NEVERMORE REUNION 2025 “A NEW CHAPTER RISES”


NEVERMORE REUNION 2025 “A NEW CHAPTER RISES”

RESURRECTION THE DREAM

特大のお年玉。NEVERMORE が2025年に復活することを発表しました。ギタリストの Jeff Loomis とドラマーの Van Williams は、”Resurrecting The Dream(夢の復活)” と “A New Chapter Rises(新たな章の幕開け)” というフレーズを使用したティーザーを彼らの SNS ページで発表したのです。
「僕は自分たちを何かのカテゴリーに分類したことはないんだ。パワー・メタル、プログ・メタルと呼ぶかどうかもわからない。ただ、僕らの頭から飛び出したものだと思う。僕たちは、できる限りオリジナリティを出そうとしているだけなんだ。僕らがオリジナルに見えるという点では、多くの人を納得させることができると思う。普通のメタルバンドとはかなり違うサウンドだと思う- Jeff Loomis」
NEVERMORE は、プログレッシヴ・メタル界で最もユニークで前衛的でエモーショナルなバンドのひとつでした。1990年代初頭、シアトルのスラッシュ・ムーブメント、その灰の中から生まれた彼らはプログ・メタル、スラッシュ、陰鬱でアトモスフェリックな楽曲とメロディを融合させることでその個性を確立し、テクニカルな芸術性、深遠な歌詞、激しく感情を揺さぶる送葬の音楽でたちまち評判を確立しました。伝説的な両巨頭、Warrel Dane と Jeff Loomis のもと、バンドは新たなメタルの道を切り開き、後の世代にインスピレーションを与え、永遠の遺産を残したのです。
「確かに私たちは、今流行っているものを演奏しているわけではない。NEVERMORE の音楽はメロディックなエッジを持ったヘヴィ・メタルで、それこそが私たちが常に夢中になってきたものなんだ。多くのバンドが売れっ子になって、流行に乗っかっている。成功している大物バンドほど、軟化し、より受け入れられるようになっているように思えるし、自分たちが始めたときに信じていたこと全てに逆らっている。彼らは、自分たちがなりたくなかったものになってしまった。
だからメタルは停滞した。これからは、より多くのバンドが、自分たちのジャンルの中で、周りで起こっていることよりももっと独創的なサウンドで、違うことをしていくと思う-Warrel Dane」

NEVERMORE のルーツは、Warrel をリード・ヴォーカルに、Jim Sheppard をベースに迎えた1980年代後半のスラッシュ・バンド SANCTUARY に遡ります。SANCTUARY は、MEGADETH の Dave Mustaine がプロデュースした1988年のデビュー作 “Refuge Denied” でなかなかの成功を収めます。しかし、90年代初頭、グランジの台頭により、彼らのスラッシュ・メタル・スタイルはレコード会社から不評を買い、バンド内部も緊張状態に陥ることに。1992年に解散に至りました。
「僕はスウェーデンのバンドに夢中なんだ。特に MESHUGGAH!オフタイムのものとポリリズムが大好きなんだ。それ以外は、70年代の音楽、ジャズ、クラシック…… 16歳のときに MEGADETH のオーディションに挑戦したんだ。皮肉なもんだよ。彼らのような過激なバンドに入るには若すぎるけど、がんばればキラー・プレイヤーになれると丁寧に言われたんだ-Jeff Loomis」
Warrel と Jim はそれでも共に音楽を創り続けたいと考え、まだ10代だったギターの新星 Jeff Loomis と手を組み、メタルの限界に挑戦する新しいバンドを結成したのです。それが NEVERMORE でした。プログ・メタルの複雑さと実験性、スラッシュの激しさ、そして Warrel の送葬の旋律を融合させたサウンドを生み出すべく、彼らはドラマーの Van Williams と共に1992年に新たな旅に出たのです。

NEVERMORE は1995年、センチュリー・メディア・レコードからセルフタイトルのデビュー・アルバムをリリース。このアルバムで彼らは、ヘヴィでグルーヴ感溢れるリフ、複雑怪奇なギターワーク、そしてデインの怪しくもオペラティックなボーカルというバンドの特徴的な組み合わせをお披露目しました。特に、”What Tomorrow Knows” や “Garden of Gray”, “C.B.F.” といった曲は、伝統的なプログ・メタルよりもヘヴィでダークでありながら、典型的なスラッシュよりもメロディアスで複雑な、バンド独自のスタイルをファンに知らしめました。
「トレンドは、私の好みからすると本当に平凡なんだ。ギターソロがある音楽の方が好きなんだ。今の時点では、それが NEVERMORE の使命かもしれないと思っている。クラシックなギター・ソロを復活させつつ、その中に現代音楽の要素を取り入れること。それをやり遂げるのに、ここに十分なギタリストがいるのは確かだ-Warrel Dane」
セカンド・アルバム “The Politics of Ecstasy” (1996年)のリリースで、彼らの音楽は新たな高みに達します。この作品で彼らは、実存主義、社会的操作、個人の自由といったテーマを、より力強く、テーマ性を重視した形で取り上げました。”Next in Line” や “The Seven Tongues of God” といった楽曲では、より凝ったソロや複雑なアレンジで Jeff の卓越したギター・スキルが開花します。後に CANNIBAL CORPSE で頭角を表すギタリスト Pat O’Brien も参加。

「とても親しかった人を亡くしたことがあったんだ。私は幸運にもその出来事を乗り越えて、前に進み、対処することができた。でも、私がここで触れたかったのは、人は時として、そのようなトラウマ的な経験を乗り越えることができず、基本的に一生を台無しにされてしまうこともあるということ。アウトプットはただそれを吐き出すための方法なんだ、ということが伝われば同じような問題を抱えた人たちの心に響いて、気持ちが楽になるかもしれない。これは奇妙な精神療法であり、私にとってはちょっとしたカタルシスなんだと思う-Warrel Dane」
そして、”Dreaming Neon Black”。1999年にリリースされたアルバムで、彼らはついに飛翔します。精神的な危機、悲しみ、喪失をテーマにした作品は、親しい友人の死のような Warrel の個人的な体験が、アルバムの陰鬱なトーンと重苦しい歌詞のインスピレーションとなり、批評家とファンの両方にアピールしたのです。”Beyond Within”, “The Death of Passion”, そしてタイトル曲 “Dreaming Neon Black” で彼らは、技術的な熟練と純粋な情熱、感情を結びつけることに成功します。しかし、ストーリーの結末は悲劇的。
「悲劇的な結末は、常に私が望んでいたことなんだ。憂鬱で暗い話だとは思うけれど、暗い題材を書く方が面白いんだ。エンディングはもっと明るいものにすべきだったと言われるけど、どうして?人生はいつもそうなるとは限らない。人生のちょっとした問題が悲劇的な結末を迎えることもある-Warrel Dane」
このアルバムは、恋人を失った男の狂気へのスパイラルを描いたストーリー。NEVERMORE が深く感情的でテーマ性のある複雑な音楽を生み出せるバンドであることを世界に知らしめました。Jeff が織りなす速度と旋律のイリュージョン、そして Warrel の不気味に印象的なストーリーテリングの脳裏は、NEVERMORE を最もアヴァンギャルドでしかしキャッチーなメタル・バンドのひとつに押し上げたのです。Jeff が振り返ります。
「まあ、間違いなく最高の作品だったよ。”Politics” とは少し違って、より歌に重点を置いた作品だと思う。かなり誇りに思っているよ。一番好きなのは、 “Deconstruction” で Tim のソロの前にやったフラメンコ・ギターだね。あれは本当にクールだった。あれは自然発生的なものだった。あの曲にいい色を加えてくれたと思う。”No More Will” のソロもそうだ。いろいろなタイム・チェンジがあるんだ。本当にクールだよ-Warrel Dane」

2000年の “Dead Heart in a Dead World” で彼らは新機軸を打ち出しました。をリリースした。7弦ギターの使用によって、より複雑な曲構成とメロディックな深み、劇場型の低音を追求し続けたこのアルバムは、彼らのスタイルに大きな変化をもたらしました。特に、The River Dragon Has Come”, “Narcosynthesis”, “We Disintegrate” など、複雑なリズム、高らかに歌い上げるヴォーカル、変化に富んだリフを含む曲では、Jeff の卓越したギター・ワークが主役の座を得たのです。
「”Dreaming Neon Black 2″ を作るのは簡単だったし、多くの人がそれを期待していたのかもしれない。でも、Chuck Schuldiner の不朽の名言を借りれば、 “人々は予想外のことを期待すべきだ” ということ。このバンドでは、人々が期待するようなことは決してしない。私たちは常に前へ進もうとしているし、レコードを出すたびに少し違ったものを作ろうと自分たちを駆り立てている。安全策を取ることもできたが、それのどこが楽しいんだ?安全策を取ることに楽しみはないと思う。メタルが境界線を本当に広げるべきなのであれば、安全策を取ることは正しいアプローチではないと思う」
このアルバムはさらに広く称賛を浴び、NEVERMORE を世界のメタル・シーンにおける脇役から主役へと引き上げました。同時に、実存的な恐怖、社会の腐敗、内面の混乱といった暗いテーマの探求は、リスナーの共感を呼び心を打ちました。実際、”Dead Heart in a Dead World” は、しばしば史上最高のプログレッシブ・メタル・アルバムのひとつとして挙げられ、プログ・パワーというジャンルを確立し、無数のバンドやミュージシャンに影響を与えたのです。
「この世界にいると、誰もが常に何かを与えようとしているし、人々は常にいろいろなクソを手渡してくる。酒やドラッグ。そしてシラフになると、現実それ自体が大きなドラッグになるんだ。”Enemies of Reality” にこんな歌詞がある。”現実ほど大きな麻薬はない”。これは麻薬中毒のときに書いたんだけど、皮肉なもんだね。他にも知ってる?私はいつもショーの前に少しの酒に頼っていたんだけど、ショー中に完全にシラフで歌っていると、ずっと歌がうまくなることがわかった。私は、バンドの他のメンバーもそうであるように、完全にめちゃくちゃな酔っ払いだった。でもこれまで散々飲んできたから、もし私が止めなかったら、これから生まれてくる若い子たちは何も飲めなくなる。だから今、誰かからウォッカのボトルを渡されるたびに、CHILDREN OF BODOM に渡しているんだ (笑)-Warrel Dane」

2003年の “Enemies of Reality” は怒りのアルバム。アルバム・ジャケットに描かれているミミズは、タイトル曲 “Enemies of Reality” の歌詞を直接引用したもので、Warrel は “大きく口を開いて敵のミミズを食べよう” と歌っています。NEVERMORE のメンバーにとって個人的にも仕事上でも激動の時期に書かれ、レコーディングされた作品で、Warrel は、このアルバムのサウンドはバンド・メンバーがこの時期に直面した試練が反映されたと語っていました。
「”Enemies Of Reality” は作るのがクソ難しいアルバムだった。私たちはみんな本当にクソ怒りっぽい人間で、それがこのアルバムに表れていると思う」
CDブックレットの最後のページには、DEATH の亡きフロントマン Chuck Schuldiner に捧げる言葉が書かれています。 “このレコードはチャックに捧げる。メタルは永遠へと流れるだろう…”。
「実は Chuck から “Control Denied” のアルバムで歌ってほしいと頼まれたんだ。でも、私は NEVERMORE に忠誠を誓っているからね。当時はとても忙しかったし…。彼はすべてのデモと歌詞を送ってくれた。ああ、もちろんやりたかったさ。でも残念ながら、結局は時間がなかったんだ。もし過去に戻って何か違うことができるとしたら、あのレコードで歌いたいね-Warrel Dane」
トラック “Noumenon” は、物事がどのように見えるかという現象の概念と比較して、物事が実際に存在するという哲学的概念にちなんで名付けられました。この言葉はイマヌエル・カントによって広められ、カントは超越論的観念論の哲学を説明するためにこの言葉を使ったのです。

「メディアは世界を支配している。テレビで見たことをすべて信じるのか?なぜなら、そのほとんどは真実ではないからだ。特に、私たちが大きな国家に向かい始めていることが気になる。ヨーロッパにはこのようなものがたくさんあるし、アメリカのある都市では実施され始めている。いたるところにCCTVカメラが設置され、スピード違反をした車の写真が郵便で送られてくる。時間とともにエスカレートしていくだろう。それが唯一の論理的な結論であり、クソ危険なことだ。個人の自由が徐々に奪われていき、人々は手遅れになるまでそれに気づかないのだから-Warrel Dane」
2005年にリリースされた “This Godless Endeavour” を彼らの最高傑作に推すファンはすくなくありません。この作品は明らかにもうひとつの重要なアルバムであり、NEVERMORE の勢いをさらに加速させました。名人アンディ・スニープがプロデュースしたこのアルバムは、複雑なアレンジメントと哲学的なテーマが組み合わされ、テクニックに宇宙的な奥深さがくわわりました。”Born”, “Final Product”, そして壮大なタイトル曲 “This Godless Endeavour” など、破壊的な激しさと内省的で示唆に富んだ歌詞の組み合わせで、彼らはバンドとしての成熟を示したのです。
「Andy Sneap はある意味、NEVERMORE の6人目のメンバーと言っていい。彼はいつも、バンドがレコードに求めているサウンドを最終ミックスで出すことができる。彼は NEVERMORE サウンドに必要なセパレーションを得ることができるんだ。僕は7弦ギターを弾くんだけど、とても低くて泥臭い音だから、彼の作り出すセパレーションは本当に素晴らしくて、僕らのサウンド全体にとって極めて重要だ。一度こんな素晴らしい人と仕事をしたら、他のところに行くのは難しいよ。彼は最高のメタル・プロデューサーのひとりだ-Jeff Loomis」

テーマはまさに今日本で話題となっている “オールドメディア”、そして権力によって個人のアイデンティティが失われる恐怖。そして、そのアイデンティティの喪失、私たちが生きるシステム、人生の意味、世界のさまざまな地域でさまざまな宗教によって引き起こされた紛争など、すべての問題と神の関係性を問います。
“Sentient 6″ の途中で、”私は終焉をもたらす者、恐れよ、私はテクノロジーという獣だ” というメッセージが逆再生されます。”センティエント6 “とは、人類を絶滅させるためにプログラムされたロボットやアンドロイドのこと。つまり、彼らは AI の時代も先取りしていました。感情や魂を持っている人類を羨む機械。内容は逆説的で、機械の視点から歌詞は書かれました。
そうしてこのアルバムは、比類なき音楽性、心を揺さぶる詩的な歌詞、プログレッシブで驚異的にヘヴィなサウンドなど、NEVERMORE のすべてを象徴するものとなり、バンドにとって決定的なステートメントとなったのです。VICIOUS RUMORS でならしたSteve Smyth の参加もバンドの音楽にアクセントを加えました。
「私たち4人はとても気難しい性格なんだけど、みんな彼ととても仲良くなった。彼はバンドの大ファンでね。曲作りを始めたとき、彼は新曲を出してきたんだけど、最初に驚いたのは、彼が提供してくる曲がとても NEVERMORE に似ていることだった。Jeff が書きそうな曲だった。私にとってはそれが決め手になった-Warrel Dane」
“This Godless Endeavour” が成功を収めた後も NEVERMORE は幅広く活動を続けましたが、ここにきて内部対立が表面化し始めます。”The Obsidian Conspiracy” は、2010年にリリースされたバンドの7枚目にして今のところ最後のスタジオ・アルバム。このアルバムは、”Without Morals” や “The Day You Built the Wall” のような素晴らしい曲があるにもかかわらず、他の作品ほど高くは評価されませんでした。一部のファンや批評家は、バンドのダイナミクスやサウンドに変化を感じたのかもしれませんね。とはいえ、タイトル・トラックのギターは圧巻の一言。

「”Godless Endeavor II” を簡単に作ることもできたけど、アーティストとしては常に何か違うことをやりたいと思うものだ。特に NEVERMORE では、これまでリリースしたアルバムはどれも違うものだった。でも、そうだね、ちょっとクレイジーだった。どのようなアプローチを取りたいのかよくわからなかったし、2009年は正直なところ、”もういいや” と思って、スタジオに座って、自分の中から出てくるものを何でも書いたんだ。心から魂を込めて演奏し、出てきたものをそのままレコーディングしたんだ。それが “The Obsidian Conspiracy” になったんだ-Jeff Loomis」
時を同じくして、個人的・芸術的意見の相違により、Jeff Loomis と Van Williams がリリース直後にバンドを脱退。こうして NEVERMORE は活動休止に入りました。再結成の可能性や新曲について話し合いがもたれたものの、バンドが正式に再結成することは2025年までなかったのです。
ブラジルで2枚目のソロ・アルバムに取り組んでいた Warrel Dane は、2017年12月13日に心臓発作で56歳の若さで悲劇的に亡くなりました。メタル世界で最も識別しやすいその声は、オペラのような音域と感情の激しさ、そして祈りと痛みを兼ね備えていたのです。
2014年、Jeff Loomis は ARCH ENEMY に加入していました。Warrel の死によって、NEVERMORE 再結成の芽は永遠に潰えたかのように思えたのです。しかし、奇跡は起こりました。NEVERMORE の物語はまだ終焉を迎えてはいなかったのです。

「QUEENSRYCHE と自分たちの間にある類似点は、出身地が同じことにも起因するのだろう。Jeff がデスメタルのバックグラウンドを持っていて、私たち全員が常に様々なスタイルの音楽を聴いているという事実が、その多くを生み出していると思う。私は1つのスタイルの音楽だけを聴いているわけではない。デスメタルもブラックメタルもたくさん聴く。皮肉なことに、あまり興味がないのは最近のパワー・メタルだ。すべてがハッピーすぎると思う。ヘヴィ・メタルはハッピーであるべきだとは思わない!ダークであるべきだ!Tony Iommi が “Black Sabbath” のリフを書いたとき、彼はこのような大きなものになるとは思ってもみなかっただろうね。たぶん彼に電話して、この音楽形態が生んだ1万もの HELLOWEEN のクローンについてどう思うかと聞いたら、吐き気を催すだろうね-Warrel Dane」
誰がボーカルを務めるにせよ、Warrel との比較はさけることができないでしょう。しかし、そこに NEVERMORE の芸術的、技術的、感情的な DNA が受け継がれている限り、きっと彼らはまた世界を驚かせてくれるはずです。
「NEVERMORE は死んでいない。秘密の計画があるんだ。Jeff と Van がバンドを脱退すると決めたとき……バンドは解散しなかった。彼らはバンドを去ったんだ。私は次のアルバムのために歌詞を書いた。それはコンセプチュアルなもので、NEVERMORE のすべての歌詞が進化し、永遠の物語になっていくという伝統を引き継ぐものだった。そして、次の(アルバムが)出る可能性もある。でも、Jeff がいないとやらないよ。我々は敵同士じゃないからね。絶対に敵じゃない。仲が悪いわけでもないし……そのうちわかるよ」


参考文献: BRAVEWORDS:NEVERMORE REMEMBERED IN DREAMING NEON BLACK INTERVIEW

METAL SUCKS: LESS IS NEVERMORE

CHRONICLE OF CHAOS: NEVERMORE INTERVIEW 2005

GUITAR WORLD: NEVERMORE WHAT DOESN’T KILL

Van と Jeff からのオープンレター。
NEVERMORE のティーザーは、多くの肯定的な意見と、予想された否定的な意見を呼び起こした。私(Van )はまず否定的な意見に対処させてほしい。
ベーシストの Jim を巻き込まず、私たちの計画を知らせないのは失礼だと考える人もいる。でも、そう感じる人たちは、このバンドの歴史やこの決断に至った舞台裏の力関係を知らないんだ。最も理想的な方法ではなかったかもしれないが、現実には彼とのコミュニケーションは何年もなかった。
私たちは、新たなスタートのためには、もはや成長や新たな出発につながらないかもしれない関係から離れることも時には必要だと感じた。 私たちは、バンドのレガシーを尊重しながら、その時の私たちにとって正しいと思える方法で前進するつもりで、この決断を下したんだ。
とはいえ、私たちは彼の健康を祈っているし、彼がどんな道を選ぼうと自由だ。あまり詳しく説明するのはやめておくが、リスペクトは双方向のものであり、ある種のことは私たちにとって時間の経過とともに和解できないものとなった。私の人生の現時点では、これ以上説明する必要はないと思っているので、好きなように解釈してほしい。
なぜNEVERMOREを再結成するのかというと、単純な話、このバンドはずっと私の夢だったからだ。一緒にバンドをやる仲間を見つけて、世界中を旅しながら音楽を作ること。オーディションから加入が決まった瞬間まで、音楽、芸術、創造性、冒険、楽しみ、仲間意識の渦だった。
何年もの間、私たちは一緒に素晴らしい音楽と素晴らしい思い出を作った。しかし、時が経つにつれ、物事は制御不能になり、信頼、尊敬、そしてその喜びが消え始めた。
最終的な分岐点は、SYMPHONY Xとのヨーロッパ・ツアーの最後に訪れた。何年もかけて自分たちで最高のバンドを作り上げてきたのに、それを修正するために同じページに立つことができなかった。Jeff と私、そして Warrel と Jim は別の道を歩んだ。和解はなかった。Warrel はブラジルに行き、Jim はアラスカに引退し、連絡を取らないまま何年も過ぎた。
この間、妻が卵巣がんと診断され、私の私生活は壊滅的な状況に陥った。私たちは幼い息子のために平穏な日々を送れるようあらゆる手を尽くし、妻が快適に過ごせるよう最善を尽くした。
Warrel は時折ブラジルから電話をかけてきて、その際に優しい言葉を交わしたが、過去を消し去ることはできなかったし、ある種のことは変わっていないと言える。でと彼は2020年に他界してしまった。その喪失感は私と息子に大きな衝撃を与えた。私自身は、本当のことを言えば、昏睡状態から覚め始めたところだと感じていて、神に感謝しながら、ようやく光が見えてきたような感じだ。
暗黒の日々を乗り越え、私と家族を助けてくれた家族、親しい友人、そしてファンへの感謝の気持ちは、言葉では表せないだろう。辛い時期を乗り越えさせてくれて、本当にありがとう。
そんな中でも Jeff はいつも私の強力なサポーターであり続け、私たちの絆は深まった。時が経つにつれ、私たちは共に創作し、演奏する喜びを懐かしむようになった。NEVERMORE はその喜びの大きな一部であり、私はそれを非常に誇りに思っている。
これを “金目当て “だと言う人たちには、同意しかねる。ほとんどのミュージシャンは、お金のためにやっているわけではない。ただ好きだから、汗を流し、リハーサルをし、演奏し、レコーディングしてきた。これが私たちが人生で選んだことなんだ。音楽への情熱、ファンとのつながり、創造的なプロセス、それが私たちを突き動かしている。もしそこからお金が生まれるなら、それは素晴らしいことだけど、それが焦点になったことは一度もない。
Jeff と私は、Warrel と Jim がバンドにもたらしたものを尊重しつつ、新しい章を築く手助けをしてくれるミュージシャンを見つけることで、NEVERMORE の遺産を尊重したいと考えている。Warrel の代わりを探すことではない。それは誰にもできないことなんだ。しかし、彼の作品に敬意を払いつつ、新しいことに貢献できる人を見つけたい。私たちは、ファンが集まり、音楽を祝福し、あの素晴らしい歌詞を再び歌うチャンスを与えたい。そして願わくば、クラシックと肩を並べるような新しい音楽を作りたい。
Jim の状況が違っていればよかったのだが、過去が私たちをここまで連れてきてしまった。私自身はポジティブさとポジティブな人々に焦点を当てており、過去のネガティブな感情に絡め取られることは拒否するつもりだ。Jeff と私が適切なヴォーカリストとベーシスト、つまり遺産を尊重し、私たちとともに前進したいと思うミュージシャンを見つけることができれば、この新しい章は、私たちとともに来ることを選んだすべての人にとって、本当に特別なものになるだろう。これはカヴァー・バンドでもトリビュート・バンドでもなく、NEVERMORE と呼ばれるバンドの旗を掲げ、それを受け継いでいくことを決意したバンドの次の進化・章になるんだ。
またみんなに会えるのを楽しみにしているよ。
Van Williams

Van の発言に同意するよ。NEVERMORE の過去の歴史には、明らかに多くの浮き沈みがあった。Van と共にバンドの新たなレベルへと聖火を運びながら、良いことだけを覚えていたい。
私の心はいつも音楽、ツアー、パフォーマンスのためにある。この10~11年間、他のミュージシャンと一緒に演奏して素晴らしい時間を過ごしてきたけど、NEVERMORE は、僕がこれまでしてきたこと、そして創り上げてきた最高の音楽への個人的な入り口であり、これからもずっとそうあり続けるだろう。
誰も Warrel Dane の代わりにはなれない。それが結論。彼の興味深いメロディーとステージ上でのカリスマ性で、彼は詩的にも精神的にもバンドの大きな部分を占める力だった。だから彼のクローンを探しているわけではない。
私たちは、彼のヴォーカル・スタイルで古い NEVERMORE の曲を歌いこなせる人、そしてバンドの次の章に何か新しく新鮮なものを加えられる人を探しているんだ。明らかに、これは最も簡単なことではないだろう。
以上のことから、私たちは2人の並外れたミュージシャンを求めてWORLD SEARCHを行うよ。1人はメイン・リード・ヴォーカリスト、もう1人はベース奏者で、私たちの遺産を受け継いでくれる人。その後、2人目のギタリストのポジションも埋まりましたが、それについてはまた後日、別の更新で!
Jeff Loomis

ヴォーカリストのオーディション
NEVERMORE は激しい感情的共鳴で知られており、それは明らかに Warrel のユニークなヴォーカル・ダイナミクスによってもたらされている。私たちは、幅広いトーンとエモーションを巧みかつ真正に表現できるヴォーカリストを探している。
ダイナミック・レンジ: 高音と響く低音を歌い分けることができ、曲の要求に応じて力強さと弱さをブレンドできる。
表現の深さ: 技術的なスキルだけでなく、NEVERMORE の音楽の特徴である生の感情や心を揺さぶるテーマを取り入れることができる人を求めている。
ステージでの存在感: 観客との協調性があり、ライブで音楽の激しさを体現できる人を求めています。
ベーシスト・オーディション
私たちは、NEVERMORE のアレンジメントに深みと推進力を生み出す方法を理解している、揺るぎないプレーヤーを探しています。正確さ、グルーヴ、そしてヴァンとタイトにロック・インする能力があれば大歓迎です。もしあなたがバッキング
ヴォーカルができれば、それも素晴らしい。リズムセクションをタイトにキープできる人、それが私たちが求めるすべてです。
両方の役割に求めるもの
前向きな姿勢…バンドのダイナミズムに良いエネルギーをもたらしてくれる人を求めています。
集中力、プロ意識、音楽への敬意を保てる人を求めています。信頼でき、準備ができ、仕事熱心な人。
現在有効なパスポートを所持し、世界各地へのツアーに積極的に参加できる人。創造的に協力し合い、お互いをサポートし合い、ステージの上でも外でも誠実さをもってネヴァーモアを代表する意欲のある人。
オーディション方法
ボーカリスト: アルバム “This Godless Endeavor”から “Born” と “Sentient 6” を歌ったビデオを提出してください。好きなだけ歌ってください。全曲を歌わない場合は、少なくとも全節を歌ってください。少なくとも、それぞれの曲の全節とコーラスを歌ってください。また、あなたの経歴、影響を受けたこと、あなたがバンドにもたらすことができることについて、簡単な自己紹介を添えてください。あなたの可能性を最大限に発揮してください。
ベーシスト: “Enemies of Reality” と “Inside Four Walls” を、タイトさ、テクニック、フィーリングに焦点を当て、立ったまま演奏してください。
オーディションのYouTubeリンクを officialnevermoreinfo@gmail.com まで送ってください。
あなたからの連絡をとても楽しみにしています。世界中のファンの皆さん、本当にありがとうございます。素晴らしい2025年に乾杯!

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【BEDSORE : DREAMING THE STRIFE OF LOVE】 CHRISTMAS SPECIAL 24′


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH BEDSORE !!

“There’s So Much Metal In Emerson Lake, & Palmer―What Could Be More Metal Than Karn Evil 9? “

DISC REVIEW “DREAMING THE STRIFE OF LOVE”

「”Karn Evil 9″ 以上にメタルなものがあるだろうか?そして H.R. ギーガーによるジャケット・アートも!組曲タルカスはなぜ、実際にはメタルでないのに、どうしてあんなにヘヴィで重厚に聴こえるのだろう?通常のメタルの定型に従った要素でなくても、何かが迫ってくるような雰囲気感を出すことができるんだ!」
YES, PINK FLOYD, KING CRIMSON, それに RUSH といったプログレッシブ・ロックから影響を受けたメタル・バンドは少なくありません。プログ・メタルという “プログレ” の系譜を受け継ぐジャンル以外でも、メタルはプログの恩恵を常に受けてきました。ただし、メタル世界で EMERSON LAKE & PALMER の名前が挙がることは、他の偉人と比べれば明らかに少なく思えます。それは当然、メタルの花形であるギターがそこにほとんどなかったから。
しかし、音楽そのものを考えれば、ELPこそメタルに最も親和性があるのではないでしょうか? “Karn Evil 9” や “Tarkus” の暗がり、重厚さ、そして圧倒的な迫力はまさにヘヴィ・メタルが目指す場所。一方で、”The Endless Enigma” や “Pirates” で見せた壮大なキャッチーさもまた、メタルが育んできたジャンルの魂。BEDSORE は、ELP と70年代のプログ、ダーク・メタル、そして母国イタリアへ “心からの愛を込めたファンファーレ” を贈るメタルの新鋭です。
「1970年代にはジャズ、フォーク・ロック、クラシック音楽が融合していたプログレッシブという考え方が、20世紀後半におけるこのジャンルの進化を通じて、半世紀後にエクストリーム・メタルと自然に融合するようになるとは誰が想像できただろうか。しかも、それは可能な限り有機的な方法で起こった。それこそが、僕らがプログが死なないと言った素晴らしい証明なんだよ」
OPETH が、BLOOD INCANTATION が、そして BEDSORE がメタルとプログを自然に融合させた事実こそ、”プログレ” が死なない理由。プログレが今も “プログレッシブ” である証明。そう彼らは信じています。彼らが願うのは、伝統と未来の有機的な融合。実際、その機運は BLOOD INCANTATION の大成功により、完璧に満ちました。
ただし、BEDSORE が OPETH や BLOOD INCANTATION と異なるのは彼らがイタリアの血を継いているところ。”プログレ大国” で彼らが養ったのは、LE ORME や PFM, BANCO に宿った音楽的な複雑さと感情表現を融合させる能力。創造的な自由、意志と思考の深さ。DEATH SS や DEVIL DOLL, GOBLIN のホラー。そして、イタリア語を駆使したルネサンスの精神とテーマ。
「僕たちは、テクニックのためのテクニカルな名人芸はあまり好きではない。僕たちはテクニックを “使って” 音楽を考え、構成し、アレンジする人を好むんだ。なぜなら、それが唯一才能を磨く手段だから。そもそも、テクニックは筋肉で鍛えるものだと考えられていたけど、Keith Emerson と Rick Wakeman は、この考えを完全に覆した。彼らはヴィルトゥオーゾ的な楽器奏者であったけど、何よりも思慮深い作曲家であり、そのヴィルトゥオーゾ性を適度に使うことに長けていた」
BEDSORE が過去から持ち帰ったのは70年代の音楽や精神だけではありません。廃れてしまった、メタルにおけるキーボード、鍵盤の美学を彼らは今に蘇らせます。Emerson や Wakeman があの楽器に託したもの。それは決して、筋トレやオリンピック的な哲学ではなく、思慮深さと色彩、クオリティ。そのスキルは、音楽の流れ、構造、感情を導く光。そうして、メロトロンのハミングとムーグの煙はプログの “イメージ” を完璧にかき立てます。イメージの詩。プログの色彩は、想像力に無限の広がりを与え、名状しがたい情感をもたらします。それはきっと、ファシズムに屈した世界にもたらす、一筋の光。
今回弊誌では、BEDSORE にインタビューを行うことができました。「僕たちは日本文化の大ファンだ。新世紀エヴァンゲリオンや AKIRA のようなアニメ、伊藤潤二や宮崎駿の作品、北野武や三池崇史の映画は、何度も僕たちに視覚的なインスピレーションを与えてくれた。Boris、Church of Misery、Flower Travellin’ Band、Mono、Boredoms、そして最近の Funeral Moth、Minami Deutsch、”2021 Split” でコラボレーションした Mortal Incarnation などのバンドは言うまでもないよ」 YSE の “Relayer” みたいな雰囲気もありますね。かっこいい!どうぞ!!

BEDSORE “DREAMING THE STRIFE OF LOVE” : 10/10

INTERVIEW WITH BEDSORE

Q1: First of all, what kind of music did you grow up listening to?

【BEDSORE】: It’s not hard to guess that we grew up in a musically diverse world, immersed in international rock classics but especially in the Italian prog rock and singer-songwriter scenes. Alongside albums that were sometimes (passively) introduced to us, like The Dark Side of the Moon, Tarkus, and The Rise and Fall of Ziggy Stardust, there was always a piece by De André, Lucio Dalla, or PFM in the mix. For that, we are deeply grateful to our families, who educated us with a conscious and profound approach to music, embracing its wide spectrum.
The result is what you hear today, also influenced by our connection to the metal scene. which has shaped our musical mindset since we were teenagers. These artists resonate―sometimes unintentionally―in what we create even now. If not always in our “practical” music, their spirit certainly inspires us as we compose, as we strive to rediscover the essence of what we’ve always listened to.

Q1: 本誌初登場です!まずは、あなたの音楽的なバックグラウンドからお話ししていただけますか?

【BEDSORE】: 僕たちが音楽的に多様な世界で育ち、国際的なロックの古典、特にイタリアのプログやシンガー・ソングライターのシーンにどっぷり浸かっていたことは想像に難くないだろうね。”The Dark Side of the Moon”, “Tarkus”, “The Rise and Fall of Ziggy Stardust” など、時に(受動的に)紹介されたアルバムと並んで、そこにはいつも De André, Lucio Dalla, そして PFM の作品がミックスされていたんだ。音楽に対する意識的かつ深遠なアプローチで、その幅広いスペクトルを受け入れるように教育してくれた家族に深く感謝しているよ。
その結果、僕たちがティーンエイジャーの頃から音楽的な考え方を形成してきたメタル・シーンとのつながりにも影響を受けながら、今日、みんなが聴いている僕らの音楽が生まれたんだ。僕が挙げたアーティストたちは、時に意図せずとも、僕たちの創作活動に影響を及ぼしている。常に “実用的な” 音楽に反映されるわけではないにせよ、音楽の本質を再発見しようと努力する彼らの精神は、作曲をする僕たちを確実に鼓舞してくれる。

Q2: How did Bedsore come to be? Who were your heroes at the time?

【BEDSORE】: Each of us had a different starting point, but I believe our visions already aligned in part back then. For some of us, music became a necessary means of expression, a way to escape, or even to find recognition and belonging. For others, it was simply an outlet or a way to vent emotions. Many of us experienced it as personal therapy during challenging times, and I think that’s something we all have in common.
This shared perspective helped us become a united band with a clear vision, without needing to sit down and formally define our direction. We could have never imagined, back then, that we’d one day record an album like Dreaming the Strife for Love. We’re extraordinarily proud of it, especially because of the feedback we’ve received from others.
Ironically, it seems like this album has marked the fulfillment of an internal journey of growth―or at least the completion of a first cycle. Given our diverse backgrounds, it would be impossible to compile a definitive list of our musical heroes, as we’d inevitably leave someone out. However, our first heroes were undoubtedly our fathers, and they remain so in our memories. Our families, the people we meet every day, and those who face the challenges of daily life―they, too, inspire us. This is, in part, what Dreaming the Strife for Love is about.

Q2: バンド結成の経緯と当時のヒーローを教えていただけますか?

【BEDSORE】: スタート地点はそれぞれ違ったけど、当時、すでにビジョンの一部は一致していたと思う。ある者にとっては、音楽は必要な表現手段となり、逃避するための手段となり、さらには認知や帰属を見出すための手段となった。他の者にとっては、単に感情のはけ口や発散方法だった。僕たちの多くは、困難な時期に個人的なセラピーとして音楽を経験したわけだよ。
そうした経験や視点を共有することで、僕たちは、わざわざ腰を落ち着けて正式に方向性を定めるまでもなく、明確なビジョンを持った結束力のあるバンドになることができた。あの頃の僕たちは、いつか “Dreaming the Strife for Love” のようなアルバムをレコーディングするなんて想像もできなかった。特に、他の人たちからもらったフィードバックがあったからこそ、僕たちはこのアルバムを非常に誇りに思っているんだ。
皮肉なことに、このアルバムは、成長という内的な旅の成就、あるいは少なくとも最初のサイクルの完了を意味しているように思える。僕たちの多様な経歴を考えると、音楽的ヒーローをすべてリストアップすることは不可能だろう。でも、僕たちの最初のヒーローは間違いなく父親たちで、彼らは僕らの記憶の中でヒーローであり続けている。僕たちの家族、日々出会う人々、日々の困難に立ち向かう人々もまた、僕たちにインスピレーションを与えてくれる。これこそが、”愛のために闘いを夢見る” で描きたかったことなんだ。

Q3: You guys are often compared to OPETH in terms of your fusion of good old prog rock and metal. How do you feel about that comparison?

【BEDSORE】: We can’t help but feel honored! Opeth is undoubtedly a band that more than one of us loved, especially during our teenage years, and we have great respect for them. That said, they are probably one of the more distant influences on our music. In fact, we as a band rarely listened to their releases, and so make comparisons. Their approach to blending death metal with prog feels very different from ours―perhaps less Italian, in part influenced by their Scandinavian and folkloristic background. Not that this is a bad thing, but it’s a fundamental distinction: in their music, you wouldn’t hear the influences of Le Orme or Banco del Mutuo Soccorso, for example.
Our sound is deeply rooted in the cultural background of our country instead. Even the kind of metal that defines us seems to come from a different lineage. Opeth tends to lean towards a death-doom style that’s often more technical and closely tied to the progressive metal they helped pioneer, treated with a sonically modern aesthetic influenced by the 2000s. In contrast, our work often draws from earlier eras, incorporating elements of speed, heavy, and death metal―though none of these influences are overwhelmingly apparent.
Dreaming the Strife for Love, for instance, doesn’t sound like death metal at all, though it carries infusions of extreme metal through various shades―from Grave Miasma to The Devil’s Blood, with a nod to Angel Witch.

Q3: 古き良きプログとメタルの融合という点で、あなたたちはよく OPETH と比較されますよね?

【BEDSORE】: 光栄に思わずにはいられないよ!OPETH は間違いなく、僕らの多くが、特に10代の頃に大好きだったバンドで、彼らをとても尊敬しているんだ。ただ、彼らはおそらく僕たちの音楽にとっては、より遠い影響になるだろう。実際、バンドとして、彼らのリリースを聴いたり、比較することはないからね。
デスメタルとプログを融合させる彼らのやり方は、僕たちのやり方とはまったく違うように感じられる。おそらくイタリア的ではなく、スカンジナビアや民俗学的な背景の影響もあるのだろう。これは悪いことではないけれど、根本的な違いだよ。例えば、彼らの音楽からは Le Orme や Banco del Mutuo Soccorso の影響は感じられない。
僕たちのサウンドは、その代わりにイタリアの文化的背景に深く根ざしている。僕たちを定義しているメタルの種類でさえ、異なる系譜から来ているようだね。OPETH は、よりテクニカルで、彼らが開拓に貢献したプログレッシブ・メタルと密接に結びついたデス・ドゥーム・スタイルに傾倒する傾向があり、2000年代に影響を受けたサウンド的にモダンな美学として扱われている。対照的に、僕たちの作品は、スピード、ヘヴィ、デスメタルの要素を取り入れた、より古い時代のものを取り入れていることが多い。
例えば、”Dreaming the Strife for Love” はデスメタルのようには聴こえないと思うんだ。 GRAVE MIASMA から THE DEVIL’S BLOOD, そして ANGEL WITCH まで、様々な色合いのエクストリーム・メタルを取り入れているからね 。

Q4: Italy is a country that has produced great progressive bands such as PFM, Banco, New Trolls, and Arti. Has such Italian musical soil influenced your music?

【BEDSORE】: We definitely feel deeply inspired by these bands, in the purest sense of the word. We’re not focused on replicating a similar musical proposal, but rather on what fascinates us about this scene―artists like Area, Balletto di Bronzo, Semiramis, and Osanna. What truly captivates us is the unique language they used to compose music, the way they conveyed their messages, and their ability to merge musical complexity with emotional expression.
It’s this creative free will and depth of thought that we find truly inspiring. At the same time, it’s about reconnecting with an ideal thread that connects us to the 1970s scene―one that has perhaps been somewhat forgotten or transformed over time. That scene evolved and, in some ways, reinvented itself, later influencing the high-quality Italian pop of the ’70s and ’80s (Franco Battiato, Renato Zero). This historical connection shaped our desire to bring this musical lineage back to life, not just as a homage but as an actual bridge to something timeless and vital. That’s why, starting with this album, we decided to sing in Italian. It’s a recognition of our artistic heritage and an intentional, meaningful step in reclaiming this tradition. Especially given that Dreaming the Strife for Love draws inspiration from a 16th-century Venetian allegorical novel, Hypnerotomachia Poliphili, which is rich in symbolism, themes of love, and metaphysical exploration. Singing in Italian, the language of the work, also allows us to capture its message and connect more deeply with the very profound essence of this literary and cultural source.

Q4: お話しにも出ましたが、イタリアは PFM, Banco, New Trolls, Arti といった偉大なプログ・バンドを輩出した国です。そうしたイタリアの音楽的土壌が重要だったわけですね?

【BEDSORE】: 僕たちは間違いなく、純粋な意味でそうしたバンドから深いインスピレーションを感じている。僕たちは、彼らと同じような音楽的を再現することに重点を置いているのではなく、このシーンの私たちを魅了するもの、つまりArea、Balletto di Bronzo、Semiramis、Osanna のようなアーティストのやり方に注目しているんだ。
僕たちを真に魅了するのは、彼らが作曲に用いたユニークな言語、メッセージの伝え方、そして音楽的な複雑さと感情表現を融合させる能力。僕たちが本当に感動するのは、彼らの創造的な自由、意志と思考の深さなんだ。
それは同時に、1970年代のシーンと僕たちをつなぐ理想的な糸と再びつながることでもある。このシーンは進化し、ある意味では自己を再発明し、後に70年代と80年代の高品質なイタリアン・ポップス(Franco Battiato, Renato Zero)に影響を与えた。この歴史的なつながりが、単なるオマージュとしてではなく、時代を超えた重要なものへの実際の架け橋として、イタリアの音楽の系譜を蘇らせたいという僕たちの願望を形作った。だから、このアルバムからイタリア語で歌うことにしたんだ。
これは、僕たちの芸術的遺産を認識し、この伝統を取り戻すための意図的で意味のある一歩なんだよ。特に、”Dreaming the Strife for Love” は16世紀のヴェネチアの寓話小説 “Hypnerotomachia Poliphili” からインスピレーションを得ているからね。この小説には象徴主義、愛のテーマ、形而上学的探求がふんだんに盛り込まれている。作品の言語であるイタリア語で歌うことで、僕たちはそのメッセージをしっかりと汲み取り、この文学的・文化的源泉の非常に深い本質とより深くつながることができるんだ。

Q5: “Minerva’s Obelisque” and “Fanfare for a Heartfelt Love” was a shock to me! No band has ever combined Emerson Lake & Palmer with metal so beautifully. But ELP is still very metal friendly in an aggressive way. What do they mean to you?

【BEDSORE】: Thank you so much for your kind words! We truly believe you’re right about ELP . There’s so much metal in that music―what could be more metal than Karn Evil 9? And the cover art by HR Giger, haha! Even though there’s no explicit metal, much like we see with other genres such as classical music (Stravinsky, Ligeti, even Holst!) or experimental music (like Anna Von Hausswolff), there’s definitely an influence. From ELP , we’ve learned how to create this effect―making something feel present even when it’s not actually there. This is something we’ve focused on since we were kids. How could tracks like the Tarkus suite sound so heavy and massive without actually being metal?
You can hear this very clearly in our new work, particularly in tracks like Scars of Light or Realm of Eleuterillide, where there’s very few hints of metal moments in the traditional sense, yet they exude that characteristic heaviness and darkness. It’s all about that sense of atmosphere―the feeling of something looming, even when the elements don’t follow the usual metal formulas.

Q5: “Minerva’s Obelisque” と “Fanfare for a Heartfelt Love” は衝撃的でしたよ!EMERSON, LAKE & PALMER をこれほど見事にメタルと融合させたバンドは他にいないでしょう。本来、ELP はアグレッシブな面やキャッチーな面で、とてもメタルに親しみやすいと感じましたよ。

【BEDSORE】: 温かい言葉をありがとう!僕たちは、君がELPについて本当に正しいことを言っていると思うよ。ELP の中には本当にメタルがある!”Karn Evil 9″ 以上にメタルなものがあるだろうか?そしてHRギーガーによるジャケット・アートも!クラシック音楽(ストラヴィンスキー、リゲティ、ホルストまで!)や実験音楽(アンナ・フォン・ハウスヴォルフのような)のような他のジャンルと同じように、ELP は明確なメタルはないけれど、間違いなく大きな影響は受けているよ。
僕たちはELPから、実際にはそこにないものでも存在感を感じさせるような効果を生み出す方法を学んだ。これは、僕たちが子供の頃から集中してきたことなんだ。組曲タルカスのような曲が、実際にはメタルでないのに、どうしてあんなにヘヴィで重厚に聴こえるのだろう?
特に “Scars of Light” や “Realm of Eleuterillide” のような曲では、伝統的な意味でのメタル・モーメントやヒントはほとんどないのに、特徴的なヘヴィネスとダークネスが滲み出ている。通常のメタルの定型に従った要素でなくても、何かが迫ってくるような雰囲気感を出すことができるんだ。

Q6: In the metal world, the role of keyboards is decreasing rapidly, and the keyboard heroes that used to be plentiful are now, unfortunately, few and far between. You guys seem to be changing that situation, would you agree?

【BEDSORE】: Well, we hope so! We’re not big fans of technical virtuosity for its own sake. In fact, we prefer those who use their technique to think through music, to construct it, to arrange it―because that’s something you can only refine with real talent. Technique, on the other hand, is trained with muscles. Keith Emerson and Rick Wakeman completely turned this idea around: they were virtuoso instrumentalists, but above all, they were thoughtful composers, skilled in using their virtuosity in moderation.
We strive to embody this qualitative dimension rather than a quantitative one (i.e how many notes can be played in a single bar). It’s more about the way the music flows, how it’s crafted, and how the technical skills are employed to support the emotion and structure, not just to show off the technical side of playing which, I mean, who really cares?.

Q6: メタルの世界では、キーボードの役割はどんどん減っていて、以前はたくさんいたキーボードのヒーローも、残念ながら今はほとんどいなくなりました。あなたたちは、その状況を変えようとしているように見えます。

【BEDSORE】: そうであってほしいよね!僕たちは、テクニックのためのテクニカルな名人芸はあまり好きではない。僕たちはテクニックを “使って” 音楽を考え、構成し、アレンジする人を好むんだ。なぜなら、それが唯一才能を磨く手段だから。そもそも、テクニックは筋肉で鍛えるものだと考えられていたけど、Keith Emerson と Rick Wakeman は、この考えを完全に覆した。彼らはヴィルトゥオーゾ的な楽器奏者であったけど、何よりも思慮深い作曲家であり、そのヴィルトゥオーゾ性を適度に使うことに長けていた。
僕たちは、量的な次元(1小節に何個の音符を演奏できるかなど)ではなく、この質的な次元を体現しようと努めている。音楽がどのように流れ、どのように作られ、どのように技術的なスキルが感情や構造を支えるために使われているかということが重要なのであって、単に演奏の技術的な面を誇示するのは大切ではないんだよ。

Q7: The music world has changed dramatically over the past 20 years. With the rise of instant culture like streaming and social networking, prog, which takes time, intelligence, and practice to create, has never been more current. Why do you still continue to play this “Prog” music?

【BEDSORE】: Listeners nowadays have less time and often feel the need to grasp immediately what they’re hearing. This “instant gratification” mindset doesn’t exactly play to the strengths of projects like ours. That being said, we believe the type of “prog” we want to explore with Bedsore is something different. We don’t want to adhere to any clichés, we’re simply focused on creating our own music―something unique and crafted. The “classic prog” genre has certainly given us the tools to do that. While it’s true that our music could certainly be categorized under this broad and wide genre, it’s also important to note that words are just like empty boxes, and “prog” really represents so many different things at the same time.
We think the priority has always been the message and, above it, the melody it carries. That’s why it’s essential to us to be bold and complex, yet to feel accessible from a narrative standpoint. This balance is what is defined as the greatest cornerstone of the genre, and it’s something we tend to capture in our work.

Q7: この20年で音楽界は劇的に変化しました。ストリーミングや SNS のようなインスタント・カルチャーの台頭により、創作に時間と知性と練習を要するプログはトレンドからとても遠い場所にいます。それでもこの音楽を演奏し続けるのはなぜですか?

【BEDSORE】: 最近のリスナーは時間がなく、聴いているものをすぐに把握したいと感じることが多い。この “即座に満足する” という考え方は、僕たちのようなプロジェクトの強みにはならない。
とはいえ、僕たちが BEDSORE で探求したい “プログレ” のタイプは、他とは違うものだと信じている。僕たちは決まり文句やクリシェに固執するつもりはなく、ただ自分たち独自の音楽、つまりユニークで作り込まれたものを作ることに集中している。クラシック・プログというジャンルは、僕たちにそのためのツールを与えてくれた。僕たちの音楽が、この広範で幅広いジャンルに分類されることは確かだが、言葉は空っぽの箱のようなもので、”プログレ” は実に多くの異なるものを同時に表していることにも注意する必要がある。
僕たちは、常に優先されるのはメッセージであり、その上にメロディがあると考えているよ。だからこそ、大胆で複雑でありながら、物語的に親しみやすいと感じられることが、僕たちにとって不可欠なんだ。このバランスこそが、このジャンルの最大の礎と定義されるもので、僕たちが作品に込めたいものなんだ。

Q8: More to the point, many of the prog giants have aged and passed away. Some people say that progressive rock has lost the meaning of the term and has become formulaic. In the midst of all this, you guys have shown us what is possible! Do you think there is room left for prog music to evolve?

【BEDSORE】: Absolutely! And this is exactly the meaning behind the genre’s name. As we mentioned earlier, we believe that prog has taught us more than anything to have a vision, a “mindset” for creating, composing, and arranging music―much like how great classical composers learned from their predecessors―every composer plays differently, but there’s a common intent, right?
To answer your question, we believe that progressive rock hasn’t lost its meaning, but it should be understood in its true “progressive” nature―that is, something that moves forward, even if it takes paths that are impossible to imagine beforehand, pushing boundaries and overcoming limits. This is the true essence of the term, in our opinion. If we follow this logic, progressive rock as it was in the 1970s might not have a reason to exist today in its exact same shape, but it must live on through its own evolution. Ultimately, progressive music is synonymous with quality, and this will never perish as long as there’s a desire to search for it.
Who would have said that, half a century later, the idea of progressive―which in the 1970s was a blend of jazz, folk rock, and classical music―would, through the evolution of these genres in the second half of the 20th century, naturally merge with extreme metal? Yet, it happened in the most organic way possible. This is a clear demonstration of what we mentioned above: progressive music must continually evolve, adapt, and push boundaries. It’s a reflection of its essence―always moving forward, exploring new ground, and remaining relevant, regardless of the genre’s evolving forms.

Q8: もっと言えば、”プログレ” の巨人たちの多くは高齢化していて、他界してしまった人も少なくありません。プログレッシブ・ロックはその言葉の意味を失い、定型化してしまったと言う人もいます。そんな中、あなたたちはこのジャンルの可能性を示してくれていますね!
“プログレ’ が “進化” する余地は残されていると思いますか?

【BEDSORE】: もちろん!進化こそが、このジャンル名に込められた意味なのだから。偉大なクラシックの作曲家たちが先人たちから学んだように。作曲家ごとに演奏は異なるが、共通の意図があるのだからね。
君の質問に答えるなら、プログレッシブ・ロックがその意味を失ったわけではなく、本来の “プログレッシブ” な性質でこのジャンルは理解されるべきだと僕たちは考えている。これこそが、この言葉の本質だ。この論理に従えば、1970年代のプログレッシブ・ロックは、全く同じ形で今日存在する理由はないかもしれないけど、独自の進化を通して生き続けるに違いない。結局のところ、プログレッシブ・ミュージックはクオリティと同義であり、それを求める欲求がある限り、決して滅びることはないだろう。
1970年代にはジャズ、フォーク・ロック、クラシック音楽が融合していたプログレッシブという考え方が、20世紀後半におけるこのジャンルの進化を通じて、半世紀後にエクストリーム・メタルと自然に融合するようになるとは誰が想像できただろうか。しかも、それは可能な限り有機的な方法で起こった。それこそが、僕らがプログが死なないと言った素晴らしい証明なんだよ。プログレッシブ・ミュージックは常に進化し、適応し、限界を押し広げなければならない。それは、ジャンルの形態が進化しようとも、常に前進し、新境地を開拓し、関連性を保ち続けるというこの言葉の本質を反映しているからね。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED BEDSORE’S LIFE!!

Area “Maledetti (Maudits)”

Carcass “Necroticism: Descanting the Insalubrious”

Swans “Children of God”

In Solitude “Sister”

Weakling “Dead as Dreams”

MESSAGE FOR JAPAN

Absolutely, we’re huge fans of Japanese culture. Anime like Neon Genesis Evangelion, Akira, the works of Junji Ito and Miyazaki, as well as the movies of Kitano and Miike, have inspired us visually on many occasions. Not to mention bands like Boris, Church of Misery, Flower Travellin’ Band, Mono, Boredoms, and the more recent Funeral Moth, Minami Deutsch, and last but not least Mortal Incarnation, with whom we collaborated on the 2021 Split. Unfortunately, Japanese culture is so vast, and we know we’re only scratching the surface, mentioning these works. That said, we deeply admire how Japan is visionary, futuristic in certain ways, while still maintaining its traditions and roots and keeping them alive!
In a way, we feel connected to your culture in more than some aspects. We strive to do a bit of the same with our own music, blending the contemporary with the tradition. That’s why we know you’ll understand us well! So, to all the readers and, hopefully, future listeners, we can only invite you to experience Dreaming The Strife for Love with both hands reaching out and an open heart, just as you would approach one of your own creations―with a pure spirit and a quest for intimacy that defines who you are

僕たちは日本文化の大ファンだ。新世紀エヴァンゲリオンや AKIRA のようなアニメ、伊藤潤二や宮崎駿の作品、北野武や三池崇史の映画は、何度も僕たちに視覚的なインスピレーションを与えてくれた。Boris、Church of Misery、Flower Travellin’ Band、Mono、Boredoms、そして最近のFuneral Moth、Minami Deutsch、”2021 Split” でコラボレーションした Mortal Incarnation などのバンドは言うまでもないよ。
残念なことに、日本の文化はとても広大で、これらの作品に触れても表面をなでたに過ぎないことは承知している。とはいえ、僕たちは、日本がある意味では先見的で未来的でありながら、伝統やルーツを維持し、それらを生かし続けていることに深く敬服しているんだ!
ある意味、僕たちは君たちの文化に、つながりを感じているんだ。なぜなら、僕らは自分たちの音楽でも同じように、現代と伝統を融合させようと努力しているから。だからこそ、日本の人たちには僕たちのことをよく理解してもらえると思っているんだよ!だから、読者の皆さん、そして願わくば未来のリスナーの皆さんには、両手を伸ばし、オープン・ハートで “Dreaming The Strife for Love” を体験してもらいたいね。

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SCYTHE OF SORROW : RAVEN’S CRY OF DESPAIR】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH PETTERI SCYTHE FROM SCYTHE OF SORROW !!

“From The Moment I First Heard CoB, Alexi Became My Greatest Idol And Role Model As a Musician. His Music And Lyrics Have Helped Me Through Many Difficult Moments In Life.”

DISC REVIEW “RAVEN’S DRY OF DESPAIR”

「彼の死を知った日のことはよく覚えている。妻と僕はヘルシンキで大晦日を祝った後、ポーランドに戻ったところだった。当時、僕はヘルシンキにいたけど、まだここには住んでいなかった。僕のアイドルが亡くなったとき、同じ街にいたことを知り、とても恐ろしい気持ちになったんだよ。
その日は受け入れることができなかった。彼はまだ若く、これからの人生もあった。僕は彼の新しいプロジェクト、BODOM AFTER MIDNIGHT に大きな期待を寄せていたし…。ああした結果になってしまったのは悲劇だよ。特にコンサートの前夜は、よく墓地に彼を訪ねるんだ。 彼が恋しいよ…」
伝説が、英雄が亡くなった時、私たちは大きな喪失感に襲われます。心にポッカリと穴が空いたような、空虚で無力で無気力な日々。押し寄せるのはただ悲しみだけ。4年前の年の瀬、ヘヴィ・メタル・コミュニティ全体がそんな状態に陥りました。CHILDREN OF BODOM の心臓で、唯一無二のメタル・ヒーロー Alexi Laiho がこの世を去ったのです。依存症というヘヴィな話題も、私たちの心を突き刺しました。
喪失感や痛み、空虚な心はある程度、時間が癒してくれます。あれから4年の月日を経て、私たちはそれでもやっと、CHILDREN OF BODOM がもう決して戻らないことを受け入れ始めました。彼らの音楽を聴き継いでいくことで、ありし日の姿を語り継いでいくことで、Alexi はずっと心の中に生き続けると。そしてもちろん、Alexi は自らの音楽以外にも、”影響” という大きな遺産を残してくれています。あの日、同じ悲しみに身を裂かれた Petteri Scythe はまさに Alexi の大いなる遺産で今、彼らの穴を埋めようと奮戦しています。
「CHILDREN OF BODOM を初めて聴いた瞬間から、Alexi は僕のミュージシャンとしての最大のアイドルで、ロールモデルになった。彼の音楽と歌詞は、人生における幾多の困難な場面で僕を助けてくれたんだ。もし彼と彼の音楽がなかったら、SCYTHE OF SORROW を作るためにポーランドからフィンランドに移住することもなかっただろう。彼はミュージシャンとしての僕にとって、常に究極のインスピレーションであり続けるだろうね」
Petteri の言葉通り、SCYTHE OF SORROW は CHILDREN OF BODOM の大いなる息子であり、Alexi の目指した未来を切り開く者。もちろんこれは彼らのデビュー作で、偉大なるレジェンドのレベルにはまだ及びませんが、それでもフレーズの端々に、テクニックの切れ味に、メロディの輝きに、私たちは “影の口付け” を垣間見ます。
「僕の一番ははいつもこれ。”Something Wild”。文字通り…ワイルドだからね。すべてから怒り、攻撃性、情熱が感じられる。 特に “In The Shadows” と “The Nail” が大好きなんだ。
次に “Follow The Reaper”。ちょっと皮肉なことに、ほとんどの人が “Hate Crew Deathroll” を選ぶだろうけど、僕はこのアルバムこそが世界への扉を開いたと信じているんだ」
もちろん、”赤青緑が好きなんだったらもっとネオクラに振ってくれ!” とか、”バカクソ長いソロセクションやインタープレイがあってもいいんだよ?” とか、”もうちょっと歌に説得力が欲しいなあ” とかいろいろあるでしょうけど、このキラキラなメロディック・デスメタルとあのギター、あのシルエットがもう一度私たちの前に降臨した…まずはその奇跡を喜ぼうではありませんか。
Petteri が EUROPE や Alexi の愛した GUNS N’ ROSES の大ファンというのも、ポイントが高いですね。今はまだ “Follower the Reaper” かもしれませんが、あの大鎌はいつか我々の喉元にきっとズブリと突き刺さるはずです。
今回弊誌では、Petteri Scythe にインタビューを行うことができました。「世界で最も人気のあるジャンルではないかもしれないが、ここフィンランドではかなり好調だ。 トラディショナル・ヘヴィ・メタルのニュー・ウェーブのように、メロディック・デスメタルのニュー・ウェーブが来るかもしれない。僕たちがその一部になれることを願っているよ!」 もうね、曲が疾走を始める寸前のアジテーション…あれだけで涙腺ダバダバですね。どうぞ!!

SCYTHE OF SORROW “RAVEN’S CRY OF DESPAIR” : 9.9/10

INTERVIEW WITH PETTERI SCYTHE

Q1: There is no metal fans in the world who does not think of Children of Bodom when they sees you and your music. Did the band actually start as a tribute to them?

【PETTERI】: Absolutely not! The idea for the band has been original from start to finish. I never intended to play covers as a tribute band. It just so happens that what comes from my soul and what I create is very close in style to CoB. I won’t deny it – they are the main inspiration and driving force behind this band, so it couldn’t have been any other way!

Q1: 世界中のメタル・ファンで、あなたの音楽を聴いて、姿を見て、CHILDREN OF BODOM を思い浮かべない人はいないでしょう。実際にバンドは彼らへのトリビュートとして始まったのですか?.

【PETTERI】: もちろんちがうよ!バンドのアイデアは最初から最後までオリジナルだ。トリビュート・バンドとしてカヴァーを演奏するつもりはなかった。 たまたま、僕の魂から生まれるもの、そして僕が創り出すものが、CoB にとても近いスタイルだっただけなんだ。まあ、似ていることを完全に否定はできないけどね…彼らがこのバンドの主なインスピレーションであり、原動力なんだから、他のやり方はできないね!

Q2: What does Alexi Laiho mean to you?

【PETTERI】: From the moment I first heard CoB, Alexi became my greatest idol and role model as a musician. His music and lyrics have helped me through many difficult moments in life. If it weren’t for him and his music, I wouldn’t have moved here from Poland to create Scythe Of Sorrow. He will always remain the ultimate inspiration for me as a musician.

Q2: Alexi Laiho はあなたにとってどんな存在ですか?

【PETTERI】: CoB を初めて聴いた瞬間から、Alexi は僕のミュージシャンとしての最大のアイドルで、ロールモデルになった。彼の音楽と歌詞は、人生における幾多の困難な場面で僕を助けてくれたんだ。もし彼と彼の音楽がなかったら、SCYTHE OF SORROW を作るためにポーランドからフィンランドに移住することもなかっただろう。彼はミュージシャンとしての僕にとって、常に究極のインスピレーションであり続けるだろうね。

Q3: Alexi’s death was so shocking. There was also the heavy topic of alcohol addiction that haunted him…How did you deal with his death?

【PETTERI】: I remember the day we found out about it very clearly. It was morning, and my wife and I had just returned to Poland after celebrating New Year’s Eve in Helsinki, and then this news hit us. You know, at that time, I was in Helsinki, but I didn’t live here yet. It was a terrible feeling knowing I was in the same city when my idol passed away. On this day, it’s hard to accept – he was so young, with his whole life ahead of him. I had high hopes for his new project, Bodom After Midnight. It’s such a tragedy that things turned out the way they did. I often visit him at the cemetery, especially the night before our concerts. I miss him deeply…

Q3: Alexi の死はとても衝撃的でしたね…アルコール依存症という重いテーマもつきまとっていました…彼の死とどのように向き合ったのですか?

【PETTERI】: 彼の死を知った日のことはよく覚えている。妻と僕はヘルシンキで大晦日を祝った後、ポーランドに戻ったところだった。当時、僕はヘルシンキにいたけど、まだここには住んでいなかった。僕のアイドルが亡くなったとき、同じ街にいたことを知り、とても恐ろしい気持ちになったんだよ。
その日は受け入れることができなかった。彼はまだ若く、これからの人生もあった。僕は彼の新しいプロジェクト、BODOM AFTER MIDNIGHT に大きな期待を寄せていたし…。ああした結果になってしまったのは悲劇だよ。特にコンサートの前夜は、よく墓地に彼を訪ねるんだ。 彼が恋しいよ…。

Q4: Which of Children of Bodom’s albums do you particularly like? Why is that?

【PETTERI】: You know, it won’t be a surprise when I say ALL of them! (laughs) But regardless, my top picks are always:
Something Wild – because it’s literally… wild. You can feel the anger, aggression, and passion in everything. I particularly love In The Shadows and The Nail.
Follow The Reaper – a bit ironically, because most people would probably pick Hate Crew Deathroll, but I believe this album really opened them up to the whole world. I love Kissing The Shadows, which was initially just a filler track for the album and ended up being one giant solo. I also have a strong sentimental attachment to Mask Of Sanity because they reused riffs and melodies from their demo Talking Of The Trees, back when they were still called Inearthed. I highly recommend checking it out!
Hexed – their last album and, in a way, a return to what I loved about Something Wild. Once again, you can feel the melody and aggression, but this time it’s mature and brilliantly structured. Hexed and Under Grass And Clover are my favorites.
I’ll also add that even though many people overlook it, I really like Relentless Reckless Forever. It’s quite unique but perfectly fits the time it was released. Or maybe it just resonated with me because I was in my 20s back then and going through a rebellious phase (haha).

Q4: CHILDREN OF BODOM の作品で特に気に入っているアルバムを教えていただけますか?

【PETTERI】: 全部!と言っても驚かないでよ (笑) !でも、まあ僕の一番ははいつもこれ。”Something Wild”。文字通り…ワイルドだからね。すべてから怒り、攻撃性、情熱が感じられる。 特に “In The Shadows” と “The Nail” が大好きなんだ。
次に “Follow The Reaper”。ちょっと皮肉なことに、ほとんどの人が “Hate Crew Deathroll” を選ぶだろうけど、僕はこのアルバムこそが世界への扉を開いたと信じているんだ。”Kissing The Shadows” が大好きで、最初はアルバムのフィラー・トラックに過ぎなかったのに、最終的には巨大なソロになった。それに、”Mask Of Sanity” には強い感傷的な思い入れがある。なぜなら、彼らがまだ “Inearthed” と呼ばれていた頃のデモ曲 “Talking Of The Trees” のリフとメロディーを再利用しているからだ。ぜひチェックしてほしい!
そして、”Hexed”。彼らの最後のアルバムであり、ある意味、僕が “Something Wild” で気に入っていたものへの回帰でもある。今回もメロディーと攻撃性を感じることができるけど、成熟し、見事な構成になっている。”Hexed” と “Under Grass And Clover” がお気に入りだよ。
多くの人が見過ごしているけれど、僕は “Relentless Reckless Forever” が本当に好きだということも付け加えておこう。かなり個性的だけど、リリースされた時期に完璧にマッチしている。 あるいは、まあ、僕は当時20代でちょうど反抗期を経験していたので、心に響いたのかもしれないけどね(笑)。

Q5: How do you feel about being called a “copycat” of Children of Bodom because of the similarities in appearance, instruments, and music?

【PETTERI】: Well, I’ve had this face since I was born, and there are thousands of other musicians who paint their eyes and nails. Does that mean everyone is copying Alexi? Come on… But of course, it’s true that I started doing it because of him. For me, it’s cool, and painted nails stand out nicely on the guitar fretboard while playing.
As for the instruments… the thing is, RR-style V guitars are perfect for playing aggressive music. Let’s not forget that Randy Rhoads was the first to play them – so does that mean Alexi copied him? Sure, I own two of his signature guitars, but above all, they’re simply amazing instruments, and they play great. Whether or not they have his name on them, I would still choose this type of guitar. His signature models also have fantastic finishes and hardware. Besides that, I have a Jackson RR, which I also use for concerts. These guitars are simply made for metal. If I could afford a custom shop, or let’s say I was offered my own signature model, I would still choose this shape – just with a different finish.
And the music… if people say it sounds like CoB, we can only be happy about that because those are exactly the fans we wanted to reach and connect with. Being compared to legends is an honor!

Q5: CHILDREN OF BODOM に外見、楽器、音楽が似ているという理由で “コピー・キャット” と呼ばれることについてはどう思いますか?

【PETTERI】: まあ、生まれたときからこの顔だし、目や爪をペイントするミュージシャンは他にも何千人もいる。みんな Alexi の真似をしているってこと? おいおい…。でももちろん、彼の影響で始めたのは事実だよ。僕にとってはクールだし、ペイントした爪は演奏中のギターの指板の上できれいに目立つんだ。
楽器については…RRスタイルのV型ギターは攻撃的な音楽を演奏するのに最適だということだ。 ランディ・ローズが最初にこのギターを弾いたことを忘れてはいけないよ。Alexi だって彼をコピーしたんだから。
確かに、僕は Alexi のシグネチャー・ギターを2本持っているけど、何よりも単純に素晴らしい楽器だし、素晴らしい演奏ができる。彼の名前が入っていようがいまいが、僕はこのタイプのギターを選ぶよ。 彼のシグネチャー・モデルは、仕上げやハードウェアも素晴らしい。 それ以外にも、ジャクソンのRRを持っていて、コンサートでも使っている。こうしたギターは単純にメタルのために作られている。もしカスタム・ショップを雇う余裕があったり、自分のシグネチャー・モデルを提供されたりしても、僕はやはりこのシェイプを選ぶと思う。フィニッシュだけ変えてね。
そして音楽は…もしみんなが CoB のようなサウンドだと言ってくれるなら、僕たちはそれを喜ぶしかない。だって、そうしたファンと僕たちはつながりたいし、リーチしたいんだから。伝説と比較されることは名誉なことだ!

Q6: What is the origin of the name Scythe of Sorrow and what is the meaning of the emphasis on Raven?

【PETTERI】: I wanted it to sound sharp but also carry an emotional weight. I also wanted CoB fans to recognize, just from the name, that our music is directed toward them. With CoB, there was the Reaper, and his attribute was the scythe… so I put all of this together, and it became Scythe of Sorrow, because let’s be honest―we don’t sing about joyful experiences and wonderful feelings.
The raven is our signature, just like the Reaper was theirs. Ravens are incredibly intelligent and symbolic birds, and their symbolism perfectly fits the origin of our name, our style, and our music and lyrics. In my opinion, it’s the perfect combination, and the raven is here to stay (laughs).

Q6: SCYTHE OF SORROW の名前の由来と、”Raven” を強調する意味を教えてください。

【PETTERI】: バンド名にはシャープなサウンドでありながら、エモーショナルな重みも持たせたかった。また、CoB のファンには、その名前だけで、僕たちの音楽が彼らに向けられていることを認識してほしかった。CoB には死神がいて、その属性は大鎌だった……だから、これらをまとめて “Scythe of Sorrow(悲しみの大鎌)” としたんだよ。正直言って、僕らは喜びの体験や素敵な感情を歌っているわけじゃないからね。
死神が彼らのものであったように、カラスは僕たちのシグネチャーだ。 カラスは信じられないほど知的で象徴的な鳥であり、その象徴性は僕たちの名前の由来、スタイル、そして音楽と歌詞に完璧にマッチしている。僕の意見では、これは完璧な組み合わせであり、カラスはこれからもここにいるよ(笑)。

Q7: It’s great to see someone carry on the spirit of Children of Bodom and you’re not just a CoB moniker, you’re carrying on the Finnish melodic death metal lineage that started with Amorphis. Are you aware of such “Finnishness”?

【PETTERI】: The funniest thing is that I was born and raised in Poland (laughs). But clearly, something was pulling me here, since I ended up settling down in Finland permanently. Maybe my ancestors were from here? Who knows… I guess I’m so immersed in this music that it’s become part of me, flowing through my veins. It’s nice to hear you say that. It’s an honor to create music in a country of such legends.

Q7: 私は、CHILDREN OF BODOM の精神を受け継ぐ人がいるのは素晴らしいことだと感じています。
ただし、あなたは単なる CoB のモノマネではなく、AMORPHIS から始まったフィンランドのメロディック・デスメタルの系譜を受け継いでいます。そうした、”フィンランドらしさ” については意識していますか?

【PETTERI】: おかしなことに、僕はポーランドで生まれ育ったんだ (笑)。でも、フィンランドに永住することになったのだから、何かが僕をフィンランドに引き寄せたのは明らかだ。先祖がフィンランド出身なのかもしれない。わからないけど…。
僕はメロデスにどっぷり浸かっているし、それが僕の一部となって血管を流れているんだと思う。そう言ってもらえるとうれしいよ。伝説の国で音楽を創作できるのは光栄なことだ。

Q8: Melodic death metal is by no means the most popular music in the world. For example, music like SPIRITBOX or BRING ME THE HORIZON might have a better chance of selling more. Still, why do you stick to this genre?

【PETTERI】: In my opinion, the most important thing is to stay true, and good music will always defend itself. Of course, we could start playing something in that style, and I’m not saying those bands are bad―on the contrary, they’re perfect at what they do. But I wouldn’t feel satisfied with it.
I grew up on ’80s hair metal and later became immersed in melodic metal, so naturally, I have a strong connection to melodic guitar riffs and solos. It might not be the most popular genre in the world, but here in Finland, it’s doing pretty well. Who knows, maybe just like with the New Wave of Traditional Heavy Metal, we’ll see a New Wave of Melodic Death Metal? I hope we can be part of it!

Q8: メロディック・デスメタルは決して世界で最も人気のある音楽ではありません。
例えば、SPIRITBOX や BRING ME THE HORIZON のような音楽をやった方がもっと売れる可能性があるかもしれませんね。それでもこのジャンルにこだわるのはなぜですか?

【PETTERI】: 僕の意見では、最も重要なことは忠実であり続けることで、良い音楽は常に自分自身を守ってくれる。もちろん、そのようなスタイルで演奏し始めることもできるし、そのようなバンドが悪いと言っているわけではない。彼らは彼らの音楽で完璧だ。でも、僕はそれでは満足できないんだ。
僕は80年代のヘア・メタルで育ち、その後メロディック・メタルにのめり込んだ。だから、メロディックなギター・リフやソロに強い思い入れがあるんだよ。 世界で最も人気のあるジャンルではないかもしれないが、ここフィンランドではかなり好調だ。 トラディショナル・ヘヴィ・メタルのニュー・ウェーブのように、メロディック・デスメタルのニュー・ウェーブが来るかもしれない。僕たちがその一部になれることを願っているよ!

FIVE ALBUMS THAT CHANGED PETTERI’S LIFE!!

Children of Bodom “Something Wild”

Europe “The Final Countdown”

It’s because of them and this album that I even picked up a guitar, and John Norum is, alongside Alexi, my second guitar idol. It’s not their best album ever, but definitely the most important one for me.

僕がギターを手にしたのも、彼らとこのアルバムのおかげだ。John Norum は Alexi と並んで僕の2番目のギター・アイドルだ。 彼らのベスト・アルバムではないけど、僕にとって最も重要なアルバムであることは間違いない。

Guns N’ Roses “Appetite for Destruction”

A classic, but this album really spoke to me when I was a rebellious 16-year-old. It perfectly matched my feelings back then. This, along with Use Your Illusion, definitely helped me get through that time.

クラシックだけど、このアルバムは16歳の反抗的だった僕に本当に語りかけてきた。このアルバムは当時の僕の心境と完全に一致したんだ。”Use Your Illusion” とともに、このアルバムは間違いなくあの頃を乗り越える手助けをしてくれた。

Crashdïet “Rest In Sleaze”

Oh man, sleaze metal at its finest. When I first heard Crashdïet, I went crazy realizing you could still play like this in modern times. The entire persona of Dave Lepard is a story about a unique guy who lived life the way he wanted. Interestingly, I had the chance to meet his mom and visit his grave with her. Remember, as he said, “If you’re not a rockstar, at least act like one!”

スリーズ・メタルの最高傑作。 Crashdïet を初めて聴いた時、現代でもこんな演奏ができるんだと気がついた。Dave Lepard という人物像はすべて好きなように生きたユニークな男の話だ。 興味深いことに、僕は彼の母親に会う機会があり、一緒に墓参りをした。彼が言った言葉を思い出してほしい。”ロックスターでないなら、せめてロックスターのように振る舞え!”

Bullet For My Valentine “The Poison”

A classic that perfectly matched my teenage years―first broken hearts and all that.
Songs like Tears Don’t Fall and All These Things carried such emotional weight. Plus, BFMV, alongside CoB, is one of the two bands that inspired me to create Scythe Of Sorrow. Maybe our first album doesn’t show that as much, but they definitely influenced everything.

初めての失恋など、僕の10代に完璧にマッチした名曲。”Tears Don’t Fall” や “All These Things” といった曲は、感情的な重みがあった。それに、BFMV は CoB と並んで、僕がバンドを作るきっかけとなった2つのバンドのうちの1つだ。もしかしたら、僕らのファースト・アルバムにはそれがあまり表れていないかもしれないけど、彼らは間違いなくすべてに影響を与えたよ。

MESSAGE FOR JAPAN

Absolutely! For us Europeans, Japan feels like it’s from another world―in the best way possible! While anime might not exactly be my thing, I’m definitely into video games and especially Japanese cars and the automotive scene. And of course, I love sushi (haha). I would really love to visit Japan someday, and playing for a Japanese audience is one of those dreams that feels almost unreal!
Thank you for this interview; I’m thrilled that we’ve sparked interest in Japan. I’d recommend grabbing a copy of our album―it was recently available in a store in Osaka, but the entire stock sold out within an hour (haha). I believe it will be restocked soon.
Listen to us, tell your friends about us. We need your support to be able to visit you one day.
We do everything on our own, so it takes a bit of time, but we’re already working on the next album, and I hope you won’t be disappointed! Take care, it was a pleasure!

僕たちヨーロッパ人にとって、日本は別世界のように感じられる。最高の別世界だよ!アニメは僕の趣味ではないかもしれないけど、ビデオゲームと、特に日本車と自動車シーンには夢中なんだ。もちろん、お寿司も大好き(笑)。 日本の観客のためにプレイすることは、ほとんど非現実のことのように感じられる夢のひとつなんだ。
インタビューをありがとう。最近、大阪のお店で販売されたんだけど、在庫が1時間で売り切れてしまったんだ(笑)。 すぐに再入荷すると思うよ。
僕らの曲を聴いて、友達に僕らのことを教えてあげてほしい。いつかみんなのところへ行けるように、サポートが必要だからね。僕たちはすべて自分たちでやっているので、少し時間がかかるけど、すでに次のアルバムに取り掛かっているよ! きっとガッカリさせないと思う!

PETTERI SCYTHE

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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【MOISSON LIVIDE : SENT EMPERI GASCON】


COVER STORY : MOISSON LIVIDE “SENT EMPERI GASCON”

“Je ne pourrais pas m’en passer, l’école power metal a laissé des traces bien trop profondes, merci Tobias Sammet !”

SENT EMPERI GASCON

MOISSON LIVIDE のデビュー・アルバムは、フォーク&パワー・メタルが黒に染まった魔法のような作品です。
ガスコーニュ地方として知られるフランス南西部出身の MOISSON LIVIDE(怒りの収穫)は、主に Baptiste Lavenne の発案によるプロジェクトです。Lavenne は、関連の深いフォーク・メタル・バンド、BOISSON DIVINE(神の酒)の中心人物ですが、MOISSON LIVIDE では、より幅広い楽器と様々な影響を取り入れながら、サウンドの攻撃性と激しさ、そして芳醇なるメロディを研ぎ澄ませました。
“Sent Empèri Gascon” は、初手であらゆる民族楽器(アコーディオン、バグパイプ、ティン・ホイッスル、ホルン、ブズーキなど)が魅了するかもしれませんが、作品が聴き手にしみ込んでいくにつれ、最も印象的なのは、実は基本的で最も重要なこと、つまり歌だとわかります。民俗音楽の系譜に忠実な Lavenne には、新鮮さと古さを同時に感じさせるメロディーを紡ぎ出し、それを中心に壮大でありながら論理的な構成を構築する才能があるのです。そうした点で、このアルバムには初期の MOONSORROW との強いつながりがあるのかもしれませんね。
そして何よりも意外性がここにはあります。フォーク・メタルはソフトだと思うなら、ここにはロケット燃料を使ったブラックメタルの激しさがあります。ブラックメタルは頑固で真面目だと思っているなら、このアルバムは暖かさと胸を高鳴らせる高揚感や笑いに溢れています。メタルは極端さを追求すると道を踏み外すと思っているなら、MOISSON LIVIDE は伝統的なメタルの疾走とツインギターのリードが唸りを上げます。彼らはフォーク・メタルを核に、ブラック・メタル、トラディショナル・メタル、メロデス、ピュア・フォーク、パンク、シネマティックな雰囲気、パワー・メタルなど、曲が必要とするところへ放射状その豊かな味わいを広げていくのです。
そうして、パンチの効いたパワー・メタルとパワフルなブラック・メタルの間で揺れ動くこの新しいバンドは、イノシシのように彼らの生まれた土地を隅々まで掘り下げます。自嘲と皮肉、そして何よりも知性に満ちた LAVENNE は、このプロジェクトの起源を振り返ります。

「BOISSON DIVINE があるからまあ、このプロジェクトが冗談のようなものだと考えるのは完全に間違っているわけではない。もう少し詳しく説明しよう。私がブラックメタルを知ったのは、雑誌のCDサンプラーでメタル全般を知った後、かなり早い時期だった。当時は正直言って、そのスタイルをよく理解していなかった。暴力のレベル、イメージ、ドラミングのスピード、皮を剥ぐようなボーカル……もちろん印象的ではあったけど、私にはすべてがほとんど不条理に思えたんだ。私はすぐにそこから離れ、明るいもの、特にパワー・メタルを愛するようになった。私は DISSECTION に出会い、衝撃を受けたんだ!DISSECTIONは、私がこのスタイルの虜になるために不可欠なバンドだった。アグレッションとメロディーの比率、メタルのちょっとしたアクセント、アコースティックなパッセージ、それは私にとって勝利のコンボだった!それから少しして、VEHEMENCE、AORLHAC、ABDUCTION、PAYDRETZ、HANTERNOZ…といったフランスのメロディック&メディーヴァルなシーンを味わった。だから私は、ゆっくりと、でも自然に、ブラックメタルの影響を自分の作曲に取り入れるようになった。それは BOISSON DIVINE の他のメンバーに定期的に送っていた新曲のデモにも反映されるようになっていったんだ。
それから、ガスコーニュ地方のブラックメタルというアイデアが気に入り、私は曲作りに熱中した(笑)。アイデアがどんどん湧いてきて、あっという間にすべてがうまくいった。BOISSON DIVINE をもじって MOISSON LIVIDE と名付けた。自分たちの足跡を隠すため、人々を笑わせるため、そして不意を突くためにね。こうして “Sent Empèri Gascon”が誕生したんだ」
このアルバムは明らかにガスコーニュ人による、ガスコーニュ地方のための、ガスコーニュのアルバムです。こうしたレコードを作るというアイデア全体、つまりジャンルの制約を気にせず、マーチング・トランペットとブラストビートと80年代のシュレッド・ソロを嬉々としてミックスするスピリットが、とてもフランス的だとも言えるでしょう。”気にしない” という強い姿勢、それはフランスのメタル・シーンに貫かれた哲学なのでしょうか?
「”We don’t care” はアルバムの雰囲気をよく表しているね(笑)。私を突き動かしている哲学であることは間違いない。反商業的な精神が大好きなんだ。自分たちの好きなことをやって、誰がそれを好きなのか見る。既成のジャンルの基準に100%固執して自分たちを芸術的に制限することは考えられないし、それは無意味だからだ。きれいなコーラスを思いつくたびに、私はこの言葉を口にしてきた。誰が気にするんだ?!ってね。ブラック・メタル純血主義者に嫌われる?ああ、でも私は気にしない!」

“聖なるガスコン帝国” というアルバム・タイトル、そして壮大なストーリーにも、フランスイズム、ガスコンイズム、そして中央集権化された首都への苛立ちが宿っています。
「コンセプト・アルバムではないし、テーマは曲によって大きく異なる。地元に古くから伝わる伝説や歴史上の人物、田舎からの脱出や過疎化といったシリアスな話題もあれば、サイクリストに関するユーモラスな話題や、大都会から来た迷惑な観光客をやっつける妄想もある。しかし、タイトルとジャケットは、技術の飛躍的進歩の後に銀河系ガスコン帝国が誕生するという近未来的な架空の物語で “Sent Empèri Gascon”(聖なるガスコン帝国)という曲に基づいている。2084年、パリのジャコバン党が、投票率83%で、”ヨーロッパ連合超民主主義共和国 “として知られる新生国家の選挙に勝利した。その後、中央集権化、自由を奪う、抑圧的な政策が強まった。公共の安全を確保するために高速道路の制限速度が時速50キロに引き下げられ、債務削減のために付加価値税が42%に引き上げられた。エネルギー消費を抑えるため、夜7時からの夜間外出禁止令が導入され、朝7時まで停電となった。反乱は拡大し、地域の独立を望む声はかつてないほど強くなった。
10月2日、鴨の胸肉の脂肪の摂取を禁止する改正案が可決された。さすがに背に腹は代えられなかった。ガスコーニュ地方の2人の農民、ジルとジョン・ドゥディジョスは首都を訪れ、パリの警察署に放火した。彼らの逮捕はメディア、特に24時間放送のオック語ニュースチャンネル “ベルグー・ニュー” で大きく報道された。民衆蜂起の試みを阻止するため、彼らは罰則を受けた。トラクターのボンネットは、自転車のフレームやスクーターのハンドルとして再利用される。彼らはまた、60.8°F以上の暖房をしている市民を通報する無料ホットラインの電話オペレーターとして、2週間の社会奉仕活動を強いられる。国防委員会は、公衆の面前でベレー帽をかぶった場合、頭囲1センチにつき90ユーロの罰金を科すという最後の一撃を加えた。
このような極端な暴力に直面した反体制派は、できる限り目立たないように、新たな集会の方法を探さざるを得なかった。しかし11月17日、すべてを変える出来事が起こった。バスク地方のイルレギー近郊で考古学的発掘が行われ、ガスコン語で刻まれた動物の骨が発見されたのだ。専門家たちの懸命の努力にもかかわらず、フェブシア文字で書かれたメッセージを解読することはできなかった。
そんなことができるのは、この世でただ一人の男だけだ。ピック・デュ・ミディ・ド・ビゴールからほど近い暗い洞窟に住む孤独な男、ガスコン族の最後の一人、ジャン・タイエール。伝説によると、彼は辞書を破って作ったマットレスの上で寝ており、マイクロトポニーミーへの執着が彼を狂わせたという。南風が吹く満月の夜には、アレッテの詩の一節を叫ぶ声が聞こえる。
12月21日、彼のもとに骨が運ばれてきた。彼は一息で、書物を覆っていた埃を払い落とした。Quan dou cèu e séra cadut Lou princi qui estoû proumétut Fénira lou téms de misèri Bastiram lou nouste Empèri」(約束された王子が天から降るとき、不幸の時は終わり、我々は帝国を築く)。
大地震が山を揺らした。何とも言えない音とともに、別世界からの宇宙船のようなものが岩の上に着陸した。長い金髪に熊の絵で飾られたマントを羽織った人型の巨漢が出てきた。彼は完璧なガスコン語で聴衆に語りかけた。彼の名はアラリック4世、Kメラト太陽系のブラアD星から来た。何千年もの間、地球を観察してきた彼の祖先が、ガストン・フェビュスの姿に魅了され、1390年8月2日、彼のバスタブの下にあるマイクロ・ブラックホールを使って、彼を誘拐する計画を立てたという話をした。溺れているように見せかけ攫ったと。
アラリック4世は話を続けた。予言は聖典によって明らかにされた。彼の使命はガスコーニュの人々に星間旅行と反重力の原理を理解する鍵を与え、パリのジャコバン派の凡庸さ、愚かさ、寄生から地球と銀河系を解放することだった。彼は、この技術的飛躍に不可欠な燃料である元素115を安定させる方法を教えた。ニンニク1片、ワイングラス2杯、モスコビウム7kgを量子粒子加速器の中で混ぜなければならなかった。
このようにしてマスターされた115番元素は、核兵器の1万2000倍の破壊力を持つ、想像を絶する恐ろしい戦争兵器の創造も可能にした。核兵器の1万2千倍の破壊力を持つのだ。権力を取り戻し、専制君主を打倒し、フェブスの昔からの夢を実現するときが来たのだ。そして、彼の意志は実現した。
この文章は、ほとんど理解できないような曖昧な文学や社会的引用で、ばかばかしくさえあることは分かっている。しかし、現在の(そして過去200年間の)フランスがどのようなものかを説明するならば、フランスは高度に中央集権化された国で、権力、資金、決定は主にパリに集中している。共和国はその支配力を確立するために文化の標準化を推進し、その結果、パリだけのフランス人を優遇するために、地方の文化や言語は破壊され、少なくとも弱体化した。
このアルバムには、肯定と復讐の思想がある。存在への叫び、私たちが再発見しなければならない生命力。要するに、私たちは自分自身を死なせるのではなく、抵抗しなければならないという考えだ。
疑念を抱くたびに、そのことが頭をよぎった。この精神がフランスのシーン全体に一般化できるかどうかはわからない。いずれにせよ、君がそう感じるのであれば、そこには何らかの真実があるに違いない」

MOISSON LIVIDEの音楽は、ブラックメタルやヘヴィメタル、さらにはパワー・メタルを基調としながら、伝統的な中世の楽器やフォーク的な部分も持ち込んだ実に多様な農夫のメタル。
「まあ、オープンマインドを強調するつもりはないけれど、時間が経てば経つほど、聴くものが多様になり、影響を受けたものが蓄積されていくんだ。私は作曲が大好きで、Cubase の空のセッションを開いて、ここ数ヶ月の間に蓄積されたアイデアの断片に命を吹き込み、それを構造化することをとても楽しんでいる。音楽を分析するのも好きだし、好きなスタイルのコードはすぐに理解できる。でも、あるジャンルを聴くことで、それが頭の片隅に残って、自然と出てくるんだ。結局、作曲のプロセスを説明するのはかなり難しい。脳がさまざまな情報の断片を保存し、その都度ユニークな組み合わせの混合物の形で吐き出すのだと想像している」
Lavenne が恐ろしいのは、農家であることをメタルに活用しているところでしょう。まさに農家とメタルの二刀流。
「私は頭を使ってよく書く。本当にほとんど楽曲は頭で書いている。アイデアは何の前触れもなく浮かんでくるので、ボイスレコーダーアプリを取り出し、赤いボタンを押してラララと歌う。夕方家に帰ると、自分が書いたものを聴いて、アコースティックギターかピアノでコードを練る。ほとんどすべて仕事中に書いている。私はワイン生産者なので、多くの時間をブドウ畑で手作業に費やしている。ブドウの木は1本1本違うが、やるべきことを覚えたら、他のすべてのブドウの木で同じ作業を繰り返す。これを疎外感と捉える人もいるかもしれないが、私は脳の時間を解放する素晴らしい機会だと考えている。
数年のノウハウとブドウ畑の知識があれば、ある種の自動操縦モードに入ることもある。楽器を手にして座り、何か書かなければと自分に言い聞かせることは、本当にめったにない。だから同時に2つのことができる。そのおかげで膨大な時間を節約できる。さまざまな影響について話を戻すと、このようにたくさんの曲をミックスするときに一番難しいのは、”コラージュ” 的な嫌味を出さずに、すべての曲を調和させる一貫性、共通の糸を保つことだ。
だから私は、長尺にもかかわらずかなりシンプルな構成に特に注意を払っている。フック、節、繰り返されるテーマ、コーラス……私はビッグなコーラスが大好きなんだ!パワー・メタル派は、メタルにあまりにも深い足跡を残しすぎた!ありがとう、トビアス・サメット!」
歌詞はガスコーニュ地方の昔話、寓話と現代の出来事に対する批判、さらには未来的な推測の間で揺れ動きます。
「いつもメロディーが先に作られる。それからコード。歌詞はその連鎖の最後のリンクにすぎない。実際、デモを作るときは、曲を完成させるために、何でも歌ったり、思いつきで書いたりすることがよくあるんだ。本当の歌詞は、曲がアルバムの選考段階を通過してから、後で書く。これが一番難しい作業で、なかなか進まないこともある。それでも、美しく、よく書かれた文章を最終的に完成させるのはとても満足感がある……少なくとも形としてはね、内容がくだらないこともあるから(笑)。
ただ、テーマを最初に思いつくということはよくあるんだ。それが曲の内容に大きく影響する。実際、最も非定型的な作曲はそうやって生まれることが多い。主題に変化をつけるのに役立つからだ。また、あらかじめテーマがあると、イメージを思い浮かべることができ、とても刺激になる。最終的には、それをメモに書き写すだけ」

戦争のトランペット、狩の角笛、あるいは反逆のパンクなど、まったく予想外の要素を導入するのも、意外性を生み出すためでしょうか?
「常にそれを意識してやっているわけではないけど、たしかにそんな一面はある。私はアレンジのバラエティーが大好きで、あらゆる方向に飛び出したり、いくつもの音域に触れたり、さまざまなスタイルをミックスしたり、要するにあらゆる棚からつまみ食いするのが好きなんだ(笑)。私はその冒険心をとらえようとしていて、”何でもあり” でいたい。商業的には間違いなく逆効果だけど、仕事ではないので経済的な制約がなく、このようなリスキーな組み合わせができるのは贅沢なことだ。というか、音楽制作のリスクって何?」
残忍さにメロディを加えるという意味で参考にしたのは、あのレジェンドでした。
「 CHILDREN OF BODOM がいい例だよ。私は必ずしもブラックメタルに詳しいわけではないけど、あれほどパワー・エッジの効いた残忍なメタルはまだ聴いたことがない。だから、ブラックメタルの純血主義者のことは気にせず、100%ブラックなアルバムを作る意味はなかった。 ビッグなコーラスがないトラックは作れないし、思いつくことはできても実現できない。私は、ハーディ・ガーディ、ランド地方のバグパイプ、マンドリン、ブズーキ(ちなみにガスコーニュ風ではない)を使い、私が望んでいたハードでキャッチーなコーラスをミックスしている。そしてもちろん、フランスの地方の力強さ、古くからの伝統や価値観に親近感と哀愁をもたらす伝統楽器も」
もちろん、パワー・メタルからの影響も強く残ります。
「IRON MAIDEN, JUDAS PRIEST, ACCEPT, HELLOWEEN, GAMMA RAY…それ以上に AVANTASIA とトビアス・サメットの大ファンでもあるし、伝統的なフォークに軍隊行進曲の側面もある。実際、MOISSON LIVIDE は、私のでたらめな考えをすべて受け入れてくれるような存在だった」
歌詞に使われているガスコン語で自分のルーツに忠実であること、信憑性を保つことは重要なのだろうか?
「簡単に言えば、ガスコン語は私の心の言葉だよ。私の言語だから私の言語で歌う。他の言語で音楽を作ろうとは思わないし、ごく散発的にしかやらないよ。ガスコン語はバスク語をローマ字にしたようなもので、特にRの転がし方にロック的な側面がある。メロディアスなんだ。
私がマスターしている他の言語に関して言えば、フランス語はゲルマン語の影響を受けてメロディーに悪影響を与えるし、メタルでは英語は完全に使いすぎだ。カスティーリャ語に関しては、中学の最後の年以来レベルが急降下しているし、イベリアの友人には失礼だが、ホタの使い方には少し抵抗がある。私たちの歴史はフランス共和国の学校では教えられていない。しかし、私たちのささやかなやり方で、この地域の文化を広める手助けをしている。私たちの歌のおかげでガスコン語を習い始めた人たちや、語学教室に通い始めた人たちからメッセージをもらうと、とてもうれしいね。ガスコン語の使用は70年前から減少しており、復活を望むのはユートピア的だとは思うけどね」
時代に反して、MOISSON LIVIDE の楽曲はかなり長く、変化に富んだパッセージに満ちています。
「レコード盤のフォーマットを埋める必要があったし、Cubase の ctrlC + ctrlV は僕のお気に入りの機能なんだ。”St.Anger” の遺産だね!冗談はさておき、曲のフォーマットは計画的なものではなく、とても本能的なもので、テーマによって本当に様々なんだ。でも、多くの場合、壮大な題材は少なくとも8分以上の時間を必要とする。昔の IRON MAIDEN や HELLOWEEN のアルバムのラスト・トラックに影響を受けているんだ(笑)」

アルバムのジャケットに使われている地図と紋章にも興味をそそられます。
「左の紋章はガスコン地方の紋章で、ルイ14世の紋章官が作った最も広く普及しているシンボルのひとつなんだ。2頭のライオンと麦の穂が描かれたこの紋章は、歴史上ガスコーニュの国旗は存在しないが、これは国旗の役割を果たした。私は赤と青よりも、より正統的な赤と白の方が好きだった。その下の標語は “Sauvatgèr, pataquèra, quantica, renavida” で、意味は “野蛮、乱闘、量子、刷新”。まあ、何の意味もないのだけど、なかなか調子に合っていると思う。ローマ帝国にちなんで乗っかっただけだ。右は銃士の十字架、ガスコン語で “crotz deu larèr”(囲炉裏の十字架)。
その下には “Nunqan Polluta”(決して汚されない)という標語がある。これはバイヨンヌの街の歴史的標語で、何度も包囲されたが一度も奪われなかったから。その版図は日本にまで及んでいるね。地図にはデタラメやダジャレがたくさん書かれているので、全部を解剖するつもりはないけど、パリは帝国の監獄と記されている。この街はこれ以上の価値はない」
MOISSON LIVIDE の精神には、人に内在する嘲笑と楽しみの精神が如実に感じられます。それは人生の明るい面を見る方法であり、蔓延する憂鬱を鼻で笑うこと。
「私の音楽はシリアスで、形式は巧みだけど、歌詞の半分は不条理で、二番煎じで挑発的で、実にくだらないものだ。それは私の性格の一部だからね。単純に人生の反映だと思う。映画の人生のように一面的なものではない。あるときはシリアスで厳粛、またあるときは遊び心にあふれ嘲笑的、速いか遅いか、短いか長いか、まったく異なるムード、サウンド、モード、トーナリティを通過する。深く掘り下げれば、自分の好みに合うものがすぐに見つかるからだ。とはいえ…メタルは真面目すぎるよな(笑)」

原点回帰の田舎暮らしを推奨し、礼賛するメタルだとすればまさに前代未聞でしょう。
「ただ、私たちは必ずしもそのメッセージを伝えようとしているわけではないんだよ。私たちがやっていることは、結局のところ、私たちが情熱を持っていて、他の人に音楽にして聴いてもらいたいと思っているテーマについて話しているだけだからね。特に制約もなく、思いついたものをミックスしているだけなんだ。個人的には、”土地に根を下ろせ”、”田舎に帰れ”, “庭を作れ”, “その土地の言葉を学べ” といった命令や小難しいフレーズを発する気にはならない。おそらく、私は人に指図されるのがあまり好きではないし、その逆もしかりだからだろう。だから自分でビジネスを立ち上げて、働き手を持たないのがいいんだ(笑)。
というのも、無理強いすることなく、ただ敬意を表し、練習し、提案することによって、私たちは人々にガスコン語を習得してもらい、年配の人々には再びガスコン語を始めてもらい、若者たちはランド・バグパイプのような伝統楽器を手にしてもらい、地元のポリフォニック・グループは私たちの歌をレパートリーに取り入れてもらっている。私たちのささやかな貢献によって、さまざまな人々が同じ旗のもとに集い、ガロンヌ地方やピレネー地方を越えて、この地方の知名度を高めることができるのは光栄なことだからね」
最後に、このアルバムにはどんなワインを合わせるべきなのだろうか?
「メルローではなく、100%タナだ!もちろん、MOISSON LIVIDE を存分に味わいたいなら、私のドメーヌ・ド・マティラのタナを飲まなければならない。私の祖父が1960年代に植えた古木のタナ100%の2020年のキュヴェがある。素晴らしいタンニンの強さを持ち、味わいはとてもリッチだが、とてもソフトでクリーミーでもある。家で15年から20年保存できるようなボトルだ。
アルバムを聴きながらタナを飲めば、五感が活性化する。飲むために聴き、その逆もまた然り。高価なVIPチケットよりずっといい、まさに没入型の体験だ。もし私の国を通りかかったら、遠慮なく訪ねてきてほしい。私は夜間、敷地内で人々を歓迎し、試飲やワイナリー周辺のツアーを提供しているからね」

参考文献: HARD FORCE:MOISSON LIVIDE Interview Darkagnan

HEAVY METAL DK:Interview med Baptiste ”Darkagnan” Labenne fra Moisson Livide

METAL OBS:MOISSON LIVIDE : OH, MA DOUCE FRANCE !

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ALLT : FROM THE NEW WORLD】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH OLLE NORDSTROM OF ALLT !!

“Hiroshima And Nagasaki Were The Starting Points For Our Research When Writing This Album. We Can’t Even Begin To Imagine The Horrors The Victims Experienced.”

DISC REVIEW “FROM THE NEW WORLD”

「メタルのコアなジャンルを掘り下げた後、2012年にデビュー・アルバムをリリースした VILDHJARTA を知ったんだ。彼らのサウンドはそれまで聴いたことのないものだった。僕の作曲にも音楽の好みにも大きな影響を与えたよ。彼らはモダン・メタルにおけるランドマーク的なバンドだよ」
2010年代にあれだけ一世を風靡した Djent は死んだのでしょうか?いえ、そんなことはありません。Djent のリフエイジやポリリズミカルなダンス、そして多様性や DIY の哲学はあのころ、Djent を崇め奉っていた若者たちの楽曲に今も息づいています。
2020年にスウェーデンのカールスコガにて結成された ALLT は、音楽で物語を語るストーリーテリングの能力と、機械的でありながら有機的という革新的なアプローチですぐに頭角を現しました。その名の通り “ALLT (All) is Everything” ジャンルを超越したメタルコアの煌めきは、フランス&ノルウェーの連合軍 MIRAR と双璧をなしていますが、驚くべきことに両バンド共にその心臓には VILDHJARTA の奇跡が眠っています。そう、美しいメタルは決して一夜にして築かれることはありません。そこには必ず、過去からの学びやつながりがあるのです。
「広島と長崎は、このアルバムを作る際のリサーチの出発点だった。犠牲者が経験した恐怖は、僕たちには想像することさえできないよ。石に刻まれた “人影の石” のような悲しみを知ることで、とても悲劇的なイメージが鮮明になり、1曲目の “Remnant” の歌詞になったんだ。 “死の人影、悲劇のシルエット” としてね。このようなテーマについて書くことは、僕たちに感情の解放や浄化を与えてくれる。そして、僕らと共にリスナーにもこうしたテーマを探求する機会を与えられたらと願う。僕たちは、犠牲者とその家族に対する深い尊敬の念を持ってこの曲に取り組んだんだ」
まさに “新世界より” 来たる “From The New World” は、荒廃の中に自己を発見する、綿密に作られた音楽の旅。世界の緊張と恐怖にインスパイアされたこの旅路は、核兵器による崩壊と回復、そしてその後に続く感情的で哲学的な風景をテーマにしています。そしてその創作の道のりで、ALLT は日本を物語の源泉に据えたのです。
そのタイトルが表すように、”From the New World” は日本から生み出された小説、アニメ “新世界より” に啓示を受けて生み出されました。そこでは、核兵器並みの暴力サイコキネシスによって滅んだ世界と、そのサイコキネシスを徹底した情報管理とマインドコントロールによって抑えた暴力のない新世界が描かれていました。ALLT はその物語を、核の脅威にさらされた現代と照らし合わせます。
機械的なサウンドと有機的なサウンドは自ずと融合し、荒廃と、その余波の中で生き続ける生命の静かな美しさ両方を呼び起こします。電波の不気味な質感から膨大な計算能力を持つ巨大な機械まで、あらゆるものを模倣した広がりのあるシンセ、ダイナミックなインストゥルメンテーション、パワフルなボーカル、そしてオーガニックな質感がこの音楽にリアリティを根付かせました。そうして彼らがたどり着いたのが、広島と長崎でした。
「僕の経験では、メタルは常に人々が暗闇に立ち向かい、カタルシスを見出すことのできる空間だった。メタルのコミュニティは一貫してファシズム、人種差別、不平等を拒絶してきた。メタルは、人々が最も深い感情を表現し、同じ感情を持つ人々とつながることのできる空間なんだよ。アーティストが真実を語り、境界線を押し広げ続ける限り、ポジティブな変化への希望は常にあると思う」
ALLT は “人影の石” に恐怖し、人の憎悪や暴力性が生み出す悲劇や不条理に向き合いました。それでも彼らは人類を諦めてはいません。なぜなら、ここにはヘヴィ・メタルが存在するから。一貫して人類の暗闇に立ち向かい、魂の浄化を願ってきたヘヴィ・メタルで彼らは寛容さ、優しさ、多様性、平和で世界とつながることを常に願っています。混沌とした世界でも、メタルが真実とポジティブなテーマを語り続ける限り、一筋の巧妙が消えることはないのですから。
今回弊誌ではギタリスト Olle Nordstrom にインタビューを行うことができました。「フロム・ソフトウェアと宮崎英高が創り出す世界には本当にインスパイアされているんだ。彼のゲームやストーリーは、僕が ALLT のリリックでストーリーを創り上げていく方法の大きなインスピレーションになっているんだ。アルバムのタイトルも、僕の大好きなアニメのひとつ “新世界より” から拝借したんだ。”エヴァンゲリオン” からも、そのスケールの大きさと想像力に深くインスパイアされているね。10代の鬱屈した時期に観て以来、あらゆる媒体の中で最も影響を受けた作品のひとつになったよ」 どうぞ!!

ALLT “FROM THE NEW WORLD” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SKINFLINT : BALOI】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH GIUSEPPE SBRANA OF SKINFLINT !!

“No Metal Bands Were Covering African Mythology And Tales. So I Wanted To Incorporate This Element Of Our Culture Into The Music. I Feel These Tales Are The Most Important Aspect Of Skinflint.”

DISC REVIEW “BALOI”

「アフリカでは多くの人がメタルに触れる機会が少なかった。ラジオ局でメタルが流れていなかったり、自分の周りにメタルについて知っている人がいなかったりすれば、やっぱりメタルに出会うことはなかっただろう。今はインターネットが普及し、人々はより簡単に様々な種類の音楽にアクセスできるようになったからね」
モダン・メタルに宿る寛容さが羽ばたかせたメタルの種子は、今や世界中に飛散し、芽吹き、華麗な花を咲かせようとしています。モダン・メタルの生命力は実に瑞々しく、行く手を遮るさまざまな障壁を壊し、世界各地の文化を包容し、その硬質な高揚感や知性を感染させていきます。
それでも、アフリカ大陸にメタルが根付くまでには長い時間を要しました。ライブがなかったり、渡航費が高かったり、ラジオでかからなかったり、そもそもメタルの存在自体が知られていなかったりで、近年までこの場所はまさにメタル不毛の地だったのです。
「ボツワナでは、メタルをブッキングしてくれる会場やプロモーターが絶対的に不足している。多くの人は、地元にシーンがあることさえ知らない。アフリカでの旅費は非常に高く、距離も離れているしね。さらに、ライヴは週末や月末にしか行われない。そのため、ツアーは非常に難しく、ほとんどのバンドはここでツアーさえ行おうとしないんだ。ステージもPAシステムも、スタジオだって自分たちで作らないといけない。とてもDIYなんだよ」
しかし、インターネットの普及によって、アフリカでもメタルは徐々に身近なものになりました。チェニジアの MYRATH や、南アフリカの VULVODYNIA、アンゴラの BEFORE CRUSH などは世界的に注目を集め、アフリカ大陸のメタルをあのバオバブの木のようにスクスクと育てています。
それでも、この地のメタルには今でも苦労が絶えないと、ボツワナの古豪 SKINFLINT の首領 Giuseppe Sbrana はその心情を吐露します。距離的問題、設備的問題、人的問題。そんな逆境においても彼らがメタルを諦めないのは、音楽に対する情熱とアフリカの誇り、そして DIY の矜持から。
「アフリカは歴史、神話、口承伝承の豊かな大陸だ。これらの物語の多くは、主流メディアで取り上げられたことさえなかったし、他のメディアでもまったく伝えられてこなかった。当時、こうした物語を取り上げるメタル・バンドは皆無だった。だから私は、私たちの文化のこの素晴らしい要素を音楽に取り入れたかったんだ。アフリカの物語は SKINFLINT の最も重要な側面だと感じているよ」
そう、彼らがメタルで描くのはアフリカの伝統とプライド。彼の地に残る神話や伝承を風化させず、世界中に伝えたい。その想いが、モダン・メタルの生命力、包容力、感染力と完璧にシンクロして彼らの最新作 “Baloi” は生まれました。アルバムでも屈指の名曲、”Sangoma Blood Magic” は、アフリカのシャーマンでヒーラー、サンゴマのストーリー。
身体的、精神的、スピリチュアル的な治療だけでなく、戦う人々を守ったり、迷子の牛を見つけたり、占いをしたり。薬草や動物の皮などを使って人々を癒すサンゴマ。西欧の医術が広まった今でもサンゴマの存在は大きく、人口の半分以上の人々がさまざまな困難でサンゴマを頼りにしています。それはきっと、日本の神道、八百万の神と同様にサンゴマが祖先と、伝統と、大地とつながっているから。
そんなズールーの秘術を宿した SKINFLINT のメタルは、MOTORHEAD のごとくパンキッシュに爆走し、VENOM のように凶暴で、SOULFLY のように伝統のリズムを体で受け止めます。ある意味、彼らのメタルも癒しであり、儀式。そうして、そのスピリチュアルなメタルのブラッド・ダンスはやがて世界を席巻するはずです。
今回弊誌では、Giuseppe Sbrana にインタビューを行うことができました。「私のメッセージは、欧米の検閲、キャンセルカルチャーによって、君たちの芸術が破壊され、本来の表現が変わってしまうことを決して許さないでほしいということ。日本はとてもユニークでクリエイティブな国なのだから」 どうぞ!!

SKINFLINT “BALOI” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ZYGNEMA : ICONIC】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH SIDHARTH KADADI OF ZYGNEMA !!

“I Was Deeply Connected And Impressed With a Steve Vai Track Titled Blood And Tears Since I Was a Teenager. It Has Carnatic Vocals With Electric Guitar And It Still Gives Me Goosebumps Whenever I Hear It.”

DISC REVIEW “ICONIC”

「地元の音とメタル音楽をブレンドして、この都市と州の人々にとってよりパーソナルなものにするという非常に効果的なアイデアを思いついた。だから、僕らが取り入れようとしている伝統的な音楽のブレンドは、パンジャブ音楽のようにポピュラーなものではない。正直なところ、西と南のミックスなんだ。”Iconic”, “Rise Again”, “To reach the Gods” を聴いてもらえば、その装飾がはっきりわかるはずだ。歌詞はムンバイの鼓動(人々)を語っていて、できるだけ多くの顔を見せることにした。ムンバイは喧騒に満ちているんだ」
想いや思い出、共感、怒りに願い。ヘヴィ・メタルがただの “音楽” ではなく、共に歩むうちいつしか人生になるように、ZYGNEMA の “Grind” も単なる “歌” ではありません。それは、彼らが生まれ育った故郷、ムンバイの精神と人々に捧げられた力強いアンセムです。
「音楽を通して表現することを可能にし、ライブに熱心に通い、メタル音楽に耳を傾ける人々は、その経験をより個人的なものにする。そうやって自分らしくいられること、個人的な感情を自由に表現できることは、誰もが望んでいることなのだろう。そこに、それぞれの文化や意味のある歌詞を融合させることで、より絆が深まるのだと思う」
インドの伝統的なリズムとモダン・メタルのアグレッションの極上のブレンドによって生まれたこの曲は、ムンバイの喧騒、混沌、疲れ知らずのエナジーを的確に捉え鮮やかに讃えるメタル讃歌。第三世界に根を広げるメタルの生命力、包容力、感染力を完膚なきまでに実現した、絆と人生の音楽。ハードなグルーヴと大胆不敵なテーマで知られる ZYGNEMA は、心に宿るローカルな文化とメタルの獰猛さの融合がいかに魅力的であるかを再び証明しました。
「”Grind” のインスピレーションは、ヘヴィなサウンドとリフ、そして PRODIGY の “Smack my bitch up” のようなエレクトロニックでインダストリアルなサウンドをブレンドすることだった。僕が10代の頃親しみ、感銘を受けた Steve Vai の “Blood & Tears” のようにね。エレクトリック・ギターにカルナティックなボーカルが入っていて、今でも聴くたびに鳥肌が立つよ。もうひとつのインスピレーションは、偉大なる Mattias Eklundh なんだ」
ムンバイの落ち着きのない鼓動を完璧に反映した轟音リフと複雑なグルーヴによって、”Grind” は台頭するインド・メタルの、そしてムンバイの新たなアンセムとなりました。コナッコルの複雑怪奇なパーカッションと歌で従来のメタルとは一線を画す印象的なリズムの質感を生み出していますが、そのルーツが欧米でこの奏法に早くから目をつけていた Steve Vai と Mattias Eklundh にあるのも興味深いところ。そうしてこの革新的な組み合わせは、ムンバイの活気に満ちた多様な雰囲気を映し出しながら、西洋と東洋の融合を祝います。
さらに “Grind” のミュージック・ビデオは、この曲のテーマに力強く命を吹き込んでいます。ムンバイの賑やかな通りを背景にしたこのビデオは、露天商、会社員、学生など、実際この地に生きる人々の日常をとらえています。彼らは皆、撮影時に話しかけて出演を快諾してくれたムンバイの人々。だからこそ、ムンバイの鼓動を伝えるこのビデオ、そして音楽には紛れもない信憑性があります。
「ムンバイの人々はたくましく、日々の生活を楽しく切り詰めている。ムンバイで苦難は誰も惜しまない。どんな階層や階級に属していようと、誰も文句を言わない。一日の終わりに、彼らは楽しみ、自分の功績を祝う。それが、僕たちがこのミュージック・ビデオで表現したいこと」
テクノロジーとSNSによって人類は退化しているのではないか。そう訝しむ ZYGNEMA のギタリスト Sidharth Kadadi。懸命に働く人々と、喜びや祝福を分かち合う瞬間がシームレスに織り込まれるこのビデオは、人間の回復力と精神力の証であり、困難にもかかわらず、揺るぎない決意で努力し、乗り越え、繁栄を勝ち取ったムンバイとメタルの記念碑でもあるのです。
今回弊誌では、Sidharth Kadadi にインタビューを行うことができました。「ストリート・ファイターは子供の頃にプレイしたことがあり、リュウの師匠の弟 (豪鬼) が “殺意の波動”という暗黒の修行に没頭してアクマになってしまうというバックストーリーがとても面白かった。剛柔流空手を学ぶことに間違いなく興味があるし、音楽と一緒にもうひとつ芸術を学ぶ時間を作るつもりだよ」どうぞ!!

ZYGNEMA “ICONIC” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【LOWEN : DO NOT GO TO WAR WITH THE DEMONS OF MAZANDARAN】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH NINA SAEIDI OF LOWEN !!

“The Government Of Iran Does Not In Any Way Represent Iranian People And Culture, Their Suppression Of The Arts And Oppression Of Women Goes Against Everything In Iranian culture. Our Culture Has Celebrated Women And The Arts For Millennia Prior To The Dictatorship.”

DISC REVIEW “DO NOT GO TO WAR WITH THE DEMONS OF MAZANDARAN”

「シャーナーメは、多くの寓話や物語を含む魅力的なテキストで、今日の世界で起きていることと非常に関連性があると感じるのよ。世界の舞台であれ、個人的なレベルであれ、このテキストに登場する王や悪党たちの愚行や戯れは、生き生きとした現代的なものに感じられる。この本は、色彩豊かで大げさな方法で人間性を表現した見事な作品であり、私はそれを私たちの音楽で取り入れたいと思ったの」
ペルシャの叙事詩 “シャーナーメ: 王書” は、創造と征服、勝利と恐怖に満ちた、10万行にも及ぶ広大な詩。ロンドンのプログレッシブ・ドゥーム集団 LOWEN の素晴らしき第二幕 “Do Not Go To War With The Demons Of Mazandaran” にインスピレーションを与えているのは、その中に収められている Mazandaran の悪魔の頭領 Div-e Sepid の物語。強大な力と熟練した魔術を持つ巨大な存在で、王の愚かさを懲らしめるため彼の軍隊を破壊し、失明させ、地下牢に幽閉する。
「このアルバムは、それを聴く人々への警告なの。戦争には絶対に勝者などいないし、戦争で利益を得る人間が最大の悪党となる。私はいつも、ウィリアム・ブレイクのような予言的人物に魅了されてきた。彼らは詩や芸術を使って、近未来の可能性について人々に警告を発している。このアルバムが歴史を変えることはないとわかっているけど、私たちの周りで起こっていることの愚かさを鮮やかな色彩で浮き彫りにせざるを得ないと感じている自分がいるのよ」
そう、このアルバムは戦争をけしかける愚かなる王、支配者、権力者たちへの芸術的な反抗であり、英雄に引っ張られる市民たちへの警告でもあります。いつの時代においても、戦争に真の勝者はなく、そこにはただ抑圧や痛みから利益を貪るものが存在するのみ。ただし、LOWEN の歌姫 Nina Saeidi には、そうした考えに至る正当な理由がありました。
「中東の最近の歴史は、100年以上にわたる不安定化と植民地化によって、悲劇的で心が痛むものになってしまった。今のイラン政府はイランの人々や文化を代表するものではなく、芸術の弾圧や女性への抑圧はイラン文化のすべてに反するものだと思っているわ。私たちの文化は、独裁政権以前の何千年もの間、女性と芸術を祝福してきたのだから」
イラン革命の亡命者の娘として産まれた Nina にとって、現在のイランのあり方、独裁と芸術や女性に対する抑圧は、本来イランやペルシャが培ってきた文化とは遠く離れたもの。本来、女性や芸術は祝福されるべき場所。そんな Nina の祖国に対する強い想いは、モダン・メタルの多様性と結びついてこのアルバムを超越的な輝きへと導きました。
何よりその音楽的ルーツは、彼女の祖先の土地に今も深く刻み込まれていて、ゴージャスで飛翔するような魅惑的な歌唱は、パートナーのセム・ルーカスの重戦車なリフの間を飛び回り、大渦の周りに蜃気楼を織り成していきます。”クリーン” な歌声が、これほどまでにヘヴィな音楽と一体化するのは珍しく、また、奈落の底への冒険をエキゾチシズムと知性で表現しているのも実に神秘的で魅力的。多くのメタル・バンドがアラブ世界のメロディを駆使してきましたが、LOWEN のプログレッシブ・ドゥームほど “本物” で、古代と今をまたにかけるバンドは他にいないでしょう。
今回弊誌では、Nina Saeidi にインタビューを行うことができました。「日本から生まれたプログは世界でもトップクラスよね!喜多島修と高中正義は、私の最も好きなミュージシャンの一人なの。もちろん、スタジオジブリの映画のファンでもあるし、『xxxホリック』や『神有月の子ども』など、日本の民話や神話を取り入れたファンタジーやアニメのジャンルも大好きよ。『ヴァンパイア・ハンターD』も、若い頃に好きだったアニメ映画のひとつね。ゴシック映画の傑作。
ビデオゲームでは、私はゼルダの大ファンなの。Wiiのゲームはプレイする機会がなかったけど、N64とSwitchのゲームは今でもプレイする機会があればヘビーローテーションしているの」 どうぞ!!

LOWEN “DO NOT GO TO WAR WITH DEMONS OF MAZANDARAN” : 10/10

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