamelin. What kind of message did you want to convey?

【KORNILIOS】: “Hamelin” was one of the last tracks we wrote for this album, and it became such a pivotal part of our sound that we decided to name the album after it. The lore behind the Pied Piper myth is dark and mysterious, offering multiple interpretations. It tells the story of a musician who helps a community rid itself of problems, only for its leaders to punish and mock him. The revenge he takes―using music to lure their children away to an unknown land―is a powerful symbolic act.
This German legend can be applied to many contexts, both social and political. Artists have always been treated as outcasts, as people on the fringe. Yet art has the power to move the world, but also to stop it. It can save and destroy, unite and divide. The key message is that the use―or misuse―of power is what separates the savior from the tyrant. Through music and art, we aim to highlight these contrasts while leaving space for listeners to discover their own interpretation.

Q7: アルバムに歌詞はありませんが、タイトルとアートワークから推測するに、ハーメルンの笛吹き男の話がテーマのようです。どのようなメッセージを伝えたかったのですか?

【KORNILIOS】: “Hamelin” は、このアルバムのために書いた最後の曲のひとつで、僕たちのサウンドの重要な一部となったから、アルバム名にこの曲を冠することにした。笛吹き男の神話にまつわる伝承は暗く神秘的で、さまざまな解釈ができる。この神話は、ある音楽家が地域社会の問題を解決する手助けをしたところ、その指導者たちが彼を罰し、あざ笑うという物語だよね。そして音楽家の復讐は、音楽を使って指導者の土地の子供たちを未知の土地に誘い出すという方法で行われた。強力な象徴的行為だといえる。
このドイツの伝説は、社会的にも政治的にも、多くの文脈に適用できる。芸術家は常に、はみ出し者、フリンジ (奇抜な狂信者、過激派) として扱われてきた。しかし、芸術には世界を動かす力があると同時に、世界を止めてしまう力もあるんだ。救うことも破壊することも、団結させることも分断させることもできる。重要なメッセージは、権力の使い方で、あるいは行使の誤りこそが、救世主と暴君を分けるということだ。僕たちは音楽とアートを通して、リスナーが自分なりの解釈を発見できる余地を残しながら、これらのコントラストを浮き彫りにすることを目指しているよ。

Q8: Dream Theater and Gojira began to win Grammy awards. In an age when listeners’ attention spans are so short and instant content is so easily consumed, why is music that is complex, long, and requires practice beginning to be reevaluated?

【KORNILIOS】: In an age where fragmented attention due to online addiction affects virtually everyone, anything lasting more than five seconds is now seen as a risk. However, there are still small pockets of time in everyday life where this distraction cannot intrude. These are the moments when complex and demanding music finds its space to shine. “Hamelin” was crafted to be a companion for someone on the move―someone transitioning from one destination to another, or even for someone searching without knowing where they’ll end up.
We believe that complexity and length can provide a deeper experience, allowing listeners to “get lost” in the music and explore it on a richer level. Perhaps this reevaluation is tied to the desire for something more genuine, something that demands the listener’s full attention and engagement. Such music becomes a kind of sanctuary from the superficial and rapid consumption of content.

Q8: DREAM THEATER や GOJIRA がグラミー賞を受賞しました。リスナーのアテンション・スパンが短く、インスタントなコンテンツが簡単に消費されてしまう時代に、複雑で長く、練習を必要とするプログレッシブな音楽が再評価され始めているのはなぜでしょうか?

【KORNILIOS】: オンライン中毒による注意力の分断が事実上すべての人に影響を及ぼしている時代において、5秒以上続くものは今やリスクとみなされている。しかし、日常生活の中には、このような注意散漫が侵入できないわずかな時間がまだ残されているんだ。複雑で要求の多い音楽が輝きを放つのは、こうした瞬間なんだよ。”Hamelin” は、どこかへ向かおうとする人、つまり目的地から別の目的地へ移動する人、あるいは行き着く先がわからずに探している人に寄り添うように作られている。
僕たちは、複雑さと長さがより深い体験を提供し、リスナーが音楽に “迷い込み” 、より豊かなレベルで探求できるようになると信じている。おそらくこの再評価は、より本物のもの、聴き手の全注意と関与を要求するものを求める欲求と結びついている。プログレッシブな音楽は、表面的で急速なコンテンツ消費からの一種の聖域となっているんだ。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED KORNILIOS’S LIFE!!

King Crimson “Red”

A groundbreaking album that laid the foundation for progressive rock, full of intensity and incredible musical skill.

Bauhaus “The Sky’s Gone Out”

A masterpiece capturing the essence of gothic rock with a dark and atmospheric approach.

Pantera “The Great Southern Trendkill”

An ode to the power and aggression of metal, breaking all boundaries.

Korn “Untouchables”

An innovative album that brought new dimensions to nu-metal.

Textures “Drawing Circles”

A gem in the realm of progressive metalcore, showcasing how powerful complexity in music can be.

MESSAGE FOR JAPAN

Yes, Japanese culture is truly fascinating and serves as a source of inspiration for us due to its diversity and creativity. Personally, I greatly enjoy Japanese bands like Maximum the Hormone, Band Maid, Silent Siren, Gacharic Spin, and, of course, music from the anime K-on. These bands and their music beautifully bridge tradition with modern culture, offering something unique and captivating.
We would absolutely love to visit Japan and experience your culture firsthand, as well as feel the energy of your country. It’s a dream of ours to connect with people who are as passionate about music as we are. Thank you for your support, and we hope to see you soon!
ありがとうございました (Arigatou gozaimasu)!

日本の文化は実に魅力的で、その多様性と創造性から私たちのインスピレーションの源となっている。個人的には、Maximum the Hormone, Band Maid, Silent Siren, Gacharic Spin、そしてもちろんアニメ “けいおん” の音楽など、日本のバンドを大いに楽しんでいるよ。日本のバンドとその音楽は、伝統と現代文化を見事に橋渡しし、ユニークで魅力的なものを提供してくれている。
僕たちはぜひ日本を訪れ、日本文化を直接体験し、日本の国のエネルギーを感じたいと思っているんだ。僕たちと同じように音楽に情熱を持っている人たちとつながることは、夢だからね。応援ありがとう!すぐに会おう!ありがとうございました!

KORNILIOS KIRIAKIDIS

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